JP2019183143A - 粘着剤、粘着シート、および水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法 - Google Patents

粘着剤、粘着シート、および水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポットライフおよび初期硬化性が良好であり、また、濡れ性および基材密着性が良好で高温高湿環境下に置かれたとしても良好な再剥離性を有する粘着層を形成することが可能な粘着剤を提供する。【解決手段】本発明の粘着剤は、1官能基あたりの数平均分子量が1650以上であるポリエーテルポリオール(HA)と、1官能基あたりの数平均分子量が300以下である1分子中に複数の活性水素基を有する活性水素基含有化合物(HB)とを含む複数種の活性水素基含有化合物(HX)と、1種以上のポリイソシアネート(N)との反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)と、多官能イソシアネート化合物(I)とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤、粘着シート、および、水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法に関する。
従来より、各種部材の表面保護シートとして、基材シート上に粘着層が形成された粘着シートが広く用いられている。粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、およびウレタン系粘着剤等がある。アクリル系粘着剤は粘着力に優れるが、粘着力が強いために被着体に貼着した後の再剥離性が良くない。特に、高温高湿環境下での経時後には、粘着力の上昇により再剥離性が一層低下して、再剥離後に被着体の表面に粘着剤が残る被着体汚染を生じやすい傾向がある。シリコーン系粘着剤は、被着体に汚染を生じやすく、さらに分子量の比較的低いシリコーン樹脂が揮発して電子デバイス等の機器の表面に吸着して不具合を起こす恐れもある。これに対して、ウレタン系粘着剤は、被着体に対して良好な密着性を有しつつ、再剥離性にも比較的優れ、揮発もし難い。
本明細書において、「粘着剤」は再剥離性を有する粘着剤(再剥離型粘着剤)であり、「粘着シート」は再剥離性を有する粘着シート(再剥離粘着シート)である。
液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末等の電子機器に広く使用されている。
ウレタン系粘着シートは、フラットパネルディスプレイおよびタッチパネルディスプレイ、並びに、これらの製造工程で製造または使用される基板(ガラス基板、およびガラス基板上にITO(インジウム酸化錫)膜が形成されたITO/ガラス基板等)および光学部材等の表面保護シートとして好適に用いられる。
ウレタン系粘着剤の製造方法としては、ポリオール等の活性水素基含有化合物およびポリイソシアネートの反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマーと多官能イソシアネート化合物とを用いる方法と、水酸基末端ウレタンプレポリマーを用いずにポリオールと多官能イソシアネート化合物とを一度で反応させる方法(ワンショット法)とがある。
一般的な粘着シートの製造方法は、基材シート上に粘着剤を塗工する塗工工程と、形成された塗工層を加熱乾燥処理して粘着剤の硬化物を含む粘着層を形成する加熱工程と、得られた粘着シートを巻芯に巻取って粘着シートロールの形態とする巻取工程と、粘着シートロールを養生する養生工程とを含む。
特許第5501489号公報 特開2016−138237号公報 特開2016−204468号公報
ウレタン系粘着剤は製造直後から硬化が進むが、初期硬化性が高すぎると、ポットライフが短くなり、基材シート上に粘着剤を塗工するまでの間に粘着剤の粘度が高くなりすぎて均一な塗工ができなくなる恐れがある。ウレタン系粘着剤の初期硬化性が低すぎると、塗工層または粘着層が、塗工層の加熱乾燥時の熱風、または、加熱乾燥後に得られる粘着シートの巻取り時および養生時に受ける機械的応力の影響を受け、粘着層に巻芯段差痕、ゆず肌、および巻癖等の表面外観不良が生じる恐れがある。ウレタン系粘着剤は、良好なポットライフを有しつつ、良好な初期硬化性を有することが好ましい。
粘着シートは、粘着層の基材シートに対する密着性(基材密着性とも言う)が良好であることが好ましい。粘着シートは、良好な基材密着性を有しつつ、被着体から取り外す際には、被着体から容易に再剥離できる、良好な再剥離性を有することが好ましい。粘着シートは、高温高湿環境に曝された場合においても、再剥離後に被着体の表面に粘着剤成分が残る被着体汚染がないことが好ましい。
粘着層は、ガラス等の被着体に対して良好な濡れ性を有し、粘着シートを被着体に貼着する際に貼着界面に気泡を巻き込まないことが好ましい。ウレタン系粘着剤においては、濡れ性を向上するために、可塑剤が添加される場合がある。しかしながら、可塑剤の添加量が多い場合には、特に高温高湿環境に曝された場合に、粘着シートの再剥離後に被着体の表面に粘着剤成分が残る被着体汚染が生じる恐れがある。そのため、可塑剤の添加量は少ない方が好ましく、可塑剤の添加量がないことがより好ましい。ウレタン系粘着剤は、可塑剤の添加量が少ない/好ましくは可塑剤の添加量がない配合組成でも、良好な濡れ性を有することが好ましい。
本発明の関連文献として、特許文献1〜3が挙げられる。
特許文献1には、OH基を3個有する数平均分子量(Mn)が8000〜20000のポリオール(A1)とOH基を3個以上有する数平均分子量(Mn)が5000以下のポリオール(A2)とを含む複数種のポリオール(A)と多官能イソシアネート化合物(B)とを含む組成物を硬化させて得られたポリウレタン系樹脂を含むウレタン系粘着剤が開示されている(請求項1)。
特許文献2には、下記ポリオール(A1)を含み、ポリイソシアネート化合物(B)と反応させて粘着剤を得るための粘着剤用ポリオール組成物が開示されている(請求項1)。
ポリオール(A1):官能基数が3以上、官能基1個あたりの数平均分子量(Mn)が500〜2500、オキシアルキレン基の合計量に対するオキシエチレン基の含有量が16モル%以上であるポリオキシアルキレンポリオール。
特許文献2には、
第1の容器に収容された主剤組成物と、第2の容器に収容された硬化剤組成物とを有し、
前記主剤組成物が、上記の粘着剤用ポリオール組成物であり、
前記硬化剤組成物がポリイソシアネート化合物(B)を含み、
前記主剤組成物および前記硬化剤組成物の一方または両方が触媒(C)を含有する、粘着剤用キットが開示されている(請求項5)。
特許文献3には、不飽和度が0.07meq/g以下であり、数平均分子量(Mn)が3000〜30000であるポリエーテルジオールAと、ポリイソシアネートCとを用いて得られ、ポリイソシアネートCの有するNCO基と、ポリエーテルジオールAの有するOH基総量との比率が0.85〜1.15(モル比)の範囲であるウレタンプレポリマーを含むウレタン系粘着剤が開示されている(請求項9)。
なお、特許文献1〜3に記載の各成分の符号は、これら文献に記載の符号であり、本発明の各成分に使用する符号とは何ら関係がない。
特許文献1、2に記載のウレタン系粘着剤は、ワンショット法によるウレタン系粘着剤である。一般的に、ワンショット法で得られるウレタン系粘着剤を用いた粘着層は硬く、硬化収縮により粘着層の表面平滑性も悪化しやすい傾向がある。
特許文献3に記載のウレタン系粘着剤では、ウレタンプレポリマーの原料ポリオールとして、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1500〜15000であるポリエーテルジオールAが用いられている。ウレタンプレポリマーの原料ポリオールとしてこのような比較的長鎖のポリオールを用いる場合、粘着層の濡れ性を向上することができるが、粘着剤の初期硬化性が低下し、粘着層の再剥離性が低下する傾向がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ポットライフおよび初期硬化性が良好であり、また、濡れ性および基材密着性が良好で高温高湿環境下に置かれたとしても良好な再剥離性を有する粘着層を形成することが可能な粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することを目的とする。
本発明の粘着剤は、
1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上であるポリエーテルポリオール(HA)と、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である1分子中に複数の活性水素基を有する活性水素基含有化合物(HB)とを含む複数種の活性水素基含有化合物(HX)と、1種以上のポリイソシアネート(N)との反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)と、
多官能イソシアネート化合物(I)とを含む。
本発明の粘着シートは、基材シートと、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む。
本発明の水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法は、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である1種以上のポリエーテルポリオール(HA)と1種以上のポリイソシアネート(N)とを、イソシアネート基過剰の割合で反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)を生成する工程と、
得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)と1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である1分子中に複数の活性水素基を有する1種以上の活性水素基含有化合物(HB)とを反応させる工程とを有する。
本明細書において、「Mw」はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。「Mn」はGPC測定によって求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。これらは、[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
本発明によれば、ポットライフおよび初期硬化性が良好であり、また、濡れ性および基材密着性が良好で高温高湿環境下に置かれたとしても良好な再剥離性を有する粘着層を形成することが可能な粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することができる。
本発明に係る第1実施形態の粘着シートの模式断面図である。 本発明に係る第2実施形態の粘着シートの模式断面図である。
本発明の粘着剤は、複数種の活性水素基含有化合物(HX)と1種以上のポリイソシアネート(N)との反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)と、多官能イソシアネート化合物(I)とを含むウレタン系粘着剤である。
本発明では、複数種の活性水素基含有化合物(HX)は、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である1種以上のポリエーテルポリオール(HA)と、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である1分子中に複数の活性水素基を有する1種以上の活性水素基含有化合物(HB)とを含む。
本発明の粘着シートは、基材シートと、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含むウレタン系粘着シートである。
[粘着剤]
(水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH))
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)は、複数種の活性水素基含有化合物(HX)と1種以上のポリイソシアネート(N)とを共重合反応させて得られる反応生成物である。共重合反応は必要に応じて、1種以上の触媒存在下で行うことができる。共重合反応には必要に応じて、1種以上の溶剤を用いることができる。
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)は好ましくは、ポリエーテルポリオール(HA)とポリイソシアネート(N)との反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)と、活性水素基含有化合物(HB)との反応生成物である。
本発明では、複数種の活性水素基含有化合物(HX)は、比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)と、比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)とを含む。
<ポリエーテルポリオール(HA)>
ポリエーテルポリオール(HA)は、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上であり、ウレタン(プレ)ポリマーの原料として一般的に用いられる活性水素基含有化合物よりも1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が大きい比較的長鎖のポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオール(HA)としては、公知のものを用いることができる。ポリエーテルポリオール(HA)としては、1分子中に複数の活性水素基を有する活性水素基含有化合物を開始剤として用い、1種以上のオキシラン化合物を付加重合させて得られる化合物(付加重合物)が挙げられる。
開始剤としては、水酸基含有化合物およびアミン類等が挙げられる。具体的には、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、N−アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、およびキシリレンジアミン等の2官能開始剤;グリセリン、トリメチロールプロパン、およびトリエタノールアミン等の3官能開始剤;ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、および芳香族ジアミン等の4官能開始剤;ジエチレントリアミン等の5官能開始剤等が挙げられる。
オキシラン化合物としては、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、およびブチレンオキシド(BO)等のアルキレンオキシド(AO);テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(HA)としては、活性水素含有化合物のアルキレンオキシド付加物(「ポリオキシアルキレンポリオール」とも言う)が好ましい。中でも、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、末端にエチレンオキサイド(EO)を付加させたPPG(PPG−EO)、およびポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール等の2官能ポリエーテルポリオール;グリセリンのアルキレンオキシド付加物等の3官能ポリエーテルポリオール等が好ましい。
ポリエーテルポリオール(HA)の不飽和度は低いことが好ましい。不飽和度は、ポリエーテルポリオール1g当たりに含まれる不飽和基の総量のことであり、不純物モノオール量に対応する。不飽和度が低い高純度材料を用いることにより、粘着剤の初期硬化性が良好となり、また、特に高温高湿環境に曝された場合に、粘着シートの再剥離後に被着体の表面に粘着剤成分が残る被着体汚染を抑制することができる。ポリエーテルポリオール(HA)の不飽和度は、好ましくは0.07meq/g以下、より好ましくは0.04meq/g以下、特に好ましくは0.01meq/g以下である。
本明細書において、特に明記しない限り、ポリオールの不飽和度は、JIS K1557 6.7に準拠して測定される値である。
<活性水素基含有化合物(HB)>
活性水素基含有化合物(HB)は、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下であり、ウレタン(プレ)ポリマーの原料として一般的に用いられる活性水素基含有化合物よりも1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が小さい比較的短鎖の活性水素基含有化合物である。
活性水素基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、およびアミノ基(本明細書において、特に明記しない限り、アミノ基はイミノ基を含む)等が挙げられる。活性水素基含有化合物(HB)としては、1分子中に複数のヒドロキシ基を有するポリオール、1分子中に複数のアミノ基を有するポリアミン、1分子中にアミノ基と水酸基を有するアミノアルコール、1分子中に複数のメルカプト基を有するポリチオール等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。活性水素基含有化合物(HB)は、非重合体でもよいし、重合体でもよい。
中でも、ポリオールが好ましい。ポリアミン及びポリチオールは反応性が高くポットライフが短いため、これらを用いる場合にはポリオールと併用することが好ましい。また、ポリオールが2級水酸基を含む場合、ウレタン系粘着剤の初期硬化性が向上しないため、ポットライフと初期硬化性の観点から、活性水素基含有化合物(HB)は適度な反応性を有する1級水酸基を含むことが好ましい。
非重合体のポリオールとしては、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(「1,3−オクタンジオール」とも言う)、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール、およびヘキサントリオール等が挙げられる。
活性水素基含有化合物(HB)として用いることができる重合体のポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびひまし油系ポリオール等が挙げられる。中でも、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびこれらの組合せが好ましい。
活性水素基含有化合物(HB)として用いることができるポリエステルポリオールとしては、公知のものを用いることができる。ポリエステルポリオールとしては例えば、1種以上のポリオール成分と1種以上の酸成分とのエステル化反応によって得られる化合物(エステル化物)が挙げられる。
原料のポリオール成分としては、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(1,3−オクタンジオール)、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびヘキサントリオール等が挙げられる。
原料の酸成分としては、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、ダイマー酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、およびこれらの酸無水物等が挙げられる。
活性水素基含有化合物(HB)として用いることができるポリエーテルポリオールとしては、公知のものを用いることができる。ポリエーテルポリオールとしては、1分子中に複数の活性水素基を有する活性水素基含有化合物を開始剤として用い、1種以上のオキシラン化合物を付加重合させて得られる化合物(付加重合物)が挙げられる。開始剤およびオキシラン化合物としては、ポリエーテルポリオール(HA)で例示したものと同様のものを使用することができる。
ポリエーテルポリオール(HA)と同様、活性水素基含有化合物(HB)として用いることができるポリエーテルポリオールとしては、活性水素基含有化合物のアルキレンオキシド付加物(ポリオキシアルキレンポリオール)が好ましい。中でも、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、末端にエチレンオキサイド(EO)を付加させたPPG(PPG−EO)、およびポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール等の2官能ポリエーテルポリオール;グリセリンのアルキレンオキシド付加物等の3官能ポリエーテルポリオール等が好ましい。
活性水素基含有化合物(HB)として用いることができるポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミン、ノルボルナン骨格のジメチレンアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族ポリアミン;3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン、およびジエチルトルエンジアミン等の芳香族ポリアミン;等が挙げられる。
活性水素基含有化合物(HB)として用いることができるアミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、および2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の水酸基を有するモノアミン;N−(2−ヒドロキシプロピル)エタノールアミン等の水酸基を有するジアミン;等が挙げられる。
活性水素基含有化合物(HB)として用いることができるポリチオールとしては、メタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパジチオール、トルエン−3,4−ジチオール、3,6−ジクロロ−1,2−ベンゼンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、4,4’−チオビスベンゼンチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、およびチオール基末端ポリマー(ポリサルファイドポリマー等)等が挙げられる。
一般的に、ウレタン系粘着剤においては、濡れ性を向上するために、可塑剤が添加される場合がある。しかしながら、可塑剤の添加量が多い場合には、特に高温高湿環境に曝された場合に、粘着シートの再剥離後に被着体の表面に粘着剤成分が残る被着体汚染が生じる恐れがある。
本発明では、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料活性水素基含有化合物として、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)、好ましくはアルキレンオキシ(AO)基を含む比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)を用いることで、可塑剤の添加量が少ない/好ましくは可塑剤の添加量がない配合組成でも、被着体に対する濡れ性が良好な粘着層を形成することが可能となる。例えば、ガラス基板およびITO/ガラス基板等の被着体に粘着シートを貼着する際に貼着界面に気泡を巻き込みにくい粘着層を形成することができる。エーテル結合を構成する、酸素原子に結合する有機基、好ましくはアルキレン基の数が比較的多いことで、可塑剤と同様の作用効果が発現すると考えられる。
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料として、比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)を用いる場合、粘着層の濡れ性は向上する一方、粘着剤の初期硬化性が低下し、粘着層の再剥離性が低下する傾向がある。ポリエーテルポリオール(HA)の1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が高くなる程、この傾向は大きくなる。
粘着層の濡れ性向上の観点から、ポリエーテルポリオール(HA)の1官能基あたりの数平均分子量(Mn)は、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上である。
本発明では、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料として、比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)を併用することで、比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)の使用による粘着剤の初期硬化性の低下と粘着層の再剥離性の低下を改善することができる。
粘着層の濡れ性向上、粘着剤の初期硬化性、粘着層の再剥離性のバランスの観点から、ポリエーテルポリオール(HA)の1官能基あたりの数平均分子量(Mn)は、好ましくは2000〜10000、より好ましくは3000〜9000である。
比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)の使用による粘着剤の初期硬化性の低下と粘着層の再剥離性の低下を効果的に改善できることから、活性水素基含有化合物(HB)の1官能基あたりの数平均分子量(Mn)は、好ましくは30〜300、より好ましくは30〜100である。
1種以上のポリエーテルポリオール(HA)は、2官能のポリエーテルポリオールおよび/または3官能以上のポリエーテルポリオールを含むことができる。同様に、1種以上の活性水素基含有化合物(HB)は、2官能の活性水素基含有化合物および/または3官能以上の活性水素基含有化合物を含むことができる。
一般的に、2官能の活性水素基含有化合物は2次元架橋性を有し、粘着層に適度な柔軟性を付与することができる。3官能以上の活性水素基含有化合物は3次元架橋性を有し、粘着層に適度な硬さを付与することができる。
1種以上のポリエーテルポリオール(HA)および1種以上の活性水素基含有化合物(HB)のそれぞれの官能基数(活性水素基の数)の選択により、ウレタン系粘着剤の粘着力、凝集力、および再剥離性等の特性を調整することができる。用途等に応じて、粘着力、凝集力、および再剥離性等の特性が好ましい範囲となるように、個々の材料の官能基数を選択することができる。粘着力と再剥離性とを両立させやすいことから、1種以上のポリエーテルポリオール(HA)は、3官能以上のポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。反応安定性と凝集力とを両立させやすいことから、1種以上の活性水素基含有化合物(HB)は、2官能の活性水素基含有化合物を含むことが好ましい。
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料である複数種の活性水素基含有化合物(HX)は、上記のポリエーテルポリオール(HA)および活性水素基含有化合物(HB)以外の公知の活性水素基含有化合物を1種以上含んでいてもよい。
本発明の関連文献として、「背景技術」の項に挙げた特許文献1〜3がある。これら文献には、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である比較的長鎖のポリオールについて記載されているが、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)の併用について記載および示唆がない。また、特許文献1、2に記載のウレタン系粘着剤はワンショット法によるもので、水酸基末端ウレタンプレポリマーを用いていない。
<ポリイソシアネート(N)>
ポリイソシアネート(N)としては公知のものを使用でき、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、および1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
その他、ポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット体、アロファネート体、および3量体(この3量体はイソシアヌレート環を含む。)等が挙げられる。
ポリイソシアネート(N)としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、および、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が好ましい。詳細については後記するが、1種以上のポリイソシアネート(N)は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を含むことが好ましい。
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の好ましい原料配合比は、以下の通りである。
複数種の活性水素基含有化合物(HX)の有する活性水素基(H)の総モル数に対するポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)が0.20〜0.84、より好ましくは0.40〜0.80となるように、原料配合比を決定することが好ましい。NCO/Hが1に近くなる程、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の合成時にゲル化しやすくなる傾向がある。NCO/Hが0.84以下であれば、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)合成時のゲル化を効果的に抑制することができる。
ポリエーテルポリオール(HA)の使用による粘着層の濡れ性向上効果、活性水素基含有化合物(HB)の使用による粘着剤の初期硬化性と粘着層の再剥離性の改善効果、所望の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の安定的な合成の観点から、
1種以上のポリエーテルポリオール(HA)100質量部に対して、1種以上の活性水素基含有化合物(HB)の量が0.5〜40質量部であり、1種以上のポリイソシアネート(N)の量が1.0〜20質量部であることが好ましい。
1種以上のポリエーテルポリオール(HA)100質量部に対して、1種以上の活性水素基含有化合物(HB)の量が1.0〜20質量部であり、1種以上のポリイソシアネート(N)の量が3.0〜10質量部であることがより好ましい。
<触媒>
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の重合には必要に応じて、1種以上の触媒を用いることができる。触媒としては公知のものを使用でき、3級アミン系化合物および有機金属系化合物等が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、および1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物および非錫系化合物等が挙げられる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、および2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系;オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系;2−エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系;安息香酸コバルトおよび2−エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;ナフテン酸亜鉛および2−エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
触媒の種類および添加量は、反応が良好に進む範囲で適宜設計することができる。
複数種の活性水素基含有化合物(HX)の反応性の相違により、単一触媒の系ではゲル化または反応溶液の白濁が生じやすくなる恐れがある。この場合、2種類の触媒を用いることにより、反応(例えば反応速度等)を制御しやすく、上記問題を解決することができる。2種類の触媒の組合せ特に制限されず、3級アミン/有機金属系、錫系/非錫系、および錫系/錫系等が挙げられる。好ましくは錫系/錫系、より好ましくはジブチル錫ジラウレートと2−エチルヘキサン酸錫である。
2−エチルヘキサン酸錫とジブチル錫ジラウレートとの質量比(2−エチルヘキサン酸錫/ジブチル錫ジラウレート)は特に制限されず、好ましくは0超1未満、より好ましくは0.2〜0.6である。当該質量比が1未満であれば、触媒活性のバランスが良く、反応溶液のゲル化および白濁を効果的に抑制し、重合安定性がより向上する。
<溶剤>
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の重合には必要に応じて、1種以上の溶剤を用いることができる。溶剤としては公知のものを使用でき、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の溶解性および溶剤の沸点等の点から、酢酸エチルおよびトルエン等が特に好ましい。
<水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の重合方法>
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の重合方法としては特に制限されず、塊状重合法および溶液重合法等の公知重合方法を適用することができる。
水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の重合手順としては、
手順1)1種以上のポリエーテルポリオール(HA)、1種以上の活性水素基含有化合物(HB)、1種以上のポリイソシアネート(N)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤を一括してフラスコに仕込む手順;
手順2)1種以上のポリエーテルポリオール(HA)、1種以上の活性水素基含有化合物(HB)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤をフラスコに仕込み、これに1種以上のポリイソシアネート(N)を滴下添加する手順;
手順3)1種以上のポリエーテルポリオール(HA)、1種以上のポリイソシアネート(N)、必要に応じて1種以上の触媒、および必要に応じて1種以上の溶剤を一括してフラスコに仕込み、ポリエーテルポリオール(HA)に対してポリイソシアネート(N)をイソシアネート基過剰の割合で反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)を生成させた後、1種以上の活性水素基含有化合物(HB)を添加する手順;等が挙げられる。
触媒を使用する場合の反応温度は、好ましくは100℃未満、より好ましくは50〜95℃、特に好ましくは60〜85℃である。反応温度が100℃以上では、反応速度および重合安定性等の制御が困難となり、所望の分子量を有する水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の生成が困難となる恐れがある。触媒を使用しない場合の反応温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上である。
手順1)および手順2)では、比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)と比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)とが同時に、ポリイソシアネート(N)と混ざり合う。この方法では、反応性の高い比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)が、反応性の低い比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)よりも、優先的にポリイソシアネート(N)と反応する傾向がある。この場合、反応性の低い比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)が未反応のまま残留し、反応液が白濁する恐れがある。未反応のまま残留する比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)をなくすために、活性水素基の総モル数に対してイソシアネート基のモル数を過剰の条件とした場合、比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)とポリイソシアネート(N)とが先に反応して生成されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、反応性の高い比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)との所望しない反応が起こり、反応液がゲル化する恐れがある。
反応を制御しやすいことから、手順3)が好ましい。この手順による重合は、1種以上のポリエーテルポリオール(HA)と1種以上のポリイソシアネート(N)とを、イソシアネート基過剰の割合で反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)を生成する工程と、得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)と1種以上の活性水素基含有化合物(HB)とを反応させる工程とを含む。
手順3)では、比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)が共存しない状態で、反応性の低い比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)のみを先に、ポリイソシアネート(N)と反応させてから、得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)と活性水素基含有化合物(HB)とを反応させる。この方法では、反応液のゲル化および白濁を抑制し、所望の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)を安定的に合成することができる。
したがって、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)は、ポリエーテルポリオール(HA)とポリイソシアネート(N)との反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)と、活性水素基含有化合物(HB)との反応生成物であることが好ましい。
手順3)において、1種以上のポリイソシアネート(N)がイソホロンジイソシアネート(IPDI)を含むことが好ましい。この場合、反応が制御しやすく、所望の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)を安定的に合成することができる。
(多官能イソシアネート化合物(I))
多官能イソシアネート化合物(I)としては公知のものを使用でき、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料であるポリイソシアネート(N)として例示した化合物(具体的には、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、および、これらのトリメチロールプロパンアダクト体/ビウレット体/アロファネート体/3量体)を用いることができる。
(可塑剤(P))
上記したように、本発明では、可塑剤(P)の添加量が少ない/好ましくは可塑剤(P)の添加量がない配合組成でも良好な濡れ性を有する粘着剤を提供することができる。したがって、本発明の粘着剤では、濡れ性を向上するために可塑剤(P)は必須成分ではないが、本発明の粘着剤は必要に応じて1種以上の可塑剤(P)を含むことができる。ただし、可塑剤(P)を添加する場合も、その量は低レベルに抑えることが可能である。水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対する可塑剤(P)の量は、例えば50質量部以下(0〜50質量部)でよく、好ましくは40質量部以下(0〜40質量部)、より好ましくは30質量部以下(0〜30質量部)、さらに好ましくは20質量部以下(0〜20質量部)、特に好ましくは10質量部以下(0〜10質量部)、最も好ましくは5質量部以下(0〜5質量部)である。
可塑剤(P)としては特に制限されず、他の成分との相溶性等の観点から、分子量250〜1,000の有機酸エステルが好ましい。
一塩基酸または多塩基酸とアルコールとのエステルとしては、例えば、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸オクチルドデシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジイソセチル、アセチルクエン酸トリブチル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル、トリメリット酸トリオレイル、およびトリメリット酸トリイソセチル等が挙げられる。
その他の酸とアルコールとのエステルとしては、例えば、ミリストレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソパルミチン酸、およびイソステアリン酸等の不飽和脂肪酸または分岐酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビタン等のアルコールとのエステルが挙げられる。
一塩基酸または多塩基酸とポリアルキレングリコールとのエステルとしては、例えば、ジヘキシル酸ポリエチレングリコール、ジ−2−エチルヘキシル酸ポリエチレングリコール、ジラウリル酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、およびアジピン酸ジポリエチレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
濡れ性向上等の観点から、有機酸エステルの分子量(式量またはMn)は、好ましくは250〜1,000、より好ましくは400〜900、特に好ましくは500〜850である。分子量が250以上であれば粘着層の耐熱性が良好となり、分子量が1,000以下であれば粘着剤の濡れ性が良好となる。
(溶剤)
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の溶剤を含むことができる。溶剤としては公知のものを使用でき、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、およびアセトン等が挙げられる。水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の溶解性および溶剤の沸点等の観点から、酢酸エチルおよびトルエン等が特に好ましい。
(変質防止剤)
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の変質防止剤を含むことができる。これにより、粘着層の長期使用による各種特性の低下を抑制することができる。変質防止剤としては、耐加水分解剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および光安定剤等が挙げられる。
<耐加水分解剤>
高温高湿環境下等において粘着層に加水分解反応が生じてカルボキシ基が生成した場合、このカルボキシ基を封鎖するために、耐加水分解剤を用いることができる。耐加水分解剤としては、カルボジイミド系、イソシアネート系、オキサゾリン系、およびエポキシ系等が挙げられる。中でも、加水分解抑制効果の観点から、カルボジイミド系が好ましい。
カルボジイミド系加水分解抑制剤は、1分子中に1つ以上のカルボジイミド基を有する化合物である。
モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、およびナフチルカルボジイミド等が挙げられる。
ポリカルボジイミド化合物は、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させて生成することができる。ここで、ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、およびこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等が挙げられる。
イソシアネート系加水分解抑制剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1, 4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
オキサゾリン系加水分解抑制剤としては、例えば、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4 −メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
エポキシ系加水分解剤としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、およびポリアルキレングリコール等の脂肪族ジオールのジグリシジルエーテル;ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、およびトリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、およびセバシン酸等の脂肪族または芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル;レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、および1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノールのジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテル;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、およびN,N,N',N'−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタン等のアミンのN−グリシジル誘導体;アミノフェノールのトリグリシジル誘導体;トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、およびトリグリシジルイソシアヌレート;オルソクレゾール型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられる。
耐加水分解剤の添加量は特に制限されず、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜4.5質量部、特に好ましくは0.5〜3質量部である。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、ラジカル捕捉剤および過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル捕捉剤としては、フェノール系化合物およびアミン系化合物等が挙げられる。過酸化物分解剤としては、硫黄系化合物およびリン系化合物等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリン−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,C7−C9側鎖アルキルエステル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、およびトコフェロール等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、およびジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
酸化防止剤を用いることで、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の熱劣化を防げる。また、可塑剤(P)を使用する場合の粘着層からの可塑剤(P)のブリードアウトを効果的に抑制することができる。
酸化防止剤の添加量は特に制限されず、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部、特に好ましくは0.2〜2質量部である。
酸化防止剤としては、安定性と酸化防止効果の観点から、ラジカル捕捉剤であるフェノール系化合物を1種以上用いること好ましく、ラジカル捕捉剤である1種以上フェノール系化合物と過酸化物分解剤である1種以上リン系化合物とを併用することがより好ましい。また、酸化防止剤として、ラジカル捕捉剤であるフェノール系化合物と過酸化物分解剤であるリン系化合物とを併用し、これら酸化防止剤と前述の耐加水分解剤とを併用することが特に好ましい。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびトリアジン系化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は特に制限されず、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.1〜2.5質量部、特に好ましくは0.2〜2質量部である。
<光安定剤>
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物およびヒンダードピペリジン系化合物等が挙げられる。光安定剤の添加量は特に制限されず、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.1〜1.5質量部、特に好ましくは0.2〜1質量部である。
(帯電防止剤)
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の帯電防止剤(AS剤)を含むことができる。帯電防止剤としては、無機塩、多価アルコール化合物、イオン性液体、および界面活性剤等が挙げられ、中でもイオン性液体が好ましい。なお、「イオン性液体」は常温溶融塩ともいい、25℃で流動性がある塩である。
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、塩化アンモニウム、塩素酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、およびチオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
多価アルコール化合物としては、例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等が挙げられる。
イミダゾリウムイオンを含むイオン液体としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
ピリジニウムイオンを含むイオン液体としては、例えば、1−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1−オクチル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチルピリジニウムビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、および1−メチルピリジニウムビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等が挙げられる。
アンモニウムイオンを含むイオン液体としては、例えば、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびトリ−n−ブチルメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド等が挙げられる。
その他、ピロリジニウム塩、ホスホニウム塩、およびスルホニウム塩等の市販のイオン液体を適宜使用できる。
界面活性剤は、低分子界面活性剤と高分子界面活性剤とに分類される。いずれのタイプにおいても、非イオン性、アニオン性、カチオン性、および両性のタイプがある。
非イオン性の低分子界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、および脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
アニオン性の低分子界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびアルキルホスフェート等が挙げられる。
カチオン性の低分子界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
両性の低分子界面活性剤としては、アルキルベタインおよびアルキルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
非イオン性の高分子界面活性剤としては、ポリエーテルエステルアミド型、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン型、およびポリエーテルエステル型等が挙げられる。
アニオン性の高分子界面活性剤としては、ポリスチレンスルホン酸型等が挙げられる。
カチオン性の高分子界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体型等が挙げられる。
両性の高分子界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、および高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
帯電防止剤の添加量は、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜5質量部である。
(レベリング剤)
本発明の粘着剤は必要に応じて、レベリング剤を含むことができる。レベリング剤を添加することで、粘着層のレベリング性を向上させることができる。レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、およびシリコーン系レベリング剤等が挙げられる、粘着シート再剥離後の被着体汚染抑制の観点から、アクリル系レベリング剤等が好ましい。
レベリング剤の重量平均分子量(Mw)は特に制限されず、好ましくは500〜20,000、より好ましくは1,000〜15,000、特に好ましくは2,000〜10,000である。Mwが500以上であれば、塗工層の加熱乾燥時において塗工層からの気化量が充分に少なく周囲の汚染が抑制される。Mwが20,000以下であれば、粘着層のレベリング性の向上効果が効果的に発現する。
レベリング剤の添加量は特に制限されず、粘着シート再剥離後の被着体汚染抑制と粘着層のレベリング性向上の観点から、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対して、好ましくは0.001〜2質量部、より好ましくは0.01〜1.5質量部、特に好ましくは0.1〜1質量部である。
(他の任意成分)
本発明の粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他の任意成分を含むことができる。他の任意成分としては、触媒、ウレタン系樹脂以外の他の樹脂、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、および酸化チタン等)、金属粉、着色剤(顔料等)、箔状物、軟化剤、導電剤、シランカップリング剤、潤滑剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、重合禁止剤、および消泡剤等が挙げられる。
(配合比)
本発明の粘着剤は、1種以上の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)および1種以上の多官能イソシアネート化合物(I)を必須成分として含み、さらに必要に応じて1種以上の任意成分を含む。これらの配合比は特に制限されないが、好ましい配合比は以下の通りである。
1種以上の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対する1種以上の多官能イソシアネート化合物(I)の量は、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。1種以上の多官能イソシアネート化合物(I)の量は、3質量部以上であれば粘着層の凝集力が良好となり、20質量部以下であればポットライフが良好となる。
(粘着剤の製造方法)
本発明の粘着剤の製造方法は、特に制限されない。
上記方法(好ましくは手順3))にて合成された水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)に対して、1種以上の多官能イソシアネート化合物(I)および必要に応じて1種以上の任意成分を添加混合することで、本発明の粘着剤を製造することができる。
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、基材シートと、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む。粘着層は、基材シートの片面または両面に形成することができる。必要に応じて、粘着層の露出面は、剥離シートで被覆することができる。なお、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。
図1に、本発明に係る第1実施形態の粘着シートの模式断面図を示す。図1中、符号10は粘着シート、符号11は基材シート、符号12は粘着層、符号13は剥離シートである。粘着シート10は、基材シートの片面に粘着層が形成された片面粘着シートである。
図2に、本発明に係る第2実施形態の粘着シートの模式断面図を示す。図2中、符号20は粘着シート、符号21は基材シート、符号22A、22Bは粘着層、符号23A、23Bは剥離シートである。
基材シートとしては特に制限されず、樹脂シート、紙、および金属箔等が挙げられる。基材シートは、これら基材シートの少なくとも一方の面に任意の1つ以上の層が積層された積層シートであってもよい。基材シートの粘着層を形成する側の面には、必要に応じて、コロナ放電処理およびアンカーコート剤塗布等の易接着処理が施されていてもよい。
樹脂シートの構成樹脂としては特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ナイロン66等のアミド系樹脂;ウレタン系樹脂(発泡体を含む);これらの組合せ等が挙げられる。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15〜300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20〜50,000μmである。
紙としては特に制限されず、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。
金属箔の構成金属としては特に制限されず、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
剥離シートとしては特に制限されず、樹脂シートまたは紙等の基材シートの表面に剥離剤塗布等の公知の剥離処理が施された公知の剥離シートを用いることができる。
粘着シートは、公知方法にて製造することができる。
はじめに、基材シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に、塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成する。加熱乾燥温度は特に制限されず、60〜150℃程度が好ましい。粘着層の厚み(乾燥後の厚み)は用途によって異なるが、好ましくは0.1〜200μmである。
次に必要に応じて、公知方法により粘着層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
上記方法とは逆に、剥離シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成し、次いで塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成し、粘着層の露出面に基材シートを積層してもよい。
粘着シートの製造方法は好ましくは、基材シート上に粘着剤を塗工する塗工工程と、形成された塗工層を加熱乾燥処理して粘着剤の硬化物を含む粘着層を形成する加熱工程と、得られた粘着シートを巻芯に巻取って粘着シートロールの形態とする巻取工程と、粘着シートロールを養生する養生工程とを含む。
本発明の粘着剤では、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料活性水素基含有化合物として、比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)を用いることで、可塑剤の添加量が少ない/好ましくは可塑剤の添加量がない配合組成でも良好な濡れ性を有する粘着層を形成することができる。
本発明では、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料活性水素基含有化合物として、比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)を併用することで、比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)の使用による粘着剤の初期硬化性の低下と粘着層の再剥離性の低下を改善することができる。
本発明の粘着剤は、良好なポットライフを有しつつ、良好な初期硬化性を有することができる。本発明の粘着剤はポットライフが良好であるので、基材シート上に粘着剤を塗工するまでの間に粘着剤の粘度が高くなりすぎることがなく、粘着剤の均一な塗工が可能である。本発明の粘着剤は、初期硬化性が良好であるので、塗工層または粘着層が、塗工層の加熱乾燥時の熱風、または、加熱乾燥後に得られる粘着シートの巻取り時および養生時に受ける機械的応力の影響を受け難く、粘着層に巻芯段差痕、ゆず肌、および巻癖等の表面外観不良が生じることが抑制される。
本発明の粘着剤では、可塑剤の添加を低減または不使用とすることができること、また、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の原料活性水素基含有化合物として比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)を使用することで、特に高温高湿環境に曝された場合に、粘着シートの再剥離後に被着体の表面に粘着剤成分が残る被着体汚染を効果的に抑制することができる。
本発明の粘着剤は、基材密着性も良好である。
以上説明したように、本発明によれば、ポットライフおよび初期硬化性が良好であり、また、濡れ性および基材密着性が良好で高温高湿環境下に置かれたとしても良好な再剥離性を有する粘着層を形成することが可能な粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することができ
る。
[用途]
本発明の粘着シートは、テープ、ラベル、シール、および両面テープ等の形態で、使用することができる。本発明の粘着シートは、表面保護シート、化粧用シート、および滑り止めシート等として好適に使用される。
液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(OELD)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末等の電子機器に広く使用されている。
本発明の粘着シートは、フラットパネルディスプレイおよびタッチパネルディスプレイ(これらを総称して単に「ディスプレイ」とも言う)、並びに、これらの製造工程で製造または使用される基板(ガラス基板、およびガラス基板上にITO(インジウム酸化錫)膜が形成されたITO/ガラス基板等)および光学部材等の表面保護シートとして好適に用いられる。
以下、合成例、本発明に係る実施例、および比較例について説明する。なお、以下の記載において、特に明記しない限り、「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味し、「RH」は相対湿度を意味するものとする。
[Mn、Mwの測定]
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りとした。なお、Mn、Mwはいずれも、ポリスチレン換算値である。
<測定条件>
装置:SHIMADZU Prominence(株式会社島津製作所製)、
カラム;TOSOH製 TSKgelGMHを2本直列に連結、
検出器:示差屈折率検出器(RID−10A)、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:1mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.1%、
試料注入量:100μL。
[材料]
使用した材料は、以下の通りである。
<1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上であるポリエーテルポリオール(HA)>
(HA−1):プレミノール5001F(表中の略号:PREM 5001F)、旭硝子社製、2官能ポリエーテルポリオール、Mn4000、水酸基数2、水酸基価28、不飽和度0.02、
(HA−2):プレミノールS4013F(表中の略号:PREM S4013F)、旭硝子社製、2官能ポリエーテルポリオール、Mn12000、水酸基数2、水酸基価9、不飽和度0.007、
(HA−3):プレミノールS4318F(表中の略号:PREM S4318F)、旭硝子社製、2官能ポリエーテルポリオール、Mn18000、水酸基数2、水酸基価6、不飽和度0.007、
(HA−4):エクセノール828(表中の略号:EXCE 828)、旭硝子社製、3官能ポリエーテルポリオール、Mn5000、水酸基数3、水酸基価34、不飽和度0.07、
(HA−5):プレミノールS3011(表中の略号:PREM S3011)、旭硝子社製、3官能ポリエーテルポリオール、Mn10000、水酸基数3、水酸基価17、不飽和度0.006、
(HA−6):プレミノール3012(表中の略号:PREM 3012)、旭硝子社製、3官能ポリエーテルポリオール、Mn12000、水酸基数3、水酸基価14、不飽和度0.020、
(HA−7):エクセノール838(表中の略号:EXCE 838)、旭硝子社製、4官能ポリエーテルポリオール、Mn8000、水酸基数4、水酸基価28、不飽和度0.07。
不飽和度の単位は、meq/gである。
各ポリエーテルポリオール(HA)の官能基数、Mn、1官能基あたりのMn、および不飽和度を、表1に示しておく。
<1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300超1650未満の汎用のポリエーテルポリオール(HM)>
(HM−1):PP−2000、三洋化成社製、2官能ポリエーテルポリオール、Mn2000、水酸基数2、水酸基価56、
(HM−2):G−1500、アデカ社製、3官能ポリエーテルポリオール、Mn1500、水酸基数3、水酸基価112、
(HM−3):G−3000B、アデカ社製、3官能ポリエーテルポリオール、Mn3000、水酸基数3、水酸基価56。
各ポリエーテルポリオール(HM)の官能基数、Mn、および1官能基あたりのMnを、表1に示しておく。
<1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である活性水素基含有化合物(HB)>
(HB−1):エチレングリコール(EG)、1級水酸基のみを含む、
(HB−2):1,5−ペンタンジオール、1級水酸基のみを含む、
(HB−3):2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(1,3−オクタンジオール)、1級水酸基および2級水酸基を含む、
(HB−4):PPG600(数字はMnを示す、PEGについても同様)、ポリプロピレングリコール、三洋化成社製、2級水酸基のみを含む、
(HB−5):PEG300、ポリエチレングリコール、三洋化成社製、1級水酸基のみを含む、
(HB−6):PEG600、ポリエチレングリコール、三洋化成社製、1級水酸基のみを含む、
(HB−7):グリセリン、1級水酸基および2級水酸基を含む、
(HB−8):トリメチロールプロパン(TMP)、1級水酸基のみを含む、
(HB−9):SP−750、三洋化成社製、6官能ポリエーテルポリオール、Mn700、水酸基数6、2級水酸基のみを含む、
(HB−10):イソホロンジアミン。
各活性水素基含有化合物(HB)の官能基数、Mn、および1官能基あたりのMnを、表1に示しておく。
<ポリイソシアネート(N)>
(N−1):イソホロンジイソシアネート(IPDI)、東京化成工業社製、
(N−2):ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、東京化成工業社製、
(N−3):トリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート(80質量%)と2,6−トリレンジイソシアネート(20質量%)との混合物)(TDI)、東ソー社製。
各ポリイソシアネート(N)の官能基数、Mn、および1官能基あたりのMnを、表1に示しておく。
<多官能イソシアネート化合物(I)>
(I−1)コロネート HL、東ソー社製、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)/トリメチロールプロパン(TMP)アダクト、
(I−2)スミジュール N−3300、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)/イソシアヌレート、
(I−3)スミジュール N−75、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)/イソシアビウレット、
(I−4)デスモジュール Z4470BA、住化バイエルウレタン社製、イソホロンジイソシアネート(IPDI)/イソシアヌレート。
<酸化防止剤(C)>
(C−1):IRGANOX 1135(BASF社製)。
<帯電防止剤(AS剤)(E)>
(E−1):エレクセル AS−804(第一工業製薬社製)。
<可塑剤(P)>
(P−1):ATBC(三菱ケミカル社製)、アセチルクエン酸トリブチル。
[水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)の合成例]
(合成例1)(2段重合法)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下ロートを備えた4口フラスコ内に、ポリエーテルポリオール(HA−1)100質量部、ポリイソシアネート(N−1)10質量部、トルエン47質量部、および触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.01質量部を仕込み、混合した。内容液を80℃まで徐々に昇温して2時間反応を行い、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得た(1段目の反応)。次いで、内容液を60℃まで冷却し、酢酸エチル28質量部を添加した後、活性水素基含有化合物(HB−2)4質量部を添加して反応させた(2段目の反応)。1段目および2段目の反応全体において、反応に用いたすべての活性水素基含有化合物(HX)(この例では、(HA−1)と(HB−1))の有する活性水素基(H)の総モル数に対する反応に用いたポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)は、0.71であった。
赤外分光分析(IR分析)にて残存イソシアネート基の消滅を確認した上で内容液を冷却し反応を終了させて、不揮発分60%、粘度2,100cps、無色透明の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPA−1)の溶液を得た。得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーは、Mn=16,500、Mw=43,000であった。
配合組成、反応に用いたすべての活性水素基含有化合物(HX)の有する活性水素基(H)の総モル数に対する反応に用いたポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)、および得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーのMn、Mwを、表2−1に示す。配合量の単位は、「質量部」である(他の表においても同様)。
(合成例2〜42)(2段重合法)
合成例2〜42においては、用いたポリエーテルポリオール(HA)、活性水素基含有化合物(HB)、およびポリイソシアネート(N)の種類とこれらの配合比を変更した以外は合成例1と同様にして、2段重合法にて、無色透明の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPA−2)〜(UPA−42)の溶液を得た。
各合成例において、配合組成、反応に用いたすべての活性水素基含有化合物(HX)の有する活性水素基(H)の総モル数に対する反応に用いたポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)、および得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーのMn、Mwを、表2−1〜表2−5に示す。
(合成例43)(1段重合法)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および滴下ロートを備えた4口フラスコ内に、ポリエーテルポリオール(HA−6)100質量部、活性水素基含有化合物(HB−2)4質量部、トルエン47質量部、および触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.01質量部を仕込み、混合し、80℃まで徐々に昇温した。内容液に、ポリイソシアネート(N−1)9質量部、酢酸エチル28質量部を添加し、2時間反応させた。反応に用いたすべての活性水素基含有化合物(HX)(この例では、(HA−6)と(HB−2))の有する活性水素基(H)の総モル数に対する反応に用いたポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)は、0.58であった。
赤外分光分析(IR分析)にて残存イソシアネート基の消滅を確認した上で内容液を冷却し反応を終了させて、不揮発分60%、粘度3,300cps、白色不透明の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPA−43)の溶液を得た。得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーは、Mn=26,500、Mw=73,000であった。
配合組成、反応に用いたすべての活性水素基含有化合物(HX)の有する活性水素基(H)の総モル数に対する反応に用いたポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)、および得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーのMn、Mwを、表2−5に示す。
(合成例C1〜C6)(1段重合法)
合成例C1〜C6においては、ポリエーテルポリオール(HA)、ポリエーテルポリオール(HM)、および活性水素基含有化合物(HB)から選択される複数種の活性水素基含有化合物(HX)の種類、ポリイソシアネート(N)の種類、およびこれらの配合比を変更した以外は合成例43と同様にして、1段重合法にて、無色透明の比較用の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPB−1)〜(UPB−6)の溶液を得た。
各合成例において、配合組成、反応に用いたすべての活性水素基含有化合物(HX)の有する活性水素基(H)の総モル数に対する反応に用いたポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)、および得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーのMn、Mwを、表2−6に示す。
(合成例C7)(2段重合法)
合成例C7においては、ポリエーテルポリオール(HA−1)の代わりにポリエーテルポリオール(HM−3)を用い、活性水素基含有化合物(HB)とポリイソシアネート(N)の種類および原料配合比を変更した以外は合成例1と同様にして、2段重合法にて、無色透明の比較用の水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPB−7)の溶液を得た。
配合組成、反応に用いたすべての活性水素基含有化合物(HX)の有する活性水素基(H)の総モル数に対する反応に用いたポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)、および得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーのMn、Mwを、表2−6に示す。
(配合例D1)
配合例D1においては、ポリエーテルポリオール(HA−6)、活性水素基含有化合物(HB−3)、トルエン47質量部、酢酸エチル28質量部、および触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.01質量部を仕込み、混合することで、無色透明の比較用のポリオール(PO−1)の溶液(ポリオール混合溶液)を得た。配合組成を、表2−6に示す。
[ウレタン系粘着剤と粘着シートの製造]
(実施例1)
合成例1で得られた水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPA−1)の溶液100質量部、多官能イソシアネート化合物(I−1)10質量部、酸化防止剤(C−1)1質量部、および溶剤として酢酸エチルを100質量部配合し、ディスパーで攪拌することで、ウレタン系粘着剤を得た。なお、溶剤以外の各材料の使用量は、不揮発分換算値を示す(他の実施例および比較例においても、同様)。配合組成を表3−1に示す。得られた粘着剤について、ポットライフの評価を実施した。
基材シートとして、50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラーT−60、東レ社製)を用意した。コンマコーター(登録商標)を用いて、この基材シートの片面に、得られたウレタン系粘着剤を乾燥後の厚みが12μmになるように塗工した。次いで、形成された塗工層を100℃で2分間乾燥して、粘着層を形成した。この粘着層上に、厚さ38μmの剥離シート(スーパーステックSP−PET38、リンテック社製)を貼着して、粘着シートを得た。初期硬化性の評価については、23℃−50%RHの条件下で3時間養生した後、評価を実施した。その他の評価については、23℃−50%RHの条件下で1週間養生した後、評価を実施した。
(実施例2〜55、比較例1〜8)
実施例2〜55、比較例1〜8の各例においては、用いた材料の種類と配合比を表3−1〜表3−2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、ウレタン系粘着剤および粘着シートの製造とこれらの評価を実施した。なお、比較例8は、ワンショット法により粘着剤を製造した例である。
[評価項目および評価方法]
粘着剤および粘着シートの評価項目および評価方法は、以下の通りである。
(ポットライフ)
得られた粘着剤を製造後直ちに蓋つきガラス瓶内に入れ、このガラス瓶を40℃の恒温水槽に投入し、投入開始から1時間後および6時間後の粘着剤の粘度をそれぞれ測定した。1時間後に対する6時間後の粘度増加率(6時間後の粘度/1時間後の粘度[倍])を求めた。評価基準は以下の通りである。
○:粘度上昇率が3倍未満、良好。
△:粘度上昇率が3倍以上5倍以下、実用可。
×:粘度上昇率が5倍超、実用不可。
(初期硬化性)
23℃−50%RHの雰囲気下で3時間養生した後の粘着シートから幅30mm長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片を、SUSメッシュ(目開き:0.077mm、線径:0.05mm)に貼り付けた後、酢酸エチルに浸漬した。50℃で24時間抽出した後、100℃で30分乾燥し、下記式(1)に基づいて、ゲル分率(質量%)を算出した。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100・・・(1)
上記式中、各符号は以下のパラメータを示す。
G1:酢酸エチルで抽出する前の粘着層の質量、
G2:酢酸エチルによる抽出および乾燥後の粘着層の質量。
評価基準は以下の通りである。
◎:ゲル分率が80質量%以上、優良。
○:ゲル分率が50質量%以上80質量%未満、良好。
△:ゲル分率が20質量%以上50質量%未満、実用可。
×:ゲル分率が20質量%未満、実用不可。
(濡れ性)
23℃−50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅50mm長さ100mmの試験片を切り出し、23℃−50%RHの雰囲気下で30分間放置した後、試験片から剥離シートを剥離した。ガラス板の末端に、剥離シートを剥離した上記試験片の長手方向の一方の末端を固定し、固定していない他方の末端を手でガラス板の表面から高さ5cmの位置まで持ち上げた。この状態で手を放し、粘着層全体がガラス板の表面に密着するまでの時間を測定した。評価基準は以下の通りである。
○:密着まで4秒未満、良好。
△:密着まで4秒以上8秒未満、実用可。
×:密着まで8秒以上、実用不可。
(基材密着性)
23℃−50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートの粘着層に対して、互いに直交する2つの直線方向に対して、それぞれ1mm間隔で11回ハーフカットを行って、1mm四方の100個のマスを形成した。この100マス全体を指で1分間擦った後、目視にて基材シート上に残ったマスの数を数えた。評価基準は以下の通りである。
◎:残ったマスの数が81〜100個、優良。
○:残ったマスの数が61〜80個、良好。
△:残ったマスの数が41〜60個、実用可。
×:残ったマスの数が0〜40個、実用不可。
(再剥離性)
23℃−50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅70mm長さ100mmの3枚の試験片を切り出した。3枚の試験片についてそれぞれ、23℃−50%RHの雰囲気下で、剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面に苛性ソーダガラス板を貼着し、ラミネータで圧着した。85℃−85%RHにセットしたオーブン内に、得られた3枚の積層体をそれぞれ、72時間(条件1)、120時間(条件2)、240時間(条件3)放置した。3枚の積層体をそれぞれ、オーブンから取り出し、23℃−50%RHの雰囲気下で3時間空冷した後、ガラス板から粘着シートを剥離し、再剥離性を目視観察にて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:全ての条件でガラス表面への粘着層成分の付着が全くない、優良。
○:条件1,2ではガラス表面への粘着層成分の付着が全くないが、条件3ではガラス表面への粘着層成分の付着が発生、良好。
△:条件1ではガラス表面への粘着層成分の付着が全くないが、条件2、3ではガラス表面への粘着層成分の付着が発生、実用可。
×:全ての条件でガラス表面への粘着層成分の付着が発生、実用不可。
(被着体汚染抑制性)
23℃−50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅70mm長さ100mmの試験片を切り出し、23℃−50%RHの雰囲気下で、剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面に苛性ソーダガラス板を貼着し、ラミネータで圧着した。85℃−85%RHにセットしたオーブン内に、得られた積層体を72時間放置した。積層体をオーブンから取り出し、23℃−50%RHの雰囲気下で3時間空冷した後、ガラス板から粘着シートを剥離し、被着体汚染を評価した。暗室内で粘着シートを貼ってあった側のガラス板の表面にLED(発光ダイオード)ランプ光を照射し、目視観察にて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:ガラス表面に粘着層成分の付着が一切見られない、優良。
○:ガラス表面の1〜2箇所に薄い粘着層成分の付着が見られる、良好。
△:ガラス表面の3箇所に薄い粘着層成分の付着が見られる、実用可。
×:ガラス表面の4箇所以上に薄い粘着層成分の付着が見られる/もしくはガラス表面の1〜2箇所に濃い粘着層成分の付着が見られる、実用不可。
[評価結果]
評価結果を表4−1〜表4−2に示す。
実施例1〜55では、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)と、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)と、ポリイソシアネート(N)との反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)と、多官能イソシアネート化合物(I)とを含むウレタン系粘着剤を製造した。
これら実施例ではいずれも、ポットライフおよび初期硬化性が良好な粘着剤を製造することができ、可塑剤添加なしまたは低減でも濡れ性が良好で、基材密着性が良好で、高温高湿環境下に曝されても良好な再剥離性・被着体汚染抑制性を有する粘着シートを製造することができた。
活性水素基含有化合物として、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300超1650未満の複数種の汎用のポリエーテルポリオール(HM)のみを用いて得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーを用いた比較例2では、可塑剤添加なしのため、得られた粘着シートは濡れ性が不良であった。
活性水素基含有化合物(HX)として、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)と、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300超1650未満の汎用のポリエーテルポリオール(HM)とを用いて得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーを用いた比較例1、3〜5では、可塑剤添加なしでも濡れ性が良好な粘着シートを製造することができた。しかしながら、これら比較例では、水酸基末端ウレタンプレポリマーの原料として1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)を使用しなかったため、粘着剤はポットライフおよび初期硬化性が不良であり、粘着シートの再剥離性・被着体汚染抑制性が不良であった。これら比較例で得られた粘着シートは、基材密着性も不良であった。
活性水素基含有化合物(HX)として、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300超1650未満の汎用のポリエーテルポリオール(HM)と、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)とを用いて得られた水酸基末端ウレタンプレポリマーを用いた比較例6、7では、可塑剤添加なしの条件で、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)を用いなかったため、得られた粘着シートは濡れ性が不良であった。比較例6では、1段重合法により得られたウレタンプレポリマーは末端水酸基が1級と2級の混在であるため、得られた粘着剤は初期硬化性も不良であった。比較例7では、2段重合法により得られたウレタンプレポリマーの末端水酸基が1級のみであるため、初期硬化性が改善された。
比較例8では、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)を用いずに、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が1650以上である比較的長鎖のポリエーテルポリオール(HA)と、1官能基あたりの数平均分子量(Mn)が300以下である比較的短鎖の活性水素基含有化合物(HB)と、多官能イソシアネート化合物(I)とを混合し、ワンショット法によりウレタン系粘着剤を製造した。得られた粘着剤は初期硬化性が不良であり、これを用いた粘着シートは再剥離性・被着体汚染抑制性が不良であった。
Figure 2019183143
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本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。
10、20 粘着シート
11、21 基材シート
12、22A、22B 粘着層
13、23A、23B 剥離シート

Claims (11)

  1. 1官能基あたりの数平均分子量が1650以上であるポリエーテルポリオール(HA)と、1官能基あたりの数平均分子量が300以下である1分子中に複数の活性水素基を有する活性水素基含有化合物(HB)とを含む複数種の活性水素基含有化合物(HX)と、1種以上のポリイソシアネート(N)との反応生成物である水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)と、
    多官能イソシアネート化合物(I)とを含む、粘着剤。
  2. 1種以上の活性水素基含有化合物(HX)の有する活性水素基(H)の総モル数に対するポリイソシアネート(N)の有するイソシアネート基(NCO)のモル数の比(NCO/H)が0.20〜0.84である、請求項1に記載の粘着剤。
  3. 1種以上のポリエーテルポリオール(HA)が3官能以上のポリエーテルポリオールを含む、請求項1または2に記載の粘着剤。
  4. 可塑剤(P)の添加量が、水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)100質量部に対して、0〜10質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤。
  5. 水酸基末端ウレタンプレポリマー(UPH)は、ポリエーテルポリオール(HA)とポリイソシアネート(N)との反応生成物であるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)と、活性水素基含有化合物(HB)との反応生成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤。
  6. 1種以上のポリイソシアネート(N)がイソホロンジイソシアネートを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤。
  7. 活性水素基含有化合物(HB)は1級水酸基を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤。
  8. さらに、酸化防止剤、耐加水分解剤、紫外線吸収剤、および光安定剤からなる群より選ばれた1種以上の変質防止剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤。
  9. さらに帯電防止剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着剤。
  10. 基材シートと、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む、粘着シート。
  11. 1官能基あたりの数平均分子量が1650以上である1種以上のポリエーテルポリオール(HA)と1種以上のポリイソシアネート(N)とを、イソシアネート基過剰の割合で反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)を生成する工程と、
    得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(UPN)と1官能基あたりの数平均分子量が300以下である1分子中に複数の活性水素基を有する1種以上の活性水素基含有化合物(HB)とを反応させる工程とを有する、水酸基末端ウレタンプレポリマーの製造方法。
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