JP6492613B2 - 研削装置及び研削方法 - Google Patents
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Description
工作機械の制御技術として、例えば特許文献2の工作機械の送り速度の制御方法が知られている。この制御方法では、加工物と工具の接触によって工具表面に欠陥を生じない程度の高速の二次早送り速度で工具を加工物に接近させる。AE変換子で工具が加工物に接触し、切削し始めたときに発生する音響放出効果としての高周波のAE波を検知する。検知して得られたAE変換子からのAE信号を中間増幅器で増幅すると共にフィルターで雑音部分を除去して管制部に伝え、管制部からの信号で切削送り速度に切り替える。
本発明の実施形態は、研削負荷の変動に対する切込速度の制御の追従性を向上させることを目的とする。
本発明の他の実施形態による研削方法は、回転する研削材によるワークの研削時に発生するアコースティックエミッションを検出することと、検出した前記アコースティックエミッションの大きさに基づいて、前記ワークに対する前記研削材の切込速度をフィードバック制御することと、を含む。
(第1実施形態)
(構成)
図1の(a)及び図1の(b)を参照する。研削装置1は、ワーク保持部2と、位置決め支持部3a及び3bと、支持台4と、研削材5と、研削材駆動部6と、可動テーブル7と、テーブル駆動部8と、回転部9と、AEセンサ10と、制御部11を備える。
なお、図1の(a)においてワーク20及びワーク保持部2は、第1方向及び第2方向に平行な面に沿う断面図によって表されている。また、図1の(b)は、図1の(a)に示す矢印30の方向から研削装置1を見た状態を示す。図1の(b)において、ワーク保持部2と、研削材駆動部6と、可動テーブル7と、テーブル駆動部8と、回転部9と、制御部11の図示が省略されている。第3方向は、第1方向及び第2方向と直角な方向である。
位置決め支持部3a及び3bは支持台4に取り付けられ、ワーク20を2箇所で支持する。位置決め支持部3a及び3bは、例えばシューであってよい。ワーク20は例えば円筒形状を有していてよく、この場合、位置決め支持部3a及び3bはワーク20の外周の2箇所を支持する。位置決め支持部3a及び3b並びに支持台4は、ワーク20を支持する支持部を形成する。
テーブル駆動部8は、可動テーブル7を第1方向に移動させることにより、ワーク20と研削材5とを相対移動させて回転する研削材5の外周をワークに接触させる。可動テーブル7及びテーブル駆動部8は、ワーク20と研削材5とを相対移動させて回転する研削材5の外周をワークに接触させる送り機構を形成する。
回転部9は、第2方向と平行な軸を回転軸としてワーク保持部2及びワーク20を回転させ、研削材5に接触するワーク20上の接触箇所、すなわちワーク20の研削位置を変更する。ワーク20がワーク保持部2に保持された状態でワーク保持部2を回転させることによって、ワーク20は2つの位置決め支持部3a及び3bの間に吸い込まれ、安定して位置決めされた状態でワーク20が回転する。
AEセンサ10の配置位置は、例えば、位置決め支持部3a及び3bの間であってよい。位置決め支持部3a及び3bの間にAEセンサ10を固定することにより、AEセンサ10を位置決め支持部3a及び3bの両方に近付けることができる。その結果、位置決め支持部3aを経由してAEセンサ10に到達するアコースティックエミッション及び位置決め支持部3bを経由してAEセンサ10に到達するアコースティックエミッションの両方の減衰を低減することができる。AEセンサ10は、検出したアコースティックエミッションの強度に応じた大きさを有する出力信号を制御部11へ出力する。なお、AEセンサ10の配置位置は上述の位置に限定されない。例えば、AEセンサ10は、支持台4の他の位置に固定されてもよく、位置決め支持部3a又は3bに固定されてもよく、研削材5を支持する研削材駆動部6や、可動テーブル7に固定されてもよい。
制御部11は、例えば、汎用又は専用の論理回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)で実現されてよい。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のCPU周辺部品とを含む電子回路で実現されてもよい。
ワーク回転速度制御部42は、ワーク20の回転速度が、記憶部41に記憶されたワーク回転速度情報が示す回転速度になるように回転部9を制御してよい。研削材回転速度制御部43は、記憶部41に記憶された研削材回転速度情報が示す回転速度になるように研削材駆動部6を制御してよい。
例えば、切込速度決定部45は、出力信号Aの増加に応じて徐々に低下する切込速度指令値Vcを決定してよい。
例えば、関数f(A)は、出力信号Aが、研削材5が回転し且つ研削材5とワーク20とが接触する前すなわち研削開始前にAEセンサ10から出力される値Auであるとき「0」である関数であってよい。且つ、定数C2は、任意に設定される第1設定速度Viであってよい。例えば第1設定速度Viは、ワーク20と研削材5との接触を開始する時に使用される切込速度であってよい。このような関数f(A)及び定数C2を用いることにより、切込速度決定部45は、研削開始後に第1設定速度Viから徐々に低下する切込速度指令値Vcを決定することができる。
切込速度制御部46は、切込速度決定部45から切込速度指令値Vcを受信する。切込速度制御部46は、切込速度が切込速度指令値Vcになるようにテーブル駆動部8を制御する。
このように、出力信号Aの増加に応じて切込速度Vを低下させることにより、出力信号Aが小さい領域、すなわち研削負荷が小さい領域の切込速度を増加させて高速な研削処理を実現することができる。研削負荷が小さい領域で高速な研削処理を行うことにより、例えば、黒皮研削における加工時間を短縮することができる。
次に、第1実施形態の研削方法の一例を説明する。図5を参照する。例えば、図5に示す研削方法は、黒皮研削、粗研削、及び仕上げ研削等の加工段階毎に各々実施されてよい。図10及び図13に示す研削方法も同様である。ステップS10においてAEセンサ10は、研削材5によるワーク20の研削時に発生するアコースティックエミッションを検出する。AEセンサ10は、検出したアコースティックエミッションの強度に応じた大きさを有する出力信号を制御部11へ出力する。ステップS11において、制御部11は、AEセンサ10の出力信号に基づいて、ワーク20に対する研削材5の切込速度をフィードバック制御する。
(1)第1実施形態の研削装置1は、回転する研削材5とワーク20とを相対移動させることにより研削材5をワーク20に接触させる送り機構と、研削材5によるワーク20の研削時に発生するアコースティックエミッションを検出するAEセンサ10を備える。第1実施形態の研削装置1は、AEセンサ10の出力信号Aに基づいてワーク20に対する研削材5の切込速度をフィードバック制御する制御部11を有する。
例えば、ワーク20と研削材5とが断続的に接触することにより研削負荷の変動が大きくなる黒皮研削において研削負荷の検出精度が向上する。このため、黒皮研削における切込速度の制御が容易になる。
次に、第1実施形態の変形例を説明する。
(1)切込速度指令値Vcの決定方法は図3及び式(1)で示した方法に限定されない。切込速度指令値Vcと出力信号Aとの間の関係は、図3に示す関係と異なっていてもよい。
図6を参照する。図6においてAimは、値Auより大きく目標値Atより小さい中間値を示す。例えば切込速度決定部45は、出力信号Aが値Auから中間値Aimまで増加する間、切込速度指令値Vcを第1設定速度Viに維持してもよい。切込速度決定部45は、出力信号Aが中間値Aimから目標値Atまで増加する間に第1設定速度Viから第2設定速度Vfまで徐々に低下する切込速度指令値Vcを決定してもよい。
出力信号Aが値Auから中間値Aimまで増加する間、切込速度指令値Vcを第1設定速度Viに維持することにより、研削負荷が小さい領域でより高速な研削処理を行うことができる。
出力信号Aが中間値Aimから値Afまで増加する間、切込速度指令値Vcを第2設定速度Vfに維持することにより、研削負荷が大きくなる領域で早めに切込速度を落とし、より小さい研削負荷で研削処理を行うことができる。
また、図8に示す切込速度指令値Vcと出力信号Aとの関係においても、図3に示す関係と同様に、切込速度指令値Vcは、出力信号Aが値Auのとき第1設定速度Viになり、出力信号Aが値Auより大きい目標値Atまで増加する間に徐々に低下する。そして、出力信号Aが目標値Atのときに切込速度指令値Vcは、第1設定速度Viより第2設定速度Vfになる。
目標値取得部47は、出力信号受信部44から出力信号Aを受信する。目標値取得部47は、切込速度が第2設定速度Vfであり、ワーク20と研削材5との接触状態が全面当たり状態である場合の出力信号Aを目標値Atとして取得し、記憶部41に記憶する。
なお、以下に示す第2実施形態及び第3実施形態においても制御部11は、目標値取得部47を備えてよい。
次に、第2実施形態の研削装置1を説明する。研削負荷の変動が大きな研削、例えば黒皮研削では出力信号Aの変動が大きい。このため、制御部11は、出力信号受信部44から切込速度決定部45へ出力される出力信号Aを平滑化してもよい。
図11を参照する。図2に示す構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付する。制御部11は、平滑部48を備える。
平滑部48は、記憶部41からワーク回転速度情報を読み込み、ワーク20の回転周期で生じる出力信号Aの周期的変動をワーク回転速度情報に応じて平滑化してよい。例えば、平滑部48は、ワーク回転速度情報に応じて、ワーク20の1回転周期に亘って出力信号Aを移動平均することにより、出力信号Aの周期的変動を平滑化してよい。例えば、平滑部48は、ワーク回転速度情報に応じて、ワーク20の1回転周期に亘って出力信号Aを移動平均することにより、黒皮研削時に生じる出力信号Aの周期的変動を平滑化してよい。
図11を参照する。平滑部48は、平滑化された出力信号Aを切込速度決定部45へ出力する。切込速度決定部45は、平滑化された出力信号Aに応じて切込速度指令値Vcを決定する。
第2実施形態の研削装置1は、ワーク20を回転させてワーク20の研削位置を変更する回転部9と、回転部9によるワーク20の回転速度を記憶する回転速度記憶部を備える。研削装置1は、回転速度記憶部に記憶された回転速度に応じて出力信号Aの変動を平滑化する平滑部48を備える。平滑部48は、ワーク20の回転周期で生じる出力信号Aの周期的変動を平滑化する。
次に、第2実施形態の変形例を説明する。図14を参照する。図11に示す構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付する。制御部11は、周期検出部49を備えてよい。周期検出部49は、回転部9により回転するワーク20の回転周期を検出する。例えば、周期検出部49は、出力信号受信部44から出力信号Aを受信してよい。例えば、周期検出部49は、出力信号Aに現れる閾値以上の変動幅の周期的変動のピーク間の間隔をワーク20の回転周期として検出してよい。周期検出部49は、検出した回転周期を平滑部48へ出力する。
周期検出部49が検出した回転周期に応じて、ワーク20の1回転周期に亘って出力信号Aを移動平均することにより、出力信号Aの周期的変動を平滑化してよい。例えば、平滑部48は、周期検出部49が検出した回転周期に応じて、ワーク20の1回転周期に亘って出力信号Aを移動平均することにより、黒皮研削時に生じる出力信号Aの周期的変動を平滑化してよい。
次に、第3実施形態の研削装置1を説明する。制御部11は、出力信号Aの変化に対する切込速度指令値Vcの変化の緩急を任意に変更できるように構成してもよい。図2を参照する。記憶部41には、出力信号Aの変化に対する切込速度指令値Vcの変化の緩急を指定する設定値を記憶する。記憶部41に記憶される設定値は、入力インタフェース40を介して、オペレータの手動により又は外部装置から任意に設定又は変更できる。記憶部41は、出力信号Aの変化に対する切込速度指令値Vcの変化の緩急を指定する設定値を記憶する設定値記憶部を形成する。入力インタフェース40は、設定値を設定又は変更する設定部を形成する。
これに加えて、関数f(A)は、出力信号Aが目標値Atであるとき「1」である関数であってよい。かつ、係数C1は、第1設定速度Viから任意の第2設定速度Vfを減算した差であってよい。このような関数f(A)、係数C1及び定数C2を用いることにより、切込速度決定部45は、研削開始後に第1設定速度Viから徐々に低下し、出力信号Aが目標値Atに到達した時に第2設定速度Vfになる切込速度指令値Vcを決定することができる。
例えば、切込速度決定部45は、次式(2)により与えられる切込速度指令値Vcを決定してよい。
また、例えば切込速度決定部45は、式(2)に従って複数のべき数nについて予め計算された切込速度指令値Vcを格納した、ルックアップテーブルのような関係マップ等から出力信号Aの値に対応する切込速度指令値Vcを読み出してもよい。切込速度決定部45は、決定した切込速度指令値Vcを切込速度制御部46に出力する。
第3実施形態の研削装置1は、出力信号Aの変化に対する切込速度指令値Vcの変化の緩急を指定する設定値を記憶する設定値記憶部を備える。切込速度指令値Vcは、前記設定値記憶部に記憶された設定値に対応するべき数nで関数f(A)をべき乗した値と係数C1との積を定数C2から減算した差である。このため、第3実施形態の研削装置1では、出力信号Aの変化に対する切込速度指令値Vcの変化の緩急を任意に調整できる。このため、ワーク20の品質と加工時間のバランスを調整することができる。
2 ワーク保持部
3a、3b 位置決め支持部
4 支持台
5 研削材
6 研削材駆動部
7 可動テーブル
8 テーブル駆動部
9 回転部
10 AEセンサ
11 制御部
20 ワーク
40 入力インタフェース
41 記憶部
42 ワーク回転速度制御部
43 研削材回転速度制御部
44 出力信号受信部
45 切込速度決定部
46 切込速度制御部
47 目標値取得部
48 平滑部
49 周期検出部
Claims (9)
- 回転する研削材とワークとを相対移動させることにより前記研削材を前記ワークに接触させる送り機構と、
前記研削材による前記ワークの研削時に発生するアコースティックエミッションを検出するAEセンサと、
前記AEセンサの出力信号に基づいて前記ワークに対する前記研削材の切込速度をフィードバック制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、黒皮研削工程において前記ワークと前記研削材との接触状態が全面当たり状態に至るまでの間に前記出力信号が徐々に増加するように、前記切込速度をフィードバック制御する研削装置。 - 前記制御部は、前記出力信号の増加に応じて前記切込速度が徐々に低下するように前記切込速度をフィードバック制御する請求項1に記載の研削装置。
- 前記制御部は、研削中に出力される前記出力信号が、研削開始前に出力される前記出力信号の値から目標値まで増加する際に、前記切込速度が第1設定速度から第2設定速度まで低下するように前記切込速度をフィードバック制御する請求項1又は2に記載の研削装置。
- 前記目標値は、前記黒皮研削工程において前記ワークと前記研削材との接触状態が全面当たり状態に至り且つ前記切込速度が前記第2設定速度である場合に出力される前記出力信号の値である請求項3に記載の研削装置。
- 前記制御部は、前記出力信号に応じて切込速度指令値を決定する切込速度決定部と、前記切込速度が前記切込速度指令値になるように前記送り機構を制御する切込速度制御部と、を備え、
前記切込速度指令値は、前記出力信号の増加に応じて増加する関数と係数との積を定数から減算した差である請求項1又は2に記載の研削装置。 - 前記出力信号の変化に対する前記切込速度指令値の変化の緩急を指定する設定値を記憶する設定値記憶部を備え、
前記切込速度指令値は、前記設定値記憶部に記憶された前記設定値に対応するべき数で前記関数をべき乗した値と前記係数との積を前記定数から減算した差である請求項5に記載の研削装置。 - 前記ワークを回転させて前記ワークの研削位置を変更する回転部と、
前記回転部による前記ワークの回転速度を記憶する回転速度記憶部と、
前記回転速度記憶部に記憶された前記回転速度に応じて前記出力信号の変動を平滑化する平滑部と、を備え、
前記平滑部は、前記ワークの回転周期で生じる前記出力信号の周期的変動を平滑化する請求項1〜6のいずれか一項に記載の研削装置。 - 前記ワークを回転させて前記ワークの研削位置を変更する回転部と、
前記回転部により回転する前記ワークの回転周期を検出する周期検出部と、
前記周期検出部が検出した前記回転周期に応じて前記出力信号の変動を平滑化する平滑部と、を備え、
前記平滑部は、前記回転周期で生じる前記出力信号の周期的変動を平滑化する請求項1〜6のいずれか一項に記載の研削装置。 - 回転する研削材によるワークの研削時に発生するアコースティックエミッションを検出し、
黒皮研削工程において前記ワークと前記研削材との接触状態が全面当たり状態に至るまでの間に検出した前記アコースティックエミッションが徐々に増加するように、前記ワークに対する前記研削材の切込速度をフィードバック制御する、研削方法。
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