JP2007112248A - 駆動系の制振制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベクトルアクチュエータ43でセットした変速用トルクおよび駆動力用トルクを、変速成分用フィルタ44および駆動力成分用フィルタ45に通し、モータ/ジェネッレータへの最終的なアクチュエータトルク指令とする。
【選択図】図6
Description
このような振動を長年許容しつづけると、駆動系の耐久性を低下させる虞がある。また、駆動源から出力を車輪に伝達する車両の駆動系の場合に振動が発生すると、搭乗者の乗り心地が損なわれる。したがって、このような振動を極力抑制することが望ましい。
制振制御に関する発明として、従来、例えば特許文献1〜3に記載のごときものが知られている。
特許文献1に記載の車両の制振装置は、エンジンおよびモータを具えたハイブリッド車両において、エンジントルクの急上昇時にはモータからマイナス側の補正トルクを入力することにより、これら合成トルクの上昇を緩やかなものとして加減速に伴なう振動を抑制するものである。
特許文献2に記載の駆動系回転振動抑制装置は、変速機入力軸の回転速度などから駆動系の振動成分を検出し、検出した振動成分に基づきエンジントルクまたは変速比を変更することにより駆動系の回転振動を抑制するものである。
特許文献3に記載の制振制御装置は、エンジンおよびモータ・ジェネレータを具えたハイブリッド車両において、エンジンからの出力トルクに含まれるトルク波形に基づいてモータ・ジェネレータの機能を制御することにより、エンジンのトルク変動を打ち消すものである。
また、ハイブリッド車両において、遊星歯車組等、複数の回転要素からなる差動装置を採用し、これら回転要素のうちエンジン側の回転要素(入力側)と回転電機側の回転要素と負荷側の回転要素(出力側)とで無段変速機を構成した場合、補正トルクを入力すると新たな問題が生じ得る。つまり、変速操作のため回転電機が出力するトルク成分に補正トルクを入力すると、変速操作に要する時間が長くなりすぎてしまう。
回転電機からの出力を負荷に伝達する駆動系において、
入力されたトルク指令または回転速度指令に応じて該回転電機の出力を制御するコントローラに、
トルク指令または回転速度指令から、前記駆動系に顕著に発生する所定の振動に対応する周波数領域を除去して入力するよう構成したことを特徴としたものである。
図1は、本発明の一実施の形態になる駆動系の制振制御装置を適用可能なハイブリッド車両の駆動系を例示し、これを本実施例においては、内蔵モータ/ジェネレータを具えたハイブリッド変速機として、前輪駆動車(FF車)用のトランスアクスルとして用いるのに有用な以下に詳述する構成となす。
これらラビニョオ型プラネタリギヤセット2および複合電流2層モータ4は変速機ケース1の主軸線上に同軸に配置するが、この主軸線からオフセットさせて平行に配置したカウンターシャフト5およびディファレンシャルギヤ装置6をも変速機ケース1内に内蔵させる。
そして遊星歯車組7,8のピニオンP1,P2を全て、共通なキャリアCにより回転自在に支持する。
なお差動装置は、本実施例で用いるラビニョオ型プラネタリギヤセット2に限られず、任意のものを用いることができるのは言うまでもない。
環状コイル4sと外側ロータ4roとで外側のモータ/ジェネレータである第1のモータ/ジェネレータMG1を構成し、環状コイル4sと内側ロータ4riとで内側のモータ/ジェネレータである第2のモータ/ジェネレータMG2を構成する。
ここでモータ/ジェネレータMG1,MG2はそれぞれ、複合電流をモータ側が負荷として供給される時は供給電流に応じた個々の方向の、また供給電流に応じた個々の速度(停止を含む)の回転を出力するモータとして機能し、複合電流を発電機側が負荷として印加した時は外力による回転に応じた電力を発生する発電機として機能する。
サンギヤSdは軸11を介して第2モータ/ジェネレータMG2の内側ロータ4riに結合し、軸11を包套する中空軸12を介してサンギヤSsを第1モータ/ジェネレータMG1の外側ロータ4roに結合する。
カウンターシャフト5には別にファイナルドライブピニオン16を一体的に設け、これを、ディファレンシャルギヤ装置6に設けたファイナルドライブリングギヤ17に噛合させる。
変速機からの出力回転は、ファイナルドライブピニオン16およびファイナルドライブリングギヤ17により構成されるファイナルドライブギヤ組を経てディファレンシャルギヤ装置6に至り、このディファレンシャルギヤ装置から、左右ドライブシャフト19を経て左右駆動輪18に分配されるものとする。
このうち目標エンジントルク指令をエンジンコントローラ22に供給し、エンジンコントローラ22はエンジンENGを当該目標エンジントルクが発生するようスロットル制御を実行する。
なお、モータ/ジェネレータMG1,MG2のトルク検出手段33からの信号は更にモータコントローラ23にも供給し、モータコントローラ23がこれら検出手段からの信号と上記した目標モータトルク指令との間における偏差に応じたフィードバック制御により当該指令が達成されるようになす。
これらの入力トルクによりキャリアCは、出力トルクToを負荷20側に出力する。
一般には、車速VSPが低速域の場合や駆動力目標値が小さい場合には、電力走行モードを選択する。また、車速VSPが高速域の場合や駆動力目標値が大きい場合には、ハイブリッド走行モードを選択する。
また、詳しくは後述するがバッテリ25の充電量が所定値(例えば30%)未満である場合にはハイブリッド走行モードを適宜選択し、あるいはバッテリ25の充電量が所定値(例えば70%)以上である場合には電力走行モードを適宜選択する。
まず、図3の共線図について説明すると、前述したようにラビニョオ型プラネタリギヤセット2を構成する4個の回転要素であるサンギヤSd、サンギヤSs、リングギヤR、およびキャリアCは、2個の回転要素の回転速度を決定すると他の回転要素の回転速度が決まる2自由度の差動装置を構成する。したがって図3の共線図中、4個の回転要素の回転速度を丸で示すと、各回転要素の回転速度は1本のレバーlev上に並ぶ関係となる。
つまり、各回転要素の回転速度は図3中の縦距離で表され、横距離α:1:βに比例する。
式(1)(2)は図3に示すレバーの長さ(横距離α:1:β)によって規定される。
つるまきばねで夫々表示されている駆動系のこれら回転軸は、夫々固有振動数を有する。
振動数fが次に大きな帯域Bにある固有振動数fn付近の場合振動が最も大きくなってドライブシャフト19が共振する。前述および図5に示すように、ドライブシャフト19の共振は、本実施例の駆動系に顕著に発生する所定の振動のうち、最も大きな振動であり、その固有振動数fnは中域の周波数帯域に属する。
振動数fが更に大きな帯域Cの場合振動が最も小さくなる。ただし、帯域Cに属する周波数f1では、モータ/ジェネレータMG1とサンギヤSsとの間の回転軸の共振が顕著となる。また、帯域Cに属する周波数f2ではモータ/ジェネレータMG2とサンギヤSdとの間の回転軸の共振が顕著となる。また、帯域Cに属する周波数feではENGとリングギヤRとの間の回転軸の共振が顕著となる。
そこで本実施例では、フィルタを用いて駆動源ENG、MG1,MG2の出力トルクからB領域の周波数を除去することにより、回転軸の共振を防止する。また、フィルタを用いて帯域Cの周波数を除去することにより、回転軸の共振を防止する。
変速比制御については、図6に示す減算器41で変速比目標値に対応する変速比代表量指令値(+)から変速比実測値に対応する変速比代表量実測値(−)を差し引いた偏差を求める。次に、この偏差を変速比制御器42に通して変速比制御操作量を求める。
ベクトルアクチュエータ43には上記した変速比制御操作量と、駆動力目標値を実現するための駆動力指令を入力する。
i番目の制御周期[i]中、まずステップS1においては、検出したエンジンENGの回転速度ωi_actを、今回の処理(i回目のフローチャート処理)における変速比代表量実測値ωi_act[i]として読み込む。
次のステップS2においては、変速比目標値に対応する変速比代表量指令値ωi_ref[i]を求め、これら変速比代表量指令値ωi_refからi回目の変速比代表量実測値ωi_act[i]を減算して偏差Error[i]を計算する。
ここで付言すると、変速比は正確にはエンジン回転速度ωiと、出力に相当する車速VSPとの比になるところ、車速VSPは変速操作の直前と直後で急変しない(変速比の分母は急変しない)ことから、エンジン回転速度ωi(変速比の分子)を変速比代表量として用いるものである。
ステップS5においては、所定の制御周期が終了したか否かを判断する。制御周期が終了しない場合(No)、終了するまでステップS5に待機する。制御周期が終了した場合(Yes)、本制御を終了して、ステップS1に戻る。
また、ベクトルアクチュエータ43は、入力される駆動力指令に基づき、駆動力用トルクをセットする。
ここで、変速用トルクは変速比制御のためのトルクであり、第1モータ/ジェネレータMG1の変速用トルクdT1と、エンジンENGの変速用トルクdTeと、第2モータ/ジェネレータMG2の変速用トルクdT2をそれぞれセットする。これら変速用トルクのセットは、後述する図8にフローチャートで示す処理により行う。
また、駆動力用トルクは駆動力制御のためのトルクであり、第1モータ/ジェネレータMG1の駆動力用トルクTm1 aと、エンジンENGの駆動力用トルクTe aと、第2モータ/ジェネレータMG2の駆動力用トルクTm2 aをそれぞれセットする。これら駆動力用トルクのセットは後述する計算により行う。
具体的には、図5に示す低域A、中域Bまたは高域周波数Cのうち前記駆動系の固有振動数f1,fe,f2に対応する帯域Cを遮断する。前述および図7,8のフローチャートで示すように、変速比制御において主となるトルクはモータトルクdT1,dT2であることから、各変速用トルクdT1,dTe,dT2から固有振動数f1,fe,f2に対応する帯域Cの周波数を遮断する。このように変速成分用フィルタ44を、駆動系の固有振動数f1,fe,f2に対応する帯域Cを遮断するハイカットフィルタとすることにより、回転軸の共振を防止することが可能になり、搭乗者の乗り心地性能を向上することができる。
なお変速成分用フィルタ44を、帯域Aのみを通過させるローパスフィルタとしても同等の効果が得られる。
具体的には、図5に示す低域A、中域Bまたは高域周波数Cのうち前記駆動系の固有振動数fnに対応する帯域Bを遮断する。駆動走行中はドライブシャフト19から負荷へ駆動力を伝達していることから、駆動系の固有振動数fnに対応する中域周波数の帯域Bを遮断する。このように駆動力成分用フィルタ45を帯域遮断フィルタ(中域遮断フィルタ)とすることにより、回転軸たるドライブシャフト19の共振を防止することが可能になり、搭乗者の乗り心地性能を向上することができる。
なお駆動力成分用フィルタ45を、帯域Aのみを通過させるローパスフィルタとしても同等の効果が得られる。
同様に、フィルタ44を通過した変速用トルクdTeと、フィルタ45を通過した駆動力用トルクTe aとを足し合わせてエンジンENGに関する目標エンジントルク指令とする。
同様に、フィルタ44を通過した変速用トルクdT2と、フィルタ45を通過した駆動力用トルクTm2 aとを足し合わせて第2モータ/ジェネレータMG2に関する目標モータトルク指令とする。
次に、図6に示すベクトルアクチュエータ43における変速用トルクのセットについて、図8に示すフローチャートに基づき補足説明する。図8に示す処理も、図7に示す処理と同様、所定の制御周期毎(例えば10[msec])で実行する。この制御処理も変速比を安定化するための制御であり、変速比を一定に保持して走行する場合であっても、走行中に変速比を目標値に変更する場合であっても常時実行される。
次のステップS12においては、入力された変速比制御操作量Ti_ref[i]と、図3の共線図で示される横軸比α+1と、変速操作における第1モータ/ジェネレータMG1の慣性モーメントJ1とを乗算して、第1モータ/ジェネレータMG1の変速用トルクdT1を算出する。
次のステップS13においては、入力された変速比制御操作量Ti_ref[i]と、図3の共線図で示される横軸比−βと、変速操作における第2モータ/ジェネレータMG2の慣性モーメントJ2とを乗算して、第2モータ/ジェネレータMG2の変速用トルクdT2を算出する。
ステップS15においては、所定の制御周期が終了したか否かを判断する。制御周期が終了しない場合(No)、終了するまでステップS15に待機する。制御周期が終了した場合(Yes)、本制御が終了する。
また、各各駆動力用トルクTm1 a,Te a,Tm2 aの合計は出力トルク指令Torefとなり、(4)によって表される。
ここで、Jvはプラネタリギヤセット2の出力要素(キャリアC)に換算した車両重量の慣性モーメントである。具体的には、車両重量と駆動輪18の動半径の二乗とを乗算し、出力歯車14とカウンター歯車15とファイナルドライブピニオン16とディファレンシャルギヤ装置6から決まる最終減速比の二乗で除算したものである。
ここで、ωm1は第1モータ/ジェネレータMG1の回転速度を、ωm2は第2モータ/ジェネレータMG2の回転速度を、Pbrefはバッテリ25への出力指令を表す。バッテリ出力指令Pbrefが正値のときバッテリ25を放電させ、負値のときバッテリ25を充電する。
駆動力の急変によらない恒常的な振動の発生をも回避することが可能となる。したがって、乗り心地性能を向上させることができる。さらに、ドライブシャフト19などの駆動系の疲労を回避して、耐久性を向上させることができる。
図9に示す他の実施例では、変速比代表量指令値を変速成分用フィルタ46に通し、駆動系に顕著に発生する所定の振動に対応する周波数領域を遮断して減算器41に入力するものである。
このような変速成分用フィルタ46によっても、駆動系からの振動の発生を回避することが可能である。
図10に示す他の実施例では、変速比制御器42で算出した変速比制御操作量Ti_ref[i]を変速成分用フィルタ47に通し、駆動系に顕著に発生する所定の振動に対応する周波数領域を遮断してベクトルアクチュエータ47に入力するものである。
このような変速成分用フィルタ47によっても、駆動系からの振動の発生を回避することが可能である。
これにより、複数の共振周波数のうち最も大きい共振であって、通常の駆動走行中に共振する機会が最も大きいドライブシャフト19の固有振動数fnが駆動系に入力されることを効果的に防止することが可能になる。この結果、乗り心地性能を向上させて、合わせて駆動系の耐久性を向上することができる。
これにより、モータ/ジェネレータMG1,MG2からのモータトルクTm1, Tm2の周波数(トルクリプル)に含まれる固有振動数f1,f2が駆動系に入力されることを効果的に防止することが可能になる。この結果、乗り心地性能を向上させて、合わせて駆動系の耐久性を向上することができる。
例えば、図6,図9および図10に示す本実施例のようにトルクを用いて変速比制御および駆動力制御を実行する他、図には示さなかったが回転速度を用いて変速比制御および駆動力制御を実行してもよい。この場合も、回転速度指令をフィルタに通した後、モータ/ジェネレータMG1,MG2に与えることで、駆動系からの振動の発生を回避することが可能である。
2 ラビニョオ型プラネタリギヤセット(差動装置)
3 クラッチ
ENG エンジン(原動機)
4 複合電流2層モータ
MG1 第1モータ/ジェネレータ
MG2 第2モータ/ジェネレータ
7 シングルピニオン遊星歯車組
8 ダブルピニオン遊星歯車組
18 駆動輪
19 ドライブシャフト
Sd サンギヤ
Ss サンギヤ
P1 ロングピニオン
P2 ショートピニオン
R リングギヤ
C キャリア
21 ハイブリッドコントローラ
22 エンジンコントローラ
23 モータコントローラ
24 インバータ
25 バッテリ
44,45 フィルタ
Claims (6)
- 回転電機からの出力を負荷に伝達する駆動系において、
入力されたトルク指令または回転速度指令に応じて該回転電機の出力を制御するコントローラに、
トルク指令または回転速度指令から、前記駆動系に顕著に発生する所定の振動に対応する周波数領域を除去して入力するよう構成したことを特徴とする駆動系の制振制御装置。 - 請求項1に記載の駆動系の制振制御装置において、
前記駆動系に複数の回転要素を有する差動装置を設け、該差動装置を構成する各回転要素に内燃機関よりなるエンジンと、前記回転電機よりなるモータ/ジェネレータと、前記負荷側にある出力軸とをそれぞれ結合し、該エンジンおよび該モータ/ジェネレータからの出力を該出力軸に伝達可能とし、
トルク指令または回転速度指令から、前記駆動系に顕著に発生する所定の振動に対応する周波数領域を除去するフィルタを設け、
モータ/ジェネレータからの出力を制御することによりエンジンと出力軸との変速比を制御するための変速比成分と、負荷に与える駆動力を制御するための駆動力成分とを合成して、前記トルク指令または回転速度指令とし、
該変速比成分または駆動力成分のうち、少なくとも駆動力成分を、前記フィルタに通すことを特徴とする駆動系の制振制御装置。遮断するフィルタに通すよう構成したことを特徴とする駆動系の制振制御装置。 - 請求項2に記載の駆動系の制振制御装置において、
前記フィルタを、低域、中域または高域周波数のうち前記駆動系の固有振動数に対応する1の帯域を遮断する帯域遮断フィルタとしたことを特徴とする駆動系の制振制御装置。 - 請求項2に記載の駆動系の制振制御装置において、
前記フィルタを、低域、中域または高域の周波数のうち高域を遮断するハイカットフィルタとしたことを特徴とする駆動系の制振制御装置。 - 請求項2に記載の駆動系の制振制御装置において、
前記フィルタを、低域、中域または高域の周波数のうち低域を通過させるローパスフィルタとしたことを特徴とする駆動系の制振制御装置。 - 請求項2に記載の駆動系の制振制御装置において、
前記フィルタは、中域周波数の帯域を遮断する中域遮断フィルタと、高域周波数の帯域を遮断するハイカットフィルタとを具え、
前記駆動力成分を中域遮断フィルタに通し、前記変速比成分をハイカットフィルタに通すことを特徴とする駆動系の制振制御装置。
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