JP2016138796A - 物体検知センサーおよび部屋内物体検知システム - Google Patents

物体検知センサーおよび部屋内物体検知システム Download PDF

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西川 和宏
Kazuhiro Nishikawa
和宏 西川
春樹 上山
Haruki Kamiyama
春樹 上山
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Abstract

【課題】個室内など狭い空間内の人体などの物体を正確に検知できる物体検知センサーを提供すること。
【解決手段】周波数スペクトル生成手段(17,18)は、ビート信号の周波数スペクトルを生成する。前記周波数スペクトルは、その周波数スペクトルの周波数と、送信波が送信されてから受信波として受信されるまでの行路長とが対応関係を有する。物体検知手段(21)は、部屋(2)の最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数を含む周波数範囲のスペクトル分布に基づいて、前記部屋(2)内の物体(10)を検知する。
【選択図】図2

Description

本発明は物体検知センサーおよび部屋内物体検知システムに関し、特に、個室内、例えば、トイレ、脱衣所などにおける人体の検知に好適に用いられる物体検知センサーおよび部屋内物体検知システムに関する。
人体を検知する手段としてカメラが広く使用されているが、トイレや脱衣所などの個室ではカメラを使用して監視することはプライバシーの保護の観点から使用しづらいという問題がある。
しかしながら、これらの場所では人が転倒して身動きできなくなっているなどの危険性の高い状態が発生することが考えられ、プライバシーの問題を解決しつつ人体を検知するセンサーが望まれる。
プライバシーの問題をクリアする人体検知センサーとしてはマイクロ波を利用したセンサーがあり、このマイクロ波を利用するセンサーとしてはドップラセンサーやFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)センサーが挙げられる。
ドップラセンサーは室内で利用されることが多く、広く使用されているものの原理上人が静止している状態では検知できず、例えば個室内で人が転倒し、静止している状態と、個室内から人が退出した状態との判別が難しいという問題がある。
一方、FMCWセンサーは静止している対象物を検出することが可能であり、例えば特許文献1(特開2014-115214号公報)には侵入者を検出する手段としてFMCWセンサーを利用する方法が開示されている。
一般的なFMCWセンサーは以下のような手法により対象物を検出する。
すなわち、FMCW信号源で周波数変調された3角波の高周波の連続波信号である送信波を送信アンテナから空間に放射するとともに、空間に存在する対象物から反射して戻ってくる前記連続波信号(受信波)を受信して、その送信波と受信波の差周波を有するビート信号を生成する。そして、このビート信号の周波数スペクトルが対象物までの距離と対応するため、スペクトルのピーク部を検知することで対象物の存在或いは位置の算出を行っている。
より詳しくは、送信波の掃引周波数幅をF、掃引時間をT、光速をCとした時、ビート信号の周波数Fと対象物との距離Rとは、
の関係がある。よって、人が存在する場合は人によって反射したマイクロ波がセンサーに受信され、その位置に対応するビート信号の周波数位置にスペクトルのピークが出現するので、適当な閾値を設定するなどしてピークの出現を検知すれば人が存在することを判定できる。
また、特許文献1では、反射器に基づく位置に出現しているスペクトルピークの変化情報を人の存在する位置の判定に活用している。
いずれにせよ、これらはビート信号の周波数スペクトルにおいて、障害物が存在する距離と対応する周波数成分にピークが出現することを前提としている。
なお、FMCWセンサーは近距離の計測ができないとされているが、特許文献2(特許第4293194号公報)では複数の周波数成分を有する信号波を用い、空間上の位置と振幅との関係が時間的な変化を伴う混合波の周波数成分を分析することにより近距離計測をする手法が提案されている。これはFMCWセンサーの一種と解されるが、信号処理等により近距離計測を実現しているものと考えられる。
特開2014-115214号公報 特許第4293194号公報
しかしながら、近距離計測が可能である特許文献2に記載されている技術を採用したセンサーを用いて発明者らが人検知試験を行ったところ、以下の問題が発生した。
すなわち、周辺に壁等の障害物がない環境で前記センサーを使用する場合は、近距離であっても障害物の距離に応じたスペクトル分布が得られるものの、壁に囲まれた狭い空間で使用するとビート信号のスペクトル分布が大きく変化し、対象物が存在する距離に障害物の存在を示すようなスペクトルピークが存在しないか、或いは対象物の存在する距離以外の場所にスペクトルピークが出現するなどの状況が発生してしまった。
これはマイクロ波の多重散乱が生じているからと考えられるが、障害物が存在する距離に対応する周波数成分にピークが出現しないため、従来のFMCWセンサーで用いられるような人検知方法を採用することができないという問題がある。すなわち、個室内などの狭い空間では多重散乱状況となるため、従来のような特定の周波数成分の強弱では、人等の物体を検知することができないという問題がある。
かかる問題に鑑み、本発明の課題は、多重散乱状況となる個室内などの狭い空間での人体などの物体を正確に検知できる物体検知センサーを提供することにある。
また、本発明の課題は、人体検知性能を向上させた物体検知システムを提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の物体検知センサーは、
空間の周囲を壁面で囲ってなる部屋内に周波数変調した連続波のマイクロ波信号である送信波を送信する送信手段と、
前記送信波に基づく部屋内からの反射波である受信波を受信する受信手段と、
前記送信波と受信波のビート信号を生成するビート信号生成手段と、
前記ビート信号の周波数スペクトルを生成する周波数スペクトル生成手段と、
前記周波数スペクトルにおける所定の周波数範囲のスペクトル分布に基づいて部屋内の物体を検知する物体検知手段と
を備え、
前記周波数スペクトルは、その周波数スペクトルの周波数と、送信波が送信されてから受信波として受信されるまでの行路長とが対応関係を有するものであって、
前記物体検知手段は、前記部屋の最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数を含む周波数範囲のスペクトル分布に基づいて、前記部屋内の物体を検知することを特徴としている。
1実施形態では、
前記物体検知手段は、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中のすくなくとも一部の周波数成分の強度和を算出し、その強度和が所定の値よりも小さい場合に部屋内に物体が存在すると判定する。
1実施形態では、
前記物体検知手段は、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中の全ての周波数成分の強度和を算出し、その強度和が所定の値よりも小さい場合に部屋内に物体が存在すると判定する。
1実施形態では、
特定状態におけるビート信号の周波数スペクトル分布を記録する周波数スペクトル分布記憶手段を備え、
前記物体検知手段は生成したビート信号の周波数スペクトルと特定状態におけるビート信号の周波数スペクトル分布との比較に基づいて部屋内の物体を検知する。
1実施形態では、
前記周波数スペクトル分布記憶手段は、複数の特定状態における、部屋内における物体の位置または状態と周波数スペクトル分布との関係を記憶し、
前記物体検知手段は生成したビート信号の周波数スペクトルと特定状態における周波数スペクトル分布との比較に基づいて部屋内における物体の位置または状態を判定する。
1実施形態では、
前記送信手段は、前記送信波を部屋の床面に沿って水平方向に送信する。
1実施形態は、
前記物体検知センサーである人体検知センサーである。
本発明の部屋内物体検知システムは、
内部に検知されるべき物体を入れることが可能な部屋と、
上述の物体検知センサーと
を備え、
前記部屋の壁面には、前記送信波を反射する金属からなる反射部材を設けていることを特徴としている。
本発明の物体検知センサーは、特定の周波数成分の強弱にて人体などの物体を検出するのではなくて、物体検知手段によって、所定の周波数範囲のスペクトル分布の変化によって人体などの物体を検知するので、個室内のようにマイクロ波が多重散乱を引き起こす環境下においても人体などの物体を正確に検知することができる。
また、本発明の物体検知システムは、部屋の壁面に反射部材を設けて、マイクロ波の多重散乱の状態を積極的に促進させているので、人体などの物体の検知性能を向上させることができる。
本発明の物体検知センサーを個室内にセッティングした状態の横断面図である。 本発明の物体検知センサーを個室内にセッティングした状態の縦断面図である。 第1実施形態の人体検知センサーのブロック図である。 個室内の人の各状態を説明する図である。 個室内の人の各状態について、距離に対するスペクトル強度の関係を示すグラフである。 第1実施形態の人体検知センサーの物体検知部の動作を説明するフローチャートである。 第2実施形態の物体検知センサーの物体検知部の動作を説明するフローチャートである。 人の各状態について、周波数スペクトル分布の各周波数成分の強度の和を示すグラフである。 第3実施形態の物体検知センサーの物体検知部の動作を説明するフローチャートである。 第4実施形態の要部である物体検知部および周波数スペクトル分布記憶部のブロック図である。 第5実施形態の部屋内物体検知システムの模式平面図である。 変形例の部屋内物体検知システムの模式平面図である。
以下、本発明を図示の実施形態により詳細に説明する。なお、かかる実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲に記載され、特許請求の範囲および均等の意味を有する範囲内でのすべての変更を含むものである。
(第1実施形態)
図1Aおよび1Bは本発明の第1実施形態の物体検知センサーとしての人体検知センサー1を個室2内にセッティングした状態を示すもので、図1Aは横断面図であり、図1Bは縦断面図である。個室2のサイズは1.55m×0.95m×2.3mであり、トイレを想定して個室2内に丸型の椅子3を設置して固定している。また、個室2の4面の壁の床面から50cmの高さまでに、反射部材の一例としてのアルミ箔5を貼っている。このように、個室2の壁に反射部材としてのアルミ箔5を設けて、人体検知センサー1からの送信波の多重反射をより有効に利用できるようにしている。
図2は人体検知センサー1の構成を示すブロック図である。図2においてFMCW信号源11がFM変調(周波数変調)された三角波の高周波信号を発生する。より具体的には図示しない電圧制御発振器(VCO)を用い、その電圧制御発振器への入力電圧の変化によりFM変調された三角波の高周波信号を生成する。
結合器12はFMCW信号源11から発生された高周波信号を分配して、一方の高周波信号を送信手段としての送信アンテナ13に出力し、他方の高周波信号をミキサ15に出力する。
前記送信アンテナ13は結合器12から出力された高周波信号を送信波として放射する。
受信手段としての受信アンテナ16は送信アンテナ13により空中に送信した高周波信号を受信し、その受信波をミキサ15に出力する。
前記ミキサ15は結合器12から出力された送信波と受信アンテナから出力された受信波との差周波を有するビート信号を生成し、そのビート信号をAD変換器17に出力する。すなわち、前記結合器12とミキサ15がビート信号生成手段を構成している。
前記AD変換器17はミキサ15から出力されたビート信号をアナログ信号形式からデジタル信号形式に変換して周波数分析部18に出力する。この周波数分析部18はAD変換器17によりデジタル化されたビート信号に対するFFT(高速フーリエ変換)等の処理を実行して、そのビート信号の周波数スペクトラムを算出する。このAD変換器17および周波数分析部18が周波数スペクトル生成手段の一例を構成する。
物体検知手段としての物体検知部21は、前記周波数スペクトルの分布に基づいて物体の有無を判定する機能を有している。
なお、前記人体検知センサー1の具体的な主な仕様は以下の通りであり、占有帯域幅にて周波数変調をかけたマイクロ波を放射するものである。
周波数帯域:24.05GHz〜24.25GHz
占有帯域幅:150MHz
ビーム幅:水平方向12°(半値幅)、垂直方向25°(半値幅)
外形寸法:145×90×30mm
重量:25g
図1Aおよび1Bに示すように、前記人体検知センサー1は床面から20cm高さにセンサー筐体の中心が位置する高さで、前記椅子3の背後に設置した。前記人体検知センサー1から放射するマイクロ波の方向は、図1Aに示すように、送信アンテナ13から水平方向に放射された成分が個室2の壁面の長手側の中心部と当たるように角度を調整して固定した。
図3は、図1Aおよび1Bに示す個室2内において人10が着席(A)、起立(B)、転倒(C),(D),(E)している状態を示している。なお、転倒については図3の(3C−1),(3C−2),(3D−1),(3D−2),(3E−1),(3E−2)に示すように、両サイドの壁際と中央付近で転倒している状態の3種類を設定し、それぞれの状態および無人の状態(図1Aおよび1Bに示す。)での人体検知センサー1による距離スペクトルを計測した。
なお、図3において、(3A−1),(3B−1),(3C−1),(3D−1),(3E−1)は、個室2と人10との関係を示す概略平面図であり、(3A−2),(3B−2),(3C−2),(3D−2),(3E−2)は、個室2と人10との関係を示す概略正面図である。
図4の(4A),(4B),(4C),(4D),(4E),(4F)には、それぞれの状態での距離スペクトルを示している。なお、高速フーリエ変換は1024点のデータ数にて処理を行い、対応する距離スペクトルは0mから127.75mまでが出力されるが、ここでは主な信号プロファイルが確認できる0mから10mの距離でのスペクトルを示している。
図1Aに示す通り、無人状態においては人体検知センサー1に最も近い対象物は個室2の壁面であり、距離1m以内の位置にスペクトル強度のピークが出現することを期待されるが、図4の(4F)に示すように、距離1m以内の位置には顕著なピークは見られず、最大ピークは3mの位置に出現しており、このようなスペクトルは個室2内でのマイクロ波の多重反射によるものと考えられる。
また、図4の(4A),(4B),(4C),(4D),(4E)に示すように、個室2内に人10が存在する場合においては、最大ピーク位置がずれるなど、スペクトル分布のプロファイルが大きく変化していることが分かる。
したがって、本発明は特定の周波数(距離)でのスペクトル強度に着目しないで、プロファイル(スペクトル分布)の変化に基づいて人体10を検出する。
この第1実施形態では、前記物体検知部21(図2を参照)が、前記プロファイルの変化に基づいて、人体10を検知する。なお、前記物体検知部21および周波数分析部18は、具体的には、例えば、マイクロコンピュータやDSP(デジタルシグナルプロセッサ)からなる。
前記物体検知部21は、図5のフローチャートに示すように動作する。
まず、図5に示すステップS1で、予めメモリ(図示せず)に記憶されている無人状態のスペクトルプロファイルを読み出し、ステップS2に進んで、周波数分析部18で生成されたビート信号の周波数成分毎のスペクトル強度と、予め記憶していた無人状態の周波数成分毎のスペクトル強度との差分を計算する。
そして、前記差分の絶対値の全周波数域での総和を算出し、この総和の数値を検出パラメータとする(ステップS3)。
この検出パラメータが、予め定められた閾値よりも大きいか否かを判別し(ステップS4)、検出パラメータが閾値よりも大きいと、ステップS5に進んで、個室2内に人10が存在することを、図示しない告知装置で、画像や音声等で告知する。一方、検出パラメータが閾値以下であると判別すると(ステップS4)、ステップS6に進んで、個室2内が無人であることを、図示しない告知装置で、画像や音声等で告知する。
この第1実施形態の人体検知センサーでは、無人の個室2によるビート信号の周波数スペクトル分布を予め記憶し、この予め記憶している周波数スペクトル分布の周波数成分毎のスペクトル強度と、周波数分析部18で生成されたビート信号の周波数成分毎のスペクトル強度との差分を各周波数成分毎に算出し、この差分の絶対値の総和を検出パラメータとして、閾値と比較して、個室2内における人体10の有無を評価するので、人体10の検出感度をより向上することができる。
また、この第1実施形態では、ビート信号の全周波数成分のスペクトル分布が変化したことによって人体10を検知するので、従来のFMCWセンサーのように対象物との距離に対応する周波数成分のスペクトルが出現していなくても人体10を検知でき、マイクロ波を用いて個室2内の人体10を検知することが可能となる。
なお、ここで個室2とは多重散乱が生じる程度の狭空間を作るものであり、例えば、典型的には縦横が3m×3m程度以下の部屋である。
また、この第1実施形態では、周波数変調したマイクロ波を利用しているため、送信波と反射波とで定在波を形成することを抑制することができる。このため、定在波の腹・節の位置依存を無くして、定在波に基づくビート信号強度の強弱発生を回避することができる。
また、この第1実施形態ではマイクロ波の周波数帯域は、24.05GHz~24.25GHzであったが、水分によるマイクロ波の吸収の観点からは、10GHzから30GHzまでの周波数帯域であってもよい。
水分の比誘電率は低周波数域では約80であるが、3GHzを超える程度から比誘電率が低下し始める。屈折率nと誘電率εとは、
の関係があることから、空気と水(人体)の界面では3GHzを超えると反射率が低下することとなり、人体へ浸透していく。さらに、誘電損失は20℃程度の環境下において10から30GHzでピークとなるので、この帯域のマイクロ波を利用することにより、マイクロ波は人体へ浸透したのちに速やかに吸収されるので、人体検知センサー1へ戻るマイクロ波の強度が低下しやすくなって、人体の検知感度が向上する。
また、この第1実施形態の人体検知センサー1は、個室2の床面から20cm高さに配置して、略水平方向にマイクロ波を放射するようにしているので、個室2内の床面付近のマイクロ波の強度が上がって、人10が転倒した状態ではマイクロ波の減衰量が増加して、人10の転倒した状態の検知を確実かつ正確に行うことができる。したがって、人が転倒していることを懸念させる状態を優先的にセンシングすることが可能となる。
なお、この明細書で、個室2の床面近傍とは、20cm以下を厳格に意味するのではなく、人体10の部分の存在が想定される床面からの範囲を言う。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の物体検知センサーの一例としての人体検知センサーの要部である物体検知手段としての物体検知部221のフローチャートである。この第2実施形態の物体検知部221は、ソフトウェアのみが図2および5に示す第1実施形態の物体検知部21と異なるので、物体検知部221以外の構成要素については、第1実施形態の図1〜4およびその説明を援用する。図6と図5を対比すると分かるように、第2実施形態の物体検知部221と第1実施形態の物体検知部21とは、算出する検出パラメータと閾値のみが異なる。したがって、以下においては、この異なる点に焦点を当てて説明する。
図6のステップS11では、予めメモリに記憶されている閾値、つまり無人状態の周波数スペクトルの全周波数成分の強度の和に基づいて定められた閾値を読み出す。この閾値は、無人状態の周波数スペクトルの全周波数成分の強度の和の例えば半分の値である。
図7は第1実施形態と同一試験において、周波数スペクトルの全周波数成分の強度の和を図3および4に示す各状態で算出したものである。図3,4および7から分かるように、人体10が個室2内に存在することにより、周波数スペクトルの全周波数成分の強度の和が著しく低下している。したがって、無人状態の強度の和の例えば半分などの閾値を設ければ、個室2内での人体10の有無を検出することが可能である。
次に、ステップS12に進んで、周波数分析部18(図2参照)で得られたビート信号のスペクトル分布の周波数成分毎のスペクトル強度から、全周波数成分のスペクトル強度の和を算出して、検出パラメータとして、メモリ(図示せず)に記憶する。
そして、この検出パラメータが、予め定められた閾値よりも大きいか否かを判別し(ステップS4)、検出パラメータが前記閾値よりも大きいと、ステップS5に進んで、個室2内に人10が存在することを、図示しない告知装置で、画像や音声等で告知する。一方、検出パラメータが前記閾値以下であると判別すると(ステップS4)、ステップS6に進んで、個室2内が無人であることを、図示しない告知装置で、画像や音声等で告知する。
この第2実施形態では、効率よく水分に吸収される特性を有する20GHz周辺のマイクロ波を使用しているため、図3および4に示すように、水分を主成分とする人体10が個室2内に存在する場合に、図7に示すように、前記全周波数成分の強度の和が顕著に低下する。そこで、無人の状態の全周波数成分の強度の和を基準に設定された前記閾値よりも、ビート信号のスペクトル分布の全周波数成分の強度の和からなる検出パラメータが低下した場合に、人10が個室2内に存在していると判定することによって、人10の検出感度をより向上することができる。
また、この第2実施形態では、ビート信号の全周波数成分のスペクトル分布が変化したことによって人体を検知するので、従来のFMCWセンサーのように対象物との距離に対応する周波数成分のスペクトルが出現していなくとも人体を検知でき、マイクロ波を用いて個室2内の人体10を検知することが可能となる。
また、この第2実施形態では、周波数変調したマイクロ波を利用しているため、送信波と反射波とで定在波を形成することを抑制することができる。このため、定在波の腹・節の位置依存を無くして、定在波に基づくビート信号強度の強弱発生を回避することができる。
また、この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、床面近傍に水平方向にマイクロ波を放射しているため、図7から分かるように、床面近傍に人が存在する場合に周波数スペクトルの全周波数成分の強度の和が大きく低下していることが分かる。したがって、人が床に倒れこんでいる状態などの状態を推定することも可能であり、緊急の対応が必要であるなどの判定に使用できる。
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態の物体検知センサーの一例としての人体検知センサーの要部である物体検知手段としての物体検知部321のフローチャートである。この第3実施形態の物体検知部321は、ソフトウェアのみが図5および6に示す第1および第2実施形態の物体検知部21,221と異なるので、物体検知321以外の構成要素については、第1実施形態の図1〜4およびその説明を援用する。図8と図6を対比すると分かるように、第3実施形態の物体検知部321と第2実施形態の物体検知部221とは、算出する検出パラメータと閾値のみが異なる。すなわち、第2実施形態では、生成されたビート信号のスペクトル分布の全周波数成分中の全ての周波数成分のスペクトル強度の和を対象にするに対して、第3実施形態では、生成されたビート信号のスペクトル分布の全周波数成分中の一部の周波数成分の強度の和を対象にする。したがって、以下においては、この異なる点に焦点を当てて説明する。
図8のステップS21では、予めメモリ(図示せず)に記憶されている閾値、つまり、無人状態の周波数スペクトルの全ての周波数成分の強度の和ではなくて、無人状態の周波数スペクトルの全ての周波数成分中の一部の周波数成分の強度の和に基づいて定められた閾値を読み出す。
より具体的には、例えば、無人状態での周波数スペクトルの最大ピークが3m強の距離に対応する周波数成分にあるので、上記閾値は、この3m以上の距離に対応するスペクトル成分の強度和に基づいて定められている。このように、無人状態と有人状態とで周波数スペクトルのピーク強度が敏感に変化するような特定のスペクトル成分の強度和を用いて閾値を定めることによって、無人状態と有人状態とを正確に判断できる。
次に、ステップS22に進んで、周波数分析部18(図2参照)で得られたビート信号の周波数スペクトルのスペクトル強度から、全周波数成分中の一部の周波数成分の強度の和を算出して、この全周波数成分中の一部の周波数成分の強度の和を検出パラメータとして、メモリに記憶する。具体的には、例えば、この一部の周波数成分は、3m以上の距離に対応するスペクトル成分である。
そして、この検出パラメータが、予め定められた閾値よりも大きいか否かを判別し(ステップS4)、検出パラメータが前記閾値よりも大きいと、ステップS5に進んで、個室2内に人10が存在することを、図示しない告知装置で、画像や音声等で告知する。一方、検出パラメータが前記閾値以下であると判別すると(ステップS4)、ステップS6に進んで、個室2内が無人であることを、図示しない告知装置で、画像や音声等で告知する。
測定対象物の物体が人体のように水分を多く含み、マイクロ波を吸収・遮蔽するような場合は、吸収・遮蔽により多重反射に減衰が起こる。
一方、多重反射により受信波は全部混ざって受信され、どの周波数の位置にスペクトル強度の減少が発生するかは様々な条件によって異なるが、この第3実施形態では、周波数スペクトルの全周波数成分のうちで、無人状態と有人状態とで周波数スペクトルのピーク強度が敏感に変化するような特定の周波数成分の強度和に基づく閾値と検出パラメータとを比較するので、確実に物体の有無を検知できる。
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態の物体検知センサーの一例としての人体検知センサーの要部である物体検知手段としての物体検知部421と周波数スペクトル分布記憶手段としての周波数スペクトル分布記憶部45との機能ブロック図である。この第4実施形態の人体検知センサーは、物体検知部421および周波数スペクトル分布記憶部45の構成のみが第1実施形態と異なるので、物体検知部421および周波数スペクトル分布記憶部45以外の構成要素については、第1実施形態の図1〜4およびその説明を援用する。
前記周波数スペクトル分布記憶部45は、予め、図3に示すような複数の特定状態における部屋2内の人体10の位置または状態と、図4に示すようなビート信号の周波数スペクトル分布とを対応づけて記憶している。
一方、前記物体検知部421は、周波数分析部18が生成したビート信号の周波数スペクトル分布を記憶する周波数スペクトル分布記憶部46と、比較部47とを有する。この比較部47は、前記周波数スペクトル分布記憶部45からの特定状態毎の周波数スペクトル分布と、前記生成した周波数スペクトル分布記憶部46からの前記生成した周波数スペクトル分布とを比較して、前記生成した周波数スペクトル分布が最も近い特定状態の周波数スペクトル分布を選択して、その特定状態を特定して、この特定状態を示す信号を告知装置51に送信して、この特定状態を音声や画像で告知する。
前記比較部47は、例えば、第1実施形態と同様の手法で、前記特定状態の周波数スペクトル分布の周波数成分毎のスペクトル強度と、前記生成した周波数スペクトル分布の周波数成分毎のスペクトル強度との差分を計算し、この差分の総和が最も小さくなる特定状態の周波数スペクトル分布に対応する特定状態を選択する。この特定状態には、図4の(4−F)に示す無人の状態も含まれる。
この第4実施形態の人体検知センサーによれば、前記物体検知部421は、前記生成したビート信号の周波数スペクトルと、前記記憶している周波数スペクトル分布との比較により、部屋2内の人体10の位置または状態を判定するので、部屋2内の人体10の位置または状態を正確に特定することができる。特に、この第4実施形態では、前記生成したビート信号のスペクトル分布によって、人体10の位置や状態を推定することができて、人10が転倒している状態が懸念される状況を検出することができる。
なお、この第4実施形態では、物体検知部421と周波数スペクトル分布記憶部45とは、別体として説明しているが、周波数スペクトル分布記憶部が物体検知部に内蔵するメモリであってもよい。
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態の部屋内物体検知システムを示す模式平面図である。
この部屋内物体検知システムは、物体検知センサーとしての人体検知センサー1とこの人体検知センサー1からのマイクロ波が照射される個室2からなり、この個室2の壁面には例えばアルミシート、金属箔、金属網等からなる反射部材5を設けている。
このように、個室2の壁面に反射部材5を設けると、個室2内の空間の電波強度が向上し、人体10を検知しやすくなる。
この個室2の壁面に設ける反射部材5は、必ずしも、壁表面に露出している必要はなく、壁紙等で覆っていても良い。また、遮熱用のアルミシート等を反射部材として個室2の壁面に貼れば、個室2内の断熱効果を向上させることも可能となる。
さらに、この部屋内物体検知システムには、人体検知センサー1の直近に回転運動をする例えば金属製の反射部材65を設けて、人体検知センサー1から放射されたマイクロ波が、回転する反射部材65により反射されて、さらに個室2内空間へと進行し、多重散乱を繰り返すようになっている。このように、反射部材65が回転運動をするため、マイクロ波の反射する位置、角度が変更されて、マイクロ波が広角に進行することとなって、個室2内の空間の電波強度の偏りが時間的に平均化される。
このように、この第5実施形態では、マイクロ波が水平方向に広角に進行して、水平面内での電波強度の偏りが時間的に平均化されるので、反射部材65の回転運動の1周期程度を計測期間として平均化したシグナルを判定すればデッドスペースの発生を抑止して、より信頼性の高い人体検知が可能となる。
前記反射部材65は、図示しないモーター等の駆動部材を含む回転運動機構により回転運動をする。
また、この人体検知センサー1と反射部材65と回転運動機構とを一体化して、1つの樹脂製筐体67内に収納しているので、これらを個室2内で簡便に配置することができる。
また、前記反射部材65の表面にはマイクロ波の波長よりも大きなピッチで凹凸を設けておけば、個室2内へのマイクロ波の放射角度が広がりやすくなり、デッドスペース対策となる。
なお、前記人体検知センサー1は、第1実施形態の人体検知センサー1に限らず、第2から第4実施形態の人体検知センサーであってもよい。
図11は第5実施形態の変形例を示し、この変形例では、反射部材65を図示しない平行移動機構によって平行移動させて、個室2内へのマイクロ波の偏りを時間的に平均化させている。勿論、前記回転運動機構と平行移動機構とを組み合わせた移動機構を用いてもよい。
本発明および実施形態を纏めると、次のようになる。
本発明の物体検知センサー1は、
空間の周囲を壁面で囲ってなる部屋2内に周波数変調した連続波のマイクロ波信号である送信波を送信する送信手段13と、
前記送信波に基づく部屋2内からの反射波である受信波を受信する受信手段16と、
前記送信波と受信波のビート信号を生成するビート信号生成手段12,15と、
前記ビート信号の周波数スペクトルを生成する周波数スペクトル生成手段17,18と、
前記周波数スペクトルにおける所定の周波数範囲のスペクトル分布に基づいて部屋2内の物体10を検知する物体検知手段21,221,321,421と
を備え、
前記周波数スペクトルは、その周波数スペクトルの周波数と送信波が送信されてから受信波として受信されるまでの行路長とが対応関係を有するものであって、
前記物体検知手段21,221,321,421は、前記部屋2の最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数を含む周波数範囲のスペクトル分布に基づいて、前記部屋2内の物体10を検知することを特徴としている。
本発明は、部屋2内の壁面からのマイクロ波の多重反射を利用して部屋2内の物体10を検知する物体検知センサー1である。ここでいう物体10とは、具体的には人体10のような生体を主に想定している。
一般的なFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダーにおいて、ビート波を高速フーリエ変換したスペクトル分布をとると、その周波数が、送信波が送信されてから受信波として受信されるまでの行路長に対応した距離スペクトルを取得することができる。一般的なFMCWレーダーは、金属などのマイクロ波を反射するような物体を想定しており、距離スペクトルにおける物体の距離に対応した周波数のところの信号強度が増大することにより物体を検知することができる。
しかしながら、本発明が想定している環境は部屋内の壁面からのマイクロ波の多重反射の影響を強く受ける個室内などの環境であり、かつ、測定対象物が例えば人体のように、マイクロ波を反射せずに、吸収する物体であることから、一般的なFMCWレーダーでは、物体の距離に対応した周波数のところの信号強度の増大を検知することができない。
本発明のポイントは、このような環境において、部屋内の壁面からのマイクロ波の多重反射を積極的に利用することにより、物体を検知することにある。
部屋内にマイクロ波を吸収する物体が存在する場合、物体によりマイクロ波が吸収・遮蔽されることにより、壁面からの多重反射の強度に減衰が見られる。
前記多重反射は部屋の大きさよりも長い行路を経るため、部屋の大きさの最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数となる。
本発明はこの領域のスペクトル強度に減少が見られた場合に部屋内に測定対象の物体が存在すると判定する。(通常のFMCWレーダーレーダーではこの領域のスペクトルはノイズとして利用しない。)
本発明の多重反射を活用するメリットの1つは、部屋内に隈なくマイクロ波を当てて、部屋内のどの位置に物体が存在しても検知できる点である。すなわち、物体がどの位置に存在しても、部屋内で複雑に多重反射したマイクロ波が当たるため、これを検知することができる。よって、マイクロ波発生源に指向性がある場合であっても、部屋内を死角なく検知できる。
本発明は部屋2の大きさの最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数を含む周波数量領域のスペクトル分布に基づいて部屋内の物体を検知するものである。
多重反射により受信波は全部混ざって受信される。その結果、部屋2の大きさの最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数のうちで、どの周波数の位置にスペクトル強度の減少が発生するかは、部屋2の大きさ、形状、物体の位置、状態(人が立っているか、座っているか)などにより大きく変化する。これを利用すると物体の位置や状態を検知することができる。
本発明では、前記部屋2内で複雑に多重反射したマイクロ波を検出し、前記部屋の最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数を含む周波数範囲のスペクトル分布に基づいて、前記部屋2内の物体10を検知するので、部屋2内に死角なく、正確に物体10の位置や状態を検知できる。
1実施形態では、
前記物体検知手段321は、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中のすくなくとも一部の周波数成分の強度和を算出し、その強度和が所定の値よりも小さい場合に部屋内に物体が存在すると判定する。
上記実施形態によれば、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中のすくなくとも一部の周波数成分の強度和に基づいて、物体の有無を判定するので、正確に物体の有無を判定できる。
上記一部の周波数成分として、例えば、無人状態での周波数スペクトルの最大ピークを呈するときの周波数成分とすれば、物体の有無を正確に判定することができる。
1実施形態では、
前記物体検知手段221は、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中の全ての周波数成分の強度和を算出し、その強度和が所定の値よりも小さい場合に部屋内に物体が存在すると判定する。
上記実施形態によれば、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中の全ての周波数成分の強度和に基づいて、物体の有無を判定するので、もれなく物体の有無を判定することができる。
1実施形態は、
特定状態におけるビート信号の周波数スペクトル分布を記録する周波数スペクトル分布記憶手段45を備え、
前記物体検知手段421は生成したビート信号の周波数スペクトルと特定状態におけるビート信号の周波数スペクトル分布との比較に基づいて部屋内の物体を検知する。
ここで、特定状態とは、部屋2内における物体の状態が分かっている状態のことである。これには部屋内に物体が存在しない状態も含まれる。例えば、物体が存在しない状態でのビート信号の周波数スペクトル分布を記憶しておき、この周波数スペクトル分布と、生成したビート信号の周波数スペクトルとが一致する場合は物体が存在しないと判定し、一致しない場合は物体が存在すると判定する。
1実施形態では、
前記周波数スペクトル分布記憶手段45は、複数の特定状態における、部屋内における物体の位置または状態と周波数スペクトル分布との関係を記憶し、
前記物体検知手段421は生成したビート信号の周波数スペクトルと特定状態における周波数スペクトル分布との比較に基づいて部屋2内における物体10の位置または状態を判定する。
この実施形態では、前記周波数スペクトル分布記憶手段45は、複数の特定状態における、部屋内の物体の位置または状態とビート信号の周波数スペクトル分布との対応関係を記憶しており、前記物体検知手段421は、生成したビート信号の周波数スペクトルと、前記記憶している周波数スペクトル分布との比較により部屋2内の物体10の位置または状態を判定するので、部屋内の物体の位置または状態を正確に特定することができる。
1実施形態では、
前記送信手段13は、前記送信波を部屋2の床面に沿って水平方向に送信する。
この実施形態によれば、部屋2内に人が倒れている場合など、床面付近の物体をより高感度に検知することができる。
1実施形態では、前記物体検知センサー1は人体検知センサー1である。
この実施形態によれば、人体10の位置または状態を正確に検知することができる。
本発明の部屋内物体検知システムは、
内部に検知されるべき物体10を入れることが可能な部屋2と、
上述の物体検知センサー1と
を備え、
前記部屋2の壁面には、前記送信波を反射する金属からなる反射部材5を設けていることを特徴としている。
本発明によれば、前記部屋2の壁面に、前記送信波を反射する金属からなる反射部材を有するから、送信波の多重反射をより有効に利用できる。
前記反射部材5は厚い金属板のほかに、アルミ箔のように薄いものでもよい。また、反射部材5は必ずしも室内に露出している必要はなく、薄い壁紙の裏面に配置するようなものでもよい。
第1〜第5実施形態および変形例で述べた構成要素は、適宜、組み合わせてもよく、また、適宜、選択、置換、あるいは、削除してもよいのは、勿論である。
本発明はトイレ、脱衣所等の個室内での人体を検知するセンサーおよびセンサーシステムとして好適に利用できる。
1 物体検知センサー
2 部屋
5,65 反射部材
12 結合器
13 送信手段
15 ミキサ
16 受信手段
17 AD変換器
18 周波数分析部
21,221,321,421 物体検知部
45 周波数スペクトル分布記憶手段

Claims (8)

  1. 空間の周囲を壁面で囲ってなる部屋内に周波数変調した連続波のマイクロ波信号である送信波を送信する送信手段と、
    前記送信波に基づく部屋内からの反射波である受信波を受信する受信手段と、
    前記送信波と受信波のビート信号を生成するビート信号生成手段と、
    前記ビート信号の周波数スペクトルを生成する周波数スペクトル生成手段と、
    前記周波数スペクトルにおける所定の周波数範囲のスペクトル分布に基づいて部屋内の物体を検知する物体検知手段と
    を備え、
    前記周波数スペクトルは、その周波数スペクトルの周波数と、送信波が送信されてから受信波として受信されるまでの行路長とが対応関係を有するものであって、
    前記物体検知手段は、前記部屋の最大幅の2倍よりも大きい行路長に対応する周波数を含む周波数範囲のスペクトル分布に基づいて、前記部屋内の物体を検知することを特徴とする物体検知センサー。
  2. 請求項1に記載の物体検知センサーにおいて、
    前記物体検知手段は、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中のすくなくとも一部の周波数成分の強度和を算出し、その強度和が所定の値よりも小さい場合に部屋内に物体が存在すると判定することを特徴とする物体検知センサー。
  3. 請求項2に記載の物体検知センサーにおいて、
    前記物体検知手段は、生成したビート信号の周波数スペクトルにおける全周波数成分中の全ての周波数成分の強度和を算出し、その強度和が所定の値よりも小さい場合に部屋内に物体が存在すると判定することを特徴とする物体検知センサー。
  4. 請求項1に記載の物体検知センサーにおいて、
    特定状態におけるビート信号の周波数スペクトル分布を記録する周波数スペクトル分布記憶手段を備え、
    前記物体検知手段は生成したビート信号の周波数スペクトルと特定状態におけるビート信号の周波数スペクトル分布との比較に基づいて部屋内の物体を検知することを特徴とする物体検知センサー。
  5. 請求項4に記載の物体検知センサーにおいて、
    前記周波数スペクトル分布記憶手段は、複数の特定状態における、部屋内における物体の位置または状態と周波数スペクトル分布との関係を記憶し、
    前記物体検知手段は生成したビート信号の周波数スペクトルと特定状態における周波数スペクトル分布との比較に基づいて部屋内における物体の位置または状態を判定することを特徴とする物体検知センサー。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の物体検知センサーにおいて、
    前記送信手段は、前記送信波を部屋の床面に沿って水平方向に送信することを特徴とする物体検知センサー。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の物体検知センサーである人体検知センサー。
  8. 内部に検知されるべき物体を入れることが可能な部屋と、
    請求項1か5のいずれか1つに記載の物体検知センサーと
    を備え、
    前記部屋の壁面には、前記送信波を反射する金属からなる反射部材を設けていることを特徴とする部屋内物体検知システム。
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