JP2016117487A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】1枚の摩擦板を増設する事によって、支持ブラケット12aに対するアウタコラム13aの保持力を確保する為の摩擦面の数を増やせる構造を実現する。【解決手段】前記支持ブラケット12aを構成する支持板部20aの内側面と、前記アウタコラム13aに固設した変位ブラケット18aの側面との間に、1枚のテレスコ用揺動摩擦板25を挟持した状態で設置する。ステアリングホイールの前後位置を調節する際に、調節杆22aをテレスコ調節用長孔19aに沿って、前記アウタコラム13aの側面に突設した案内ピン33を案内長孔32に沿って、それぞれ変位させつつ、前記テレスコ用揺動摩擦板25を、前記調節杆22aを中心として揺動させる。この様な構成を採用する結果、前記テレスコ用揺動摩擦板25の両側面と相手面との当接部が、それぞれ前記摩擦面となる為、上述した課題を解決できる。【選択図】図2

Description

本発明は、ステアリングホイールの上下位置や前後位置を調節する機能を備えたステアリング装置の改良に関する。
自動車用の操舵装置は、図18に示す様に構成して、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、この入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、前車輪に舵角を付与する様にしている。前記ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定しており、このステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、このステアリングコラム6に回転自在に支持している。又、前記ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続し、この中間シャフト8の前端部を、別の自在継手9を介して、前記入力軸3に接続している。尚、本明細書及び特許請求の範囲全体で、前後方向、左右方向、及び上下方向は、特に断らない限り、車両の前後方向、左右方向、及び上下方向を言う。
上述の様な操舵装置で、運転者の体格や運転姿勢に応じて、前記ステアリングホイール1の上下位置(チルト位置)を調節する為のチルト機構や、前後位置(テレスコピック位置)を調節する為のテレスコピック機構が、従来から広く知られている。このうちのチルト機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を車体10に対して、左右方向に設置した枢軸11を中心とする揺動変位を可能に支持している。又、前記ステアリングコラム6の後端寄り部分に固定した変位ブラケット18を、前記車体10に支持した支持ブラケット12に対して、上下方向及び前後方向の変位を可能に支持している。このうち、前後方向の変位を可能とするテレスコピック機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を、アウタコラム13とインナコラム14とをテレスコープ状に伸縮自在に組み合わせた構造とし、前記ステアリングシャフト5を、アウタシャフト15とインナシャフト16とを、スプライン係合等により、トルク伝達自在に、且つ、伸縮自在に組み合わせた構造としている。尚、図示の例は、電動モータ17を補助動力源として前記ステアリングホイール1を操作する為に要する力の低減を図る、電動式パワーステアリング装置も組み込んでいる。
チルト機構やテレスコピック機構で、電動式のものを除く手動式の構造の場合には、調節レバーの操作に基づいて、前記ステアリングホイール1の位置を調節可能な状態としたり、調節後の位置に固定できる様にしている。この様な手動式のチルト機構やテレスコピック機構の構造に就いては、従来から各種構造のものが広く知られており、且つ、実施されている。例えば、図18に示した構造の場合には、前記アウタコラム13に固設した変位ブラケット18に、テレスコピック位置調節方向である前記アウタコラム13の軸方向に長い、テレスコ調節用長孔19を形成している。又、前記支持ブラケット12は、前記変位ブラケット18を左右両側から挟む、1対の支持板部20を備えており、これら両支持板部20の互いに整合する部分に、それぞれチルト位置調節方向である上下方向に長い、チルト調節用長孔21を形成している。これら両チルト調節用長孔21は、一般的には、前記枢軸11を中心とする部分円弧状である。そして、これら両チルト調節用長孔21と前記テレスコ調節用長孔19とに、調節杆22を挿通している。この調節杆22には、前記両支持板部20を左右方向両側から挟む状態で1対の押圧部を設けており、調節レバー23(例えば、後述する図1〜3参照)の操作に基づいて作動する拡縮装置により、前記両押圧部同士の間隔を拡縮可能としている。
前記ステアリングホイール1の上下位置又は前後位置を調節する際には、前記調節レバー23を所定方向に揺動させる事により、前記両押圧部同士の間隔を拡げる。これにより、前記両支持板部20の内側面と前記変位ブラケット18の両外側面との間に作用している摩擦力を小さくする。そして、この状態で、前記調節杆22が、前記両チルト調節用長孔21及び前記テレスコ調節用長孔19内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。調節後は、前記調節レバー23を前記所定方向とは逆方向に揺動させる事により、前記両押圧部同士の間隔を縮める。これにより、前記摩擦力を大きくして、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する。
又、上述したステアリング装置は、衝突事故の際に、運転者の身体が前記ステアリングホイール1にぶつかる、二次衝突が発生した場合に、運転者に加わる衝撃荷重を緩和すべく、前記ステアリングホイール1が前方に変位する事を許容する機能を備える。この為に、具体的には、前記支持ブラケット12を前記車体10に対し、二次衝突時の衝撃により前方への離脱を可能に支持する構造を採用している。この様な構造を備えたステアリング装置の場合、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する力、即ち、前記支持ブラケット12に対する前記アウタコラム13の保持力が弱いと、二次衝突の発生時に、このアウタコラム13が前記支持ブラケット12に対して前後方向や上下方向に移動する可能性がある。そして、移動した場合には、前記支持ブラケット12に対する衝撃の加わり方が変化する為、この支持ブラケット12を前記車体10から離脱させる事に基づく衝撃吸収機構の設計が難しくなる可能性がある。
一方、前記調節レバー23の操作量や操作力を大きくする事なく、前記支持ブラケット12に対する前記アウタコラム13の保持力を大きくする為には、この保持力を確保する為の摩擦面の数を増やす事が好ましい。この様な事情に鑑みて、特許文献1には、ステアリングコラムに支持した摩擦板と、支持ブラケットに支持した摩擦板とを、左右方向に重ね合わせる事により、前記摩擦面の数を増やす構造が記載されている。ところが、この特許文献1に記載された構造の場合には、前記各摩擦板を、前記ステアリングコラム又は前記支持ブラケットに対し、左右方向の変位のみを可能に支持する構成を採用している。この為、前記摩擦面の数を増やす為に必要となる摩擦板の枚数が複数となる。従って、前記摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅が、それぞれ大きくなる。
特開平10−35511号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、1枚の摩擦板を設置する事によって、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を確保する為の摩擦面の数を増やせる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリング装置は、ステアリングコラムと、変位ブラケットと、第一貫通孔と、支持ブラケットと、第二貫通孔と、拡縮装置とを備える。
このうちのステアリングコラムは、後端部にステアリングホイールを固定するステアリングシャフトの周囲に設けられて、このステアリングシャフトを回転自在に支持する。
又、前記変位ブラケットは、前記ステアリングコラムの軸方向中間部に固設(一体形成、又は、別体の部材として固定)されている。
又、前記第一貫通孔は、前記変位ブラケットに左右方向に形成されている。
又、前記支持ブラケットは、前記変位ブラケットを左右両側から挟む状態で設けられた左右1対の支持板部を有し、車体に支持される。
又、前記第二貫通孔は、前記両支持板部の一部で互いに整合する位置に設けられている。
又、前記拡縮装置は、前記第一、第二各貫通孔に挿通された調節杆、及び、この調節杆の一端部で前記両支持板部のうちの一方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた調節レバー、及び、前記調節杆の一部で前記両支持板部を左右方向両側から挟む位置に設けられた1対の押圧部を備えると共に、前記調節レバーの操作に基づいてこれら両押圧部同士の間隔を拡縮可能としている。
更に、前記第一、第二各貫通孔のうちの少なくとも何れかの貫通孔を、前記ステアリングホイールの位置調節方向に長い調節用長孔としている。
特に、本発明のステアリング装置に於いては、それぞれが互いに対向する1対の面同士の間部分である、前記両支持板部の内側面と前記変位ブラケットの両側面との間部分、及び、前記両支持板部の外側面と前記両押圧部の内側面との間部分のうち、少なくとも1つの間部分に、揺動摩擦板を挟持している。これと共に、この揺動摩擦板を挟持した前記1対の面のうち、前記ステアリングホイールの位置調節を行う際に前記調節杆と相対変位する一方の面に対して不動の部分に、案内ピンを固設している。又、前記揺動摩擦板は、互いに離隔した2箇所位置に、揺動中心孔と案内長孔とを有するもので、このうちの揺動中心孔に前記調節杆を挿通すると共に、前記案内長孔に前記案内ピンを、この案内長孔に沿った変位のみを可能に係合させている。更に、前記揺動摩擦板は、前記1対の押圧部同士の間隔を拡げる事により、前記揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する前記1対の面との当接部の面圧を低下乃至は喪失させた状態で、前記調節杆を前記調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動する。そして、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通されている部分の長さ方向若しくは接線方向とが一致しない。
上述の様な本発明(請求項1に記載した発明)を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記第一貫通孔を、前記ステアリングホイールのテレスコピック位置調節方向である、前記ステアリングコラムの軸方向に長い調節用長孔とする。そして、前記各間部分のうちの少なくとも1つの間部分に挟持した揺動摩擦板を、前記調節杆を前記ステアリングコラムの軸方向に長い調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動するものとする。更に、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記ステアリングコラムの軸方向とを一致させない。
又、上述の様な請求項1に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記各第二貫通孔を、前記ステアリングホイールのチルト位置調節方向である、上下方向に長い調節用長孔とする。そして、前記各間部分のうちの少なくとも1つの間部分に挟持した揺動摩擦板を、前記調節杆を前記上下方向に長い調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動するものとする。更に、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記上下方向に長い調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とを一致させない。
又、上述の様な請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、前記揺動摩擦板が前記調節杆を中心として揺動する全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度を、25度以上(より好ましくは30度以上、更に好ましくは45度以上、更に好ましくは60度以上)にする。尚、ステアリングホイールの位置調節時に於ける前記揺動摩擦板の揺動を円滑に行える様にする観点より、前記揺動の全範囲で、前記角度の最大値は、90度未満にするのが好ましい。
又、上述の様な請求項1〜4に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、前記揺動摩擦板と、この揺動摩擦板を挟持する前記1対の面のうちの一方の面を備えた部材と他方の面を備えた部材とのうちの少なくとも一方の部材とを、硬さの異なる金属素材により造る。
又、上述の様な請求項1〜5に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項6に記載した発明の様に、前記揺動摩擦板の一部で、前記案内長孔の幅方向両側縁のうち、二次衝突の発生時に前記案内ピンから衝撃的な押付力を加えられる片側縁に対して、前記案内長孔の幅方向片側に離隔した部分に、強度調節用長孔を、この案内長孔に対して並列に設ける。これにより、これら両長孔同士の間に、前記衝撃的な押付力に基づき前記強度調節用長孔の側に向け塑性変形可能なブリッジ部を設ける。
上述の様に構成する本発明のステアリング装置の場合には、ステアリングホイールを調節後の位置に保持すべく、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力(この支持ブラケットに対してこのステアリングコラムが前記ステアリングホイールの位置調節方向に変位するのを抑える力)を発生させる為に、1対の押圧部同士の間隔を狭めた状態で、揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部が、それぞれ前記保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。
即ち、本発明の場合、前記支持ブラケットに対して前記ステアリングコラムを、前記ステアリングホイールの位置調節方向に変位させる為には、調節杆を調節用長孔に沿って変位させる必要がある。又、この様に調節杆を調節長孔に沿って変位させる為には、案内ピンを案内長孔に沿って変位させつつ、前記揺動摩擦板を前記調節杆を中心として揺動させる必要がある。これに対し、本発明の場合、前記両押圧部同士の間隔を狭める事により、前記揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部の面圧を上昇させた状態では、これら両当接部に作用する摩擦力によって、前記揺動摩擦板が前記調節杆を中心として揺動する事を抑えられる。この為、この状態で、前記調節杆を前記調節用長孔に沿って変位させようとすると、前記案内ピンと前記案内長孔の幅方向側縁とが強く係合する事により、前記調節杆が前記調節用長孔に沿って変位する事が阻止される。従って、この様な阻止力によって、前記支持ブラケットに対する前記ステアリングコラムの保持力を確保できる。特に、本発明の場合、前記揺動摩擦板を前記調節杆を中心として揺動させる為には、この揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部のうち、何れか一方の当接部にのみ滑りを生じさせるだけでは足りず、両方の当接部にそれぞれ滑りを生じさせる必要がある。従って、これら両方の当接部が、それぞれ前記支持ブラケットに対する前記ステアリングコラムの保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。
従って、本発明の場合には、前記揺動摩擦板を挟持する1対の面同士を直接当接させる事により、これら両面同士の当接部を前記摩擦面とする構造に比べて、この摩擦面の数を1つ増やせる。この結果、前記支持ブラケットに対する前記ステアリングコラムの保持力を向上させる事ができる。特に、本発明の場合には、前記1対の面同士の間に1枚の揺動摩擦板を設置するだけで、前記摩擦面の数を増やせる。この為、この摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅を、それぞれ十分に抑えられる。
又、本発明を実施する場合に、請求項4に記載した発明の構成を採用すれば、揺動摩擦板が如何なる揺動位置にある場合でも、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を十分に確保できる。即ち、1対の押圧部同士の間隔を狭めた状態で、案内長孔の幅方向側縁と案内ピンとが係合する事によって生じる、調節杆が調節用長孔に沿って変位する事に対する阻止力は、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度が、大きくなる程大きくなる。これに対し、請求項4に記載した発明の構成の場合には、前記揺動摩擦板の揺動の全範囲で、前記角度が25度以上になる様にしている。この為、前記揺動摩擦板が如何なる揺動位置にある場合でも、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を十分に確保できる。
又、本発明を実施する場合に、請求項5に記載した発明の構成を採用すれば、揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部のうち、少なくとも一方の当接部が、硬さの異なる面同士の当接部となる。この為、二次衝突の発生に伴って、この硬さの異なる面同士の当接部に滑りが生じる傾向となった場合に、高硬度側の面が低硬度側の面に食い込む事により、当該当接部で滑りを生じにくくできる。従って、この様な効果を得られる分だけ、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を大きくできる。
又、本発明を実施する場合に、請求項6に記載した発明の構成を採用すれば、二次衝突の発生時に、揺動摩擦板に設けたブリッジ部が塑性変形する事に伴い、この揺動摩擦板に設けた案内長孔の幅方向片側縁が変形する。この結果、この案内長孔の幅方向片側縁のうちで案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、調節用長孔のうちで調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度が増大する。これにより、前記案内長孔の幅方向片側縁と前記案内ピンとが係合する事によって生じる、前記調節杆が前記調節用長孔に沿って変位する事に対する阻止力が増大する。この為、二次衝突の発生時に、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力をより大きくできる。
本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。 図1の右半部拡大図。 図2のa−a断面図。 図2のb−b断面図。 一部の部材を省略した状態で示す、図2の左半部に対応する図であって、(A)は調節杆がテレスコ調節用長孔の前端部に位置する状態を、(B)は同じく中間部に位置する状態を、(C)は同じく後端部に位置する状態を、それぞれ示す図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図5と同様の図であって、(A)は調節杆がテレスコ調節用長孔の前端部に位置する状態を、(B)は同じく中間部に位置する状態を、それぞれ示す図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図2と同様の図。 図7のc−c断面図。 一部の部材を省略した状態で示す、図7の左端部に対応する図であって、(A)は調節杆がチルト調節用長孔の上端部に位置する状態を、(B)は同じく中間部に位置する状態を、(C)は同じく下端部に位置する状態を、それぞれ示す図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図9と同様の図。 同第5例を示す、図9と同様の図。 同第6例を示す、図9と同様の図。 同第7例を示す、図8と同様の図。 同第8例を示す、図2と同様の図。 図14のd−d断面図。 同第7例を示す、図5の(A)と同様の図。 二次衝突の発生前の状態(A)、及び、発生後の状態(B)で示す、要部拡大図。 従来から知られているステアリング装置の1例を、一部を切断した状態で示す略側面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、テレスコピック機構とチルト機構との双方の機構を備えたステアリング装置に対し、テレスコピック機構に関する保持力を向上させるべく、本発明を適用した例である。本例のステアリング装置は、ステアリングコラム6aと、変位ブラケット18aと、テレスコ調節用長孔19a、19aと、支持ブラケット12aと、チルト調節用長孔21a、21aと、拡縮装置24と、1対のテレスコ用揺動摩擦板25、25とを備える。
このうちのステアリングコラム6aは、後側に配置したアウタコラム13aの前端部と、前側に配置したインナコラム14aの後端部とを、軸方向の相対変位を可能に嵌合させて全長を伸縮可能に構成している。この様なステアリングコラム6aの内側にステアリングシャフト5aを、回転自在に支持している。このステアリングシャフト5aは、後側に配置した円管状のアウタシャフト15aの前端部と、前側に配置したインナシャフト16aの後端部とをスプライン係合させて、トルク伝達及び全長の伸縮を可能に構成している。そして、前記アウタシャフト15aの中間部後端寄り部分を前記アウタコラム13aの後端部内側に、前記インナシャフト16aの中間部前端寄り部分を前記インナコラム14aの前端部内側に、それぞれ単列深溝型玉軸受等のラジアル荷重及びアキシアル荷重を支承できる軸受により、回転自在に支持している。前記アウタシャフト15aの後端部で前記アウタコラム13aの後端開口から突出した部分には、ステアリングホイール1(図18参照)を固定する。又、前記インナコラム14aの前端部上面に枢支ブラケット26を溶接固定しており、この枢支ブラケット26を車体10(図18参照)に対し、左右方向に設置した枢軸11aにより、揺動変位可能に支持する。
又、前記変位ブラケット18aは、前記ステアリングコラム6aの軸方向中間部となる、前記アウタコラム13aの前半部に、このアウタコラム13aの下方に突出する状態で固設している。本例の場合、このアウタコラム13aは、アルミニウム合金等の軽合金をダイキャスト成形する事により、前記変位ブラケット18aと一体に造っている。又、この変位ブラケット18aは、左右方向に離隔して配置された、1対の被挟持板部27、27により構成している。そして、これら両被挟持板部27、27の互いに整合する位置に、それぞれが前記アウタコラム13aの軸方向に長い、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aを、左右方向に貫通する状態で形成している。
又、前記支持ブラケット12aは、それぞれが鋼板等の十分な強度及び剛性を有する金属板により造られた複数の素子同士を、溶接等により一体に結合固定して成るもので、左右1対ずつの取付板部28、28と支持板部20a、20aとを備える。この様な支持ブラケット12aは、前記両取付板部28、28を前記車体10に対し、自動車用操舵装置の技術分野で周知の構造により、二次衝突時の衝撃により前方への離脱を可能に支持する。又、前記両支持板部20a、20aは、前記変位ブラケット18aを左右両側から挟む状態で配置されている。これら両支持板部20a、20aの一部で、互いに整合し、且つ、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aの一部と整合する位置に、それぞれが上下方向に長い、前記両チルト調節用長孔21a、21aを形成している。本例の場合には、これら両チルト調節用長孔21a、21aを、それぞれ前記枢軸11aを中心とする部分円弧状としている。
又、前記拡縮装置24は、調節杆22aと、調節ナット29と、調節レバー23とにより構成している。本例の場合には、このうちの調節杆22aを、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aと前記両チルト調節用長孔21a、21aとに、図3の右方から挿通している。そして、前記調節杆22aの先端部で、一方(図3の左方)の支持板部20aから突出した雄ねじ部に、前記調節ナット29を螺合させている。又、この状態で、前記調節杆22aの基端部に設けた頭部30を、他方(図3の右方)の支持板部20aに形成したチルト調節用長孔21aに対し、このチルト調節用長孔21aの長さ方向に沿う変位のみを可能に係合させている。又、前記調節ナット29に、前記調節レバー23の基端部を固定している。そして、この調節レバー23を揺動させる事により、前記雄ねじ部の前記調節ナット29に対する螺入量を変化させる事で、1対の押圧部である、この調節ナット29と前記頭部30との間隔を拡縮可能としている。尚、本例の構造とは異なるが、調節杆の基端部又は先端部に、調節レバーの操作に基づいて軸方向寸法を拡縮可能なカム装置を設けた構造も、従来から各種知られている。本発明を実施する場合には、拡縮装置として、この様なカム装置を設けた構造を採用する事もできる。
又、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25は、それぞれ軟鉄、アルミニウム合金等の、前記支持ブラケット12a及び前記変位ブラケット18aの素材とは異なる硬度の金属板により造られた、略ブーメラン形の平板部材である。これら両テレスコ用揺動摩擦板25、25は、それぞれ長さ方向一端部に揺動中心孔31を有すると共に、長さ方向中間部乃至他端部に、直線状の案内長孔32を有する。この様な両テレスコ用揺動摩擦板25、25は、それぞれ前記両支持板部20a、20aの内側面と前記変位ブラケット18aの両側面との間部分に挟持した状態で設置している。又、この状態で、それぞれの揺動中心孔31、31に前記調節杆22aを挿通すると共に、それぞれの案内長孔32に、前記アウタコラム13aの中間部両側面に突設した案内ピン33、33を、前記各案内長孔32に沿った変位のみを可能に係合させている。本例の場合、これら両案内ピン33、33は、前記アウタコラム13aの中間部両側面のうちで、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aよりも後方且つ上方部分で、しかも前記ステアリングホイール1の前後位置の調節に拘らず、常に、前記両支持板部20a、20aよりも後方に位置する部分に突設している。又、図4に詳示する様に、前記両案内ピン33の先端部で、前記両案内長孔32から突出した部分には、これら両案内長孔32の幅寸法よりも大きい外径寸法を有する、抜け止め用の頭部40を設けている。
本例の場合、前記ステアリングホイール1の上下位置又は前後位置を調節する際には、前記調節レバー23を所定方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記調節杆22aの頭部30との間隔を拡げる。この結果、前記変位ブラケット18aを構成する前記両被挟持板部27、27同士の間隔が弾性的に拡がる事により、前記アウタコラム13aの前端部の内径が弾性的に拡がって、このアウタコラム13aの前端部内周面と前記インナコラム14aの後端部外周面との嵌合部の面圧が、低下乃至は喪失する。同時に、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部の面圧、並びに、前記両支持板部20a、20aの外側面と前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30の内側面との当接部の面圧が、それぞれ低下乃至は喪失する。そこで、この状態で、前記調節杆22aが、前記両テレスコ調節用長孔19a、19a及び前記両チルト調節用長孔21a、21a内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。
特に、本例の場合、前記ステアリングホイール1の前後位置を調節すべく、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19a、19a内で変位できる範囲で、前記アウタコラム13aを前後方向に変位させると、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が、それぞれ図5の(A)(B)(C)に示す様に、前記調節杆22aを中心として揺動する。即ち、前記アウタコラム13aを前方に変位させると、図5の(A)→(B)→(C)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19aに沿って、前記両案内ピン33が前記両案内長孔32に沿って、互いに近づき合う方向に相対変位しつつ、前記両テレスコ用揺動摩擦板25が、前記調節杆22aを中心として反時計方向に揺動する。これに対し、前記アウタコラム13aを後方に変位させると、図5の(C)→(B)→(A)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19aに沿って、前記両案内ピン33が前記両案内長孔32に沿って、互いに遠ざかる方向に相対変位しつつ、前記両テレスコ用揺動摩擦板25が、前記調節杆22aを中心として時計方向に揺動する。又、本例の場合には、この揺動の全範囲に於いて、前記両案内長孔32の長さ方向と、前記両テレスコ調節用長孔19aの長さ方向とが、互いに一致しない(非平行のままとなる)。特に、本例の場合には、これら両種の長孔32、19aの長さ方向同士のなす角度αが、前記揺動の全範囲で28度以上となる様に、各部材の設置位置、形状、及び寸法を、それぞれ規制している。本例の場合、前記角度αは、図5の(A)に示した状態で最小値(28度)となり、(C)に示した状態で最大値(75度)となる。
上述の様にしてステアリングホイール1の位置を調節した後は、前記調節レバー23を前記所定方向とは逆方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記頭部30との間隔を縮める。これにより、前記各当接部の面圧を上昇させて、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する。
上述の様に構成する本例のステアリング装置の場合には、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持すべく、前記支持ブラケット12aに対する前記アウタコラム13aの保持力(この支持ブラケット12aに対してこのステアリングコラム13aが前記ステアリングホイール1の位置調節方向に変位するのを抑える力)を発生させる為に、前記調節ナット29と前記頭部30との間隔を狭めた状態で、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部が、それぞれ前記保持力のうち、テレスコピック位置調節方向である前後方向(前記アウタコラム13aの軸方向)の保持力を確保する為の摩擦面として、有効に機能する。
即ち、本例の場合、前記支持ブラケット12aに対して前記アウタコラム13aを前後方向に変位させる為に、前記調節杆22aを前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位させる必要がある。又、この様に調節杆22aを両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位させる為に、前記両案内ピン33、33を前記両案内長孔32に沿って変位させつつ、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25を前記調節杆22aを中心として揺動させる必要がある。これに対し、本例の場合、前記調節ナット29と前記頭部30との間隔を狭める事により、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部の面圧を上昇させた状態では、これら両当接部に作用する摩擦力によって、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が前記調節杆22aを中心として揺動する事を抑えられる。この為、この状態で、前記調節杆22aを前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位させようとすると、前記両案内ピン33、33と前記両案内長孔32の幅方向側縁とが強く係合する事により、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位する事を阻止する。そして、この様にして生じる阻止力によって、前記支持ブラケット12aに対する前記アウタコラム13aの前後方向の保持力を確保できる。特に、本例の場合、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25を前記調節杆22aを中心として揺動させる為には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部のうち、何れか一方の当接部にのみ滑りを生じさせるだけでは足りず、両方の当接部にそれぞれ滑りを生じさせる必要がある。従って、これら両方の当接部が、それぞれ前記前後方向の保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。
従って、本例の場合には、前記各テレスコ用揺動摩擦板25、25を挟持する1対の面同士を直接当接させる事により、これら各面同士の当接部を前記摩擦面とする構造に比べて、この摩擦面の数を、前記各テレスコ用揺動摩擦板25、25の設置箇所毎に1つずつ増やせる。この結果、前記前後方向の保持力を向上させる事ができる。又、本例の場合には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が如何なる揺動位置にある場合でも、前記前後方向の保持力を十分に確保できる。即ち、前記両案内ピン33、33と前記両案内長孔32の幅方向側縁とが係合する事によって生じる、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位する事に対する阻止力は、前記角度α(図5)が大きくなる程大きくなる。これに対し、本例の場合には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の揺動の全範囲で、前記角度αが28度以上になる様にしている。この為、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が如何なる揺動位置にある場合でも、前記前後方向の保持力を十分に確保できる。
更に、本例の場合には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25を、前記両支持板部20a、20a及び前記変位ブラケット18aの素材とは異なる硬度の金属板により造っている。この為、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部は、それぞれ硬さの異なる金属面同士の当接部となる。従って、二次衝突の発生時に、これら各当接部に滑りが生じる傾向になると、これら各当接部では、それぞれ高硬度側の金属面が低硬度側の金属面に食い込む傾向となり、滑りが生じにくくなる。従って、本例の場合には、この様な効果が生じる分だけ、前記前後方向の保持力を大きくできる。
又、本例の場合には、前記両支持板部20a、20aの内側面と前記変位ブラケット18aの両側面との間部分に、それぞれテレスコ用揺動摩擦板25を1枚ずつ設置するだけで、これら各間部分に於ける前記摩擦面の数を、それぞれ1つずつ増やす事ができる。この為、この摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅を、それぞれ十分に抑えられる。
[実施の形態の第2例]
図6は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、テレスコ用揺動摩擦板25aに形成する揺動中心孔31と案内長孔32aとのうち、この案内長孔32aを円弧状にすると共に、これら揺動中心孔31と案内長孔32とを、同一円弧上に配置している。この様な構成を採用する事により、ステアリングホイール1(図18参照)の前後位置の調節時に於ける、調節杆22aを中心とする前記テレスコ用揺動摩擦板25aの揺動を、より円滑に行える様にしている。
その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図7〜9は、請求項1、3〜5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、前述の図1〜5に示した第1例の構造の場合と異なり、支持ブラケット12aを構成する1対の支持板部20a、20aの内側面と、変位ブラケット18aの両側面との間部分に、それぞれテレスコ用揺動摩擦板を設置せず、これら各側面同士を直接当接させている。その代わりに、本例の場合には、前記両支持板部20a、20aの外側面と、調節ナット29の内側面及び調節杆22aの頭部30aの内側面との間に、それぞれチルト用揺動摩擦板34、34を1枚ずつ挟持する状態で設置している。尚、本例の場合、前記頭部30aの内側面は全体的に、前記調節杆22aの中心軸に対して直角な平面として、この調節杆22aに対する、一方(図8の右方)のチルト用揺動支持板34の揺動変位を可能としている。その代わりに、本例の場合には、前記調節杆22aの基端寄り部分に図示しない案内ブロックを外嵌固定し、この案内ブロックを、一方(図8の右方)の支持板部20aに形成したチルト調節用長孔21aに対し、このチルト調節用長孔21aの長さ方向に沿う変位のみを可能に係合させている。
本例の場合、これら両チルト用揺動摩擦板34、34は、それぞれ軟鉄、アルミニウム合金等の、前記支持ブラケット12a及び前記調節用ナット29及び前記調節杆22aの素材とは異なる硬度の金属板により造られた、略ブーメラン形の平板部材である。これら両チルト用揺動摩擦板34、34は、それぞれ長さ方向一端部に揺動中心孔35を有すると共に、長さ方向他端部に、円弧状の案内長孔36を有する。この様な両チルト用揺動摩擦板34、34は、それぞれ前記両支持板部20a、20aの外側面と、前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との間部分に挟持した状態で設置している。又、この状態で、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の揺動中心孔35、35に、前記調節杆22aを挿通している。これと共に、前記両支持板部20a、20aの外側面の一部でチルト調節用長孔21a、21aから外れた部分に突設した案内ピン37、37を、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の案内長孔36に、それぞれこれら両案内長孔36に沿った変位のみを可能に係合させている。これら両案内ピン37、37は、前記両支持板部20a、20aの外側面の一部で、前記両チルト調節用長孔21a、21aよりも前方且つ上方部分に突設している。詳しい図示は省略するが、前記両案内ピン37、37の先端部で、前記両案内長孔36から突出した部分には、これら両案内長孔36の幅寸法よりも大きい外径寸法を有する、抜け止め用の頭部40a、40aを設けている。この点に就いては、前述の図4に示した第1例の案内ピン33の場合と同様である。
本例の場合も、ステアリングホイール1(図18参照)の上下位置又は前後位置を調節する際には、前述した第1例の場合と同様、調節レバー23を所定方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記調節杆22aの頭部30aとの間隔を拡げる事で、各部材間の当接部の面圧を、それぞれ低下乃至喪失させる。そして、この状態で、前記調節杆22aが、両テレスコ調節用長孔19a、19及び前記両チルト調節用長孔21a、21a内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。
特に、本例の場合、前記ステアリングホイール1の上下位置を調節すべく、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21a、21a内で変位できる範囲で、アウタコラム13aを上下方向に変位させると、前記両チルト用揺動摩擦板34、34が、それぞれ図9の(A)(B)(C)に示す様に、前記調節杆22aを中心として揺動する。即ち、前記アウタコラム13aを下方に変位させると、図9の(A)→(B)→(C)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21aに沿って、前記両案内ピン37が前記両案内長孔36に沿って、互いに遠ざかる方向に相対変位しつつ、前記両チルト用揺動摩擦板34が、前記調節杆22aを中心として時計方向に揺動する。これに対し、前記アウタコラム13aを上方に変位させると、図9の(C)→(B)→(A)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21aに沿って、前記両案内ピン37が前記両案内長孔36に沿って、互いに近づき合う方向に相対変位しつつ、前記両チルト用揺動摩擦板34が、前記調節杆22aを中心として反時計方向に揺動する。又、本例の場合には、この揺動の全範囲に於いて、前記両案内長孔36のうちで前記両案内ピン37が係合している部分の接線方向と、前記両チルト調節用長孔21aのうちで前記調節杆22aが挿通している部分の接線方向とが、互いに一致しない。特に、本例の場合には、これら両接線方向同士のなす角度βが、前記揺動の全範囲で73度以上となる様に、各部材の設置位置、形状、及び寸法を、それぞれ規制している。本例の場合、前記角度βは、図9の(A)に示した状態で最小値(73度)となり、(C)に示した状態で最大値(78度)となる。
上述の様にしてステアリングホイール1の位置を調節した後は、前記調節レバー23を前記所定方向とは逆方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記頭部30aとの間隔を縮める。これにより、前記各当接部の面圧を上昇させて、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する。
上述の様に構成する本例のステアリング装置の場合も、前述した実施の形態の第1例の場合と同様の理由で、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の両側面と、前記両支持板部20a、20aの外側面及び前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との当接部が、それぞれ前記支持ブラケット12aに対する前記アウタコラム13aの保持力のうち、チルト位置調節方向である上下方向の保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。従って、本例の場合には、前記各チルト用揺動摩擦板34、34を挟持する1対の面同士を直接当接させる事により、これら各面同士の当接部を前記摩擦面とする構造に比べて、この摩擦面の数を、前記各チルト用揺動摩擦板34、34の設置箇所毎に1つずつ増やせる。この結果、前記上下方向の保持力を向上させる事ができる。又、本例の場合には、前記両チルト用揺動摩擦板34、34が如何なる揺動位置にある場合でも、前記上下方向の保持力を十分に確保できる。即ち、前記両案内ピン37、37と前記両案内長孔36の幅方向側縁とが係合する事によって生じる、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21a、21aに沿って変位する事に対する阻止力は、前記角度β(図9)が大きくなる程大きくなる。これに対し、本例の場合には、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の揺動の全範囲で、前記角度βが73度以上になる様にしている。この為、前記両チルト用揺動摩擦板34、34が如何なる揺動位置にある場合でも、前記上下方向の保持力を十分に確保できる。
更に、本例の場合には、前記両チルト用揺動摩擦板34、34を、前記両支持板部20a、20a及び前記調節用ナット29及び前記調節杆23の素材とは異なる硬度の金属板により造っている。この為、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の両側面と、前記両支持板部20a、20aの外側面及び前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との当接部が、それぞれ硬さの異なる金属面同士の当接部となる。従って、二次衝突の発生時に、これら各当接部に滑りが生じる傾向になると、これら各当接部では、それぞれ高硬度側の金属面が低硬度側の金属面に食い込む傾向となり、滑りが生じにくくなる。従って、本例の場合には、この様な効果が生じる分だけ、前記上下方向の保持力を大きくできる。
又、本例の場合には、前記両支持板部20a、20aの外側面と、前記調節用ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との間部分に、それぞれチルト用揺動摩擦板34を1枚ずつ設置するだけで、これら各間部分に於ける前記摩擦面の数を、それぞれ1つずつ増やす事ができる。この為、この摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅を、それぞれ十分に抑えられる。
その他の構成及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図10は、請求項1、3〜5に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、チルト用揺動摩擦板34aの案内長孔36aに係合させる案内ピン33を、支持板部20aの外側面のうち、チルト調節用長孔21aよりも前方且つ下方に位置する部分に突設している。
その他の構成及び作用は、上述した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第5例]
図11は、請求項1、3〜5に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、チルト用揺動摩擦板34bの形状、並びに、案内長孔36bの曲率中心位置及び長さを、前述の図7〜9に示した第3例の場合と異ならせている。
その他の構成及び作用は、前述した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第6例]
図12は、請求項1、3〜5に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、チルト用揺動摩擦板34cの形状、並びに、案内長孔36cの曲率中心位置及び長さを、前述の図10に示した第4例の場合と異ならせている。
その他の構成及び作用は、前述した第4例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第7例]
図13は、請求項1、3〜5に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、1対のチルト用揺動摩擦板34、34を、支持ブラケット12aを構成する1対の支持板部20a、20aの内側面と、変位ブラケット18aの両側面との間部分に設置している。
その他の構成及び作用は、前述の図7〜9に示した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第8例]
図14〜15は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、支持ブラケット12aを構成する1対の支持板部20a、20aの内側面と変位ブラケット18aの両側面との間部分に、1対のテレスコ用揺動摩擦板25、25を設置すると共に、前記両支持板部20a、20aの外側面と、調節ナット29の内側面及び調節杆22aの頭部30aの内側面との間部分に、1対のチルト用揺動摩擦板34、34を設置している。この様な構成を有する本例の場合には、前記支持ブラケット12aに対するアウタコラム13aの保持力を、前後方向と上下方向との両方の方向に関して向上させる事ができる。
その他の構成及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例、及び、前述の図7〜9に示した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第9例]
図16〜17は、請求項1、2、4〜6に対応する、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例の場合には、テレスコ用揺動摩擦板25bに形成する案内長孔32bを円弧状にしている。又、このテレスコ用揺動摩擦板25bの一部で、この案内長孔32bの幅方向両側縁のうち、二次衝突の発生時に案内ピン33から衝撃的な押付力を加えられる片側縁(図16の上側縁)に対して、前記案内長孔32bの幅方向片側に離隔した部分に、円弧状の強度調節用長孔38を、前記案内長孔32bの全長部分に対して並列に設けている。これにより、これら両長孔32b、38同士の間に、前記衝撃的な押付力に基づいて前記強度調節用長孔38の側に向け塑性変形可能な、ブリッジ部39を設けている。
この様な構成を有する本例の場合、二次衝突の発生時には、図17の(A)→(B)の順に示す様に、前記ブリッジ部39が前記案内ピン33により押圧されて、前記強度調節用長孔38側に塑性変形する事に伴い、前記案内長孔32bの片側縁が変形する。この結果、この案内長孔32bの片側縁のうちで前記案内ピン33が係合している部分の接線方向と、テレスコ調節用長孔19aのうちで調節杆22a(図16)が挿通している部分の接線方向とのなす角度αが増大する。これにより、前記案内長孔32bの片側縁と前記案内ピン33とが係合する事によって生じる、前記調節杆22aが前記テレスコ調節用長孔19aに沿って変位する事に対する阻止力が増大する。この為、二次衝突の発生時に、支持ブラケット12a(図1〜3、14、15参照)に対するステアリングコラム13aの前後方向の保持力をより大きくできる。
その他の構成及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例、又は、上述の図14〜15に示した第8例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
上述した各実施の形態では、同種の(テレスコ用、又は、チルト用)の揺動摩擦板を、ステアリングコラムを挟んだ左右両側に1枚ずつ設置する構造を採用したが、本発明を実施する場合には、同種の揺動摩擦板を、ステアリングコラムの左右両側のうちの何れか一方の側にのみ(1枚だけ)設置する構成を採用する事もできる。
又、本発明を実施する場合には、ステアリングホイールの位置を調節する際に、調節杆を中心とする揺動摩擦板の揺動を円滑に行える様にする為に、案内長孔に係合させる案内ピンの外周面に樹脂コーティング層を形成したり、この案内ピンに円筒状のローラや軸受を外嵌したりする事もできる。
又、本発明を実施する場合で、変位ブラケットの外側面と支持ブラケットを構成する支持板部の内側面との間にテレスコ用揺動摩擦板を挟持する構造を採用する場合には、このテレスコ用摩擦板の案内長孔に係合させる案内ピンを、前記変位ブラケットの外側面の一部で、前記支持板部の内側面に対向する部分に突設する事もできる。但し、この場合には、前記案内ピンの先端部と前記支持板部との干渉を回避する為に、この案内ピンの高さを、この案内ピンの先端部が前記案内長孔から突出しない範囲に抑える。この様な構成を採用すれば、前記テレスコ用摩擦板の揺動中心である調節杆と、前記案内ピンとの距離をより短くできる為、1対の押圧部同士の間隔を狭めた状態で、前記テレスコ用摩擦板をより揺動し難くくできる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10 車体
11、11a 枢軸
12、12a 支持ブラケット
13、13a アウタコラム
14、14a インナコラム
15、15a アウタシャフト
16、16a インナシャフト
17 電動モータ
18、18a 変位ブラケット
19、19a テレスコ調節用長孔
20、20a 支持板部
21、21a チルト調節用長孔
22、22a 調節杆
23 調節レバー
24 拡縮装置
25、25a、25b テレスコ用揺動摩擦板
26 枢支ブラケット
27 被挟持板部
28 取付板部
29 調節ナット
30 頭部
31 揺動中心孔
32、32a、32b 案内長孔
33 案内ピン
34、34a〜34c チルト用揺動摩擦板
35 揺動中心孔
36、36a〜36c 案内長孔
37 案内ピン
38 強度調節用長孔
39 ブリッジ部
40、40a 頭部
本発明は、ステアリングホイールの上下位置や前後位置を調節する機能を備えたステアリング装置の改良に関する。
自動車用の操舵装置は、図18に示す様に構成して、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、この入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、前車輪に舵角を付与する様にしている。前記ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定しており、このステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、このステアリングコラム6に回転自在に支持している。又、前記ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続し、この中間シャフト8の前端部を、別の自在継手9を介して、前記入力軸3に接続している。尚、本明細書及び特許請求の範囲全体で、前後方向、左右方向、及び上下方向は、特に断らない限り、車両の前後方向、左右方向、及び上下方向を言う。
上述の様な操舵装置で、運転者の体格や運転姿勢に応じて、前記ステアリングホイール1の上下位置(チルト位置)を調節する為のチルト機構や、前後位置(テレスコピック位置)を調節する為のテレスコピック機構が、従来から広く知られている。このうちのチルト機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を車体10に対して、左右方向に設置した枢軸11を中心とする揺動変位を可能に支持している。又、前記ステアリングコラム6の後端寄り部分に固定した変位ブラケット18を、前記車体10に支持した支持ブラケット12に対して、上下方向及び前後方向の変位を可能に支持している。このうち、前後方向の変位を可能とするテレスコピック機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を、アウタコラム13とインナコラム14とをテレスコープ状に伸縮自在に組み合わせた構造とし、前記ステアリングシャフト5を、アウタシャフト15とインナシャフト16とを、スプライン係合等により、トルク伝達自在に、且つ、伸縮自在に組み合わせた構造としている。尚、図示の例は、電動モータ17を補助動力源として前記ステアリングホイール1を操作する為に要する力の低減を図る、電動式パワーステアリング装置も組み込んでいる。
チルト機構やテレスコピック機構で、電動式のものを除く手動式の構造の場合には、調節レバーの操作に基づいて、前記ステアリングホイール1の位置を調節可能な状態としたり、調節後の位置に固定できる様にしている。この様な手動式のチルト機構やテレスコピック機構の構造に就いては、従来から各種構造のものが広く知られており、且つ、実施されている。例えば、図18に示した構造の場合には、前記アウタコラム13に固設した変位ブラケット18に、テレスコピック位置調節方向である前記アウタコラム13の軸方向に長い、テレスコ調節用長孔19を形成している。又、前記支持ブラケット12は、前記変位ブラケット18を左右両側から挟む、1対の支持板部20を備えており、これら両支持板部20の互いに整合する部分に、それぞれチルト位置調節方向である上下方向に長い、チルト調節用長孔21を形成している。これら両チルト調節用長孔21は、一般的には、前記枢軸11を中心とする部分円弧状である。そして、これら両チルト調節用長孔21と前記テレスコ調節用長孔19とに、調節杆22を挿通している。この調節杆22には、前記両支持板部20を左右方向両側から挟む状態で1対の押圧部を設けており、調節レバー23(例えば、後述する図1〜3参照)の操作に基づいて作動する拡縮装置により、前記両押圧部同士の間隔を拡縮可能としている。
前記ステアリングホイール1の上下位置又は前後位置を調節する際には、前記調節レバー23を所定方向に揺動させる事により、前記両押圧部同士の間隔を拡げる。これにより、前記両支持板部20の内側面と前記変位ブラケット18の両外側面との間に作用している摩擦力を小さくする。そして、この状態で、前記調節杆22が、前記両チルト調節用長孔21及び前記テレスコ調節用長孔19内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。調節後は、前記調節レバー23を前記所定方向とは逆方向に揺動させる事により、前記両押圧部同士の間隔を縮める。これにより、前記摩擦力を大きくして、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する。
又、上述したステアリング装置は、衝突事故の際に、運転者の身体が前記ステアリングホイール1にぶつかる、二次衝突が発生した場合に、運転者に加わる衝撃荷重を緩和すべく、前記ステアリングホイール1が前方に変位する事を許容する機能を備える。この為に、具体的には、前記支持ブラケット12を前記車体10に対し、二次衝突時の衝撃により前方への離脱を可能に支持する構造を採用している。この様な構造を備えたステアリング装置の場合、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する力、即ち、前記支持ブラケット12に対する前記アウタコラム13の保持力が弱いと、二次衝突の発生時に、このアウタコラム13が前記支持ブラケット12に対して前後方向や上下方向に移動する可能性がある。そして、移動した場合には、前記支持ブラケット12に対する衝撃の加わり方が変化する為、この支持ブラケット12を前記車体10から離脱させる事に基づく衝撃吸収機構の設計が難しくなる可能性がある。
一方、前記調節レバー23の操作量や操作力を大きくする事なく、前記支持ブラケット12に対する前記アウタコラム13の保持力を大きくする為には、この保持力を確保する為の摩擦面の数を増やす事が好ましい。この様な事情に鑑みて、特許文献1には、ステアリングコラムに支持した摩擦板と、支持ブラケットに支持した摩擦板とを、左右方向に重ね合わせる事により、前記摩擦面の数を増やす構造が記載されている。ところが、この特許文献1に記載された構造の場合には、前記各摩擦板を、前記ステアリングコラム又は前記支持ブラケットに対し、左右方向の変位のみを可能に支持する構成を採用している。この為、前記摩擦面の数を増やす為に必要となる摩擦板の枚数が複数となる。従って、前記摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅が、それぞれ大きくなる。
特開平10−35511号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、1枚の摩擦板を設置する事によって、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を確保する為の摩擦面の数を増やせる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリング装置は、ステアリングコラムと、変位ブラケットと、第一貫通孔と、支持ブラケットと、第二貫通孔と、拡縮装置とを備える。
このうちのステアリングコラムは、後端部にステアリングホイールを固定するステアリングシャフトの周囲に設けられて、このステアリングシャフトを回転自在に支持する。
又、前記変位ブラケットは、前記ステアリングコラムの軸方向中間部に固設(一体形成、又は、別体の部材として固定)されている。
又、前記第一貫通孔は、前記変位ブラケットに左右方向に形成されている。
又、前記支持ブラケットは、前記変位ブラケットを左右両側から挟む状態で設けられた左右1対の支持板部を有し、車体に支持される。
又、前記第二貫通孔は、前記両支持板部の一部で互いに整合する位置に設けられている。
又、前記拡縮装置は、前記第一、第二各貫通孔に挿通された調節杆、及び、この調節杆の一端部で前記両支持板部のうちの一方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた調節レバー、及び、前記調節杆の一部で前記両支持板部を左右方向両側から挟む位置に設けられた1対の押圧部を備えると共に、前記調節レバーの操作に基づいてこれら両押圧部同士の間隔を拡縮可能としている。
更に、前記第一、第二各貫通孔のうちの少なくとも何れかの貫通孔を、前記ステアリングホイールの位置調節方向に長い調節用長孔としている。
特に、本発明のステアリング装置に於いては、それぞれが互いに対向する1対の面同士の間部分である、前記両支持板部の内側面と前記変位ブラケットの両側面との間部分、及び、前記両支持板部の外側面と前記両押圧部の内側面との間部分のうち、少なくとも1つの間部分に、揺動摩擦板を挟持している。これと共に、この揺動摩擦板を挟持した前記1対の面のうち、前記ステアリングホイールの位置調節を行う際に前記調節杆と相対変位する一方の面に対して不動の部分に、案内ピンを固設している。又、前記揺動摩擦板は、互いに離隔した2箇所位置に、揺動中心孔と案内長孔とを有するもので、このうちの揺動中心孔に前記調節杆を挿通すると共に、前記案内長孔に前記案内ピンを、この案内長孔に沿った変位のみを可能に係合させている。更に、前記揺動摩擦板は、前記1対の押圧部同士の間隔を拡げる事により、前記揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する前記1対の面との当接部の面圧を低下乃至は喪失させた状態で、前記調節杆を前記調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動する。そして、例えば、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通されている部分の長さ方向若しくは接線方向とが一致しない。
上述の様な本発明(請求項1に記載した発明)を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記第一貫通孔を、前記ステアリングホイールのテレスコピック位置調節方向である、前記ステアリングコラムの軸方向に長い調節用長孔とする。そして、前記各間部分のうちの少なくとも1つの間部分に挟持した揺動摩擦板を、前記調節杆を前記ステアリングコラムの軸方向に長い調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動するものとする。更に、例えば、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記ステアリングコラムの軸方向とを一致させない。
又、上述の様な請求項1に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記各第二貫通孔を、前記ステアリングホイールのチルト位置調節方向である、上下方向に長い調節用長孔とする。そして、前記各間部分のうちの少なくとも1つの間部分に挟持した揺動摩擦板を、前記調節杆を前記上下方向に長い調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動するものとする。更に、例えば、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記上下方向に長い調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とを一致させない。
又、上述の様な請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、前記揺動摩擦板が前記調節杆を中心として揺動する全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度を、25度以上(より好ましくは30度以上、更に好ましくは45度以上、更に好ましくは60度以上)にする。尚、ステアリングホイールの位置調節時に於ける前記揺動摩擦板の揺動を円滑に行える様にする観点より、前記揺動の全範囲で、前記角度の最大値は、90度未満にするのが好ましい。
又、上述の様な請求項1〜に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項に記載した発明の様に、前記揺動摩擦板と、この揺動摩擦板を挟持する前記1対の面のうちの一方の面を備えた部材と他方の面を備えた部材とのうちの少なくとも一方の部材とを、硬さの異なる金属素材により造る。
又、上述の様な請求項1〜に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項に記載した発明の様に、前記揺動摩擦板の一部で、前記案内長孔の幅方向両側縁のうち、二次衝突の発生時に前記案内ピンから衝撃的な押付力を加えられる片側縁に対して、前記案内長孔の幅方向片側に離隔した部分に、強度調節用長孔を、この案内長孔に対して並列に設ける。これにより、これら両長孔同士の間に、前記衝撃的な押付力に基づき前記強度調節用長孔の側に向け塑性変形可能なブリッジ部を設ける。
上述の様に構成する本発明のステアリング装置の場合には、ステアリングホイールを調節後の位置に保持すべく、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力(この支持ブラケットに対してこのステアリングコラムが前記ステアリングホイールの位置調節方向に変位するのを抑える力)を発生させる為に、1対の押圧部同士の間隔を狭めた状態で、揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部が、それぞれ前記保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。
即ち、本発明の場合、前記支持ブラケットに対して前記ステアリングコラムを、前記ステアリングホイールの位置調節方向に変位させる為には、調節杆を調節用長孔に沿って変位させる必要がある。又、この様に調節杆を調節長孔に沿って変位させる為には、案内ピンを案内長孔に沿って変位させつつ、前記揺動摩擦板を前記調節杆を中心として揺動させる必要がある。これに対し、本発明の場合、前記両押圧部同士の間隔を狭める事により、前記揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部の面圧を上昇させた状態では、これら両当接部に作用する摩擦力によって、前記揺動摩擦板が前記調節杆を中心として揺動する事を抑えられる。この為、この状態で、前記調節杆を前記調節用長孔に沿って変位させようとすると、前記案内ピンと前記案内長孔の幅方向側縁とが強く係合する事により、前記調節杆が前記調節用長孔に沿って変位する事が阻止される。従って、この様な阻止力によって、前記支持ブラケットに対する前記ステアリングコラムの保持力を確保できる。特に、本発明の場合、前記揺動摩擦板を前記調節杆を中心として揺動させる為には、この揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部のうち、何れか一方の当接部にのみ滑りを生じさせるだけでは足りず、両方の当接部にそれぞれ滑りを生じさせる必要がある。従って、これら両方の当接部が、それぞれ前記支持ブラケットに対する前記ステアリングコラムの保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。
従って、本発明の場合には、前記揺動摩擦板を挟持する1対の面同士を直接当接させる事により、これら両面同士の当接部を前記摩擦面とする構造に比べて、この摩擦面の数を1つ増やせる。この結果、前記支持ブラケットに対する前記ステアリングコラムの保持力を向上させる事ができる。特に、本発明の場合には、前記1対の面同士の間に1枚の揺動摩擦板を設置するだけで、前記摩擦面の数を増やせる。この為、この摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅を、それぞれ十分に抑えられる。
又、本発明を実施する場合に、前記揺動摩擦板が前記調節杆を中心として揺動する全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度を、25度以上にする構成を採用すれば、揺動摩擦板が如何なる揺動位置にある場合でも、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を十分に確保できる。即ち、1対の押圧部同士の間隔を狭めた状態で、案内長孔の幅方向側縁と案内ピンとが係合する事によって生じる、調節杆が調節用長孔に沿って変位する事に対する阻止力は、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度が、大きくなる程大きくなる。これに対し、上述の様な構成の場合には、前記揺動摩擦板の揺動の全範囲で、前記角度が25度以上になる様にしている。この為、前記揺動摩擦板が如何なる揺動位置にある場合でも、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を十分に確保できる。
又、本発明を実施する場合に、請求項に記載した発明の構成を採用すれば、揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する1対の面との当接部のうち、少なくとも一方の当接部が、硬さの異なる面同士の当接部となる。この為、二次衝突の発生に伴って、この硬さの異なる面同士の当接部に滑りが生じる傾向となった場合に、高硬度側の面が低硬度側の面に食い込む事により、当該当接部で滑りを生じにくくできる。従って、この様な効果を得られる分だけ、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力を大きくできる。
又、本発明を実施する場合に、請求項に記載した発明の構成を採用すれば、二次衝突の発生時に、揺動摩擦板に設けたブリッジ部が塑性変形する事に伴い、この揺動摩擦板に設けた案内長孔の幅方向片側縁が変形する。この結果、この案内長孔の幅方向片側縁のうちで案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、調節用長孔のうちで調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度が増大する。これにより、前記案内長孔の幅方向片側縁と前記案内ピンとが係合する事によって生じる、前記調節杆が前記調節用長孔に沿って変位する事に対する阻止力が増大する。この為、二次衝突の発生時に、支持ブラケットに対するステアリングコラムの保持力をより大きくできる。
本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。 図1の右半部拡大図。 図2のa−a断面図。 図2のb−b断面図。 一部の部材を省略した状態で示す、図2の左半部に対応する図であって、(A)は調節杆がテレスコ調節用長孔の前端部に位置する状態を、(B)は同じく中間部に位置する状態を、(C)は同じく後端部に位置する状態を、それぞれ示す図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図5と同様の図であって、(A)は調節杆がテレスコ調節用長孔の前端部に位置する状態を、(B)は同じく中間部に位置する状態を、それぞれ示す図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図2と同様の図。 図7のc−c断面図。 一部の部材を省略した状態で示す、図7の左端部に対応する図であって、(A)は調節杆がチルト調節用長孔の上端部に位置する状態を、(B)は同じく中間部に位置する状態を、(C)は同じく下端部に位置する状態を、それぞれ示す図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図9と同様の図。 同第5例を示す、図9と同様の図。 同第6例を示す、図9と同様の図。 同第7例を示す、図8と同様の図。 同第8例を示す、図2と同様の図。 図14のd−d断面図。 同第7例を示す、図5の(A)と同様の図。 二次衝突の発生前の状態(A)、及び、発生後の状態(B)で示す、要部拡大図。 従来から知られているステアリング装置の1例を、一部を切断した状態で示す略側面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、テレスコピック機構とチルト機構との双方の機構を備えたステアリング装置に対し、テレスコピック機構に関する保持力を向上させるべく、本発明を適用した例である。本例のステアリング装置は、ステアリングコラム6aと、変位ブラケット18aと、第一貫通孔であるテレスコ調節用長孔19a、19aと、支持ブラケット12aと、第二貫通孔であるチルト調節用長孔21a、21aと、拡縮装置24と、1対のテレスコ用揺動摩擦板25、25とを備える。
このうちのステアリングコラム6aは、後側に配置したアウタコラム13aの前端部と、前側に配置したインナコラム14aの後端部とを、軸方向の相対変位を可能に嵌合させて全長を伸縮可能に構成している。この様なステアリングコラム6aの内側にステアリングシャフト5aを、回転自在に支持している。このステアリングシャフト5aは、後側に配置した円管状のアウタシャフト15aの前端部と、前側に配置したインナシャフト16aの後端部とをスプライン係合させて、トルク伝達及び全長の伸縮を可能に構成している。そして、前記アウタシャフト15aの中間部後端寄り部分を前記アウタコラム13aの後端部内側に、前記インナシャフト16aの中間部前端寄り部分を前記インナコラム14aの前端部内側に、それぞれ単列深溝型玉軸受等のラジアル荷重及びアキシアル荷重を支承できる軸受により、回転自在に支持している。前記アウタシャフト15aの後端部で前記アウタコラム13aの後端開口から突出した部分には、ステアリングホイール1(図18参照)を固定する。又、前記インナコラム14aの前端部上面に枢支ブラケット26を溶接固定しており、この枢支ブラケット26を車体10(図18参照)に対し、左右方向に設置した枢軸11aにより、揺動変位可能に支持する。
又、前記変位ブラケット18aは、前記ステアリングコラム6aの軸方向中間部となる、前記アウタコラム13aの前半部に、このアウタコラム13aの下方に突出する状態で固設している。本例の場合、このアウタコラム13aは、アルミニウム合金等の軽合金をダイキャスト成形する事により、前記変位ブラケット18aと一体に造っている。又、この変位ブラケット18aは、左右方向に離隔して配置された、1対の被挟持板部27、27により構成している。そして、これら両被挟持板部27、27の互いに整合する位置に、それぞれが前記アウタコラム13aの軸方向に長い、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aを、左右方向に貫通する状態で形成している。
又、前記支持ブラケット12aは、それぞれが鋼板等の十分な強度及び剛性を有する金属板により造られた複数の素子同士を、溶接等により一体に結合固定して成るもので、左右1対ずつの取付板部28、28と支持板部20a、20aとを備える。この様な支持ブラケット12aは、前記両取付板部28、28を前記車体10に対し、自動車用操舵装置の技術分野で周知の構造により、二次衝突時の衝撃により前方への離脱を可能に支持する。又、前記両支持板部20a、20aは、前記変位ブラケット18aを左右両側から挟む状態で配置されている。これら両支持板部20a、20aの一部で、互いに整合し、且つ、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aの一部と整合する位置に、それぞれが上下方向に長い、前記両チルト調節用長孔21a、21aを形成している。本例の場合には、これら両チルト調節用長孔21a、21aを、それぞれ前記枢軸11aを中心とする部分円弧状としている。
又、前記拡縮装置24は、調節杆22aと、調節ナット29と、調節レバー23とにより構成している。本例の場合には、このうちの調節杆22aを、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aと前記両チルト調節用長孔21a、21aとに、図3の右方から挿通している。そして、前記調節杆22aの先端部で、一方(図3の左方)の支持板部20aから突出した雄ねじ部に、前記調節ナット29を螺合させている。又、この状態で、前記調節杆22aの基端部に設けた頭部30を、他方(図3の右方)の支持板部20aに形成したチルト調節用長孔21aに対し、このチルト調節用長孔21aの長さ方向に沿う変位のみを可能に係合させている。又、前記調節ナット29に、前記調節レバー23の基端部を固定している。そして、この調節レバー23を揺動させる事により、前記雄ねじ部の前記調節ナット29に対する螺入量を変化させる事で、1対の押圧部である、この調節ナット29と前記頭部30との間隔を拡縮可能としている。尚、本例の構造とは異なるが、調節杆の基端部又は先端部に、調節レバーの操作に基づいて軸方向寸法を拡縮可能なカム装置を設けた構造も、従来から各種知られている。本発明を実施する場合には、拡縮装置として、この様なカム装置を設けた構造を採用する事もできる。
又、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25は、それぞれ軟鉄、アルミニウム合金等の、前記支持ブラケット12a及び前記変位ブラケット18aの素材とは異なる硬度の金属板により造られた、略ブーメラン形の平板部材である。これら両テレスコ用揺動摩擦板25、25は、それぞれ長さ方向一端部に揺動中心孔31を有すると共に、長さ方向中間部乃至他端部に、直線状の案内長孔32を有する。この様な両テレスコ用揺動摩擦板25、25は、それぞれ前記両支持板部20a、20aの内側面と前記変位ブラケット18aの両側面との間部分に挟持した状態で設置している。又、この状態で、それぞれの揺動中心孔31、31に前記調節杆22aを挿通すると共に、それぞれの案内長孔32に、前記アウタコラム13aの中間部両側面に突設した案内ピン33、33を、前記各案内長孔32に沿った変位のみを可能に係合させている。本例の場合、これら両案内ピン33、33は、前記アウタコラム13aの中間部両側面のうちで、前記両テレスコ調節用長孔19a、19aよりも後方且つ上方部分で、しかも前記ステアリングホイール1の前後位置の調節に拘らず、常に、前記両支持板部20a、20aよりも後方に位置する部分に突設している。又、図4に詳示する様に、前記両案内ピン33の先端部で、前記両案内長孔32から突出した部分には、これら両案内長孔32の幅寸法よりも大きい外径寸法を有する、抜け止め用の頭部40を設けている。
本例の場合、前記ステアリングホイール1の上下位置又は前後位置を調節する際には、前記調節レバー23を所定方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記調節杆22aの頭部30との間隔を拡げる。この結果、前記変位ブラケット18aを構成する前記両被挟持板部27、27同士の間隔が弾性的に拡がる事により、前記アウタコラム13aの前端部の内径が弾性的に拡がって、このアウタコラム13aの前端部内周面と前記インナコラム14aの後端部外周面との嵌合部の面圧が、低下乃至は喪失する。同時に、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部の面圧、並びに、前記両支持板部20a、20aの外側面と前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30の内側面との当接部の面圧が、それぞれ低下乃至は喪失する。そこで、この状態で、前記調節杆22aが、前記両テレスコ調節用長孔19a、19a及び前記両チルト調節用長孔21a、21a内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。
特に、本例の場合、前記ステアリングホイール1の前後位置を調節すべく、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19a、19a内で変位できる範囲で、前記アウタコラム13aを前後方向に変位させると、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が、それぞれ図5の(A)(B)(C)に示す様に、前記調節杆22aを中心として揺動する。即ち、前記アウタコラム13aを前方に変位させると、図5の(A)→(B)→(C)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19aに沿って、前記両案内ピン33が前記両案内長孔32に沿って、互いに近づき合う方向に相対変位しつつ、前記両テレスコ用揺動摩擦板25が、前記調節杆22aを中心として反時計方向に揺動する。これに対し、前記アウタコラム13aを後方に変位させると、図5の(C)→(B)→(A)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19aに沿って、前記両案内ピン33が前記両案内長孔32に沿って、互いに遠ざかる方向に相対変位しつつ、前記両テレスコ用揺動摩擦板25が、前記調節杆22aを中心として時計方向に揺動する。又、本例の場合には、この揺動の全範囲に於いて、前記両案内長孔32の長さ方向と、前記両テレスコ調節用長孔19aの長さ方向とが、互いに一致しない(非平行のままとなる)。特に、本例の場合には、これら両種の長孔32、19aの長さ方向同士のなす角度αが、前記揺動の全範囲で28度以上となる様に、各部材の設置位置、形状、及び寸法を、それぞれ規制している。本例の場合、前記角度αは、図5の(A)に示した状態で最小値(28度)となり、(C)に示した状態で最大値(75度)となる。
上述の様にしてステアリングホイール1の位置を調節した後は、前記調節レバー23を前記所定方向とは逆方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記頭部30との間隔を縮める。これにより、前記各当接部の面圧を上昇させて、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する。
上述の様に構成する本例のステアリング装置の場合には、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持すべく、前記支持ブラケット12aに対する前記アウタコラム13aの保持力(この支持ブラケット12aに対してこのステアリングコラム13aが前記ステアリングホイール1の位置調節方向に変位するのを抑える力)を発生させる為に、前記調節ナット29と前記頭部30との間隔を狭めた状態で、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部が、それぞれ前記保持力のうち、テレスコピック位置調節方向である前後方向(前記アウタコラム13aの軸方向)の保持力を確保する為の摩擦面として、有効に機能する。
即ち、本例の場合、前記支持ブラケット12aに対して前記アウタコラム13aを前後方向に変位させる為に、前記調節杆22aを前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位させる必要がある。又、この様に調節杆22aを両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位させる為に、前記両案内ピン33、33を前記両案内長孔32に沿って変位させつつ、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25を前記調節杆22aを中心として揺動させる必要がある。これに対し、本例の場合、前記調節ナット29と前記頭部30との間隔を狭める事により、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部の面圧を上昇させた状態では、これら両当接部に作用する摩擦力によって、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が前記調節杆22aを中心として揺動する事を抑えられる。この為、この状態で、前記調節杆22aを前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位させようとすると、前記両案内ピン33、33と前記両案内長孔32の幅方向側縁とが強く係合する事により、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位する事を阻止する。そして、この様にして生じる阻止力によって、前記支持ブラケット12aに対する前記アウタコラム13aの前後方向の保持力を確保できる。特に、本例の場合、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25を前記調節杆22aを中心として揺動させる為には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部のうち、何れか一方の当接部にのみ滑りを生じさせるだけでは足りず、両方の当接部にそれぞれ滑りを生じさせる必要がある。従って、これら両方の当接部が、それぞれ前記前後方向の保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。
従って、本例の場合には、前記各テレスコ用揺動摩擦板25、25を挟持する1対の面同士を直接当接させる事により、これら各面同士の当接部を前記摩擦面とする構造に比べて、この摩擦面の数を、前記各テレスコ用揺動摩擦板25、25の設置箇所毎に1つずつ増やせる。この結果、前記前後方向の保持力を向上させる事ができる。又、本例の場合には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が如何なる揺動位置にある場合でも、前記前後方向の保持力を十分に確保できる。即ち、前記両案内ピン33、33と前記両案内長孔32の幅方向側縁とが係合する事によって生じる、前記調節杆22aが前記両テレスコ調節用長孔19a、19aに沿って変位する事に対する阻止力は、前記角度α(図5)が大きくなる程大きくなる。これに対し、本例の場合には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の揺動の全範囲で、前記角度αが28度以上になる様にしている。この為、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25が如何なる揺動位置にある場合でも、前記前後方向の保持力を十分に確保できる。
更に、本例の場合には、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25を、前記両支持板部20a、20a及び前記変位ブラケット18aの素材とは異なる硬度の金属板により造っている。この為、前記両テレスコ用揺動摩擦板25、25の両側面と、前記両支持板部20a、20aの内側面及び前記変位ブラケット18aの両側面との当接部は、それぞれ硬さの異なる金属面同士の当接部となる。従って、二次衝突の発生時に、これら各当接部に滑りが生じる傾向になると、これら各当接部では、それぞれ高硬度側の金属面が低硬度側の金属面に食い込む傾向となり、滑りが生じにくくなる。従って、本例の場合には、この様な効果が生じる分だけ、前記前後方向の保持力を大きくできる。
又、本例の場合には、前記両支持板部20a、20aの内側面と前記変位ブラケット18aの両側面との間部分に、それぞれテレスコ用揺動摩擦板25を1枚ずつ設置するだけで、これら各間部分に於ける前記摩擦面の数を、それぞれ1つずつ増やす事ができる。この為、この摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅を、それぞれ十分に抑えられる。
[実施の形態の第2例]
図6は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、テレスコ用揺動摩擦板25aに形成する揺動中心孔31と案内長孔32aとのうち、この案内長孔32aを円弧状にすると共に、これら揺動中心孔31と案内長孔32とを、同一円弧上に配置している。この様な構成を採用する事により、ステアリングホイール1(図18参照)の前後位置の調節時に於ける、調節杆22aを中心とする前記テレスコ用揺動摩擦板25aの揺動を、より円滑に行える様にしている。
その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図7〜9は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、前述の図1〜5に示した第1例の構造の場合と異なり、支持ブラケット12aを構成する1対の支持板部20a、20aの内側面と、変位ブラケット18aの両側面との間部分に、それぞれテレスコ用揺動摩擦板を設置せず、これら各側面同士を直接当接させている。その代わりに、本例の場合には、前記両支持板部20a、20aの外側面と、調節ナット29の内側面及び調節杆22aの頭部30aの内側面との間に、それぞれチルト用揺動摩擦板34、34を1枚ずつ挟持する状態で設置している。尚、本例の場合、前記頭部30aの内側面は全体的に、前記調節杆22aの中心軸に対して直角な平面として、この調節杆22aに対する、一方(図8の右方)のチルト用揺動支持板34の揺動変位を可能としている。その代わりに、本例の場合には、前記調節杆22aの基端寄り部分に図示しない案内ブロックを外嵌固定し、この案内ブロックを、一方(図8の右方)の支持板部20aに形成したチルト調節用長孔21aに対し、このチルト調節用長孔21aの長さ方向に沿う変位のみを可能に係合させている。
本例の場合、これら両チルト用揺動摩擦板34、34は、それぞれ軟鉄、アルミニウム合金等の、前記支持ブラケット12a及び前記調節用ナット29及び前記調節杆22aの素材とは異なる硬度の金属板により造られた、略ブーメラン形の平板部材である。これら両チルト用揺動摩擦板34、34は、それぞれ長さ方向一端部に揺動中心孔35を有すると共に、長さ方向他端部に、円弧状の案内長孔36を有する。この様な両チルト用揺動摩擦板34、34は、それぞれ前記両支持板部20a、20aの外側面と、前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との間部分に挟持した状態で設置している。又、この状態で、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の揺動中心孔35、35に、前記調節杆22aを挿通している。これと共に、前記両支持板部20a、20aの外側面の一部でチルト調節用長孔21a、21aから外れた部分に突設した案内ピン37、37を、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の案内長孔36に、それぞれこれら両案内長孔36に沿った変位のみを可能に係合させている。これら両案内ピン37、37は、前記両支持板部20a、20aの外側面の一部で、前記両チルト調節用長孔21a、21aよりも前方且つ上方部分に突設している。詳しい図示は省略するが、前記両案内ピン37、37の先端部で、前記両案内長孔36から突出した部分には、これら両案内長孔36の幅寸法よりも大きい外径寸法を有する、抜け止め用の頭部40a、40aを設けている。この点に就いては、前述の図4に示した第1例の案内ピン33の場合と同様である。
本例の場合も、ステアリングホイール1(図18参照)の上下位置又は前後位置を調節する際には、前述した第1例の場合と同様、調節レバー23を所定方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記調節杆22aの頭部30aとの間隔を拡げる事で、各部材間の当接部の面圧を、それぞれ低下乃至喪失させる。そして、この状態で、前記調節杆22aが、両テレスコ調節用長孔19a、19及び前記両チルト調節用長孔21a、21a内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。
特に、本例の場合、前記ステアリングホイール1の上下位置を調節すべく、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21a、21a内で変位できる範囲で、アウタコラム13aを上下方向に変位させると、前記両チルト用揺動摩擦板34、34が、それぞれ図9の(A)(B)(C)に示す様に、前記調節杆22aを中心として揺動する。即ち、前記アウタコラム13aを下方に変位させると、図9の(A)→(B)→(C)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21aに沿って、前記両案内ピン37が前記両案内長孔36に沿って、互いに遠ざかる方向に相対変位しつつ、前記両チルト用揺動摩擦板34が、前記調節杆22aを中心として時計方向に揺動する。これに対し、前記アウタコラム13aを上方に変位させると、図9の(C)→(B)→(A)の順に示す様に、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21aに沿って、前記両案内ピン37が前記両案内長孔36に沿って、互いに近づき合う方向に相対変位しつつ、前記両チルト用揺動摩擦板34が、前記調節杆22aを中心として反時計方向に揺動する。又、本例の場合には、この揺動の全範囲に於いて、前記両案内長孔36のうちで前記両案内ピン37が係合している部分の接線方向と、前記両チルト調節用長孔21aのうちで前記調節杆22aが挿通している部分の接線方向とが、互いに一致しない。特に、本例の場合には、これら両接線方向同士のなす角度βが、前記揺動の全範囲で73度以上となる様に、各部材の設置位置、形状、及び寸法を、それぞれ規制している。本例の場合、前記角度βは、図9の(A)に示した状態で最小値(73度)となり、(C)に示した状態で最大値(78度)となる。
上述の様にしてステアリングホイール1の位置を調節した後は、前記調節レバー23を前記所定方向とは逆方向に揺動させる事により、前記調節ナット29と前記頭部30aとの間隔を縮める。これにより、前記各当接部の面圧を上昇させて、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する。
上述の様に構成する本例のステアリング装置の場合も、前述した実施の形態の第1例の場合と同様の理由で、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の両側面と、前記両支持板部20a、20aの外側面及び前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との当接部が、それぞれ前記支持ブラケット12aに対する前記アウタコラム13aの保持力のうち、チルト位置調節方向である上下方向の保持力を確保する為の摩擦面として有効に機能する。従って、本例の場合には、前記各チルト用揺動摩擦板34、34を挟持する1対の面同士を直接当接させる事により、これら各面同士の当接部を前記摩擦面とする構造に比べて、この摩擦面の数を、前記各チルト用揺動摩擦板34、34の設置箇所毎に1つずつ増やせる。この結果、前記上下方向の保持力を向上させる事ができる。又、本例の場合には、前記両チルト用揺動摩擦板34、34が如何なる揺動位置にある場合でも、前記上下方向の保持力を十分に確保できる。即ち、前記両案内ピン37、37と前記両案内長孔36の幅方向側縁とが係合する事によって生じる、前記調節杆22aが前記両チルト調節用長孔21a、21aに沿って変位する事に対する阻止力は、前記角度β(図9)が大きくなる程大きくなる。これに対し、本例の場合には、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の揺動の全範囲で、前記角度βが73度以上になる様にしている。この為、前記両チルト用揺動摩擦板34、34が如何なる揺動位置にある場合でも、前記上下方向の保持力を十分に確保できる。
更に、本例の場合には、前記両チルト用揺動摩擦板34、34を、前記両支持板部20a、20a及び前記調節用ナット29及び前記調節杆23の素材とは異なる硬度の金属板により造っている。この為、前記両チルト用揺動摩擦板34、34の両側面と、前記両支持板部20a、20aの外側面及び前記調節ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との当接部が、それぞれ硬さの異なる金属面同士の当接部となる。従って、二次衝突の発生時に、これら各当接部に滑りが生じる傾向になると、これら各当接部では、それぞれ高硬度側の金属面が低硬度側の金属面に食い込む傾向となり、滑りが生じにくくなる。従って、本例の場合には、この様な効果が生じる分だけ、前記上下方向の保持力を大きくできる。
又、本例の場合には、前記両支持板部20a、20aの外側面と、前記調節用ナット29の内側面及び前記頭部30aの内側面との間部分に、それぞれチルト用揺動摩擦板34を1枚ずつ設置するだけで、これら各間部分に於ける前記摩擦面の数を、それぞれ1つずつ増やす事ができる。この為、この摩擦面を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法及び部品点数及び重量の増大幅を、それぞれ十分に抑えられる。
その他の構成及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図10は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、チルト用揺動摩擦板34aの案内長孔36aに係合させる案内ピン33を、支持板部20aの外側面のうち、チルト調節用長孔21aよりも前方且つ下方に位置する部分に突設している。
その他の構成及び作用は、上述した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第5例]
図11は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、チルト用揺動摩擦板34bの形状、並びに、案内長孔36bの曲率中心位置及び長さを、前述の図7〜9に示した第3例の場合と異ならせている。
その他の構成及び作用は、前述した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第6例]
図12は、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、チルト用揺動摩擦板34cの形状、並びに、案内長孔36cの曲率中心位置及び長さを、前述の図10に示した第4例の場合と異ならせている。
その他の構成及び作用は、前述した第4例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第7例]
図13は、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、1対のチルト用揺動摩擦板34、34を、支持ブラケット12aを構成する1対の支持板部20a、20aの内側面と、変位ブラケット18aの両側面との間部分に設置している。
その他の構成及び作用は、前述の図7〜9に示した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第8例]
図14〜15は、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、支持ブラケット12aを構成する1対の支持板部20a、20aの内側面と変位ブラケット18aの両側面との間部分に、1対のテレスコ用揺動摩擦板25、25を設置すると共に、前記両支持板部20a、20aの外側面と、調節ナット29の内側面及び調節杆22aの頭部30aの内側面との間部分に、1対のチルト用揺動摩擦板34、34を設置している。この様な構成を有する本例の場合には、前記支持ブラケット12aに対するアウタコラム13aの保持力を、前後方向と上下方向との両方の方向に関して向上させる事ができる。
その他の構成及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例、及び、前述の図7〜9に示した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第9例]
図16〜17は、本発明の実施の形態の第9例を示している。本例の場合には、テレスコ用揺動摩擦板25bに形成する案内長孔32bを円弧状にしている。又、このテレスコ用揺動摩擦板25bの一部で、この案内長孔32bの幅方向両側縁のうち、二次衝突の発生時に案内ピン33から衝撃的な押付力を加えられる片側縁(図16の上側縁)に対して、前記案内長孔32bの幅方向片側に離隔した部分に、円弧状の強度調節用長孔38を、前記案内長孔32bの全長部分に対して並列に設けている。これにより、これら両長孔32b、38同士の間に、前記衝撃的な押付力に基づいて前記強度調節用長孔38の側に向け塑性変形可能な、ブリッジ部39を設けている。
この様な構成を有する本例の場合、二次衝突の発生時には、図17の(A)→(B)の順に示す様に、前記ブリッジ部39が前記案内ピン33により押圧されて、前記強度調節用長孔38側に塑性変形する事に伴い、前記案内長孔32bの片側縁が変形する。この結果、この案内長孔32bの片側縁のうちで前記案内ピン33が係合している部分の接線方向と、テレスコ調節用長孔19aのうちで調節杆22a(図16)が挿通している部分の接線方向とのなす角度αが増大する。これにより、前記案内長孔32bの片側縁と前記案内ピン33とが係合する事によって生じる、前記調節杆22aが前記テレスコ調節用長孔19aに沿って変位する事に対する阻止力が増大する。この為、二次衝突の発生時に、支持ブラケット12a(図1〜3、14、15参照)に対するステアリングコラム13aの前後方向の保持力をより大きくできる。
その他の構成及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例、又は、上述の図14〜15に示した第8例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
上述した各実施の形態では、同種の(テレスコ用、又は、チルト用)の揺動摩擦板を、ステアリングコラムを挟んだ左右両側に1枚ずつ設置する構造を採用したが、本発明を実施する場合には、同種の揺動摩擦板を、ステアリングコラムの左右両側のうちの何れか一方の側にのみ(1枚だけ)設置する構成を採用する事もできる。
又、本発明を実施する場合には、ステアリングホイールの位置を調節する際に、調節杆を中心とする揺動摩擦板の揺動を円滑に行える様にする為に、案内長孔に係合させる案内ピンの外周面に樹脂コーティング層を形成したり、この案内ピンに円筒状のローラや軸受を外嵌したりする事もできる。
又、本発明を実施する場合で、変位ブラケットの外側面と支持ブラケットを構成する支持板部の内側面との間にテレスコ用揺動摩擦板を挟持する構造を採用する場合には、このテレスコ用摩擦板の案内長孔に係合させる案内ピンを、前記変位ブラケットの外側面の一部で、前記支持板部の内側面に対向する部分に突設する事もできる。但し、この場合には、前記案内ピンの先端部と前記支持板部との干渉を回避する為に、この案内ピンの高さを、この案内ピンの先端部が前記案内長孔から突出しない範囲に抑える。この様な構成を採用すれば、前記テレスコ用摩擦板の揺動中心である調節杆と、前記案内ピンとの距離をより短くできる為、1対の押圧部同士の間隔を狭めた状態で、前記テレスコ用摩擦板をより揺動し難くくできる。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10 車体
11、11a 枢軸
12、12a 支持ブラケット
13、13a アウタコラム
14、14a インナコラム
15、15a アウタシャフト
16、16a インナシャフト
17 電動モータ
18、18a 変位ブラケット
19、19a テレスコ調節用長孔
20、20a 支持板部
21、21a チルト調節用長孔
22、22a 調節杆
23 調節レバー
24 拡縮装置
25、25a、25b テレスコ用揺動摩擦板
26 枢支ブラケット
27 被挟持板部
28 取付板部
29 調節ナット
30 頭部
31 揺動中心孔
32、32a、32b 案内長孔
33 案内ピン
34、34a〜34c チルト用揺動摩擦板
35 揺動中心孔
36、36a〜36c 案内長孔
37 案内ピン
38 強度調節用長孔
39 ブリッジ部
40、40a 頭部

Claims (6)

  1. 後端部にステアリングホイールを固定するステアリングシャフトの周囲に設けられて、このステアリングシャフトを回転自在に支持するステアリングコラムと、このステアリングコラムの軸方向中間部に固設された変位ブラケットと、この変位ブラケットに左右方向に形成された第一貫通孔と、この変位ブラケットを左右両側から挟む状態で設けられた左右1対の支持板部を有し、車体に支持される支持ブラケットと、前記両支持板部の一部で互いに整合する位置に設けられた第二貫通孔と、これら第一、第二各貫通孔に挿通された調節杆及びこの調節杆の一端部で前記両支持板部のうちの一方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた調節レバー及び前記調節杆の一部で前記両支持板部を左右方向両側から挟む位置に設けられた1対の押圧部を備えると共に、前記調節レバーの操作に基づいてこれら両押圧部同士の間隔を拡縮可能とした拡縮装置とを備え、前記第一、第二両貫通孔のうちの少なくとも一方の貫通孔を、前記ステアリングホイールの位置調節方向に長い調節用長孔としたステアリング装置に於いて、
    それぞれが互いに対向する1対の面同士の間部分である、前記両支持板部の内側面と前記変位ブラケットの両側面との間部分と、前記両支持板部の外側面と前記両押圧部の内側面との間部分とのうち、少なくとも1つの間部分に揺動摩擦板を挟持すると共に、この揺動摩擦板を挟持した前記1対の面のうち、前記ステアリングホイールの位置調節を行う際に前記調節杆と相対変位する一方の面に対して不動の部分に案内ピンを固設しており、前記揺動摩擦板は、互いに離隔した2箇所位置に、揺動中心孔と案内長孔とを有するもので、このうちの揺動中心孔に前記調節杆を挿通すると共に、前記案内長孔に前記案内ピンを、この案内長孔に沿った変位のみを可能に係合させており、更に、前記揺動摩擦板は、前記1対の押圧部同士の間隔を拡げる事により、前記揺動摩擦板の両側面とこの揺動摩擦板を挟持する前記1対の面との当接部の面圧を低下乃至は喪失させた状態で、前記調節杆を前記調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動するものであり、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とが一致しない事を特徴とするステアリング装置。
  2. 前記第一貫通孔が、前記ステアリングホイールのテレスコピック位置調節方向である、前記ステアリングコラムの軸方向に長い調節用長孔であり、前記各間部分のうちの少なくとも1つの間部分に挟持した揺動摩擦板は、前記調節杆を前記ステアリングコラムの軸方向に長い調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動するものであり、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と前記ステアリングコラムの軸方向とが一致しない、請求項1に記載したステアリング装置。
  3. 前記各第二貫通孔が、前記ステアリングホイールのチルト位置調節方向である、上下方向に長い調節用長孔であり、前記各間部分のうちの少なくとも1つの間部分に挟持した揺動摩擦板は、前記調節杆を前記上下方向に長い調節用長孔に沿って変位させた場合に、前記案内ピンが前記案内長孔に沿って変位しつつ、自身が前記調節杆を中心として揺動するものであり、この揺動の全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記上下方向に長い調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とが一致しない、請求項1に記載したステアリング装置。
  4. 前記揺動摩擦板が前記調節杆を中心として揺動する全範囲で、前記案内長孔のうちで前記案内ピンが係合している部分の長さ方向若しくは接線方向と、前記調節用長孔のうちで前記調節杆が挿通している部分の長さ方向若しくは接線方向とのなす角度が、25度以上になっている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  5. 前記揺動摩擦板と、この揺動摩擦板を挟持する前記1対の面のうちの一方の面を備えた部材と他方の面を備えた部材とのうちの少なくとも一方の部材とが、硬さの異なる金属素材により造られている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
  6. 前記揺動摩擦板の一部で、前記案内長孔の幅方向両側縁のうち、二次衝突の発生時に前記案内ピンから衝撃的な押付力を加えられる片側縁に対して、前記案内長孔の幅方向片側に離隔した部分に、強度調節用長孔を、この案内長孔に対して並列に設ける事により、これら両長孔同士の間に、前記衝撃的な押付力に基づき前記強度調節用長孔の側に向け塑性変形可能なブリッジ部を設けた、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したステアリング装置。
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