JP2016137674A - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリッジの速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、媒体ジャム等の異常負荷発生時にキャリッジを比較的速やかに停止させることができる印刷装置及び印刷方法を提供する。【解決手段】電源オン時、省電力モードから復帰時、用紙のページ間時のいずれか1つのときには(S11,S12,S13のいずれか1つで肯定判定)、キャリッジを走査方向に印刷時の速度で移動させて無負荷領域(定速域)の速度を測定する速度メジャメントを行い、速度低下のワースト値Vw(最低速度)を記憶する(S14)。ワースト値Vwよりも所定のマージンa分だけ低速側に閾値Vs(=Vw−a)を設定する(S15)。振動等の速度変動要因のある使用環境下では、閾値が、振動等のない通常の環境下に比べ、相対的に低めに設定される。通常の使用環境下では、振動等の速度変動要因を考慮した多めのマージンをとる必要がなく、高めの閾値が設定される。【選択図】図12

Description

本発明は、記録ヘッドを有するキャリッジが移動する過程で、記録ヘッドが用紙等の媒体に印刷する印刷装置及び印刷方法に関する。
従来から、記録ヘッドを有するキャリッジが走査方向に往復移動可能な印刷装置として、シリアル式の印刷装置が知られている。この印刷装置では、キャリッジを走査方向に移動させながら記録ヘッドにより用紙等の媒体に記録(印刷)する走査動作と、走査方向と交差する搬送方向における次の印刷位置まで媒体を搬送する搬送動作とを略交互に繰り返し、用紙に印刷を施す(例えば特許文献1等)。
例えば特許文献1に記載された印刷装置では、印字処理が開始されてキャリッジの走査移動中、CPUは、算出されたキャリッジの移動速度が一定の速度より低下していると判定した場合、搬送される用紙に紙ジャム(紙詰まり)が発生したとして紙ジャム等の異常負荷を検知し、用紙の搬送動作を停止させるとともに、印字動作を停止させる。
特開平11−208051号公報
ところで、印刷装置は、例えば振動のある環境で使用される場合がある。この場合、振動に起因するキャリッジの速度低下によって検出速度が閾値を超えてしまうと、紙ジャム等の異常負荷が発生していないにも拘らずキャリッジが停止し、印刷が中断されてしまう。このため、閾値は、印刷装置におけるキャリッジを含む走査系の組付けばらつきや、モーター等の駆動系のばらつき、振動の有無等の使用環境、経年劣化等の種々の要因による想定される最大の速度変動を考慮したマージンを付与した低めの値に設定されている。しかし、低めの閾値であると、紙ジャム等の異常負荷発生時にキャリッジの停止が遅れるという課題がある。
例えば、異常負荷発生時にキャリッジの停止が遅れると、異常負荷原因が紙ジャムであれば用紙等の媒体に比較的大きなダメージが与えられ、例えば紙詰まりの程度が酷くなる。この場合、ユーザーが媒体の除去(例えば紙詰まりの解消)がしにくくなるなど種々の不都合を招く。なお、シリアル式の印刷装置に限らず、ラテラル式の印刷装置など、記録ヘッドを有するキャリッジを移動させつつ印刷を行う印刷方式であれば、この種の課題は概ね共通する。
本発明の目的は、キャリッジの速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、媒体ジャム等の異常負荷発生時にキャリッジを比較的速やかに停止させることができる印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する印刷装置は、印刷ヘッドを有するキャリッジを走査方向に移動させつつ当該印刷ヘッドにより媒体に印刷する印刷装置であって、前記キャリッジと、前記キャリッジを走査方向に移動させる動力源と、前記動力源を制御して前記キャリッジの移動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記キャリッジを移動させて速度を測定するメジャメント動作を行い、当該メジャメント動作で測定された速度に基づき閾値を設定し、印刷中に前記キャリッジの速度が前記閾値よりも低下すると、当該キャリッジを停止させる。
この構成によれば、制御部は、キャリッジを移動させて速度を測定するメジャメント動作を行い、そのメジャメント動作で測定された速度に基づいて閾値が設定される。よって、印刷装置のキャリッジ走査系の個体差や、印刷装置の使用環境に応じた適切な閾値を設定できる。制御部は、印刷中に、この適切な閾値を用いて、キャリッジの速度が閾値よりも低下する速度低下エラーの検出を行い、速度低下エラーを検出すると、キャリッジを停止させる。よって、適切な閾値により、キャリッジの速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、媒体ジャム等の異常負荷発生時にキャリッジを比較的速やかに停止させることができる。
また、上記印刷装置では、前記制御部は、前記閾値を、前記メジャメント動作で得られた前記キャリッジの速度低下の下限値に応じた当該下限値未満の値に決定することが好ましい。
この構成によれば、閾値は、メジャメント動作で得られたキャリッジの速度低下の下限値に応じた当該下限値未満の値に決定される。よって、印刷装置のキャリッジ走査系の個体差や印刷装置の使用環境に応じたより適切な閾値を設定できる。なお、下限値に応じた下限値未満の閾値を決定する方法の一例として、下限値から所定のマージン値を減算する方法や、下限値に所定の係数を乗じる方法が挙げられる。
上記印刷装置では、前記制御部は、印刷中に前記キャリッジの速度が前記閾値よりも低下して前記キャリッジを停止させた場合、次の印刷動作を開始する前に、前記メジャメント動作を行うことが好ましい。
この構成によれば、印刷中にキャリッジの速度が閾値よりも低下してキャリッジが停止した場合、次の印刷動作が開始される前に、メジャメント動作が行われ、閾値が更新される。よって、振動が発生するなど使用環境の変化が原因で速度低下エラーの誤検出が発生してキャリッジが停止した場合でも、閾値の更新によって、その誤検出が発生したときの使用環境の下で次の印刷動作を再開した際に、次の印刷動作を再び中断することなく最後まで完結することができる。
また、上記印刷装置では、前記制御部は、印刷装置の電源オン時に前記メジャメント動作を行うことが好ましい。
この構成によれば、印刷装置の電源オン時にメジャメント動作が行われ、閾値が更新される。このように印刷装置の電源がオンされる度に閾値が更新されるので、印刷装置の電源オン後の印刷時に、適切な閾値により、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えることができ、しかも媒体ジャム等の異常負荷に起因して速度低下エラーが発生したときにキャリッジを比較的速やかに停止させることができる。
上記印刷装置では、前記制御部は、省電力モードからの復帰時に前記メジャメント動作を行うことが好ましい。
この構成によれば、省電力モードからの復帰時にメジャメント動作が行われ、閾値が更新される。このように省電力モードから復帰する度に閾値が更新されるので、省電力モードからの復帰後の印刷時に、適切な閾値により、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えることができ、しかも媒体ジャム等の異常負荷に起因して速度低下エラーが発生したときにはキャリッジを比較的速やかに停止させることができる。
上記印刷装置では、前記制御部は、前記キャリッジの定速度の異なる複数の印刷モードを備え、当該複数の印刷モード毎に前記メジャメント動作を行い、前記閾値を印刷モード毎に設定することが好ましい。
この構成によれば、定速度の異なる複数の印刷モード毎にメジャメント動作が行われ、閾値は印刷モード毎に設定される。このため、どの印刷モードで印刷される場合も、そのときの印刷モードに応じた適切な閾値を用いて速度低下エラーを検出できる。よって、印刷モードに拘らず、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えることができ、しかも媒体ジャム等の異常負荷に起因して速度低下エラーが発生したときにはキャリッジを比較的速やかに停止させることができる。
上記印刷装置では、前記制御部は、媒体のページ間で前記メジャメント動作を行うことが好ましい。
この構成によれば、媒体のページ間でメジャメント動作が行われ、閾値はページ毎に設定される。よって、そのページの印刷において、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を一層低く抑えることができ、しかも媒体ジャム等の異常負荷に起因して速度低下エラーが発生したときにはキャリッジを比較的速やかに停止させることができる。
上記印刷装置では、前記制御部は、前記キャリッジの定速度が異なる複数の印刷モードを備え、印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合は、当該指示を受け付けた印刷又は印刷中の印刷で指定された印刷モードで前記メジャメント動作を行い、当該印刷モードに応じた閾値を設定することが好ましい。
この構成によれば、印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合は、指示を受け付けた印刷又は印刷中の印刷で指定された印刷モードでメジャメント動作が行われ、そのときの印刷モードに応じた適切な閾値が設定される。よって、そのときの印刷モードでのメジャメント動作が行われるだけなので、メジャメント動作を行った割に印刷のスループットが低下しにくい。
上記印刷装置では、前記制御部は、印刷中に前記キャリッジが印刷する走査の過程で前記メジャメント動作を行うことが好ましい。
この構成によれば、印刷中にキャリッジが印刷する走査の過程でメジャメント動作が行われる。このため、印刷以外のメジャメント動作のみの余分な走査をしなくても、印刷中に閾値を更新できる。このため、その印刷中において、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を一層低く抑えることができ、しかも媒体ジャム等の異常負荷に起因して速度低下エラーが発生したときにキャリッジを比較的速やかに停止させることができる。
さらに上記印刷装置では、前記制御部は、前回の前記メジャメント動作で前記キャリッジの印刷走査範囲が媒体サイズに応じた最長印刷範囲よりも短い場合は、少なくとも走査されなかった範囲の測定速度は、前々回以前に当該範囲を含む印刷走査範囲でメジャメント動作が行われたときの測定速度を用いることが好ましい。
この構成によれば、前回のメジャメント動作でキャリッジの印刷走査範囲が媒体サイズに応じた最長印刷範囲よりも短い場合、少なくとも走査されなかった範囲の測定速度については、前々回以前に当該範囲を含む印刷走査範囲でメジャメント動作が行われたときの測定速度を用いて、閾値が設定される。よって、印刷中に印刷走査範囲が短く、短い範囲でしかメジャメント動作が行われなくても、走査されなかった範囲も含む測定速度に基づくなるべく適切な閾値を設定することができる。
上記印刷装置では、前記制御部は、複数回の前記メジャメント動作で得られた複数回分の測定速度に基づき、前記キャリッジの走査方向の位置に対して速度が同じように変化する速度変動傾向が存在する場合は、前記キャリッジの位置に応じて異なる少なくとも2つの前記閾値を設定することが好ましい。
この構成によれば、複数回の前記メジャメント動作で得られた複数回分の測定速度に基づき、キャリッジの走査方向の位置に対して速度が同じように変化する速度変動傾向が存在する場合は、キャリッジの位置に応じて異なる少なくとも2つの閾値が設定される。よって、キャリッジの走査方向の位置に応じて異なる少なくとも2つの閾値により、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、特に少なくとも2つの閾値のうち一番低い閾値以外の他の閾値が用いられるキャリッジの位置領域において、媒体ジャム等の異常負荷に起因する速度低下エラーが発生した場合に、キャリッジを一層速やかに停止させることができる。
上記印刷装置では、前記制御部は、前記メジャメント動作により、前記キャリッジの速度低下の下限値と、前記キャリッジの速度変動幅とを取得し、前記閾値を、前記速度低下の下限値に対して前記速度変動幅に応じた分だけ小さな値に決定することが好ましい。
この構成によれば、メジャメント動作により、キャリッジの速度低下の下限値と、キャリッジの速度変動幅とが取得され、閾値は、速度低下の下限値に対して速度変動幅に応じた分だけ小さな値に決定される。よって、速度変動幅に応じた適切な閾値により、キャリッジの速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、媒体ジャム等の異常負荷発生時にキャリッジを比較的速やかに停止させることができる。
また、上記課題を解決する印刷方法は、印刷ヘッドを有するキャリッジを走査方向に移動させつつ当該印刷ヘッドにより媒体に印刷する印刷方法であって、前記キャリッジを走査方向に移動させて速度を測定するメジャメント動作を行うメジャメントステップと、前記メジャメント動作で測定された速度に基づいて閾値を設定する閾値設定ステップと、印刷中に前記キャリッジの速度が前記閾値よりも低下すると、当該キャリッジを停止させる制御ステップと、を備えた。この方法によれば、上記の印刷装置と同様の作用効果を得ることができる。
第1実施形態におけるプリンターを示す斜視図。 外装カバーが取り外された状態にあるプリンターを示す概略斜視図。 (a)はキャリッジを含む走査系の構成を示す模式正面図、(b)は記録ヘッドを示す底面図。 印刷モードごとのキャリッジの速度制御を説明するグラフ。 プリンターの電気的構成を示すブロック図。 コンピューターの機能構成を示すブロック図。 比較例における速度低下エラーの閾値の設定方法を説明するグラフ。 振動がないときの速度低下エラーの閾値の設定方法を説明するグラフ。 振動があるときの速度低下エラーの閾値の設定方法を説明するグラフ。 紙ジャム発生時の速度低下エラーによりキャリッジが停止する様子を比較するグラフ。 (a)は正常なキャリッジの走査を示し、(b),(c)は紙ジャム発生時にキャリッジが停止する様子を比較して示す模式正面図。 閾値設定制御ルーチンを示すフローチャート。 キャリッジ走査制御ルーチンを示すフローチャート。 第2実施形態における閾値設定制御を説明する模式平面図。 キャリッジ走査制御ルーチンを示すフローチャート。 変形例における閾値設定制御について説明するグラフ。 (a),(b)は図16と異なる変形例における閾値設定制御について説明するグラフ。
(第1実施形態)
以下、印刷装置の一例としてのシリアル式のプリンターの一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、印刷装置の一例としてのシリアル式のプリンター11(シリアルプリンター)は、一例としてインクジェット式カラープリンターである。薄型の略直方体形状を有する装置本体12の前面(図1では右面)には、操作パネル13が設けられている。操作パネル13には、例えば液晶パネルよりなる表示部14及び複数の操作スイッチからなる操作部15が設けられている。操作部15には、電源スイッチ15a、選択スイッチ15b及びキャンセルスイッチ15c等が含まれる。
プリンター11は、不図示のホスト装置から通信ケーブルを通じた有線又は無線で転送されてくる印刷データに基づき画像又は文書等を、媒体の一例としての用紙Pに印刷する。また、プリンター11は、装置本体12に設けられたカードスロット25及び接続ポート26に接続された不図示メモリーカード又はUSBメモリーから読み込んだ画像データに基づく画像を用紙Pに印刷することも可能である。
図1に示すように、装置本体12の背面部には、一対のエッジガイド16aを有する給送トレイ16を備えたホッパー給送方式の自動給送装置17が設けられている。なお、自動給送装置17は、ホッパー給送方式に限らず、装置本体12に着脱可能に挿着された給送カセットから一枚ずつ用紙を給送するカセット給送方式、又は装置本体12にセットされたロール紙を繰り出して給送するロール紙給送方式でもよい。
図1に示すように、装置本体12内には、キャリッジ21が、ガイド軸22に案内されて走査方向Xに往復移動可能な状態で設けられている。キャリッジ21の下部には、自動給送装置17から給送された用紙Pにインク滴を吐出可能な印刷ヘッド23が取り付けられている。印刷中の用紙Pは走査方向Xと交差する搬送方向Yに間欠的に搬送され、各搬送の合間にキャリッジ21が走査方向Xに移動しつつ印刷ヘッド23のノズルNZ(図3参照)から用紙Pに向かってインク滴を吐出することで、1走査分ずつ印刷が施される。そして、印刷ヘッド23からインクを吐出しながら行う走査動作と、用紙Pを次の印刷位置まで搬送する搬送動作とが略交互に繰り返されることで、用紙Pに文書や画像が印刷される。印刷された用紙Pは、装置本体12の前面の排出口12aから排出され、その排出された用紙Pは、延出状態とされたスライド式の排出スタッカー24(排紙トレイ)上に積載される。
また、装置本体12には、商用交流電源(図示せず)のコンセント(アウトレット)に差込み可能な電源プラグ27aを有するACアダプター27の出力側の給電プラグを接続可能な電源ジャック(いずれも図示せず)が設けられている。ACアダプター27によって商用交流電源からの交流が直流に変換され、直流の所定電圧の電力がプリンター11に供給される。また、装置本体12内には、プリンター11の携帯時等に使用可能な電源としてバッテリー28が収容されている。プリンター11は、ACアダプター27を介して商用交流電源からの電力が供給されるときはAC電源モードになり、商用交流電源からの電力が供給されないときはバッテリー28を電源とするバッテリーモードとなる。
次に、図2を参照してプリンター11の内部構成について説明する。図2に示すように、プリンター11は上側と前側が開口する略四角箱状の本体フレーム31を備える。この本体フレーム31の図2における左右の側壁間に前述のガイド軸22が架設され、前述のキャリッジ21はこのガイド軸22に案内されて走査方向Xに往復移動可能な状態で設けられている。本体フレーム31の背板内面に取着された一対のプーリー33には無端状のタイミングベルト34が巻き掛けられており、キャリッジ21はタイミングベルト34の一部に固定されている。図2における右側のプーリー33は、動力源の一例としてのキャリッジモーター35の駆動軸(出力軸)に連結されている。キャリッジモーター35が正逆転駆動されることにより正転又は逆転するタイミングベルト34を介してキャリッジ21は走査方向Xに往復移動する。
キャリッジ21の上部には、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクがそれぞれ収容された複数個(例えば4個)のインクカートリッジ37が装填されている。各インクカートリッジ37から供給されたインクは、印刷ヘッド23の下面に開口するインク色別のノズル群からそれぞれ吐出される。また、キャリッジ21の移動経路の下方には、用紙Pを下側から支持して印刷ヘッド23と用紙Pとの間隔(ギャップ)を規定する支持台38が走査方向Xに沿って延びるように設けられている。なお、印刷ヘッド23が吐出可能なインク色は4色に限らず、3色、5〜8色でもよく、さらに黒1色でもよい。
また、本体フレーム31には、キャリッジ21の移動量に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー39が、キャリッジ21の移動経路に沿って延びるように設けられている。プリンター11では、リニアエンコーダー39から出力されるパルス信号に基づいて、キャリッジ21の位置制御及び速度制御と、印刷ヘッド23のインク吐出タイミングの制御とが行われる。
また、本体フレーム31の図2における右端下部に設けられた給送モーター41は、自動給送装置17を構成する不図示の給送ローラーを回転駆動することで、給送トレイ16(図1も参照)にセットされた複数枚の用紙Pを1枚ずつ給送する。搬送モーター42は、搬送方向Yに支持台38を挟んだその上流側と下流側にそれぞれ設けられた搬送ローラー対43と排出ローラー対44とを駆動する。各ローラー対43,44は、搬送モーター42の動力で回転する駆動ローラー43a,44aと、駆動ローラー43a,44aに当接して連れ回りする従動ローラー43b,44bとから構成される。用紙Pは、両ローラー対43,44に搬送方向Yに二箇所で挟持(ニップ)された状態で、搬送モーター42の動力によって両ローラー対43,44が回転することによって、搬送方向Yに搬送される。なお、本実施形態では、給送ローラー等を備える給送機構と、印刷中の用紙Pを次の印刷位置まで送る送り動作及び印刷を終えた用紙Pを排出する排出動作を行う両ローラー対43,44等を備える送り機構とにより、搬送機構の一例が構成される。
図2においてキャリッジ21の移動経路上の一端位置(図2では右端位置)が、キャリッジ21が非印刷時に待機するホーム位置HP(ホームポジション)となっている。ホーム位置HPに配置されたときのキャリッジ21の直下には、印刷ヘッド23のメンテナンスを行うメンテナンス装置45が配設されている。メンテナンス装置45は、搬送系の動力源である搬送モーター42の動力で駆動される。メンテナンス装置45は、ホーム位置HPで印刷ヘッド23にキャッピングするキャップ45aを備えている。例えばクリーニングは、印刷ヘッド23に対してキャッピング状態にあるキャップ内を不図示の吸引ポンプの駆動で負圧とし、ノズルからインクを強制的に排出することで行われる。
シリアル式のプリンター11では、キャリッジ21を走査方向Xに往復動させながら印刷ヘッド23のノズルから用紙Pにインクを吐出する印字動作と、用紙Pを搬送方向Yに次の印刷位置まで搬送する送り動作とを交互に繰り返すことで、用紙Pに文書や画像等が印刷される。そして、このプリンター11では、印刷方式として、印刷ヘッド23がホーム位置HPから離れる方向に移動する往動時と、ホーム位置HPに近づく方向に移動する復動時との両方(双方向)でインク滴を吐出する双方向印刷と、印刷ヘッド23の往動時のみインク滴を吐出して復動時はキャリッジ21を戻すだけの一方向印刷とが行われる。例えば写真等の印刷に用いられる高画質印刷モードでは一方向印刷が行われ、文書等の印刷に用いられる普通印刷モードでは双方向印刷が行われる。
また、印刷モードには、AC電源モードとバッテリーモードとのそれぞれに、印刷速度よりも印刷画質を優先する高画質印刷モードと、印刷画質よりも印刷速度を優先する普通印刷モードとが用意されている。高画質印刷モードでは、キャリッジ速度が相対的に低速となる低速印刷モードが採用される。普通印刷モードでは、キャリッジ速度が相対的に高速となる高速印刷モードが採用される。このように本例では、AC電源モードとバッテリーモードのそれぞれに、高画質印刷モードと普通印刷モードとが用意されている。つまり、印刷中のキャリッジ速度の異なる4つの印刷モードが用意されている。なお、印刷モードとして、高速印刷モード、中速印刷モード及び低速印刷モードの3つの印刷モードを用意したり、更にキャリッジ速度の異なる5つ以上の印刷モードを用意したりしてもよい。
図3(a)に示すように、一対のプーリー33間に巻き掛けられたタイミングベルト34に取り付けられたキャリッジ21は、キャリッジモーター35が駆動されることで、ガイド軸22に沿って走査方向X(図3(a)における左右方向)に往復移動する。リニアエンコーダー39は、キャリッジ21に固定されたセンサー39Aと、タイミングベルト34の延設方向と平行に延びるように架設されるとともに複数のスリットが一定ピッチで形成されたリニアスケール39Bとを備えている。センサー39Aは、キャリッジ21の移動過程でリニアスケール39Bの各スリットを通過した光を検知することで、キャリッジ21の移動量に比例する数のパルスを含むエンコーダー信号を出力する。このエンコーダー信号は、コントローラー50(図5参照)に入力され、キャリッジ21の位置検出及び速度検出等に用いられる。なお、本実施形態では、コントローラー50が「制御部」の一例に相当する。
図3(a)に示すように、印刷ヘッド23の支持台38と対向する側の面(図3では下面)であるノズル開口面23aには、複数個のノズルNZが形成されている。印刷ヘッド23は、キャリッジ21と共に走査方向Xへ移動する過程で、ノズル開口面23aに開口する複数のノズルNZから、支持台38から上方へ突出する複数のリブ38aに支持された用紙Pの表面に向かってインク滴を吐出することで、用紙Pへの印刷を行う。
図3(b)に示すように、ノズル開口面23aには、複数のノズルNZが搬送方向Yに一定のノズルピッチで配列されてなる複数のノズル列N1〜N4が形成されている。1つのノズル列当たりのノズル数は、例えば100〜400個の範囲内の所定数であり、本実施形態では一例として180個又は360個である。ノズル列N1〜N4は、インク色ごとに設けられている。4列のノズル列N1〜N4は、一例として黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクをそれぞれのノズルNZから吐出可能である。
図3(b)に示す印刷ヘッド23には、各ノズルNZと対応する吐出駆動素子(図示せず)がノズル列N1〜N4毎にノズル数と同数内蔵されている。吐出駆動素子は、例えば圧電振動子(ピエゾ素子)又は静電駆動素子からなり、所定駆動波形の駆動パルス(電圧パルス)が印加されると、電歪作用又は静電駆動作用により、ノズルNZに連通するインク室の壁部の一部を形成する振動板を振動させ、インク室を膨張・圧縮させることによりノズルNZからインク滴を吐出させる。なお、印刷ヘッド23のインク吐出方式は、吐出駆動素子として圧電駆動素子を使用するピエゾ方式や、静電駆動素子を使用する静電方式の他、吐出駆動素子としてヒータ素子を使用し、ヒータ素子でインクを加熱して膜沸騰による気泡(バブル)の圧力を利用してノズルNZからインク滴を吐出させるサーマル方式でもよい。
次に図5を参照して、プリンター11の電気的構成について説明する。図5に示すように、プリンター11に備えられたコントローラー50には、入力系として、リニアエンコーダー39、幅検出センサー46、エンコーダー47(ロータリーエンコーダー)及び紙検出器48が電気的に接続されている。また、コントローラー50には、出力系として、印刷ヘッド23、キャリッジモーター35、給送モーター41及び搬送モーター42が電気的に接続されている。
リニアエンコーダー39は、リニアスケール39Bに一定ピッチで形成された光透過部を通過した光を光学式センサー39A(いずれも図3(a)参照)が検知することで、キャリッジ21の移動量に比例する数のパルスを含む検出パルス信号を出力する。この検出パルス信号の単位時間当たりのパルス数は、キャリッジ速度に比例する。
図5に示すコントローラー50は、コンピューター51、ヘッド駆動回路52、モーター駆動回路53〜55及び通信インターフェイス56を備えている。コンピューター51は、印刷制御の中で、各モーター駆動回路53〜55を介してキャリッジモーター35、給送モーター41及び搬送モーター42を駆動制御する。詳しくは、コンピューター51は、各モーター駆動回路53〜55にそれぞれの指令値(例えばPWM(pulse width modulation)指令値)を出力し、モーター35,41,42に各指令値に応じた電流を流し、モーター35,41,42を、指令した回転速度かつ指令した駆動量だけ駆動させる。また、コンピューター51は、操作部15からの操作信号に基づく各種の処理を行ったり、不図示の表示駆動回路を介して表示部14にメニュー画面、設定画面及びメッセージ画面等を表示させる表示制御を行ったりする。
本実施形態のプリンター11は、内蔵したバッテリー28と、商用交流電源からの交流をACアダプター27が変換した所定電圧の直流とを電源として選択できる。例えば商用交流電源のコンセントに電源プラグ27aが接続されているときはACアダプター27が変換した所定電圧の直流を電源とするAC電源モードになり、電源プラグ27aがコンセントから抜かれると、バッテリー28を電源とするバッテリーモードに切り換わる。
また、コンピューター51は、CPU61、ASIC62(Application Specific IC(特定用途向けIC))、RAM63及び不揮発性メモリー64を備えている。不揮発性メモリー64には、閾値設定制御ルーチン(図12参照)及び速度低下エラー検出制御ルーチン(図13参照)を含む各種のプログラムPR、キャリッジ21の印刷モードに応じた速度プロファイルを規定する速度制御データVD、及び速度メジャメントを伴う閾値設定制御で決定した閾値データSD等の必要な設定データが記憶されている。閾値データSDに基づく閾値Vsは、速度低下エラー検出制御で速度低下エラーの検出に使用される。また、RAM63には、CPU61が実行するプログラムや各種の演算結果等のデータが一時的に記憶される。CPU61は、不揮発性メモリー64から読み出したプログラムPRを実行することで、プリンター11が電源オン時等の所定時期に実施する速度メジャメント動作及び少なくとも印刷中に実施される速度低下エラー検出制御を含む各種制御を行う。
ASIC62は、不図示のホスト装置からプリンター11が通信インターフェイス56を通じて受信した印刷データPDに含まれる画像データから印刷ヘッド23がインク吐出を行うために必要なヘッド制御データを生成するデータ処理を行う。ASIC62は、生成したヘッド制御データをヘッド駆動回路52へ出力することで、印刷ヘッド23のインク吐出制御を司る。また、ASIC62は、エンコーダー39の検出パルス信号を入力し、パルスエッジの数を計数するCRカウンター62Aを備える。CRカウンター62Aは、キャリッジ21が原点(例えばホーム位置)に位置するときにリセットされる。そして、CRカウンター62Aは、キャリッジモーター35の正転駆動中(つまりキャリッジ21の往動中)はパルスエッジ検出の度に計数値を「1」ずつインクリメントし、キャリッジモーター35の逆転駆動中(つまりキャリッジ21の復動中)はパルスエッジ検出の度に計数値を「1」ずつデクリメントする。CPU61はASIC62内のCRカウンター62Aの計数値からキャリッジ21の走査方向Xの位置(キャリッジ位置x)を取得する。
CPU61は、キャリッジ位置xに基づき速度制御データVDを参照して取得したモーター指令値をモーター駆動回路53へ出力し、キャリッジモーター35をそのときの印刷モードに応じた速度プロファイルに従って速度制御する。また、CPU61は、キャリッジ21の移動速度を、リニアエンコーダー39から入力するパルスエッジの時間間隔を計測することでパルス周期を求め、その実パルス周期を目標パルス周期に近づけるようにキャリッジモーター35を速度制御する。本例では、速度メジャメント及び速度低下エラー制御で使用するキャリッジ速度Vcr(キャリッジ21の実速度)は、パルス周期の逆数を演算して取得する。なお、キャリッジモーター35の速度制御は、パルス周期の逆数を演算して取得したキャリッジ速度を目標速度に近づける制御としてもよい。また、速度メジャメント及び速度低下エラー検出制御で用いる速度は、キャリッジ速度に替え、リニアエンコーダー39のパルス周期を用いてもよいし、さらにはキャリッジモーター35を速度制御する際の指令値又はキャリッジモーター35に供給される電流値から速度を間接的に求めたり、指令値又は電流値をそのまま使用したりすることもできる。
また、CPU61は、キャリッジ21に設けられた幅検出センサー46により用紙Pの紙幅を検出したり、用紙Pの側端位置を検出したり、用紙Pの搬送方向下流側の先端を検出したりする。
また、ASIC62は、エンコーダー47からの検出パルス信号のパルスエッジの数を計数する不図示のPFカウンターを備える。紙検出器48は、CPU61が印刷時に給送モーター41を駆動して給送ローラー49の回転により給送された用紙Pを検知する。PFカウンターは紙検出器48が用紙Pの先端を検知したときにリセットされ、この時の位置を原点とする用紙Pの搬送位置を示す計数値を計数する。CPU61は、PFカウンターの計数値を監視しつつ搬送モーター42を制御することで、ローラー対43,44の回転による用紙Pの搬送速度及び搬送量を制御する。
また、CPU61は、操作部15のうち電源スイッチ15a(図1参照)から入力した操作信号に基づいてプリンター11の電源をオン/オフさせる。CPU61は、プリンター11の電源オフ状態の下で電源スイッチ15aから操作信号を入力すると、プリンター11を電源オン状態にし、電源オン状態の下で電源スイッチ15aから操作信号を入力すると、プリンター11を電源オフ状態にする。
また、CPU61は、プリンター11内の各部への電力の供給を制御する。プリンター11は、電力に関するモードとして、通常モードと省電力モードとを有する。CPU61は、印刷動作終了後、ユーザーによる操作部15の操作がないまま、プリンター11が動作しない状態が設定時間だけ継続すると、省電力移行条件が成立したと判断し、通常モードから省電力モードに移行する。省電力モードでは、印刷系(印刷ヘッド23及びモーター35,41,42)、表示系(表示部14等)、センサー系(センサー46,48及びエンコーダー39,47)などへの電力供給が一時的に停止され、一例としてCPU61、操作部15及び通信インターフェイス56などへの最低限必要な電力のみ供給される。そして、CPU61は、ユーザーによる操作部15の操作が検出されるか、プリンター動作の指示を受け付けると、省電力モードから通常モードに復帰し、印刷系、表示系、センサー系などへの電力供給を再開する。
本実施形態では、CPU61が速度メジャメントを実行する時期が予め設定されている。本例では、速度メジャメント実行時期として、電源オン時、省電力モードからの復帰時、印刷中における用紙Pのページ間の時期が設定されている。これらのいずれか1つの時期になると、CPU61は、キャリッジモーター35を制御してキャリッジ21を走査方向Xに移動させてキャリッジ21の速度を測定する速度メジャメントを実行する。そして、速度メジャメントで取得されたキャリッジ21の測定速度に基づいて、速度低下エラー検出制御で用いる閾値Vsを決定する。このように本実施形態では、速度低下エラー検出用の閾値Vsは、速度メジャメント実行時期に速度メジャメントが実施される度に更新される。
次に、図4を参照して、印刷モードに応じた速度制御データVDに基づきキャリッジモーター35を速度制御したときのキャリッジ21の速度プロファイルについて説明する。図4に示すグラフにおいて、横軸がキャリッジ21の駆動開始位置を原点としたときの原点から移動した距離D(位置)、縦軸がキャリッジ速度Vcrである。距離Dは、例えばキャリッジ位置xを計測する図5に示すCRカウンター62Aのうちの1つのカウンターを使用し、キャリッジの移動開始位置でリセットされたカウンターが、リニアエンコーダー39から入力する検出パルス信号のパルスエッジを計数する計数値で与えられる。
プリンター11には、印刷モードに応じて複数(図4の例では2つ)の速度プロファイルAV,BVが設定されている。本例では、普通印刷モード(高速印刷モード)に応じた定速度が高めのV1に設定された速度プロファイルAVと、高画質印刷モード(低速印刷モード)に応じた定速度が低めのV2(<V1)に設定された速度プロファイルBVとの2種類が用意されている。速度プロファイルAV,BVは、キャリッジ速度Vcrが0(零)から加速終了位置Daで定速度V1又はV2に達するまでの加速領域(加速プロファイル)と、キャリッジ速度Vcrが定速度V1,V2に保持される定速領域と、キャリッジ速度Vcrを減速開始位置Ddから目標停止位置Deまで減速させる減速領域(減速プロファイル)とからなる。なお、キャリッジ速度Vcrとキャリッジモーター35の回転速度は、キャリッジモーター35とキャリッジ21との間の動力伝達経路上に介在する輪列のギヤ比に応じた比例関係にある。
なお、図4に示す速度プロファイルAV,BVは、AC電源モードとバッテリーモードとのそれぞれに応じて設定されている。例えば図4で速度プロファイルAV(一点鎖線)の定速度V1は、AC電源モード用よりもバッテリーモード用の方が低く設定されている。また、図4で速度プロファイルBV(実線)の定速度V2は、AC電源モード用よりもバッテリーモード用の方が低く設定されている。これは、バッテリー28の供給電力がAC電源部の供給電力よりも小さいことによるもので、バッテリーモード時のモーター35,41,42の消費電力を小さく抑えてシステムダウン等を防止する。
ここで、図4において、キャリッジ21が定速度V1,V2となる定速領域で印刷ヘッド23のノズルNZからのインクの吐出が行われる。また、定速領域の両側の加速領域の一部と減速領域の一部とを含む範囲に渡ってインクの吐出が行われる構成としてもよい。いずれの場合も、印刷ヘッド23のインクの吐出タイミングが、コンピューター51がリニアエンコーダー39から入力する単位時間当たりの入力パルスのパルス周期に比例するため、走査方向Xに一定のピッチでインク滴が吐出される。
コンピューター51は、CRカウンター62Aのうちの1つのカウンターの計数値で示される距離Dを基に速度制御データVDを参照して目標速度を取得する。コンピューター51は、リニアエンコーダー39から入力した単位時間当たりのパルスエッジ数から決まる実速度を目標速度に近づけるフィードバック制御演算を行う。そして、コンピューター51は、フィードバック制御演算により、キャリッジモーター35の速度制御に使用する指令値を取得し、この指令値をモーター駆動回路53に出力する。モーター駆動回路53は、コンピューター51からの指令値に従ってキャリッジモーター35に供給される電流値を制御する。この結果、キャリッジモーター35は図4に示す速度プロファイルに沿って速度制御される。
図6に示すように、コンピューター51は、プログラムPRを実行することで機能する各種の機能部を備えている。すなわち、コンピューター51は、機能部として、主制御部71、キャリッジ制御部72、メジャメント部73、閾値設定部74、第1判定部75、第2判定部76及び報知部77を備えている。
主制御部71は、各部72〜77にそれぞれが担当する処理又は制御を指示するとともに、キャリッジ21の走査制御及びその走査制御に必要な閾値Vsをはじめとする各種の設定値等の設定処理などを行う。
キャリッジ制御部72は、キャリッジモーター35を駆動制御することで、キャリッジ21を走査方向Xに移動させる際の速度制御を行う。キャリッジ21を走査方向Xに移動させることで、印刷中及び速度メジャメント動作時のキャリッジ21の走査方向Xの移動(走査)を制御する。このとき、キャリッジ制御部72は、印刷中のキャリッジ21の実速度Vrを取得し、実速度Vrが閾値Vsを下回って、Vr<Vsの条件が成立すると、駆動中のキャリッジモーター35を強制的に停止させる。これによりキャリッジ21が用紙Pに当たって紙ジャムが発生したときには速やかにキャリッジ21を停止させることができる。なお、キャリッジ21を停止させるべき異常負荷は、紙ジャム以外に、走査経路上の異物との衝突や走査系の故障等も挙げられる。
メジャメント部73は、キャリッジ制御部72が速度メジャメント動作でキャリッジ21を走査方向Xに移動させている過程で、キャリッジ21の実速度を測定する速度メジャメントを行う。速度メジャメントは、キャリッジ21が無負荷領域にあるときに実施される。ここで、無負荷領域とは、キャリッジ21に速度変動の原因となる加速度等の負荷がかかっていない状態をいう。このため、キャリッジ21が一定速度で移動する過程において速度メジャメントは行われる。また、負荷領域とは、キャリッジ21が一定速度で移動しない速度可変領域が含まれ、印刷領域以外の領域と印刷領域内の加減速領域などが、負荷領域に含まれる。メジャメント部73は、キャリッジ21の無負荷領域における速度低下の下限値をワースト値Vwとして取得し、不揮発性メモリー64の所定記憶領域に格納する。
閾値設定部74は、速度低下のワースト値Vwを用いて、キャリッジ21の速度低下エラーの判定に用いる閾値Vsを設定する。閾値設定部74は、例えばワースト値Vwからそのワースト値Vw未満の閾値Vsを設定する。閾値設定部74は、例えばワースト値Vwから所定のマージン「a」を減算することで閾値Vs(=Vw−a)を求め、その求めた閾値Vsを例えば不揮発性メモリー64の所定記憶領域に記憶する。
第1判定部75は、速度メジャメントを伴う閾値設定制御の実施時期であるか否かを判定する。本実施形態では、閾値設定制御の実施時期として、電源オン時、省電力モードからの復帰時、印刷中の用紙のページ間時(給排紙時)のそれぞれが設定されている。第1判定部75は、これらのいずれかの時期に該当すると、閾値設定制御の実施時期である旨を主制御部71に通知する。
第2判定部76は、速度メジャメント動作以外でキャリッジ21が移動するときに、キャリッジ21の実速度Vrを取得し、実速度Vrが閾値Vsを下回ったか否か、つまりVr<Vsが成立したか否かを判定する。第2判定部76は、Vr<Vsが成立した場合は、主制御部71にその旨を通知する。主制御部71は、その通知を受け付けると、キャリッジ制御部72に対してキャリッジモーター35の駆動停止を指示する。キャリッジ制御部72は、指示に従ってキャリッジモーター35の駆動を停止させ、キャリッジ21を強制的に停止させる。この強制停止以後、主制御部71は、搬送モーター42を駆動させない。つまり、印刷が中断される。
また、報知部77は、速度低下エラーの発生時にユーザーにその旨の通知とジャム状態の用紙の除去を促すメッセージを表示部14に表示させる表示制御を行う。なお、報知は、表示部14へのメッセージ等の表示に限らず、ランプの点灯や、スピーカーからのブザーや音声によるものでもよい。
次に、図7〜図9を参照して速度メジャメントによる閾値設定制御の内容を説明する。
キャリッジ21の速度プロファイル(図4参照)のうちキャリッジ21に加速や減速による負荷を零とみなせる無負荷領域において速度メジャメントを行う。本実施形態では、キャリッジ21に印刷時の最長移動域を移動させてこの過程の定速域CVAを無負荷領域として速度メジャメントを行う。つまり、加速領域及び減速領域では速度変化が制御による内的要因か紙等の異物による外的要因かを判別できないので、内的要因の速度変化のない無負荷領域である定速領域のうちの定速域CVA(本例では定速領域と同じ)において速度メジャメントを行う。なお、速度メジャメントを行う測定領域は、無負荷領域となる定速領域内であれば任意に設定してよいが、印刷ヘッド23による印刷が行われる全印刷領域が含まれることが望ましい。
図7は、比較例の閾値設定方法を示すグラフを示し、図8及び図9は、本実施形態における閾値設定制御による閾値設定方法を示すグラフを示す。なお、図7〜図9のグラフでは、定速度を「Vc」と記している。
図7に示すグラフでは、一点鎖線はキャリッジの速度変動要因のない理想の実速度を示す第1速度曲線VC1である。二点鎖線は、キャリッジの実速度にメカばらつきを考慮した第1マージン「Bmax」を付加した第2速度曲線VC2である。実線は、第2速度曲線VC2にさらに振動を考慮した第2マージン「Amax」を付加した第3速度曲線VC3である。そして、第3速度曲線VC3の速度低下の下限値であるワースト値(最低速度値)よりも所定のマージン「a」だけ低速側の値を閾値Vssとして設定する。つまり、閾値Vssは、キャリッジの実速度のワースト値に、プリンター11に内在するメカばらつき分と、外部の振動源による振動等の外的要因分を考慮した値に設定される。
ここで、メカばらつきには、キャリッジ走査系の組付けばらつきや摺動抵抗のばらつき、キャリッジモーター35の動力源の出力ばらつき、使用年数(経年劣化)によるばらつき、プリンター11の個体差によるばらつき等が含まれる。また、外部要因の振動は、プリンター11の設置場所や周辺の環境によって変化する。例えば鉄道や工事現場の近くにプリンター11が設置されている場合や、プリンター11の近くで子供が遊んでいる環境下などでは、プリンター11に比較的大きな振動が伝わる。そして、比較例の閾値Vssは、想定される最大のメカばらつき及び想定される最大振動を考慮して設定される。すなわち、比較例の閾値Vssは、キャリッジの想定速度のワースト値(一点鎖線の下限値)よりも、最大メカばらつき分の第1マージンBmaxと、最大振動分の第2マージンAmaxと、マージン「a」との合計分だけ低速側の値として設定される。そして、比較例の閾値Vssは、同一機種の全てのプリンター11に共通な固定値として設定される。
上記の比較例に対して、本実施形態では、図8に示すように、速度メジャメントを行ってキャリッジ21の実速度(同図で実線)を測定した測定速度データを取得するので、最大メカばらつき分と最大振動分とを考慮する必要がない。そのため、閾値Vsは、キャリッジ21の測定速度データに基づく速度変動曲線MVにおける実速度のワースト値Vwよりも、マージン「a」分だけ低速側の値として設定される(Vs=Vw−a)。そして、閾値Vsは、同一機種のプリンター11間で個別に設定される。図8は、プリンター11に伝わる振動がない場合の例で、このときの閾値Vsは、キャリッジ21の実速度のワースト値Vwよりもマージン「a」分だけ低速側の値として設定される。このため、閾値Vsは、図7に示す比較例の閾値Vssに比べ、最大メカばらつき分の第1マージンBmaxと最大振動分の第2マージンAmaxとの合計値からプリンター個別のメカばらつき分Bを減算した分(=Bmax+Amax−B)だけ高めの値として設定される。
また、図9に示すプリンター11に振動が伝わる場合も、速度メジャメントを行ってキャリッジ21の実速度(同図で実線)を測定する。速度メジャメントの結果、振動がある場合のキャリッジ21の測定速度データに基づく速度変動曲線MVにおける実速度のワースト値は、キャリッジ21の振動がない場合のワースト値Vw(図8)よりも、実際の振動分だけ低速側の値として取得される。このワースト値Vwには、理想の実速度を示す一点鎖線の第1速度曲線VC1に対して、プリンター個別のメカばらつき分Bと実際の振動分Aとの速度変動を含む値として取得される。そして、閾値Vsは、キャリッジ21の実速度のワースト値Vwよりもマージン「a」分だけ低速側の値として設定される。このため、振動がある場合の図9に示す閾値Vsも、図7に示す比較例の閾値Vssに比べ、最大メカばらつき分の第1マージンBmaxと最大振動分の第2マージンAmaxとの合計値からプリンター個別のメカばらつき分Bと実際の振動分Aとを減算した分(Bmax+Amax−B−A)だけ高めの値として設定される。
図10に示すように、印刷中にキャリッジ21が定速度Vcで移動しているときに、キャリッジ21又は印刷ヘッド23が用紙Pに接触して紙ジャムが発生すると、キャリッジ速度Vcrは低下する。本実施形態の閾値Vsが設定されている場合、比較例の閾値Vssよりもキャリッジ21はキャリッジ位置x1でキャリッジ速度Vcrが早期に閾値Vsを低速側に超え(閾値Vs未満になり)、キャリッジモーター35は速やかに停止させる。これに対して、比較例の閾値Vssが設定されている場合、キャリッジ位置x2でキャリッジ速度Vcrが遅れて閾値Vssを低速側に超え、キャリッジモーター35は遅れて停止する。このため、本実施形態の閾値Vsが設定されている場合、キャリッジ21は位置xs1に速やかに停止する。一方、比較例の閾値Vssが設定されている場合、キャリッジは位置xs2に遅れて停止する。
図11(a)に示すように、印刷中のキャリッジ21は印刷ヘッド23が用紙Pに対して所定のギャップを隔てた状態で走査方向Xに移動し、その移動中に印刷ヘッド23のノズルNZからインク滴を吐出することで用紙Pに印刷を行う。
図11(b)に示すように、キャリッジ21が走査方向Xへ移動する過程で、印刷ヘッド23が用紙Pの端部に接触し、紙ジャムが発生すると、本実施形態の閾値Vsが設定されている場合は、図10に示すようにキャリッジ速度Vcrが早期に閾値Vs未満になり、キャリッジ21は紙ジャム発生時点から早期に位置xs1で停止する。このとき、図11(b)に示すように、キャリッジ21は用紙Pの側端のあった位置E1から相対的に短い距離L1だけ進んで停止する。
一方、比較例の閾値Vssが設定されている場合は、図10に二点鎖線で示すようにキャリッジ速度Vcrが遅れて閾値Vss未満になり、キャリッジ21は遅れて位置xs2で停止する。このとき、図11(c)に示すように、キャリッジ21は用紙Pの側端のあった位置E1から相対的に長い距離L2だけ進んで停止する。このため、図11(b),(c)に示すように、本実施形態の閾値Vsが設定されている場合、比較例の閾値Vssが設定されている場合に比べ、用紙Pのジャムの程度が相対的に軽く済む。例えばユーザーがジャム状態(例えば紙詰まり)の用紙Pを取り除き易くなる。また、印刷ヘッド23のノズル開口面23aへの用紙Pの接触に起因するノズルNZ内への紙粉の混入や、ノズル開口面23aに付着していたインクの他の色のノズルNZ内への混入等の発生頻度が低減される。
次に、プリンター11の作用を説明する。以下、図12及び図13等を参照してコンピューター51が実行する閾値設定制御ルーチン及び速度低下エラー検出制御ルーチンについて説明する。まず、図12を参照して閾値設定制御ルーチンについて説明する。コンピューター51は、プリンター11の電源がオンされると、閾値設定制御ルーチンのプログラムPRを実行する。
まずステップS11では、電源オン時であるか否かを判定する。電源オン時でなければステップS12に進み、電源オン時であればステップS14に進む。
ステップS12では、省電力モードからの復帰時であるか否かを判定する。省電力モードからの復帰時でなければステップS13に進み、省電力モードからの復帰時であればステップS14に進む。
ステップS13では、用紙のページ間であるか否かを判定する。用紙のページ間でなければ当該ルーチンを終了する。一方、用紙のページ間であればステップS14に進む。すなわち、S11〜S13の判定処理によって、電源オン時、省電力モードからの復帰時、用紙のページ間の時期のいずれかであるか否かを判定し、これらのうちいずれか1つの時期であれば、ステップS14の処理に進む。
ステップS14では、速度メジャメントを実行する。キャリッジ21を所定の印刷モードに応じた速度で往復移動させ、少なくとも往動と復動のいずれか一方で、無負荷領域におけるキャリッジ速度Vcrを測定する。測定結果に基づき速度低下のワースト値Vwを不揮発性メモリー64の所定記憶領域に記憶する。詳しくは、コンピューター51は、所定の印刷モードに応じた速度制御データVDを不揮発性メモリー64から読み出し、キャリッジモーター35を駆動させて、速度制御データVDに従って速度プロファイルでキャリッジモーター35を速度制御する。キャリッジ21が無負荷領域である定速域CVAに達すると、定速域CVAを移動中に所定のサンプリング周期でキャリッジ速度Vcrを取得する。定速域CVA内でサンプリングしたキャリッジ速度Vcrのうち速度低下のワースト値Vwを、不揮発性メモリー64に記憶する。なお、本実施形態では、このステップS14の処理が、「メジャメントステップ」の一例に相当する。
次のステップS15では、閾値Vsを設定する。すなわち、コンピューター51は、ワースト値Vwよりも所定のマージン「a」だけ低速側に閾値Vs(=Vw−a)を設定する。こうして、電源オン時、省電力モードからの復帰時、及び印刷中の用紙のページ間の時期には、キャリッジ21の速度を測定する速度メジャメントが実施され、速度低下エラー検出制御で使用される閾値Vsが更新される。なお、本実施形態では、このステップS15の処理が、「閾値設定ステップ」の一例に相当する。
ここで、本実施形態では、電源オン時、省電力モードからの復帰時においては、キャリッジ21の定速領域における速度(定速度)の異なる複数の印刷モード毎に速度メジャメント動作を行い、閾値Vsを印刷モード毎に設定する。このため、電源オン時、省電力モードからの復帰時においては、ステップS14及びS15において、印刷モード毎に速度メジャメントを行い、閾値Vsを印刷モード毎に設定する。例えば普通印刷モード(高速印刷モード)と高画質印刷モード(低速印刷モード)とで個別に速度メジャメントを行って速度低下のワースト値Vwを取得し(S14)、印刷モード毎に閾値Vs(=Vw−a)を設定する(S15)。
また、印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合は、指示を受け付けた印刷又は印刷中の印刷で指定された印刷モードでメジャメント動作を行い、そのときの印刷モードに応じた閾値Vsを設定する。このため、先行の用紙Pの排出と後続の用紙Pの給送とが行われる用紙Pのページ間のときは、印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合に該当するため、そのとき実行中の印刷ジョブで指定された印刷モードで速度メジャメントを行う。これは印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合は、既にその印刷で使用する印刷モードが決まっているので、その印刷モードについてのみ速度メジャメントを行う。また、印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合に、複数の印刷モードについて速度メジャメントを行うことは、印刷スループットの低下に繋がるので、その印刷で必要な印刷モードについてのみ速度メジャメントを行う。そのため、用紙のページ間のときには、その他の印刷モードについては速度メジャメントを行わない。
次に、図13を参照して速度低下エラー検出制御を含むキャリッジ走査制御ルーチンについて説明する。コンピューター51は、プリンター11の電源オン中における速度メジャメント実施期間以外の時期のうち少なくとも印刷中に、このキャリッジ走査制御ルーチンを実行する。以下では、印刷中にキャリッジ21を走査方向Xに移動させる制御を例にして説明する。
まずステップS21では、キャリッジを印刷モードに応じた速度で駆動する。すなわち、コンピューター51は、そのときの印刷モードに応じた速度制御データVDを不揮発性メモリー64から読み出す。そして、コンピューター51は、キャリッジモーター35の駆動を開始させるとともに、速度制御データVDに従った速度プロファイルでキャリッジモーター35を速度制御する。なお、このとき、コンピューター51は、ヘッド制御も行い、ヘッド駆動回路52を介して印刷ヘッド23を制御して走査中のキャリッジ21の定速領域で、印刷ヘッド23にインク滴を吐出させることで1パス分の印刷を行わせる。
次のステップS22では、印刷中のキャリッジの実速度Vrを取得する。すなわち、コンピューター51は、キャリッジ21が無負荷領域である定速域CVAに達すると、この定速域CVAでの移動中に所定のサンプリング周期でキャリッジ21の実速度Vrを取得する。この実速度Vrとして、例えば速度制御データVDを参照して行うキャリッジ21の速度制御で使用する実速度又は実パルス周期を用いてもよい。
ステップS23では、Vr<Vsが成立するか否かを判定する。すなわち、コンピューター51は、実速度Vrと閾値Vsとを比較し、実速度Vrが閾値Vs未満になったか否かを判定する。Vr<Vsが成立しなければステップS24に進み、Vr<Vsが成立すればステップS25に進む。
ステップS24では、1走査を終了したか否かを判定する。ここでは、キャリッジ21の1走査中の定速域CVAにおける移動(走査)を終了したか否かを判定する。1走査を終了していなければステップS22に戻り、1走査を終了する(S24で肯定判定となる)まで、ステップS22及びS23の処理を繰り返す。なお、ステップS21〜S24の各処理は、キャリッジ21が1走査する間に各々の制御周期で並列に処理される。
ステップS25では、キャリッジの駆動を停止させる。すなわち、コンピューター51は、ステップS23で実速度Vrが閾値Vs未満になると(Vr<Vsが成立)、キャリッジモーター35の駆動を停止させる。このとき、閾値Vsは、比較例の閾値Vss(図7参照)に比べ相対的に高めの値に設定されている(図8、図9参照)ので、図10及び図11に示すように、比較例の閾値Vssが用いられる場合に比べ、キャリッジ21は早期に停止する。このとき、キャリッジ21が走査方向Xに移動する過程で発生した紙ジャムが原因でVr<Vsが成立した場合、キャリッジ21は紙ジャム発生時点から比較的速やかに停止する。この結果、紙ジャム発生時に、キャリッジ21が用紙Pに与えるダメージが相対的に少なく済む。また、紙ジャム発生時には、印刷ヘッド23のノズル開口面23aに用紙Pが接触する場合もあるが、その接触した用紙Pからの紙粉がノズルNZ内に混入したり、用紙Pがノズル開口面23aを擦った際にノズル開口面23aに付着していたインクが他の色のノズルNZ内に混入したりする頻度も低減する。
次のステップS26では、キャリッジを所定位置まで退避させる。すなわち、コンピューター51はキャリッジモーター35を速度低下エラー発生時の回転方向とは逆方向に回転させるように制御し、キャリッジ21を速度低下エラー発生時の移動方向と反対側へ移動させる。そして、キャリッジ21を紙ジャム状態の用紙Pを除去できる所定位置まで退避させる。
次のステップS27では、媒体(本例では用紙P)の除去を促す旨を報知する。すなわち、コンピューター51は、媒体の除去を促す旨のメッセージを表示部14に表示する。ユーザーは、表示部14のメッセージに従ってジャム状態の用紙Pをプリンター11内の印刷領域から取り除く。このとき、紙ジャム発生時にキャリッジ21が速やかに停止し、用紙Pに与えられたダメージが比較的小さいことから、ユーザーは用紙Pを比較的簡単に除去できる。用紙Pを除去し終わると、ユーザーは操作部15を操作して用紙除去完了の旨の通知及び印刷を再開させる指示をプリンター11に与える。プリンター11内のコンピューター51は、操作部15からの操作信号を入力してユーザーの指示を受け付けると、次のステップS28の処理を実行する。
ステップS28では、紙ジャムの除去を確認する。すなわち、コンピューター51は、キャリッジ21を退避位置から印刷領域を横断するように走査領域の全域を印刷時の速度よりも低速でゆっくり移動させる。このとき、コンピューター51はキャリッジ21の実速度又はモータートルクと略比例関係にある例えばモーター電流値等をサンプリングし、負荷による速度の減速又はモータートルクの上昇等の有無を検出し、キャリッジ21の移動経路上に用紙P等の障害物が無いことを確認する。キャリッジ21が紙ジャム除去の確認動作(1走査)を終えると、キャリッジ21をホーム位置に移動させる。このとき、紙ジャム除去の確認動作がホーム位置から反ホーム位置へ向かう方向であった場合、キャリッジ21を紙ジャム除去の確認動を作終了した位置からホーム位置まで印刷時の速度と同じもしくはこれより高速度で復動させる。
次のステップS29では、紙ジャムが除去されたか否かを判定する。紙ジャムが除去されていなければステップS27に戻り、紙ジャムが除去されていればステップS30に進む。紙ジャムが除去されていなかった場合は、媒体の除去を促す旨を再度報知し(S27)、ユーザーによる操作部15からの操作信号を入力すると、再び紙ジャム除去の確認動作を行う(S28)。そして、ステップS29で、紙ジャムが除去されていると判定するまで、ステップS27〜S29の処理を繰り返す。紙ジャムが除去されていると判定すると、次のステップS30の処理を実行する。
ステップS30では、閾値設定制御を実行して、速度メジャメントにより閾値Vsを設定する。すなわち、コンピューター51は図12におけるステップS14及びS15と同様の処理を実行し、速度メジャメントを行って得られた速度低下のワースト値Vwに基づき、閾値Vs(=Vw−a)を設定する。こうして紙ジャム発生時には、紙ジャム除去後、印刷再開前に速度メジャメントが実施され、閾値Vsが更新される。このため、印刷時に振動が原因で速度低下エラーが発生した場合、印刷再開前に振動状態の下で速度メジャメントが行われ、振動による速度変動が含まれた実速度Vrのワースト値Vwに基づき、閾値Vsがそれまでの値よりも低い値に更新される。この結果、再開された印刷は、更新後の低めの閾値により振動状態の下でも速度低下エラーとならずに最後まで完結できる。従って、紙ジャムでもないのに、振動が原因で繰り返し速度低下エラーが発生する事態を回避することができる。なお、このステップS30の処理が、「メジャメントステップ」の一例及び「閾値設定ステップ」の一例に相当する。
また、速度メジャメントは、電源オン時だけでなく、省電力モードからの復帰時、及び印刷中の用紙Pのページ間の時期にも実施される。このため、省電力モード中に、ユーザーが印刷を行うためにプリンター11を操作したり、ホスト装置からプリンター11に印刷ジョブを送信したりすると、プリンター11は省電力モードから復帰してまず速度メジャメントを実施し、閾値Vsを更新する。その後、指示された印刷を実行する。このため、印刷中は、更新されたばかりの閾値Vsを用いて速度低下エラー検出制御が行われるので、印刷中に紙ジャムでもないのに振動等が原因で速度低下エラーが発生して印刷が中断される頻度を低下できる。
また、印刷中においても、用紙Pのページ間の時期、すなわち、印刷が終わった先行の用紙Pの排出(排紙)と後続の用紙Pの給送(給紙)とが行われる待機時期を利用して速度メジャメントを行い、印刷中においても定期的に閾値Vsが更新される。よって、印刷途中から振動等が発生してキャリッジ21の速度変動が大きくなっても、ページ間の時期に振動状態の下で実施された速度メジャメントにより更新された閾値Vsにより、印刷中に紙ジャムでもないのに振動等が原因で速度低下エラーが発生して印刷が中断される頻度を低減できる。
また、振動等が原因で閾値Vsが低めに設定された後、振動が無くなった場合は、振動の無い状態で次回の速度メジャメントが行われ、図8に示すような高めの閾値Vsに更新される。よって、振動があるうちは振動による誤検出を回避しつつ紙ジャムを検出することができ、振動が無くなれば、その後、更新される高めの閾値Vsにより、誤検出を回避しつつ、紙ジャムの検出時にキャリッジ21を速やかに停止させ、用紙Pに与えるダメージを小さく抑えることができる。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)キャリッジ21の速度メジャメントを行って、キャリッジ21の速度低下のワースト値Vwに基づいて閾値Vsを設定する。このため、プリンター個別のメカばらつき(キャリッジ走査系の個体差)や振動の有無など使用環境に応じた適切な閾値Vsを設定できる。例えば大きな振動のある環境下では低めの閾値Vsが設定され、ほとんど振動のない環境下では高めの閾値Vsが設定される。よって、プリンター11を使用する際、振動がある環境下でも、振動を紙ジャムと誤検出してキャリッジ21が強制的に停止されることによって、印刷が中断されてしまう事態を回避できる。また、紙ジャム発生時にはキャリッジ21を速やかに停止させて用紙Pに与えるダメージを小さく抑えることができる。特に、プリンター11がモバイルプリンターである場合、中型や大型のプリンターに比べ比較的頻繁に使用場所が変わり、例えば鉄道や工事現場等の震動源の近くで印刷しても、振動等に起因する紙ジャムの誤検出による印刷の中断を回避しつつ、実際に発生した紙ジャムを検出して用紙Pに与えるダメージを小さく抑えることができる。
(2)仮に振動がほとんどない環境下で高めの閾値Vsが設定されている状態で、印刷中に始まった振動が原因で紙ジャムと誤判定されて印刷が中断された場合は、印刷再開前に速度メジャメントを行って振動のある使用環境に応じた低めの閾値Vsに更新される。このため、再開した印刷を振動のある環境下でも最後まで完結することができる。
(3)コンピューター51は、閾値Vsを、速度メジャメント動作で得られたキャリッジ21の速度低下の下限値(ワースト値Vw)に応じたその下限値未満の値に決定する。特にワースト値Vwから所定マージンaを差し引いて、ワースト値Vwよりも所定マージンaだけ低速側の値を、閾値Vsに設定する。よって、プリンター11のキャリッジ走査系の個別のメカばらつき(個体差)やプリンター11の使用環境に応じたより適切な閾値Vsを設定できる。
(4)コンピューター51は、プリンター11の電源オン時に速度メジャメント動作を行って、閾値Vsを設定する。このようにプリンター11が電源オンされる度に閾値Vsが更新される。よって、プリンター11の電源オン後の印刷時に、適切な閾値Vsにより、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えることができ、しかも紙ジャム等に起因して速度低下エラーが発生したときにキャリッジ21を比較的速やかに停止させることができる。
(5)コンピューター51は、省電力モードからの復帰時に速度メジャメント動作を行い、閾値Vsを更新する。このように省電力モードから復帰する度に閾値Vsが更新される。よって、省電力モードからの復帰後の印刷時に、適切な閾値Vsにより、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えることができ、しかも紙ジャムに起因して速度低下エラーが発生したときにはキャリッジ21を比較的速やかに停止させて用紙Pに与えるダメージを小さく抑えることができる。
(6)コンピューター51は、キャリッジ21の定速領域における速度(定速度)の異なる複数の印刷モード毎に速度メジャメント動作を行い、印刷モード毎に閾値Vsを設定する。このため、どの印刷モードで印刷される場合も、そのときの印刷モードに応じた適切な閾値Vsを用いて速度低下エラーを検出できる。よって、印刷モードに拘らず、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えることができ、しかも紙ジャム等に起因して速度低下エラーが発生したときにキャリッジ21を比較的速やかに停止させることができる。
(7)コンピューター51は、用紙Pのページ間で速度メジャメント動作を行い、ページ毎に閾値が設定される。よって、そのページの印刷において、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を一層低く抑えることができ、しかも紙ジャムに起因して速度低下エラーが発生したときにはキャリッジ21を比較的速やかに停止させることができる。
(8)コンピューター51は、印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合は、指示を受け付けた印刷又は印刷中の印刷で指定された印刷モードで速度メジャメント動作を行い、そのときの印刷モードに応じた適切な閾値Vsを設定する。よって、複数の印刷モードのうち、指示を受け付けた印刷又は印刷中の印刷で指定された1つの印刷モードで速度メジャメント動作が行われるだけで、そのとき必要のない印刷モードの速度メジャメントは行われないので、速度メジャメント動作を行った割に印刷のスループットが低下しにくい。
(第2実施形態)
次に図14及び図15を参照して、第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、印刷中以外の時期に速度メジャメントを行うことで閾値を設定したが、この第2実施形態では、印刷中にキャリッジが印刷する走査時にも速度メジャメントを行っている。なお、以下では、第1実施形態と共通の構成については同一の符号を付してその説明を省略し、特に異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、不揮発性メモリー64には、第1実施形態の図13に示すプログラムに替え、図15にフローチャートで示すキャリッジ走査制御用のプログラムPRが記憶されている。また、コンピューター51は、過去複数回分の速度メジャメントの測定結果(速度データ)を、RAM63又は不揮発性メモリー64の所定記憶領域に印刷モード別に記憶する。
まず、図14を参照して、本実施形態における閾値の設定方法について説明する。図14に示すキャリッジ21の走査方向Xへの1回の移動(同図中の矢印)を「パス」と呼ぶ。また、図14において、定速域CVA(無負荷領域)は、用紙サイズ及び縁なし印刷の有無に応じて決まり、1パスの印刷でキャリッジ21が定速で移動できる最長印刷範囲に相当する。
図14に示すように、1パス目、…、k−1パス目、kパス目、…、m−2パス目、m−1パス目、mパス目のようにキャリッジ21は走査方向Xに複数回移動する。そして、キャリッジ21の移動過程で印刷ヘッド23のノズルNZからインク滴を吐出して用紙Pに1パス分(1行分)の画像を印刷する。図14では網掛け領域が印刷された印字領域G(ラスター領域G)であり、その上側に施した実線の矢印は、印刷時のキャリッジ21の移動方向を示す。また、図14の例では、1パス目の印字領域Gが定速域CVAで行われ、この定速域CVAが無負荷領域に相当する。また、図14の例では、印字領域G毎の実線の矢印の長さの範囲が定速域CVAのうち、印刷のために走査された印刷走査範囲SAを示し、二点鎖線の矢印の範囲が、定速で走査されなかった非走査領域NSAを示す。
本実施形態では、印刷中にキャリッジ21が走査方向に1回に1パスする走査の過程を利用して速度メジャメントを行い、1パス毎に閾値Vsを設定(更新)する。
例えば1パス目では、先行ページの最終パス時の速度メジャメントで設定された閾値Vs、又はページ間の速度メジャメントで設定された閾値Vsを使用する。また、kパス目では、前回のk−1パス目の速度メジャメントで設定された閾値Vsを使用する。
さらにmパス目では、前回のm−1パス目の走査範囲が無負荷領域の全範囲ではないので、前回のm−1パス目の速度メジャメントで設定された閾値を使用するのは適切ではない。そのため、本例では、m−1回目のパスで行った速度メジャメントで測定されたワースト値Vw1と、前々回以前の回のうち非走査領域を含む範囲で速度メジャメントが行われた最新の回のパスにおける非走査領域での速度低下のワースト値Vw2とを用いて閾値Vsを設定する。つまり、閾値Vsを、複数のワースト値Vw1,Vw2のうち最低の1つをワースト値Vwとして、Vs=Vw−aにより決定する。
そして、1パス目、kパス目、mパス目を含む各走査過程では、キャリッジ21の実速度Vrが、上記の方法で設定した閾値Vsを低速側に超えると、キャリッジモーター35の駆動を停止させてキャリッジ21を強制的に停止させる。この結果、キャリッジ21を紙ジャム発生時点から相対的に速やかに停止させることができる。
次に、図14及び図15を参照して、図15にフローチャートで示されるプログラムPRを実行することによりコンピューター51が行うキャリッジ走査制御について説明する。
まずステップS41では、前回の無負荷領域の速度低下のワースト値Vw1を取得する。コンピューター51は、RAM63又は不揮発性メモリー64の所定記憶領域から、同じ印刷モードの前回の速度メジャメントの測定結果データ(速度データ)を読み出し、その測定結果データから前回の無負荷領域の速度低下のワースト値Vw1を取得する。
ステップS42では、前回の走査は無負荷領域の全域であるか否かを判断する。前回の走査が無負荷領域の全域であればステップS43に進み、無負荷領域の全域でなければステップS44に進む。例えば図14において、1パス目、k−1パス目、kパス目、m−2パス目が前回の走査となる場合、前回の走査は無負荷領域の全域であるので、ステップS43に進むことになる。一方、図14において、m−1パス目が前回の走査となる場合、前回の走査は無負荷領域の一部であって全域ではないので、ステップS44に進むことになる。
ステップS43では、閾値Vsを設定する。すなわち、コンピューター51は、ワースト値Vw1を用いて、式Vs=Vw1−aにより算出した閾値Vsを設定する。ここで、「a」は、第1実施形態と同様のマージン値である。閾値Vsは、例えばRAM63の所定記憶領域に記憶される。
ステップS44では、無負荷領域のうち非走査領域については前々回以前で最新の回のワースト値Vw2を取得する。例えば図14において、m−1パス目が前回の走査となる場合、前回の走査には非走査領域NSAが存在する。この非走査領域NSAの測定速度データは存在しないので、非走査領域NSAの範囲を含む範囲で速度メジャメントが行われた前々回以前の回のうち最新の回の測定速度データを取得し、その測定速度データのうち非走査領域NSAに相当する範囲におけるワースト値Vw2を取得する。こうして無負荷領域(定速域CVA)のうち非走査領域NSAについては、前々回以前で最新のワースト値Vw2が取得される。なお、非走査領域NSAにおけるワースト値として、前々回以前の異なる回で、非走査領域NSAのうちの一部の範囲と残りの他の一部の範囲とをそれぞれ含む場合、異なる複数の回の測定速度データから各範囲のワースト値をそれぞれ取得し、走査範囲の異なる3つ以上のワースト値を取得してもよい。
ステップS45では、各ワースト値Vw1,Vw2から閾値Vsを設定する。すなわち、コンピューター51は、複数のワースト値Vw1,Vw2のうち一番小さい値(一番低速側の値)をワースト値Vwとして、式Vs=Vw−aにより閾値Vsを算出し、算出した閾値Vsを、例えばRAM63の所定記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、ステップS43及びS45の各処理が、「閾値設定ステップ」の一例に相当する。
以下の処理のうちステップS46,S48〜S51の処理は、基本的に第1実施形態の図13におけるステップS21〜S25の処理と同様であり、ステップS52の処理は、図13における26〜S30の処理に相当する。そして、ステップS47において印刷中に速度メジャメントを実施する点が前記第1実施形態と異なる。
すなわち、ステップS46では、キャリッジを印刷モードに応じた速度で駆動する。コンピューター51は、キャリッジモーター35の駆動を開始させ、そのときの印刷モードに応じた速度制御データVDに従った速度プロファイルでキャリッジモーター35を速度制御する。このとき、コンピューター51は、ヘッド駆動回路52を介して印刷ヘッド23を制御し、キャリッジ21の定速領域で印刷ヘッド23に1パス分の印刷を行わせる。
ステップS47では、印刷中に速度メジャメントを実施して、無負荷領域における速度低下のワースト値Vwを記憶する。すなわち、コンピューター51は、キャリッジ21が印刷のために走査する今回の走査における無負荷領域で速度メジャメントを行い、次回の走査に用いる閾値Vsを算出するためのワースト値Vwを取得し、これを例えばRAM63の所定記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、このステップS47の処理が、「メジャメントステップ」の一例に相当する。
ステップS48では、印刷中のキャリッジの実速度Vrを取得する。すなわち、コンピューター51は、キャリッジ21が無負荷領域である定速域CVAでの移動中に所定のサンプリング周期でキャリッジ21の実速度Vrを取得する。
ステップS49では、Vr<Vsが成立するか否かを判定する。コンピューター51は、Vr<Vsが不成立であればステップS50に進み、Vr<Vsが成立すればステップS51に進む。
ステップS50では、1走査を終了したか否かを判定する。ここでは、キャリッジ21の1走査中の定速域CVAにおける移動(走査)を終了したか否かを判定する。1走査を終了していなければステップS48に戻り、1走査を終了するまで、ステップS48及びS49の処理を繰り返す。なお、ステップS46〜S50の各処理は、キャリッジ21が1走査する間に各々の制御周期で並列に処理される。
ステップS51では、キャリッジの駆動を停止させる。すなわち、コンピューター51は、ステップS23で実速度Vrが閾値Vs未満になると(Vr<Vsが成立)、キャリッジモーター35の駆動を停止させる。このとき、キャリッジ21が走査方向Xに移動する過程で発生した紙ジャムが原因でVr<Vsが成立した場合、キャリッジ21は紙ジャム発生時点から比較的速やかに停止する。この結果、紙ジャム発生時に、キャリッジ21が用紙Pに与えるダメージが相対的に少なく済むうえ、用紙Pとノズル開口面23aとの接触に起因する紙粉のノズルNZ内への混入や、他の色のインクのノズルNZ内への混入等の発生頻度が低減する。
ステップS52では、閾値を再設定する。すなわち、コンピューター51は、第1実施形態における図13のステップS26〜S30の処理を行う。ここで、まずコンピューター51はキャリッジモーター35を速度低下エラー発生時の回転方向とは逆方向に回転させることで、キャリッジ21を速度低下エラー発生時の移動方向と反対側へ移動させ、キャリッジ21を紙ジャム状態の用紙Pを除去できる所定位置まで退避させる。次にコンピューター51は、媒体の除去を促す旨のメッセージを表示部14に表示する。コンピューター51は、ユーザーが紙ジャム除去後に操作する操作部15からの操作信号を受け付けると、キャリッジ21に紙ジャム除去の確認動作(走査)を行わせる。すなわち、コンピューター51は、キャリッジ21を退避位置から走査領域の全域を低速でゆっくり移動させ、そのときの速度変化又はモータートルクの上昇等によりキャリッジ21の進行を妨げる負荷の有無を検出し、キャリッジ21の移動経路上に用紙P等の障害物が無いことを確認する。キャリッジ21が紙ジャム除去の確認動作(1走査)を終えると、キャリッジ21をホーム位置に移動させる。このとき、紙ジャム除去の確認動作がホーム位置から反ホーム位置へ向かう方向であった場合、キャリッジ21を紙ジャム除去確認動作終了位置からホーム位置まで印刷時の速度と同じもしくはこれより高速度で復動させる。
そして、コンピューター51は、紙ジャムが除去されたか否かを判定し、紙ジャムが除去されていなければ、媒体の除去を促す旨を再度報知し、ユーザーの操作による操作部15から操作信号を入力すると、再び紙ジャム除去の確認動作を行う。さらにコンピューター51は、紙ジャムの除去を確認すると、速度メジャメントを実施して閾値Vsを更新する。こうして紙ジャム除去後、印刷再開前に速度メジャメントが実施されて閾値Vsが更新される。このため、印刷時に振動が原因で速度低下エラーが発生した場合、印刷再開前に、振動状態の下で実施された速度メジャメントにより取得されたワースト値Vwに基づき、閾値Vsがそれまでの値よりも低い値に更新される。この結果、再開した印刷は、更新後の低めの閾値により振動状態の下でも速度低下エラーとならずに最後まで完結できる。
また、速度メジャメントは、電源オン時だけでなく、省電力モードからの復帰時、及び印刷中の用紙Pのページ間の時期にも実施される。このため、省電力モード中に、ユーザーが印刷を行うためにプリンター11を操作したり、ホスト装置からプリンター11に印刷ジョブを送信したりすると、プリンター11は省電力モードから復帰し、この復帰後にまず速度メジャメントを行って閾値Vsを更新した後、指示された印刷を実行する。このため、印刷中は、印刷開始前に更新されたばかりの閾値Vsを用いて速度低下エラー検出制御が行われるので、印刷中に紙ジャムでもないのに振動等が原因で速度低下エラーが発生して印刷が中断されてしまう頻度を低減できる。
また、印刷中においても、用紙Pのページ間の時期、すなわち、印刷が終わった先行の用紙Pの排出(排紙)と後続の用紙Pの給送(給紙)とが行われる待機時期を利用して速度メジャメントを行い、印刷中においても定期的に閾値Vsが更新される。よって、印刷途中から振動等が発生してキャリッジ21の速度変動が大きくなっても、印刷中に紙ジャムでもないのに振動等が原因で速度低下エラーが発生して印刷が中断されてしまう頻度を低減できる。
また、振動等が原因で閾値Vsが低めに設定された後、振動が無くなった場合は、振動の無い状態で次回の速度メジャメントが行われ、図8に示すような高めの閾値Vsに更新される。よって、振動があるうちは振動による誤検出を回避しつつ紙ジャムを検出でき、振動が無くなれば、その後、更新される高めの閾値Vsにより、誤検出を回避しつつ、紙ジャムの検出時にキャリッジ21を速やかに停止させて用紙Pに与えるダメージを小さく抑えることができる。
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果(1)〜(8)が得られるうえ、更に以下に示す効果を得ることができる。
(9)印刷中にキャリッジ21が印刷する走査の過程で速度メジャメント動作を行って、キャリッジ21の1走査の度に閾値を更新するので、1走査毎の印刷開始直前(前回の走査過程)におけるプリンター11の振動も考慮して閾値Vsを設定できる。よって、閾値を低速側に超える頻度が低くなる。また、印刷以外のメジャメント動作のみの余分な走査をしなくても、印刷中に閾値Vsを更新できる。このため、その印刷中において、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を一層低く抑えることができ、しかも紙ジャムに起因して速度低下エラーが発生したときに、キャリッジ21を比較的速やかに停止させることができる。
(10)コンピューター51は、前回の速度メジャメント動作でキャリッジ21の印刷走査範囲SAが用紙サイズに応じた定速域CVA(最長印刷範囲)よりも短い場合、非走査領域NSAの範囲については、前々回以前にその範囲を含む印刷走査範囲SAで速度メジャメント動作が行われた最新の回の非走査領域NSAの範囲の測定速度を用いる。そして、その前々回以前の測定速度と前回の測定速度を用いて閾値Vsを設定する。よって、印刷中に印刷走査範囲SAが短く、短い範囲でしか速度メジャメント動作が行われなくても、走査されなかった非走査領域NSAの範囲も含む測定速度に基づくなるべく適切な閾値Vsを設定することができる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・制御部の一例を構成するコンピューター51は、複数回の速度メジャメント動作で得られた複数回分の測定速度に基づき、キャリッジ21の走査方向Xの位置(キャリッジ位置x)に対する速度が同じように変化する速度変動傾向が存在する場合は、キャリッジの位置に応じて異なる少なくとも2つの閾値を設定してもよい。コンピューター51は、複数回の速度メジャメント動作で得られた測定速度データを複数回分比較し、キャリッジ位置xに対する測定速度が同じように変化する速度変動曲線をとり、速度変動傾向が存在する場合は、図16に示すように、キャリッジ位置xに応じて変化する閾値Vs(x)を設定する。例えば、複数回の速度メジャメントで、図16に示す同じ速度変動傾向の速度変動曲線MVが得られた場合、速度変動曲線MV上の各値から所定のマージン「a」を減算して閾値Vs(x)を設定する。
この場合、複数回の速度メジャメントで得られた各速度変動曲線が、無負荷領域において、同じキャリッジ位置xに対する全てのキャリッジ速度Vcrが許容範囲±α内に収まれば、速度変動傾向が存在する。一方、振動がある場合、振動による速度変動を含む測定速度はキャリッジ位置xに依存しないので、複数回の速度メジャメントで得られた速度変動曲線が許容範囲±αに収まらず、速度変動傾向が存在しない。このように、図16の例では、キャリッジ走査系に固有の速度変動傾向が存在する場合、キャリッジ位置xに応じて変化する適切な閾値Vs(x)を設定することができる。よって、キャリッジ位置xに応じて変化する適切な閾値Vs(x)により、キャリッジ21の速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、紙ジャム等の異常負荷の発生時に、一定の閾値Vsを用いる場合に比べ、キャリッジ21を一層速やかに停止させることができる。
なお、閾値Vs(x)は、図16に示すようにキャリッジ位置xに対して曲線状に変化することに限定されず、無負荷領域内の異なる複数(m個)の領域毎に異なる一定の閾値Vsi(但し、iは1,2,…,m)が設定されたステップ状に閾値Vsiが変化するものでもよい。例えば無負荷領域に、異なる2つの閾値Vs1,Vs2、異なる3つの閾値Vs1,Vs2,Vs3が設定されてもよい。すなわち、無負荷領域においてキャリッジ位置xに応じて異なる少なくとも2つの閾値が設定されればよい。この構成でも、少なくとも2つの閾値により、速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、一番低い閾値以外の他の閾値が用いられるキャリッジの位置領域において、紙ジャム等の異常負荷による速度低下エラーが発生した場合に、キャリッジ21を一層速やかに停止させることができる。なお、これらの場合、測定速度データに基づく速度変動曲線MV上の値に対して係数K(0<K<1)を乗じることで、閾値Vs(x)や閾値Vsiを求めてもよい。
・前記各実施形態では、ワースト値Vwから減算するマージンを一定値としたが、図17に示すように、マージンを変化させてもよい。図17に示すように、速度メジャメントで得られた測定速度データに基づく速度変動曲線MVの速度変動幅に応じてマージンを変化させてもよい。例えば図17(a)に示すように、測定速度データに基づく速度変動曲線MVが振動波形を描き小さな振幅A1のときには、ワースト値Vwから、振幅A1に応じた小さなマージン「a1」を減算して閾値Vsを設定する(Vs=Vw−a1)。一方、図17(b)に示すように、測定速度データに基づく速度変動曲線MVが大きな振幅A2のときには、ワースト値Vwから、振幅A2に応じた大きなマージンa2を減算して閾値Vsを設定する(Vs=Vw−a2)。ここで、速度メジャメントで得られた速度変動曲線MVの速度変動幅が大きいときには、速度メジャメント時よりキャリッジ速度Vcrが大きく変動する可能性がある。そのため、この構成では、速度変動幅の大きさに応じてマージンを変化させて閾値を設定する。よって、速度変動幅に応じたマージンの閾値Vsを用いることにより、キャリッジ21の速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、紙ジャム等の異常負荷の発生時に、一定マージンの閾値を用いる場合に比べ、キャリッジ21を一層速やかに停止させることができる。
また、上記の例とは反対に、速度変動幅が小さいほど閾値のマージンを大きくしてもよい。ここで、速度メジャメントで得られた速度変動曲線MVの速度変動幅が大きいときは振動のある状態で速度メジャメントが行われた可能性が高く、その後、印刷中に振動があっても速度低下エラーの誤検出は回避できる。一方、速度メジャメントで得られた速度変動曲線MVの速度変動幅が小さいときは、振動がない状態で速度メジャメントが行われた可能性が高い。この場合、その後、印刷の途中に振動が発生すると、一定マージンの閾値の場合、振動が原因で速度低下エラーの誤検出となる虞がある。しかし、速度変動幅が小さいほど閾値のマージンを大きくすれば、例えば印刷の途中に振動が発生しても速度低下エラーの誤検出になりにくい。
このように速度メジャメント動作で得た測定速度から、キャリッジ21の速度低下の下限値(ワースト値Vw)と速度変動幅とを取得する。そして、閾値Vsを、速度低下の下限値に対して速度変動幅に応じた分だけ小さな値に決定する。これにより、振動の有無に応じて、キャリッジの速度低下エラーの誤検出の発生頻度を低く抑えつつ、紙ジャム等の異常負荷の発生時にキャリッジ21を比較的速やかに停止させることができる。
・前記各実施形態では、ワースト値Vwから所定のマージン「a」を減算した値に閾値Vsを設定したが、ワースト値Vwに係数K(0≦K<1)を乗じた値に閾値Vsを設定してもよい。
・速度メジャメントで得られた測定速度のうち閾値を求めるために使う速度は、ワースト値に限定されない。例えば速度メジャメントで得られた速度変動曲線の極小値の平均値でもよい。このようにワースト値でなくても、マージンの減算や係数の乗算を行うことにより、ワースト値Vw未満の閾値Vsを設定できればよい。
・前記第2実施形態では、印刷中の一走査毎に速度メジャメントを行ったが、1ページの印刷中の少なくとも1回の走査で速度メジャメントを行えばよい。例えば1ページの印刷中のどこか1回の走査で速度メジャメントを1回行ってもよいし、1走査おき、2走査おき、3走査おき、5走査おき、10走査おきなど所定走査数おきに速度メジャメントを行ってもよい。また、1ページの印刷をする全走査のうちランダムな回で走査時の速度メジャメントを行ってもよい。また、印刷中に所定時間おきに速度メジャメントを行ってもよい。
・前記第2実施形態では、非走査領域NSAの範囲を含む範囲で速度メジャメントを行った前々回以前の速度メジャメントで得られた非走査領域NSAに相当する範囲のワースト値を使うが、採用するワースト値は前々回以前の最新の回の速度メジャメントに限定されない。例えば同一の印刷ジョブに基づく印刷中に行われた前々回以前の速度メジャメントであればよい。
・電源オン時及び省電力モードからの復帰時には、複数の印刷モード毎に速度メジャメント動作を行って印刷モード毎に閾値を設定したが、1つの印刷モードのみで速度メジャメント動作を行ってもよい。この場合、1つの印刷モードでの速度メジャメントで得られた閾値を、各印刷モードで共通に使用してもよいし、速度メジャメントで得られた閾値に、印刷モード間の変換係数を乗じたり変換用のシフト値を加減算したりすることで、印刷モード毎の閾値を求めてもよい。
・無負荷領域で速度メジャメントを行ったが、少なくとも無負荷領域を含む領域で速度メジャメントを行えばよい。例えば無負荷領域と負荷領域の少なくとも一部とを含む領域で速度メジャメントを行ってもよい。この場合、例えば位置に対する速度が変化する負荷領域では、位置に応じて閾値を変化させればよい。また、無負荷領域の全域で速度メジャメントを行うことが好ましいが、無負荷領域の一部の領域で速度メジャメントを行ってもよい。
・印刷実行の指示を受け付けた印刷開始時に印刷動作の開始前に速度メジャメントを行ってもよい。また、電源オフ時の終了動作の一つとして速度メジャメントを行ってもよい。
・電源オン時の初期動作の1つとして他の目的で実施されるメジャメント動作のときに、速度メジャメントを一緒に行ってもよい。この種の他の目的で実施されるメジャメント動作には、キャリッジモーター35の出力値と速度との関係を測定して各印刷モードにおけるキャリッジモーター35の出力値を決めるメジャメントが挙げられる。このメジャメントで取得した測定速度を用いて閾値Vsを求める。
・前記各実施形態では、電源オン時、省電力モードからの復帰時、ページ間の時期、印刷中の印刷のための走査時のうち、少なくとも1つの時期に速度メジャメントを実施して、閾値を設定するようにしてもよい。例えば、電源オン時のみ、省電力モードからの復帰時のみ、ページ間の時期のみ、あるいは印刷中の印刷のための走査時のみに、速度メジャメントを実施して閾値を設定する構成としてもよい。また、上記の複数の時期のうち少なくとも2つの時期に速度メジャメントを実施して閾値を設定する構成や、少なくとも3つの時期に速度メジャメントを実施して閾値を設定する構成としてもよい。
・前記各実施形態では、電源オン時、省電力モードからの復帰時、ページ間の時期には、その時期になる度に速度メジャメントを実施して閾値を設定する構成に限定されない。例えば、省電力モードからの復帰時、ページ間の時期、印刷中の印刷走査のときに実施するメジャメントは、前回のメジャメント実施時点からの経過時間を計時するカウンターを設け、カウンターの計時時間(経過時間)が設定時間を超えた場合に限る構成としてもよい。この場合、頻繁に速度メジャメントが実施される事態を回避できる。
・前記各実施形態では、シリアル式プリンターに適用したが、印刷ヘッドを有するキャリッジを移動させながら印刷する走査式の印刷装置であればよく、例えばキャリッジが主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターに適用してもよい。
・印刷装置は、インクジェット式プリンターに限定されず、ドットインパクト式プリンターでもよい。
・プリンターのコンピューター51に構築される各機能部は、プログラムを実行するコンピューターによりソフトウェアで実現されたり、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されたり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されたりしてもよい。
・媒体は、用紙Pに限定されず、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシートなどであってもよい。また、媒体は、タオルや、シャツ等の衣料でもよい。さらに媒体は、印刷装置の一例としての3Dプリンターを用いて3次元造形物を製造する場合における3次元造形物でもよい。
11…印刷装置一例としてのプリンター、21…キャリッジ、23…印刷ヘッド、35…動力源の一例としてのキャリッジモーター、50…制御部の一例としてのコントローラー、51…制御部の一例を構成するコンピューター、71…主制御部、72…キャリッジ制御部、73…メジャメント部、74…閾値値設定部、75…第1判定部、76…第2判定部、77…報知部、PD…印刷データ、P…媒体の一例としての用紙、X…走査方向、Y…搬送方向、V1,V2,Vc…定速度、CVA…無負荷領域の一例としての定速域、Vs,Vs(x)…閾値、Vw,Vw1,Vw2…ワースト値、a,a1,a2…マージン、Vr…実速度、x…キャリッジ位置、Vcr…キャリッジ速度、SA…印刷走査範囲、NSA…非走査範囲。

Claims (13)

  1. 印刷ヘッドを有するキャリッジを走査方向に移動させつつ当該印刷ヘッドにより媒体に印刷する印刷装置であって、
    前記キャリッジと、
    前記キャリッジを走査方向に移動させる動力源と、
    前記動力源を制御して前記キャリッジの移動を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記キャリッジを移動させて速度を測定するメジャメント動作を行い、当該メジャメント動作で測定された速度に基づき閾値を設定し、印刷中に前記キャリッジの速度が前記閾値よりも低下すると、当該キャリッジを停止させることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記制御部は、前記閾値を、前記メジャメント動作で得られた前記キャリッジの速度低下の下限値に応じた当該下限値未満の値に決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記制御部は、印刷中に前記キャリッジの速度が前記閾値よりも低下して前記キャリッジを停止させた場合、次の印刷動作を開始する前に、前記メジャメント動作を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
  4. 前記制御部は、印刷装置の電源オン時に前記メジャメント動作を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
  5. 前記制御部は、省電力モードからの復帰時に前記メジャメント動作を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
  6. 前記制御部は、前記キャリッジの定速度の異なる複数の印刷モードを備え、当該複数の印刷モード毎に前記メジャメント動作を行い、前記閾値を印刷モード毎に設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印刷装置。
  7. 前記制御部は、媒体のページ間で前記メジャメント動作を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の印刷装置。
  8. 前記制御部は、前記キャリッジの定速度が異なる複数の印刷モードを備え、印刷の指示を受け付けた場合又は印刷中の場合は、当該指示を受け付けた印刷又は印刷中の印刷で指定された印刷モードで前記メジャメント動作を行い、当該印刷モードに応じた閾値を設定する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の印刷装置。
  9. 前記制御部は、印刷中に前記キャリッジが印刷する走査の過程で前記メジャメント動作を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の印刷装置。
  10. 前記制御部は、前回の前記メジャメント動作で前記キャリッジの印刷走査範囲が媒体サイズに応じた最長印刷範囲よりも短い場合は、少なくとも走査されなかった範囲の測定速度は、前々回以前に当該範囲を含む印刷走査範囲でメジャメント動作が行われたときの測定速度を用いることを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
  11. 前記制御部は、複数回の前記メジャメント動作で得られた複数回分の測定速度に基づき、前記キャリッジの走査方向の位置に対して速度が同じように変化する速度変動傾向が存在する場合は、前記キャリッジの位置に応じて異なる少なくとも2つの前記閾値を設定することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の印刷装置。
  12. 前記制御部は、前記メジャメント動作により、前記キャリッジの速度低下の下限値と、前記キャリッジの速度変動幅とを取得し、前記閾値を、前記速度低下の下限値に対して前記速度変動幅に応じた分だけ小さな値に決定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の印刷装置。
  13. 印刷ヘッドを有するキャリッジを走査方向に移動させつつ当該印刷ヘッドにより媒体に印刷する印刷方法であって、
    前記キャリッジを走査方向に移動させて速度を測定するメジャメント動作を行うメジャメントステップと、
    前記メジャメント動作で測定された速度に基づいて閾値を設定する閾値設定ステップと、
    印刷中に前記キャリッジの速度が前記閾値よりも低下すると、当該キャリッジを停止させる制御ステップと、
    を備えたことを特徴とする印刷方法。
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