JP2016120162A - 音響波プローブ、音響波トランスデューサユニット、及び被検体情報取得装置 - Google Patents

音響波プローブ、音響波トランスデューサユニット、及び被検体情報取得装置 Download PDF

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Abstract

【課題】曲面状などに静電容量型トランスデューサなどの音響波トランスデューサを沿わせて配置することができ、外部との絶縁性を確保したプローブなどを提供する。
【解決手段】音響波プローブ100は、柔軟な配線上に、複数の音響波トランスデューサ103を分散して配置した音響波トランスデューサユニット101を備えており、曲面などを有した支持部材102上に音響波トランスデューサユニットを配置している。音響波トランスデューサユニットは、それぞれ音響波トランスデューサを備えた複数のチップ112と、チップ間を接続するフレキシブル配線111と、を有し、チップの導電部とフレキシブル配線の導電部間を電気接続部222で接続している。
【選択図】 図1−1

Description

本発明は、光音響効果による光音響波を受信することが可能な光音響波用プローブ、超音波プローブなどの音響波プローブ、音響波トランスデューサユニット、それを用いた被検体情報取得装置などに関する。以下、音響波は音波、超音波、光音響波などを含む用語として用いるが、超音波で代表することもある。
被検体に光を照射して、光音響効果により被検体中の測定対象から音響波(典型的には超音波であるが、本明細書中では光音響波とも記載する)を発生させ、発生した音響波を半球状の音響波プローブを用いて受信する測定システムが提案されている。半球状の音響波プローブは、半球表面上に配置した複数の音響波トランスデューサ素子で構成されている(特許文献1参照)。
図17を用いて説明する。図17において、10は被検体、11は光源、12は音響波プローブ、13は音響波トランスデューサないしトランスデューサ素子、21は光線、22は光音響波、30は媒質である。音響波プローブ12は、半球状の形状をしており、複数の音響波トランスデューサ13と光源11を備えている。被検体10は、音響波プローブ12の半球構造に一部囲まれるように配置され、被検体10と音響波プローブ12間には、媒質30が充填される。光源11から被検体10に光21を照射して、被検体で発生した光音響波22を、音響波プローブ12が有する複数の音響波トランスデューサ13で受信して、被検体の画像化を行う。
米国特許公開第2011/0306865号
静電容量型トランスデューサは、高電圧を印加するので、チップ上の電極と装置への配線間の高い絶縁性、及び被検体との絶縁性を確保する必要がある。特に、曲面や可変曲面に静電容量型トランスデューサを配置する際には、絶縁性を確保する構成が複雑になりやすい。本発明は、曲面状の構造体に、静電容量型トランスデューサなどの音響波トランスデューサないしトランスデューサ素子を沿わせて配置することができ、外部との絶縁性を確保した音響波プローブなどを提供することを目的とする。
本発明の音響波プローブは、柔軟な配線上に、複数の音響波トランスデューサを分散して配置した音響波トランスデューサユニットを備えており、曲面などを有した支持部材に前記音響波トランスデューサユニットを配置している。そして、前記音響波トランスデューサユニットは、それぞれ前記音響波トランスデューサを備えた複数のチップと、複数の前記チップの間を接続するフレキシブル配線と、を有しており、前記チップの導電部と前記フレキシブル配線の導電部間を、異方性導電樹脂などで構成した電気接続部で接続している。
本発明によれば、曲面状などの支持部材に静電容量型トランスデューサなどの音響波トランスデューサを沿わせて配置することができ、外部との絶縁性を確保したプローブなどを実現することができる。
第1の実施形態に係る音響波プローブを説明する模式図。 第1の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する斜視図。 音響波トランスデューサユニットの配線を説明する図。 第1の実施形態に係る音響波プローブを説明する模式断面図。 第1の実施形態に係る音響波プローブを説明する上面図。 第1の実施形態に係るトランスデューサ素子を説明する断面図。 第1の実施形態に係る検出回路を説明する図。 第1の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第1の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第1の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第1の実施形態に係る音響波プローブを説明する模式図。 第1の実施形態に係る音響波プローブを説明する模式図。 第2の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第3の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第4の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する斜視図。 第4の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第5の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する斜視図。 第5の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第5の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第6の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する斜視図。 第6の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第6の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第7の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第7の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットの配線を説明する図。 第7の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットの配線を説明する図。 第8の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する斜視図。 第8の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第8の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する斜視図。 第8の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第9の実施形態に係る検出回路を説明する図。 第9実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第9実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第10の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第11の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第11の実施形態に係る音響波トランスデューサユニットを説明する断面図。 第12の実施形態に係るトランスデューサ素子を説明する断面図。 第12の実施形態に係る回路を説明する図。 第13の実施形態に係る被検体情報取得装置を説明する模式図。 第14の実施形態に係る被検体情報取得装置を説明する模式図。 音響波プローブを説明する模式図。
本発明の実施形態の特徴は、柔軟な配線上に、複数の音響波トランスデューサを分散して配置した音響波トランスデューサユニットにおいて、チップの導電部とフレキシブル配線の導電部間を、異方性導電樹脂等で構成した電気接続部で接続していることである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の音響波プローブの一例を説明するための模式図である。図1において、100は音響波プローブ、101は音響波トランスデューサユニット、102は半球状(部分球状)の支持部材、103は音響波トランスデューサである。また、104はケーブル、105はコネクタ、106は光源、107は貫通孔、111はフレキシブル配線基板、112は音響波トランスデューサを備えるチップ、113は配線である。
本実施形態の音響波プローブ100は、図1−1で示すように、音響波トランスデューサユニット101と半球状の支持部材102を有する。また、図1−4で示すように、支持部材102の中央部には、光源106が配置されており、半球構造の内側の中央付近に向かって光を照射できる構成となっている。図1−2を用いて、本実施形態の音響波プローブ100が備えている音響波トランスデューサユニット101について、説明する。音響波トランスデューサユニット101は、柔軟に変形して曲がるフレキシブル配線部ないし配線基板111と、硬くて曲がらない音響波トランスデューサのチップ112を有する。フレキシブル配線基板111上には、複数の音響波トランスデューサのチップ112が分散して配置されている。フレキシブル配線基板111は、後述の図1−3や図2−3に示すように、薄い導電層232、234を、薄い絶縁フィルム231、233、235により挟んだ構造となっており、薄くて柔らかいため、容易に変形することができる。フレキシブル配線基板111は、複数の電気的に分離された配線113を有しており、導電層を複数有し、その間をビア236により接続する構成を用いることで、より多数の配線113を集積することができる。
図1−3は、音響波トランスデューサユニット101の配線を説明する模式図である。各音響波トランスデューサ103は、フレキシブル配線基板111内の配線(配線取り出し部)113と接続されており、それらの配線は、それぞれプローブの外部へ接続するためのケーブル104と接続されている。本実施形態の音響波トランスデューサには、静電容量型トランスデューサを用いている。チップ112の形状としては、本明細書中では正方形で説明しているが、他に、長方形、台形などの四角形、多角形、円形なども同様に用いることができる。特に、台形や八角形の形状を用いることで、支持部材102の半球表面内でリジッド部のチップ112の占める面積の割合を高めることができる。
次に、図1−4を用いて、本実施形態の断面の模式図を説明する。半球状の支持部材102は、音響波トランスデューサユニット101の配線取り出し部113を通すことができる貫通孔107を有している。柔らかいフレキシブル配線基板111により、複数の音響波トランスデューサ103のチップ112が接続されているので、支持部材102が有する曲面に沿って曲がって配置することができる。図示はしていないが、支持部材102の半球の内側の表面には、硬い音響波トランスデューサのチップ112に対応した凹凸が形成されている。従って、この凹凸に合わせて、音響波トランスデューサのチップ112を配置することで、音響波トランスデューサ103の位置を支持部材102に対して精度良く配置することができる。また、音響波トランスデューサユニット101を支持部材102の中央底部付近に向けることができる。音響波トランスデューサユニット101の配線取り出し部113は、支持部材102が有する貫通孔107を通して、半球内側から外側に引き出されている。配線取り出し部113は、フレキシブル配線用のコネクタ105に接続されており、ケーブル104により外部の装置と接続する構成となっている。
図1−5に、本実施形態のプローブ100を被検体側から見た模式図を示す。支持部材102の貫通孔107から、フレキシブル配線基板111が引き出されている。フレキシブル配線基板111は渦巻状に配置されており、フレキシブル配線基板に沿って、複数の音響波トランスデューサ103のチップ112が配置されている。ただし、フレキシブル配線基板111の配置は種々の形態をとり得る。また、本実施形態の音響波プローブは、複数の音響波トランスデューサ103のチップ112を有する音響波トランスデューサユニット101毎に、配線を束ねている。そのため、それぞれのトランスデューサ素子と外部とを接続するための配線を素子毎に引き出す構成に比べて、配線の構成を大きく簡素化することができる。以上のように、本実施形態の音響波プローブによると、引き出しの配線部を簡素な構成にすることができ、配線部を小型化することができる。そのため、音響波プローブ自体を小型にすることができ、配線の取り回しや操作性が良い音響波プローブなどを提供することができる。尚、本実施形態を示す図面では、貫通孔107の内部には何も配置していないが、封止剤が充填されている構成を取ることが望ましい。これにより、半球構造の内部側から外部側への液体(被検体の周りの媒質)の侵入を防ぐことができ、信頼性を向上させることができる。
本実施形態では、音響波トランスデューサ103に、静電容量型トランスデューサを用いている。静電容量型トランスデューサは、半導体プロセスを応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスを用いて、シリコンのチップ上に作製される。静電容量型トランスデューサは、圧電型の音響波トランスデューサに比べて、受信特性の周波数特性が大幅に優れている特徴がある。図2−1において、112はチップ(基板)、201は振動膜、202は第1の電極、203は第2の電極、204は支持部、205は空隙(キャビティ)、301は第1の配線、302は第2の配線、401は直流電圧発生手段、402は受信回路である。振動膜201は、支持部204によりチップ112上に支持されており、超音波を受けて振動する構成となっている。振動膜201上には第1の電極202が配置されており、第1の電極202に対向するチップ112上の位置には第2の電極203が配置されている。振動膜201と空隙205を挟んで対向した第1の電極202と第2の電極203を1組として、セル200と呼ぶ。素子(エレメント)は1以上のセルで構成される。セル全体は、絶縁膜206により覆われており、セル内の電極202、203は、外部と絶縁された状態となっている。
第1の電極202は、第1の配線301を介してチップ112外部に引き出され、直流電圧発生手段401に接続されている。直流電圧発生手段401により、第1の電極202と第2の電極203間には、数十ボルトから数百ボルトの電位差が発生している。第2の電極203は、第2の配線302を介してチップ112外部に引き出され、受信回路(検出回路)402に接続されている。振動膜201と第1の電極202が振動することにより、第1の電極202と第2の電極203間の距離が変化して、電極間の静電容量が変化する。電極間には電位差があるため、容量変化に対応して、微小な電流が発生する。微小電流は、第2の電極203に接続された受信回路402で、電流から電圧に変換されて第3の配線(不図示)から出力される。
チップ112上には、複数のセル200が配置されており、チップ112上の第1の電極202は互いに電気的に接続されており、チップ112上の第2の電極203は互いに電気的に接続されている。チップ上の第2の電極は、チップ112毎に異なる受信回路402に接続されている。本実施形態の音響波プローブでは、受信回路402をチップ112と同じ数だけ備えており、 複数の静電容量型トランスデューサを配置しているチップ112毎に独立した受音素子(受音素子の単位をエレメントと呼ぶ)として、機能している。受音素子の大きさは、数百マイクロメータから数ミリメータで、受音素子の数は、百から数千素子である。
図2−2を用いて、検出回路402を説明する。本実施形態の検出回路402は、オペアンプ411を用いたトランスインピーダンス回路で構成することができる。オペアンプ411を用いたトランスインピーダンス回路は、オペアンプの負帰還部に抵抗412とコンデンサ413がパラレルに配置されており、帰還部で入力された電流が電圧に変換される。オペアンプの帰還特性があるため、広帯域なオペアンプを用いることで、電流電圧変換効率に対する入力の配線にある寄生容量の影響を小さくすることができる。そのため、広い周波数幅を持つ受信特性の静電容量型トランスデューサについて、受信感度の低下が抑制された優れた受信特性を得ることができる。
図2−3を用いて、音響波トランスデューサ103を備えたチップ112とフレキシブル配線基板111の電気的接続を説明する。本実施形態では、静電容量型トランスデューサ103を形成しているチップ112は、貫通配線210を有している。そして、チップ表面(静電容量型トランスデューサの形成面)の電極202、203に接続した配線が、チップ裏面(静電容量型トランスデューサを形成していない面)の電極211に引き出されている。本実施形態では、チップ上に配置した静電容量型トランスデューサ103は、絶縁膜206で覆われており、内部の電極からの配線も、貫通配線210でチップ裏面に引き出されている。そのため、チップ表面では、静電容量型トランスデューサ103が有する電極と外部は完全に絶縁されている。こうして、高電圧が印加される電極が、被検体と導通して高電圧が被検体に印加されることを防ぐことができ、安全な静電容量型トランスデューサないし素子103などを提供することができる。
次に、チップ112裏面とフレキシブル配線基板111の電気接続部について説明する。フレキシブル配線の導電層232は、チップ裏面の電極211の位置に対応して露出しており、チップとフレキシブル配線の電極間は、異方性導電樹脂221、222により電気的に接続されている。異方導電性樹脂221、222は、微細は数マイクロメートル程度の導電性金属粒子を含有している絶縁性の熱硬化性樹脂であり、異方性導電フィルム(ACF)や異方性導電ペーストなどを用いることができる。チップ112の電極211とフレキシブル配線部111の電極232間の距離は微細な金属粒子より狭くなった状態で加熱硬化しており、電極211、232間は異方導電性樹脂222で電気的に接続されている。一方、チップ112平面やフレキシブル配線部111の電極間は、微細な金属粒子より広くなっており、異方導電性樹脂221の絶縁性により電気的に絶縁されている。また、異方性導電樹脂221があることにより、湿気などによる電気接続部の不良発生の影響を減らすことができ、電気接続の信頼性を高めることができる。
本実施形態では、硬いチップ112に対して、柔らかいフレキシブル配線基板111を加圧した状態で、異方導電性樹脂を加熱して硬化させている。そのため、柔らかいフレキシブル配線基板111は、チップ112の裏面の形状に沿って変形するので、電極の間隔を確実に微細な金属粒子の大きさ以下にすることができる。また、異方性導電樹脂を用いて、電極間を接続すると同時に、電極や配線と外部との電気的な絶縁を確保することができる。電気接続と絶縁を別個に行う構成では、絶縁を確保するためのアンダーフィル材を別途注入して、硬化させる必要がある。こうした場合、チップの裏面に注入したアンダーフィル材が、チップ側面を這い上がり、チップ表面の静電容量型トランスデューサ103上に流れ込んでしまうと、トランスデューサ103の受信特性を大幅に劣化させてしまうことがある。これを防ぐことを考えると、製造上に大きな制約を与えることとなり、製造工程の複雑化や歩留まりの低下を招く。本実施形態を用いることで、このような静電容量型トランスデューサ103の受信特性の劣化の発生を容易に防ぐことができる。
上記のように本実施形態を用いると、電極間の電気接続を確実に行い、且つ外部との絶縁を確実に行うことができ、受信特性の劣化が抑制された静電容量型トランスデューサ103などを提供することができる。
図2−4に別の形態を示す。図2−4で示すように、チップ112またはフレキシブル配線基板111上に形成した電極上に、金バンプ212を配置する構成にすることもできる。これにより、チップ112に対してフレキシブル配線基板111を加圧する際に金バンプ212が潰れ、電極間の間隔をより確実に微細な金属粒子の大きさ以下にすることができる。そのため、電気接続をより確実に行うことができる。
図2−5で示すように、フレキシブル配線の裏面(チップを形成していない側の面)に、検出回路402を配置する構成も取ることができる。これにより、静電容量型トランスデューサ103に、検出回路を近接して配置することができる。静電容量型トランスデューサの受信特性は、配線が有する寄生容量により、大幅に影響を受ける。そのため、本構成では、優れた受信特性を得ることができる。尚、図2−5では、フレキシブル配線基板111は、一部の導電層やビア、絶縁フィルムを省略して、簡素化して記載しているが、図2−3で説明したものと同様の構成である。以下の記載では、同様に、フレキシブル配線基板111を簡素化した模式図を用いて説明することもある。
図2−5に示す構成の場合、検出回路402とフレキシブル配線111間は、ハンダを用いることで容易に接続することができる。検出回路402とフレキシブル配線111との電気接続部は、エポキシ樹脂などの封止材243で覆っている。これにより、湿気などによる電気接続部の不良発生の影響を減らすことができ、電気接続信頼性を高めることができる。
本実施形態によると、曲面表面に複数の音響波トランスデューサを備えたプローブについて、それぞれの素子と外部との絶縁を簡易な構成で実現でき、音響波トランスデューサの受信周波数特性が優れたプローブなどを提供することができる。
本実施形態の概略全体構造を、図3を用いて説明する。図3−1及び図3−2に示すように、本実施形態は、柔軟な支持部材102を用いていることが特徴である。本実施形態の音響波トランスデューサユニットは、音響波トランスデューサ間をフレキシブル配線で接続しているので、被検体の形状に合わせて、プローブの表面が変形できる。よって、本実施形態によると、曲面状に配置した静電容量型トランスデューサ(CMUT)素子の位置を、被検体10の形状に合わせて変形でき、外部との絶縁を確保したプローブなどを提供することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、フレキシブル配線の裏面に配置する部材に関する。それ以外は、第1の実施形態と同じである。図4は、本実施形態に係る音響波プローブを説明する模式図である。図4に示す本実施形態では、フレキシブル配線111の裏面に、ガラスエポキシ樹脂基板241を備えていることを特徴とする。
図4では、チップ裏面のフレキシブル配線111の裏側に、ガラスエポキシ樹脂基板241を接着剤242で固定している。ガラスエポキシ材は、ガラスクロスにエポキシ接着剤を染み込ませたものを積層し、加熱圧迫して硬化したものである。ガラスエポキシ材は、或る太さのガラスクロスが周期的に積層されているため、侵入した超音波を減衰させることができる。そのため、チップ112を透過した超音波が支持部材102で反射する波による受信特性への影響を低減することができる。特に、ガラスクロスの太さが異なる複数の種類の層を組み合わせたものを用いることで、透過する超音波を減衰させることができるので、より望ましい。
本実施形態によると、曲面表面に複数の音響波トランスデューサを備えたプローブについて、それぞれの素子と外部とを接続するための配線を簡易な構成で実現できる。また、音響波トランスデューサの受信周波数特性が優れ、受信特性がチップを透過した音響波の影響を受け難いプローブなどを提供することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、フレキシブル配線に配置する部材に関する。それ以外は、第1か第2の実施形態と同じである。図5は、本実施形態に係る音響波プローブを説明する模式図である。図5において、244はリジッド部(剛体部)である。
図5に示す本実施形態では、チップ112間を繋ぐフレキシブル配線基板111の途中に、リジッド部(剛体部)244を備えている。リジッド部244上には、検出回路402を備えている。図示はしていないが、リジッド部244内の配線により、フレキシブル配線基板111と検出回路402は接続されている。本実施形態では、静電容量型トランスデューサ間を接続するフレキシブル配線基板111と、検出回路402への接続配線を備えたリジッド部244とを分けている。そのため、静電容量型トランスデューサ間を接続する配線と、検出回路402に必要な配線とを夫々最適にすることができる。それにより、静電容量型トランスデューサ103と検出回路402との配線による寄生容量を減らすことができ、検出回路402の配線を最短にでき、受信特性の劣化を少なくできる。検出回路402とフレキシブル配線111間は、ハンダを用いることで容易に接続することができる。検出回路402とリジッド部244との電気接続部は、エポキシ樹脂などの封止材243で覆っている。これにより、湿気などによる電気接続部の不良発生の影響を減らすことができ、電気接続信頼性を高めることができる。
リジッド部244は、フレキシブル配線基板111と一体型のリジッドフレキシブル基板により、構成されている。リジッドフレキシブル基板は、ガラスエポキシと銅箔により構成され硬く変形し難いリジッド部と、フレキシブル配線と同じポリイミドの絶縁フィルムで薄い導電層を挟んでおり柔らかく曲がりやすいフレキシブル配線部と、から構成され、一体に形成されている。本実施形態では、フレキシブル配線基板111とリジッド部244が一体化されたリジッドフレキシブル基板を用いているので、内部の配線と、外部との絶縁を確実に行うことができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、フレキシブル配線基板の形状に関する。それ以外は、第1から第3の何れかの実施形態と同じである。図6は、本実施形態に係る音響波プローブを説明する図である。
本実施形態では、図6−1に示すように、フレキシブル配線基板111は、静電容量型トランスデューサ間を接続する部分と、それから分岐してチップ112と電気的に接続するタブ状の部分から構成されていることが特徴である。図6−2に、チップ112での断面の模式図を示す。図6−2において、静電容量型トランスデューサ間を接続するフレキシブル配線基板111(120の部分)は、紙面に対して垂直に配置されている。一方、分岐してチップと電気的に接続するタブ状のフレキシブル配線基板は、チップ112に異方性導電樹脂222により電気的に接続されており、折り返されている。チップ112と接続したタブ部と静電容量型トランスデューサ間を接続するフレキシブル配線基板は、接着剤242により接着固定されている。
本実施形態によると、静電容量型トランスデューサ間を接続する配線部分と、チップに接続する部分とを分けている。そのため、それぞれの配線とチップとの電気的接続に適した構成を取ることができる。具体的には、静電容量型トランスデューサ間を接続する配線部分に、配線を高密度に配置することが可能になり、音響波トランスデューサユニットの高密度化や、配線の寄生抵抗や寄生容量の低減を実現することができる。また、チップとの電気接続部分は、異方性導電樹脂の加圧、加熱に適した電極の配置を行うことができ、より確実な電気接続を行うことができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、フレキシブル配線の構成に関する。それ以外は、第1の実施形態などと同じである。図7は、本実施形態に係る音響波プローブを説明する図である。図7−1から図7−3において、250はリジッド部である。本実施形態では、フレキシブル配線に、検出回路402を配置するリジッド部250が接続されていることを特徴とする。
図7−1に示すように、フレキシブル配線はチップ112毎にリジッド部250を有し、図7−2の断面図に示すように、リジッド部250は、ガラスエポキシにより構成されて、検出回路402が実装されている。リジッド部250は、多層基板であるため、検出回路のために最適な配線の構造を取ることができ、静電容量型トランスデューサに、より近接して検出回路を配置することができる。そのため、本実施形態のリジッド部を有した構成では、検出回路402で電流電圧変換効率の低下を少なくすることができ、優れた受信特性を得ることができる。
リジッド部とチップとの間を接続する接続用フレキシブル配線は折り曲げられ、リジッド部は、チップの裏面側に接着されている。本実施形態のフレキシブル配線とリジッド部は、リジッドフレキシブル基板により一体化されたものを用いることで、容易に構成することができる。リジッドフレキシブル基板は、ガラスエポキシと銅箔により構成されて硬く変形し難いリジッド部と、フレキシブル配線基板と同じポリイミドの絶縁フィルムで薄い導電層を挟んで柔らかく曲がりやすいフレキシブル配線部とから構成され、一体に形成される。複数のリジッド部250間は、フレキシブル配線により接続されている。リジッド部は、ガラスエポキシにより形成されているので、チップ112を透過した超音波が支持部材102で反射する波による受信特性への影響を低減することができる。
本実施形態によると、曲面状に静電容量型トランスデューサ(CMUT)素子を配置することができ、優れた受信特性を得ることができ、外部との絶縁を確保したプローブなどを提供することができる。
本実施形態の別の形態を、図7−3を用いて説明する。本形態では、フレキシブル配線111とリジッド部250が別体で構成されており、フレキシブル配線とリジッド部間は、異方性導電樹脂222で接続されている。ここで、フレキシブル配線111とリジッド部250の電極の周辺は、異方導電性樹脂221で覆われているので、電気接続部と外部との絶縁を確保することができる。本形態では、フレキシブル配線とリジッド部を分離している構成なので、曲がりやすい構成のフレキシブル配線111と、検出回路402の実装に適したリジッド部250との構成をそれぞれ選択することができる。そのため、曲面の形状に、より沿って静電容量型トランスデューサを配置でき、優れた受信特性の静電容量型トランスデューサを提供することができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態は、フレキシブル配線の構成に関する。それ以外は、第4の実施形態などと同じである。図8は、本実施形態に係る音響波プローブを説明する図である。図8に示す本実施形態では、複数のリジッド部250間を配線用フレキシブル配線で接続している。そして、フレキシブル配線とは別体のリジッド部に、リジッド部間を繋いだフレキシブル配線とは別に、チップ112との接続を行うための接続用フレキシブル配線を備えていることを特徴とする。
図8−1と図8−2で示すように、検出回路402を備えたリジッド部250は、フレキシブル配線111によりそれぞれ電気的に接続されている。リジッド部からは、チップ112毎にチップの裏面と接続するためのフレキシブル配線が接続されており、フレキシブル配線とチップの裏面の電極が異方性導電樹脂222により電気的に接続されている。
チップに接続したフレキシブル配線は、リジッド部に向かって折り返されており、リジッド部に接着されている。本実施形態のフレキシブル配線とリジッド部は、リジッドフレキシブル基板により一体化されたものを用いることで、容易に構成することができる。リジッドフレキシブル基板については、上述した通りである。複数のリジッド部250間は、フレキシブル配線部111により接続されている。リジッド部は、ガラスエポキシにより形成されているので、チップを透過した超音波が支持部材102で反射する波による受信特性への影響を低減することができる。
静電容量型トランスデューサは、その電極からの出力の微小な電流を電圧に変換するため、該電極から検出回路402までの配線に近接して出力信号線があると、受信信号にノイズが重畳されてしまうことになり易い。本実施形態では、チップから検出回路402までの配線と、それぞれのトランスデューサの検出回路402からの出力信号の配線を分離することができる。また、リジッド部250にある多層の導電層を用いて、配線のシールドを行うことができる。そのため、ノイズによる受信信号の劣化を殆ど生じさせることなく、光音響波(超音波)を取り出すことができる。
本実施形態によると、曲面状に静電容量型トランスデューサ(CMUT)素子を配置することができ、より優れた受信特性を得ることができ、外部との絶縁を確保したプローブなどを提供することができる。
本実施形態の別の形態を、図8−3を用いて説明する。別の形態では、フレキシブル配線とリジッド部が別体で構成されており、フレキシブル配線とリジッド部間は、異方性導電樹脂222で接続されている。フレキシブル配線とリジッド部の電極の周辺は、異方導電性樹脂221で覆われているので、電気接続部と外部との絶縁を確保することができる。本形態では、フレキシブル配線とリジッド部とを分離している構成なので、曲がりやすい構成のフレキシブル配線と、検出回路の実装に適したリジッド部との構成をそれぞれ選択することができる。そのため、曲面の形状に、より沿ってトランスデューサを配置でき、優れた受信特性のトランスデューサなどを提供することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、チップ裏面の電極の形状に関する。それ以外は、第1の実施形態などと同じである。図9−1は、本実施形態に係る音響波プローブを説明する模式図である。本実施形態では、チップ裏面の電極において、高電圧が印加される電極301を、基板電位の電極または信号線の電極302により囲んでいることを特徴とする。
図9−1に、チップとフレキシブル配線の電気接続部の断面の模式図を示し、図9−2に、トランスデューサの配置面側から見たチップ112裏面の電極パターンとフレキシブル配線基板111のパターンの関係を説明する模式図を示す。配線301は、直流電圧印加手段に接続しており、高電圧を印加する電極である。配線302は、検出回路に接続した電極である。本実施形態では、直流電圧印加手段に接続された電極301が、検出回路に接続した電極302で囲まれている。フレキシブル配線上では、絶縁フィルム231で覆われていない領域で、直流電圧印加手段401に接続された電極301と、検出回路402に接続した電極302が露出している。そして、直流電圧印加手段401に接続された電極の三方向を、検出回路に接続した電極302で囲んでいるパターンとなっている。チップ上の電極とフレキシブル配線上の電極が対向している領域は、異方性導電樹脂が導電性を有しており、電気的に接続されている。一方、電極が配置されていない領域は、異方性導電樹脂が絶縁性を有しており、異なる電極間は絶縁されている。
本実施形態によると、高電圧が印加される電極が信号線の電極で囲まれているので、万一、異方性導電樹脂221の絶縁性に問題が発生しても、外部に高電圧が伝わらない機構を有した、安全性の高いプローブなどを提供できる。
本実施形態の別の形態を、図9−3を用いて説明する。別の形態では、基準電位であるグランド電位に接続された電極を有しており、検出回路に接続された電極302を更に囲んでいる。尚、導電性のチップを用い、GND電位に接続された電極をチップの基板に接続する構成を取ってもよい。これにより、チップの電位が固定されるので、外部からのノイズの混入を防ぐことができる。本形態によると、高電圧が印加される電極が、信号線の電極とGND電位に接続された電極とで2重に囲まれている。よって、もし異方性導電樹脂の絶縁性に問題が発生しても、外部に高電圧がより確実に伝わらない機構を有した、安全性の高いプローブなどを提供できる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態は、チップとフレキシブル配線とを電気的に接続している場所に関する。それ以外は、第4から第6の何れかの実施形態などと同じである。図10−1と図10−2は、本実施形態に係る音響波プローブを説明する図である。
本実施形態では、チップ表面に配置したフレキシブル配線により、検出回路との電気接続を行っていることを特徴とする。図10−2に示すように、フレキシブル配線部111の端部には、片面が絶縁膜に覆われていなく導電層が露出した接続用電極234を備えている。チップ112上には、静電容量型トランスデューサ103の電極に接続された接続用電極が配置されている。チップ112上の接続用電極に対向するように、フレキシブル配線部111の接続用電極234が配置されている。チップ112上の接続用電極とフレキシブル配線部111の接続用電極234間は、異方性導電樹脂222により電気的に接続されている。また、チップ112とフレキシブル配線部111は、 異方性導電樹脂221により、機械的に固定されている。本実施形態は、チップ表面からフレキシブル配線(120の部分を含むフレキシブル配線部)を用いて配線を引き出しているので、被検体側への配線の高さを低くすることができる。そのため、配線部から静電容量型トランスデューサ103の受信特性へ与える影響を、極力少なくすることができる。
本実施形態では、チップ112に接続したフレキシブル配線部は、チップ112に対してほぼ垂直方向に折れ曲がっており、チップ112の垂直方向に配線301、302が引き出されている。そのため、被検体側から見て、チップ112の大きさに対して、ほとんど配置領域を広げることなく、静電容量型トランスデューサ103からの配線302を検出回路402に接続させることができる。
本実施形態の別の形態を、図10−3と図10−4を用いて説明する。別の形態では、フレキシブル配線とリジッド部250が別体で構成されており、フレキシブル配線とリジッド部間は、異方性導電樹脂で接続されている。フレキシブル配線とリジッド部の電極の周辺は、異方導電性樹脂で覆われているので、電気接続部と外部との絶縁を確保することができる。この別の形態では、フレキシブル配線とリジッド部を分離している構成なので、曲がりやすい構成のフレキシブル配線と、検出回路の実装に適したリジッド部との構成をそれぞれ選択することができる。そのため、曲面の形状に、より沿って静電容量型トランスデューサを簡易な配線構成で配置でき、優れた受信特性の静電容量型トランスデューサなどを提供することができる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態は、検出回路402の配置に関する。それ以外は、第1の実施形態などと同じである。図11は、本実施形態に係る音響波プローブのトランスデューサユニットを説明する図である。
本実施形態では、リジッド部244の基板内部に、検出回路402が有するチップ部品403が配置されていることが特徴である。検出回路402は、図11−1で示すように、オペアンプを用いたトランスインピーダンス回路で構成することができる。オペアンプを用いたトランスインピーダンス回路により、広い周波数幅を持つ受信特性の静電容量型トランスデューサについて、受信感度の低下が少ない優れた受信特性を得ることができる。本実施形態では、図11−2で示すように、検出回路の抵抗や容量などのチップ部品403を、リジッド部244の内部に備えている。リジッド部の内部に部品を配置する構成は、部品内蔵基板の作製技術を用いて、容易に実現することができる。また、検出回路のチップ部品以外のオペアンプ411は、リジッド部の裏面に配置されている。図11−2の構成では、チップ抵抗をリジッド部に内蔵しているので、検出回路402の実装面積を小さくすることができる。そのため、静電容量型トランスデューサやチップの大きさを小さくした際にも、検出回路の実装面積が、設計を決定する主要な要因になり、それぞれの間隔を狭くできないということを避けることができる。本実施形態によると、容易に配線を取り出すことができ、受信周波数特性が優れている音響波トランスデューサの検出回路を高い密度で配置した音響波プローブなどを提供することができる。
本実施形態の別の形態を、図11−3を用いて説明する。本形態では、検出回路402全体が、リジッド部244の内部に配置されていることが特徴である。これにより、回路の全体がエポキシ樹脂であるリジッド部により覆われているので、湿気などによる電気接続部の不良やオペアンプの不良の発生を低減することができる。本形態によると、容易に配線を取り出すことができ、受信周波数特性に優れる音響波トランスデューサの検出回路が高い信頼性を有する音響波プローブなどを提供することができる。
(第10の実施形態)
第10の実施形態は、チップ表面に配置する部材に関する。それ以外は、第1から第9の実施形態の何れかと同じである。図12は、本実施形態に係る音響波プローブのトランスデューサユニットを説明する模式図である。図12において、260は絶縁フィルムであり、261はシリコーンゴム層である。
本実施形態は、音響波トランスデューサのセンサ表面が絶縁フィルム260で覆われており、絶縁フィルムはチップ112に接着されていることを特徴とする。絶縁フィルム260は、薄膜の絶縁フィルムにより構成することができ、材質は、PET、PI、PE、TPXなど、薄膜に形成できるものであれば用いることができる。絶縁フィルム260の厚さは、使用する超音波の波長に対して十分薄い厚さであれば用いることができ、数マイクロメータから十数マイクロメータの厚さであることがより望ましい。
シリコーンゴム層261は、音響波の透過特性に優れており、且つ絶縁フィルム260とチップ112間を強く接着することができる。ここで、絶縁フィルム260と接着する静電容量型トランスデューサ103側の振動膜201は薄く、振動膜201上に配置している部材の影響を大きく受ける。そのため、一般的なエポキシ系などの、硬化後の硬度が高い接着剤を用いると、振動膜201特性が影響を受けて、受信感度が大幅に劣化してしまう。シリコーンゴムは硬化後の硬度が低いので、シリコーンゴムを静電容量型トランスデューサ103の表面に配置することで、トランスデューサの振動膜201の振動特性に影響を与え難いという特性を得ることができる。また、シリコーンゴム層261の厚さは、数十マイクロメータ以下であれば、超音波の透過特性に与える影響が少ないため、より望ましい。また、チップ112と絶縁フィルム260の間隔はあまり狭いと、振動膜201の光音響波(超音波)の受信特性が影響を受けるため、シリコーンゴム層261の厚さは二十マイクロメータ以上であることが望ましい。これらの理由から、光音響波用プローブで用いることを想定すると、本実施形態のシリコーンゴム層261の厚さは、二十マイクロメータから四十マイクロメータの間であることが特に望ましい。
本実施形態では、絶縁フィルム260を備えていることで、高電圧が電極に印加される静電容量型トランスデューサの表面と外部とを電気的に絶縁することができる。そのため、被検体に対する安全性が高い音響波プローブなどを提供することができる。また、本実施形態の構成では、絶縁フィルム260とチップ112間にシリコーンゴム層261を配置している。そのため、チップに対して絶縁フィルム260の接着力を確保したまま、光音響波(超音波)の受信特性を殆ど劣化させることがない音響波プローブなどを提供することができる。こうして、本実施形態では、容易に配線を取り出すことができ、静電容量型トランスデューサ表面において、外部との高い絶縁性が確保された音響波プローブなどを提供することができる。
(第11の実施形態)
第11の実施形態では、音響波トランスデューサの表面に配置されている部材に関する。それ以外は、第10の実施形態などと同じである。図13は、本実施形態に係る音響波プローブのトランスデューサユニットを説明する図である。図13−1と図13−2において、270はチップの凹部、271は、チップ112と絶縁フィルム260を接着する接着剤を収容する溝である。
本実施形態では、音響波トランスデューサを備えたチップ毎に、シリコーンゴム層261を介して絶縁フィルム260を配置していることが特徴である。本実施形態のチップ112は凹部270を有しており、静電容量型トランスデューサ103を凹部の底面に配置している。チップの凹部270の周辺の突起となっている部分は、絶縁フィルム260が接着されており、チップの有する凹部270と絶縁フィルム260の間にはシリコーンゴム層261が充填されている。
本実施形態によると、静電容量型トランスデューサの第1の電極202と第2の電極203は、チップ112と絶縁フィルム260によって囲まれているので、高電圧が電極に印加されるトランスデューサの表面と外部とを電気的に絶縁することができる。また、チップ毎に分離して絶縁フィルム260を備えているため、複数の静電容量型トランスデューサを任意の角度を付けて配置することができるため、トランスデューサの絶縁性を確保したまま、支持部材102の曲面に容易に配置することができる。
本実施形態によれば、曲面に複数のトランスデューサを備えたプローブについて、夫々の素子と外部とを接続する配線を簡易な構成で実現でき、信号に用いる配線がより最適で、受信周波数特性に優れ、絶縁性が高い音響波トランスデューサなどを提供できる。
(第12の実施形態)
第12の実施形態では、静電容量型トランスデューサ198が超音波の送受信を行う機能も有していることが特徴である。その他は、第1から第11までの何れかの実施形態と同じである。
図14を用いて説明する。図14−1と図14−2において、421はトランスデューサとの間で信号を授受する駆動検出回路、431はオペアンプ、432は帰還抵抗、433は帰還容量、434、435は高耐圧スイッチ、436、437はダイオード、438は高耐圧ダイオードである。図14−1は、1つのチップ220上に配置された静電容量型トランスデューサ198の模式図である。1つのチップ上には、複数の静電容量型トランスデューサ198が1素子(エレメント)を構成して配置されており、トランスデューサ198の第1の電極202は、配線301を介して駆動検出回路421と接続されている。駆動検出回路421は、装置側から超音波の送信に用いる高電圧パルス481を静電容量型トランスデューサ198に印加し、静電容量型トランスデューサ198からの微小電流を検出信号481とし装置側に出力する機能を有する検出部を有している。
図14−2は、駆動検出回路421を説明するための回路図である。オペアンプ431の負帰還部に、帰還抵抗432と帰還容量433が並列に配置されており、電流電圧変換を行う機能を有している。オペアンプの入力端子と出力端子には、高耐圧スイッチ434、435と、ダイオード436、437がそれぞれ接続されている。高耐圧ダイオード438は、端子間が所定の電圧(1ボルト弱)以下の場合は、端子間の配線接続が切断される。また、高耐圧スイッチ434、435は、所定の電圧(数ボルト程度)より高い電圧が印加されると、スイッチの入出力端子間の配線が切断される。
送信のための高電圧パルスが印加されていない時、高耐圧ダイオード438の端子間には殆ど電位差がないため、高耐圧ダイオード438では入出力端子間での配線が切断されている状態になっている。一方、 高耐圧スイッチ434、435は、外部から高い電圧が印加されていないので、スイッチの配線が接続されている。そのため、トランスデューサからの微小電流をオペアンプ431で電流電圧変換して、外部に接続した装置(不図示)に検出信号481を出力することができる。
一方、送信のための高電圧パルスが装置(不図示)側から印加されると、高耐圧ダイオード438内部の配線は接続され、高耐圧スイッチ434、435には、所定の電圧(数ボルト程度)より高い電圧が印加される。そのため、高耐圧スイッチ434、435は、スイッチ内部の配線を切断する。よって、オペアンプ431へ高電圧が印加されてオペアンプが破損することを防ぐことができる。オペアンプからの信号出力は、高耐圧スイッチ435でカットされるため、送信のために印加した高電圧パルスに影響を与えることがない。従って、トランスデューサの第1の電極202に、超音波を送信するための高電圧パルスを印加することができる。
本実施形態に係る超音波プローブによると、光音響波の受信と、超音波の送受信を1つのプローブで行うことができる。そのため、検出したデータを基に光音響イメージング像と超音波イメージング像を形成することができる。また、超音波の送信と、超音波や光音響波の受信に用いる静電容量型トランスデューサ198の1種類で行うことができるため、チップ220のサイズを小さくすることができる。よって、素子198間をより近接して配置することができ、素子の数を増やすことができる。あるいは、同じ素子数であれば、より小さな径の半球状多面体を実現することができる。また、静電容量型トランスデューサ198を兼用しているので、光音響イメージング像と超音波イメージング像の位置ズレがより少ない画像を得ることができる。
(第13の実施形態)
第1から第12の何れかの実施形態に記載の音響波プローブは、光音響効果を利用した光音響波(超音波)の受信に用いることができ、それを備えた被検体情報取得装置である画像形成装置に適用することができる。
図15を用いて、本実施形態の超音波測定装置の動作を具体的に説明する。まず、発光指示信号701に基づいて、光源805から光702(パルス光)を発生させることにより、媒質801を介して測定対象物800に光702を照射する。測定対象物800では光702の光照射により光音響波(超音波)703が励起され、この超音波703を超音波プローブが有する複数の静電容量型トランスデューサ802で受信する。受信信号の大きさや形状、時間の情報が光音響波の受信信号704として、信号処理部である画像情報生成装置803に送られる。一方、光源805で発生させた光703の大きさや形状、時間の情報(発光情報)が、光音響信号の画像情報生成装置803に記憶される。光音響信号の画像情報生成装置803では、光音響波の受信信号703と発光情報を基に測定対象物800の画像信号を生成して、光音響信号による再現画像情報705として出力する。画像表示器804では、光音響信号による再現画像情報705を基に、測定対象物800を画像として表示する。
本実施形態に係る超音波プローブは、広い周波数範囲の光音響波を受信できる特性を有しているため、光音響波から多くの情報を取得できて、高画質な画像を生成することができる。
(第14の実施形態)
本実施形態は、第12の実施形態の超音波探触子を、第13の実施形態の画像形成装置に用いたものである。図16に、本実施形態に係わる被検体情報取得装置である画像形成装置の模式図を示す。図16において、706は超音波の送受信信号、707は送信した超音波、708は反射した超音波、709は超音波の送受信による再現画像情報である。
本実施形態の画像形成装置は、光音響波の受信に加えて、パルスエコー(超音波の送受信)を行い、画像を形成する。光音響波の受信については、第13の実施形態と同じであるため、ここではパルスエコー(超音波の送受信)について説明する。
超音波の送信号706を基にして、複数の静電容量型トランスデューサ802から、測定対象物800に向かって超音波707が出力(送信)される。測定対象物800の内部において、内在する物体の固有音響インピーダンスの差により、超音波が反射する。反射した超音波708は、複数の静電容量型トランスデューサ802で受信され、受信信号の大きさや形状、時間の情報が超音波受信信号706として画像情報生成装置803に送られる。一方、送信超音波の大きさや形状、時間の情報は超音波送信情報として、画像情報生成装置803で記憶される。画像情報生成装置803では、超音波受信信号706と超音波送信情報を基に測定対象700の画像信号を生成して、超音波送受信の再現画像情報709として出力する。
画像表示器804では、光音響信号による再現画像情報705と、超音波送受信による再現画像情報709の2つの情報を基に、測定対象物800を画像として表示する。本実施形態によると、広い周波数範囲の光音響波を受信できる特性を音響波プローブ用いて、異なる測定方法の受信情報を取得して画像を形成するため、より情報量の多い画像を取得、表示することができる。
上記実施形態において、トランスデューサは、少なくとも被検体からの超音波の受信を行い、処理部は、トランスデューサからの超音波受信信号を用いて被検体の情報を取得するようにもできる。ここでは、静電容量型トランスデューサは、被検体に向けて超音波の送信も行ってもよいが、超音波の送信は他のトランスデューサが行うようにしてもよい。また、光音響波の受信を行わないで超音波受信のみを行う形態にもできる。以上のように、音響波プローブは、半球面状の多面体などの内部に位置する被検体からの光音響波及び/または超音波を検出し、信号処理部は、音響波プローブで取得された光音響波及び/または超音波の信号から被検体の生体組織像などを構成することができる。
尚、上記説明では、第1の電極202は振動膜201上に配置され、第2の電極203は基板上に配置されていたが、この構成に限らない。振動膜201上に第2の電極203が配置され、基板上に第1の電極202が配置された構成でも同様に用いることができる。
100・・音響波プローブ、101・・音響波トランスデューサユニット、102・・支持部材、103・・音響波トランスデューサ、111・・フレキシブル配線(フレキシブル配線基板、フレキシブル配線部)、112、220・・チップ、222・・電気接続部(異方性導電樹脂)

Claims (28)

  1. 柔軟な配線上に、複数の音響波トランスデューサを分散して配置した音響波トランスデューサユニットを備えており、曲面を有した支持部材に前記音響波トランスデューサユニットを配置している音響波プローブであって、
    前記音響波トランスデューサユニットは、それぞれ前記音響波トランスデューサを備えた複数のチップと、複数の前記チップの間を接続するフレキシブル配線と、を有しており、前記チップの導電部と前記フレキシブル配線の導電部間を電気接続部で接続していることを特徴とする音響波プローブ。
  2. 前記電気接続部を異方性導電樹脂で構成していることを特徴とする請求項1に記載の音響波プローブ。
  3. 前記曲面を有した支持部材は、柔軟な材質で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の音響波プローブ。
  4. 前記チップは貫通配線を有しており、前記チップとフレキシブル配線の電気接続部は、前記チップの音響波トランスデューサを配置していない面に配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  5. 前記フレキシブル配線は、前記チップの裏面とガラスエポキシ樹脂基板により挟まれた構造になっていることを特徴とする請求項4に記載の音響波プローブ。
  6. 前記チップとフレキシブル配線の電気接続部は、前記チップの音響波トランスデューサを配置している面に配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  7. 前記音響波トランスデューサユニットは、前記音響波トランスデューサからの信号を検出する検出回路または前記音響波トランスデューサとの間で信号を授受する駆動検出回路を備えていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  8. 前記音響波トランスデューサユニットは、リジッド部を有しており、前記リジッド部に前記音響波トランスデューサからの信号を検出する検出回路または前記音響波トランスデューサとの間で信号を授受する駆動検出回路を備えていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  9. 前記リジッド部は、前記チップの裏面に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の音響波プローブ。
  10. 前記音響波トランスデューサユニットは、リジッド部を有しており、前記フレキシブル配線は、前記リジッド部間を接続する配線用フレキシブル配線と、前記リジッド部と前記チップとの間を接続する接続用フレキシブル配線を備えていることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  11. 前記音響波トランスデューサユニットは、リジッド部を有しており、前記フレキシブル配線と前記リジッド部は、一体型のリジッドフレキシブル基板で構成されていることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  12. 前記音響波トランスデューサユニットは、リジッド部を有しており、前記フレキシブル配線と前記リジッド部は、別体で構成されていることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  13. 前記チップと前記フレキシブル配線の電気接続部は、前記音響波トランスデューサに電圧を印加する直流電圧印加手段に接続された前記音響波トランスデューサの電極が、前記音響波トランスデューサからの信号を検出する検出回路に接続された前記静電容量型トランスデューサの電極に囲まれて配置されていることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  14. 前記チップと前記フレキシブル配線の電気接続部は、前記音響波トランスデューサに電圧を印加する直流電圧印加手段に接続された前記静電容量型トランスデューサの電極が、基準電位であるグランドに接続された電極に囲まれて配置されていることを特徴とする請求項1から13の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  15. 前記音響波トランスデューサユニットは、前記音響波トランスデューサからの信号を検出する検出回路または前記音響波トランスデューサとの間で信号を授受する駆動検出回路を備え、前記検出回路または前記駆動検出回路の検出部が、 オペアンプを用いたトランスインピーダンス回路を有することを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  16. 前記オペアンプを用いたトランスインピーダンス回路が有するチップ部品が、前記音響波トランスデューサユニットが有するリジッド部に内蔵されていることを特徴とする請求項15に記載の音響波プローブ。
  17. 前記オペアンプを用いたトランスインピーダンス回路が有するオペアンプが、前記音響波トランスデューサユニットが有するリジッド部に内蔵されていることを特徴とする請求項15又は16に記載の音響波プローブ。
  18. 前記音響波トランスデューサの表面に、シリコーンゴム層を介して絶縁フィルムが設けられていることを特徴とする請求項1から17の何れか1項に記載の音響波プローブ。
  19. 前記絶縁フィルムは、前記チップに接着されていることを特徴とする請求項18に記載の音響波プローブ。
  20. 前記チップは凹部を有しており、前記絶縁フィルムと前記チップは前記凹部を形成していない領域で接着されていることを特徴とする請求項19に記載の音響波プローブ。
  21. 前記チップは、前記絶縁フィルムと接着される領域に、接着剤を収容する溝を有していることを特徴とする請求項19又は20に記載の音響波プローブ。
  22. 柔軟な配線上に、複数の音響波トランスデューサを分散して配置した音響波トランスデューサユニットであって、
    それぞれ前記音響波トランスデューサを備えた複数のチップと、複数の前記チップの間を接続するフレキシブル配線と、を有しており、前記チップの導電部と前記フレキシブル配線の導電部間を電気接続部で接続していることを特徴とする音響波トランスデューサユニット。
  23. 前記電気接続部を異方性導電樹脂で構成していることを特徴とする請求項22に記載の音響波トランスデューサユニット。
  24. 請求項1から21の何れか1項に記載の音響波プローブと、前記音響波プローブで検出された信号を被検体の情報を表す信号に変換するための信号処理部を有することを特徴とする被検体情報取得装置。
  25. 被検体に光を照射する光源を有し、
    前記音響波プローブは、前記光照射により励起された被検体からの光音響波を検出することを特徴とする請求項24に記載の被検体情報取得装置。
  26. 前記音響波プローブは、被検体からの超音波の受信を行うことを特徴とする請求項24又は25に記載の被検体情報取得装置。
  27. 前記音響波プローブは、被検体に向けて超音波の送信を行うことを特徴とする請求項24から26の何れか1項に記載の被検体情報取得装置。
  28. 前記信号処理部は、前記音響波プローブで検出された信号を被検体の画像信号に変換することを特徴とする請求項24から27の何れか1項に記載の被検体情報取得装置。
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