JP2019209550A - 金属調加飾用部材及びそれを用いた金属調加飾成形体 - Google Patents

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直紀 佐相
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Abstract

【課題】ゴム粒子を含有する透明基材を用いた場合において、成形後の金属光沢の低下を抑制することができる金属調加飾用部材を提供する。【解決手段】透明基材上に気相金属蒸着膜を有する金属蒸着フィルムを、前記透明基材が外層側を向くように配置してなる金属調加飾用部材であって、前記透明基材はゴム粒子及びバインダー樹脂を含む透明樹脂基材であり、前記金属蒸着フィルムの光学濃度が0.50〜1.27である、金属調加飾用部材。【選択図】図1

Description

本発明は、金属調加飾用部材及びそれを用いた金属調加飾成形体に関する。
従来より、成形体の意匠性を高めるために、成形体の表面に金属光沢を付与することが行われている。金属光沢を付与する手段としては、古くから金属メッキが行われている。しかし、金属メッキは工程が複雑で製造コストがかかること、廃液が発生して環境に負荷がかかることなどの問題があった。また、成形体の表面が凹凸形状を有する場合、均一で綺麗なメッキ膜を施すことは困難であった。
金属メッキの代替手段として、物理的気相蒸着(PVD)により形成された気相金属蒸着膜を有する加飾シートを用いて、樹脂成形体等の被着体の表面を加飾する手段が提案されている(特許文献1)。
特許5809768号公報
気相金属蒸着膜を有する加飾シートの基本構成は、透明基材上に気相金属蒸着膜を備えた金属蒸着フィルムである。しかし、金属蒸着フィルムのみでは強度不足等の問題があるため、通常は、金属蒸着フィルムの内層側に樹脂基板を積層した積層体を作製し、該積層体を成形することによって、金属調の加飾成形体を得る場合が多い。
しかしながら、従前の金属蒸着フィルムから上記のような積層体を得て、該積層体を成形した場合、期待した金属光沢が得られないことが頻発した。
本発明者らは鋭意検討した結果、まず、上記樹脂基板の乾燥工程に着眼した。上記積層体を成形する際に樹脂基板中に水分が残存していると、成形時の熱で樹脂基板の水分が膨張し、成形体に気泡等の欠陥が生じてしまう。このため、上記積層体を成形する前に、上記積層体を成形時よりも低い温度で長時間加熱し、樹脂基板中の水分を少しずつ排出する、乾燥工程が行われる。本発明者らは、この乾燥工程の際に、金属蒸着フィルムの透明基材が収縮し、金属蒸着面に皺が生じることによって、金属光沢が低下しているのではないかと推定した。
しかしながら、金属蒸着フィルムの透明基材として収縮率の低いものを用いたとしても、成形後に期待した金属光沢感が得られないことが頻発した。
そして、本発明者らはさらに鋭意検討した結果、上記の問題は、特定の透明基材(具体的には、成形性を良好にするために使用される「ゴム粒子を含有する透明基材」)を用いた場合に生じる傾向が高いことを見出し、さらには、そのような特定の透明基材を用いた場合であっても、気相金属蒸着膜を特定の構成とすることにより、成形により得られた金属調加飾成形体の金属光沢の低下を抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の[1]〜[2]を提供する。
[1]透明基材上に気相金属蒸着膜を有する金属蒸着フィルムを、前記透明基材が外層側を向くように配置してなる金属調加飾用部材であって、前記透明基材はゴム粒子及びバインダー樹脂を含む透明樹脂基材であり、前記金属蒸着フィルムの光学濃度が0.50〜1.27である、金属調加飾用部材。
[2]上記[1]に記載の金属調加飾用部材から形成されてなる、金属調加飾成形体。
本発明によれば、ゴム粒子を含有する透明基材を用いた場合において、成形後の金属光沢の低下を抑制することができる金属調加飾用部材及びこれを用いた金属調加飾成形体を提供することができる。
本発明の金属調加飾用部材の一実施形態を示す断面図である。 本発明の金属調加飾用部材の他の実施形態を示す断面図である。 加熱時の気相金属蒸着膜の島部の挙動の一例を説明する模式図である。 加熱時の気相金属蒸着膜の島部の挙動の他の例を説明する模式図である。
[金属調加飾用部材]
本発明の金属調加飾用部材は、透明基材上に気相金属蒸着膜を有する金属蒸着フィルムを、前記透明基材が外層側を向くように配置してなり、前記透明基材はゴム粒子及びバインダー樹脂を含む透明樹脂基材であり、前記金属蒸着フィルムの光学濃度が0.50〜1.27であるものである。
図1及び図2は、本発明の金属調加飾用部材の実施形態を示す断面図である。
図1及び図2の金属調加飾用部材100は、透明基材11上に気相金属蒸着膜12を有する金属蒸着フィルム10を、前記透明基材11が外層側を向くように配置されている。また、図2の金属調加飾用部材100の金属蒸着フィルム10は、透明基材11と気相金属蒸着膜12との間にプライマー層13を有している。また、図2の金属調加飾用部材100は、金属蒸着フィルム10の内層側に、接着剤層20及び樹脂基板30を有している。
<金属蒸着フィルム>
金属蒸着フィルムは、透明基材上に気相金属蒸着膜を有するものである。
透明基材と気相金属蒸着膜との間には、密着性を向上するためのプライマー層を有していてもよい。
<<透明基材>>
透明基材は、気相金属蒸着膜の支持体としての役割を有する。また、透明基材は、外層側に配置され、金属調加飾用部材に耐擦傷性を付与する役割を有する。
本発明では、透明基材として、ゴム粒子及びバインダー樹脂を含む透明樹脂基材を用いる。
透明基材がゴム粒子を含有することで、成形時に透明基材を割れ難くして、成形性を良好にすることができる。その一方、透明基材がゴム粒子を含有すると、加熱処理によって金属光沢が低下する場合がある。この理由は下記(1)のように考えられる。
(1)金属調加飾用部材は、金属蒸着フィルムの内層側に積層する樹脂基板の水分を排出することなどを目的として、成形加工の前に加熱処理される場合がある。この水分排出を目的とした成形前の加熱処理の際に、金属蒸着フィルムの透明基材の表面近傍に微細な寸法変化が生じていると考えられる。具体的には、ゴム粒子を含有する透明基材は、表面近傍にゴム粒子が存在する箇所と、表面近傍にゴム粒子が存在しない箇所とで、熱挙動が微妙に異なっていると考えられる。そして、この微小領域の熱挙動の相違によって、通常は図3(a)及び図4(a)のように整然と配列されている気相金属蒸着膜の島部が、図3(b)又は図4(b)のように乱れ、金属光沢が低下すると考えられる。
なお、金属調加飾用部材が、金属蒸着フィルムの内層側に樹脂基板等の他の層を有する場合、他の層を形成する過程で金属蒸着フィルムの透明基材に高熱がかかる場合には、この時の熱によっても前述したような金属光沢の低下が生じる。例えば、金属調加飾用部材が後述する樹脂基板を有する場合において、金属蒸着フィルムの透明基材に高熱がかかる状況で金属貼着フィルムと樹脂基板とをラミネートすると、この時の熱によって前述したような金属光沢の低下が生じる。
そして、上記のように島部が乱れた状態で成形、加熱処理すると、下記(2)のようになると考えられる。
(2)図3(b)のように、気相金属蒸着膜の島部が重なった状態で金属調加飾用部材を成形すると、気相金属蒸着膜が伸長する際に、重なった島部の金属が剥がれる際にダメージを受け、金属光沢がさらに低下すると考えられる。そして、このように島部がダメージを受けているため、成形後の加熱処理でも金属光沢が回復しにくい。
一方、図4(b)のように、気相金属蒸着膜の島部が重なっていない状態で金属調加飾用部材を成形すると、成形時の金属光沢の低下を抑制できる。さらには、成形時に金属調加飾用部材にかかる熱(例えば、真空成形において、金属調加飾用部材をドローダウンさせる際の熱)によって、配列が乱れた島部が元の状態に近づき、金属光沢が回復しやすいと考えられる。
詳しくは後述するが、本発明では、成形前の加熱処理を行った後の気相金属蒸着膜を図4(b)のような状態にできる金属蒸着フィルムを用いることで、成形により得られた金属調加飾成形体の金属光沢の低下を抑制することを可能としている。また、図4(b)のような状態にできる金属蒸着フィルムを用いることで、成形時に金属調加飾用部材にかかる熱によって、配列が乱れた島部が元の状態に近づきやすくなり、金属光沢を回復し得る。また、成形時において、金属調加飾用部材に熱がかかる時間を長くすることにより、金属光沢の回復度合いを上昇させやすくできる。
上記のような微小領域の島部の動きによる金属光沢の変動は、汎用的な測定である鏡面光沢度では明確に区別しにくいが、人間の目には、背景の映り込みの鮮明性によって明確に区別できる。具体的には、気相金属蒸着膜が図4(b)の状態の金属蒸着フィルムに映り込む背景は、気相金属蒸着膜が図3(b)の状態の金属蒸着フィルムに映り込む背景よりも、輪郭がくっきりして明りょうに視認できる。また、上記のような微小領域の島部の動きによる金属光沢の変動を客観的に測定し得る手法として、ウェーブスキャン装置(BYKジャパン社製、商品名:ウェーブスキャン デュアル AW−4840)等を用いた写像鮮明性(DOI(Distinctness of Image))を測定する手法が挙げられる。なお、微小領域の島部の動きによる金属光沢の変動は、20度鏡面光沢度(G20)と、ピーク反射率(Rspec)との比によっても測定し得ると考えられる。ピーク反射率(Rspec)とは、20度±0.09905度の狭い角度範囲での光沢度である。
透明基材のバインダー樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂の中でも、耐光性に優れ、高硬度で傷がつきにくく、さらには、屈折率が低いため透明性に優れるとともに傷が目立ちにくい、アクリル系樹脂が好適である。アクリル系樹脂の含有量は、透明基材の全バインダー樹脂の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
バインダー樹脂としてのアクリル系樹脂は、メタクリル酸エステルの単独重合体や、メタクリル酸エステルを主成分とする共重合体が好適である。メタクリル酸エステルとしては、通常メタクリル酸のアルキルエステルが用いられ、そのアルキル基は、炭素数1〜4程度でよい。共重合体とする場合は、アクリル酸エステルや、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物などが用いられる。
このようなアクリル系樹脂は、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル50〜100質量%と、アクリル酸エステル0〜50質量%と、これらと共重合可能な他のビニル単量体0〜49質量%の重合によって得ることができる。ここで、アクリル酸エステルは、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜50質量%の範囲で用いられ、メタクリル酸アルキルの好ましい共重合割合は50〜99質量%、より好ましい共重合割合は50〜99.9質量%である。
ゴム粒子は、弾性体層を有する粒子である。
ゴム粒子は、透明性の観点から、弾性体層の外殻に、バインダー樹脂と同系統の樹脂を含む層を有することが好ましい。言い換えると、透明性の観点から、ゴム粒子は外殻にバインダー樹脂と同系統の樹脂を含むことが好ましい。例えば、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂を含み、ゴム粒子の外殻にアクリル系樹脂を含むことが好ましい。
また、透明性をより良好にする観点からは、ゴム粒子の弾性体層、ゴム粒子の外殻及びバインダー樹脂に同系統の成分を含むことが好ましい。
また、透明性の観点から、ゴム粒子の弾性体層の屈折率をn、ゴム粒子の外殻の屈折率をn、バインダー樹脂の屈折率をnとした際に、下記式(A)を満たすことが好ましく、下記式(A)及び(B)を満たすことがより好ましい。
0.98≦n/n≦1.02 (A)
0.98≦n/n≦1.02 (B)
ゴム粒子は、例えば、弾性重合体を得た後、該弾性重合体の存在下で外殻を構成する成分を重合することにより得ることができる。
例えば、アクリル酸アルキル50〜99.9質量%と、これと共重合可能な他のビニル単量体0〜49.9質量%と、共重合性の架橋性単量体0.1〜10質量%を重合して得られる層を有する弾性共重合体100質量部の存在下に、メタクリル酸エステル50〜100質量%と、アクリル酸エステル0〜50質量%と、これらと共重合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜49質量%とからなる単量体組成物10〜400質量部を重合させることにより、コア(弾性共重合体を含む層)の表面に、外殻(単量体組成物から形成される重合層)を備えたゴム含有重合体を得ることができる。
上記のゴム含有重合体は、例えば、弾性共重合体用の上記成分を乳化重合法等により、少なくとも一段の反応で重合させて弾性共重合体を得、この弾性共重合体の存在下、上記したメタクリル酸エステルを含む単量体を乳化重合法等により、少なくとも一段の反応で重合させて製造することができる。このような複数段階の重合により、後段で用いるメタクリル酸エステルを含む単量体は弾性共重合体にグラフト共重合され、グラフト鎖を有する架橋弾性共重合体が生成する。すなわち、このゴム含有重合体は、アクリル酸アルキルをゴムの主成分として含む多層構造を有するグラフト共重合体となる。なお、弾性共重合体の重合を二段以上で行う場合、又はその後のメタクリル酸エステルを主成分とする単量体の重合を二段以上で行う場合には、いずれも、各段の単量体組成ではなく、全体としての単量体組成が上記範囲内にあればよい。
上記のゴム含有重合体において、弾性共重合体を構成するために用いるアクリル酸アルキルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜8のものが挙げられる。なかでも、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルのような、アルキル基の炭素数が4〜8のものが好ましい。
ゴム含有重合体において、弾性共重合体を構成するために所望に応じて用いられ、アクリル酸アルキルと共重合可能な他のビニル単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシルのようなメタクリル酸アルキル、スチレン、アクリロニトリルなどが好ましい。
ゴム含有重合体において、弾性共重合体を構成するために用いる共重合性の架橋性単量体は、1分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有するものであればよく、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートのような多塩基酸のポリアルケニルエステル、トリメチロールプロパントリアクリレートのような多価アルコールの不飽和カルボン酸エステル、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。なかでも、不飽和カルボン酸のアルケニルエステルや多塩基酸のポリアルケニルエステルが好ましい。これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、又は必要により2種以上組み合わせて使用することができる。
弾性共重合体にグラフトさせるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸のアルキルエステルが好ましく、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシルのようなアクリル酸アルキルが挙げられ、またメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルに共重合可能な他のビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
グラフトさせる単量体は、弾性共重合体100質量部に対し、好ましくは10〜400質量部、より好ましくは20〜200質量部使用し、少なくとも一段以上の反応で重合することができる。ここでグラフトさせる単量体の使用量を10質量部以上にすると、弾性共重合体の凝集が生じにくく、透明性が良好となる。
また、上記の弾性共重合体層のさらに内側には、メタクリル酸エステルを主体とする硬質重合体層を設けることができる。この場合には、最内層を構成する硬質層の単量体をまず重合させ、得られる硬質重合体の存在下で、上記の弾性共重合体を構成する単量体を重合させ、さらに得られる弾性共重合体の存在下で、上記のメタクリル酸エステルを主体とし、グラフトさせる単量体を重合させればよい。ここで、最内層となる硬質層は、メタクリル酸エステル70〜100質量%と、それと共重合可能な他のビニル単量体0〜30質量%とからなる単量体を重合させたものが好ましい。この際、他のビニル単量体の一つとして、共重合性の架橋性単量体を用いるのも有効である。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキル、特にメタクリル酸メチルが有効である。
ゴム粒子の平均粒子径は0.05〜0.40μmであることが好ましく、0.10〜0.30μmであることがより好ましい。ゴム粒子の平均粒子径を0.05μm以上とすることにより、透明基材の耐衝撃性を良好にしやすくでき、ゴム粒子の平均粒子径を0.40μm以下とすることにより、透明基材の透明性を良好にしやすくできる。なお、ゴム粒子として、平均粒子径の異なる2種類のゴム粒子を用いてもよい。
ゴム粒子の平均粒子径は、例えば、透明基材を垂直に切断したサンプルを作製し、該サンプルのゴム粒子又はゴム粒子以外の素材を酸化ルテニウム等の染色剤で染色し、染色したサンプルの透過電子像を電子顕微鏡で撮像し、撮像された20個の粒子の直径の平均値として算出できる。
なお、ゴム粒子の平均粒子径は、重合開始剤の種類や量、また重合時間などを調節することによって、適当な値に設定することが可能である。
透明基材中のバインダー樹脂とゴム粒子との配合比は、バインダー樹脂の機能(例えば、アクリル樹脂の高い表面硬度)を維持しつつ、成形性を良好にする観点から、バインダー樹脂100質量部を基準として、ゴム粒子が10〜1000質量部であることが好ましく、40〜600質量部であることがより好ましく、100〜250質量部であることがさらに好ましい。
透明基材は、75℃で30分加熱した際の熱収縮率が1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。透明基材の熱収縮率を低くすることにより、成形前の加熱で気相金属蒸着膜の島部が図3(b)のような状態になることを抑制し、成形後の金属光沢の低下を抑制しやすくできる。
本明細書において、75℃、30分の熱収縮率は、JIS K7133:1999に準拠して測定したものであり、MD方向及びTD方向の平均をいうものとする。
透明基材は、成形性及び気相金属蒸着膜の保護のバランスの観点から、50〜250μmであることが好ましく、60〜200μmであることがより好ましく、70〜150μmであることがさらに好ましい。
透明基材の厚みは、例えば、垂直断面を電子顕微鏡等で観察することにより測定できる。
透明基材は、JIS K7136:2000のヘイズが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
また、透明基材は、JIS K7361−1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
透明基材中には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤等の光安定剤、酸化防止剤、滑剤及び帯電防止剤等の任意の添加剤を添加することができる。
<<気相金属蒸着膜>>
気相金属蒸着膜を構成する金属としては、インジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、真鍮、クロム及び亜鉛等の金属、並びに、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、インジウム、スズ、アルミニウム、亜鉛及びこれらの合金から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
また、インジウム蒸着膜は、金属光沢に優れつつ、耐候性が良好である点で最も好ましい。さらに、インジウムは融点が低いため、インジウム蒸着膜は上述した島状構造を取りやすい傾向がある。よって、気相金属蒸着膜がインジウム蒸着膜の場合に、本発明の効果を発揮しやすい点で有効である。
気相金属蒸着膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相蒸着法(PVD)が挙げられる。これらの中でも、あらゆる素材に処理可能である真空蒸着法が好ましい。すなわち、気相金属蒸着膜としては物理的気相蒸着膜が挙げられ、その中でも真空蒸着膜が好ましい。
本発明では、気相金属蒸着膜を、金属蒸着フィルムの光学濃度(OD値)が0.50〜1.27となるように形成するものとする。
金属蒸着フィルムの光学濃度が0.50未満の場合、金属光沢が不足し、金属調加飾成形体の意匠性を良好にすることができない。一方、金属蒸着フィルムの光学濃度が1.27を超える場合、気相金属蒸着膜の島部の密度が高くなり過ぎ、成形前の加熱で気相金属蒸着膜の島部が図3(b)のような状態になり、成形後の金属光沢の低下を抑制できない。また、金属蒸着フィルムの光学濃度が1.27を超える場合、成形時に金属調加飾用部材に熱がかかっても、配列が乱れた島部が元の状態に近づきにくく、金属光沢が回復しにくい。
金属蒸着フィルムの光学濃度は0.80〜1.25であることが好ましく、0.90〜1.23であることがより好ましく、1.00〜1.20であることがさらに好ましい。
本明細書において、光学濃度は、垂直入射した入射光の強度Iと垂直に透過した透過光の強度Tとを用いた「log10(I(λ)/T(λ)」によって示すことができる。(λ)は波長、T(λ) は波長帯における透過光量、I(λ)は波長帯に於ける入射光量を意味する。測定波長は人間の目の感度が高い555nmとすることが好ましい。
本明細書において、光学濃度は20箇所の測定値の平均値をいうものとする。また、光学濃度を測定する際は、透明基材側を光入射面とする。
金属蒸着フィルムの光学濃度は、実質的に気相金属蒸着膜の光学濃度に支配される。このため、金属蒸着フィルムの光学濃度は、例えば、蒸着の時間で調整することができる(蒸着時間を長くすると光学濃度が増加する。)。金属蒸着フィルムの光学濃度は、温度23℃±5℃、湿度40〜65%の環境で測定することが好ましい。
<<プライマー層>>
透明基材と気相金属蒸着膜との間には、気相金属蒸着膜の密着性を高めるためにプライマー層を有することが好ましい。また、プライマー層は、透明基材の微小領域における熱挙動の相違が気相金属蒸着膜に伝わることを抑制し、成形前の加熱時に気相金属蒸着膜の島部の配列が乱れることを抑制しやすくできる。また、成形前の加熱時に気相金属蒸着膜の島部の配列が乱れることを抑制することは、成形時に金属調加飾用部材にかかる熱によって、配列が乱れた島部が元の状態に近づきやすくなり、金属光沢を回復することにもつながる点で有効である。
プライマー層は、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂及びウレタン系樹脂等の各種の樹脂から構成することができる。
プライマー層を構成する樹脂は、透明基材と気相金属蒸着膜との密着性を高める樹脂を選択することが好ましい。例えば、透明基材のバインダー樹脂がアクリル系樹脂の場合、プライマー層はアクリル系樹脂を含むことが好ましい。
また、プライマー層は、樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。プライマー層が樹脂組成物の硬化物を含むことにより、透明基材の微小領域における熱挙動の相違が気相金属蒸着膜に伝わることをより抑制することができ、成形前の加熱時に気相金属蒸着膜の島部の配列が乱れることを抑制しやすくできる。
樹脂組成物の硬化物としては、例えば、主剤としてのアクリルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物との反応生成物(硬化物)が挙げられる。当該硬化物は、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂を含む透明基材との密着性を良好にし得る点でも好適である。
アクリルポリオールとしては、分子中に水酸基を2個以上有するアクリルポリマーであれば、特に制限されない。アクリルポリオールとしては、水酸基含有アクリレートと、水酸基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が好ましい。
水酸基含有アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アクリルポリオールは、これら水酸基含有アクリレート、及び共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
前記アクリルポリオールの数平均分子量は、5,000〜50,000が好ましく、10,000〜30,000がさらに好ましい。アクリルポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の分子量である。
イソシアネート化合物としては、芳香族系、脂肪族系の各種イソシアネート化合物等を使用できる。トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選ばれる1種以上であることが好ましい。この中で、TDIがさらに好ましい。
アクリルポリオールの水酸基に対するイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル比(イソシアネート基/水酸基)は、0.5〜5.0であることが好ましく、0.6〜3.0であることがより好ましく、0.7〜2.0であることがさらに好ましい。該モル比を0.5以上とすることにより、条件1を満たしやすくすることができ、該モル比を5.0以下とすることにより、成形時にクラックが生じることを抑制しやすくできる。
プライマー層の厚みは0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
プライマー層中には、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
<その他の層>
金属調加飾用部材は、上記に例示した以外の層を有していてもよい。
<<保護層>>
金属調加飾用部材は、金属蒸着フィルムの外層側(透明基材の外層側)に保護層を有していてもよい。
保護層は、耐擦傷性の観点から、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、金属調加飾用部材を製造する過程で樹脂層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
保護層の厚みは、0.5〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、3〜10μmであることがさらに好ましい。
<<樹脂基板>>
金属調加飾用部材の金属蒸着フィルムの内層側には樹脂基板を有することが好ましい。
樹脂基板は、例えば、金属調加飾用部材の強度を高めたり、金属調加飾用部材から形成した金属調加飾成形体の形状を保持したりする役割を有する。
樹脂基板の厚みは特に制限されず、例えば、0.1〜10mmの範囲で適宜選択すればよい。なお、金属蒸着フィルムの内層側には、複数枚の樹脂基板を有していてもよい。
樹脂基板は透明であってもよいが、樹脂基板の表面反射を抑制するために、白を除く無彩色(灰色、黒色)であることが好ましく、黒色であることがより好ましい。
このため、樹脂基板は、無彩色とするための顔料を含むことが好ましい。樹脂基板の顔料としては、黒色顔料の単独でもよいし、黒色顔料と他の顔料(白色顔料等)との混合であってもよい。
樹脂基板のバインダー樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
これらのバインダー樹脂の中でも成形時のクラックを抑制する観点から、ABS樹脂を含むことが好ましい。
樹脂基板の全バインダー樹脂に対するABS樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
樹脂基板には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤等の光安定剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤等の任意の添加剤を添加することができる。
樹脂基板は、75℃で30分加熱した際の熱収縮率が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。樹脂基板の熱収縮率を低くすることにより、樹脂基板を起因とする金属光沢の低下を抑制しやすくできる。
<<接着剤層>>
接着剤層は、金属調加飾用部材を構成する各層の接着性を高めるために、必要に応じて形成される層である。接着剤層は、例えば、金属蒸着フィルムと樹脂基板との間に配置することが好ましい。また、樹脂基板を複数有する場合、樹脂基板の間に接着剤層を配置することが好ましい。
接着剤層は、感熱接着剤層及び感圧接着剤層(粘着層)が挙げられる。感圧接着剤層(粘着層)は、貼り合せプロセスの簡便さからより好ましい。
感熱性又は感圧性の樹脂としては、汎用のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂若しくは酢酸ビニル系樹脂、又はこれらの2種以上の混合物若しくは共重合体を用いることができる。
接着剤層の厚みは、接着剤の種類に応じて、0.1〜100μm程度の範囲で調整すればよい。
<金属調加飾用部材の積層構成>
金属調加飾用部材の積層構成の具体例としては、例えば、下記(1)〜(4)が挙げられる。なお、「/」は各層の境界を意味する。また、左側が金属調加飾用部材の外層側、右側は内層側を意味する。
(1)透明基材/気相金属蒸着膜
(2)透明基材/プライマー層/気相金属蒸着膜
(3)透明基材/気相金属蒸着膜/接着剤層/樹脂基板
(4)透明基材/プライマー層/気相金属蒸着膜/接着剤層/樹脂基板
本発明の金属調加飾用部材は、さらに下記条件1を満たすことが好ましい。
<条件1>
ウェーブスキャン装置を用いて、金属調加飾用部材の外層側から測定した写像鮮明性の値をD1とする。次いで、D1の測定を行った金属調加飾用部材を75℃で72時間乾燥する。金属調加飾用部材の外層側の表面温度を室温まで放冷した後、ウェーブスキャン装置を用いて、乾燥した金属調加飾用部材の外層側から測定される写像鮮明性をD2とする。次いで、D2の測定を行った金属調加飾用部材を真空成形する。金属調加飾用部材の外層側の表面温度を室温まで放冷した後、ウェーブスキャン装置を用いて、真空成形した金属調加飾用部材の外層側から測定される写像鮮明性をD3とする。かかる前提において、D2/D1<D3/D1を示す。
D2/D1<D3/D1の関係を示して条件1を満たすことは、成形前の加熱(75℃で72時間乾燥)で低下した写像鮮明性が、真空成形時の熱(金属調加飾用部材をドローダウンさせる際の熱)によって回復することを示している。したがって、条件1を満たすことにより、当初に期待した金属光沢を実現することができる。
D3/D1は0.950以上であることが好ましく、0.960以上であることがより好ましい。D3/D1の上限は特に限定されないが0.999程度である。
D2/D1は0.880以上であることが好ましく、0.900以上であることがより好ましい。D2/D1の上限は特に限定されないが0.990程度である。
また、本発明の金属調加飾用部材は、D3/D2が1.030以上であることが好ましく、1.050以上であることがより好ましい。D3/D2の上限は特に限定されないが1.150程度である。
条件1において、D1(初期状態の金属調加飾用部材の写像鮮明性)は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%の環境で測定することが好ましい。金属調加飾用部材が、金属蒸着フィルムの内層側に樹脂基板等の他の層を有する場合、他の層を形成する過程で金属蒸着フィルムの透明基材に高熱がかかる場合には、そのような高熱がかかる前の状態の構成においてD1を測定することが好ましい。高熱とは例えば70℃以上の熱である。
また、条件1において、金属調加飾用部材を真空成形した後は、温度23℃±5℃、湿度40〜65%の環境で放冷することが好ましい。また、条件1において、室温とは、23℃±5℃を意味する。
また、条件1において、真空成形時の加熱条件は、金属調加飾用部材の表面温度が170秒で180℃となる条件とすることが好ましい。
また、条件1において、D3を測定する箇所は、伸び率50%以下の箇所とすることが好ましく、伸び率30%以下の箇所とすることがより好ましい。なお、成形体の凹凸の角部では、角部を境として傾斜角が変曲する。測定領域に変曲した傾斜面を含む場合、写像鮮明性の正確な測定が期待できない。このため、傾斜角が変曲する領域を含む箇所はD3の測定の対象外とする。
また、条件1において、D1、D2及びD3は20箇所の測定値の平均値をいうものとする。
<金属調加飾用部材の用途>
本発明の金属調加飾用部材は、高度な意匠性が求められる各種の成形体(例えば、通信機器、自動車等の車両体の内外装、家電製品、家具等の部材)に好適に用いることができる。
[金属調加飾成形体]
本発明の金属調加飾成形体は、上述した本発明の金属調加飾用部材から形成されてなるものである。
<金属調加飾成形体の製造方法>
金属調加飾成形体は、例えば、下記(y1)〜(y2)の工程を有する真空成形により、製造することができる。
(y1)金属調加飾用部材を、所定形状の成形面を有する成形型上に設置した後、当該金属調加飾用部材を加熱、軟化させる(成形型上で金属調加飾用部材をドローダウンさせる)。成形型が雄型の場合は、金属調加飾用部材の内層側が成形型(雄型)側を向くように配置し、成形型が雌型の場合は、金属調加飾用部材の外層側が成形型(雌型)側を向くように配置する。
(y2)成形型側から真空吸引して、軟化した金属調加飾用部材を成形型の成形面に沿って密着させることにより、金属調加飾用部材を成形する。
なお、工程(y1)の前に、金属調加飾用部材の内層側と被着体とを貼り合わせた積層体を作製し、該積層体を真空成形してもよい。また、金属調加飾用部材が樹脂基板を有する場合には、工程(y1)の前に、加熱による水分除去工程を行うことが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.測定、評価
金属調加飾用部材について以下の評価、測定を行った。結果を表1に示す。
1−1.光学濃度(OD値)の測定
グレタグマクベス社製の透過濃度計(商品名:D200−II、測定チューブ「V(λ)」)を用い、実施例及び比較例の金属調加飾用部材を構成する金属蒸着フィルムのOD値を測定した。測定チューブとして選択した「V(λ)」は、中心となる最大波長域が555nmである。
1−2.初期の金属光沢
成形前の加熱を行っていない初期状態の金属調加飾用部材の金属光沢を目視で評価した。金属光沢が良好なものを2点、どちらとも言えないものを1点、金属光沢が不十分なものを0点として、20人が評価し、平均点を算出した。そして、平均点ごとに下記の基準でランク分けした。
A:平均点が1.5以上
B:平均点が1.0以上1.5未満
C:平均点が1.0未満
1−3.映り込みの鮮明性の変化
ウェーブスキャン装置(BYKジャパン社製、商品名:ウェーブスキャン デュアル AW−4840)を用い、実施例1〜4及び比較例1の金属調加飾用部材(成形前の加熱処理を行っていない金属調加飾用部材)の透明基材側から写像鮮明性(D1)を測定した。前記測定装置上における写像鮮明性の表示項目は「DOI(Distinctness of Image)」である。同様に、成形前の加熱処理を行った実施例1〜4及び比較例1の金属調加飾用部材の透明基材側から写像鮮明性(D2)を測定した。さらに、実施例1〜4及び比較例1の金属調加飾成形体の写像鮮明性(D3)を測定した。D3を測定する箇所は、伸び率が30%以下の領域から選択した。
「D2/D1」、「D3/D1」及び「D2/D3」を表1に示す。「D3/D1」が0.950以上であれば、初期のDOIからの鮮明性の変化が少なく、成形後に期待した金属光沢を維持できているといえる。
なお、比較例2の金属調加飾用部材は、初期の金属光沢が劣るため、一連のDOIの測定は行わなかった。
2.金属調加飾用部材の作製
[実施例1]
アクリル系ゴム粒子を含有する厚み125μmのアクリル樹脂系フィルムからなる透明基材(住友化学社の商品名「テクノロイ(登録商標)S001G」、全光線透過率:92%、ヘイズ:1.3%、75℃30分の熱収縮率0.5%以下)上に、下記プライマー層形成用塗布液1を塗布、乾燥し、厚み2μmのプライマー層を形成した。プライマー層形成用塗布液1中のイソシアネート基と水酸基とのモル比は1:1である。
次いで、プライマー層上に、真空蒸着法により、表1の光学濃度となるように蒸着時間を調整してインジウム蒸着膜を形成し、金属蒸着フィルムを得た。
次いで、アクリル系感圧接着剤(綜研化学社製、商品名:SKダイン2094、固形分25質量%)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(綜研化学社製、商品名:E−AX、固形分5質量%)0.27質量部を混合し、接着剤層用組成物を得た。シリコーン剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:E7304)の離型処理面に、接着剤層用組成物を乾燥後の厚みが40μmになるように塗布、乾燥し、感圧接着剤層を形成した。
次いで、感圧接着剤層と、金属蒸着フィルムのインジウム蒸着膜側とを貼り合わせた積層体を得た。該積層体を40℃環境で3日間エイジング処理を行った後、シリコーン剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルムを剥離し、露出した感圧接着剤層と、樹脂基板(厚み3.0mmの黒色ABS樹脂フィルム、75℃の熱収縮率0.1%以下)とを貼り合わせ、実施例1の金属調加飾用部材を得た。
<プライマー層形成用塗布液1>
・アクリルポリオール:100質量部
(荒川化学工業株式会社製、商品名:アラコートDA105)
・イソシアネート系化合物:40質量部
(荒川化学工業株式会社製、商品名:アラコートCL102H)
・メチルエチルケトン:25質量部
・酢酸ブチル:20質量部
[実施例2]
透明基材を、アクリル系ゴム粒子を含有する厚み125μmのアクリル樹脂系フィルムからなる透明基材(カネカ社の品番「015NAH」、全光線透過率:92%、ヘイズ:0.6%、75℃30分の熱収縮率0.5%以下)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金属調加飾用部材を得た。
[実施例3]
透明基材を、アクリル系ゴム粒子を含有する厚み125μmのアクリル樹脂系フィルムからなる透明基材(カネカ社の品番「015NAH」、全光線透過率:92%、ヘイズ:0.6%、75℃30分の熱収縮率0.5%以下)に変更し、金属蒸着フィルムの光学濃度を表1の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の金属調加飾用部材を得た。
[比較例1〜2]
蒸着時間を変更し、金属蒸着フィルムの光学濃度を表1の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜2の金属調加飾用部材を得た。
3.成形前加熱処理、金属調加飾成形体の作製
実施例及び比較例の金属調加飾用部材を、75℃で72時間、加熱乾燥して樹脂基板の水分を排出した。
次いで、所望の成形形状の型を用い、該金属調加飾用部材の樹脂基板(黒色ABS樹脂フィルム)側の面を該型に向けて配置して真空成形し(加熱条件:樹脂基板の表面温度が170秒で180℃となる条件)、実施例1〜3及び比較例1〜2の金属調加飾成形体を得た。
得られた金属調加飾成形体を、透明基材側から蛍光灯の照明下の室内で目視で観察したところ、何れもクラックは確認できなかった。なお、実施例1〜3及び比較例1の金属調加飾成形体の透明基材側の面から、上記1−3のDOIの測定を行った。
表1の結果から、実施例の金属調加飾用部材は、D3/D1が0.950以上であり、成形により得られた金属調加飾成形体の金属光沢の低下を抑制し得ることが確認できる。また、実施例の金属調加飾用部材は、D2/D1<D3/D1を示すことから、成形前の加熱で低下した鮮明性(金属光沢)が、成形時に金属調加飾用部材にかかる熱によって回復していることが確認できる。
10:金属蒸着フィルム
11:透明基材
12:気相金属蒸着膜
12a:島部
13:プライマー層
20:接着剤層
30:樹脂基板
100:金属調加飾用部材

Claims (9)

  1. 透明基材上に気相金属蒸着膜を有する金属蒸着フィルムを、前記透明基材が外層側を向くように配置してなる金属調加飾用部材であって、前記透明基材はゴム粒子及びバインダー樹脂を含む透明樹脂基材であり、前記金属蒸着フィルムの光学濃度が0.50〜1.27である、金属調加飾用部材。
  2. 前記ゴム粒子の外殻がアクリル系樹脂を含み、前記バインダー樹脂がアクリル系樹脂を含む、請求項1に記載の金属調加飾用部材。
  3. 前記透明基材を75℃で30分加熱した際の熱収縮率が1.0%以下である、請求項1又は2に記載の金属調加飾用部材。
  4. 前記透明基材と前記気相金属蒸着膜との間にプライマー層を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の金属調加飾用部材。
  5. 前記気相金属蒸着膜がインジウム蒸着膜である、請求項1〜4の何れか1項に記載の金属調加飾用部材。
  6. 前記金属蒸着フィルムの内層側に樹脂基板を有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の金属調加飾用部材。
  7. 前記樹脂基板がバインダー樹脂としてABS樹脂を含む、請求項6に記載の金属調加飾用部材。
  8. さらに下記条件1を満たす、請求項1〜7の何れか1項に記載の金属調加飾用部材。
    <条件1>
    ウェーブスキャン装置を用いて、金属調加飾用部材の外層側から測定した写像鮮明性の値をD1とする。次いで、D1の測定を行った金属調加飾用部材を75℃で72時間乾燥する。金属調加飾用部材の外層側の表面温度を室温まで放冷した後、ウェーブスキャン装置を用いて、乾燥した金属調加飾用部材の外層側から測定される写像鮮明性をD2とする。次いで、D2の測定を行った金属調加飾用部材を真空成形する。金属調加飾用部材の外層側の表面温度を室温まで放冷した後、ウェーブスキャン装置を用いて、真空成形した金属調加飾用部材の外層側から測定される写像鮮明性をD3とする。かかる前提において、D2/D1<D3/D1を示す。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の金属調加飾用部材から形成されてなる、金属調加飾成形体。
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