JP2016121221A - 水性防錆塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高張力鋼材に対しても所望の防錆効果を確保できる水性防錆塗料組成物の提供。【解決手段】水性樹脂としての水分散型エポキシエステル樹脂と、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムと、溶媒としてのイオン交換水とを含有する水性防錆塗料組成物。アミノリン酸マグネシウムは、水性防錆塗料組成物中に1〜3重量%の範囲内で含有し、水性樹脂の固形分100重量部に対して、9重量部〜30重量部の範囲内で配合する水性防錆塗料組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、クロム系や鉛系等の有害重金属を含む防錆剤を使用せず、また、溶媒として水を用いる水性防錆塗料組成物に関するもので、特に、強度の高い高張力(High Tensile Steel;HTTS 「ハイテン」、「高張力鋼材」とも呼ばれる)鋼材に対しても、良好な防錆性を発揮できる水性防錆塗料組成物に関するものである。
近年、地球温暖化の抑制や地球環境の保護等の環境問題を配慮し、自動車業界では、燃費向上を主目的として、鋼板の薄肉化による車体軽量化が積極的に行われている。一方で、自動車の衝突時における耐衝突性を向上させて安全性をより確保する観点から、車体を軽量化しつつも、高い車体強度を維持する必要性が生じている。
そこで、車体の軽量化と安全性向上を両立するため、強度の高い高張力鋼材の適用が拡大している。
そこで、車体の軽量化と安全性向上を両立するため、強度の高い高張力鋼材の適用が拡大している。
ところで、自動車用鋼材の分野においては、車体の耐食性を確保するために、鋼材に対して防錆塗料を塗装することが行われている。
従来、自動車の表面塗装に用いられる防錆塗料には、防錆性に優れるクロム系や鉛系等の有害重金属が含まれていたり、有機溶剤を溶媒として用いた溶剤系塗料が広く利用されていたりした。しかし、近年、地球環境保全や環境保護の観点から、従来のクロム系や鉛系等の有害重金属を含む防錆剤を使用した塗料からの脱却が要請されている。また、大気汚染防止法の改正等によって揮発性有機化合物(VOC)の排出規制が厳しくなってきており、地球環境保全や環境保護を図るためにも、VOCを多量に含有する溶剤系塗料からVOCの排出量を削減できる水性塗料への転換が進んでいる。
従来、自動車の表面塗装に用いられる防錆塗料には、防錆性に優れるクロム系や鉛系等の有害重金属が含まれていたり、有機溶剤を溶媒として用いた溶剤系塗料が広く利用されていたりした。しかし、近年、地球環境保全や環境保護の観点から、従来のクロム系や鉛系等の有害重金属を含む防錆剤を使用した塗料からの脱却が要請されている。また、大気汚染防止法の改正等によって揮発性有機化合物(VOC)の排出規制が厳しくなってきており、地球環境保全や環境保護を図るためにも、VOCを多量に含有する溶剤系塗料からVOCの排出量を削減できる水性塗料への転換が進んでいる。
ここで、クロム系や鉛系の有害重金属を含む防錆剤を使用しない水性塗料の一例として、
特許文献1の発明がある。
特許文献1の発明がある。
特許文献1では、水酸基含有エポキシ樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂等の水酸基含有樹脂と、架橋剤と、防錆顔料混合物とを含有する塗料組成物であって、防錆顔料混合物が、三酸化モリブデン、モリブデン酸ナトリウム及びモリブデン酸アンモニウムのうちの少なくとも1種のモリブデン酸化合物、金属がカルシウム、マグネシウム、亜鉛から選ばれる金属である金属珪酸塩、及び金属塩の金属がカルシウム、マグネシウム、亜鉛及びアルミニウムから選ばれる金属であるリン酸系金属塩からなる塗料組成物が開示されている。なお、防錆顔料混合物のリン酸系金属塩としては、リン酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸ニ水素カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸一水素マグネシウム、リン酸ニ水素マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸一水素亜鉛、リン酸ニ水素亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸一水素アルミニウム、リン酸ニ水素アルミニウム、トリポリリン酸カルシウム、トリポリリン酸マグネシウム、トリポリリン酸亜鉛及びトリポリリン酸アルミニウムが記載されている。
この特許文献1によれば、水系塗料であってもよいことが記載されており、特に、亜鉛系メッキ鋼板における耐食性の向上に効果的で、主にモリブデン酸化合物のモリブテン酸イオンがクロム系塗料のクロム酸イオンと似た機構でメッキ鋼板に作用することで、耐食性を発揮できると説明されている。
この特許文献1によれば、水系塗料であってもよいことが記載されており、特に、亜鉛系メッキ鋼板における耐食性の向上に効果的で、主にモリブデン酸化合物のモリブテン酸イオンがクロム系塗料のクロム酸イオンと似た機構でメッキ鋼板に作用することで、耐食性を発揮できると説明されている。
ところが、このような従来使用される防錆顔料を水性塗料に使用した場合では、一般鋼材(JISのSS材;最も一般的なSS4000材の引張強度は400Pa以下)に対しては防錆性を発揮できるものの、一般鋼材よりも強度を高めた高張力鋼材(一般的に、引張強度は490Pa以上)に対しては、溶剤系塗料と同等の防錆性を確保することが困難である。
これは、高張力鋼材が、強度確保のために鉄以外の金属及び炭素を含んだ合金になっており、異種金属を含有することで内部電池が発生して電気腐食が起こりやすいこと、また、強度が強いために成形時にかかる力が大きく金属疲労が起こりやすいこと、さらに、強度向上により鋼材の延展性が小さくなり、成形時にかかる応力が蓄積しやすいこと等を要因として、一般鋼材よりも腐食し易いためであると推定される。
特に、高張力鋼材においては、一般鋼材よりも合金元素が多量に添加されていることで、亜鉛等のメッキを施してもメッキ不良が生じやすく、さらに、高張力鋼材の車体への適用にあたっては、軽量化のために薄肉化された鋼板が使用されることから、耐食性の確保は深刻である。
特に、高張力鋼材においては、一般鋼材よりも合金元素が多量に添加されていることで、亜鉛等のメッキを施してもメッキ不良が生じやすく、さらに、高張力鋼材の車体への適用にあたっては、軽量化のために薄肉化された鋼板が使用されることから、耐食性の確保は深刻である。
このような高張力鋼材の特殊性から、高張力鋼材の表面塗装に用いられる塗料に関しては溶剤系塗料の代替えとなる水性塗料への転換が進んでおらず、高張力鋼材に対して所望の防錆性を確保できる水性塗料の開発が望まれている。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高張力鋼材に対しても所望の防錆効果を確保できる水性防錆塗料組成物の提供を課題とするものである。
請求項1の発明の水性防錆塗料組成物は、水性樹脂と、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムと、溶媒としての水とを含有するものである。
ここで、上記水性は、水溶性または水分散性を意味する。
ここで、上記水性は、水溶性または水分散性を意味する。
請求項2の発明の水性防錆塗料組成物の前記アミノリン酸マグネシウムは、前記水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内で含有されているものである。即ち、前記水性防錆塗料組成物全体の総量を100重量部としたとき、前記アミノリン酸マグネシウムの含有量が1重量部〜3重量部の範囲内であるものである。より好ましくは、前記アミノリン酸マグネシウムが前記水性防錆塗料組成物中に2重量%〜3重量%の範囲内で含有されているものである。
請求項3の発明の水性防錆塗料組成物の前記アミノリン酸マグネシウムは、前記水性樹脂の固形分(樹脂分)100重量部に対して、9重量部〜30重量部の範囲内、より好ましくは、19重量部〜30重量部の範囲内で配合されているものである。
請求項4の発明の水性防錆塗料組成物は、前記水性樹脂が水分散型エポキシエステル樹脂であるものである。
請求項1の水性防錆塗料組成物は、水性樹脂と、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムと、溶媒としての水とを含有する。
本発明者らは、高強度であるが錆が生じやすい高張力鋼材に対しても優れた防錆性を確保できる水性塗料について鋭意実験研究を重ねた結果、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムを使用することで、高張力鋼材に対しても所望の防錆効果を確保でき、かつ、耐ブリスター(ふくれ)性も良好である塗膜を形成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
本発明者らは、高強度であるが錆が生じやすい高張力鋼材に対しても優れた防錆性を確保できる水性塗料について鋭意実験研究を重ねた結果、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムを使用することで、高張力鋼材に対しても所望の防錆効果を確保でき、かつ、耐ブリスター(ふくれ)性も良好である塗膜を形成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
これは、防錆顔料としてイオン化傾向の高いカルシウムやナトリウムの化合物を使用した場合、カルシウムイオンやナトリウムイオンの溶出速度が速くて、耐水付着性(耐水性)が低下しやしくブリスターが生じやすいが、アミノリン酸マグネシウムを使用することで、適度な溶出性でマグネシウムイオンや(アミノ)リン酸イオンが溶出するため、耐水付着性の低下やブリスターの発生を抑制できるうえ、長期にわたって犠牲防食作用を発揮でき防錆性に優れるものと推定される。特に、無塗装の鋼材に塗装した際には、犠牲防食作用に加え、アミノリン酸マグネシウムから溶出したマグネシウムイオンや(アミノ)リン酸イオンによる不動態皮膜も形成されることで、高張力鋼材に対しても十分な防錆効果を示すものと思われる。
請求項2の水性防錆塗料組成物は、前記アミノリン酸マグネシウムが前記水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内で含有されている。
即ち、アミノリン酸マグネシウムの含有量が水性防錆塗料組成物中に1重量%未満である場合、量が少なすぎて高張力鋼材に対してアミノリン酸マグネシウムによる防錆効果が十分に発揮されず、実用的でない。一方で、アミノリン酸マグネシウムの含有量が3重量%を超えると、耐水付着性が低下してブリスターが発生しやすくなり、防錆効果も低下する。
したがって、アミノリン酸マグネシウムの含有量が水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内であることで、高張力鋼材に対しても十分な防錆効果を確保でき、かつ、良好な耐ブリスター性を有する塗膜を確実に形成できる。
より好ましくは、アミノリン酸マグネシウムの含有量が水性防錆塗料組成物中に2重量%〜3重量%の範囲内とすることで、より高い防錆性及び耐ブリスター性を得ることができる。
したがって、アミノリン酸マグネシウムの含有量が水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内であることで、高張力鋼材に対しても十分な防錆効果を確保でき、かつ、良好な耐ブリスター性を有する塗膜を確実に形成できる。
より好ましくは、アミノリン酸マグネシウムの含有量が水性防錆塗料組成物中に2重量%〜3重量%の範囲内とすることで、より高い防錆性及び耐ブリスター性を得ることができる。
請求項3の水性防錆塗料組成物によれば、前記水性樹脂の固形分100重量部に対して、前記防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量が9重量部〜30重量部の範囲内であるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、水性樹脂の固形分(樹脂分)に対するアミノリン酸マグネシウムの配合量が適切な範囲となり、より確実に高張力鋼材に対しても十分な防錆効果を示し、かつ、良好な耐ブリスター性を有する塗膜を形成できる。
より好ましくは、前記水性樹脂の固形分100重量部に対して、前記アミノリン酸マグネシウムの配合量を19重量部〜30重量部の範囲内とすることで、防錆性及び耐ブリスター性が向上する。
より好ましくは、前記水性樹脂の固形分100重量部に対して、前記アミノリン酸マグネシウムの配合量を19重量部〜30重量部の範囲内とすることで、防錆性及び耐ブリスター性が向上する。
請求項4の水性防錆塗料組成物によれば、前記水性樹脂が水分散型エポキシエステル樹脂であることから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、鋼材への密着性及び耐食性に優れた塗膜を形成できる。
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。
なお、実施の形態において、表1や表2の同一欄に記載の数値は、数量の大きさを示すものであり、基本的に材料に違いはないので、ここでは重複する説明を省略する。
なお、実施の形態において、表1や表2の同一欄に記載の数値は、数量の大きさを示すものであり、基本的に材料に違いはないので、ここでは重複する説明を省略する。
本発明の実施の形態の水性防錆塗料組成物は、少なくとも水性樹脂と、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムと、溶媒としての水とを含有するものである。
水性樹脂としては、水に溶解可能な水溶性樹脂または水に分散可能な水分散性樹脂であればよく、例えば、エポキシエステル樹脂、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む)、アクリルシリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、ウレア系樹脂、スチレン−ブタジエン−ラテックス(SBR)等が挙げられ、これらを単体または組み合わせて用いることができる。エマルジョン樹脂やディスパージョン樹脂であってもよい。
特に、エポキシエステル樹脂は、高張力鋼材への密着性や、耐食性、耐加水分解性、耐薬品性等に優れることから、高張力鋼材上に形成する塗膜成分の樹脂として好適である。
なお、エポキシエステル樹脂は、エポキシ樹脂と酸成分が付加・縮合反応によってエステル結合されてなるものである。使用されるエポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ樹脂に付加・縮合させる酸成分としては、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和脂肪酸類等が挙げられる。
なお、エポキシエステル樹脂は、エポキシ樹脂と酸成分が付加・縮合反応によってエステル結合されてなるものである。使用されるエポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ樹脂に付加・縮合させる酸成分としては、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和脂肪酸類等が挙げられる。
このエポキシエステル樹脂は、水に安定して溶解または分散されるものであればよいが、水分散型エポキシエステル樹脂が塗膜の乾燥性に優れるため好ましい。
特に、この水分散型エポキシエステル樹脂は、水素イオン指数がpH7〜pH10の範囲内の弱アルカリ性であることによって容易に水に分散させることができる。また、分子量が2万〜7万の範囲内であることによって形成される塗膜の密着性・硬度・乾燥性が優れたものとなる。さらに、粒子径が10nm〜100nmの範囲内であることによって、分散性に優れたものとなる
特に、この水分散型エポキシエステル樹脂は、水素イオン指数がpH7〜pH10の範囲内の弱アルカリ性であることによって容易に水に分散させることができる。また、分子量が2万〜7万の範囲内であることによって形成される塗膜の密着性・硬度・乾燥性が優れたものとなる。さらに、粒子径が10nm〜100nmの範囲内であることによって、分散性に優れたものとなる
なお、水性樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、水性塗料組成物中の水性樹脂の含有量が少なすぎると塗膜の樹脂分が少なくなって高張力鋼材等の被塗物への付着性(密着性)が低下し、一方で、含有量が多すぎると防錆顔料やその他顔料の含有量が少なくなって塗膜性能効果(防錆効果や強靭な塗膜を形成する効果等)が低下し、実用性がなくなる。このため、水性防錆塗料組成物中において、水性樹脂の含有量は固形分(樹脂分)で5重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましい。
防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムは、耐水付着性(耐水密着性)の低下やブリスターの発生等の塗膜異常を生じさせることなく、高張力鋼材に対しても優れた防錆性を発揮できるものである。
防錆顔料として、マグネシウムよりもイオン化傾向の高いカルシウムやナトリウムを含む化合物を使用した場合、カルシウムイオンやナトリウムイオンの溶出速度が速くて耐水付着性が低下しやすいため、ブリスターが発生しやすい。しかし、マグネシウムのアミノリン酸塩(アミノリン酸マグネシウム)であれば、高張力鋼材に対しても優れた防錆効果を発揮し、また、ブリスターに対しても良好な性能を発揮できる。
防錆顔料として、マグネシウムよりもイオン化傾向の高いカルシウムやナトリウムを含む化合物を使用した場合、カルシウムイオンやナトリウムイオンの溶出速度が速くて耐水付着性が低下しやすいため、ブリスターが発生しやすい。しかし、マグネシウムのアミノリン酸塩(アミノリン酸マグネシウム)であれば、高張力鋼材に対しても優れた防錆効果を発揮し、また、ブリスターに対しても良好な性能を発揮できる。
このアミノリン酸マグネシウムは、水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内で含有されるのが好ましい。より好ましくは2重量%〜3重量%の範囲内である。
また、水性樹脂の固形分(樹脂分)100重量部に対して防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量が9重量部〜30重量部の範囲内であるのが望ましい。より好ましくは19重量%〜30重量%の範囲内である。
また、水性樹脂の固形分(樹脂分)100重量部に対して防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量が9重量部〜30重量部の範囲内であるのが望ましい。より好ましくは19重量%〜30重量%の範囲内である。
アミノリン酸マグネシウムの配合量が水性防錆塗料組成物中に1重量%未満である場合、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して9重量部未満である場合、アミノリン酸マグネシウムの配合量が少なすぎて高張力鋼材に対してアミノリン酸マグネシウムによる防錆効果が十分に得られず、実用的でない。一方で、アミノリン酸マグネシウムの配合量が3重量%を超えると、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して30重量部を超える場合、マグネシウムイオン及び(アミノ)リン酸イオンの溶出量が多くなることで、耐水付着性が低下してブリスターが発生しやすくなり、防錆性が低下する。
したがって、アミノリン酸マグネシウムの含有量は水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内であることで、水性防錆塗料組成物中のアミノリン酸マグネシウムの含有量が適切な範囲となり、また、水性樹脂の固形分100重量部に対してアミノリン酸マグネシウムの配合量が9重量部〜30重量部の範囲内であることで、水性樹脂の固形分(樹脂分)に対するアミノリン酸マグネシウムの配合量が適切な範囲となり、高張力鋼材に対して十分な防錆効果を確保でき、かつ、良好な耐ブリスター性を有する塗膜を確実に形成できる。
より好ましくは、アミノリン酸マグネシウムの含有量を水性防錆塗料組成物中に2重量%〜3重量%の範囲内、また、水性樹脂の固形分100重量部に対してアミノリン酸マグネシウムの配合量を19重量部〜30重量部の範囲内とすることで、より高い防錆性及び耐ブリスター性を得ることができる。
なお、アミノリン酸マグネシウムの形態については特に制限はなく、粉状体や粒状体等の形態が使用できる。粉状体や粒状体として用いる場合には、球状、フレーク状、棒状等の形状がある。また、アミノリン酸マグネシウムの粒径が大きいと、ブツ状の塗膜外観となり塗装外観が損ねられるので、一般に公知の塗料用顔料と同様な粒径(通常は、40μm以下)とするのが良い。
また、本実施の形態の水性防錆塗料組成物においては、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウム以外にも、他の防錆顔料、着色顔料、体質顔料が含有されても良い。
他の防錆顔料としては、例えば、酸化亜鉛等の金属酸化物等が挙げられる。
着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪藻土、クレー、マイカ、シリカ、アルミナ、バリタ、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
なお、塗膜に緻密性を与えて丈夫にしたり、テクスチュアを付与する工学特性を有したりする機能性顔料を含有してもよい。
他の防錆顔料としては、例えば、酸化亜鉛等の金属酸化物等が挙げられる。
着色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、珪藻土、クレー、マイカ、シリカ、アルミナ、バリタ、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
なお、塗膜に緻密性を与えて丈夫にしたり、テクスチュアを付与する工学特性を有したりする機能性顔料を含有してもよい。
そして、本実施の形態の水性防錆塗料組成物においては、イオン交換水等の水が溶媒として使用される。
本実施の形態の水性防錆塗料組成物の溶媒として、積極的に使用されるのはイオン交換水等の水のみであるが、本発明を実施する場合には、溶媒以外の用途で、例えば、表面張力や蒸発速度等の塗装性を制御・改善等するために、少量の有機溶剤を添加する場合もある。
そのような有機溶剤としては、水性防錆塗料組成物の配合成分を溶解または分散可能であり、かつ、配合成分に不活性である溶剤、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤や、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤や、トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素等の炭化水素系溶剤や、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤等の親水性有機溶剤が挙げられる。
そのような有機溶剤としては、水性防錆塗料組成物の配合成分を溶解または分散可能であり、かつ、配合成分に不活性である溶剤、例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤や、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤や、トルエン、キシレン、高沸点石油系炭化水素等の炭化水素系溶剤や、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤等の親水性有機溶剤が挙げられる。
さらに、本発明を実施する場合には、必要に応じて、分散剤、消泡剤、ドライヤー(乾燥剤)、架橋剤、中和剤、安定剤、充填剤、可塑剤、タレ止め剤、造膜助剤、チキソ材、レベリング剤、接着性付与剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、沈降防止剤、表面処理剤(塗面調整剤)等の添加剤を配合することも可能である。
例えば、分散剤としては、ポリカルボン酸系等の分散剤が挙げられ、このような分散剤の添加により、主に防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウム及びその他顔料(着色顔料、体質顔料等)をより良く分散させることができる。
消泡剤としては、例えば、シリコン系やアクリル系等の消泡剤が使用でき、このような消泡剤の添加により、水性塗料組成物を調製する混合時に細かい泡が発生して水性塗料組成物が不均一になるのを防止し、粘度や流動性を調整することができる。
ドライヤー(乾燥剤)としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛等の金属ドライヤー(金属乾燥剤)が挙げられ、このようなドライヤーを添加することで、水性塗料組成物が塗布されて塗膜が形成される段階において、水性樹脂が更に重合して緻密な塗膜となるのを促進することができ、乾燥の促進を図ることができる。
消泡剤としては、例えば、シリコン系やアクリル系等の消泡剤が使用でき、このような消泡剤の添加により、水性塗料組成物を調製する混合時に細かい泡が発生して水性塗料組成物が不均一になるのを防止し、粘度や流動性を調整することができる。
ドライヤー(乾燥剤)としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛等の金属ドライヤー(金属乾燥剤)が挙げられ、このようなドライヤーを添加することで、水性塗料組成物が塗布されて塗膜が形成される段階において、水性樹脂が更に重合して緻密な塗膜となるのを促進することができ、乾燥の促進を図ることができる。
また、架橋剤は、加熱等により水性樹脂と反応して水性樹脂の硬化を促進したり、緻密な塗膜となるのを促進したりするものであり、例えば、水性樹脂としてのエポキシ樹脂エステルに対する架橋剤としては、カルボジイミド化合物、ポリアミン、ポリアミノアミド、ジシアンジアミン、グアニジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン酸、ヒドラジド化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられるが、その他にも、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物等が使用できる。なお、架橋剤は、多すぎると硬化塗膜が脆くなることから、通常、水性樹脂100重量部に対して50重量部以下の割合で使用される。
中和剤としては、例えば、アミン等の中和剤が使用でき、このような中和剤を添加した場合には、pHの中和により水性塗料組成物の安定化を図ることができる。
安定剤としては、例えば、アルカノールアミン誘導体(ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン)等が挙げられ、このような安定剤を添加した場合には、流動性、粘度、分散性等を調製して塗料の安定化を図ることができる。また、アルカノールアミン誘導体は、初期錆防止剤として機能することもある。
中和剤としては、例えば、アミン等の中和剤が使用でき、このような中和剤を添加した場合には、pHの中和により水性塗料組成物の安定化を図ることができる。
安定剤としては、例えば、アルカノールアミン誘導体(ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン)等が挙げられ、このような安定剤を添加した場合には、流動性、粘度、分散性等を調製して塗料の安定化を図ることができる。また、アルカノールアミン誘導体は、初期錆防止剤として機能することもある。
そして、これらの配合材料からなる本実施の形態の水性防錆塗料組成物は、公知の混合分散機等を用いて均一に混合撹拌することによって調製される。
なお、このときの混合分散機としては、ディゾルバー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー、スパイラルミキサー、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、グレンミル、高速インペラーミル、オープンニーダー、真空ニーダー、アトライター、高速ディスパー、ホモミキサー、ホモジナーザー、コロイドミル、マイクロフルイダイザー、ソノレーター、キャビトロン等が挙げられる。
なお、このときの混合分散機としては、ディゾルバー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、バタフライミキサー、スパイラルミキサー、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、グレンミル、高速インペラーミル、オープンニーダー、真空ニーダー、アトライター、高速ディスパー、ホモミキサー、ホモジナーザー、コロイドミル、マイクロフルイダイザー、ソノレーター、キャビトロン等が挙げられる。
調製した水性防錆塗料組成物は、公知の塗装方法、例えば、エアスプレー法、シャワー法、スプレー法、ロールコート法、カーテンフローコート法、ダイコート法、刷毛塗り法、浸漬法、シボリ(シゴキ)法、ナイフコーター法、バーコート法、静電塗装法等の塗布手段により、所定の塗装部位に任意の塗布量・厚さ及び塗布形態で塗布される。そして、通常、所定温度で所定時間の加熱乾燥、乾燥器による強制乾燥、または、自然乾燥によって硬化して、塗膜を形成する。
なお、塗膜硬化のための乾燥条件は、使用する樹脂の種類や、添加剤(架橋剤、ドライヤーの添加)等に応じて適宜設定される。
また、本実施の形態の水性塗料組成物は、例えば、無塗装(未処理)の高張力鋼材に対して塗装した場合、乾燥後の塗膜の膜厚(硬化膜厚)が、20μm〜70μmの範囲内、好ましくは20μm〜40μmの範囲内、より好ましくは、25μm〜30μmの範囲内となるように所定の塗装部位に塗布される。無塗装(未処理)の高張力鋼材に対して塗装した場合において、乾燥後の塗膜の膜厚が小さすぎると自動車用高張力鋼板に要求される十分な耐食性・防錆性を付与できず、一方で、膜厚が大きすぎると高張力鋼材表面との付着性が低下する。したがって、本実施の形態の水性塗料組成物を無塗装(未処理)高張力鋼材に塗布した場合に形成される塗膜の乾燥膜厚(硬化膜厚)は、20μm〜70μmの範囲内、好ましくは20μm〜40μmの範囲内、より好ましくは、25μm〜30μmの範囲内とすることで、高張力鋼材に対する付着性が良好で、メッキ処理等の防錆処理を施さなくても自動車用高張力鋼板に要求される防錆性を十分に確保できる。
また、本実施の形態の水性塗料組成物は、例えば、無塗装(未処理)の高張力鋼材に対して塗装した場合、乾燥後の塗膜の膜厚(硬化膜厚)が、20μm〜70μmの範囲内、好ましくは20μm〜40μmの範囲内、より好ましくは、25μm〜30μmの範囲内となるように所定の塗装部位に塗布される。無塗装(未処理)の高張力鋼材に対して塗装した場合において、乾燥後の塗膜の膜厚が小さすぎると自動車用高張力鋼板に要求される十分な耐食性・防錆性を付与できず、一方で、膜厚が大きすぎると高張力鋼材表面との付着性が低下する。したがって、本実施の形態の水性塗料組成物を無塗装(未処理)高張力鋼材に塗布した場合に形成される塗膜の乾燥膜厚(硬化膜厚)は、20μm〜70μmの範囲内、好ましくは20μm〜40μmの範囲内、より好ましくは、25μm〜30μmの範囲内とすることで、高張力鋼材に対する付着性が良好で、メッキ処理等の防錆処理を施さなくても自動車用高張力鋼板に要求される防錆性を十分に確保できる。
ここで、本実施の形態の水性防錆塗料組成物によれば、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムを含有することで、一般構造用鋼材(SS材;通常、引張強度が400Mpa以下)よりも強度が高められているために錆やすい高張力鋼材(通常、引張強度が490Mpa以上)に対しても所望の防錆性を確保でき、かつ、塗膜耐ブリスター性も良好である塗膜が得られる。
特に、無塗装(未処理)の鋼材に塗布した場合において、高い防錆効果を発揮する理由は十分に明らかにはなっていないが、アミノリン酸マグネシウムから放出される(アミノ)リン酸イオン及びマグネシウムイオンが防錆性の向上に効果的に働くためであると考えられる。
即ち、マグネシウムは鋼材の鉄よりも電気的に卑であり、イオン化傾向が大きくて酸化されやすいため、塗膜の傷付き等によって腐食が生じ素地の鉄が露出したとしても、外部から侵入する水にアミノリン酸マグネシウムからマグネシウムイオン(Mg2+)が鉄より先に溶出して陽極化される(電子を放出する)ことで、所謂、犠牲防食(陽極)作用により、鉄の腐食を電気的に食い止める(電気化学的に保護する)ことができると推定される。(図1参照)
即ち、マグネシウムは鋼材の鉄よりも電気的に卑であり、イオン化傾向が大きくて酸化されやすいため、塗膜の傷付き等によって腐食が生じ素地の鉄が露出したとしても、外部から侵入する水にアミノリン酸マグネシウムからマグネシウムイオン(Mg2+)が鉄より先に溶出して陽極化される(電子を放出する)ことで、所謂、犠牲防食(陽極)作用により、鉄の腐食を電気的に食い止める(電気化学的に保護する)ことができると推定される。(図1参照)
さらに、溶出したマグネシウムイオン(Mg2+)が、水中の水酸化物イオン(OH−)と反応して、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)の不動態皮膜を鋼材表面や損傷部周囲に形成し、腐食の進行を抑制すると考えられる。(図1参照)
また、アミノリン酸マグネシウムから放出されたリン酸イオン(PO3 4−)またはアミノリン酸イオン(H2N(CH2)1−6PO3 4−)も、腐食過程で溶出される鋼材の鉄イオンと反応して安定的な錯体となって、鋼材表面や損傷部周囲に強固で密着性の良い不溶性の不動態皮膜(リン酸第二鉄等の皮膜)を形成し、腐食の進行を抑制すると推定される。
特に、本実施の形態の水性防錆塗料組成物の鋼材への塗装によれば、高張力鋼板等において鋼板の塗装面だけでなく、腐食が進行しやすい切断端部、溶接部、加工部、合わせ部等の素地鋼が露出する部位においても、高い防錆性が確保されるものと推測できる。
特に、本実施の形態の水性防錆塗料組成物の鋼材への塗装によれば、高張力鋼板等において鋼板の塗装面だけでなく、腐食が進行しやすい切断端部、溶接部、加工部、合わせ部等の素地鋼が露出する部位においても、高い防錆性が確保されるものと推測できる。
そして、このように防錆性の向上に寄与するマグネシウムイオン(Mg2+)や、リン酸イオン(PO3 4−)またはアミノリン酸イオン(H2N(CH2)1−6PO3 4−)は、アミノリン酸マグネシウム(マグネシウムのアミノリン酸塩)の組成から溶出されるマグネシウムイオン及び(アミノ)リン酸イオンであることで、適度な溶出量及び溶出速度で水中に溶出させることができ、これによって、塗膜でのブリスター発生を抑制しながら犠牲防食(陽極)作用が長期間持続し、犠牲防食作用により塗膜が早期に腐食することなく防錆効果を長期にわたって持続させることができると思われる。
即ち、マグネシウムイオンやリン酸イオンの溶出速度が速く溶出量が多い場合、犠牲防食作用によるマグネシウムイオンやリン酸イオンの消耗によって塗膜の腐食の進行が早くなることから、耐水付着性が低下してブリスターが発生しやすくなり、また、防錆効果を長期にわたって持続させるのが困難となることが予測される。また、リン酸イオンが急激に溶出すると、浸透圧の急激な上昇によって、塗膜外部より水分を吸収し易くなり、ブリスターが発生しやすくなることが予測される。
しかし、本発明では、アミノリン酸マグネシウム(マグネシウムのアミノリン酸塩)の組成からマグネシウムイオンや(アミノ)リン酸イオンが溶出されるので、最適な溶出性で溶出して犠牲防食(陽極)作用を長期にわたって発揮し、犠牲防食作用により塗膜が早期に腐食することなく高い防錆性を長期間維持することができ、優れた防錆性を発揮するものと思われる。そして、マグネシウムイオンや(アミノ)リン酸イオンを最適な溶出性で溶出することで、塗膜の耐水付着性も良好に維持されてブリスターの発生も抑制されると考えられる。
しかし、本発明では、アミノリン酸マグネシウム(マグネシウムのアミノリン酸塩)の組成からマグネシウムイオンや(アミノ)リン酸イオンが溶出されるので、最適な溶出性で溶出して犠牲防食(陽極)作用を長期にわたって発揮し、犠牲防食作用により塗膜が早期に腐食することなく高い防錆性を長期間維持することができ、優れた防錆性を発揮するものと思われる。そして、マグネシウムイオンや(アミノ)リン酸イオンを最適な溶出性で溶出することで、塗膜の耐水付着性も良好に維持されてブリスターの発生も抑制されると考えられる。
このように、本実施の形態の水性防錆塗料組成物によれば、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムを含有することで、マグネシウムイオンや(アミノ)リン酸イオンが適度な量及び速度で溶出して、耐水付着性や耐ブリスター性を低下させることなく犠牲防食(陽極)作用を発揮し、さらに、不動態皮膜を形成して腐食の進行を抑制する塗膜を得ることができる。このため、無塗装(未処理)の高張力鋼材に対しても、従来の防錆顔料を使用したものに比べて優れた防錆性を確保することができる。なお、塗膜にブリスター等の異常を発生させない範囲で防錆顔料として従来使用されている酸化亜鉛等をアミノリン酸マグネシウムと併用することも可能である。併用した場合には、本発明の水性防錆塗料組成物を多様な仕様に対応させることが可能となる。
また、本実施の形態の水性防錆塗料組成物によれば、亜鉛や亜鉛合金(アルミニウム等の合金)等のメッキ等が施された表面処理鋼材に塗布した場合においても、防錆性を向上させることができる。
これは、マグネシウムが亜鉛、アルミニウム、鉄よりもイオン化傾向が高いため、メッキ層中の亜鉛、アルミニウム等よりも先にアミノリン酸マグネシウムからマグネシウムイオン等が溶出して犠牲防食(陽極)作用を発揮し、亜鉛やアルミニウムの溶出を抑制してメッキ層の腐食を遅らせ、防錆効果を長期にわたって持続させることができるためであると思われる。さらに、マグネシウムイオンが亜鉛の腐食生成物を不活性化し、その後の腐食反応を停止することで、防錆性の向上に寄与していることも考えられる。
そして、亜鉛や亜鉛合金(アルミニウム等の合金)メッキ等が施された表面処理鋼材に塗布した場合においても、アミノリン酸マグネシウムからマグネシウムイオン等が最適な溶出性で溶出することで、犠牲防食(陽極)作用が長期にわたって発揮され、塗膜の耐水付着性や耐ブリスターが良好に維持される。
これは、マグネシウムが亜鉛、アルミニウム、鉄よりもイオン化傾向が高いため、メッキ層中の亜鉛、アルミニウム等よりも先にアミノリン酸マグネシウムからマグネシウムイオン等が溶出して犠牲防食(陽極)作用を発揮し、亜鉛やアルミニウムの溶出を抑制してメッキ層の腐食を遅らせ、防錆効果を長期にわたって持続させることができるためであると思われる。さらに、マグネシウムイオンが亜鉛の腐食生成物を不活性化し、その後の腐食反応を停止することで、防錆性の向上に寄与していることも考えられる。
そして、亜鉛や亜鉛合金(アルミニウム等の合金)メッキ等が施された表面処理鋼材に塗布した場合においても、アミノリン酸マグネシウムからマグネシウムイオン等が最適な溶出性で溶出することで、犠牲防食(陽極)作用が長期にわたって発揮され、塗膜の耐水付着性や耐ブリスターが良好に維持される。
こうして、本実施の形態の水性防錆塗料組成物によれば、防錆性に優れた塗膜を形成可能であるため、一般構造用鋼材のみならず、強度が高くて腐食しやすい高張力鋼材に対しても優れた防錆性を確保できる。また、前述した本発明の防錆作用の考え方によれば、どのような鋼種(例えば、Ti,Nb,B等を添加したIF鋼、Al−k鋼、Cr含有鋼、ステンレス鋼等)に対しても優れた防錆性の確保が可能といえる。
そして、本実施の形態の水性防錆塗料組成物の塗布によって、無塗装(未処理)の鋼材に対しては優れた防錆性を付与でき、また、亜鉛、アルミニウム等のメッキ処理鋼材に対しても、防錆性を向上させることができる。さらに、燐酸塩処理やクロム酸塩処理等の化成処理及び/または有機皮膜(アクリルエマルション、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂等の有機被膜)処理を施した鋼材に対しても、防錆性を向上させることが可能である。そして、本実施の形態の水性防錆塗料組成物が塗装されて優れた防錆性が確保された鋼材は、自動車用鋼板としての他にも、各種車両、船舶、家電製品、建材等の種々の分野で利用することができる。
そして、本実施の形態の水性防錆塗料組成物の塗布によって、無塗装(未処理)の鋼材に対しては優れた防錆性を付与でき、また、亜鉛、アルミニウム等のメッキ処理鋼材に対しても、防錆性を向上させることができる。さらに、燐酸塩処理やクロム酸塩処理等の化成処理及び/または有機皮膜(アクリルエマルション、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂等の有機被膜)処理を施した鋼材に対しても、防錆性を向上させることが可能である。そして、本実施の形態の水性防錆塗料組成物が塗装されて優れた防錆性が確保された鋼材は、自動車用鋼板としての他にも、各種車両、船舶、家電製品、建材等の種々の分野で利用することができる。
ここで、従来、亜鉛や亜鉛合金等のメッキ処理鋼板においては、メッキ鋼板表層部の亜鉛や亜鉛合金が軟質であり、また、プレス金型に多用されている鋳鉄等との親和力が強く、金型に凝着しやすい性質を有するため、プレス加工時にメッキ皮膜が鋼板との界面から剥離し、その剥離したメッキ皮膜がプレス加工後の製品表面に付着して疵の原因となる、所謂、プレスブツが発生する問題がある。さらに、高張力鋼材においては、一般鋼材よりも合金元素が多量に添加されていることで、亜鉛等のメッキを施してもメッキ不良が生じやすく、また、メッキを行う際の酸洗いにより水素脆性が起きやすいという問題がある。
しかし、本実施の形態の水性防錆塗料組成物によれば、アミノリン酸マグネシウムによって高い防錆性を発揮する塗膜を形成でき、特に、亜鉛系等のメッキ処理等の防錆処理がなされていない無塗装(未処理)の鋼材に塗布することで、上述したような犠牲防食作用及び不動態皮膜の形成により優れた防錆性を発揮でき、高張力鋼材に対しても十分な防錆効果を確保することができる。
このため、メッキ処理等の防錆処理を行わなくとも、無塗装(未処理)の高張力鋼材に水性防錆塗料組成物を塗布するのみで、自動車用高張力鋼板に要求される防錆性を十分に確保した高張力鋼材を提供できる。勿論、一般鋼材に対しても同様である。そして、このように無塗装(未処理)の鋼材への水性防錆塗料組成物の塗布のみの簡易な製造工程によって高い防錆性が付与された鋼材においては、上記のプレスブツを生じさせることなく加工され、様々な用途に使用できる。
このため、メッキ処理等の防錆処理を行わなくとも、無塗装(未処理)の高張力鋼材に水性防錆塗料組成物を塗布するのみで、自動車用高張力鋼板に要求される防錆性を十分に確保した高張力鋼材を提供できる。勿論、一般鋼材に対しても同様である。そして、このように無塗装(未処理)の鋼材への水性防錆塗料組成物の塗布のみの簡易な製造工程によって高い防錆性が付与された鋼材においては、上記のプレスブツを生じさせることなく加工され、様々な用途に使用できる。
次に、本発明の実施の形態にかかる水性防錆塗料組成物の実施例を具体的に説明する。
防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムを用い実施例1の水性防錆塗料組成物を調製(作製)した。また、比較のために、アミノリン酸マグネシウム以外の防錆顔料を用いて比較例1乃至比較例5の水性塗料組成物を調製した。
これら実施例1及び比較例1乃至比較例5の塗料組成物の配合組成を表1に示す。なお、表1の数値は配合量を重量部で表したものである。
防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムを用い実施例1の水性防錆塗料組成物を調製(作製)した。また、比較のために、アミノリン酸マグネシウム以外の防錆顔料を用いて比較例1乃至比較例5の水性塗料組成物を調製した。
これら実施例1及び比較例1乃至比較例5の塗料組成物の配合組成を表1に示す。なお、表1の数値は配合量を重量部で表したものである。
本実施例及び比較例の水性塗料組成物においては、水性樹脂として、水分散型エポキシエステル樹脂(大日本インキ工業(株)製のウォーターゾール:固形分40%、粒子径70〜80μm、MFT18℃)を25.4重量部(固形分;10.16重量部)配合した。水分散型エポキシエステル樹脂は、水素イオン指数がpH7〜pH10の範囲内、分子量が2万〜7万の範囲内、粒子径が10nm〜100nmの範囲内であるものを使用した。
また、着色顔料として、カーボンブラックを1.2重量部、体質顔料として、タルクを10.3重量部及びコロイダル炭酸カルシウムを6.9重量部配合した。
そして、溶媒として、イオン交換水を47.7重量部配合した。
また、着色顔料として、カーボンブラックを1.2重量部、体質顔料として、タルクを10.3重量部及びコロイダル炭酸カルシウムを6.9重量部配合した。
そして、溶媒として、イオン交換水を47.7重量部配合した。
さらに、添加剤として、溶剤としてのプロピレングリコールメチルエーテルを3.0重量部、及びプロピレングリコールを0.3重量部、中和剤としての低沸点アミンを1.5重量部、消泡剤としてのシリコン系消泡剤を1.4重量部、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩を0.4重量部、架橋剤としての多価カルボジイミドを0.4重量部、安定剤としてのアルカノールアミン誘導体を0.1重量部、ドライヤーとしてのナフテン酸コバルトを0.4重量部配合した。
そして、防錆顔料として、実施例1ではアミノリン酸マグネシウムを1.0重量部配合した。これに対し、比較例1ではステアリン酸マグネシウム、比較例2ではリン酸マグネシウム、比較例3ではリン酸亜鉛、比較例4ではトリポリリン酸アルミニウム、比較例5では酸化亜鉛を1.0重量部配合した。
表1に示したように、実施例1の水性塗料組成物と比較例1乃至比較例5の水性塗料組成物とでは、防錆顔料以外の配合内容は全て同一であり、防錆顔料として用いられる化合物の種類のみが異なる。なお、比較例1乃至比較例5は従来の防錆顔料を使用した水性防錆塗料組成物(従来品)に相当する。
実施例及び各比較例の塗料組成物は、表1に示した配合量にしたがって、金属ドライヤー以外の配合材料を1リットルのサンドミルに入れ、分散媒体としてφ2mmのガラスビーズを用いて、1時間回転分散させた。そして、最後に金属ドライヤーを加え、数回回転分散させることによって、調製した。
ここで、それぞれ調製した塗料組成物によって形成される塗膜について、供試体を作製して特性評価試験を実施した。塗膜性能の評価項目としては、防錆性及び耐ブリスター性を対象とした。
塗膜性能の特性評価試験に用いる供試体の基板(被塗物)としては、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)及び無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)を使用し、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)表面に各塗料組成物を塗装して作製した供試体A及び無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)表面に各塗料組成物を塗装した供試体Bについて、防錆性と耐ブリスタ−性の評価試験を行った。
具体的には、溶剤洗浄して脱脂した各鋼板の表面に各塗料組成物を乾燥塗膜厚さが20μm〜25μmとなるようにエアースプレーによって塗装し、60℃で20分間乾燥させ、室温(20℃)で7日間放置(養生)することによって供試体A,Bを作製し、この供試体A,Bを用いて塗膜性能の特性評価を実施した。
塗膜の防錆性については、塩水噴霧(SST)試験によって評価した。
供試体A,Bの塗装面(平面部)にカッターナイフでクロスカットを入れ、塩水噴霧試験機を用いて、JIS−Z2371に準じて供試体A,Bを塩水噴霧条件下(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95%〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%)において塩水噴霧(SST)試験を実施し、所定時間後に取り出して、クロスカットからの片側の錆巾(片錆巾)を測定した。
供試体A,Bの塗装面(平面部)にカッターナイフでクロスカットを入れ、塩水噴霧試験機を用いて、JIS−Z2371に準じて供試体A,Bを塩水噴霧条件下(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95%〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%)において塩水噴霧(SST)試験を実施し、所定時間後に取り出して、クロスカットからの片側の錆巾(片錆巾)を測定した。
ここでは、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまで塩水噴霧を行い、片錆巾が3.0mmを超える巾となった塩水噴霧時間を調べた。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)表面に形成した塗膜(供試体B)においては、片錆巾が3.0mmを超える巾の塩水噴霧時間が120時間を超える場合を○(合格)と判定し、120時間以下の場合には×(不合格)と判定した。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)表面に形成した塗膜(供試体B)においては、片錆巾が3.0mmを超える巾の塩水噴霧時間が120時間を超える場合を○(合格)と判定し、120時間以下の場合には×(不合格)と判定した。
一方、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)表面に形成した塗膜(供試体A)においては、片錆巾が3.0mmを超える巾の塩水噴霧時間が96時間を超える場合を○(合格)と判定し、96時間以下の場合には×(不合格)と判定した。
塗膜の耐ブリスター性についても、供試体A,Bの塗装面にカッターナイフでクロスカットを入れ、塩水噴霧試験機を用いて、JIS−Z2371に準じて供試体を塩水噴霧条件下(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95%〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%)において塩水噴霧試験(SST)を実施し、所定時間後に取り出して、塗膜のブリスターの有無を確認した。
ここでは、塗膜にブリスターの発生がみられるまで塩水噴霧を行い、ブリスターの発生がみられるまでの塩水噴霧時間を調べた。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)の表面に形成した塗膜(供試体B)においては、塩水噴霧時間が480時間を超えてもブリスターの発生がみられなかった場合を○(合格)と判定し、480時間以下の塩水噴霧時間でブリスターの発生がみられた場合を×(不合格)と判定した。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)の表面に形成した塗膜(供試体B)においては、塩水噴霧時間が480時間を超えてもブリスターの発生がみられなかった場合を○(合格)と判定し、480時間以下の塩水噴霧時間でブリスターの発生がみられた場合を×(不合格)と判定した。
一方、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)の表面に形成した塗膜(供試体A)においては、塩水噴霧時間が96時間を超えてもブリスターの発生がみられなかった場合を○(合格)と判定し、96時間以下の塩水噴霧時間でブリスターの発生がみられた場合には×(不合格)と判定した。
各特性試験の評価結果は、表1の下段に示した通りである。
表1に示されるように、実施例1の水性塗料組成物は、防錆性についての防錆性評価試験のSST試験において、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)では、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに600時間という長い塩水噴霧時間を要し、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に塗装した際にも、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに120時間という長い塩水噴霧時間を要するという優れた防錆性を発揮した。
表1に示した結果から、実施例1の水性塗料組成物は、一般鋼板及び高張力鋼板ともに、従来の防錆顔料を使用した比較例1乃至比較例5に対して防錆性の向上が確認された。
表1に示されるように、実施例1の水性塗料組成物は、防錆性についての防錆性評価試験のSST試験において、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)では、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに600時間という長い塩水噴霧時間を要し、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に塗装した際にも、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに120時間という長い塩水噴霧時間を要するという優れた防錆性を発揮した。
表1に示した結果から、実施例1の水性塗料組成物は、一般鋼板及び高張力鋼板ともに、従来の防錆顔料を使用した比較例1乃至比較例5に対して防錆性の向上が確認された。
耐ブリスター性についても、実施例1では、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装した際、ブリスターの発生確認までの塩水噴霧間が600時間という長時間を要し、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)の塗装した際にもブリスターの発生確認までに120時間という長い塩水噴霧時間を要し、耐ブリスター性に優れることが確認された。
表1に示した結果から、実施例1の水性塗料組成物は、一般鋼板及び高張力鋼板ともに、防錆顔料に従来のトリポリリン酸アルミニウムを使用した比較例4及び酸化亜鉛を使用した比較例5と同等の耐ブリスター性を有し、同じマグネシウム系の防錆顔料を使用したステアリン酸マグネシウムの比較例1及びリン酸マグネシウムの比較例2や、リン酸亜鉛の比較例3より優れた耐ブリスター性を有していることが明らかとなった。
このように、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムを含有する本実施例1の水性塗料組成物においては、溶媒として水を使用しているにもかかわらず、一般鋼材のみならず高張力鋼材に対しても、水性塗料組成物に従来使用されている防錆顔料より優れた防錆性を発揮し、耐ブリスター性にも優れた性能を発揮する。
ここで、高張力鋼板に対してより優れた防錆性等の塗膜性能を発揮できる塗膜を得るために、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量(添加量)を変化させて実施例1乃至実施例4及び比較例6乃至比較例8の各種水性塗料組成物を調製した。その配合組成を表2に示す。
表2に示されるように、実施例1乃至実施例4と比較例6乃至比較例8とでは、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウム及びイオン交換水以外の配合内容は全て同一であり、異なるのは、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量及びイオン交換水の配合量である。即ち、水性塗料組成物の総量が100重量部となるようにアミノリン酸マグネシウムの配合量の増減に合わせてイオン交換水の配合量を調整した。
具体的に、実施例1では、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムを1.0重量部、水分散型エポキシエステルを25.4重量部(うち固形分が40%で10.16重量部)、アミノリン酸マグネシウム以外の顔料を18.4重量部、溶媒としてのイオン交換水を47.7重量部、添加剤を7.5重量部配合して、水性塗料組成物の総量を100重量部とした。なお、表2の実施例1は、上記表1における実施例1と全く同様の配合内容であり、同様の配合材料を使用した。
この実施例1の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが1重量%は含有されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの固形分(樹脂分)100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが9.84重量部配合されていることになる。
この実施例1の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが1重量%は含有されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの固形分(樹脂分)100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが9.84重量部配合されていることになる。
実施例2では、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を実施例1よりも増やして1.5重量部とし、その増加分だけイオン交換水の配合量を実施例1よりも減らして47.2重量部とした。それ以外は、実施例1と全く同じ配合内容とした。
この実施例2の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが1.5重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの固形分(樹脂分)100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが14.76重量部配合されていることになる。
この実施例2の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが1.5重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの固形分(樹脂分)100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが14.76重量部配合されていることになる。
実施例3では、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を実施例2よりも増やして2重量部とし、その増加分だけイオン交換水の配合量を実施例2よりも減らして46.7重量部とした。それ以外は、実施例1及び実施例2と全く同じ配合内容とした。
この実施例3の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが2重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが19.68重量部配合されていることになる。
この実施例3の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが2重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが19.68重量部配合されていることになる。
実施例4では、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を実施例3よりも増やして3重量部とし、その増加分だけイオン交換水の配合量を実施例3よりも減らして45.7重量部とした。それ以外は、実施例1乃至実施例3と全く同じ配合内容とした。
この実施例4の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが3重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが29.52重量部配合されていることになる。
この実施例4の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが3重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが29.52重量部配合されていることになる。
これに対し、比較例6は、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を実施例1よりも減らして0.5重量部とし、その減少分だけイオン交換水の配合量を実施例1よりも増やして48.2重量部とした。それ以外は、実施例1乃至実施例4と全く同じ配合内容とした。
この比較例6の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが0.5重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが4.92重量部配合されていることになる。
この比較例6の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが0.5重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが4.92重量部配合されていることになる。
また、比較例7は、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を実施例4よりも増やして4重量部とし、その増加分だけイオン交換水の配合量を実施例4よりも減らして44.7重量部とした。それ以外は、実施例1乃至実施例4と全く同じ配合内容とした。
この比較例7の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが4重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが39.37重量部配合されていることになる。
この比較例7の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが4重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが39.37重量部配合されていることになる。
さらに、比較例8は、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を比較例7よりも増やして5重量部とし、その増加分だけイオン交換水の配合量を比較例7よりも減らして43.7重量部とした。それ以外は、実施例1乃至実施例4と全く同じ配合内容とした。
この比較例8の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが5重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが49.21重量部配合されていることになる。
この比較例8の配合では、水性塗料組成物中にアミノリン酸マグネシウムが5重量%配合されていることになる。また、水分散型エポキシエステルの樹脂分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムが49.21重量部配合されていることになる。
実施例1乃至実施例4及び比較例6乃至比較例8の水性塗料組成物は、表2に示した配合量にしたがって、金属ドライヤー以外の配合材料を1リットルのサンドミルに入れて、分散媒体としてφ2mmのガラスビーズを用いて、1時間回転分散させた。そして、最後に金属ドライヤーを加えて、数回回転分散させて調製した。
ここで、それぞれ調製した水性塗料組成物によって形成される塗膜について、供試体を作製して特性評価試験を実施し、表1と同様に防錆性及び耐ブリスター性についての評価を行った。
塗膜性能の特性評価試験に用いる供試体の基板(被塗物)としても、上記表1の評価試験のときと同様、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)と無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)を使用し、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)表面に各塗料組成物を塗装して作製した供試体A及び無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)表面に各塗料組成物を塗装した供試体Bについて、防錆性と耐ブリスタ−性の評価試験を行った。
具体的には、溶剤洗浄して脱脂した各鋼板の表面に各水性塗料組成物を乾燥塗膜厚さが20μm〜25μmとなるようにエアースプレーによって塗装し、60℃で20分間乾燥させ、室温(20℃)で7日間放置(養生)することによって供試体A,Bを作製し、この供試体A,Bを用いて塗膜性能の特性評価を実施した。
塗膜の防錆性については、塩水噴霧(SST)試験によって評価した。
表1のSST試験のときと同様に、供試体A,Bの塗装面(平面部)にカッターナイフでクロスカットを入れ、塩水噴霧試験機を用いて、JIS−Z2371に準じて供試体A,Bを塩水噴霧条件下(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95%〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%)において塩水噴霧(SST)試験を実施し、所定時間後に取り出して、クロスカットからの片側の錆巾(片錆巾)を測定した。
表1のSST試験のときと同様に、供試体A,Bの塗装面(平面部)にカッターナイフでクロスカットを入れ、塩水噴霧試験機を用いて、JIS−Z2371に準じて供試体A,Bを塩水噴霧条件下(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95%〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%)において塩水噴霧(SST)試験を実施し、所定時間後に取り出して、クロスカットからの片側の錆巾(片錆巾)を測定した。
ここでも、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでの塩水噴霧時間を調べた。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)の表面に形成した塗膜(供試体B)においては、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでの塩水噴霧時間が120時間を超える場合を○(合格)と判定し、塩水噴霧時間が120時間以下の場合には×(不合格)と判定した。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)の表面に形成した塗膜(供試体B)においては、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでの塩水噴霧時間が120時間を超える場合を○(合格)と判定し、塩水噴霧時間が120時間以下の場合には×(不合格)と判定した。
無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)の表面に形成した塗膜(供試体A)においては、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでの塩水噴霧時間が96時間を超える場合を○(合格)と判定し、塩水噴霧時間が96時間以下の場合には×(不合格)と判定した。
塗膜の耐ブリスター性については、表1の評価試験のときと同様に、供試体A,Bの塗装面にカッターナイフでクロスカットを入れ、塩水噴霧試験機を用いて、JIS−Z2371に準じて供試体を塩水噴霧条件下(試験室内の温度35±1℃、試験室内の相対湿度95%〜98%、加湿器の温度47±1℃、塩水の濃度5w/v%)において塩水噴霧試験(SST)を実施し、所定時間後に取り出して、塗膜のブリスターの有無を確認した。
ここでも、塗膜にブリスターの発生がみられるまで塩水噴霧を行い、ブリスターの発生がみられるまでの塩水噴霧時間を調べた。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)の表面に形成した塗膜(供試体B)においては、塩水噴霧時間が480時間を超えてもブリスターの発生がみられなかった場合を○(合格)と判定し、480時間以下の塩水噴霧時間でブリスターの発生がみられた場合を×(不合格)と判定した。
一方、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)の表面に形成した塗膜(供試体A)においては、塩水噴霧時間が96時間を超えてもブリスターの発生がみられなかった場合を○(合格)と判定し、96時間以下の塩水噴霧時間でブリスターの発生がみられた場合には×(不合格)と判定した。
無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)の表面に形成した塗膜(供試体B)においては、塩水噴霧時間が480時間を超えてもブリスターの発生がみられなかった場合を○(合格)と判定し、480時間以下の塩水噴霧時間でブリスターの発生がみられた場合を×(不合格)と判定した。
一方、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)の表面に形成した塗膜(供試体A)においては、塩水噴霧時間が96時間を超えてもブリスターの発生がみられなかった場合を○(合格)と判定し、96時間以下の塩水噴霧時間でブリスターの発生がみられた場合には×(不合格)と判定した。
各特性試験の評価結果は、表2の下段に示した通りである。
水性防錆塗料組成物全体の総量を100重量部としたとき、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの含有量が1重量部〜3重量部の範囲内、即ち、水性塗料組成物中において防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの含有量が1重量%〜3重量%の範囲内であり、水性樹脂の固形分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムの配合量が9重量部〜30重量部の範囲内である実施例1乃至実施例4の水性塗料組成物においては、防錆性についてのSST試験にて、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)では、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに実施例1及び実施例2で600時間、実施例3及び実施例4で650時間という長い塩水噴霧時間を要した。また、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に塗装したもの(供試体A)でも、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに実施例1及び実施例2では120時間、実施例3及び実施例4では144時間という長い塩水噴霧時間を要した。
水性防錆塗料組成物全体の総量を100重量部としたとき、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの含有量が1重量部〜3重量部の範囲内、即ち、水性塗料組成物中において防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの含有量が1重量%〜3重量%の範囲内であり、水性樹脂の固形分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムの配合量が9重量部〜30重量部の範囲内である実施例1乃至実施例4の水性塗料組成物においては、防錆性についてのSST試験にて、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)では、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに実施例1及び実施例2で600時間、実施例3及び実施例4で650時間という長い塩水噴霧時間を要した。また、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に塗装したもの(供試体A)でも、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでに実施例1及び実施例2では120時間、実施例3及び実施例4では144時間という長い塩水噴霧時間を要した。
よって、水性塗料組成物中においてアミノリン酸マグネシウムの含有量を1重量%〜3重量%の範囲内とし、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムの配合量を9重量部〜30重量部の範囲内とした実施例1乃至実施例4の水性塗料組成物によれば、防錆性に優れた塗膜を形成でき、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)のみならず無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に対しても高い防錆効果を発揮することが明らかになった。
また、耐ブリスター性については、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)において、ブリスター発生確認までに実施例1及び実施例2では600時間、実施例3及び実施例4では650時間という長時間の塩水噴霧間を要した。さらに、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に塗装したもの(供試体A)においても、ブリスター発生確認までに実施例1乃至実施例4の全てで120時間の塩水噴霧時間を要した。
これより、実施例1乃至実施例4の水性塗料組成物により形成される塗膜は、耐ブリスター性に優れることも明らかになった。
これより、実施例1乃至実施例4の水性塗料組成物により形成される塗膜は、耐ブリスター性に優れることも明らかになった。
これに対して、水性塗料組成部中のアミノリン酸マグネシウムの含有量を0.5重量%とした比較例6については、防錆性評価のSST試験において、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)では、○(合格)の評価が得られたものの、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでの塩水噴霧時間が480時間と実施例1乃至実施例4より短く、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に塗装したもの(供試体A)では、96時間の塩水噴霧時間で早くも片錆巾が3.0mmを超える巾に達し、×(不合格)の判定となった。
これらの結果から、比較例6は実施例1乃至実施例4と比較して防錆性に劣ることが明らかになった。
これらの結果から、比較例6は実施例1乃至実施例4と比較して防錆性に劣ることが明らかになった。
また、水性塗料組成部中のアミノリン酸マグネシウムの含有量を4重量%とした比較例7及びアミノリン酸マグネシウムの含有量を5重量%とした比較例8についても、防錆性評価のSST試験において、無塗装(未処理)の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)では、○(合格)の評価が得られたものの、片錆巾が3.0mmを超える巾となるまでの塩水噴霧時間が比較例7で480時間、比較例8で360時間と実施例1乃至実施例4より短く、無塗装(未処理)の高張力鋼板(STAM690M)に塗装したもの(供試体A)では、比較例7で96時間、比較例8で72時間の塩水噴霧後に早くも片錆巾が3.0mmを超え×(不合格)の判定となった。
このように、比較例7及び比較例8も比較例6と同様に実施例1乃至実施例4と比較して防錆性に劣ることが明らかになった。さらに、比較例7と比較例8の比較から、アミノリン酸マグネシウムの含有量が多くなりすぎるほど防錆性が低下することも判明した。
このように、比較例7及び比較例8も比較例6と同様に実施例1乃至実施例4と比較して防錆性に劣ることが明らかになった。さらに、比較例7と比較例8の比較から、アミノリン酸マグネシウムの含有量が多くなりすぎるほど防錆性が低下することも判明した。
そして、耐ブリスター性についても、未処理の一般鋼板(STKM13B)に塗装したもの(供試体B)では、比較例6及び比較例7で480時間、比較例8で360時間の塩水噴霧時間後に早くもブリスターの発生がみられ、また、未処理の高張力鋼板(STAM690M)に塗装したもの(供試体A)でも、比較例7で96時間、比較例8で72時間の塩水噴霧後に早くもブリスターの発生がみられ、比較例6乃至比較例8の何れもが実施例1乃至実施例4と比較して耐ブリスター性に劣ることが明らかになった。さらに、比較例7と比較例8の比較から、アミノリン酸マグネシウムの含有量が多くなりすぎるほど耐ブリスター性が低下することも判明した。
以上の実施例1乃至実施例4と比較例6乃至比較例8との結果から、水性塗料組成物中において防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの含有量を1重量%〜3重量%の範囲内、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を9重量部〜30重量部の範囲内とすることで、確実に防錆性に優れ、高張力鋼板に対しても十分な防錆効果を確保でき、かつ、ブリスターの発生も抑制されることが判明した。
即ち、アミノリン酸マグネシウムの含有量が水性防錆塗料組成物中に1重量%未満、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量を9重量部未満である場合、比較例6に示したように、高張力鋼板に対してアミノリン酸マグネシウムによる防錆効果が十分でなく、実用的でない。一方で、アミノリン酸マグネシウムの含有量が3重量%を超えると、比較例7及び比較例8に示したように、ブリスターが発生しやすくなり、防錆性も低下する。これは、アミノリン酸マグネシウからのマグネシウムイオン及び(アミノ)リン酸イオンの溶出量が多くなるためだと思われる。
したがって、アミノリン酸マグネシウムの含有量が水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内であれば水性組成物中におけるアミノリン酸マグネシウムの配合量が適切な範囲となり、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムの配合量が9重量部〜30重量部の範囲内であれば水性樹脂の固形分(樹脂分)に対するアミノリン酸マグネシウムの配合量が適切な範囲となり、確実に高張力鋼板に対しても防錆効果が高く、かつ、良好な耐ブリスター性を有する塗膜を形成できる。
より好ましくは、実施例3及び実施例4に示したように、水性防錆塗料組成物中におけるアミノリン酸マグネシウムの含有量を2重量%〜3重量%の範囲内とすることで、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムの配合量を19重量部〜30重量部の範囲内とすることで、より高い防錆性及び耐ブリスター性を得ることができる。
より好ましくは、実施例3及び実施例4に示したように、水性防錆塗料組成物中におけるアミノリン酸マグネシウムの含有量を2重量%〜3重量%の範囲内とすることで、また、水性樹脂の固形分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウムの配合量を19重量部〜30重量部の範囲内とすることで、より高い防錆性及び耐ブリスター性を得ることができる。
以上説明したように、本実施例(実施例1乃至実施例4)の水性防錆塗料組成物は、水性樹脂としての水分散型エポキシエステル樹脂と、防錆顔料としてのアミノリン酸マグネシウムと、溶媒としてのイオン交換水とを含有する。
本実施例の水性防錆塗料組成物によれば、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムが使用されることで、防錆性と塗膜のブリスター発生の抑制とが両立し、高張力鋼材に対しても良好な防錆効果を確保でき、耐ブリスター性も良好である塗膜が得られる。
本実施例の水性防錆塗料組成物によれば、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムが使用されることで、防錆性と塗膜のブリスター発生の抑制とが両立し、高張力鋼材に対しても良好な防錆効果を確保でき、耐ブリスター性も良好である塗膜が得られる。
特に、本実施例の水性防錆塗料組成物は、アミノリン酸マグネシウムが水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内で含有されており、また、水性樹脂としての水分散型エポキシエステル樹脂の固形分100重量部に対して、アミノリン酸マグネシウム9重量部〜30重量部の範囲内で配合されているから、高張力鋼材に対しても優れた防錆効果を示し、塗膜の耐ブリスター性にも優れる。
なお、上記実施例においては、本実施の形態にかかる水性防錆塗料組成物を、無塗装(未処理)の一般鋼材や高張力鋼材に塗装した場合について説明したが、本実施の形態にかかる水性防錆塗料組成物は、亜鉛系やアルミニウム系等のメッキ処理等が施された表面処理鋼材に対する防錆目的での使用も可能である。
本発明を実施するに際しては、水性防錆塗料組成物のその他の構成、成分、材料、配合、形状、大きさ、製造方法等について、本実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態で上げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更しても実施を否定するものではない。
Claims (4)
- 水性樹脂と、防錆顔料としてアミノリン酸マグネシウムと、溶媒としての水とを含有することを特徴とする水性防錆塗料組成物。
- 前記アミノリン酸マグネシウムは、前記水性防錆塗料組成物中に1重量%〜3重量%の範囲内で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の水性防錆塗料組成物。
- 前記アミノリン酸マグネシウムは、前記水性樹脂の固形分100重量部に対して、9重量部〜30重量部の範囲内で配合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水性防錆塗料組成物。
- 前記水性樹脂は、水分散型エポキシエステル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の水性防錆塗料組成物。
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