JP2016124531A - 車両のシート構造 - Google Patents

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大輝 岡田
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Abstract

【課題】正面衝突(前突)の際に生じ得る乗員の頭部の後傾現象に起因する障害基準値の上昇抑制に寄与できる車両のシート構造を提供する。【解決手段】シートベルト200によって乗員Dを拘束するシート1Aを備える車両のシート構造SAであって、車両が正面衝突(前突)する直前から乗員Dの頭部hが胴部bに対して車両後方に傾動する前に、乗員Dの頭部hを胴部bに対して車両前方側に回動させる頭部前傾機構2Aを備える。乗員Dの頭部hが予め前傾していることで、頭部hを後方に仰け反り難くすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、他の自動車などとの正面衝突(以下、前突と呼ぶことがある)に対して、自車の乗員の頸部などの保護を図る車両のシート構造に関する。
自動車には、従来、シートベルトやSRS(Supplemental Restraint System)エアバッグなどの乗員保護装置が備えられている。特許文献1は、後面衝突(後突)に対して乗員の頭部の拘束性を高めるヘッドレスト装置を提案している。
特開2011−207306号公報
自車と他車を含む物体とが正面衝突(前突)した際、乗員の頭部が胴部に対して後傾する現象(以下、後傾現象と呼ぶ、後述)が生じ得る。この後傾現象によって、乗員の障害基準値が高くなる恐れがある。そのため、前突の際に生じ得る上記後傾現象に起因する障害基準値の上昇を抑制できることが望まれる。
上記後傾現象の発生メカニズムは以下のように考えられる。
図4に示すように、衝突前、リクライニング角度が適切に調整されたシート100に座り、シートベルト200を適切に締めている乗員D(図ではダミーで示す)は、その胴部(上半身)bの中心軸aが鉛直方向にほぼ平行し、頭部hにおける頭頂htから首の付け根までの中心軸aが胴部bの中心軸aとほぼ同軸に配置される(a≒a)。
前突時、車両は急停止するが、車両内の乗員Dは、慣性によって前方に移動し続ける。このとき、車両に一体のシート100のシートクッション110に支持された乗員Dの下半身は、胴部bに対して相対的に車両後方に残り、胴部bは、この下半身に対して相対的に前傾する。すると、胴部bの中心軸aは、衝突前(図4)の鉛直方向に平行な状態と比較して、図5の中心軸aに示すように車両前方かつ上方から、車両後方かつ下方に向かって傾斜した状態になる。一方、頭部hは、前傾する胴部bよりも遅れて動くため、頭部hの中心軸aは、鉛直方向にほぼ平行なままとなり、胴部bの中心軸aに対して後方に向かって角度θのずれが生じる。即ち、頭部hは、前傾した胴部bに対して(僅かながら)後傾しているといえる。この状態でステアリング装置300のステアリングホイール310に内蔵されるエアバッグ400が展開すると、図5に示すように乗員Dは、エアバッグ400によって頭部hの下方(顎部など)から上方に向かって頭部hを押し上げられて、胴部bに対して更に後傾する恐れがある。
特に、衝突前、ステアリングシャフト320とインターミディエイトシャフト330とが車両前方に向かって屈曲された状態(図5の二点鎖線参照)で配置された車両では、前突時、車両前方から車両後方に向かって押されて両シャフト320,330が直線配置になる可能性がある(図5の実線参照)。すると、ステアリングホイール310及びシャフト320,330が立ち上がるように変位することによって、乗員Dに対するステアリングホイール310の位置がずれる。その結果、ステアリングホイール310のハブに内蔵されるエアバッグ400の位置が衝突前の適正位置からずれて、上述の頭部hを後方に押し上げる可能性がより高くなる場合があると考えられる。
上述のような頭部hにおける胴部bに対する(僅かな)後傾が生じていない状況であっても、上述のようにステアリング装置300が変位して、乗員Dに対するエアバッグ400の適正位置からのずれが生じる可能性もある。不適切な位置でのエアバッグ400の展開によって、頭部hを後方に押し上げる可能性が考えられる。
このように不適切な位置でのエアバッグ400の展開によって、エアバッグ400による保護を効果的に受けられない可能性があるばかりか、乗員Dは、頭部hに後傾モーメントを受けて障害基準値が上昇する恐れがある。このステアリング装置300の立ち上がりなどによるエアバッグ400の位置ずれは、特にキャブオーバー車などのフロントノーズが短い自動車において生じ易いと考えられる。
上述の前突の際の後傾現象による障害基準値の上昇の低減対策として、エアバッグの大型化やエアバッグの展開時期の更なる早期化によって、頭部hを衝突時により近い時点で拘束することが考えられる。しかし、この対策では、構造が複雑になる。また、大型のエアバッグを利用する場合に減衰特性が高い自動車では、エアバッグの容量を非常に大きくしなければならない。その結果、展開速度も非常に速めなければならず、凡そ非現実的な数値になる。更に、これらの対策では、材料コストの増加を招く。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、正面衝突(前突)の際に生じ得る乗員の頭部の後傾現象に起因する障害基準値の上昇抑制に寄与できる車両のシート構造を提供することにある。
本発明の一態様に係る車両のシート構造は、シートベルトによって乗員を拘束するシートを備えており、前記車両が正面衝突する直前から前記乗員の頭部が前記乗員の胴部に対して車両後方に傾動する前に、前記乗員の頭部を前記乗員の胴部に対して車両前方側に回動させる頭部前傾機構を備える。
上記の車両のシート構造は、正面衝突(前突)によって、乗員の胴部が前傾して、頭部が胴部に対して後傾した状態になる前に、乗員の頭部を強制的に前傾させるため、頭部が胴部に対して後傾した状態になり難い。従って、上記の車両のシート構造は、前突の際に乗員の頭部の後傾現象に起因する障害基準値の上昇抑制に寄与できると期待される。
実施形態1の車両のシート構造を示す概略構成図であり、頭部前傾機構によって、乗員の頭部を前傾させた状態を示す。 実施形態1の車両のシート構造を示す概略構成図であり、前突の後期を示す。 実施形態2の車両のシート構造を示す概略構成図であり、頭部前傾機構によって、乗員の頭部を前傾させた状態を示す。 乗員が車両を運転している前突前の状態を示す概略構成図である。 前突の際に生じ得る乗員の頭部の後傾現象を説明する説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の車両のシート構造を具体的に説明する。図中、同一符号は同一名称物を示す。図において、右方を車両前方、左方を車両後方、上下を車両の上下として説明する。
[実施形態1]
・概要
図1,図2を参照して、実施形態1の車両のシート構造Sを説明する。シート構造Sは、自動車といった車両(図示せず)に設けられて、乗員D(ダミー)の支持に利用されるシート1Aを備える。シート1Aは、乗員Dの臀部などを支持するシートクッション10と、乗員Dの背中などを支持するシートバック12と、乗員Dの頭部hを支持するヘッドレスト13とを備える。シート構造Sは、正面衝突(前突)に対して、シートベルト200によってシート1Aに拘束される乗員Dの頭部hの保護機能を備える。この保護機能として、シート構造Sは、前突直前から前突直後までの間に乗員Dの頭部hを胴部bに対して車両前方側に回動させる頭部前傾機構2Aを備える点を特徴の一つとする。以下、頭部前傾機構2Aを詳細に説明する。
・頭部前傾機構
・・全体構成
頭部前傾機構2Aは、乗員Dが運転する自車の正面衝突時及びその近くにおいて、乗員Dの頭部hを胴部bに対して前傾させる機構である。衝突前の通常時、乗員Dは、リクライニング角度などが適切に調整されたシート1Aに座って、シートベルト200を適切に着用していることが好ましい。
この例の頭部前傾機構2Aは、乗員Dの頭部hに当接する部材を備えるものである。この頭部前傾機構2Aは、上述の乗員Dの頭部hを前傾する動作(以下、前傾動作と呼ぶことがある)を実際に行う動作機構20と、前突に関連する物理量などを検知する各種のセンサ22と、センサ22からの情報に基づいて上記前傾動作の要否を判定し、必要な場合に動作機構20に前傾動作を命令して、動作機構20を制御する制御部(ECU)24とを備える。
・・動作機構
この例の動作機構20は、制御部24からの命令を受信する受信部(図示せず)と、乗員Dの頭部h(特に後頭部)に直接当接して頭部hを前傾させる当接部材と、当接部材を動作させる駆動部とを備える。
当接部材は、中実体、中空体のいずれも利用できる。中実体は、例えば、ヘッドレスト13自体、ヘッドレスト13とは別部材であって、ヘッドレスト13自体又はその近傍に取り付けられたものなどが挙げられる。中空体は、例えば、エアバッグなどが挙げられる。当接部材がヘッドレスト13とは別部材である場合、別部材は、例えば、通常時にはヘッドレスト13内に収納され、衝突時に飛び出すといった構成にすると通常運転を阻害し難い。駆動部は、当接部材を機械的に動作させたり、電気的に動作させたりする動力源となるものなどが利用できる。
図1では、当接部材をヘッドレスト13自体とする場合を例示する。ヘッドレスト13は、シートバック12の上下方向の軸に対して所定の角度に前傾できるように回転可能に設けられている。この例のヘッドレスト13は、支持ステー15によってシートバック12に支持される。支持ステー15は、その上端がヘッドレスト13に固定され、その下端が車両の前方向に回転可能に軸支されている。ヘッドレスト13の前方下端にはワイヤ20wが連結されている。ワイヤ20wの上端は支持ステー15の回転軸の前方に位置し、その余長がリール21に巻き取られている。支持ステー15の下端部の前方には、通常時、支持ステー15の前方回転を阻止するストッパ材20sを配置し、支持ステー15にはストッパ材20sとの当接部を設けている。ストッパ材20sは、通常時、ヘッドレスト13の回転を防止でき、前傾動作時には、後述するワイヤ20wの牽引によって破壊される(割られる)程度の強度を有する樹脂製の棒材や板材などが利用できる。
ワイヤ20wは、通常時にはヘッドレスト13がシートバック12の上端に立設されるように(図1の二点鎖線)、巻き取り長さが調整されている。巻き取られたワイヤ20wは、通常時、適度な緊張状態になっているが、ストッパ材20sを破壊するほどの張力は無く、ヘッドレスト13の立設状態を維持する。また、ワイヤ20wの中間部に、上述のストッパ材20sを固定している。リール21を回転してワイヤ20wを巻き取ると、支持ステー15の当接部と、シートバック12に設けられた凹部との間に渡されたストッパ材20sがワイヤ20wの牽引力に抗しきれずに破壊されて、ヘッドレスト13の前方回転を可能にする。即ち、ワイヤ20w、ストッパ材20s及びリール21は、ヘッドレスト13におけるシートバック12に対する立設状態を維持するロック部材及びロック解除部材として機能する。ロック部材及びロック解除部材は、適宜変更できる。
リール21の回転には、例えば、インフレータ20iを利用できる。図1では、リール21と一体に回転するように取り付けられたピニオンギヤ20pと、ピニオンギヤ20pを回転駆動するラックギヤ20rと、ラックギヤ20rを駆動するインフレータ20iとがシートバック12に内蔵された例を示す。
インフレータ20iは、制御部24からの命令によってガスの発生(着火)を行うように構成すると、当接部材の駆動部、かつ受信部として機能できる。この場合、インフレータ20iは、センサ22からの情報に基づいて制御部24が前傾動作必要と判断したら、制御部24からの命令を受けて着火する。着火によって発生したガス圧を利用して、ラックギヤ20rを所定の位置に移動させてピニオンギヤ20pを回転させて、リール21を回転させる。リール21の回転によってワイヤ20wが巻き取られて、ストッパ材20sによるロックが解除されて、ヘッドレスト13は、所定の角度に前傾する(図1の実線)。
又は、インフレータ20iの着火によって発生したガスを受けてリール21が回転するようにリール21自体にファンなどを設けておく構成などが挙げられる。その他、リール21の回転には、サーボモータなどのアクチュエータなどが利用できる。アクチュエータも、制御部24からの命令によって駆動を行うように構成することができる。
ヘッドレスト13自体の回動に代えて、例えば、ヘッドレスト13を複数の部材にして、上方に位置する部分を当接部材とし、別の部分を支持ステーとの連結部材とする構成など、種々の構成をとることができる。
又は、動作機構20の当接部材としてエアバッグ(図示せず)を備え、駆動部及び受信部としてインフレータ(図示せず)を備えることができる。前傾動作用のエアバッグは、例えば、ヘッドレスト13の上端寄りで展開するように配備すると、乗員Dの頭頂htに展開したエアバッグを当接させて、乗員Dの頭部hを前傾できる。インフレータの制御は、上述のように制御部24によって行うとよい。
当接部材との当接によって、乗員Dの頭部hが所定の角度に前傾できるように、上述のヘッドレスト13などの当接部材の傾斜角度、エアバッグの大きさや配置位置などを調整する。
・・センサ、制御部
センサ22や制御部24は、ステアリングホイール310に内蔵されるエアバッグ4(図2)や、シートベルト200のプリテンショナ(図示せず)などの乗員保護装置に利用されているものを適宜利用できる。センサ22は、代表的には、車両前方に設けられて自車の衝撃に関するパラメータ、例えば、加速度、圧力、振動などを検知する衝撃センサが挙げられる。その他、衝撃を予測する衝突回避支援システムの検知結果を利用できる。衝突回避支援システムは、例えば、自車の速度、カメラによる画像や、ミリ波レーダなどによる解析などで自車と前方障害物との距離を検出し、それらの検出結果から衝突を回避又は衝突時の衝撃を緩和するための制動動作を行う。センサ22として上記の予測に利用する物理量などを検知するものを備え、制御部24は、衝突回避支援システムの検知結果に基づいて前傾動作を行うように構成する。この場合、衝突前に前傾動作を行える。制御部24は、エアバッグ4や上記プリテンショナに対して、ガスの発生(着火)の要否の判定、着火命令の発信などを行う制御部(図示せず)と共用することができる。
・・動作機構の作動時期
動作機構20は、自車が前突する直前から、前突時以降に、前突によって乗員Dの胴部bが車両前方に傾動して、乗員Dの頭部hが胴部bに対して車両後方側に傾動するような状態になる前までの間に、乗員Dの頭部hを車両前方側に前傾させる。動作機構20は、センサ22から前突直前の情報又は前突した情報を受けた制御部24が出した命令に基づいて、車両の前突直前、又は衝突時、又は前突直後に前傾動作を行う。上記前突直後とは、前突の衝撃によって、上述の胴部bに対する頭部hの後傾状態が生じる前まで、とする。このような頭部hの前傾動作は、エアバッグ4の展開完了以前に完了することが望まれる。
制御部24は、センサ22からの情報(信号)に直接基づいて、動作機構20に前傾動作を命令する他、間接的な信号に基づいて前傾動作を命令することができる。間接的な信号は、例えば、上述のエアバッグ4などのインフレータの着火信号などが挙げられる。この場合、エアバッグ4の展開やプリテンショナによるシートベルト200の規制などに連動して、前傾動作を行える。
・作用
上記構成を備える車両のシート構造Sによって乗員Dの頭部hの前傾動作を行った作用を説明する。
車両が前突する直前、又は前突時、センサ22は、前突直前の情報又は前突した情報を検知する。制御部24は、センサ22からの情報を取得して、この情報に基づき、動作機構20による前傾動作の要否を判定する。前傾動作が必要な場合には、制御部24は、動作機構20に前傾動作を命令する。命令を受けた動作機構20の受信部は、駆動部(図1ではインフレータ20i)を駆動して、当接部材(ヘッドレスト13)を乗員Dの後頭部に当接させて、乗員Dの頭部hを前傾させる。センサ22が前突直前の情報を検知した場合には、前傾動作を車両の前突直前、又は衝突時に行える。センサ22が前突時の情報を検知した場合には、前傾動作を車両の前突直後に行える。
例えば、前突直前、又は前突時に、当接部材によって乗員Dの頭部hが前傾されると、図1に示すように乗員Dの胴部bの中心軸aは鉛直方向にほぼ平行にあり、頭部hの中心軸aはこの胴部bの中心軸aに対して、前方に向かって角度αの傾斜を有する。
その後、前突の衝撃によって、乗員Dの胴部bは、図2に示すように慣性による車両前方への移動によって、下半身に対して前傾姿勢となり、胴部bの中心軸aは、鉛直方向に対して傾斜する。
一方、乗員Dの頭部hは、胴部bの前傾よりも車両前方へ遅れて動くものの、予め前傾しているため、胴部bの中心軸aに対して頭部hの中心軸aが揃うように前方に移動することになる。すると、後傾後の頭部hの中心軸aと、上述の前傾姿勢にある胴部bの中心軸aとがほぼ同軸になる可能性がある(図2、a≒a)。即ち、両軸a,aがつくる角度差が実質的に無い状態になり得る。いわば、頭部hの中心軸aと胴部bの中心軸aとのずれをキャンセルすることになる。この状態で乗員Dが展開したエアバッグ4に当接した場合、エアバッグ4が頭部hを押し上げ難い。そのため、頭部hが車両後方に仰け反るような動きが生じ難く、乗員Dは、頭部hに後傾モーメントを受け難くなると考えられる。このように前突の際に頭部hを強制的に前傾させることで、乗員Dは、展開したエアバッグ4に対して適切な角度で接触し易くなると考えられる。
また、図2に示すように前突によって、ステアリング装置300のステアリングホイール310やステアリングシャフト320が立ち上がって、乗員Dに対するエアバッグ4の位置が衝突前に比較してずれるなどの状態が生じた場合でも、乗員Dは、展開したエアバッグ4に対して適切な角度で接触し易くなると考えられる。
なお、上述のように乗員Dの頭部hが前方に移動後に頭部hの中心軸aと胴部bの中心軸aとが同軸にならず、両軸a,a間に角度差が生じていることが考えられる。しかし、上述のように胴部bの中心軸aに対して頭部hの中心軸aが前方に向かっているため、この角度差に基づく頭部hの後傾への影響が小さいと考えられる。即ち、頭部hの中心軸aと胴部bの中心軸aとの間に角度差が生じており、上述のようにステアリング装置300が動いて、乗員Dに対して不適切な位置で展開したエアバッグ4に押し上げられても、頭部hの中心軸aと胴部bの中心軸aとが揃うように、即ち上述のずれをキャンセルするように頭部hが動くことになる。そのため、頭部hが胴部bに対して後傾し難いと期待される。
以上のことから、前突の際に車両のシート構造Sによる前傾動作を行うと、乗員Dは、頭部hに後方に仰け反るような後傾モーメントを受け難くなると考えられる。
・効果
実施形態1の車両のシート構造Sは、前突直前、前突時、前突直後に乗員Dの頭部hを強制的に前方に回動させる。その結果、シート構造Sは、衝突後に生じ得る後傾現象に対して、更には、前突初期〜中期〜後期(特に後期)において何らかの要因で乗員Dの頭部hが胴部bに対して後傾する現象に対して、頭部hに対する後傾モーメントの発生を低減できる、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、シート構造Sは、前突の際に乗員Dの頭部hが後傾することに起因する障害基準値の上昇を抑制できると期待される。特に、シート構造Sは、エアバッグ4の大型化や展開時期の早期化などせず、簡単な構成でありながら、障害基準値の上昇を抑制できる。
[実施形態2]
図3を参照して、実施形態2の車両のシート構造Sを説明する。このシート構造Sは、実施形態1と同様に、シートベルト200によって乗員Dを拘束するシート1Bと、正面衝突(前突)から前突直後までの間に乗員Dの頭部hを乗員Dの胴部bに対して車両前方側に回動させる頭部前傾機構2Bを備える。頭部前傾機構2Bは、乗員Dの頭部hに非接触で頭部hの前傾動作を行う点が実施形態1との主な相違点である。以下、頭部前傾機構2Bを詳細に説明し、その他の構成及び効果については詳細な説明を省略する。
頭部前傾機構2Bは、乗員Dを支持するシート1Bを前突の慣性によって車両前方側に回動させ、シート1Bの前傾によって、乗員Dの胴部bをシートベルト200で規制すると共に、頭部hに直接接触することなく頭部hを前傾させる。このような頭部前傾機構2Bは、例えば、シート1Bの車両前方端の下部近傍に取り付けられて、シート1Bを車両前方側に回転可能に軸支する軸部17と、シート1Bの車両後方側に取り付けられて、通常時にはシート1Bを回転不可能に固定し、前突した際には軸部17を支点として車両前方への回転を可能にするロック及び解除部とを備える。
軸部17、ロック及び解除部は、例えば、図3に示すように、シート1Bを台板19に取り付け、この台板19とフロアとに取り付けることが挙げられる。詳しくは、軸部17を台板19の車両前方端、ロック及び解除部を台板19の車両後方端と車両のフロアとに取り付ける。図3では、ロック及び解除部として、フロアに固定されたロック部20lと、ロック部20lに係合するロック受部20bとを備える例を示す。軸部17、ロック及び解除部をシート1Bの車両前方端の下部とフロアとに取り付けることも勿論できる。
ロック及び解除部は、例えば、電磁ロックといった電気制御式のものを利用できる。具体的には、ロック部20lを、プランジャ(図示せず)を備えるソレノイドなどとし、ロック受部20bをプランジャが挿入される貫通孔を有する部材などとする。この場合、頭部前傾機構2Bは、軸部17、及びロック部20l・ロック受部20bに加えて、各種のセンサ22と制御部(ECU)24とを備えることが挙げられる。制御部24を、センサ22から前突直前の情報又は前突した情報を受けたらソレノイドに通電するように構成すれば、ロックを解除できる。
又は、ロック及び解除部は、例えば、前突時に所定値以上の荷重が加わると破断や変形などしてロック状態を解除可能な機構(図示せず)などを利用できる。具体的な機構として、シート1Bを所定の位置に固定するフックを備え、前突時には車両前方にスライド可能であり、常時にはストッパによって車両前方へのスライドが阻止されるウエイト(慣性マス)を備えるものが挙げられる。台板19やシートクッション10の車両後方端には、上記フックが掛けられるストライカを設けておく。この機構は、前突時、車両前方への慣性が慣性マスに急激に作用すると、慣性マスがストッパを破壊して車両前方にスライドすることでフックがストライカから外れ、シート1Bのロック状態を解除する。このロック及び解除部は、上述の電子制御式のものを用いる場合と異なり、機械的な係合及び解除のみを行うため、各種のセンサ22、制御部24、ソレノイドなどといった電気・電子部品を省略でき、簡素な構成とすることができる。
台板19は、座席下に設けられたサービスホールを覆うカバーなどを利用できる。カバーは、車両前方端が軸部17に軸支され、軸部17を支点として車両後方側が車両下方から車両上方を経て車両前方に向かうように回転可能に取り付ける。トラックなどでは、座席下にサービスホールを備える場合があり、上記カバーを利用することで、頭部前傾機構2Bの具備による重量の増大、製造工程の増加、コストの増大を抑制できる。
・前傾動作及び作用
上記構成を備える車両のシート構造Sにおける乗員Dの頭部hの前傾動作、及び前傾動作を行った作用を説明する。
上述の電子制御式のロック及び解除部を備える場合には、車両が前突する直前、又は前突時、センサ22は前突直前の情報又は前突した情報を検知する。制御部24は、センサ22からの情報を取得して、この情報に基づき、前傾動作の要否を判定する。前傾動作が必要な場合には、制御部24は、ソレノイドに通電するなどしてシート1Bのロック解除を行う。
上述の機械的な係合及び解除を行うロック及び解除部を備える場合には、車両が前突すると、車両前方への荷重が所定以上加わることで、シート1Bがロック解除される。
ロック解除されたシート1Bは、車両前方側が急停止した車両に固定されているものの、車両後方側が車両に拘束されず自由な状態にあるため、車両前方に移動しようとする慣性によって、車両前方側の軸部17を支点として車両前方に向かって回転する。シート1Bの車両前方への回転に伴って、軸部17を支点として下方から上方に移動するシートクッション10と、車体側に固定されたシートベルト200とに乗員Dの腰部近傍が挟まれる。即ち、シートベルト200における腰部近傍部分の撓みを低減できる。
シート1Bに支持された乗員Dの下半身は、摩擦によってシートクッション10に支持されている。そのため、乗員Dの胴部b及び頭部hは、車両前方に向かって回転するシート1Bと一体となって車両前方に向かって回動する(前突初期)。
乗員Dの胴部bは、実施形態1で説明したように下半身に対して前傾姿勢をとるように慣性によって車両前方に移動する。しかし、シート1Bが車両前方に向かって傾斜した状態であるため、胴部bは、シートベルト200によって車両前方への前傾が規制される。
上述のようにシートベルト200における腰部近傍部分の撓みが低減されることからも、胴部bの前傾を抑制できる効果的な拘束力が得られる。
一方、乗員Dの頭部hは、シートベルト200に拘束されないため、車両前方に更に移動しようとする結果、シートベルト200に拘束された胴部bに対して前傾する(前突中期)。このように実施形態2のシート構造Sでも、乗員Dの頭部hの中心軸aが胴部bの中心軸aに対して、前方に向かって角度αの傾斜を有する状態とすることができる。
シート1Bの車両前方への回転によって、乗員Dはステアリングホイール310に近づいているといえる。実施形態1で説明したように、ステアリング装置300が立ち上がった場合には、乗員Dは、ステアリングホイール310に更に近く、エアバッグ4に近接しているといえる。しかし、この状態で乗員Dが展開したエアバッグ4に当接してエアバッグ4が頭部hを押し上げても、頭部hが予め前傾しているため、胴部bの中心軸aに対して頭部hの中心軸aが揃うように頭部hが移動する。従って、頭部hが車両後方に仰け反るような動きが生じ難く、乗員Dは、頭部hに後傾モーメントを受け難くなると考えられる。このように前突の際にシート1Bの前傾を利用して頭部hを強制的に前傾させることで、乗員Dは、展開したエアバッグ4によって、後傾モーメントを受けるような接触をし難くなると考えられる。
なお、前突後期、乗員Dの頭部hが胴部bに対して前傾した状態かつシート1Bが前傾した状態で、シート1B及び摩擦によってシートクッション10に支持されている乗員Dは重力によって軸部17を支点として車両後方に回動して、前突前の着座位置に戻ろうとする。このとき、頭部hが胴部bの中心軸aに対して、車両後方に後傾するように動く場合が考えらえる。しかし、シート1Bが前傾したことで、ヘッドレスト13が頭部hに近接しているため、上述の頭部hの後傾を抑制できると期待される。
以上のことから、前突の際にシート1Bを前方に回動して、胴部bをシートベルト200によって拘束することで頭部hを前傾する車両のシート構造Sを構築することで、乗員Dは、頭部hに後方に仰け反るような後傾モーメントを受け難くなると考えられる。
・効果
実施形態2の車両のシート構造Sは、前突の際に乗員Dの頭部hを強制的に前方に回動させる結果、実施形態1と同様に、前突に起因する後傾現象に対して、頭部hに対する後傾モーメントの発生を低減できる、好ましくは実質的に発生しないようにできる。従って、シート構造Sは、前突の際に乗員Dの頭部hが後傾することに起因する障害基準値の上昇を抑制できると期待される。特に、実施形態2の車両のシート構造Sは、シート1Bにおけるフロアに対するロック解除を行えば頭部hを前傾でき、実施形態1よりも簡素な構成であり、軽量化、生産性の向上、低コスト化が望め、重量、製造性、コストの面で有益である。トラックなどでサービスホールのカバーを利用すれば、更に、簡素な構成とすることができる。
本発明の車両のシート構造は、前突に対する乗員保護に好適に利用できる。特に、本発明の車両のシート構造は、貨物自動車に汎用されるキャブオーバー車などといったフロントノーズが短い車両、特に前突の際にステアリングホイールなどが立ち上がるように変位し得るような構造の車両に好適に利用できる。
,S 車両のシート構造 D 乗員 h 頭部 ht 頭頂 b 胴部
1A,1B シート
10 シートクッション 12 シートバック 13 ヘッドレスト
15 支持ステー 17 軸部 19 台板
2A,2B 頭部前傾機構
20 動作機構 22 センサ 24 制御部
20i インフレータ 20r ラックギヤ 20p ピニオンギヤ
20w ワイヤ 20s ストッパ材 21 リール
20b ロック受部 20l ロック部
4 エアバッグ
100 シート 110 シートクッション
200 シートベルト
300 ステアリング装置 310 ステアリングホイール
320 ステアリグシャフト 330 インターミディエイトシャフト
400 エアバッグ

Claims (1)

  1. シートベルトによって乗員を拘束するシートを備える車両のシート構造であって、
    前記車両が正面衝突する直前から前記乗員の頭部が前記乗員の胴部に対して車両後方に傾動する前に、前記乗員の頭部を前記乗員の胴部に対して車両前方側に回動させる頭部前傾機構を備える車両のシート構造。
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