JP2016138221A - 粘着シート、及び、光学部材 - Google Patents

粘着シート、及び、光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】ピックアップ性の向上を図ることができる粘着シート、及び、前記粘着シートにより保護される光学部材の提供。
【解決手段】第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び第3の樹脂層と、粘着剤組成物より形成される粘着剤層とをこの順で有する粘着シートであって、第1の樹脂層及び第3の樹脂層の引張強さが180MPa以上、第2の樹脂層の引張強さが150MPa未満であり、第1の樹脂層の厚みと第3の樹脂層の厚みの和に対する第2の樹脂層の厚みの比の値が、10以下であり、粘着シートのトリアセチルセルロースフィルムに対する23℃で50%RHにおける180°ピールきっかけ剥離力が、6N/25mm以下であり、粘着面が外側を向くように端部をテープでガラス板に固定したときの中心高さH1と、中心位置に4.8gの荷重を載せた時の中心位置高さH2の差(たわみ量)が、35mm未満である粘着シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着シート、及び、光学部材に関する。
本発明の粘着シートは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネルディスプレイなどに用いられる偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、輝度向上フィルム、カバーガラス、カバーシート、ハードコートフィルム、透明導電ガラス、透明導電性フィルムなどの光学部材表面を保護する目的で用いられる表面保護フィルムとして、有用である。
近年、光学部品・電子部品の輸送やプリント基板への実装に際して、個々の部品を所定のシートで包装した状態や、粘着テープを貼り付けた状態により、移送することが行われている。なかでも、表面保護フィルムは光学・電子部品の分野においては、特に広く用いられている。
表面保護フィルムは、一般的に支持フィルム側に塗布された粘着剤を介して被着体に貼り合わせ、被着体の加工、搬送時に生じる傷や汚れを防止する目的で用いられる(特許文献1)。例えば、液晶ディスプレイのパネルは、液晶セルに粘着剤を介して偏光板や波長板などの光学部材を貼り合わせることにより形成されている。これらの光学部材は、表面保護フィルムが粘着剤を介して貼り合わされ、被着体の加工、搬送時に生じる傷や汚れを防止されている。
この表面保護フィルムは不要になった段階で剥離して除去されるが、液晶表示板の大型化や薄層化に伴い、剥離工程で偏光板や液晶セルへの損傷が生じやすくなるため、剥離時には浮きなどが発生しないよう適度な粘着力を有すると共に、再剥離を可能にするように、軽剥離性、ピックアップ性などが求められている。特に、近年、ディスプレイの薄型化に伴いディスプレイを構成する光学部材も薄型化となっており、厚みとして150μm以下の光学部材では、搬送工程中で光学部材がたわんでしまうことにより、搬送が出来なくなったり、光学部材を別の部材ときれいに貼合せることができなくなるなどの問題も生じている(特許文献2)。これらの問題を避けるため、表面保護フィルムを構成する基材を厚くすることで、たわみを抑制することがなされているが、厚くすることで剥離が重くなるため、表面保護フィルムが不要になった段階で表面保護フィルムをピックアップテープで剥離する際に、ピックアップ出来なくなる不具合が生じている。そこで、厚手の基材を用いた表面保護フィルムのたわみを抑制でき、かつ再剥離を可能にするように、軽剥離性、ピックアップ性が図れる粘着シートが求められている。
特開2003−334911号公報 特許第5461640号
そこで、本発明は、前記事情を鑑み、鋭意研究した結果、ピックアップ性の向上を図ることができる粘着シート、及び、前記粘着シートにより保護される光学部材を提供する。
すなわち、本発明の粘着シートは、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び第3の樹脂層と、粘着剤組成物より形成される粘着剤層とをこの順で有する粘着シートであって、前記第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層の引張強さが180MPa以上、前記第2の樹脂層の引張強さが150MPa未満であり、前記第1の樹脂層の厚みと前記第3の樹脂層の厚みの和に対する前記第2の樹脂層の厚みの比の値が、10以下であり、前記粘着シートのトリアセチルセルロースフィルムに対する23℃で50%RHにおける180°ピールきっかけ剥離力が、6N/25mm以下であり、前記粘着シートを幅20mm、長さ150mmに切断し、粘着面が外側を向くように端部をテープでガラス板に固定したときの中心高さH1と、中心位置に4.8gの荷重を載せた時の中心位置高さH2の差(たわみ量)が、35mm未満であることを特徴とする。
本発明の粘着シートは、前記第2の樹脂層の厚みが、2〜200μmであることが好ましい。
本発明の粘着シートは、前記第2の樹脂層が、熱可塑性樹脂より形成されることが好ましい。
本発明の粘着シートは、前記第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層の少なくとも一方が、ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及び、シリコーン系粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の光学部材は、前記粘着シートにより保護されることが好ましい。
本発明によれば、柔軟な第2の樹脂層を介して、第1の樹脂層、及び、第3の樹脂層を積層した樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順。「積層フィルム」という場合がある。)を有することにより、粘着シートを剥離する際の変形に対して、第2の樹脂層の部分で応力緩和が図れ、樹脂層単独よりも低い剥離力でピックアップすることが可能となる。また、上記積層構成により、樹脂層フィルムのたわみ量は、個々の樹脂層フィルムのたわみ量より向上(低減)させることが可能となり、搬送工程での折れや変形による搬送不良問題を改善することが可能となり、製造効率の向上を達成することができる。
本発明の好ましい実施形態による保護フィルムの概略断面図である。 きっかけ剥離力の測定方法を示す説明図である。 たわみ量の測定方法を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<粘着シート(表面保護フィルム)>
図1は、本発明の好ましい実施形態による粘着シートの概略断面図である。粘着シート1は、第1の樹脂層2と、第2の樹脂層3と、第3の樹脂層4(これら第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第3の樹脂層を順に有する構成を、「樹脂層フィルム」という場合がある。)と、粘着剤層5とをこの順で有する。また、前記粘着剤層5により被着体(例えば、光学部材)に貼り合わされる。なお、図示していないが、被着体に貼り合わされるまでは、粘着剤層5の表面にセパレーターが貼り合わされることが好ましい態様である。
<第1の樹脂層と第3の樹脂層>
第1の樹脂層及び第3の樹脂層(第1及び第3の樹脂層)の引張強さは、180MPa以上であり、好ましくは180〜350MPaであり、より好ましくは、180〜320MPaであり、更に好ましくは、180〜300MPaであり、最も好ましくは、180〜250MPaである。前記範囲内であれば、粘着シートのたわみ量を抑制することが可能となり、好ましい態様となる。なお、本発明において、引張強さは、JIS C 2318に準拠して測定したものをいう。また、樹脂層における引張強さは、樹脂層の柔らかさ(柔軟性)を示す指標として使用する。第2の樹脂層においても同様である。
第1及び第3の樹脂層の厚みは、好ましくは、1〜200μm、より好ましくは4〜100μm、更に好ましくは、10〜60μmである。第1の樹脂層の厚みと第3の樹脂層の厚みの大小関係は、(第1の樹脂層の厚み)≦(第3の樹脂層の厚み)であることが好ましく、その場合の第1の樹脂層の厚みとしては、1〜75μmが好ましく、4〜50μmがより好ましく、10〜40μmが最も好ましい。前記範囲内であれば、粘着シートのたわみ量抑制とピックアップ性の両立が可能となり、好ましい態様となる。
ここに開示される技術において、樹脂層(支持体・基材)を構成する樹脂材料は、特に制限なく使用することができるが、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性、可撓性、寸法安定性等の特性に優れたものを使用することが好ましい。特に、樹脂層が可撓性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができ、有用である。
前記第1及び第3の樹脂層として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー等を主たる樹脂成分(樹脂成分のなかの主成分、典型的には50質量%以上を占める成分)とする樹脂材料から構成されたプラスチックフィルムを、前記樹脂層として好ましく用いることができる。前記樹脂材料の他の例としては、塩化ビニル系ポリマー;ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド等の、アミド系ポリマー;等を樹脂材料とするものが挙げられる。前記樹脂材料のさらに他の例として、イミド系ポリマー、が挙げられる。上述したポリマーの2種以上のブレンド物からなる樹脂層であってもよい。
また、前記第1及び第3の樹脂層としては、透明な熱可塑性樹脂材料からなるプラスチックフィルムを好ましく採用することができるが、前記プラスチックフィルムの中でも、本発明の粘着シートにおいては、前記樹脂層の少なくとも一方が、ポリエステルフィルムであることがより好ましい態様である。ここで、ポリエステルフィルムとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等のエステル結合を基本とする主骨格を有するポリマー材料(ポリエステル樹脂)を主たる樹脂成分とするものをいう。かかるポリエステルフィルムは、光学特性や寸法安定性に優れる等、粘着シート(表面保護フィルム)の樹脂層として、好ましい特性を有する一方、そのままでは帯電しやすい性質を有する。なお、前記引張強さを満たす樹脂層としては、以下の樹脂が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー;環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン;ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド等の、アミド系ポリマー;等を主たる樹脂成分(樹脂成分のなかの主成分、典型的には50質量%以上を占める成分)とする樹脂材料から構成されたプラスチックフィルムを、前記樹脂層として好ましく用いることができる。上述したポリマーの2種以上のブレンド物からなる樹脂層であってもよい。
なお、第1の樹脂層及び第3の樹脂層の構成(例えば、厚み、形成材料、弾性率、引張伸度等)は、同一であっても異なっていてもよく、適宜、選択され得る。
<第2の樹脂層>
前記第2の樹脂層の引張強さは、150MPa未満であり、好ましくは、140MPa未満であり、更に好ましくは、130MPa未満であり、特に好ましくは、10〜130MPaであり、最も好ましくは、20〜125MPaである。第2の記樹脂層の引張強さが大きくなると、樹脂層フィルム(第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第3の樹脂層を順に有する構成)の柔軟性に欠け、粘着シートを剥離する際の変形に対して応力緩和が図れず、ピックアップ性に劣ることになり好ましくない。
前記第2の樹脂層の厚みは、2〜200μmであることが好ましく、より好ましくは、3〜180μmであり、更に好ましくは、4〜160μmである。第2の記樹脂層の厚みが厚すぎると、樹脂層フィルム(第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第3の樹脂層を順に有する構成、積層フィルム)が厚くなりすぎ、曲げ剛性が高くなるため、ピックアップ性に劣ることになり好ましくない。
本発明における第2の樹脂層とは、引張強度が150MPa未満であれば、特に制限されないが、熱可塑性樹脂より形成されることが好ましく、中でも、ポリエチレン系樹脂(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂(IO)、無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)、軟質ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)がより好ましい態様である。中でも、ポリエチレン系樹脂が好ましく、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂等が挙げられる。上記ポリエチレン系樹脂には50質量%を限度として、他のポリオレフィン系樹脂がブレンドされていてもよい。他のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィンランダム重合体又はブロック重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。上述したポリマーの2種以上のブレンド物からなる樹脂層であってもよい。
前記第1の樹脂層と第3の樹脂層の厚みの和に対する前記第2の樹脂層の厚みの比(第2の樹脂層の厚み/(第1の樹脂層と第3の樹脂層の厚みの和))の値は、10以下であり、好ましくは9以下、より好ましくは8以下である。このような範囲に設定することにより、被着体(例えば、光学部材)の反りを極めて良好に抑制することができる。一方、前記厚みの比の値は、好ましくは0.05以上である。このような範囲に設定することにより、得られる粘着シートの屈曲性(柔軟性)により優れ、極めて優れたピックアップ性、再剥離性を達成することができる。
本発明の粘着シートによれば、第2層の樹脂層に柔軟な(引張強さが第1の樹脂層及び第3の樹脂層より小さな)樹脂を設けることで応力緩和が図れ、ピックアップ性を向上させることができ、樹脂層単独よりも低い剥離力でピックアップすることが可能となる。また、前記樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順)を有することにより、樹脂層フィルムのたわみ量は、個々の樹脂層のたわみ量より向上(低減)させることが可能となり、搬送工程での折れや変形による搬送不良問題を改善することが可能となり製造効率の向上を達成することができる。
前記第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び第3の樹脂層を構成する樹脂材料には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)等の各種添加剤が配合されていてもよい。また、前記第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び第3の樹脂層のいずれかの表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗布等の、公知又は慣用の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、例えば、樹脂層と粘着剤層などとの密着性(粘着剤層の投錨性など)を高めるための処理であり得る。樹脂層の表面にヒドロキシル基等の極性基が導入されるような表面処理を好ましく採用し得る。
<第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第3の樹脂層との積層方法>
第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第3の樹脂層との積層方法としては、特に限定されるものではないが、共押出積層法を用いることが好ましい。共押出積層法としては、例えば、2台以上の押出機を用いて各樹脂層に用いる樹脂を溶融し、共押出ダイス法、フィードブロック法等の共押出法により溶融状態で積層した後、インフレーション、T−ダイ・チルロール法等の方法を用いてフィルム状に加工する方法が挙げられる。T−ダイ・チルロール法を用いる場合、ゴムタッチロールやスチールベルト等とチルロール間で、溶融積層されたフィルムをニップして冷却してもよい。
さらに、本発明の樹脂層フィルム(第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第3の樹脂層を順に有する構成)は、延伸されていてもよい。延伸方法としては、縦あるいは横方向の1軸延伸、逐次2軸延伸、同時2軸延伸、あるいはチューブラー法2軸延伸等の公知の方法を採用することができる。また、延伸工程はインラインでもあっても、オフラインであってもよい。1軸延伸の延伸方法としては、近接ロール延伸法でも圧延法でもよい。1軸延伸の延伸倍率としては、縦あるいは横方向に1.1〜80倍が好ましく、より好ましくは3〜30倍である。一方、2軸延伸の延伸倍率としては、面積比で1.2〜70倍が好ましく、より好ましくは縦4〜6倍、横5〜9倍、面積比で20〜54倍である。
また、縦あるいは横方向の延伸工程としては、必ずしも1段延伸に限らず、多段延伸であってもよい。特に、逐次2軸延伸における縦1軸ロール延伸、縦1軸圧延延伸等の縦1軸延伸においては、厚み、物性の均一性等の点で多段延伸とすることが好ましい。さらに近接ロール延伸においては、フラット法、クロス法のいずれでも構わないが、幅縮みの低減が図れる多段の近接クロス延伸がより好ましい。延伸温度は、1軸延伸の場合、いずれの延伸方法においても80〜160℃が好ましく、1軸延伸でテンター延伸を使用する場合は、90〜165℃が好ましい。また、より好ましい延伸温度としては、それぞれ110〜155℃、120〜160℃である。一方、2軸延伸の場合、いずれの方法においても1軸延伸の場合と同様な延伸温度範囲が好ましい。また、延伸工程前に予熱部、延伸工程後に熱固定部を適宜設けてもよい。この場合、予熱部の温度は60〜140℃、熱固定部の温度は90〜160℃の範囲が好ましい。
上記樹脂層フィルム(第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第3の樹脂層を順に有する構成)の厚み(合計)は、好ましくは4〜600μm、より好ましくは25〜500μmであり、更に好ましくは40〜200μmである。前記範囲内であれば、ピックアップ性の向上を図ることができ、被着体(例えば、光学部材)の反りを極めて良好に抑制することができる好ましい態様となる。
<粘着剤層>
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を有し、前記粘着剤層は粘着剤組成物から形成されるものであり、前記粘着剤組成物としては、粘着性を有するものであれば、特に制限なく使用できる。例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用することもでき、中でも、より好ましくは、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及び、シリコーン系粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマーを使用するアクリル系粘着剤を使用することである。
前記粘着剤層がアクリル系粘着剤を使用する場合、前記アクリル系粘着剤を構成する(メタ)アクリル系ポリマーは、これを構成する原料モノマーとして、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種又は2種以上を主成分として使用することができる。前記炭素数が1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、被着体(被保護体)に対する粘着力を低く制御することが容易となり、軽剥離性や再剥離性に優れた粘着シートが得られる。なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマー及び/又はメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートをいう。
前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
なかでも、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして使用する場合、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーが好適なものとしてあげられる。特に、炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、ピックアップ性や再剥離性に優れたものとなる。
特に、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量100質量%に対して、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、50質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは、60質量%以上、更に好ましくは、70質量%以上、最も好ましくは80〜93質量%である。50質量%未満になると、粘着剤組成物の適度な濡れ性や、粘着剤層の凝集力が劣ることになり、好ましくない。
また、本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、原料モノマーとして、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを含有することが好ましい。前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種又は2種以上を主成分として使用することができる。
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、粘着剤組成物の架橋などを制御しやすくなり、ひいては流動による濡れ性の改善と剥離における粘着力の低減とのバランスを制御しやすくなる。さらに、一般に架橋部位として作用しうるカルボキシル基やスルホネート基などとは異なり、ヒドロキシル基は、例えば、帯電防止成分(帯電防止剤)であるイオン性化合物などを使用する場合に、適度な相互作用を有するため、帯電防止性やピックアップ性の面においても、好適に用いることができる。
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、などがあげられる。特にアルキル基の炭素数が4以上のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることで高速剥離時の軽剥離化が容易となり好ましい。
前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、15質量部以下含有することが好ましく、より好ましくは、1〜13質量部、更に好ましくは、2〜11質量部であり、最も好ましくは3.5〜10質量部である。前記範囲内にあると、粘着剤組成物の濡れ性と、得られる粘着剤層の凝集力のバランスを制御しやすくなるため、好ましい。また、特に5質量部以上配合することにより、クリープ特性の良い粘着剤組成物を得やすくなる。
また、その他の重合性モノマー成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、カルボキシルペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルテトラヒドロフタル酸などがあげられる。
前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーは、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部未満がさらに好ましく、最も好ましくは、0.01質量部以上0.1質量部未満である。特にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーと併用して用いることにより、クリープ特性に優れた粘着剤組成物が得られる点から好ましく用いられる場合がある。なお、特にクリープ特性と軽剥離性の両立を図る場合には、前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを5質量部以上含有し、かつ前記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを0.01質量部以上0.1質量部未満含有させることで特性の両立が図れ、好ましい。
更に、前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、及び、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、本発明の特性を損なわない範囲内であれば、特に限定することなく用いることができる。たとえば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの粘着力向上や架橋化基点として働く官能基を有する成分を適宜用いることができる。これら重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
前記ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
前記アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
前記イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
前記アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
前記エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
前記ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
本発明において、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーは、前記炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー100質量部に対して、0〜40質量部であることが好ましく、0〜30質量部であることがより好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、良好な再剥離性を適宜調節することができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が10万〜500万が好ましく、より好ましくは20万〜200万、さらに好ましくは30万〜100万である。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤層の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し、被着体(例えば、偏光板)への濡れが不十分となり、被着体と粘着シートの粘着剤層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定して得られたものをいう。
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、被着体である偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。特にガラス転移温度を−61℃以下にすることで偏光板への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤層が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、特に作業性の観点や、被着体(被保護体)への低汚染性など特性面から、溶液重合がより好ましい態様である。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。また、重合条件や重合溶媒、重合開始剤なども、公知技術に基づき、適宜利用することができる。
前記粘着剤層がウレタン系粘着剤を使用する場合、任意の適切なウレタン系粘着剤を採用し得る。このようなウレタン系粘着剤としては、好ましくは、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂からなるものが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記粘着剤層がシリコーン系粘着剤を使用する場合、任意の適切なシリコーン系粘着剤を採用し得る。このようなシリコーン系粘着剤としては、好ましくは、シリコーン樹脂をブレンド又は凝集させることにより得られるものを採用し得る。
また、前記シリコーン系粘着剤としては、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤や過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤が挙げられる。これらのシリコーン系粘着剤の中でも、過酸化物(過酸化ベンゾイルなど)を使用せず、分解物が発生しないことから、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤が好ましい。
前記付加反応硬化型シリコーン系粘着剤の硬化反応としては、例えば、ポリアルキルシリコーン系粘着剤を得る場合、一般的に、ポリアルキル水素シロキサン組成物を白金触媒により硬化させる方法が挙げられる。
<粘着剤層における帯電防止成分>
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を構成する粘着剤組成物が、帯電防止成分を含有することが好ましく、前記帯電防止成分として、イオン性化合物を含有することがより好ましい。前記イオン性化合物としては、アルカリ金属塩、及び/又は、融点100°℃以下のイオン液体が挙げられる。これらのイオン性化合物を含有することにより、優れた帯電防止性を付与することができる。なお、帯電防止成分を含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層(帯電防止成分を使用)は、剥離した際に帯電防止されていない被着体(例えば、偏光板)への帯電防止が図れ、被着体への汚染が低減された粘着シートとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性粘着シートとして非常に有用となる。
<架橋剤>
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、架橋剤を含有することが好ましい。また、本発明においては、前記粘着剤組成物を用いて、粘着剤層とすることができる。例えば、前記粘着剤が、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含有する場合、前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択及び添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた粘着シート(粘着剤層)を得ることができる。
本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、及び金属キレート化合物などを用いてもよく、特にイソシアネート化合物の使用は、好ましい態様となる。また、これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
前記イソシアネート化合物としては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類、前記イソシアネート化合物をアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体が挙げられる。たとえば、市販品として、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネート600、タケネートD165N、タケネートD178N(以上、武田薬品工業社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX(以上、日本ポリウレタン工業社製)などがあげられる。これらイソシアネート化合物は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよく、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いることも可能である。架橋剤を併用して用いることにより粘着性と耐反発性(曲面に対する接着性)を両立することが可能となり、より接着信頼性に優れた粘着シートを得ることができる。
また、前記イソシアネート化合物(2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いる場合には、両化合物の配合比(質量比)としては、[2官能のイソシアネート化合物]/[3官能以上のイソシアネート化合物](質量比)が、0.1/99.9〜50/50で配合することが好ましく、0.1/99.9〜20/80がより好ましく、0.1/99.9〜10/90がさらに好ましく、0.1/99.9〜5/95がより好ましく、0.1/99.9〜1/99が最も好ましい。前記範囲内に調整して配合することにより、粘着性と耐反発性に優れた粘着剤層となり、好ましい態様となる。
前記エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。
前記メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、TAZM、TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。
前記金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01〜10質量部含有されていることが好ましく、0.1〜8質量部含有されていることがより好ましく、0.5〜7質量部含有されていることがさらに好ましく、1.0〜5質量部含有されていることが最も好ましい。前記含有量が0.01質量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、得られる粘着剤層の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が10質量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、被着体(例えば、偏光板)への濡れが不十分となって、被着体と粘着剤層(粘着剤組成物層)との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記粘着剤組成物には、さらに、上述したいずれかの架橋反応をより効果的に進行させるための架橋触媒を含有させることができる。かかる架橋触媒として、例えばジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズなどのスズ系触媒、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(ヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(5−メチルヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(オクタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(6−メチルヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−4,6−ジオナト)鉄、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(トリデカン−6,8−ジオナト)鉄、トリス(1−フェニルブタン−1,3−ジオナト)鉄、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)鉄、トリス(アセト酢酸エチル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(アセト酢酸イソプロピル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸メチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸エチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸イソプロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸ベンジル)鉄、トリス(マロン酸ジメチル)鉄、トリス(マロン酸ジエチル)鉄、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、塩化第二鉄などの鉄系触媒を用いることができる。これら架橋触媒は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
前記架橋触媒の含有量は、特に制限されないが、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、およそ0.0001〜1質量部とすることが好ましく、0.001〜0.5質量部がより好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤層を形成した際に架橋反応の速度が速く、粘着剤組成物のポットライフも長くなり、好ましい態様となる。
さらに、前記粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を第3の樹脂層上に形成してなるものであるが、その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を樹脂層などに転写することも可能である。
また、第3の樹脂層上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物(溶液)を樹脂層に塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を樹脂層上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を樹脂層上に塗布して粘着シートを作製する際には、樹脂層上に均一に塗布できるよう、前記粘着剤組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
また、本発明の粘着シートを製造する際の粘着剤層の形成方法としては、粘着テープ類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
通常、前記粘着剤層の厚みが3〜100μmであり、好ましくは、5〜50μm程度となるように作製する。粘着剤層の厚みが、前記範囲内にあると、適度な再剥離性と粘着(接着)性のバランスを得やすいため、好ましい。
<セパレーター>
本発明の粘着シートには、必要に応じて粘着面を保護する目的で、粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。
前記セパレーターを構成する材料としては、紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合せ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
ここに開示される粘着シートは、樹脂層、及び、粘着剤層に加えて、さらに他の層を含む態様でも実施され得る。かかる「他の層」の配置としては、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間、第2の樹脂層と第3の樹脂層との間に、接着層や粘着剤層等を有する場合が例示される。更に、第1の樹脂層の背面に帯電防止層(トップコート層)を有することもあり得る。また、第3の樹脂層と粘着剤層との間に施される処理として、例えば、粘着剤層の投錨性を高める下塗り処理(アンカー層)、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理の塗布等の、公知又は慣用の表面処理が施されていてもよい。
また、本発明の粘着シートは、総厚みが、7〜700μmが好ましく、25〜500μmがより好ましく、50〜300μmが更に好ましい。前記範囲内であると、粘着特性(再剥離性、粘着性、ピックアップ性など)、作業性に優れ、被着体(例えば、光学部材)の反りを極めて良好に抑制することができる好ましい態様となる。なお、前記総厚みとは、樹脂層、粘着剤層などの全ての層を含む厚みの合計を意味する。
本発明の粘着シートを構成する前記粘着剤層のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムに対する23℃で50%RHにおける180°ピールきっかけ剥離力は、6N/25mm以下であり、好ましくは、5.5N/25mm以下であり、更に好ましくは、5N/25mm以下である。前記きっかけ剥離力)が、6N/25mmを超えると、粘着シートを、被着体(例えば、偏光板など)からピックアップテープで剥離する際に剥離できなくなり、ピックアップ性に劣り、好ましくない。なお、前記きっかけ剥離力とは、粘着シートを被着体から剥離する際の初めの最大応力の指標であり、基材である樹脂層フィルムの弾性変形に必要な力を示すものであり、基材である樹脂層フィルム全体の硬さに関連するものである。また、前記きっかけ剥離力が低い値を示すほど、ピックアップ性が向上することになる。
本発明の粘着シートは、前記粘着シートを幅20mm、長さ150mmに切断し、粘着面が外側を向くように端部をテープでガラス板に固定したときの中心高さH1と、中心位置に4.8gの荷重を載せた時の中心位置高さH2の差(たわみ量)が、35mm未満であり、好ましくは、32mm以下であり、更に好ましくは、30mm以下である。前記たわみ量が、35mm以上になると、粘着シートを貼り合せた光学部材が搬送工程中でたわみ易くなるため、好ましくない。
本発明の光学部材は、前記粘着シートにより保護されることが好ましい。前記粘着シートは、たわみ量が低く抑えられているため、加工、搬送、出荷時等の表面保護用途(粘着シート)に使用した際に、被着体である光学部材の折れや変形を防止でき、ピックアップ性などに優れるため、前記光学部材(偏光板など)の表面を保護だけでなく、作業性にも優れ、有用なものとなる。
以下、本発明に関連するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」及び「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
また、以下の説明中の各特性は、それぞれ次のようにして測定又は評価した。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
サンプル濃度:0.2質量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。また、数平均分子量(Mn)を測定する必要はある場合も、重量平均分子量と同様に測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
ガラス転移温度Tg(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの質量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕
文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA):−40℃
2−ヒドロキエチルアクリレート(HEA):−15℃
アクリル酸(AA):106℃
N−ビニル−2−ピロリドン(NVP):80℃
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)及び「Polymer Handbook」(John Wiley & Sons)、モノマー製造メーカーカダログ値を参照した。
また、文献値が不明なモノマーにより得られた(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)(℃)については、下記の手順で、動的粘弾性測定により決定した。
まず、厚さ20μmの(メタ)アクリル系ポリマーのシートを積層して約2mmの厚さとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度(Tg)測定用サンプルとした。
上記測定用サンプルを用い、φ7.9mmパラレルプレートの治具に上記測定サンプルを固定し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(Tg)(℃)とした。測定条件は下記の通りである。
測定:せん断モード
温度範囲:−70℃〜150℃
昇温範囲:5℃/min
周波数:1Hz
<厚み測定>
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC−351C」)を用いて測定した。
<引張強さ>
JIS C 2318に準拠し、引張試験機(島津製作所製、製品名「オートグラフ」)を用いて測定した。
本発明における第1の樹脂層及び第3の樹脂層(第1及び第3の樹脂層)の引張強さは、180MPa以上であり、好ましくは180〜350MPaであり、より好ましくは、180〜320MPaであり、更に好ましくは、180〜300MPaであり、最も好ましくは、180〜250MPaである。前記範囲内であれば、粘着シートのたわみ量を抑制することが可能となり、好ましい態様となる。
また、本発明における第2の樹脂層の引張強さは、150MPa未満であり、好ましくは、140MPa未満であり、更に好ましくは、130MPa未満であり、特に好ましくは、10〜130MPaであり、最も好ましくは、20〜125MPaである。前記範囲内にあると、粘着シートのピックアップ性が良好となり、好ましい態様となる。
<きっかけ剥離力(ピックアップ力)>
図2に示すように、各例に係る粘着シート(表面保護フィルム)1の粘着面20Aをプレーン偏光板(日東電工社製のTAC偏光板:トリアセチルセルロース、SEG1425DU)50上に0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度で圧着し、幅25mm、長さ100mmのサイズにカットした。片面粘着テープ(ニチバン社製、商品名「セロテープ(登録商標)」、幅24mm)60を50mmの長さにカットした。この粘着テープの粘着面を、端部が1mmはみ出るように、粘着シート1の幅25mmの背面中心上に、ハンドローラーで圧着した。これを23℃、50%RHの条件下に10秒間放置した。その後、片面粘着テープ60をオートグラフで180°方向に0.3m/分の速度で剥離した際の、剥離初めにかかる最大応力をきっかけ剥離力(N/25mm)とした。
なお、前記きっかけ剥離力(ピックアップ力)は、6N/25mm以下であり、好ましくは、5.5N/25mm以下であり、更に好ましくは、5N/25mm以下である。前記ピックアップ力(きっかけ剥離力)が、6N/25mmを超えると、粘着シートを偏光板からピックアップテープで剥離する際に剥離できなくなり、好ましくない。
<たわみ量>
図3に示すように、各例に係る粘着シート1を幅20mm、長さ150mmのサイズにカットし、この粘着シート1の粘着面が外側に向くようにして端部をテープT(日東電工社製、No.31B)でガラス板Gに固定した。その時の粘着シートの中心位置の高さH1を測定した。次に中心位置に4.8gの荷重Lを載せ、その時の粘着シートの中心位置の高さH2を測定した。以下式により、たわみ量[mm]を求めた。
たわみ量=H1−H2[mm]
なお、前記たわみ量は、35mm未満であり、好ましくは、32mm以下であり、更に好ましくは、30mm以下である。前記たわみ量が、35mm以上になると、粘着シートを貼り合せた光学部材が搬送工程中でたわみ易くなるため、好ましくない。なお、前記たわみ量は、基材である樹脂層フィルムの柔軟性を示す指標となる。
以下に、樹脂層フィルム、粘着剤組成物、粘着シート(表面保護フィルム)の調製方法を記載した。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(A)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)10質量部、アクリル酸(AA)0.02質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル157質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(A)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、54万、ガラス転移温度(Tg)は、−67℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(B)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)4質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル157質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(B)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量(Mw)は、54万、ガラス転移温度(Tg)は、−68℃であった。
<粘着剤層用のアクリル系ポリマー(C)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)5質量部、アクリル酸(AA)0.02質量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)5質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル157質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(C)溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマー(C)の重量平均分子量(Mw)は、54万、ガラス転移温度(Tg)は、−63℃であった。
[実施例1]
<樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び、第3の樹脂層の順)の調製>
第1及び第3の樹脂層としてポリエステル系樹脂(帝人(株)社製、「TR−8550T1」、ポリエチレンテレフタレート(PET))を、また、第2の樹脂層として、ポリエチレン系樹脂(日本ポリエチレン(株)社製、「ノバテックLL UE320」、低密度ポリエチレン(PE))を、それぞれ3台の押出機に供給し、第1の樹脂層/第2の樹脂層/第3の樹脂層の厚さの比が、25:30:25となるように共押出して、厚さ80μmの3層の共押出多層フィルム(樹脂層フィルム)を成形した。なお、その他の実施例及び比較例における樹脂層フィルムについては、表5の構成に基づき、実施例1と同様にして、樹脂層フィルムを調製した。
<アクリル系粘着剤溶液(D)の調整>
前記アクリル系ポリマー溶液(A)(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈し、この溶液500質量部(固形分100質量部)に、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートHX(C/HX))3.5質量部(固形分3.5質量部)、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)2質量部(固形分0.02質量部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(D)を調製した。
<粘着シート(表面保護フィルム)の作製>
前記アクリル系粘着剤溶液(D)を、前記樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順)の第1の樹脂層とは反対面に塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シート(表面保護フィルム)を作製した。
[実施例2]
<アクリル系粘着剤溶液(E)の調整>
前記アクリル系ポリマー溶液(A)(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈し、この溶液500質量部(固形分100質量部)に、オルガノポリシロキサン(信越シリコーン株式会社製、商品名:KF−353)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液2質量部(固形分0.2質量部)、イオン性化合物であるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(東京化成工業社製、商品名:LiTFSI)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液1.5質量部(固形分0.15質量部)、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートHX(C/HX))3.5質量部(固形分3.5質量部)及びポリイソシネート変性体(三井化学社製、商品名:タケネート600)0.3質量部(固形分0.3質量部)、架橋触媒として、鉄(III)アセチルアセトナート(トリス(アセチルアセトナト)鉄)(東京化成工業社製)(1質量%酢酸エチル溶液)1質量部(固形分0.01質量部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(E)を調製した。
<粘着シート(表面保護フィルム)の作製>
前記アクリル系粘着剤溶液(E)を、表5に示す樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順)の第1の樹脂層とは反対面に塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シート(表面保護フィルム)を作製した。
[実施例3]
<アクリル系粘着剤溶液(F)の調整>
前記アクリル系ポリマー溶液(B)(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈し、この溶液500質量部(固形分100質量部)に、界面活性剤であるポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬社製、商品名:アクアロン HS−10)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液3質量部(固形分0.3質量部)、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートHX(C/HX))5質量部(固形分5質量部)、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)2質量部(固形分0.02質量部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(F)を調製した。
<粘着シート(表面保護フィルム)の作製>
前記アクリル系粘着剤溶液(F)を、表5に示す樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順)の第1の樹脂層とは反対面に塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シート(表面保護フィルム)を作製した。
[実施例4]
<アクリル系粘着剤溶液(G)の調整>
前記アクリル系ポリマー溶液(C)(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈し、この溶液500質量部(固形分100質量部)に、架橋剤として、トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートL(C/L))4.7質量部(固形分3.5質量部)、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)2質量部(固形分0.02質量部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(G)を調製した。
<粘着シート(表面保護フィルム)の作製>
前記アクリル系粘着剤溶液(G)を、表5に示す樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順)の第1の樹脂層とは反対面に塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シート(表面保護フィルム)を作製した。
[実施例5]
<ウレタン系粘着剤溶液(H)の調製>
ポリオールとして、ヒドロキシル基を3個有するポリオールであるプレミノールS3011(旭硝子社製、Mn=10000)85質量部、ヒドロキシル基を3個有するポリオールであるサンニックスGP3000(三洋化成社製、Mn=3000)13質量部、ヒドロキシル基を3個有するポリオールであるサンニックスGP1000(三洋化成社製、Mn=1000)2質量部、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネートHX(C/HX))18質量部、架橋触媒として、鉄(III)アセチルアセトナート(トリス(アセチルアセトナト)鉄)(東京化成工業社製)0.04質量部、濡れ性向上剤として、ミルスチン酸イソプロピル(エキセパールIPM、花王社製)30質量部、酸化防止剤として、Irganox1010(BASF社製)0.5質量部、希釈溶剤として、酢酸エチル210質量部を配合し、ウレタン系粘着剤溶液を得た。なお、ウレタン系粘着剤溶液(H)の原料としては、溶剤以外は、全て、固形分もしくは濃度100%の原料である。
<粘着シート(表面保護フィルム)の作製>
前記ウレタン系粘着剤溶液(H)を、表5に示す樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順)の第1の樹脂層とは反対の面に塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、表面保護フィルムを作製した。
[実施例6]
<シリコーン系粘着剤溶液(I)の調製>
シリコーン系粘着剤として、「X−40−3229](固形分60質量%、信越化学工業社製)を固形分で100質量部、白金触媒として、「CAT−PL−50T」(信越化学工業社製)0.5質量部、溶剤としてトルエン100質量部を配合して、シリコーン系粘着剤溶液(I)を得た。
<粘着シート(表面保護フィルム)の作製>
前記シリコーン系粘着剤溶液(I)を、表5に示す樹脂層フィルム(第1の樹脂層、第2の樹脂層、第3の樹脂層の順)の第1の樹脂層とは反対の面に塗布し、150℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したセパレーターであるポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、表面保護フィルムを作製した。
[比較例1〜4]
表1〜3に基づき、実施例1等と同様にして、粘着シート(表面保護フィルム)を作製した。なお、表中の配合量は、固形分(又は濃度100%)を示した。
実施例及び比較例に係る粘着シートにつき、上述した各種測定及び評価を行った結果を、表5に示した。
Figure 2016138221
Figure 2016138221
Figure 2016138221
Figure 2016138221
Figure 2016138221
なお、表1、表2及び表5中の略称を、以下に説明する。
<モノマー成分>
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキエチルアクリレート
AA:アクリル酸
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
<架橋剤>
C/HX:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートHX)
C/L:トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL)
<第1及び第3の樹脂層の材質>
PET:ポリエステル系樹脂、帝人(株)社製、商品名:TR−8550T1、引張強さ:230MPa
PEN:ポリエステル系樹脂、帝人(株)社製、商品名:TN8065S、引張強さ:280MPa
CPP:ポリプロピレン系樹脂、住友化学(株)社製、商品名:R101、引張強さ:34MPa
<第2の樹脂層の材質>
PE:ポリエチレン系樹脂、日本ポリエチレン(株)社製、商品名:ノバテックLL UE320、引張強さ:30MPa
EVA:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、三菱化学(株)社製、商品名:ノバテック EVA、引張強さ:25MPa
IO:アイモノマー樹脂、三井・デュポンポリケミカル(株)社製、商品名:ハイミラン 1554W、引張強さ:50MPa
PVC:ポリ塩化ビニル系樹脂、三菱化学(株)社製、商品名:ビニカ CA65NA、引張強さ:120MPa
PC:ポリカーボネート系樹脂、帝人(株)社製、商品名:Panlite AD−5503、引張強さ:150MPa
上記評価結果より、全ての実施例において、所望の厚み比や引張強さなどを有する粘着シートを用いたことにより、たわみ量が低く抑えられているにもかかわらず、きっかけ剥離力が小さく抑えられ、樹脂層フィルム(基材)の剛性が保持されつつ、ピックアップ性や再剥離性に優れることが確認できた。一方、比較例においては、所望の厚みの比などを有する粘着シートを用いなかったため、全ての特性を満足できるものは得られなかった。
ここに開示される粘着シートは、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ等の構成要素として用いられる光学部材の製造・搬送時等において、光学部材を保護するための粘着シート(表面保護フィルム)として好適である。特に、液晶ディスプレイパネル用の偏光板(偏光フィルム)、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、光拡散シート、反射シート等の光学部材に適用される粘着シート(光学用粘着シート)として有用である。
1 粘着シート(表面保護フィルム)
2 第1の樹脂層
3 第2の樹脂層
4 第3の樹脂層
5 粘着剤層
12 樹脂フィルム
20 粘着剤層
20A 粘着面
50 プレーン偏光板
60 片面粘着テープ
62 粘着剤層(粘着面)
64 基材
T No.31Bテープ
G ガラス板
H 中心位置からの高さ
L 荷重

Claims (6)

  1. 第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び第3の樹脂層と、粘着剤組成物より形成される粘着剤層とをこの順で有する粘着シートであって、
    前記第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層の引張強さが180MPa以上、前記第2の樹脂層の引張強さが150MPa未満であり、
    前記第1の樹脂層の厚みと前記第3の樹脂層の厚みの和に対する前記第2の樹脂層の厚みの比の値が、10以下であり、
    前記粘着シートのトリアセチルセルロースフィルムに対する23℃で50%RHにおける180°ピールきっかけ剥離力が、6N/25mm以下であり、
    前記粘着シートを幅20mm、長さ150mmに切断し、粘着面が外側を向くように端部をテープでガラス板に固定したときの中心高さH1と、中心位置に4.8gの荷重を載せた時の中心位置高さH2の差(たわみ量)が、35mm未満であることを特徴とする粘着シート。
  2. 前記第2の樹脂層の厚みが、2〜200μmであることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記第2の樹脂層が、熱可塑性樹脂より形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層の少なくとも一方が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート。
  5. 前記粘着剤組成物が、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及び、シリコーン系粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シートにより保護されることを特徴とする光学部材。



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