JP2016130264A - 貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】リバスチグミンの保存安定性に優れており、且つリバスチグミンの皮膚透過性がアルツハイマー病の治療に必要な経皮吸収量が得られる程度まで高められた貼付剤を提供する。
【解決手段】 本発明の貼付剤は、支持体と、上記支持体の一面に積層一体化されてなり、且つカルボキシ基を有するアクリル系単量体成分を含有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体、及びリバスチグミンを含有している粘着層と、を有していることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リバスチグミンの保存安定性に優れ、且つリバスチグミンの皮膚透過性がアルツハイマー病の治療に必要な経皮吸収量が得られる程度まで高められた貼付剤に関する。
近年、高齢者の増加に伴ってアルツハイマー病による認知症患者が増加している。アルツハイマー病における認知症改善薬として、ドネペジル塩酸塩やリバスチグミン酒石酸塩などの抗コリンエステラーゼ剤が開発されている。これらは、臨床現場では、錠剤や液剤などの経口剤として認知症患者に処方されている。
しかしながら、認知症患者においては、認知症が進行するにつれて、服薬コンプライアンスの不良や嚥下機能の低下が起こるため、患者自身で治療薬を服用することが困難になることが多くある。したがって、これらの問題を解決して治療薬を安定的に投与できる、経皮吸収剤の開発が求められている。
そこで、アルツハイマー病における認知症改善薬の一つであるリバスチグミンを用いた経皮吸収剤の開発が進められている。しかしながら、リバスチグミンを用いてローション剤を調製した場合には、投薬直後の薬物の皮膚透過性を高くすることはできるが、所望の薬効が得られる程度の薬物量を1日以上に亘って持続的に皮膚から吸収させることが困難であった。また、リバスチグミンを用いて貼付剤を調製した場合には、常温で液体であるリバスチグミンを膏体中に高い濃度で安定的に含有させることが難しかった。そのため、貼付剤では、所望の薬効が得られる程度まで、リバスチグミンの皮膚透過性を高めることが困難である。このような問題を解決するために、リバスチグミンを含有する貼付剤について、種々の研究が行われている。
特許文献1には、リバスチグミン酒石酸塩、アクリル粘着剤(アルキルアミノメタクリレート共重合体など)、アクリル酸ポリマー、及び界面活性剤を組み合わせた貼付剤が記載されている。しかしながら、特許文献1では、リバスチグミン酒石酸塩の貼付剤中での保存安定性とリバスチグミンの皮膚透過性については記載されていない。
特許文献2には、リバスチグミン、ポリメタクリレート、カルボキシ基を含有しているアクリレートコポリマー、及び抗酸化剤を組み合わせた貼付剤が記載されている。特許文献2では、貼付剤中で抗酸化剤はリバスチグミンの分解を抑制するために使用されており、抗酸化剤によってリバスチグミンの保存安定性が向上したことが記載されている。しかしながら、特許文献2では、貼付剤におけるリバスチグミンの皮膚透過性については記載されていない。
特許文献3には、リバスチグミン、カルボキシ基を含有しているポリアクリレート接着剤、アクリレートコポリマー、及びビタミンEからなる貯蔵層と、シリコン接着剤、シリコン油及びビタミンEからなるシリコン接着層を組み合わせた二層構造の貼付剤が記載されており、このような貼付剤は皮膚への接着力と皮膚透過性が優れていることが記載されている。しかしながら、貯蔵層と接着層とをそれぞれ製造した後に二層を積層するため、特許文献3の貼付剤は製造工程が複雑である。また、貼付剤を保存中にリバスチグミンや抗酸化剤として用いられているビタミンEなどが貯蔵層と接着層の間で移動するため、貼付剤の保存期間毎に貼付剤におけるリバスチグミンの皮膚透過性が変化する虞れもある。
そして、特許文献4には、リバスチグミン、金属原子を含有する架橋剤を含まないアクリル粘着剤、及びスクワランやクエン酸トリエチルなどの揮発抑制剤を組み合わせた貼付剤が開示されている。好適なアクリル粘着剤として、カルボキシ基を側鎖に有する感圧性アクリルポリマーが挙げられている。揮発抑制剤は、常温で液体であるリバスチグミンの製造中の揮発による損失を抑制するために用いられている。特許文献4では、貼付剤の粘着性の向上について検討しているが、リバスチグミンの保存安定性については記載されていない。
米国特許第5602176B号明細書 米国特許第6316023B号明細書 米国特許出願公開第2007/128263A号明細書 米国特許出願公開第2010/087768A号明細書
本発明の課題は、リバスチグミンの保存安定性に優れ、且つリバスチグミンの皮膚透過性がアルツハイマー病の治療に必要な経皮吸収量が得られる程度まで高められた貼付剤を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、カルボキシ基を有するアクリル系単量体成分を含有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、リバスチグミンの保存安定性に優れており、特許文献2,3のように抗酸化剤を含有させたり、特許文献4のようにリバスチグミンの揮発抑制剤を用いなくても、リバスチグミンの分解や揮発を高く低減できることを見出した。
カルボキシ基を有するアクリル系単量体成分を含有している(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体は、特許文献1〜4のいずれでも実施例において使用されており、特に特許文献4では好適なアクリル粘着剤として記載されている。特許文献1〜4の貼付剤では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を膏体の基材として用いており、この(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体と、抗酸化剤や揮発抑制剤などの添加剤とを併用することにより、リバスチグミン貼付剤の改良を行っている。これに対して、カルボキシ基を有するアクリル系単量体成分を含有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が、それ自体で、抗酸化剤や揮発抑制剤などの添加剤を用いずとも、リバスチグミンの保存安定性に優れていることは全く意外なことである。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものである。本発明の貼付剤は、以下であることを特徴とする。
[1]支持体と、上記支持体の一面に積層一体化されてなり、且つカルボキシ基を有するアクリル系単量体成分を含有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体、及びリバスチグミンを含有している粘着層と、を有していることを特徴とする貼付剤。
[2](メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、アルキル基の炭素数が1〜16である(メタ)アクリル酸アルキル成分を含んでいることを特徴とする[1]に記載の貼付剤。
[3](メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、1−ビニル−2−ピロリドン成分を含んでいることを特徴とする[1]に記載の貼付剤。
[4](メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル成分と、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル以外の、アルキル基の炭素数が6以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分とを含む共重合体(A)を含んでいることを特徴とする[1]に記載の貼付剤。
[5](メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、アルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸アルキルエステル成分と、1−ビニル−2−ピロリドン成分とを含む共重合体(B)を含んでいることを特徴とする[1]に記載の貼付剤。
[6]リバスチグミンが遊離塩基型であることを特徴とする[1]に記載の貼付剤。
[7]粘着層が、抗酸化剤及びリバスチグミン揮発抑制剤を含有していないことを特徴とする[1]に記載の貼付剤。
本発明の貼付剤では、上記構成を有している(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を用いることによって、リバスチグミンの保存安定性に優れ、且つリバスチグミンの皮膚透過性がアルツハイマー病の治療に必要な経皮吸収量が得られる程度まで高めることができる。
なお、本明細書において「皮膚透過性がアルツハイマー病の治療に必要な経皮吸収量が得られる程度まで高められた」とは、皮膚透過性試験において求められる累積吸収量が0.3mg/cm2/24hr以上であるときを、「高い」と判断している。
本発明の貼付剤は、支持体と、この支持体の一面に積層一体化されてなる粘着層とを有している。
粘着層には、リバスチグミンが含有されている。リバスチグミン[(S)-N-ethyl-N-methyl-3-[1-(dimethylamino)ethyl]-phenyl carbamate]は、常温で液体の化合物であり、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有し、アルツハイマー病の治療薬として用いられている。
リバスチグミンには、遊離塩基型と酸付加塩型があり、いずれも本発明の貼付剤に使用することができる。なかでも、遊離塩基型のリバスチグミンが好適である。なお、本明細書において、「リバスチグミン」の語は、特に断らない場合は、遊離塩基型と酸付加塩型の両方をいう。
粘着層中のリバスチグミンの含有量が少ないと、所望の薬効を得るために必要なリバスチグミンの経皮吸収速度を得ることが難しいだけでなく、貼付剤の保存中にリバスチグミンの粘着層からの揮散量が粘着層中の含有量に対して無視できないほど大きくなり、保存安定性が低下する。一方、粘着層中のリバスチグミンの含有量が多いと、リバスグミンが有する可塑化作用により粘着剤が過度に可塑化されて凝集力が低下し、貼付剤の保存中に粘着層が経時的に貼付剤からはみ出したり、貼付剤を皮膚から剥離する際に粘着層が皮膚に残ったりする場合がある。したがって、粘着層中におけるリバスチグミンの含有量は、2〜50重量%が好ましく、3〜45重量%がより好ましく、5〜40重量%がさらに好ましく、7〜36重量%が特に好ましく、10〜36重量%が特により好ましく、12〜30重量%が最も好ましい。
粘着層は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を含有している。この(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、共重合体成分として、カルボキシ基を有するアクリル系単量体成分を含有していない。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分を含有している。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体中における(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の含有量は、40重量%以上が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、1〜16が好ましく、1〜14がより好ましく、2〜14が特に好ましく、2〜12が最も好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、R−OH(式中、Rは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基を表わす)で示される一価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく挙げられる。Rにおけるアルキル基の炭素数は、1〜16が好ましく、1〜14がより好ましく、2〜14が特に好ましく、2〜12が最も好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基が有している1個以上の水素原子がヒドロキシ基によって置換されていてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、及びヒドロシキプロピルアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
なかでも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、エチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、n−オクチル(メタ)アクリレート成分又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート成分を含んでいることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体中におけるn−オクチル(メタ)アクリレート成分又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート成分の含有量は、40重量%以上が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分以外の他の単量体成分を含んでいてもよい。
他の単量体としては、例えば、1−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニルなどが挙げられる。これらは、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、1−ビニル−2−ピロリドンが好ましい。
本発明において、上述した通り、粘着層に用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、カルボキシ基を有するアクリル系単量体に由来する成分を含有していない。カルボキシ基を有するアクリル系単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸、及びアルキル基中の1個以上の水素原子がカルボキシ基によって置換された(メタ)アクリル酸アルキルエステル(“(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル”とも言う)などが挙げられる。(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、及び(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステルに由来する成分を含有している(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の市販品としては、ナショナルスターチ社製のデュロタック(Durotak)387−2353、387−2051、387−2052などを挙げることができる。
カルボキシ基を有するアクリル系単量体を用いて(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を重合した場合、カルボキシ基は重合反応に関与しない。そのため、カルボキシ基を有するアクリル系単量体を用いて重合された(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体もまたカルボキシ基を有している。この(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が有しているカルボキシ基は、粘着層中では、カルボキシ基(−COOH)のまま、若しくはプロトンが遊離した遊離カルボキシ基(−COO)として存在する。このようなカルボキシ基や遊離カルボキシ基は、リバスチグミンの分解を促進させて、リバスチグミンの保存安定性を低下させることがあると考えられる。
したがって、本発明では、粘着層に含まれている(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、カルボキシ基を有するアクリル系単量体に由来する成分を含有していない。しかしながら、リバスチグミンの分解をより高く低減するためには、粘着層に含まれている(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、カルボキシ基を含有していないことが好ましい。したがって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の重合に用いられる単量体もカルボキシ基を有していないことが好ましい。
粘着層中では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、架橋剤によって架橋されていないことが好ましい。架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、金属キレート化合物、及び金属アルコキシド化合物などが挙げられる。粘着層を製造する際に架橋剤を用いて(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を架橋することによって、粘着層からのリバスチグミンの滲み出しやコールドフローを抑制することができる。しかしながら、架橋剤はリバスチグミンの分解を促進するため保存安定性を低下させる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体中における(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び1−ビニル−2−ピロリドンなどの単量体成分の種類及び共重合比を調整することによって、貼付剤の貼付性、並びに、リバスチグミンの放出性を調節することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体としては、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル成分と、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル以外の、アルキル基の炭素数が6以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分とを含む共重合体(A)が好ましく挙げられる。
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、6以上が好ましいが、6〜16がより好ましい。
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル以外の、アルキル基の炭素数が6以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、及びヒドロシキプロピルアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、ドデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
共重合体(A)は、アクリル酸2−エチルヘキシル成分と、メタクリル酸2−エチルヘキシル成分と、ドデシル(メタ)アクリレート成分とを含んでいることが好ましい。
共重合体(A)中における(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル成分の含有量は、40〜95重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましく、75〜95重量%が特に好ましい。
共重合体(A)中における(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル以外の、アルキル基の炭素数が6以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の含有量は、5〜60重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、10〜25重量%が特に好ましい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸アルキルエステル成分と、1−ビニル−2−ピロリドン成分とを含む共重合体(B)も好ましく挙げられる。
アルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、及びドデシルアクリレートなど挙げられる。これらは、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。なかでも、エチルアクリレート、及びn−オクチルアクリレートが好ましく挙げられる。
共重合体(B)中におけるアルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸アルキルエステル成分の含有量は、40〜95重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましく、80〜95重量%が特に好ましい。
共重合体(B)中における1−ビニル−2−ピロリドン成分の含有量は、5〜60重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の重合は、従来公知の方法にて行なえばよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の重合方法としては、例えば、重合開始剤の存在下で、上述のような単量体を溶液重合する方法などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の重合方法としては、所定量の単量体、重合開始剤、及び溶媒を、撹拌装置及び気化溶媒の冷却還流装置を備えた反応器に供給し、60〜80℃の温度で4〜48時間に亘って加熱して、上記単量体をラジカル重合反応させる方法が好ましく用いられる。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾビス系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド(LPO)、及びジターシャルブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。溶媒としては、例えば、酢酸エチルやトルエンなどが挙げられる。更に、上記重合反応は、窒素ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
粘着層中における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の含有量が少ないと、粘着層の凝集力が不足することがある。凝集力が不足している粘着層は、貼付剤を皮膚から剥離する際に皮膚に残るなどの問題を生じることがある。粘着層中における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の含有量が多いと、粘着層から充分な量のリバスチグミンを放出できるように、所定量のリバスチグミンを粘着層中に含有させることができないことがある。したがって、粘着層中における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体の含有量は、50〜95重量%が好ましく、60〜90重量%がより好ましく、64〜85重量%が特に好ましく、70〜85重量%が最も好ましい。
上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体を用いて形成された粘着層は、多量のリバスチグミンを含有させても貼付剤の保存安定性は良好であり、適度な粘着力があるにも関わらず皮膚から剥離する際に粘着層が皮膚に残ることがなく、更にリバスチグミンの経皮吸収性を高めることができる。したがって、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体は、リバスチグミンを担持させる粘着剤として好適に用いられる。
従来の貼付剤では抗酸化剤又はリバスチグミンの揮発抑制剤を含有させないと、貼付剤の保存中にリバスチグミンの分解が生じ保存安定性が低下したり、貼付剤の製造時にリバスリグミンが揮散してリバスリグミンの含有量が低下するなどの問題があった。しかしながら、本発明の貼付剤では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体がリバスチグミンの保存安定性に優れているため、抗酸化剤又は揮発抑制剤を添加する必要がない。
粘着層には、その物性を損なわない範囲内において、相溶化剤、充填剤などの他の添加剤を含有していることが好ましい。
相溶化剤によれば、リバスチグミンと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体との相溶性を向上させ、リバスチグミンの保存安定性を高めることができる。このような相溶化剤としては、リバスチグミンとアクリル粘着剤の両方に相溶する添加物であれば特に限定されず、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、アジピン酸イソプロピルなどのエステル類;ミリスチルアルコール、セタノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、及びステアリルアルコールなどの1価アルコール類;オクタンジオールなどの2価アルコール類;オレイン酸、及びステアリン酸などの酸類;並びに流動パラフィンなどが挙げられる。なかでも、ミリスチルアルコール、セタノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、及びステアリルアルコールなどの1価アルコール類が好ましく、ステアリルアルコールがより好ましい。
粘着層中における相溶化剤の含有量が多いと、粘着層の凝集力が低下して貼付剤を皮膚から剥離する際に粘着層が皮膚に残ることがある。したがって、粘着層中における相溶化剤の含有量は、20重量%以下が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が特に好ましい。
充填剤によれば、粘着層の粘着力を調節することができる。このような充填剤としては、例えば、無水ケイ酸、酸化チタン、及び酸化亜鉛などの無機充填剤;炭酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムなどの有機金属塩類;乳糖、結晶セルロース、エチルセルロース、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリアクリル酸、並びにポリメタクリル酸などが挙げられる。なかでも、無水ケイ酸、酸化チタン、及び酸化亜鉛などの無機充填剤が好ましく、無水ケイ酸がより好ましい。
粘着層中における充填剤の含有量が多いと、貼付剤の粘着力を過度に低下させることがある。したがって、粘着層中における充填剤は、5重量%以下が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましく、0.1〜1重量%が特に好ましい。
支持体の一面には複数の粘着層が積層一体化されていてもよいが、一層の粘着層のみが支持体の一面に積層一体化されていることが好ましい。
粘着層の厚みが薄いと、所望の薬物血中濃度を得るために必要な量のリバスチグミンを粘着層中に含有させることができないことがある。また、粘着層の厚みが厚いと、貼付剤の保存時や使用中に粘着層が支持体からはみ出したり貼付剤の貼付感が低下したり、粘着層の製造時における溶剤の除去に時間を要し、貼付剤の製造効率が低下したりすることがある。したがって、粘着層の厚みは、10〜500μmが好ましく、50〜250μmがより好ましく、50〜200μmが特に好ましく、70〜150μmが最も好ましい。
粘着層が積層一体化される支持体は、粘着層中の薬物の損失を防いで粘着層を保護するために用いられる。また、支持体には、貼付剤に自己支持性を付与するための強度を有していると共に、貼付剤に良好な貼付感を付与するための柔軟性を有していることが求められる。
このような支持体としては、特に限定されず、例えば、非発泡樹脂シート、発泡樹脂シート、不織布、織布、編布、アルミニウムシート、及びこれらを組み合わせた積層シートが挙げられる。
そして、非発泡樹脂シート及び発泡樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
不織布を構成する素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、SIS共重合体、SEBS共重合体、レーヨン、綿などが挙げられ、ポリエステルが好ましい。
支持体としては、その柔軟性や、リバスチグミンの損失防止効果の観点から、不織布と非発泡樹脂シートとが積層一体化されてなる積層シート、及びポリエチレンテレフタレートシートが好ましく、ポリエチレンテレフタレートシートがより好ましい。
粘着層中の薬物の損失防止や粘着層を保護する目的で、粘着層は、剥離シートによって剥離自在に被覆、保護されていることが好ましい。
剥離シートとしては、粘着層と対向させる面に離型処理が施されている剥離基材が挙げられる。剥離基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどからなる樹脂フィルムや、紙などが挙げられる。そして、離型処理は、例えば、剥離基材の粘着層と対向させる面にシリコーンなどの離型剤を塗布することにより行われる。
また、剥離シートのバリア性を向上させるために、剥離シートにアルミ箔やアルミ蒸着層が積層一体化されていていることが好ましい。さらに、剥離基材が紙からなる場合、剥離基材のバリア性を向上させる目的で、紙からなる剥離基材にポリビニルアルコールなどの樹脂を含浸させてもよい。
次に、本発明の貼付剤の製造方法を説明する。上記貼付剤の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(1)リバスチグミン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体及び必要に応じて添加剤を酢酸エチルなどの溶剤中に加え、均一になるまで攪拌して粘着層溶液を得た後、この粘着層溶液を支持体の一面に塗工して乾燥させることにより支持体の一面に積層一体化されてなる粘着層を得、必要に応じて、粘着層に剥離シートを、剥離シートの離型処理が施された面が粘着層に対向した状態となるように、積層する方法や、(2)リバスチグミン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体及び必要に応じて添加される添加剤を酢酸エチルなどの溶剤中に加え、均一になるまで攪拌して粘着層溶液を得た後、この粘着層溶液を剥離シートの離型処理が施された面上に塗工して乾燥させることによって剥離シート上に粘着層を形成し、この粘着層に支持体を積層一体化させる方法などが挙げられる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(アクリル粘着剤Aの調製)
アクリル粘着剤Aの調製を下記の要領で行なった。ドデシルメタクリレート13重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート78重量部及び2−エチルヘキシルアクリレート9重量部を含む単量体、並びに、酢酸エチル50重量部からなる反応液を40リットルの重合機に供給した。その後、重合機内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液に、ベンゾイルパーオキサイド0.5重量部をシクロヘキサン50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を、24時間かけて加えながら上記単量体を共重合させた。重合完了後に上記反応液に更に酢酸エチルを加えて、ドデシルメタクリレート−2−エチルヘキシルメタクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体からなるアクリル粘着剤Aの含有量が35重量%であるアクリル粘着剤溶液Aを得た。
(アクリル粘着剤Bの調製)
アクリル粘着剤Bの調製を下記の要領で行なった。エチルアクリレート100重量部、n−オクチルアクリレート80重量部及び1−ビニル−2−ピロリドン20重量部を含む単量体、並びに、酢酸エチル200重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに供給した。その後、このセパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、この反応液に、ベンゾイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル100重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を、27時間かけて加えながら上記単量体を重合させた。重合完了後に上記反応液に更に酢酸エチルを加えて、エチルアクリレート−n−オクチルアクリレート−1−ビニル−2−ピロリドン共重合体からなるアクリル粘着剤Bの含有量が32重量%であるアクリル粘着剤溶液Bを得た。
(アクリル粘着剤Cの調製)
アクリル粘着剤Cの調製を下記の要領で行なった。2−エチルヘキシルアクリレート190重量部、アクリル酸10重量部を含む単量体、並びに、酢酸エチル50重量部からなる反応液を40リットルの重合機に供給した。その後、重合機内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液に、ベンゾイルパーオキサイド0.5重量部をシクロヘキサン50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を、24時間かけて加えながら上記単量体を共重合させた。重合完了後に上記反応液に更に酢酸エチルを加えて、2−エチルヘキシルアクリレート−アクリル酸共重合体からなるアクリル粘着剤Cの含有量が35重量%であるアクリル粘着剤溶液Cを得た。
(実施例1〜12)
リバスチグミン、アクリル粘着剤溶液A、アクリル粘着剤溶液B、ステアリルアルコール(高級アルコール工業社製)、及び軽質無水ケイ酸(日本アエロジル社製、A200)を混合し、固形分の濃度が25重量%になるように溶媒として酢酸エチルを加えた後、均一になるまで混合して、粘着層溶液を作製した。
次に、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる剥離基材の一面にシリコーンが塗布されることにより離型処理が施された剥離シートを用意した。この剥離シートの離型処理面に粘着層溶液を塗布し、80℃で30分間乾燥させることにより、剥離シートの離型処理面に表1に示す厚さの粘着層が形成された積層体を作製した。なお、粘着層中における各成分の含有量を表1に示した。
そして、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体を用意した。この支持体の一面と、上記積層体の粘着層とが対向するように重ね合わせて、積層体の粘着層を支持体に転写させて積層一体化させることによって貼付剤を製造した。
(比較例1〜4)
リバスチグミン、アクリル粘着剤溶液C、ポリイソシアネート、高分子量のポリイソブチレン(BASF社製、オパノールB−100)、中分子量のポリイソブチレン(JX日鉱日石社製、ハイモール5H)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(JSR社製)、水素化石油樹脂(荒川化学工業社製、アルコンP−85)、シリコン粘着剤(ダウケミカル社製、Bio PSA Q7−4302)、及びシリコンオイル(ダウケミカル社製、Q7−9120)を、各成分の含有量が表2に示した値となっている粘着層が得られるように混合した以外は、実施例1と同様にして粘着層溶液を作製し、これを用いて貼付剤を得た。なお、比較例2〜4では、粘着層溶液の作製時に使用した溶媒として酢酸エチルに代えてトルエンを使用した。
実施例及び比較例で得られた貼付剤について、保存安定性(薬物濃度)及び保存安定性(耐コールドフロー性)を下記の要領で測定した。また、実施例及び比較例で得られた貼付剤について、透過性試験及び貼付試験を下記の要領で行った。これらの結果を表1及び表2に示した。
[保存安定性:薬物濃度]
製造直後の貼付剤から面積3cm2の試験片を6片切り出した後、遮光した包材に密封した。その後、3片の試験片を4℃にて、残り3片の試験片を60℃にて2週間保存した。保存後、それぞれの試験片の重量Wt(g)を測定した。剥離シートを剥がしてから、抽出液(酢酸エチル:メタノール(重量比)=3:2)を用いて、粘着層中のリバスチグミンを抽出し、HPLCを用いて粘着層中のリバスチグミン重量Wr(g)を定量した。支持体を酢酸エチルまたはトルエンを用いて洗浄した後に乾燥させ、剥離シートと支持体を合わせた重量Wp(g)を測定した。そして、下記式(1)を用いて粘着層中のリバスチグミン濃度を算出した。
リバスチグミン濃度(%)=[Wr/(Wt−Wp)]×100・・式(1)
4℃にて保存した試験片3片の粘着層中におけるリバスチグミン濃度の平均をC4、60℃にて保存した試験片3片の粘着層中におけるリバスチグミン濃度の平均をC60とし、下記式(2)を用いてリバスチグミンの残存率を算出した。
リバスチグミン残存率(%)=C60/C4×100・・式(2)
[保存安定性(耐コールドフロー性)]
製造直後の貼付剤から面積3cm2の試験片を6片切り出し、各試験片の重量を測定し、遮光した包材に密封して、3片の試験片を4℃にて、残り3片の試験片を60℃にて2週間保存した。保存後、包材から試験片を取り出し、試験片の外周からはみ出た粘着層がある場合ははみ出た部位を試験片から取り除き、試験片の重量を測定した。4℃にて保存した試験片の総重量をT4、60℃にて保存した試験片3片の総重量をT60とし、下記式(3)を用いて粘着層の重量変化率を算出した。
粘着層の重量変化率(%)=T60/T4×100・・式(3)
[透過性試験]
製造直後の貼付剤から直径が2cmの試験片を切り出した。一方、37℃に保持されたFranz型の拡散セルに、ヘアレスマウス(雄、8〜10週齢)の背部から摘出した皮膚を固定した。この皮膚の上端部に試験片をその粘着層によって貼付した。皮膚の下端部をリセプター液中に浸漬した。なお、pH7.2に調整した生理食塩水をリセプター液として用いた。
試験片を皮膚に貼付してから24時間後に、皮膚下側のリセプター液を採取し、リバスチグミン濃度をHPLCを用いて測定した。なお、試験片を3枚用意し、試験片毎に24時間後におけるリバスチグミン濃度を上記要領で測定した。そして、リバスチグミン濃度とリセプター液量から求められるリバスチグミン透過量を算出し、試験片毎に算出されたリバスチグミン透過量を相加平均し、その値をリバスチグミンの累積皮膚透過量(mg/cm2/24hr)とした。
[貼付試験]
製造直後の貼付剤から面積が5cm2の試験片を切り出し、ウサギ(雄、16〜18週齢)の剃毛した背部の皮膚に試験片を貼付した。貼付から6時間後と24時間後に試験片の貼付状態を観察した。表1において、貼付直後と変化が見られない場合を「良(good)」とし、皮膚から脱落している場合を「不可(very bad)」とし、脱落はしてないが貼付位置がずれている場合を「不良(bad)」とした。
Figure 2016130264
Figure 2016130264
本発明の貼付剤は、保存安定性に優れ、且つリバスチグミンの皮膚透過性がアルツハイマー病の治療に必要な経皮吸収量が得られる程度まで高められている。したがって、このような貼付剤は、リバスチグミンの経皮吸収製剤として好適に用いられる。

Claims (9)

  1. 支持体と、上記支持体の一面に積層一体化されてなり、且つカルボキシ基を有するアクリル系単量体成分を含有していない(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体、及びリバスチグミンを含有している粘着層と、を有していることを特徴とする貼付剤。
  2. (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、アルキル基の炭素数が1〜16である(メタ)アクリル酸アルキル成分を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  3. (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、1−ビニル−2−ピロリドン成分を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  4. (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル成分と、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル以外の、アルキル基の炭素数が6以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分とを含む共重合体(A)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  5. (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、アルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸アルキルエステル成分と、1−ビニル−2−ピロリドン成分とを含む共重合体(B)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  6. (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、アクリル酸2−エチルヘキシル成分と、メタアクリル酸2−エチルヘキシル成分と、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル以外の、アルキル基の炭素数が6以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分とを含む共重合体(A)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  7. (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体が、アルキル基の炭素数が1〜12である2種以上のアクリル酸アルキルエステル成分と、1−ビニル−2−ピロリドン成分とを含む共重合体(B)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  8. リバスチグミンが遊離塩基型であることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  9. 粘着層が、抗酸化剤及びリバスチグミン揮発抑制剤を含有していないことを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
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