JP2016128415A - 含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法 Download PDF

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孝太郎 菊嶌
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Abstract

【課題】ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の製造方法、及びこれを原料する、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の高収率製造方法の提供。【解決手段】式(1)等で表される含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を対応する含フッ素(シクロ)アルケニルハライドから、マグネシウムとの反応、次いでハロゲン化亜鉛との反応によって製造し、更に、銅の塩又は鉄の塩の存在下、液相でこれを反応させる含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法。例えば、テトラフルオロエチレンからハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛を製造し、次いで、ヘキサフルオロブタジエンを製造する方法。(X’はハロゲン)【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法に関する。
含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物が各種用途に用いられている。
例えば、トリフルオロビニル基を有するフッ素化合物は、燃料電池用イオン交換膜、自動車用又は航空機用などのシール材又は燃料ホース、光ファイバーなどの光学電子部品、塗料用又は防汚用のコーティング材などの様々な用途に用いられる含フッ素高分子の原料モノマーとして、あるいは酵素阻害作用を有する農薬として有用である。また、ヘキサフルオロブタジエンは、半導体製造プロセスにおけるエッチングガスとして、広く用いられている。
含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物を、ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物(例えば、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛(ハロゲン化(1,1,2−トリフルオロエテニル)亜鉛))を原料として製造する方法が知られている(例えば、特許文献1〜2及び非特許文献1〜24等)。
特表2001−114710号公報 国際公開第2013/172337号
R. Sauvetreら, Synthesis, 1986年, 7巻, 538頁 Donald J. Burtonら, J. Fluorine Chem., 2003年, 121巻, 75頁 Donald J. Burtonら, J. Fluorine Chem., 1986年, 31巻, 115頁 Donald J. Burtonら, J. Fluorine Chem., 2004年, 125巻, 673頁 Donald J. Burtonら, J. Fluorine Chem., 2006年, 127巻, 456頁 Donald J. Burtonら, J. Org. Chem., 1988年, 53巻, 2714頁 Zhen-Yu Yang, J. Fluorine Chem., 2001年, 111巻, 247頁 Donald J. Burtonら, J. Fluorine Chem., 1987年, 35巻, 415頁 Lee G. Spragueら, J. Fluorine Chem., 1991年, 52巻, 301頁 Henryk Koroniakら, J. Fluorine Chem., 1995年, 71巻, 135頁 Xi-Kui Jiangら, J. Fluorine Chem., 1996年, 79巻, 173頁 Itsumaro Kumadakiら, J. Fluorine Chem., 2000年, 103巻, 99頁 Donald J. Burtonら, J. Fluorine Chem., 2009年, 130巻, 254頁 William R. Dolbier, Jr.ら, J. Org. Chem., 1993年, 58巻, 7064頁 Raymond Sauvetreら, Journal of Organomet. Chem., 1987年, 331巻, 281頁 J-F. Normantら, J. Organomet. Chem., 1989年, 367巻, 1頁 Raymond Sauvetreら, Tetrahedron Letteres, 1985年, 26巻, 33号, 3999頁 Donald J. Burtonら, Tetrahedron Letteres, 2002年, 43巻, 2731頁 Donald J. Burtonら, J. Org. Chem., 2004年, 69巻, 7083頁 Dieter Lentzら, Chem. Asian J., 2008年, 3巻, 719頁 Donald J. Burtonら, J. Org. Chem., 1997年, 62巻, 1064頁 Donald J. Burtonら, J. Fluorine Chem., 2008年, 129巻, 435頁 David Ganiら, Tetrahedron Letteres, 2000年, 41巻, 4493頁 S-K. Choiら、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1991年, 1601頁
本発明は、ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を原料として、従来よりも高い収率で、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物を製造する方法を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、含フッ素(シクロ)オレフィンをハロゲン化亜鉛と液相で反応させることにより得たハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を、所定の溶媒と混合することにより、ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含む液相と、無機塩を含む固形分とに分離できることを見出した。さらに、本発明者らは、この液相を反応させることにより、従来よりも高い収率で、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の項1〜19に示される、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法、及び該製造方法に使用することのできる組成物を提供するものである。
項1.
式(1):
Figure 2016128415
[式中、
は、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基又はフッ素を表し、
は、フッ素又は水素を表し、
は、フッ素又は水素を表すか、
或いは、AとA又はAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成してもよく、
X’は、ハロゲンを表し、
波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物;及び
式(2):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法であって、
工程(1)式(3):
Figure 2016128415
[式中、Xは、フッ素又は塩素を表し、その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素(シクロ)オレフィンを、
マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属の存在下で、式:ZnX’(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表されるハロゲン化亜鉛と液相で反応させることにより、
前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を得る工程;
工程(2)前記工程(1)で得られた液相を、金属ハロゲン化物の貧溶媒と混合することにより、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物及び前記含フッ素亜鉛化合物を含有する液相と、金属ハロゲン化物を含有する固形分とに分離させる工程
を含む製造方法。
項2.
前記式(3)中、Xが、フッ素である、項1に記載の製造方法。
項3.
前記式(1)中、X’が、塩素である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.
前記工程(1)で用いる前記金属が、マグネシウムである、項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
項5.
前記工程(2)で用いる前記溶媒が、エーテル、芳香族炭化水素、ケトン又はエステルである、項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
項6.
前記式(3)で表される含フッ素(シクロ)オレフィンが、テトラフルオロエチレンであり、前記式(1)で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物が、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛である、項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7.
前記工程(1)の液相反応を、非プロトン性極性溶媒中で行う、項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
項8.
前記工程(1)における、マグネシウムに対する非プロトン性極性溶媒のモル比が、1〜100の範囲内である、項7に記載の製造方法。
項9.
前記工程(1)における、ハロゲン化亜鉛に対する非プロトン性極性溶媒のモル比が、0.5〜50の範囲内である、項7に記載の製造方法。
項10.
式(4):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法であって、項1〜9のいずれか一項に記載の工程(1)及び工程(2)、並びに
工程(3)前記工程(2)で得られた液相を反応させて、前記含フッ素化合物を得る工程を含む製造方法。
項11.
前記工程(3)の反応を、銅の塩又は鉄の塩の存在下で行う、項10に記載の製造方法。
項12.
前記式(3)で表される含フッ素(シクロ)オレフィンが、テトラフルオロエチレンであり、前記式(1)で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物が、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛であり、かつ前記式(4)で表される含フッ素化合物が、ヘキサフルオロブタジエンである、項10又は11に記載の製造方法。
項13.
工程(i)式(3):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素(シクロ)オレフィンを、
マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属の存在下で、式:ZnX’(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表されるハロゲン化亜鉛と液相で反応させることにより、
式(1):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を得る工程;及び
工程(ii)前記工程(i)で得られた液相を、金属ハロゲン化物の貧溶媒と混合することにより、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相と、金属ハロゲン化物を含有する固形分とに分離させる工程
により得られうる、ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する組成物。
項14.
(A)式(1):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物、及び
(B)式(2):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素亜鉛化合物を含有する組成物であって、
金属ハロゲン化物を、前記化合物(A)及び前記化合物(B)の合計量に対して、10000ppm以下含有する組成物。
項15.
式(1):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物、及び
式(2):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素亜鉛化合物を、
10:1〜1:100のモル比で含有する組成物。
項16.
式(4):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法であって、項13又は14に記載の組成物を反応させる工程を含む製造方法。
項17.
含フッ素(シクロ)アルケニル基を有する前記フッ素化合物が、ヘキサフルオロブタジエン(前記式(4)中、A〜Aが、いずれもフッ素を表わす。)である、項16に記載の製造方法。
項18.
式(5):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、項13〜15のいずれか一項に記載の組成物を、式:R−X(式中、Rは、有機基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物と反応させる工程を含む製造方法。
項19.
式(5):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物の製造方法であって、
項1〜9のいずれか一項に記載の工程(1)及び工程(2)、並びに
工程(3)前記工程(2)で得られた液相を、式:R−X(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表される化合物と反応させる工程を含む製造方法。
本発明によれば、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物を高い収率で得ることができる。
1.用語
本明細書中、「ハロゲン」としては、特に記載の無い限り、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。
本明細書中、化合物、基又は部分(moiety)の名称における接頭語「パーフルオロ」は、通常の意味に用いられ、前記化合物、基又は部分における炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されていることを意味する。
本明細書中、用語「(シクロ)アルケニル」は、アルケニル及び/又はシクロアルケニルを意味する。
本明細書中、用語「(シクロ)オレフィン」は、オレフィン及び/又はシクロオレフィンを意味する。
本明細書中、「アルキル基」としては、特に記載の無い限り、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル等の低級アルキル基、特にC1−6のアルキル基、が挙げられる。
本明細書中、「アルケニル基」としては、特に記載の無い限り、例えば、ビニル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等の低級アルケニル基、特にC2−6のアルケニル基、が挙げられる。
本明細書中、「アルキニル基」としては、特に記載の無い限り、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等の低級アルキニル基、特にC2−6のアルキニル基、が挙げられる。
本明細書中、「アリール基」としては、特に記載の無い限り、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル等の、単環式、二環式又は三環式のアリール基が挙げられる。
本明細書中、「ヘテロアリール基」としては、特に記載の無い限り、例えば、フリル、ピロリル、チオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジアジニル(例えば、シンノリニル、キナゾリニル等)、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル等の、単環式、二環式又は三環式のヘテロアリール基が挙げられる。
2.ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法 本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法は、
工程(1)式(3):
Figure 2016128415
[式中、
は、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基又はフッ素を表し、
は、フッ素又は水素を表し、
は、フッ素又は水素を表すか、
或いは、AとA又はAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成してもよく、
Xは、フッ素又は塩素を表し、
波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
で表される含フッ素(シクロ)オレフィンを、
マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属の存在下で、式:ZnX’(式中、X’は、ハロゲンを表す。)で表されるハロゲン化亜鉛と液相で反応させることにより、
式(1):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を得る工程;及び
工程(2)前記工程(1)で得られた液相を、金属ハロゲン化物の貧溶媒と混合することにより、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相と、金属ハロゲン化物を含有する固形分とに分離させる工程
を含むことを特徴とする。
本明細書中、波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。すなわち、例えば、式(3)は、当業者にとって自明である通り、
式(3−a):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
及び/又は、式(3−b):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
であることができる。
式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンには、
式(3−c)
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される含フッ素シクロオレフィン、及び
式(3−d)
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される含フッ素シクロオレフィン
が包含される。
式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンとしては、式(3−a)又は式(3−b)で表わされる含フッ素オレフィンが好ましい。
当該式(3−a)又は式(3−b)で表される含フッ素シクロオレフィンとしては、特に限定されないが、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)及びペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)等が挙げられる。当該式(3−c)で表される含フッ素シクロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレンが好ましい。
当該式(3−c)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(3)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成している含フッ素シクロオレフィンである。
当該式(3−d)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(3)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成している含フッ素シクロオレフィンである。
本発明において、Aは、好ましくは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基又はフッ素であり、より好ましくはフッ素である。
本発明において、Aは、好ましくは、フッ素である。
本発明において、Aは、好ましくは、フッ素である。
本発明において、Xは、好ましくは、フッ素である。
本発明において、X’は、好ましくは、塩素である。
本発明において、各式中の部分構造式:
Figure 2016128415
[nは、1〜12の整数を表す。]で表される環は、好ましくは当該式中のnが1〜5である環であり、特に好ましくは、例えば、パーフルオロシクロペンテンである。
式(1)のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物には、原料となる式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンの化学構造にそれぞれ対応し、
式(1−a):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素シクロアルケニル亜鉛化合物、及び
式(1−b):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素シクロアルケニル亜鉛化合物
が包含される。
当該式(1−a)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(1)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成しているハロゲン化含フッ素シクロアルケニル亜鉛化合物である。
当該式(1−b)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(1)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成しているハロゲン化含フッ素シクロアルケニル亜鉛化合物である。
2.1 態様1A
本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法の好適な一態様(態様1A)においては、
前記式(1)のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物が、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛であり、かつ
前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンが、テトラフルオロエチレンである。
本発明の当該態様の製造方法は、すなわち、ハロゲン化含フッ素アルケニル亜鉛、なかでも特にハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛の製造方法であって、
テトラフルオロエチレンを、マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属の存在下でハロゲン化亜鉛と液相で反応させる工程(工程1A)を含むことを特徴とする。
2.2 態様1B
本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の製造方法の別の好適な一態様(態様1B)においては、
前記式(1)のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物が、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛であり、及び
前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンが、クロロトリフルオロエチレンである。
本発明の当該態様の製造方法は、すなわち、ハロゲン化含フッ素アルケニル亜鉛、なかでも特にハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛の製造方法であって、
クロロトリフルオロエチレンを、マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属の存在下でハロゲン化亜鉛と液相で反応させる工程(工程1B)を含むことを特徴とする。
2.3 態様1C
本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の製造方法の更に別の好適な一態様(態様1C)においては、
前記式(1)のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物が、ハロゲン化含フッ素シクロアルケニル亜鉛化合物であり、及び
前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンが、前記式(3−b)においてX’がフッ素である含フッ素シクロオレフィン(すなわち、環状のパーフルオロオレフィン)である。
本発明の当該態様の製造方法は、すなわち、ハロゲン化含フッ素シクロアルケニル亜鉛の製造方法であって、
環状のパーフルオロオレフィンを、マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属の存在下でハロゲン化亜鉛と液相で反応させる工程(工程1C)を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法の目的物であるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物は、好ましくはハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛である。ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛は、式:CF=CF−Zn−X(式中、Xは、ハロゲンを表す。)で表される。Xで表されるハロゲンは、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素である。
上記において、Xは、好ましくは、フッ素である。
上記において、態様1A及び1Bが好ましく、態様1Aがより好ましい。
2.4 工程(1)
工程(1)は、具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属及び前記式:ZnX’で表されるハロゲン化亜鉛を含有する液体(本明細書中、便宜上、このような液体を溶液(例えば、前記溶媒が1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)である場合、DMI溶液)と称する場合がある。)へ、前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンを添加すること、より具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属を懸濁させて得られる液相に、前記式:ZnX’で表されるハロゲン化亜鉛、及び前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンを添加することによって実施される。
X’で表されるハロゲンは、好ましくは、塩素、臭素又はヨウ素、特に好ましくは塩素である。
本発明で使用される、前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンは、公知の化合物であり、公知の方法で製造可能であるか、商業的に入手可能である。
工程(1)で用いられる式:ZnX’で表されるハロゲン化亜鉛は、好ましくは、塩化亜鉛である。
工程(1)で用いられる「マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属」におけるマグネシウム合金としては、例えば、Mg−Al−Zn合金、Mg−Li−Al合金、Mg−Zn−Zr合金などが挙げられる。
工程(1)で用いられる「マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属」は、好ましくは、活性化されたマグネシウムである。
マグネシウムの活性化方法は、特に限定されず、例えば、(1)金属マグネシウムを機械的に破砕し、粉末状(powders)、又は削り状(turnings)の金属マグネシウムにする方法、(2)溶媒に懸濁させた金属マグネシウムを加熱攪拌する方法、(3)金属マグネシウムを、活性化剤(例えば、ヨウ素、ヨウ化メチル、又は1,2−ジブロモエタン等のアルキルハライド化合物等)によって活性化する方法、(4)超音波処理、及び(5)マグネシウム塩を還元して活性化された金属マグネシウムを調製する方法等が挙げられる。これらの活性化方法は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、活性化されたマグネシウムは、商業的にも入手可能である。
当該「活性化されたマグネシウム」は、好ましくは、金属マグネシウムを機械的に破砕し、粉末状、又は削り状の金属マグネシウムにする方法によって活性化されたマグネシウムである。
工程(1)の反応は、好ましくは、非プロトン性極性溶媒中で行われる。
当該「非プロトン性極性溶媒」としては、例えば、
N−メチルピロリドン等のラクタム化合物;
ジメチルスルホキシド(DMSO)等のジアルキルスルホキシド;
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルプロピレン尿素(DMU)、及びテトラメチル尿素(TMU)等のテトラアルキル尿素;並びに
ヘキサメチルリン酸アミド(HMPA)等のヘキサアルキルリン酸トリアミド
等が挙げられる。
当該「非プロトン性極性溶媒」は、なかでも、好ましくは、テトラアルキル尿素であり、より好ましくは、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである。
当該「非プロトン性極性溶媒」は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上述の非プロトン性極性溶媒と類似した構造を持つが常温では固体である2−イミダゾリジノン及びN,N’−ジメチルプロピレン尿素等を、少なくとも一種、上述の非プロトン性極性溶媒と混合して使用することができる。
工程(1)における前記ハロゲン化亜鉛(特に、塩化亜鉛)/マグネシウムのモル比は、好ましくは、0.1〜5、より好ましくは、0.5〜3の範囲内である。ここでの「マグネシウム」は「マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属」中のマグネシウムである。
前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィンは、その形態に応じた方法で、反応器中の液層に添加される。
工程(1)における、前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィン/マグネシウムのモル比は、好ましくは、0.01〜100、より好ましくは、0.5〜20、さらに好ましくは、1〜7の範囲内である。
工程(1)における、前記式(3)の含フッ素(シクロ)オレフィン/前記ハロゲン化亜鉛(特に、塩化亜鉛)のモル比は、好ましくは、0.01〜100、より好ましくは、0.1〜10、さらに好ましくは、0.5〜5の範囲内である。
工程(1)における、非プロトン性溶媒/マグネシウムのモル比は、好ましくは、1〜100、より好ましくは、4〜70、更に好ましくは、5〜50の範囲内である。
工程(1)における、非プロトン性溶媒/記ハロゲン化亜鉛(特に、塩化亜鉛)のモル比は、好ましくは、0.5〜50、より好ましくは、2〜35、更に好ましくは、3〜25の範囲内である。
工程(1)の反応の反応温度は、好ましくは、0〜150℃、より好ましくは、20〜100℃、さらに好ましくは30〜70℃の範囲内である。また、室温以上で反応させてもよく、具体的には、40〜70℃の範囲内であってもよい。
工程(1)の反応の反応時間は、通常、10分〜72時間、30分〜48時間、1時間〜24時間の範囲内である。
工程(1)の反応は、好ましくは、アルゴン、又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行われる。
工程(1)によって得られるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物は、溶媒抽出等の公知の精製方法によって単離精製され得るが、単離精製せずに、すなわち、そのまま工程(1)の反応生成混合物の形態で、後記で説明するトリフルオロビニル基などの含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造等の原料として用いることもできる。工程(1)によって得られるハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛は、特に好ましくは、塩化1,1,2−トリフルオロビニル亜鉛である。
2.4.1 工程(1A)
態様1Aにおける工程(1A)は、具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属及び前記式:ZnX’で表されるハロゲン化亜鉛を含有する液体へ、テトラフルオロエチレンを導入すること、より具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属を懸濁させて得られる液相に、ハロゲン化亜鉛を添加し、及びテトラフルオロエチレンを導入することによって実施される。
本発明で使用されるテトラフルオロエチレンは、公知の化合物であり、公知の方法で製造可能であるか、商業的に入手可能である。
その他の当該反応に用いられる化合物及び反応条件等は、いずれも前記工程(1)で説明した通りである。
2.4.2 工程(1B)
態様1Bにおける工程(1B)は、具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属及び前記式:ZnX’で表されるハロゲン化亜鉛を含有する液体へ、クロロトリフルオロエチレンを導入すること、より具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属を懸濁させて得られる液相に、ハロゲン化亜鉛を添加し、及びクロロトリフルオロエチレンを導入することによって実施される。
本発明で使用されるクロロトリフルオロエチレンは、公知の化合物であり、公知の方法で製造可能であるか、商業的に入手可能である。
その他の当該反応に用いられる化合物及び反応条件等は、いずれも前記工程(1)で説明した通りである。
2.4.3 工程(1C)
態様1Cにおける工程(1C)は、具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属及び前記式:ZnX’で表されるハロゲン化亜鉛を含有する液体へ、環状のパーフルオロオレフィンを添加すること、より具体的には、例えば、溶媒中にマグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属を懸濁させて得られる液相に、ハロゲン化亜鉛を添加し、及び更に環状のパーフルオロオレフィンを添加することによって実施される。
本発明で使用される環状のパーフルオロオレフィン(例えば、パーフルオロシクロペンテン等)は、公知の化合物であり、公知の方法で製造可能であるか、商業的に入手可能である。
その他の当該反応に用いられる化合物及び反応条件等は、いずれも前記工程(1)で説明した通りである。
3. 含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法
3.1 態様1
本態様の、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法は、式(4):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物(以下、式(4)の化合物と称する場合がある。)の製造方法であって、上記「2.ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法」で説明した方法によって製造される、前記式(1):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を、金属ハロゲン化物の貧溶媒と混合することにより、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相と、金属ハロゲン化物を含有する固形分とに分離させる工程(工程(2));及び
前記工程(2)で得られた液相を反応させて、前記含フッ素化合物を得る工程(工程(3−1))を含むことを特徴とする。
式(4)で表される含フッ素(シクロ)オレフィンは、特に限定されないが、好ましい例として、フルオロブタジエン及びその類縁体等、より好ましくはパーフルオロブタジエン及びその類縁体等が挙げられる。
式(4)で表される化合物には、
式(4−a):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される含フッ素シクロオレフィン、及び
式(4−b)
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される含フッ素シクロオレフィン
が包含される。
当該式(4−a)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(4)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成している含フッ素シクロオレフィンである。
当該式(4−b)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(4)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成している含フッ素シクロオレフィンである。
3.1.1 態様1A
本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の製造方法の好適な一態様(態様1A)においては、前記式(4)の化合物がヘキサフルオロブタジエンであり、前記式(1)の化合物が式:CF=CF-ZnX’(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表される化合物である。
X’で表されるハロゲンは、好ましくは、塩素、臭素又はヨウ素、特に好ましくは塩素である。
3.1.2 態様1B
本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の製造方法の好適な一態様(態様1B)においては、前記式(4)の化合物が式(4−c):
Figure 2016128415
[式中、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される化合物であり、前記式(1)の化合物が式(1−c):
Figure 2016128415
[式中、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される化合物である。
X’で表されるハロゲンは、好ましくは、塩素、臭素又はヨウ素、特に好ましくは塩素である。
以下、当該製造方法の内容を詳細に説明する。
3.2 工程(2)
工程(2)は、上記「2.ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法」で説明した方法によって製造される、前記式(1):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を、金属ハロゲン化物の貧溶媒と混合することにより、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相と、金属ハロゲン化物を含有する固形分とに分離させる工程である。
工程(2)により、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物から不純物、特に金属ハロゲン化物を除去できる。この金属ハロゲン化物の金属源は、主に、工程(1)の反応系に含まれるマグネシウム及びその合金、並びに亜鉛である。また、ハロゲン源は、主に、式(3)で表される含フッ素(シクロ)オレフィン中のハロゲン(X)、及び式:ZnX’(式中、X’は、ハロゲンを表す。)で表されるハロゲン化亜鉛中のハロゲン(X’)である。この金属ハロゲン化物は、工程(1)の反応で生成する副生成物である。
具体例を挙げて説明すると、ハロゲン源が塩素である場合、工程(2)により、塩化マグネシウム及び塩化亜鉛を含む化合物が不純物として除去される。
特に限定されないが、例えば、工程(2)で得られる組成物は、金属ハロゲン化物の濃度が低減されており、望ましい。特に限定されないが、工程(2)で得られる組成物は、好ましくは、金属ハロゲン化物の濃度が10モル%以下である。
特に理論に束縛されないが、工程(2)により得られる液相においては、シュレンク平衡により、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物及び
式(2):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素亜鉛化合物が、50:1〜1:200のモル比、好ましくは、20:1〜1:100又は10:1〜1:100のモル比で存在している。
上記モル比において、下限は、好ましくは10:2であり、上限は、好ましくは1:20である。
上記モル比は、NMRにより測定することができる。
工程(2)において使用できる、金属ハロゲン化物の貧溶媒としては、特に限定されないが、工程(1)で使用する溶媒(好ましくは、非プロトン性極性溶媒)から金属ハロゲン化物を析出させることのできる貧溶媒が好ましい。特に限定されないが、工程(1)で使用する溶媒の比誘電率と比較してより低い誘電率を有するものが好ましく用いられる。
上記貧溶媒としては、室温における比誘電率が、40以下であるものが好ましい。特に、室温における比誘電率が、20以下であるものがより好ましく、10以下であるものがさらに好ましい。
上記貧溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エーテル、芳香族炭化水素、ケトン又はエステル等が挙げられる。特に、エーテルが好ましい。
エーテルとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン及びアニソール等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレン等が挙げられる。
上記貧溶媒としては、特に限定されないが、DMIの分配係数が小さい方がさらに好ましい。DMIの分配係数はDMIが水と溶媒の二相に溶解したときの平衡溶解度比を実測した値に基づき求められ、具体的には次の式により算出される。
DMIの分配係数=溶媒層中のDMIの濃度/水層中のDMIの濃度
上記貧溶媒としては、DMIの分配係数が3以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。
特に限定されないが、DMIの分配係数が好ましい上記の範囲内である貧溶媒の例としては、クロロホルム(分配係数2.5)、メチレンクロライド(分配係数2.5)、1,2−ジクロロエタン(分配係数0.77)、1,1,2−トリクロロエチレン(分配係数0.26)、ベンゼン(分配係数0.22)、トルエン(分配係数0.14)、1,1,2−トリクロロエタン(分配係数0.12)及びジエチルエーテル(分配係数0.06)等が挙げられる。これらのうち、DMIの分配係数がより低いものほどより好ましく用いられる。なお、これらは、DMIの分配係数が好ましい上記の範囲内である貧溶媒の一例に過ぎず、本発明で用いられる貧溶媒がこれらに限定されるものではない。
貧溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、貧溶媒を、それ以外の溶媒と組合せて用いてもよい。この場合、金属ハロゲン化物を析出させることのできる範囲内で両者を組みわせることができる。特に限定されないが、金属ハロゲン化物を析出させることのできる限りにおいて、例えば、溶媒の総量に対して50重量%以上貧溶媒が含まれるように組み合わせることができる。
工程(2)における、金属ハロゲン化物の貧溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相と同量程度とすればよい。特に限定されないが、例えば、該液相に対して、容量比で0.1〜50、好ましくは0.5〜10、さらに好ましくは1〜3倍とすることができる。
特に限定されないが、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相と金属ハロゲン化物の貧溶媒を混合する条件としては、室温で、1分〜72時間、好ましくは5分〜24時間、さらに好ましくは10分〜12時間程度、攪拌する等の条件が挙げられる。
特に限定されないが、必要に応じて、金属ハロゲン化物の貧溶媒を用いて分離を行う前、及び/又は後に、濾過を行って不純物を除去してもよい。濾過の方法は、特に限定されないが、例えば、セライト濾過、デカンテーション、ろ過、加圧ろ過、及び遠心ろ過等が挙げられる。この場合、特に限定されないが、加えられた金属及び金属ハロゲン化物の合計重量の40%以上を除去することが好ましく、60%以上を除去することがより好ましく、70%以上を除去することがさらに好ましい。
貧溶媒を用いて分離した後に濾過することが好ましい。
3.3 工程(3−1)
工程(3−1)は、工程(2)で得られた液相を反応させて、前記含フッ素化合物を得る工程である。工程(3−1)は、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛化合物を、ハロゲン化有機化合物と反応させて、トリフルオロビニル基を有するフッ素化合物を製造する、公知の方法と同様に行えばよい。このような公知の方法としては、例えば、前記各先行技術文献に記載の方法が挙げられる。
工程(3−1)では、具体的には、例えば、工程(2)で得られた液相を、適度な温度条件下に撹拌して目的物であるカップリング生成物、すなわち含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物(式(4)の化合物)を得ることが出来る。
工程(2)で得られる液相は、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物及び
式(2):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素亜鉛化合物を1:0.1〜1:2.5のモル比で含有する。この組成物を反応させることにより、高い収率で、目的とする含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物を得ることができる。
工程(3−1)の反応は、付加脱離反応によるカップリング反応であってもよく、この場合、カップリング反応を促進する目的で、銅の塩又は鉄の塩の存在下で行うこともできる。これにより、反応の効率を高めて収率を向上させることができるほか、パラジウム触媒のような高価な触媒を使用する必要がないため、コスト面でも有利となる。
銅の塩又は鉄の塩は付加脱離反応によるカップリング反応のために用いられるものであるため、これらの金属塩が、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の当量と、前記含フッ素亜鉛化合物の2倍当量との合計当量以上存在する条件で反応を行うことが好ましい。銅の塩又は鉄の塩の使用量は、特に制限されるわけではないが、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物のモル数と、前記含フッ素亜鉛化合物のモル数を2倍したものとの合計モル数に対して、通常、0.5〜3モル程度、好ましくは1〜2モル程度である。
銅の塩又は鉄の塩としては、反応溶液に溶解しやすいものが好ましく用いられる。銅の塩又は鉄の塩は、反応溶液に応じて適宜選択することができる。
銅の塩又は鉄の塩としては、特に限定されないが、例えば、三価の鉄化合物及び二価の銅化合物等が挙げられる。特に、銅の塩が好ましい。
銅の塩又は鉄の塩としては、金属錯体(金属錯塩)も使用できる。例えば、ハロゲン塩、酢酸塩及びアセチルアセトン錯体等が挙げられる。なかでも、ハロゲン塩、酢酸塩、アセチルアセトン錯体等が、収率の点で、当該「金属塩」としては好ましい。
ハロゲン塩としては、臭素又は塩素が好ましく、特に塩素が好ましい。
工程(3−1)の反応は、特に限定されないが、各種触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属錯体触媒等が使用できる。
遷移金属錯体触媒を使用すると、酸化的付加反応、金属交換反応及び還元脱離反応が相次いで起こることにより、目的化合物が得られる。遷移金属としては、特に限定されないが、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム又はコバルト等を使用できる。遷移金属としては、特に、パラジウム又はニッケルが好ましい。
遷移金属錯体触媒としては、特に限定されないが、例えば、0価遷移金属錯体、II価遷移金属錯体から反応中に発生した0価遷移金属錯体又はこれらとケトン、ジケトン、ホスフィン、ジアミン及びビピリジルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物(配合子)を混合して得られうる錯体等が挙げられる。
工程(3−1)の反応の反応温度は、通常、−20〜120℃、好ましくは、0〜120℃、より好ましくは、20〜80℃であり、さらに好ましくは、20〜60℃の範囲内である。室温以上で反応させる場合は、上記範囲内においてさらに下限を40℃、60℃又は80℃等とすることができる。
工程(3−1)の反応の反応時間は、通常、0.5分間〜24時間、好ましくは、5分〜6時間の範囲内である。
工程(3−1)の反応は、好ましくは、アルゴン、又は窒素等の不活性ガス雰囲気下で行われる。
工程(3−1)により得られる、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物を含有する組成物は、ハロゲン化亜鉛の含有量が、5000ppm以下にまで低減されている。
工程(3−1)によって得られる含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物は、所望により、溶媒抽出、又はクロマトグラフィー、蒸留等の公知の精製方法によって単離精製され得る。
このようにして得られる含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物は、前述のように、燃料電池用イオン交換膜、自動車用又は航空機用などのシール材又は燃料ホース、光ファイバーなどの光学電子部品、塗料用又は防汚用途などのコーティング材などの様々な用途に用いられる含フッ素高分子として、又は酵素阻害作用を有する農薬として有用である。
3.4 態様2
本態様の、含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法は、式(5):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物(以下、式(5)の化合物と称する場合がある。)の製造方法であって、上記「2.ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法」で説明した方法によって製造される、前記式(1):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を、金属ハロゲン化物の貧溶媒と混合することにより、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相と、金属ハロゲン化物を含有する固形分とに分離させる工程(工程(2));及び
前記工程(2)で得られた液相中の前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を、式:R−X(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表される化合物と反応させる工程(工程(3−2))を含むことを特徴とする。
式(5)の化合物には、
式(5−a):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される含フッ素シクロオレフィン、及び
式(5−b):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される含フッ素シクロオレフィン
が包含される。
当該式(5−a)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(5)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成している含フッ素シクロオレフィンである。
当該式(5−b)で表される含フッ素シクロオレフィンは、式(5)においてAとAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成している含フッ素シクロオレフィンである。
3.4.1 態様2A
本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の製造方法の好適な一態様(態様2A)においては、前記式(5)の化合物が式:CF=CFR(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表される化合物であり、前記式(1)の化合物が式:CF=CF-ZnX’(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表される化合物である。
X’で表されるハロゲンは、好ましくは、塩素、臭素又はヨウ素、特に好ましくは塩素である。
本発明の当該態様の製造方法は、すなわち、式:CF=CFRで表される化合物(式中の記号は前記と同意義を表す。)の製造方法であって、前記で説明した本発明の製造方法で製造されるハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛を、前記式:R−Xの化合物と反応させる工程(工程2A)を含むことを特徴とする。
3.4.2 態様2B
本発明のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の製造方法の好適な一態様(態様2B)においては、前記式(5)の化合物が式(5−c):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される化合物であり、前記式(1)の化合物が式(1−c):
Figure 2016128415
[式中の記号は前記と同意義を表し、nは、1〜12の整数を表す。]
で表される化合物である。
X’で表されるハロゲンは、好ましくは、塩素、臭素又はヨウ素、特に好ましくは塩素である。
本明細書中、当該式(5)の化合物を、「含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物」と称する場合があり、なかでも、CF=CFRで表される化合物を、「トリフルオロビニル基を有するフッ素化合物」と称する場合がある。
以下、当該製造方法の内容を詳細に説明する。
工程(2)については、態様1において説明した通りである。
3.5 工程(3−2)
工程(3−2)は、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛化合物を、ハロゲン化有機化合物と反応させて、トリフルオロビニル基を有するフッ素化合物を製造する、公知の方法と同様に行えばよい。このような公知の方法としては、例えば、前記各先行技術文献に記載の方法が挙げられる。
工程(3−2)では、具体的には、例えば、工程(1)によって得られた前記式(1)のハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物の有機溶媒溶液を、式:R−X(式中の記号は前記と同意義を表す。)で示される有機ハロゲン化合物を含んだ溶液中に滴下し、ここで得られた溶液を、適度な温度条件下に撹拌して目的物であるカップリング生成物、すなわち含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物(式(5)の化合物)を得ることが出来る。
これらの式中のRで表される「有機基」としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基等の炭化水素基、及びヘテロアリール基が挙げられる。
なかでも、好ましくは、アルケニル基、アリール基、及びヘテロアリール基である。
これらの式中のXで表される「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。なかでも、好ましくは、ヨウ素である。
工程(3−2)の反応は、好ましくは、遷移金属錯体触媒の存在下で行われる。これにより、反応の効率を高めること(例、収率の向上)ができる。
当該「遷移金属錯体触媒」としては、例えば、その遷移金属が、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム又はコバルトが挙げられる。なかでも、好ましくは、その遷移金属が、パラジウム、又はニッケルである遷移金属錯体触媒である。
遷移金属が、パラジウムである遷移金属錯体触媒としては、0価パラジウム錯体;II価パラジウム錯体から反応中に発生した0価パラジウム錯体;又はこれらとケトン、ジケトン、ホスフィン、ジアミン及びビピリジルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体が挙げられる。
0価パラジウム錯体としては、特に限定はないが、例えば、Pd(dba)(dbaはジベンジリデンアセトン)、Pd(cod)(codはシクロオクタ−1,5−ジエン)、Pd(dppe)(dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)、Pd(PCy(Cyはシクロヘキシル基)、Pd(Pt−Bu(t−Buはt−ブチル基)及びPd(PPh(Phはフェニル基)等が挙げられる。
II価パラジウム錯体としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)、ジクロロ(η−1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。これらのII価パラジウム錯体は、例えば、反応中に共存する還元種(ホスフィン、亜鉛、有機金属試薬等)により還元されて0価パラジウム錯体が生成する。
前記の0価パラジウム錯体又はII価パラジウム錯体から還元により生じた0価パラジウム錯体は、反応中で、必要に応じて添加されるケトン、ジケトン、ホスフィン、ジアミン、ビピリジル等の化合物(配位子)と作用して、反応に関与する0価のパラジウム錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価のパラジウム錯体にこれらの配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかではない。
これらパラジウム錯体は前記のような配位子を用いることで、反応基質との均一な溶液を形成させて反応に用いることが多いが、これ以外にもポリスチレン、ポリエチレン等のポリマー中に分散又は担持させた不均一系触媒としても用いることが可能である。このような不均一系触媒は、触媒の回収等のプロセス上の利点を有する。
遷移金属が、ニッケルである遷移金属錯体触媒としては、0価ニッケル錯体;II価ニッケル錯体から反応中に発生した0価ニッケル錯体;又はこれらとケトン、ジケトン、ホスフィン、ジアミン及びビピリジルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体が挙げられる。
0価ニッケル錯体としては、特に限定はないが、例えば、Ni(cod)、Ni(cdd)(cddはシクロデカ−1,5−ジエン)、Ni(cdt)(cdtはシクロデカ−1,5,9−トリエン)、Ni(vch)(vchは4−ビニルシクロヘキセン)、Ni(CO)、(PCyNi−N≡N−Ni(PCy、Ni(PPh等が挙げられる。
II価ニッケル錯体としては、例えば、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。これらのII価ニッケル錯体は、例えば、反応中に共存する還元種(ホスフィン、亜鉛、有機金属試薬等)により還元されて0価ニッケル錯体が生成する。
前記の0価ニッケル錯体又はII価ニッケル錯体から還元により生じた0価ニッケル錯体は、反応中で、必要に応じ添加される配位子と作用して、反応に関与する0価のニッケル錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価のニッケル錯体にこれらの配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかでは無い。
具体的な触媒構造としては、以下の化学式:
Figure 2016128415
又は
Figure 2016128415
に示すような、架橋したポリスチレン鎖にホスフィンを導入した、ポリマーホスフィンなどで金属原子を固定したもの等が挙げられる。
また、これら以外にも、以下:
1)Kanbaraら、Macromolecules, 2000年、33巻、657頁
2)Yamamotoら、J. Polym. Sci., 2002年、40巻、2637頁
3)特開平06−32763号公報
4)特開2005−281454号公報
5)特開2009−527352号公報
に記載のポリマーホスフィンも利用可能である。
ここで、ケトンとしては、特に制限されないが、ジベンジリデンアセトン等が挙げられる。
ジケトンとしては、特に制限されないが、例えば、アセチルアセトン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1,3−ジフェニルプロパンジオン等のβジケトン等が挙げられる。
ホスフィンとしては、ハロゲン−リン結合を有するホスフィン類では、それ自身が有機亜鉛化合物と反応してしまうので、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。トリアルキルホスフィンとしては、具体的には、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジt−ブチルメチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3−20アルキル)ホスフィン等が挙げられる。また、トリアリールホスフィンとしては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィン等が挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィンが好ましい。
また先に挙げたように、ホスフィン単位をポリマー鎖に導入した不均一系触媒用のアリールホスフィンも好ましく用いることが出来る。具体的には以下の化学式:
Figure 2016128415
に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリールホスフィンが例示される。
ジアミンとしては、特に制限されないが、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジフェニルエチレンジアミン等が挙げられる。
系中で生じる0価のパラジウム錯体又はニッケル錯体を安定化させる機能が高いものが好ましい。具体的には、ホスフィン、ジアミン、ビピリジルの配位子を有するものが好ましく、特にホスフィンを有するものが好ましい。これらの中でも、トリアリールホスフィン及びトリアルキルホスフィンが好ましく、特にトリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン及びトリイソプロピルホスフィンが好ましい。同様に、前述したような、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基を、ポリマー鎖に結合させたトリアリールホスフィン類も好ましい。
その他、白金を含む触媒としては、Pt(PPh、Pt(cod)、Pt(dba)、塩化白金、臭化白金、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)、ジクロロ(η−1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等;ルテニウムを含む触媒としては、(Cl)Ru(PPh、Ru(cot)(cod)(cotはシクロオクタ−1,3,5−トリエン)、塩化ルテニウム(III)、ジクロロ(η−1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等;ロジウムを含む触媒としては、(Cl)Rh(PPh、塩化ロジウム(III)、クロロ(η−1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム(III)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等;コバルトを含む触媒としては、(Cl)Co(PPh、(CCo(PPh(Cはシクロペンタジエニル基)、(CCo(cod)、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)、塩化コバルト(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。
前記の触媒のうち、反応性、収率、及び選択性等の観点から、ニッケル又はパラジウムを含む触媒、なかでもパラジウムを含む触媒、さらにパラジウム錯体、特に0価のパラジウムのホスフィン錯体(とりわけトリフェニルホスフィン錯体、トリt−ブチルホスフィン錯体又は以下の化学式:
Figure 2016128415
で示したポリマーホスフィン錯体)が好ましい。
遷移金属触媒の使用量は、特に制限されるわけではないが、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛1モルに対して、通常、0.0001〜0.5モル程度、好ましくは0.0001〜0.1モル程度である。
配位子を投入する場合には、配位子の使用量は、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛1モルに対して、通常、0.0002〜1モル程度、好ましくは0.0002〜0.2モル程度である。また、配位子/触媒のモル比は、通常2〜10であり、好ましくは2〜4である。
工程(3−2)によって得られるトリフルオロビニル基を有するフッ素化合物は、所望により、溶媒抽出、又はクロマトグラフィー等の公知の精製方法によって単離精製され得る。
このようにして得られるトリフルオロビニル基を有するフッ素化合物は、前述のように、燃料電池用イオン交換膜、自動車用又は航空機用などのシール材又は燃料ホース、光ファイバーなどの光学電子部品、塗料用又は防汚用途などのコーティング材などの様々な用途に用いられる含フッ素高分子の原料モノマーとして、又は酵素阻害作用を有する農薬として有用である。
(態様2A及び2B)
態様2A及び2Bにおける工程(3−2)に用いられる化合物及び反応条件等は、いずれも前記工程(3−2)で説明した通りである。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。
実施例1〜6
以下の操作により、トリフルオロビニル亜鉛クロリド(以下、「TFVZnCl」と表記する。)及び式:(CF=CF)Znで表される化合物(以下、「(TFV)Zn」と表記する。)を得た。
(1)活性化したマグネシウム粉末を反応容器に秤量した。ここにDMI(各実施例における使用量は表1の通りとした)を加えて、混合した。
(2)この容器を不活性雰囲気下に、この溶液に塩化亜鉛(各実施例における使用量は表1の通りとした)を加えた。
(3)この反応容器にテトラフルオロエチレン(TFE)を、圧力をかけて導入した。
(4)ここで得られた反応溶液を、60℃で撹拌した(各実施例における撹拌時間は表1の通りとした)。
(5)冷後、残ったTFEを脱気し、ろ過した。
(6)ろ過後の反応溶液に、ジエチルエーテルを加えて6時間撹拌した。
(7)撹拌後、得られた溶液の上澄みをとり、濃縮した。ここに重ベンゼン(1mL)と内部標準(10μL)を加えた後にろ過し、得られた溶液の19F−NMR測定を行った。
(8)測定の結果、この溶液中には、TFVZnClと(TFV)Znとが存在することが判明した。
実施例1〜6における、マグネシウム粉末、塩化亜鉛およびDMIの量、60℃での撹拌時間、生成したTFVZnClと(TFV)Znの比、全TFVの量を表1に示した。
Figure 2016128415
実施例7
実施例1〜6で使用されているDMIの代わりに1,4−ジオキサンを使用した他は同様に操作を行い、TFVZnCl及び(TFV)Znを得た。この時の全TFVの収率は57%であった。結果を表1に示す。表中、*で示したのは、エーテルの代わりに1,4−ジオキサンを用いたことを表わしている。
実施例8
(1)マグネシウム粉末(4mmol)を充分に粉砕した。
(2)ここで得られたマグネシウム粉末をガラス密閉容器に秤量し、さらに撹拌子を入れた。ここに1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)10mLを加えて、超音波を10分間照射した。
(3)再度この容器をグローブボックス中に入れ、不活性雰囲気下に、この溶液に塩化亜鉛(8mmol)を加えた。
(4)この反応容器にテトラフルオロエチレン(TFE)を、圧力をかけて導入した。
(5)ここで得られた反応溶液を、60℃で16時間撹拌した。
(6)(4)と(5)の作業を再度繰り返した。
(7)冷後、残ったTFEを脱気し、ろ過した。
(8)ろ過後の反応溶液に、ジエチルエーテルを加えて6時間撹拌した。
(9)撹拌後、得られた溶液の上澄みをとり、濃縮した。ここに重ベンゼン(1mL)と内部標準(10μL)を加えた後にろ過し、得られた溶液の19F−NMR測定を行った。
(10)測定の結果、この溶液中には、トリフルオロビニル亜鉛クロリド(TFVZnCl)と(TFV)Znとが3.5:2.4の比率で存在することが判明した。
実施例9〜13
実施例1で得られたTFVZnClと(TFV)Znの混合溶液を0.092mmolずつ5つに分けて取り、それぞれに、表2に記載の金属塩0.1mmolをそれぞれDMIに溶解し、重ベンゼンを添加した後、40℃で1時間若しくは12時間、又は40℃で12時間反応後さらに100℃で4時間反応させた。その結果を表2に示した。表中、収率は、19F NMRにより求められたものである。また、「TFVX」は、式:CF=CFX(Xは、任意の原子又は一価の基である。)で表わされる化合物を表わしている。
Figure 2016128415
実施例14
実施例1で得られたTFVZnClと(TFV)Znの混合溶液0.18mmolに、CuCl 0.2mmolをDMIに溶解し、重ベンゼンを添加した後、40℃で2時間反応させた。その時の転化率は100%であり、Cの収率は78%であった。
実施例15
エーテルを添加して分離したTFVZnのDMI溶液(0.3M)を試験管に4.0mL、内部標準としてCFPhを12.3μL、および重ベンゼン2.0mLを加え、不活性雰囲気下にて撹拌した。
19F NMR測定を行い、混合溶液2.5mL中、TFVZnが0.125mmol含まれていることを確認した。
不活性雰囲気下にて、塩化銅のDMI溶液(0.5M)を250μL加えた。10分後に19F NMR測定を行ったところ、原料のTFVZnが完全に消費されて、目的物であるパーフルオロブタジエン(CF=CF−CF=CF)が0.125mmol含まれていると計算され、定量的に反応が進行していることが示された。
実施例16
実施例8と同様にして得られた、TFVZn(黒色懸濁液)を用い、9−ブロモアントラセンとのカップリング反応を120℃、2時間の条件で行った。反応生成物であるトリフルオロビニルアレーンの収率は96%であった。
比較例
エーテル処理(工程(8)以降)を行わない他は実施例8と同様にして得られた、TFVZn(黒色懸濁液)を用い、9−ブロモアントラセンとのカップリング反応を120℃、2時間の条件で行った。反応生成物であるトリフルオロビニルアレーンの収率は67%であった。
実施例17
不活性雰囲気下に、マグネシウム粉末11.7mmolと塩化亜鉛23.5mmolとを反応容器に入れ、ここに1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)35mlを加えて、混合した。
この反応容器にテトラフルオロエチレン(TFE)を、ゲージ圧で600kPaになるように導入した。60℃で7時間撹拌して、反応液を冷却後、残ったTFEを脱気した。
反応溶液に、ジエチルエーテルを加えて撹拌し、固形物を濾過して除去した。反応液中のジエチルエーテルを除去して、得られた溶液のNMR測定を行った。
測定の結果、この溶液中には、TFVZnCl 7.1mmolと(TFV)Zn 2.2mmolとが存在することが判明した。この時のMgを基準としたTFVの収率は98%であった。
このTFVZnClと(TFV)Znとを含むDMI混合液に、塩化第二銅を12mmol添加して反応させた。反応後のDMI混合溶液をNMR測定で分析したところ、TFVZnClと(TFV)Znとはすべて反応しており、存在していなかった。転化率は100%であった。生成したガスを捕集して、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、ヘキサフルオロブタジエンCが98.9%と不純物が1.1%含まれていた。

Claims (17)

  1. 式(1):
    Figure 2016128415
    [式中、
    は、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基又はフッ素を表し、
    は、フッ素又は水素を表し、
    は、フッ素又は水素を表すか、
    或いは、AとA又はAとが一緒になって、炭素数1〜12のパーフルオロアルキレン鎖を形成してもよく、
    X’は、ハロゲンを表し、
    波線で示される単結合は、それが結合している二重結合についての立体配置が、E配置若しくはZ配置又はそれらの任意の割合の混合物であることを表す。]
    で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物;及び
    式(2):
    Figure 2016128415
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される含フッ素亜鉛化合物を含有する組成物の製造方法であって、
    工程(1)式(3):
    Figure 2016128415
    [式中、Xは、フッ素又は塩素を表し、その他の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される含フッ素(シクロ)オレフィンを、
    マグネシウム及びその合金からなる群より選択される1種以上の金属の存在下で、式:ZnX’(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表されるハロゲン化亜鉛と液相で反応させることにより、
    前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物を含有する液相を得る工程;及び
    工程(2)前記工程(1)で得られた液相を、金属ハロゲン化物の貧溶媒と混合することにより、前記ハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物及び前記含フッ素亜鉛化合物を含有する液相と、金属ハロゲン化物を含有する固形分とに分離させる工程
    を含む製造方法。
  2. 前記式(3)中、Xが、フッ素である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記式(1)中、X’が、塩素である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(1)で用いる前記金属が、マグネシウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記工程(2)で用いる前記溶媒が、エーテル、芳香族炭化水素、ケトン又はエステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記式(3)で表される含フッ素(シクロ)オレフィンが、テトラフルオロエチレンであり、前記式(1)で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物が、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記工程(1)の液相反応を、非プロトン性極性溶媒中で行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記工程(1)における、マグネシウムに対する非プロトン性極性溶媒のモル比が、1〜100の範囲内である、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記工程(1)における、ハロゲン化亜鉛に対する非プロトン性極性溶媒のモル比が、0.5〜50の範囲内である、請求項7に記載の製造方法。
  10. 式(4):
    Figure 2016128415
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の工程(1)及び工程(2)、並びに
    工程(3)前記工程(2)で得られた液相を反応させて、前記含フッ素化合物を得る工程を含む製造方法。
  11. 前記工程(3)の反応を、銅の塩又は鉄の塩の存在下で行う、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記式(3)で表される含フッ素(シクロ)オレフィンが、テトラフルオロエチレンであり、前記式(1)で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物が、ハロゲン化トリフルオロビニル亜鉛であり、かつ前記式(4)で表される含フッ素化合物が、ヘキサフルオロブタジエンである、請求項10又は11に記載の製造方法。
  13. 式(1):
    Figure 2016128415
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表されるハロゲン化含フッ素(シクロ)アルケニル亜鉛化合物、及び
    式(2):
    Figure 2016128415
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される含フッ素亜鉛化合物を、
    10:1〜1:100のモル比で含有する組成物。
  14. 式(4):
    Figure 2016128415
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される含フッ素(シクロ)アルケニル基を有するフッ素化合物の製造方法であって、請求項10又は11に記載の組成物を反応させる工程を含む製造方法。
  15. 含フッ素(シクロ)アルケニル基を有する前記フッ素化合物が、ヘキサフルオロブタジエン(前記式(4)中、A〜Aが、いずれもフッ素を表わす。)である、請求項14に記載の製造方法。
  16. 式(5):
    Figure 2016128415
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される化合物の製造方法であって、請求項10又は11に記載の組成物を、式:R−X(式中、Rは、有機基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表される化合物と反応させる工程を含む製造方法。
  17. 式(5):
    Figure 2016128415
    [式中の記号は前記と同意義を表す。]
    で表される化合物の製造方法であって、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の工程(1)及び工程(2)、並びに
    工程(3)前記工程(2)で得られた液相を、式:R−X(式中の記号は前記と同意義を表す。)で表される化合物と反応させる工程を含む製造方法。
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