JP2016132833A - 紡績糸、繊維構造物および防護材 - Google Patents

紡績糸、繊維構造物および防護材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐切創性に優れたアラミド紡績糸、ならびに、該アラミド紡績糸からなる耐切創性、軽量性、装着性、作業性に優れた、繊維構造物、防護材を提供すること。
【解決手段】太繊度のアラミド繊維からなる紡績糸であって、短繊維の単糸繊度が3.0〜4.8dtex、紡績糸の単糸撚係数(K)が3.0〜3.8、紡績糸の単糸撚数(T)と双糸撚数(T)の比率(T/T)が48〜63%であることを特徴とする耐切創性の優れた紡績糸および該紡績糸で構成された、繊維構造物、防護材。
【選択図】なし

Description

本発明は、太繊度のアラミド繊維からなる耐切創性の優れた紡績糸ならびにそれを用いた織編物等の繊維構造物、防護材に関する。
アラミド繊維を使用した手袋、腕カバー、前掛けなどの防護材は、当該繊維が刃物で切断されにくいので、木綿などを使用した従来の手袋、腕カバー、前掛け等の防護材に比べて耐切創性が画期的に高い。そのため、例えば自動車産業や、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品産業において、バリの出た板金加工品を扱う作業、割れ易いガラス製品を扱うガラス産業、または金属片やガラス片が混入している可能性のある一般塵芥を扱うゴミ収集作業等の切創事故を起こし易い作業において、作業者の手や体を保護するために広く使用されてきた。しかしながら、当該作業者等からは、より一層切創力がある安全な手袋や腕カバー、前掛け等の防護材が強く要望されている。また、防護手袋を着用する場合は、一般的に該手袋を1枚装着して作業する場合が多いが、作業の内容によって、更に切創力が必要となり、かつ汚れ等による手袋の交換が必要なことから、軍手タイプの手袋の上に同タイプの手袋や革製の縫製手袋やゴム製手袋などを重ね履きすることも多く、より一層軽量かつ重ね履きの際の装着性の良いものであることが望まれている。
しかし、一般に、アラミド繊維などの高強度繊維は、耐切創性に優れている一方で剛性が高いためにごわごわ感があり、切創性と装着性は相互に取り合いの関係にある。
また、作業用手袋や作業衣などにおいては、着用者に作業の妨げとなる疲労感や不快感を与えることは好ましくなく、止むを得ない場合でもこれらは許される最小程度でなければならない。耐切創性が優れていても、手袋や腕カバー、前掛けなどの防護材では、硬い繊維端の刺激はちくちく感のような不快感を着用者に与えるので、ちくちく感が少なく、耐切創性、装着性に優れる防護材を工業的に生産することは極めて重要なことである。
アラミド繊維は一般に、単糸繊度が太くなるにつれ、切断されにくくなることは特許文献1および特許文献2にも記載しているように明らかであり、手袋や腕カバー、前掛けなどの防護材の耐切創性の向上には、単糸繊度を大きくすることが原理的に有効である。従って、太繊度のアラミド繊維を使用すれば耐切創性に優れた手袋等をつくることはできるが、短繊維の曲げ硬さは繊維径の増大とともに飛躍的に高くなるので、単純に従来の製造方法を適用しただけでは、ちくちく感の多い手袋や織編物しかつくることができない。
また、手袋の着用者の不快感という点において、手袋の編地の斜行度合いが小さいことも重要である。一般的に軍手タイプの手袋を構成する糸は、紡績糸やカバーリング糸などの撚り糸が多く使用され、これらの糸は撚り戻りなどのトルクが存在する。この撚りトルクが影響して、手袋を装着している最中や、使用した手袋を再利用するために汚れを落とす洗浄・洗濯を施した後に、編地が斜行し手袋全体が捩れた状態となり、指先による作業がし難いなどの不快感が生じる傾向にある。このためには使用前の手袋の編地の斜行を小さくすることが極めて重要なことである。
特許文献3には、耐切創性の高い防護用品を得るために、繊維構造物の厚みを4.5mm以上にすることが提案されているが、これでは装着性の良い手袋になり得ない。また、特許文献4には、繊維構造物の厚みを5.0mm以上にし、繊維と金属間の摩擦を低下させるためシリコーン化合物で処理することが提案されているが、手袋にしたときの装着性が劣る。さらに、特許文献5には、アラミド繊維と高収縮ポリエステル繊維を混綿し、アラミド繊維を外層部に配することで、耐切創性紡績糸が得られることが提案されている。しかしながら、それを丸編みした編物の目付が649g/mと高いため、これでは軽量防護材とはなり得ない。
したがって、耐切創性、軽量性、装着性、作業性を兼ね備えた繊維構造物、防護材の提供を可能にする紡績糸は、現状得られていない。
特開平9−157981号公報 特開2000−144526号公報 特開2009−097124号公報 特開2009−097125号公報 特開2012−202001号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、耐切創性の優れた紡績糸、ならびに、該紡績糸からなる耐切創性、軽量性、装着性、作業性に優れた、繊維構造物、防護材を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)アラミド繊維からなる紡績糸であって、短繊維の単糸繊度が3.0〜4.8dtex、紡績糸の単糸撚係数(K)が3.0〜3.8、紡績糸の単糸撚数(T)と双糸撚数(T)の比率(T/T)が48〜63%であることを特徴とする耐切創性の優れた紡績糸。
(2)上記(1)に記載の紡績糸で構成したことを特徴とする耐切創性の優れた繊維構造物。
(3)繊維構造物が織編物である上記(2)に記載の耐切創性の優れた繊維構造物。
(4)上記(1)に記載の紡績糸または上記(2)もしくは(3)に記載の繊維構造物で構成したことを特徴とする耐切創性の優れた防護材。
(5)上記(1)に記載の紡績糸または上記(2)もしくは(3)に記載の繊維構造物で構成したことを特徴とする耐切創性の優れた防護手袋。
(6)手の平部の目付が260〜450g/mで、JIS T 8052に規定された試験方法に基づいて測定した切創力が8.5N以上である上記(5)に記載の耐切創性の優れた防護手袋。
本発明によれば、単繊維繊度が3.0〜4.8dtexと繊度の太いアラミド短繊維を用い、紡績糸にする際の単糸撚係数および紡績糸の単糸撚数と双糸撚数の比率を調整することにより、高強力の耐切創性紡績糸を得ることができる。また、それを用いて繊維構造物を構成することで、従来にない高い切創力を有する防護材が得られる。特に、作業者用手袋として好適であり、当該手袋はちくちく感がなく、軽量性、重ね履き性、作業性に優れている。
以下、本発明の紡績糸について詳細を説明する。
本発明の紡績糸において用いられるアラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維が挙げられ、両繊維を任意の混紡率で混紡した混紡品、あるいは各100%品で用いたものでもよく、要求される防護材の特性により選定することができる。中でも、耐切創性および耐熱性に優れる点より、パラ系アラミド繊維が好適である。かかるパラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン(株)製、商品名「ケブラー」(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商品名「テクノーラ」)等がある。これらの繊維の中でも、特に耐切創性に優れているポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が好ましい。
アラミド繊維は一般に、単糸繊度が太くなるにつれ、切断されにくくなるため、以前から防護材の耐切創性を向上させるためには、単糸繊度を大きくすることが有効と考えられてきた。特開平9−157981号公報には、単糸繊度3.9〜4.4dtexのアラミド短繊維に撚係数1.5〜3.0の甘撚りを加えて得た紡績糸を2本引揃え、逆撚りを加えてトルクをなくし双糸に加工することで、単糸繊度1.7dtexの従来品よりも耐切創性が改善されること、それよりも単糸繊度が小さいと耐切創性の改善効果が少ないことが示されている。
本発明の紡績糸では、単糸繊度が3.0〜4.8dtexの範囲、より好ましくは3.0〜3.8dtex、特に好ましくは3.0〜3.6dtexの範囲にある短繊維を用いる。このような単糸繊度としたのは、単糸繊度が3.0dtex未満では、JIS T 8052:2005「防護服−機械的特性−鋭利物に対する切創抵抗性試験方法」に規定された試験方法に基づいて測定した切創力が8.5N以上を満たすことができなくなるからである。ここで、有機繊維のみを使用した軍手タイプの耐切創性手袋は、一般的に7ゲージや10ゲージを代表とする手袋編み機で作製したものが多く、この中で高い特性を示す7ゲージの手袋の切創力は、凡そ8.5〜11.5Nの範囲である。この切創力が8.5N以上であれば耐切創性が高いと言える。
反対に、単糸繊度が4.8dtexを超えてしまうと、手袋や織編物等の繊維構造物が硬くなるため、装着性(手袋の重ね履き性)や作業性が低下してしまい、またちくちく感を解消することが困難である。また、単糸繊度が大きくなると、加工性も劣ることから、適度な繊度の短繊維を用いて耐切創性に優れる繊維構造物が得られると、経済性の面でも有利である。
短繊維の繊維長は特に限定しないが、紡績糸の撚り係数を適正化する際の加工性を容易にし、同時にちくちく感を解消し、作業性や装着性を高めることのできる、最適な繊維長を選択するのがよい。平均繊維長として、35〜160mmの範囲が好ましく、より好ましくは45〜130mmの範囲である。また、良好な紡績性を得るために、短繊維の捲縮数は、約3〜約12山/インチが望ましい。
本発明の紡績糸の太さは、用途にもよるが、通常30s〜5s番手の範囲で好ましく使われる。ここで、糸が細くなると番手数が大きくなる。5s未満では紡績糸の加工性が劣り、30sを超えると紡績糸の耐切創性が低下する傾向がある。織編物や手袋の編み立てに用いる紡績糸の形態は、紡績糸単糸を2本引きそろえて、紡績糸単糸と逆方向に撚糸した紡績糸双糸である。紡績糸双糸の番手は、30/2s〜5/2sが望ましく、前記範囲内であれば加工性が著しく損なわれることがない。
本発明の紡績糸は、単糸撚係数(K)と、単糸およびそれを引き揃えた双糸の撚数(T、T)を適正化することが肝要である。第1に、紡績糸単糸を加撚する場合は、次式で求められる単糸撚係数(K)を、3.0〜3.8の範囲とする。単糸撚係数(K)が3.0より小さいと、短繊維同士の絡みが弱くなりすぎ、短繊維の端部が紡績糸からはみ出し、ちくちく感の多い手袋となるため、好ましくない。また、単糸撚係数(K)が3.8より大きいと、強撚になりすぎて二重撚の発生が強くなって加工性が悪化し、紡績糸の引張強度も低下し、また風合いの観点からも好ましくない。より好ましい単糸撚係数(K)は3.1〜3.6の範囲である。単糸撚数(T)は6〜21回/インチが好ましく、より好ましくは7〜19回/インチである。紡績糸単糸の撚方向は、S、Zのいずれでもよい。
撚係数 K=T/s1/2
;撚数(回/インチ)
s ;綿番手
第2に、所定の撚り(撚数T)を加えた紡績糸単糸を2本引き揃え、ダブルツイスターで所定の逆撚り(撚数T)を加えて、紡績糸に加工する。このとき、紡績糸の単糸撚数(T)と双糸撚数(T)の比率(T/T)(%)が48〜63%、より好ましくは50〜63%の範囲になるように加撚する必要がある。
本発明の紡績糸では、単糸撚数を通常より大きい値に設定することにより、紡績糸表面の毛羽や繊維端を抑えることで高剛性アラミド繊維によるちくちく感を減少させている。従って、前記比率(T/T)を48%より小さくすることは、双糸の残留トルクによって編み立てした織編物や手袋によじれが生じ、編地が斜行することで、手袋の装着性や作業性が低下するので好ましくない。反対に、前記比率(T/T)を63%より大きくすると、残留トルクをなくす工程で過度の加撚を強いられることで、均一な紡績糸が得られにくくなり、そのため、紡績糸を織編物や手袋等の繊維構造物にしたときに、切創力が局所的に低い部位が発生する恐れがあり、耐切創性向上という本来の目的が阻害されることになる。双糸撚数(T)は3〜13回/インチが好ましく、より好ましくは4〜12回/インチである。
本発明の紡績糸は、単糸繊度が3.0〜4.8dtexのアラミドを切断し、ステープル化したものを用いて、従来公知の紡績手段で製造することができる。ステープルをスライバーとし、それをリング撚糸機等にて所定の撚係数の撚りを加え、さらにダブルツイスター等にて、所定の撚数比率とする。こうして得られる、本発明の紡績糸の綿番手20/2の双糸は、その引張強力が40N以上であり、本発明の加撚条件を満たさない同じ綿番手のアラミド紡績糸よりも高い値を示す点で、特徴が有る。このことから、本発明の紡績糸は、引張強さの点でも優れているので、手袋をはじめ、各種の繊維構造物に適用できる。
また、本発明の紡績糸を製造する場合、本発明の効果を妨げない範囲で、約30重量%以下で他の短繊維を混用することができる。
また繊維構造物は、本発明の紡績糸100%で構成することが、該紡績糸が有する耐切創性、高強力と言った優れた特性が如何なく発揮される点で好ましいが、交織交編のように他の繊維や糸との併用でもよい。好ましくは、紡績糸が織物や編物等製品全体の重量のうち、70〜100%の範囲とするのがよい。パイル織物のような立毛布帛とすることもできる。
さらに、本発明の防護材は、全てを、かかる紡績糸または繊維構造物で構成してもよく、またはそれらを部分的に使用することでもよい。例えば、作業用手袋では、作業内容により指先部分や掌部分だけのように、特定の部分に本発明の紡績糸や織編物等を使うことができる。織編物や防護材には、必要に応じ、樹脂コーティングを施すこともできる。防護手袋を編成する場合は、その目付が260〜450g/mの範囲になるように編みあげることが好ましく、目付260g/m以上にすることで、耐切創性、作業性、装着性かつちくちく感が感じられない手袋を得ることができ、また目付450g/m以下にすることで、軽量で重ね履き性がよい手袋となる。目付が450g/mを超える手袋の場合は、手袋の厚みが大きいため重ね履きをした際に締付け感が増すことでちくちく感を感じやすく、また手袋が重くなる。更に好ましくは260〜400g/mの範囲にするのが良い。この場合の構成する紡績糸の本数は、紡績糸の太さ(番手)と繊維構造物および防護材の目付が関係するが、それぞれの範囲内であれば、1〜複数本で使用できる。
手袋の厚みは、重ね履き性などを考慮すると、JIS L 1096:2010 8.4による厚み測定方法に基づいて測定した厚みが、1.8mm以下にするのが良い。
手袋の場合、作製に使用する編み機のゲージ数は、5.5〜13ゲージがよく、好ましくは7〜10ゲージ、更に好ましくは10ゲージとするのが良い。この場合の編地の密度としては、6〜25ウェール/インチの範囲であればよく、好ましくは8〜18ウェール/インチの範囲にするのが良い。
本発明の防護材は、厳しい使用環境条件が要求される用途に特に適している。これには、直接防護目的として使用されるものはもちろん、結果的に防護機能が果たされるものも含まれ、具体的には、作業用または工業用手袋、腕カバー、前掛け、足首カバーの他、作業靴、地下足袋、溶接用作業衣;スポーツ用として、スポーツ用上着、同ズボン、野球やサッカー用のソックス、フェンシングユニフォーム;溶接作業用カーテン、消防服、消防用ホース、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、作業者用手袋として好適である。十分な切創力があるため手袋1枚を装着した場合や、手袋を重ね履きした場合でも、好適である。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における各物性値の測定方法は次の通りである。
[紡績糸の引張強力]
JIS L 1095:2010「一般紡績糸試験方法」9.5に準じて紡績糸の引張強さ(N)を測定した。
[切創力]
JIS T 8052:2005「防護服−機械的特性−鋭利物に対する切創抵抗性試験方法」に準拠し、手袋1枚における手の平部の切創力(N)を測定した。切創力(N)を織編物の目付で除して、耐切創性を求めた。切創力の値が大きいほど切れ難いと判定した。
[作業性(編地の斜行]
7ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)を使用し、編成後の手袋の編目の状態にて、JIS T 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」8.12に準じて、編地のウェール方向の布目曲がり(斜行)を測定し、布目曲がり率を求めた。この布目曲がり率により判定、10%未満のものを「○」、10%以上のものを「×」と判定した。
[ちくちく感(表面毛羽)]
編成後の手袋1枚を着用した10人の感触により、また、編織物はその生地に対する10人の感触により判定した。60%以上がちくちく感が無いと判定したものをちくちく感なし「○」、それ以外をちくちく感あり「×」と判定した。
[装着性(重ね履きのし易さ)]
実施例および比較例で作成した手袋を、それぞれ同じ手袋を2枚重ねて装着した際の装着のし易さおよび装着時の手の締め付け感について判定し、良いものを「○」、悪いものを「×」と判定した。
(実施例1)
アラミド短繊維糸条として、繊度3.3dtexのパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製“Kevlar(R)29”、引張強度20.3cN/dtex)にステープル加工を施した、繊維長51mm、捲縮数約8山/インチのパラ系アラミド短繊維100%を用いた。
これを、開綿機、カード、練条の順で通しスライバーとした。次に、これをリング精紡機に仕掛け、撚数(T)14.1回/インチ、撚係数3.1、撚り方向がZ撚りの撚りを加えて、糸番手20(綿番手)、引張強力17.6Nの紡績糸の単糸を得た。この紡績糸を2本引き揃え、ダブルツイスターで撚数(T)8.4回/インチの逆(S)撚りを加えて、糸番手が20/2(綿番手)、引張強力41.0Nの双糸を得た。T/Tの比率は60%である。
さらに、双糸を2本引き揃えて、10ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)に供給して、12.5ウェール/インチ、手の平部の目付が320g/mの手袋を編みあげた。手袋の切創力、作業性、ちくちく感、装着性を表1にまとめた。
(実施例2)
アラミド短繊維糸条として、繊度3.3dtexのパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製“Kevlar(R)29”、引張強度20.3cN/dtex)にステープル加工を施した、繊維長51mm、捲縮数約8山/インチのパラ系アラミド短繊維100%を用いた。これを、開綿機、カード、練条の順で通しスライバーとした。次に、これをリング精紡機に仕掛け、撚数(T)15.7回/インチ、撚係数3.5、撚り方向がZ撚りの撚りを加えて、糸番手20(綿番手)、引張強力16.2Nの紡績糸の単糸を得た。この紡績糸を2本引き揃え、ダブルツイスターで撚数(T)7.8回/インチの逆(S)撚りを加えて、糸番手が20/2(綿番手)、引張強力40.4Nの双糸を得た。T/Tの比率は50%である。
さらに、双糸を2本引き揃えて、10ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)に供給して、12.5ウェール/インチ、手の平部の目付が327g/mの手袋を編みあげた。手袋の切創力、作業性、ちくちく感、装着性を表1にまとめた。
(比較例1)
実施例1で得た紡績糸の単糸を2本引き揃え、ダブルツイスターで撚数(T)6.0回/インチの逆(S)撚りを加えて、糸番手が20/2(綿番手)、引張強力37.8Nの双糸を得た。T/Tの比率は43%である。
さらに、双糸を2本引き揃えて、10ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)に供給して、12.5ウェール/インチ、手の平部の目付が318g/mの手袋を編みあげた。手袋の切創力、作業性、ちくちく感、装着性を表1にまとめた。
(比較例2)
アラミド短繊維糸条として、繊度3.3dtexのパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製“Kevlar(R)29”、引張強度20.3cN/dtex)にステープル加工を施した、繊維長51mm、捲縮数約8山/インチのパラ系アラミド短繊維100%を用いた。これを、開綿機、カード、練条の順で通しスライバーとした。次に、これをリング精紡機に仕掛け、撚数(T)13.0回/インチ、撚係数2.9、撚り方向がZ撚りの撚りを加えて、糸番手20(綿番手)、引張強力16.9Nの紡績糸の単糸を得た。この紡績糸を2本引き揃え、ダブルツイスターで撚数(T)8.4回/インチの逆(S)撚りを加えて、糸番手が20/2(綿番手)、引張強力38.5Nの双糸を得た。T/Tの比率は65%である。
さらに、双糸を5本引き揃えて、10ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)に供給して、12.3ウェール/インチ、手の平部の目付が323g/mの手袋を編みあげた。手袋の切創力、作業性、ちくちく感、装着性を表1にまとめた。
実施例1および実施例2で得た手袋は、切創力9.7〜9.9Nという極めて高い値を示し、かつ作業性、ちくちく感、装着性において良好な結果を示した。一方、比較例1で得た手袋は、逆撚りが不足しているため、残留トルクによって手袋使用中に編地が斜行してしまい、作業性を著しく悪化させた。比較例2で得た手袋は、切創力が優れていたが、単糸の撚係数が3.0に満たない甘撚りであったため、アラミド短繊維の毛羽によるちくちく感があった。
(比較例3)
繊度2.5dtexのパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製“Kevlar(R)29”、引張強度20.3cN/dtex)にステープル加工を施した、繊維長51mm、捲縮数約8山/インチのパラ系アラミド短繊維100%を用いた。これを、開綿機、カード、練条の順で通しスライバーとした。次に、これをリング精紡機に仕掛け、撚数(T)14.1回/インチ、撚係数3.1、撚り方向がZ撚りの撚りを加えて、糸番手20(綿番手)、引張強力18.3Nの紡績糸の単糸を得た。この紡績糸を2本引き揃え、ダブルツイスターで撚数(T)7.0回/インチの逆(S)撚りを加えて、糸番手が20/2(綿番手)、引張強力41.4Nの双糸を得た。T/Tの比率は50%である。
さらに、双糸を2本引き揃えて、10ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)に供給して、12.5ウェール/インチ、手の平部の目付が305g/mの手袋を編みあげた。手袋の切創力、作業性、ちくちく感、装着性を表1にまとめた。
比較例3で得た紡績糸と、実施例1で得た紡績糸の引張強力は同程度であった。一方、編みあげた手袋の評価では、切創力の差が顕著であり、短繊維の単糸繊度が2.5dtexでは切創力が向上しないことが分った。
(比較例4)
実施例1で得た紡績糸双糸を5本引き揃えて、7ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)に供給して、手の平部の目付が560g/mの手袋を編みあげた。その評価結果を表1に示すように、手袋を厚くすることで切創力は向上したが、ちくちく感や重ね履き性に劣っており、所望の性能まで到達しなかった。
(実施例3)
繊度3.3dtexのパラ系アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製“Kevlar(R)29”、引張強度20.3cN/dtex)にステープル加工を施した、単繊維の繊維長64mm、捲縮数約8山/インチのパラ系アラミド短繊維100%を用いた。これを、開綿機、カード、練条の順で通しスライバーとしたものをリング精紡機に仕掛け、撚数(T)15.7回/インチ、撚係数3.5、撚り方向がZ撚りの撚りを加えて、糸番手20(綿番手)、引張強力16.7Nの紡績糸の単糸を得た。この紡績糸を2本引き揃え、ダブルツイスターで撚数(T)7.8回/インチの逆(S)撚りを加えて、糸番手が20/2(綿番手)、引張強力42.9Nの双糸を得た。T/Tの比率は50%である。
さらに、双糸を2本引き揃えて、10ゲージタイプの手袋編み機((株)島精機製作所)に供給して、12.5ウェール/インチ、手の平部の目付が314g/mの手袋を編みあげた。表1に示すように、手袋の切創力、作業性、ちくちく感および装着性に優れていた。
Figure 2016132833
本発明の紡績糸は、作業用手袋の他、消防服、レーシングスーツ、製鉄・溶接用作業服などの防護材として好適に用いられる。

Claims (6)

  1. アラミド繊維からなる紡績糸であって、短繊維の単糸繊度が3.0〜4.8dtex、紡績糸の単糸撚係数(K)が3.0〜3.8、紡績糸の単糸撚数(T)と双糸撚数(T)の比率(T/T)が48〜63%であることを特徴とする耐切創性の優れた紡績糸。
  2. 請求項1に記載の紡績糸で構成したことを特徴とする耐切創性の優れた繊維構造物。
  3. 繊維構造物が織編物である請求項2に記載の耐切創性の優れた繊維構造物。
  4. 請求項1に記載の紡績糸または請求項2もしくは3に記載の繊維構造物で構成したことを特徴とする耐切創性の優れた防護材。
  5. 請求項1に記載の紡績糸または請求項2もしくは3に記載の繊維構造物で構成したことを特徴とする耐切創性の優れた防護手袋。
  6. 手の平部の目付が260〜450g/mで、JIS T 8052に規定された試験方法に基づいて測定した切創力が8.5N以上である請求項5に記載の耐切創性の優れた防護手袋。
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