JP2016125682A - 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法 - Google Patents

凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度センサを用いることなく一次乾燥工程及び二次乾燥工程における被乾燥材料の乾燥状態を監視でき、かつ被乾燥材料がコラプスする危険性を完全に排除可能な凍結乾燥機用の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法を提供する。【解決手段】シーケンサPLCは、一次乾燥工程及び二次乾燥工程において、乾燥庫真空度Pdcの変化を成り行きに任せ、昇華速度Qm(二次乾燥工程では、脱湿速度Qm´)、平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsをこの順に算出する。平均底部品温(Tb)の算出には、被乾燥材料の潜熱のみならず顕熱も考慮する。また、乾燥庫真空度Pdcとコールドトラップ真空度Pctは、数秒間の間に検出される複数の計測値の平均値を用いる。さらに、一次乾燥工程及び二次乾燥工程において、それぞれ特有の乾燥庫壁温度を用いる。【選択図】図3

Description

本発明は、食品や医薬品等の原材料液である被乾燥材料を凍結乾燥により所定の含水率になるまで乾燥させて製品とする凍結乾燥機に適用される、被乾燥材料の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法に関する。
医薬品等の凍結乾燥は、制御盤により自動制御される凍結乾燥機の乾燥庫内に被乾燥材料を充填した多数のトレイやバイアル等の容器を装入し、各容器内の被乾燥材料を所定の含水率になるまで乾燥させることにより行われる。この種の凍結乾燥機を用いた被乾燥材料の凍結乾燥工程は、一般に、液状の被乾燥材料を凍結する予備凍結工程と、予備凍結により氷状になった被乾燥材料から水分を除去して乾燥固体とする一次乾燥工程と、一次乾燥工程を経て乾燥固体となった被乾燥材料中に含まれる微量の不凍水を除去して、被乾燥材料を所定の含水率になるまで乾燥する二次乾燥工程とからなる。
本願の出願人は先に、温度センサを用いて直接被乾燥材料の昇華面温度を測定するのではなく、他のパラメータの測定値から複数の容器に充填された複数の被乾燥材料の平均昇華面温度、平均底部品温及び昇華速度を計算により求め、これに基づいて、一次乾燥工程中における被乾燥材料の乾燥状態を監視する装置及び方法を提案した(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の技術によれば、温度センサを被乾燥材料内に挿入しないので、温度センサを用いることによって発生する種々の不都合、例えば、(1)乾燥庫内に装入される全ての被乾燥材料についての平均昇華面温度を求めることができない、(2)菌が被乾燥材料に混入しやすいので無菌製剤に適用できない、(3)被乾燥材料を自動的に乾燥庫内に装入する自動ローディング装置を備えた凍結乾燥機に適用することができない、等を解消することができる。また、本願の出願人が先に提案した装置及び方法は、被乾燥材料の一次乾燥工程において、真空度調節手段を駆動して乾燥庫内の真空度を一時的に高める方向に変化させ、少なくとも当該変化の前後における乾燥庫内の真空度及びコールドトラップ内の真空度を含む測定データから、一次乾燥工程における被乾燥材料の平均昇華面温度、平均底部品温及び昇華速度を算出する。これにより、測定データの収集時に乾燥庫内の真空度が真空制御値よりも高くなる方向に遷移し、昇華面温度が下がるため、従来のMTM(Manometric Temperature Measurement)法による場合とは異なり、被乾燥材料が凍結乾燥中にコラプスする危険性を完全に排除することができる。
WO2012/108470A1パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、一次乾燥工程における被乾燥材料の平均昇華面温度、平均底部品温及び昇華速度の算出に際し、乾燥庫内の真空度を一時的に高める方向に変化させるという操作が必要であるので、1回の平均昇華面温度、平均底部品温及び昇華速度の算出に長時間を要し、被乾燥材料の乾燥状態をきめ細かく監視することができないという問題がある。
また、特許文献1に記載の発明は、一次乾燥工程における被乾燥材料の乾燥状態を監視可能な装置及び方法に係るものであり、二次乾燥工程については考慮されていない。上述したように、被乾燥材料の凍結乾燥工程は、一次乾燥工程と二次乾燥工程とからなるので、被乾燥材料の乾燥状態をより的確に監視するためには、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における被乾燥材料の乾燥状態を連続的に監視できることが望まれる。勿論、この場合にも、温度センサを用いないこと、及び、被乾燥材料がコラプスする危険性を完全に排除できることが求められる。
さらに、特許文献1に記載の発明は、一次乾燥工程における平均底部品温の算出に当たり、容器を含む被乾燥材料への入熱量を全て被乾燥材料の昇華潜熱として平均底部品温の算出を行っている。しかしながら、図19に示すように、一次乾燥工程の初期に行われる棚温の昇温期間中においては、容器を含む被乾燥材料の品温が上昇・下降するので、被乾燥材料の昇華潜熱のみを考慮し、容器を含む被乾燥材料の顕熱を考慮しないと、一次乾燥工程における平均底部品温の算出を正確に行うことができない。同様に、二次乾燥工程の初期においても棚温の昇温が行われるので、容器を含む被乾燥材料の顕熱を考慮しないで平均底部品温の算出を行うと、二次乾燥工程における平均底部品温の算出を正確に行うことができない。よって、一次乾燥工程及び二次乾燥工程の双方において、容器を含む被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温の算出を行うことが求められる。
本発明は、このような要請に応えるためになされたものであり、その目的は、被乾燥材料のコラプスを完全に防止でき、かつ一次及び二次の乾燥工程における被乾燥材料の平均昇華面温度、平均底部品温及び昇華速度(脱湿速度)の算出を短いスパンで正確に実行できる凍結乾燥機用の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法を提供することにある。
本発明は、このような課題を解決するため、凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視方法に関しては、被乾燥材料を装入する乾燥庫(DC)と、該乾燥庫(DC)内に装入された被乾燥材料から発生する水蒸気を凝結捕集するコールドトラップ(CT)と、前記乾燥庫(DC)と前記コールドトラップ(CT)とを連通する主管(a)と、該主管(a)を開閉する主弁(MV)と、前記乾燥庫(DC)内の真空度を調節する真空度調節手段と、前記乾燥庫(DC)内の絶対圧力及び前記コールドトラップ(CT)内の絶対圧力を検出する真空検出手段と、前記乾燥庫(DC)内に設置され、前記被乾燥材料を分注した容器を載置する棚板(B)の温度を検出する棚温検出手段と、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の稼働を自動制御する制御装置(PLC)を備えた凍結乾燥機を用い、前記制御装置(PLC)には、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の駆動を制御して、前記被乾燥材料の一次乾燥工程及び二次乾燥工程を実行する制御プログラムと、所要の計算プログラム及び計算式と、前記計算プログラムを実行する時間間隔と、前記容器を含む前記被乾燥材料の熱容量に関するデータ並びに一次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度及び二次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度を含む定数データを記憶しておき、前記一次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記一次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を含む前記制御装置(PLC)の定数データと、前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の昇華速度(Qm)と前記被乾燥材料の昇華潜熱及び前記容器を含む前記被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温(Tb)と平均昇華面温度(Ts)をこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録し、前記二次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記二次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を含む前記制御装置(PLC)の定数データと前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の脱湿速度(Qm´)と平均底部品温(Tb)と平均昇華面温度(Ts)をこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録することを特徴とする。
また本発明は、前記構成の乾燥状態監視方法において、前記真空度調節手段としてダンパ方式の開度調節器(C)を前記主管(a)内に備えた凍結乾燥機を用い、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御装置(PLC)は、前記開度調節器(C)の開度調節を行い、前記開度調節器(C)の開度角度を、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)の変化に追従して変化させることを特徴とする。
また本発明は、前記構成の乾燥状態監視方法において、前記真空度調節手段としてリーク制御弁(LV)付きの真空制御回路(f)を前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記主管(a)を含む真空系統のいずれかに備えた凍結乾燥機を用い、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御手段(PLC)は、前記リーク制御弁(LV)を駆動して前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を設定値に制御するか、前記リーク制御弁(LV)を閉じ、それ以降、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を成り行きに任せることを特徴とする。
一方、乾燥状態監視装置に関しては、被乾燥材料を装入する乾燥庫(DC)と、該乾燥庫(DC)内に装入された被乾燥材料から発生する水蒸気を凝結捕集するコールドトラップ(CT)と、前記乾燥庫(DC)と前記コールドトラップ(CT)とを連通する主管(a)と、該主管(a)を開閉する主弁(MV)と、前記乾燥庫(DC)内の真空度を調節する真空度調節手段と、前記乾燥庫(DC)内の絶対圧力及び前記コールドトラップ(CT)内の絶対圧力を検出する真空検出手段と、前記乾燥庫(DC)内に設置され、前記被乾燥材料を分注した容器を載置する棚板(B)の温度を検出する棚温検出手段と、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の稼働を自動制御する制御装置(PLC)を備え、前記制御装置(PLC)には、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の駆動を制御して、前記被乾燥材料の一次乾燥工程及び二次乾燥工程を実行する制御プログラムと、所要の計算プログラム及び計算式と、前記計算プログラムを実行する時間間隔と、前記容器を含む前記被乾燥材料の熱容量に関するデータ並びに一次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度及び二次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度を含む定数データを記憶しておき、前記一次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記一次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を含む前記制御装置(PLC)の定数データと、前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の昇華速度(Qm)と前記被乾燥材料の昇華潜熱及び前記容器を含む前記被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温(Tb)と平均昇華面温度(Ts)とをこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録し、前記二次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記制御装置(PLC)の定数データと前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の脱湿速度(Qm´)と前記被乾燥材料の昇華潜熱及び前記容器を含む前記被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温(Tb)と平均昇華面温度(Ts)をこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録することを特徴とする。
また本発明は、前記構成の乾燥状態監視装置において、前記真空度調節手段としてダンパ方式の開度調節器(C)を前記主管(a)内に備え、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御装置(PLC)は、前記開度調節器(C)の開度調節を行い、前記開度調節器(C)の開度角度を、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)の変化に追従して変化させることを特徴とする。
また本発明は、前記構成の乾燥状態監視装置において、前記真空度調節手段として、リーク制御弁(LV)付きの真空制御回路(f)を、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記主管(a)を含む真空系統のいずれかに備え、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御手段(PLC)は、前記リーク制御弁(LV)を駆動して前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を設定値に制御するか、前記リーク制御弁(LV)を開いた状態で、それ以降、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を設定値に制御することを特徴とする。
本発明によると、一次乾燥工程及び二次乾燥工程において、乾燥庫内の真空度を成り行きに任せて変化させた状態で、被乾燥材料の昇華速度(二次乾燥工程においては、脱湿速度)と平均底部品温と平均昇華面温度とをこの順に求めるので、乾燥庫内の真空度を強制的に変化させ、その変化の前後におけるパラメータの変化から各算出値を得る場合のように、強制的に変化させた乾燥庫内の真空度が落ち着くまで次回の算出を待つ必要がなく、演算装置に設定された任意の時間間隔で必要な算出値を得ることができる。また、制御装置(PLC)に容器を含む被乾燥材料の熱容量に関するデータを記憶し、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温の算出に際しては、被乾燥材料の昇華潜熱及び容器を含む被乾燥材料の顕熱を考慮するので、潜熱のみを考慮した演算を行う場合に比べて正確な平均底部品温を算出できる。さらに、制御装置(PLC)に一次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度及び二次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を記憶したので、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温の算出に際して、適切な乾燥庫(DC)の壁温度を適用することが可能となり、この点からも正確な平均底部品温を算出できる。したがって、被乾燥材料の乾燥状態をきめ細かくかつ正確に監視できると共に、被乾燥材料のコラプスを完全に防止することができる。
第1実施形態に係る監視装置及び監視方法が適用される流路開度真空制御方式の凍結乾燥機の構成図である。 流路開度真空制御のフローチャートである。 第1実施形態に係る監視方法の、データ入力から一次乾燥工程の終了までの処理手順を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る監視方法の、一次乾燥工程に続く二次乾燥工程の処理手順を示すフローチャートである。 開度調節器Cの開度角度θと主管抵抗R(θ)の関係を表すグラフである。 ラクトース水溶液を流路開度真空制御方式の凍結乾燥機を用いて本発明法により凍結乾燥した場合における、平均昇華面温度及び平均底部品温の算出値と実測品温とを比較して示すグラフである。 図6における一次乾燥工程の初期段階を拡大して示すグラフである。 ラクトース水溶液を流路開度真空制御方式の凍結乾燥機を用いて従来法により凍結乾燥した場合における、平均昇華面温度及び平均底部品温の算出値と実測品温とを比較して示すグラフである。 図8における一次乾燥工程の初期段階を拡大して示すグラフである。 第2実施形態に係る監視装置及び監視方法が適用されるリーク式真空制御方式の凍結乾燥機の構成図である。 リーク式真空制御のフローチャートである。 第2実施形態に係る監視方法の、データ入力から一次乾燥工程の終了までの処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る監視方法の、一次乾燥工程に続く二次乾燥工程の処理手順を示すフローチャートである。 主管流路の水蒸気流動抵抗係数Crと昇華速度Qmとの関係を表すグラフである。 スクロース水溶液をリーク弁方式の凍結乾燥機を用いて本発明法により凍結乾燥した場合における、平均昇華面温度及び平均底部品温の算出値と実測品温を比較して示すグラフである。 図15における一次乾燥工程の初期段階を拡大して示すグラフである。 スクロース水溶液をリーク弁方式の凍結乾燥機を用いて従来法により凍結乾燥した場合における、平均昇華面温度及び平均底部品温の算出値と実測品温を比較して示すグラフである。 図17における一次乾燥工程の初期段階を拡大して示すグラフである。 一次乾燥工程及び二次乾燥工程における棚温の変化と品温の変化を示すグラフである。
以下、本発明に係る乾燥状態監視方法及び乾燥状態監視装置を、実施形態毎に図を用いて説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る乾燥状態監視方法及び乾燥状態監視装置は、乾燥庫とコールドトラップとをつなぐ主管内に、乾燥庫内の真空度を調節するための真空度調節手段として、ダンパ方式の開度調節器を備えた流路開度真空制御方式の凍結乾燥機に適用されるものである。
〈凍結乾燥機の構成〉
即ち、第1実施形態に係る凍結乾燥機M1は、図1及び図2に示すように、被乾燥材料を装入する乾燥庫DCと、乾燥庫DC内に装入された被乾燥材料から発生する水蒸気をトラップコイルctにて凝結捕集するコールドトラップCTと、乾燥庫DCとコールドトラップCTを連通する主管aと、コールドトラップCTに付設された引口弁Vと、引口弁Vに接続された真空ポンプPを有している。乾燥庫DC内には、1枚乃至複数枚の棚板Bが設置されており、当該棚板B上には被乾燥材料が分注された複数の容器Eが載置される。容器Eとしては、バイタルやトレイ等が被乾燥材料の種類に応じて用いられる。棚板Bには、棚板Bの温度(棚温)を検出する温度センサ(棚温検出手段)Sが備えられる。また、乾燥庫DC及びコールドトラップCTには、乾燥庫DC内の絶対圧力及びコールドトラップCT内の絶対圧力を検出する真空計(真空検出手段)bが備えられる。なお、乾燥庫DC及びコールドトラップCTのそれぞれに真空計bを個別に備える構成に代えて、乾燥庫DC内の絶対圧力とコールドトラップCT内の絶対圧力の差圧を検出する差圧真空計を備える構成とすることもできる。主管aには、これを全開状態又は全閉状態に切り替える主弁MVと、主管aの開度を調整するダンパ方式の開度調節器Cが備えられる。開度調節器Cには、その開度角度θを検出するためのロータリエンコーダ等の角度センサgが備えられる。なお、開度調節器Cの開度角度θとは、全開状態(0°)からの開度調節器Cの回転角度をいう。
図1において、符号CRは凍結乾燥機M1に備えられた制御盤を示している。凍結乾燥機M1は、この制御盤CRによって自動制御され、被乾燥材料の凍結乾燥を実行する。図1に示すように、制御盤CRはシーケンサPLCと記録計(記録手段)eとから構成されており、シーケンサPLCには、乾燥庫DC、コールドトラップCT及び開度調節器Cの駆動を制御して、被乾燥材料の予備乾燥工程、一次乾燥工程及び二次乾燥工程を実行する制御プログラムと、所要の計算プログラム、関係式及び定数データと、計算プログラムを繰り返し実行する際の時間間隔が予め記憶される。なお、凍結乾燥機M1に制御盤CRを備える構成に代えて、所要の制御プログラム、計算プログラム、関係式、定数データ及び時間間隔が記憶されたパーソナルコンピュータを凍結乾燥機M1に接続する構成とすることもできる。
図3及び図4に、シーケンサPLCに記憶される計算プログラムの一例を示す。乾燥庫DC内に装入された被乾燥材料の凍結乾燥は、予備凍結、一次乾燥及び二次乾燥の各工程を経て行われ、一次乾燥工程における被乾燥材料の昇華速度Qm、平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsの算出と、二次乾燥工程における被乾燥材料の脱湿速度Qm´、平均底部品温Tb及び平均品温Ts´の算出は、図3及び図4に記載の手順で行われる。算出された各計算データは、記録計eに順次記録される。凍結乾燥機のオペレータは、記録計eの記録データを確認することにより、被乾燥材料の乾燥状態を監視できる。
被乾燥材料の凍結乾燥に際しては、制御プログラムの起動に先立ち、手順S1に示す定数データを、シーケンサPLCに入力する。定数データとしては、主管aの内径D(mm)、開度調節器Cの外径d(mm)、開度調節器Cの厚みt(mm)、被乾燥材料が分注されたバイアルの外径d1(mm)、バイアルの肉厚t1(mm)、乾燥庫DC内に装入するバイアルの本数N1、バイアルへの薬剤の分注量V1(mL/1本)、バイアルに分注される薬剤の固形分s(%)、バイアルに分注される薬剤の比重e(Kg/L)、バイアルの重量Wv(g)、バイアルの開口部を封止するゴム栓の重量Wc(g)、乾燥庫DC内に設置された棚板Bの上に載置されたトレイ枠Tの幅寸法W(mm)、トレイ枠Tの長さ寸法L(mm)、トレイ枠Tの枚数N2、バイアルの底面とこれを載置する棚板Bの上面との間に存在する隙間δを入力する。これらについては、凍結乾燥機の仕様書及び作業計画書等から求めることができる。
また、定数データとしては、予備凍結によりバイアル内の被乾燥材料に形成される凍結層の熱伝導率λ、乾燥庫DCの壁面からバイアルに輻射される熱の輻射伝熱係数Kr、一次乾燥時の乾燥庫DCの壁温度Tw1、二次乾燥時の乾燥庫DCの壁温度Tw2、一次乾燥開始時の初期凍結温度Tbi、主弁MVを全開にして水負荷で取得した開度調節器Cの開度角度θと主管抵抗(主管a内を流れる水蒸気に作用する抵抗)R(θ)の関係式の定数値a、b、主弁MVを全開にして水負荷で取得した水蒸気流動抵抗から昇華速度Qmの算出式の定数値j、kもシーケンサPLCに入力する。これらについては、事前の実験で求める。定数値a、bの求め方及び定数値j、kの求め方については、後に説明する。
次に、手順S2で、計算プログラムを実行する時間間隔N(min)を、シーケンサPLCに入力する。特許文献1に記載の発明のように、乾燥庫DC内の真空度を一時的に高める方向に変化させ、当該変化の前後における乾燥庫DC内の真空度(乾燥庫真空度)Pdc及びコールドトラップCT内の真空度(コールドトラップ真空度)Pctを含む測定データから、一次乾燥期における被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出すると、乾燥庫DC内の状態が落ち着くまでは、次回の乾燥庫真空度Pdc及びコールドトラップ真空度Pctの測定が行えないので、平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmの算出をせいぜい30分間隔程度にしか行い得ない。これに対して、本発明は、乾燥庫DC内の真空度を一時的に高める方向に変化させることなく、被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出するので、1回の算出に要する時間を超える時間間隔であれば、任意の時間間隔Nを設定できる。このため、本発明によれば、数分間隔、例えば1分間隔で被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出することが可能になり、特許文献1に記載の発明による場合よりも、被乾燥材料の乾燥状態をきめ細かく監視することが可能になる。
次に、手順S3に移行し、手順S1でシーケンサPLCに入力された定数データから、バイアルの底部面積Avと、トレイ枠Tの表面積Atと、トレイ枠Bからバイアルへの有効伝熱面積Aeと、被乾燥材料の昇華面積Asとを計算により求める。
バイアルの底部面積Avは、下記の式(1)で求められる。
Av=0.000001×π/4×d1×N1 …(1)
トレイ枠Bの表面積Atは、下記の式(2)で求められる。
At=0.000001×W×L×N2 …(2)
有効伝熱面積Aeは、下記の式(3)で求められる。
Ae=2/〔(1/Av)+(1/At)〕 …(3)
昇華面積Asは、下記の式(4)で求められる。
As=0.000001×π/4×(d1−2×t1)×N1 …(4)
次に、手順S4に移行し、手順S1でシーケンサPLCに入力された定数データから、バイアルからの脱水量Wと被乾燥材料の初期凍結層厚L0を計算により求める。
脱水量Wは、下記の式(5)で求められる。
W=0.001×N1×V1×e×0.01×(100−s) …(5)
初期凍結層厚L0は、下記の式(6)で求められる。
L0=0.001×N1×V1/(0.917×As) …(6)
なお、初期の平均底部品温Tb0は、下記の式(7)に示すように、一次乾燥開始時の初期凍結温度Tbiとする。
Tb0=Tbi …(7)
また、一次乾燥開始時の昇華量M0は0とする(M0=0)。
定数データの入力が完了した後は、制御プログラムを起動して、予備凍結、一次乾燥及び二次乾燥の各工程をこの順に実行する。まず、予備凍結工程が終了して一次乾燥工程が開始された直後の数分間、即ち、乾燥庫DC内の棚板Bに付いた霜の昇華が終わり、乾燥庫真空度Pdcが真空制御値に制御されて安定するまでの時間については、手順S5に示すように、手順S6以降の算出処理を行わずに待機する。これにより、以下に記載する平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmの正確な算出が可能になる。
待機時間の経過後は、手順S6に示すように、シーケンサPLCに設定された時間間隔Nが経過するごとに、その初期の数秒間において、真空計bからの複数回(本実施形態においては、5回)にわたる乾燥庫真空度Pdc1〜Pdc5及びコールドトラップ真空度Pct1〜Pct5の取り込みと、角度センサgからの開度角度θの取り込みと、温度センサSからの棚温Thの取り込みを行う。
次に、手順S7に移行し、手順S1でシーケンサPLCに入力された定数データD、d、tと、手順S5で角度センサgから取り込まれた開度角度θとから、下記の式(7)によって主管aの流路断面積A(cm)を算出する。
A=0.01×(π/4×D−d×t×cosθ−π/4×d×sinθ)〕 …(8)
次に、手順S8に移行し、手順S1でシーケンサPLCに入力された定数データa、bと、手順S7で得られた流路断面積Aとから、下記の式(9)によって主管抵抗R(θ)を算出する。
R(θ)=[a+(b/A)]0.5+b/A …(9)
式(9)の導出及び定数a、bの決定は、水負荷試験により行われる。以下に、式(9)の導出方法と、その定数値a、bの求め方について説明する。
水負荷の試験は、乾燥庫DC内に水を充填したトレイを装入して凍結乾燥機M1を起動し、シーケンサPLCからの制御信号にしたがって、所定の凍結乾燥工程を順次実行することにより行う。本例においては、トレイ内の水を−45℃まで予備凍結した後の一次乾燥工程で、棚温Thを−20℃に設定して、乾燥庫真空度Pdcを4Pa、6.7Pa、10Pa、13.3Pa、20Pa、30Pa、40Pa、60Paに変更しつつ、それぞれ3時間保持して、合計8例の水負荷試験を実施した。各水負荷試験では、開度調節器Cの開度角度θ、棚温Th、トレイ底部の氷温度Tb、乾燥庫真空度Pdc及びコールドトラップ真空度Pctを測定して記録する。
次に、氷の昇華速度Qm(Kg/h)を昇華量の測定や入熱量による計算で決定し、開度調節器Cの開度角度θと主管抵抗R(θ)との関係を求める。表1に、開度調節器Cの開度角度θと計算により求められた主管抵抗R(θ)との関係、及び開度調節器Cの開度θと測定により求められた主管抵抗R(θ)との関係を示す。また、図5に、表1のデータに基づいて作成した開度調節器Cの開度角度θと主管抵抗R(θ)との関係を表すグラフを示す。表1及び図5から明らかなように、計算により求められた主管抵抗R(θ)と測定により求められた主管抵抗R(θ)とはよく一致している。
表1(図5)のデータから、開度調節器Cの開度角度θと主管抵抗R(θ)との関係式を導出できる。また、開度調節器Cの開度角度θが求まれば、式(8)から主管aの流路断面積Aを算出できるので、開度調節器Cの開度角度θと主管抵抗R(θ)との関係式は、式(9)に示す主管aの流路断面積Aと主管抵抗R(θ)との関係式に変換できる。また、表1(図5)のデータから、式(9)の定数a、bについても決定できる。上述した水負荷の試験例により、下記の式(10)が導出された。
R(θ)=[3408.65+(2223.7/A)2]0.5+2223.7/A …(10)
この式(10)から、a=3408.65、b=2223.7が求められる。
このように、事前の水負荷試験で得られた定数a、bをシーケンサPLCに記憶しておくことにより、手順S8で主管抵抗R(θ)を算出することができる。
次に、手順S9に移行し、平均乾燥庫真空度Pdcと被乾燥材料の昇華速度Qm(Kg/hr)と昇華量Mとを算出する。
平均乾燥庫真空度Pdcは、下記の式(11)で求められる。
Pdc=(Pdc1+Pdc2+Pdc3+Pdc4+Pdc5)/5 …(11)
被乾燥材料の昇華速度Qmは、下記の式(12)で求められる。
Qm=3.6×Pdc/R …(12)
また、被乾燥材料の昇華量Mは、下記の式(13)で求められる。
M=M0+Qm×N/60 …(13)
但し、M0は、乾燥開始からN分前までの昇華量である。
このように、式(11)で求められる平均乾燥庫真空度Pdcを用いて被乾燥材料の昇華速度Qmを算出すると、真空計bから取り込まれる乾燥庫真空度に揺らぎが生じている場合にも、その影響を緩和できるので、真空計bから取り込まれる瞬間的な乾燥庫真空度を用いる場合に比べて、被乾燥材料の昇華速度Qmをより正確に算出できる。
次に、手順S10に移行し、気体伝導による棚板BからバイアルEの底部への熱伝達係数Kと、バイアル、ゴム栓、氷及び充填物を含む被乾燥材料全体の熱容量Cと、被乾燥材料の平均底部品温Tbと、平均昇華面温度Tsを算出する。
熱伝達係数K(Kcal/hm℃)は、次の式(14)で計算される。
K=14.5/(δ+2.12×29×0.13332/Pdc) …(14)
但し、δは、容器底部の隙間で単位はmmであり、手順S1で定数データとしてシーケンサPLCに入力される。また、Pdcは、乾燥庫DC内の圧力であり、真空計bにて実測する。
熱容量Cは、手順S1でシーケンサPLCに入力されたバイアル本数N1、バイアル重量Wv、ゴム栓重量Wc、薬剤の分注量V1、薬剤の固形分s、薬剤の比重e、式(5)にて算出された脱水量W、及び、式(13)にて算出された昇華量Mとから、次の式(15)で求められる。
C=0.001×N1×(0.22×Wv+0.33×Wc+0.33×V1×0.01×s×e)+0.5×(W-M)
…(15)
平均底部品温Tbは、被乾燥材料の昇華潜熱及び容器Eを含む被乾燥材料の顕熱を考慮して算出する。このため、本発明においては、平均底部品温Tbの算出に際し、まず下記の式(16)に示す伝熱方程式を用いて、一次乾燥工程における被乾燥材料の平均品温Tmを求める。
C×dTm/dt=Qh+Qr−Qm×ΔHs …(16)
但し、式(16)において、Cは容器を含む被乾燥材料の熱容量、Tmは被乾燥材料の底部から昇華面までの平均品温、Qhは気体伝達による棚板Bから容器Eの底部への入熱量、Qrは乾燥庫DCの庫壁から全容器への輻射入熱量、Qmは昇華速度、ΔHsは昇華潜熱である。
気体伝導による棚板Bから容器Eの底部への入熱量Qhは、次の式(17)で計算される。
Qh=Ae×K×(Th−Tm) …(17)
但し、Aeは有効伝熱面積(m)、Kは気体伝導による棚板Bから容器Eの底部への熱伝達係数、Thは棚温(℃)、Tmは平均品温(℃)である。
また、乾燥庫壁から容器Eへの幅射入熱量Qrは、下記の式(18)から求められる。
Qr=5.67×ε×Ae×[(Tw1/100)−(Tm/100)〕 …(18)
但し、式中のεは輻射係数、Tw1は一次乾燥時の乾燥庫壁温度、Tmは平均品温である。
そして、この乾燥庫壁から全容器への幅射入熱量Qrは、下記の式(19)で近似的に計算できる。
Qr=Ae×Kr×(Tw1−Tm) …(19)
但し、Krは輻射入熱による相当熱伝達係数であり、試験機でKr=0.7W/m℃、生産機でKr=0.2W/m℃と近似できる。
したがって、式(17)及び式(19)を式(16)の伝熱方程式に代入すると、下記の式(20)が成り立つ。
C×dTm/dt=Ae×K×(Th-Tm)+Ae×Kr×(Tw1-Tm)-Qm×ΔHs …(20)
但し、昇華潜熱ΔHs=680kcal/Kg=2850KJ/Kgである。
平均底部品温Tbは、式(14)にて算出された熱伝達係数Kと、式(12)にて算出された被乾燥材料の昇華速度Qmと、温度センサSで実測される棚温Thと、手順S1でシーケンサPLCに入力された輻射伝熱係数Kr、一次乾燥時の乾燥庫壁温度Tw1及び有効伝熱面積Aeとから、下記の式(21)により算出できる。
Tb=(K×Th+Kr×Tw1+C×60×Tb0/(N×Ae)-Qm×680/Ae)/(K+Kr+C×60/(N×Ae))
…(21)
したがって、被乾燥材料の平均昇華面温度Tsは、式(21)にて算出された平均底部品温Tbと、式(12)にて算出された被乾燥材料の昇華速度Qmと、式(4)にて算出された昇華面積Asと、式(5)にて算出された脱水量Wと、式(6)にて算出された初期凍結層厚L0と、式(13)にて算出された昇華量Mとから、下記の式(22)により算出できる。
Ts=Tb-Qm×680/(As×λ)×0.001×L0×(1-M/W) …(22)
しかる後に、手順S11に移行し、算出された平均昇華面温度Ts(℃)、昇華速度Qm(Kg/hr)及び平均底部品温Tb(℃)を、記録計eに記録する。以上説明した手順S6から手順S11までの手順を、手順S2で設定された時間間隔Nごとに、一次乾燥工程が終了するまで繰り返す。凍結乾燥機のオペレータは、記録計eへの記録データを監視することにより、一次乾燥工程における被乾燥材料の乾燥状態を時系列的に把握することができる。
一次乾燥工程の終了後は、二次乾燥工程に移行する。二次乾燥工程への移行後も、手順S12に示すように、手順S2でシーケンサPLCに設定された時間間隔Nごとに、真空計bからの複数回(本実施形態においては、5回)にわたる乾燥庫真空度Pdc1〜Pdc5及びコールドトラップ真空度Pct1〜Pct5の取り込みと、角度センサgからの開度角度θの取り込みと、温度センサSからの棚温Thの取り込みを行う。
次に、手順S13に移行し、手順S1でシーケンサPLCに入力された定数データD、d、tと、手順S12で角度センサgから取り込まれた開度角度θとから、下記の式(23)により、主管aの流路断面積A(m)を算出する。
A=0.000001×[π/4×D2-d×t×cosθ-π/4×d2×sinθ] …(23)
次に、手順S14に移行し、手順S12で真空計bから取り込まれた乾燥庫真空度Pdc1〜Pdc5及びコールドトラップ真空度Pct1〜Pct5から、下記の式(24)、(25)により、乾燥庫真空度の平均値Pdcとコールドトラップ真空度の平均値Pctを算出する。
Pdc=(Pdc1+Pdc2+Pdc3+Pdc4+Pdc5)/5 …(24)
Pct=(Pct1+Pct2+Pct3+Pct4+Pct5)/5 …(25)
また、手順S14では、手順S1でシーケンサPLCに入力された定数データj、kと、式(24)、(25)で求められた乾燥庫真空度の平均値Pdc及びコールドトラップ真空度の平均値Pctと、手順S13で算出された流路断面積Aとから、下記の式(26)により、被乾燥材料の脱湿速度Qm´(Kg/hr)を算出する。
Qm´=j×A×(Pdc−Pct …(26)
定数データj、kは、主管流路の水蒸気流動抵抗係数から昇華速度への算出式の定数値であり、水負荷の実験で実際の乾燥量を測定することにより求める。
また、式(26)で、Pdc<Pctの場合には、Qm´=0とする。
次に、手順S15に移行し、気体伝導による棚板BからバイアルEの底部への熱伝達係数Kと、バイアル、ゴム栓及び充填物を含む被乾燥材料全体の熱容量Cと、被乾燥材料の平均品温を求める式の定数値a1、a2、a3と、被乾燥材料の平均底部品温Tbと、平均昇華面温度Tsをこの順に算出する。
二次乾燥期における熱伝達係数K(W/m℃)は、次の式(27)で計算できる。
K=14.5/(δ+2.12×29×0.13332/Pdc)+1.1 …(27)
但し、δは容器底部の隙間(mm)であり、手順S1で定数データとしてシーケンサPLCに入力される。また、Pdcは式(24)を用いて算出された乾燥庫真空度の平均値である。
熱容量Cは、手順S1でシーケンサPLCに入力されたバイアル本数N1、バイアル重量Wv、ゴム栓重量Wc、薬剤の分注量V1、薬剤の固形分s、薬剤の比重eから次の式(28)で計算される。
C=0.001×N1×(0.22×Wv+0.33×Wc+0.33×V1×0.01×s×e) …(28)
また、二次乾燥工程における被乾燥材料の平均品温Tmは、次の式(29)に示す伝熱方程式から求めることができる。
C×dTm/dt=Qh+Qr−Qm´×ΔHs´ …(29)
但し、式(29)において、Cは被乾燥材料の熱容量、Tmは被乾燥材料の底部から昇華面までの平均品温、Qhは気体伝導による棚板Bから容器Eの底部への入熱量、Qrは乾燥庫壁から全容器への幅射入熱量、Qm´は脱湿速度、ΔHs´は蒸発潜熱である。
一次乾燥工程の欄においても説明したように、気体伝導による棚板Bから容器Eの底部への入熱量Qhは、次の式(30)で計算される。
Qh=Ae×K×(Th−Tm) …(30)
但し、Aeは有効伝熱面積(m)、Kは気体伝導による棚板Bから容器Eの底部への熱伝達係数、Thは棚温(℃)、Tmは平均品温(℃)である。
また、乾燥庫壁から容器Eへの幅射入熱量Qrは、下記の式(31)から求められる。
Qr=5.67×ε×Ae×[(Tw2/100)−(Tm/100)〕 …(31)
但し、式中のεは輻射係数、Tw2は二次乾燥時の乾燥庫壁温度、Tmは平均品温である。
そして、この乾燥庫壁から全容器への幅射入熱量Qrは、下記の式(32)で近似的に計算できる。
Qr=Ae×Kr×(Tw2−Tm) …(32)
但し、Krは輻射入熱による相当熱伝達係数であり、試験機でKr=0.7W/m℃、生産機でKr=0.2W/m℃と近似できる。
したがって、式(30)及び式(32)を式(29)の伝熱方程式に代入すると、下記の式(33)が成り立つ。
C×dTm/dt=Ae×K×(Th-Tm)+Ae×Kr×(Tw2-Tm)−Qm´×ΔHs´ …(33)
但し、ΔHsは蒸発潜熱であり、ΔHs=2850KJ/Kgである。
従って、二次乾燥工程における被乾燥材料の平均品温Tmは、下記の式(34)で計算できる。
C×(Tm-Tm0)/Δt=Ae×K×(Th-Tm)+Ae×Kr×(Tw2-Tm)-Qm´×ΔHs´
Tm=(Tm0+a1×Th+a2×Tw2−a3)/(1+a1+a2)
但し、a1=K×Ae×N/(60×C)、
a2=Kr×Ae×N/(60×C)、
a3=Qm´×680×N/(60×C) …(34)
したがって、式(26)で求めた被乾燥材料の脱湿速度Qm´と、式(34)で求めたa1、a2、a3とから、二次乾燥工程における被乾燥材料の平均品温Tmを算出することができる。
二次乾燥工程の終了時においては、Tm=Tbとなるので、式(34)から被乾燥材料の平均底部品温Tbが求められる。
しかる後に、手順S16に移行し、算出された平均昇華面温度Ts(℃)、脱湿速度Qm´(Kg/hr)及び平均底部品温Tb(℃)を、記録計eに記録する。以上説明した手順S12から手順S16までの手順を、手順S2で設定された時間間隔Nごとに、二次乾燥工程が終了するまで繰り返す。凍結乾燥機のオペレータは、記録計eへの記録データを監視することにより、二次乾燥工程における被乾燥材料の乾燥状態を時系列的に把握することができる。
図6及び図7に、流路開度真空制御方式の凍結乾燥機M1を用いて、上述した本発明の方法、即ち、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温Tbの算出に際して、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱及び潜熱を考慮すると共に、各工程に特有の乾燥庫壁温度を適用し、また、昇華速度Qmの算出に際しては乾燥庫真空度の平均値Pdcを求める方法(この方法を本明細書書では、「本発明法」という。)で、ラクトース(Lactose、分子式:C122211)の10%水溶液を凍結乾燥した場合における品温の実測値と計算値とを比較して示す。図6は予備凍結工程から一次乾燥工程を経て二次乾燥工程の初期段階に至るまでの品温の実測値と計算値の変化を示す図であり、図7は一次乾燥工程の初期段階を拡大して示す図である。
また、図8及び図9に、流路開度真空制御方式の凍結乾燥機M1を用いて、上述した本発明の方法とは異なり、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温Tsの算出に際して、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱を考慮せずに潜熱のみを考慮すると共に、各工程に特有の乾燥庫壁温度を適用せずに一定の乾燥庫壁温度を適用し、また、昇華速度Qmの算出に際しては乾燥庫真空度の平均値Pdcを求めず、所定のタイミングで真空検出手段から瞬間的に取り込まれる乾燥庫真空度を用いる方法(この方法を本明細書書では、「従来法」という。)で、ラクトース(Lactose、分子式:C122211)の10%水溶液を凍結乾燥した場合における品温の実測値と計算値とを比較して示す。図8は予備凍結工程から一次乾燥工程を経て二次乾燥工程の初期段階に至るまでの品温の実測値と計算値の変化を示す図であり、図9は一次乾燥工程の初期段階を拡大して示す図である。
いずれの実験例においても、被乾燥材料を分注した660本のバイアルを乾燥庫DC内に装入し、シーケンサPLCに記憶された手順にしたがって被乾燥材料を凍結乾燥することにより行った。また、乾燥庫DC内に装入された660本のバイアルのうち、棚板Bの中央部に装入された1本のバイアルと、乾燥庫DCの壁際に装入された他の1本のバイアルと、それらの中間位置に装入されたさらに他の1本のバイアルについては、温度センサを挿入して、バイアル内に分注された被乾燥材料の品温(品温1、品温2、品温3)を測定した。被乾燥材料の一次乾燥は、溶液を−45℃で2時間予備凍結した後、棚温Thを−20℃に設定すると共に、開度調節器Cの開度角度θを調整して乾燥庫DC内の真空度Pdcを6.7Paに制御することにより行った。二次乾燥では、棚温を1時間で−20℃から30℃まで昇温し、乾燥庫DC内の真空度Pdcを成り行きで変化させて、開度調節器Cを全開方向へ回動させた。図6及び図7の実験例では1分間隔で、図8及び図9の実験例では5分間隔で、乾燥庫DC内の真空度Pdc、コールドトラップCT内の真空度Pct、開度角度θ及び棚温Thを検出し、昇華速度Qm(脱湿速度Qm´)、平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsを算出した。そして、各検出値及び各算出値を記録計eに記録し、図6〜図9に示すグラフを得た。
図8及び図9に示すように、従来法により算出された被乾燥材料の平均昇華面温度Tsは、温度センサにより検出された品温1、品温2、品温3と近似している。しかしながら、従来法では、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱を考慮していないため、図9により詳細に示されているように、一次乾燥工程の初期に行われる棚温の昇温期間中に算出される平均底部品温が実測品温よりも高くなる傾向となる。このため、図8に示すように、一次乾燥工程において算出される平均底部品温が実測品温よりも早く棚温に達するので、被乾燥材料の温度変化に平均底部品温を追従させることが難しくなり、一次乾燥工程の後期においては、算出される平均底部品温が実測品温から乖離しやすくなる。また、従来法では、被乾燥材料の顕熱を考慮していないため、乾燥庫DC内の真空度Pdc、開度調節器Cの開度角度θ及び棚温Thの検出時に計測値のぶれが少しでも生じると、算出した昇華速度Qmにぶれが生じる。このため、図8に示すように、算出した昇華面温度Tsが不自然に変動する。なお、二次乾燥工程においてもこれと同様の傾向となる。
これに対して、本発明法では、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温Tbの算出に際して、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱及び潜熱を考慮するので、図7から明らかなように、一次乾燥工程の初期において算出される平均底部品温が実測品温よりも高くなる傾向がなくなる。また、一次乾燥工程において算出される平均底部品温が実測品温よりも早く棚温に達しないので、図6と図8との対比から明らかなように、一次乾燥工程の後期においても、算出品温と実測品温との差が小さくなっている。本発明法は、被乾燥材料の顕熱を考慮しているため、図6に示すように、算出した昇華速度Qmにぶれが生じても、算出した昇華面温度Tsが滑らかに変化している。また、本発明法では、昇華速度Qmの算出に際して、数秒間にわたって検出された複数の乾燥庫真空度の平均値Pdcを適用するので、算出した昇華速度Qmのぶれが小さくなっている。さらに、一次乾燥工程における平均底部品温Tbの算出には一次乾燥時の乾燥庫壁温度Tw1を適用するので、この点からも算出品温と実測品温との差が小さくできる。加えて、本発明法は、1分間隔で一次乾燥工程における被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出するので、実測品温に対する算出品温の追従性を高めることができる。なお、二次乾燥工程においてもこれと同様の傾向となる。
このように、本発明法によると、算出された被乾燥材料の昇華面温度Tsを温度センサにより検出された品温1、品温2、品温3によく一致させることができるので、算出された昇華面温度Tsを監視することにより、凍結乾燥機M1の乾燥庫DC内に装入された全てのバイアルに分注された被乾燥材料につき、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における昇華面温度を非接触で監視できる。また、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における被乾燥材料のコラプスを完全に防止できる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る算出方法及び算出装置は、乾燥庫内の真空度を調節するための真空度調節手段として、リーク弁を乾燥庫に備えたリーク式真空制御方式の凍結乾燥機に適用されるものである。
〈凍結乾燥機の構成〉
即ち、第2実施形態に係る凍結乾燥機M2は、図10及び図11に示すように、被乾燥材料を装入する乾燥庫DCと、乾燥庫DC内に装入された被乾燥材料から発生する水蒸気をトラップコイルctにて凝結捕集するコールドトラップCTと、乾燥庫DCとコールドトラップCTを連通する主管aと、主管aを開閉する主弁MVと、乾燥庫DCに接続されたリーク制御弁LV付きの真空制御回路fと、コールドトラップCTに付設された引口弁Vと、引口弁Vに接続された真空ポンプPと、乾燥庫DC内の絶対圧力及びコールドトラップCT内の絶対圧力を検出する真空計bと、上述した装置各部の稼働を自動制御する制御装置CRとから主に構成されている。制御盤CRはシーケンサPLCと記録計(記録手段)eとから構成されており、シーケンサPLCには、乾燥庫DC、コールドトラップCT及び真空制御回路fの駆動を制御して、被乾燥材料の予備乾燥工程、一次乾燥工程及び二次乾燥工程を実行する制御プログラムが予め記憶されている。その他については、第1実施形態に係る凍結乾燥機M1と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。
図12及び図13に、シーケンサPLCに記憶される計算プログラムの一例を示す。乾燥庫DC内に装入された非乾燥材料の凍結乾燥は、予備凍結、一次乾燥及び二次乾燥の各工程を経て行われ、一次乾燥工程における被乾燥材料の昇華速度Qm、平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsの算出と、二次乾燥工程における被乾燥材料の脱湿速度Qm´及び平均底部品温Tbの算出は、図12及び図13に記載の手順で行われる。算出された各計算データは、記録計eに順次記録される。凍結乾燥機のオペレータは、記録計eの記録データを確認することにより、被乾燥材料の乾燥状態を随時監視できる。
被乾燥材料の凍結乾燥に際しては、制御プログラムの起動に先立ち、手順S21で、シーケンサPLCへの定数データの入力を行う。定数データとしては、主管aの内径D(mm)、主管aの長さL1(mm)、被乾燥材料が分注されたバイアルの外径d1(mm)、バイアルの肉厚t1(mm)、乾燥庫DC内に装入するバイアルの本数N1、バイアルへの薬剤の分注量V1(mL/1本)、バイアルに分注される薬剤の固形分s(%)、バイアルに分注される被乾燥物の比重e(Kg/L)、バイアルの重量Wv(g)、バイアルの開口を封止するゴム栓の重量Wc(g)、バイアルを載置するトレイ枠Tの幅寸法W(mm)、トレイ枠Tの長さ寸法L(mm)、トレイ枠Tの枚数N2、バイアルの底面とこれを載置する棚板Bの上面との間に存在する隙間δを入力する。これらについては、凍結乾燥機の仕様書及び作業計画書等から求めることができる。
また、定数データとしては、予備凍結によりバイアル内の被乾燥材料に形成される凍結層の熱伝導率λ、乾燥庫DCの壁面からバイアルに輻射される熱の輻射伝熱係数Kr、一次乾燥時の乾燥庫DCの壁温度Tw1、二次乾燥時の乾燥庫DCの壁温度Tw2、一次乾燥開始時の初期凍結温度Tbi、主弁MVを全開にして水負荷で取得した主管流路の水蒸気流動抵抗係数Crから昇華速度Qmへの算出式の定数値j、kもシーケンサPLCに入力する。これらについては、事前の実験で求める。定数値j、kの求め方については、後に説明する。
次に、手順S22で、シーケンサPLCに計算プログラムを実行する時間間隔N(min)を入力する。第1実施形態においても説明した通り、特許文献1に記載の発明のように、乾燥庫DC内の真空度を一時的に高める方向に変化させ、当該変化の前後における乾燥庫DC内の真空度Pdc及びコールドトラップCT内の真空度Pctを含む測定データから、一次乾燥期における被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出すると、乾燥庫DC内の真空度が落ち着くまでは、次回の真空度Pdc、Pct等の測定を行えないので、平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmの算出をせいぜい30分間隔程度にしか行い得ない。これに対して、本発明は、乾燥庫DC内の真空度を一時的に高める方向に変化させることなく、被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出するので、1回の算出に要する時間を超える時間間隔であれば、任意の時間を計算時間間隔Nとして設定できる。このため、本発明によれば、数分間隔、例えば1分間隔で被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出することが可能になり、特許文献1に記載の発明による場合よりも被乾燥材料の乾燥状態のきめ細かい監視が可能になる。
次に、手順S23に移行し、手順S21でシーケンサPLCに入力された定数データD、d1、N1、W、N、N2、t1から、主管流路断面積Aと、バイアルの底部面積Avと、トレイ枠Tの総面積Atと、棚板Bからバイアルへの有効伝熱面積Aeと、被乾燥材料の昇華面積Asとを計算により求める。
主管流路断面積Aは、下記の式(35)で求められる。
A=π/4×(0.001×D) …(35)
バイアルの底部面積Av、トレイ枠Bの総面積At、有効伝熱面積Ae及び昇華面積Asについては、上記の式(1)〜(4)でそれぞれ求められる。
次に、手順S24に移行し、手順S21でシーケンサPLCに入力された定数データN1、V1、e、sを用いて被乾燥材料の脱水量Wを計算すると共に、手順S21でシーケンサPLCに入力された定数データN1、V1と手順S23で求められた昇華面積Asとを用いて、被乾燥材料の初期凍結層厚L0を計算する。脱水量W及び初期凍結層厚L0は、上記の式(5)、(6)でそれぞれ求められる。初期の平均底部品温Tb0は一次乾燥開始時の初期凍結温度Tbiとし、一次乾燥開始時の昇華量M0は0とする。
定数データの入力が完了した後は、制御プログラムを起動して、予備凍結、一次乾燥及び二次乾燥の各工程をこの順に実行する。まず、予備凍結工程が終了して一次乾燥工程が開始された直後の数分間、即ち、乾燥庫DC内の棚板Bに付いた霜の昇華が終わり、乾燥庫真空度Pdcが真空制御値に制御されて安定するまでの時間については、手順S25に示すように、手順S26以降の算出処理を行わずに待機する。これにより、以下に記載する平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmの正確な算出が可能になる。
待機時間の経過後は、手順S6に示すように、シーケンサPLCに設定された時間間隔Nが経過するごとに、その初期の数秒間において、真空計bからの複数回(本実施形態においては、5回)にわたる乾燥庫真空度Pdc1〜Pdc5及びコールドトラップ真空度Pct1〜Pct5の取り込みと、温度センサSからの棚温Thの取り込みを行う。
次に、手順S27に移行し、手順S26で真空計bから取り込まれた乾燥庫真空度Pdc1〜Pdc5及びコールドトラップ真空度Pct1〜Pct5から、下記の式(36)、(37)により、乾燥庫真空度の平均値Pdcとコールドトラップ真空度の平均値Pctを算出する。
Pdc=(Pdc1+Pdc2+Pdc3+Pdc4+Pdc5)/5 …(36)
Pct=(Pct1+Pct2+Pct3+Pct4+Pct5)/5 …(37)
また、手順S27では、昇華速度Qmも算出する。昇華速度Qmは、乾燥庫真空度の平均値Pdcとコールドトラップ真空度の平均値Pctとから算出できる。即ち、被乾燥材料の昇華面から昇華した水蒸気は、乾燥庫DCから主管aを通してコールドトラップCT内に流れ、トラップコイルCtにて凝結捕集される。そして、リーク式真空制御の場合には、主管a内における水蒸気の流れが粘性流となるので、被乾燥材料からの昇華速度Qmは、次の式(38)で計算できる。
Qm=3・6×(Pdc−Pct)/R=3・6×ΔP/R …(38)
但し、式(38)において、ΔPは乾燥庫真空度Pdcとコールドトラップ真空度Pctとの差圧、Rは主管抵抗である。
差圧ΔPは、粘性流の管路圧力降下の計算式から、下記の式(39)で表される。
ΔP=Cr/2×ρ×u=Cr/2×ρ×[Qm/(3600×A×ρ)] …(39)
但し、Crは主管流路の水蒸気流動抵抗係数、ρは理想気体の状態方程式ρ=P×M/(R×T)で表される値(Pは気体の圧力、Mは気体の分子量、Rは気体定数、Tは気体の温度)、Aは主管aの流路面積である。
式(39)に、理想気体の状態方程式ρ=P×M/(R×T)、分子量M=18、気体定数R=8314、気体温度T=288、ΔP=Pdc−Pctを代入し、昇華速度Qmの式に変換すると、以下の式(40)となる。
Qm=A×[(Pdc−Pct)/(8314×288/(18×36002)×Cr)]0.5
=A×[(Pdc−Pct)/(0.0103×Cr)]0.5 …(40)
この方法によると、真空計以外の高価な計測器機を装備する必要がないので、昇華速度Qmの算出を容易かつ低コストに行うことができる。
式(39)の水蒸気流動抵抗係数Crは、水負荷の試験で求められる。水負荷の試験は、乾燥庫DC内に水を充填したトレイを装入した状態で、制御装置CRにより凍結乾燥機M2の稼動を制御し、所定の乾燥工程を実行することにより行う。本例においては、トレイ内の水を−45℃まで凍結した後の一次乾燥工程で、棚温Thを−20℃に設定すると共に乾燥庫DC内の真空度Pdcを6.7Paに設定して3時間保持した。また、棚温Thを−10℃に設定すると共に乾燥庫DC内の真空度Pdcを6.7Pa、13.3Pa、20Paに順次制御して、それぞれ3時間保持した。また、棚温Thを5℃に設定すると共に乾燥庫DC内の真空度Pdcを6.7Pa、13.3Paに制御して、3時間保持した。また、棚温Thを20℃に設定すると共に乾燥庫DC内の真空度Pdcを6.7Pa、13.3Paに制御して、それぞれ3時間保持した。上記9条件の水負荷試験を実施しながら、棚温Th、トレイ底部品温Tb、乾燥庫真空度Pdc及びコールドトラップ真空度Pctを測定して記録した。更に、これらの測定結果から、氷の昇華速度Qm(Kg/h)と主管流路の水蒸気流動抵抗係数Crを求めた。表4に、水負荷の試験で求められた棚温Th、乾燥庫DCの真空度Pdc、コールドトラップCTの真空度Pct、昇華速度Qm及び水蒸気流動抵抗係数Crを示す。
図14に、表2のデータに基づいて作成した主管流路の水蒸気流動抵抗係数Crと昇華速度Qmとの関係を表すグラフを示す。表2(図14)のデータから、主管流路の水蒸気流動抵抗係数Crと昇華速度Qmとの関係式を導出できる。上述した水負荷の試験により、下記の式(41)が導出された。
Cr=4.065/Qm0.8 …(41)
この主管流路の水蒸気流動抵抗係数Crと昇華速度Qmの関係式(41)を上記の式(40)に代入すると、下記の昇華速度Qmの計算式(42)を導出される。
Qm=0.9×A×(Pdc−Pct0.875 …(42)
この式(42)から、j=0、k=0.875が求められる。
このように、事前の水負荷試験で得られた定数j、kをシーケンサPLCに記憶しておくことにより、手順S23で算出した主管流路断面積Aと、手順S27で算出した乾燥庫真空度Pdcの平均値及びコールドトラップ真空度の平均値とから、昇華速度Qmを容易に算出できる。
次に、手順S28に移行し、昇華量Mを算出する。被乾燥材料の昇華量Mは、上記の式(13)で求められる。
次に、手順S29に移行し、気体伝導による棚板BからバイアルEの底部への熱伝達係数Kと、バイアル、ゴム栓、氷及び充填物を含む被乾燥材料全体の熱容量Cと、被乾燥材料の平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsを算出する。熱伝達係数Kは上記の式(14)で求められ、被乾燥材料全体の熱容量Cは上記の式(15)で求められる。平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsの算出に際しては、第1実施形態と同様に、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱を考慮し、一次乾燥工程における被乾燥材料の平均品温Tmを上記の式(16)に示す伝熱方程式から求める。従って、平均底部品温Tbは上記の式(21)で求められ、平均昇華面温度Tsは上記の式(22)で求められる。
しかる後に、手順S30に移行し、算出された平均昇華面温度Ts(℃)、昇華速度Qm(Kg/hr)及び平均底部品温Tb(℃)を、記録計eに記録する。以上説明した手順S26から手順S30までの手順を、手順S22で設定された時間間隔Nごとに、一次乾燥工程が終了するまで繰り返す。凍結乾燥機のオペレータは、記録計eへの記録データを監視することにより、一次乾燥工程における被乾燥材料の乾燥状態を時系列的に把握することができる。
一次乾燥工程の終了後は、二次乾燥工程に移行する。二次乾燥工程への移行後も、手順S31に示すように、手順S22でシーケンサPLCに設定された時間間隔Nごとに、真空計bからの複数回(本実施形態においては、5回)にわたる乾燥庫真空度Pdc1〜Pdc5及びコールドトラップ真空度Pct1〜Pct5の取り込みと、温度センサSからの棚温Thの取り込みを行う。
次に、手順S32に移行し、手順S21でシーケンサPLCに入力された定数データj、kと、式(36)、(37)で求められた乾燥庫真空度の平均値Pdc及びコールドトラップ真空度の平均値Pctと、手順S23で算出された流路断面積Aとから、上記の式(26)により、被乾燥材料の脱湿速度Qm´(Kg/hr)を算出する。
次に、手順S33に移行し、熱伝達係数K、熱容量C、定数a1、a2、a3、及び平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsを算出する。熱伝達係数Kは上記の式(27)で求められ、熱容量Cは上記の式(28)で求められ、定数a1、a2、a3は上記の式(34)で求められ、平均底部品温Tbは上記の式(34)で求められ、平均昇華面温度TsはTs=Tbで求められる。
しかる後に、手順S34に移行し、算出された平均昇華面温度Ts(℃)、昇華速度Qm(Kg/hr)及び平均底部品温Tb(℃)を、記録計eに記録する。以上説明した手順S31から手順S34までの手順を、手順S22で設定された時間間隔Nごとに、二次乾燥工程が終了するまで繰り返す。凍結乾燥機のオペレータは、記録計eへの記録データを監視することにより、二次乾燥工程における被乾燥材料の乾燥状態を時系列的に把握することができる。
図15及び図16に、リーク弁方式の凍結乾燥機M2を用いて、上述した本発明の方法、即ち、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温Tbの算出に際して、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱及び潜熱を考慮すると共に、各工程に特有の乾燥庫壁温度を適用し、また、昇華速度Qmの算出に際しては乾燥庫真空度の平均値Pdcを求める方法(この方法を本明細書書では、「本発明法」という。)で、スクロース(Sucrose、分子式:C122211)の10%水溶液を凍結乾燥した場合における品温の実測値と計算値とを比較して示す。図15は予備凍結工程から一次乾燥工程を経て二次乾燥工程の初期段階に至るまでの品温の実測値と計算値の変化を示す図であり、図16は一次乾燥工程の初期段階を拡大して示す図である。
また、図17及び図18に、リーク弁方式の凍結乾燥機M1を用いて、上述した本発明の方法とは異なり、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温Tbの算出に際して、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱を考慮せずに潜熱のみを考慮すると共に、各工程に特有の乾燥庫壁温度を適用せずに一定の乾燥庫壁温度を適用し、また、昇華速度Qmの算出に際しては乾燥庫真空度の平均値Pdcを求めず、所定のタイミングで真空検出手段から瞬間的に取り込まれる乾燥庫真空度を用いる方法(この方法を本明細書書では、「従来法」という。)で、スクロース(Sucrose、分子式:C122211)の10%水溶液を凍結乾燥した場合における品温の実測値と計算値とを比較して示す。図17は予備凍結工程から一次乾燥工程を経て二次乾燥工程の初期段階に至るまでの品温の実測値と計算値の変化を示す図であり、図18は一次乾燥工程の初期段階を拡大して示す図である。
いずれの実験例においても、被乾燥材料を分注した660本のバイアルを乾燥庫DC内に装入し、シーケンサPLCに記憶された手順にしたがって被乾燥材料を凍結乾燥することにより行った。また、乾燥庫DC内に装入された660本のバイアルのうち、棚板Bの中央部に装入された1本のバイアルと、乾燥庫DCの壁際に装入された他の1本のバイアルと、それらの中間位置に装入されたさらに他の1本のバイアルについては、温度センサを挿入して、バイアル内に分注された被乾燥材料の品温(品温1、品温2、品温3)を測定した。被乾燥材料の一次乾燥は、溶液を−45℃で2時間予備凍結した後、棚温Thを−20℃に設定すると共に、真空制御回路fに備えられた可変リーク弁及びリーク制御弁LVを経由して外部空気を凍結乾燥機M2内に導入することにより、乾燥庫DC内の真空度Pdcを6.7Paに制御することにより行った。二次乾燥では、棚温を1時間で−20℃から30℃まで昇温し、乾燥庫DC内の真空度Pdcを1時間で6.7Paから1Paに制御し、その後に真空を成り行きで変化させた。図15及び図16の実験例では1分間隔で、図17及び図18の実験例では5分間隔で、乾燥庫DC内の真空度Pdc、コールドトラップCT内の真空度Pct及び棚温Thを検出し、昇華速度Qm(脱湿速度Qm´)、平均底部品温Tb及び平均昇華面温度Tsを算出した。そして、各検出値及び各算出値を記録計eに記録し、図15〜図18に示すグラフを得た。
図15と図17の対比及び図16と図18の対比から明らかなように、リーク弁方式の凍結乾燥機M2を用いた場合にも、流路開度真空制御方式の凍結乾燥機M1を用いた場合と同様の効果が認められる。
即ち、図17及び図18に示すように、従来法により算出された被乾燥材料の平均昇華面温度Tsは、温度センサにより検出された品温1、品温2、品温3と近似しているものの、従来法では、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱を考慮していないため、図18から明らかなように、一次乾燥工程の初期に行われる棚温の昇温期間中に算出される平均底部品温が実測品温よりも高くなる傾向となる。このため、図17に示すように、一次乾燥工程において算出される平均底部品温が実測品温よりも早く棚温に達するので、被乾燥材料の温度変化に平均底部品温を追従させることが難しくなり、一次乾燥工程の後期においては、算出される平均底部品温が実測品温から乖離しやすくなる。また、従来法では、被乾燥材料の顕熱を考慮していないため、乾燥庫DC内の真空度Pdc、コールドトラップ真空度Pct及び棚温Thの検出時に計測値のぶれが少しでも生じると、算出した昇華速度Qmにぶれが生じる。このため、図17に示すように、算出した昇華面温度Tsが不自然に変動する。なお、二次乾燥工程においてもこれと同様の傾向となる。
これに対して、本発明法では、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における平均底部品温Tbの算出に際して、容器Eを含む被乾燥材料の顕熱及び潜熱を考慮するので、図16から明らかなように、一次乾燥工程の初期において算出される平均底部品温が実測品温よりも高くなる傾向がなくなる。また、一次乾燥工程において算出される平均底部品温が実測品温よりも早く棚温に達しないので、図15と図17との対比から明らかなように、一次乾燥工程の後期においても、算出品温と実測品温との差が小さくなっている。本発明法は、被乾燥材料の顕熱を考慮しているため、図15に示すように、算出した昇華速度Qmにぶれが生じても、算出した昇華面温度Tsが滑らかに変化している。また、本発明法では、昇華速度Qmの算出に際して、数秒間にわたって検出された複数の乾燥庫真空度の平均値Pdcとコールドトラップ真空度の平均値Pctを適用するので、算出した昇華速度Qmのぶれが小さくなっている。さらに、一次乾燥工程における平均底部品温Tbの算出には一次乾燥時の乾燥庫壁温度Tw1を適用するので、この点からも算出品温と実測品温との差が小さくできる。加えて、本発明法は、1分間隔で一次乾燥工程における被乾燥材料の平均昇華面温度Ts、平均底部品温Tb及び昇華速度Qmを算出するので、実測品温に対する算出品温の追従性を高めることができる。なお、二次乾燥工程においてもこれと同様の傾向となる。
このように、本発明法によると、算出された被乾燥材料の昇華面温度Tsを温度センサにより検出された品温1、品温2、品温3によく一致させることができるので、算出された昇華面温度Tsを監視することにより、凍結乾燥機M2の乾燥庫DC内に装入された全てのバイアルに分注された被乾燥材料につき、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における昇華面温度を非接触で監視できる。また、一次乾燥工程及び二次乾燥工程における被乾燥材料のコラプスを完全に防止できる。
本発明は、食品や薬品等の凍結乾燥に用いられる凍結乾燥機に利用できる。
B 棚板
T トレイ枠
C 開度調節器
CT コールドトラップ
CR 制御盤
DC 乾燥庫
E 容器
M1、M2 凍結乾燥機
MV 主弁
P 真空ポンプ
PLC シーケンサ
S 温度センサ
V 引口弁
a 主管
b 真空計
ct トラップコイル(プレート)
e 記録計
f 真空制御回路
g 角度センサ

Claims (6)

  1. 被乾燥材料を装入する乾燥庫(DC)と、該乾燥庫(DC)内に装入された被乾燥材料から発生する水蒸気を凝結捕集するコールドトラップ(CT)と、前記乾燥庫(DC)と前記コールドトラップ(CT)とを連通する主管(a)と、該主管(a)を開閉する主弁(MV)と、前記乾燥庫(DC)内の真空度を調節する真空度調節手段と、前記乾燥庫(DC)内の絶対圧力及び前記コールドトラップ(CT)内の絶対圧力を検出する真空検出手段と、前記乾燥庫(DC)内に設置され、前記被乾燥材料を分注した容器を載置する棚板(B)の温度を検出する棚温検出手段と、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の稼働を自動制御する制御装置(PLC)を備えた凍結乾燥機を用い、
    前記制御装置(PLC)には、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の駆動を制御して、前記被乾燥材料の一次乾燥工程及び二次乾燥工程を実行する制御プログラムと、所要の計算プログラム及び計算式と、前記計算プログラムを実行する時間間隔と、前記容器を含む前記被乾燥材料の熱容量に関するデータ並びに一次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度及び二次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度を含む定数データを記憶しておき、
    前記一次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記一次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を含む前記制御装置(PLC)の定数データと前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の昇華速度(Qm)と前記被乾燥材料の昇華潜熱及び前記容器を含む前記被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温(Tb)と平均昇華面温度(Ts)をこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録し、
    前記二次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記二次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を含む前記制御装置(PLC)の定数データと前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の脱湿速度(Qm´)と前記被乾燥材料の昇華潜熱及び前記容器を含む前記被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温(Tb)と平均昇華面温度(Ts)をこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録することを特徴とする、凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視方法。
  2. 前記真空度調節手段としてダンパ方式の開度調節器(C)を前記主管(a)内に備えた凍結乾燥機を用い、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御装置(PLC)は、前記開度調節器(C)の開度調節を行い、前記開度調節器(C)の開度角度を、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)の変化に追従して変化させることを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視方法。
  3. 前記真空度調節手段としてリーク制御弁(LV)付きの真空制御回路(f)を前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記主管(a)を含む真空系統のいずれかに備えた凍結乾燥機を用い、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御手段(PLC)は、前記リーク制御弁(LV)を駆動して前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を設定値に制御するか、前記リーク制御弁(LV)を閉じ、それ以降、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を成り行きに任せることを特徴とする、請求項1に記載の凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視方法。
  4. 被乾燥材料を装入する乾燥庫(DC)と、該乾燥庫(DC)内に装入された被乾燥材料から発生する水蒸気を凝結捕集するコールドトラップ(CT)と、前記乾燥庫(DC)と前記コールドトラップ(CT)とを連通する主管(a)と、該主管(a)を開閉する主弁(MV)と、前記乾燥庫(DC)内の真空度を調節する真空度調節手段と、前記乾燥庫(DC)内の絶対圧力及び前記コールドトラップ(CT)内の絶対圧力を検出する真空検出手段と、前記乾燥庫(DC)内に設置され、前記被乾燥材料を分注した容器を載置する棚板(B)の温度を検出する棚温検出手段と、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の稼働を自動制御する制御装置(PLC)を備え、
    前記制御装置(PLC)には、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記真空度調節手段の駆動を制御して、前記被乾燥材料の一次乾燥工程及び二次乾燥工程を実行する制御プログラムと、所要の計算プログラム及び計算式と、前記計算プログラムを実行する時間間隔と、前記容器を含む前記被乾燥材料の熱容量に関するデータ並びに一次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度及び二次乾燥工程における前記乾燥庫(DC)の壁温度を含む定数データを記憶しておき、
    前記一次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記一次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を含む前記制御装置(PLC)の定数データと前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の昇華速度(Qm)と前記被乾燥材料の昇華潜熱及び前記容器を含む前記被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温(Tb)と平均昇華面温度(Ts)をこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録し、
    前記二次乾燥工程では、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を、前記真空度調節手段を操作することなく成り行きに任せて変化させ、前記制御装置(PLC)に記憶された前記時間間隔ごとに、前記真空検出手段及び前記棚温検出手段の測定データ並びに前記二次乾燥工程における乾燥庫(DC)の壁温度を含む前記制御装置(PLC)の定数データと前記制御装置(PLC)に記憶された前記計算式とから、前記被乾燥材料の脱湿速度(Qm´)と前記被乾燥材料の昇華潜熱及び前記容器を含む前記被乾燥材料の顕熱を考慮した平均底部品温(Tb)と平均品温(Ts´)をこの順に求めて、これらの各計算データを記録手段(e)に記録することを特徴とする、凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置。
  5. 前記真空度調節手段としてダンパ方式の開度調節器(C)を前記主管(a)内に備え、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御装置(PLC)は、前記開度調節器(C)の開度調節を行い、前記開度調節器(C)の開度角度を、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)の変化に追従して変化させることを特徴とする、請求項4に記載の凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置。
  6. 前記真空度調節手段として、リーク制御弁(LV)付きの真空制御回路(f)を、前記乾燥庫(DC)、前記コールドトラップ(CT)及び前記主管(a)を含む真空系統のいずれかに備え、前記一次乾燥工程及び前記二次乾燥工程において、前記制御手段(PLC)は、前記リーク制御弁(LV)を駆動して前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を設定値に制御するか、前記リーク制御弁(LV)を開いた状態で、それ以降、前記乾燥庫(DC)内の真空度(Pdc)を設定値に制御することを特徴とする、請求項4に記載の凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置。
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