JP2016115568A - リチウムイオン電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極の幅方向両端部における粉体層と基材との剥離強度及び電極の幅方向両端部の膜強度を高く維持する。【解決手段】一対のプレス用ロールにより基材14の表面に電極活物質を含む粉体6を圧密して電極シートを製造するリチウムイオン電池用電極の製造方法において、前記基材の電極に相当する部分の幅方向両端部に形成された粗化部分14a及び前記粗化部分に挟まれた領域に前記粉体を供給する粉体供給工程と、スキージ部材12を用いて前記基材の表面に供給された前記粉体を均し粉体層10を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層が形成された前記基材を前記一対のプレス用ロール4A、4B間を通過させることにより、前記基材の表面に前記粉体層を圧密する圧密工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、電極活物質等を含む粉体を圧縮成形してリチウムイオン電池用電極を製造するリチウムイオン電池用電極の製造方法に関するものである。
小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、繰り返し充放電が可能なリチウムイオン電池は、環境対応からも今後の需要の拡大が見込まれている。リチウムイオン電池は、エネルギー密度が大きいことから、携帯電話やノート型パソコン等の分野で利用されているが、用途の拡大や発展に伴い、低抵抗化、大容量化等、より一層の性能向上が求められている。
リチウムイオン電池用電極は電極シートとして得ることができる。例えば、特許文献1には、基材にバインダーを塗布した後に粉体を散布して基材の表面に粉体層を形成し、基材を一対のプレス用ロール間を通過させて基材の表面に粉体層を連続的に圧縮成形することにより電極シートを得るリチウムイオン二次電池の製造方法が開示されている。
特開2014−078497号公報
ところで、上述のリチウムイオン二次電池の製造方法を用いて電極シートを製造する場合、一対のプレス用ロール間に基材を通過させたときに粉体が幅方向外側に流動して粉体層の端部にダレが生じ、粉体層の幅精度が低下する。このため、粉体層の幅方向両端部がプレス不足となって粉体層と基材との間の密着力が低下し、結果として電極の幅方向両端部における粉体層と基材との剥離強度、及び電極の幅方向両端部の膜強度が低下するという問題があった。
本発明の目的は、電極の幅方向両端部における粉体層と基材との剥離強度及び電極の幅方向両端部の膜強度を高く維持することができるリチウムイオン電池用電極の製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、電極に相当する部分の幅方向両端部に粗化部分が形成された基材を使用し、粉体層の幅方向への流動による粉体層の端部にダレを防止することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、
(1)一対のプレス用ロールにより基材の表面に電極活物質を含む粉体を圧密して電極シートを製造するリチウムイオン電池用電極の製造方法において、前記基材の電極に相当する部分の幅方向両端部に形成された粗化部分及び前記粗化部分に挟まれた領域に前記粉体を供給する粉体供給工程と、スキージ部材を用いて前記基材の表面に供給された前記粉体を均し粉体層を形成する粉体層形成工程と、前記粉体層が形成された前記基材を前記一対のプレス用ロール間を通過させることにより、前記基材の表面に前記粉体層を圧密する圧密工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造方法、
(2)前記粗化部分は、前記基材の前記電極に相当する部分の幅方向両端部からそれぞれ幅方向中央側に3mm以上30mm以下の幅をもって形成されることを特徴とする(1)記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法、
(3)前記粗化部分は、算術平均粗さRa:0.4μm以上3.0μm以下の表面粗さを有することを特徴とする(1)または(2)記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法、
が提供される。
本発明のリチウムイオン電池用電極の製造方法によれば、電極の幅方向両端部における粉体層と基材との剥離強度及び電極の幅方向両端部の膜強度を高く維持することができる。
実施の形態に係る粉体成形装置を上方から視た斜視図である。 実施の形態に係る粉体成形装置を側方から視た図である。 実施の形態に係る基材を上方から視た図である。 実施の形態に係る基材に粉体層が圧縮成形される様子を基材の長手方向から視た図である。 従来の粉体成形方法において基材に粉体層が圧縮成形される様子を基材の長手方向から視た図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造方法について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造方法に用いる粉体成形装置2を上方から視た斜視図であり、図2は、これを側方から視た図である。図1、図2に示すように、粉体成形装置2は、ホッパー8、スキージロール12、及びプレス用ロール4を備えている。
ここで、ホッパー8は、電極活物質と結着材を含む粉体6を収容する容器であり、ホッパー8は、水平方向に搬送される集電体である基材14の上方に配置されている。
スキージロール12は、基材14の幅方向に延びる円柱形状のロール部材であり、粉体6を均して基材14の表面に粉体層10を形成する。スキージロール12と基材14の表面の間には所定の間隙が形成されており、粉体層10を形成する際に粉体層10の目付け量が制御される。
プレス用ロール4は、垂直方向に搬送される基材14をプレスする一対の第1ロール4A、第2ロール4Bを備えている。ここで、第1ロール4Aは、水平方向に搬送される基材14の進行方向を垂直方向に変更する機能を有している。また、図4に示すように、第2ロール4Bの表面と基材14の表面との間には所定のロール間隙Xが形成されている。
図3は、基材14の表面を示す図である。図3に示すように、基材14は一方向に延びる帯状のシートであり、基材14の表面の電極に相当する幅Zの領域には、結着材が塗布されている。また、電極に相当する幅Zの領域の幅方向両端部には、表面を粗くした粗化部分14aが形成されている。ここで、粗化部分14aは、電極に相当する幅Zの領域の両端部Yから幅方向中央側にそれぞれ3mm以上30mm以下の幅で形成され、算術平均粗さRa:0.4μm以上3.0μm以下の表面粗さを有している。
次に、この粉体成形装置2を用いたリチウムイオン電池用電極としての電極シートの製造方法について説明する。まず、ホッパー8から粉体6が、水平方向に搬送される基材14の電極に相当する幅Zの領域に供給される(粉体供給工程)。
次に、基材14の表面に供給された粉体6がスキージロール12によって均され、粉体層10が形成される(粉体層形成工程)。
次に、粉体層10が形成された基材14は、第1ロール4Aにより、進行方向を水平方向から垂直方向に変更されてプレス点まで搬送され、一対の第1ロール4A及び第2ロール4B間を通過する(圧密工程)。これにより、基材14の表面に粉体層10が圧縮成形された電極シートが製造される。
図4は、圧密工程において粉体層10が圧縮成型される様子を基材14の長手方向から視た図である。図4に示すように、基材14の表面に粉体層10を圧縮成型した場合、粗化部分14aの表面と粉体層10を構成する粉体6との間に生じる摩擦力によって、粉体層10を構成する粉体6の幅方向外側への流動が抑制され、粉体層10の端部にダレが生じることが防止される。このため、粉体層10の幅精度が向上して粉体層10の幅方向両端部のプレス不足が解消され、粉体層10の両端部と基材14の表面との間の密着力が向上する。
一方、図5に示す従来の粉体成形方法のように、粗化部分14aが形成されていない基材14´の表面に粉体層10を圧縮成型した場合、粉体層10を構成する粉体6の幅方向外側への流動を抑制することができず、粉体層10の幅方向両端部にダレが生じて粉体層10の幅精度が低下する。このため、粉体層10の幅方向両端部においてプレス不足が生じ、粉体層10の両端部と基材14の表面との間の密着力が低下する。
また、粗化部分14aを基材14の表面の電極に相当する幅Zの領域の両端部Yから幅方向中央側にそれぞれ3mm以上30mm以下、好ましくは8mm以上30mm以下の幅で形成することにより、粉体層10を構成する粉体6の幅方向外側への流動による粉体層10の幅方向両端部のダレを十分に防止することができる。なお、粗化部分14aの幅が3mm以下の場合はダレの改善が得られず、粗化部分14aの幅が30mmより広いと幅方向の粉体層の精度悪化を起こす。
また、粗化部分14aの表面粗さをRa:0.4μm以上3.0μm以下とすることにより、粉体層10を構成する粉体6の幅方向外側への流動を的確に防止し、粉体層10の両端部を基材14の表面と的確に密着させることができる。なお、粗化部分14aの表面粗さをRa:0.4μm以下にした場合、上記ダレの防止に改善効果が見られず、粗化部分14aの表面粗さをRa:3.0μm以上にした場合、例えば、粉体層10の圧縮成型時に第2ロール4Bを傷つけること等の不具合が生じるおそれがある。
この実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極の製造方法においては、基材14の電極に相当する幅Zの領域の幅方向両端部に粗化部分14aを形成することにより、粉体層10を圧縮成型した際に粉体層10の両端部にダレが生じることを抑制して粉体層10の幅精度を向上させ、粉体層10の両端部と基材14の表面との間の密着力を向上させることができる。これにより、電極の幅方向両端部における粉体層10と基材14との剥離強度及び電極の幅方向両端部の膜強度を高く維持することができる。
なお、基材14としては、薄いフィルム状の基材であればよく、通常、厚さ1μm〜1000μm、好ましくは5μm〜800μmである。基材14としては、アルミニウム、白金、ニッケル、タンタル、チタン、ステンレス鋼、銅、その他の合金などの金属箔または炭素、導電性高分子、紙、天然繊維、高分子繊維、布帛、高分子樹脂フィルムなどが挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。高分子樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルム、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、アラミドフィルム、PEN、PEEK等を含んで構成されるプラスチックフィルム、シート等が挙げられる。
これらの中でも、リチウムイオン電池用電極に用いる電極シートを製造する場合には、基材14として、金属箔または炭素フィルム、導電性高分子フィルムを用いることができ、好適には金属が用いられる。これらの中で導電性、耐電圧性の面から銅、アルミニウムまたはアルミニウム合金を使用することが好ましい。
また、基材14の表面には塗膜処理、穴あけ加工、バフ加工、サンドブラスト加工及び/又はエッチング加工等の処理が施されていてもよい。
基材14の表面に塗布する結着材としては、例えば、SBR水分散液が挙げられる。SBRの濃度は、10.0〜40wt%である。SBRのガラス転移温度は、−50℃〜30℃の範囲内である。結着材には、塗液の粘度やぬれ性を調整するために、増粘剤や界面活性剤を含んでいてもよい。増粘剤や界面活性剤としては、公知のものを使用することができる。また、結着材は、SBR以外にも、水系のポリアクリル酸(PAA)や、有機溶媒系のポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを用いてもよい。
粗化部分14aの表面粗さである算術平均粗さRaは、JIS B0601に準拠して、例えばナノスケールハイブリッド顕微鏡(VN−8010、キーエンス社製)を用いて、粗さ曲線を描き、下式により算出することができる。下式において、Lは測定長さ、xは平均線から測定曲線までの偏差である。
Figure 2016115568
基材14の表面を粗面化する方法は特に制限されず、基材14の表面をエンボス処理する方法、基材14の表面をサンドブラスト処理する方法、基材14を構成する材料にマット材を練り込む方法、マット材を含む層を基材14の表面にコーティングする方法などが挙げられる。中でも粉体6として用いられる複合粒子との密着性の観点から基材14の表面をサンドブラスト処理する方法が好ましい。
基材14に供給される粉体6としては、電極活物質及び結着材を含む複合粒子が挙げられる。複合粒子は、必要に応じてその他の分散剤、導電材および添加剤を含んでもよい。
複合粒子をリチウムイオン電池電極用の電極材料として用いる場合、正極用活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が挙げられる。かかる金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、燐酸鉄リチウム等を挙げることができる。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。
なお、リチウムイオン電池用正極の対極としての負極の活物質としては、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、熱分解炭素などの低結晶性炭素(非晶質炭素)、グラファイト(天然黒鉛、人造黒鉛)、錫やケイ素等の合金系材料、ケイ素酸化物、錫酸化物、チタン酸リチウム等の酸化物、等が挙げられる。なお、上記に例示した電極活物質は適宜用途に応じて単独で使用してもよく、複数種混合して使用してもよい。
リチウムイオン電池電極用の電極活物質の形状は、粒状に整粒されたものが好ましい。粒子の形状が球形であると、電極成形時により高密度なリチウムイオン電池用電極が形成できる。
リチウムイオン電池電極用の電極活物質の体積平均粒子径は、正極、負極ともに通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.8〜30μmである。
複合粒子に用いられる結着材としては、前記電極活物質を相互に結着させることができる化合物であれば特に制限はない。好適な結着材は、溶媒に分散する性質のある分散型結着材である。分散型結着材として、例えば、シリコン系重合体、フッ素含有重合体、共役ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、好ましくはフッ素系含有重合体、共役系ジエン重合体およびアクリレート系重合体、より好ましくは共役ジエン系重合体およびアクリレート系重合体が挙げられる。
分散型結着材の形状は、特に制限はないが、粒子状であることが好ましい。粒子状であることにより、結着性が良く、また、作製した電池の容量の低下や充放電の繰り返しによる放電効率、サイクル寿命の劣化を抑えることができる。粒子状の結着材としては、例えば、ラテックスのごとき結着材の粒子が水に分散した状態のものや、このような分散液を乾燥して得られる粒子状のものが挙げられる。
結着材の量は、得られる電極活物質層と基材との密着性が充分に確保でき、かつ、内部抵抗を低くすることができる観点から、電極活物質100重量部に対して、乾燥重量基準で通常は0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部である。
複合粒子には、前述のように必要に応じて分散剤を用いてもよい。分散剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩などが挙げられる。これらの分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
複合粒子には、前述のように必要に応じて導電材を用いてもよい。導電材の具体例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック(アクゾノーベル ケミカルズ ベスローテン フェンノートシャップ社の登録商標)などの導電性カーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックが好ましい。これらの導電材は、単独でまたは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
複合粒子は、電極活物質、結着材および必要に応じ添加される前記導電材等他の成分を用いて造粒することにより得られ、少なくとも電極活物質、結着材を含んでなるが、前記のそれぞれが個別に独立した粒子として存在するのではなく、構成成分である電極活物質、結着材を含む2成分以上によって一粒子を形成するものである。具体的には、前記2成分以上の個々の粒子の複数個が結合して二次粒子を形成しており、複数個(好ましくは数個〜数十個)の電極活物質が、結着材によって結着されて粒子を形成しているものが好ましい。
複合粒子の製造方法は特に制限されず、流動層造粒法、噴霧乾燥造粒法、転動層造粒法などの公知の造粒法により製造することができる。
複合粒子の体積平均粒子径は、所望の厚みの電極活物質層を容易に得る観点から、通常0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは30〜250μmの範囲である。
なお、複合粒子及び電極活物質の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、SALD−3100;島津製作所製)にて測定し、算出される体積平均粒子径である。
2…粉体成形装置、4…プレス用ロール、4A…第1ロール、4B…第2ロール、6…粉体、8…ホッパー、10…粉体層、12…スキージロール、14…基材、14a…粗化部分

Claims (3)

  1. 一対のプレス用ロールにより基材の表面に電極活物質を含む粉体を圧密して電極シートを製造するリチウムイオン電池用電極の製造方法において、
    前記基材の電極に相当する部分の幅方向両端部に形成された粗化部分及び前記粗化部分に挟まれた領域に前記粉体を供給する粉体供給工程と、
    スキージ部材を用いて前記基材の表面に供給された前記粉体を均し粉体層を形成する粉体層形成工程と、
    前記粉体層が形成された前記基材を前記一対のプレス用ロール間を通過させることにより、前記基材の表面に前記粉体層を圧密する圧密工程と
    を含むことを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造方法。
  2. 前記粗化部分は、前記基材の前記電極に相当する部分の幅方向両端部からそれぞれ幅方向中央側に3mm以上30mm以下の幅をもって形成されることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法。
  3. 前記粗化部分は、算術平均粗さRa:0.4μm以上3.0μm以下の表面粗さを有することを特徴とする請求項1または2記載のリチウムイオン電池用電極の製造方法。
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