JP2016122119A - 導電性部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン導電剤のブリードを十分に抑制することができる表層を有する導電性部材を提供する。【解決手段】導電性部材Rは、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。導電性部材Rは、表層1を有している。表層1は、(A)に由来する部位と(B)に由来する部位と(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有している。但し、(A)は、OH基を有するカチオンとアニオンとの塩からなるイオン導電剤、(B)は、ポリイソシアネート、(C)は、シランカップリング剤である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる導電性部材に関する。
従来、電子写真方式の複写機、プリンター、複合機等の画像形成装置が知られている。これら画像形成装置は、帯電した感光体への画像データの露光による潜像の形成、現像、転写媒体への転写、定着等の工程を経て画像形成を行う。そのため、画像形成装置内には、これら工程を実現するために各種の導電性部材が組み込まれている。
例えば、潜像形成工程では、ロール状の導電性部材が帯電部材として用いられている。また、現像工程では、ロール状の導電性部材が現像部材として用いられている。また、転写工程では、ベルト状の導電性部材が転写部材として用いられている。
これら導電性部材では、導電性を得るため、表層にイオン導電剤が添加されることがある。例えば、特許文献1には、2つのOH基を有するイオン液体とポリオールとポリイソシアネートとを含有するウレタン樹脂組成物を硬化してなるウレタンコート層からなる表層を有するロール状の導電性部材が開示されている。
また、特許文献2には、ウレタン樹脂と、2つのOH基を有するイオン液体と、フッ素系界面活性剤とを含有するウレタンコート層からなる表層を有するロール状の導電性部材が開示されている。
特開2011−118113号公報 特開2011−221442号公報
しかしながら、従来技術は、以下の点で問題がある。すなわち、導電性を得るため、表層中に一般的なイオン導電剤を添加した場合、導電性部材の使用中に、表層表面にイオン導電剤がブリードする。表層表面にイオン導電剤がブリードすると、表層表面にトナーが固着しやすくなり、画像不具合が生じやすくなる。
上記に対し、特許文献1に開示されるように、単純にウレタン樹脂成分と反応するイオン導電剤を用い、イオン導電剤を表層中に固定化することが考えられる。しかしながら、この方法では、反応に関与しなかった未反応成分が固定化されずに表層中に残る。そのため、導電性部材の使用中に、未反応のイオン導電剤が表層表面にブリードする。
また、特許文献2に開示されるように、表層中にフッ素系界面活性剤を添加しただけでは、時間が立つにつれ、固定化されていないイオン導電剤が表層表面にブリードする。
このように従来技術では、表層表面へのイオン導電剤のブリードを効果的に抑制することが困難である。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、イオン導電剤のブリードを十分に抑制することができる表層を有する導電性部材を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる導電性部材であって、
表層を有しており、
該表層は、下記(A)に由来する部位と下記(B)に由来する部位と下記(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有することを特徴とする導電性部材にある。
(A)OH基を有するカチオンとアニオンとの塩からなるイオン導電剤
(B)ポリイソシアネート
(C)シランカップリング剤
上記導電性部材は、表層が、上記(A)に由来する部位と上記(B)に由来する部位と上記(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有している。そのため、上記導電性部材は、表層表面へのイオン導電剤のブリードを十分に抑制することが可能となる。これは、以下の理由によるものと推察される。
上記架橋体は、(A)に由来する部位と(B)に由来する部位と(C)に由来する部位とを分子構造中に含んでいる。ここで、(A)イオン導電剤と(B)ポリイソシアネートとは、ウレタン反応による架橋を生じうる。(A)イオン導電剤と(C)シランカップリング剤とは、縮合反応による架橋を生じうる。そのため、上記架橋体には、少なくとも(A)イオン導電剤と(B)ポリイソシアネートとの架橋点、(A)イオン導電剤と(C)シランカップリング剤との架橋点が含まれている。なお、(B)ポリイソシアネートと(C)シランカップリング剤とは、ウレタン反応による架橋を生じうる。そのため、上記架橋体には、(B)ポリイソシアネートと(C)シランカップリング剤との架橋点も含まれうる。上記導電性部材では、上記架橋体の分子構造中にイオン導電剤が十分に取り込まれることにより、イオン導電剤が表層中に十分に固定化される。その結果、表層中を自由に動くことができる未反応のイオン導電剤が減少する。それ故、上記導電性部材は、表層表面へのイオン導電剤のブリードを十分に抑制することが可能となる。
実施例1の導電性部材を模式的に示した説明図である。 図1のII−II断面図である。 実施例2の導電性部材を模式的に示した説明図である。 図3のIV−IV断面図である。
上記導電性部材は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる部材である。電子写真方式の画像形成装置としては、具体的には、帯電像を用いる電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、オンデマンド印刷機等の画像形成装置を例示することができる。
上記導電性部材は、具体的には、現像部材、帯電部材、または、転写部材として用いることができる。この場合には、表層表面にトナーが固着し難く、長期にわたって良好な画像を形成しやすい画像形成装置に用いて好適な現像部材、帯電部材、または、転写部材が得られる。なお、転写部材としては、具体的には、中間転写部材を例示することができる。中間転写部材は、感光体に担持されたトナー像を当該部材に一次転写した後、このトナー像を当該部材から用紙等の転写材へ二次転写するためのものである。
上記導電性部材は、具体的には、例えば、(1)軸体と、軸体の外周面に沿って形成されたゴム弾性層と、ゴム弾性層の外周面に沿って形成された表層とを有する構成、(2)軸体と、軸体の外周に沿って形成された表層とを有する構成、(3)筒状に形成された基層と、基層の外周面に沿って形成されたゴム弾性層と、ゴム弾性層の外周面に沿って形成された表層とを有する構成、(4)筒状に形成された基層と、基層の外周面に沿って形成された表層とを有する構成などとすることができる。構成(1)、(2)は、現像部材や帯電部材、構成(3)、(4)は、転写部材に好適である。
ここで、表層は、(A)に由来する部位と(B)に由来する部位と(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有している。但し、(A)は、OH基を有するカチオンとアニオンとの塩からなるイオン導電剤、(B)は、ポリイソシアネート、(C)は、シランカップリング剤である。
上記架橋体は、さらに、(D)に由来する部位を分子構造中に含むことができる。但し、(D)は、ポリオールである。
(D)ポリオールと(B)ポリイソシアネートとは、ウレタン反応による架橋を生じうる。(D)ポリオールと(C)シランカップリング剤とは、縮合反応による架橋を生じうる。そのため、この場合、上記架橋体には、さらに、(D)ポリオールと(B)ポリイソシアネートとの架橋点、(D)ポリオールと(C)シランカップリング剤との架橋点が含まれる。したがって、この場合には、ウレタン系の表層を構成しやすくなる。
上記架橋体において、(A)イオン導電剤は、1種または2種以上併用することができる。イオン導電剤を構成するカチオンは、OH基を1つ以上含んでおればよい。上記カチオンは、反応性などの観点から、好ましくは、OH基を1〜6つ、より好ましくは、OH基を1〜3つ含むことができる。上記OH基を有するカチオンとしては、具体的には、例えば、アンモニウム系カチオン、イミダゾリウム系カチオン、ピロリジニウム系カチオン、ピペリジニウム系カチオン、ピリジニウム系カチオン、ホスホニウム系カチオン、チアゾリウム系カチオン、スルホニウム系カチオンなどを例示することができる。
また、イオン導電剤を構成するアニオンとしては、具体的には、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)アニオンや、ClO 、Br、Cl等のハロゲンイオン、テトラフェニルボレート等のホウ素系イオン、ヘキサフルオロホスフィート等のリン系イオンなどを例示することができる。これらのうち、上記アニオンとしては、表層の低電気抵抗化に有利であるなどの観点から、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド(FSI)アニオンを好適に用いることができる。
上記架橋体において、(B)ポリイソシアネートは、1種または2種以上併用することができる。また、ポリイソシアネートは、イソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体のいずれの構造を有していてもよい。
ポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、脂肪族、脂環族または芳香族のポリイソシアネートあるいはこれらポリイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体等の誘導体などを例示することができる。より具体的には、脂肪族、脂環族または芳香族のジイソシアネートあるいはこれらジイソシアネートのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体等の誘導体などを例示することができる。
ポリイソシアネートとしては、より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)系、キシレンジイソシアネート(XDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)系、水添キシレンジイソシアネート(H6XDI)、水添キシレンジイソシアネート(H6XDI)系、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)系、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)系、これらのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体等の誘導体等を例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。なお、上記にいう「系」は、ベースとなるイソシアネートモノマーが同じであるポリイソシアネート、そのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体等の誘導体を包括的に含む意味である。つまり、例えば、「ヘキサメチレンジイソシアネート系」の場合であれば、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースにした各種のポリイソシアネート、そのイソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体等の誘導体が含まれる。他についても同様である。また、ポリイソシアネ−トは、変性されていてもよい。
上記架橋体において、(C)シランカップリング剤は、1種または2種以上併用することができる。シランカップリング剤は、具体的には、例えば、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、および、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種を含有することができる。この場合には、(A)イオン導電剤との反応性が向上するため、未架橋のイオン導電剤を低減しやすくなり、表層表面へのイオン導電剤のブリードをより一層抑制しやすくなる。なお、上記アミノ基は、1級、2級の活性水素を残すアミンであるとよい。
シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、トリアルコキシシリル系シランカップリング剤、ジアルコキシシリル系シランカップリング剤などを例示することができる。シランカップリング剤としては、より具体的には、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどを例示することができる。
上記架橋体において、(D)ポリオールは、1種または2種以上併用することができる。ポリオールとしては、具体的には、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどを例示することができる。上記ポリオールは、イオン導電性等の観点から、好ましくは、ポリエーテルポリオールであるとよい。
ポリオールとしては、より具体的には、例えば、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが1種または2種以上付加重合されたポリエーテルポリオール、テトラヒドロフランを開環重合させて得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)などを例示することができる。
上記架橋体は、さらに、反応性のポリマーに由来する部位を分子構造中に含むことができる。反応性のポリマーは、1種または2種以上併用することができる。但し、反応性のポリマーは、上記(A)〜(C)((D)を用いる場合は、(A)〜(D))の少なくとも1つと反応可能な官能基を1または2以上有している。当該官能基としては、例えば、OH基、カルボキシル基、アミノ基、アルコキシシリル基、グリシジル基、メルカプト基等を例示することができる。
この場合には、架橋体の分子構造中に分子量の大きなポリマーに由来する部位が含まれるため、イオン導電剤の表層表面へのブリードをより抑制しやすくなる。
上記反応性のポリマーとしては、具体的には、例えば、水酸基含有ポリウレタン樹脂;イソシアネート基含有ポリウレタン樹脂;カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリル;アミノ基末端ブタジエンアクリロニトリル;メラミン樹脂;フェノール樹脂;ポリビニルアルコール;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリ無水酢酸類;メチロールメラミン樹脂;エポキシ樹脂;ポリアミン;ポリアクリルアミド;カルボン酸含有(メタ)アクリル樹脂;イソシアネート基含有(メタ)アクリル樹脂;水酸基含有(メタ)アクリル樹脂などを例示することができる。なお、(メタ)アクリルは、アクリル、メタクリルの両方を包含する意味である(以下、省略)。
表層は、上記架橋体より構成されていてもよいし、上記架橋体を構成する各成分と反応しない非反応性のポリマーを1または2以上含んで構成されていてもよい。
上記非反応性のポリマーとしては、具体的には、例えば、ウレタン樹脂;ウレタンシリコーン樹脂;ウレタンフッ素樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;(メタ)アクリル樹脂;(メタ)アクリルシリコーン樹脂;(メタ)アクリルフッ素樹脂;フッ素樹脂;アセタール樹脂;ポリエステル樹脂;ポリエーテル樹脂;カーボネート樹脂;ポリビニルピロリドン;ポリビニルメチルエーテル;カゼイン、ゼラチン、澱粉およびこれらの共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレンおよび他のオレフィン系単量体との共重合樹脂等のオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のスチレン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂;ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂およびこれらの誘導体または変性体;ポリイソブチレン;ポリテトラヒドロフラン;ポリアニリン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);ポリイソプレン;ポリブタジエン等のポリジエン類;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン類;ポリスルホン類;ポリイミン類;;ポリ尿素類;ポリスルフィド類;ポリフォスファゼン類;ポリケトン類;ポリフェニレン類;ポリハロオレフィン類およびこれらの誘導体などを例示することができる。
上記表層は、他にも、電子導電剤、表面改質剤、粗さ形成用粒子、難燃剤、充填剤、架橋剤、架橋助剤、加硫剤、加硫促進剤、受酸剤、滑剤、触媒などの添加剤を1種または2種以上含むことができる。
なお、電子導電剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系導電材料、チタン酸バリウム、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は導電性を意味する。)等の導電性の金属酸化物や金属ナノ粒子などを例示することができる。
上記表層の厚みは、特に限定されるものではなく、耐摩耗性、柔軟性などを考慮して最適な厚みとすることができる。表層の厚みは、例えば、1〜100μm程度とすることができる。
上記表層は、具体的には、例えば、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを少なくとも含む組成物より構成される表層形成用組成物を熱処理(架橋)することにより得ることができる。なお、上記組成物には、上述した(D)成分、反応性のポリマー、および、非反応性のポリマーからなる群より選択される1または2以上が含まれていてもよい。
より具体的には、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを少なくとも含む表層形成用組成物に含まれうるモノマー、オリゴマー、ポリマーの各成分の合計100質量部に対し、(A)イオン導電剤の含有量は、表層に適する体積電気抵抗率を確実に確保しやすくする観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上とすることができる。また、(A)イオン導電剤の含有量は、耐ブリード性を確保しやすくする等の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下とすることができる。
また、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを少なくとも含む表層形成用組成物に含まれうるモノマー、オリゴマー、ポリマーの各成分の合計100質量部に対し、(C)シランカップリング剤の含有量は、架橋性等の観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上とすることができる。また、(C)シランカップリング剤の含有量は、材料強度の低下を抑制しやすくなる等の観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下とすることができる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の導電性部材について、図面を用いて説明する
(実施例1)
実施例1の導電性部材について、図1、図2を用いて説明する。図1、図2に示されるように、本例の導電性部材Rは、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。導電性部材Rは、ロール形状に形成されており、現像部材(現像ロール)または帯電部材(帯電ロール)として用いることができる。
導電性部材Rは、表層1を有している。本例の導電性部材Rは、具体的には、芯金よりなる軸体2と、軸体2の外周面に沿って形成された導電性を有するゴム弾性層3とをさらに有している。但し、軸体2の両端部は、ゴム弾性層3の両端面から突出した状態とされている。そして、このゴム弾性層3の外周面に沿って表層1が形成されている。
表層1は、(A)に由来する部位と(B)に由来する部位と(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有している。但し、(A)は、OH基を有するカチオンとアニオンとの塩からなるイオン導電剤である。(B)は、ポリイソシアネートである。(C)は、シランカップリング剤である。本例では、表層1は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを少なくとも含む表層形成用組成物を熱処理(架橋)することにより形成されている。
(実施例2)
実施例2の導電性部材について、図3、図4を用いて説明する。図3、図4に示されるように、本例の導電性部材Bは、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。導電性部材Bは、ベルト状に形成されており、転写部材(中間転写ベルト)として用いることができる。
本例の導電性部材Bは、表層4を有している。本例の導電性部材Bは、具体的には、導電性を有する樹脂材料より形成された筒状の基層5をさらに有している。そして、この基層5の外周面に沿って表層4が形成されている。
表層4は、(A)に由来する部位と(B)に由来する部位と(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有している。但し、(A)は、OH基を有するカチオンとアニオンとの塩からなるイオン導電剤である。(B)は、ポリイソシアネートである。(C)は、シランカップリング剤である。本例では、表層4は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを少なくとも含む表層形成用組成物を熱処理(架橋)することにより形成されている。
(実験例)
以下、実験例を用いてより具体的に説明する。
<材料の準備>
表層形成用組成物の調製に用いる各材料として以下のものを準備した。
−(A)イオン導電剤−
表1に示す各カチオンと各アニオンとの塩からなるイオン導電剤(1)〜(4)を準備した。なお、イオン導電剤(4)は、比較用であり、カチオンがOH基を有していない。
Figure 2016122119
・イオン導電剤(1)
500mLのフラスコに、塩化ビスポリオキシエチレンアルキル(C8〜C18)メチルアンモニウム(ライオン社製、「エソガードC/25」)44.0g(0.05mol)、ビス(フルオロスルホニル)イミドカリウム11.0g(0.05mol)、および、アセトニトリル63.1gをはかりとり、室温で3時間撹拌した。得られた反応液をろ過した後、ろ液を濃縮・乾燥することにより、イオン導電剤(1)を得た。
・イオン導電剤(2)
500mLのフラスコに、塩化ビスポリオキシエチレンアルキル(C8〜C18)メチルアンモニウム(ライオン社製、「エソガードC/25」)44.0g(0.05mol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム16.8g(0.05mol)、および、イオン交換水103.9gをはかりとり、室温で3時間撹拌した。得られた反応液にメチルイソブチルケトン110.2gを加えて抽出、分液し、有機層をイオン交換水110.2gを用いて3回洗浄した。得られた有機層を、濃縮・乾燥することにより、イオン導電剤(2)を得た。
・イオン導電剤(3)
500mLのフラスコに、3−ベンジル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムクロリド13.5g(0.05mol)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム16.0g(0.05mol)、および、アセトニトリル35.4gをはかりとり、室温で3時間撹拌した。得られた反応液をろ過した後、ろ液を濃縮・乾燥することにより、イオン導電剤(3)を得た。
・イオン導電剤(4)
テトラブチルアンモニウムクロリド(東京化成工業社製)
−(B)ポリイソシアネート−
・HDIのイソシアヌレート体(東ソー社製、「コロネートHX」)
−(C)シランカップリング剤−
・シランカップリング剤(1)(メルカプト基含有)(信越シリコーン社製、「KBM803」)
・シランカップリング剤(2)(エポキシ基含有)(信越シリコーン社製、「KBM403」)
・シランカップリング剤(3)(イソシアネート基含有)(信越シリコーン社製、「KBE9007」)
・シランカップリング剤(4)(アミノ基含有)(信越シリコーン社製、「KBM903」)
−(D)ポリオール−
・2官能エーテル系ポリオール(ADEKA社製、「アデカポリエーテルP−1000」)
−ポリマー成分−
・エステル系ポリウレタン樹脂(東ソー社製、「ニッポラン5196」)
なお、このエステル系ポリウレタン樹脂は、上記(A)〜(D)成分と反応しない非反応性のポリマーである。
・OH基含有アクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、「アクリット6540MA」)
なお、このOH基含有アクリル樹脂は、上記(B)、(C)成分と反応しうる反応性のポリマーである。
(その他)
・電子導電剤(カーボンブラック)(ライオン社製、「ケッチェンEC300J」)
<表層形成用組成物の調製>
表2〜表4に示される所定の配合量(質量部)の各材料を、濃度20質量%となるようにMEKに溶解し、三本ロールを用いて十分に混合、分散させた。これにより、各導電性部材の表層の形成に用いるための各表層形成用組成物を調製した。
<ゴム弾性層形成用材料の調製>
導電性シリコーンゴム(信越化学工業社製、「X−34−264A/B、混合質量比A/B=1/1」)をスタティックミキサーにて混合することにより、ゴム弾性層形成用材料を調製した。
<導電性部材の作製>
軸体として、直径6mmの中実円柱状の鉄棒を準備し、外周面に接着剤を塗布した。この軸体をロール成形用金型の中空空間にセットした後、上記調製したゴム弾性層形成用材料を中空空間内に注入し、190℃で30分間加熱して硬化させ、脱型した。これにより、軸体の外周面に沿って導電性シリコーンゴムよりなるロール状のゴム弾性層(厚み3mm)を形成した。
次いで、上記ゴム弾性層の外周面に、ロールコート法により、上記調製した各表層形成用組成物を塗工した後、120℃で60分間加熱して硬化させ、表層(厚み15μm)を形成した。これにより、試料1〜試料18のロール状の各導電性部材を作製した。
<基本物性>
表層の基本物性として、表層の体積電気抵抗率と架橋度とを測定した。
−表層の体積電気抵抗率の測定−
PETフィルムの表面に、バーコート法により各表層形成用組成物を塗工し、この塗膜を120℃で60分間加熱して硬化させることにより、厚み40μmの単膜試料を作製した。次いで、各単膜試料を一対のゴム電極にて挟持し、23℃×30%RHの環境下にて、ゴム電極間に10Vの電圧を印加することにより、3箇所の体積抵抗値(Ω)を測定した。得られた3箇所の体積抵抗値(Ω)から体積電気抵抗率ρv(Ω・cm)を算出し、その平均値を各単膜試料の体積電気抵抗率(Ω・cm)とした。本例では、体積電気抵抗率が1×10未満であった場合を、電子写真方式の画像形成装置に用いられる導電性部材の表層に適すると判断した。体積電気抵抗率が1×10以上であった場合を、電子写真方式の画像形成装置に用いられる導電性部材の表層に適しないと判断した。
−表層の架橋度の測定−
上記作製した各単膜試料から約0.5gの各試験片を切り取り、初期重量M1を測定した。次いで、各試験片を70mlのMEK中に浸漬させ、そのまま4時間放置した。その後、各試験片を取り出し、オーブンにて120℃で30分間乾燥させた。次いで、各試験片の溶剤抽出後重量M2を測定した。そして、(M2/M1)×100の計算式にて架橋度(%)を算出した。
<耐ブリード性>
表層表面にイオン導電剤がブリードすると、表層表面にトナーが固着しやすくなる。そのため、本例では、表層表面に固着するトナー面積を測定することにより、イオン導電剤のブリードが抑制されているか否かを評価した。
具体的には、カラーレーザービームプリンター(キヤノン(株)製、「LBP5050」)のイエロートナーを、導電性部材の表層の表面全面に均一にまぶした後、そのまま50℃×95%RHの環境下に3日間放置した。その後、エアブローにより、導電性部材の表層表面のトナーを吹き飛ばした。この際、エアブローは、エアーダスターガン(近畿製作所社製、「K−601−0」、ノズル口径φ2mm、空気流量120L/min.)を用い、ノズルから対象物までの距離を200mmとし、部材に対して3往復エアーを吹き付けることにより行った。次いで、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、「VK−X200」)を用いて、表層表面を観察した。そして、観察した表層表面の面積に対する固着トナーの面積割合が30%未満であった場合を、表層表面へのイオン導電剤のブリードが十分に抑制されているとして「A」とした。また、上記固着トナーの面積割合が30%以上であった場合を、表層表面へのイオン導電剤のブリードが十分に抑制されていないとして「C」とした。
以下、各導電性部材試料の詳細な構成と評価結果とをまとめて表2〜表4に示す。
Figure 2016122119
Figure 2016122119
Figure 2016122119
表1〜表4によれば、以下のことがわかる。すなわち、試料14は、表層形成用組成物にイオン導電剤が配合されていない。そのため、試料14の表層は、導電性が悪く、本例においては、電子写真方式の画像形成装置に用いられる導電性部材の表層として適していないと判断された。なお、試料14の表層は、イオン導電剤を用いていないので、表層表面にイオン導電剤に起因するブリードが認められないのは当然の結果である。なお、試料18も、表層形成用組成物にイオン導電剤が配合されていない。そのため、試料14と同様の結果であった。
試料15では、OH基を有さないイオン導電剤が用いられている。そのため、試料15の表層は、分子構造中にイオン導電剤に由来する部位を含む架橋体を有しておらず、表層中にイオン導電剤が自由に動き回れる状態で存在する。そのため、試料15は、表層表面へのイオン導電剤のブリードを十分に抑制することができない。
試料16は、表層形成用組成物にシランカップリング剤が配合されていない。そのため、試料16の表層では、イオン導電剤とシランカップリング剤との縮合反応による架橋が生じず、架橋体の分子構造中に取り込まれないイオン導電剤が表層中に残りやすい。そのため、試料16は、表層表面へのイオン導電剤のブリードを十分に抑制することができない。
試料17は、表層形成用組成物にポリイソシアネートが配合されていない。そのため、試料17の表層は、架橋体を有することができない。
これらに対し、試料1〜試料13は、架橋度の測定結果から明らかなように、表層形成用組成物が十分に架橋して表層が形成されている。したがって、試料1〜試料13は、表層形成用組成物の配合から明らかなように、表層が、各表に示される(A)に由来する部位と(B)に由来する部位と(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有している。そのため、試料1〜試料13は、表層表面へのイオン導電剤のブリードを十分に抑制することができている。これは、上記架橋体中にイオン導電剤が十分に取り込まれた結果、イオン導電剤が表層中に十分に固定化され、表層中を自由に動くことができる未反応のイオン導電剤が減少したためであると考えられる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
R、B 導電性部材
1 表層

Claims (4)

  1. 電子写真方式の画像形成装置に用いられる導電性部材であって、
    表層を有しており、
    該表層は、下記(A)に由来する部位と下記(B)に由来する部位と下記(C)に由来する部位とを分子構造中に含む架橋体を有することを特徴とする導電性部材。
    (A)OH基を有するカチオンとアニオンとの塩からなるイオン導電剤
    (B)ポリイソシアネート
    (C)シランカップリング剤
  2. 上記架橋体は、分子構造中に下記(D)に由来する部位を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性部材。
    (D)ポリオール
  3. 上記(C)シランカップリング剤は、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、および、アミノ基からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の導電性部材。
  4. 上記導電性部材は、現像部材、帯電部材、または、転写部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性部材。
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