以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下に示す順序とする。
1.本発明の基本的構成
1−1.第1制御線にメモリゲート電圧が印加され、第2制御線に切替ゲート電圧が印加される不揮発性半導体記憶装置
1−2.第1制御線に切替ゲート電圧が印加され、第2制御線にメモリゲート電圧が印加される不揮発性半導体記憶装置
2.第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置
2−1.データの書き込み動作
2−2.データの読み出し動作
2−3.データの消去動作
2−4.動作および効果
3.第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置
3−1.データの書き込み動作
3−2.データの読み出し動作
3−3.データの消去動作
3−4.動作および効果
4.第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置
4−1.データの書き込み動作
4−2.データの読み出し動作
4−3.データの消去動作
4−4.動作および効果
5.他の実施の形態
(1)本発明の基本的構成
(1−1)第1制御線にメモリゲート電圧が印加され、第2制御線に切替ゲート電圧が印加される不揮発性半導体記憶装置
図1において、1aは代表的な本発明の不揮発性半導体記憶装置を示し、例えば並走する複数の第1制御線DL0,DL1と、各第1制御線DL0,DL1と交差する複数の第2制御線HS0,HS1とを有する。また、不揮発性半導体記憶装置1aには、これら第1制御線DL0,DL1および第2制御線HS0,HS1の各交差箇所に切替機構6a,6b,6c,6dが設けられており、各切替機構6a,6b,6c,6dにそれぞれ対応したメモリユニット2a,2b,2c,2dが設けられている。
因みに、この実施の形態の場合、不揮発性半導体記憶装置1aは、例えば4つのメモリユニット2a,2b,2c,2dが2行2列で行列状に配置された構成を有し、これら複数のメモリユニット2a,2b,2c,2dのうち、行方向に配置された2つのメモリユニット2a,2c(2b,2d)で1つのメモリブロックBK0(BK1)を構成している。なお、不揮発性半導体記憶装置1aでは、メモリブロックBK0,BK1単位でメモリウェルが形成されており、行方向に並ぶ複数のメモリユニット2a,2c(2b,2d)毎にメモリウェルが設けられている。
この場合、不揮発性半導体記憶装置1aでは、列方向に並び、異なるメモリブロックBK0,BK1に配置されたメモリユニット2a,2b(2c,2d)にて第1制御線DL0(DL1)を共有し、同じメモリブロックBK0,(BK1)内に配置されたメモリユニット2a,2c(2b,2d)にて第2制御線HS0(HS1)を共有している。なお、各第1制御線DL0,DL1には、それぞれ第1制御手段4aが設けられており、当該第1制御手段4aによって所定電圧が印加され得る。また、各第2制御線HS0,HS1には、それぞれ第2制御手段4bが設けられており、当該第2制御手段4bによって所定電圧が印加され得る。
なお、不揮発性半導体記憶装置1aに設けられた各メモリユニット2a,2b,2c,2dは全て同一構成を有しており、ここでは主として1行1列目のメモリユニット2aの構成に着目して以下説明する。実際上、この実施の形態の場合、メモリユニット2aは、2つのメモリセルM11,M12を有しており、これら2つのメモリセルM11,M12が副制御線W11を介して切替機構6aに接続されている。
ここで、切替機構6a,6b,6c,6dは全て同一構成を有しており、例えば一の切替機構6aは、第2制御線HS0から印加された切替ゲート電圧に基づいてオンオフ動作し得る。切替機構6aは、オン動作することにより、第1制御線DL0に印加されたメモリゲート電圧を、対応する副制御線W11に印加し得る。また、切替機構6aは、オフ動作することにより、第1制御線DL0から副制御線W11への電圧印加を遮断し得る。
実際上、メモリユニット2aでは、第1制御線DL0に印加されたメモリゲート電圧と、第2制御線HS0に印加された切替ゲート電圧とに基づいて切替機構6aがオン動作し得、当該第1制御線DL0に印加されたメモリゲート電圧を、副制御線W11を介して各メモリセルM11,M12に対し一律に印加し得るようになされている。
ここで、メモリセルM11,M12は同一構成を有しており、例えばメモリセルM11は、メモリトランジスタF11のドレインにスイッチ回路S11が接続された構成を有する。スイッチ回路S11は、例えばパイポーラ型のトランジスタ等でなり、メモリトランジスタF11の他にビット線CL0にも接続されており、当該ビット線CL0から所定電圧が印加され得るように構成されている。
この場合、メモリトランジスタF11は、窒化膜やポリシリコン等でなる電荷蓄積層が絶縁層を介してメモリウェル上に形成されているとともに、当該電荷蓄積層上に絶縁層を介してゲートが形成されている。これによりメモリトランジスタF11は、メモリウェルおよびゲート間の電圧差や、ソースおよびゲート間の電圧差により生じるトンネル効果によって、電荷蓄積層内に電荷を注入したり、或いは、電荷蓄積層内に蓄積された電荷を引き抜き得る。なお、以下の実施の形態の説明において、メモリトランジスタF11はディプリート型のN型MOSトランジスタとして説明する。即ち、電荷蓄積層に電荷が蓄積されていない状態では、ゲートの電圧が0[V]のとき、ソース/ドレイン間に電位差があると、メモリトランジスタF11に電流が流れるものとする。
この実施の形態の場合、メモリトランジスタF11では、例えば、データ書き込み動作時、メモリウェルとゲートの電圧差や、ソースとゲートとに生じる電圧差によりメモリウェル表面にチャネルが形成され、当該チャネルにソース電圧が供給され得る。これによりメモリトランジスタF11では、ゲートとソースの電位差によって生じるトンネル効果により、チャネルから電荷蓄積層内に電荷が注入され、データが書き込まれた状態となり得る。一方、データの消去動作時、メモリトランジスタF11では、メモリウェルおよびゲート間の電圧差や、メモリウェルおよびソース間の電圧差により生じるトンネル効果によって、電荷蓄積層内に蓄積されている電荷を引き抜き、データが消去された状態となり得る。
かかる構成に加え、各副制御線W11,W12,W21,W22は、第1制御線DL0,DL1に印加されたメモリゲート電圧を、対応する各メモリセルM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42に対し一律に印加する配線として設けられている他、各メモリトランジスタF11,F12、F21,F22、F31,F32、F41,F42の電荷蓄積層にそのまま対向配置され、各メモリトランジスタF11,F12、F21,F22、F31,F32、F41,F42のゲートとしても設けられている。すなわち、各副制御線W11,W12,W21,W22を、例えばメタル配線ではなくポリシリコンにより形成した場合、各メモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42は、ゲートがポリシリコンで形成されたポリシリコントランジスタとなり得る。
この場合、例えば列方向に延びる1列目のビット線CL0には、一のメモリユニット2aにおける各メモリセルM11,M12のスイッチ回路S11,S12が接続されているとともに、一のメモリユニット2aと同じ列にある他のメモリユニット2bにおける各メモリセルM21,M22のスイッチ回路S21,S22も接続されている。同様に、列方向に延びる2列目のビット線CL1には、一のメモリユニット2cにおける各メモリセルM31,M32のスイッチ回路S31,S32が接続されているとともに、一のメモリユニット2cと同じ列にあるメモリユニット2dにおける各メモリセルM41,M42のスイッチ回路S41,S42も接続されている。
このように不揮発性半導体記憶装置1aでは、一方向(列方向)に配置された複数のメモリセルM11,M12,M21,M22(M31,M32,M41,M42)毎に1つのビット線CL0(CL1)を共有しており、当該ビット線CL0(CL1)によって列毎に各メモリセルM11,M12,M21,M22(M31,M32,M41,M42)のスイッチ回路S11,S12,S21,S22(S31,S32,S41,S42)に所定電圧を一律に印加し得る。
これに加えて、例えば行方向に延びる1行目のワード線ROW00は、メモリユニット2a内の一のメモリセルM11と、当該メモリユニット2aと同じ行で、かつ異なる列に配置された他のメモリユニット2c内にある一のメモリセルM31とで共有されており、これらメモリセルM11,M31に設けられたメモリトランジスタF11,F31の各ソースに接続されている。
また、ワード線ROW00とは異なる行にて行方向に延びる2行目のワード線ROW01は、メモリユニット2a内の他のメモリセルM12と、当該メモリユニット2aと同じ行で、かつ異なる列に配置された他のメモリユニット2cにある他のメモリセルM32とで共有されており、これらメモリセルM12,M32に設けられたメモリトランジスタF12,F32の各ソースに接続されている。
このように不揮発性半導体記憶装置1aでは、一方向とは異なる他方向(行方向)に配置された複数のメモリセルM11,M31(M12,M32)毎に1つのワード線ROW00(ROW01)を共有しており、当該ワード線ROW00(ROW01)によって行毎に各メモリトランジスタF11,F31(F12,F32)のソースに所定電圧を一律に印加し得る。
なお、2行1列目の一のメモリユニット2b、および2行2列目の他のメモリユニット2dでも、上述したメモリユニット2a,2cと同様の構成を有しており、他方向(行方向)に延びる1つのワード線ROW10(ROW11)を、一のメモリユニット2bのメモリセルM21(M22)と、他のメモリユニット2dのメモリセルM41(M42)とで共有している。
具体的には、行方向に配置されたメモリユニット2b,2d間に亘って設けたワード線ROW10(ROW11)に、各メモリトランジスタF21,F41(F22,F42)のソースが接続されており、各ワード線ROW10(ROW11)から当該メモリトランジスタF21,F41(F22,F42)のソースに所定電圧が一律に印加され得る。
ここで、例えば1行1列目のメモリユニット2a内に配置された一のメモリセルM11にだけデータを書き込み、当該メモリユニット2a内の他のメモリセルM12や、他のメモリユニット2b,2c,2d内に配置された各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42にデータを書き込まないときの動作について、以下簡単に説明する。
この場合、データが書き込まれるメモリセル(以下、書き込みメモリセルとも呼ぶ)M11を含むメモリユニット2aに配置された第1制御線(以下、選択第1制御線とも呼ぶ)DL0には、メモリゲート電圧として、例えば正電圧である電荷蓄積メモリゲート電圧が印加され、データを書き込まないメモリセル(以下、非書き込みメモリセルとも呼ぶ)M31,M32,M41,M42だけが配置された他の第1制御線(以下、非選択第1制御線とも呼ぶ)DL1には、メモリゲート電圧として、0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加され得る。
また、この際、書き込みメモリセルM11に接続された切替機構(以下、選択切替機構とも呼ぶ)6aには、切替ゲート電圧としてオン電圧が第2制御線HS0から印加され得る。これにより、選択第1制御線DL0に配置された複数の切替機構6a,6bのうち、第2制御線HS0からオン電圧が印加された選択切替機構6aだけがオン動作し得る。選択切替機構6aは、選択第1制御線DL0に印加された電荷蓄積メモリゲート電圧を、書き込みメモリセルM11が接続された副制御線(以下、選択副制御線とも呼ぶ)W11に印加し得る。これにより、書き込みメモリセルM11には、選択副制御線W11によりメモリトランジスタF11のゲートに選択第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加され得る。
これに加えて、この際、書き込みメモリセルM11には、ワード線ROW00を介してメモリトランジスタF11のソース側に、例えば負電圧が印加されるとともに、当該メモリトランジスタF11のメモリウェルにも当該負電圧が印加され得る。これにより、書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11では、ゲートおよびメモリウェル間や、ゲートおよびソース間の電圧差(例えば電圧差7[V])により生じるトンネル効果によってソース側から電荷蓄積層に電荷を注入し得、データが書き込まれた状態となり得る。
この際、書き込みメモリセルM11と選択副制御線W11を共有し、かつデータが書き込まれない他のメモリセルM12では、メモリトランジスタF12のソースにワード線ROW01を介して、例えば0[V]が印加され得る。これにより非書き込みメモリセルM12では、選択副制御線W11によって、書き込みメモリセルM11と同様にメモリトランジスタF12のゲートに電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されても、ワード線ROW01から当該メモリトランジスタF12のソースに0[V]が印加されることから、メモリトランジスタF12のゲートとソース側との電圧差が小さくなり得る。
かくして、書き込みメモリセルM11と選択副制御線W11を共有する他の非書き込みメモリセルM12では、当該選択副制御線W11によって電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されるものの、メモリトランジスタF12にてゲートとソース側との電圧差が小さくなり電荷が注入され難くなることから、データが書き込まれない状態を維持し得る。
また、この際、電荷蓄積メモリゲート電圧が印加される選択第1制御線DL0に接続され、かつ非書き込みメモリセルM21,M22だけが配置された切替機構(以下、非選択切替機構とも呼ぶ)6bには、切替ゲート電圧としてオフ電圧が第2制御線HS1から印加され得る。これにより、非選択切替機構6bは、オフ動作し、選択第1制御線DL0と非選択副制御線W12との電気的な接続が遮断され、選択第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧が各メモリセルM21,M22に印加されることを防止し得る。
かくして、選択第1制御線DL0を共有し、非書き込みメモリセルM21,M22だけが配置されたメモリユニット2bでは、選択第1制御線DL0から非選択副制御線W12に電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されることがないので、ワード線ROW10,ROW11等の電圧調整によって、各非書き込みメモリセルM21,M22においてメモリトランジスタF21,F22に電荷が注入されることもなく、データが書き込まれない状態を維持し得る。
ところで、上述したように、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2a内では、非書き込みメモリセルM12と書き込みメモリセルM11とで選択副制御線W11を共有していることから、選択副制御線W11から非書き込みメモリセルM12におけるメモリトランジスタF12にも高電圧の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されてしまう。そのため、一のメモリセルM11にてデータの書き込み動作が繰り返し行われると、データの書き込みを行わない他のメモリセルM12では、従来と同様、メモリトランジスタF12にて繰り返し生じる電圧差によって、意図しない電荷が電荷蓄積層に蓄積されてゆき、最終的にはディスターブが発生してしまう虞がある。
しかしながら、この書き込みメモリセルM11が配置された一のメモリユニット2aと選択第1制御線DL0を共有する他のメモリユニット2bでは、一のメモリユニット2aにてデータの書き込み動作が繰り返し行われても、切替機構6bによって選択第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧が遮断されることから、全ての非書き込みメモリセルM21,M22にてディスターブの発生を防止し得る。
従って、本発明の不揮発性半導体記憶装置1aでは、選択第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22が配置されているものの、ディスターブが発生してしまう虞があるメモリセルをメモリユニット2a内に留め、他のメモリユニット2b内ではメモリセルM21,M22でのディスターブを防止できるので、その分、従来よりもディスターブの発生確率を低減できる。
また、この不揮発性半導体記憶装置1aでは、第1制御線DL0,DL1のメモリゲート電圧を切替機構6a,6b,6c,6dから各メモリセルM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42に印加する接続配線として各副制御線W11,W12,W21,W22が形成されているとともに、各副制御線W11,W12,W21,W22が、対応するメモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42のゲートとしても機能していることから、例えば副制御線W11,W12,W21,W22が形成された配線層とは別の領域の配線層に、各メモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42のゲートをそれぞれ別途形成する場合に比して回路構成を簡易化し得、その分、小型化を図り得る。
次に、図2に示すように、1行1列目のメモリセルM11と、1行2列目のメモリセルM31と、図1にて図示しない1行3列目のメモリセルM51とが配置された領域での断面構成について以下説明する。図2に示すように、不揮発性半導体記憶装置1aにおいて、これらメモリセルM11,M31,M51が配置された領域では、例えばN型のディープウェルDNW上にP型のメモリウェルMPWが形成されており、当該メモリウェルMPWの表面に各メモリトランジスタF11,F31,F51が形成され得る。
例えばメモリセルM31のメモリトランジスタF31は、メモリウェルMPWの表面に、絶縁層11a、電荷蓄積層FG、絶縁層11bおよびゲートGが順に形成され、これら絶縁層11a、電荷蓄積層FG、絶縁層11bおよびゲートGの側面を覆うようにサイドウォール12が形成されている。この場合、一方のサイドウォール12下部のメモリウェルMPWの表面には、メモリトランジスタF31のソースとなるN型の拡散層19が形成され、他方のサイドウォール12下部のメモリウェルMPWの表面には、メモリトランジスタF31のドレインとなるN型の拡散層17が形成されており、これら拡散層17,19間のメモリウェルMPWにメモリトランジスタF31のチャネルが形成され得る。
ここで、メモリトランジスタF31のゲートGは、副制御線W21により形成されており、当該副制御線W21のうち電荷蓄積層FGと対向した領域がゲートGとなり得る。このように不揮発性半導体記憶装置1aでは、メモリトランジスタF31および切替機構6c(図1)を繋げる接続配線となる副制御線W31と、当該メモリトランジスタF31のゲートGとが1つの配線層に形成されることから、メモリトランジスタF31のゲートGと副制御線W31とをそれぞれ別の配線層に形成する場合に比して、回路構成を簡易化して小型化を図り得る。
なお、ドレインとなる拡散層17が設けられた他方のサイドウォール12下部には、当該拡散層17とは不純物濃度が異なるN型の拡散層16も形成されている。この拡散層16は、メモリトランジスタF31の他方のサイドウォール12下部から、このメモリトランジスタF31の隣に配置されたメモリトランジスタF11の一方のサイドウォール12下部に亘って設けられている。さらに、拡散層16の上部には、当該拡散層16に内包されるようにP型の拡散層15が形成されている。この拡散層15は、メモリトランジスタF31の他方のサイドウォール12端部から、このメモリトランジスタF31の隣に配置されたメモリトランジスタF11の一方のサイドウォール12端部に亘って設けられている。これにより隣接するメモリトランジスタF11,F31のサイドウォール12間には、ディープウェルDNW側から順にP型のメモリウェルMPW、N型の拡散層16、およびP型の拡散層15の順に配置され、バイポーラ型のMOSトランジスタ構成でなるスイッチ回路S11,S31を形成し得る。
この場合、スイッチ回路S11,S31には、拡散層15の表面に、柱状のコンタクトC1が立設されており、当該コンタクトC1先端にビット線CL1が接続されている。なお、ビット線CL1は、例えばメタル配線により形成されており、メモリウェルMPWの表面上において、メモリトランジスタF11,F31,F51のゲートGが配置される配線層よりも上方のメタル第1層に形成され得る。
メモリトランジスタF31と、このメモリトランジスタF31の他方側にて隣接するメモリトランジスタF51との間には、メモリウェルMPWの表面に拡散層19とは不純物濃度が異なるN型の拡散層20が形成されており、当該拡散層20の表面に柱状のコンタクトC2が立設されている。コンタクトC2は、ビット線CL1が配置されたメタル第1層の上方にあるメタル第2層に形成されたワード線ROW00に接続されており、当該ワード線ROW00の電圧を拡散層20に印加し得る。
なお、ワード線ROW00は、行方向に並ぶメモリセルM11,M31,M51に沿って行方向に延びており、これらメモリセルM11,M31,M51に所定の電圧を一律に印加し得る。因みに、ワード線ROW00が配置されたメタル第2層の上方には、メタル第3層があり、このメタル第3層に、メタル配線により形成された第1制御線DL0,DL1,DL3が配置されている。なお、メモリウェルMPWの表面上に形成された、これらメモリトランジスタF11,F31,F51や、コンタクトC1,C2、ビット線CL1、ワード線ROW00、第1制御線DL0,DL1,DL2は、絶縁層22にて覆われている。
(1−2)第1制御線に切替ゲート電圧が印加され、第2制御線にメモリゲート電圧が印加される不揮発性半導体記憶装置
上述した実施の形態においては、第1制御線DL0,DL1にメモリゲート電圧を印加し、第2制御線HS0,HS1に切替ゲート電圧が印加される不揮発性半導体記憶装置1aについて説明したが、本発明はこれに限らず、第1制御線DL0,DL1に切替ゲート電圧を印加し、第2制御線HS0,HS1にメモリゲート電圧を印加する不揮発性半導体記憶装置1bとしてもよい。この場合、図1に示す不揮発性半導体記憶装置1bでは、第1制御線DL0,DL1に印加される切替ゲート電圧と、第2制御線HS0,HS1に印加されるメモリゲート電圧との電圧差に基づいて各切替機構6a,6b,6c,6dがオンオフ動作し得る。
また、この不揮発性半導体記憶装置1bでも、第2制御線HS0,HS1のメモリゲート電圧を切替機構6a,6b,6c,6dから各メモリセルM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42に印加する接続配線として各副制御線W11,W12,W21,W22が形成されているとともに、各副制御線W11,W12,W21,W22が、対応するメモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42のゲートとしても機能していることから、例えば副制御線W11,W12,W21,W22が形成された配線層とは別の領域の配線層に、各メモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42のゲートをそれぞれ別途形成する場合に比して回路構成を簡易化し得、その分、小型化を図り得る。
次に、例えば1行1列目のメモリユニット2a内に配置された一のメモリセルM11にだけデータを書き込み、当該メモリユニット2a内の他のメモリセルM12や、他のメモリユニット2b,2c,2d内に配置された各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42にデータを書き込まないときの動作について、以下簡単に説明する。この場合、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aに配置された選択第1制御線DL0には、切替ゲート電圧として、例えばオン電圧が印加され、一方、データを書き込まない非書き込みメモリセルM31,M32,M41,M42だけが配置された非選択第1制御線DL1には、切替ゲート電圧として、オフ電圧が印加され得る。
また、この際、選択切替機構6aが接続された選択第2制御線HS0には、メモリゲート電圧として、電荷蓄積メモリゲート電圧が印加され得る。これにより、選択第2制御線HS0に配置された選択切替機構6aは、選択第1制御線のDL0のオン電圧と、選択第2制御線HS0の電荷蓄積メモリゲート電圧とに基づいてオン動作し、選択第2制御線HS0に印加された電荷蓄積メモリゲート電圧を、書き込みメモリセルM11に接続された選択副制御線W11に印加し得る。これにより、書き込みメモリセルM11には、選択第2制御線HS0の電荷蓄積メモリゲート電圧が選択副制御線W11によりメモリトランジスタF11のゲートに印加され得る。
さらに、この際、書き込みメモリセルM11には、ワード線ROW00を介してメモリトランジスタF11のソース側に、例えば負電圧が印加されるとともに、当該メモリトランジスタF11のメモリウェルにも当該負電圧が印加され得る。これにより、書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11では、ゲートおよびメモリウェル間や、ゲートおよびソース間の電圧差(例えば電圧差7[V])により生じるトンネル効果によってソース側から電荷蓄積層に電荷を注入し得、データが書き込まれた状態となり得る。
これに対して、書き込みメモリセルM11と選択副制御線W11を共有し、かつデータが書き込まれない他のメモリセルM12では、メモリトランジスタF12のソースにワード線ROW01を介して、例えば0[V]が印加されており、当該選択副制御線W11によって電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されても、メモリトランジスタF12にてゲートとソース側との電圧差が小さくなることから電荷が注入され難くなり、データが書き込まれない状態を維持し得る。
また、この際、オン電圧が印加される選択第1制御線DL0を共有し、かつ非書き込みメモリセルM21,M22だけが配置された非選択切替機構6bでは、第2制御線HS1から印加される電圧により、第2制御線HS1と副制御線W12との電気的な接続を遮断し、当該第2制御線HS1からのメモリゲート電圧が副制御線W12を介して各メモリセルM21,M22に印加されることを防止し得るようになされている。
かくして、選択第1制御線DL0を共有し、非書き込みメモリセルM21,M22だけが配置されたメモリユニット2bでは、第2制御線HS1から非選択副制御線W12に電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されることがないので、ワード線ROW10,ROW11等の電圧調整によって、各非書き込みメモリセルM21,M22においてメモリトランジスタF21,F22に電荷が注入されることもなく、データが書き込まれない状態を維持し得る。
ところで、上述したように、この実施の形態においても、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2a内では、非書き込みメモリセルM12と書き込みメモリセルM11とで選択副制御線W11を共有していることから、選択副制御線W11から非書き込みメモリセルM12におけるメモリトランジスタF12にも高電圧の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されてしまう。そのため、メモリユニット2a内では、一のメモリセルM11にてデータの書き込み動作が繰り返し行われると、データの書き込みを行わない他のメモリセルM12で、従来と同様に、メモリトランジスタF12にて繰り返し生じる電圧差によって、意図しない電荷が電荷蓄積層に蓄積されてゆき、最終的にはディスターブが発生してしまう虞がある。
しかしながら、この書き込みメモリセルM11が配置された一のメモリユニット2aと選択第1制御線DL0を共有する他のメモリユニット2bでは、一のメモリユニット2aにてデータの書き込み動作が繰り返し行われても、切替機構6bによって非選択第2制御線HS1から非選択副制御線W12への電圧印加が遮断されることから、ワード線ROW10,ROW11等の電圧調整を行うだけで、全ての非書き込みメモリセルM21,M22にてディスターブの発生を防止し得る。
従って、本発明の不揮発性半導体記憶装置1bでは、選択第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22が配置されているものの、ディスターブが発生してしまう虞があるメモリセルをメモリユニット2a内に留め、他のメモリユニット2b内ではメモリセルM21,M22でのディスターブを防止できるので、その分、従来よりもディスターブの発生確率を低減できる。
因みに、電荷蓄積メモリゲート電圧が印加される選択第2制御線HS0を共有し、かつ非書き込みメモリセルM31,M32だけが配置された非選択切替機構6cには、切替ゲート電圧としてオフ電圧が第1制御線DL1から印加されていることから、選択第2制御線HS0から副制御線W21への電荷蓄積メモリゲート電圧の印加を遮断し得る。かくして、選択第2制御線HS0を共有し、非書き込みメモリセルM31,M32だけが配置されたメモリユニット2cでは、選択第2制御線HS0から非選択副制御線W21に電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されることがないので、各非書き込みメモリセルM31,M32においてメモリトランジスタF31,F32に電荷が注入されることもなく、データが書き込まれない状態を維持し得る。
なお、2行2列目のメモリユニット2dでは、非選択第2制御線HS1と接続されていることから、電荷蓄積メモリゲート電圧が副制御線W22に印加されることがなく、非書き込みメモリセルM41,M42にデータが書き込まれることはない。
次に、図1に示した不揮発性半導体記憶装置1aを、より具体的な回路構成とした第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置と、図1で示した不揮発性半導体記憶装置1bを、より具体的な回路構成とした第2および第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置とについて、データの書き込み動作、データの読み出し動作、およびデータの消去動作を含めて順に説明する。
(2)第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置
図3は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25の回路構成を示し、第1制御線DL0,DL1にメモリゲート電圧が印加され、第2制御線HS0,HS1に切替ゲート電圧が印加され得る。また、この場合、図1に示したスイッチ回路S11,S12,S21,S22,S31,S32,S41,S42として、PNPのパーポーラ型のスイッチトランジスタST11,ST12,ST21,ST22,ST31,ST32,ST41,ST42が設けられているとともに、図1に示した切替機構6a,6b,6c,6dとして、N型MOSトランジスタからなる切替トランジスタ26a,26b,26c,26dが設けられている。
なお、図3に示す不揮発性半導体記憶装置25も図1と同様に、4つのメモリユニット2a,2b,2c,2dが2行2列で行列状に配置された構成を有しており、1列目のメモリユニット2a,2bで一の第1制御線DL0を共有しているとともに、2列目のメモリユニット2c,2dで他の第1制御線DL1を共有し得るように構成されている。
ここで、不揮発性半導体記憶装置25は、N型のウェルNWに囲まれたP型のメモリウェルMPW0と、同じくN型のウェルNWに囲まれたP型の他のメモリウェルMPW1とが形成されており、これらメモリウェルMPW0,MPW1間に、同じくN型のウェルNWに囲まれたP型の切替機構形成ウェルPW0が配置されている。この場合、一のメモリウェルMPW0には、1行目に配置された複数のメモリユニット2a,2cが形成され、他のメモリウェルMPW1には、2行目に配置された複数のメモリユニット2b,2dが形成されている。
また、これらメモリウェルMPW0,MPW1間に配置された切替機構形成ウェルPW0には、列方向にて隣り合うメモリユニット2a,2b間の領域に、これらメモリユニット2a,2bの各切替トランジスタ26a,26bが形成されている。さらに、この切替機構形成ウェルPW0には、同じく列方向にて隣り合うメモリユニット2c,2d間の領域に、これらメモリユニット2c,2dの各切替トランジスタ26c,26dが形成されている。これら複数の切替トランジスタ26a,26b,26c,26dが形成された切替機構形成ウェルPW0には、切替機構形成ウェル配線PWL0が接続されており、当該切替機構形成ウェル配線PWL0により所定電圧が印加され得るようになされている。
不揮発性半導体記憶装置25では、1つの切替機構形成ウェルPW0に対して、行列状に隣り合う4つのメモリユニット2a,2b,2c,2dの各切替トランジスタ26a,26b,26c,26dが形成されており、切替機構形成ウェルPW0が余分に分割形成されることを回避し、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dの形成面積が最小化されている。なお、図3において、MPW2は、図示しない3行目のメモリユニットが形成されるメモリウェルを示すが、上述したメモリウェルMPW0の説明と重複するため、その説明や図示は省略する。
ここで、メモリウェルMPW0,MPW1に形成された各メモリユニットM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42は全て同一構成を有しており、例えば1行1列目のメモリユニット2aは、複数のメモリセルM11,M12を有し、各メモリセルM11,M12が切替トランジスタ26aを介して第1制御線DL0に対し選択的に接続され得るようになされている。
なお、各メモリセルM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42は全て同一構成でなることから、そのうち1つのメモリセルM11に着目して以下説明する。メモリセルM11は、電荷蓄積層を有したメモリトランジスタF11のドレインに、スイッチトランジスタST11のベースが接続された構成を有する。スイッチトランジスタST11は、コレクタがメモリウェル配線MPWL0に接続されているとともに、エミッタがビット線CL0に接続されている。
一のメモリウェル配線MPWL0は、行方向に並ぶメモリユニット2a,2cが形成された一のメモリウェルMPW0と、行方向に並ぶメモリユニット2a,2cに形成された各スイッチトランジスタST11,ST12,ST31,ST32のコレクタとに接続されており、一のメモリウェルMPW0と、これら各スイッチトランジスタST11,ST12,ST31,ST32のコレクタとに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。
また、他のメモリウェル配線MPWL1は、一のメモリウェル配線MPWL0が接続されたメモリウェルMPW0とは異なる他のメモリウェルMPW1と、この他のメモリウェルMPW1に形成された行方向に並ぶメモリユニット2b,2dの各スイッチトランジスタST21,ST22,ST41,ST42のコレクタとに接続されており、他のメモリウェルMPW1と、これら各スイッチトランジスタST21,ST22,ST41,ST42のコレクタとに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。
スイッチトランジスタST11のエミッタに接続されたビット線CL0は、列方向に並ぶ他のメモリセルM12,M21,M22における各スイッチトランジスタST12,ST21,ST22のエミッタにも接続されており、これら列方向に並ぶスイッチトランジスタST11,ST12,ST21,ST22のエミッタに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。なお、列方向に並ぶ他のメモリセルM31,M32,M41,M42でも同様に、各スイッチトランジスタST31,ST32,ST41,ST42でビット線CL1を共有しており、当該ビット線CL1からスイッチトランジスタST31,ST32,ST41,ST42のエミッタに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。
メモリトランジスタF11のソースに接続されているワード線ROW00は、当該メモリトランジスタF11と同じ行に配置された他のメモリトランジスタF31のソースにも接続されており、行方向に並ぶメモリトランジスタF11,F31に所定電圧を一律に印加し得る。そして、他のメモリトランジスタF12,F32(F21,F41、F22,F42)でも同様に、メモリトランジスタF12,F32(F21,F41、F22,F42)が配置された行単位でワード線ROW01(ROW10、ROW11)が設けられている。これによりワード線ROW01(ROW10、ROW11)は、行方向に並ぶメモリトランジスタF12,F32(F21,F41、F22,F42)にそれぞれ所定電圧を一律に印加し得るようになされている。
これに加えて、メモリユニット2aには、複数のメモリトランジスタF11,F12に対し第1制御線DL0のメモリゲート電圧を一律に印加する接続配線として1つの副制御線W11が設けられているとともに、当該副制御線W11が各メモリトランジスタF11,F12の電荷蓄積層と対向配置されて、各メモリトランジスタF11,F12のゲートとしても設けられている。
このように不揮発性半導体記憶装置25でも、第1制御線DL0,DL1のメモリゲート電圧を切替トランジスタ26a,26b,26c,26dからメモリセルM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42に印加する接続配線として各副制御線W11,W12,W21,W22が形成されているとともに、各副制御線W11,W12,W21,W22が、対応するメモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42のゲートとしても配置されていることから、例えば副制御線W11,W12,W21,W22が形成された配線層とは別の領域の配線層に、各メモリトランジスタのゲートをそれぞれ別途形成する場合に比して回路構成を簡易化し得、その分、小型化を図り得る。
なお、このようなメモリユニット2aに設けられた切替トランジスタ26aは、ゲートが第2制御線HS0に接続され、ドレインが第1制御線DL0接続され、ソースが副制御線W11に接続された構成を有する。この第2制御線HS0は、切替トランジスタ26aと同じ行に配置された他の切替トランジスタ26cのゲートにも接続されており、これら複数の切替トランジスタ26a,26cのゲートに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。また、他の行に設けた第2制御線HS1も同様に、同じ行に配置された切替トランジスタ26b,26dのゲートに接続されており、これら切替トランジスタ26b,26dのゲートに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。
一方、切替トランジスタ26aのドレインに接続された第1制御線DL0は、当該切替トランジスタ26aと同じ列に配置された他の切替トランジスタ26bのドレインにも接続されており、これら切替トランジスタ26a,26bのドレインに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。また、他の列に配置された第1制御線DL1も同様に、同じ列に配置された切替トランジスタ26c,26dのドレインに接続されており、これら切替トランジスタ26c,26dのドレインに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。
因みに、不揮発性半導体記憶装置25は、メモリウェルMPW0,MPW1,MPW2と切替機構形成ウェルPW0とを取り囲むウェルNWに、ウェル配線NWL1が接続されており、当該ウェル配線NWL1からウェルNWに所定電圧を一律に印加し得るようになされている。なお、不揮発性半導体記憶装置25は、図4に示すように、これらメモリウェルMPW0,MPW1,MPW2と、切替機構形成ウェルPW0とが、N型のディープウェルDNW上に形成されており、ディープウェルDNWおよびウェルNWによって、メモリウェルMPW0,MPW1,MPW2と切替機構形成ウェルPW0とが電気的に分離されている。次に、以上の構成を有した不揮発性半導体記憶装置25について、データの書き込み動作、データの読み出し動作、およびデータの消去動作について順に説明する。
(2−1)データの書き込み動作
図3は、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセル(書き込みメモリセル)M11にデータを書き込み、当該メモリユニット2a内にある他のメモリセル(非書き込みメモリセル)M12と、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセル(非書き込みメモリセル)M21,M22,M31,M32,M41,M42とにデータを書き込まないときの各部位の電圧を示している。
この場合、書き込みメモリセルM11が配置された一の第1制御線DL0には、4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加され、非書き込みメモリセルM31,M32,M41,M42だけが配置された他の第1制御線DL1には、0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加され得る。
また、電荷蓄積メモリゲート電圧が印加される第1制御線DL0に接続された切替トランジスタ26a,26bのうち、書き込みメモリセルM11に接続された切替トランジスタ26aには、第2制御線HS0からゲートに、切替ゲート電圧として4+Vth(Vthは、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dの閾値電圧を示す)[V]のオン電圧が印加され、さらに、切替機構形成ウェル配線PWL0から切替機構形成ウェルPW0に0[V]が印加され得る。これにより切替トランジスタ26aは、オン動作し、第1制御線DL0と副制御線W11とを電気的に接続させ、第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧を副制御線W11に印加し得る。
かくして、書き込みメモリセルM11では、第1制御線DL0から切替トランジスタ26aを介して副制御線W11に印加された電荷蓄積メモリゲート電圧が、メモリトランジスタF11のゲートに印加され得る。なお、この際、書き込みメモリセルM11には、切替トランジスタ26aのゲートに印加される切替ゲート電圧よりも、Vth[V]分下がった4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が、メモリトランジスタF11のゲートに印加され得る。このように切替ゲート電圧を4+Vth[V]としたのは、切替トランジスタ26aの出力がゲートに印加する切替ゲート電圧に対し、トランジスタの閾値電圧Vth分だけ低下するためで、切替トランジスタ26aからの出力を4[V]にするためには切替ゲート電圧を4+Vth[V]以上とする必要があるためである。このため、本実施例のデータ書き込み動作においては、切替トランジスタ26aのゲートに印加される切替ゲート電圧を、電荷蓄積メモリゲート電圧よりも高い電圧に選定している。このような問題点を解決する手法については、後述する「(3)第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置」および「(4)第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置」にて説明する。
一方、書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11のソースに接続されたワード線(以下、選択ワード線とも呼ぶ)ROW00には、−3[V]が印加されるとともに、当該書き込みメモリセルM11が設けられたメモリウェルMPW0にも、メモリウェル配線MPWL0を介して−3[V]が印加されている。これにより、書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11では、メモリウェルMPW0およびソースに印加された電圧(−3[V])と、ゲートに印加された電荷蓄積メモリゲート電圧(4[V])との電圧差(7[V])により、トンネル効果が発生してソース側から電荷蓄積層に電荷が注入され、データが書き込まれた状態となり得る。
なお、メモリウェルMPW0,MPW1および切替機構形成ウェルPW0を取り囲むウェルNWには、第2制御線HS0と同じ4[V]の電圧が印加されているが、当該ウェルNWが内包するメモリウェルMPW0,MPW1、切替機構形成ウェルPW0同士や、または、これらメモリウェルMPW0,MPW1、切替機構形成ウェルPW0と、ディープウェルDNW下層の半導体基板(図示せず)とが電気的に分離されていればよく、その範囲で任意の電圧を印加しても良い。
ここで、−3[V]が印加されるメモリウェル配線MPWL0は、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aの各スイッチトランジスタST11,ST12のコレクタにも接続されていることから、これら複数のスイッチトランジスタST11,ST12のコレクタに−3[V]が一律に印加され得る。書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aでは、メモリトランジスタF11がオン動作し、選択ワード線ROW00の−3[V]がメモリトランジスタF11のドレインに伝わる。これによりスイッチトランジスタST11のベースが−3[V」となり、ビット線CL0はビルトイン電圧分上昇して−2.3[V]となり得る。
なお、この際、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2a内に配置された非書き込みメモリセルM12には、非選択ワード線ROW01を介してメモリトランジスタF12のソースに0[V]が印加され得る。これにより、書き込みメモリセルM11と同じメモリユニット2a内にある非書き込みメモリセルM12では、第1制御線DL0から切替トランジスタ26aおよび副制御線W11を介してメモリトランジスタF12のゲートに4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されるものの、メモリトランジスタF12のソースが0[V]であることから電圧差が小さくなり、電荷蓄積層に電荷が注入され難くなっているため、データが書き込まれない状態を維持し得る。またこのとき、非書き込みメモリセルM12のスイッチトランジスタST12のベース電位はメモリトランジスタF12がオンすることで、ワード線RPW01と同電位となり0[V]となる。このためスイッチトランジスタST12はオフ動作となる。
因みに、図5に示すように、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aでは、仮に全てのスイッチトランジスタST11,ST12がオン動作していると、非書き込みメモリセルM12に接続された非選択ワード線ROW01から、非書き込みメモリセルM12のメモリトランジスタF12、およびオン動作したスイッチトランジスタST12を介してビット線CL0までが電気的に接続されてしまう。さらに、このビット線CL0は、書き込みメモリセルM11のオン動作したスイッチトランジスタST11からメモリトランジスタF11を介して、書き込みメモリセルM11に接続された選択ワード線ROW00と電気的に接続されてしまう。
その結果、書き込みメモリセルM11では、0[V]が印加された非選択ワード線ROW01とメモリトランジスタF11のドレインが電気的に接続してしまうことから、当該メモリトランジスタF11にてトンネル効果が発生可能な電圧差が得られず、電荷蓄積層に電荷を注入し得ないという不具合が生じる。よって、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aでは、少なくとも非書き込みメモリセルM12のスイッチトランジスタST12をオフ動作させる必要がある。
次に、図3に示すように、電荷蓄積メモリゲート電圧が印加される第1制御線DL0に設けられ、かつデータを書き込まないメモリセル(非書き込みメモリセル)M21,M22だけが配置された他のメモリユニット2bについて説明する。この場合、メモリユニット2bでは、切替トランジスタ26bのゲートに接続された第2制御線HS1に0[V]のオフ電圧が印加され得る。これによりメモリユニット2bでは、切替トランジスタ26bがオフ動作し、第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧が切替トランジスタ26bにて遮断され、副制御線W12に電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されない。この場合、副制御線W12の電圧は不定となるが、データの書き込み動作を開始する前に、予め副制御線W11,W12,W21,W22の各電位が、いずれも電荷蓄積阻止メモリゲート電圧である0[V]に選定されているものとする。
この際、非書き込みメモリセルM21,M22には、ワード線ROW10,ROW11を介して各メモリトランジスタF21,F22のソースにも0[V]が印加され得る。また、この際、非書き込みメモリセルM21,M22,M41,M42だけが配置されたメモリウェルMPW1には、メモリウェル配線MPWL1によって0[V]が印加されている。これにより、非書き込みメモリセルM21,M22では、各メモリトランジスタF21,F22にてゲートおよびメモリウェルMPW1間と、ゲートおよびソース間の電圧差が0[V]となり、各メモリトランジスタF21,F22の電荷蓄積層に電荷が注入されることなく、データが書き込まれない状態を維持し得る。なお、この場合も、スイッチトランジスタST21,ST22は、上述の動作からエミッタに接続されたビット線CL0が−2.3[V]となるのに対し、ベース電圧は、ワード線ROW10,ROW11の0[V]に対しメモリトランジスタF21,F22の閾値電圧を差し引いた程度の負の値しか取り得ないためエミッタとベース間で電流を流し得ず、オフ動作されている。
ここで、上述したように、書き込みメモリセルM11が配置されたメモリユニット2aでは、非書き込みメモリセルM12のメモリトランジスタF12にも選択副制御線W11を介して第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されてしまうことから、非書き込みメモリセルM12のメモリトランジスタF12でも僅かに電圧差が生じ得る。そのため、書き込みメモリセルM11が配置されたメモリユニット2a内の非書き込みメモリセルM12では、選択副制御線W11を共有する一の書き込みメモリセルM11にてデータの書き込み動作が繰り返し行われ、電荷蓄積メモリゲート電圧が繰り返し印加されると、ディスターブが発生してしまう虞がある。
しかしながら、非書き込みメモリセルM21,M22だけが配置されたメモリユニット2bでは、電荷蓄積メモリゲート電圧が印加された第1制御線DL0に設けられているものの、切替トランジスタ26bによって第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧が遮断されることから、副制御線W12に電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されず、各メモリトランジスタF21,F22での電圧差を格段的に小さくでき、かくして、ディスターブの発生を抑制し得る。
このように、本発明の不揮発性半導体記憶装置25では、複数のメモリセルM11,M12,M21,M22が従来と同様に一方向に配置された構成を有していても、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと第1制御線DL0を共有する他のメモリユニット2bのメモリセルM21,M22でのディスターブの発生については抑制し得ることから、その分、従来よりもディスターブの発生を抑制し得る。
次に、書き込みメモリセルM11とワード線ROW00を共有する非書き込みメモリセルM31が配置された1行2列目のメモリユニット2cについて以下説明する。この場合、1行2列目のメモリユニット2cに配置された切替トランジスタ26cには、書き込みメモリセルM11に接続された切替トランジスタ26aと共有する第2制御線HS0からゲートに4+Vth[V]のオン電圧が印加され得る。
また、この際、非書き込みメモリセルM31,M32だけを有したメモリユニット2cに配置された切替トランジスタ26cには、第1制御線DL1からドレインに0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加されるとともに、切替機構形成ウェル配線PWL0から切替機構形成ウェルPW0に0[V]が印加され得る。これにより切替トランジスタ26cは、オン動作し、第1制御線DL1と副制御線W21とを電気的に接続させ、第1制御線DL1の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧を副制御線W21に印加し得る。
これにより、書き込みメモリセルM11とワード線ROW00を共有する非書き込みメモリセルM31のメモリトランジスタF31では、当該ワード線ROW00からソースに−3[V]が印加され、かつメモリウェルMPW0にも−3[V]が印加されるものの、副制御線W21からゲートに0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加されることから、電圧差が小さくなり、電荷蓄積層に電荷が注入されず、データが書き込まれない状態を維持し得る。
なお、このメモリユニット2cに配置された他の非書き込みメモリセルM32では、ワード線ROW01からメモリトランジスタF32のソースに0[V]が印加され、第1制御線DL1の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧がメモリトランジスタF32のゲートに印加され得る。これにより、この非書き込みメモリセルM32のメモリトランジスタF32では、メモリウェルMPW0に−3[V]が印加されるものの、ソースおよびゲートに0[V]が印加されていることから電圧差が小さくなり、電荷蓄積層に電荷が注入されず、データが書き込まれない状態が維持され得る。
なお、電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加される第1制御線DL1に配置され、かつ、ワード線ROW10,ROW11からメモリトランジスタF41,F42のソースに0[V]が印加される2行2列目のメモリユニット2dでは、第2制御線HS1を介して切替トランジスタ26dのゲートに0[V]のオフ電圧が印加され、当該切替トランジスタ26dがオフ動作される。この際、メモリユニット2dでは、メモリウェルMPW1にも0[V]が印加されていることから、メモリトランジスタF41,F42での電圧差が0[V]となり電荷蓄積層に電荷が注入されず、データが書き込まれない状態を維持し得る。
かくして、不揮発性半導体記憶装置25では、1行1列目のメモリユニット2a内にある他のメモリセルM12や、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42にデータを書き込まず、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセルM11にだけデータを書き込み得る。
(2−2)データの読み出し動作
ここで、図3との対応部分に同一符号を付して示す図6は、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセルM11のデータを読み出し、当該メモリユニット2a内の2列目にある他のメモリセルM12と、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42のデータを読み出さないときの各部位の電圧を示している。
この場合、不揮発性半導体記憶装置25では、第1制御線DL0,DL1とメモリウェル配線MPWL0,MPWL1とにそれぞれ0[V]の電圧が印加され得る。また、データを読み出すメモリセル(以下、読み出しメモリセルとも呼ぶ)M11には、メモリトランジスタF11のソースに接続されたワード線ROW00に0[V]が印加される。そして、読み出しメモリセルM11のスイッチトランジスタST11のエミッタに接続されたビット線CL0は、データを読み出す前の動作として1.3[V]にプリチャージされる。
また、この際、各第2制御線HS0,HS1には、1.3[V]のオン電圧が印加され、切替機構形成ウェルPW0には切替機構形成ウェル配線PWL0より0[V]が印加され得る。これにより、各切替トランジスタ26a,26b,26c,26dは、それぞれオン動作し、第1制御線DL0,DL1の0[V]の電圧を、対応する副制御線W11,W12,W21,W22にそれぞれ印加し得るようになされている。かくして、読み出しメモリセルM11では、ソースおよびメモリウェルMPW0にそれぞれ0[V]が印加されているメモリトランジスタF11のゲートに0[V]が印加され得る。
この際、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11に、データが書き込まれている場合には、電荷蓄積層に電荷(電子)が蓄積していることから、メモリトランジスタF11のソースおよびドレイン間に電流が流れず、ビット線CL0に印加されたプリチャージ電圧(1.3[V])は変動せずにそのまま維持され得る。
一方、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11に、データが書き込まれていない場合には、電荷蓄積層に電荷(電子)が蓄積していないことから、メモリトランジスタF11のソースおよびドレイン間に電流が流れ、ビット線CL0がスイッチトランジスタST11およびメモリトランジスタF11を介して0[V]のワード線ROW00と電気的に接続する。これにより、スイッチトランジスタST11のバイポーラ動作によりビット線CL0に印加されたプリチャージ電圧は、コレクタ電圧である0[V]に向けてディスチャージされ得る。
かくして、不揮発性半導体記憶装置25では、ビット線CL0のプリチャージ電圧の変動の有無をセンスすることにより、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11にデータが書き込まれているか否かを判断し得るようになされている。
因みに、読み出しメモリセルM11と同じ列にあり、データを読み出さないメモリセル(以下、非読み出しメモリセルとも呼ぶ)M12,M21,M22には、ワード線ROW01,ROW10,ROW11を介してそれぞれメモリトランジスタF12,F21,F22のソースに1.3[V]が印加され得る。これにより、非読み出しメモリセルM12,M21,M22では、仮にビット線CL0がメモリトランジスタF12,F21,F22を介してワード線ROW01,ROW10,ROW11に接続されても、当該ワード線ROW01,ROW10,ROW11の電圧値がビット線CL0の電圧値と同じであるため、当該ビット線CL0の電圧値は変動しない。よって、プリチャージ電圧が印加されるビット線CL0では、他の非読み出しメモリセルM12,M21,M22でのデータの書き込み状態がプリチャージ電圧に影響を与えず、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11にデータが書き込まれているか否かを、当該プリチャージ電圧の変動により判断し得る。なお、非読み出しメモリセルM31,M32,M41,M42だけが配置されたビット線CL1には、プリチャージ電圧が印加されることなく、各非読み出しメモリセルM31,M32,M41,M42のデータの書き込み状態の有無が判断されない。
(2−3)データの消去動作
ここで、図3との対応部分に同一符号を付して示す図7は、一のメモリウェルMPW0に形成された全てのメモリセルM11,M12,M31,M32についてデータを一括消去し、残りの他のメモリウェルMPW1に形成されたメモリセルM21,M22,M41,M42のデータについてはそのまま維持させるときの各部位の電圧を示している。この場合、データを消去するメモリセル(以下、消去メモリセルとも呼ぶ)M11,M12,M31,M32を含むメモリユニット2a,2cには、第1制御線DL0,DL1から各切替トランジスタ26a,26cのソースに−3[V]の消去電圧が印加され得る。
また、消去メモリセルM11,M12,M31,M32が接続された切替トランジスタ26a,26cには、共有する第2制御線HS0からゲートに0[V]の電圧が一律に印加され、また、ウェル配線PWL0を介して切替機構形成ウェルPW0に、消去電圧と同じ−3[V]の電圧が印加され得る。これにより切替トランジスタ26a,26cは、オン動作し、第1制御線DL0,DL1の消去電圧が、対応する副制御線W11,W21に印加され、当該副制御線W11,W21によって各メモリトランジスタF11,F12,F31,F32のゲートに消去電圧を印加し得る。
この際、消去メモリセルM11,M12,M31,M32に配置された各ワード線ROW00,ROW01には、4[V]の電圧が印加されるとともに、これら消去メモリセルM11,M12,M31,M32が形成されたメモリウェルMPW0にも、メモリウェル配線MPWL0を介して同じく4[V]の電圧が印加される。これにより、消去メモリセルM11,M12,M31,M32に配置された各メモリトランジスタF11,F12,F31,F32では、第1制御線DL0,DL1の−3[V]の消去電圧が切替トランジスタ26a,26cを介して副制御線W11,W21からゲートに印加され、かつ、ソースおよびメモリウェルMPW0に4[V]の電圧が印加されることにより、大きな電圧差が生じ、トンネル効果によって電荷蓄積層内から電荷が引き抜かれて、データが消去された状態となり得る。
一方、データを消去しないメモリセル(以下、非消去メモリセルとも呼ぶ)M21,M22,M41,M42に配置された切替トランジスタ26b,26dには、共有する第2制御線HS1からゲートに−3[V]のオフ電圧が印加され得る。これにより切替トランジスタ26b,26dは、第1制御線DL0,DL1からソースに−3[V]の消去電圧が印加されるものの、ゲートに印加されるオフ電圧によってオフ動作し、第1制御線DL0,DL1から対応する副制御線W12,W22への消去電圧の印加を遮断し得る。
また、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、ワード線ROW10,ROW11を介して各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42のソースに0[V]の電圧が印加されるとともに、メモリウェル配線MPWL1を介してメモリウェルMPW1にも0[V]の電圧が印加され得る。これにより、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42の各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42では、ゲートおよびソース間の電圧差や、ゲートおよびメモリウェルMPW1間の電圧差が小さくなり、電荷蓄積層内の電荷の蓄積状態が維持され、データを消去せずにそのままの状態を維持し得る。
ここで、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、切替トランジスタ26b,26dがオフ動作し、当該切替トランジスタ26b,26dによって第1制御線DL0,DL1から対応する副制御線W12,W22への消去電圧の印加が遮断されていることから、当該副制御線W12,W22から各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42のゲートへ消去電圧が印加されることなく、ワード線ROW10,ROW11やメモリウェルMPW1の電圧を合わせることでメモリトランジスタF21,F22,F41,F42にてディスターブの発生を抑制し得る。
(2−4)動作および効果
以上の構成において、不揮発性半導体記憶装置25では、データの書き込み動作時、書き込みメモリセルM11に配置された第1制御線DL0に、電荷蓄積層に電荷を注入可能な電荷蓄積メモリゲート電圧を印加する。この際、不揮発性半導体記憶装置25では、第2制御線HS0からの切替ゲート電圧によって、第1制御線DL0に設けた複数の切替トランジスタ26a,26bのうち、書き込みメモリセルM11が配置された切替トランジスタ26aだけをオン動作させることにより、当該切替トランジスタ26aに接続された副制御線W11にのみ電荷蓄積メモリゲート電圧を印加する。
また、この際、不揮発性半導体記憶装置25では、他の第2制御線HS1からの切替ゲート電圧によって、他の非書き込みメモリセルM21,M22のみが配置された切替トランジスタ26bをオフ動作させることにより、当該切替トランジスタ26bに接続された副制御線W12への電荷蓄積メモリゲート電圧の印加を禁止する。
これにより、不揮発性半導体記憶装置25では、一のメモリユニット2aにてデータの書き込み動作が繰り返し行われても、切替トランジスタ26bによって第1制御線DL0の電荷蓄積メモリゲート電圧が他の副制御線W12に印加されることがないため、当該副制御線W12に設けた非書き込みメモリセルM21,M22にて当該電荷蓄積メモリゲート電圧を考慮せずにディスターブが発生し難い電圧値を調整し得、その分、非書き込みメモリセルM21,M22におけるディスターブの発生を防止し得る。
このように、本発明の不揮発性半導体記憶装置25では、第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22を配置できるとともに、ディスターブの発生をメモリユニット2a,2b単位で抑制でき、その分、従来よりもディスターブの発生確率を低減できる。
また、本発明の不揮発性半導体記憶装置25では、例えば副制御線W11がメモリトランジスタF11,F12と第1制御線DL0とを繋げる接続配線として設けられているだけでなく、副制御線W11が各メモリトランジスタF11,F12の電荷蓄積層に対してそのまま対向配置され、当該メモリトランジスタF11,F12のゲートとしても設けられている。
これにより、不揮発性半導体記憶装置25では、例えば各メモリトランジスタF11,F12および切替トランジスタ26aを繋げる接続配線となる副制御線W11と、当該メモリトランジスタF11,F12の各ゲートとが1つの配線層に形成できることから、各メモリトランジスタF11,F12のゲートと副制御線W11とをそれぞれ別の配線層に形成する場合に比して回路構成を簡易化でき、その分、小型化を図り得る。
また、この不揮発性半導体記憶装置25では、データの読み出し動作時にプリチャージ電圧が印加されるビット線CL0,CL1が、第1制御線DL0,DL1に沿って並ぶ複数のメモリセルM11,M12,M21,M22の各スイッチトランジスタST11,ST12,ST21,ST22に直接接続され、階層化されていない。さらに、不揮発性半導体記憶装置25では、データの読み出し動作において、各切替トランジスタ26a,26b,26c,26dに対して、対応するメモリセル列を選択させるようなアドレス選択性を持たせる必要がなく、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dを全て同じ動作条件で一律にオン動作しており、各切替トランジスタ26a,26b,26c,26dと、対応する副制御線W11,W12,W21,W22との電気的な接続状態が同じ接続状態になっている。
そして、不揮発性半導体記憶装置25では、データの読み出し動作時、各切替トランジスタ26a,26b,26c,26dから、対応する副制御線W11,W12,W21,W22に供給する電圧が0[V]のため、実質的にメモリトランジスタF11等で充放電も行われず、データの読み出し時間に切替トランジスタ26a,26b,26c,26dのスイッチング動作が影響を与えることはない。このように切替トランジスタ26a,26b,26c,26dは、それぞれ対応するメモリセル列を階層化し、データの書き込み動作時におけるディスターブの発生確率を低減できるという特徴を有しながら、その階層構造がデータの読み出し動作に全く影響を与えず、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dが無い場合と同等のデータ読み出し特性を実現し得る。
さらに、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dは、データの読み出し動作において、メモリセル列の選択的なオンオフ動作を行わないため、データの読み出しサイクル毎に読み出すメモリセル列のアドレスを切り替えても、それにともなうオンオフ動作が必要ない。このためデータの読み出しサイクル毎にメモリトランジスタF11等で充放電動作を行わないため、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dの素子性能が読み出し速度に影響を与えることがない。かくして、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dにおける動作に高速性が必要とされず、切替トランジスタ26a,26b,26c,26d自身のサイズおよびその制御回路規模を小さく構成し得る。
さらに、この不揮発性半導体記憶装置25では、切替機構として、メモリセルM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42のメモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42と同じ導電型のMOS構造でなる切替トランジスタ26a,26b,26c,26dが設けられていることから、データの読み出し動作を単一電源で行うことができ、回路構成を簡素化できる。
以上の構成によれば、第1制御線DL0からの電圧をメモリゲート電圧として切替トランジスタ26aを介して副制御線W11に印加しつつ、他の切替トランジスタ26bによって対応する副制御線W12への電圧印加を遮断できることから、第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22を配置させつつも、当該切替トランジスタ26bによってメモリゲート電圧が印加されるメモリセルM21,M22を減らすことができ、その分、ディスターブの発生を抑制し得る。また、第1制御線DL0からメモリゲート電圧が印加される副制御線W11をそのままメモリトランジスタF11,F12のゲートとして流用し、1つの配線層に副制御線W11とゲートとを形成したことで、副制御線W11とゲートとを別の配線層にそれぞれ形成する場合に比して小型化を図り得る。
(3)第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置
図3との対応部分に同一符号を付して示す図8において、31は第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置を示し、上述した第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25とは異なり、第1制御線DL0,DL1に切替ゲート電圧が印加され、第2制御線HS0,HS1にメモリゲート電圧が印加され得る。また、この不揮発性半導体記憶装置31は、第2制御線HS0(HS1)が第1メモリゲート線HS0a(HS1a)および第2メモリゲート線HS0b(HS1b)とから構成されており、これら第1メモリゲート線HS0a(HS1a)および第2メモリゲート線HS0b(HS1b)が行方向に並ぶ切替機構36a,36c(36b,36d)に接続されている。
さらに、切替機構36a,36b,36d,36dは、CMOS(Complementary MOS)構造からなり、全て同一構成を有している。例えば、切替機構36aは、P型MOSトランジスタ37の一端と、N型MOSトランジスタ38の一端とが接続され、これらP型MOSトランジスタ37とN型MOSトランジスタ38とが直列接続された構成を有する。
この場合、行方向に並ぶ切替機構36a,36cは、対でなる第1メモリゲート線HS0aおよび第2メモリゲート線HS0bを共有しており、これら第1メモリゲート線HS0aおよび第2メモリゲート線HS0bによって所定電圧が一律に印加され得る。また、行方向に並ぶ他の切替機構36b,36dでも、対でなる他の第1メモリゲート線HS1aおよび第2メモリゲート線HS1bを共有しており、これら第1メモリゲート線HS1aおよび第2メモリゲート線HS1bによって所定電圧が一律に印加され得る。
一方、列方向に並ぶ切替機構36a,36bでは、第1制御線DL0を共有しており、当該第1制御線DL0によって所定電圧が一律に印加され得る。また、列方向に並ぶ他の切替機構36c,36dでも、他の第1制御線DL1を共有しており、当該第1制御線DL1によって所定電圧が一律に印加され得る。
この場合、切替機構36aは、P型MOSトランジスタ37の他端が第1メモリゲート線HS0aに接続されているとともに、N型MOSトランジスタ38の他端が第2メモリゲート線HS0bに接続されている。また、切替機構36aは、P型MOSトランジスタ37のゲートと、N型MOSトランジスタ38のゲートとが第1制御線DL0に接続されており、第1制御線DL0から、これらP型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38の各ゲートに所定電圧が一律に印加され得る。
かかる構成に加えて、切替機構36aには、P型MOSトランジスタ37の一端と、N型MOSトランジスタ38の一端とに副制御線W11が接続されており、P型MOSトランジスタ37またはN型MOSトランジスタ38のいずれか一方がオン動作することで、第1メモリゲート線HS0aまたは第2メモリゲート線HS0bのいずれかのメモリゲート電圧を副制御線W11に印加し得る。
ここで、切替機構36a,36b,36c,36dに設けた各P型MOSトランジスタ37は、P型のメモリウェルMPW0と、P型の切替機構形成ウェルPW0とを分離しているN型のウェルNWに形成されており、P型MOSトランジスタ37のあるウェルNWにウェル配線NWLを介して所定電圧が印加され得る。一方、切替機構36a,36b,36c,36dに設けたN型MOSトランジスタ38は、切替機構形成ウェルPW0に形成されている。この場合、切替機構形成ウェルPW0には、行列状に隣り合う4つの切替機構36a,36b,36c,36dの各N型MOSトランジスタ38が形成され、周辺のウェルNWに、当該N型MOSトランジスタ38と隣接するようにして、各切替機構36a,36b,36c,36dの対応するP型MOSトランジスタ37が形成されている。そして、これら複数のN型MOSトランジスタ38が形成されている切替機構形成ウェルPW0には、切替機構形成ウェル配線PWL0によって所定電圧が一律に印加され得る。
これに加えて、この不揮発性半導体記憶装置31でも、上述した第1の実施の形態と同様に、各副制御線W11,W12,W21,W22が、メモリセルM11,M12,M21,M22,M31,M32,M41,M42に第2制御線HS0,HS1のメモリゲート電圧を印加する接続配線として形成されているとともに、各副制御線W11,W12,W21,W22が対応するメモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42の電荷蓄積層にそのまま対向配置され、各メモリトランジスタF11,F12,F21,F2,F31,F32,F41,F42のゲートとしても設けられている。これにより不揮発性半導体記憶装置31でも、例えば各メモリトランジスタF11,F12と切替機構36aとを繋ぐ接続配線となる副制御線W11と、各メモリトランジスタF11,F12のゲートとを別の領域の配線層にそれぞれ別途形成する場合に比して回路構成を簡易化し得、その分、小型化を図り得る。
なお、図4との対応部分に同一符号を付して示す図9のように、この不揮発性半導体記憶装置31でも、これらメモリウェルMPW0,MPW1,MPW2と、切替機構形成ウェルPW0とが、N型のディープウェルDNW上に形成されており、ディープウェルDNWおよびウェルNWによって、メモリウェルMPW0,MPW1,MPW2と切替機構形成ウェルPW0とが電気的に分離されている。次に、このような構成を有する不揮発性半導体記憶装置31について、データの書き込み動作、データの読み出し動作、およびデータの消去動作について順に説明する。
(3−1)データの書き込み動作
図8は、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセルM11にデータを書き込み、当該メモリユニット2a内にある他のメモリセルM12と、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42とにデータを書き込まないときの各部位の電圧を示している。この場合、書き込みメモリセルM11が配置された第2制御線HS0には、第1メモリゲート線HS0aに4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加され、第2メモリゲート線HS0bに0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加され得る。
また、書き込みメモリセルM11が配置された切替機構36aには、第1制御線DL0を介して切替ゲート電圧として0[V]のP型MOSトランジスタ37のオン電圧が印加され、P型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38の各ゲートに当該オン電圧が印加され得る。これにより、切替機構36aでは、第1メモリゲート線HS0aおよび第1制御線DL0の電圧差によりP型MOSトランジスタ37がオン動作するとともに、第2メモリゲート線HS0bおよび第1制御線DL0の電圧差によりN型MOSトランジスタ38がオフ動作し得る。
その結果、切替機構36aは、第1メモリゲート線HS0aに印加されている4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧を、当該P型MOSトランジスタ37を介して対応する副制御線W11に印加し得る。なお、この際、切替機構36aのN型MOSトランジスタ38は、オフ動作していることから、第2メモリゲート線HS0bから副制御線W11への電圧印加を遮断し得る。
書き込みメモリセルM11では、第2制御線HS0の第1メモリゲート線HS0aから切替機構36aを介して副制御線W11に印加された電荷蓄積メモリゲート電圧が、メモリトランジスタF11のゲートに印加され得る。この場合、第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31では、第1メモリゲート線HS0aにおける4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が切替機構36aを通過するとき、電圧値が低減することなく、4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧のまま副制御線W11に印加し得る。
上述した図3に示した第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25では、切替トランジスタ26aで低減するVth[V]分だけ切替ゲート電圧を上昇させる必要があったが、この第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31では、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25とは異なり、データの書き込み動作時に第1制御線DL0から切替機構26aに印加する切替ゲート電圧を、第2制御線HS0の電荷蓄積メモリゲート電圧以上の電圧値に選定する必要がない。
この際、書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11のソースに接続されたワード線(選択ワード線)ROW00には、−3[V]が印加されており、また、当該書き込みメモリセルM11が設けられたメモリウェルMPW0にも、メモリウェル配線MPWL0を介して−3[V]が印加されている。これにより、書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11では、メモリウェルMPW0およびソースに印加された電圧(−3[V])と、ゲートに印加された電荷蓄積メモリゲート電圧(4[V])との電圧差(7[V])により、トンネル効果が発生してソース側から電荷蓄積層に電荷が注入され、データが書き込まれた状態となり得る。
なお、メモリウェルMPW0,MPW1および切替機構形成ウェルPW0を取り囲み、かつ切替機構36a,36b,36c,36dの各P型MOSトランジスタ37が形成されたウェルNWには、第2メモリゲート線HS0aの電荷蓄積メモリゲート電圧に合わせて4[V]の電圧が印加され得る。
ここで、−3[V]が印加されるメモリウェル配線MPWL0は、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aの各スイッチトランジスタST11,ST12のコレクタにも接続されていることから、これら複数のスイッチトランジスタST11,ST12のコレクタにも−3[V]が一律に印加され得る。書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aでは、メモリトランジスタF11がオン動作し、選択ワード線ROW00の−3[V]がドレインに伝わる。これによりスイッチトランジスタST11のベースが−3[V]となり、ビット線CL0はビルトイン電圧分上昇して−2.3[V]となり得る。
なお、この際、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aにおいて、データを書き込まない他のメモリセル(非書き込みメモリセル)M12では、メモリトランジスタF12のソースに接続された非選択ワード線ROW01に0[V]が印加されている。これにより、書き込みメモリセルM11と同じメモリユニット2a内にある他の非書き込みメモリセルM12では、第1メモリゲート線HS0aから切替機構36aおよび副制御線W11を介してメモリトランジスタF12のゲートに4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されるものの、メモリトランジスタF12のソースが0[V]であることから電圧差が小さくなり、電荷蓄積層に電荷が注入され難くなるため、データが書き込まれない状態を維持し得る。
次に、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと第1制御線DL0を共有するメモリユニット2bについて以下説明する。この場合、メモリユニット2bには、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと共有している第1制御線DL0から切替機構36bに0[V]のPMOSのオン電圧が印加され得る。この際、データを書き込まない非書き込みメモリセルM21,M22,M41,M42だけが配置された他の第2制御線HS1には、第1メモリゲート線HS1aおよび第2メモリゲート線HS1bにそれぞれ0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加され得る。この場合、副制御線W12の電圧は不定となるが、データの書き込み動作を開始する前に、予め副制御線W11,W12,W21,W22の各電位が、いずれも電荷蓄積阻止メモリゲート電圧である0[V]に選定されているものとする。
これにより、この第2制御線HS1に接続された切替機構36bでは、P型MOSトランジスタ37のゲートに第1制御線DL0を介して0[V]のオン電圧が印加されるものの、当該P型MOSトランジスタ37の他端に第1メモリゲート線HS1aを介して0[V]が印加されることから、当該P型MOSトランジスタ37がオフ動作し得る。また、この際、切替機構36bのN型MOSトランジスタ38も、第1制御線DL0からゲートに0[V]のNMOSのオフ電圧が印加されるとともに、第2メモリゲート線HS1bから他端に0[V]が印加されることからオフ動作し得る。これにより切替機構36bに接続された副制御線W12では、当該切替機構36bからの電圧印加が遮断され得る。
さらに、非書き込みメモリセルM21,M22には、ワード線ROW10,ROW11を介して各メモリトランジスタF21,F22のソースに0[V]が印加され、非書き込みメモリセルM21,M22,M41,M42だけが配置された他のメモリウェルMPW1にも、メモリウェル配線MPWL1によって0[V]が印加される。これにより、非書き込みメモリセルM21,M22では、各メモリトランジスタF21,F22にてゲートおよびメモリウェルMPW1間と、ゲートおよびソース間の電圧差が0[V]となり、各メモリトランジスタF21,F22の電荷蓄積層に電荷が注入されることなく、データが書き込まれない状態を維持し得る。なお、この場合も、上述と同様に、スイッチトランジスタST21,ST22は、上述の動作からエミッタに接続されたビット線CL0が−2.3[V]となるのに対し、ベース電圧は、ワード線ROW10,ROW11の0[V]に対しメモリトランジスタF21,F22の閾値電圧を差し引いた程度の負の値しか取り得ないためエミッタとベース間で電流を流し得ず、オフ動作されている。
ここで、上述したように、書き込みメモリセルM11が配置されたメモリユニット2a内では、他の非書き込みメモリセルM12のメモリトランジスタF12にも切替機構36aを介して第2制御線HS0(第1メモリゲート線HS0a)の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されてしまうことから、非書き込みメモリセルM12のメモリトランジスタF12でも僅かに電圧差が生じ得る。そのため、書き込みメモリセルM11が配置されたメモリユニット2a内の非書き込みメモリセルM12では、副制御線W11を共有する一の書き込みメモリセルM11にてデータの書き込み動作が繰り返し行われ、電荷蓄積メモリゲート電圧が副制御線W11に繰り返し印加されると、ディスターブが発生してしまう虞がある。
しかしながら、非書き込みメモリセルM21,M22だけが配置されたメモリユニット2bでは、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと同じ第1制御線DL0に沿って配置されているものの、書き込みメモリセルM11に印加される電荷蓄積メモリゲート電圧が各非書き込みメモリセルM21,M22に印加されることがないため、各メモリトランジスタF21,F22での電圧差を格段的に小さくでき、かくして、ディスターブの発生を抑制し得る。
このように、本発明の不揮発性半導体記憶装置31では、複数のメモリセルM11,M12,M21,M22が従来と同様に一方向に配置された構成を有していても、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと第1制御線DL0を共有する他のメモリユニット2bのメモリセルM21,M22でのディスターブの発生については抑制し得ることから、その分、従来よりもディスターブの発生を抑制し得る。
次に、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと第2制御線HS0を共有する、非書き込みメモリセルM31,M32のみが配置された1行2列目のメモリユニット2cについて以下説明する。この場合、不揮発性半導体記憶装置31では、書き込みメモリセルM11が配置された切替機構36aと、非書き込みメモリセルM31,M32のみが配置された切替機構36cとで第2制御線HS0を共有していることから、第1メモリゲート線HS0aから切替機構36cのP型MOSトランジスタ37の他端に4[V]の電圧が印加され、第2メモリゲート線HS0bから切替機構36cのN型MOSトランジスタ38の他端に0[V]の電圧が印加され得る。
また、この際、非書き込みメモリセルM31,M32,M41,M42だけが配置された他の第1制御線DL1には、切替ゲート電圧として4[V]の電圧が印加され得る。これにより、電荷蓄積メモリゲート電圧が印加される第2制御線HS0を共有する他の列の切替機構36cでは、P型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38の各ゲートに第1制御線DL1から4[V]の電圧が印加され得る。
その結果、切替機構36cのP型MOSトランジスタ37は、第1メモリゲート線HS0aと第1制御線DL1との電圧差によりオフ動作し、当該第1メモリゲート線HS0aから副制御線W21への電荷蓄積メモリゲート電圧の印加を遮断し得る。一方、切替機構36cにおいてP型MOSトランジスタ37と対をなすN型MOSトランジスタ38は、第2メモリゲート線HS0bと第1制御線DL1との電圧差によりオン動作し、第2メモリゲート線HS0bの電荷蓄積阻止メモリゲート電圧を、副制御線W21に印加し得る。
これにより、書き込みメモリセルM11とワード線ROW00を共有する非書き込みメモリセルM31では、メモリトランジスタF31のソースに当該ワード線ROW00から−3[V]が印加され、メモリウェルMPW0にも−3[V]が印加されるものの、副制御線W21からゲートに0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加されることから、電圧差が小さくなり、電荷蓄積層に電荷が注入されず、データが書き込まれない状態を維持し得る。
なお、このメモリユニット2cに配置された他の非書き込みメモリセルM32では、ワード線ROW01を介してメモリトランジスタF32のソースに0[V]が印加され、副制御線W21からメモリトランジスタF32のゲートに電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加され得る。これにより、この非書き込みメモリセルM32のメモリトランジスタF32では、メモリウェルMPW0にも−3[V]が印加されるものの、ソースおよびゲートに0[V]が印加されていることから電圧差が小さくなり、電荷蓄積層に電荷が注入されず、データが書き込まれない状態が維持され得る。
なお、2行2列目のメモリユニット2dでは、切替機構36dのP型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38の各ゲートに切替ゲート電圧として4[V]の電圧が第1制御線DL1を介して印加され得る。また、切替機構36dには、P型MOSトランジスタ37の他端に第1メモリゲート線HS1aを介して0[V]が印加されるとともに、N型MOSトランジスタ38の他端に第2メモリゲート線HS1bを介して0[V]が印加され得る。
これにより切替機構36dは、第1制御線DL1および第1メモリゲート線HS1aの電圧差によりP型MOSトランジスタ37がオフ動作して第1メモリゲート線HS1aの副制御線W22への電圧印加を遮断し得る。一方、切替機構36dのN型MOSトランジスタ38は、第1制御線DL1および第2メモリゲート線HS1bの電圧差によりオン動作し、第2メモリゲート線HS1bと副制御線W22とを電気的に接続させ、当該副制御線W22を0[V]とし得る。また、この際、メモリユニット2dでは、ワード線ROW10,ROW11の0[V]の電圧が各メモリトランジスタF41,F42のソースに印加され、メモリウェルMPW1にも0[V]が印加されている。
これにより、メモリユニット2dに配置された各メモリトランジスタF41,F42では、メモリウェルMPW1およびゲート間や、ソースおよびゲート間で電圧差が生じることがないため、電荷蓄積層に電荷が注入されず、データが書き込まれない状態を維持し得る。
かくして、不揮発性半導体記憶装置31では、1行1列目のメモリユニット2a内にある他のメモリセルM12と、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42とにデータを書き込まず、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセルM11にだけデータを書き込み得る。
(3−2)データの読み出し動作
図8との対応部分に同一符号を付して示す図10は、不揮発性半導体記憶装置31において、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセルM11のデータを読み出し、当該メモリユニット2a内の他のメモリセルM12と、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42のデータを読み出さないときの各部位の電圧を示している。
この場合、不揮発性半導体記憶装置31では、第1制御線DL0,DL1にそれぞれ1.3[V]の電圧が印加されるとともに、全てのメモリウェル配線MPWL0,MPWL1,MPWL2およびウェル配線PWL0とにそれぞれ0[V]の電圧が印加され得る。また、データを読み出すメモリセル(読み出しメモリセル)M11には、メモリトランジスタF11のソースに接続されたワード線ROW00に0[V]が印加される。そして、読み出しメモリセルM11のスイッチトランジスタST11のエミッタに接続されたビット線CL0は、データを読み出す前の動作として1.3[V]にプリチャージされる。
また、この際、第2制御線HS0(HS1)には、第1メモリゲート線HS0a(HS1a)に1.3[V]の電圧が印加されるとともに、第2メモリゲート線HS0b(HS1b)に0[V]の電圧が印加され得る。これにより、各切替機構36a,36b,36c,36dは、P型MOSトランジスタ37がオフ動作して第1メモリゲート線HS0a,HS1aから、対応する副制御線W11,W12,W21,W22への1.3[V]の電圧印加を遮断するとともに、N型MOSトランジスタ38をオン動作させて第2メモリゲート線HS0b,HS1bの0[V]を、対応する副制御線W11,W12,W21,W22にそれぞれ印加し得るようになされている。
これにより、読み出しメモリセルM11では、ソースおよびメモリウェルMPW0にそれぞれ0[V]が印加されているメモリトランジスタF11のゲートにも0[V]が印加され得る。この際、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11に、データが書き込まれている場合には、電荷蓄積層に電荷(電子)が蓄積していることから、メモリトランジスタF11のソースおよびドレイン間に電流が流れず、ビット線CL0に印加されたプリチャージ電圧(1.3[V])は変動せずにそのまま維持され得る。
一方、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11に、データが書き込まれていない場合には、電荷蓄積層に電荷(電子)が蓄積していないことから、メモリトランジスタF11のソースおよびドレイン間に電流が流れ、ビット線CL0がスイッチトランジスタST11およびメモリトランジスタF11を介して0[V]のワード線ROW00と電気的に接続する。これにより、スイッチトランジスタST11のバイポーラ動作によりビット線CL0に印加されたプリチャージ電圧は、コレクタ電圧である0[V]に向けてディスチャージされ得る。
かくして、不揮発性半導体記憶装置31でも、ビット線CL0のプリチャージ電圧の変動の有無をセンスすることにより、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11にデータが書き込まれているか否かを判断し得る。
因みに、読み出しメモリセルM11と同じ列にあり、データを読み出さないメモリセル(非読み出しメモリセル)M12,M21,M22には、ワード線ROW01,ROW10,ROW11を介してそれぞれメモリトランジスタF12,F21,F22のソースに1.3[V]が印加され得る。これにより、非読み出しメモリセルM12,M21,M22では、仮にビット線CL0がメモリトランジスタF12,F21,F22を介してワード線ROW01,ROW10,ROW11に接続されても、当該ワード線ROW01,ROW10,ROW11の電圧値がビット線CL0の電圧値と同じであるため、バイポーラ型の各スイッチトランジスタST12,ST21.ST22はオフ動作となり当該ビット線CL0の電圧値は変動しない。よって、プリチャージ電圧が印加されるビット線CL0では、他の非読み出しメモリセルM12,M21,M22でのデータの書き込み状態がプリチャージ電圧に影響を与えず、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11にデータが書き込まれているか否かを、当該プリチャージ電圧の変動により判断し得る。なお、非読み出しメモリセルM31,M32,M41,M42だけが配置されたビット線CL1には、プリチャージ電圧が印加されることなく、各非読み出しメモリセルM31,M32,M41,M42のデータの書き込み状態の有無が判断されない。
(3−3)データの消去動作
図8との対応部分に同一符号を付して示す図11は、一のメモリウェルMPW0に形成された全てのメモリセルM11,M12,M31,M32についてデータを一括消去し、残りの他のメモリウェルMPW1に形成されたメモリセルM21,M22,M41,M42のデータについてはそのまま維持させるときの各部位の電圧を示している。
この場合、データを消去するメモリセル(消去メモリセル)M11,M12,M31,M32を含むメモリユニット2a,2cには、第2制御線HS0の第1メモリゲート線HS0aから切替機構36a,36cのP型MOSトランジスタ37に0[V]の非消去電圧が印加されるとともに、当該第2制御線HS0の第2メモリゲート線HS0bから当該切替機構36a,36cのN型MOSトランジスタ38に−3[V]の消去電圧が印加され得る。また、第1制御線DL0,DL1には、切替ゲート電圧として0[V]の電圧が印加されるとともに、切替機構形成ウェルPW0には、ウェル配線PWL0を介して消去電圧と同じ−3[V]の電圧が印加され得る。
これにより、第2制御線HS0を介して消去電圧が印加されている切替機構36a,36cでは、第1制御線DL0,DL1および第1メモリゲート線HS0aの電圧差により各P型MOSトランジスタ37がオフ動作し、当該P型MOSトランジスタ37によって第1メモリゲート線HS0aの副制御線W11,W21への電圧印加を遮断する。一方、この切替機構36a,36cの各N型MOSトランジスタ38は、第1制御線DL0,DL1および第2メモリゲート線HS0bの電圧差によりオン動作し、第2メモリゲート線HS0bの-3[V]の消去電圧を、対応する副制御線W11,W21にそれぞれ印加し得る。
この際、消去メモリセルM11,M12,M31,M32に配置された各ワード線ROW00,ROW01には、4[V]の電圧が印加されるとともに、これら消去メモリセルM11,M12,M31,M32が形成されたメモリウェルMPW0にも、メモリウェル配線MPWL0を介して同じく4[V]の電圧が印加される。これにより、消去メモリセルM11,M12,M31,M32に配置された各メモリトランジスタF11,F12,F31,F32では、第2メモリゲート線HS0bの−3[V]の消去電圧が切替機構36a,36cを介して、ゲートとなる副制御線W11,W21に印加され、かつ、ソースおよびメモリウェルMPW0に4[V]の電圧が印加されることにより、大きな電圧差が生じ、トンネル効果によって電荷蓄積層内から電荷が引き抜かれて、データが消去された状態となり得る。
一方、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42が配置された切替機構36b,36dには、他の行の切替機構36a,36cと共有する第1制御線DL0,DL1を介して、P型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38の各ゲートに0[V]が印加され、第2制御線HS1の第1メモリゲート線HS1aおよび第2メモリゲート線HS1bから0[V]が印加され得る。
これにより切替機構36b,36dでは、第1制御線DL0,DL1および第1メモリゲート線HS1aの電圧差によりP型MOSトランジスタ37がオフ動作するとともに、第1制御線DL0,DL1および第2メモリゲート線HS1bの電圧差によりN型MOSトランジスタ38もオフ動作し、第2制御線HS1から対応する副制御線W12,W22への電圧印加を遮断し得る。
また、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、ワード線ROW10,ROW11を介して各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42のソースに0[V]の電圧が印加されるとともに、メモリウェル配線MPWL1を介してメモリウェルMPW1にも、0[V]の電圧が印加され得る。これにより、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42の各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42では、ゲートおよびソース間の電圧差や、ゲートおよびメモリウェルMPW1間の電圧差が生じることがなく、電荷蓄積層内の電荷の蓄積状態が維持され、データを消去せずにそのままの状態を維持し得る。
ここで、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、切替機構36b,36dがオフ動作し、当該切替機構36b,36dによって第2制御線HS1から対応する副制御線W12,W22への電圧印加が遮断されていることから、当該副制御線W12,W22から各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42のゲートへ電圧が印加されることがない。よって、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、ワード線ROW10,ROW11やメモリウェルMPW1の電圧を合わせるだけで、メモリトランジスタF21,F22,F41,F42にてディスターブの発生を抑制し得る。
因みに、メモリウェルMPW0,MPW1および切替機構形成ウェルPW0を囲み、かつ切替機構36a,36b,36c,36dの各P型MOSトランジスタ37が形成されたウェルNWには、4[V]が印加されるワード線ROW00,ROW01やメモリウェルMPW0に合わせて、同じく4[V]の電圧が印加され得る。この際、切替機構36a,36cの各N型MOSトランジスタ38がオン動作して、副制御線W11,W21に印加された第2メモリゲート線HS0bの−3[V]は、同じく副制御線W11,W21に接続された各P型MOSトランジスタ37の一方の拡散層にも印加されることとなる。このため、P型MOSトランジスタ37の拡散層と、当該P型MOSトランジスタ37が形成されたウェルNWとの間には7[V]の電圧差が生じることとなり、当該電圧差以上の接合耐圧をもつトランジスタを用いる必要がある。このような問題点を解決する手法については、後述する「(4)第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置」にて説明する。
(3−4)動作および効果
以上の構成において、不揮発性半導体記憶装置31では、データの書き込み動作時、書き込みメモリセルM11に配置された第2制御線HS0に、電荷蓄積層に電荷を注入可能な電荷蓄積メモリゲート電圧を印加する。この際、不揮発性半導体記憶装置31では、第1制御線DL0からの切替ゲート電圧によって、第1制御線DL0に設けた複数の切替機構36a,36bのうち、書き込みメモリセルM11が配置された切替機構36aだけをオン動作させることにより、当該切替機構36aに接続された副制御線W11にのみ電荷蓄積メモリゲート電圧を印加する。
また、この際、不揮発性半導体記憶装置31では、第1制御線DL0に沿って設けた複数の切替機構36a,36bのうち、他の非書き込みメモリセルM21,M22のみが配置された切替機構36bを、第1制御線DL0からの切替ゲート電圧と、他の第2制御線HS1からのメモリゲート電圧とによってオフ動作させ、当該切替機構36bに接続された副制御線W12への電圧印加を禁止する。
これにより、不揮発性半導体記憶装置31では、一のメモリユニット2aにてデータの書き込み動作が繰り返し行われても、切替機構36bによって第2制御線HS0の電荷蓄積メモリゲート電圧が他の副制御線W12に印加されることがないため、当該副制御線W12に設けた非書き込みメモリセルM21,M22にて当該電荷蓄積メモリゲート電圧を考慮せずにディスターブが発生し難い電圧値を調整し得、その分、非書き込みメモリセルM21,M22におけるディスターブの発生を防止し得る。
このように、本発明の不揮発性半導体記憶装置31では、第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22を配置できるとともに、ディスターブの発生をメモリユニット2a,2b単位で抑制でき、その分、従来よりもディスターブの発生確率を低減できる。
また、本発明の不揮発性半導体記憶装置31でも、例えば副制御線W11がメモリトランジスタF11,F12と第1制御線DL0とを繋げる接続配線として設けられているだけでなく、副制御線W11が各メモリトランジスタF11,F12の電荷蓄積層に対してそのまま対向配置され、当該メモリトランジスタF11,F12のゲートとしても設けられている。
これにより、不揮発性半導体記憶装置31でも、例えば各メモリトランジスタF11,F12および切替機構36aを繋げる接続配線となる副制御線W11と、当該メモリトランジスタF11,F12の各ゲートが1つの配線層に形成できることから、各メモリトランジスタF11,F12のゲートと副制御線W11とをそれぞれ別の配線層に形成する場合に比して回路構成を簡易化でき、その分、小型化を図り得る。
また、この不揮発性半導体記憶装置31でも、データの読み出し動作時にプリチャージ電圧が印加されるビット線CL0,CL1が、第1制御線DL0,DL1に沿って並ぶ複数のメモリセルM11,M12,M21,M22の各スイッチトランジスタST11,ST12,ST21,ST22に直接接続され、階層化されていない。さらに、不揮発性半導体記憶装置31では、データの読み出し動作において、各切替機構36a,36b,36c,36dに対して、対応するメモリセル列を選択させるようなアドレス選択性を持たせる必要がなく、切替機構36a,36b,36c,36dが全て同じ動作条件でオンオフ動作(この場合、P型MOSトランジスタ37がオフ動作し、当該P型MOSトランジスタ37と対となるN型MOSトランジスタ38がオン動作)しており、各切替機構36a,36b,36c,36dと、対応する副制御線W11,W12,W21,W22との電気的な接続状態が同じ接続状態になっている。
そして、不揮発性半導体記憶装置31では、データの読み出し動作時、各切替機構36a,36b,36c,36dから、対応する副制御線W11,W12,W21,W22に供給する電圧が0[V]のため、実質的にメモリトランジスタF11等で充放電も行われず、データの読み出し時間に切替機構36a,36b,36c,36dのスイッチング動作が影響を与えることはない。このように切替機構36a,36b,36c,36dは、それぞれ対応するメモリセル列を階層化し、データの書き込み動作時におけるディスターブの発生確率を低減できるという特徴を有しながら、その階層構造がデータの読み出し動作に全く影響を与えず、切替機構36a,36b,36c,36dが無い場合と同等のデータ読み出し特性を実現し得る。
さらに、切替機構36a,36b,36c,36dは、データの読み出し動作において、メモリセル列の選択的なオンオフ動作を行わないため、データの読み出しサイクル毎に読み出すメモリセル列のアドレスを切り替えても、それにともないオンオフ動作が必要ない。このため、データの読み出しサイクル毎にメモリトランジスタF11等で充放電動作を行わないため、切替機構36a,36b,36c,36dの素子性能が読み出し速度に影響を与えることがない。かくして、切替機構36a,36b,36c,36dにおける動作に高速性が必要とされず、切替機構36a,36b,36c,36d自身のサイズおよびその制御回路規模を小さく構成し得る。
ところで、上述した第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25(図3)では、データの書き込み動作時、切替トランジスタ26a,26b,26c,26dにて閾値電圧Vth分だけ出力できる電圧が下がってしまうため、電荷蓄積メモリゲート電圧に対しその分だけ電圧値を予め上げた切替ゲート電圧(4+Vth[V])を切替トランジスタ26a,26b,26c,26dのゲートに印加する必要があった。
これに対して、第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31では、データの書き込み動作時、切替機構36a,36b,36c,36dにおいて出力できる電圧が下がらないため、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25に比べ、切替機構36a,36b,36c,36dに印加する切替ゲート電圧を低減でき、その分、周辺回路(図示せず)のMOSトランジスタにかかる電圧を低減できる。
また、この不揮発性半導体記憶装置31では、例えばN型MOSトランジスタ38とP型MOSトランジスタ37とでなるCMOS構造の切替機構36aが設けられているものの、メモリウェルMPW0と、切替機構形成ウェルPW0とを分離するために設けたウェルNWに切替機構36aのP型MOSトランジスタ37を形成したことにより、当該P型MOSトランジスタ37のためにN型のウェルを、ウェルNWとは別の場所に別途形成する必要がなく、その分、回路構成を小さくできる。
さらに、不揮発性半導体記憶装置31では、CMOS構造の切替機構36a,36bの制御を第1制御線DL0で行い、ワード線ROW00,ROW01,ROW10,ROW11と並行に配線した第2制御線HS0,HS1から切替機構36a,36bを介して各メモリセルM11,M12,M21,M22にメモリゲート電圧を印加するようにしたことにより、データの書き込み動作時や、データの読み出し動作時、データの消去動作時に、第1制御線DL0に印加される電圧を正電圧に統一でき、負電圧を印加する必要がない。
そのため、不揮発性半導体記憶装置31では、例えばメモリウェルMPW0内に、さらに多くのメモリセルM11,M12,M31,M32,…を形成し、これに応じて第1制御線DL0,DL1,…の本数が増えていっても、第1制御線DL0,DL1,…に印加される電圧が正電圧に統一できることから、負電圧を印加しない分、第1制御線DL0,DL1,…に電圧を印加する電源回路を簡素化でき、かくして、電源回路の形成面積の低減を図ることができる。
以上の構成によれば、第2制御線HS0からの電圧をメモリゲート電圧として切替機構36aを介して副制御線W11に印加しつつ、他の切替機構36bによって対応する副制御線W12への電圧印加を遮断できることから、第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22を配置させつつも、当該切替機構36bによってメモリゲート電圧が印加されるメモリセルを減らすことができ、その分、ディスターブの発生を抑制し得る。また、第2制御線HS0からメモリゲート電圧が印加される副制御線W11をそのままメモリトランジスタF11,F12のゲートとして流用し、1つの配線層に副制御線W11とゲートとを形成したことで、副制御線W11とゲートとを別の配線層に形成する場合に比して小型化を図り得る。
(4)第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置
図8との対応部分に同一符号を付して示す図12において、51は第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置を示し、上述した第2の実施の形態と同様に、第1制御線DL0,DL1に切替ゲート電圧が印加され、第2制御線HS0,HS1にメモリゲート電圧が印加され得る。この場合、不揮発性半導体記憶装置51は、図12および図13に示すように、例えばメモリウェルMPW0を囲むN型のウェルMNW0およびディープウェルDNW0(図13)と、切替機構形成ウェルPW0を囲むN型のウェルNW0およびディープウェルDNW1との間に素子分離層ILが形成され、一方のこれらウェルMNW0およびディープウェルDNW0と、他方のこれらウェルNW0およびディープウェルDNW1とが別体に形成されている点で、上述した第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31(図8)とは構成が異なっている。
図12に示すように、この不揮発性半導体記憶装置51は、一のメモリウェルMPW0を囲むウェルMNW0と、他のメモリウェルMPW1を囲むウェルMNW1とに一のウェル配線NWL1が設けられており、当該一のウェル配線NWL1によりこれらウェルMNW0,MNW1に所定電圧が一律に印加され得る。また、不揮発性半導体記憶装置51では、一のウェル配線NWL1とは別に設けられた他のウェル配線NWL2が、切替機構形成ウェルPW0を囲むウェルNW0に接続されており、メモリウェルMPW0,MPW1を囲むウェルMNW0,MNW1に印加される電圧とは異なる電圧を、切替機構形成ウェルPW0を囲むウェルNW0に印加し得るようになされている。
これにより、不揮発性半導体記憶装置51では、メモリウェルMPW0を囲むウェルMNW0およびディープウェルDNW0に印加する電圧値と、切替機構形成ウェルPW0を囲むウェルNW0およびディープウェルDNW1に印加する電圧値とをそれぞれ個別に変えることができ、データの書き込み動作時や、データの読み出し動作時、データの消去動作時に印加する電圧を、互いに拘束されることなく最適な電圧値に調整し得る。
不揮発性半導体記憶装置51は、後述する「(4−3)データの消去動作」にて詳細に説明するが、特にデータの消去動作時に、消去メモリセルM11,M12,M31,M32が配置されたウェルMNW0およびディープウェルDNW0に印加される電圧に拘束されることなく、切替機構形成ウェルPW0を囲むウェルNW0およびディープウェルDNW1の電圧値を下げることができるので、切替機構36a,36b,36c,36dにおける電圧負荷を低減できる、という第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31が有しない効果を奏し得る。
なお、この場合、CMOS構造でなる切替機構36a,36b,36d,36dの各P型MOSトランジスタ37は、切替機構形成ウェルPW0を囲むウェルNW0に形成されており、他のウェル配線NWL2によって、切替機構形成ウェルPW0を囲むウェルNW0と同じ電圧が印加され得る。このような不揮発性半導体記憶装置51は、それ以外の構成については上述した第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31と同一構成でなることから、ここではその説明は重複するため省略し、以下、不揮発性半導体記憶装置51について、データの書き込み動作、データの読み出し動作、およびデータの消去動作について順に説明する。
(4−1)データの書き込み動作
図12は、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセルM11にデータを書き込み、当該メモリユニット2a内にある他のメモリセルM12と、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42とにデータを書き込まないときの各部位の電圧を示している。この場合、不揮発性半導体記憶装置51では、上述した図8に示す第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31と同様の電圧が印加されることから、詳細な説明については重複するため、ここでは概略のみ説明する。
実際上、書き込みメモリセルM11が配置された第2制御線HS0には、第1メモリゲート線HS0aに4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加され、第2メモリゲート線HS0bに0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加され得る。この際、切替機構36a,36b,36c,36dのP型MOSトランジスタ37が設けられたウェルNW0には、他のウェル配線NWL2によって4[V]の電圧が印加され、切替機構36a,36b,36c,36dのN型MOSトランジスタ38が設けられた切替機構形成ウェルPW0には、切替機構形成ウェル配線PWL0によって0[V]の電圧が印加され得る。
また、書き込みメモリセルM11が配置された切替機構36aには、切替ゲート電圧として0[V]のオン電圧が第1制御線DL0を介してP型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38の各ゲートに印加され得る。これにより、切替機構36aでは、第1メモリゲート線HS0aおよび第1制御線DL0の電圧差によりP型MOSトランジスタ37がオン動作するとともに、第2メモリゲート線HS0bおよび第1制御線DL0の電圧差によりN型MOSトランジスタ38がオフ動作し得る。
その結果、切替機構36aは、第1メモリゲート線HS0aに印加されている4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧を、P型MOSトランジスタ37を介して副制御線W11に印加し得る。なお、この際、切替機構36aのN型MOSトランジスタ38は、オフ動作していることから、第2メモリゲート線HS0bから副制御線W11への電圧印加を遮断し得る。このように、不揮発性半導体記憶装置51でも、第1メモリゲート線HS0aから切替機構36aを介して副制御線W11に電荷蓄積メモリゲート電圧を印加し得、当該電荷蓄積メモリゲート電圧を書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11のゲートに印加し得る。
なお、上述した第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31と同様に、この不揮発性半導体記憶装置51でも、データの書き込み動作時に第1制御線DL0から切替機構36aに印加する切替ゲート電圧を、第2制御線HS0に印加する電荷蓄積メモリゲート電圧以上の電圧値に選定する必要がないので、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25と比して、切替機構36aに印加する切替ゲート電圧の電圧値を閾値電圧Vth分だけ低減できる。
そして、第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31と同様に、書き込みメモリセルM11のメモリトランジスタF11では、メモリウェルMPW0およびソースに印加された電圧(−3[V])と、ゲートに印加された電荷蓄積メモリゲート電圧(4[V])との電圧差(7[V])により、トンネル効果が発生してソース側から電荷蓄積層に電荷が注入され、データが書き込まれた状態となり得る。
この際、書き込みメモリセルM11と同じメモリユニット2a内にある他の非書き込みメモリセルM12では、第1メモリゲート線HS0aから切替機構36aおよび副制御線W11を介してメモリトランジスタF12のゲートに4[V]の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されるものの、ワード線ROW01に接続されたメモリトランジスタF12のソースが0[V]であることから電圧差が小さくなり、電荷蓄積層に電荷が注入され難くなり、データが書き込まれない状態を維持し得る。
また、この際、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと第1制御線DL0を共有するメモリユニット2bには、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと共有している第1制御線DL0から切替機構36bにPMOSのオン電圧として0[V]の切替ゲート電圧が印加され得る。この際、データを書き込まない非書き込みメモリセルM21,M22,M41,M42だけが配置された他の第2制御線HS1には、第1メモリゲート線HS1aおよび第2メモリゲート線HS1bにそれぞれ0[V]の電荷蓄積阻止メモリゲート電圧が印加され得る。
これにより、この第2制御線HS1に接続された切替機構36bでは、P型MOSトランジスタ37のゲートに第1制御線DL0を介して0[V]のオン電圧が印加されるものの、当該P型MOSトランジスタ37の他端に第1メモリゲート線HS1aを介して0[V]が印加されることから、当該P型MOSトランジスタ37がオフ動作し得る。また、この際、切替機構36bのN型MOSトランジスタ38も、第1制御線DL0からゲートにオフ電圧として0[V]の切替ゲート電圧が印加されるとともに、第2メモリゲート線HS1bから他端に0[V]が印加されることからオフ動作し得る。これにより切替機構36bに接続された副制御線W12では、当該切替機構36bからの電圧印加が遮断され得る。
さらに、非書き込みメモリセルM21,M22には、ワード線ROW10,ROW11を介して各メモリトランジスタF21,F22のソースに0[V]が印加され、非書き込みメモリセルM21,M22,M41,M42だけが配置された他のメモリウェルMPW1にも、メモリウェル配線MPWL1によって0[V]が印加される。これにより、非書き込みメモリセルM21,M22では、各メモリトランジスタF21,F22にてゲートおよびメモリウェルMPW1間と、ゲートおよびソース間の電圧差がなく、各メモリトランジスタF21,F22の電荷蓄積層に電荷が注入されることなく、データが書き込まれない状態を維持し得る。なお、この場合も、上述と同様に、スイッチトランジスタST21,ST22は、上述の動作からエミッタに接続されたビット線CL0が−2.3[V]となるのに対し、ベース電圧は、ワード線ROW10,ROW11の0[V]に対しメモリトランジスタF21,F22の閾値電圧を差し引いた程度の負の値しか取り得ないためエミッタとベース間で電流を流し得ず、オフ動作されている。
ここで、上述したように、書き込みメモリセルM11が配置されたメモリユニット2aでは、データを書き込まない非書き込みメモリセルM12のメモリトランジスタF12にも切替機構36aを介して第2制御線HS0(第1メモリゲート線HS0a)の電荷蓄積メモリゲート電圧が印加されてしまうことから、非書き込みメモリセルM12のメモリトランジスタF12でも僅かに電圧差が生じ得る。そのため、書き込みメモリセルM11が配置されたメモリユニット2a内の非書き込みメモリセルM12では、副制御線W11を共有する一の書き込みメモリセルM11にてデータの書き込み動作が繰り返し行われ、電荷蓄積メモリゲート電圧が副制御線W11に繰り返し印加されると、ディスターブが発生してしまう虞がある。
しかしながら、非書き込みメモリセルM21,M22だけが配置されたメモリユニット2bでは、書き込みメモリセルM11が配置された第1制御線DL0に沿って一方向に配置されているものの、書き込みメモリセルM11に印加される電荷蓄積メモリゲート電圧が、切替機構36bによって各非書き込みメモリセルM21,M22に印加されることがないため、各メモリトランジスタF21,F22での電圧差を格段的に小さくでき、かくして、ディスターブの発生を抑制し得る。
このように、本発明の不揮発性半導体記憶装置51でも、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2a内においては非書き込みメモリセルM12でのディスターブの発生を抑制し難いものの、当該メモリユニット2aと同じ第1制御線DL0を共有する他のメモリユニット2bのメモリセルM21,M22でのディスターブの発生については抑制し得ることから、複数のメモリセルM11,M12,M21,M22を従来と同様に列方向に配置させても、従来よりもディスターブの発生を抑制し得る。
なお、書き込みメモリセルM11を含むメモリユニット2aと第2制御線HS0を共有し、非書き込みメモリセルM31,M32のみが配置された1行2列目のメモリユニット2cや、同じく非書き込みメモリセルM41,M42のみが配置された2行2列目のメモリユニット2dについては、上述した「(3−1)データの書き込み動作」と同じであるため、ここでは説明が重複するため省略する。
(4−2)データの読み出し動作
図12との対応部分に同一符号を付して示す図14は、不揮発性半導体記憶装置51において、1行1列目のメモリユニット2a内にある一のメモリセルM11のデータを読み出し、当該メモリユニット2a内にある他のメモリセルM12と、その他のメモリユニット2b,2c,2d内の各メモリセルM21,M22,M31,M32,M41,M42のデータを読み出さないときの各部位の電圧を示している。
この場合、読み出しメモリセルM11が配置されたメモリウェルMPW0を囲うウェルMNW0や、非読み出しメモリセルM21,M22,M41,M42のみが配置されたメモリウェルMPW1を囲うウェルMNW1には、それぞれ一のウェル配線NWL1によってプリチャージ電圧と同じ1.3[V]が一律に印加され得る。また、切替機構36a,36b,36c,36dのP型MOSトランジスタ37が設けられたウェルNW0には、他のウェル配線NWL2によってプリチャージ電圧と同じ1.3[V]の電圧が印加され得る。
そして、このような不揮発性半導体記憶装置51でも、上述した「(3−2)データの読み出し動作」と同様の電圧が各部位に印加され、読み出しメモリセルM11に接続されたビット線CL0でのプリチャージ電圧の変動の有無をセンスすることにより、読み出しメモリセルM11のメモリトランジスタF11にデータが書き込まれているか否かを判断し得る。
(4−3)データの消去動作
図12との対応部分に同一符号を付して示す図15は、一のメモリウェルMPW0に形成された全てのメモリセルM11,M12,M31,M32についてデータを一括消去し、残りの他のメモリウェルMPW1に形成されたメモリセルM21,M22,M41,M42のデータについてはそのまま維持させるときの各部位の電圧を示している。
この場合、データを消去するメモリセル(消去メモリセル)M11,M12,M31,M32を含むメモリユニット2a,2cには、第2制御線HS0の第1メモリゲート線HS0aから切替機構36a,36cのP型MOSトランジスタ37に0[V]の非消去電圧が印加されるとともに、当該第2制御線HS0の第2メモリゲート線HS0bから当該切替機構36a,36cのN型MOSトランジスタ38に−3[V]の消去電圧が印加され得る。また、第1制御線DL0,DL1には、切替ゲート電圧として0[V]の電圧が印加されるとともに、切替機構形成ウェルPW0には、ウェル配線PWL0を介して消去電圧と同じ−3[V]の電圧が印加され得る。
これにより、第2制御線HS0を介して消去電圧が印加されている切替機構36a,36cでは、第1制御線DL0,DL1および第1メモリゲート線HS0aの電圧差により各P型MOSトランジスタ37がオフ動作し、当該P型MOSトランジスタ37によって第1メモリゲート線HS0aの副制御線W11,W21への電圧印加を遮断する。一方、この切替機構36a,36cの各N型MOSトランジスタ38は、第1制御線DL0,DL1および第2メモリゲート線HS0bの電圧差によりオン動作し、第2メモリゲート線HS0bの−3[V]の消去電圧を、対応する副制御線W11,W21にそれぞれ印加し得る。
この際、消去メモリセルM11,M12,M31,M32に配置された各ワード線ROW00,ROW01には、4[V]の電圧が印加されるとともに、これら消去メモリセルM11,M12,M31,M32が形成されたメモリウェルMPW0にも、メモリウェル配線MPWL0を介して同じく4[V]の電圧が印加される。これにより、消去メモリセルM11,M12,M31,M32に配置された各メモリトランジスタF11,F12,F31,F32では、第2メモリゲート線HS0bの−3[V]の消去電圧が切替機構36a,36cを介して、ゲートとなる副制御線W11,W21に印加され、かつ、ソースおよびメモリウェルMPW0に4[V]の電圧が印加されることにより、大きな電圧差が生じ、トンネル効果によって電荷蓄積層内から電荷が引き抜かれて、データが消去された状態となり得る。
ここで、図11に示した第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31では、メモリウェルMPW0,MPW1および切替機構形成ウェルPW0が同じウェルNWにより囲まれていることから、消去メモリセルM11,M12,M31,M32が配置されたメモリウェルMPW0に合わせてウェルNWに4[V]が印加されると、P型MOSトランジスタ37において、その一方の拡散層に副制御線から−3[V]が印加されるため、当該ウェルNWとの間には約7[V]の大きな電圧差が生じてしまう。そのため、第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31では、各切替機構36a,36b,36c,36dについて7[V]の電圧差に耐え得るように高耐圧を有したP型MOSトランジスタ37を用いる必要があった。
これに対して、図15に示す第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置51では、消去メモリセルM11,M12,M31,M32が配置されたメモリウェルMPW0に印加される4[V]の電圧に合わせて、メモリウェルMPW0を囲うウェルMNW0や、他のウェルMNW1にも4[V]が印加されるものの、メモリウェルMPW0,MPW1を囲うウェルMNW0,MNW1と、切替機構形成ウェルPW0を囲うウェルNW0とが素子分離層ILによって電気的に分離されていることから、メモリウェルMPW0,MPW1を囲うウェルMNW0,MNW1の電圧に拘束されることなく、当該切替機構形成ウェルPW0を囲うウェルNW0に0[V]の電圧を印加し得る。
これにより、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置51では、−3[V]が印加される切替機構形成ウェルPW0と、切替機構形成ウェルPW0を囲う0[V]のウェルNW0との間には約3[V]の電圧差しか生じず、上述した第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31に比して、各切替機構36a,36b,36c,36dのP型MOSトランジスタ37にかかる電圧を低減し得、高耐圧を有したP型MOSトランジスタ37を用いる必要がない。
このように、この不揮発性半導体記憶装置51では、データの書き込み動作時やデータの読み出し動作時に加え、データの消去動作時でも、各切替機構36a,36b,36c,36dにかかる電圧を電圧差3[V]に低減できることから、例えば各切替機構36a,36b,36c,36dのP型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38におけるチャネル領域上の絶縁膜を耐圧の低い5[nm]以下に形成し得る。
因みに、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42が配置された切替機構36b,36dには、他の行の切替機構36a,36cと共有する第1制御線DL0,DL1を介して、P型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38の各ゲートに0[V]が印加され、第2制御線HS1の第1メモリゲート線HS1aおよび第2メモリゲート線HS1bから0[V]が印加され得る。
これにより切替機構36b,36dでは、第1制御線DL0,DL1および第1メモリゲート線HS1aの電圧差によりP型MOSトランジスタ37がオフ動作するとともに、第1制御線DL0,DL1および第2メモリゲート線HS1bの電圧差によりN型MOSトランジスタ38もオフ動作し、第2制御線HS1から対応する副制御線W12,W22への電圧印加を遮断し得る。
また、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、ワード線ROW10,ROW11を介して各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42のソースに0[V]の電圧が印加されるとともに、メモリウェル配線MPWL1を介してメモリウェルMPW1にも0[V]の電圧が印加され得る。これにより、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42の各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42では、ゲートおよびソース間の電圧差や、ゲートおよびメモリウェルMPW1間の電圧差が生じることがなく、電荷蓄積層内の電荷の蓄積状態が維持され、データを消去せずにそのままの状態を維持し得る。
ここで、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、切替機構36b,36dがオフ動作し、当該切替機構36b,36dによって第2制御線HS1から対応する副制御線W12,W22への電圧印加が遮断されていることから、当該副制御線W12,W22から各メモリトランジスタF21,F22,F41,F42のゲートへ電圧が印加されることがない。よって、非消去メモリセルM21,M22,M41,M42では、ワード線ROW10,ROW11やメモリウェルMPW1の電圧を合わせるだけで、メモリトランジスタF21,F22,F41,F42にてディスターブの発生を抑制し得る。
(4−4)動作および効果
以上の構成において、不揮発性半導体記憶装置51でも、データの書き込み動作時、書き込みメモリセルM11に配置された第2制御線HS0に、電荷蓄積層に電荷を注入可能な電荷蓄積メモリゲート電圧を印加する。この際、不揮発性半導体記憶装置51では、第1制御線DL0からの切替ゲート電圧によって、第1制御線DL0に設けた複数の切替機構36a,36bのうち、書き込みメモリセルM11が配置された切替機構36aだけをオン動作させることにより、当該切替機構36aに接続された副制御線W11にのみ電荷蓄積メモリゲート電圧を印加する。
また、この際、不揮発性半導体記憶装置51でも、第1制御線DL0に沿って設けた複数の切替機構36a,36bのうち、他の非書き込みメモリセルM21,M22のみが配置された切替機構36bを、第1制御線DL0からの切替ゲート電圧と、他の第2制御線HS1からのメモリゲート電圧とによってオフ動作させ、当該切替機構36bに接続された副制御線W12への電圧印加を禁止する。
これにより、不揮発性半導体記憶装置51でも、一のメモリユニット2aにてデータの書き込み動作が繰り返し行われても、切替機構36bによって第2制御線HS0の電荷蓄積メモリゲート電圧が他の副制御線W12に印加されることがないため、当該副制御線W12に設けた非書き込みメモリセルM21,M22にて当該電荷蓄積メモリゲート電圧を考慮せずにディスターブが発生し難い電圧値を調整し得、その分、非書き込みメモリセルM21,M22におけるディスターブの発生を防止し得る。
このように、本発明の不揮発性半導体記憶装置51では、第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22を配置できるとともに、ディスターブの発生をメモリユニット2a,2b単位で抑制でき、その分、従来よりもディスターブの発生確率を低減できる。
また、本発明の不揮発性半導体記憶装置51でも、例えば副制御線W11がメモリトランジスタF11,F12と第1制御線DL0とを繋げる接続配線として設けられているだけでなく、副制御線W11が各メモリトランジスタF11,F12の電荷蓄積層に対してそのまま対向配置され、当該メモリトランジスタF11,F12のゲートとしても設けられている。
これにより、不揮発性半導体記憶装置51でも、例えば各メモリトランジスタF11,F12および切替機構36aを繋げる接続配線となる副制御線W11と、当該メモリトランジスタF11,F12の各ゲートとが1つの配線層に形成できることから、各メモリトランジスタF11,F12のゲートと副制御線W11とをそれぞれ別の配線層に形成する場合に比して回路構成を簡易化でき、その分、小型化を図り得る。
また、この不揮発性半導体記憶装置51でも、データの読み出し動作時にプリチャージ電圧が印加されるビット線CL0,CL1が、第1制御線DL0,DL1に沿って並ぶ複数のメモリセルM11,M12,M21,M22の各スイッチトランジスタST11,ST12,ST21,ST22に直接接続され、階層化されていない。さらに、不揮発性半導体記憶装置31では、データの読み出し動作において、各切替機構36a,36b,36c,36dに対して、対応するメモリセル列を選択させるようなアドレス選択性を持たせる必要がなく、切替機構36a,36b,36c,36dが全て同じ動作条件でオンオフ動作(この場合、P型MOSトランジスタ37がオフ動作し、当該P型MOSトランジスタ37と対となるN型MOSトランジスタ38がオン動作)しており、各切替機構36a,36b,36c,36dと、対応する副制御線W11,W12,W21,W22との電気的な接続状態が同じ接続状態になっている。
そして、不揮発性半導体記憶装置31では、データの読み出し動作時、各切替機構36a,36b,36c,36dから、対応する副制御線W11,W12,W21,W22に供給する電圧が0[V]のため、実質的にメモリトランジスタF11等で充放電も行われず、データの読み出し時間に切替機構36a,36b,36c,36dのスイッチング動作が影響を与えることはない。このように切替機構36a,36b,36c,36dは、それぞれ対応するメモリセル列を階層化し、データの書き込み動作時におけるディスターブの発生確率を低減できるという特徴を有しながら、その階層構造がデータの読み出し動作に全く影響を与えず、切替機構36a,36b,36c,36dが無い場合と同等のデータ読み出し特性を実現し得る。
さらに、切替機構36a,36b,36c,36dは、データの読み出し動作において、メモリセル列の選択的なオンオフ動作を行わないため、データの読み出しサイクル毎に読み出すメモリセル列のアドレスを切り替えても、それにともなうオンオフ動作が必要ない。このためデータの読み出しサイクル毎にメモリトランジスタF11等で充放電動作を行わないため、切替機構36a,36b,36c,36dの素子性能が読み出し速度に影響を与えることがない。かくして、切替機構36a,36b,36c,36dにおける動作に高速性が必要とされず、切替機構36a,36b,36c,36d自身のサイズおよびその制御回路規模を小さく構成し得る。
さらに加えて、不揮発性半導体記憶装置51では、上述した第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31と同様に、データの書き込み動作時、切替機構36a,36b,36c,36dにおいて出力できる電圧が下がらないため、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置25に比べ、切替機構36a,36b,36c,36dに印加する切替ゲート電圧を低減でき、その分、周辺回路(図示せず)のMOSトランジスタにかかる電圧を低減できる。
また、このような不揮発性半導体記憶装置51でも、CMOS構造の切替機構36a,36bの制御を第1制御線DL0で行い、ワード線ROW00,ROW01,ROW10,ROW11と並行に配線した第2制御線HS0,HS1から切替機構36a,36bを介して各メモリセルM11,M12,M21,M22にメモリゲート電圧を印加するようにしたことにより、データの書き込み動作時、データの読み出し動作時、およびデータの消去動作時に、第1制御線DL0に印加される電圧を正電圧に統一でき、負電圧を印加する必要がない。
そのため、不揮発性半導体記憶装置51では、例えばメモリウェルMPW0内に、さらに多くのメモリセルM11,M12,M31,M32,…を形成し、これに応じて第1制御線DL0,DL1,…の本数が増えていっても、第1制御線DL0,DL1,…に印加される電圧が正電圧に統一できることから、第1制御線DL0,DL1,…に電圧を印加する電源回路を簡素化でき、かくして、電源回路の形成面積の低減を図ることができる。
これに加えて、不揮発性半導体記憶装置51では、メモリウェルMPW0,MPW1を囲うウェルMNW0,MNW1と、切替機構形成ウェルPW0を囲うウェルNW0とが素子分離層ILによって電気的に分離されていることから、例えば消去メモリセルM11,M12,M31,M32におけるデータを消去する際、消去メモリセルM11,M12,M31,M32が配置されたメモリウェルMPW0に印加される4[V]の電圧に合わせて、メモリウェルMPW0を囲うウェルMNW0や、他のウェルMNW1に4[V]が印加されても、メモリウェルMPW0,MPW1を囲うウェルMNW0,MNW1の電圧とは異なる0[V]の電圧を、当該切替機構形成ウェルPW0を囲うウェルNW0に印加できる。
これにより、不揮発性半導体記憶装置51では、データの消去動作時、-3[V]が印加される切替機構形成ウェルPW0と、切替機構形成ウェルPW0を囲う0[V]のウェルNW0との間に生じる電圧差が約3[V]となり、上述した第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置31に比して、各切替機構36a,36b,36c,36dのP型MOSトランジスタ37にかかる電圧を低減できる。
かくして、不揮発性半導体記憶装置51では、データの書き込み動作時や、データの読み出し動作時に加え、データの消去動作時でも、各切替機構36a,36b,36c,36dにかかる電圧を電圧差3[V]に抑えることができることから、各切替機構36a,36b,36c,36dのP型MOSトランジスタ37およびN型MOSトランジスタ38におけるチャネル領域上の絶縁膜を5[nm]以下に形成できる。
よって、不揮発性半導体記憶装置51では、切替機構を構成するMOSトランジスタの拡散層に、例えばオフセット構造等の高耐圧構造を有した専用MOSトランジスタを用いる必要がなく、通常の2.5[V]のI/O(入力(Input)/出力(Output))に用いられるMOSトランジスタを用いて各切替機構36a,36b,36c,36dを形成できる。
以上の構成によれば、第2制御線HS0からの電圧をメモリゲート電圧として切替機構36aを介して副制御線W11に印加しつつ、他の切替機構36bによって対応する副制御線W12への電圧印加を遮断できることから、第1制御線DL0に沿って一方向に複数のメモリセルM11,M12,M21,M22を配置させつつも、当該切替機構36bによってメモリゲート電圧が印加されるメモリセルM21,M22を減らすことができ、その分、ディスターブの発生を抑制し得る。また、第2制御線HS0からメモリゲート電圧が印加される副制御線W11をそのままメモリトランジスタF11,F12のゲートとして流用し、1つの配線層に副制御線W11とゲートとを形成したことで、副制御線W11とゲートとを別の配線層に形成する場合に比して小型化を図り得る。
(5)他の実施の形態
なお、上述した実施の形態においては、メモリセルとして、図2に示したように、隣接するメモリトランジスタF11,F31のサイドウォール12間に、ディープウェルDNW側から順にP型のメモリウェルMPW、N型の拡散層16、およびP型のメモリウェルMPWの順に配置し、バイポーラ型のMOSトランジスタ構成でなるスイッチ回路S11,S31を有したメモリセルM11,M31について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるメモリセルを適用してもよい。
例えば、図2との対応部分に同一符号を付して示す図16は、他の実施の形態によるメモリセルM11a,M31a,M51aを示す。これらメモリセルM11a,M31a,M51aは全て同一構造を有しており、それぞれメモリトランジスタF11,F31,F51とスイッチ回路S11a,S31a,S51aとから構成されている。なお、このようなメモリセルM11a,M31a,M51aを有した不揮発性半導体記憶装置1cは、図2に示す不揮発性半導体記憶装置1aとはスイッチ回路S11a,S31a,S51aの構成が異なるため、以下、スイッチ回路S11a,S31a,S51aの構成に着目して説明する。
この場合、これらメモリセルM11a,M31a,M51aを有した不揮発性半導体記憶装置1cでは、一のメモリセルM11aのメモリトランジスタF11と、このメモリセルM11aの隣りに配置された他のメモリセルM31aのメモリトランジスタF31との間に、一のメモリセルM11aのスイッチ回路S11aと、他のメモリセルM31aのスイッチ回路S31aとが形成され得る。
実際上、一のメモリセルM11aのメモリトランジスタF11と、このメモリセルM11aの隣りに配置された他のメモリセルM31aのメモリトランジスタF31との間には、メモリウェルMPW表面に拡散層62が形成されており、当該拡散層62を中心にしてメモリセルM11a,M31aが左右対称に形成されている。
この場合、一方のメモリトランジスタF11のゲートGとなる副制御線W11と、拡散層62との間には、メモリウェルMPWの表面に一方のスイッチ回路S11aのスイッチゲート64が絶縁層を介して形成され、他方のメモリトランジスタF31のゲートGとなる副制御線W21と、拡散層62との間には、メモリウェルMPWの表面に他方のスイッチ回路S31aのスイッチゲート64が絶縁層を介して形成されている。
ここで、例えばスイッチ回路S31aのスイッチゲート64は、メモリトランジスタF31のゲートGとなる副制御線W21の側面から上部に一部乗り上げるように形成されており、他のスイッチ回路S11aのスイッチゲート64および拡散層62に接続されたビット線CL1が接続され、他のスイッチ回路S11aのスイッチゲート64および拡散層62と同じ電圧が印加され得る。そして、このような構成を有するスイッチ回路S11a,S31a,S51aが設けられたメモリセルM11a,M31a,M51aでも、上述した図2に示す不揮発性半導体記憶装置1bと同様の効果を得ることができる。
なお、上述した各実施の形態においては、電荷蓄積層に電荷が蓄積された状態をデータが書き込まれた状態とし、電荷蓄積層内に電荷が蓄積されていない状態をデータが消去された状態としているが、本発明はこれに限らず、電荷蓄積層内に電荷が蓄積されていない状態をデータが書き込まれた状態とし、電荷蓄積層内に電荷が蓄積された状態をデータが消去された状態としてもよい。
また、上述した実施の形態においては、各副制御線W11,W12,W21,W22をポリシリコンにより形成し、ゲートがポリシリコンにより形成されたポリシリコントランジスタ型のメモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば各副制御線W11,W12,W21,W22をタングステンシリサイド[WxSiy]、ニッケルシリサイド[NixSiy]、タンタル[Ta]等のメタル部材により形成し、当該メタル部材からなるゲートを備えたメモリトランジスタF11,F12,F21,F22,F31,F32,F41,F42を設けるようにしてもよい。
また、上述した第1の実施の形態においては、メモリゲート電圧が印加される第1制御線DL0,DL1と、切替ゲート電圧が印加される第2制御線HS0,HS1との交差箇所に切替機構としてMOSトランジスタ構造でなる切替トランジスタ26a,26b,26c,26dを設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、切替ゲート電圧が印加される第1制御線DL0,DL1と、メモリゲート電圧が印加される第2制御線HS0,HS1との交差箇所に切替機構としてMOSトランジスタ構造でなる切替トランジスタを設けるようにしてもよい。
また、上述した第2の実施の形態や、第3の実施の形態においては、切替ゲート電圧が印加される第1制御線DL0,DL1と、メモリゲート電圧が印加される第1メモリゲート線HS0a,HS1aおよび第2メモリゲート線HS0b,HS1bでなる第2制御線HS0,HS1との交差箇所にCMOS構造でなる切替機構36a,36b,36c,36dを設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、メモリゲート電圧が印加される第1メモリゲート線および第2メモリゲート線でなる第1制御線と、切替ゲート電圧が印加される第2制御線との交差箇所にCMOS構造でなる切替機構を設けるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態においては、N型およびP型の導電型を逆とした構成としてもよく、さらにはメモリユニット2a,2b,2c,2dの数や、1つのメモリユニット2a内に設けられるメモリセルM11,M12の数については種々の数としてもよい。さらに、上述した第1の実施の形態から第3の実施の形態において例示した電圧値以外の電圧を適用してもよい。
また、上述した実施の形態では、メモリセルとして、メモリトランジスタF11等のデータ消去状態がディプリート型であるメモリセルについて具体的に説明したが、本発明はこれに限らず、メモリトランジスタF11等のデータの消去状態がエンハンス型であるメモリセルでもよく、またデータの書き込みと、データの消去との印加電圧の向きが、上述の実施の形態とは逆の不揮発性半導体記憶装置(つまりデータの書き込みと、データの消去との閾値の関係が逆転するような不揮発性半導体記憶装置)を適用してもよい。