JP4256039B2 - 複合糸、繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

複合糸、繊維構造物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐切創性と耐熱性に優れた複合糸と繊維構造物に関するものであり、さらに詳しくは、糸の芯が高強力短繊維または、耐熱性短繊維で鞘が水溶性長繊維からなり、芯が無撚りの芯鞘複合糸からなる繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
強度13CN/dTex以上、弾性率177CN/dTex以上の高強力繊維または、限界酸素指数(LOI)27以上の耐熱性繊維を使用した手袋や、腕カバー、前かけなどの防護衣料等は、当該繊維が刃物で切断されにくい、また燃えにくいので、木綿などを使用した従来の手袋、腕カバー、前かけなどの防護衣料に比べて耐切創性や耐熱性が画期的に高く、例えば自動車産業や、洗濯機、冷蔵庫等の家電製品産業において、バリの出た板金加工品を扱う作業、あるいは割れ易いガラス製品を扱うガラス産業、または金属片やガラス片が混入している可能性のある一般塵芥を扱うゴミ収集作業、溶接作業のような、切創事故や火傷を起こし易い作業において、作業者の手や体を保護するために広く使用されてきた。しかしながら、当該作業等からはより一層安全な手袋や前かけ、腕カバーなどの防護衣料等の防護材が強く要望されている。また、より一層軽量で柔軟性が高く作業性の良い防護衣料が望まれている。
【0003】
一般に、芳香族系ポリアミド繊維等の高強度繊維は、耐切創性に優れている一方で剛性が高いために、切創性と着用時の作業性の指標である柔軟性は相互に取り合いの関係にある。
【0004】
また、作業用手袋や作業衣のような安全防護衣料においては、着用者に作業の妨げとなる疲労感や不快感を与えることは好ましくなく、やむを得ない場合でもこれらは許される最小の程度でなければならない。耐切創性に優れていても、手袋や前かけ、腕カバー、作業衣などの防護衣料では柔軟性が欠けていると着用者に疲労感を与え、更に、安全防護衣料としては硬い繊維端の刺激による、いわゆるちくちく感のような不快感を着用者に与えることも好ましくない。柔軟性があり、ちくちく感が少なく、軽量で耐切創性の高い手袋や前かけ、腕カバーなどの防護衣料等の防護材を工業的に生産することは当該業界にとって極めて重要なことである。
【0005】
耐切創性や耐熱性に優れた芳香族系ポリアミド繊維を使用した手袋については、例えば実開平1−45708号公報に、単繊維繊度が3.3dTex以下の全芳香族ポリアミドフィラメントが、互いに無作為に交絡した嵩高ヤーンを編織することにより耐切創性の優れた手袋をつくる考案が提案されている。また、耐熱性の向上で、実公平4−54168号公報に地組み織用糸およびループパイル用糸に単繊維繊度が3.3dTex以下である複数本のパラ系全芳香族ポリアミドフィラメントが互いに無作為に交絡した嵩高ヤーンを用いたパイル編みで構成した耐熱性、断熱性に優れた手袋が提案されている。
【0006】
しかしながら、より一層高い耐切創性や耐熱性達成を意図する場合には、必ずしも十分ではないのが実状である。また耐切創性と柔軟性の向上を狙い、芳香族ポリアミド繊維の太繊度化、長繊維長化、甘撚り化を図った特開平9−157981号公報が提案されているが、耐切創性は向上するが、長時間着用の場合など柔軟性は、必ずしも十分でないのが実状である。さらに、防護衣料のより一層の軽量、柔軟化が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、柔軟性であり、軽量でちくちく感がなく、手触り感が快適で、耐切創性や耐熱性の高い作業用手袋、前掛け、腕カバーなどの防護材等に有用な複合糸と繊維構造物およびその製造方法を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の複合糸は、芯成分に鞘成分をカバリングしてなる芯鞘型複合糸であって、該芯成分が強度13CN/dTex以上、弾性率177CN/dTex以上の高強力短繊維で、該鞘成分が水溶性長繊維からなり、かつ、該芯成分が無撚りであることを特徴とするものであり、また、本発明の複合糸は、芯成分に鞘成分をカバリングしてなる芯鞘型複合糸であって、該芯成分が限界酸素指数(LOI)27以上の耐熱性短繊維で、該鞘成分が水溶性長繊維からなり、かつ、該芯成分が無撚りであることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の繊維構造物は、上記のいずれかに記載の複合糸からなる繊維構造物であり、さらに、本発明の繊維構造物の製造方法は、上記繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解し、除去することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、芯鞘型複合糸であって芯部が高強力・耐熱短繊維で無撚りであり、鞘部が水溶性長繊維で芯部をカバリングによって糸状とし、その芯成分が無撚りであることを基本としたものであり、また、これを用いた繊維構造物としたものであり、これによらずして本発明は達成できない。
【0011】
該複合糸を用い繊維構造物に加工後、水溶性繊維を溶解除去し、無撚りの高強力短繊維、耐熱性短繊維の軽量、柔軟で耐切創性、耐熱性に優れた繊維構造物を製造でき、更に、かかる複合糸または繊維構造物を用いて、柔軟で耐切創性の優れた手袋、前掛け、腕カバー、足首カバー、防護衣料を含む防護材を製造することができる。
【0012】
本発明において用いられる高強力短繊維としては、パラ系アラミド繊維、例えば東レ・デュポン(株)製“ケブラー”、帝人(株)製“テクノーラ”、日本アラミド(有)の“トワロン”など使用することができ、他にPBO繊維、例えば東洋紡績(株)製“ザイロン”、高強力ポリエチレン、例えば東洋紡績(株)製“ダイニーマ”、ポリアリレート繊維、例えば(株)クラレ製“ベクトラン”なども使用することができる。
【0013】
また、耐熱性繊維としては、上記パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、PPS繊維、PBO繊維などを使用することができる。これらの中でも、特に好ましくはパラ系アラミド繊維がよい。
【0014】
かかる繊維は、要求される強度特性から、芯成分が高強力の場合は、引張強度が13CN/dTex以上、弾性率177CN/dTex以上であること、また、芯成分が耐熱性の場合は、限界酸素指数(LOI)27以上であることが必須である。引張強度が13CN/dTex未満、弾性率177CN/dTex未満では破れやすく、耐切創抵抗が低くなる。また、限界酸素指数(LOI)27未満では、熱による変化で炭化、変色、強力劣化で、防護資材としての機能を損なうことになる。
【0015】
高強力繊維は、一般に、単繊維繊度が太くなるにつれ、切断されにくくなることが明らかである。手袋や前掛け、腕カバーなどの防護衣料の耐切創性を向上させるためには、単繊維繊度を大きくすることが原理的に有効である。ここに特公昭55−14170号公報に、単繊維繊度が最大22dTexのパラ系全芳香族系ポリアミド繊維が示されている。従って、この技術を採用すれば、耐切創性の優れた手袋や編織物を作ることはできるが、短繊維の曲げ硬さは、繊維径の増大とともに飛躍的に高くなるので、単純に従来の製造方法を採用しただけでは、手袋や編織物に柔軟性がなく、また、ちくちく感の多い手袋や編織物等しか作ることができない。
【0016】
手袋や編織物等の繊維構造物の耐切創性を大幅に向上させ柔軟性を得るために、高強力繊維、または、耐熱性繊維の単繊維繊度は、0.7〜7.0dTexの範囲が好ましく使用されるが、耐切創性と軽量、薄さの要求される分野用には、0.7〜3.3dTexの範囲のものが、また、耐切創性と耐熱性、柔軟性が強く要求される分野用には、3〜6.0dTexの範囲のものが好ましく使用されるので、要求される防護材特性により、選択して使用するのがよい。
【0017】
繊維長さや紡績糸の撚係数の適正化でも手袋や編織物に柔軟性がなく、ちくちく感を解消することが困難である。繊維の太さdTex(デシテックス)は、繊維長をL(m)、その重量がW(g)であるとき、dTex=(W/L)×1000で示され、このdTex数が大きいほど、繊維は太くなる。有撚の紡績糸は、繊維端が紡績糸の直径方向にはみ出し毛羽となっており、これがチクチク感を与えている。
【0018】
一般に短繊維において、通常の紡績方式では、繊維長が大きいほど、撚数を低く設定することができ、柔軟性のある紡績糸を得ることができる。一方、繊維径が太いほど、剛性の方が高くなるので、繊維の皮膚への刺激であるちくちく感が高くなる。
【0019】
手袋や編織物等の繊維構造物を柔軟にし、同時にちくちく感を解消するためには、第一に、単繊維繊度に適した長さの繊維長の短繊維からなる紡績糸が採用される。高強力繊維、または、耐熱性繊維の単繊維繊度が3.3〜6.0dTexの場合、平均繊維長が、好ましくは5〜15cm、さらに好ましくは7〜13cmの範囲のステープルからなる紡績糸を使用することで、これらの課題を一挙に解決することができるが、単繊維繊度3.3dTexを越える場合においては、平均繊維長が5cmより小さい場合、良好な紡績性を得るためには、下記に示した撚係数を3より大きくする必要がある。かかる条件では、撚数が多いために、手袋の防護衣料に使用する編織物に適した柔らかな風合いの紡績糸を得ることは困難である。また、平均繊維長が15cmより大きいと、既存の紡績設備では、紡績糸の製造が困難である。
【0020】
本発明において、芯繊維の周囲を鞘繊維が捲回して集束することによる糸強力付与により連続糸条とした後に、該複合糸を用いて繊維構造物を作製後溶解することで、鞘の水溶性繊維を除去して、無撚りの高強力繊維または、耐熱性繊維の短繊維の繊維構造物を得るものであり、柔軟でちくちく感を解消するための第二の要件としての撚数を無にすることで、耐切創性、耐熱性を維持し、柔軟性とちくちく感を大幅に改善することができるのである。すなわち、無ヨリ糸は、繊維端が紡績糸の長さ方向に配列されるので、繊維構造物からのはみ出し毛羽が少なく、チクチク感が改善されるのである。
【0021】
複合糸の太さは、用途にもよるが、耐切創性、耐熱性または柔軟性が強く要求される用途の場合は、綿番手4S/1〜30S/1の範囲のものが好ましく使用されるが、耐切創性、柔軟性、薄さ、軽量が強く要求される用途の場合には、30S/1〜160S/1の範囲のものが好ましく使用される。
【0022】
複合糸の紡出撚り方向は、S、Zのいずれでもよく、撚係数は、好ましくはK=2.0〜5、さらに好ましくは2.5〜4の範囲であるのがよい。ここでいう撚数は、芯成分の短繊維束を水溶性繊維が捲回する回数であり、撚係数K=T/S1/2 であり、ここにTは撚数(回/2.54cm)、Sは次式で示される綿番手である。そして糸長L(m)の重量がW(g)であるときS=0.5908L/Wとなる。
【0023】
本発明の実施において、高強力、耐熱性のアラミド繊維は、従来公知の製法(例えば特開昭55−14170号公報)で製造することができ、これを通常スクエアカットにより所定の長さに切断してステープル化される。またステープル化は、平均繊維長±25%のバリアブルカットによっても行なわれ、あるいは長繊維を把持した一対以上のローラ間の速度差によってカットする牽切方式によりステープル化する方法によってもよい。
【0024】
本発明でいう水溶性長繊維とは、ビニロン系、ナイロン系などがあるが、好ましくはポリビニルアルコール系(例えば(株)ニチビ製“ソルブロン”(登録商標)がよい。
【0025】
鞘成分として用いる水溶性繊維の一例として、(株)ニチビ製“ソルブロン”の繊維物性は、溶解温度36℃±4℃、完全溶解所要時間、30分、単繊維強度3.1〜4.0CN/dTex、伸度15〜20%のものを使用することができる。また太番手複合糸を得る場合は、62〜333dTexのものを、細番手複合糸を得る場合は、40〜28dTexの水溶性繊維のマルチフィラメント糸を使用するのがよい。
【0026】
本発明の実施において、パラ系アラミド短繊維からなる複合糸は、通常の紡績等の手段で粗糸を製造でき、この粗糸を用いて、例えばトライスピナー〔小関登商店(株)製〕により、水溶性長繊維糸と長短複合化して、本発明の複合糸を得ることができる。また、本発明の効果を妨げない範囲で、他の繊維を混用することができる。
【0027】
芯成分の複合糸に占める割合は、60〜97重量%が好ましい。かかる範囲であると、鞘成分の水溶性長繊維糸を除去後の、布帛、繊維構造物の空隙が適度で、防護材としての機能低下が起こり難く、また、鞘成分の水溶性繊維量が不足して、複合糸の収束力が弱く、複合糸の強力低下が起こるということもない。
【0028】
本発明の例えば単繊維繊度1.5dTex、カット長3.8cmのパラ系アラミド繊維紡績糸の綿番手10S /1の物性は、引張り強さが8.45N/本で、同繊維のリング紡績糸10S /1の引張り強さ40N/本よりやや低い引張り強さを示すが、耐切創性は繊維本来の性質によるもので、撚りによって引張り強さが左右される紡績糸の引張り強さとは直接関係がない。
【0029】
使用される紡績糸の形態は、単糸でもよく、単糸を2本引揃えた双子または単糸を3本引揃えた三子でもよい。一般に織物では、単糸または双子が使用される。手袋用には、糸のトルクによる編地のよじれを生じさせないように、残留トルクのない双子が使用されているが、本発明の複合糸は、布帛、あるいは製品で加撚部の水溶性長繊維を除去するもので、製品として残るパラ系アラミド短繊維は無撚りとなり、残留トルクが無く、単糸での使用が可能となる。
【0030】
また、繊維構造体は、本発明の複合糸100%で構成してもよく、交織交編のように他の繊維や糸条との併用でもよい。本発明の防護材の種類によっては、パイル織物のような立毛布帛とすることもできる。本発明糸を使用した立毛布帛は、湯洗い後、無撚りとなり、起毛処理において、起毛効率が非常によく、嵩高でソフトな布帛とすることができる。
【0031】
更に、本発明の防護材は、全てを、かかる複合糸または繊維構造体等で構成してもよく、またそれらを防護材の50〜100重量%の範囲において、必要部分に使用することでもよい。例えば、作業用手袋では、作業内容により指先部分や掌部分だけのように、特定の部分に本発明の紡績糸や繊維構造体等を使うことができる。繊維構造体や防護材には、必要に応じ、樹脂コーティングを施すこともできる。
【0032】
本発明の防護材は、厳しい使用環境条件が要求される用途に特に適しており、これには、直接防護材目的として使用されるものはもちろん、結果的に防護材機能が果たされるものも含まれ、具体的には、上述の作業用または工業用手袋、腕カバー、前かけ、足首カバーの他、作業靴、地下足袋、溶接用作業衣、スポーツ用として、スクリューによる切創から身体を保護する競艇選手用上着、同ズボン、野球やサッカー用のソックス、武道具としてフェンシングユニフォーム、また、溶接作業用カーテン、消防服、消防用ホース、あるいは超極細複合糸を使用して、軽量で柔軟性が必要とされる耐切創、耐熱防護材分野、例えば薄手の防護手袋、薄手のコーティング基布などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
以下、実施例をあげて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0034】
なお、実施例における特性値等の測定法は次の通りである。また、実施例および比較例で使用するパラ系全芳香族ポリアミド繊維“ケブラー”(登録商標)の特性は、引張強度23CN/dTex,引張弾性率520CN/dTex,限界酸素指数30である。
(1)耐切創性
枠体の中央部に幅10mm、長さ50mmのスリットを有する板状のサンプル支持板2枚の間に試験片をはさんで固定し、この試験片をV字型刃物、すなわち角度60度の2辺にあるセラミック製の刃を試験片に垂直に立てて当て、この刃先に500mm/分の速度で押し付け、試験片が切創される最大荷重を測定し、n=10の平均値で示した。
(2)柔軟性
編物及び手袋については、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」6.21.1に準じて、ガーレ式試験機により剛軟度として測定した。手袋は、中指部分を先端から6.4cmを切りとって筒編み状の試験片とし、指先部分が振り子に触れるようにチャックに取付けた。また、編物の柔軟性は、JIS L 1096「一般織物試験法」6.20.1により剛軟度として測定した。それぞれ、剛軟度が低いほど柔軟性が改善されていると判定した。
(3)ちくちく感
手袋は、それを着用した10人の感触により、また、編織物はその生地に対する10人の感触により判定した。60%以上がちくちく感が無いと判定したものを、ちくちく感なしと判定した。ちくちく感無しを○、ちくちく感有りを×で示した。
実施例1〜2
東レ・デュポン(株)製の単繊維繊度が1.7〜3.3dTexのパラ系全芳香族ポリアミド繊維“ケブラー”(登録商標)に、6山/2.54cmの割合で捲宿をかけ、3.8cmにカットして短繊維とした。これを開綿機、カード練条またはギルの順で通しスライバーとし芯成分とした。鞘成分に水溶性繊維〔(株)ニチビ製“ソルブロン”〕フィラメント44dTex/12フィラメントを用いトライスピナー精紡機にかけ複合加工した、撚係数が3.0の撚りを加えて綿番手9.3/1、芯/鞘成分比率93/7%の複合紡績糸を得た。更に、これを5本引揃えて島精機(株)の7ゲージの手袋編み機に供給して手袋を編み上げ80℃20分の湯洗いを行い“ソルブロン”を除去し、重量60g/双、の手袋を作成した。これらの手袋の耐切創性、柔軟性、ちくちく感を表1にまとめた。
比較例1
比較例1として、現在市販されているパラ系芳香族ポリアミド短繊維“ケブラー”100%リング紡績糸を実施例と同様に手袋を編み上げた。手袋の耐切創性、柔軟性、ちくちく感を実施例と比較評価し、結果を表1に示した。
比較例2
上記実施例と同じ短繊維を、リング精紡機にかけて無撚紡績糸の製造を試みたが、鞘成分が無いため糸切れが多発し紡績は困難であった。
比較例3
市販木綿手袋の耐切創性、柔軟性、ちくちく感を実施例と比較評価し、結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
Figure 0004256039
【0036】
表1から明らかなように、実施例1.2は比較例1に比べ切創抵抗は同等であるが、柔軟性が大幅に向上し、市販品より優れている。また、ちくちく感は実施例2と比較例1は同等の60%であったが、実施例1は90%の人が柔軟とした。比較例2は実施例1と同様に紡績したが鞘成分がないため紡績糸とならず手袋に編成出来なかった。比較例3は市販の手袋で柔軟性、ちくちく感は優れているが、切創抵抗が低く、LOI値が小さい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、上述のように芳香族ポリアミド繊維を無撚り化し、超極細番手から太番手までの紡績糸使い布帛、繊維構造物、防護材が得られ、柔軟で耐切創性の高い複合糸やそれを用いた編織物等の繊維構造物が得られる。また、本発明では、耐切創性に優れると共に、軽量、柔軟性に優れた防護衣料等の防護材が得られ、これは着用者に疲労感を与えることなく、また、硬い繊維端の刺激による、いわゆるちくちく感のような不快感を着用者に与えることもない。特に耐切創性、耐熱性の厳しい使用環境条件が要求される作業用手袋や、防護エプロンなどの防護材、また極細番手糸を用いた軽量で柔軟性が必要とされる薄手の防護手袋、防護エプロンなどの超薄手のコーティング布やアウトドアスポーツ衣料に好適な布帛として好適である。

Claims (7)

  1. 芯成分に鞘成分をカバリングしてなる芯鞘型複合糸であって、該芯成分が強度13CN/dTex以上、弾性率177CN/dTex以上の高強力短繊維で、該鞘成分が水溶性長繊維からなり、かつ、該芯成分が無撚りであることを特徴とする複合糸。
  2. 芯成分に鞘成分をカバリングしてなる芯鞘型複合糸であって、該芯成分が限界酸素指数(LOI)27以上の耐熱性短繊維で、該鞘成分が水溶性長繊維からなり、かつ、該芯成分が無撚りであることを特徴とする複合糸。
  3. 該高強力短繊維が、パラ系アラミド繊維である請求項1記載の複合糸。
  4. 該耐熱性短繊維が、アラミド繊維である請求項2記載の複合糸。
  5. 該芯成分が60〜97重量%で、鞘成分が3〜40重量%であり、該芯成分の単繊維糸繊度が0.6〜6.0dTexで、平均繊維長が2.54〜15.0cmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合糸。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合糸からなることを特徴とする繊維構造物。
  7. 請求項6記載の繊維構造物中の水溶性長繊維を溶解し、除去することを特徴とする繊維構造物の製造方法。
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