JP2016131455A - モールド部付電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】モールド部付電線において、絶縁被覆とモールド部との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることを抑制すること。【解決手段】モールド部付電線100は、芯線81と芯線81の周囲を覆う絶縁被覆82とを含む絶縁電線8及び絶縁電線8の端部に接続された端子7を備える端子付電線9と、絶縁電線8と端子7との接続部分の周囲を覆うモールド部6と、を備える。絶縁被覆82は、第一被覆1と第一被覆1に比べモールド部6に対し接着性に優れる第二被覆2とを備える。モールド部6は、端子付電線9の端部において第二被覆2における第一被覆1に覆われていない部分である接着領域部89の周囲をさらに覆っている。【選択図】図1
Description
本発明は、端子付電線とモールド部とを備えるモールド部付電線に関する。
自動車等の車両に搭載されるワイヤーハーネスにおいて、端子付電線は、絶縁電線と絶縁電線の端部に接続された端子とを備える。絶縁電線は、芯線及びこの芯線の周囲を覆う絶縁被覆を含む。
また、特許文献1に示されるように、端子付電線が、モールド部を備えることがある。モールド部は、端子付電線の絶縁電線の端部及び端子の一部を覆っている。以下、モールド部を含む端子付電線をモールド部付電線と称する。
特許文献1に示される例において、モールド部付電線が、接着性が悪い絶縁被覆を備える絶縁電線を含む場合、モールド部による防水構造が作りにくい。接着性の悪い絶縁被覆とモールド部との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されやすいためである。
本発明は、モールド部付電線において、絶縁被覆とモールド部との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることを抑制することを目的とする。
第1態様に係るモールド部付電線は、芯線と前記芯線の周囲を覆う絶縁被覆とを含む絶縁電線及び前記絶縁電線の端部に接続された端子を備える端子付電線と、前記絶縁電線と前記端子との接続部分の周囲を覆うモールド部と、を備え、前記絶縁被覆は、第一被覆と前記第一被覆に比べ前記モールド部に対し接着性に優れる第二被覆とを備え、前記モールド部は、前記端子付電線の端部において前記第二被覆における前記第一被覆に覆われていない部分である接着領域部の周囲をさらに覆っている。
第2態様に係るモールド部付電線は、第1態様に係るモールド部付電線の一態様である。第2態様に係るモールド部付電線は、前記接着領域部と前記モールド部との間に設けられた接着剤をさらに備える。
第3態様に係るモールド部付電線は、第1態様又は第2態様に係るモールド部付電線の一態様である。第3態様に係るモールド部付電線においては、前記端子付電線における前記絶縁被覆は、前記第二被覆と前記第二被覆の外側に設けられた前記第一被覆とを含み、前記接着領域部は、前記絶縁電線の端部において前記第一被覆が除去されることにより形成される。
第4態様に係るモールド部付電線は、第3態様に係るモールド部付電線の一態様である。第4態様に係るモールド部付電線においては、前記絶縁電線は、前記第一被覆と前記第二被覆との間に設けられた第三被覆をさらに備え、前記接着領域部は、前記絶縁電線の端部において前記第一被覆及び前記第三被覆が除去されることにより形成される。
第5態様に係るモールド部付電線は、第3態様又は第4態様に係るモールド部付電線の一態様である。第5態様に係るモールド部付電線においては、前記モールド部の後端部は、前記第一被覆に接触した状態で前記第一被覆の周囲を覆っている。
第6態様に係るモールド部付電線は、第1態様又は第2態様に係るモールド部付電線の一態様である。第6態様に係るモールド部付電線においては、前記端子付電線における前記絶縁被覆は、前記第一被覆と前記第一被覆の外側に設けられた前記第二被覆とを含む。
第7態様に係るモールド部付電線は、第1態様から第5態様のいずれか1つに係るモールド部付電線の一態様である。第7態様に係るモールド部付電線においては、前記第一被覆は、車載温度で前記第二被覆よりも柔軟である。
第8態様に係るモールド部付電線は、第7態様に係るモールド部付電線の一態様である。第8態様に係るモールド部付電線においては、前記第二被覆の厚みが、前記第一被覆の厚みよりも薄い。
第9態様に係るモールド部付電線は、第1態様から第7態様のいずれか1つに係るモールド部付電線の一態様である。第9態様に係るモールド部付電線においては、前記第一被覆が、シリコーンゴムを含む。
上記の各態様において、絶縁被覆は、第一被覆と第一被覆に比べモールド部に対し接着性に優れる第二被覆とを備える。そして、モールド部は、端子付電線の端部において第二被覆における第一被覆に覆われていない部分である接着領域部をさらに覆っている。この場合、モールド部付電線において、比較的モールド部との接着性に優れた第二被覆の部分である接着領域部とモールド部との間に隙間が形成されにくくなる。即ち、モールド部付電線において、絶縁被覆とモールド部との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることを抑制することができる。
また、第2態様において、モールド部付電線は、接着領域部とモールド部との間に設けられた接着剤をさらに備える。この場合、接着剤によって、モールド部と接着領域部とが、より強固に接着される。その結果、モールド部の移動すること及び回転することをより抑制できる。
また、第3態様において、端子付電線における絶縁被覆は、第二被覆と第二被覆の外側に設けられた第一被覆とを含む。また、接着領域部は、絶縁電線の端部において第一被覆が除去されることにより形成される。この場合、接着領域部における端子付電線の輪郭をより小さくすることができ、モールド部の大型化を抑制できる。
また、第4態様において、絶縁電線は、第一被覆と第二被覆との間に設けられた第三被覆をさらに備える。この場合、第一被覆と第二被覆との間に設けられていた第三被覆によって、接着領域部に第一被覆が残存することを抑制できる。
また、第5態様において、モールド部の後端部は、第一被覆の周囲を覆っている。この場合、例えば、第一被覆が高温化で硬化する樹脂であるときに、モールド部が絶縁被覆(第一被覆)に食い込むことを抑制できる。
また、第6態様において、端子付電線における絶縁被覆は、第一被覆と第一被覆の外側に設けられた第二被覆とを含む。この場合、絶縁被覆の外周面側には第二被覆が存在しているため、この絶縁被覆を含む絶縁電線と端子との接続作業及びモールド部成形作業を行うことで、絶縁被覆とモールド部との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることを抑制することができる。
また、第7態様において、第一被覆は、常温で第二被覆よりも柔軟である。この場合、絶縁電線が曲げ易くなり、モールド部付電線を曲がった経路に配設すること及びモールド部付電線の取扱い性能等が向上する。
また、第8態様において、第二被覆の厚みが、第一被覆の厚みよりも薄い。この場合、絶縁電線がさらに曲げ易くなり、モールド部付電線を曲がった経路に配設すること及びモールド部付電線の取扱い性能がより向上する。
また、第9態様において、第一被覆が、シリコーンゴムを含む。この場合、絶縁電線が曲げ易くなり、モールド部付電線を曲がった経路に配設すること及びモールド部付電線の取扱い性能が向上する。
以下、添付の図面を参照しつつ、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
<第1実施形態>
図1〜6を参照しつつ、第1実施形態に係るモールド部付電線100について説明する。モールド部付電線100は、絶縁電線8及び端子7を備える端子付電線9とモールド部6とを備える。また、本実施形態において、モールド部付電線100は、モールド部6による防水構造の性能を向上させる接着剤5をさらに備える。モールド部付電線100は、例えば、自動車等の車両に搭載される。
図1〜6を参照しつつ、第1実施形態に係るモールド部付電線100について説明する。モールド部付電線100は、絶縁電線8及び端子7を備える端子付電線9とモールド部6とを備える。また、本実施形態において、モールド部付電線100は、モールド部6による防水構造の性能を向上させる接着剤5をさらに備える。モールド部付電線100は、例えば、自動車等の車両に搭載される。
図1は、モールド部付電線100の一部切り欠き側面図である。図1では、モールド部6の一部が切り欠かれて示されている。図2〜5各々は、モールド部付電線100の製造工程の一部を示す図である。詳しくは、後述する。図6は、モールド部付電線100の断面図である。図6は、端子付電線9の延在方向に直交する平面における断面図である。図6は、図1のII−II平面における断面図である。
<モールド部付電線:端子付電線(絶縁電線)>
図1に示されるように、端子付電線9において、絶縁電線8は、芯線81と芯線81の周囲を覆う絶縁被覆82とを備える。モールド部付電線100においては、絶縁被覆82は、第一被覆1と第二被覆2とを備える。
図1に示されるように、端子付電線9において、絶縁電線8は、芯線81と芯線81の周囲を覆う絶縁被覆82とを備える。モールド部付電線100においては、絶縁被覆82は、第一被覆1と第二被覆2とを備える。
本実施形態では、絶縁被覆82は、第二被覆2と第二被覆2の外側に設けられた第一被覆1とを含む。即ち、絶縁被覆82は、二層構造である。絶縁被覆82は、例えば、2つの異なる合成樹脂の材料を内層と外層との2層に重ねて押出成形することによって作られる。
本実施形態では、絶縁電線8の端部において、第一被覆1が除去されることにより第二被覆2における第一被覆1に覆われていない部分(接着領域部89)が形成される。即ち、内側の第二被覆2の端部は、第一被覆1から延び出ている。そして、第二被覆2における第一被覆1から延び出た部分が、接着領域部89である。接着領域部89、第一被覆1及び第二被覆2の詳細については、後述する。
芯線81は、絶縁被覆82に周囲を覆われた導体である。また、図1に示されるように、モールド部付電線100においては、絶縁電線8の端部の絶縁被覆82(第一被覆1及び第二被覆2)が取り除かれ、絶縁電線8の端部の芯線81が露出している。この露出した芯線81には、後述する端子7が接続される。
絶縁電線8において、芯線81は、例えば、銅又はアルミニウム等の金属を主成分とする部材であることが考えられる。
<モールド部付電線:端子付電線(端子)>
端子7は、絶縁電線8に接続された電線接続部71とこの端子7の接続相手である相手側部材に接続可能な部分である接点部72とを含む。
端子7は、絶縁電線8に接続された電線接続部71とこの端子7の接続相手である相手側部材に接続可能な部分である接点部72とを含む。
本実施形態において、電線接続部71は、絶縁電線8における絶縁被覆82から延び出た芯線81に接続された部分である。より具体的には、電線接続部71は、絶縁被覆82の内側の層である第二被覆2から延び出た芯線81に接続された部分である。電線接続部71は、絶縁電線8の芯線81に対し圧着によって接続されている。即ち、図1に示されるように、本実施形態において、電線接続部71は、絶縁被覆82の端部から延び出た芯線81の周囲を覆う状態でかしめられた圧着片を含む。これにより、電線接続部71と芯線81とが、電気的に及び物理的に接続されている。
なお、絶縁被覆82から延び出た芯線81が、端子7に対して超音波溶接又は熱溶接等の溶接によって接続される場合も考えられる。この場合、電線接続部71は、平板状に形成されていることが考えられる。
また、電線接続部71が、絶縁被覆82の端部の周囲を覆い絶縁被覆82の端部に圧着される被覆圧着部をさらに備える場合も考えられる。被覆圧着部は、絶縁被覆82の端部の周囲を覆う状態でかしめられた圧着片を含んでいることが考えられる。なお、被覆圧着部は、第一被覆1及び第二被覆2の少なくとも一方に圧着されると考えられる。
また、本実施形態において、接点部72は、電線接続部71の絶縁電線8側に対し反対側に連なって形成されている。即ち、接点部72は、絶縁電線8の延在方向において、電線接続部71から絶縁電線8側に対し反対側に延出して形成されている。従って、図1に示されるように、接点部72と電線接続部71とは、絶縁電線8の延在方向に沿う一の直線上に並んで形成されている。しかしながら、接点部72が、電線接続部71の一方側の端部から絶縁電線8の延在方向に直交する方向に突出して形成されている場合等も考えられる。
また、本実施形態において、接点部72は、相手側部材とボルト締結を可能にする締結孔721を含む。締結孔721は、端子7の一方の主面から他方の主面に貫通する貫通孔である。この場合、相手側部材にも、端子7とのボルト締結を可能にする締結用の孔が形成されていることが考えられる。そして、端子7の接点部72の締結孔721と相手側部材の締結用の孔とが重なった状態で、ボルトが通され締められることで、端子7と相手側部材とが接続されることが考えられる。
<モールド部付電線:モールド部>
モールド部付電線100において、モールド部6は、絶縁電線8と端子7との接続部分の周囲を覆っている。即ち、本実施形態において、モールド部6は、端子7の電線接続部71の周囲を覆っている。なお、モールド部6は、端子7の接点部72の周囲を覆っていない。
モールド部付電線100において、モールド部6は、絶縁電線8と端子7との接続部分の周囲を覆っている。即ち、本実施形態において、モールド部6は、端子7の電線接続部71の周囲を覆っている。なお、モールド部6は、端子7の接点部72の周囲を覆っていない。
また、モールド部付電線100において、モールド部6は、端子付電線9の端部において第二被覆2における第一被覆1に覆われていない部分である接着領域部89の周囲をさらに覆っている。なお、本実施形態では、上述のように、接着領域部89は、第二被覆2の外側の第一被覆1が除去されることにより形成される部分である。
また、本実施形態では、モールド部6は、さらに絶縁電線8における第一被覆1に覆われた部分も覆っている。即ち、モールド部6の後端部は、第一被覆1に接触した状態で第一被覆1の周囲を覆っている。なお、モールド部6の後端部は、モールド部6における端子7の接点部72側の端部に対し反対側の端部である。本実施形態では、図1に示すように、モールド部6の後端部の内側面は、絶縁電線8の第一被覆1の外周面に接触していることが考えられる。
モールド部6の輪郭形状は、例えば、このモールド部付電線100の接続相手である相手側部材を収容する筐体の開口部に嵌め合い可能な形状に形成されていることが考えられる。本実施形態では、モールド部6は、図6に示されるように、電線接続部71及び接着領域部89の周囲を覆う環状に形成され、輪郭は円形状である。しかしながら、筐体の開口部の形状によっては、モールド部6の外周面に開口部に嵌合可能な突部或いは窪み部が形成されている場合、又は輪郭が角丸長方形状又は矩形状等である場合等も考えられる。
また、モールド部付電線100において、モールド部6を形成するモールド樹脂としては、PPS(ポリフェニレンスルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、LCP樹脂(液晶ポリマー)、フェノール系、ポリエステル系、ポリアミド系、エポキシ系の樹脂又はPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等が考えられる。
<モールド部付電線:接着剤>
モールド部付電線100において、接着剤5は、接着領域部89とモールド部6との間に設けられている。接着剤5は、図6に示されるように、接着領域部89の周囲を覆うように設けられている。なお、本実施形態では、接着剤5は、端子付電線9の周方向において、接着領域部89を全周に亘って覆っている。この場合、接着剤5によって接着領域部89とモールド部6とが接着される。
モールド部付電線100において、接着剤5は、接着領域部89とモールド部6との間に設けられている。接着剤5は、図6に示されるように、接着領域部89の周囲を覆うように設けられている。なお、本実施形態では、接着剤5は、端子付電線9の周方向において、接着領域部89を全周に亘って覆っている。この場合、接着剤5によって接着領域部89とモールド部6とが接着される。
また、図6に示されるように、接着領域部89とモールド部6との間の隙間が接着剤5により埋められる。このため、モールド部6で覆われた端子7と絶縁電線8との接続部分である電線接続部71に絶縁電線8側から水等の液体が侵入することが抑制される。
また、本実施形態では、端子付電線9の延在方向における接着領域部89の一部の領域の周囲に接着剤5が設けられている。即ち、端子付電線9の延在方向において、接着領域部89全体が接着剤5によって覆われていない。なお、端子付電線9の延在方向において、接着領域部89全体が接着剤5によって覆われている場合、即ち、接着領域部89全体を覆うように、接着領域部89とモールド部6との間に接着剤5が設けられている場合も考えられる。
接着剤5は、接着領域部89に塗布されることにより或いは滴下されることにより設けられる。本実施形態では、接着剤5が、変性オレフィン系の樹脂である場合を説明する。
<モールド部付電線:第一被覆及び第二被覆>
モールド部付電線100において、絶縁被覆82は、第一被覆1と、第一被覆1に比べモールド部6対し接着性に優れる第二被覆2と、を備える。また、上述のように本実施形態は、第二被覆2の外側に第一被覆1が設けられている場合の事例である。
モールド部付電線100において、絶縁被覆82は、第一被覆1と、第一被覆1に比べモールド部6対し接着性に優れる第二被覆2と、を備える。また、上述のように本実施形態は、第二被覆2の外側に第一被覆1が設けられている場合の事例である。
本実施形態では、モールド部付電線100が接着剤5を備える場合が示されている。ここのため、本実施形態では、第二被覆2が第一被覆1に比べ接着剤5を介してモールド部6に対し接着性に優れる場合を説明する。
本実施形態において、第二被覆2が第一被覆1に比べ接着剤5を介してモールド部6に対し接着性に優れるとは、第一被覆1に比べ、第二被覆2が接着剤5によってモールド部6に、より強く安定に接着可能であることを意味する。即ち、本実施形態においては、接着剤5によってモールド部6とより強固に接着可能であることを接着性に優れると定義している。なお、この場合、接着剤5によってモールド部6との接着状態がより安定することを接着性に優れるということもできる。
即ち、第二被覆2は、第一被覆1に比べ、接着剤5によりモールド部6により強固に接着することが可能な部材を含むことが考えられる。ここで、本実施形態は、第一被覆1が、シリコーンゴムを含む場合の事例である。
以下では、第二被覆2が第一被覆1よりも接着剤5を介してモールド部6に対し接着性に優れる部材を含む例として、第二被覆2が、架橋PEを含む場合を説明する。なお、他にも、第一被覆1がシリコーンゴムを含む場合において、第二被覆2が、PP(ポリプロピレン)又はPA(ポリアミド)を含む部材である場合等も考えられる。
本実施形態では、上述のように、接着剤5が変性オレフィン系の樹脂の部材を含む。このため、接着剤5は、第一被覆1(シリコーンゴム)に比べ第二被覆2(架橋PE)に付着しやすい。
本実施形態では、接着領域部89(第二被覆2)とモールド部6との間に設けられた接着剤5は、双方に十分に接着しその隙間を埋めた状態で固化する。このため、本実施形態では、第一被覆1に接着剤5が設けられその周囲を覆うようにモールド部6が形成される場合に比べ、接着剤5によって第二被覆2と接着されたモールド部6が絶縁電線8に対し絶縁電線8の延在方向に移動すること、及び、接着剤5によって第二被覆2と接着されたモールド部6が絶縁電線8に対し絶縁電線8の周方向に回転することを抑制できる。また、接着剤5が接着領域部89(第二被覆2)とモールド部6との間の隙間を埋めた状態で固化するため、モールド部6と接着領域部89との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることが抑制される。
また、本実施形態において、第一被覆1は、車載温度で第二被覆2よりも柔軟である。ここで、車載温度とは、後述するモールド部6のモールド成形時の高温な温度ではなく、この第一被覆1及び第二被覆2を備える絶縁被覆82を含むモールド部付電線100が、車両に搭載されたときにおける温度のことを指す。即ち、車載温度で第一被覆1は第二被覆2よりも柔軟であるとは、このモールド部付電線100が、車両に搭載されたときにさらされる環境の下で、第一被覆1は、第二被覆2よりも柔軟であることを意味する。なお、本実施形態は、第一被覆1がシリコーンゴムを含み、第二被覆2が架橋PEを含む。この場合、例えば、−40度〜100度において、第一被覆1は、第二被覆2よりも柔軟である。
また、本実施形態では、図1に示されるように、第二被覆2の厚みが、第一被覆1の厚みよりも薄い。この場合、絶縁被覆82全体の厚みのうち、より柔軟な第一被覆1が多くの領域を占めるため、モールド部付電線100の柔軟性をより向上させることができる。
<モールド部付電線の製造方法>
次に、図2〜5を参照しつつ、本実施形態のモールド部付電線100の製造工程の一例について説明する。本実施形態では、モールド部付電線100の製造工程は、第一皮剥き工程、第二皮剥き工程、接着剤供給工程、端子接続工程及びモールド成形工程を含んでいる。
次に、図2〜5を参照しつつ、本実施形態のモールド部付電線100の製造工程の一例について説明する。本実施形態では、モールド部付電線100の製造工程は、第一皮剥き工程、第二皮剥き工程、接着剤供給工程、端子接続工程及びモールド成形工程を含んでいる。
図2は、第一皮剥き工程を示す断面図である。図3は、第二皮剥き工程を示す断面図である。図4は、接着剤供給工程及び端子接続工程を示す側面図である。図5は、モールド成形工程を示す一部切り欠き側面図である。
モールド部付電線100の製造方法において、第一皮剥き工程は、端子付電線9の端部において第二被覆2における第一被覆1に覆われていない部分を設ける工程である。本実施形態では、図2に示されるように、第一皮剥き工程は、全長に亘って第一被覆1及び第二被覆2が形成された絶縁電線8Xの端部において、第二被覆2の外側の第一被覆1を除去することにより、第二被覆2を露出させる工程である。
第一皮剥き工程においては、例えば、既存の皮むき装置等を用いて、絶縁電線8Xの端部の第一被覆1が取り除かれる。これにより、絶縁電線8Xの端部の第二被覆2が露出する。この工程により、第二被覆2に周囲を覆われた芯線81が第一被覆1から延び出た絶縁電線8Yを得ることができる。
モールド部付電線100の製造方法において、第二皮剥き工程は、第一皮剥き工程によって得られた絶縁電線8Yの端部の第二被覆2を除去し、芯線81を露出させる工程である。
本実施形態では、図3に示されるように、第二皮剥き工程では、全長に亘って第二被覆2が形成された絶縁電線8Yの端部において、芯線81の周囲を覆う第二被覆2が除去される。これにより、第二被覆2から芯線81が延び出た状態の絶縁電線8が作られる。
絶縁電線8の端部において、第二被覆2から延出し、芯線81が露出する部分には、後述する端子接続工程によって端子7が接続される。また、絶縁電線8Zにおける第一被覆1から延び出た部分において、芯線81の周囲が第二被覆2に覆われる部分は、接着領域部89である。接着領域部89には、後述する接着剤供給工程により接着剤5が設けられる。
なお、第二皮剥き工程も、例えば、既存の皮むき装置等を用いて行われることが考えられる。
モールド部付電線100の製造方法において、端子接続工程は、絶縁電線8の端部の第二被覆2から延び出る芯線81に、端子7を接続する工程である。端子接続工程は、第一皮剥き工程及び第二皮剥き工程の後に行われる。
本実施形態では、図4に示されるように、端子7の電線接続部71が圧着片を含む。従って、端子接続工程は、端子7の電線接続部71を絶縁電線8の端部における第二被覆2から延び出る芯線81に圧着する工程である。端子接続工程により、電線接続部71の圧着片は、絶縁被覆82の端部から延び出た芯線81の周囲を覆う状態でかしめられる。
モールド部付電線100の製造方法において、接着剤供給工程は、絶縁電線8の接着領域部89に、接着剤5を設ける工程である。接着剤供給工程は、第一皮剥き工程及び第二皮剥き工程の後に行われる。
なお、接着剤供給工程は、端子接続工程の前に行われる場合又は端子接続工程の後に行われる場合が考えられる。しかしながら、接着剤供給工程は、端子接続工程の後に行われることが好ましい。例えば、接着剤供給工程が端子接続工程よりも先に行われ、接着領域部89に接着剤5が設けられている場合、端子接続工程において端子7等が接着剤5に接触しないように注意して作業を行う必要があり、端子接続工程の作業が煩雑化する恐れがあるためである。
本実施形態では、図4に示されるように、接着領域部89の周囲を覆うように接着剤5が設けられ、接着剤5は、絶縁電線8の周方向において、接着領域部89を全周に亘って覆っている。接着剤5は、例えば、塗布されることにより又は滴下されることにより接着領域部89に設けられること等が考えられる。
また、本実施形態では、絶縁電線8の延在方向における接着領域部89の一部の領域の周囲に接着剤5が設けられている。このため、接着剤供給工程が完了した接着領域部89において、第二被覆2の一部が、外部に露出する。なお、第二被覆2はが外部に露出しないように、接着剤5を接着領域部89全体に設けることも考えられる。
モールド部付電線100の製造方法において、モールド成形工程は、絶縁電線8と端子7との接続部分(電線接続部71)の周囲を覆うモールド部を成形する工程である。モールド部成形工程においては、例えば、図5に示されるような金型4が用いられる。
本実施形態において、金型4は、図5に示されるようにモールド部6の輪郭に応じた内側面がなすモールド空間40を含んでいる。また、金型4は、上下に分割された上金型41と下金型42とを含む。上金型41は、金型4におけるモールド空間40を成す面の一部である第一面を含む。また、下金型42は、金型4におけるモールド空間40を成す面の残りである第二面を含む。上金型41の第一面と下金型42の第二面とは、それぞれ対向している。そして、上金型41と下金型42とは、第一面と第二面とが対向した状態で接近及び離隔可能に支持されている。
本実施形態においては、上金型41の第一面と下金型42の第二面との間に、端子7が接続された絶縁電線8における端子7の電線接続部71、絶縁電線8の端部の芯線81、接着領域部89及び第一被覆1の端部の一部が挟まれた状態で、上金型41と下金型42とが近付けられる。そして、上金型41と下金型42とが最接近した状態において、上記の端子7の電線接続部71、絶縁電線8の端部の芯線81、接着領域部89及び第一被覆1の端部の一部が、金型4のモールド空間40に収容される。そして、モールド空間40にモールド部6を構成するモールド樹脂が射出され、このモールド樹脂が硬化することで、絶縁電線8と端子7との接続部分を覆うモールド部6が形成される。これにより、モールド部付電線100を得ることができる。
ここで、図5に示されるように、モールド空間40における絶縁電線8が通された開口部49においては、モールド空間40内に射出されたモールド樹脂が漏れ出さないように上金型41と下金型42とが第一被覆1に比較的強く押し当てられ、その周囲に密着している。即ち、開口部49の縁が、第一被覆1に食い込んだ状態でモールド成形工程が行われることが懸念される。
しかしながら、本実施形態では、第二被覆2の外側の第一被覆1が、シリコーンゴムを含む部材である。このため、例えば、モールド成形時の高温な状況下(100度〜300度)では、第一被覆1は第二被覆2に比べ硬くなる。これにより、モールド部6が第一被覆1に食い込んだ状態で成形されることが回避できる。その結果、絶縁被覆82にかかる負荷を抑制できる。
即ち、本実施形態では、第一被覆1が、車載温度で第二被覆2よりも柔軟で、モールド成形時の温度で第二被覆2よりも硬くなる部材である。この場合、第二被覆2の外側に第一被覆1が設けられ、かつ、モールド部6の後端部が第一被覆1の周囲を覆う場合において、モールド部6の後端部が絶縁電線8の絶縁被覆82に深く食い込むことを抑制でき、モールド部付電線100の耐久性能を向上させることが可能となる。
<モールド部付電線>
上記の第一皮剥き工程、第二皮剥き工程、接着剤供給工程、端子接続工程及びモールド成形工程を経て得られるモールド部付電線100においては、接着剤5がモールド部6と第二被覆2(接着領域部89)との間を埋めることにより、接着領域部89とモールド部6との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることをより確実に抑制することができる。このため、絶縁電線8側から侵入する液体を、接着領域部89でせき止めることができる。その結果、モールド部付電線100の防水構造の性能を向上させることができる。
上記の第一皮剥き工程、第二皮剥き工程、接着剤供給工程、端子接続工程及びモールド成形工程を経て得られるモールド部付電線100においては、接着剤5がモールド部6と第二被覆2(接着領域部89)との間を埋めることにより、接着領域部89とモールド部6との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることをより確実に抑制することができる。このため、絶縁電線8側から侵入する液体を、接着領域部89でせき止めることができる。その結果、モールド部付電線100の防水構造の性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、接着剤5によって接着領域部89とモールド部6とがより強固に接着されている。この場合、モールド部6が、絶縁電線8に対し絶縁電線8の延在方向に移動すること及び絶縁電線8の周方向に回転することを抑制できる。
また、本実施形態において、絶縁被覆82は、第二被覆2と第二被覆2の外側に設けられた第一被覆1とを含む。また、接着領域部89は、絶縁電線8の端部において第一被覆1が除去されることにより形成される。この場合、接着領域部89における端子付電線9の輪郭をより小さくすることができ、モールド部6の大型化を抑制できる。
また、本実施形態において、モールド部6の後端部は、第一被覆1の周囲を覆っている。そして、本実施形態は、第一被覆1がシリコーンゴムを含み、第二被覆2が架橋PEを含む部材である場合の事例である。このため、モールド成形工程において、モールド部6が絶縁被覆82(第一被覆1)に食い込むことを抑制でき、モールド部6が第一被覆1に食い込んだ状態で成形され、絶縁被覆82にダメージを与えることを回避できる。
また、本実施形態において、第一被覆1は、車載温度で第二被覆2よりも柔軟である。この場合、絶縁電線8が曲げ易くなり、モールド部付電線100を曲がった経路に配設すること及びモールド部付電線100の取扱い性能等が向上する。
また、本実施形態おいて、第二被覆2の厚みが、第一被覆1の厚みよりも薄い。この場合、絶縁電線8がさらに曲げ易くなり、モールド部付電線100を曲がった経路に配設すること及びモールド部付電線100の取扱い性能がより向上する。
また、本実施形態において、第一被覆1が、シリコーンゴムを含む。この場合、絶縁電線8が曲げ易くなり、モールド部付電線100を曲がった経路に配設すること及びモールド部付電線100の取扱い性能が向上する。また、モールド成形工程において、第一被覆1が比較的硬くなるため、モールド部6が第一被覆1に食い込んだ状態で成形されることが抑制できる。
<第2実施形態>
次に、図7を参照しつつ、第2実施形態に係るモールド部付電線200について説明する。モールド部付電線200は、第1実施形態と異なる端子付電線9Aを含む。図7は、モールド部付電線200の一部切り欠き側面図である。なお、図7において、図1〜6に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態と異なる点について説明する。
次に、図7を参照しつつ、第2実施形態に係るモールド部付電線200について説明する。モールド部付電線200は、第1実施形態と異なる端子付電線9Aを含む。図7は、モールド部付電線200の一部切り欠き側面図である。なお、図7において、図1〜6に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態と異なる点について説明する。
モールド部付電線200は、端子7及び絶縁電線8Aを備える端子付電線9Aと、絶縁電線8Aと端子7との接続部分の周囲を覆うモールド部6と、接着領域部89とモールド部6との間に設けられた接着剤5と、を備える。絶縁電線8Aは、芯線81と絶縁被覆82Aとを含む。芯線81、端子7、モールド部6及び接着剤5の構造は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
モールド部付電線200においては、図7に示されるように、端子付電線9Aにおける絶縁被覆82Aは、第一被覆1と第一被覆1の外側に設けられた第二被覆2とを含む。即ち、本実施形態では、接着性に優れた第二被覆2が、第一被覆1の外側に設けられている。なお、第二被覆2の厚みが第一被覆1の厚みよりも小さい場合、より柔軟性が向上する。
そして、本実施形態では、接着領域部89は、絶縁電線8Aの端部である。即ち、絶縁電線8Aの端部に接着剤5が設けられることにより、接着領域部89に接着剤5が設けられる。なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様、接着剤5は接着領域部89の周囲を全周に亘って覆っている。
また、本実施形態において、モールド部6の後端部は、第一被覆1に接触していない。モールド部6の後端部は、第一被覆1の外側に設けられた第二被覆2に接触した状態で、第二被覆2の周囲を覆っている。
本実施形態においても、接着領域部89とモールド部6との間に設けられた接着剤5により、接着領域部89とモールド部6との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることを抑制することができる。このため、絶縁電線8側から侵入する液体を、接着領域部89でせき止めることができる。その結果、モールド部付電線200の防水構造の性能を向上させることができる。
また、本実施形態においても、接着剤5によって接着領域部89とモールド部6とがより強固に接着されているため、モールド部6が、絶縁電線8Aに対し絶縁電線8Aの延在方向に移動すること及び絶縁電線8Aの周方向に回転することを抑制できる。
また、本実施形態においては、端子付電線9Aにおける絶縁被覆82Aは、第一被覆1と第一被覆1の外側に設けられた第二被覆2とを含む。この場合、絶縁被覆82Aの外周面側には第二被覆2が存在しているため、この絶縁被覆82Aを含む絶縁電線8Aと端子7との接続作業及びモールド部6の成形作業を行うことで、絶縁被覆82Aとモールド部6との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることを抑制することができる。即ち、本実施形態においては、上記の第一皮剥き工程及び第二皮剥き工程の代わりに、第一被覆1と第二被覆2とを同時に皮剥きする工程を採用することが可能となる。このため、モールド部付電線200の製造にかかる時間を短縮することができ、モールド部付電線200の製造コストを抑制できる。
<第3実施形態>
次に、図8,9を参照しつつ、第3実施形態に係るモールド部付電線300について説明する。モールド部付電線300は、第1実施形態と異なる端子付電線9Bを含む。図8は、モールド部付電線300の一部切り欠き側面図である。図9は、モールド部付電線300の製造方法における第一皮剥き工程を示す断面図である。なお、図8,9において、図1〜7に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について説明する。
次に、図8,9を参照しつつ、第3実施形態に係るモールド部付電線300について説明する。モールド部付電線300は、第1実施形態と異なる端子付電線9Bを含む。図8は、モールド部付電線300の一部切り欠き側面図である。図9は、モールド部付電線300の製造方法における第一皮剥き工程を示す断面図である。なお、図8,9において、図1〜7に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、本実施形態における第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について説明する。
モールド部付電線300は、端子7及び絶縁電線8Bを備える端子付電線9Bと、絶縁電線8Bと端子7との接続部分の周囲を覆うモールド部6と、接着領域部89とモールド部6との間に設けられた接着剤5と、を備える。絶縁電線8Bは、芯線81と絶縁被覆82Bとを含む。芯線81、端子7、モールド部6及び接着剤5の構造は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
モールド部付電線300においては、図8に示されるように、端子付電線9Bにおける絶縁被覆82Bは、第一被覆1と第二被覆2との間に設けられた第三被覆3をさらに備える。第三被覆3は、第一皮剥き工程において、第二被覆2の外側の第一被覆1が除去されたときに、第二被覆2の表面に第一被覆1が残存することを回避するために設けられた部材である。なお、本実施形態では、第1実施形態と同様、第二被覆2の外側に第一被覆1が設けられている。
本実施形態において、第三被覆3は、第二被覆2が第一被覆1に接触しないように第二被覆2の周囲を覆う部材である。第三被覆3は、例えば、第二被覆2の周囲を全周に亘って覆うシート状の絶縁部材であることが考えられる。なお、第三被覆3が、第二被覆2の周囲に螺旋状に巻き付けられたテープ状の部材であることも考えられる。
また、第三被覆3は、接着領域部89の形成前、即ち、第一被覆1及び第二被覆2が全長に亘って形成された絶縁電線8Xにおいて、その全長に亘って設けられていることが考えられる。以下、この絶縁電線を絶縁電線8Zと称する。このような絶縁電線8Zは、例えば、一回目の押出成形で芯線81の周囲に第二被覆2を設けた後、第三被覆3を全長に亘って取り付け、第三被覆3の周囲に二回目の押出成形を行い、第一被覆1を設けることで得ることができる。
モールド部付電線300の第一皮剥き工程においては、図9に示されるように、絶縁電線8Zの端部の第二被覆2の周囲を覆う第一被覆1が除去されるときに第三被覆3も一緒に除去される、これにより、第二被覆2の端部(接着領域部89)の表面に、接着性に優れない第一被覆1が残存することが抑制される。なお、第一被覆1の皮剥き工程と第三被覆3の皮剥き工程を異時に行ってもよい。
本実施形態においても、接着領域部89とモールド部6との間に設けられた接着剤5により、接着領域部89とモールド部6との間に水等の液体が侵入する恐れのある隙間が形成されることを抑制することができる。このため、絶縁電線8側から侵入する液体を、接着領域部89でせき止めることができる。その結果、モールド部付電線300の防水構造の性能を向上させることができる。
また、本実施形態において、絶縁電線8Bは、第一被覆1と第二被覆2との間に設けられた第三被覆3をさらに備える。この場合、第一被覆1と第二被覆2との間に設けられていた第三被覆3によって、接着領域部89に第一被覆1が残存することを抑制できる。
<応用例>
第1実施形態〜第3実施形態のモールド部付電線において、モールド部付電線が、接着剤5を含まない場合も考えられる。この場合、モールド部付電線においては、第二被覆2が第一被覆1に比べモールド部6に対し接着性に優れる部材であることが考えられる。即ち、この場合、第二被覆2が第一被覆1に比べモールド部6に対し接着性に優れるとは、第一被覆1の周囲にモールド部6が設けられる場合に比べ、第二被覆2の周囲にモールド部6が設けられる場合の方が、モールド部6と第二被覆2とがより強く接着することを意味する。即ち、この例では、モールド部6のモールド樹脂によってモールド部6とより強固に接着可能であることを接着性に優れるということができる。
第1実施形態〜第3実施形態のモールド部付電線において、モールド部付電線が、接着剤5を含まない場合も考えられる。この場合、モールド部付電線においては、第二被覆2が第一被覆1に比べモールド部6に対し接着性に優れる部材であることが考えられる。即ち、この場合、第二被覆2が第一被覆1に比べモールド部6に対し接着性に優れるとは、第一被覆1の周囲にモールド部6が設けられる場合に比べ、第二被覆2の周囲にモールド部6が設けられる場合の方が、モールド部6と第二被覆2とがより強く接着することを意味する。即ち、この例では、モールド部6のモールド樹脂によってモールド部6とより強固に接着可能であることを接着性に優れるということができる。
また、第一被覆1がシリコーンゴム以外の材料を含む場合も考えられる。このような他の組み合わせとしては、例えば、第一被覆1がフッ素ゴム、アクリルゴム、エチルゴムを含む部材であり、第二被覆2がポリエステル、PA(ポリアミド)を含む部材である場合等が考えられる。
なお、本発明に係るモールド部付電線は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは、各実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
1 第一被覆
100 モールド部付電線
2 第二被覆
3 第三被覆
5 接着剤
6 モールド部
7 端子
71 電線接続部
8 絶縁電線
81 芯線
82 絶縁被覆
89 接着領域部
9 端子付電線
100 モールド部付電線
2 第二被覆
3 第三被覆
5 接着剤
6 モールド部
7 端子
71 電線接続部
8 絶縁電線
81 芯線
82 絶縁被覆
89 接着領域部
9 端子付電線
Claims (9)
- 芯線と前記芯線の周囲を覆う絶縁被覆とを含む絶縁電線及び前記絶縁電線の端部に接続された端子を備える端子付電線と、
前記絶縁電線と前記端子との接続部分の周囲を覆うモールド部と、を備え、
前記絶縁被覆は、第一被覆と前記第一被覆に比べ前記モールド部に対し接着性に優れる第二被覆とを備え、
前記モールド部は、前記端子付電線の端部において前記第二被覆における前記第一被覆に覆われていない部分である接着領域部の周囲をさらに覆っている、モールド部付電線。 - 請求項1に記載のモールド部付電線であって、
前記接着領域部と前記モールド部との間に設けられた接着剤をさらに備える、モールド部付電線。 - 請求項1又は請求項2に記載のモールド部付電線であって、
前記端子付電線における前記絶縁被覆は、前記第二被覆と前記第二被覆の外側に設けられた前記第一被覆とを含み、
前記接着領域部は、前記絶縁電線の端部において前記第一被覆が除去されることにより形成される、モールド部付電線。 - 請求項3に記載のモールド部付電線であって、
前記絶縁電線は、前記第一被覆と前記第二被覆との間に設けられた第三被覆をさらに備え、
前記接着領域部は、前記絶縁電線の端部において前記第一被覆及び前記第三被覆が除去されることにより形成される、モールド部付電線。 - 請求項3又は請求項4に記載のモールド部付電線であって、
前記モールド部の後端部は、前記第一被覆に接触した状態で前記第一被覆の周囲を覆っている、モールド部付電線。 - 請求項1又は請求項2に記載のモールド部付電線であって、
前記端子付電線における前記絶縁被覆は、前記第一被覆と前記第一被覆の外側に設けられた前記第二被覆とを含む、モールド部付電線。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモールド部付電線であって、
前記第一被覆は、車載温度で前記第二被覆よりも柔軟である、モールド部付電線。 - 請求項6に記載のモールド部付電線であって、
前記第二被覆の厚みが、前記第一被覆の厚みよりも薄い、モールド部付電線。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のモールド部付電線であって、
前記第一被覆が、シリコーンゴムを含む、モールド部付電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015004883A JP2016131455A (ja) | 2015-01-14 | 2015-01-14 | モールド部付電線 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015004883A JP2016131455A (ja) | 2015-01-14 | 2015-01-14 | モールド部付電線 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016131455A true JP2016131455A (ja) | 2016-07-21 |
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---|---|---|---|
JP2015004883A Pending JP2016131455A (ja) | 2015-01-14 | 2015-01-14 | モールド部付電線 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2016131455A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019003849A (ja) * | 2017-06-16 | 2019-01-10 | 株式会社オートネットワーク技術研究所 | 端子付き電線及びワイヤーハーネス |
-
2015
- 2015-01-14 JP JP2015004883A patent/JP2016131455A/ja active Pending
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