JP2016138635A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源の運転音に対し電動機の作動音が目立たずに変速可能な車両用動力伝達装置を提供すること。【解決手段】車両用動力伝達装置は、駆動源の回転軸に接続された入力軸の軸線からの偏心量が可変である偏心機構を有する無段変速機と、偏心機構を駆動して偏心量を変更するアクチュエータと、アクチュエータを駆動する電動機と、偏心量を変更するよう電動機を制御する制御装置と備える。制御装置は、偏心量が目標値に到達するまでの電動機の所要回転回数を導出する所要回転回数導出部と、偏心量が目標値に到達するまでの所要時間を決定する所要時間決定部と、所要回転回数を所要時間で除算して得られる、電動機の基準回転速度を算出する基準回転速度算出部と、駆動源の回転速度の値と協和音程の関係を有する値の内、基準回転速度に近い値を電動機の駆動回転速度に設定する駆動回転速度設定部と、駆動回転速度で電動機が作動するよう制御する電動機駆動制御部とを有する。【選択図】図9

Description

本発明は、クランク式の無段変速機の変速制御を行う車両用動力伝達装置に関する。
特許文献1には、車両用駆動源としてのエンジンに接続された入力軸の回転をコネクティングロッドの往復運動に変換し、コネクティングロッドの往復運動をワンウェイクラッチによって出力軸の回転運動に変換する複数のクランク式の変速ユニットを備えた無段変速機及び当該無段変速機の制御装置が開示されている。
特許文献1に開示された無段変速機の各変速ユニットは、入力軸に偏心して設けられた固定ディスクと、この固定ディスクに偏心して回転自在に設けられた揺動ディスクとから構成される。また、揺動リンクと出力軸との間には、一方向クラッチが設けられている。一方向クラッチは、揺動リンクが出力軸に対して一方側に相対回転しようとするときに、出力軸に揺動リンクを固定し、他方側に相対回転しようとするときに、出力軸に対して揺動リンクを空転させる。
入力軸には、ピニオンシャフトが挿入されるとともに、固定ディスクの偏心方向に対向する個所に切欠孔が形成され、この切欠孔からピニオンシャフトが露出している。揺動ディスクには入力軸及び固定ディスクを受け入れる受入孔が設けられている。この受入孔を形成する揺動ディスクの内周面には内歯が形成されている。内歯は、入力軸の切欠孔から露出するピニオンシャフトと噛合する。入力軸とピニオンシャフトとを同一速度で回転させると、変速ユニットにおける偏心機構の偏心量が維持される。入力軸とピニオンシャフトの回転速度を異ならせると、変速ユニットにおける偏心機構の偏心量が変更されて、変速比が変化する。
入力軸を回転させることにより変速ユニットの偏心機構を回転させると、コネクティングロッドの大径環状部が回転運動して、コネクティングロッドの他方の端部と連結される揺動リンクの揺動端部が揺動する。揺動リンクは、一方向クラッチを介して出力軸に設けられているため、一方側に回転するときのみ出力軸に回転駆動力(トルク)を伝達する。
特開2012−251608号公報 特許第5018026号公報
上記説明した特許文献1に記載の無段変速機では、ピニオンシャフトを回転駆動するための電動機の回転軸の位相に応じて、変速ユニットにおける偏心機構の偏心量が変更される。このため、少なくとも変速比を変更する際には、電動機が駆動される。このとき、電動機は、無段変速機の入力軸に接続されたエンジンの回転速度とは無関係に駆動される。そのため、任意の回転速度で作動するエンジンの運転音の周波数と電動機の作動音の周波数とが不協和音程の関係であるときは特に、エンジンの運転音の音圧レベルに対して電動機の作動音の音圧レベルが大きくない場合であっても、電動機の作動音が目立ってしまう。
電動機の作動音の防音対策としては、電動機のケースの剛性を上げたり、電動機の周辺に音響緩衝材を設ける等といった手法が考えられるが、これらの手法は重量が増加してしまうため望ましくない。
なお、特許文献2には、内燃機関と、電動機と、内燃機関から出力されるトルクの変動により起こるこもり音を検出するこもり音検出手段と、内燃機関から出力されるトルクの変動とは逆位相のトルクの変動が電動機から出力されるよう該電動機を制御するこもり音低減手段とを備え、こもり音の低減と燃費効率の向上を両立し得る車両用駆動装置の制御装置が記載されている。しかし、特許文献2の装置は、内燃機関から出力されるトルクの変動により起こるこもり音の低減を目的としているため、上記説明したエンジンの運転音に対し電動機の作動音が目立ってしまうといった問題を解決するものではない。
本発明の目的は、駆動源の運転音に対し電動機の作動音が目立たずに変速可能な車両用動力伝達装置を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
駆動源(例えば、後述の実施形態での内燃機関E)の回転軸に接続された入力軸(例えば、後述の実施形態での入力軸11)の軸線からの偏心量が可変である偏心機構を有し前記入力軸と前記偏心機構とが共に回転する入力側支点(例えば、後述の実施形態での偏心ディスク18)と、出力軸(例えば、後述の実施形態での出力軸12)に接続されたワンウェイクラッチ(例えば、後述の実施形態でのワンウェイクラッチ21)と、前記ワンウェイクラッチの入力部材(例えば、後述の実施形態でのアウター部材22)に設けられた出力側支点(例えば、後述の実施形態でのピン19c)と、前記入力側支点及び前記出力側支点に両端が接続されて、前記偏心機構の前記偏心量に応じて往復運動するコネクティングロッド(例えば、後述の実施形態でのコネクティングロッド19)と、を備え、前記入力軸の回転を変速して前記出力軸に伝達する無段変速機(例えば、後述の実施形態での無段変速機T)と、
前記偏心機構の前記偏心量を変更するアクチュエータ(例えば、後述の実施形態でのアクチュエータ14)と、
前記アクチュエータを駆動する電動機(例えば、後述の実施形態での電動機M)と、
前記アクチュエータが前記偏心量を変更することで前記無段変速機の変速比が目標変速比となるように前記電動機を制御する制御装置(例えば、後述の実施形態でのマネジメントECU33)と、を備えた、車両用動力伝達装置であって、
前記制御装置は、
前記偏心量が目標値に到達するまでの前記電動機の所要回転回数(例えば、後述の実施形態での所要回転回数rev)を導出する所要回転回数導出部(例えば、後述の実施形態での所要回転回数導出部71)と、
前記偏心量が前記目標値に到達するまでの所要時間(例えば、後述の実施形態での所要時間t_tar)を決定する所要時間決定部(例えば、後述の実施形態での所要時間決定部73)と、
前記所要回転回数を前記所要時間で除算して得られる、前記電動機の基準回転速度(例えば、後述の実施形態での基準回転速度Nm_ref)を算出する基準回転速度算出部(例えば、後述の実施形態での基準回転速度算出部75)と、
前記駆動源の回転速度の値と協和音程の関係を有する値の内、前記基準回転速度に近い値を前記電動機の駆動回転速度(例えば、後述の実施形態での駆動回転速度Nm_cmd)に設定する駆動回転速度設定部(例えば、後述の実施形態での駆動回転速度設定部77)と、
前記駆動回転速度で前記電動機が作動するよう前記電動機を制御する電動機駆動制御部(例えば、後述の実施形態での電動機駆動制御部81)と、
を有する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記駆動回転速度設定部が前記駆動回転速度に設定する前記基準回転速度に近い値は、前記基準回転速度よりも大きな値である。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記駆動回転速度設定部は、前記駆動源の回転速度の値と協和音程の関係を有する値の内、前記基準回転速度に最も近い値を第1駆動回転速度(例えば、後述の実施形態での駆動回転速度Nm_cmd12,Nm_cmd21)に設定し、前記第1駆動回転速度の次に前記基準回転速度に近い値を第2駆動回転速度(例えば、後述の実施形態での駆動回転速度Nm_cmd11,Nm_cmd22)に設定し、
前記電動機駆動制御部は、前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度のいずれか一方で作動し、続いて、もう一方の回転速度で作動するよう前記電動機を制御する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記電動機の作動開始時に制御される回転速度の値は、前記基準回転速度よりも大きな値である。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明において、
前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度のいずれか一方で前記電動機を駆動する第1駆動時間(例えば、後述の実施形態での時間t_cmd11,t_cmd21)と、もう一方の回転速度で前記電動機を駆動する第2駆動時間(例えば、後述の実施形態での時間t_cmd12,t_cmd22)と、を設定する駆動時間設定部(例えば、後述の実施形態での駆動時間設定部79)を備え、
前記電動機駆動制御部は、前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度のいずれか一方で前記第1駆動時間作動し、もう一方の回転速度で前記第2駆動時間作動するよう前記電動機を制御し、
前記第1駆動時間と前記第2駆動時間の和は前記所要時間に等しい。
請求項6に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、
前記駆動回転速度設定部が設定する前記駆動回転速度は、前記駆動源の回転速度の値と絶対協和音程の関係を有する値である。
請求項7に記載の発明では、請求項3から5のいずれか1項に記載の発明において、
前記駆動回転速度設定部が設定する前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度は、前記駆動源の回転速度の値と絶対協和音程の関係を有する値である。
請求項1の発明によれば、無段変速機の変速比を変更する際に駆動される電動機は、その作動音と駆動源の運転音との関係が協和音程の関係になるよう作動されるため、駆動源の運転音に対し電動機の作動音が目立たずに変速できる。
請求項2の発明によれば、所要時間の経過前に偏心量が目標値に到達するが、電動機の作動音は駆動源の運転音に調和して目立たない。
請求項3の発明によれば、偏心量は基準回転速度で電動機を作動した場合に近い変化率で変化していくため、従前の変速制御に大きな影響を与えずに、高い制御性を維持することができる。
請求項4の発明によれば、電動機の作動開始時には高い駆動回転速度で作動するよう制御され、作動終了前の駆動回転速度は低く制御されるため、偏心量は目標値に到達する直前ではなだらかに変化していく。その結果、変速時のショック等が軽減され、ドライバの運転フィーリングが向上する。
請求項5の発明によれば、偏心量は基準回転速度で電動機を作動した場合と同じ時間で変化していくため、従前の変速制御に大きな影響を与えずに、ドライバの運転フィーリングを向上できる。
請求項6,7の発明によれば、電動機の作動音と駆動源の運転音との関係が絶対協和音程の関係となるよう電動機が作動されるため、電動機の作動音は内燃機関の運転音により調和して目立たない。
第1の実施形態の車両用動力伝達装置の構成を示すブロック図である。 図1に示した無段変速機の詳細を説明する図である。 無段変速機の変速比がOD状態であるときの図2のIII−III線断面図である。 無段変速機の変速比がGN状態であるときの図2のIII−III線断面図である。 変速比がOD状態であるときの無段変速機の作用を説明する図である。 変速比がGN状態であるときの無段変速機の作用を説明する図である。 マネジメントECUの内部構成を示すブロック図である。 無段変速機が無負荷状態であるときの変速比と偏心量の関係の一例を示すグラフである。 変速制御部の内部構成を示すブロック図である。 2音が同時に響いた場合の音程の協和の程度に応じた分類を示す図である。 内燃機関の回転速度に対して協和音程の関係を有する電動機の回転速度の各比率を羅列した図である。 図11よりも広い音域の内燃機関の回転速度に対して協和音程の関係を有する電動機の回転速度の各比率を羅列した図である。 実施例1による変速制御部の動作を示すフローチャートである。 内燃機関の回転速度と絶対協和音程の関係を有する実施例1における電動機の駆動回転速度の候補に対する基準回転速度の関係を示す図である。 基準回転速度で電動機を所要時間作動した場合と、実施例1に従って駆動回転速度で電動機を作動する場合の偏心量の経時変化を示す図である。 実施例2による変速制御部の動作を示すフローチャートである。 内燃機関の回転速度と絶対協和音程の関係を有する実施例2における電動機の駆動回転速度の候補に対する基準回転速度の関係を示す図である。 基準回転速度で電動機を所要時間作動した場合と、実施例2に従って第1駆動回転速度で電動機を作動し、続いて、第2駆動回転速度で電動機を作動する場合の偏心量の経時変化を示す図である。 実施例3による変速制御部の動作を示すフローチャートである。 内燃機関の回転速度と協和音程の関係を有する実施例3における電動機の駆動回転速度の候補に対する基準回転速度の関係を示す図である。 基準回転速度で電動機を所要時間作動した場合と、実施例3に従って第1駆動回転速度で電動機を作動し、続いて、第2駆動回転速度で電動機を作動する場合の偏心量の経時変化を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(車両用動力伝達装置)
図1は、車両用動力伝達装置を含む車両の内部構成を示すブロック図である。図1中の点線の矢印は値データを示し、実線の矢印は指示内容を含む制御信号を示す。図1に示す車両の車両用動力伝達装置は、内燃機関Eの駆動力を左右の車軸10を介して駆動輪Wに伝達する。車両用動力伝達装置は、無段変速機Tと、アクチュエータ14と、電動機Mと、ディファレンシャルギヤDと、マネジメントECU33と、車速センサ35と、出力軸回転数センサ36と、入力軸回転角センサ37と、電動機回転角センサ38とを備える。
無段変速機Tは、内燃機関Eの回転軸に接続された入力軸11の回転を変速して出力軸12に伝達する。アクチュエータ14は、無段変速機Tの偏心機構を回転駆動して、無段変速機Tの変速比(レシオ)を変更する。電動機Mは、アクチュエータ14が所望の動作角度となるよう、マネジメントECU33から指示された回転速度で所定の時間動作する。ディファレンシャルギヤDは、左右の駆動輪W,Wの回転差を吸収する。
マネジメントECU33は、内燃機関E及び電動機M等の制御を行う。マネジメントECU33が電動機Mの作動を制御することで、アクチュエータ14によって無段変速機Tの偏心機構が回転駆動され、無段変速機Tの変速比が制御される。マネジメントECU33による電動機Mの制御についての詳細は後述するが、内燃機関Eの運転音に対して電動機Mの作動音が目立たないように行われる。
車速センサ35は、車両の走行速度(車速)VPを検出する。車速センサ35によって検出された車速VPを示す信号は、マネジメントECU33に送られる。
出力軸回転数センサ36は、無段変速機Tの出力軸12の単位時間当たりの回転数Nvoutを検出する。出力軸回転数センサ36によって検出された出力軸12の回転数Nvoutを示す信号は、マネジメントECU33に送られる。
入力軸回転角センサ37は、無段変速機Tの入力軸11の回転駆動によって所定の回転角の変位毎にパルスP1を生成することで入力軸11の回転角を検知する回転角センサである。入力軸回転角センサ37は、入力軸11が一回転する毎にKi(入力軸回転基準パルス数)個のパルスP1を発生する。入力軸回転角センサ37が発生したパルスP1はマネジメントECU33に送られる。
電動機回転角センサ38は、アクチュエータ14の回転駆動によって所定の回転角の変位毎にパルスP2を生成することで回転角を検知する回転角センサである。電動機回転角センサ38は、アクチュエータ14が一回転する毎にKm(電動機回転基準パルス数)個のパルスP2を発生する。電動機回転角センサ38が発生したパルスP2はマネジメントECU33に送られる。
(無段変速機)
次に、図2〜図6に基づいて無段変速機Tの構造を説明する。
図2及び図3に示すように、本実施の形態の無段変速機Tは、同一構造を有する複数個(実施の形態では4個)の変速ユニットUを軸方向に重ね合わせたものである。変速ユニットUは、平行に配置された共通の入力軸11及び共通の出力軸12を備え、入力軸11の回転が減速又は増速されて出力軸12に伝達される。
以下、代表として一つの変速ユニットUの構造を説明する。内燃機関Eに接続されて回転する入力軸11は、アクチュエータ14の中空の回転軸14aの内部を相対回転自在に貫通する。アクチュエータ14の回転軸14aには電動機Mのロータ14bが固定されており、電動機Mのステータ14cはケーシングに固定される。アクチュエータ14の回転軸14aは、入力軸11と同速度で回転可能であり、かつ入力軸11に対して異なる速度で相対回転可能である。
アクチュエータ14の回転軸14aを貫通した入力軸11には第1ピニオン15が固定されており、この第1ピニオン15を跨ぐようにアクチュエータ14の回転軸14aにクランク状のキャリヤ16が接続される。第1ピニオン15と同径の2個の第2ピニオン17,17が、第1ピニオン15と協働して正三角形を構成する位置にそれぞれピニオンピン16a,16aを介して支持されており、これら第1ピニオン15及び第2ピニオン17,17に、円板形の偏心ディスク18の内部に偏心して形成されたリングギヤ18aが噛合する。偏心ディスク18の外周面に、コネクティングロッド19のロッド部19aの一端に設けたリング部19bがボールベアリング20を介して相対回転自在に嵌合する。
出力軸12の外周に設けられたワンウェイクラッチ21は、コネクティングロッド19のロッド部19aにピン19cを介して枢支されたリング状のアウター部材22と、アウター部材22の内部に配置されて出力軸12に固定されたインナー部材23と、アウター部材22の内周の円弧面とインナー部材23の外周の平面との間に形成された楔状の空間に配置されてスプリング24で付勢されたローラ25とを備える。
図2から明らかなように、4個の変速ユニットUはクランク状のキャリヤ16を共有しているが、キャリヤ16に第2ピニオン17,17を介して支持される偏心ディスク18の位相は各々の変速ユニットUで90°ずつ異なっている。例えば、図2において、左端の変速ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中上方に変位し、左から3番目の変速ユニットUの偏心ディスク18は入力軸11に対して図中下方に変位し、左から2番目及び4番目の変速ユニットU,Uの偏心ディスク18,18は上下方向中間に位置している。
次に、無段変速機Tの作用を説明する。
先ず、無段変速機Tの一つの変速ユニットUの作用を説明する。アクチュエータ14の回転軸14aを入力軸11に対して相対回転させると、入力軸11の軸線L1まわりにキャリヤ16が回転する。このとき、キャリヤ16の中心O、つまり第1ピニオン15及び2個の第2ピニオン17,17が成す正三角形の中心は入力軸11の軸線L1まわりに回転する。
図3及び図5は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と反対側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量r1(入力軸11の軸線L1から偏心ディスク18の回転中心までの距離)が最大になって変速比が最小となり、無段変速機がOD(オーバードライブ)状態になる。図4及び図6は、キャリヤ16の中心Oが第1ピニオン15(つまり入力軸11)に対して出力軸12と同じ側にある状態を示しており、このとき入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量r1がゼロになって変速比が無限大となり、無段変速機TはGN(ギヤドニュートラル)状態になる。
図5に示すOD状態で、内燃機関Eで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度でアクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17及び偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5に示す(A)の状態から(B)の状態を経て(C)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を反時計方向(矢印B参照)に回転させる。図5の(A)及び(C)は、アウター部材22の前記矢印B方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B方向に回転すると、ワンウェイクラッチ21のアウター部材22及びインナー部材23間の楔状の空間にローラ25が噛み込んで係合し、アウター部材22の回転がインナー部材23を介して出力軸12に伝達されるため、出力軸12は反時計方向(矢印C参照)に回転する。
入力軸11及び第1ピニオン15が更に回転すると、第1ピニオン15及び第2ピニオン17,17にリングギヤ18aを噛合させた偏心ディスク18が反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。図5に示す(C)の状態から(D)の状態を経て(A)の状態へと回転する間に、偏心ディスク18の外周にリング部19bをボールベアリング20を介して相対回転自在に支持されたコネクティングロッド19は、そのロッド部19aの先端にピン19cで枢支されたアウター部材22を時計方向(矢印B′参照)に回転させる。図5の(C)及び(A)は、アウター部材22の前記矢印B′方向の回転の両端を示している。
このようにしてアウター部材22が矢印B′方向に回転すると、アウター部材22とインナー部材23との間の楔状の空間からローラ25がスプリング24を圧縮しながら押し出されることで、アウター部材22がインナー部材23に対してスリップして出力軸12は回転しない。
以上のように、アウター部材22が往復回転したとき、アウター部材22の回転方向が反時計方向(矢印B参照)のときだけ出力軸12が反時計方向(矢印C参照)に回転するため、出力軸12は間欠回転することになる。
図6は、GN状態で無段変速機Tを運転するときの作用を示すものである。このとき、入力軸11の位置は偏心ディスク18の中心に一致しているので、入力軸11に対する偏心ディスク18の偏心量r1はゼロになる。この状態で内燃機関Eで入力軸11を回転させるとともに、入力軸11と同速度でアクチュエータ14の回転軸14aを回転させると、入力軸11、回転軸14a、キャリヤ16、第1ピニオン15、2個の第2ピニオン17,17及び偏心ディスク18が一体になった状態で、入力軸11を中心に反時計方向(矢印A参照)に偏心回転する。しかしながら、偏心ディスク18の偏心量r1がゼロであるため、コネクティングロッド19の往復運動のストロークもゼロになり、出力軸12は回転しない。
従って、アクチュエータ14を駆動してキャリヤ16の位置を図3のOD状態と図4のGN状態との間に設定すれば、ゼロと無限大との間の任意の変速比での運転が可能になる。
無段変速機Tは、並置された4個の変速ユニットUの偏心ディスク18の位相が相互に90°ずつずれているため、4個の変速ユニットUが交互に駆動力を伝達することで、つまり4個のワンウェイクラッチ21の何れかが必ず係合状態にあることで、出力軸12を連続回転させることができる。
(マネジメントECU)
次に、無段変速機Tの変速比の制御を行うマネジメントECU33の構成について詳細に説明する。図7は、マネジメントECU33の内部構成を示すブロック図である。図7に示すように、マネジメントECU33は、入力回転数算出部51と、偏心量現在値導出部53と、偏心量目標値導出部55と、変速制御部57とを有する。
入力回転数算出部51は、入力軸回転角センサ37から得られた無段変速機Tの入力軸11の回転角を示すパルスP1に基づいて、単位時間当たりの入力軸11の回転数Niを算出する。無段変速機Tの入力軸11は内燃機関Eの回転軸に接続されているため、入力軸11の回転数Niは内燃機関Eの回転速度Neに等しい。
偏心量現在値導出部53は、内燃機関Eの始動時以降に入力軸回転角センサ37から出力されたパルスP1の累積値である累積入力軸パルスPiに基づいて算出される累積入力軸回転回数Mi(=Pi/Ki)と、内燃機関Eの始動時以降に電動機回転角センサ38から出力されたパルスP2の累積値である累積電動機パルスPmに基づいて算出される累積電動機回転回数Mm(=Pm/Km)とから、偏心量推定関数h(Mi,Mm)を用いて、無段変速機Tの偏心量現在値r1_actを算出する。
偏心量推定関数h(Mi,Mm)では、累積入力軸回転回数Miと累積電動機回転回数Mmから累積ピニオンシャフト回転回数Mpを決定する。累積ピニオンシャフト回転回数Mpは、内燃機関Eの始動時以降の第1ピニオン15の回転回数である。さらに、累積ピニオンシャフト回転回数Mpから角度θpが求められる。角度θpは、入力軸11及び第1ピニオン15が共に回転している場合において、これらの相対回転の差によって表される角度であって、累積入力軸回転回数Miと累積電動機回転回数Mmとの差、及び第1ピニオン15から見た偏心ディスク18の内部に形成されたリングギヤ18aの歯車比zから一意に決定される。偏心量推定関数h(Mi,Mm)では、最後に、角度θpと、リングギヤ18aの歯車比zと、第1ピニオン15の半径Haと、偏心ディスク18のリングギヤ18aの半径Hbとから、下記式に基づいて、偏心量現在値r1_actを算出する。
Figure 2016138635
なお、偏心量現在値導出部53は、内燃機関Eの回転数がゼロではないとき、入力回転数算出部51が算出した無段変速機Tの入力軸11の回転数Niを、出力軸回転数センサ36が検出した無段変速機Tの出力軸12の回転数Nvoutで除算した値である変速比から、図8に示すグラフに基づくマップ又は計算式を用いて、無段変速機Tの偏心量現在値r1_actを導出しても良い。
偏心量目標値導出部55は、車両のドライバのアクセルペダル操作に応じたアクセルペダル開度(AP開度)及び車速VPに基づく要求駆動力を算出した上で、要求駆動力及び内燃機関Eの回転速度Ne等に応じた変速比に対応する無段変速機Tの偏心量目標値r1_cmdをマップ又は計算式から導出する。
変速制御部57は、偏心量現在値導出部53が導出した偏心量現在値r1_act及び偏心量目標値導出部55が導出した偏心量目標値r1_cmd等に基づいて、アクチュエータ14が無段変速機Tの変速比を変更すべく、電動機Mの作動制御を行う。図9は、変速制御部57の内部構成を示すブロック図である。図9に示すように、変速制御部57は、所要回転回数導出部71と、所要時間決定部73と、基準回転速度算出部75と、駆動回転速度設定部77と、駆動時間設定部79と、電動機駆動制御部81とを有する。
所要回転回数導出部71は、無段変速機Tの偏心機構における偏心量r1が偏心量現在値r1_actから偏心量目標値r1_cmdに遷移するまでの電動機Mの所要回転回数revを導出する。所要時間決定部73は、AP開度、車両の走行状態、及び無段変速機Tの仕様等に基づいて、偏心量r1が偏心量現在値r1_actから偏心量目標値r1_cmdに遷移するまでの適した所要時間t_tarを決定する。基準回転速度算出部75は、所要回転回数導出部71が導出した電動機Mの所要回転回数revを所要時間決定部73が決定した所要時間t_tarで除算した値(=rev/t_tar)を、電動機Mの基準回転速度Nm_refとして算出する。
駆動回転速度設定部77は、内燃機関Eの回転速度Neの整数倍又は内燃機関Eの回転速度Neと整数比の関係を有する値を複数選出し、選出値の内、基準回転速度算出部75が算出した基準回転速度Nm_refに近い値を、実際に電動機Mを駆動する回転速度(以下「駆動回転速度」という。)Nm_cmdに設定する。駆動時間設定部79は、駆動回転速度設定部77が設定した駆動回転速度Nm_cmdで電動機Mを駆動する時間t_cmdを設定する。電動機駆動制御部81は、電動機Mが時間t_cmdの間、駆動回転速度Nm_cmdで作動するよう電動機Mを制御する。
(電動機の駆動回転速度Nm_cmdと内燃機関の回転速度Neとの関係)
以下、駆動回転速度設定部77が設定する電動機Mの駆動回転速度Nm_cmdと内燃機関Eの回転速度Neとの関係について、図10を参照して詳細に説明する。図10は、2音が同時に響いた場合の音程の協和の程度に応じた分類を示す図である。図10に示すように、2音が同時に響いた場合の音程は、各音の周波数(振動数)の比によって協和音程と不協和音程とに分けられ、協和音程はさらに完全協和音程と不完全協和音程とに分けられる。駆動回転速度設定部77は、電動機Mの駆動回転速度Nm_cmdと内燃機関Eの回転速度Neとの関係が協和音程の周波数の比の関係になる駆動回転速度Nm_cmdの候補を複数選出した後に、当該複数の候補の中から少なくとも1つを、実際に電動機Mを駆動する回転速度(以下「駆動回転速度」という。)Nm_cmdに設定する。
駆動回転速度Nm_cmdの候補について、図11及び図12を参照して詳細に説明する。図11は、内燃機関Eの回転速度Neに対して協和音程の関係を有する電動機Mの回転速度Nmの各比率を羅列した図である。図11に示すように、協和音程の関係を有する内燃機関Eの回転速度Neに対する電動機Mの回転速度Nmの比(Nm/Ne)は、1/2, 3/5, 5/8, 2/3, 3/4, 4/5, 5/6, 1/1, 6/5, 5/4, 4/3, 3/2, 8/5, 5/3, 2/1の数列で表すことができる。これらは、協和音程又は不完全協和音程の比で構成された数列である。図11に示した図は、2オクターブの範囲を離散的に網羅するが、2オクターブよりも高い領域は、「2/1」に数列「1/1, 6/5, 5/4, 4/3, 3/2, 8/5, 5/3, 2/1」を積算することで得られる。同様に、2オクターブよりも低い領域は、「1/2」に数列「1/2, 3/5, 5/8, 2/3, 3/4, 4/5, 5/6, 1/1」を積算することで得られる。図12は、図11よりも広い音域の内燃機関Eの回転速度Neに対して協和音程の関係を有する電動機Mの回転速度Nmの各比率を羅列した図である。このように、協和音程の関係を有する整数倍又は整数比の単調増加数列は、オクターブを超えた領域でも無限の範囲で離散的に拡がる。
なお、図10に示す周波数比1:2は楽理上のオクターブ音程(完全8度音程)だが、1:3は1:2と2:3の積、すなわち完全8度と完全5度の足し算であるため、周波数比1:3も協和音程である。また、周波数比1:5は1:2と1:2と4:5の積、すなわち完全8度と完全8度と長3度の足し算であるため、周波数比1:5も協和音程である。このように、周波数比が整数倍の組み合わせの音も協和音程である。
(実施例1)
以下、マネジメントECU33が有する変速制御部57の動作の一例を実施例1として説明する。図13は、実施例1による変速制御部57の動作を示すフローチャートである。図13に示すように、変速制御部57の所要回転回数導出部71は、無段変速機Tの偏心機構における偏心量r1が偏心量現在値r1_actから偏心量目標値r1_cmdに遷移するまでの電動機Mの所要回転回数revを導出する(ステップS101)。次に、所要時間決定部73は、AP開度、車両の走行抵抗、及び無段変速機Tの仕様等に基づいて、偏心量r1が偏心量現在値r1_actから偏心量目標値r1_cmdに遷移するまでの適した所要時間t_tarを決定する(ステップS103)。次に、基準回転速度算出部75は、ステップS101で導出した電動機Mの所要回転回数revをステップS103で決定した所要時間t_tarで除算した値(=rev/t_tar)を、電動機Mの基準回転速度Nm_refとして算出する(ステップS105)。
次に、駆動回転速度設定部77は、内燃機関Eの回転速度Neの整数倍の関係を有する値を選出する(ステップS107)。なお、ステップS107で選出された値と内燃機関Eの回転速度Neとは、図10に示した絶対協和音程の関係を有する。次に、駆動回転速度設定部77は、ステップS107で選出した値の内、図14に示すように、ステップS105で算出された基準回転速度Nm_refよりも大きく、基準回転速度Nm_refに最も近い値を駆動回転速度Nm_cmdに設定する(ステップS109)。次に、電動機駆動制御部81は、駆動回転速度Nm_cmdで電動機Mが作動するよう電動機Mを制御する(ステップS111)。
次に、電動機駆動制御部81は、偏心量現在値r1_actが偏心量目標値r1_cmdに等しくなったかを判断し(ステップS113)、r1_act=r1_cmdとなったときステップS115に進む。ステップS115では、電動機駆動制御部81は、電動機Mの作動を停止する。
実施例1において、内燃機関Eが回転速度Ne=30rps、すなわち1800rpmで運転されている場合に、電動機Mの所要回転回数rev=70、所要時間t_tar=2秒が与えられた際には、ステップS105では、電動機Mの基準回転速度Nm_ref=70/2=35rps、すなわち2100rpmが算出される。内燃機関Eの回転速度Ne=30rpsの整数倍(…1/3, 1/2, 1/1, 2/1, 3/1…)の関係を有する値の内、基準回転速度35rps(2100rpm)の前後の値は30rps(1800rpm)と60rps(3600rpm)であるが、ステップS109では、基準回転速度35rps(2100rpm)よりも大きく、基準回転速度35rps(2100rpm)に最も近い値の60rps(3600rpm)が駆動回転速度Nm_cmdに設定される。
図15に、基準回転速度Nm_ref=35rps(2100rpm)で電動機Mを所要時間t_tar作動した場合と、実施例1に従って駆動回転速度Nm_cmd=60rps(3600rpm)で電動機Mを作動する場合の偏心量r1の経時変化を示す。図15に示すように、実施例1に従って電動機Mを作動した場合には、所要時間t_tarの経過前に偏心量目標値r1_cmdに到達するが、電動機Mの作動音と内燃機関Eの運転音との関係は絶対協和音程の関係である。このため、電動機Mの作動音は、内燃機関Eの運転音に調和して目立たない。
(実施例2)
以下、マネジメントECU33が有する変速制御部57の動作の他の例を実施例2として説明する。図16は、実施例2による変速制御部57の動作を示すフローチャートである。図16に示すように、変速制御部57が図13に示した実施例1のステップS101〜S107を行った後、駆動回転速度設定部77は、ステップS107で選出した値の内、図17に示すように、ステップS105で算出された基準回転速度Nm_refよりも大きく、基準回転速度Nm_refに最も近い値を第1駆動回転速度Nm_cmd11に設定し、第1駆動回転速度Nm_cmd11を除き基準回転速度Nm_refに最も近い値を第2駆動回転速度Nm_cmd12に設定する(ステップS209)。次に、駆動時間設定部79は、ステップS209で設定した第1駆動回転速度Nm_cmd11で電動機Mを駆動する時間t_cmd11を設定し、第2駆動回転速度Nm_cmd12で電動機Mを駆動する時間t_cmd12を設定する。駆動時間設定部79は、時間t_cmd11と時間t_cmd12の和がステップS103で算出した所要時間t_tarに等しくなるよう、各時間t_cmd11,t_cmd12を設定する(ステップS211)。次に、電動機駆動制御部81は、第1駆動回転速度Nm_cmd11で電動機Mが時間t_cmd11作動し、続いて、第2駆動回転速度Nm_cmd12で電動機Mが時間t_cmd12作動するよう電動機Mを制御する(ステップS213)。以降、図13に示した実施例1のステップS113〜S115を行う。
実施例2において、内燃機関Eが回転速度Ne=30rps、すなわち1800rpmで運転されている場合に、電動機Mの所要回転回数rev=70、所要時間t_tar=2秒が与えられた際には、ステップS105では、電動機Mの基準回転速度Nm_ref=70/2=35rps、すなわち2100rpmが算出される。内燃機関Eの回転速度Ne=30rpsの整数倍(…1/3, 1/2, 1/1, 2/1, 3/1…)の関係を有する値の内、基準回転速度35rps(2100rpm)の前後の値は30rps(1800rpm)と60rps(3600rpm)であるが、ステップS209では、基準回転速度35rps(2100rpm)よりも大きく、基準回転速度35rps(2100rpm)に最も近い値の60rps(3600rpm)が第1駆動回転速度Nm_cmd11に設定され、第1駆動回転速度Nm_cmd11を除き基準回転速度35rps(2100rpm)に最も近い値の30rps(1800rpm)が第2駆動回転速度Nm_cmd12に設定される。また、ステップS211では、第1駆動回転速度Nm_cmd11で電動機Mを駆動する時間t_cmd11が設定され、第2駆動回転速度Nm_cmd12で電動機Mを駆動する時間t_cmd12(=t_tar−t_cmd11)が設定される。
図18に、基準回転速度Nm_ref=35rps(2100rpm)で電動機Mを所要時間t_tar作動した場合と、実施例2に従って第1駆動回転速度Nm_cmd=60rps(3600rpm)で電動機Mを時間t_cmd11作動し、続いて、第2駆動回転速度Nm_cmd=30rps(1800rpm)で電動機Mを時間t_cmd12作動する場合の偏心量r1の経時変化を示す。図18に示すように、実施例2に従って電動機Mを作動した場合には、電動機Mの作動音と内燃機関Eの運転音との関係は絶対協和音程の関係である。このため、電動機Mの作動音は、内燃機関Eの運転音に調和して目立たない。また、偏心量r1は所要時間t_tarと同じ時間をかけて変化していくため、従前の変速制御に大きな影響を与えずに、ドライバの運転フィーリングを向上できる。また、電動機Mの作動開始時には高い駆動回転速度で作動するよう制御され、作動終了前の駆動回転速度は低く制御されることで、所要時間t_tarで偏心量目標値r1_cmdに到達する。したがって、図18に示されるように、偏心量r1は、偏心量目標値r1_cmdに到達する直前ではなだらかに変化していく。その結果、変速時のショック等が軽減され、ドライバの運転フィーリングが向上する。さらに、偏心量r1は、基準回転速度Nm_refで電動機Mを作動した場合に近い変化率で変化していくため、従前の変速制御に大きな影響を与えずに、高い制御性を維持することができる。
(実施例3)
以下、マネジメントECU33が有する変速制御部57の動作の他の例を実施例3として説明する。図19は、実施例3による変速制御部57の動作を示すフローチャートである。図19に示すように、変速制御部57が図13に示した実施例1のステップS101〜S105を行った後、駆動回転速度設定部77は、内燃機関Eの回転速度Neの整数倍又は整数比の関係を有する値を選出する(ステップS307)。なお、ステップS307で選出された値と内燃機関Eの回転速度Neとは、図10に示した協和音程の関係を有する。次に、駆動回転速度設定部77は、ステップS307で選出した値の内、図20に示すように、ステップS105で算出された基準回転速度Nm_refよりも大きく、基準回転速度Nm_refに最も近い値を第1駆動回転速度Nm_cmd21に設定し、第1駆動回転速度Nm_cmd21を除き基準回転速度Nm_refに最も近い値を第2駆動回転速度Nm_cmd22に設定する(ステップS209)。以降、図16に示した実施例2のステップS211〜S213及び図13に示した実施例1のステップS113〜S115を行う。
実施例3において、内燃機関Eが回転速度Ne=30rps、すなわち1800rpmで運転されている場合に、電動機Mの所要回転回数rev=70、所要時間t_tar=2秒が与えられた際には、ステップS105では、電動機Mの基準回転速度Nm_ref=70/2=35rps、すなわち2100rpmが算出される。内燃機関Eの回転速度Ne=30rpsの整数倍又は整数比(…1/2, 3/5, 5/8, 2/3, 3/4, 4/5, 5/6, 1/1, 6/5, 5/4, 4/3, 3/2, 8/5, 5/3, 2/1…)の関係を有する値の内、基準回転速度35rps(2100rpm)の前後の値は30rps(1800rpm)と36rps(2160rpm)であるが、ステップS209では、基準回転速度35rps(2100rpm)よりも大きく、基準回転速度35rps(2100rpm)に最も近い値の36rps(2160rpm)が第1駆動回転速度Nm_cmd21に設定され、第1駆動回転速度Nm_cmd21を除き基準回転速度35rps(2100rpm)に最も近い値の30rps(1800rpm)が第2駆動回転速度Nm_cmd22に設定される。また、ステップS211では、第1駆動回転速度Nm_cmd21で電動機Mを駆動する時間t_cmd21が設定され、第2駆動回転速度Nm_cmd22で電動機Mを駆動する時間t_cmd22(=t_tar−t_cmd21)が設定される。
図21に、基準回転速度Nm_ref=35rps(2100rpm)で電動機Mを所要時間t_tar作動した場合と、実施例3に従って第1駆動回転速度Nm_cmd=36rps(2160rpm)で電動機Mを時間t_cmd21作動し、続いて、第2駆動回転速度Nm_cmd=30rps(1800rpm)で電動機Mを時間t_cmd22作動する場合の偏心量r1の経時変化を示す。図21に示すように、実施例3に従って電動機Mを作動した場合には、電動機Mの作動音と内燃機関Eの運転音との関係は協和音程の関係である。このため、電動機Mの作動音は、内燃機関Eの運転音に調和して目立たない。また、偏心量r1は所要時間t_tarと同じ時間をかけて変化していくため、従前の変速制御に大きな影響を与えずに、ドライバの運転フィーリングを向上できる。また、電動機Mの作動開始時には高い駆動回転速度で作動するよう制御され、作動終了前の駆動回転速度は低く制御されることで、所要時間t_tarで偏心量目標値r1_cmdに到達する。したがって、図21に示されるように、偏心量r1は、偏心量目標値r1_cmdに到達する直前ではなだらかに変化していく。その結果、変速時のショック等が軽減され、ドライバの運転フィーリングが向上する。さらに、偏心量r1は、基準回転速度Nm_ref=35rps(2100rpm)で電動機Mを作動した場合に近い変化率で変化していくため、従前の変速制御に大きな影響を与えずに、高い制御性を維持することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、無段変速機Tの変速比を変更する際に駆動される電動機Mは、その作動音と内燃機関Eの運転音との関係が協和音程の関係になるよう作動される。このため、電動機Mの作動音は、内燃機関Eの運転音に調和して目立たない。特に、車両の走行開始時や低負荷時には内燃機関Eの回転数が低いため電動機Mの作動音が目立つ傾向にあるが、この場合にも電動機Mの作動音は内燃機関Eの運転音に調和して目立たない。このように、本実施形態の車両用動力伝達装置によれば、内燃機関Eの運転音に対し電動機Mの作動音が目立たずに変速できる。
(他の実施形態)
アクチュエータ14の回転軸14aには、上述したように、図2〜図4に示すクランク状のキャリヤ16が接続される。また、キャリヤ16のピニオンピン16aを回転中心とする第2ピニオン17には、リングギヤ18aが噛合する。したがって、第2ピニオン17は、アクチュエータ14の回転軸14aに設けられた駆動ギヤとして機能し、電動機Mによってアクチュエータ14が回転駆動すると、第2ピニオン17とリングギヤ18aとの噛み合い音が発生する。この噛み合い音の周波数とエンジンの運転音の周波数とが不協和音程の関係であるときは、内燃機関Eの運転音の音圧レベルに対して噛み合い音の音圧レベルが大きくない場合であっても、この噛み合い音が目立つ場合があり得る。
第2ピニオン17とリングギヤ18aとの噛み合い音の周波数は、単位時間当たりの第2ピニオン17のリングギヤ18aとの噛み合い回数に依る。この噛み合い回数は、第2ピニオン17の歯数とアクチュエータ14の回転軸14aの回転数との積に等しい。したがって、他の実施形態では、第2ピニオン17とリングギヤ18aとの噛み合い音と内燃機関Eの運転音との関係が上記説明した協和音程の関係となるよう、マネジメントECU33が有する変速制御部57は、電動機Mの回転速度Nmを制御する。この実施形態によれば、内燃機関Eの運転音に対し第2ピニオン17とリングギヤ18aとの噛み合い音が目立たずに変速できる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
10 車軸
11 入力軸
12 出力軸
14 アクチュエータ
14b ロータ
14a 回転軸
14c ステータ
15 第1ピニオン
16 キャリヤ
16a ピニオンピン
17 第2ピニオン
18 偏心ディスク
18a リングギヤ
19 コネクティングロッド
19a ロッド部
19b リング部
19c ピン
20 ボールベアリング
21 ワンウェイクラッチ
22 アウター部材
23 インナー部材
24 スプリング
25 ローラ
33 マネジメントECU
35 車速センサ
36 出力軸回転数センサ
37 入力軸回転角センサ
38 電動機回転角センサ
51 入力回転数算出部
53 偏心量現在値導出部
55 偏心量目標値導出部
57 変速制御部
71 所要回転回数導出部
73 所要時間決定部
75 基準回転速度算出部
77 駆動回転速度設定部
79 駆動時間設定部
81 電動機駆動制御部
D ディファレンシャルギヤ
E 内燃機関
M 電動機
T 無段変速機
U 変速ユニット
W 駆動輪

Claims (7)

  1. 駆動源の回転軸に接続された入力軸の軸線からの偏心量が可変である偏心機構を有し前記入力軸と前記偏心機構とが共に回転する入力側支点と、出力軸に接続されたワンウェイクラッチと、前記ワンウェイクラッチの入力部材に設けられた出力側支点と、前記入力側支点及び前記出力側支点に両端が接続されて、前記偏心機構の前記偏心量に応じて往復運動するコネクティングロッドと、を備え、前記入力軸の回転を変速して前記出力軸に伝達する無段変速機と、
    前記偏心機構を駆動して前記偏心量を変更するアクチュエータと、
    前記アクチュエータを駆動する電動機と、
    前記アクチュエータが前記偏心量を変更することで前記無段変速機の変速比が目標変速比となるように前記電動機を制御する制御装置と、備えた、車両用動力伝達装置であって、
    前記制御装置は、
    前記偏心量が目標値に到達するまでの前記電動機の所要回転回数を導出する所要回転回数導出部と、
    前記偏心量が前記目標値に到達するまでの所要時間を決定する所要時間決定部と、
    前記所要回転回数を前記所要時間で除算して得られる、前記電動機の基準回転速度を算出する基準回転速度算出部と、
    前記駆動源の回転速度の値と協和音程の関係を有する値の内、前記基準回転速度に近い値を前記電動機の駆動回転速度に設定する駆動回転速度設定部と、
    前記駆動回転速度で前記電動機が作動するよう前記電動機を制御する電動機駆動制御部と、
    を有する、車両用動力伝達装置。
  2. 請求項1に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記駆動回転速度設定部が前記駆動回転速度に設定する前記基準回転速度に近い値は、前記基準回転速度よりも大きな値である、車両用動力伝達装置。
  3. 請求項1に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記駆動回転速度設定部は、前記駆動源の回転速度の値と協和音程の関係を有する値の内、前記基準回転速度に最も近い値を第1駆動回転速度に設定し、前記第1駆動回転速度の次に前記基準回転速度に近い値を第2駆動回転速度に設定し、
    前記電動機駆動制御部は、前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度のいずれか一方で作動し、続いて、もう一方の回転速度で作動するよう前記電動機を制御する、車両用動力伝達装置。
  4. 請求項3に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記電動機の作動開始時に制御される回転速度の値は、前記基準回転速度よりも大きな値である、車両用動力伝達装置。
  5. 請求項3又は4に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度のいずれか一方で前記電動機を駆動する第1駆動時間と、もう一方の回転速度で前記電動機を駆動する第2駆動時間と、を設定する駆動時間設定部を備え、
    前記電動機駆動制御部は、前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度のいずれか一方で前記第1駆動時間作動し、もう一方の回転速度で前記第2駆動時間作動するよう前記電動機を制御し、
    前記第1駆動時間と前記第2駆動時間の和は前記所要時間に等しい、車両用動力伝達装置。
  6. 請求項1又は2に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記駆動回転速度設定部が設定する前記駆動回転速度は、前記駆動源の回転速度の値と絶対協和音程の関係を有する値である、車両用動力伝達装置。
  7. 請求項3から5のいずれか1項に記載の車両用動力伝達装置であって、
    前記駆動回転速度設定部が設定する前記第1駆動回転速度及び前記第2駆動回転速度は、前記駆動源の回転速度の値と絶対協和音程の関係を有する値である、車両用動力伝達装置。
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