JP2016135567A - 剥離性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な剥離性を有すると共に、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備えたフィルムを提供する。【解決手段】基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に形成された中間層と、該中間層上に形成された最表層が積層されてなる剥離性フィルムであって、該中間層は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、該最表層は少なくとも1種の共重合体Aを含有し、該共重合体Aは、共重合体A中の全構成単位を100モル%として、80〜99モル%の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及び1〜20モル%のプロピレンに由来する構成単位を含む、剥離性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた剥離性を有するフィルムに関する。特に、電子部品又は電子基板の製造工程、あるいは繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される剥離用のフィルム等に関する。さらに詳しくは、剥離フィルム、剥離ライナー、又は複合材料製造時のキャリアー、保護材のセパレータフィルム等として特に有用な、剥離性フィルムに関する。
ポリプロピレンフィルムは、軽量性、熱的安定性及び機械特性に優れており、包装用を始め、工業用材料フィルムとして広く用いられている。特に近年は、ポリプロピレンフィルムの低い表面エネルギーを利用して、非シリコーン系の離型材料として、電子部品、電子基板の製造工程、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される保護材、離型材等に広く使用されている。
このようなポリプロピレンフィルムとして、例えば、ポリプロピレン系樹脂及び非晶性のα−オレフィン共重合体エラストマーを含有するフィルムが提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載されたフィルムは、剥離性が不十分である。
その剥離性の向上を目指して作られた、ポリメチルペンテン重合体を含有するポリプロピレン樹脂組成物からなるポリプロピレンフィルムが知られている(特許文献2)。しかし、特許文献2に記載のフィルムにおいては、ポリメチルペンテンの含有量を増やすとポリメチルペンテンの相溶範囲を超えるため、表面に粗大な凹凸が生じ、実用に耐え得るフィルムが得られないという問題があった。
また、特許文献3には、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及びオレフィンに由来する構成単位を含む共重合体を含有する組成物をコーティング剤として用いて得た、耐熱性及び電気絶縁性に優れるフィルムが記載されている。しかし、特許文献3に記載のフィルムは、剥離フィルム等として使用するに十分な強度を有するものではなく、平滑性も十分でない場合がある。
ここで、剥離フィルムは例えば表面保護フィルムの粘着面等の被着面に対して貼付した状態で保管、流通等され、表面保護フィルム等を使用する際には被着面から剥離されるフィルムである。表面保護フィルムの粘着面等の被着面から剥離フィルムを剥離する際、フィルムの強度が十分でないと剥離フィルムの一部が被着面に移行する場合がある。また、剥離フィルムの平滑性が低いと、剥離フィルムの表面形状が被着面に転写される場合がある。これらの場合、当該被着面を有する表面保護フィルム等をさらに別の面に貼付して使用する際に、移行した剥離フィルムの一部が別の面にさらに移行することが問題となったり、被着面に転写された剥離フィルムの形状のために表面保護フィルム等の粘着性が低下したりする場合がある。
そこで、良好な剥離性を有すると共に、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備えたフィルムがなお求められている。
特開2010−184990号公報 特開2008−189795号公報 特開2013−227421号公報
本発明の課題は、良好な剥離性を有すると共に、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備えたフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために剥離性フィルムについて詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に形成された中間層と、該中間層上に形成された最表層が積層されてなる剥離性フィルムであって、
該中間層は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、
該最表層は少なくとも1種の共重合体Aを含有し、該共重合体Aは、共重合体A中の全構成単位を100モル%として、80〜99モル%の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及び1〜20モル%のプロピレンに由来する構成単位を含む、剥離性フィルム。
〔2〕前記最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は0.1〜1.0N/25mmである、前記〔1〕に記載の剥離性フィルム。
〔3〕前記共重合体Aは160℃〜200℃の範囲の融点を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の剥離性フィルム。
〔4〕前記最表層の厚みは0.1〜3.0μmである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の剥離性フィルム。
〔5〕前記ポリオレフィン樹脂B1は、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸をグラフト共重合させたポリオレフィンである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の剥離性フィルム。
〔6〕前記ポリオレフィン樹脂B2は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び/又は水酸基含有ビニルエーテルをグラフト共重合させたポリオレフィンである、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の剥離性フィルム。
〔7〕前記中間層の厚みは0.04〜1.5μmである、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の剥離性フィルム。
〔8〕前記最表層側のフィルム表面の粗さ曲線から得られる負荷曲線における突出山部高さ(Rpk)は0.005〜0.04μmである、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の剥離性フィルム。
本発明の剥離性フィルムは、良好な剥離性を有すると共に、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備え、特に、電子部品又は電子基板の製造工程、あるいは繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される剥離フィルム等として適当である。
本発明の剥離性フィルムは、基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に形成された中間層と、該中間層上に形成された最表層が積層されてなるフィルムである。
基材層は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を含有する層である。基材層は上記樹脂の1種類のみを含有してもよいし、2種以上を組み合わせて含有してもよい。本発明の剥離性フィルムにおける基材層は、中間層および最表層の加工適正の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン及びポリスチレンからなる群から選択される樹脂を含有する層であることが好ましく、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含有する層であることがより好ましい。
基材層は、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムのいずれから形成される層であってもよい。加工適正、透明性および寸法安定性の観点から、基材層は二軸延伸フィルムから形成される層であることが好ましい。
基材層の厚みは、加工適正の観点から、好ましくは15μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。基材層の厚みは、製品使用時のハンドリング性の観点から、好ましくは125μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。基材層の厚みはマイクロメーター(JIS B−7502)を用いて、JIS C−2151に準拠して測定される。
基材層と、後述する中間層との密着性を高める目的で、所望により基材層の片面又は両面に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理や溶剤処理等の凹凸化処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等の表面酸化処理等が挙げられる。
本発明の剥離性フィルムは、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された中間層を有する。中間層は、基材層と後述する最表層との接着性を高め、フィルムの強度を高めるための層であり、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1は、基材層と最表層との密着性の観点から好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは30〜80mgKOH、さらに好ましくは40〜60mgKOHの酸価を有する。ここでいう酸価は、JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した値である。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2は、基材層と最表層との密着性の観点から好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは30〜80mgKOH、さらに好ましくは40〜60mgKOHの水酸基価を有する。ここでいう水酸基価は、JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した値である。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2は、例えばポリオレフィン樹脂にカルボキシル基又は水酸基を導入することにより製造することができる。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーの単独重合体、又は、これらから選択される2種以上のモノマーの共重合体、エチレン及び炭素数3〜20のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと他の重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、エチレン/プロピレンブロック共重合体、エチレン/プロピレンランダム共重合体、プロピレン/1−ブテンブロック共重合体、プロピレン/1−ブテンランダム共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メチルメタクリレート、アイオノマー樹脂等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜を得る際の成膜性の観点から、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20(好ましくは炭素数4〜12)のα−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。ここで、炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。この態様において、ポリオレフィン樹脂は、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される1種のモノマーとの共重合体であってもよいし、プロピレンと、エチレン及び炭素数4〜20のα−オレフィンからなる群から選択される2種以上のモノマーとの共重合体であってもよい。ポリオレフィン樹脂は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性の観点から、プロピレンと、エチレン又は1−ブテンとを少なくとも共重合させた樹脂であることがより好ましい。
本発明の一態様において、ポリオレフィン樹脂はプロピレンとエチレンとを少なくとも共重合させた樹脂であることが好ましい。この態様において、ポリオレフィン樹脂中のプロピレンに由来する構成単位の含量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは50〜75モル%であり、より好ましくは60〜70モル%である。また、ポリオレフィン樹脂中のエチレンに由来する構成単位の含量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは25〜50モル%であり、より好ましくは30〜40モル%である。ポリオレフィン樹脂は、プロピレン及びエチレンに由来する構成単位以外のα−オレフィン及び/又はその他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有してもよく、その含量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは40モル%以下であり、より好ましくは30モル%以下である。
この態様において、ポリオレフィン樹脂のX線回折により測定される結晶化度は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性および塗膜としての成膜性の観点から、好ましくは2〜20%であり、より好ましくは5〜18%である。
この態様において、ポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、塗工液を得る際の溶剤への溶解性および塗膜を得る際の成膜性の観点から、好ましくはランダム共重合体である。
本発明の別の一態様において、ポリオレフィン樹脂はプロピレンと1−ブテンとを少なくとも共重合させた樹脂であることが好ましい。この態様において、ポリオレフィン樹脂中のプロピレンに由来する構成単位の含量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは50〜95モル%であり、より好ましくは60〜93モル%であり、さらに好ましくは70〜90モル%である。また、ポリオレフィン樹脂中の1−ブテンに由来する構成単位の含量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは5〜50モル%であり、より好ましくは7〜40モル%であり、さらに好ましくは10〜30モル%である。ポリオレフィン樹脂は、プロピレン及び1−ブテンに由来する構成単位以外に、エチレン、他のα−オレフィン及び/又はその他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有してもよく、その含量は、ポリオレフィン樹脂を構成する全構成単位に基づいて好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは5モル%以下である。
ポリオレフィン樹脂がプロピレンと1−ブテンとを少なくとも共重合させた樹脂である本発明の一態様において、ポリオレフィン樹脂の極限粘度[η]は、好ましくは0.1〜12dl/g、より好ましくは0.5〜12dl/g、さらに好ましくは1〜12dl/gである。ポリオレフィン樹脂の極限粘度[η]が上記範囲内であると、塗工液の塗工適性および塗膜の成膜性が良好であるため好ましい。
ここで、極限粘度[η]は、溶媒としてデカリンを用いて、135℃で測定される。具体的には、共重合体A約20mgをデカリン15mlに溶解させ、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定し、濃度(C)を0に外挿することで、ηsp/Cの値を極限粘度として求めることができる。
この態様において、ポリオレフィン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)は好ましくは3以下、より好ましくは2.0〜3.0、さらに好ましくは2.0〜2.5である。ポリオレフィン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内であると、塗膜の成膜性及び塗工液の安定性が良好であるため好ましい。分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として算出される。GPC法に使用されるGPC装置には特に制限はなく、ポリオレフィン類の分子量分析が可能な市販の高温型GPC測定機、例えば、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機、HLC−8121GPC-HT等を使用することができる。この場合、例えば、GPCカラムとして東ソー株式会社製、TSKgelGMHHR−H(20)HTを3本連結させたものが用いられ、カラム温度は140℃に設定され、溶離液としてトリクロロベンゼンが用いられ、流速1.0ml/分にて測定される。通常、標準ポリスチレンを用いて検量線を作製し、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を得る。
この態様において、ポリオレフィン樹脂の示差走査型熱量測定(DSC)によって測定される融点(T)は、好ましくは60〜140℃、より好ましくは70〜130℃である。ポリオレフィン樹脂の融点Tが上記範囲内であると、塗膜の成膜性が良好であるため好ましい。融点Tは、示差走査型熱量計(例えばパーキン・エルマー社製、入力補償型DSCDiamondDSC)を用い、アルミニウム製のサンプルホルダーに約2mgの試料を詰めて、窒素流下で0℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分で30℃まで降温させ、再び10℃/分で280℃まで昇温させて、この際の吸熱ピークを融点とした。
この態様において、ポリオレフィン樹脂はブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、塗工液を得る際の溶剤への溶解性および塗膜を得る際の成膜性の観点から、好ましくはランダム共重合体である。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1は、例えば前記ポリオレフィン樹脂にカルボキシル基を導入することにより製造することができる。カルボキシル基の導入は、例えば、ポリオレフィン樹脂と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとをグラフト共重合することによって得られる。これらのモノマーは単独で、又は、2種以上を組み合わせて、ポリオレフィン樹脂との共重合に使用することができる。前記モノマーを、グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部の量でグラフト共重合させることが好ましい。ここで、モノマーの量が上記の下限以上であると、基材層及び後述する最表層に対する中間層の接着性を高めやすいため好ましく、モノマーの量が上記の下限以上であると、中間層の脆性が増加せずに凝集剥離が生じにくいため好ましい。
不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸、該不飽和カルボン酸の無水物、該不飽和カルボン酸及び該不飽和カルボン酸無水物の誘導体(例えば酸ハライド、アミド、イミド、エステル等)が挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル等が挙げられる。不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体は、製造し易さの観点から、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、例えば、有機溶媒にポリオレフィン樹脂を溶解させて得たポリオレフィン樹脂溶液に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー及びラジカル重合開始剤を添加し、加熱、攪拌してグラフト共重合反応させる方法、ポリオレフィン樹脂を加熱溶融して得た溶融物に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー及びラジカル重合開始剤を添加し、攪拌してグラフト共重合させる方法、ポリオレフィン樹脂と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと、ラジカル重合開始剤とを予め混合して得た混合物を押出機に供給し、加熱混練しながらグラフト共重合反応させる方法、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとラジカル重合開始剤とを有機溶媒に溶解させて得た溶液をポリオレフィン樹脂に含浸させた後、前記ポリオレフィン樹脂が溶解しない最高の温度まで加熱し、グラフト共重合反応させる方法などが挙げられる。
使用するラジカル重合開始剤は、ポリオレフィン樹脂と前記モノマーとの重合を開始するものであれば特に限定されないが、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、アゾ化合物等が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、有機ペルオキシド又は有機ペルエステルであることが好ましい。有機ペルオキシドとしては、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルー2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシンー3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド等が挙げられる。有機ペルエステルとしては、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチルー2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシンー3、2,5−ジメチルー2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシド)ヘキサン、tert−ブチルベンゾエート、tert−ブチルペルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート及びtert−ブチルペルジエチルアセテート等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシンー3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドであることが、製造しやすさの観点からより好ましい。
ラジカル重合開始剤を、グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部程度の量で使用することが、製造し易さの観点から好ましい。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1は、好ましくは不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーをグラフト共重合させたポリオレフィンであり、より好ましくはマレイン酸及び/又は無水マレイン酸をグラフト共重合させたポリオレフィンである。
水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2は、例えば前記ポリオレフィン樹脂に水酸基を導入することにより製造することができる。水酸基の導入は、例えば、前記ポリオレフィン樹脂と、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有ビニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーとをグラフト共重合することによって得られる。これらのモノマーは、単独で、又は、2種以上を組み合わせて、前記ポリオレフィン樹脂との共重合に使用することができる。前記モノマーを、グラフト共重合させるポリオレフィン樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部となるようにグラフト共重合させることが好ましい。ここで、モノマーの量が上記の下限以上であると基材層及び後述する最表層に対する中間層の接着性を高めやすいため好ましく、モノマーの量が上記の下限以上であると、中間層の脆性が増加せずに凝集剥離が生じにくいため好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、製造のしやすさの観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルであることが好ましい。
水酸基含有ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。水酸基含有ビニルエーテルは、製造のしやすさ及び塗膜の成膜性の観点から2−ヒドロキシエチルビニルエーテルであることが好ましい。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B2は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び/又は水酸基含有ビニルエーテルをグラフト共重合させたポリオレフィンである。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2の重量平均分子量(Mw)は、塗工液を得る際の溶剤への溶解性及び塗膜の成膜性を両立しやすい観点から、1000〜200000であることが好ましく、1000〜50000であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)は、上記に述べた分子量分布(Mw/Mn)の測定方法と同様にして測定される。
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2のガラス転移温度(Tg)は、塗膜の成膜性の観点から、−5〜60℃であることが好ましく、0〜50℃であることがより好ましい。ガラス転移温度はJIS7121に準拠して測定できる。
中間層は、例えば、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種と、少なくとも1種の溶媒とを含有する塗工液を基材層の少なくとも一方の面に塗工し、得られた塗工層から溶媒を除去することにより形成される。
前記溶媒としては、ポリオレフィン樹脂B1又はB2を溶解することができれば特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。溶媒の沸点は、塗工液のハンドリング性と剥離性フィルムの製造効率を高めやすい観点から、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは20〜120℃である。
塗工液中のポリオレフィン樹脂B1又はB2の濃度は、塗工液の安定性及び塗工適性の観点から、塗工液の総量に基づいて1〜15質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。塗工方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法を適宜使用することができる。塗工方法としては、例えばブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、マイクログラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、ダイコータ、カーテンコータ、印刷機等を用いた方法が挙げられる。
塗工層から溶媒を除去する方法は、溶媒を揮発させることができれば特に限定されない。なお、溶媒を除去するとは、溶媒を完全に取り除くことのみを意味するのではなく、層が形成される程度に溶媒を取り除くことも含む。溶媒を除去する方法としては、例えば塗工層を放置して乾燥させる方法や、加熱により乾燥させる方法が挙げられる。溶媒除去と基材変形防止を両立しやすい観点から90〜110℃で乾燥させることが好ましく、95〜105℃で乾燥させることがより好ましい。
中間層の厚みは、成膜性と密着性を両立しやすい観点から、好ましくは0.04μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上である。中間層の厚みは、最表層の塗工適性の観点から、好ましくは1.5μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下である。中間層の厚みは、表面・層断面形状計測器(例えば株式会社菱化システム社製「VertScan(登録商標)2.0」)を用いて光干渉方式で測定される。
本発明の剥離性フィルムは、前記中間層上に形成された最表層を有する。最表層は、本発明の剥離性フィルムに剥離性を付与するための層であり、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及びプロピレンに由来する構成単位を含有する少なくとも1種の共重合体Aを含有する。
共重合体A中の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の含量は、共重合体A中の全構成単位を100モル%として、80〜99モル%であり、好ましくは85〜98モル%であり、より好ましくは87〜97モル%である。共重合体A中の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位の含量が上記の下限以上であると、剥離性が向上するため好ましく、上記の上限以下であると、塗工液を得る際の溶媒への溶解性が向上するため好ましい。
共重合体A中のプロピレンに由来する構成単位の含量は、共重合体A中の全構成単位を100モル%として、1〜20モル%であり、好ましくは2〜15モル%であり、より好ましくは3〜13モル%であり、さらに好ましくは5〜10モル%である。共重合体A中のプロピレンに由来する構成単位の含量が上記の下限以上であると、成膜性および塗工液の安定性が良好であるため好ましく、上記の上限以下であると、最表層の剥離性を高めやすいため好ましい。
共重合体Aは、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及びプロピレンに由来する構成単位の他に、他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有してもよい。他の重合性モノマーとしては、例えばスチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物、酢酸ビニル等のビニルエステル類、無水マレイン酸等の不飽和有機酸又はその誘導体、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等の共役ジエン類、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等の非共役ポリエン類等が挙げられる。共重合体Aが他の重合性モノマーに由来する構成単位を含有する場合、該構成単位の含量は、塗工液を得る際の溶媒への溶解性の観点から、共重合体A中の全構成単位を100モル%として好ましくは5モル%以下であり、より好ましくは3モル%以下である。
ここで、共重合体A中の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位、他の重合性モノマーに由来する構成単位等の含量は、例えば13C−NMRにより測定することができる。具体的には、核磁気共鳴装置(例えば日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)、JNM−ECP500等)を用い、溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料(共重合体A)濃度:55mg/0.6mL、測定温度:135℃、観測核:13C(125MHz)、シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間:5.5秒、積算回数:1万回以上の条件で、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定することができる。
共重合体Aのメルトフローレートは、塗膜を得る際の成膜性の観点から2g/10分以上であることが好ましく、3g/10分以上であることがより好ましい。また、塗膜強度の観点から10g/10分以下であることが好ましく、6g/10分以下であることがより好ましい。メルトフローレートは、JISK7210−1999に準拠して230℃にて測定される。
共重合体Aの示差走査型熱量測定(DSC)によって測定される融点(T)は、剥離性フィルムの耐熱性を高めやすい観点から、好ましくは160〜200℃であり、より好ましくは165〜190℃である。示差走査型熱量測定(DSC)によって測定される融点の測定方法は、上記に述べたとおりである。共重合体Aの融点は、共重合体A中の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及びプロピレンに由来する構成単位の含量により調整することができる。
共重合体Aの極限粘度[η]は、135℃デカリン中で測定して好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上である。共重合体Aの極限粘度[η]は、好ましくは5.0dl/g以下であり、より好ましくは4.0dl/g以下であり、さらに好ましくは2.5dl/g以下である。共重合体Aの極限粘度[η]が上記の上限以下であると、塗工液の塗工適性および成膜性が良好であるため好ましく、上記の下限以上であると、得られるフィルムの形状安定性を高めやすいため好ましい。極限粘度[η]の測定方法は、上記に述べたとおりである。共重合体Aの極限粘度[η]は、共重合体Aを製造する際の、重合工程における水素の添加量により調整することができる。
共重合体Aの密度は、剥離性フィルムの耐熱性を高めやすい観点から、好ましくは820〜850(kg/m)であり、より好ましくは825〜850kg/mであり、さらに好ましくは825〜845kg/mであり、特に好ましくは825〜840kg/mである。共重合体Aの密度は、JISK6268に準拠して測定することができる。共重合体Aの密度は、共重合体A中の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及びプロピレンに由来する構成単位の含量により調整することができる。
共重合体Aのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、剥離性フィルムの透明性、機械特性及び表面平滑性を高めやすい観点から、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.3〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5である。分子量分布(Mw/Mn)の測定方法は、上記に述べたとおりである。分子量分布(Mw/Mn)の値は、後述するオレフィン重合用触媒、特にメタロセン触媒の種類によって調整することができる。
共重合体Aの結晶化温度(T)は、剥離性フィルムの成形性を高めやすい観点から、好ましくは80〜190℃であり、より好ましくは90〜170℃である。共重合体Aの結晶化温度は示差走査型熱量測定(DSC)により、融点(T)と同様の方法で測定した結晶化ピークのピーク頂点の温度から求めることができる。共重合体Aの結晶化温度は、共重合体A中の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及びプロピレンに由来する構成単位の含量により調整することができる。
共重合体Aは、例えばオレフィン重合用触媒の存在下、4−メチル−1−ペンテンと、プロピレンと、場合により他の重合性モノマーとを重合することにより製造することができる。オレフィン重合用触媒としては、例えばメタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒等が挙げられ、好ましくはメタロセン触媒が挙げられる。このようなメタロセン触媒は、例えば国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3−193796号公報、特開平02−41303号公報、国際公開第06/025540号パンフレット中に記載されている。
最表層は、例えば、共重合体Aと、少なくとも1種の溶媒とを含有する塗工液を中間層上に塗工し、得られた塗工層から溶媒を除去することにより形成される。
前記溶媒としては、共重合体Aを溶解することができれば特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、メチルシクロへキサン等の脂肪族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。溶媒の沸点は、塗工液のハンドリング性と剥離性フィルムの製造効率を高めやすい観点から、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは20〜120℃である。
塗工液中の共重合体Aの濃度は、塗工液の安定性および塗工適性の観点から、塗工液の総量に基づいて1〜10質量%であることが好ましく、4〜7質量%であることがより好ましい。塗工方法は特に限定されず、中間層について記載した塗工方法を同様に用いることができる。
塗工層から溶媒を除去する方法としては、中間層について記載した方法を同様に用いることができる。
最表層の厚みは、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは0.3μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上である。最表層の厚みは、塗工適正および製造しやすさの観点から、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1.5μm以下である。最表層の厚みは、表面・層断面形状計測器(例えば株式会社菱化システム社製「VertScan(登録商標)2.0」)を用いて光干渉方式で測定される。
基材層、中間層及び最表層は、必要に応じて少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば酸化防止剤、塩素吸収剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。このような添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で基材層、中間層又は最表層に添加してよい。少なくとも1種の添加剤を、基材層、中間層又は最表層のいずれかにのみ含有させてもよいし、基材層、中間層及び最表層の全ての層に含有させてもよい。また、基材層、中間層及び最表層は互いに同一又は異なる添加剤を含有してよい。
「酸化防止剤」には、剥離性フィルム製造時の熱や酸化による劣化を抑制する目的で配合される1次剤としての役割と、長期使用した際の経時的な劣化を抑制する目的で配合される2次剤としての役割とが、少なくともある。これらの役割に応じて、各々異なる種類の酸化防止剤を用いても構わないし、1種類の酸化防止剤に2つの役割を持たせてもよい。
異なる種類の酸化防止剤を用いる場合、例えば押出成形機内での劣化等の製造時の劣化を防止することを目的とする1次剤としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(一般名称:BHT)を、各層を得るための組成物中に1000〜3000ppm程度添加することが好ましい。この目的で配合された酸化防止剤は成形工程でほとんどが消費され、剥離性フィルム中にはほとんど残存しない。そのため、一般的には残存量は100ppmより少なくなり、酸化防止剤による被着体の汚染がほとんどない点で好ましい。
2次剤としては公知の酸化防止剤が使用可能だが、例えば、フェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系の熱安定剤及び酸化防止剤が挙げられる。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等を挙げることができる。より具体的には、BASFジャパン株式会社製の酸化防止剤である、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)1330、Irgafos(登録商標)168が挙げられる。
中でも、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、フェノール系とホスファイト系との組み合わせ、フェノール系とラクトン系との組み合わせ、フェノール系とホスファイト系とラクトン系の組み合わせが、フィルムを長期使用した際の経時的な劣化を抑制する効果を付与でき、好ましい。
また2次剤としてリン系酸化防止剤を使用してもよい。リン系酸化防止剤として、例えば、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:イルガフォス168)、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト(商品名:イルガフォス38)などが挙げられる。
2次剤としての該酸化防止剤の含有量は、各層に含まれる樹脂の総量に基づいて、300ppm以上2500ppm以下が好ましく、500ppm以上1500ppm以下がより好ましい。300ppm以上とすることでフィルムを長期使用した際の経時的な劣化を抑制する効果を付与できやすく、2500ppm以下とすることで、酸化防止剤による被着体の汚染を防止しやすい。
「塩素吸収剤」としては、特に限定されないが、例えばステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が挙げられる。
「紫外線吸収剤」としては、特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール(BASF製Tinuvin328等)、ベンゾフェノン(Cytec製Cysorb UV−531等)、ハイドロキシベンゾエート(Ferro製UV−CHEK−AM−340等)等が挙げられる。
「滑剤」としては、特に限定されないが、例えば第一級アミド(ステアリン酸アミド等)、第二級アミド(N−ステアリルステアリン酸アミド等)、エチレンビスアミド(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
「可塑剤」としては、特に限定されないが、例えばPPランダム共重合体等が挙げられる。
「難燃化剤」としては、特に限定されないが、例えばハロゲン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸塩、ボレート、アンチモン酸化物等が挙げられる。
「帯電防止剤」としては、特に限定されないが、例えばグリセリンモノエステル(グリセリンモノステアレート等)、エトキシル化された第二級アミン等が挙げられる。
「着色剤」としては、特に限定されないが、例えばカドミウム、クロム含有無機化合物からアゾ、キナクリドン有機顔料等が挙げられる。
「アンチブロッキング剤」は、ブロッキング防止のために添加され、核剤としての効果を発現しない限り特に限定されないが、例えばシリカ粒子、アルミナ、(合成)ゼオライト、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、石英、炭酸マグネシウム、硫酸パリウム、二酸化チタンなどの無機顔料や、ポリスチレン、ポリアクリル系粒子、ポリメチルメタクリレート(PMMA)系粒子、架橋ポリエチレン粒子、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、(架橋)メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、脂肪酸アミド、脂肪酸グリセリンエステル化合物などの有機顔料が挙げられる。アンチブロッキング剤は、0.1μm〜10μmの粒子径を有する顔料であることが好ましく、PMMAやシリカ粒子が、耐ブロッキング性や滑り性付与に優れるためより好ましい。例えば基材層にこのような顔料をに含有させることにより、基材層の表裏面の滑り性が向上し、ブロッキングを抑制することができる。
本発明の剥離性フィルムの表面に、剥離性フィルムとして用いる場合の貼り合わせ等に支障が無い範囲で、巻き適性を向上させる微細な表面粗さを付与してもよい。フィルム表面に微細な凹凸を与える方法としては、エンボス法、エッチング法など、公知の各種粗面化方法を採用することができ、その中でも、不純物の混入などの必要がないβ晶を用いた粗面化法が好ましい。β晶の生成割合は、一般的には、キャスト温度及びキャストスピードを変更することによって制御することができる。また、縦延伸工程のロール温度によってβ晶の融解/転移割合を制御することができ、これらのβ晶生成とその融解/転移の二つのパラメーターについて最適な製造条件を選択することによって微細な粗表面性を得ることができる。
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の粗さ曲線から得られる負荷曲線における突出山部高さ(Rpk)は、剥離性フィルムの平滑性を高める観点から、好ましくは0.04μm以下、より好ましくは0.03μm以下、さらに好ましくは0.02μm以下である。該突出山部高さ(Rpk)は、通常0.005μm以上であり、好ましくは0.008μm以上である。
突出山部高さ(Rpk)とは、JISB−0671−2:2002で、線形負荷曲線による高さ特性より計算される、粗さ曲線のコア部の上にある突出山部の平均高さであって、フィルム表面の連続した起伏の影響を取り除きながら、被着体との接触に影響が大きい、突出した凸部、すなわち異常突出部の状態を、正確に判定することを可能とする指標である。
突出山部高さ(Rpk)は、触針による接触式や可視光反射、レーザー光干渉による非接触式、走査プローブ顕微鏡(SPM/AFM)等による原子間力位相差測定等により測定することができる。
このようなRpk値は、粗さ曲線のコア部の外にはみ出る異常突出部の平均高さを意味し、この値が大きいほど、フィルム表面の異常突出部が多い、すなわち、被着体に対する食いつきが大きく、剥離力が重くなる原因の固着が生じやすい形状であることを表す。この値が小さいと、異常突出部が少なく被着体への固着を生じにくい突出山部が平滑なプラトー(丘陵)構造となり、剥離用のフィルムの表面として好ましい。
本発明の剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は、剥離性フィルムの被着体に対する密着性を高めやすい観点から、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは0.15N/25mm以上、さらに好ましくは0.2N/25mm以上である。本発明の剥離性フィルムの最表層の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は、剥離性を高めやすい観点から、好ましくは1.0N/25mm以下であり、より好ましくは0.8N/25mm以下であり、さらに好ましくは0.5N/25mm以下である。剥離性フィルムの上記T字ピール剥離力は、剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面に、幅50mm×長さ200mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製NO.31Bテープ、アクリル系粘着剤)を、2kgのローラーを2往復させることにより貼付し、温度23℃湿度50%の環境下で1時間静置して得られたフィルムから25mm幅に切り出した試料を測定試料とし、引っ張り試験機(例えば、ミネベア株式会社製 万能引張試験機 テクノグラフTGI−1kN)を用いて1000mm/分の速度でT字ピール剥離を行う際の剥離力として測定される。
本発明の剥離性フィルムの厚みは、剥離性フィルムとしての取り扱い性の観点から、好ましくは18μm以上であり、より好ましくは20μm以上である。剥離性フィルムの厚みは、剥離性フィルムとしての取り扱い性の観点から、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。本発明の剥離性フィルムの厚みはマイクロメーター(JISB−7502)を用いて、JISC−2151に準拠して測定される。
本発明の剥離性フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。ヘイズ値(曇り度)は、公知のヘイズメーター等を用いて測定することができる。ヘイズ値(曇り度)が高いフィルムは(一般的に内部ヘイズが低い薄いフィルムの場合には)、表面の粗さが粗い状態を示す。
本発明の剥離性フィルムは、良好な剥離性を有すると共に、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備えているため、剥離用のフィルムとして優れている。本発明の剥離性フィルムは、表面保護フィルム及び粘着テープ等に使用する剥離フィルム、剥離ライナー又はセパレータフィルム、ならびに複合材料製造時のキャリアー等として好適に使用される。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り、部及び%はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[測定方法及び評価方法]
実施例及び比較例における、各種測定方法及び評価方法は、次のとおりである。
〔230℃におけるメルトフローレート〕
JISK−7210(1999)に従い測定した。
〔融点〕
共重合体Aの融点は、パーキン・エルマー社製、入力補償型DSCDiamondDSCを用い、以下の手順により算出した。
まず、共重合体Aを2mg量りとり、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置にセットし、窒素流下0℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持、10℃/分で30℃まで冷却後、再び10℃/分で280℃まで昇温する際の吸熱ピークを融点とした。
〔カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1の酸価〕
JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した。
〔水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2の水酸基価〕
JIS0070(中和滴定法)に準拠した方法により測定した。
〔中間層及び最表層の厚み〕
測定機:株式会社菱化システム社製 光干渉方式表面・層断面形状計測器 VertScan(登録商標)2.0
測定機の層厚み測定モード(ベアリング測定)にて、基材層の屈折率1.60、中間層及び最表層の屈折率1.48から各層の光学距離を求め、中間層及び最表層の厚みを測定した。
〔基材層及びフィルムの厚み〕
剥離性フィルム及び基材層の厚みは、マイクロメーター(JIS B−7502)を用いて、JIS C−2151に準拠して測定した。
〔ヘイズ(曇り)度〕
日本電色社製 ヘイズメーター NDH−5000を用い、50mm×100mmにカットしたサンプルを測定した。測定数は3とし、その平均値を採用した。
〔突出山部高さ(Rpk)〕
測定機:株式会社菱化システム社製 光干渉方式表面・層断面形状計測器 VertScan(登録商標)2.0
JISB−0671-2:2002に規定されるコア部のレベル差(Rk)、突出山部高さRpk、突出谷部深さ(Rvk)のうち、コア部のレベル差(Rk)及び突出山部高さ(Rpk)を指標とした。
〔表面強度〕
T字ピール剥離力測定時の剥離したポリエステルテープへの最表層の転移性を下記基準にて評価し、剥離性フィルムの表面強度の指標とした。
〇:剥離したポリエステルテープへの最表層の転移が見られない。
△:剥離したポリエステルテープに最表層の一部が転移した。
×:剥離したポリエステルテープに最表層が完全に転移した。
〔T字ピール剥離力(1000mm/分)〕
剥離性フィルムの最表層側のフィルム表面に幅50mm×長さ200mmのポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製NO.31Bテープ、アクリル系粘着剤)を、2kgのローラーを2往復させることにより貼付し、23℃50%の環境下に1時間静置した。得られたフィルムを25mm幅に切り出した試料を測定試料とし、引っ張り試験機(ミネベア株式会社製 万能引張試験機「テクノグラフTGI−1kN」)を用いて1000mm/分の速度でT字ピール剥離を行い、その際の剥離力を計測した。測定は3回行い、その平均値を剥離性フィルムのT字ピール剥離力とした。
実施例1
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1−1として酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学(株)製「ユニストール(登録商標)P−401」、酸価55mgKOH/g、固形分8%)を用い、2質量%の濃度になるようにトルエンで希釈して中間層を形成するための塗工液Bを得た。
4−メチルペンテン−1系重合体A1として「TPX(登録商標)EP0518」(三井化学株式会社製、MFR=4g/10分(P=2.16Kg、230℃)、融点180℃)を用い、5質量%の濃度になるようにトルエンに分散させ、該分散液を還流装置を用いて110℃で1時間攪拌して4−メチルペンテン−1系重合体を溶解させ、冷却し、最表層を形成するための塗工液Aを得た。
基材層として、38μの厚みを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)を用いた。マイヤーバーを用いて、該基材層の上に塗工液Bを塗工し、防爆型乾燥機中、100℃で1分間で乾燥させ、基材層及び中間層を有する積層体を得た。
次いで、得られた積層体の中間層の上に、マイヤーバーを用いて塗工液Aを塗工し、防爆型乾燥機中、100℃で1分で乾燥させ、基材層、中間層及び最表層を有する剥離性フィルムを得た。
実施例2
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1に代えて、水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2(三井化学(株)製「ユニストール(登録商標)P−901」、水酸基価50mgKOH/g)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
実施例3
14質量%の濃度になるように酸変性ポリオレフィン樹脂をトルエンで希釈して中間層を形成するための塗工液Bを得たこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
実施例4
0.5質量%の濃度になるように酸変性ポリオレフィン樹脂をトルエンで希釈して中間層を形成するための塗工液Bを得たこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
実施例5
1質量%の濃度になるように4−メチルペンテン−1系重合体をトルエンに溶解させ、塗工液Aを得たこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
実施例6
10質量%の濃度になるように4−メチルペンテン−1系重合体をトルエンに溶解させ、塗工液Aを得たこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
実施例7
基材層として、40μの厚みを有する二軸延伸ポリプロピレンフィルム(王子エフテックス株式会社製「PK102#40」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
比較例1
4−メチルペンテン−1系重合体A1として「TPX(登録商標)EP0518」(三井化学株式会社製、MFR=4g/10分(P=2.16Kg、230℃)、融点180℃)を用い、5質量%の濃度になるようにトルエンに分散させ、該分散液を還流装置を用いて110℃で1時間攪拌して4−メチルペンテン−1系重合体を溶解させ、冷却し、最表層を形成するための塗工液Aを得た。
基材層として、38μの厚みを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)を用いた。マイヤーバーを用いて、該基材層の上に塗工液Aを塗工し、防爆型乾燥機中、100℃で1分間で乾燥させて積層体を得た。得られた積層体を、中間層を有さないフィルムとして用いた。
比較例2
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1に代えて、ポリエステル樹脂B3(東洋紡株式会社製「バイロナール(登録商標)MD−110」、酸価3mgKOH/g、水酸基価5mgKOH/g)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
比較例3
カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂に代えて、ポリエステル樹脂B4(東洋紡株式会社製「バイロナール(登録商標)MD−133」、酸価3mgKOH/g、水酸基価15mgKOH/g)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、剥離性フィルムを得た。
比較例4
38μの厚みを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「E5100」)を、中間層及び最表層を有さないフィルムとして用いた。
実施例1〜7、比較例1〜4で得たフィルムの各層の厚み、ヘイズ度、突出山部高さ、表面強度及びT字ピール剥離力を測定した結果を表1に示す。
Figure 2016135567
表1に示されるように、本発明の剥離性フィルムは、良好な剥離性を有すると共に、フィルム表面の平滑性及びフィルムの強度を兼ね備えることがわかる。これに対し、最表層と基材層のみから構成される比較例1や、特定の中間層を有さない比較例2及び3のフィルムは、表面強度が十分でなかった。また、基材層のみからなる比較例4のフィルムは、十分な剥離性を示さなかった。

Claims (8)

  1. 基材層と、該基材層の少なくとも一方の面に形成された中間層と、該中間層上に形成された最表層が積層されてなる剥離性フィルムであって、
    該中間層は、カルボキシル基を有するポリオレフィン樹脂B1及び水酸基を有するポリオレフィン樹脂B2からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、
    該最表層は少なくとも1種の共重合体Aを含有し、該共重合体Aは、共重合体A中の全構成単位を100モル%として、80〜99モル%の4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位及び1〜20モル%のプロピレンに由来する構成単位を含む、剥離性フィルム。
  2. 前記最表層側のフィルム表面の、ポリエステル粘着テープに対するT字ピール剥離力(1000mm/分)は0.1〜1.0N/25mmである、請求項1に記載の剥離性フィルム。
  3. 前記共重合体Aは160℃〜200℃の範囲の融点を有する、請求項1又は2に記載の剥離性フィルム。
  4. 前記最表層の厚みは0.1〜3.0μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の剥離性フィルム。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂B1は、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸をグラフト共重合させたポリオレフィンである、請求項1〜4のいずれかに記載の剥離性フィルム。
  6. 前記ポリオレフィン樹脂B2は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル及び/又は水酸基含有ビニルエーテルをグラフト共重合させたポリオレフィンである、請求項1〜5のいずれかに記載の剥離性フィルム。
  7. 前記中間層の厚みは0.04〜1.5μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の剥離性フィルム。
  8. 前記最表層側のフィルム表面の粗さ曲線から得られる負荷曲線における突出山部高さ(Rpk)は0.005〜0.04μmである、請求項1〜7のいずれかに記載の剥離性フィルム。
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