JP2016130452A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マルチコア型演算処理ユニットに含まれる複数のプロセッサコアによって必要な演算処理を適切に分担し、機関運転状態の変化に迅速に対応できる制御装置を提供する。【解決手段】 メインコア31はTDCタイミング信号の発生タイミングで、燃料噴射弁6による燃料噴射開始時期tIS、燃料噴射時間TQC1,TQC2、及び点火時期CAIGをエンジン1の運転状態に応じて算出する。サブコア32は燃料噴射開始時期tIS、燃料噴射時間TQC1等の制御パラメータ値を取得し、その取得時点以後において検出される燃料圧力PFに応じて燃料噴射時間TQC1,TQC2の補正値DTQC1,DTQC2を算出し、補正燃料噴射終了時期tIE1C,tIE2Cにおいて燃料噴射が終了するように燃料噴射弁6を制御する。【選択図】 図8
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に複数のプロセッサコアを含んで構成されるマルチコア型演算処理ユニットを用いて内燃機関の作動を制御する制御装置に関する。
特許文献1には、複数のプロセッサコアを含んで構成されるマルチコア型演算処理ユニットを用いて内燃機関の作動を制御する制御装置が示されている。この制御装置では、複数のプロセッサコアによってクランク角に同期した割込処理が順番に処理され、複数のプロセッサコアの演算負荷が均等となるように演算処理の割当が行われる。
特許文献2には、2つのCPU(マスタCPU及びスレーブCPU)によって構成される、内燃機関の制御装置が示されている。この制御装置では、スレーブCPUは燃料噴射弁による噴射時期を決定し、マスタCPUに通知し、マスタCPUは通知された噴射時期において燃料噴射を実行する。マスタCPU及びスレーブCPUはそれぞれ時刻計測部を備えており、機関の回転に同期した信号の入力時点において2つのCPUはそれぞれ入力時刻Tm,Tsを記憶し、スレーブCPUが入力時刻TsをマスタCPUに通知する。マスタCPUは、時刻差Td(=Tm−Ts)を算出し、噴射時期Tiを時刻差Tdを用いて修正し、修正した噴射時期(Ti+Td)において燃料噴射を実行する。また特許文献2には、マスタCPU及びスレーブCPUをマルチコア型演算処理ユニットで構成してもよい点が記載されている。
特許文献2に示される制御装置においては、スレーブCPUが決定した噴射時期Tiにおいて燃料噴射を実行すべく、マスタCPUの時刻計測部によって得られる時刻が修正され、スレーブCPUで決定した噴射時期Tiにおいて燃料噴射が行われる。特許文献2には燃料噴射時間(燃料噴射弁の開弁時間)についての記載はないが、噴射時期Tiとともに燃料噴射時間もスレーブCPUで算出されると推測される。すなわち特許文献2には、スレーブCPUで燃料噴射の実行時期の算出を行い、マスタCPUで燃料噴射を実行する場合において、マスタCPUによる燃料噴射実行時期をスレーブCPUで算出された実行時期に正確に一致させるための手法が示されているだけであり、スレーブCPUにおいて算出される燃料噴射の実行時期や燃料噴射時間をマスタCPUにおいて補正することは行われない。
しかしながら、燃料噴射弁から噴射すべき燃料量は、例えば燃料噴射弁に供給される燃料の圧力(燃圧)に依存して変化するため、スレーブCPUで燃料噴射時期及び燃料噴射時間を決定した後、燃料噴射を実行するまでの間(燃料噴射実行待機期間)に燃圧が変化すると、実際の燃料噴射量が所望値からずれる可能性がある。また、機関の急加速時または急減速時においては、燃料噴射実行待機期間中に噴射すべき燃料量が変化する可能性がある。
したがって、燃料噴射実行待機期間においても可能な限り、燃料噴射時間を機関運転状態に対応したより適切な値に補正することが望まれている。また点火時期については点火時期の算出時点から点火実行時点までの間に機関回転速度が急変した場合には点火時期の補正を行うことが望ましい。
本発明はこの点に着目してなされたものであり、マルチコア型演算処理ユニットに含まれる複数のプロセッサコアによって必要な演算処理を適切に分担し、機関運転状態の変化に迅速に対応できる制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、第1及び第2プロセッサコア(31,32)を含んで構成されるマルチコア型演算処理ユニット(22)を用いて内燃機関(1)の作動を制御する内燃機関の制御装置であって、前記機関の所定回転角度毎にTDC角度信号(TDCタイミング信号)を生成するTDC角度信号生成手段(17,31)を備える制御装置において、前記機関は、前記機関の作動を制御するための制御デバイス(6,7)を備え、前記第1プロセッサコア(31)は、前記TDC角度信号によって検出される所定タイミングで、前記制御デバイスの制御パラメータ値(TQC1,TQC2,CAIG)を前記機関の運転状態に応じて算出し、前記第2プロセッサコア(32)は、前記算出された制御パラメータ値を取得し、該取得時点以後において検出される前記機関の運転パラメータ値(PF,ω)及び前記制御パラメータ値に応じて、補正制御パラメータ値(tIE1C,tIE2C,CA(j))を算出し、前記制御デバイスが補正制御パラメータ値に対応した動作を行うように、前記制御デバイスを駆動するデバイス駆動回路に駆動指令信号を供給することを特徴とする。
この構成によれば、第1プロセッサコアにおいて、TDC角度信号によって検出される所定タイミングで、制御デバイスの制御パラメータ値が機関運転状態に応じて算出される。第2プロセッサコアにおいて、第1プロセッサコアで算出された制御パラメータ値が取得され、その取得時点以後において検出される機関運転パラメータ値及び制御パラメータ値に応じて補正制御パラメータ値が算出され、制御デバイスが補正制御パラメータ値に対応した動作を行うようにデバイス駆動回路に駆動指令信号が供給される。したがって、第1プロセッサコアにおいて演算がおこなわれる所定タイミングより後の機関運転パラメータの変化が補正制御パラメータ値に反映され、機関運転状態の変化に迅速に対応することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記制御デバイスは前記機関の燃焼室内に燃料を供給するための燃料噴射弁(6)を含み、前記デバイス駆動回路は前記燃料噴射弁を駆動する弁駆動回路を含み、前記制御パラメータ値は、前記燃料噴射弁による燃料噴射開始時期(tIS1,tIS2)及び燃料噴射時間(TQC1,TQC2)を含み、前記第2プロセッサコア(32)は、前記燃料噴射開始時期及び燃料噴射時間を取得した時点以後において検出される前記機関の運転パラメータ値(PF)、前記燃料噴射開始時期、及び前記燃料噴射時間に応じて補正燃料噴射終了時期(tIE1C,tIE2C)を算出し、該補正燃料噴射終了時期に燃料噴射を終了する燃料噴射指令信号を前記弁駆動回路に供給することを特徴とする。
この構成によれば、第2プロセッサコアにおいて燃料噴射開始時期及び燃料噴射時間が取得された時点より後において検出される機関の運転パラメータ値及び燃料噴射時間に応じて補正燃料噴射終了時期が算出され、該補正燃料噴射終了時期に燃料噴射を終了する燃料噴射指令信号が弁駆動回路に供給されるので、機関運転状態の変化に迅速に対応して燃料噴射時間の制御を行い、空燃比を目標値に正確に制御することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記第1プロセッサコア(31)は、1燃焼サイクル中に一気筒について複数の燃料噴射を実行するように前記制御パラメータ値(tIS1,tIS2,TQC1,TQC2)を算出し、前記第2プロセッサコア(32)は、前記複数の燃料噴射のそれぞれに対応する前記補正燃料噴射終了時期(tIE1C,tIE2C)を算出し、前記複数の燃料噴射のそれぞれに対応する前記燃料噴射指令信号を出力することを特徴とする。
この構成によれば、1燃焼サイクル中に一気筒について複数の燃料噴射を実行するように制御パラメータ値が算出され、複数の燃料噴射のそれぞれに対応する補正燃料噴射終了時期が算出され、複数の燃料噴射のそれぞれに対応する燃料噴射指令信号が出力されるので、いわゆる分割噴射を実行する場合において分割された各噴射における燃料噴射量を正確に制御することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力(PF)を検出する燃料圧力センサ(18)を備え、前記第2プロセッサコアは、前記燃料噴射開始時期及び燃料噴射時間の取得時点以後において検出される燃料圧力に応じて前記補正燃料噴射終了時期(tIE1C,tIE2C)を算出することを特徴とする。
この構成によれば、第2プロセッサコアにおいて燃料噴射時期及び燃料噴射時間が取得された時点より後において検出される燃料圧力に応じて補正燃料噴射時間が算出される。燃料圧力は特に燃料噴射を開始した直後に変化するので、変化した燃料圧力に対応して補正燃料噴射時間を算出することによって、燃料噴射量をより正確に制御することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置において、前記制御デバイスは前記機関の燃焼室に設けられた点火プラグ(7)を含み、前記デバイス駆動回路は前記点火プラグに火花放電を発生させる点火回路を含み、前記制御パラメータ値は前記点火プラグによる点火時期(CAIG)を含み、前記第2プロセッサコア(32)は、前記点火時期の取得時点以後において検出される前記機関の運転パラメータ値(ω)及び前記点火時期(CAIG)に応じて補正点火時期を決定し、前記補正点火時期に対応する点火指令信号を前記点火回路に供給することを特徴とする。
この構成によれば、第2プロセッサコアにおける点火時期の取得時点以後に検出される機関運転パラメータ値及び取得した点火時期に応じて補正点火時期が決定され、補正点火時期に対応する点火指令信号が点火回路に供給されるので、例えば機関回転速度の急変に対応した補正点火時期において点火を実行することが可能となり、最適な点火時期で実際の点火を行うことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関の制御装置において、前記TDC角度信号より短い角度周期のCRK角度信号(CRKパルス)を出力するCRK角度信号生成手段(16)を備え、前記第2プロセッサコア(32)は、前記CRK角度信号に応じて前記機関の回転速度(ω)を算出し、前記CRK角度信号の出力時点から次のCRK角度信号の出力時点までの期間において、前記CRK角度信号の出力時点からの経過時間及び前記回転速度(ω)に応じて前記機関の回転角度(CA(j))を算出し、該算出した回転角度(CA(j))を用いて前記補正点火時期を決定することを特徴とする。
この構成によれば、第2プロセッサコアにおいて、CRK角度信号に応じて機関回転速度が算出され、CRK角度信号の出力時点から次のCRK角度信号の出力時点までの期間において、CRK角度信号の出力時点からの経過時間及び回転速度に応じて機関の回転角度が算出され、その回転角度を用いて補正点火時期が決定される。CRK角度信号は例えば回転角度6度毎に出力されるため、CRK角度信号の出力時点からの経過時間及び回転速度に応じて機関の回転角度を算出することにより、6度の角度範囲におけるより正確な回転角度を得ることができ、回転角度で定義される点火時期をより正確に制御することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関の制御装置において、前記機関で発生するノッキングを検出するノッキング検出手段を備え、前記第2プロセッサ(32)は、前記ノッキングが検出されたときは、前記点火時期(CAIG)を遅角方向に補正することによりノッキング対応点火時期(CAIGC)を算出し、前記回転角度(CA(j))及び前記ノッキング対応点火時期(CAIGC)に応じて前記補正点火時期を決定することを特徴とする。
この構成によれば、ノッキングが検出されたときは、点火時期を遅角方向に補正することによりノッキング対応点火時期が算出され、そのノッキング対応点火時期及び算出される回転角度に応じて補正点火時期が決定されるので、ノッキング発生時に迅速にノッキングを抑制することができる。
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる内燃機関(以下「エンジン」という)及びその制御装置の構成を示す図であり、例えば4気筒のエンジン1の吸気通路2の途中にはスロットル弁3が配置されている。スロットル弁3はアクチュエータ19によって駆動可能に構成されており、アクチュエータ19は電子制御ユニット(以下「ECU」という)5に接続されている。スロットル弁3の開度は、アクチュエータ19を介してECU5によって制御される。エンジン1の各気筒の燃焼室には、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁6及び点火プラグ7が装着されており、燃料噴射弁6による燃料噴射及び点火プラグ7による点火はECU5により制御される。
図1は、本発明の一実施形態にかかる内燃機関(以下「エンジン」という)及びその制御装置の構成を示す図であり、例えば4気筒のエンジン1の吸気通路2の途中にはスロットル弁3が配置されている。スロットル弁3はアクチュエータ19によって駆動可能に構成されており、アクチュエータ19は電子制御ユニット(以下「ECU」という)5に接続されている。スロットル弁3の開度は、アクチュエータ19を介してECU5によって制御される。エンジン1の各気筒の燃焼室には、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁6及び点火プラグ7が装着されており、燃料噴射弁6による燃料噴射及び点火プラグ7による点火はECU5により制御される。
燃料噴射弁6は燃料供給通路8を介してデリバリパイプ9に接続されており、デリバリパイプ9には燃料ポンプ(図示せず)により加圧された燃料が供給される。デリバリパイプ9には、燃料の圧力(燃料圧力)PFを検出する燃料圧力センサ18が設けられており、その検出信号はECU5に供給される。
ECU5には、エンジン1の吸入空気流量GAIRを検出する吸入空気流量センサ11、吸気温TAを検出する吸気温センサ12、スロットル弁開度THを検出するスロットル弁開度センサ13、吸気圧PBAを検出する吸気圧センサ14、エンジン冷却水温TWを検出する冷却水温センサ15、及び図示しない他のセンサ(例えばエンジン1により駆動される車両のアクセルペダル操作量APを検出するアクセルセンサ、車速センサなど)が接続されており、これらのセンサの検出信号がECU5に供給される。
ECU5には、エンジン1のクランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度センサ16と、エンジン1の吸気弁及び排気弁を駆動するカムが固定されるカム軸(図示せず)の回転角度を検出するカム角度センサ17とが接続されており、クランク軸及びカム軸の回転角度に応じたパルス信号がECU5に供給される。クランク角度センサ16は、クランク角度位置を示すパルス信号を出力するものであり、このパルス信号は、燃料噴射時期、点火時期等の各種タイミング制御、及びエンジン回転数NEの検出に使用される。クランク角度センサ16は、より具体的には所定クランク角度(例えば6度)毎に発生するCRKパルスを出力し、カム角度センサ17は、クランク角度180度周期のタイミングを検出し、かつ気筒判別可能なクランク角度720度周期のTDCパルスを出力する。ECU5では、TDCパルスに基づいて各気筒のピストンが上死点に達するタイミングの30度前で立ち上がるTDCタイミング信号が生成される。
ECU5は、図2に示すように、上述したセンサから検出信号が入力されるとともに、燃料噴射弁(FIV)6、点火プラグ(IGP)7、スロットルアクチュエータ(THA)19などへ駆動信号を出力する機能回路部21と、制御のための演算処理を実行するマルチコア型演算処理ユニット(以下「MCU」という)22とを備えている。
MCU22は、2つのプロセッサコア31,32(以下それぞれ「メインコア31」及び「サブコア32」という)と、メインコア31及びサブコア32に対応して設けられたキャッシュメモリ33,34と、メインコア31及びサブコア32がともに使用する共有メモリ35とを備えている。キャッシュメモリ33,34、共有メモリ35、及び機能回路部21は、バス40を介して接続されている。
機能回路部21を介して入力されるデータは、先ず共有メモリ35に格納される。メインコア31及びサブコア32は、実行すべき演算処理に必要なデータを共有メモリ35から読み出して、キャッシュメモリ33,34に一時的に格納して演算処理に適用する。演算処理によって得られる出力データは、キャッシュメモリ33,34を介して機能回路部21に出力され、機能回路部21において駆動信号に変換されて出力される。
図3は、本実施形態における燃料噴射制御及び点火時期制御の概要を説明するためのタイムチャートであり、TDCタイミング信号、CRKパルス、燃料圧力PF、行程(例えば#1気筒の)、燃料噴射指令信号、及び点火指令信号の推移を示す。図3には、燃料噴射を2回に分割して実行する動作例が示されている。以下の説明では、最初の燃料噴射を「第1燃料噴射」といい、2回目の燃料噴射を「第2燃料噴射」という。
メインコア31は、TDCタイミング信号の発生に同期して割込処理を実行し、エンジン1の運転状態に応じて例えば燃料噴射基準時期CRFI(圧縮行程開始時期)を基準とした第1及び第2燃料噴射開始時期tIS1,tIS2と、第1及び第2燃料噴射時間TQC1,TQC2を算出するとともに、点火基準時期CRIGを基準としたコイル通電開始時期tCS及びクランク角度で示される点火時期CAIGを算出する。第1及び第2燃料噴射開始時期tIS1,tIS2は、燃料噴射基準時期CRFIからの経過時間で定義され、コイル通電開始時期tCSは、点火基準時期CRIGからの経過時間で定義され、点火時期CAIGは例えば圧縮行程開始時期におけるクランク角度を「0度」としたクランク角度で定義される。図3に示すコイル通電終了時期tCEは、一般的な点火時期制御で使用されるタイマ(コイル通電開始時期tCSからの経過時間を計測するタイマ)によって決定される点火時期に相当し、クランク角度で示される点火時期CAIGは後述するクランク角度現在値CA(j)によって特定される実際の点火時期(補正された点火時期)を示している。なお、図3は説明のために示すものであり、図示したCRKパルス列には、回転角速度の変化は反映されていない。
メインコア31は第1燃料噴射開始時期tIS1において燃料噴射指令信号の出力を開始するとともに第1燃料噴射時間TQC1を共有メモリ35に書き込む。サブコア32は、メインコア31による共有メモリ35への書き込み動作を監視し、書き込みが行われると直ちに書き込まれた第1燃料噴射時間TQC1を読み出す(取得する)。同様にメインコア31は、第2燃料噴射開始時期tIS2において燃料噴射指令信号の出力を開始するとともに第2燃料噴射時間TQC2を共有メモリ35へ書き込み、サブコア32は書き込まれた第2燃料噴射時間TQC2を取得する。またメインコア31は、コイル通電開始時期tCSにおいて点火指令信号の出力を開始するとともに点火時期CAIGを共有メモリ35へ書き込み、サブコア32は書き込まれた点火時期CAIGを取得する。
サブコア32は、メインコア31からの燃料噴射指令信号の出力開始及び共有メモリ35への書き込み動作を監視し、燃料噴射指令信号が出力され、第1燃料噴射時間TQC1の書き込みが行われると(tIS1)、第1燃料噴射時間TQC1を取得し、その取得時点以後に検出される燃料圧力PFに応じて第1燃料噴射時間TQC1の補正値DTQC1を算出して補正燃料噴射終了時期tIE1Cを算出し、補正燃料噴射終了時期tIE1Cにおいて燃料噴射指令信号の出力を終了する。第2燃料噴射についても同様に、燃料噴射指令信号が出力され、第2燃料噴射時間TQC2の書き込みが行われると(tIS2)、第2燃料噴射時間TQC2を取得し、その取得時点以後に検出される燃料圧力PFに応じて第2燃料噴射時間TQC2の補正値DTQC2を算出して補正燃料噴射終了時期tIE2Cを算出し、補正燃料噴射終了時期tIE2Cにおいて燃料噴射指令信号の出力を終了する。補正値DTQC1,DTQC2は、減少方向に補正する場合には負の値をとるように算出される。
またサブコア32は、メインコア31からの点火指令信号の出力開始及び共有メモリ35への書き込み動作を監視し、点火信号が出力されると(tCS)、点火時期CAIGを取得し、その取得時点以後に検出されるクランク軸の回転角速度ωに応じて、クランク角度現在値CA(j)を更新し、更新されるクランク角度現在値CA(j)が点火時期CAIGに達した時点でコイル通電を終了する(点火を実行する)。
サブコア32での演算処理は、例えば100マイクロ秒程度の短い周期で実行され、メインコア31において制御パラメータ値(TQC1など)算出後におけるエンジン1の運転状態(燃料圧力PF、エンジン回転数NE(角速度ω)を含む)の変化に対応した制御パラメータ値の補正が行われる。これによって、実際の燃料噴射量及び点火時期を、演算された値により正確に制御することが可能となる。
図4は、メインコア31において所定周期(例えば10ミリ秒)毎に実行される定周期処理のフローチャートである。
ステップS11では、上述した各種センサの出力を読み込む。ステップS12では、アクセルペダル操作量AP及びエンジン回転数NEに応じてエンジン1の目標トルクTRQTを算出する。ステップS13では、目標トルクTRQTに応じてスロットル弁3の目標開度THCMDを算出し、検出されるスロットル弁開度THが目標開度THCMDと一致するようにアクチュエータ19の駆動制御を行う。
ステップS11では、上述した各種センサの出力を読み込む。ステップS12では、アクセルペダル操作量AP及びエンジン回転数NEに応じてエンジン1の目標トルクTRQTを算出する。ステップS13では、目標トルクTRQTに応じてスロットル弁3の目標開度THCMDを算出し、検出されるスロットル弁開度THが目標開度THCMDと一致するようにアクチュエータ19の駆動制御を行う。
ステップS14では、燃料系の制御、例えば燃料を加圧する高圧ポンプの制御、パージ制御弁(図示せず)の開度制御などを実行する。ステップS15では、上述した各種センサの異常診断を含む異常診断処理を実行する。ステップS16では、他の処理、例えば排気還流制御弁(図示せず)の制御、吸気弁作動位相可変機構(図示せず)の制御などを実行する。
図5はメインコア31において、TDCタイミング信号(図3参照)の発生に同期して実行される割込処理のフローチャートであり、この処理では上述した気筒毎の燃料噴射制御及び点火時期制御が行われる。本実施形態では、メインコア31がTDCパルスに基づくTDCタイミング信号の生成を行う。
ステップS21では、各種センサの出力を読み込み、ステップS22では、TDCパルスに基づいて制御対象気筒を判別する。ステップS23では、燃料噴射弁6の制御パラメータ値(燃料噴射開始時期tIS1,tIS2及び燃料噴射時間TQC1,TQC2)の算出及び燃料噴射指令信号の出力指示を行う。ステップS24では、コイル通電開始時期tCS及び点火時期CAIGの算出及び点火指令信号の出力指示を行う。
図6はサブコア32で実行される定周期処理のフローチャートであり、この処理は例えば100マイクロ秒毎に実行される。
ステップS31では、図7に示すクランク角度演算処理を実行し、ステップS32では、図8に示す噴射時間補正処理を実行し、ステップS33では図9に示す点火時期補正処理を実行する。
ステップS31では、図7に示すクランク角度演算処理を実行し、ステップS32では、図8に示す噴射時間補正処理を実行し、ステップS33では図9に示す点火時期補正処理を実行する。
図7は、図6のステップS31で実行されるクランク角度演算処理のフローチャートである。ステップS41では、CRKパルスの立ち上りエッジが検出されたか否かを判別し、その答が肯定(YES)であるときは、下記式(1)により角速度ω(k)を算出する(ステップS42)。
ω(k)=DCA/TDCA (1)
ω(k)=DCA/TDCA (1)
ここでDCAは、CRKパルスの発生周期(6度)であり、TDCAは、直前のCRKパルスエッジ検出時期からの経過時間である。kはCRKパルスの発生毎に「1」増加するインデクスパラメータであり、例えば上述した圧縮行程開始時期において「0」に設定される。
ステップS43では、クランク角度現在値CA(j)を今回発生したCRKパルスに対応するCRK角度値CAE(k)に設定する。CRK角度値CAE(k)は、インデクスパラメータkに対応して予め設定されており(例えばCAE(0)=0)、kが「1」増加すると「6度」増加する。jは、本処理を実行する毎に「1」増加するインデクスパラメータであり、例えば圧縮行程開始時期において「0」に設定される。
ステップS41の答が否定(NO)であるときは、下記式(2)によりクランク角度現在値CA(j)を更新する(ステップS44)。
CA(j)=CA(j-1)+ω(k)×DT (2)
ここで、DTは本処理の実行周期である。
CA(j)=CA(j-1)+ω(k)×DT (2)
ここで、DTは本処理の実行周期である。
図7の処理により、本処理の実行周期に対応した短い時間間隔で正確なクランク角度現在値CA(j)が得られる。
図8は、図6のステップS32で実行される噴射時間補正処理のフローチャートである。下記の説明は第1燃料噴射に対応するものであるが、第2燃料噴射の場合も同様である。
ステップS51では検出される燃料圧力PFを取得する。このとき、TDCタイミング信号発生時点において検出され、燃料噴射時間TQC1,TQC2に算出に適用される燃料圧力値を初期燃料圧力値PF0として記憶する。ステップS52では、燃料噴射指令信号が出力されているか否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了し、燃料噴射指令信号が出力されているときは、ステップS53〜S56を実行する。
ステップS53では、ステップS51で取得した燃料圧力PFに応じて補正値DTQC1を算出する。具体的には、検出される燃料圧力PFを移動平均化することにより平均化燃料圧力PFAVを算出し、初期燃料圧力値PF0と、平均化燃料圧力PFAVとの差分DPF(=PFAV−PF0)に応じて、補正値DTQC1を算出する。差分DPFが正の値であって、平均化燃料圧力PFAVが増加したときは、補正値DTQC1は負の値に設定され、差分DPFが負の値であって、平均化燃料圧力PFAVが減少したときは、補正値DTQC1は正の値に設定される。補正値DTQC1の絶対値は、差分DPFの絶対値が増加するほど増加するように設定される。
ステップS54では、メインコア31で算出され、共有メモリ35を介して取得した燃料噴射時間TQC1と、補正値DTQC1を下記式(3)に適用して、補正燃料噴射終了時期tIE1Cを算出する。
tIE1C=tIS1+TQC1+DTQC1 (3)
ここでtIS1は、第1燃料噴射開始時期であり、サブコア32が燃料噴射指令信号を検出した時刻を適用する。
tIE1C=tIS1+TQC1+DTQC1 (3)
ここでtIS1は、第1燃料噴射開始時期であり、サブコア32が燃料噴射指令信号を検出した時刻を適用する。
ステップS55では、現在時刻(燃料噴射基準時期CRFIを「0」とする)が補正燃料噴射終了時期tIE1Cと等しいかまたは過ぎているか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了し、ステップS55の答が肯定(YES)となると燃料噴射の終了を指令する(燃料噴射指令信号を低レベルに変更する)(ステップS56)。
第2燃料噴射に対応する補正値DTQC2も補正値DTQC1と同様に算出され、補正燃料噴射終了時期tIE2Cは下記式(3a)によって算出される。
tIE2C=tIS2+TQC2+DTQC2 (3a)
tIE2C=tIS2+TQC2+DTQC2 (3a)
図9は、図6のステップS33で実行される点火時期補正処理のフローチャートである。ステップS61では、点火指令信号が出力されているか否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了し、点火指令信号が出力されているときは、ステップS62,S63を実行する。
ステップS62では、図7の処理で算出されるクランク角度現在値CA(j)が点火時期CAIGと等しいかまたは過ぎているか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了し、ステップS62の答が肯定(YES)となると点火を指令する(点火指令信号を低レベルに変更して点火コイルの電流を遮断する)。
図10は上述した燃料噴射時間の補正を説明するための図であり、燃料噴射時間TQC1と、燃料噴射量QINJとの関係を示す。QTGTは、エンジン運転状態(エンジンの目標トルク、エンジン回転数NEなど)に応じて算出される目標燃料噴射量であり、破線L1で示すように燃料圧力PFが初期燃料圧力値PF0である状態に対応して、燃料噴射時間TQC1が算出される。
燃料圧力PFが初期燃料圧力値PF0より低いときは、燃料噴射量QINJは例えば図10(a)の実線L2で示される。したがって、目標燃料噴射量QTGTを噴射するためには、同図(b)に示すように、実線L2aが破線L1と交差するように燃料噴射時間TQC1をDTQC1だけ増加させる必要がある。一方、燃料圧力PFが初期燃料圧力値PF0より高いときは、燃料噴射量QINJは例えば図10(a)の実線L3で示される。したがって、目標燃料噴射量QTGTを噴射するためには、同図(c)に示すように、実線L3で示される燃料噴射量QINJが目標燃料噴射量QTGTに達する時点で燃料噴射を終了するように、燃料噴射時間TQC1をDTQC1だけ減少させる必要がある。
上述した図8の処理によって図10(b)(c)に示す補正が行われ、燃料圧力PFの変化に対応して正確な燃料噴射を行うことができる。
図11は上述した点火時期の補正を説明するための図であり、クランク角度CAと、点火基準時期CRIGから点火時期CAIGまでの時間(以下「点火時間」という)TIGとの関係を示す。点火時間TIGは、点火基準時期CRIGと点火時期CAIGとの角度差DCAを、点火時期算出時点におけるエンジン回転数NECAL(回転角速度ωCAL)に応じて角度−時間変換を行った時間に相当する。従来の点火時期制御では、点火基準時期CRIGにおいてタイマに点火時間TIGを設定し、タイマの値が「0」となった時点を点火時期CAIGと推定して点火が行われている。
図11(a)に示す破線L11は回転角速度ωCALが変化しない場合に相当し、実線L12は回転角速度ωが減少した場合に相当し、実線L13は回転角速度ωが増加した場合に相当する。
点火時期CAIGに実際に点火を実行するためには、回転角速度ωが減少した場合には、同図(b)に示すように点火時間TIGを補正値DTIGだけ増加させる必要がある一方、回転角速度ωが増加した場合には、同図(c)に示すように点火時間TIGを補正値DTIGだけ減少させる必要がある。本実施形態では、図7の処理によって回転角速度ωの変化に対応した正確なクランク角度現在値CA(j)を算出し、このクランク角度現在値CA(j)が点火時期CAIGに達した時点で点火を実行することにより、図11に示す補正値DTIGによる補正と同等の補正を行い、回転角速度ωが変化した場合でも算出された点火時期CAIGにおいて正確に点火を行うことができる。
なお、本実施形態では、点火信号出力時点から点火実行までの時間(点火コイルの通電時間)が、メインコア31での演算結果より短くなる可能性を考慮し、コイル通電開始時期tCSを従来より若干早めるようにしている。
以上のように本実施形態では、メインコア31において、TDCタイミング信号の発生タイミングで、燃料噴射開始時期tIS1,tIS2、燃料噴射時間TQC1,TQC2、コイル通電開始時期tCS、及び点火時期CAIGがエンジン1の運転状態に応じて算出される。サブコア32が燃料噴射時間TQC1等の制御パラメータ値を取得した時点以後において検出される燃料圧力PFに応じて燃料噴射時間TQC1,TQC2の補正値DTQC1,DTQC2が算出され、補正燃料噴射終了時期tIE1C,tIE2Cにおいて燃料噴射が終了するように制御される。また回転角速度ωに応じて高精度のクランク角度現在値CA(j)が算出され、クランク角度現在値CA(j)が点火時期CAIGに達した時点で点火が実行される。したがって、メインコア31において演算がおこなわれるTDCタイミング信号の発生時点以後の燃料圧力PFの変化が補正燃料噴射終了時期tIE1C,tIE2Cに反映されるとともに、エンジン回転数NEの変化が実際の点火実行時期に反映され、エンジン運転状態の変化に迅速に対応することができる。その結果、空燃比の制御精度を高めるとともに、実点火時期を最適な点火時期に正確に一致させることができる。
また第1及び第2燃料噴射時間TQC1,TQC2のそれぞれに対応する補正燃料噴射終了時期tIE1C,tIE2Cが算出され、複数の燃料噴射のそれぞれに対応する燃料噴射指令信号の補正が行われるので、分割噴射を実行する場合において分割された各噴射における燃料噴射量を正確に制御することができる。
本実施形態では、クランク角度センサ16がCRK角度信号生成手段に相当し、カム角度センサ17及びECU5がTDC角度信号生成手段に構成し、メインコア31及びサブコア32がそれぞれ第1プロセッサコア及び第2プロセッサコアに相当し、燃料噴射弁6及び点火プラグ7が制御デバイスに相当し、燃料噴射弁6を駆動する弁駆動回路(図示せず)及び点火プラグ7に火花放電を発生させる点火回路(図示せず)がデバイス駆動回路に相当し、弁駆動回路及び点火回路は機能回路部21に含まれる。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、例えば以下に説明するような種々の変形が可能である。
[変形例1]
図12は、図6に示す処理の変形例のフローチャートであり、この処理は図6の処理にノッキング判定処理を行うステップS34を追加し、ノッキングの発生が検出されたときに、ステップS33aで点火時期の遅角補正を行うようにしたものである。ステップS34におけるノッキング判定は、周知のノッキングセンサをエンジン1の適宜の位置に配置し、そのノッキングセンサ出力に基づいて周知の判定手法(例えば特許第4764485号公報に示されている手法)を用いて実行される。
[変形例1]
図12は、図6に示す処理の変形例のフローチャートであり、この処理は図6の処理にノッキング判定処理を行うステップS34を追加し、ノッキングの発生が検出されたときに、ステップS33aで点火時期の遅角補正を行うようにしたものである。ステップS34におけるノッキング判定は、周知のノッキングセンサをエンジン1の適宜の位置に配置し、そのノッキングセンサ出力に基づいて周知の判定手法(例えば特許第4764485号公報に示されている手法)を用いて実行される。
図13はステップS33aにおける点火時期補正処理のフローチャートである。この処理は、図9に示す処理にステップS64を追加し、ステップS62をステップS62aに代えたものである。
ステップS64では、ノッキングの検出状態に応じてノッキング補正値CAKNKを算出し、下記式(4)を用いてノッキング対応点火時期CAIGCを算出する。ノッキング補正値CAKNKは、ノッキングが検出されると所定値DCAKNK(例えば1deg)だけ増加し(ノッキング対応点火時期CAIGCを遅角し)、ノッキングが検出されないときに所定値DCAKNKずつ「0」となるまで減少するように算出される。
CAIGC=CAIG+CAKNK (4)
CAIGC=CAIG+CAKNK (4)
ステップS62aでは、クランク角度現在値CA(j)がノッキング対応点火時期CAIGC以上であるか否かを判別し、その答が肯定(YES)となると点火を実行する(ステップS63)。
この変形例では、ノックセンサ及びステップS34がノッキング検出手段を構成する。
この変形例では、ノックセンサ及びステップS34がノッキング検出手段を構成する。
[変形例2]
図8に示す噴射時間補正処理は、図14に示すように変形してもよい。この処理は、図14のステップS51及びS53をそれぞれステップS51a及びS53aに代えたものである。
図8に示す噴射時間補正処理は、図14に示すように変形してもよい。この処理は、図14のステップS51及びS53をそれぞれステップS51a及びS53aに代えたものである。
ステップS51aでは燃料圧力PFとともにアクセルペダル操作量APを取得し、TDCタイミング信号発生時における値を、初期燃料圧力値PF0及び初期アクセルペダル操作量AP0として記憶する。ステップS53aでは、平均化燃料圧力PFAVの初期燃料圧力値PF0からの変化量DPF、及びアクセルペダル操作量APの初期アクセルペダル操作量AP0からの変化量DAP(=AP−AP0)に応じて補正値DTQC1を算出する。変化量DAPが正の値であるときは、補正値DTQC1を増加させ、変化量DAPが負の値であるときは補正値DTQC1を減少させる。補正値DTQC1の増加量及び減少量は、変化量DAPの絶対値が増加するほど増加するように設定される。アクセルペダル操作量APの変化に対して吸入空気量の変化は遅れるので、その点を考慮してアクセルペダル操作量APに応じた、補正量DTQC1の増加量または減少量が設定される。
[変形例3]
上述した実施形態では、燃料噴射指令信号の出力開始(噴射開始時期の制御)はメインコア31が行い、燃料噴射指令信号の出力終了(噴射終了時期の制御)をサブコア32が行うようにしたが、メインコア31はクランク角度で示される噴射開始時期CAIS1(及びCAIS2)と、燃料噴射時間TQC1(及びTQC2)を算出して、これらの制御パラメータ値を共有メモリ35に書き込み、サブコア32が書き込まれた制御パラメータ値を取得し、噴射指令信号を出力するようにしてもよい。
上述した実施形態では、燃料噴射指令信号の出力開始(噴射開始時期の制御)はメインコア31が行い、燃料噴射指令信号の出力終了(噴射終了時期の制御)をサブコア32が行うようにしたが、メインコア31はクランク角度で示される噴射開始時期CAIS1(及びCAIS2)と、燃料噴射時間TQC1(及びTQC2)を算出して、これらの制御パラメータ値を共有メモリ35に書き込み、サブコア32が書き込まれた制御パラメータ値を取得し、噴射指令信号を出力するようにしてもよい。
図15はこの変形例に対応する燃料噴射時間補正処理のフローチャートである。この処理は、図8に示す処理にステップS71〜S74を追加し、ステップS52をステップS52aに代えたものである。図15は第1燃料噴射に対応して示すが、第2燃料噴射についても同様である。
ステップS52aでは、メインコア31で算出された制御パラメータ値(CAIS1,TQC1)を取得したか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは噴射開始フラグFISを「0」に設定して(ステップS71)処理を終了する。ステップS52aの答が肯定(YES)であるときは、クランク角度現在値CA(j)が噴射開始時期CAIS1以上であるか否かを判別する(ステップS72)。この答が否定(NO)であるときは直ちに処理を終了し、肯定(YES)となると噴射開始フラグFISが「1」であるか否かを判別する(ステップS73)。最初はこの答は否定(NO)であるためステップS74に進んで燃料噴射の開始を指令し、噴射開始フラグFISを「1」に設定する。
ステップS74の実行後は、ステップS73からステップS53に進む。
ステップS74の実行後は、ステップS73からステップS53に進む。
この変形例によれば、エンジン回転数NEが急変した場合でも、実際の燃料噴射時期を、クランク角度で設定される燃料噴射時期(開始時期)に正確に制御することが可能となる。なお、点火コイルの通電開始時期tCSについても同様に、クランク角度で算出し、燃料噴射開始時期CAISと同様にサブコア32で制御するようにしてもよい。
なお、上述した実施形態では燃料を燃焼室内に直接噴射する内燃機関の制御装置を示したが、本発明は吸気通路内に燃料を噴射する内燃機関の制御装置にも適用可能である。また3つ以上のプロセッサコアを備えるマルチコア型演算処理ユニットを使用して、そのうちの2つのプロセッサコアを上記メインコア31及びサブコア32として使用するようにしてもよい。
また上述した実施形態では、一気筒について1燃焼サイクル中に2回燃料噴射を行う例を示したが、1回のみまたは3回以上燃料噴射を行う場合にも本発明を適用可能である。また、上述した実施形態では、メインコア31が燃料噴射時間TQC1などの制御パラメータ値を共有メモリ35に書き込み、サブコア32が書き込まれた制御パラメータ値を読み出すことによって取得するようにしたが、バス40を介したコア間通信によってメインコア31がサブコア32に制御パラメータ値を送信し、サブコア32が受信するようにしてもよい。
1 内燃機関
5 電子制御ユニット(TDC角度信号生成手段)
6 燃料噴射弁
7 点火プラグ
16 クランク角度センサ(CRK角度信号生成手段)
17 カム角度センサ(TDC角度信号生成手段)
18 燃料圧力センサ
21 機能回路部(弁駆動回路、点火回路)
22 マルチコア型演算処理ユニット
31 メインコア(第1プロセッサコア)
32 サブコア(第2プロセッサコア)
35 共有メモリ
5 電子制御ユニット(TDC角度信号生成手段)
6 燃料噴射弁
7 点火プラグ
16 クランク角度センサ(CRK角度信号生成手段)
17 カム角度センサ(TDC角度信号生成手段)
18 燃料圧力センサ
21 機能回路部(弁駆動回路、点火回路)
22 マルチコア型演算処理ユニット
31 メインコア(第1プロセッサコア)
32 サブコア(第2プロセッサコア)
35 共有メモリ
Claims (7)
- 第1及び第2プロセッサコアを含んで構成されるマルチコア型演算処理ユニットを用いて内燃機関の作動を制御する内燃機関の制御装置であって、前記機関の所定回転角度毎にTDC角度信号を出力するTDC角度信号生成手段を備える制御装置において、
前記機関は、前記機関の作動を制御するための制御デバイスを備え、
前記第1プロセッサコアは、前記TDC角度信号によって検出される所定タイミングで、前記制御デバイスの制御パラメータ値を前記機関の運転状態に応じて算出し、
前記第2プロセッサコアは、前記算出された制御パラメータ値を取得し、該取得時点以後において検出される前記機関の運転パラメータ値及び前記制御パラメータ値に応じて補正制御パラメータ値を算出し、前記制御デバイスが前記補正制御パラメータ値に対応した動作を行うように、前記制御デバイスを駆動するデバイス駆動回路に駆動指令信号を供給することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記制御デバイスは前記機関の燃焼室内に燃料を供給するための燃料噴射弁を含み、前記デバイス駆動回路は前記燃料噴射弁を駆動する弁駆動回路を含み、前記制御パラメータ値は、前記燃料噴射弁による燃料噴射開始時期及び燃料噴射時間を含み、
前記第2プロセッサコアは、前記燃料噴射開始時期及び燃料噴射時間を取得した時点以後において検出される前記機関の運転パラメータ値、前記燃料噴射開始時期、及び前記燃料噴射時間に応じて補正燃料噴射終了時期を算出し、該補正燃料噴射終了時期に燃料噴射を終了する燃料噴射指令信号を前記弁駆動回路に供給することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記第1プロセッサコアは、1燃焼サイクル中に一気筒について複数の燃料噴射を実行するように前記制御パラメータ値を算出し、
前記第2プロセッサコアは、前記複数の燃料噴射のそれぞれに対応する前記補正燃料噴射終了時期を算出し、前記複数の燃料噴射のそれぞれに対応する前記燃料噴射指令信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を検出する燃料圧力センサを備え、
前記第2プロセッサコアは、前記燃料噴射開始時期及び燃料噴射時間の取得時点以後において検出される燃料圧力に応じて前記補正燃料噴射終了時期を算出することを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記制御デバイスは前記機関の燃焼室に設けられた点火プラグを含み、前記デバイス駆動回路は前記点火プラグに火花放電を発生させる点火回路を含み、前記制御パラメータ値は前記点火プラグによる点火時期を含み、
前記第2プロセッサコアは、前記点火時期の取得時点以後において検出される前記機関の運転パラメータ値及び前記点火時期に応じて補正点火時期を決定し、前記補正点火時期に対応する点火指令信号を前記点火回路に供給することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記TDC角度信号より短い角度周期のCRK角度信号を出力するCRK角度信号生成手段を備え、
前記第2プロセッサコアは、前記CRK角度信号に応じて前記機関の回転速度を算出し、前記CRK角度信号の出力時点から次のCRK角度信号の出力時点までの期間において、前記CRK角度信号の出力時点からの経過時間及び前記回転速度に応じて前記機関の回転角度を算出し、該算出した回転角度を用いて前記補正点火時期を決定することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記機関で発生するノッキングを検出するノッキング検出手段を備え、
前記第2プロセッサは、前記ノッキングが検出されたときは、前記点火時期を遅角方向に補正することによりノッキング対応点火時期を算出し、前記回転角度及び前記ノッキング対応点火時期に応じて前記補正点火時期を決定することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015003765A JP2016130452A (ja) | 2015-01-13 | 2015-01-13 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=56415808
Family Applications (1)
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JP2015003765A Pending JP2016130452A (ja) | 2015-01-13 | 2015-01-13 | 内燃機関の制御装置 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2018123695A (ja) * | 2017-01-30 | 2018-08-09 | 株式会社デンソー | 燃料噴射制御装置 |
JP2021042752A (ja) * | 2019-09-13 | 2021-03-18 | 株式会社デンソー | 電子制御装置 |
-
2015
- 2015-01-13 JP JP2015003765A patent/JP2016130452A/ja active Pending
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JP7318439B2 (ja) | 2019-09-13 | 2023-08-01 | 株式会社デンソー | 電子制御装置 |
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