JP2016126950A - 多芯超電導線材 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来は多芯超電導線材の製造工程において、多芯超電導線材の内部に破損を生じる場合があった。そこで、本発明は破損のない多芯超電導線材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、MgB2で構成するコア部と、前記コア部の外周に位置するバリア相と、前記バリア相の外周に位置する安定化相と、を有する単芯超電導線材が複数本束ねられた多芯超電導線材において、隣り合う単芯超電導線材の間に、前記安定化層を構成する金属よりも硬度が高い金属で構成する硬質金属部を有する。
【選択図】図4
【解決手段】本発明は、MgB2で構成するコア部と、前記コア部の外周に位置するバリア相と、前記バリア相の外周に位置する安定化相と、を有する単芯超電導線材が複数本束ねられた多芯超電導線材において、隣り合う単芯超電導線材の間に、前記安定化層を構成する金属よりも硬度が高い金属で構成する硬質金属部を有する。
【選択図】図4
Description
本発明は、二ホウ化マグネシウム(以下、MgB2と略す)超電導線材に関する。
MgB2超電導体は、金属系超電導体として最も高い臨界温度(39K)を有し、液体ヘリウムフリー(例えば10〜20K)で運転する超電導電磁石を実現する超電導材料として期待されている。MgB2超電導体を超電導マグネットシステム(例えば、NMRやMRI等)の超電導電磁石に適用すれば、温度マージン(臨界温度と使用温度の差)を、従来超電導材料のNb3TiやNB3Snで電磁石を構成した場合よりも大きくできるので、クエンチが生じにくく、熱的安定性の高い超電導マグネットシステムを提供することができる。
MgB2超電導線材は、Mg(マグネシウム)粉末とB(ホウ素)粉末との混合粉末またはMgB2粉末、更にはそれらに第三元素を添加した混合粉末を金属管に充填し、伸線加工するいわゆるパウダーインチューブ法(以下、PIT法と略す)で一般的に作製される。PIT法では、Mg粉末とB粉末とを反応させてMgB2を生成・焼結するために、伸線加工の実施後に通常600℃以上の温度領域での熱処理が行われる。
実用段階の超電導線材では、熱的安定性の向上や交流損失の低減の観点から、単芯超電導線材を多数組み込んで多芯化した形態での使用が要求される。特許文献1では、Fe、NbまたはTaで被覆された単芯超電導線材を製造し、これを多数本束ねて電気抵抗が小さいCuなどのパイプに組み込んだ「多芯組込方式」で多芯超電導線材を製造することが開示されている。
MgB2超電導線材は、Mg(マグネシウム)粉末とB(ホウ素)粉末との混合粉末またはMgB2粉末、更にはそれらに第三元素を添加した混合粉末を金属管に充填し、伸線加工するいわゆるパウダーインチューブ法(以下、PIT法と略す)で一般的に作製される。PIT法では、Mg粉末とB粉末とを反応させてMgB2を生成・焼結するために、伸線加工の実施後に通常600℃以上の温度領域での熱処理が行われる。
実用段階の超電導線材では、熱的安定性の向上や交流損失の低減の観点から、単芯超電導線材を多数組み込んで多芯化した形態での使用が要求される。特許文献1では、Fe、NbまたはTaで被覆された単芯超電導線材を製造し、これを多数本束ねて電気抵抗が小さいCuなどのパイプに組み込んだ「多芯組込方式」で多芯超電導線材を製造することが開示されている。
従来は多芯超電導線材の製造工程において、多芯超電導線材の内部に破損を生じる場合があった。そこで、本発明は破損のない多芯超電導線材を提供することを目的とする。
本発明は、MgB2で構成するコア部と、前記コア部の外周に位置するバリア相と、前記バリア相の外周に位置する安定化相と、を有する単芯超電導線材が複数本束ねられた多芯超電導線材において、隣り合う単芯超電導線材の間に、前記安定化層を構成する金属よりも硬度が高い金属で構成する硬質金属部を有する。
上記構成により、本発明は破損がなく特性が高い多芯超電導線材を提供することができる。
多芯超電導線材の製造工程において、単芯超電導線材を束ねて大きな金属管に組込んだ状態で、ダイスによる引抜き加工(伸線加工)などを用いて、多芯超電導線材の長尺化を行う。長尺化の過程では多芯超電導線材の外形は徐々に低下していくが、多芯超電導線材の断面構造に着目すると、伸線加工前の形状が相似形で縮小するのではなく、局部的に伸線加工前とは異なる形状に変化する場合が多い。すなわち、伸線加工時に多芯超電導線材の断面に不均一変形が生じる場合がある。
多芯超電導線材の断面の不均一変形が生じた結果として、組込時の単芯超電導線材の外側のバリア相(Fe、Nb、Ta等の被覆材)の肉厚が不均一となり、肉厚が薄くなることにより伸線加工の途中でバリア相の破壊が生じる。バリア相は、単芯超電導線材のコア部と、複数の単芯超電導線材の間を充填する安定化相(例えばCuで構成する)の間に位置し、コア部を保護する機能を有する。
バリア相が破壊されると、熱処理中にMgがCuと優先的に反応し、結果としてコア部のMgB2の生成を阻害するため、長尺加工後の多芯超電導線材の特性を低下させてしまう課題がある。
本発明の特徴は、多芯超電導線材の内部(バリア相)破損を防止するための新規な構造にある。具体的には、多芯超電導線材において外周側に隣り合って位置する単芯超電導線材の間に硬質金属部を設けるものである。さらに硬質金属部の位置を特定すると、隣り合って位置する2つの単芯超電導線材と金属管の間に存在すると言える。
なお、多芯超電導線材を7芯で構成する(7芯組込線)場合においては、中心に位置する単芯超電導線材を除く、外周側の6本の単芯超電導線材の間に硬質金属部を設ける。また、多芯超電導線材を6芯で構成する(6芯組込線)場合においては、中心に単芯超電導線材に替えて安定化相の金属を配置し、外周側に配置した6本の単芯超電導線材の間に硬質金属部を設ける。
外周側に配置した6本の単芯超電導線材において、隣り合う単芯超電導線材の第1のコア部から第2のコア部までの空間は、第1の単芯超電導線材のコア部、バリア相、安定化相、硬質金属部、第2の単芯超電導線材の安定化相、バリア相、コア部の順番で構成される。複数の安定化相の間に硬質金属部を設けることで、従来組込構造で生じた安定化相(例えばCu)の物質移動が抑制されて、バリア相の不均質変形を防止することが可能になる。上記の構成、位置関係は熱処理後も維持される。
以下に、本発明の多芯超電導線材の製造工程を詳細に説明する。
<多芯超電導線材製造工程>
図1に本発明における多芯超電導線材の製造工程のフロー図を示す。まず、原料となるMgとBの粉末をモル比で約1:2に秤量した後、Ar等の不活性ガス雰囲気中にてこれらをボールミル装置などで粉砕・混合する。場合によっては第3元素粉末(例えばB4C粉末)を加えても良い。
<多芯超電導線材製造工程>
図1に本発明における多芯超電導線材の製造工程のフロー図を示す。まず、原料となるMgとBの粉末をモル比で約1:2に秤量した後、Ar等の不活性ガス雰囲気中にてこれらをボールミル装置などで粉砕・混合する。場合によっては第3元素粉末(例えばB4C粉末)を加えても良い。
得られた粉末を外周部にCu、内周部にFeが配置された複合シース管(二重シース管)に充填し、線材の直径で0.3〜0.5mmまで伸線加工を行う。一定量の伸線加工の後に、六角形状のダイスによる引抜きを行って、六角形断面の単芯超電導線材とする。その後に約500℃の温度で熱処理を行って、複合シース管の加工ひずみを十分に除去する。
熱処理後の単芯超電導線材を用いて、6芯組込線または7芯組込線の多芯超電導線材を構成する。組込の際に、外周側に位置する6本の単芯超電導線材のうち隣り合う単芯超電導線材の間に、硬質金属部(例えば、板状の硬質金属部材)を設置する。
図2は、硬質金属部を用いず、中心に単芯超電導線材2を配置し、外周側に6本の単芯超電導線材2を配置した場合の7芯組込線の多芯超電導線材1の構造を示す。左側が伸線加工前の多芯超電導線材1であり、右側が伸線加工後の多芯超電導線材1である。図2において、多芯超電導線材1は金属管7の中に7本の単芯超電導線材2を束ねて形成される。
単芯超電導線材2は、コア部3と、その外周側に金属シース部を備える。金属シース部はバリア相4と、安定化相5を備える。単芯超電導線材2は断面が円形や多角形であり、単芯超電導線材2の金属シース同士は径方向において点接触または部分的に面接触する。また、単芯超電導線材2と金属管9との間の空間に、安定化相6を設けても良い。
図3は、硬質金属部を用いず、中心に単芯超電導線材2を配置せず、外周側に6本の単芯超電導線材2を配置した場合の6芯組込線の多芯超電導線材1を示す。
安定化相5はバリア相4よりも柔らかいため、安定化相5は伸線加工時に単芯超電導線材2同士の隙間を埋める充填相となる。一方で安定化相5を組込線に内包することで、多芯超電導線材1を巻線後に超電導コイルとして使用する際に、クエンチ発生時の大電流の流路としての機能を付与することが出来ることから、安定化相5は組込線において重要な役割を果たしている。
上記の2重被覆した単芯超電導線材2に対して、六角形状のダイスを用いた引抜き加工を行って断面が六角形状の単芯超電導線材2とする。六角形状の単芯超電導線材2を7本組み合わせることで内部に隙間のない組込構造が実現できる。その後に伸線加工に進む際には束ねた単芯超電導線材2の分解防止のため、7本の単芯超電導線材2の外側を金属管9で覆ってからダイスに通す必要がある。
上記の多芯超電導線材1(7本の単芯超電導線材)を引抜き加工で伸線する場合は、中心位置の単芯超電導線材2は比較的均一な厚さを保っているが、その周囲の6本の単芯超電導線材2ではバリア相4の厚さに大きな差が生じる傾向がある。これら6本の単芯超電導線材2のバリア相4の厚さは単芯超電導線材2の外周側で厚く、中心位置の単芯超電導線材2に近い場所では薄くなる傾向にある。伸線加工終了後の断面観察の結果では、バリア相の破損8は中心から離れた位置に存在する6本の単芯超電導線材2の内周側部分でのみ確認された。
このバリア相の破損8が特定の箇所のみに生じる理由として、伸線加工中のバリア相4と安定化相5の塑性流動の影響が推測される。単芯超電導線材2の内部のコア部3を形成するMgとBの混合粉末は、バリア相4のFeや安定化相5のCuよりも伸線加工中の変形抵抗が高い。伸線加工時には、中心から離れた位置に存在する6本の単芯超電導線材2のうちの一方のコア部3と他方のコア部3の間に存在するバリア相4のFeと、安定化相5のCuは塑性変形を繰り返されると考えられる。この過程で、FeとCuは、単芯超電導線材2の中央部から外周部へと物質移動を伴いながら徐々に変形することで、単芯超電導線材2の内周側に面した位置でのみ、バリア相4の破壊が生じたと推測される。
FeとCuに物質移動が生じるメカニズムの詳細については不明な点もあるが、この物質移動を防止することにより、バリア相4の破損を防止して、多芯超電導線材全体としての特性の劣化を防止することが、本発明の目的である。
図4は、硬質金属部9を用いて、中心に単芯超電導線材2を配置し、外周側に6本の単芯超電導線材2を配置した場合の7芯組込線の多芯超電導線材1の構造を示す。左側が伸線加工前の多芯超電導線材1であり、右側が伸線加工後の多芯超電導線材1である。図4において、多芯超電導線材1は金属管7の中に7本の単芯超電導線材2を束ねて形成される。
図5は、硬質金属部9を用いて、中心に単芯超電導線材2を配置せず、外周側に6本の単芯超電導線材を配置した場合の6芯組込線の多芯超電導線材1を示す。
図4及び図5の多芯超電導線材1においては、硬質金属部9を含むことにより、バリア相4及び安定化相5の物質移動を防止でき、バリア相4の破損を防止することができる。
バリア相4、安定化相5(6)、硬質金属部9については複数の金属材料の中から選択することができる。
バリア相4の材料としては、コア部3を構成する構成するMg粉末との反応性が小さい金属が好ましい。例えば、Fe、Nb、Ta、BCC金属(体心立方格子構造の金属)、またはこれらを含む合金等が好ましい。
安定化層5(6)としては、CuまたはFeが好ましい。
硬質金属部9として、安定化相5(6)のCuよりも硬質な金属で、室温である程度の延性を有していれば特に規定はない。例えば、Ni、Fe、Nb、Ta、BCC金属(体心立方格子構造の金属)、またはこれらを含む合金、304、316ステンレス鋼等のオーステナイトステンレス鋼などから選ぶことが好ましい。
これらの各金属から、「バリア相4の硬度>安定化相5(6)の硬度」、「硬質金属部9の硬度>安定化相5(6)の硬度」という条件を満たすものを選択することが好ましい。
各主要金属の室温での硬度は、Fe:110Hv、Cu:46Hv、Ni:96Hv、SUS304:150Hv、SUS316:145Hvである。この数値が高い方が硬度が高いことを示す。
硬質金属部9の長さ(図4、5において、奥行き方向に伸びる部分の長さ)は単芯超電導線材2と同程度が好ましい。
硬質金属部9の断面の短軸(図4、5において縦方向に伸びる部分の長さ)は、単芯超電導線材2の安定化相5の厚さに対して1/8〜2倍の範囲であるのが好ましい。硬質金属部9の断面の長軸(図4、5において横方向に伸びる部分の長さ)は、単芯超電導線材2の六角形を構成する1辺の長さに対して1/3〜1.5倍の範囲にあることが好ましい。
硬質金属部材9の断面の短軸、長軸のいずれかが上述の範囲を下回る場合は、安定化相5(例えばCu)の塑性変形抑制効果が低下してしまう。また、硬質金属部材9の断面の短軸、長軸のどちらかが、上述の範囲を上回る場合は、単芯超電導線材2のコア部3の形状に歪みが生じてバリア相4の破損につながる。
図6は、断面が円形の単芯超電導線材2を有する多芯超電導線材1の構造を示す。ここまで、断面が六角形の単芯超電導線材2を有する多芯超電導線材1を例にして説明してきたが、断面が円形の場合や、六角でない多角形の場合でも本発明の硬質金属部9を採用することが可能である。
図7は、硬質金属部9を用いない場合の伸線加工時に安定化相5に働く力を示す。伸線加工処理順の流れを上から下に示す。図7の下図では、安定化相5が外周側に引っ張られることで、バリア相4に破損が発生している。
図8は、硬質金属部9を用いる場合の伸線加工時に安定化相5に働く力を示す。伸線加工処理順の流れを上から下に示す。図8の下図では、硬質金属部9の存在により、安定化相5が外周側に引っ張られる力が図7の場合よりも抑制され、バリア相4の破損を防止している。
内部に純Fe、外側に純Cuを配置した2重シース管を、熱間等方圧加圧法を用いて作製し、2重シース管内部にMgとBの粉末をモル比で約1:2として配合してボールミルで混合した粉末を充填した。粉末充填後の2重シース管をドローペンチ装置を用いて引き抜き加工を繰り返し、6.25mmの断面が円形の単芯超電導線材を作製した。続いて六角形のダイスを通すことで、円形の単芯超電導線材を対辺長さ5.42mmの六角形の断面形状に伸線加工した。その後にFe、Cuのひずみを除去するため、500℃で熱処理を行った。
熱処理後の六角形断面の単芯超電導線材を長さ250mmに切断した。切断面の組織観察でコア表面を被覆するFe、Cuの2層の厚さを測定した結果、Fe層の厚さは0.3mm、Cu層の厚さは0.6mmであった。
切断後の単芯超電導線材7本を図4に示すように配置し、外径20mm、内径17mmの金属管(モネル(Ni−Cu合金))の内部に入れて7芯組込線とした。同時に厚さ0.3mm、幅3mm、長さ250mmの純Niの硬質金属部を準備して図4に示す位置に配置した。比較材として、純Niの硬質金属部材を置かない図2に示す7芯組込材も準備した。
本発明材と比較材に対してドローペンチによる引抜き加工を繰返すことで、外径1.5mmまでの伸線を行った。得られた多芯超電導線材の後端部から1mの多芯超電導線材を切り出して、20cm長さに5分割し、異なる5箇所の断面組織を光学顕微鏡により観察した。組込時には組込線材と外側モネル管の内壁との間に空隙が存在したが、伸線後の断面には空隙は確認さなかった。伸線加工中のCuの変形により隙間が全て充填されたと考えられる。
硬質金属部材を持たない比較材の光顕写真のすべてにおいて、単芯超電導線材のコア周囲のバリア相の一部が破損している箇所が確認された。バリア相の破損は中心位置の単芯超電導線材では起こらず、外側6本の単芯超電導線材の内側の中心に近い場所でのみ確認された。
一方で、硬質金属部材を組み込んだ本発明材の光顕写真においては、バリア相は肉厚が薄くなる箇所は見られたが、破損している箇所は確認されなかった。Cuより硬質なNi板を2つのコア部の間に置くことで、Cuの物質移動が抑制されたためであると予想される。
実施例1で作製した本発明材、比較材を600℃のAr雰囲気中で熱処理を実施して、コア部にMgB2を反応により生成した。熱処理後の多芯超電導線材に対して、液体ヘリウム中(4.2K)における臨界電流密度Jc(印加磁場4T)の測定を行った。本発明材、比較材共に、実施例1で光顕観察の目的で採取した5本の多芯超電導線材についての測定を実施した。
図9にはJc測定結果のグラフを示す。グラフのJc値は5本の線材で測定したJc値の平均値で規格化した値を示す。比較材の規格化したJc値は0.75から1.04の間で値が変動しているが、本発明材においては規格化したJc値の変動は0.95から1.05の間に収まっている。図9の比較材の値の変動幅が本発明材に比べて大きい結果は、異なる5箇所の線材間でのJc値のばらつきが、本発明材に比べて大きいことを示唆している。
比較材では、コア部を被覆するバリア相が多くの場所で破損していることから、600℃熱処理の段階で、Mgの一部が周囲のCuの領域に拡散することで、MgB2の生成が阻害され、Jc値のばらつきが増加したと推測される。本発明材においては、バリア相の破損が比較材に比べて少ないことから、Jc値のばらつきが少なくなったと考えられる。本発明材のJc値はいずれも、比較材のJc値のうちの最大値に相当する値を示していることから、本発明材においては、バリア相の破壊を防止することで、Jc値を高いレベルで安定して達成できたと考えられる。
1…多芯超電導線材、2…単芯超電導線材、3…コア部、4…バリア相、5…安定化相、
6…安定化相、7…金属管、8…バリア相の破損、9…硬質金属部
6…安定化相、7…金属管、8…バリア相の破損、9…硬質金属部
Claims (9)
- MgB2で構成するコア部と、前記コア部の外周に位置するバリア相と、前記バリア相の外周に位置する安定化相と、を有する単芯超電導線材が複数束ねられた多芯超電導線材において、
隣り合う単芯超電導線材の間に、前記安定化相を構成する金属よりも硬度が高い金属で構成する硬質金属部を有することを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1に記載の多芯超電導線材において、
前記安定化相を構成する金属はCuまたはFeであることを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1または2に記載の多芯超電導線材において、
前記バリア相を構成する金属はFe、Nb、Ta、またはBCC金属を含むことを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の多芯超電導線材において、
前記硬質金属部を構成する金属はNi、Fe、Nb、Ta、BCC金属またはオーステナイトステンレス鋼を含むことを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1に記載の多芯超電導線材において、
前記安定化相を構成する金属はCuであり、
前記バリア相を構成する金属はFeであり、
前記硬質金属層を構成する金属はNiであることを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1に記載の多芯超電導線材において、
前記安定化相を構成する金属はCuであり、
前記バリア相を構成する金属はFeであり、
前記硬質金属層を構成する金属はFeであることを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載の多芯超電導線材において、
複数の前記単芯超電導線材の外周に位置する金属管を有し、
前記硬質金属層は、隣り合って位置する2つの前記単芯超電導線材と前記金属管の間に位置することを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の多芯超電導線材において、
6本の前記単芯超電導線材を有し、
中心から離れた位置に6本の前記単芯超電導線材を配置した構造であることを特徴とする多芯超電導線材。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の多芯超電導線材において、
7本の前記単芯超電導線材を有し、
中心に1本の前記単芯超電導線材を配置し、中心から離れた位置に6本の前記単芯超電導線材を配置した構造であることを特徴とする多芯超電導線材。
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