JP2016125154A - 脱墨パルプの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷古紙から高灰分で残インキ除去性に優れた脱墨パルプが得られ、スラッジ灰の低減と使用填料の低減を図ることができる脱墨パルプの製造方法を提供する。【解決手段】 印刷古紙を、離解工程、除塵工程、漂白工程、分散工程、フローテーション工程、洗浄工程を少なくとも有する一連の工程によってパルプ化する方法において、漂白工程及び分散工程を経たパルプスラリーをフローテーション工程においてpH6〜9の中性領域で脱墨処理し、その後の洗浄工程の直前のパルプスラリーに対して凝結剤、紙力剤及び歩留剤から選ばれる1種以上の薬剤を添加して洗浄処理することを特徴とする脱墨パルプの製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、古紙パルプの製造方法に関し、特に印刷古紙から高い灰分含有量の維持とインキ除去性に優れている脱墨パルプの製造方法に関するものである。
従来、抄紙段階における填料や微細繊維の歩留向上については、種々の歩留剤及び歩留りシステムが検討され、採用されている。最も多く採用されてきたシステムはカチオン性ポリマーを用いたポリマー単独処方である。古紙再生処理工程においても、微細繊維、填料等の歩留率の向上を図るために、フロス中の灰分の回収や、微細繊維の回収について鋭意研究が行われ、ある一定の歩留向上は可能であったものの、完成脱墨パルプのインキ除去性を維持したまま、もう一段の歩留向上をさせることは困難であった。
例えば、古紙再生処理工程において、現状のアルカリ性領域のフローテーションを経た後、洗浄工程及び脱水工程の前のパルプスラリーに凝結剤を添加する方法(例えば、特許文献1)や、同様に現状のアルカリ性領域のフローテーションを経た後、(メタ)アクリルアミド+カチオン性モノマー+アニオン性モノマーを構成成分として重合した水溶性両性共重合体を添加する方法(例えば、特許文献2)、更に(メタ)アクリルアミドと、カチオン性モノマーとを構成成分とし、又は(メタ)アクリルアミドと、カチオン性モノマーと、(c)アニオン性モノマーとを構成成分とし、さらに(d)架橋性モノマー及び/又は(e)連鎖移動剤を使用して重合した水溶性イオン性ポリアクリルアミド系共重合体を添加する方法(特許文献3)などがある。しかし、現在の古紙脱墨工程で行われているアルカリ性領域でのフローテーションでは、古紙に由来する汚れや印刷インクが完全に除去されないため、その後に脱墨パルプの歩留向上を目的に凝結剤、紙力剤、歩留剤を用いると、完成の脱墨パルプのインキ除去性が著しく劣るという問題があった。
特許第4809585号公報 特許第4521578号公報 特許第4824376号公報
従来の脱墨パルプの製造方法は、脱墨パルプに含まれているインキを灰分とともにスクリーニング工程、フローテーション工程、洗浄工程、脱水工程等で除去することで、概ね白色度の白い脱墨パルプを製造している。しかし、インキは完成の脱墨パルプの品質に悪影響を及ぼすものの、灰分は比較的白く、完成の脱墨パルプの構成成分としてパルプスラリー中に残留させることがコスト的にも、また、廃棄物を低減させるという観点から環境的にも、さらには、脱墨パルプ中に残留せずにろ液中に排出された灰分は流送の配管中のスケールとして堆積したりするため設備メンテナンスの面からも有利な事である。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、印刷古紙から高灰分で残インキ除去性に優れた脱墨パルプが得られ、スラッジ灰の低減と使用填料の低減を図ることができる脱墨パルプの製造方法を提供することを課題とする。
従来、印刷古紙から脱墨パルプを製造する方法において、離解工程、スクリーニング工程、漂白工程、ニーディング工程、フローテーション工程、洗浄工程の組合せからなる古紙のパルプ化工程において、アルカリ性で行う漂白工程、ニーディング工程を経た後のフローテーション工程はpH9を超えてpH11程度までの範囲のアルカリ性領域で行われてきた。本発明者らは検討を重ねた結果、該フローテーション工程をH6〜9の中性領域で行うことでインキを十分に除去し、その後の洗浄工程に送るパルプスラリーに凝結剤、紙力剤、歩留剤の1以上の薬剤を添加することで、高歩留で、かつ、インキ除去性の優れた脱墨パルプを提供できることを見出し、下記の発明を完成するに至った。
印刷古紙を、離解工程、除塵工程、漂白工程、分散工程、フローテーション工程、洗浄工程を少なくとも有する一連の工程によってパルプ化する方法において、漂白工程及び分散工程を経たパルプスラリーをフローテーション工程においてpH6〜9の中性領域で脱墨処理し、その後の洗浄工程の直前のパルプスラリーに対して凝結剤、紙力剤及び歩留剤から選ばれる1種以上を添加して洗浄処理することを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
前記洗浄工程における凝結剤、紙力剤及び歩留剤から選ばれる1種以上の薬剤の添加量が100ppm〜3000ppmである上記脱墨パルプの製造方法。
前記一連の工程が、離解工程、除塵工程、分散工程、漂白工程、フローテーション工程、洗浄工程を順次実施して印刷古紙から脱墨パルプを製造する工程である上記いずれかの脱墨パルプの製造方法。
本発明によれば、印刷古紙から脱墨パルプを製造する方法において、離解工程、スクリーニング工程、漂白工程、ニーディング工程、フローテーション工程、洗浄工程を少なくとも有する組合せ工程による古紙のパルプ化方法において、フローテーション工程をH6〜9の中性領域で行うことでインキを十分に除去し、その後のパルプスラリーに凝結剤、紙力剤、歩留剤の1以上の薬剤を添加することで、優れたインキ除去性を維持したまま、歩留を大幅に向上させることができる。そのため、古紙由来の填料を含む灰分の歩留を向上させて、紙製品にクラフトパルプ、メカニカルパルプ等より安価な脱墨パルプを高配合する事が可能となるとともに環境負荷の軽減も可能となり、古紙の利用範囲が広がる。
以下、本発明の脱墨パルプの製造方法の実施形態について、詳細に説明する。
原料となる印刷古紙の例としては、新聞紙、微塗工紙、高灰分の塗工紙、非塗工紙等、灰分を7%〜40%含む古紙があげられる。本発明は、多量の表面処理剤により脱墨性が悪い一部の中性新聞紙を含む印刷古紙にも効果的である。
本発明の方法における離解工程について特に制限は無いが、好ましい処理として、まず、原料印刷古紙を離解機に入れ、固形分濃度12〜18%になるように稀釈水を入れ、更に薬品(水酸化ナトリウム)を対パルプ0〜3.0質量%、好ましくは0.1〜2.5質量%添加する。脱墨剤を添加する場合には、パルプ繊維への浸透性が強く、インキの剥離性の強いものが好ましく、脱墨剤を対パルプ0.01〜0.5質量%、好ましくは0.03〜0.3質量%加える。離解時間は、10〜30分、好ましくは10〜25分、更に好ましくは10〜18分、離解温度は10〜50℃、好ましくは30〜50℃で離解することが好ましい。
インキの剥離性の強い脱墨剤としては、高級アルコール系脱墨剤、両性脱墨剤等があり、例えば、花王(株)製のDI−7020、DI−7030、DI−767、DI−7282、日新化学研究所(株)製のDIA−Z−100、DIA−Z−5000、東邦化学(株)製のネオスコアFW−780、ネオスコアFW−790、ネオスコアFW−795、FT−467、FT−470、FT−487、FT−511、FT−513、FT−514、FT−515、B−B剤、第一工業製薬(株)製ダイホープ940、ダイホープ960、日華(株)製リポブライトDP−810等があるがこれらに限られるものではない。
本発明の方法における除塵工程で用いる装置には特に制限は無い。スクリーン・クリーナーで原料中の異物を取り除くことが可能であればよいが、スリットスクリーン(1段目0.15mmスリット以下、2段目0.15mmスリット以下)を使用することが好ましい。クリーナーは重量異物を効率良く取り除くことが可能であればいずれでもよい。
古紙再生の漂白薬品としては過酸化水素、ハイドロサルファイド、二酸化チオ尿素、ハイポ等が使用される。本発明では過酸化水素を使用する。また、本発明の方法ではアルカリ過酸化水素漂白を行うが、過酸化水素は対パルプ0.5〜5.0質量%添加する。これ以上添加量を増やしても白色度上昇はサチュレーションする傾向にある。苛性ソーダは、対パルプ1.5〜3.0質量%、珪酸ソーダは、対パルプ1.5〜3.5質量%添加し、漂白時間は10分間〜5時間、好ましくは1.5〜3時間で行う。漂白時間が短すぎると過酸化水素が十分に反応しきらないため好ましくない、また5時間より長くしても逆に過酸化水素の消費が進み、残過酸化水素がなくなった時点からパルプの黄色化が起きるため、適切ではない。漂白パルプ濃度は15〜35%、好ましくは25〜30%、濃度が15%より低くなると過酸化水素の反応性が悪くなる。また、35%より高い濃度にするとディスパーザーでの薬品との混合に斑ができるため、好ましくない。また、漂白時のpHは、10.5〜12.0が好ましく、この範囲を外れると過酸化水素の漂白性が劣る。漂白温度は50〜120℃で行うことが効果的である。
また、フローテーション前に脱墨剤がパルプに均一に混合できれば、漂白工程前後に係わらず、いずれに脱墨剤を添加してもよい。インキ凝集性の強い脱墨剤としては、脂肪酸あるいは、脂肪酸誘導体系の脱墨剤があり、例えば、脂肪酸の場合、花王(株)製のDI−254(オレイン酸)、DI−268、第一工業製薬(株)製のK−4004−D等がある。また、脂肪酸誘導体系の場合、花王(株)製のDI−1120、DI−1050、日新化学研究所(株)製のDIY−23543、第一工業製薬(株)製のペーパーエイドW等があるがこれらに限られるものではない。
本発明の分散工程(ニーディング工程)で行う分散機による処理には低速・高濃度用軸タイプの分散機または、ディスクタイプの分散機が適している。低速・高濃度用軸タイプの分散機としては、一軸型または二軸型のニーダータイプのディスパーザーが好ましい。軸状のローターに取り付けられた回転刃と、ケーシングに取り付けられた固定刃を有し、回転数50〜300rpmの低速で、処理濃度20%〜50%(以下パルプ濃度%は質量%を意味する)の高濃度、好ましくは、25%〜40%、温度は25℃〜100℃、好ましくは40〜90℃で処理する。軸タイプの分散機では、繊維間の摩擦作用が主体となって、インキ剥離・ダートの分散が起こる。処理濃度が20%未満では、機械的負荷がかかりにくく、インキ剥離・ダートの分散性が低下する上、温度上昇に必要なエネルギーが莫大となるため、適さない。また、処理濃度50%を越えて高濃度にすると機械的に搾水するのは困難である。
一般的には、一軸型ニーダーとして、ニーディング・ディスパージャーKD(商品名:アイ・エイチ・アイ フォイト ペーパーテクノロジー社製)、ディスパーザー(商品名:相川鉄工社製)、ディスパーザー(商品名:アセック社製)、ディスパーザー(商品名:三栄レギュレーター社製)、CCE型ニーディングマシン(商品名:新浜ポンプ製作所社製)、ニーダー(商品名:山本百馬製作所社製)などが使用され、また、二軸型ニーダーとして、新浜ポンプ製作所社製、山本百馬製作所製のものなどが使用されるが、特定の機種に限定されるものではない。
また、ディスクタイプの分散機としては、ディスク型ディスパーザーまたはコニカル型ディスパーザーであれば特に制限はない。構造的にはディスクリファイナーと似ているが、ディスクプレートの構造が異なっている。また、コニカル型ディスパーザーは回転刃がコニカル状になっている。回転数300rpm〜2500rpm、処理濃度20%以上で処理する。軸タイプの分散機と異なる点は、繊維と刃の衝突作用が主体となってインキ剥離・ダートの分散が起こる点である。一般的には、ディスク型ディスパーザーとして、ディスパージャーHTD(商品名:アイ・エイチ・アイ フォイトペーパーテクノロジー社製)、KRIMAホットディスパージョン設備(商品名:Cellwood社製)などが使用され、また、コニカル型ディスパーザーとして、コニディスク(商品名:相川鉄工社製)、コニカルディスパージョンシステム/HIプリヒーター/OptiFinerディスパーザー(商品名:メッツォ SHI社製)などが使用されるが、特定の機種に限定されるものではない。
分散機の組み合わせとして特に好ましいものは、低速・高濃度用軸タイプの分散機で2回、ディスクタイプの分散機で1回、この順に処理を行うことが効率的且つ効果的である。1回目若しくは2回目の分散処理である低速・高濃度用軸タイプの分散機による分散処理は、処理濃度20%〜50%の高濃度、好ましくは、25%〜40%、温度は25℃〜100℃、好ましくは40〜90℃で処理する。軸タイプの分散機では、繊維間の摩擦作用が主体となって、インキ剥離・ダートの分散が起こる。処理濃度が20%未満では、機械的負荷がかかりにくく、インキ剥離・ダートの分散性が低下する上、温度上昇に必要なエネルギーが莫大となるため、適さない。また、処理濃度50%を越えて高濃度にすると機械的に搾水するのは困難である。また、次の過酸化水素漂白工程での漂白効果を高めるため、温度は25℃以上に高める必要があるが、100℃を超えると過酸化水素の分解が生じるため、好ましくない。
本発明の方法でディスク型の分散機による分散処理を行う場合の温度は90〜130℃である。90℃未満の処理では、十分なダート減少効果と二酸化チオ尿素の漂白効果が得られず、一方、130℃を超えるとパルプの黄変が生じるため適さない。ディスク型分散機には、過酸化水素、二酸化チオ尿素のほかにアルカリ薬品を添加してもよい。アルカリ薬品としては、水酸化ナトリウムが好ましい。過酸化水素添加量は、絶乾パルプ質量に対して0.05〜3質量%、二酸化チオ尿素の添加量は、絶乾パルプ質量に対して0.1〜2質量%で、特に好ましくは0.2〜1.0質量%である。
高温のディスパーザー処理後に続きフローテーション工程を行う。ディスパーザー処理により剥離したインクを特に中性領域のフローテーター工程で除去することが効率的である。洗浄工程で除去する方法の場合には、洗浄慮液とともに白水内を循環し、パルプの完成白色度に影響を与える恐れがあるので好ましくない。フローテーション工程でのフローテーターの形式に制限はないが、処理濃度は0.7〜1.5%、フローテーター処理温度は10〜55℃、好ましくは30〜50℃で行うことが好ましい。
本発明の方法におけるフローテーション工程の処理pHは6〜9が適しており、7〜8.5がより好ましい。pHが6より低いと配管、設備の腐食が問題となり、設備費が高価になる。また、pHが9を超えると脱墨パルプのインキ除去性が著しく悪化する。また、フローテーションの処理pHを調整する薬剤として、硫酸、塩酸、苛性ソーダ、ケイ酸ソーダ等が用いられるが、これらに限られるものではない。
本発明の方法には、pH6〜9の中性領域でフローテーションを行なった後、フローテーターで取り除けなかった微細なインキを脱水洗浄する洗浄工程がある。洗浄装置に特に制限は無いが、0.6〜1.5%のパルプスラリーを清水または抄紙機のクリア白水で希釈した後、15〜35%まで脱水洗浄することが好ましい。また、洗浄工程で使用する洗浄装置としてはエキストラクター、フォールウオッシャー(栄工機製)、ダブルニップシックナー(石川島産業機械製)等があるが、洗浄装置は、原料中のインキ分を優先的に除去し、繊維分、灰分のロスを最小限に止める洗浄機であることが好ましい。中でもワイヤー洗浄機が好ましく、目穴は、20〜200メッシュ程度までが考えられるが、好ましくは40〜100メッシュが良く、更に好ましくは、50〜80メッシュが適している。
本発明の方法では、フローテーション工程の後の洗浄工程の直前の脱墨パルプスラリーに凝結剤、紙力剤、歩留剤の1つ以上を添加する。凝結剤、紙力剤、歩留剤の具体例については、例えばポリアクリルアミドのように紙力剤として、または歩留剤として市販されているものもあるので、個々の薬剤を凝結剤、紙力剤、歩留剤の何れかに明確に区別して分類することは必ずしも正確ではないが、使用できる具体的な薬剤としては、通常、凝結剤、紙力剤、歩留剤の何れかの添加薬剤として使用される以下のものが挙げられる。
ポリアクリルアミド、硫酸アルミニウム、ポリダドマック、ポリアミン、ポリエチレンイミン、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド重合物、変性ポリエチレンイミン等が主材となっている薬剤から選択された何れか1つ若しくは複数の混合物から成るもの、あるいは、 (メタ)アクリルアミドと水溶性カチオン性モノマーと水溶性アニオン性モノマーを構成成分とした薬剤(総称して両性アクリルアミドであり、例えば、ハリマ化成社製「ハリアップAC」が挙げられる。)。その他市販の薬剤、例えば、荒川化学社製ポリストロン372、KW−387−20、MTアクアポリマー社製アキュラック208E、アキュラック100E、栗田工業社製フィクサージュ621、ハイモ社製ハイモロックNR−70、ソマール社製リアライザーR500、リアライザーR600、協和産業社製キースロックRP−532 等。これらの薬剤のうち、灰分及び繊維分の歩留を向上させる薬剤であれば好適に使用できる。中でも両性アクリルアミドを成分とする薬剤が歩留向上に特に有効である。
上記薬剤の添加量は、好ましくは100ppm〜3000ppmであり、より好ましくは1000ppm〜2000ppmである。100ppm未満では効果が低くなる恐れがあり、一方3000ppmを超えて添加してもさらなる効果の改善は少なく、不経済でかつ系内に汚れが出る恐れがある。
本発明の方法により、新聞古紙を主体とした印刷古紙より脱墨パルプとしてISO白色度が50%〜85%のものまで幅広く製造できるが、いずれの場合もインキ除去性に優れる高歩留の脱墨パルプを提供することが可能となる。一方、スラッジ灰の発生量を低減して環境にやさしい脱墨パルプの製造方法を提供できるとともに、抄紙工程の使用填料を低減できるため、薬品コストの低減も可能となる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例、比較例、参考例中の「%」は、白色度を除き、全て「質量%」を意味する。
また、市販薬剤を含む凝結剤、紙力剤、歩留剤の使用量は、「絶乾パルプ質量に対する割合(質量%)」で示した。なお、「絶乾パルプ質量」は、各工程においてその都度、一定量の試料を採取し、濾紙を用いた濾過により固形分と水分とを分離し、当該固形分を、その質量が一定になるまで105℃の乾燥機中で乾燥することによって求めた。
添加薬剤としては以下の3種類を用いた。
市販薬剤I:ハリマ化成株式会社製、商品名ハリアップAC(歩留剤として。)
市販薬剤 II:荒川化学株式会社製、商品名KW−387−20(紙力剤として。)
市販薬剤 III:栗田工業株式会社製、商品名フィクサージュ621(凝結剤として。)
(実施例1)
〈原料印刷古紙〉
JIS P8251で規定される525℃燃焼法での灰分が13.1%、かつ、JIS P8252で規定される900℃燃焼法での灰分が9.8%である印刷新聞60%と、チラシ40%とからなる印刷古紙を原料古紙として用いた。当該原料古紙1kgに占める絶乾パルプ質量は928gであった。
〈離解工程〉
前記原料古紙を熊谷理機工業(株)製の標準パルプ離解機に入れ、30℃の水を加えて固形分濃度を3%とし、絶乾パルプ質量に対して0.4%の苛性ソーダと、絶乾パルプ質量に対して0.10%の脱墨剤(東邦化学製、FT−515)とを加え、JIS P8220に準じて、離解処理を20分間実施した。
〈除塵工程〉
離解処理後の離解液に対し、0.15mmのスリット幅を持つ6カットスクリーンプレートを備えたフラットスクリーン(熊谷理機工業製)を用いて除塵処理を行った。
〈分散工程〉
除塵処理後の離解液を、150メッシュワイヤーにて固形分濃度が30%になるまで濃縮脱水した。脱水の後、絶乾パルプ質量に対して1.5%の苛性ソーダと、絶乾パルプ質量に対して1.5%のケイ酸ソーダと、絶乾パルプ質量に対して1.5%の過酸化水素と、30℃の水とを加え、固形分濃度を25%に調製した。その後、熊谷理機工業(株)製のPFIミルを用いて、1000回転の分散処理をJIS P8221−2に準じて実施した。
〈漂白工程〉
上記分散処理後の分散液をビニール袋に入れ、これを70℃の恒温水槽に入れて120分間保持することにより漂白処理を行った。
〈フローテーション工程〉
上記漂白処理後の分散液を熊谷理機工業(株)製の標準パルプ離解機に入れ、40℃の温水を加えた後、硫酸でパルプスラリーのpHを7.5に調整し、さらに、絶乾パルプ質量に対して0.20%の脱墨剤(花王製、DI−3000)を加えた。そして、1分間の解繊処理を行ってパルプを水中によく分散させると共に、脱墨剤とパルプとをよく混合し、固形分濃度1%、40℃のパルプスラリーを調製した。その後、このパルプスラリーを、(株)IHIフォイトペーパーテクノロジー製のMTフローテーターに入れ、5分間のフローテーションによる脱墨処理を行った。
〈洗浄工程〉
上記フローテーション後のパルプを攪拌下で対パルプ0.05%の割合でポリアクリルアミドを添加し、メスシリンダーで1000ml分取し、40meshワイヤー上に流し入れて、搾水量が850mlになるまで専用のヘラを用いて脱水させ、ワイヤー上に完成脱墨パルプを得た。
(実施例2〜10、比較例1〜3、参考例)
前記実施例1の方法におけるフローテーション工程において、それぞれ表1に記載のとおりのpH調整を行い、前記洗浄工程前の脱墨パルプスラリーにそれぞれ表1に記載のとおりの薬剤の種類、添加量を変えて添加した以外は、実施例1と同様にして完成脱墨パルプを得た。
〈評価〉
(歩留向上の評価/全歩留の測定)
フローテーション工程を経たパルプ1000gを40meshワイヤーで搾水質量が850gになるまでワイヤー上でパルプを転がすように脱水洗浄処理し、脱水洗浄前パルプ、脱水洗浄後パルプ、搾水の3か所のパルプ質量、および、濃度をJIS P 8225に準じて測定し、脱水洗浄工程前後の物量バランスから全歩留を算出し、下記の評価基準により、歩留向上の評価を行った。その結果を表1に示した。
(評価基準)
◎:全歩留が87.0%以上であった。
○:全歩留が85.0%以上87.0%未満であった。
△:全歩留が83.0%以上85.0%未満であった。
×:全歩留が83.0%未満であった。
(遊離インキ除去性の評価/白色度の測定)
フローテーション工程を経て、洗浄工程後に得られた完成脱墨パルプに、絶乾パルプ質量に対して15%の硫酸アルミニウムを加えてよく攪拌し、繊維から剥離している遊離インキを繊維に定着させた。その後、JIS P 8222に準じて、熊谷理機工業(株)の手抄き機を用いて手抄き紙を作製した。手抄き紙の作製後、JIS P8148に準じて白色度を測定した。そして、下記の評価基準により、遊離しているインキ除去性の評価を行った。その結果を表1に示した。
(評価基準)
◎:白色度が68%以上であった。
○:白色度が67%以上68%未満であった。
△:白色度が66%以上67%未満であった。
×:白色度が66%未満であった。
ここでいう「白色度」は、主にフローテーションによる脱墨処理で除去できなかった遊離インキがどの程度残留しているかを示す指標となり、白色度が高いほど、残留している遊離インキが少ないことを意味する。
(経済性の評価)
凝結剤、紙力剤、歩留剤の薬剤を添加するとコストが嵩むため、添加量に対して経済性の評価を行った。その結果を表1に示した。
(評価基準)
◎:薬剤添加量が0〜1000ppm以下
○:薬剤添加量が1000ppmを超え2000ppm以下であった。
△:薬剤添加量が2000ppmを超え3000ppm以下であった。
×:薬剤添加量が3000ppm超であった。
(総合評価)
上記の歩留向上、及びインキ除去性についての評価結果を基にして、下記の評価基準により総合評価を行った。
(評価基準)
◎:上記の3つの評価のうち、ひとつ以上が◎で、かつ、残りが○であった。
○:上記の3つの評価の全てが○であった。
△:上記の3つの評価のうち、ひとつ以上が△で、かつ、残りが○又は◎であった。
×:上記の3つの評価のうち、ひとつ以上が×であった。
Figure 2016125154
表1に示す結果から、いずれの薬剤も洗浄工程前に添加することで歩留向上が認められ、中性領域での脱墨後の歩留向上が顕著である。また、中性領域で脱墨を行うことで、インキ除去性が著しく良好になることが分かる。
実施例2、3、6、7と比較例1、2を比較すると分かるように、中性領域で脱墨を行っていない場合はインキ除去性が著しく劣ることが分かる。また、比較例3および参考例の結果が示すように、洗浄工程前に添加する薬剤の添加量が低すぎると歩留向上は望めず、添加率が高すぎても歩留向上のコスト対価が著しく劣り、経済性が大きく悪化する。
以上の結果から、フローテーション工程をpH6〜9の中性領域で行い、その後の洗浄工程の直前のパルプスラリーに対し、凝結剤、紙力剤、歩留剤の1つ以上を添加することで、脱墨効果、漂白効果を向上させ、かつ、インキ除去性の優れた脱墨パルプを製造することができる。

Claims (2)

  1. 印刷古紙を、離解工程、除塵工程、漂白工程、分散工程、フローテーション工程、洗浄工程を少なくとも有する一連の工程によってパルプ化する方法において、漂白工程及び分散工程を経たパルプスラリーをフローテーション工程においてpH6〜9の中性領域で脱墨処理し、その後の洗浄工程の直前のパルプスラリーに対して凝結剤、紙力剤及び歩留剤から選ばれる1種以上の薬剤を添加して洗浄処理することを特徴とする脱墨パルプの製造方法。
  2. 前記洗浄工程における凝結剤、紙力剤及び歩留剤から選ばれる1種以上の薬剤の添加量が100ppm〜3000ppmである請求項1記載の脱墨パルプの製造方法。
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