JP2016133790A - 現像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】現像剤の流動性が低下しても凝集塊が形成されることなく、安定して適切な量の現像剤を排出可能な現像装置の提供。
【解決手段】突起部307をつば部304の回転方向下流側に設ける場合、第三スパイラル部303の開始位相から90度の間に設ける。突起部307をつば部304の回転方向上流側に設ける場合、第三スパイラル部303の開始位相から30度の間に設ける。このように、突起部307を第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向下流側に90度、つば部304の回転方向上流側に30度の範囲内に設ければ、突起部307によってつば部304を周方向に搬送され第三スパイラル部303側に落ちた現像剤を、隙間部に落ちる前に第三搬送翼303aによって取りこぼすことなく掬い取って搬送させることができる。これにより、隙間部に現像剤が滞留することを防止でき、もって現像剤を安定的に排出させることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、電子写真方式あるいは静電記録方式を採用する画像形成装置に用いられる現像装置に関する。特に、現像容器内の現像剤が排出口まで搬送されて現像容器外に排出される現像装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいは複合機などの画像形成装置で使用される現像装置では、トナー単体からなる一成分現像剤や、トナーとキャリアからなる二成分現像剤(以下、単に現像剤と記す)が用いられている。これらの現像剤は現像に供されることによって消費されるので、現像容器内に残る現像剤のトナー帯電量は低下する。トナー帯電量が低下すると、飛散かぶり等の画像劣化が生じやすくなる。そこで、トナー帯電量が低下するのを防止するために、新しい現像剤を補給すると共に余分な現像剤を排出口から排出させる現像装置が従来から知られている。
このような現像装置として、現像容器内で現像剤を搬送する搬送スクリューの搬送方向最下流に排出口が設けられた現像装置が提案されている(特許文献1)。この現像装置では、第一スパイラル部と、第二スパイラル部と、第三スパイラル部とが排出口から遠い順に設けられた搬送スクリューが用いられる。第一スパイラル部と第三スパイラル部は現像剤を排出口に向かって搬送するように、第二スパイラル部は現像剤を第一スパイラル部と第三スパイラル部とは反対向きに搬送するように設けられている。これにより、第一スパイラル部により搬送される現像剤のうち、第二スパイラル部による押し戻しに反し第三スパイラル部に到達した現像剤だけを排出口から排出させることができ、もって必要以上に多くの現像剤が現像容器外へ排出されないようにしている。
また、搬送スクリューの回転速度が変化しても現像剤が必要以上に多く排出されないように、第二スパイラル部と第三スパイラル部との間には円板部が設けられている。
特開2010−237328号公報
ところで、第二スパイラル部と第三スパイラル部との間に設けられた円板部は、外周に突起部を有する。この突起部は、現像剤の流動性が低下した場合に排出口から排出される現像剤の量が減少するのを防止するために設けられている。すなわち、現像剤の流動性が低下すると、第二スパイラル部の周縁に現像剤が凝集して凝集塊が形成される。この凝集塊は、現像剤の通り道を塞ぎ現像剤の排出を阻害する。そうなると、排出口から排出される現像剤量が減り現像容器内の現像剤量が多くなり過ぎて、濃度ムラやカブリが発生したり、現像容器から現像剤が溢れたりするなどの不都合が生じ得る。そこで、円板部の外周に突起を形成することで、例え凝集塊が形成されてもこれをすぐに破壊することができるようにしている。
しかしながら、高温多湿環境下において長時間にわたる連続運転が行われたような場合に(この場合、特に現像容器内の現像剤の流動性が低下する)、排出口から排出される現像剤の量が大きく減少することがあった。本発明者らが現像容器内(より詳しくは撹拌室内)の現像剤の流れを観察したところ、これは円板部に近い第三スパイラル部の周縁に形成された別の凝集塊により引き起こされていることがわかった。すなわち、第二スパイラル部の周縁に形成された凝集塊が破壊されると、凝集塊を形成していた現像剤は搬送方向下流側の円板部と第三スパイラル部とに向けて搬送される。このとき、一度に多くの現像剤が搬送されることから、円板部と第三スパイラル部の近傍において第三スパイラル部の周縁には新たな凝集塊が形成されやすく、この新たに形成された凝集塊が現像剤のスムーズな排出を阻害する。そのために、排出口から排出される現像剤の量が大きく減少していた。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、現像剤の流動性が低下したとしても、現像剤の搬送をスムーズに行って現像剤の排出を安定的に行うことのできる現像装置の提供を目的とする。
本発明に係る現像装置は、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する第一室と、前記第一室に連通して現像剤の循環経路を形成し前記第一室との間で現像剤を受け渡す第二室と、前記第一室に回転自在に設けられ、前記第一室内の現像剤を一方向に搬送する第一搬送手段と、前記第二室に回転自在に設けられ、前記第二室内の現像剤を前記第一室とは反対向きに搬送する螺旋状の第一搬送翼を有する第一スパイラル部と、前記第一スパイラル部により搬送される現像剤の一部を逆方向に搬送する螺旋状の第二搬送翼を有する第二スパイラル部と、前記第二スパイラル部を越えて搬送された現像剤を前記第一スパイラル部と同じ向きに搬送する螺旋状の第三搬送翼を有する第三スパイラル部と、前記第二スパイラル部と前記第三スパイラル部との間に設けられた円板部とを有する第二搬送手段と、を備え、前記円板部は、径方向に突出した突起部を外周に有し、前記突起部は、前記円板部の回転中心と、前記第三スパイラル部の搬送方向上流側で前記円板部に接続された前記第三搬送翼の接続端部とを結ぶ線を基準に、前記円板部の回転方向下流側に90度ずれた位置から前記円板部の回転方向上流側に30度ずれた位置までの範囲内に設けられることを特徴とする。
本発明によれば、現像剤の流動性が低下したとしても凝集塊が形成されることなく、また現像剤を取りこぼすことなくスムーズに搬送できるので、現像剤の排出を安定的に行うことができる。
本発明の実施形態に係る現像装置を適用した画像形成装置の構成を示す概略構成図である。 制御部のシステム構成を示すブロック図である。 軸垂直断面で見た現像装置の構成を示す側面断面図である。 軸線方向を含む水平断面で見た現像装置の構成を示す上面断面図である。 実施形態の撹拌スクリューを拡大して示す上面断面図である。 実施形態の突起部を説明する側面図である。 比較例の突起部を説明する側面図である。
以下、本発明の実施形態に係る現像装置について説明する。まず、本発明の実施形態に係る現像装置を適用した画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。図1に示す画像形成装置1は、中間転写ベルト121に沿って画像形成部UY、UM、UC、UKを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
<画像形成装置>
画像形成部UYでは、感光ドラム101Yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト121に転写される。画像形成部UMでは、感光ドラム101Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト121に転写される。画像形成部UC、UKでは、それぞれ感光ドラム101C、101Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト121に転写される。中間転写ベルト121に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材P(用紙、OHPシートなどのシート材など)へ一括二次転写される。
画像形成部UY、UM、UC、UKは、現像装置104Y、104M、104C、104Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部UY、UM、UC、UKの区別を表す符号末尾のY、M、C、Kを省略した符号を構成部材に付して、画像形成部Uの構成及び動作を総括的に説明する。
画像形成部Uは、像担持体としての感光ドラム101を囲んで、一次帯電器102、露光装置103、現像装置104、転写帯電器105、ドラムクリーニング装置109を配置している。感光ドラム101は、アルミニウム製シリンダの外周面に感光層が形成されており、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
一次帯電器102は例えばローラ状に形成された帯電ローラなどであり、帯電バイアス電圧が印加されて感光ドラム101に接触することで、感光ドラム101を一様な負極性の暗部電位に帯電させる。露光装置103は、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームをレーザー発光素子から発生し、これを回転ミラーで走査して帯電させた感光ドラム101の表面に画像の静電像を書き込む。現像装置104は、トナーを感光ドラム101に供給して、静電像をトナー像に現像する。
転写帯電器105は、中間転写ベルト121挟んで感光ドラム101に対向配置され、感光ドラム101と中間転写ベルト121との間にトナー像の一次転写部T1を形成する。一次転写部T1では、転写帯電器105に転写バイアスが印加されることで、トナー像が感光ドラム101から中間転写ベルト121へ一次転写される。ドラムクリーニング装置109は、感光ドラム101にクリーニングブレードを摺擦して、一次転写後に感光ドラム101上に僅かに残る一次転写残トナーを回収する。
中間転写ベルト121は、駆動ローラ122、テンションローラ123及び二次転写内ローラ124等のローラに掛け渡して支持され、駆動ローラ122に駆動されて図中矢印R2方向に回転する。二次転写部T2は、二次転写内ローラ124に張架された中間転写ベルト121に二次転写外ローラ125を当接して形成される記録材Pへのトナー像転写ニップ部である。二次転写部T2では、二次転写外ローラ125に二次転写バイアスが印加されることで、トナー像が中間転写ベルト121から二次転写部T2に搬送される記録材Pへ二次転写される。二次転写後に中間転写ベルト121に付着したまま残る二次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置114が中間転写ベルト121を摺擦することにより回収される。
二次転写部T2によって四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置130へ搬送される。定着装置130は、定着ローラ122a、122bが当接して定着ニップT3を形成し、定着ニップT3で記録材Pを搬送しつつ当該記録材Pにトナー像を定着する。定着装置130では、内部からランプヒータ等(不図示)で加熱される定着ローラ122aに、付勢機構(不図示)によって定着ローラ122bを圧接させて定着ニップT3を形成している。記録材Pが定着ニップT3で挟持搬送されることにより加熱/加圧されて、トナー像が記録材Pに定着される。定着装置130によりトナー像の定着された記録材Pは、機体外へ排出される。
<制御部>
さらに、画像形成装置1は制御部10を備える。制御部10について図2を用いて説明する。制御部10のシステム構成を図2に示す。図2に示すように、制御部10はCPU206を有する。CPU206は、ROM210に格納されている画像制御プログラムなどの各種ソフトウェアプログラムを実行し、プログラムの実行に伴い以下に説明する各ブロックを総括的に制御する。RAM211は、制御データを一時的に保持し、またプログラムの実行に伴う演算処理の作業領域などとして用いられる。
外部入力インタフェース200(外部入力I/F)は、原稿スキャナ、コンピュータ(情報処理装置)等の不図示の外部装置をデータ通信可能に接続し、これらから必要に応じてRGB画像データとしてカラー画像データを入力する。LOG変換部201は、ROM210に格納されているルックアップテーブル(LUT)に基づいて、外部入力インタフェース200を介して入力されたRGB形式の画像データの輝度データをCMYK形式の濃度データ(CMYK画像データ)に変換する。マスキング/UCR部202は、変換したCMYK画像データから黒(Bk)成分データを抽出し、記録色材の色濁りを補正すべく、CMYK画像データにマトリクス演算を施す。ルックアップテーブル部203(LUT部)は、CMYK画像データをプリンタ制御部209の理想的な階調特性に合わせる。具体的には、ガンマルックアップテーブル(γルックアップテーブル)を用いて、マスキング/UCR部202から入力されるCMYK画像データの各色毎に対して濃度補正を施す。なお、γルックアップテーブルはRAM211上に展開されたデータに基づいて作成され、そのテーブル内容はCPU206によって設定される。パルス幅変調部204は、LUT部203から入力されたCMYK画像データ(画像信号)のレベルに対応するパルス幅のパルス信号を出力する。レーザードライバ205は、このパルス信号に基づいて露光装置103のレーザー発光素子を駆動し、感光ドラム101上を照射させて感光ドラム101の表面に画像の静電像を書き込む。
ビデオ信号カウント部207は、LUT部203に入力されたCMYK画像データの600dpiにおける1画素毎のレベル(0〜255レベル)を画像1面分積算する回路である。この画像データ積算値を、ビデオカウント値と呼ぶ。ビデオカウント値は、出力画像が全面すべて255レベルだった場合に最大値1023となる。なお、回路の構成上制限があるときは、ビデオ信号カウント部207のかわりにレーザー信号カウント部208を用いて、レーザードライバ205からの画像信号を同様に計算することで、ビデオカウント値を求めることが可能である。ビデオカウント値の信号は、プリンタ制御部209に入力される。プリンタ制御部209はその信号に基づいて、後述の現像スリーブ24、現像スクリュー22a乃至攪拌スクリュー22bの回転速度を制御するなどの各種制御を行う。
<現像装置>
次に、現像装置104の構成について、図3乃至図4を用いて説明する。図3に示す現像装置104は、後述する現像室21aと撹拌室21bとを水平に配置した横撹拌型の現像装置である。該現像装置104は、ハウジングを形成する現像容器20と、現像剤担持体としての現像スリーブ24と、規制部材としての規制ブレード25とを有している。
図3に示すように、現像スリーブ24は、感光ドラム101に対向した位置に設けられた現像容器20の開口部20aから一部露出して、また回転可能に現像容器20に配設されている。現像スリーブ24は、規制ブレード25によって層厚を規制された現像剤を担持したまま図中矢印R3方向に回転して、対向する感光ドラム101に現像剤を搬送する。現像スリーブ24の直径は例えば20mmであり、感光ドラム101の直径は例えば30mmである。また、現像スリーブ24と感光ドラム101とが最近接する領域におけるこれらの隙間を約300μmとした。こうすると、現像領域Aに搬送された現像剤は感光ドラム101を摺擦する。これにより、感光ドラム101に形成された静電像にトナーが供給され、静電像がトナー像に現像される。
現像スリーブ24はアルミニウムやステンレスなどのような非磁性材料で円筒状に形成され、その内部には磁界発生手段としてのマグネットローラ24mが固定配置されている。マグネットローラ24mの磁力によって、現像スリーブ24の表面には現像剤の磁気穂(磁気ブラシとも呼ばれる)が形成される。現像スリーブ24の表面に形成された磁気穂は、規制ブレード25により層厚が規制されて現像領域Aへと送られる。規制ブレード25はアルミニウムなどの非磁性材料で構成された板状部材であって、感光ドラム101よりも現像スリーブ24の回転方向上流側に、現像スリーブ24の長手方向に沿って配設されている。また、規制ブレード25は、先端が現像スリーブ24の回転中心を向くように現像スリーブ24に対し対向配置されている。この規制ブレード25の先端と現像スリーブ24の表面との間隙(ギャップ)を調整することによって、現像スリーブ24の表面に形成された磁気穂の穂切り量が規制され、現像領域Aへ搬送される現像剤のコート量が調整される。なお、規制ブレード25と現像スリーブ24の最近接位置の間隔は、200〜1000μm、好ましくは300〜700μmに設定される。本現像装置104では500μmに設定して、規制ブレード25によって現像スリーブ24上の単位面積当たりの現像剤のコート量を例えば30mg/cm程度に規制している。
現像スリーブ24は、規制ブレード25による磁気穂の穂切りによって層厚を規制された現像剤を担持したまま、感光ドラム101との対向面において同一方向(矢印R3方向)に回転し、担持した現像剤を現像領域Aに搬送する。例えば、感光ドラム101の周速は300mm/secであり、現像スリーブ24の周速は540mm/secつまりは感光ドラム101の周速の1.8倍である。感光ドラム101に対する現像スリーブ24の周速比は、通常0.3〜3.0倍の間、好ましくは0.5〜2.0倍の間に設定されればよい。周速比が大きいほど現像効率は高まるが、大きすぎるとトナー飛散や現像剤劣化等の問題が生じやすいので、周速比は上記0.5〜2.0倍の範囲内に設定するのが好ましい。
現像領域Aではマグネットローラ24mの現像極によって形成された磁気穂の先端が感光ドラム101を摺擦し、感光ドラム101に形成された静電潜像にトナーを供給して静電潜像をトナー像に現像する。このとき、現像効率つまり静電潜像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ24には図示しない電源から直流電圧と交流電圧とを重畳した現像バイアス電圧が印加される。例えば、−500Vの直流電圧と、ピーク・ツウ・ピーク電圧が1800V、周波数が12kHzの交流電圧とを重畳してなる振動電圧を印加する。勿論、直流電圧値、交流電圧値はこれに限られない。なお、上述の二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像法では、交流電圧を印加すると現像効率が増して画像は高品位になるが、その代りにカブリなどの画像不良が発生し易くなる。そこで、現像スリーブ24に印加する直流電圧と感光ドラム101の帯電電位(即ち白地部電位)との間に電位差を設け、カブリなどの画像不良を発生し難くしている。
<二成分現像剤>
上述した現像装置104では、負帯電特性のトナー(非磁性)と正帯電特性のキャリアを含む二成分現像剤が用いられる。そこで、この二成分現像剤について説明する。
トナーは、スチレン系樹脂やポリエステル樹脂等の結着樹脂、カーボンブラックや染料、顔料等の着色剤、さらには必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。トナーの体積平均粒径は、粒径が小さすぎるとキャリアと摩擦し難くなるため帯電量を制御しづらくなり、大きすぎると精細なトナー像を形成できなくなることから、4μm〜10μmが好ましい。より好ましくは8μm以下が好ましい。また、最近では定着性を良くするために、融点の低いトナーあるいはガラス転移点の低い(例えば70℃以下)トナーが用いられる。さらには、定着後の分離性を良くするためにワックスを含有するトナーが用いられる。本現像装置104では、ワックスを含有する粉砕トナーを用いる。
トナーの体積平均粒径は、以下に示す装置及び方法にて測定した。測定装置として、SD−2000シースフロー電気抵抗式粒度分布測定装置(シスメックス社製)を使用した。測定方法を以下に示す。一級塩化ナトリウムを用いて調製した1%塩化ナトリウム水溶液100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加えたものに、さらに測定試料であるトナーを0.5〜50mg加える。このトナーを懸濁した電解水溶液を超音波分散器で約1〜3分間、分散処理する。分散処理後、SD−2000シースフロー電気抵抗式粒度分布測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布を求める。こうして求めた体積平均分布より、トナーの体積平均粒径を得る。
キャリアは、例えば表面酸化あるいは未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用可能である。これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。キャリアの体積平均粒径は20〜60μm、好ましくは30〜50μmである。キャリアの抵抗率は10Ωcm以上、好ましくは10Ωcm以上である。本現像装置104では、抵抗率が10Ωcmの磁性キャリアを用いる。
キャリアの抵抗率は、一方の電極に加圧した状況で電圧印加することに伴い回路に流れる電流に基づき抵抗率を得る方法によって測定した。具体的には、測定電極面積4cm、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いて、該セルの片方の電極に1kgの重量で加圧した状況下で両電極間に電圧E(V/cm)を印加して測定した。磁性キャリアの体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて測定した。測定方法は、まず体積基準で粒径0.5〜350μmの範囲を22b対数分割して測定し、それからそれぞれの測定チャンネルにおける粒子数を測定する。そして、この測定結果から体積50%のメジアン径をもって磁性キャリアの体積平均粒径とする。
<現像容器>
トナーとキャリアを含む二成分現像剤を収容する現像容器20内は、図3に示すように、略中央部において図面垂直方向に延在する隔壁23によって、図面右側の現像室21aと図面左側の撹拌室21bとに水平方向に区画されている。また、図4に示すように、現像室21aと撹拌室21bとは、隔壁23の両端部に設けた連通部26、27を通じて連通し、現像剤の循環経路を形成している。
第一室としての現像室21a及び第二室としての撹拌室21bの各室内(第一室内、第二室内)には、第一搬送手段としての現像スクリュー22aと、第二搬送手段としての撹拌スクリュー22bが回転自在に配設されている。現像スクリュー22a及び撹拌スクリュー22bは、回転軸の周りに螺旋状に設けられた搬送翼を有するスクリュー構造である。それ故、現像スクリュー22aと撹拌スクリュー22bとが回転することによって、現像剤は撹拌されながら現像容器2内を循環搬送される。現像剤が撹拌されながら搬送されることに伴い、トナーが負極性に、キャリアが正極性に帯電する。
現像スクリュー22aは現像室21a内において現像スリーブ24(図3参照)の回転軸に沿って略平行に配置され、撹拌スクリュー22bは撹拌室21b内において現像スクリュー22aと略平行に配置される。現像スクリュー22aが回転すると、現像室21a内の現像剤は現像スクリュー22aの回転軸に沿って図4の右方から左方へと一方向に搬送される。現像室21aの現像剤搬送方向下流側に搬送された現像剤は、連通部27から撹拌室21bへと受け渡される。他方、撹拌スクリュー22bが回転すると、撹拌室21b内の現像剤は撹拌スクリュー22bの回転軸に沿って図4の左方から右方へと一方向につまり現像室21a内の現像剤とは反対向きに搬送される。撹拌室21bの現像剤搬送方向下流側に搬送された現像剤は、連通部26から現像室21aへと受け渡される。このようにして現像スクリュー22a及び撹拌スクリュー22bの回転によって搬送される現像剤は、隔壁23の両端部に設けられた連通部26、27を通じて現像室21aと撹拌室21bとの間を循環搬送される。ただし、詳しくは後述するように、現像容器20内の現像剤量が多いような場合、撹拌スクリュー22bによって搬送された現像剤の一部は、連通部26から現像室21aへと受け渡されず、連通部26よりも現像剤搬送方向下流側に搬送される。
<現像剤の補給>
本現像装置104において、現像スリーブ24上で現像に供されてトナー帯電量の低下した現像剤は、撹拌室21bで補給用現像剤(以下、補給剤と記す)と十分に混合されトナー帯電量を回復してから現像室21aに戻される。これにより、現像スリーブ24に担持される現像剤のトナー濃度は一定に確保される。トナーとキャリアの両方を含む補給剤は、補給部としての現像剤補給装置31から補給される。本現像装置104では、補給剤としてトナーとキャリアを重量比で9:1に混合したものを用いた。
撹拌室21bの現像剤搬送方向上流側の上部には補給口30が設けられ、この補給口30に現像剤補給装置31が接続されている。現像剤補給装置31は、スクリュー構造の補給スクリュー32を有する。補給剤は、補給スクリュー32の回転力と重力とによって補給口30を通って撹拌室21bに供給されて、撹拌スクリュー22bによって搬送方向下流側へ搬送される。現像剤補給装置31から撹拌室21bに供給される補給剤の量は、補給スクリュー32の回転数によっておおよそ決まる。この回転数は、ビデオ信号カウント部207(図2参照)等によって求められたビデオカウント値、あるいは現像容器20内に設置されたトナー濃度センサ(不図示)の検知信号等に基づいて、トナー補給量制御手段(不図示)によって決められる。トナー補給量制御手段は、トナー濃度センサの検出信号に基づき算出されるトナーとキャリアの比率に従って、トナー濃度が重量比で10%程度となる量の補給剤を供給するように、回転数を調整する。このようにして、画像形成時に消費されたのとほぼ同量のトナーを補給するようにしている。
<現像剤の排出>
現像装置104では、上述のように補給剤が補給されるようになっているが、現像容器20内の現像剤が多くなり過ぎると、現像剤の撹拌が不十分となって濃度ムラやカブリが発生したり、あるいは現像容器20から現像剤が溢れ出したりする。そこで、現像容器20内の現像剤が多くなり過ぎないように、余剰な現像剤は現像容器20から排出されるようになっている。以下、図5を用いて説明する。
撹拌室21b内の現像剤を搬送する撹拌スクリュー22bは、第一スパイラル部301と、第二スパイラル部302と、第三スパイラル部303とが、第一スパイラル部301の搬送方向に関して、上流側から下流側へと順に連結されている。第一スパイラル部301は、連通部27から連通部26の方向へ現像剤を搬送可能に螺旋状の第1搬送翼301aが設けられ、撹拌室21b内において循環経路に沿って現像剤を搬送する。第二スパイラル部302は、第一スパイラル部301の搬送方向と逆方向へ現像剤を搬送可能に螺旋状の第二搬送翼302aが設けられ、撹拌室21b内において循環経路外から循環経路内に押し戻すように現像剤の一部を搬送する。すなわち、第二スパイラル部302は返しスクリューである。第一スパイラル部301と第二スパイラル部302とは、連通部26に対向する位置にそれらの接続箇所(継ぎ目)が位置するように設けられる。第二スパイラル部302の搬送方向上流には、第二スパイラル部302によって押し戻されずに搬送された現像剤を第三スパイラル部303側へ通過させるための排出開口305が設けられている。第三スパイラル部303は、第二スパイラル部302の搬送方向と逆方向(つまり第一スパイラル部301の搬送方向と同方向)へ現像剤を搬送可能に螺旋状の第三搬送翼303aが設けられ、排出開口305を通過した現像剤を搬送する。第三スパイラル部303の搬送方向下流には、第三スパイラル部303によって搬送された現像剤を現像容器20外へ排出させるための排出口306が設けられている。
各スパイラル部は、同一方向に且つ同一速度で回転する。すると、第一スパイラル部301によって排出口306側へ現像剤は搬送されるが、搬送された現像剤の多くは第二スパイラル部302によって押し戻されて、連通部26を通過し現像室21aに受け渡される。これに対し、第二スパイラル部302によって押し戻されなかった一部の現像剤は、第二スパイラル部302を乗り越えて排出開口305に到達し、排出開口305を通過する。排出開口305を通過した現像剤は、第三スパイラル部303によって排出口306まで搬送される。このようにして排出口306まで搬送された現像剤は、排出口306から現像容器20外に余剰現像剤として排出される。
<補給量と排出量のバランス>
ここで、補給剤の補給量と現像剤の排出量とがどのようにして調整されることで、現像容器20内の現像剤量が一定に保たれるかについて説明する。補給剤は、出力画像及び制御用のパッチ画像で消費されたトナー量と同じ量のトナーを供給し得る補給量で補給される。ただし、同じ量のトナーを供給するにも関わらず、補給剤に含まれるトナーとキャリアの混合比率によって補給量は増減する。すなわち、キャリアの混合比率が高いほど補給量は増える。この場合には、補給量が増えてランニングコストが増大するデメリットがある反面、新しいキャリアが大量に補給されるために常に安定した帯電量をトナーに付与することができるというメリットがある。他方、キャリアの混合比率が低いほど補給量は減る。この場合には、補給量が減ってランニングコストを削減できるメリットがある反面、現像容器20内の現像剤に含まれる劣化キャリアの比率が増え、安定した帯電量をトナーへ付与することが難しくなるというデメリットがある。一般的にはキャリアの混合比率が0%〜20%くらい(0%は除く)の補給剤が用いられるが、本現像装置104ではトナーとキャリアの混合比率が9対1つまりキャリアの混合比率が10%の補給剤を用いる。
補給剤が補給されると、現像容器20内の現像剤量は画像形成に伴って次第に増加する。これは、画像形成によってトナーは消費されるが、キャリアは消費されずに現像容器20内に残って現像容器20内で循環し続けるからである。現像容器20内の現像剤量が増加した場合、現像室21aと撹拌室21bの現像剤の剤面は上昇する(剤面高さが高くなる)。この際に撹拌室21bの剤面が上昇すると、第一スパイラル部301によって搬送された現像剤のうち第二スパイラル部302が押し戻す現像剤量が減る。そのため、多くの現像剤が第二スパイラル部302を乗り越えて排出開口305を通過し、第三スパイラル部303によって搬送され排出口306から排出される。こうして、現像容器20内の現像剤量が増加した場合には、比較的に多くの現像剤が排出されることから撹拌室21b内の現像剤の剤面は下がる(剤面高さが低くなる)。そうすると、第一スパイラル部301によって搬送された現像剤のうち第二スパイラル部302が押し戻す現像剤量が増える。そのため、ほとんどの現像剤が第二スパイラル部302を乗り越えることができず排出開口305を通過しない。つまり、排出される現像剤の量(排出量)が減少する。このようにして、現像容器20内の現像剤量は一定に保たれる。
ところで、例えば第二スパイラル部302の長さが長過ぎると、現像剤の排出が必要以上に抑制され、現像容器20内の現像剤量が多くなりすぎて現像剤の帯電性能の低下が進行してしまい得る。反対に第二スパイラル部302が短すぎると、現像剤の排出が必要以上に促進され、現像容器20内の現像剤量が少なくなりすぎて現像スリーブ24上の現像剤のコート量が安定しなくなり得る。そのため、第二スパイラル部302の長さ、直径、ピッチは、現像装置104の構成や排出条件、現像容器20内の現像剤量、目標とする排出量に応じて適宜変更される。
また、現像装置104では、例えば厚紙プリントを行う際に現像剤を記録材へ十分に定着させるため、プロセススピードを切り替える制御が行われる場合がある。例えば厚紙モードでは、厚紙モードでない場合のプロセススピード=120mm/secから、1/2速=60mm/secにプロセススピードを切り替えることがある。プロセススピードを切り替えた場合、現像スクリュー22a及び撹拌スクリュー22bの回転速度も、プロセススピード切り替え前の250rpmから1/2速=125rpmに切り替えられる。このように、現像スクリュー22aと撹拌スクリュー22bとが複数の回転速度に切り替えられて回転し得る場合には、回転速度の切り替えに応じて排出開口305にまで到達する現像剤量が変動する。すなわち、現像剤の排出量が変わり現像容器20内の現像剤量が変動し易くなる。
本現像装置104では、図4及び図5に示すように、円板状のつば部304が排出開口305を覆い隠すようにして第二スパイラル部302と第三スパイラル部303との間に設けられている。これにより、プロセススピードの切り替えに伴う現像容器20内の現像剤量の変動を抑えるようにしている。第三スパイラル部303の第三搬送翼303aの接続端部は、接続部としてつば部304に接続される箇所である。
円板部としてのつば部304は、撹拌スクリュー22bの回転速度の切り替え前後で、第一スパイラル部301と第二スパイラル部302の搬送能力の違いによって、排出開口305に向かって搬送される現像剤にかかる慣性力の差を低減させる。これにより、回転速度の切り替えに応じて排出開口305に到達する現像剤量の変動が抑止される。また、つば部304は、第二スパイラル部302の搬送方向最上流の第二搬送翼302a付近で排出開口305側に落ちる現像剤を減少させる。さらに、つば部304は、第二スパイラル部302の排出開口305側の端部を覆い隠して第二搬送翼302aの谷部を排出開口305に露出させないことによって、第二搬送翼302aの谷部を介して排出開口305を通過させる現像剤を減らす。こうして、撹拌スクリュー22bの回転速度が変動したとしても、現像剤の排出量を変動させずに一定の排出量で排出できるようにしている。
しかしながら、単につば部304を設けただけでは、補給量に比べて排出量が減少してしまい、現像容器20内の現像剤量が変動することがあった。すなわち、現像装置104では、連続的な画像形成に伴い現像容器20内で現像剤の循環が繰り返されることにより、現像容器20内の現像剤の流動性は刻々と変化する。例えば、印字率の低い画像形成が長時間連続して行われている場合には、現像容器20から感光ドラム101へ移行する現像剤は少ない。そのため、現像容器20内の現像剤は、現像スクリュー22a及び撹拌スクリュー22bによる撹拌や規制ブレード25による摺擦を、長時間にわたって繰り返し受けることになる。その結果、トナー表面から外添剤が剥れたり、トナー表面に外添剤が埋め込まれたりして、トナー樹脂の露出が顕著になる。そうなると、トナーの結着が強まるので現像剤の流動性は低下する。特に、粉砕トナーでは外添剤が流動性付与のために添加されているので、現像剤の流動性が極端に低下しやすい。また、高温多湿環境下では、トナーの樹脂が柔らかくなって上記したような外添剤の剥がれや埋め込みが生じやすく、現像剤の流動性がさらに低下しやすい。
撹拌室21b内の現像剤の流動性が低下すると、現像容器20と第二スパイラル部302との隙間部H1に現像剤が滞留し易くなる(図5参照)。隙間部H1に現像剤が滞留すると、つば部304及び排出開口305を越えて、排出口306まで搬送される現像剤の量は減少する。つまり、第二スパイラル部302の搬送方向下流側では、第一スパイラル部301の搬送力の影響を受けやすいが故に、排出開口305側へ流れる現像剤の速度が大きい。その一方、第二スパイラル部302の搬送方向上流側では、第一スパイラル部301の搬送力の影響が及びにくいが故に、排出開口305側へ流れる現像剤の速度が小さくなる。そのため、現像剤の流動性が低下すると、隙間部H1の特に排出開口305に近い側で、現像容器20の壁や撹拌スクリュー22bとの接触摩擦も相まって、現像剤が滞留して凝集塊が生じやすくなる。凝集塊が生じると現像剤の搬送を邪魔するので、その結果、排出量は低下し得る。
そこで、本現像装置104では、図5に示すように、つば部304の外周に径方向に突出した突起部307が設けられている。第一スパイラル部301は、第一搬送翼301aを含む径がφ16、第一搬送翼301aのピッチが20mm、軸径がφ6である。第二スパイラル部302は、第二搬送翼302aを含む径がφ16、第二搬送翼302aのピッチが3mm、軸径がφ11である。第三スパイラル部303は、第三搬送翼303aを含む径がφ10、第三搬送翼303aのピッチが10mm、軸径がφ6である。つば部304は径がφ16で厚さ1mmの円板形状、つまり第二スパイラル部302と同一径に形成されている。このつば部304の外周上に、1mm×1mmの面積で径方向の高さが0.5mmの直方体の突起部307が設けられている。第二スパイラル部302及びつば部304と現像容器20の内壁とのクリアランスは、1mmである。この場合、突起部307と現像容器20の内壁とのクリアランスは0.5mmとなる。なお、排出開口305とつば部304とのギャップ(撹拌スクリュー22bの回転軸方向のギャップ)は3mmである。これによれば、隙間部H1に凝集塊が生ずることによる上記問題を防ぐことができた。
ただし、本現像装置104で重要な点は、単につば部304に突起部307を設けるだけでなく、突起部307を第三スパイラル部303の第三搬送翼303aとの関係で、つば部307のどこに設けたかにある。以下、図6及び図7を用いて説明する。図6は実施形態に係る現像装置104の突起部307を説明する図であり、図7は比較例の突起部307を説明する図である。図6及び図7は、撹拌スクリュー22bを第三スパイラル部303側の搬送方向下流端側から見た側面図である。ただし、説明を理解し易くするために、第三搬送翼303aについては、つば部304と接する側(第三スパイラル部303の搬送方向上流端側)のみを略示した。
本現像装置104では、図6に示すように、突起部307は、撹拌スクリュー22bの回転軸中心Oとつば部304に接する側の第三スパイラル部303の第三搬送翼303aの接続端部Qとを結ぶ線Fの延長線上に設けられている。言い換えるならば、撹拌スクリュー22bの回転軸中心Oから見て、突起部307の位相と第三スパイラル部303の第三搬送翼303aの接続端部Qの位相(以下、開始位相と記す)とが同じ位相に位置するように、突起部307は設けられている。なお、突起部307は周方向に幅を持つので、ここでは、つば部304の回転方向(図中矢印Z方向)下流側の突起部307の端部の位置を、便宜的に突起部307の位相と言う。
ここで、比較例を図7に示す。図7に示した比較例は、突起部307が第三スパイラル部303の開始位相から180度ずれた位相に設けられた構成である。本発明者らが実験したところ、この構成では突起部307を設けたにも関わらず、さらなる長時間の画像形成や高温多湿環境下での画像形成が行われて現像剤の流動性がより低下したような場合に、現像剤の排出量が極端に低下することが確認された。これは、図5に示すように、第二スパイラル部302及びつば部304を超えて排出開口305まで到達した現像剤の一部が、第三スパイラル部303に搬送されることなく隙間部H2に滞留するために生じていた。隙間部H2に現像剤が滞留する原因を詳細に調べると、以下の現象が発生していた。すなわち、撹拌スクリュー22bの回転(図7の矢印Z参照)に伴って、突起部307は隙間部H1に滞留した現像剤を跳ね上げる。跳ね上げられた現像剤の一部は、第二スパイラル部302の第二搬送翼302aの谷部に捕捉され、排出開口305とは逆方向に第二スパイラル部302によって搬送される。この分の現像剤については、特に問題とはならない。
他方、跳ね上げられた現像剤の多くは、第三スパイラル部303の回転軸上に落下する(図7に記号Dで記す)。第三スパイラル部303の回転方向は、撹拌スクリュー22bの回転方向(図7の矢印Z方向)である。そして、突起部307の位相から第三スパイラル部303の開始位相までは、既に述べた通り180度である。こうした構成では、突起部307で跳ね上げられ第三スパイラル部303の回転軸上に落下した現像剤Dを、第三スパイラル部303の第三搬送翼303aが回転してきて搬送可能に掬うまでにどうしても時間差が発生する。そのため、第三スパイラル部303の回転軸上に落下した現像剤Dは、第三搬送翼303aが回転してきて搬送開始する前に回転軸上を重力によって滑り落ちるので、隙間部H2(図5参照)に堆積し滞留する。特には、図5から理解できるように、撹拌室21bは、つば部304よりも第三スパイラル部303側の断面積(つまりは排出開口305の断面積)が、つば部304よりも第二スパイラル部302側の断面積に比べて小さく形成されている。そのため、どうしても隙間部H2近傍に現像剤が滞留しやすい。このように、突起部307の回転で跳ね上げられ第三スパイラル部303の回転軸上に落下した現像剤は、できる限り早くに第三搬送翼303aに搬送されないと隙間部H2に滞留し、現像剤の排出を阻害する新たな原因となる。
そこで、本発明者らは隙間部H2での現像剤の滞留を原因とする現像剤の排出の阻害を防止する為に、本現像装置104では、突起部307の位相と第三スパイラル部303の開始位相とを同じ位相とした。これによれば、突起部307はつば部304(詳しくは撹拌スクリュー22b)の回転に伴って隙間部H1に生じた凝集塊に当たってこれを崩す。そして、凝集塊を形作っていた現像剤のうち第三スパイラル部303の回転軸上に落ちた現像剤は、直ちに第三搬送翼303aが回転してきて搬送可能に掬われて、第三スパイラル部303によって排出口306に搬送され容器外へ排出される。
本発明者らは、上述のように突起部307と第三スパイラル部303の開始位相とが同じ位相でなくても、突起部307で跳ね上げられた現像剤が隙間部H2に落ちるまでに、第三搬送翼303aによって掬い搬送させることは可能でないかと考えた。そこで、突起部307と第三スパイラル部303の開始位相との位置関係をさらに検討すべく、実験を行った。その実験結果を表1に示す。この実験では、突起部307の位相を第三スパイラル部303の開始位相から10度ずつずらした場合における、排出口306から排出された現像剤の量(排出量)を調べた。撹拌スクリュー22bの回転速度は、プロセススピード切り替え後の1/2速=125rpmとして実験を行った。なお、表1においては、第三スパイラル部303の開始位相を基準に、つば部304の回転方向下流側の位相をプラス表記とし、つば部304の回転方向上流側の位相をマイナス表記としている。
Figure 2016133790
表1の実験結果から、突起部307が第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向下流側に100度(+100)よりも大きくずれた位置に設けられた場合には、現像剤の排出量が極端に減少することが確認された。突起部307が第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向上流側に40度(−40度)よりも大きくずれた位置に設けられた場合にも、現像剤の排出量が極端に減少することが確認された。また、突起部307が第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向下流側に90度〜40度(+90〜+40)の範囲内に設けられた場合には、現像剤の排出量がやや減少することが確認された。突起部307が第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向上流側に20度〜30度(−20〜−30)の範囲内に設けられた場合にも、現像剤の排出量がやや減少することが確認された。そして、突起部307が第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向下流側に30度〜0度(+30〜0)の範囲内に設けられた場合には、現像剤の排出量がほとんど変化しないことが確認された。さらに、突起部307が第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向上流側に0度〜−10度(0〜−10)の範囲内に設けられた場合にも、現像剤の排出量がほとんど変化しないことが確認された。こうした実験結果から、突起部307は第三スパイラル部303の開始位相から+90度〜−30度の間に設ければ、隙間部H2での現像剤の滞留が生じ難く、現像剤の排出量の減少を抑制できることが理解できる。図6に、+90度〜−30度の範囲を便宜的に直線F1及び直線F2で図示した。
突起部307が、第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向下流側に90度(+90)ずれた位置までの範囲内に設けられている場合について述べる。この場合、突起部307で跳ね上げられた現像剤が隙間部H2に落ちるまでに、第三搬送翼303aによって掬い搬送させるのに十分な回転時間を確保できる。他方、突起部307が+90度よりも大きくずれた位置に設けられていると、突起部307で跳ね上げられた現像剤を掬うまでに十分な回転時間を確保することができず、第三搬送翼303aが到達する前に現像剤が隙間部H2に落下してしまう。したがって、突起部307をつば部304の回転方向下流側に設ける場合には、第三スパイラル部303の開始位相から90度の範囲内に設ける必要がある。
次に、突起部307が、第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向上流側に30度(−30)ずれた位置までの範囲内に設けられている場合について述べる。この場合、突起部307によって跳ね上げられた現像剤は、突起部307の位相よりもつば部304の回転方向上流側で第三スパイラル部303の回転軸上に落下する。そのため、突起部307が第三スパイラル部303の開始位相から−30度ずれた位置に設けられていれば、第三スパイラル部303の回転軸上に落ちた現像剤を第三搬送翼303aが掬って搬送することができる。他方、突起部307が−30度よりも大きくずれた位置に設けられていると、第三スパイラル部303の回転軸上に落ちた現像剤を、第三搬送翼303aが掬って搬送するのに、つば部304が約360度つまりは1周回転するのを待たねばならない。しかし、1周回転後には、現像剤は既に第三スパイラル部303の回転軸上を滑り落ちてしまっており、第三搬送翼303aが現像剤を掬って搬送することはできない。したがって、突起部307をつば部304の回転方向上流側に設ける場合には、第三スパイラル部303の開始位相から30度の範囲内に設ける必要がある。
以上のことから、突起部307をつば部304の回転方向下流側に設ける場合には、第三スパイラル部303の開始位相から90度の間に設ける。また、突起部307をつば部304の回転方向上流側に設ける場合には、第三スパイラル部303の開始位相から30度の間に設ける。つまり、本現像装置104では、突起部307を第三スパイラル部303の開始位相からつば部304の回転方向下流側に90度、つば部304の回転方向上流側に30度の範囲内に設けるようにした。これによれば、突起部307によってつば部304を周方向に搬送され第三スパイラル部303側に落ちる現像剤を、隙間部H2に落とす前に第三搬送翼303aによって掬い取り、取りこぼすことなく排出口306まで搬送することができる。したがって、隙間部H2に現像剤が滞留するのを防ぐことができ、もって現像剤の排出量が減少するのを抑制することができる。つまり、現像剤の流動性が低下したとしても、現像剤の排出を安定的に行うことができる。
なお、つば部304の周速つまりは撹拌スクリュー22bの周速は、搬送性の観点や昇温の観点から80mm/s以上600mm/s以下の範囲が好ましい。撹拌スクリュー22b(つば部304)の周速がこの範囲内であれば、突起部307によって跳ね上げられた現像剤は周速に関わらずほぼ同様の挙動を示す。このため、突起部307が開始位相から上述した範囲内に設けられていれば、撹拌スクリュー22bは突起部307によって跳ね上げられた現像剤を掬いあげることができるので、上述した効果が十分に得られる。
<他の実施形態>
なお、上述した実施形態では、突起部307を第三スパイラル部303の開始位相から+90度〜−30度(図6参照)の間に設けるようにしたがこれに限らず、より狭い範囲、例えば+30〜−10度の間に設けてもよい。第三スパイラル部303の開始位相からより近い範囲に突起部307を設けた方が、より確実に現像剤を掬うことができる。本発明者らがより詳しい実験を行ったところ、突起部307をより好ましくは第三スパイラル部303の開始位相から+5〜−5度の間に設けるのがよいことが確かめられた。
なお、突起部307の形状は上述したような直方体に限らず、例えば三角柱のような形状であってもよい。
なお、上述した実施形態では、各色の感光ドラム101から中間転写ベルト121に各色のトナー像を一次転写した後に、記録材Pに各色の複合トナー像を一括して二次転写する構成の画像形成装置1を説明したが、これに限らない。例えば、転写材搬送ベルトに担持され搬送される記録材Pに感光ドラム101から直接転写する直接転写方式の画像形成装置であってもよい。また、感光ドラム101はドラム状の感光体に限らず、ベルト状の感光体であってもよい。さらには、帯電方式、転写方式、クリーニング方式、定着方式に関しても、上記した方式に限られるものでない。
なお、上述した実施形態では、現像容器2が現像室21aと撹拌室21bとに水平方向に区画されている横撹拌型の現像装置を例に説明したが、この構成に限定されない。すなわち、現像容器2が現像室21aと撹拌室21bとに上下方向に区画されている縦攪拌型の現像装置についても、本発明を適用することは可能である。
なお、上述した実施形態では、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いる現像装置を例に説明したが、これに限らず、トナー単体からなる一成分現像剤を用いる現像装置であってもよい。
1…画像形成装置、6…現像剤担持体(現像スリーブ)、20…現像容器、21a…第一室(現像室)、21b…第二室(撹拌室)、22a…第一搬送手段(現像スクリュー)、22b…第二搬送手段(撹拌スクリュー)、23…隔壁、301…第一スパイラル部、301a…第一搬送翼、302…第二スパイラル部、302a…第二搬送翼、303…第三スパイラル部、303a…第三搬送翼、304…円板部(つば部)、305…排出開口、306…排出口、307…突起部、Q…接続端部

Claims (7)

  1. 現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に現像剤を供給する第一室と、
    前記第一室に連通して現像剤の循環経路を形成し前記第一室との間で現像剤を受け渡す第二室と、
    前記第一室に回転自在に設けられ、前記第一室内の現像剤を一方向に搬送する第一搬送手段と、
    前記第二室に回転自在に設けられ、前記第二室内の現像剤を前記第一室とは反対向きに搬送する螺旋状の第一搬送翼を有する第一スパイラル部と、前記第一スパイラル部により搬送される現像剤の一部を逆方向に搬送する螺旋状の第二搬送翼を有する第二スパイラル部と、前記第二スパイラル部を越えて搬送された現像剤を前記第一スパイラル部と同じ向きに搬送する螺旋状の第三搬送翼を有する第三スパイラル部と、前記第二スパイラル部と前記第三スパイラル部との間に設けられた円板部とを有する第二搬送手段と、を備え、
    前記円板部は、径方向に突出した突起部を外周に有し、
    前記突起部は、前記円板部の回転中心と、前記第三スパイラル部の搬送方向上流側で前記円板部に接続された前記第三搬送翼の接続端部とを結ぶ線を基準に、前記円板部の回転方向下流側に90度ずれた位置から前記円板部の回転方向上流側に30度ずれた位置までの範囲内に設けられる、
    ことを特徴とする現像装置。
  2. 前記突起部は、前記円板部の回転方向下流側に30度ずれた位置から前記円板部の回転方向上流側に10度ずれた位置までの範囲内に設けられる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記突起部は、前記円板部の回転方向下流側に5度ずれた位置から前記円板部の回転方向上流側に5度ずれた位置までの範囲内に設けられる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  4. 前記突起部は、前記円板部の回転中心と前記第三搬送翼の接続端部とを結ぶ線の延長線上に設けられる、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置。
  5. 前記第二搬送手段は、前記円板部の周速が80mm/s以上600mm/s以下となるように回転する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置。
  6. 前記第二室は、前記第三スパイラル部の搬送方向下流側の断面積が搬送方向上流側の断面積に比べて小さく形成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置。
  7. 前記第二室は、前記第三スパイラル部の搬送方向下流側に現像剤を排出する排出口を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置。
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