JP2016129939A - 封止部材および液体収容容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体供給ユニットが装着されるキャリッジユニットの装着部側の構造を損傷するおそれが低い封止部材を提供すること。
【解決手段】インクカートリッジ100Aは、インク供給口95をZ軸に沿う方向に平面視したときにインク供給口95の中心Cからみて+Y方向(第1方向)に位置する嵌合穴113(第1係合部)と、インク供給口95をZ軸に沿う方向に平面視したときに中心Cからみて−Y方向(第2方向)に位置する突起部116(第2係合部)を備える。インクカートリッジ100Aに装着される封止部材200は、インク供給口95を塞ぐシール部250と、キャリッジユニット11のスロット38Aへのインクカートリッジ100Aの装着方向SDの前方で、且つ、インクカートリッジ100Aから離れる方向(−Z方向)に突出する突出部260、261を備える。
【選択図】図5
【解決手段】インクカートリッジ100Aは、インク供給口95をZ軸に沿う方向に平面視したときにインク供給口95の中心Cからみて+Y方向(第1方向)に位置する嵌合穴113(第1係合部)と、インク供給口95をZ軸に沿う方向に平面視したときに中心Cからみて−Y方向(第2方向)に位置する突起部116(第2係合部)を備える。インクカートリッジ100Aに装着される封止部材200は、インク供給口95を塞ぐシール部250と、キャリッジユニット11のスロット38Aへのインクカートリッジ100Aの装着方向SDの前方で、且つ、インクカートリッジ100Aから離れる方向(−Z方向)に突出する突出部260、261を備える。
【選択図】図5
Description
本発明は、液体供給ユニットの液体供給部に装着される封止部材、および封止部材を液体供給ユニットに取り付けた液体収容容器に関する。
インクジェットプリンターなどの液体噴射装置として、インクなどの液体を保持する液体供給ユニットをキャリッジユニットに着脱可能に装着して、液体供給ユニットから液体噴射装置にインクなどの液体を供給するものがある。この種の液体供給ユニットは、キャリッジユニット側に設けられた液体導入部に接続される液体供給部を備える。液体供給ユニットがキャリッジユニットに装着されていない状態では、液体供給部を封止する封止部材(キャップ)を液体供給ユニットに取り付けて、液体供給部から液体が漏れることを防止する。特許文献1には、この種の封止部材(保護キャップ)を液体供給ユニット(インクカートリッジ)に装着することが開示されている。
また、特許文献2には、インクを収容する筺体の底部にインク供給口(液体供給部)が設けられたインクタンク(インクカートリッジ/液体供給ユニット)が開示されている。インクタンクがキャリッジに搭載されたホルダユニットに装着されると、インク供給口からヘッドユニットへのインクの供給が可能になる。インクタンクの筺体側面には基板が取り付けられている。ホルダユニットには、インクタンクが装着された状態でインクタンク側の基板に設けられた接点と接触するコンタクトピンを備えたコンタクトユニットが設けられている。
液体供給部を封止部材で封止した液体供給ユニットは、キャリッジユニットに装着する前に封止部材を取り外す必要があるが、ユーザーがこのことに気付かず、封止部材を装着したままで液体供給ユニットをキャリッジユニットに装着しようとするおそれがある。この場合に、ユーザーが装着方向の力を無理に液体供給ユニットに加えると、封止部材によって装着部側の構造を損傷してしまうおそれがある。例えば、特許文献2のようにホルダユニットにコンタクトユニット(接点機構)が設けられている場合、封止部材がコンタクトユニットを損傷してしまうおそれがある。特に、封止部材を装着した液体供給ユニットをキャリッジユニットの装着部に挿入できてしまう場合には、無理に力を加えてキャリッジユニット側の構造を損傷してしまうまで、装着方法が間違っている(装着前に封止部材を取り外さなければならない)ことに気付かない。従って、装着部側の構造を損傷してしまうおそれが高い。
本発明の課題は、このような点に鑑みて、液体供給ユニットの液体供給部に着脱可能な封止部材であって、液体供給ユニットが装着される装着部側の構造を損傷するおそれが低い封止部材を提供することにある。
本発明の一形態は、液体を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部から前記液体を外部に供給可能な液体供給口と、前記液体供給口を平面視したときに前記液体供給口の中心からみて第1方向に位置する第1係合部と、前記液体供給口を平面視したときに前記液体供給口からみて前記第1方向とは反対方向のベクトル成分を有する第2方向に位置する第2係合部と、を含み、液体噴射装置のキャリッジユニットの装着部に装着可能である液体供給ユニットに、装着可能な封止部材であって、前記液体供給口を封止可能な封止部と、前記第1係合部に係合可能な第1被係合部と、前記第2係合部に係合可能な第2被係合部と、前記第1被係合部の前記第1係合部に対する係合状態または前記第2被係合部の前記第2係合部に対する係合状態を解除可能な操作部と、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記液体供給ユニットから離れる方向に突出し、前記封止部材を装着した状態における前記液体供給ユニットの前記キャリッジユニットの前記装着部への挿入を制限可能な突出部と、を備える、ことを特徴とする。
この形態によれば、封止部材の突出部が、液体供給ユニットに封止部材を装着した状態において液体供給ユニットから離れる方向に突出している。そのため、液体供給ユニットが封止部材を装着した状態では、液体供給ユニットはキャリッジユニットの装着部に入りにくくなる。従って、キャリッジユニットの装着部が有する構造を、封止部材が損傷してしまう危険を低減することができる。
本発明の一形態において、前記液体供給ユニットは、前記液体供給口を囲む壁部を含み、前記封止部が前記壁部に当接する面を基準面と定義するとき、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記突出部は前記基準面と交差する方向に沿って前記液体供給ユニットから離れる方向に向かって突出する、ことが望ましい。このようにすれば、液体供給ユニットに封止部材を装着した状態では、キャリッジユニットへの装着方向の前方側(基準面と交差する方向)に突出部が突出するので、液体供給ユニットがキャリッジユニットの装着部に入りにくくなる。従って、キャリッジユニットの装着部が有する構造を、封止部材が損傷してしまう危険を低減することができる。
本発明の一形態において、前記キャリッジユニットはコネクターユニットを有し、前記液体供給ユニットは前記コネクターユニットに電気的接続可能な端子部を含むものであり、前記液体供給ユニットは、前記液体供給口を囲む壁部を含み、前記封止部が前記壁部に当接する面を基準面と定義するとき、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記基準面と交差する方向に沿って前記封止部材と前記液体供給ユニットとを平面視したとき、前記突出部は前記端子部と重なる位置にあり、前記突出部は前記基準面と交差する方向に沿って前記端子部から離れる方向に突出する、ことが望ましい。このようにすれば、液体供給ユニットに封止部材を装着した状態では、液体供給ユニットがキャリッジユニットの装着部に入りにくくなる。従って、液体供給ユニットの端子部がキャリッジユニットのコネクターユニットに接続される前に、コネクターユニットを封止部材が損傷してしまう危険を低減することができる。
本発明の一形態において、前記液体供給ユニットは、前記液体供給口を囲む壁部を含み、前記封止部が前記壁部に当接する面を基準面と定義するとき、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記突出部は前記基準面に沿う方向に沿って前記液体供給ユニットから離れる方向に向かって突出する、ことが望ましい。このようにすれば、液体供給ユニットに封止部材を装着した状態では、キャリッジユニットへの装着方向と交差する方向(基準面に沿う方向)に突出部が突出する。その結果、液体供給ユニットはキャリッジユニットの装着部に入りにくくなる。このため、キャリッジユニットが有する構造を、封止部材が損傷してしまう危険を低減することができる。
本発明の一形態において、前記第1方向と前記第2方向とはいずれも前記基準面に沿う方向であり、前記突出部は前記第1方向および前記第2方向と交差する方向に突出する、ことが望ましい。このようにすれば、液体供給ユニットに封止部材を装着した状態では、キャリッジユニットへの装着方向と交差する方向(基準面に沿う方向)に突出部が突出する。その結果、液体供給ユニットはキャリッジユニットの装着部に入りにくくなる。このため、キャリッジユニットが有する構造を、封止部材が損傷してしまう危険を低減することができる。
本発明の一形態において、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記操作部は、前記基準面に沿う方向に沿って前記液体供給ユニットから離れる方向で、かつ前記突出部が突出する方向とは異なる方向に向かって突出する、ことが望ましい。このようにすれば、操作部と突出部は、キャリッジユニットへの装着方向と交差する方向(基準面に沿う方向)であって、且つ、異なる方向に突出するので、液体供給ユニットがキャリッジユニットの装着部により入りにくくなる。従って、キャリッジユニットの装着部が有する構造を、封止部材が損傷してしまう危険を低減することができる。
本発明の一形態は、上記の封止部材と、前記液体供給ユニットと、を備えることを特徴とする液体収容容器である。このような液体収容容器は、キャリッジユニットの装着部に入りにくい。従って、キャリッジユニットが有する構造を、封止部材が損傷してしまう危険を低減することができる。
以下に、図面を参照して、本発明を適用した封止部材、および、この封止部材を液体供給ユニットに装着した液体収容容器の実施形態を説明する。
[実施形態1]
(インクジェットプリンター)
図1はインクカートリッジを装着したプリンターの斜視図であり、図1(a)は外観斜視図、図1(b)はケースを取り外した状態のプリンターの斜視図である。液体噴射装置としてのプリンター1は、直方体形状のケース2を備える。ケース2はプリンター1の外殻を構成する。ケース2の上面には長方形の給紙カバー3が設けられている。給紙カバー3は、その後端部分を中心に開閉可能である。給紙カバー3を上方に開くと、印刷媒体Pを挿入する給紙口4が外部に露出する。また、ケース2の前面には、排紙カバー5が設けられている。排紙カバー5は、その下端部分を中心にして開閉可能である。排紙カバー5を前方に開くと、印刷媒体Pを排出する排紙口6が外部に露出する。
(インクジェットプリンター)
図1はインクカートリッジを装着したプリンターの斜視図であり、図1(a)は外観斜視図、図1(b)はケースを取り外した状態のプリンターの斜視図である。液体噴射装置としてのプリンター1は、直方体形状のケース2を備える。ケース2はプリンター1の外殻を構成する。ケース2の上面には長方形の給紙カバー3が設けられている。給紙カバー3は、その後端部分を中心に開閉可能である。給紙カバー3を上方に開くと、印刷媒体Pを挿入する給紙口4が外部に露出する。また、ケース2の前面には、排紙カバー5が設けられている。排紙カバー5は、その下端部分を中心にして開閉可能である。排紙カバー5を前方に開くと、印刷媒体Pを排出する排紙口6が外部に露出する。
本明細書では、相互に直交する3方向を向く座標軸をX軸、Y軸、Z軸とし、インクカートリッジ20の構造の位置を示すために用いるものとする。図1に示すXYZの3方向は、矢印の向きが+方向(正方向)、矢印の向きとは逆向きが−方向(負方向)を示す。プリンター1の構造の位置についても、インクカートリッジ20が装着されている状態を想定し、XYZの3方向を用いて説明する。プリンター1は、その使用状態において、水平な平面であるXY面に配置される。このとき、印刷媒体Pを搬送する副走査方向がY軸に沿う方向であり、副走査方向と交差する主走査方向がX軸に沿う方向である。また、鉛直方向はZ軸に沿う方向であり、−Z方向が鉛直下方向となる。また、本明細書において、複数とは、2を含み、3以上の数を有する。
プリンター1は、ケース2の内部に収容される機構ユニットを備える。機構ユニットは、キャリッジユニット11と、キャリッジユニット11を主走査方向であるX軸に沿う方向に往復移動させるキャリッジ移動機構と、副走査方向であるY軸に沿う方向に印刷媒体Pを搬送する搬送機構等を備える。キャリッジ移動機構は、X方向に延びるキャリッジガイド軸12と、キャリッジユニット11をキャリッジガイド軸12に沿って移動させるベルト機構13およびキャリッジモーター(図示省略)等を備える。キャリッジユニット11は、ケース2内の+X方向の端位置と、−X方向の端位置との間を移動する。搬送機構は、搬送ローラー14と、この搬送ローラー14を駆動する搬送モーター16等を備える。
図2(a)はインクカートリッジを装着したキャリッジユニット11の斜視図であり、図2(b)はインクカートリッジ取り外したキャリッジユニット11の斜視図である。キャリッジユニット11は、液体収容ユニットとしてのインクカートリッジ100A、100Bを装着可能なホルダー30と、ホルダー30の下側(−Z方向側)に配置された印刷ヘッド15を備える。印刷ヘッド15はインクジェットヘッドであり、インクカートリッジ100A、100Bから供給されるインクを印刷媒体Pに向けて吐出して、印刷媒体Pに印刷を施す。
インクカートリッジ100Aにはブラックのインクが貯留されており、インクカートリッジ100Bには、シアン、マゼンタ、イエローのインクが貯留されている。なお、インクの種類はこのような色に限定されるものではなく、用途に応じて適宜変更可能である。例えば、インクカートリッジ100Bにもブラックのインクが貯留されていてもよい。また、インクカートリッジ100Bの代わりに、単色のインクを貯留する複数のインクカートリッジを装着する構造にしてもよい。更に、インクカートリッジ100Aが複数の色のインクを貯留するものであってもよい。本明細書において、インクとは水性インクと油性インクのいずれか一方に限定されるものではない。水性溶媒に溶質が溶解したもの、水性分散媒に分散質が分散したもの、油性溶媒に溶質が溶解したもの、油性分散媒に分散質が分散したもののいずれでもよい。
ホルダー30は、インクカートリッジ100A、100Bが上方(+Z方向)から装着されるカートリッジ収容部31を備える。ホルダー30は、底部32と、底部32の4辺から+Z方向に立ち上がる側壁33、34および前壁35、後壁36を備える。カートリッジ収容部31は、底部32および側壁33、34、前壁35、後壁36によって囲まれる凹部空間である。側壁33、34はそれぞれ、カートリッジ収容部31の+X方向および−X方向に位置し、前壁35はカートリッジ収容部31の+Y方向に位置し、後壁36はカートリッジ収容部31の−Y方向に位置する。
カートリッジ収容部31は、Y方向に延在する仕切り板37によってスロット38Aとスロット38Bに仕切られている。スロット38A(装着部)にはインクカートリッジ100Aが装着され、スロット38Bにはインクカートリッジ100Bが装着される。インク導入部40Aは、スロット38Aの底部に1つ設けられている。また、インク導入部40Bは、スロット38Bの底部に3つ設けられている。
インク導入部40A、40Bは、それぞれ、底部32から+Z方向に突出する筒状部41と、筒状部41の先端に取り付けられたメッシュフィルター42と、筒状部41を囲む環状のシール部43を備える。筒状部41の先端にはインクが通過する流路の一端(上端)が開口し、この流路の他端(下端)は印刷ヘッド15のヘッド内流路に接続する。メッシュフィルター42は、その中央部分が上方(+Z方向)に突出するドーム形状をしている。シール部43はゴムなどの弾性体であり、Z軸に沿う方向に弾性変形可能である。インク導入部40Aは、インクカートリッジ100Aがカートリッジ収容部31のスロット38Aに装着されたとき、後述するインクカートリッジ100A側のインク供給部90と接続される。
スロット38Aには接点機構50A(コネクターユニット)が設けられ、スロット38Bには接点機構50Bが設けられている。接点機構50A、50Bは、+Y方向側に位置する前壁35の内側面に配置されている。接点機構50A、50Bは、それぞれ、底部32および前壁35が繋がる角部に配置された端子台51と、端子台51に保持された端子群52を備える。端子群52を構成する複数の端子のそれぞれは、端子台51から突出する方向に付勢された接触部を備える。
(インクカートリッジ)
図3はインクカートリッジ100Aを下側から見た斜視図である。また、図4はインクカートリッジ100Aの分解斜視図である。図3、図4に示すXYZの3方向は、インクカートリッジ100Aがカートリッジ収容部31のスロット38Aに装着された状態での方向を示す。インクカートリッジ100Aは、−Z方向側に位置する底面101と、+Z方向側に位置する上面102と、+Y方向側に位置する前面103と、−Y方向側に位置する後面104と、+X方向側に位置する側面105と、−X方向側に位置する側面106を備える。
図3はインクカートリッジ100Aを下側から見た斜視図である。また、図4はインクカートリッジ100Aの分解斜視図である。図3、図4に示すXYZの3方向は、インクカートリッジ100Aがカートリッジ収容部31のスロット38Aに装着された状態での方向を示す。インクカートリッジ100Aは、−Z方向側に位置する底面101と、+Z方向側に位置する上面102と、+Y方向側に位置する前面103と、−Y方向側に位置する後面104と、+X方向側に位置する側面105と、−X方向側に位置する側面106を備える。
インクカートリッジ100Aの前面103からは、キャリッジ係合部115が前方(+Y方向)に突出し、その下側には端子部60が配置されている。端子部60は、キャリッジ係合部115と前面103とが繋がる角部に配置された基板保持部61と、基板保持部61に保持された回路基板62と、回路基板62に搭載された端子群63を備える。回路基板62の表面は斜め前方下側を向いており、端子群63は、回路基板62の表面に配列された接触部を備える。端子群63は、インクカートリッジ100Aのインクに関する情報(インク量やインク色など)が記憶された記憶素子と電気的に接続されている。インクカートリッジ100Aがカートリッジ収容部31のスロット38Aに装着されたとき、端子群63の接触部は、カートリッジ収容部31側の接点機構50Aに設けられた端子群52の接触部と弾性的に接触する。この結果、インクカートリッジ100Aとプリンター1の間で各種の情報の伝達が可能となる。
図4に示すように、インクカートリッジ100Aは、直方体状の筺体110と、筺体110の上端開口を封鎖する矩形の蓋120を備える。蓋120は、矩形の蓋部材121と、蓋部材121の上面に溶着される矩形のシール部材122と、蓋部材121の裏面に溶着される矩形のシール部材123を備える。インク室111(液体収容部)は、筺体110の内部空間であり、ここに直方体状の第1インク保持部材131と略平板状の第2インク保持部材132が収容される。第2インク保持部材132は筺体110の底部に配置され、第1インク保持部材131は第2インク保持部材132の上に載っている。
インクカートリッジ100Aの底面101には、インク供給部90が設けられている。インク供給部90は、インク室111のインクを外部に供給可能な部位である。インク供給部90は、底面101の中央で筺体110の底部を貫通するインク供給穴91と、インク供給穴91を囲む壁部92を備える。壁部92は、インク供給穴91の周囲で−Z方向を向いた開口面94を備える。インクカートリッジ100Aがカートリッジ収容部31のスロット38Aに装着された状態では、インク供給部90は、スロット38Aの底部中央に設けられたインク導入部40Aと接続される。すなわち、インク供給穴91を囲む壁部92の開口面94は、筒状部41を囲むシール部43と弾性的に接触して、液密状態を保つ機能を有する。これにより、インク供給穴91と筒状部41の周囲が液密状態となり、インクの漏出が防止される。また、この状態で、インク供給穴91を覆うように配置された第2インク保持部材132にメッシュフィルター42が押し付けられた状態で面接触する。
本明細書において、インク供給部90のうち、インクが通過可能な部分がインク供給口95である。インク供給部90のうちインクが通過可能な部分とは、インク供給穴91を覆うように配置された第2インク保持部材132のうち、インク供給量に寄与する有効領域である。具体的には、インク供給穴91から外部に露出する第2インク保持部材132が、上述したインク導入部40Aのメッシュフィルター42と接触する領域がインク供給口95である。また、インク導入部40Aのうちインクが通過可能な部分がインク導入口45(図2参照)である。インク導入口45は、具体的には、メッシュフィルター42のうちインク供給量に寄与する有効領域であり、第2インク保持部材132とメッシュフィルター42とが接触する領域である。インクカートリッジ100Aがカートリッジ収容部31のスロット38Aに装着されると、インク供給口95とインク導入口45とが接続される。
また、本明細書において、インクカートリッジ100Aのインク供給部90が、キャリッジユニット11に形成されたスロット38Aのインク導入部40Aに当接する面を基準面SPとし、インク供給部90とインク導入部40Aとが当接する方向を装着方向SDとすると、装着方向SDは基準面SPに対し垂直となる方向である。上述したように、インク供給部90とインク導入部40Aは、開口面94とシール部43とが当接するので、基準面SPは開口面94である。プリンター1の使用状態では、開口面94はXY面であるため、基準面SPはXY面であり、装着方向SDはZ方向である(図7参照)。本明細書において、「基準面SPに沿う方向」とは、基準面SPと平行な方向だけでなく、基準面SPと平行なベクトルを含む方向を意味する。
第2インク保持部材132は、ポリプロピレンなどを延伸させて繊維状にしたものを束ねた繊維部材、あるいは、ポリウレタンなどの発泡体からなる多孔質部材である。第2インク保持部材132は、繊維や発泡体などの隙間である細孔にインクを保持可能である。また、第1インク保持部材131は、繊維部材あるいは多孔質部材からなり、繊維や発泡体などの隙間である細孔にインクを保持可能である。第1インク保持部材131は、第2インク保持部材132に対し、インク供給部90と逆の側(+Z方向側)から接触する。従って、第1インク保持部材131が保持するインクは第2インク保持部材132に供給される。そして、メッシュフィルター42と第2インク保持部材132とが面接触することにより、第2インク保持部材132からインク導入部40Aへのインクの供給が可能になる。
図4に示すように、蓋部材121には、注入孔124と、貫通孔125a、125bと、溝部126と、大気孔128が形成されている。注入孔124、貫通孔125a、125b、大気孔128は、蓋部材121を貫通する。注入孔124は、蓋部材121の中央に位置する。また、貫通孔125a、125bは、蓋部材121の対角位置にある2つの角部に配置され、大気孔128は、貫通孔125aの近傍に配置されている。
溝部126は、注入孔124と貫通孔125a、125bとを接続する。蓋部材121の表面に溶着されるシール部材122は、大気孔128は封止せず、注入孔124、貫通孔125a、125b、および溝部126の縁に沿って延びる突出部に上方(+Z方向)から密着する。これにより、注入孔124、貫通孔125a、125b、および溝部126が封止されて、蓋部材121の上面に大気の流路を形成する。また、貫通孔125aと大気孔128は、蓋部材121の裏面(下面)に形成された溝部を介して接続され、シール部材123によって封止される。これにより、蓋部材121の裏面に、貫通孔125aと大気孔128とを連通する大気の流路が形成される。
インクカートリッジ100Aがキャリッジユニット11に装着された状態では、大気孔128から大気を導入することができる。インクカートリッジ100Aのインク供給部90からキャリッジユニット11側のインク導入部40Aへインクが流出すると、大気孔128を介して貫通孔125aへと大気が流入し、溝部126を介して貫通孔125bへと大気が流入する。そして、貫通孔125a、125bからインク室111へ大気が導入される。この大気の経路は、蓋部材121の上面で曲折する溝部126を含むため、経路長が長い。これにより、インク室111からのインクの蒸発が押さえられる。
蓋部材121の前端(+Y方向の端縁)には、+Y方向に延出する延出部127と延出部129が形成されている。延出部127は−X方向の角部に位置し、ここに大気孔128が形成されている。延出部129は蓋部材121の前端の略中央に位置し、−Z方向に階段状に下降する形状である。蓋120が筺体110の上端開口を封鎖している状態では、延出部129は、インクカートリッジ100Aの前面103の上端近傍で、且つ、X方向のほぼ中央の位置から突出するキャリッジ係合部115の凹部に嵌合する。
インクカートリッジ100Aの前面103の下端部には、2つの嵌合穴113が形成されている。嵌合穴113は、前面103の下端部のX方向の両端に1つずつ形成されている。また、前面103の上端部には、Z軸に沿って見た場合に蓋部材121の延出部127と重なる位置に、延伸部114が形成されている。蓋120が筺体110の上端開口を封鎖している状態では、延出部127は延伸部114によって支持される。
インクカートリッジ100Aの後面104には、2つの突起部116が設けられている。突起部116は、後面104の下端部のX方向の両端の位置で1つずつ、後方(−Y方向)に突出する。キャリッジ係合部115、嵌合穴113、および突起部116は、インクカートリッジ100Aがキャリッジユニット11のスロット38Aに装着されるとき、キャリッジユニット11と係合する係合部として機能する。また、嵌合穴113および突起部116は、インクカートリッジ100Aに後述する封止部材200が装着されるとき、封止部材200と係合する係合部として機能する。
このように、インクカートリッジ100Aは、インク供給口95をZ軸に沿う方向に平面視したときにインク供給口95の中心C(図3、図7参照)からみて+Y方向(第1方向)に位置する嵌合穴113(第1係合部)と、インク供給口95をZ軸に沿う方向に平面視したときに中心Cからみて+Y方向(第1方向)とは反対方向のベクトル成分を有する−Y方向(第2方向)に位置する突起部116(第2係合部)と、を備える。
インクカートリッジ100Aの側面105、106には、インクカートリッジ100Aの高さ方向(Z軸に沿う方向)に延在する複数の柱状のリブ119が形成されている。リブ119はインクカートリッジ100Aの補強部として機能すると共に、インクカートリッジ100Aがキャリッジユニット11のスロット38Aに装着されるときの係合部としても機能する。なお、本明細書において、「係合する」とは、部位と部位が、移動方向が規制されるような位置関係で配置されることを意味する。
(封止部材)
図5は、封止部材および封止部材をインクカートリッジに装着した状態の斜視図であり、図5(a)は封止部材をインクカートリッジ100Aに装着した状態を示す斜視図、図5(b)は封止部材の斜視図である。また、図6は封止部材の平面図、正面図、底面図および側面図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は正面図、図6(c)は底面図、図6(d)は+X方向から見た側面図、図6(e)は−X方向から見た側面図である。そして、図7は、封止部材200をインクカートリッジ100Aに装着した状態の断面図であり、YZ面で切断した断面図である。図5〜7に示すXYZの3方向は、インクカートリッジ100Aをキャリッジユニット11に装着した場合と同じ姿勢で配置し、この姿勢のインクカートリッジ100Aに装着する場合の封止部材200の姿勢を前提にした方向である。
図5は、封止部材および封止部材をインクカートリッジに装着した状態の斜視図であり、図5(a)は封止部材をインクカートリッジ100Aに装着した状態を示す斜視図、図5(b)は封止部材の斜視図である。また、図6は封止部材の平面図、正面図、底面図および側面図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は正面図、図6(c)は底面図、図6(d)は+X方向から見た側面図、図6(e)は−X方向から見た側面図である。そして、図7は、封止部材200をインクカートリッジ100Aに装着した状態の断面図であり、YZ面で切断した断面図である。図5〜7に示すXYZの3方向は、インクカートリッジ100Aをキャリッジユニット11に装着した場合と同じ姿勢で配置し、この姿勢のインクカートリッジ100Aに装着する場合の封止部材200の姿勢を前提にした方向である。
図5(a)に示すように、工場から出荷される未使用状態のインクカートリッジ100Aには、インク供給部90を塞ぐ封止部材200、および、大気孔128を塞ぐフィルム201が装着されている。フィルム201は、インクカートリッジ100Aの上面102で、大気孔128が形成された延出部127を含む領域に溶着されている。封止部材200は、インクカートリッジ100Aの底部に装着されている。フィルム201と封止部材200によって、未使用のインクカートリッジ100Aを密封する保護部材が構成される。
インクカートリッジ100Aは、保護部材(フィルム201、封止部材200)の装着によってインクが密封された状態となるため、インクの品質を長期間維持可能になる。本明細書では、封止部材200およびフィルム201が装着されたインクカートリッジ100Aを、インクを収容して保存するインク収容容器100C(液体収容容器)と呼ぶ。封止部材200およびフィルム201をインクカートリッジ100Aから取り外すときには、フィルム201を剥がして大気孔128のシールを解除した後に、封止部材200によるインク供給部90のシールを解除する。
封止部材200は、キャップ部220と、正面端壁部230と、接続部240と、突出部260、261を備えており、一体成型で製造されている。キャップ部220は、インク供給部90を塞ぐように、インクカートリッジ100Aの底部に装着される部位である。正面端壁部230は、キャップ部220の前方(+Y方向)に配置され、接続部240によってキャップ部220と接続される。
キャップ部220は、インクカートリッジ100Aの底面101に対向する底面壁部221と、底面壁部221の前方(+Y方向)の端縁に沿って形成された正面壁部222と、底面壁部221の後方(−Y方向)の端縁に沿って形成された背面壁部223と、底面壁部221の側方(+X方向)の端縁に沿って形成された側壁部224と、底面壁部221の側方(−X方向)の端縁に沿って形成された側壁部225を備える。
底面壁部221には、インク供給部90を塞ぐシール部250と、シール部250を中心とする矩形のラインに沿って延在する周壁部252が形成されている。シール部250は、インク供給穴91の全体を被覆可能な円形の領域に配置され、エラストマーなどの弾性樹脂によって構成される。周壁部252は、底面壁部221から上方(+Z方向)に一定高さで突出し、シール部250のZ軸に沿う方向の厚みよりも突出高さが小さい。周壁部252は、封止部材200がインクカートリッジ100Aに装着された状態で、インクカートリッジ100Aの底面101に当接しない。周壁部252は、インク供給部90から漏れ出たインクを溜めることができる。この構造により、インク供給部90から漏れ出たインクが底面壁部221に沿って広がることを防ぐことができる。
正面壁部222、背面壁部223、および側壁部224、225は、底面壁部221の外周縁を囲む周壁部を構成する。正面壁部222の上端は、シール部250を囲む周壁部252の上端よりも低い位置にある。従って、封止部材200がインクカートリッジ100Aに装着された状態で、正面壁部222はインクカートリッジ100Aの底面101よりも低い位置にある。背面壁部223は、封止部材200がインクカートリッジ100Aに装着された状態で、インクカートリッジ100Aの後面104に後方(−Y方向)から対面し、インクカートリッジ100Aを後方から支持する。また、背面壁部223には、インクカートリッジ100Aの後面104から突出する突起部116に対して上側(+Z方向側)から係合可能な延出部226(第2被係合部)が形成されている。側壁部224、225は、封止部材200がインクカートリッジ100Aに装着された状態で、それぞれ、インクカートリッジ100Aの側面105、106と対面し、インクカートリッジ100AをX方向の両側から挟むように配置される。
正面端壁部230は、正面壁部222から前方(+Y方向)に離れた位置でX方向に延在する延伸部231と、延伸部231の−X方向の端部上面から上方(+Z方向)に延在する支柱部232と、延伸部231の−X方向の端部前面から斜め上向き前方に突出する板状の操作部233を有する。操作部233は、インクカートリッジ100Aから封止部材200を取り外すときに、ユーザーが指を掛ける部位である。
延伸部231は正面壁部222と平行に延びており、インクカートリッジ100Aが配置されている側(−Y方向側)に突出する2つの嵌合突起部234(第1被係合部)を備える。延伸部231は、キャリッジ係合部115よりも下側に配置され、インクカートリッジ100Aの前面103の下端と対面して、インクカートリッジ100Aを前方から支持する部位である。また、2つの嵌合突起部234は、それぞれ、インクカートリッジ100Aの前面103に形成された2つの嵌合穴113のうち対応するひとつに挿入される。このように、背面壁部223の延出部226と、正面端壁部230の嵌合突起部234によって、インクカートリッジ100Aを封止部材200に係止することができる。
つまり、実施形態1の封止部材200は、インク供給部90のインク供給口95を封止可能なシール部250と、嵌合穴113(第1係合部)に係合可能な嵌合突起部234(第1被係合部)と、突起部116(第2係合部)に係合可能な延出部226(第2被係合部)を備える。また、封止部材200は、嵌合穴113(第1係合部)の嵌合突起部234(第1被係合部)に対する係合状態、または、突起部116(第2係合部)の延出部226(第2被係合部)に対する係合状態を解除可能な操作部233を備える。
支柱部232の上端面には、上述したフィルム201が溶着される。支柱部232の上端面とフィルム201とは、少なくともフィルム201のインクカートリッジ100Aに対する接合力よりも高い接合力で溶着されている。ここで、フィルム201は、略長方形のテープ状の樹脂フィルムによって構成される。フィルム201は、封止部材200がインクカートリッジ100Aに装着された状態で、インクカートリッジ100Aの上面102と支柱部232との間に、ほぼ弛みのない状態で張設される。フィルム201は、インクカートリッジ100Aの上面102に溶着されていない端部202を備える。この端部202を引っ張ることによって、フィルム201をインクカートリッジ100Aの上面から剥離させることができる。
接続部240は、正面壁部222におけるX方向のほぼ中央に接続されて前方(+Y方向)に突出する肉厚部241と、肉厚部241の前端から上方(+Z方向)に立ち上がる薄肉部242を備える。薄肉部242は、X軸に沿う方向に見た場合に、肉厚部241よりも厚み(Y軸に沿う方向の厚み)が薄い。なお、肉厚部241と薄肉部242の厚みは、適宜設定することが可能である。薄肉部242の上端は、延伸部231に下側から接続されている。薄肉部242と肉厚部241との接続部である屈曲部位243は、後述するように、封止部材200をインクカートリッジ100Aから取り外す際に、正面端壁部230が下端を中心として前方(インクカートリッジ100Aの前面103から離れる方向)に倒れる際の支点となる部位である。接続部240は、X軸に沿う方向に見た場合に、正面端壁部230の延伸部231よりもX方向の幅が狭い。従って、正面端壁部230を前方に倒すことが容易である。
図6に示すように、正面壁部222の前方でX方向に延在する延伸部231の下側には、接続部240の+X方向側に配置された突出部260、および、接続部240の−X方向側に配置された突出部261が形成されている。突出部260、261は、延伸部231から下方(−Z方向)に突出する板状の部位である。図6(d)、図6(e)に示すように、突出部260、261の下端は、封止部材200の下端面である底面壁部221よりも上方(+Z方向)に位置する。また、突出部260、261は、X軸に沿う方向に見た場合にはいずれも薄肉部242と重なる位置に配置されている。
また、図6(b)、図6(c)に示すように、突出部260、261は、Y軸に沿う方向に見た場合には、キャップ部220と重なる範囲内に配置されている。延伸部231の+X方向の端部231aはキャップ部220の側壁部224よりも−X方向側に位置し、突出部260は、端部231aから更に+X方向側に突出している。一方、延伸部231の−X方向の端部231bはキャップ部220の側壁部225よりも−X方向側に突出しており、突出部260は、端部231bよりも+X方向側に後退した位置にある。
図6(e)、図7に示すように、インクカートリッジ100Aの底面101は、キャップ部220の正面壁部222よりも上方に位置する。そして、延伸部231から下方(−Z方向)に突出する突出部260、261は、底面101から離れる方向に突出する。すなわち、突出部260、261の突出方向は、上述した基準面SP(XY面)と交差する方向(Z軸に沿う方向)で、インクカートリッジ100Aから離れる方向(−Z方向)である。
このような形態では、封止部材200を装着したインクカートリッジ100Aをキャリッジユニット11のスロット38Aへ装着しようとした場合に、装着方向の先端に位置する封止部材200から突出する突出部260、261がキャリッジユニット11の構造(例えば、前壁35の上端や、側壁34の上端など)と干渉しやすい。従って、封止部材200を装着した状態のインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入りにくい。よって、スロット38Aの構造を、封止部材200が損傷してしまう危険を低減することができる。
突出部260、261は、Z軸に沿う方向に平面視した場合に、インクカートリッジ100Aの前面103よりも前方(+Y方向)に位置している。また、図6(c)に示すように、インクカートリッジ100Aの端子部60は、前面103から前方(+Y方向)に突出している。従って、端子部60は、Z軸に沿う方向に平面視した場合に、突出部260、261と重なる位置にある。また、突出部260、261は、端子部60から離れる方向(−Z方向)に突出する。従って、封止部材200を装着したインクカートリッジ100Aをキャリッジユニット11のスロット38Aへ装着しようとしても、突出部260、261によって、端子部60がキャリッジユニット11の構成部材と接触することが妨げられる。従って、端子部60が損傷する危険を低減することができる。
封止部材200は、突出部260、261が突出する方向(−Z方向)とは異なる方向で、インクカートリッジ100Aから離れる方向に突出する部位を備える。具体的には、正面端壁部230の延伸部231から斜め前方に突出する操作部233は、上述した基準面SP(XY面)に沿う方向であるY方向に沿って、インクカートリッジ100Aから離れる方向(+Y方向)で、かつ前記突出部が突出する方向(−Z方向)とは異なる方向に向かって突出する。従って、突出部260、261だけでなく、操作部233によっても、インクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることが妨げられる。よって、キャリッジユニット11が有する構造を、封止部材200が損傷してしまう危険をより低減することができる。
なお、実施形態1の突出部260、261は、その突出方向が基準面SPに沿う方向と交差する方向であればよく、−Z方向に対して傾いていてもよい。突出部260、261の突出方向が、基準面SPに沿う方向と交差するベクトル成分を持つ方向であれば、封止部材200を装着したインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることを妨げることができる。
図8は、実施形態1の封止部材200をインクカートリッジ100Aから取り外す工程の説明図である。第1工程では、ユーザーがフィルム201の端部202を支柱部232側に引っ張ることによって、フィルム201がインクカートリッジ100Aの上面102から剥離される。これにより、大気孔128のシール状態が解除されると共に、支柱部232のインクカートリッジ100Aに対する固定状態が解除される。
第2工程では、ユーザーが操作部233を指で下方(−Z方向)に押すことによって、支柱部232を含む正面端壁部230全体が、接続部240の屈曲部位243を支点として前方に倒れる方向に回動する。これにより、正面端壁部230がインクカートリッジ100Aの前面103から離れるので、正面端壁部230に形成された嵌合突起部234がインクカートリッジ100Aの嵌合穴113から離れ、その係合状態が解除される。
続いて、第3工程では、インクカートリッジ100Aをキャップ部220から取り外す。すなわち、インクカートリッジ100Aの前面103側を上方(+Z方向)に持ち上げるように傾けて、インクカートリッジ100Aの突起部116を、封止部材200の延出部226の下側から抜き出し、しかる後にインクカートリッジ100Aを持ち上げる。これにより、インクカートリッジ100Aのインク供給穴91を囲む壁部92がキャップ部220のシール部250から離れ、インク供給部90の封止状態が解除される。
なお、封止部材200は、操作部233の操作によって、先にインクカートリッジ100Aの嵌合穴113と封止部材200の嵌合突起部234との係合を解除するものであったが、先にインクカートリッジ100Aの突起部116と封止部材200の延出部226との係合を解除し、インクカートリッジ100Aを傾けて嵌合穴113と嵌合突起部234との係合を解除することができるような操作部を備える構成にしてもよい。
[実施形態2]
(第1の例)
図9は、実施形態2の封止部材の第1の例を示す斜視図である。また、図10は実施形態2の封止部材の第1の例を示す平面図、後面図、底面図および側面図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は後面図、図10(c)は底面図、図10(d)は+X方向から見た側面図、図10(e)は−X方向から見た側面図である。以下、実施形態2について、既に説明した形態と同一の部分は同一の符号で示して説明を省略し、異なる部分のみ異なる符号を付して説明する。
(第1の例)
図9は、実施形態2の封止部材の第1の例を示す斜視図である。また、図10は実施形態2の封止部材の第1の例を示す平面図、後面図、底面図および側面図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は後面図、図10(c)は底面図、図10(d)は+X方向から見た側面図、図10(e)は−X方向から見た側面図である。以下、実施形態2について、既に説明した形態と同一の部分は同一の符号で示して説明を省略し、異なる部分のみ異なる符号を付して説明する。
第1の例の封止部材200Aは、実施形態1の突出部260、261に代えて、キャップ部220から後方に突出する突出部262を備える。他の構造は、実施形態1と同一である。図9、図10に示すように、突出部262は、背面壁部223の下端から後方(−Y方向)に突出する。突出部262は、XY面と平行な略矩形の板状であり、背面壁部223の幅方向(X方向)の中央に位置する。突出部262の突出方向である−Y方向は、上述した基準面SP(インク供給部90の開口面94と、インク導入部40Aのシール部43とが当接する面)に沿ってインクカートリッジ100Aから離れる方向である。
突出部262が突出する方向(基準面SPに沿う方向)は、キャリッジユニット11へのインクカートリッジ100Aの装着方向SDと交差する方向である。従って、封止部材200Aを装着したインクカートリッジ100Aをキャリッジユニット11のスロット38Aへ装着しようとしたとき、突出部262によって、封止部材200Aを装着したインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることが妨げられる。従って、キャリッジユニット11が有する構造を、封止部材200Aが損傷してしまう危険を低減することができる。
(第2の例)
図11は、実施形態2の封止部材200Bの第2の例を示す斜視図である。また、図12は実施形態2の封止部材200Bの第2の例を示す平面図、正面図、底面図および側面図であり、図12(a)は平面図、図12(b)は正面図、図12(c)は底面図、図12(d)は+X方向から見た側面図、図12(e)は−X方向から見た側面図である。第2の例の封止部材200Bは、実施形態1の突出部260、261に代えて、突出部263、264を備える。他の構造は、実施形態1と同一である。図11、図12に示すように、突出部263は、側壁部224の下端から側方(+X方向)に突出する。また、突出部264は、側壁部225の下端から側方(−X方向)に突出する。突出部263、264は、XY面と平行な略矩形の板状である。突出部263、264の突出方向である+X方向および−X方向は、第1の例と同様に、基準面SPに沿ってインクカートリッジ100Aから離れる方向である。従って、突出部263、264によって、封止部材200Bを装着したインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることが妨げられる。よって、キャリッジユニット11が有する構造を、封止部材200Bが損傷してしまう危険を低減することができる。
図11は、実施形態2の封止部材200Bの第2の例を示す斜視図である。また、図12は実施形態2の封止部材200Bの第2の例を示す平面図、正面図、底面図および側面図であり、図12(a)は平面図、図12(b)は正面図、図12(c)は底面図、図12(d)は+X方向から見た側面図、図12(e)は−X方向から見た側面図である。第2の例の封止部材200Bは、実施形態1の突出部260、261に代えて、突出部263、264を備える。他の構造は、実施形態1と同一である。図11、図12に示すように、突出部263は、側壁部224の下端から側方(+X方向)に突出する。また、突出部264は、側壁部225の下端から側方(−X方向)に突出する。突出部263、264は、XY面と平行な略矩形の板状である。突出部263、264の突出方向である+X方向および−X方向は、第1の例と同様に、基準面SPに沿ってインクカートリッジ100Aから離れる方向である。従って、突出部263、264によって、封止部材200Bを装着したインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることが妨げられる。よって、キャリッジユニット11が有する構造を、封止部材200Bが損傷してしまう危険を低減することができる。
(第3の例)
図13は、実施形態2の封止部材200Cの第3の例を示す斜視図である。また、図14は実施形態2の封止部材200Cの第3の例を示す平面図、後面図、底面図および側面図であり、図14(a)は平面図、図14(b)は後面図、図14(c)は底面図、図14(d)は+X方向から見た側面図、図14(e)は−X方向から見た側面図である。第3の例の封止部材200Bは、実施形態1の突出部260、261に代えて、突出部265、266を備える。他の構造は、実施形態1と同一である。図13、図14に示すように、突出部265、266は、背面壁部223から後方(−Y方向)に突出する。突出部265、266は、YZ面と平行な略矩形の板状である。突出部265、266の突出方向であるY方向は、第1、第2の例と同様に、基準面SPに沿ってインクカートリッジ100Aから離れる方向である。従って、突出部265、266によって、封止部材200Cを装着したインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることが妨げられる。よって、キャリッジユニット11が有する構造を、封止部材200Cが損傷してしまう危険を低減することができる。
図13は、実施形態2の封止部材200Cの第3の例を示す斜視図である。また、図14は実施形態2の封止部材200Cの第3の例を示す平面図、後面図、底面図および側面図であり、図14(a)は平面図、図14(b)は後面図、図14(c)は底面図、図14(d)は+X方向から見た側面図、図14(e)は−X方向から見た側面図である。第3の例の封止部材200Bは、実施形態1の突出部260、261に代えて、突出部265、266を備える。他の構造は、実施形態1と同一である。図13、図14に示すように、突出部265、266は、背面壁部223から後方(−Y方向)に突出する。突出部265、266は、YZ面と平行な略矩形の板状である。突出部265、266の突出方向であるY方向は、第1、第2の例と同様に、基準面SPに沿ってインクカートリッジ100Aから離れる方向である。従って、突出部265、266によって、封止部材200Cを装着したインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることが妨げられる。よって、キャリッジユニット11が有する構造を、封止部材200Cが損傷してしまう危険を低減することができる。
なお、実施形態2の第1、第2の例で、突出部262〜264は基準面SPと平行な姿勢の板状の部位であったが、これらは基準面SPに対して傾く姿勢であってもよい。突出部262〜264の突出方向が、基準面SPに沿う方向と平行なベクトル成分を持つ方向であれば、封止部材200A/200Bを装着したインクカートリッジ100Aがスロット38Aに入ることを妨げることができる。また、実施形態2の第3の例についても、突出部265、266の突出方向が、基準面SPに沿う方向と平行なベクトル成分を持つ方向であればよい。
上記各形態の構成は、目的や用途に応じて、適宜組み合わせて用いることができる。また、本発明は、インクジェットプリンターおよびそのインクカートリッジに限らず、インクを含む各種の液体を噴射する各種の液体噴射装置のキャリッジユニットに着脱される液体供給ユニットの封止部材にも適用することができる。また、本発明は、液体供給ユニットから外したあと、液体供給ユニットに再度装着することのできない封止部材にも適用することができる。
1…プリンター(液体噴射装置)、2…ケース、3…給紙カバー、4…給紙口、5…排紙カバー、6…排紙口、11…キャリッジユニット、12…キャリッジガイド軸、13…ベルト機構、14…搬送ローラー、15…印刷ヘッド、16…搬送モーター、30…ホルダー、31…カートリッジ収容部、32…底部、33…側壁、34…側壁、35…前壁、36…後壁、37…仕切り板、38A…スロット(装着部)、38B…スロット、40A…インク導入部、40B…インク導入部、41…筒状部、42…メッシュフィルター、43…シール部、45…インク導入口、50A…接点機構(コネクターユニット)、50B…接点機構、51…端子台、52…端子群、60…端子部、61…基板保持部、62…回路基板、63…端子群、90…インク供給部、91…インク供給穴、92…壁部、94…開口面、95…インク供給口、100A…インクカートリッジ(液体供給ユニット)、100B…インクカートリッジ、100C…インク収容容器(液体収容容器)、101…底面、102…上面、103…前面、104…後面、105…側面、106…側面、110…筺体、111…インク室(液体収容部)、113…嵌合穴(第1係合部)、114…延伸部、115…キャリッジ係合部、116…突起部(第2係合部)、119…リブ、120…蓋、121…蓋部材、122…シール部材、123…シール部材、124…注入孔、125a…貫通孔、125b…貫通孔、126…溝部、127…延出部、128…大気孔、129…延出部、131…第1インク保持部材、132…第2インク保持部材、200…封止部材、200A…封止部材、200B…封止部材、200C…封止部材、201…フィルム、202…端部、220…キャップ部、221…底面壁部、222…正面壁部、223…背面壁部、224…側壁部、225…側壁部、226…延出部(第2被係合部)、230…正面端壁部、231…延伸部、231a…端部、231b…端部、232…支柱部、233…操作部、234…嵌合突起部(第1被係合部)、240…接続部、241…肉厚部、242…薄肉部、243…屈曲部位、250…シール部、252…周壁部、260…突出部、261…突出部、262…突出部、263…突出部、264…突出部、265…突出部、C…インク供給口の中心、P…印刷媒体、SD…装着方向、SP…基準面
Claims (7)
- 液体を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部から前記液体を外部に供給可能な液体供給口と、前記液体供給口を平面視したときに前記液体供給口の中心からみて第1方向に位置する第1係合部と、前記液体供給口を平面視したときに前記液体供給口からみて前記第1方向とは反対方向のベクトル成分を有する第2方向に位置する第2係合部と、を含み、液体噴射装置のキャリッジユニットの装着部に装着可能である液体供給ユニットに、装着可能な封止部材であって、
前記液体供給口を封止可能な封止部と、
前記第1係合部に係合可能な第1被係合部と、
前記第2係合部に係合可能な第2被係合部と、
前記第1被係合部の前記第1係合部に対する係合状態または前記第2被係合部の前記第2係合部に対する係合状態を解除可能な操作部と、
前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記液体供給ユニットから離れる方向に突出し、前記封止部材を装着した状態における前記液体供給ユニットの前記キャリッジユニットの前記装着部への挿入を制限可能な突出部と、
を備える、
ことを特徴とする封止部材。 - 請求項1に記載の封止部材において、
前記液体供給ユニットは、前記液体供給口を囲む壁部を含み、
前記封止部が前記壁部に当接する面を基準面と定義するとき、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記突出部は前記基準面と交差する方向に沿って前記液体供給ユニットから離れる方向に向かって突出する、
ことを特徴とする封止部材。 - 請求項1に記載の封止部材において、
前記キャリッジユニットはコネクターユニットを有し、
前記液体供給ユニットは前記コネクターユニットに電気的接続可能な端子部を含むものであり、
前記液体供給ユニットは、前記液体供給口を囲む壁部を含み、
前記封止部が前記壁部に当接する面を基準面と定義するとき、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記基準面と交差する方向に沿って前記封止部材と前記液体供給ユニットとを平面視したとき、前記突出部は前記端子部と重なる位置にあり、前記突出部は前記基準面と交差する方向に沿って前記端子部から離れる方向に突出する、
ことを特徴とする封止部材。 - 請求項1に記載の封止部材において、
前記液体供給ユニットは、前記液体供給口を囲む壁部を含み、
前記封止部が前記壁部に当接する面を基準面と定義するとき、前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記突出部は前記基準面に沿う方向に沿って前記液体供給ユニットから離れる方向に向かって突出する、
ことを特徴とする封止部材。 - 請求項4に記載の封止部材において、
前記第1方向と前記第2方向とはいずれも前記基準面に沿う方向であり、
前記突出部は前記第1方向および前記第2方向と交差する方向に突出する、
ことを特徴とする封止部材。 - 請求項2ないし5のいずれか一項に記載の封止部材において、
前記液体供給ユニットに前記封止部材を装着した状態において、前記操作部は、前記基準面に沿う方向に沿って前記液体供給ユニットから離れる方向で、かつ前記突出部が突出する方向とは異なる方向に向かって突出する、
ことを特徴とする封止部材。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の封止部材と、
前記液体供給ユニットと、を備える、
ことを特徴とする液体収容容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015003930A JP2016129939A (ja) | 2015-01-13 | 2015-01-13 | 封止部材および液体収容容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015003930A JP2016129939A (ja) | 2015-01-13 | 2015-01-13 | 封止部材および液体収容容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016129939A true JP2016129939A (ja) | 2016-07-21 |
Family
ID=56414748
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015003930A Pending JP2016129939A (ja) | 2015-01-13 | 2015-01-13 | 封止部材および液体収容容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016129939A (ja) |
-
2015
- 2015-01-13 JP JP2015003930A patent/JP2016129939A/ja active Pending
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