JP2016125996A - 遅れ破壊試験方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼材(3)を塩酸(5)に浸漬する遅れ破壊試験方法において、耐遅れ破壊性を合理的に試験できる遅れ破壊試験方法を提供する。【解決手段】鋼材(3)を所定時間屋内保管した後に、酸浸漬法により耐遅れ破壊性を試験する。【選択図】図1
Description
本発明は、遅れ破壊試験方法に関する。
近年、自動車の燃費向上および自動車の衝突安全性向上の点より、車体材料を軽量化および高強度化することで、自動車の車体を軽量かつ高強度にすることが行われている。例えば、車体材料に高張力鋼板が使われるが、その高張力化が進んでいる。
しかしながら、高張力鋼板、特に引張強度1180MPa以上の高張力鋼板をプレス加工したプレス製品を使用する場合、鋼中に侵入した拡散性水素の集中と、プレス加工によりプレス製品内に残留した応力により所定時間経過後にプレス製品に割れを引き起こすという遅れ破壊が懸念されている。したがって、高張力鋼板をプレス加工したプレス製品を実用化するにあたっては事前に使用中に遅れ破壊が発生しないか試験しておく必要がある。
特許文献1記載の遅れ破壊試験方法は、高張力鋼板をプレス加工したインパクトビームを塩酸に浸漬させ、所定時間経過しても破壊が発生しないかを確認する塩酸浸漬試験を実施することが、開示されている。鋼板の遅れ破壊は一般に鋼板における残留応力の存在下での水素の侵入により発生すると考えられ、塩酸浸漬試験は水素の侵入量を早めるいわゆる遅れ破壊の促進試験として行われている。
特許文献1記載の遅れ破壊試験方法では、引張強度1180MPa級の高張力鋼板をプレス加工したインパクトビームについて0.1規定塩酸で塩酸浸漬試験を行った結果、300時間塩酸に浸漬しても破壊が発生しなかったことにより、実際の使用環境においても、遅れ破壊に対して安全であるとしている。
しかしながら、さらに高強度な高張力鋼板、例えば1470MPa級の高張力鋼板をプレス加工したプレス製品について0.1規定塩酸で塩酸浸漬試験を行うと、材料の高張力化によりプレス製品内に残留する応力が増しているため、拡散性水素の集中とともに、300時間が経過する前に割れが発生し、実際の使用環境においても遅れ破壊が懸念され、1470MPa級の高張力鋼板を冷間加工によるプレス加工したプレス製品は実用化されていない。
また、特許文献1記載の遅れ破壊試験方法は、プレス製品の実際の使用条件と異なる条件での遅れ破壊評価であり、実際の使用条件に合理的な試験方法が望まれる。
また、特許文献1記載の遅れ破壊試験方法は、プレス製品の実際の使用条件と異なる条件での遅れ破壊評価であり、実際の使用条件に合理的な試験方法が望まれる。
そこで本発明の解決しようとする課題は、鋼材の耐遅れ破壊性を合理的に試験できる遅れ破壊試験方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の遅れ破壊試験方法は、鋼材を所定時間屋内保管した後に、酸浸漬法により耐遅れ破壊性を試験する、ことを特徴とする。
本発明によれば、鋼材の実際の使用条件における遅れ破壊に対して合理的な遅れ破壊試験が可能である。
本発明の実施の形態に関わる遅れ破壊試験方法を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
<実施形態>
図1に示すように、遅れ破壊を確認する塩酸浸漬試験を行うために鋼材3を塩酸5に浸漬させるが、実施形態では鋼材3を数日間屋内保管する。その後、鋼材3を容器4内の塩酸5に浸漬する。
図1に示すように、遅れ破壊を確認する塩酸浸漬試験を行うために鋼材3を塩酸5に浸漬させるが、実施形態では鋼材3を数日間屋内保管する。その後、鋼材3を容器4内の塩酸5に浸漬する。
そして、鋼材3を塩酸浸漬開始から実際の使用環境において遅れ破壊の危険性がないと評価できる合理的な時間経過した後に鋼材3に割れが発生していなければ、実用的に遅れ破壊は発生しないと判断できる。
以上の様に、実施形態による鋼材3について実用的に遅れ破壊の懸念がなくなり、実用化が見込める。
次に本発明の遅れ破壊試験方法について、試験品の鋼材3として図2に示すプレス製品であるインパクトビーム6を使用した場合を例に説明する。
図1に示すように、引張強度1470MPa以上として規格される引張強度1470MPa級の高張力鋼板であって、マルテンサイト単相組織からなり、板厚1.2mmの材料をレーザー加工により外周を切断し、所望のブランク材1を得た。ここで、外周切断はブランク型により外周を切断してもよい。
次に、ブランク材1を金型2に挿入し、プレス成形し、図2および図3に示すインパクトビーム6を得た。この時、インパクトビーム6はプレス加工により三次元形状を形成するとともに高い応力が付与され、インパクトビーム6内に高い応力が残留する。一般的に材料の引張強度が大きくなるほど、インパクトビーム6内に残留する応力は高くなる。したがって、引張強度1470MPa以上の高張力鋼板にプレス加工を行うとプレス製品内に非常に高い応力が残留する。
インパクトビーム6の概略寸法は図2を参照して、長さL=640mm、幅W=80mmの外形略矩形形状である。また、インパクトビーム6の断面は図3に示すように円弧形状に形成された天面部7、天面部7の両端より斜め外側下方に延びる側壁部8、側壁部8よりR部9を介して両外側に延びるフランジ部10で構成される略ハット断面形状で、インパクトビーム6は図3に示す断面が長さ方向に直線状に連続している。
金型2はインパクトビーム6の天面部7および側壁部8およびR部9の外側形状に略一致する凹部を有する上型およびインパクトビーム6の天面部7および側壁部8の内側形状に略一致する凸部を有する下型からなる。
インパクトビーム6は金型2から取り出した後、例えば10℃から30℃の間で数日間保管した。すなわち、インパクトビーム6が使用される実際の使用環境に近い条件で保管することが好ましい。
インパクトビーム6を金型2から取り出して屋内保管し始めてから45日後に、塩酸浸漬を開始した。塩酸浸漬は0.1規定塩酸を容器4に満たし、その中にインパクトビーム6を配置し、インパクトビーム6全体が塩酸5に漬かるように浸漬を行った。また、容器には温度変化を抑制するためおよび異物混入を防止するため蓋をした。
インパクトビーム6を塩酸浸漬後、24時間ごとにインパクトビーム6に割れが発生していないか確認を行った。本試験においてはインパクトビーム6が実際の使用環境において遅れ破壊の危険性が小さいと評価できる十分かつ合理的な目標の塩酸浸漬時間を1000時間に設定し、この設定した目標の塩酸浸漬時間1000時間経過して割れが発生しなければ、実用的に遅れ破壊しないと判断することとした。
塩酸浸漬開始してから1008時間が経過しても割れが発生していなかった。つまり、本試験においてこのインパクトビーム6が実用的に遅れ破壊しないことが確認できた。
塩酸浸漬開始してから1008時間が経過しても割れが発生していなかった。つまり、本試験においてこのインパクトビーム6が実用的に遅れ破壊しないことが確認できた。
比較例として、インパクトビーム6を金型2から取り出して屋内保管してから10日後、同様の塩酸浸漬を行った。塩酸浸漬開始してから24時間経過した時点で確認したところ、インパクトビーム6に割れが発生した。つまり、比較例の試験においては実用的に遅れ破壊が発生する懸念ありと判断された。
実施例と比較例から、引張強度1470MPa級の高張力鋼板を用いたインパクトビーム6は金型2から取り出してから屋内保管された時間経過とともに、インパクトビーム6にかかる応力が緩和されていると考えられる。
つまり、比較例の試験方法では、プレス加工により応力が付加されたインパクトビーム6が屋内保管された時間経過によって応力緩和が十分される前に塩酸5に浸漬され、つまり、インパクトビーム6内の応力が高いまま促進試験が開始されていると考えられ、実際の使用条件と異なる条件での試験となり、実用可能なインパクトビーム6においても遅れ破壊の懸念があると判断され、実用化が阻害されてしまう。
一方、実施例は、プレス加工により応力が付加されたインパクトビーム6が屋内保管された時間経過によって応力緩和が十分にされた後に塩酸5に浸漬され、つまり、実インパクトビーム6内の応力が十分緩和された後に促進試験が開始されていると考えられ、実際の使用条件に近い遅れ破壊試験を行うことができる。そして、促進試験開始時にはインパクトビーム6内の応力が十分に緩和されていると考えられ、塩酸浸漬試験を行ってもインパクトビーム6に割れが発生しない。つまり、比較例と同等のインパクトビーム6でありながら、遅れ破壊の懸念がなくなり、引張強度1470MPa級の高張力鋼板を用いたインパクトビーム6の実用化が見込める。
以上の様に、本遅れ破壊試験方法では、プレス製品の耐遅れ破壊性を合理的に試験できるので、引張強度1470MPa級の高張力鋼板からなるプレス製品の実用化が見込める。
<他の実施形態>
本発明の遅れ破壊試験方法の試験品である鋼材3は実施例に用いた引張強度1470MPa級の高張力鋼板に限定されない。好ましくは高張力鋼であればよい。さらに好ましくは引張強度1470MPa以上の高張力鋼板であればよい。
本発明の遅れ破壊試験方法の試験品である鋼材3は実施例に用いた引張強度1470MPa級の高張力鋼板に限定されない。好ましくは高張力鋼であればよい。さらに好ましくは引張強度1470MPa以上の高張力鋼板であればよい。
本発明の遅れ破壊試験方法の試験品である鋼材3は実施例に用いた材料組織がマルテンサイト単相の高張力鋼板に限定されない。高張力鋼であればTRIP(トリップ)鋼、DP(デュアルフェーズ)鋼でもよい。
さらに本発明の遅れ破壊試験方法の試験品である鋼材3としてインパクトビーム6に限定されない。好ましくはプレス製品であればよい。
また、目標の塩酸浸漬時間は1000時間に限定されない。実際の使用環境において遅れ破壊の危険性が小さいと評価できる十分かつ合理的な時間であればよい。例えば300時間でもよい。
1 ブランク材
2 金型
3 鋼材
4 容器
5 塩酸
6 インパクトビーム
7 天面部
8 側壁部
9 R部
10 フランジ部
2 金型
3 鋼材
4 容器
5 塩酸
6 インパクトビーム
7 天面部
8 側壁部
9 R部
10 フランジ部
Claims (2)
- 鋼材の耐遅れ破壊性を試験する方法において、前記鋼材を所定時間屋内保管した後に、酸浸漬法により耐遅れ破壊性を試験する、ことを特徴とする遅れ破壊試験方法。
- 前記鋼材は、鋼鈑にプレス加工を施して成形した、ことを特徴とする請求項1記載の遅れ破壊試験方法。
Priority Applications (1)
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JP2015010705A JP2016125996A (ja) | 2015-01-06 | 2015-01-06 | 遅れ破壊試験方法 |
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Citations (6)
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2015
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