JP2016124289A - 加飾品及び熱転写用積層体 - Google Patents

加飾品及び熱転写用積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】金属層が凝集破壊を起こさず、加飾部のクラックの発生及び付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離することを低減させることができる加飾品及びこれを作製するために用いられる熱転写用積層体を提供する。
【解決手段】加飾品2は、基材3と、加飾部4とを有する。加飾部4は、基材3の表面に、樹脂からなる接着層15、樹脂からなるトップ層14、金属層13、樹脂からなる保護層12を、この順に積層して形成される。金属層13は、10〜150GPaの弾性率をもつ金属からなる。保護層12は、0.5〜2.0GPaの弾性率をもつ。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱転写法により製造される加飾品及びこれを製造するために用いられる熱転写用積層体に関する。
自動車のフロントグリルなどの外装用の加飾品98としては、図13に示すように、樹脂製の基材96の表面に金属層を含む加飾部94を形成したものがある。基材96の表面に加飾部94を形成する方法としては、例えば、熱転写法がある。
熱転写法で基材96の表面に金属層を含む加飾部94を形成するために、図14に示すように、予めフィルム(ベースフィルム)90の表面に、離型層(耐熱性樹脂硬化層)91、保護層92、金属層(金属蒸着層)93及び接着層95を積層してなる熱転写用積層体(ホットスタンピングホイル)97を形成する。接着層95を基材96表面に対面させた状態で、熱転写用積層体97を基材96表面に配置する。熱転写用積層体97を基材96に対して加圧しながら加熱して、基材96表面に接着層95を介して金属層93及び保護層92からなる加飾部94を転写する。フィルム90及び耐熱性樹脂硬化層91を加飾部94から取り去る。これにより、基材96表面に加飾部94を形成してなる加飾品98が得られる(特許文献1参照)。
特開昭62−282969号公報
ところで、熱転写の際には、熱転写用積層体97が基材96に対して加圧されながら加熱される。このとき、熱転写用積層体97が伸びるため、金属層93には引張り応力が加わる。Crのように弾性率が高い金属を金属層93として用いた場合、上記のように金属層93に引張り応力が加わったときに、金属層93自体や、金属層93と保護層92との間の界面付近にクラックが生じ、金属層93から発する光輝感が低くなるおそれがある。
また、保護層92は、硬化時の収縮によって生じた内部応力が蓄積される。凝集力の弱い金属層93は、収縮する保護層92の応力によって凝集破壊が起こりやすい。それゆえ、金属層93自体又は金属層93と保護層92との界面付近にせん断応力が集中する。このようなせん断応力が加わった加飾部94を温度変化のある環境下で使用したり傷付きが生じたりすると、金属層93が凝集破壊を起こし、加飾部94のクラック及び金属層93の凝集破壊による層間剥離発生の原因となるおそれがある。
金属層93の弾性率が高い場合には、加飾部94のクラックや金属層93の凝集破壊により、後述の付着試験後に加飾部94の一部が基材96から剥離する原因となり、また、保護層92の弾性率が高いと、保護層92の内部応力が高くなって、上記と同様に金属層93の凝集破壊を起こしやすく、付着試験後に加飾部94の一部が基材96から剥離する原因となる。更に、保護層92の弾性率が低い場合には、金属層93の凝集破壊による基材96からの剥離を抑制することができるが、熱転写時に金属層93や保護層92にクラックが発生し、加飾品の外観不良の原因となるおそれがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、金属層が凝集破壊を起こさず、加飾部のクラックの発生及び付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離することを低減させることができる加飾品及びこれを作製するために用いられる熱転写用積層体を提供することを課題とする。
本発明の加飾品は、基材と、加飾部とを備え、
前記加飾部は、前記基材の表面側から順に、樹脂からなる接着層、金属層、及び樹脂からなる保護層を積層して形成されており、
前記金属層は、10GPa以上150GPa以下の弾性率をもつ金属からなり、
前記保護層は、0.5GPa以上2.0GPa以下の弾性率をもつことを特徴とする。
本発明の熱転写用積層体は、フィルム上に、順に、樹脂からなる保護層、金属層、及び樹脂からなる接着層を積層してなる熱転写用積層体であって、
前記金属層は、10GPa以上150GPa以下の弾性率をもつ金属からなり、
前記保護層は、0.5GPa以上2.0GPa以下の弾性率をもつことを特徴とする。
本発明によれば、上記構成を具備しているため、金属層が凝集破壊を起こさず、加飾部のクラックの発生及び付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離することを低減させることができる加飾品及びこれを作製するために用いられる熱転写用積層体を提供することができる。
加飾品の断面説明図である。 熱転写用積層体の断面説明図である。 各種金属の弾性率と凝集エネルギーとを示す。 アップダウン式のホットスタンプ工法を示す説明図である。 ロール式のホットスタンプ工法を示す説明図である。 試料2の加飾品の断面説明図である。 試料1の金属層の光学顕微鏡写真である。 試料1の熱転写用積層体の延伸前と延伸後の金属層近傍の断面説明図である。 図9(a)は、試料5の熱転写後の加飾品の断面説明図であり、図9(b)は保護層と金属層との間に応力が集中した状態を示す加飾品の断面説明図であり、図9(c)は、付着試験により金属層及び保護層が基材から剥離した状態を示す説明図であり、図9(d)は付着試験により金属層が凝集破壊した加飾品の写真である。 試料5の金属層のSEM写真である。 試料5〜試料16の加飾品の架橋密度及び弾性率を示す説明図である。 試料7、試料10〜試料16の加飾品の第2のアクリル重合体の配合比及び弾性率を示す説明図である。 従来例の加飾品の断面説明図である。 従来例の熱転写用積層体の断面説明図である。
本発明の実施形態の加飾品及びこれを作製するために用いられる熱転写用積層体について詳細に説明する。
(加飾品)
本発明の実施形態の加飾品は、基材と、加飾部とを備えている。加飾部は、基材の表面側から順に、接着層、10GPa以上150GPa以下の弾性率をもつ金属からなる金属層と、0.5GPa以上2.0GPa以下の弾性率をもつ保護層とを積層してなる。
本発明の加飾品では、金属層に弾性率の低い金属を用い、さらに、金属層の金属に合わせた弾性率をもつ保護層を用いることによって、平面形状だけでなく、3次元形状の基材にあっても、金属層が延伸されることによって、金属層の凝集破壊が抑制され、優れた光輝感を維持することができる。
図3は、各種金属の弾性率と凝集エネルギーとを示す。本明細書において、凝集エネルギーは、凝集状態にある金属原子を無限に遠く引き離すのに必要とされるエネルギーをいい、第1原理計算法により求められる。
金属の10GPa以上150GPa以下の弾性率は、種々の金属の弾性率の中でも低い。このため、かかる金属を金属層に用いることにより、金属層の延伸性が向上し、熱転写時の圧力により保護層とともに金属層を引き伸ばすことができる。
基材が樹脂などのように熱膨張係数が高い材質からなる場合には、環境の温度変化によって、基材が膨張収縮する。加飾部の金属層の金属は、上記の弾性率を有するため、金属層の延伸性が高い。このため、基材の膨張収縮に伴い、金属層は膨張収縮することができる。ゆえに、温度変化のある環境下でも、金属層が凝集破壊を起こさず、金属層のクラック及び付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離することを抑制できる。加飾部の金属層による高い光輝感を維持でき、加飾品の見栄えがよい。特に、加飾品が車両の外装品である場合には、外気の温度変化が大きい。この場合にも、加飾部のクラックの発生及び付着試験後の加飾部の一部が基材から剥離することを抑制でき、加飾品の優れた見栄えを維持できる。
図3に示すように、弾性率が低い金属の多くについては、凝集エネルギーが350kJ/mol以下といったように低くなる傾向にある。このため、弾性率の低い金属からなる金属層については、凝集力が小さくなる傾向にある。保護層は、硬化時の収縮によって内部応力が蓄積しているため、凝集力の小さい金属層は、保護層の応力に追従しにくく、金属層自体又は金属層と保護層との間の界面付近にせん断応力が発生する。かかる状態の加飾部をもつ加飾品は、温度変化や傷つきなどの要因によって、金属層が凝集破壊し、ひいては金属層及び保護層が基材から剥離するおそれがある。
そこで、本発明の加飾品においては、保護層の弾性率を0.5GPa以上2.0GPa以下と低くしている。弾性率の低い保護層は、比較的軟質である。このため、保護層の硬化時の収縮によって蓄積される内部応力も小さくすることができ、金属層自体又は金属層と保護層との界面付近に発生するせん断応力を低減させることができる。作製された加飾品が温度変化や傷つきなどの刺激を受けても、金属層が凝集破壊することが抑制される。金属層及び保護層の基材からの剥離も抑制できる。
また、加飾部を熱転写法で作製する際に、保護層は上記の弾性率をもつため、加飾部における基材の表面に接着している部分が、加飾部における基材の表面に接着していない部分から切り離されるときの箔切れ性がよい。
また、本発明の加飾品は、金属層の金属及び保護層の弾性率が比較的小さい。このため、熱転写時に金属層及び保護層に生じる応力を小さくできる。温度変化や傷付きなどの要因によって、金属層の凝集破壊並びに付着試験後の加飾部の一部が基材から剥離することを抑制できる。ゆえに、本発明の加飾品によれば、金属層の高い光輝感を維持することができる。
本発明の加飾品は、基材と、基材の表面に熱転写法により形成された加飾部とを有する。熱転写法により加飾部を形成するために、フィルム上に、順に、保護層、金属層、及び接着層を積層した後述の熱転写用積層体を基材に対して押し付けながら加熱するとよい。加飾部は、上記の接着層、金属層、及び保護層をもつ。基材の表面には、接着層、金属層、及び保護層が、この順で積層されている。
本発明の加飾品において、金属層は、10GPa以上150GPa以下の弾性率をもつ。金属層の金属の弾性率が10GPa以上150GPa以下であることにより、金属層の高延伸が可能となり、加飾品の基材の膨張収縮時に、金属層が凝集破壊を起こさず、加飾部のクラックの発生及び付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離することを抑制できる。金属層の金属の弾性率が10GPa未満の場合には、保護層の応力に追従しにくく、金属層自体又は金属層と保護層との間の界面付近にせん断応力が発生し金属層が凝集破壊するおそれがある。金属層の金属の弾性率が150GPaを超える場合には、金属層の延伸性が低下して、熱転写時の加圧の際及び加飾品の基材の膨張収縮時に、金属層が凝集破壊を起こし、加飾部のクラックの発生または付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離するおそれある。
金属層の金属の弾性率は、10GPa以上100GPa以下がよく、10GPa以上60GPa以下が好ましい。10GPa以上100GPa以下の場合には、金属層の高延伸性が更に良好になる。
金属層の金属の弾性率は、JIS Z 2280に準じて測定される。
金属層の金属の凝集エネルギーは、例えば、350kJ/mol以下であってもよく、更に、300kJ/mol以下、250kJ/mol以下であることがよい。
10GPa以上150GPa以下の弾性率をもつ金属は、インジウム、錫、銀、アルミニウム、及び銅の群から選ばれる1種以上からなることがよい。中でも、インジウム、錫は、弾性率が低いため、好ましい。上記金属は、上記の弾性率を有するのであれば、金属単体であってもよいし、合金であってもよい。
金属層は、金属が島状に点在する海島構造を呈していることが好ましい。この場合には、金属層の延伸時に、島状に点在する金属によって応力が分断され、金属層にクラックが発生することが抑制される。したがって、金属層の光輝感を維持することができる。また、熱転写時に金属層全体を均一に延伸することができる。このため、金属層に入射した光の反射率を一定に維持することができ、延伸後においても延伸前と同じ見栄えや色を維持することができる。
金属層は、例えば、湿式メッキ、乾式メッキにより形成できる。上記の海島構造を有する金属層を形成するためには、乾式メッキがよい。乾式メッキとしては、具体的には、真空蒸着、電子ビーム蒸着、化学蒸着などの蒸着、スパッタリングがあげられる。湿式メッキとしては、例えば、化学メッキ、電気メッキがあげられる。
金属層の厚みは10nm以上150nm以下がよく、更に、20nm以上60nm以下が好ましい。金属層の厚みが10nm以上150nm以下の場合には、金属層が海島構造を形成しやすく、金属が海島構造を呈している場合であっても加飾品を目視した場合に、金属がムラなく均一に形成されているように見え、光輝感を維持することができる。
本発明の加飾品において、保護層は、樹脂からなる。保護層は、0.5GPa以上2.0GPa以下の弾性率をもつ。加飾品を作製する際に、保護層に蓄積された内部応力によって保護層と金属層との界面近傍又は金属層自身にせん断応力が加わる。しかし、作製された加飾品においては、上記の比較的低い弾性率をもつ保護層は、凝集力の小さい金属層に付着して伸び、せん断応力を弱める。ゆえに、金属層の凝集破壊及び付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離することを抑えることができる。保護層の弾性率が0.5GPa未満では、保護層にクラックが発生するおそれがある。保護層の弾性率が2.0GPaを超える場合には、保護層に蓄積された内部応力によって、保護層と金属層との間に働くせん断応力は弱められず、保護層及び金属層が基材から剥離するおそれがある。
更に、本発明の加飾品において、保護層の弾性率は、0.5GPa以上1.8GPa以下がよく、更に、1.0GPa以上1.6GPa以下が好ましい。保護層の弾性率が0.5GPa以上1.8GPa以下の場合には、保護層の箔切れ性を維持しつつ、金属層の凝集破壊発生並びに金属層及び保護層の基材からの剥離を効果的に抑制できる。
保護層の弾性率は、保護層を構成する樹脂からシートを形成して、JIS K 7161に準じて測定される。
本発明の加飾品において、保護層は、金属層を視認できる程度に透明であることがよい。保護層は、重合体が硬化剤により架橋して形成されている層であり、ウレタン樹脂を有することが好ましい。ウレタン樹脂は、第1のアクリル重合体が、イソシアネート基を有する硬化剤により架橋されて形成されたものであることが好ましい。この場合には、保護層は、ある程度の剛性を維持しつつ柔軟性をもつことができる。
また、本発明の加飾品において、保護層のウレタン樹脂は、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体が、イソシアネート基を有する硬化剤により架橋して形成されたものであるとよい。アクリル重合体のOH基は、硬化剤の結合点であり、架橋点となる部分である。第2のアクリル重合体の水酸基価が第1のアクリル重合体のそれよりも小さい。このため、第2のアクリル重合体の硬化剤による架橋点は第1のアクリル重合体のそれよりも少ない。第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体が架橋されて形成されたウレタン樹脂は、第1のアクリル重合体のみが架橋されて形成されたウレタン樹脂よりも保護層中の架橋点が相対的に少なくなるため柔らかくなる。それゆえ、保護層に蓄積された内部応力によって金属層と保護層との間でせん断応力が発生したときに、保護層は金属層に付着して伸びることがきる。したがって、温度変化や傷付きなどにより金属層が凝集破壊することを抑制でき、また金属層及び保護層の基材からの剥離も抑制される。
本発明の加飾品において、保護層は、重合体が硬化剤により架橋して形成されていることがよい。この場合、保護層の架橋密度と硬化剤の種類は、保護層の弾性率に影響する。架橋密度は、保護層の体積当たりの保護層中の硬化剤による架橋点のモル量をいう。硬化剤としては、例えば、鎖状脂肪族系化合物、芳香族系化合物、又は脂環式化合物が挙げられる。硬化剤がいずれの化合物からなるかによって、保護層の架橋密度の好ましい範囲が相違する。
硬化剤が鎖状脂肪族系化合物からなる場合には、保護層の架橋密度は9.0×10―12mol/cm以上2.0×10―10mol/cm以下であることがよく、9.0×10―12mol/cm以上1.8×10―10mol/cm以下であることが好ましい。硬化剤が芳香族系化合物からなる場合には、保護層の架橋密度は2.0×10―11mol/cm以上4.0×10―10mol/cm以下であることが好ましい。硬化剤が脂環式化合物からなる場合には、保護層の架橋密度は1.0×10―12mol/cm以上2.5×10―10mol/cm以下であることが好ましい。保護層の架橋密度が上記範囲よりも過小の場合には、保護層が柔らかすぎて傷付きやすくなるおそれがある。保護層の架橋密度が上記範囲よりも過大である場合には、保護層の剛性が高すぎて、硬化収縮時に生じた保護層と金属層との間のせん断応力により金属層に凝集破壊が生じるおそれがあり、付着試験後に加飾部の一部が基材から剥離してしまうおそれがある。
保護層の架橋密度(n)は、以下の式(A)により算出される。
n=E'/3RT・・・式(A)
(E':貯蔵弾性率、R:気体定数、T:絶対温度)
保護層の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(装置メーカー:レオロジー社、装置名:FTレオスペクトラ、型式:DVE-V4 )により測定することができる。
保護層のウレタン樹脂は、光安定性能をもつ基、及び/又は紫外線吸収性能をもつ基を有するとよい。更に、保護層のウレタン樹脂は、耐水性能をもつ基を有することがよい。これらの基は、熱硬化前に、第1のアクリル重合体又は/及び第2のアクリル重合体が有しているとよい。光安定性能をもつ基としては、例えば、ヒンダードアミン骨格を有する基が挙げられる。紫外線吸収性能をもつ基としては、例えば、ベンゾトリアゾール骨格を有する基,トリアジン骨格を有する基が挙げられる。耐水性能をもつ基としては、例えば、飽和脂肪族環があげられる。ウレタン樹脂が、このような機能性をもつ基を有することにより、保護層に光安定性、紫外線吸収性及び耐水性を持たせることができる。保護層はこれらの基を有するウレタン樹脂を含むことで、オーバーコート塗膜で保護層を覆わなくても、加飾品は十分な耐候性及び耐久性を発揮できる。
本発明の加飾品において、保護層は、第1のアクリル重合体と、イソシアネート基を有する硬化剤とを有することがよい。更には、保護層は、第1のアクリル重合体をイソシアネート基を有する硬化剤により架橋させることで形成されていることがよい。保護層は、第1のアクリル重合体をイソシアネート基を有する硬化剤により架橋させることで形成されたウレタン樹脂を有していることがよい。第1のアクリル重合体をイソシアネート基を有する硬化剤により架橋させることで形成されたウレタン樹脂は、アクリルウレタン樹脂とも称される。このアクリルウレタン樹脂は、第1のアクリル重合体ブロックを有する。
第1のアクリル重合体の単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが挙げられる。この中、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルは、機能性をもつ基がアクリル酸又はメタクリル酸にエステル結合していることがよい。機能性をもつ基は、例えば、光安定性能をもつ基、紫外線吸収性能をもつ基、及び耐水性能をもつ基が挙げられる。光安定性能をもつ基としては、例えば、ヒンダードアミン骨格を有する基が挙げられる。紫外線吸収性能をもつ基としては、例えば、ベンゾトリアゾール骨格を有する基,トリアジン骨格を有する基が挙げられる。耐水性能をもつ基としては、例えば、飽和脂肪族環があげられる。このような機能性をもつ基を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを重合させることにより、保護層に種々の機能を持たせることができる。
第1のアクリル重合体の各種単量体は、第1のアクリル重合体においてどのような配列で結合していてもよい。
第1のアクリル重合体は、例えば、アクリル重合体の単量体に対して熱や重合開始剤添加などの公知の方法を行うことによりアクリル反応を生じさせて合成することができる。
第1のアクリル重合体は、ヒンダードアミン骨格を有する基がエステル結合した構成単位を有することが好ましい。この場合には、第1のアクリル重合体に光安定性能が付与される。
第1のアクリル重合体は、ベンゾトリアゾール骨格、またはトリアジン骨格を有する基がエステル結合した構成単位を有することが好ましい。この場合には、第1のアクリル重合体に紫外線吸収性能が付与される。
第1のアクリル重合体は、アクリル酸又はメタクリル酸、ヒンダードアミン骨格を有する基を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、及び、ベンゾトリアゾール骨格、またはトリアジン骨格を有する基を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを重合させたものであることが好ましい。第1のアクリル重合体と硬化剤とから形成された加飾部は、光安定性及び紫外線吸収性能も発揮することができる。
第1のアクリル重合体は、下記の式(1)で示されることが好ましい。
(式(1)において、Aはベンゾトリアゾール骨格、またはトリアジン骨格を有する基、Bはヒンダードアミン骨格を有する基、Rは炭素含有基を示す。n1、n2、n3は0以上の整数である。ただし、n1=n2=n3=0は除く。)
第1のアクリル重合体の水酸基価は、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがよく、更には20〜100mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価とは、試料1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要するKOHのmg数をいう。第1のアクリル重合体の水酸基価は、JIS K 0070に準じて測定される。
第1のアクリル重合体の水酸基は、硬化剤のイソシアネート基とウレタン結合により架橋する架橋点となり得る。アクリル重合体の水酸基価が過小の場合には、アクリル重合体と硬化剤のイソシアネート基との反応性が低く、保護層の弾性率が低すぎて、熱転写時に金属層や保護層にクラックが発生するおそれがある。一方、アクリル重合体の水酸基価が過大の場合には、保護層の弾性率が高すぎて、硬化収縮時の保護層の硬化収縮力が大きく、保護層と金属層との間にせん断応力が働き、温度変化や傷付きなどにより金属層にクラックや剥離が生じるおそれがある。
保護層の樹脂は、更に、第1のアクリル重合体の水酸基価よりも低い水酸基価をもつ第2のアクリル重合体を有することが、保護層の弾性率を所望の弾性率に調整しやすいため、好ましい。
保護層は、第1のアクリル重合体及び硬化剤に加えて、第1のアクリル重合体の水酸基価よりも小さい水酸基価をもつ第2のアクリル重合体を有することが好ましい。更には、保護層は、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体をイソシアネート基を有する硬化剤により架橋させることで形成されていることがよい。保護層は、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体をイソシアネート基を有する硬化剤により架橋させることで形成されたウレタン樹脂を有していることがよい。第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体をイソシアネート基を有する硬化剤により架橋させることで形成されたウレタン樹脂は、アクリルウレタン樹脂とも称される。このアクリルウレタン樹脂は、第1のアクリル重合体ブロック及び第2のアクリル重合体ブロックを有する。
第2のアクリル重合体の水酸基は、硬化剤のイソシアネート基と反応する架橋点となり得る。保護層が、架橋点をもつ第1のアクリル重合体と、第1のアクリル重合体の架橋点よりも少ない架橋点をもつ第2のアクリル重合体とを有することで、保護層の弾性率を更に適正に低くすることができる。このため、保護層の硬化収縮による内部応力の蓄積が低減され、保護層と金属層との間のせん断応力を低く抑えて、金属層のクラック発生及び保護層の剥離を更に抑えることができる。
第2のアクリル重合体の水酸基価は、0を超えて30mgKOH/g以下であることがよく、更には0を超えて15mgKOH/g以下であることが好ましい。
第2のアクリル重合体の水酸基価の測定方法は、第1のアクリル重合体の水酸基価と同様である。
第2のアクリル重合体の各種骨格については、第1のアクリル重合体と同様であるとよい。第1のアクリル重合体及び/又は第2のアクリル重合体は、ヒンダードアミン骨格を有する基、ベンゾトリアゾール骨格を有する基、及びトリアジン骨格を有する基よりなる群から選ばれる1種以上を有することが好ましい。また、第2のアクリル重合体の単量体としては、例えば、第1のアクリル重合体の単量体と同様のものを用いることができる。
本発明の加飾品の保護層において、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第2のアクリル重合体の含有量は0を超えて85質量%以下であることがよく、更には、5質量%以上75質量%以下であることが好ましい。0を超えて85質量%以下には、保護層の硬化時の収縮による内部応力が低減でき、凝集力の弱い金属層に対して保護層は確実に密着することができる。第2のアクリル重合体の含有量が0の場合には、保護層の硬化収縮による内部応力が多く蓄積され、保護層と凝集力の弱い金属層との間に生じたせん断応力によって、金属層が凝集破壊したり、金属層及び保護層が基材から剥離したりするおそれがある。第2のアクリル重合体の含有量が85質量%を超えて過多の場合には、保護層の凝集力が弱く、熱転写時にクラックが発生するおそれがある。
本発明の加飾品において、保護層は、イソシアネート基を有する硬化剤を有する。イソシアネート基を有する硬化剤としては、鎖状脂肪族系化合物、芳香族系化合物、又は脂環式化合物が挙げられる。この中では、鎖状脂肪族系化合物がよい。鎖状脂肪族系化合物としては、例えば、HDI(ヘキサジイソシアネート)系が挙げられる。脂環式化合物としては、例えば、IPDI(イソホロンジイソシアネート)系が挙げられる。芳香族系化合物としては、例えば、TDI(トリレンジイソシアネート)系、XDI(キシレンジイソシアネート)系が挙げられる。HDI系が特に好ましい。HDI系の硬化剤により架橋形成されたウレタン樹脂は、弾性率が低くなる傾向にある。HDI系の硬化剤を有する保護層は、熱転写後に、金属層から剥離しにくくなる。ここで、HDI系、IPDI系、TDI系、XDI系とは、各種イソシアネートとその変性形態を意味する。変性形態の例として、各種イソシアネートのアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体等が挙げられる。
本発明の加飾品において、保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量部としたときに、保護層に含まれる硬化剤の質量は、5質量部以上80質量部以下がよく、更に15質量部以上50質量部以下が好ましい。5質量部以上80質量部以下の場合には、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体を硬化剤により適度に架橋させることができる。硬化剤が5質量部未満の場合には、保護層の箔切れ性が低下するおそれがある。硬化剤が80質量部より過多である場合には、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体のもつ架橋点であるOH基よりも多い過剰な硬化剤が未反応の状態で保護層に残り、効率がよくない。
また、保護層を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体と硬化剤との合計質量が60質量%以上100質量%以下であるとよく、更に80〜100質量%であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが望ましい。
本発明の加飾品において、保護層は、上記の第1のアクリル重合体、硬化剤、及び必要に応じて第2のアクリル重合体を有する。保護層は、これらの他に、添加剤を含んでいてもよい。保護層に含めることができる添加剤としては、例えば、黄変防止剤など、周知のものがある。また、保護層を100質量%としたとき、添加剤は0を超えて40質量%未満であるとよく、更に0を超えて20質量%未満であることがよい。
また、本発明の加飾品は、各種機能をもつ構造について、添加剤としてウレタン樹脂に混合しているのとは異なって、結合基として、ウレタン樹脂に含めている。このため、各種機能を長期間持続して発揮することができる。
保護層の厚みは、1μm以上10μm以下であることがよく、更に1μm以上7μm以下であることが好ましい。保護層の表面(加飾品の最表面)には、更に、オーバーコート塗膜を形成してもよいし、オーバーコート塗膜を形成しなくてもよい。保護層を、光安定性能をもつ基や紫外線吸収性能をもつ基を有する高分子で構成した場合には、オーバーコート塗膜がなくても、加飾部の優れた耐候性を発揮できる。
本発明の加飾品において、接着層と金属層との間には、トップ層が介在しているとよい。この場合には、熱転写時に溶融軟化した接着剤と変形量の少ない金属層とが直接接触せずにすみ、金属層の亀裂発生を抑制できる。トップ層は、樹脂からなる。トップ層は、保護層の樹脂と同じ樹脂からなることがよい。更に、保護層の樹脂成分比(第1のアクリル重合体、第2のアクリル重合体、及び硬化剤の比率)とトップ層の樹脂成分比が同じであることが好ましい。金属層が海島構造をもつ場合に、トップ層の樹脂と保護層の樹脂とが金属層に進入して金属層の海成分となっているとよい。トップ層の樹脂と保護層の樹脂とを同じとすることで両者の相溶性がよくなり、金属層に対して強いアンカー効果を発揮できる。トップ層の厚みは、0.01μm以上2μm以下がよく、更に0.01μm以上1μm以下が好ましい。
本発明の加飾品において、金属層と基材との間、又はトップ層が形成されている場合はトップ層と基材との間に、接着層が形成されている。接着層は、基材と加飾部を接着する働きをもつ。接着層に含まれる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。接着層の厚みは、0.5μm以上5μm以下がよい。
基材としては、例えば、樹脂、金属、木材が挙げられる。このうち、基材は樹脂であるとよい。
本発明の加飾品は、例えば、フロントグリル、バックパネル、オーナメント類などの車両用の外装品及び内装品に用いることができる。
本発明の加飾品は、下記の熱転写用積層体を用いた熱転写法により作製されるとよいが、これに限られない。
(熱転写用積層体)
本発明の実施形態の熱転写用積層体は、フィルムと、フィルム上に形成された加飾部とを有する転写箔である。フィルムに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリスチレンが挙げられる。フィルムの厚みは、16μm以上50μm以下がよい。
フィルム上には、加飾部が形成されている。フィルムと加飾部との間には、加飾部の離型性を向上させるために、離型層が介在されていてもよい。離型層は、樹脂からなる層であって、離型層に使用する樹脂は、上記目的を達成することができるものであれば特に制限なく、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂等、各種公知の樹脂、又はワックス等が使用でき、これらのいずれか1種、又は2種以上の混合樹脂としてもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。離型層の厚みは0.1μm以上2μm以下がよい。
本発明の熱転写用積層体において、加飾部は、フィルムの側から順に、保護層、金属層、及び接着層を積層して形成されている。
本発明の熱転写用積層体における保護層は、本発明の加飾品の保護層と同様のものを用いることができる。
本発明の熱転写用積層体において、金属層と接着層との間にトップ層が積層されているとよい。トップ層は、樹脂からなる。トップ層は、保護層の樹脂と同じ樹脂を有することがよい。例えば、保護層が、第1のアクリル重合体及び硬化剤を有する場合には、トップ層も第1のアクリル重合体及び硬化剤を有していることが好ましい。
更に、保護層の樹脂成分比(第1のアクリル重合体、第2のアクリル重合体、及び硬化剤の比率)とトップ層の樹脂成分比が同じであることが好ましい。金属層が海島構造をもつ場合に、トップ層の樹脂と保護層の樹脂とが金属層の海成分となって金属層に進入する。トップ層の樹脂と保護層の樹脂とを同じとすることで両者の相溶性がよくなり、金属層に対して強いアンカー効果を発揮できる。トップ層の厚みは、0.01μm以上2μm以下がよく、更に0.01μm以上1μm以下が好ましい。
本発明の熱転写用積層体において、接着層は、熱転写の相手基材に対して加飾部を接着する働きをもつ。接着層に含まれる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、及び塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。接着層の厚みは、0.5〜5μmがよい。
離型層、保護層、トップ層、接着層は、いずれも、それぞれ、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法など、従来公知のコーティング方法で形成することができる。
本発明の熱転写用積層体の加飾部は基材上に熱転写される。熱転写にあたっては、基材上に熱転写用積層体を配置し、熱転写用積層体を加熱しながら加圧することにより熱転写用積層体を基材の表面に対して押しつける。加飾部を冷却すると、加飾部における基材の表面に接着している接着部分が基材に接着する。その後に、フィルムを基材表面から取り去ると、加飾部における基材の表面に接着していない非接着部分が、加飾部の接着部分から切り離されて、フィルムとともに基材表面から取り除かれる。これにより、加飾部の基材表面に接している部分が、基材表面に転写される。
基材表面からフィルムを取り去るのは、保護層、トップ層及び接着層が冷却固化した後がよい。箔切れ性がよくなり、また、加飾部を確実に基材に接着させた後にフィルムを取り去るので、加飾部が基材に確実に転写される。
熱転写には、例えば、ホットスタンプ工法、インモールド(成形同時転写法)工法がある。ホットスタンプ工法としては、例えば、図4に示すアップダウン式のホットスタンプ装置8、図5に示すロール式のホットスタンプ装置8を使用する工法が挙げられる。アップダウン式のホットスタンプ装置8は、熱板81及びゴム版82を有する加圧機84とテーブル83とを備える。熱板81により加熱されたゴム版82が上下し、熱転写用積層体1は移動可能とされている。テーブル83上の基材3に熱転写用積層体1を配置し、ゴム版82により熱転写用積層体1を基材3に対して押しつけることで、基材3上に熱転写用積層体1の加飾部4を熱転写する。
ロール式のホットスタンプ装置8は、可動式テーブル87と、回転ゴムローラ85及びその周囲に配置された熱源86を有する加圧機84を備える。熱源86により加熱された回転ゴムローラ85が下降し熱転写用積層体1を加圧しながら可動式テーブル87が移動することによって、基材3に熱転写用積層体1の加飾部4を熱転写する方法である。
アップダウン式及びロール式のいずれも、熱転写用積層体は、100〜150℃の温度に加熱されるとよい。
試料1〜試料16の各種加飾品について、熱転写用積層体を用いて熱転写法により製造して、評価に供した。試料7〜試料15は、本発明品であり、試料1〜試料6、及び試料16は、参考品である。
(試料1)
本試料1の加飾品2は、図1に示すように、基材3と、基材3の表面に形成された加飾部4とを有する。加飾部4は、基材3の表面側から順に、接着層15、トップ層14、金属層13、及び保護層12を積層して形成されている。基材3は、ポリプロピレン樹脂からなる。接着層15は、塩素化ポリプロピレン系樹脂からなる。トップ層14及び保護層12は、後述の第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体を硬化剤で架橋して形成されたアクリルウレタン樹脂からなる。金属層13は、クロムからなる。以下、加飾品2の製造方法について説明する。
まず、熱転写用積層体1を準備する。熱転写用積層体1は、図2に示すように、フィルム10上に、順に、離型層11、保護層12、金属層13、トップ層14及び接着層15を積層してなる。
熱転写用積層体を製造するために、まず、ポリエチレンテレフタレートからなる厚み25μmのフィルム10を準備した。フィルム10の上に、メラミン樹脂からなる熱可塑性樹脂をグラビアコート法により塗布して、厚み0.5μmの離型層11を形成した。
第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体と硬化剤とを混合して混合樹脂Aを得た。第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体は、いずれも、水酸基を有するメタクリル酸エステル(HMA)、ヒンダードアミン骨格を有するメタクリル酸エステル(HAMA)、ベンゾトリアゾール骨格を有するメタクリル酸エステル(BTMA)、及びシクロヘキサン環を有するメタクリル酸エステル(CHMA)を重合させたものである。これらの配合モル比は、第1のアクリル重合体では、HMA:HAMA:BTMA:CHMA=12:2:5:81であり、第2のアクリル重合体では、MA:HAMA:BTMA:CHMA=3:2:5:90とした。第1のアクリル重合体の水酸基価は39mgKOH/gであり、第2のアクリル重合体の水酸基価は8mgKOH/gであった。水酸基価はJIS K 0070に準じて測定した。第1のアクリル重合体の重量平均分子量は30000であり、第2のアクリル重合体の重量平均分子量は80000であった。
第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体は、式(2)に示す構造を有する。第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体では、ベンゾトリアゾール骨格とアクリル酸とが化学的に結合し、ヒンダードアミン骨格とアクリル酸とが化学的に結合している。
(式中、Aはベンゾトリアゾール骨格を有する基、Bはヒンダードアミン骨格を有する基、Cはシクロヘキシル基、Rは炭素含有基を示す。n1、n2、n3、n4は1以上の整数である。)
硬化剤は、式(3)に示す構造をもつTDIヌレート型3量体である。
混合樹脂における第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたときに、第1のアクリル重合体の質量比は50質量%とし、第2のアクリル重合体の質量比は50質量%とした。第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体の合計質量を100質量部としたとき、硬化剤の質量は25質量部とした。混合樹脂Aを、グラビアコート法により、離型層11の表面に塗布して、厚み4μmの保護層12を形成した。形成された保護層12では、グラビアコート印刷の乾燥時の熱で架橋反応が進み、第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体の双方の一部が硬化剤で架橋して、アクリルウレタン樹脂が形成される。
物理蒸着法(PVD)でクロムを保護層12表面に蒸着させ、厚み30nmのクロムからなる金属層13を形成した。熱転写用積層体において、クロムからなる金属層13は、海島構造はなく、平坦な構造であった。金属層13のクロムの弾性率をJIS Z 2280に準じて測定したところ、279GPaであった。クロムの凝集エネルギーは389kJ/molであった。
グラビアコート法により、金属層13の表面に、上記の混合樹脂Aを塗布して、厚み0.1μmのトップ層14を形成した。形成されたトップ層14では、グラビアコート印刷の乾燥時の熱で架橋反応が進み、第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体の双方の一部が硬化剤で架橋して、アクリルウレタン樹脂が形成される。
グラビアコート法により、トップ層14の表面に、塩素化ポリプロピレンからなる接着剤を塗布して、厚み1.5μmの接着層15を形成した。以上により、熱転写用積層体1を得た。
熱転写用積層体1及びホットスタンプ装置8を用いて、基材3の上に加飾部4を形成した。基材3の材質は、ポリプロピレン樹脂とした。ホットスタンプ装置は、図4に示すアップダウン式を用いた。アップダウン式のホットスタンプ装置8は、熱板81及びゴム版82を有する加圧機84とテーブル83とを備える。熱板81により180℃に加熱されたゴム版82が上下し、熱転写用積層体1は移動可能とされている。テーブル83上の基材3に熱転写用積層体1を配置し、ゴム版82により熱転写用積層体1を基材3に対して押しつける。熱転写用積層体1の加飾部4は、接着層15の軟化又は溶融により基材3表面に固定される。加飾部4の保護層12及びトップ層14では、第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体とが硬化剤により架橋反応が更に進行して、アクリルウレタン樹脂が更に形成される。
転写後、加圧機84を上昇させる。その後、加飾部4を冷却させ、フィルム10を持ち上げる。加飾部4の基材3表面に接着している接着部分4aは、加飾部4の基材3表面に接着していない非接着部分4bから切り離されて、基材3表面に残る。加飾部4の非接着部分4bは、フィルム10とともに、基材3から取り除かれる。これにより、加飾部4の接着部分4aが基材3表面に転写されて、加飾品2が得られる。
加飾品2の保護層12の弾性率をJIS K 7161に準じて測定したところ、1.60GPaであった。保護層12の架橋密度は、9.75E−11mol/cmであった。この架橋密度は、動的粘弾性測定装置を用いて保護層12の貯蔵弾性率を測定し、上記の式(A)を用いて算出した値である。
(試料2)
本試料2の加飾品2においては、図6に示すように、保護層12が下層121と上層122とからなる。下層121は、アクリル重合体を硬化剤で架橋して形成されたアクリルウレタン樹脂からなる。上層122は、アクリル重合体からなる。上層122のアクリル重合体は架橋していない。下層121及び上層122のアクリル重合体の単量体は、いずれもヒンダードアミン骨格をもつメタクリル酸エステル及びベンゾトリアゾール骨格をもつメタクリル酸エステルのいずれも含んでいない。下層121の厚みは3μmであり、上層122の厚みは1.5μmであった。
試料2の加飾品2は、試料1と同様に熱転写用積層体を用いた熱転写法により形成する。熱転写用積層体において、下層121は、アクリル重合体と硬化剤とからなる混合樹脂を用いてなり、上層122はアクリル重合体からなる。熱転写用積層体を用いて熱転写法により加飾品を形成すると、下層121はアクリルウレタン樹脂が形成され、上層122はアクリル重合体のままであった。
試料2の加飾品2の保護層12の下層121の弾性率は2.50GPaであり、架橋密度は7.50E―10mol/cmであった。試料2の加飾品2の保護層12の上層122の弾性率は0.35GPaであった。
試料2の加飾品2のその他の点は、試料1と同様である。
(試料3)
本試料3の加飾品2の保護層12の上層122は、上層122を100質量%としたとき、アクリル重合体88質量%とヒンダードアミン系化合物(商品名TINUVIN123、BASF製)4質量%とトリアジン系化合物(商品名TINUVIN384―2、BASF製)8質量%とからなる。試料3の加飾品2の保護層12の上層122の弾性率は0.34GPaであった。
試料3の加飾品2において、保護層12の上層122以外の構成は、試料2と同様とした。
(試料4)
本試料4の加飾品2の保護層12の上層122の厚みは3μmである点を除いて、試料3と同様である。試料4の加飾品の保護層の上層及び下層の弾性率及び架橋密度は試料3と同様である。
<実験1>
試料1〜試料4の加飾品について、付着性、箔切れ性、紫外線吸収性、及び外観について評価した。
・付着性は、JIS5401に準じたテープ付着試験を行って評価した。試験条件は、カット間隔2mm、100(10×10)マスとした。テープ付着試験により加飾部に剥離がない場合を○、剥離があれば×とした。
・箔切れ性は、熱転写時に、熱転写用積層体の加飾部の基材に接している部分が、基材に接していない部分から切り離されるときの切り離し易さを評価した。切り離す時に基材表面に転写された加飾部にバリが生じた場合または転写時に欠けが発生した場合を×とし、バリまたは欠けが発生していない場合を○とした。
・紫外線吸収性は、各試料毎の加飾部と同じ加飾部のみからなる薄膜を、PETフィルム上に形成した。各薄膜について、波長300〜360nm紫外線領域の光を照射したときの光線透過率を測定した。光線透過率が10%以下の場合を○、10%を超え80%以下の場合を△、80%を超える場合を×とした。
・外観は、クラックの発生により、加飾部に曇りが生じているため光輝感がない場合を×、金属層は見えるが輝度(グロス)がJIS5600−4−7(1999)により、測定角度60度での輝度(グロス)が400GU未満で光輝感が低い場合を△、金属層が見え金属層の輝度が400GU以上の光輝感が高い場合を○とした。
表1には、各種評価結果を示した。
試料1の加飾品については、箔切れ性が良好であった。しかし、試料1の加飾品の外観については、光輝感が低かった。試料1の金属層を光学顕微鏡で観察したところ、図7に示すように、大きさ2〜10μm程度のマイクロクラックが発生していた。このことから、図8に示すように、熱転写時の熱転写用積層体への加圧により金属層13に引張り応力が加わるが、金属層13を構成しているCrは弾性率が高いため、延伸が不十分となって、不均一にクラックが発生し、このため、入射した光が金属層13表面で乱反射されて、光輝感が低くなったと考えられる。
試料3の加飾品については、紫外線吸収性能が△であった。
試料4の加飾品については、箔切れ性が良くなかった。試料4の加飾品においては、保護層12の上層122の弾性率が低すぎ、かつ上層122の厚みが大きいため、転写後にフィルムを取り去る時に、加飾部4の基材表面に固定されている部分が基材表面に固定されていない部分から速やかに切り離されず、加飾部4の周縁にバリが発生した。
試料2については、保護層を構成するアクリルウレタン樹脂に、紫外線吸収性能のあるトリアジン骨格又はベンゾトリアゾール骨格をもつ部分が含まれていないため、紫外線吸収性能が悪かった。
<実験2>
試料1、試料2、試料3の加飾品について、紫外線吸収機能の持続性について評価した。本実験2では、各試料1,2,3の加飾品の保護層と同じ保護層のみからなる厚み4μmの透明な薄膜を、PETフィルム上に形成した。各薄膜について40℃温水に浸漬する条件で耐水試験を240時間行った。試験の前後で、波長300〜450nmの光を各薄膜に照射したときの光線透過率を測定した。
試料1の薄膜では、耐水試験前後で、波長300〜360nmの紫外線領域の光線透過率はほぼゼロであり、また、光線透過率は変化しなかった。一方、試料2の薄膜では、紫外線吸収性能のあるトリアジン骨格又はベンゾトリアゾール骨格をもつ部分が含まれていないため、紫外線吸収性能が悪かった。試料3の薄膜では、耐水試験前の紫外線領域の光線透過率はよかったが、耐水試験後の紫外線領域の光線透過率が低下した。これは、試料3では、紫外線吸収性能のあるトリアジン系化合物が耐水試験中に薄膜表面に表出して粉化(ブリードアウト)したためである。これに対して、試料1では、紫外線吸収性能のあるベンゾトリアゾール骨格がアクリル酸に化学的に結合しているため、試料3の薄膜のようにブリードアウトすることがなかった。
以上より、保護層が、トリアジン骨格をもつ基又はベンゾトリアゾール骨格をもつ基を有するアクリル重合体を硬化剤で架橋してなるアクリルウレタン樹脂からなる場合には、紫外線吸収性能が持続することがわかった。
(試料5)
試料5の加飾品は、金属層がインジウムからなる点、及び保護層を構成している混合樹脂が第2のアクリル重合体を含んでいない点を除いて、試料1と同様する。
試料5の加飾品を作製するために用いた熱転写用積層体は、インジウムからなる金属層を形成した点、及び保護層を構成している混合樹脂が第2のアクリル重合体を含んでいない点を除いて、試料1の熱転写用積層体と同様である。試料5の熱転写用積層体の金属層13は、厚み50nmのインジウムからなり、物理蒸着法(PVD)で形成した。図10に、加飾品の金属層のSEM写真を示す。金属層13は、インジウムが大きさ0.2μm以上0.4μm以下の島状に点在する海島構造を呈していた。金属層13に用いるインジウムの弾性率は11GPaであり、インジウムの凝集エネルギーは230kJ/molであった。保護層は、第1のアクリル重合体と硬化剤とからなる混合樹脂からなる。混合樹脂において、第1のアクリル重合体100質量部に対して硬化剤の含有量は49質量部である。
試料5の加飾品において、保護層は、第1のアクリル重合体をTDIヌレート3量体からなる硬化剤で架橋させたアクリルウレタン樹脂からなる。試料5で用いた第1のアクリル重合体は、試料1で用いた第1のアクリル重合体と同様である。試料5の加飾品の保護層の架橋密度は7.50E−10(7.50×10―10)mol/cmであり、保護層の弾性率は2.50GPaであった。
試料5の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、試料5の加飾品については、金属層から発現される光輝感が高く外観も良好であった。これは、図10に示すように、金属層のインジウムが海島構造を呈しているため、熱転写などで延伸された後でも、海島構造が均一に平面方向に引き伸ばされ、これにより、延伸後も、延伸前と同じ光反射率を維持したためであると考えられる。
また、試料5の加飾品の付着性については、付着試験により保護層が基材から剥離して×であった。図9(d)は、付着試験後の加飾品の写真を示す。付着試験後には、図9(d)に示すように、金属層が凝集破壊して、金属層13及び保護層12が基材3から剥離した。図9(a)に示すように、保護層12には、硬化収縮による内部応力が蓄積されている。保護層12に接している金属層13はインジウムからなる。インジウムは弾性率が低く、凝集エネルギーも低く、凝集力が小さい(図3)。このため、金属層13は保護層12の凝集に追従することができる。一方、図9(b)に示すように、保護層12の弾性率が2.50GPaと高く、保護層12と金属層13との間に、せん断応力が蓄積される。図9(c)に示すように、せん断応力が蓄積された加飾品についてテープ付着試験を行うと、金属層13が凝集破壊して、金属層13及び保護層12が基材3表面から剥離したものと考えられる。
試料5の加飾品の箔切れ性及び紫外線吸収性は良好であった。
(試料6)
試料6の加飾品は、硬化剤としてHDIアダクトを用いた点を除いて、試料5と同様に製造した。保護層は、第1のアクリル重合体をHDIアダクトで架橋させたアクリルウレタン樹脂からなる。試料6の加飾品の保護層の架橋密度は1.50E−10(1.50×10―10)mol/cmであり、保護層の弾性率は2.10GPaであった。
試料6の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、箔切れ性及び紫外線吸収性は○であったが、付着性については付着試験により保護層が基材から剥離して×であった。加飾品の光輝感は高く、外観は○であった。
(試料7)
試料7の加飾品は、硬化剤としてHDIヌレート3量体を用いた点を除いて、試料5と同様に製造した。保護層は、第1のアクリル重合体をHDIヌレート3量体で架橋させたアクリルウレタン樹脂からなる。試料7の加飾品の保護層の架橋密度は1.90E−10(1.90×10―10)mol/cmであり、保護層の弾性率は1.90GPaであった。
試料7の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価した。試料7の加飾品については、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観が○であり、また付着試験時にも剥離が生じることはなく、付着性は○であった。
(試料8)
試料8の加飾品は、硬化剤としてHDIヌレート5,7量体を用いた点を除いて、試料5と同様に製造した。保護層は、第1のアクリル重合体をHDIヌレート5,7量体で架橋させたアクリルウレタン樹脂からなる。試料8の加飾品の保護層の架橋密度は1.80E−10(1.80×10―10)mol/cmであり、保護層の弾性率は2.00GPaであった。
試料8の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、付着性、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観のすべてについて○であった。
(試料9)
試料9の加飾品は、硬化剤としてIPDIアダクトを用いた点を除いて、試料5と同様に製造した。保護層は、第1のアクリル重合体をIPDIアダクトで架橋させたアクリルウレタン樹脂からなる。試料9の加飾品の保護層の架橋密度は2.30E−10(2.30×10―10)mol/cmであり、保護層の弾性率は2.00GPaであった。
試料9の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、付着性、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観のすべてについて○であった。
(試料10)
試料10の加飾品は、第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体と硬化剤としてのHDIヌレート3量体からなる保護層を有する熱転写用積層体を用いた点を除いて、試料5と同様に製造した。試料10で用いた第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体は、試料1で用いた第1のアクリル重合体と第2のアクリル重合体と同様である。熱転写用積層体の保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の質量比は、第1のアクリル重合体:第2のアクリル重合体=95質量%:5質量%であった。
試料10の加飾品の保護層は、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体をHDIヌレート3量体で架橋させたアクリルウレタン樹脂からなる。試料10の加飾品の保護層の架橋密度は1.77E−10(1.77×10―10)mol/cmであった。試料10の加飾品の保護層の弾性率は1.62GPaであった。
試料10の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、付着性、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観のすべてについて○であった。
(試料11)
試料11の加飾品は、熱転写用積層体の保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の質量比を、第1のアクリル重合体:第2のアクリル重合体=85質量%:15質量%とした点を除いて、試料10と同様に製造した。
試料11の加飾品の保護層の架橋密度は1.55E−10(1.55×10―10)mol/cmであった。試料11の加飾品の保護層の弾性率は1.48GPaであった。
試料11の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観は○であり、しかも、付着性に関しては、保護層が基材に対して強固に付着していて◎であった。
(試料12)
試料12の加飾品は、熱転写用積層体の保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の質量比を、第1のアクリル重合体:第2のアクリル重合体=70質量%:30質量%とした点を除いて、試料10と同様に製造した。
試料12の加飾品の保護層の架橋密度は9.30E−11(9.30×10―11)mol/cmであった。試料12の加飾品の保護層の弾性率は1.52GPaであった。
試料12の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観は○であり、しかも、付着性に関しては、保護層が基材に対して強固に付着していて◎であった。
(試料13)
試料13の加飾品は、熱転写用積層体の保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の質量比を、第1のアクリル重合体:第2のアクリル重合体=50質量%:50質量%とした点を除いて、試料10と同様に製造した。
試料13の加飾品の保護層の架橋密度は5.02E−11(5.02×10―11)mol/cmであった。試料13の加飾品の保護層の弾性率は1.38GPaであった。
試料13の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価したところ、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観は○であり、しかも、付着性に関しては、保護層が基材に対して強固に付着していて◎であった。
(試料14)
試料14の加飾品は、熱転写用積層体の保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の質量比を、第1のアクリル重合体:第2のアクリル重合体=40質量%:60質量%とした点を除いて、試料10と同様に製造した。
試料14の加飾品の保護層の架橋密度は2.69E−11(2.69×10―11)mol/cmであった。試料14の加飾品の保護層の弾性率は1.08GPaであった。
試料14の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価した。試料14の加飾品の箔切れ性、紫外線吸収性及び外観は○であった。試料14の加飾品については、付着試験後も保護層は基材に対して強固に付着していて、付着性は◎であった。
(試料15)
試料15の加飾品は、熱転写用積層体の保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の質量比を、第1のアクリル重合体:第2のアクリル重合体=30質量%:70質量%とした点を除いて、試料10と同様に製造した。
試料15の加飾品の保護層の架橋密度は1.35E−11(1.35×10―11)mol/cmであった。試料15の加飾品の保護層の弾性率は0.92GPaであった。
試料15の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価した。試料15の加飾品の付着性、箔切れ性、紫外線吸収性及び外観は○であった。
(試料16)
試料16の加飾品は、熱転写用積層体の保護層に含まれる第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の合計質量を100質量%としたとき、第1のアクリル重合体及び第2のアクリル重合体の質量比を、第1のアクリル重合体:第2のアクリル重合体=15質量%:85質量%とした点を除いて、試料10と同様に製造した。
試料16の加飾品の保護層の架橋密度は8.74E−12(8.74×10―12)mol/cmであった。試料16の加飾品の保護層の弾性率は0.47GPaであった。
試料16の加飾品の各種特性について<実験1>と同様に評価した。試料16の加飾品の付着性、箔切れ性及び紫外線吸収性は○であった。
試料5〜試料16の熱転写用積層体の保護層のアクリル重合体の配合比及び硬化剤の種類、加飾品の保護層の架橋密度及び弾性率、並びに加飾品の外観について表2にまとめて示した。また、試料5〜試料16の加飾品の保護層の架橋密度及び弾性率について図11に示した。試料7,試料10〜試料16の加飾品の保護層の第2のアクリル重合体の配合比及び加飾品の保護層の弾性率の関係を図12に示した。図12において、加飾品の加飾部の付着性がよく且つ外観がよい場合を○、加飾部の付着性はよいが外観がよくない場合を△、加飾部の付着性がよくない場合を×として表示した。
図11及び表2に示すように、硬化剤の種類によって、弾性率と架橋密度との関係は大きく相違することがわかった。硬化剤をHDIヌレート3量体と同じにした場合、第2のアクリル重合体の質量比を増加させると加飾品の保護層の弾性率が低下することがわかった。
図12に示すように、保護層の第2のアクリル重合体の配合比が5〜85質量%の場合には、加飾品の加飾部の付着性及び外観がよかった。
試料5〜試料16について<実験2>と同様に紫外線吸収機能の持続性について評価した。その結果、試料5〜試料16の薄膜についても、試料1と同様に、耐水試験前後で、波長300〜360nmの紫外線領域の光線透過率はほぼゼロであり、また、光線透過率は変化しなかった。試料5〜試料16でも、試料1と同様に、紫外線吸収性能のあるベンゾトリアゾール骨格がアクリル酸に化学的に結合しているため、紫外線吸収性能が持続することがわかった。
1:熱転写用積層体、10:フィルム、11:離型層、12:保護層、13:金属層、14:トップ層、15:接着層、2:加飾品、3:基材、4:加飾部、8:ホットスタンプ装置。

Claims (20)

  1. 基材と、加飾部とを備え、
    前記加飾部は、前記基材の表面側から順に、樹脂からなる接着層、金属層、及び樹脂からなる保護層を積層されてなり、
    前記金属層は、10GPa以上150GPa以下の弾性率をもつ金属からなり、
    前記保護層は、0.5GPa以上2.0GPa以下の弾性率をもつことを特徴とする加飾品。
  2. 前記保護層は、ウレタン樹脂を有する請求項1に記載の加飾品。
  3. 前記保護層は、第1のアクリル重合体と、イソシアネート基を有する硬化剤とを有する請求項1又は2に記載の加飾品。
  4. 前記保護層は、前記第1のアクリル重合体及び前記硬化剤に加えて、前記第1のアクリル重合体の水酸基価よりも小さい水酸基価をもつ第2のアクリル重合体を有する請求項3に記載の加飾品。
  5. 前記第1のアクリル重合体の水酸基価は、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である請求項3又は4に記載の加飾品。
  6. 前記第2のアクリル重合体の水酸基価は、0を超えて30mgKOH/g以下である請求項4又は5に記載の加飾品。
  7. 前記第1のアクリル重合体又は/及び前記第2のアクリル重合体は、ヒンダードアミン骨格を有する基、ベンゾトリアゾール骨格を有する基、及びトリアジン骨格を有する基よりなる群から選ばれる1種以上を有する請求項4〜6のいずれかに記載の加飾品。
  8. 前記加飾部は、前記接着層と前記金属層との間に、前記保護層と同じ樹脂を有するトップ層を介在している請求項1〜7のいずれかに記載の加飾品。
  9. 前記金属層の前記金属は、インジウム、錫、銀、アルミニウム、及び銅よりなる群から選ばれる1種以上からなる請求項1〜8のいずれかに記載の加飾品。
  10. 前記金属層は、前記金属が島状に点在する海島構造を呈している請求項1〜9のいずれかに記載の加飾品。
  11. フィルム上に、順に、樹脂からなる保護層、金属層、及び樹脂からなる接着層を積層してなる熱転写用積層体であって、
    前記金属層は、10GPa以上150GPa以下の弾性率をもつ金属からなり、
    前記保護層は、0.5GPa以上2.0GPa以下の弾性率をもつことを特徴とする熱転写用積層体。
  12. 前記保護層は、ウレタン樹脂を有する請求項11に記載の熱転写用積層体。
  13. 前記保護層は、第1のアクリル重合体と、イソシアネート基を有する硬化剤とを有する請求項11又は12に記載の熱転写用積層体。
  14. 前記保護層は、前記第1のアクリル重合体及び前記硬化剤に加えて、前記第1のアクリル重合体の水酸基価よりも小さい水酸基価をもつ第2のアクリル重合体を有する請求項13に記載の熱転写用積層体。
  15. 前記第1のアクリル重合体の水酸基価は、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である請求項13又は14に記載の熱転写用積層体。
  16. 前記第2のアクリル重合体の水酸基価は、0を超えて30mgKOH/g以下である請求項14又は15に記載の熱転写用積層体。
  17. 前記第1のアクリル重合体又は/及び前記第2のアクリル重合体は、ヒンダードアミン骨格を有する基、ベンゾトリアゾール骨格を有する基、及びトリアジン骨格を有する基よりなる群から選ばれる1種以上を有する請求項14〜16のいずれかに記載の熱転写用積層体。
  18. 前記接着層と前記金属層との間に、前記保護層と同じ樹脂を有するトップ層を介在している請求項11〜17のいずれかに記載の熱転写用積層体。
  19. 前記金属層の前記金属は、インジウム、錫、銀、アルミニウム、及び銅よりなる群から選ばれる1種以上からなる請求項11〜18のいずれかに記載の熱転写用積層体。
  20. 前記金属層は、前記金属が島状に点在する海島構造を呈している請求項11〜19のいずれかに記載の熱転写用積層体。
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