JP2016115003A - オフィス活動分析システム、オフィス活動分析方法、及びプログラム - Google Patents

オフィス活動分析システム、オフィス活動分析方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設における、オフィス活動分析システムを提供する。【解決手段】オフィス活動分析システム206は、ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析する分析部230と、分析の結果に基づいて、ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、ユーザのオフィスを補正するためのデータを生成するデータ生成部とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、オフィス活動分析システム、オフィス活動分析方法、及びプログラムに関する。
業務を効率よく遂行するためには、業務に適したオフィス環境が提供されていることが必要とされる。新たなオフィス環境を構築するにあたり、新たなオフィス環境を構築する前の環境におけるオフィスワーカーであるユーザの現状の活動状況を調査することがある。活動状況の調査の手法として、例えば、活動基準原価計算や、携行タグによる行動計測などの方法が知られている。上記の行動計測の一手法として、RFIDタグを利用したり、画像情報を用いて作業状態を検出したりする定点観測の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、実際の施設で撮像した画像情報を基にして、施設の利用者の移動を解析できる。
特開2012−218861号公報
しかしながら、特許文献1による定点観測の手法では、オフィスにおける活動を十分に精査することができない。例えば、通信手段を利用してコミュニケーションしている人がいることを、上記のRFIDタグを用いる方法により検出することが困難である。また、通信手段を利用してコミュニケーションしている人がいることを、上記の画像情報を用いる方法により検出できたとしても、コミュニケーションしているその人が誰とコミュニケーションしているのかを容易に特定することができない。上記のような定点観測の手法では、オフィスにおける活動を十分に精査することが困難であった。
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、施設におけるオフィス活動を分析することができるオフィス活動分析システム、オフィス活動分析方法、及びプログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の態様であるオフィス活動分析システムは、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設におけるオフィス活動を分析するオフィス活動分析システムであって、ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析する分析部と、前記分析の結果に基づいて、前記ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータを生成するデータ生成部とを備えることを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記分析部は、前記ユーザ間の通信の履歴情報と前記ユーザの行動履歴を示すユーザ行動履歴情報との少なくとも何れか一方を含む前記ユーザのオフィス活動の状況を示す活動履歴情報から前記ユーザのオフィス活動を分析する第1分析部を備えることを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記分析部は、前記活動履歴情報を含む情報から前記施設の利用状況を分析する第2分析部を備えることを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記分析部は、前記活動履歴情報を含む情報から前記施設の空間の充足状況を分析する第3分析部を備えることを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記分析の結果に基づいて、前記ユーザが属するグループと他のグループとの近接要求度を生成する第4分析部を備えることを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記ユーザは、前記施設に配される複数のグループの何れかに属しており、前記分析部は、前記通信の履歴情報と前記ユーザ行動履歴情報とを含む情報から前記ユーザが属するグループと他のグループとの間の関連度を分析する第5分析部を備えることを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記分析部は、前記近接要求度に基づいて生成される前記施設のオフィス計画を補正する補正情報を、前記活動履歴情報に基づいて生成することを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記通信の履歴情報には、前記ユーザと前記施設を利用する他のユーザとの間で通信を利用して情報を送受信した履歴情報が含まれることを特徴とする。
また、上記のオフィス活動分析システムにおいて、前記分析部は、互いに異なる組織に属するユーザが通信を利用してコミュニケーションをとっていると判定した通信の通信量又は通信に含まれる特定のキーワードを検出した回数又は頻度を計数し、前記計数した結果に応じて、当該組織間の近接度を算定することを特徴とする。
また、本発明の第2の態様であるオフィス活動分析方法は、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設におけるオフィス活動を分析するオフィス活動分析方法であって、ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析部が分析するステップと、前記分析の結果に基づいて、前記ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータをデータ生成部が生成するステップとを含むことを特徴とする。
また、本発明の第3の態様であるプログラムは、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設におけるオフィス活動を分析するオフィス活動分析システムのコンピュータに、ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析部が分析するステップと、前記分析の結果に基づいて、前記ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータをデータ生成部が生成するステップとを実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、施設におけるオフィス活動を分析することができるオフィス活動分析システム、オフィス活動分析方法、及びプログラムを提供できる。
本発明の実施形態に係るオフィス計画支援システムの構成図である。 本実施形態に係るオフィス計画支援システムのデータフローを示す説明図である。 本実施形態に係る実際の活動と行動シーンとの関係を示す説明図である。 本実施形態に係る1つの施設に複数の組織(入居者)が入局する施設におけるオフィス環境を調査する主観調査システム100の構成の一例を示す説明図である。 本実施形態に係る客観調査システム200の構成を示す構成図である。 本実施形態に係るユーザ同士が近接している場所の特定についての説明図である。 本実施形態に係るオフィス計画支援システムの客観調査に係る処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態に係る近接要求度について示す説明図である。 本実施形態に係る組織間近接度について示す説明図である。 本実施形態に係る組織間近接度について示す説明図である。 本実施形態における計画要件抽出システムの構成図である。 本実施形態に係る近接要求度について示す説明図である。 本実施形態における組織間近接度に基づいて各部門間の関連度が高い部門を抽出する処理を説明する説明図である。 本実施形態における行動ログの解析結果に基づいた利用相当面積の算出に用いるテーブルを示す説明図である。 本実施形態における行動ログの結果に基づいて、特定の行動シーンの形態を選択する処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態における主観調査結果による行動シーンごとの充足度を示すレーダーチャートである。 本実施形態における主観調査結果による環境ごとの充足度を示すレーダーチャートである。 本実施形態における必要面積の算出に用いるテーブルを示す説明図である。 本実施形態における必要窓面長さの算出方法を示す説明図である。 本実施形態におけるスタッキング処理について示す説明図である。 本実施形態におけるブロッキング処理について示す説明図である。 本実施形態におけるシミュレータの構成図である。 本実施形態のオフィス計画支援システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。 本実施形態における施設データ記憶部の構成例を示す説明図である。 本実施形態におけるグループ構成情報TBLの構成例を示す説明図である。 本実施形態における行動定義TBLの構成例を示す説明図である。 本実施形態における共通行動定義TBLの構成例を示す説明図である。 本実施形態における機能定義TBLの構成例を示す説明図である。 本実施形態における移動先配分TBLの構成例を示す説明図である。 本実施形態における始業条件設定TBLの構成例を示す説明図である。 本実施形態における履歴情報TBLの構成例を示す説明図である。 本実施形態におけるシミュレーション結果をアニメーションとして表示する一例を示す説明図である。 本実施形態における図31Aの説明を補足する説明図である。 本実施形態における図31Aに示したシミュレーションによりエージェントが邂逅した履歴を可視化した表示の例を示す説明図である。 本実施形態におけるシミュレーション結果として行動シーンに存在する人数をグラフにして表示する一例を示す説明図である。 本実施形態におけるシミュレータ300における処理の概略手順を示すフローチャートである。 本実施形態におけるシミュレータ300におけるシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1Aは、本発明の実施形態に係るオフィス計画支援システムの構成図である。図1Bは、本発明の実施形態に係るオフィス計画支援システムのデータフローを示す説明図である。
図1Aに示すオフィス計画支援システム1(オフィス活動分析システム)は、主観調査システム100、客観調査システム200(オフィス活動分析システム)、シミュレータ300、計画要件抽出システム400、記憶部500、基本データ入力システム800、及び、データ出力システム700を備える。
主観調査システム100は、実在するオフィスの施設2(既利用施設)を利用する利用者(ユーザ)の意見を収集し、収集した意見を基にして、施設2を利用するうえで各ユーザが感じていることを可視化するとともに、そのデータを出力する。
客観調査システム200(オフィス活動分析システム)は、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設2におけるオフィス活動を分析する。このような客観調査システム200は、ユーザを介することなく、施設2の利用状態を示す情報を収集する。客観調査システム200は、収集したデータを基にして、施設2の利用状態を分析して、分析した後のデータを出力する。例えば、客観調査システム200は、ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析する。或いは、客観調査システム200は、ユーザの通信の履歴情報と前記ユーザの行動履歴を示すユーザ行動履歴情報とを含む情報を分析する。例えば、上記のユーザの通信の履歴情報と前記ユーザの行動履歴を示すユーザ行動履歴情報とを含む情報を、ユーザの活動履歴情報として扱う。
基本データ入力システム800は、後述のシミュレータ300における処理に用いる基本データを取得して、記憶部500に記憶させる。
シミュレータ300は、実在する施設2又は設計段階のオフィス(施設)において業務がそれぞれ遂行される状況を、施設2或いは設計段階のオフィス(施設)に対応する仮想の施設において業務が遂行されるものとしてシミュレーションする。このシミュレーションにより、シミュレータ300は、仮想の施設に対応する施設におけるオフィス環境を推定したデータを生成する。なお、シミュレータ300は、設計者により設計されたオフィス計画についての検証を実施する。
計画要件抽出システム400は、作成したオフィス計画が有効に機能するものとなり、施設における最適なオフィス計画が作成されるように支援する。例えば、計画要件抽出システム400は、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるような施設であって、当該ユーザが利用する施設のオフィス計画の作成を支援する。計画要件抽出システム400は、記憶部500に記憶された各種調査データに基づいてオフィス計画を設計するための計画要件を生成する。例えば、このような計画要件抽出システム400は、主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300などを連携させて各種処理を実施する。
データ出力システム700は、主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、計画要件抽出システム400がそれぞれ生成したデータを出力する。例えば、データ出力システム700は、計画要件抽出システム400により生成された基本計画の計画要件に係るデータと、計画要件生成部411により可視化された主観調査データと客観調査データとを含む調査データと、シミュレータ300により検証された検証結果とを含むデータを出力する。
記憶部500は、主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、及び、計画要件抽出システム400の各部において生成され、出力された各種データ、及び、これらの各システムの処理に用いる各種データを記憶する。例えば、記憶部500は、ユーザの主観調査結果又は前記主観調査結果に基づいた分析結果の何れかを含む主観調査データと、ユーザの活動に対する客観調査結果又は前記客観調査結果に基づいた分析結果の何れかを含む客観調査データとのうちの何れか又は双方を調査データに含み、当該調査データを記憶する。上記の客観調査データに前記ユーザが利用している既利用施設における前記ユーザの活動についての客観調査の結果から得た情報が含まれる場合、同客観調査データとして、既利用施設内の各機能の利用状況を示す情報が含まれる。なお、既利用施設内の各機能の利用状況を示す情報として、携行型もしくは設置型のセンサーによるユーザ(ワーカー)の行動情報、スケジュール情報、交信情報などの情報が含まれていてもよい。また、上記主観調査の対象にするユーザと上記客観調査の対象にするユーザの何れもが、実存する施設の利用者にする。
以下、主観調査システム100、客観調査システム200、計画要件抽出システム400、及び、シミュレータ300の詳細について、順に説明する。
[1.主観調査システム100]
図2と3を参照して、主観調査システム100について説明する。
主観調査システム100は、実在するオフィスの施設2を利用するユーザの意見を主観調査データとして得て、その主観調査データを分析する処理を実施する。
<主観調査データの分析>
主観調査データの分析とは、実際に施設を利用しているユーザの意見を収集し、収集した意見を基にして、施設を利用するうえでユーザが感じていることを分析する処理のことである。この分析では、各ユーザが潜在的に感じていたことをアンケートやヒヤリングなどの方法で引き出して、主観調査システム100は、引き出した結果を数値化して統計処理をする。主観調査システム100は、そのアンケートやヒヤリングの結果から、ユーザ個人が感じていたことを統計的に整理することができ、ユーザの総意として扱えるデータを得ることができる。このような分析を行う手法として、例えば、特許4500846号の手法が知られている。
特許4500846号によれば、ユーザの行動を行動シーン(ワークシーン)に応じて分析する。以下、複数の種類の行動シーンの何れかにユーザの行動を分類して、ユーザの行動を分析する主観調査システム100の処理について説明する。例えば、複数の種類の行動シーンの一例として、ユーザ個人が主体的に実施する行動や、複数のユーザとともに実施する行動などの行動シーンが挙げられる。なお、同じ種類の行動シーンとして定義するものに、互いに異なる種類の行動を割り当ててもよい。例えば、制約条件に応じて、異なる種類の行動として割り当ててもよい。
図2を参照して、実際の活動と行動シーンとの関係を説明する。同図は、実際の活動と行動シーンとの関係を示す説明図である。
組織を形成する入居者P11が現在入居している施設を施設2−1とする。入居者11の実際の活動には、個人単位で行う単独作業W11Aと、通信手段を利用して情報を共有する連絡作業W11Cと、施設内の他の人とともに行う協調作業W11Bとがある。電話や電子メールの処理などの連絡作業W11Cは、通信機器の利用が制限される場合でなければ、特定の行動シーンに制限されずに任意の行動シーンにおいて実施できるものとする。なお、この連絡作業W11Cには、対象とする宛先が施設外である場合と施設内の他の部門宛の場合とが含まれている。
<主観調査システム100の構成例>
(主観調査システム100の第1の構成例)
また、同図は、各施設におけるオフィス環境を調査する主観調査システム100の構成の一例を示す。
同図に示される主観調査システム100は、施設2−1におけるオフィス環境について入居者P11の意見を調査する。主観調査システム100は、個別調査部110と総合調査部120とを備える。
個別調査部110は、オフィス環境Y111とする施設2−1におけるオフィス環境に関する情報を得る。個別調査部110は、オフィス環境Y111についての調査結果を取り纏めて、取り纏めた調査結果を出力する。
さらに、同図に示されるように、複数の施設に関連度が高い組織が分散している場合には、個別調査部110は、オフィス環境Y112とする施設2−2におけるオフィス環境に関する情報を、上記オフィス環境Y111と分けて取得する。個別調査部110は、オフィス環境Y113とする施設2−3におけるオフィス環境に関する情報を、上記オフィス環境Y112と分けて取得する。個別調査部110は、オフィス環境Y112、オフィス環境Y113についての調査結果をそれぞれ取り纏めて、それぞれの調査結果を出力する。
総合調査部120は、各個別調査部110が取りまとめた結果に基づいて、総合調査結果を得る。
同図に示されるように、業務上の関連度が高い入居者がそれぞれ入居する異なる施設2−1、2−2、2−3(以下の説明で纏めて示す際に、単に「施設2」という。)がある場合に、各個別調査部110は、施設ごとにそれぞれの施設におけるオフィス環境についての調査を、それぞれの施設に応じて分けて行う。
(主観調査システム100の第2の構成例)
また、図3は、1つの施設に複数の組織(入居者)が入居する施設におけるオフィス環境を調査する主観調査システム100の構成の一例を示す説明図である。同図に示されるように、1つの施設(例えば、施設20)に複数の組織(入居者)が入居するような場合には、組織を単位にして調査を行うとよい。
個別調査部110は、オフィス環境Y121、オフィス環境Y122、オフィス環境Y123についての調査結果をそれぞれ取り纏めて、それぞれの調査結果を出力する。それぞれの組織(入居者)ごとの調査結果を生成する。総合調査部120は、組織(入居者)ごとの調査結果を統合して、総合的な調査結果を得る。
上記の主観調査システム100は、実在する施設2を利用するユーザ(入居者、入居する組織)の意見を主観調査データとして受け付けて、受け付けた主観調査データを分析する処理を実施する。例えば、主観調査システム100は、ユーザの意見をアンケートにより収集して、アンケート結果を統計処理して数値化する。これにより、主観調査システム100は、ユーザの意見を纏めた主観調査結果データを生成して出力する。主観調査システム100は、出力した主観調査結果データを記憶部500(図1)の主観調査結果データTBLに書き込んで記憶させる。
[2.客観調査システム200]
図を参照して、客観調査システム200について説明する。
<客観調査システム200の構成>
図4は、客観調査システム200の構成を示す構成図である。同図には、客観調査システム200の他、主観調査システム100、シミュレータ300、計画要件抽出システム400、及び、記憶部500を併せて示している。
客観調査システム200は、行動測定部210、行動測定データ取得部220、分析部230、通信履歴測定部260、及び、通信履歴データ取得部270を備える。
客観調査システム200における行動測定部210は、施設2における各ユーザの行動を測定する。行動測定データ取得部220は、行動測定部210による測定によって得られたユーザの行動を示すデータ(ユーザ行動履歴情報)を、行動測定部210から取得して、記憶部500の履歴情報記憶部521に記憶する。ここで、記憶部500の履歴情報記憶部521について説明する。履歴情報記憶部521は、グループの識別情報と、前記グループに属するユーザの行動を示すユーザ行動履歴情報とを関連付けて記憶する。
客観調査システム200における通信履歴測定部260は、施設2における各ユーザの通信手段を利用したコミュニケーション行動を測定する。例えば、通信履歴測定部260は、通信手段を利用した通信を検出し、検出した通信の履歴を通信履歴データ(通信履歴情報)とする。通信履歴データ取得部270は、通信履歴データ(通信履歴情報)を取得して、記憶部500の履歴情報記憶部522に記憶する。ここで、記憶部500の履歴情報記憶部522について説明する。履歴情報記憶部522は、グループの識別情報と、前記グループに属するユーザの通信の履歴情報とを関連付けて記憶する。なお、履歴情報記憶部522は、グループの識別情報と、前記グループに属するユーザの通信の履歴情報とに、同通信の履歴情報から検出されたグループ間の通信履歴情報とを関連付けて記憶するように構成してもよい。
なお、上記のようにして得たユーザ間の通信の履歴情報と前記ユーザの行動履歴を示すユーザ行動履歴情報との少なくとも何れか一方を含む情報を、前記ユーザのオフィス活動の状況を示す活動履歴情報として説明する。
客観調査システム200における分析部230は、行動測定データ取得部220と通信履歴データ取得部270との少なくとも何れかから取得したデータを分析して、分析結果を出力する。分析部230は、行動測定データ取得部220からユーザ行動履歴情報を得て、通信履歴データ取得部270から通信の履歴情報を得る。分析部230は、互いに異なるグループに属するユーザの行動を示すユーザ行動履歴情報か、検出された通信履歴情報かの少なくとも何れかの情報を含む情報からグループ間の関連度について分析する。
例えば、分析部230は、第1分析部231、第2分析部232、第3分析部233、第4分析部234、第5分析部235を備える。第1分析部231は、検出された通信の履歴情報とユーザ行動履歴情報の少なくとも何れかの情報を含む情報からユーザの活動を分析する。例えば、第1分析部231は、履歴情報記憶部522に記憶されているユーザ間の通信の履歴情報と、履歴情報記憶部521に記憶されているユーザの行動履歴を示すユーザ行動履歴情報との少なくとも何れか一方を含むユーザのオフィス活動の状況を示す活動履歴情報からユーザのオフィス活動を分析する。第2分析部232は、履歴情報記憶部521又は履歴情報記憶部522に記憶されている活動履歴情報を含む情報から施設の利用状況を分析する。例えば、施設の利用状況の分析は、施設に設けた機能ごとの延べ利用時間を抽出し、予め定めた基準利用時間(閾値)と施設に設けた機能の延べ利用時間との比較により実施する。第3分析部233は、上記の分析を大小関係の比較又は単位期間あたりの利用率を算出し、その結果を出力する。第3分析部233は、履歴情報記憶部521又は履歴情報記憶部522に記憶されている活動履歴情報を含む情報から施設の空間の充足状況を分析する。例えば、施設の空間の充足状況の分析は、床面積当たりの利用者数を抽出し、予め定めた人数(閾値)と床面積当たりの利用者数との比較により実施する。第3分析部233は、上記の分析を大小関係の比較又は比率の算出により実施して、その結果を出力する。第4分析部234は、第1分析部231による分析結果により検出された通信の履歴情報とユーザ行動履歴情報の少なくとも何れかの情報を含む情報に基づいて近接要求データを生成し、出力する。近接要求データは、互いに異なるグループを共通する施設内に配置する際に、グループのうちで近接して配置することが有効と判定できるグループを示す。第5分析部235は、行動測定データ取得部220から取得したデータに基づき、シミュレータ300の制約条件を定めるための情報を生成して、生成したデータを出力する。分析部230は、分析部230における各部が出力したデータを記憶部500に書き込んで記憶させる。
上記のように構成した客観調査システム200は、例えば下記に示す客観調査データを分析する処理を実施する。
<客観調査データを分析する処理>
客観調査データを分析する処理では、ユーザを介することなく、施設2の利用状態を示す情報を収集し、収集したデータを基にして、施設2の利用状態を分析する。客観調査システム200は、調査を行うことの負担をユーザに与えることなく、必要とされるデータを収集して、収集したデータに基づいて解析処理をする。
行動測定部210が客観調査データを収集する。客観調査データを収集する際には、「調査されている」という意識をユーザに与えずに、或いは、調査するために特定の行為をユーザにさせずに調査するほうがよい。例えば、ユーザが「調査されている」と意識したために、意識しなかった場合の行動と異なる行動をしてしまったり、行動を制限してしまったりすることがある。そのような影響を受けないように行動測定部210が客観調査データを収集することにより、ユーザの平常時のデータを得ることができる。
上記の「調査されている」という意識をユーザに与えないようにして収集する客観調査によるデータは、2つに大別できる。第1のデータは、ユーザの行動についての調査結果に係るものである。第2のデータは、ユーザの通信についての調査結果に係るものである。
(「ユーザの行動についての調査」について)
「ユーザの行動についての調査」とは、施設内の移動を伴うユーザの行動を調査するものである。例えば、この調査を行うことにより、同じ施設内に入居する関連部門のユーザとの面談や会議などを実施している状況、施設内の設備を利用している状況などをデータとして得ることができる。
行動測定部210による「ユーザの行動についての調査」の方法として、下記の方法が挙げられる。例えば、行動調査の具体的な方式として、カメラ、着座検出センサー、携行識別機器、入退室ゲート、マイクなどを利用して情報を収集するもの、自己申告の収集、第三者による定点観測などを実施するもの、などが挙げられる。行動測定部210は、上記の測定方法に応じた各種センサーを備えていてもよく、行動測定部210の外部から情報を得るように構成してもよい。また、調査結果を記録するための媒体は種別を問わずあらゆるものを利用することができ、収集した調査結果を基に分析を実施する。
例えば、カメラ(撮像装置)と画像処理装置とをセンサーとして利用して情報を収集する場合、カメラにより得られた現場の状況を動画又は静止画で記録する。動画で記録した場合には、被写体として検出された人の移動・行動を連続的に記録でき、動画の情報に基づいて画像処理を行うことにより、人の動き(行動)を抽出することができる。一方、静止画で記録した場合には、断続的に撮像された静止画の情報に基づいて画像処理を行うことにより、その撮像時点にサンプリングされた情報として用いることができる。例えば、静止画間における差分処理などにより、画像間に変化のあった領域を当該画像から抽出することができる。
さらに、被写体として撮像された人をその画像から特定することにより、カメラの撮像範囲にその人が存在していたことを検出することができる。カメラは、定点に設置されたものを利用してもよく、或いは、第3者が携行するものを利用するようにしてもよい。携行型のカメラを利用する場合にも、カメラを携行した人と、被写体として撮像された人との接近や、コミュニケーションの実施状況を検出することができる。
着座検出センサーの情報は、椅子に応じて設けられたセンサーからの情報や、その座席で利用された端末装置の操作履歴情報などから得ることができ、その情報から特定の席の着座状態を検出することができる。
例えば、着座検出センサーを利用して情報を収集する場合、椅子に応じて設けられたセンサーは、椅子の座面、背もたれ部、肘掛部、脚部などの何れかに設けられていてもよく、その椅子に着座している状態が検出できればよく、設置の位置、設置方法などに制限はない。或いは、椅子に応じて設けられたセンサーは、座席の上方(例えば天井)やテーブルなどに設けておいてもよい。なお、上記の画像処理の手法を応用して、着座の情報を得てもよい。これらの検出方法の場合、着座しているか否かの状態を検出することができる。一方、端末装置の操作履歴情報を用いて検出する場合には、端末装置やネットワークを利用するための認証情報からその席を利用したユーザを特定したり、その情報から、その席に着座しているか否かの状態を示す情報として利用したりすることもできる。
携行識別機器をセンサーとして利用して情報を収集する場合、ユーザが携行する携行識別機器を利用して検出した情報、又は、同情報を記録した検出履歴情報から携行識別機器の位置情報を得ることができる。また、その携行識別機器を用いて検出された携行識別機器の位置と検出された時刻に対応する情報とを携行識別機器の識別情報に関連付けて検出履歴として記憶させておき、その検出履歴情報を利用するにしてもよい。検出された時刻に対応する情報は、必ずしも、検出した時刻そのものである必要はなく、例えば、検出精度に応じて時刻を量子化して、量子化した時刻を示す情報を用いてもよい。
携行識別機器を利用して情報を収集する方法として、下記の2通りの方法がある。
例えば、予め定めた所定の位置にターミナル(基地局)を設置しておき、そのターミナルが携行識別機器の近接をそれぞれ検出することによって、携行識別機器を検出したターミナルの位置から携行識別機器の位置の情報を取得できる。さらに、複数のターミナルを設けておき、異なるターミナルのそれぞれにおいて、特定の識別情報が付与された携行識別機器が、互いに異なる時刻にそれぞれ検出された場合、その携行識別機器を携行するユーザが上記のターミナルの間を移動したものと推定できる。
また、ユーザが携行する携行識別機器同士の接近を検出して、それぞれの携行識別機器を携行するユーザ同士の接近を検出するようにしてもよい。
特定の識別情報が付与された携行識別機器が、互いに異なる時刻にそれぞれ検出された場合、その携行識別機器を携行するユーザが上記のターミナルの間を移動したものと推定できる。
或いは、予め定めた所定の位置にターミナル(基地局)を設置しておき、そのターミナルが送信する信号を携行識別機器が検出することによって、当該ターミナルの位置を取得してもよい。さらに、複数のターミナルを設けておき、異なるターミナルからの信号を、携行識別機器が検出することによって、携行識別機器が検出した信号に含まれる各ターミナルの識別情報及び同信号の受信信号強度(RSSI)などを利用して、ユーザが携行する携行識別機器の位置を検出してもよい。ユーザが携行する携行識別機器同士の接近を検出して、それぞれの携行識別機器を携行するユーザ同士が接近していることを検出するようにしてもよい。
特定の識別情報が付与された携行識別機器が、互いに異なる時刻に異なるターミナルからの信号をそれぞれ検出した場合、その携行識別機器を携行するユーザが上記のターミナルの間を移動したものと推定できる。
なお、携行識別機器として、RFID(radio frequency identifier)タグ、RFIDタグリーダー、携帯電話、スマートフォン、無線通信機能を有する腕時計、タブレット型端末装置、ゲーム機など各種装置を利用することができる。上記のターミナルとして、上記の携行識別機器に対応する各種無線送信機、各種無線通信機などを利用することができる。
入退出ゲートを利用して情報を収集する場合、ユーザの入退出を管理するゲート管理装置をセンサーとして入退出ゲートに設ける。入退出ゲートの情報として、ユーザがそのゲートを通って入退出したという履歴情報を得ることができる。例えば、入退出ゲートの情報から、特定の部屋の在室者の人数や、在室している人やグループを特定してもよい。
現場の音の情報を収集する場合、ユーザの活動により発生する音や、ユーザ同士の対話などによる現場の音をセンサーであるマイクによって集音して、現場の音の情報を得ることができる。
現場の振動の情報を収集する場合、ユーザの活動により発生する振動をセンサーである振動センサーによって検出して、現場の振動の情報を得ることができる。
自己申告は、自身の行動履歴を端末装置などからデータとして登録する手法である。例えば、スケジュール管理を行うために、予定する行動を登録するシステム(スケジューラ)がある。このようなシステムを利用して、予定する行動を登録したり、また、実際に行動した行動の実績を登録したりすることにより、行動の履歴データが順に蓄積されてゆく。このようにして登録されたデータを自己申告によるデータとして利用してもよい。
第3者による定点観測は、予め定めた位置で検出条件に即した状況を観測して記録する手法である。
客観調査システム200による「ユーザの行動についての調査」では、例えば、行動測定部210は、上記の検出方法のうちの何れか又は複数の検出方法に応じた検出手段を備え、施設2における各ユーザの行動を測定する。行動測定部210は、備える各検出手段によって検出されたユーザの行動を示すデータ(ユーザ行動履歴情報)を生成する。
行動測定データ取得部220は、行動測定部210による生成されたユーザの行動を示すデータ(ユーザ行動履歴情報)を取得して、履歴情報記憶部521に記憶する。
例えば、履歴情報記憶部521には、ユーザの接近を検出した時刻、位置、接近しているユーザが属するグループの情報が、互いに関連付けられてユーザ行動履歴情報TBLに記憶されている。行動測定データ取得部220は、取得したデータを履歴情報記憶部521のユーザ行動履歴情報TBLに書き込んで記憶させる。なお、ユーザ行動履歴情報TBLに、ユーザの接近を検出した時刻、位置、音圧レベル、振動の大きさなどを、近接しているユーザが属するグループの情報を互いに関連付けて記憶するようにしてもよい。
上記の検出方法、記録する情報の種類、記憶させる方法などは、上記の他にも一般的な手法を適用することができる。
(「ユーザの通信についての調査」について)
「ユーザの通信についての調査」とは、施設内の移動を伴うことなく通信手段を利用して、施設を利用する部門間のコミュニケーションの状況を調査するものである。例えば、この調査を行うことにより、施設内の関連部門のユーザが通信手段を利用して、施設を利用する部門のユーザ間のコミュニケーションをとっている状況などをデータとして得ることができる。
例えば、コミュニケーションの状況の調査方法については、通信状況を記憶する通信管理装置(以下、単に「コミュニケーター(オフィスコミュニケーター)」という。)の通信ログなどから所望の情報を得るようにしてもよい。コミュニケーター(オフィスコミュニケーター)は、IP(Internet Protocol)フォンによる電話、遠隔会議システムによる音声会議やテレビ会議、WEB会議、ショートメッセージサービスを利用するチャット、電子メール、端末装置の表示画面の画面共有などによる個人・組織間の通信の履歴を記録する通信管理処理機能を有する。この調査方法によれば、IP(Internet Protocol)フォンによる電話、遠隔会議システムによる音声会議やテレビ会議、WEB会議、ショートメッセージサービスを利用するチャット、電子メール、端末装置の表示画面の画面共有などによる個人・組織間のコミュニケーション調査に基づいた分析が可能になる。
なお、上記の他、回線交換型の構内電話交換機(PBX)を介して、又は、接続処理サーバにより接続処理される電話(IP電話)やファクシミリ(FAX)、電子メールサービスのサーバ(POP(Post Office Protocol))サーバ、IMAP(Internet Message Access Protocol))サーバ、SMTP((Simple Mail Transfer Protocol)サーバなど)を介した電子メール、SNS(social networking service)を利用したショートメッセージ通信や掲示板などへの投稿なども分析の対象に含めてもよい。さらに、通信履歴についての自己申告や、第三者による定点観測などの情報を含めて分析するようにしてもよい。なお、各情報を記録する媒体は種別を問わず分析に用いることができる。
客観調査システム200による「ユーザの通信についての調査」では、例えば、通信履歴測定部260は、施設2内のネットワーク設備に対応して設けられたコミュニケーター(オフィスコミュニケーター)などの通信履歴を記録する装置により記録された通信ログを取得する。通信履歴測定部260は、取得した通信ログから、通信手段を利用した通信の履歴を検出し、検出した通信の履歴を通信履歴データ(通信履歴情報)として生成する。通信履歴データ取得部270は、通信履歴データ(通信履歴情報)を取得して、履歴情報記憶部522の通信履歴情報TBLに記憶させる。
上記のとおり、施設を利用する部門間のコミュニケーションの状況を調査することにより、ユーザの移動を伴わないユーザのコミュニケーションによる活動状況を調査することができる。
(「ユーザの活動の分析方法」について)
収集した客観調査データに基づいて、ユーザの活動について分析する処理では、下記の分析方法に従った処理のうち少なくとも何れかの処理を実施する。実施する処理には下記がある。
・ユーザ同士が近接している状況を検出する場合の分析処理
・通信を利用してコミュニケーションをとっている状況を検出する場合の分析処理
・オフィス活動の総合的な分析処理
以下、ユーザの活動について分析する処理として実施する上記の処理について順に説明する。
(1)ユーザ同士が近接している状況を検出する場合の分析処理
ユーザ同士が近接している状況を検出する場合には、分析部230は、下記の分析処理を実施する。
・ユーザ同士が近接している場所の特定
・ユーザ同士が近接している場合のユーザの特定
・ユーザ同士が近接している場合のユーザが属している組織の特定
・ユーザ同士が近接している場合のユーザが属している組織間の近接度の特定
以下、上記の各分析処理について順に説明する。
(1−1)ユーザ同士が近接している場所の特定について
図5を参照して、ユーザ同士が近接している場所の特定について説明する。同図は、ユーザ同士が近接している場所の特定についての説明図である。
例えば、客観調査システム200の分析部230は、ユーザ同士が近接している場所の特定を、カメラ、着座、携行識別機器、入退室ゲート、マイクなどの何れかの検出手段により取得した情報に基づいて実施する。
分析部230は、それぞれの情報に基づいてユーザ同士が近接していると判定した位置の情報を出力する。その位置は、緯度・経度、方位などに基づいて定めた座標又は施設や敷地の形状に基づいて定めた座標を基準にして定めたグリッドと、施設の特定の階において分割されたエリアなどと、の少なくとも何れかを基準に定める。
例えば、同図(a)に示す施設を例に挙げて説明する。同図(a)に示す施設には、2つの階に分かれて、組織AからFの各組織が入居する。図示された状態は、2階に組織AからCの各組織が配置され、1階に組織DからFの各組織が配置されている。
同図(b)は、施設のフロアの形状に応じてグリッドを定めた例を示す。
同図(c)は、施設のフロアに割り付ける機能に応じて複数のエリアをフロアの形状に応じて定めた例を示す。
同図(d)は、施設のフロアの形状に応じて定めたグリッドと、施設のフロアに割り付ける機能に応じて定めた複数のエリアとによって、位置を定める例を示す。同図(d)に示すように、単純なグリッドと、割り付けられた機能を示すエリアの双方を定義することにより、位置の特定が容易になる。
(1−2)ユーザ同士が近接している場合のユーザの特定について
例えば、分析部230は、ユーザ同士が近接している場合のユーザの特定を、カメラ、着座、携行RFID、入退室ゲート、マイクなどを利用して取得した情報に基づいて実施する。
前述したとおり、少なくとも上記のいずれかの方法により、ユーザの位置を特定できる。そこで、分析部230は、特定したユーザの位置の情報から、少なくとも下記のいずれかの方法により、互いに近接しているユーザがいることを特定する。
・分析部230は、少なくとも2人のユーザの位置が特定された後、予め定められた所定の時間以上、少なくとも2人のユーザの位置が、同一のゾーンに留まっていることを検出した場合に、互いに近接しているユーザがいると特定する。ここで、ゾーンとは、単位グリッドを基準に定められた領域を示すものであり、何れかの単位グリッドに対応する領域を示す。
・分析部230は、少なくとも2人のユーザの位置が特定された後、予め定められた所定の時間以上、少なくとも2人のユーザが近接した状態を継続して当該ゾーンにそれぞれ留まっていることを検出した場合に、互いに近接しているユーザがいると特定する。
(1−3)ユーザ同士が近接している場合のユーザが属している組織の特定について
例えば、分析部230は、ユーザの情報が記憶されているグループ構成情報TBL532を参照して、当該ユーザが属する組織の情報を取得する。グループ構成情報TBL532の詳細については後述する。
(1−4)ユーザ同士が近接している場合のユーザが属している組織間の近接度(関連度)の特定について
例えば、分析部230は、ユーザ同士が近接している場合のユーザの特定の結果に応じて、ユーザの情報が記憶されているグループ構成情報TBL532を参照して、当該ユーザが属する組織の情報を取得する。分析部230は、互いに異なる組織に属するユーザが近接をしていると判定した場合の度数を計数する。分析部230は、計数結果の度数に応じて、当該組織間の近接度を特定する。分析部230は、算定結果を記憶部500の近接度検出TBLに書き込んで記憶させる。上記の度数に基づいて近接度を判定する場合、分析部230は、度数が高いほど組織同士の近接度(関連度)が高いと判定することができる。
なお、度数に代えて、互いに異なる組織に属するユーザ同士が近接していると判定した事象が発生する頻度を用いて、当該頻度に応じて、当該組織間の近接度(関連度)を特定してもよい。上記のように、互いに異なる組織に属するユーザ同士が近接していると判定した事象が発生する頻度に基づいて近接度を判定する場合、分析部230は、度数が高いほど組織同士の近接度(関連度)が高いと判定することができる。
互いに異なる組織に属するユーザ同士が近接している状況を検出する場合の分析処理に組み合わせることにより検出精度を高める機能について、説明を補足する。
分析部230は、マイクによって集音した音を利用して、ユーザ同士の対話から近接状態を推測するようにしてもよい。ユーザ同士が近接していることを検出する方法だけでは、積極的に対話がなされているか否かを判定しきれない場合がある。このような場合、マイクで集音した音の音圧レベルなどを利用することで、対象のユーザの会話の掛け合いを検出することができる。単位時間内の音圧レベルが変化する頻度が多い場合、ユーザの会話が頻繁に行われていると推定できる。さらに、その際、一連の音節の音圧レベルを検出する。一連の音節の音圧レベルと他の一連の音節と他の一連の音節の音圧レベルとにレベルの差があり、上記の一連の音節の音圧レベルと他の一連の音節の音圧レベルとが繰り返して検出される場合には、対象のユーザが会話をしているものと推定できる。
なお、互いに異なる組織に属するユーザ同士が近接している状況を検出する場合に代えて、上記と同様の処理により、同じ組織に属するユーザ同士が互いに交流している状況を検出することができる。例えば、組織を代表するユーザが同じ組織に属する場合には、分析部230は、上記の検出の結果に基づいて当該組織のメンバー間の関連度を導くことができ、算定結果を記憶部500の関連度検出TBLに書き込んで記憶させる。
上記のように、分析部230は、近接度の判定に、マイクによって集音した音を併用することにより、その判定精度を高めることができる。
なお、音圧レベルの検出に加えて、話者を特定する処理を併せて行うことにより、組織を代表するユーザ同士の会話が行われている状況までも得ることができる。
上記のように、分析部230は、近接度の判定に、マイクによって集音した音を併用し、話者を特定する処理を併せて行うことにより、その判定精度を高めることができる。
より具体的な分析部230による処理の一例を示す。
現場の音の情報は、ユーザの活動により発生する音、ユーザ同士の対話などの音の情報として、マイクによって集音した音から得ることができる。例えば、現場の音の情報として、集音した音の音圧レベルを適用したり、取得した音に含まれる会話を抽出し、その会話に含まれる特定のキーワードを取得したりしてもよい。
例えば、分析部230は、現場の音の情報として、集音した音の音圧レベルを適用する場合には、所定の音圧レベルを超えるにぎやかな場所をコミュニケーションが行われている場所とみなす。分析部230は、所定の音圧レベルを超える音が継続して検出される場所をコミュニケーションが活発に行われている場所とみなしてもよい。さらに、分析部230は、位置が異なる2点に到達する音の検出時刻の差又は位相差に基づいて、検出時刻の差(または位相差)が音の伝搬遅延により生じるという特徴を用いて音源の位置を特定して、話者の位置を特定するようにしてもよい。
また、取得した音に含まれる会話から特定のキーワードを取得する場合、分析部230は、特定のキーワードが発生する頻度に基づいて、会話の目的や、その会話が行われている場所の利用目的などを推定する。例えば、キーワードとして、要件を依頼する際に使用する単語や文節が設定される。この場合、「お願いします」や「協力」などのキーワードが挙げられる。これらのキーワードを取得することで関連性を分析して配置を計画する。上記のように、要件を依頼する際に使用する単語や文節が、より多く、又は、より頻度が高く検出される組織の組を選択するようにしてもよい。上記に示したように、分析部230は、対面して対話をしているユーザが属している組織間の近接度(関連度)を特定し、特定した結果を記憶部500の近接度検出TBL(関連度検出TBL)に書き込んで記憶させる。
(2)通信を利用してコミュニケーションをとっている状況を検出する場合の分析処理
通信を利用してコミュニケーションをとっている状況を検出する場合には、分析部230は、少なくとも下記の何れかの分析処理を実施して、分析処理により特定した結果を記憶部500の近接度検出TBL(関連度検出TBL)に書き込んで記憶させる。
・通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザを特定する分析処理
・通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザが属している組織を特定する分析処理
・通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザが属している組織間の近接度を特定する分析処理
・通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザが属している組織におけるメンバー間の関連度を特定する分析処理
以下、上記の各分析処理について順に説明する。
(2−1)通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザの特定について
例えば、分析部230は、通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザを特定する情報(電話番号、アドレス、IDなど)を、コミュニケーター(オフィスコミュニケーター)の通信ログから得る。コミュニケーター(オフィスコミュニケーター)の通信ログから得る情報は、通信サービスの開始を要求したユーザの情報と、その通信サービスの相手となる他のユーザの情報とを含む。
(2−2)通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザが属している組織の特定について
例えば、分析部230は、ユーザの情報が記憶されているグループ構成情報TBL532を参照して、当該ユーザのIDなどの当該ユーザを特定する情報から当該ユーザが属する組織(グループ)の情報(グループ識別情報など)を取得する。グループ構成情報TBL532の例については後述する。
(2−3)通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザが属している組織間の近接度の特定について
例えば、分析部230は、互いに異なる組織に属するユーザが通信を利用してコミュニケーションをとっていると判定した通信の通信量又は通信に含まれる特定のキーワードを検出した回数又は頻度を計数する。分析部230は、計数結果に応じて、当該組織間の近接度を算定する。分析部230は、算定結果を記憶部500の近接度検出TBL(関連度検出TBL)に記憶させる。例えば、上記のように通信の調査結果に基づいて近接度を判定する場合、分析部230は、通信量が多いほど、通信量の比率が高いほど、通信に特定のキーワードが含まれる回数が多いほど、又は、通信に特定のキーワードが含まれる頻度が高いほど、組織同士の近接度が高いと判定する。
(2−4)通信を利用してコミュニケーションをとっているユーザが属している組織におけるメンバー間の関連度の特定について
例えば、分析部230は、同じ組織に属するユーザが通信を利用してコミュニケーションをとっていると判定した通信の通信量又は通信に含まれる特定のキーワードを検出した回数又は頻度を計数する。分析部230は、計数結果に応じて、当該組織のメンバー間の関連度を算定する。分析部230は、算定結果を記憶部500の関連度検出TBLに記憶させる。例えば、上記のように通信の調査結果に基づいて関連度を判定する場合、分析部230は、通信量が多いほど、通信量の比率が高いほど、通信に特定のキーワードが含まれる回数が多いほど、又は、通信に特定のキーワードが含まれる頻度が高いほど、同一の組織の属したメンバー同士の関連度が高いと判定する。
(3)客観的調査結果に基づくオフィス活動についての総合的な分析処理
例えば、分析部230は、客観的調査結果に基づくオフィス活動についての総合的な分析処理として、少なくとも下記の何れかの処理を実施して、分析処理により特定した結果を記憶部500の近接度検出TBL(関連度検出TBL)に書き込んで記憶させる。
・行動調査の結果(行動測定データ)に基づいた近接要求度の算出処理
・通信履歴調査の結果(通信履歴データ)に基づいた近接要求度の算出処理
・回数に基づいた解析結果を補正する補正処理
・(行動測定データに基づく近接要求度)と(通信履歴測定データに基づく近接要求度)とに基づいて算出する総合近接要求度の算出処理
以下、上記の各算出処理について順に説明する。
(3−1)行動調査の結果(行動測定データ)に基づいた近接要求度の算出について
対象者の行動測定データから、対象者の交流を伴う行動を検出して、検出した交流を伴う行動に応じた近接度を算出する。
(他部門と交流した延べ時間に基づいた近接度の算出方法)
図7を参照して、他部門と交流した延べ時間に基づいた近接度の算出方法について説明する、同図は、他部門と交流した延べ時間に基づいた近接度の算出方法について説明する説明図である。
仮に、複数の対象者による部門間の交流を想定する。例えば、A部門とB部門のメンバーが打ち合わせをした場合の近接度の算出例を示す。A部門からは、そのメンバーであるbさん、cさん、fさんが打ち合わせに参加したとする。B部門からは、そのメンバーであるkさん、mさんが1時間の打ち合わせに参加したとする。
A部門に所属するbさんは、自部門以外の人が参加する打ち合わせに1時間参加したので、A部門とB部門間のポイントに、bさんによるポイントとして下記の式(1)から算出される値を積算する。
bさんによるポイント:
+1(h)×1(人)=1points ・・・(1)
上記の式(1)に示すように、ポイントは、時間数と一人あたりのポイントとの積により求まる。例えば、上記の式(1)において、一人あたりのポイントを1とする。
A部門に所属するcさんとfさんも、自部門以外の人が参加する打ち合わせに1時間参加したので、A部門とB部門間に、cさんとfさんによるポイントとして、bさんの場合と同様に各1ポイントを積算する。
また、B部門に所属するkさんとmさんは、自部門以外の人が参加する打ち合わせに1時間それぞれ参加したので、A部門とB部門間のポイントに、kさんとmさんによるポイントとして、bさんの場合と同様に各1ポイントを積算する。
以上に示したように、打ち合わせに参加した時間と、同打ち合わせに参加した人数に応じて求まる値を積算して、積算された結果の値(ポイント)を、当該部門間の近接度にする。
(3−2)通信履歴調査の結果(通信履歴データ)に基づいた近接要求度の算出について
対象者の通信履歴データから、対象者が通信手段を利用して他部門と交流した履歴を検出して、検出した交流の履歴に応じた近接度を算出する。
(通信手段を利用して他部門と交流した場合の近接度の算出方法)
このケース1の場合、通信手段を利用して他部門と交流した場合を想定する。通信手段を利用する場合、通信を要求する人は一人である場合がある。例えば、A部門のgさんがB部門のiさんにメールを送った場合に近接度の算出方法を例示する。
電子メールのヘッダ情報から、宛先(to)と送信元(from)を抽出する。例えば、下記のヘッダ情報が付されたメールが送られた場合を例示する。
To i@m.jp
From g@m.jp
上記の場合、宛先を指定する「To i@m.jp」の部分から、このメールの宛先がiさんであることが分かる。このiさんのメールアドレスによりメールの宛先がA部門宛のものであることを識別する。また、送信元を指定する「From g@m.jp」の部分から、このメールの送信元がgさんであることが分かる。このgさんのメールアドレスから、このメールの送信元がB部門であることを識別する。
上記の識別の結果から、送信元であるB部門と、宛先であるA部門とにそれぞれ1ポイントを加算する。なお、上記の場合、iさんとgさんは、ともに近接度を求める対象にしている部門にそれぞれ属している場合になる。
一方、メールの送信元又は宛先の何れか一方が、近接度を求める対象にしている部門に属していないメールも通信履歴の中に含まれる。これらの場合には、送信元又は宛先の何れかに該当する部門にのみ、ポイントを加算するようにしてもよい。上記のように、メールの送信元又は宛先の何れか一方が、近接度を求める対象にしている部門に属していないメールに対して加算するポイントは、送信元又は宛先の双方が近接度を求める対象にしている部門にそれぞれ属している場合のポイントに対して重みづけしてもよい。例えば、上記の場合、その重みづけにより、積算するポイントが少なくなるようにしてもよい。
例えば、「to」「cc」「bcc」「from」に記載のユーザが所属する部門に1単位のポイントを積算する。ただし、「to」「cc」「bcc」に同じ部門に属する複数のユーザが含まれている場合には、個々のユーザごとの積算を行わず、部門あたりに1単位のポイントを積算する。
なお、「to」「cc」「bcc」「from」に記載のユーザの部門が皆同じ場合には、当該部門に2単位のポイントを積算する。
上記のように、宛先を複数指定するメールについても、上記の積算方法に従って、部門間で交換された情報から近接度を算出することができる。
なお、「to」「cc」「bcc」に、送信者(「from」)と同じ部門に属するユーザが含まれている場合には、当該送信者が属している部門に1単位のポイントを、上記の積算(部門間の近接度)と分けて積算してもよい。この積算により、同一部門内のメンバー間の関連度を算出することができる。
なお、上記の処理に従えば、送信者が部門内に周知するためのメールを送信する場合のように、1対複数の宛先に対してメールを送信する場合においても上記の算出方法に従って処理することができる。
(3−3)回数に基づいた解析結果を補正する方法について
上記に示す回数に基づいて近接度を算出する方法の場合、積極的に活動する特定の人がいるか否かによって、積算の対象にするイベントの回数の集計結果に偏りが生じる場合がある。このような場合、積算の対象外にするイベントの回数にも着目する。例えば、積算の対象にするイベントの回数と積算の対象外にするイベントの回数の総回数を算出して、総回数に対する積算の対象外にするイベントの回数を比率で示す。このようにして算出した比率を用いて近接度を算出する。
(3−4)(行動測定データに基づく近接要求度)と(通信履歴測定データに基づく近接要求度)とに基づいて算出する総合近接要求度の算出処理
上記の(行動測定データに基づく近接度)と(通信履歴測定データに基づく近接度)とに基づいた組織間近接度(総合近接要求度)の算出について説明する。
まず、上記の(行動測定データに基づく近接度)と(通信履歴測定データに基づく近接度)とについて、それぞれを組織ごとの比率(近接度比率)を算出する。
例えば、(行動測定データに基づく近接度)に基づいて、A部門、B部門、C部門間の行動ログに基づいた近接度比率を算出する。A部門の比率を「Amove」、B部門の比率を「Bmove」、C部門の比率を「Cmove」によって示すと、A部門、B部門、C部門間の行動ログに基づいた近接度比率は、(Amove:Bmove:Cmove)のように示すことができる。
また同様にして、(通信履歴測定データに基づく近接度)に基づいて、A部門、B部門、C部門間の通信ログに基づいた近接度比率を算出する。A部門の比率を「Atele」、B部門の比率を「Btele」、C部門の比率を「Ctele」によって示すと、A部門、B部門、C部門間の通信ログに基づいた近接度比率は、(Atele:Btele:Ctele)のように示すことができる。
上記のように定義することにより、行動測定データ(行動ログ)に基づいた近接度比率と通信履歴測定データ(通信ログ)に基づいた近接度比率とに基づいて、組織間近接度を算出することができる。例えば、行動ログに基づいた近接度比率と通信ログに基づいた近接度比率を、次の式(2)に示すようにそれぞれ掛け合わせて組織間近接度を算出する。
(組織間近接度)=(Amove*Atele:Bmove*Btele:Cmove*Ctele) ・・・(2)
上記の式(2)により算出した組織間近接度を表にして示すと図9のようになる。図8と図9は、組織間近接度を示す説明図である。
図8の表に示す行と列とが交差する欄に示す数値が、各部門間の組織間近接度を示す。同表において、略半分の欄に値を示していないが、組織間近接度の算出において、部門間の情報の向きを特定せずに行うことによるものである。図8に示した値を用いて組織間近接度を示す図に書き換えたものが図9である。
図6を参照して、客観調査に係る処理について説明する。同図は、客観調査に係る処理の手順を示すフローチャートである。
行動測定部210は、施設2における各ユーザの行動を測定する。行動測定データ取得部220は、行動測定部210による測定によって得られたユーザの行動を示すデータ(ユーザ行動履歴情報)を行動測定データとして取得する(ステップS21)。
また、通信履歴データ取得部270は、通信履歴測定部260による測定によって得られたユーザの通信手段を利用したコミュニケーション行動を示す通信履歴データ(通信履歴情報)を取得する(ステップS22)。なお、ステップS21とステップS22は並列に行ってもよく、それぞれ実施する処理の順序は問わない。
分析部230は、取得した行動測定データと通信履歴データの少なくとも何れかのデータに基づいてユーザの活動を分析する(ステップS23)。
分析部230は、取得した行動測定データと通信履歴データの少なくとも何れかのデータからユーザの活動を分析した分析結果に基づいて近接要求データを生成し、取得した各種データ、分析結果、近接要求データなどの各種データを記憶部500に記憶させる(ステップS24)。
また、分析部230は、取得した行動測定データと通信履歴データの少なくとも何れかのデータに基づいて、後述のシミュレーションにおけるエージェントの行動を補正するデータを生成する(ステップS25)。なお、このステップS25における処理は、補正を要するか否かなどの条件に応じて省略することもできる。また、ステップS25を実施する場合、ステップS24とステップS25は並列に行ってもよく、それぞれ実施する処理の順序は問わない。
なお、上記のステップS23において、分析部230は、さらに、活動履歴情報を含む情報から施設の利用状況を分析したり、ユーザ行動履歴情報を含む情報から施設の空間の充足状況を分析したりしてもよい。
ここで、対比のため、これまでのオフィス活動調査の一般的な方法について説明する。これまでのオフィス活動調査の一般的な方法においては、自己申告もしくは定点観測による方法が行われてきた。その自己申告による方法については、記録行為自体の稼働によってユーザの活動に変化が生じてしまうため、上記の客観調査に代わるような分析ができなかった。また定点観測では、第3者が調査を実施すると個人を特定することが困難であり、誰と誰とがコミュニケーションしているのかを記録することが不可能であった。さらに、通信を利用したコミュニケーションが調査の対象外になっていた。
仮に、通信を利用したコミュニケーションについての調査を計画しても、新たに調査のための環境を導入することが必要になる場合が多い。そのため、通信を利用したコミュニケーションについての調査を実施するには経済的な負担が大きくなってしまい、現実的な構成をとることが容易ではなかった。
これに対し本実施形態に示す方法では、客観調査システム200によって、実オフィスにおけるユーザの活動を、ユーザに低負荷で定量的に調査分析することにより、オフィス計画を設計するために要する所望の情報を得ることができる。客観調査システム200により得られた調査結果は、オフィス計画に従って整備を進めるに際して、業務プロセス、ボリューム、スタッキング、ゾーニングなどの基本計画に反映可能である。
上記の方法によれば、コミュニケーター(オフィスコミュニケーター)の通信ログなどを利用したIPフォン、チャット、メールなどによる個人・組織間のコミュニケーション調査の結果を含めて分析が可能になる。
[3.計画要件抽出システム400]
計画要件抽出システム400について、以下に説明する。
<計画要件抽出システム400の構成>
図10を参照して、本実施形態における計画要件抽出システムについて説明する。同図は、本実施形態における計画要件抽出システム400の構成図である。
計画要件抽出システム400は、計画要件生成部411、補正部413を備える。
計画要件生成部411は、ユーザの主観調査結果又は前記主観調査結果に基づいた分析結果の何れかを含む主観調査データと、ユーザの活動に対する客観調査結果又は前記客観調査結果に基づいた分析結果の何れかを含む客観調査データとを調査データとして取得する。例えば、計画要件生成部411が取得する客観調査データには、組織間の近接要求情報を含むものとする。
計画要件生成部411は、取得した主観調査データと客観調査データとを含む調査データに基づいて基本計画の計画要件を生成する。計画要件生成部411は、取得した主観調査データと客観調査データとを含む調査データ、生成した基本計画を可視化させる。計画要件生成部411は、これらの機能を用いて基本計画の設計を支援するための各種データを生成する。
補正部413は、シミュレータ300による検証結果により、基本計画の計画要件を生成する際の制約条件を補正する。
上記のように構成した計画要件抽出システム400は、主観調査システム100による調査結果の主観調査データと客観調査システム200による調査結果の客観調査データとを調査データに含む。計画要件抽出システム400は、例えば計画要件生成部411により調査データに基づいて、対象とするオフィスの基本計画の計画要件を生成する。また、計画要件抽出システム400は、例えば後述のシミュレータ300における検証結果に基づいて、計画要件を生成する際の制約条件を補正することもできる。
図11を参照して、計画要件抽出システム400における基本計画の計画要件を生成する処理について説明する。同図は、計画要件抽出システム400における基本計画の計画要件を生成する処理の手順を示すフローチャートである。例えば、同図に示す処理は、主観調査結果と客観調査結果とに基づいて、基本計画の計画要件を生成する場合の処理である。
主観調査システム100による調査結果である主観調査データには、ユーザの主観調査結果又は前記主観調査結果に基づいた分析結果の何れかが含まれる。客観調査システム200による調査結果である客観調査データには、ユーザの活動に対する客観調査結果又は前記客観調査結果に基づいた分析結果の何れかが含まれる。
計画要件生成部411は、主観調査データと客観調査データとを含む調査データを記憶部500から取得する。なお、上記の客観調査データには、組織間近接度が含まれる(ステップS141)。
補正部413は、補正要求情報を取得して、補正要求情報に応じた補正量を生成する(ステップS142)。例えば、補正要求情報は、主観調査データに基づいた補正を必要と判定できる情報であり、又は、後述のシミュレータ300により生成される情報である。主観調査データに基づいた補正を必要としない場合、又は、シミュレータ300によって同情報が生成されない場合には、ステップS142の処理を実施せず次の処理に進む。
計画要件生成部411は、取得した主観調査データと客観調査データとを含む調査データに基づいて必要面積を算出する。また、計画要件生成部411は、ステップS142において生成された補正量に応じて、必要面積の算出結果を補正する(ステップS143)。
計画要件生成部411は、組織間近接度と必要面積とに基づいて、スタッキング処理を実施する。スタッキング処理とは、各組織を配する階を割り付ける処理のことである(ステップS144)。
計画要件生成部411は、スタッキング処理の結果に基づいてブロッキング処理を実施する。ブロッキング処理とは、スタッキング処理により割り付けられた組織を各階の中で配置する処理のことであり、ゾーニング処理ということもある(ステップS145)。
以上の処理により、計画要件抽出システム400は、主観調査データと客観調査データとを含む調査データに基づいて基本計画の計画要件を生成することができる。
なお、主観調査結果と客観調査結果とに基づいて、基本計画の計画要件を生成する場合は上記のとおりであるが、客観調査を実施しない場合などは客観調査結果を用いることができない。このように客観調査結果を用いることができない場合には、上記ステップS143において、計画要件生成部411は、取得した主観調査データを含む調査データに基づいて必要面積を算出するようにしてもよい。一方、主観調査を実施しない場合などは主観調査結果を用いることができない。このように主観調査結果を用いることができない場合には、上記ステップS143において、計画要件生成部411は、取得した客観調査データを含む調査データに基づいて必要面積を算出するようにしてもよい。なお、主観調査結果と客観調査結果の何れの調査結果を用いることができない場合には、ユーザが定めたデータに基づいて上記の処理を実施してもよい。例えば、施設の利用を予定する人数と、利用者一人あたりに割り付ける面積の推奨値とに基づいて上記の処理を実施してもよい。
上記のように、主観調査結果と客観調査結果の何れか、又は、方法の調査結果を利用できない場合について示したが、主観調査結果の一部又は客観調査結果の一部が利用できない場合には、不足する主観調査データ又は客観調査データをユーザが補って、上記の処理を行うようにしてもよい。
以下、上記の基本計画の計画要件を生成するにあたり以下の処理をする。
・組織間近接度に基づいて各部門間の関連度が高い部門を抽出する処理について
・各部門の必要面積の算出について
・必要窓面長さの算出について
・スタッキング処理について
・ブロッキング処理について
以下、上記の処理について、より具体的な例を挙げて説明する。
(1)組織間近接度に基づいて各部門間の関連度が高い部門を抽出する処理について
まず、図12を参照して、組織間近接度に基づいて各部門間の関連度が高い部門を抽出する処理について説明する。同図は、組織間近接度に基づいて各部門間の関連度が高い部門を抽出する処理を説明する説明図である。
例えば、同図に示されるように、対象の部門を同心円状に並べる。各部門を並べる順は、前述の組織間近接度に基づいて、その組織間近接度の大きさの順に従うものとする。この各部門を並べる処理は、巡回セールスマン問題を解くアルゴリズムなどの処理を適用してもよい。
上記のように並べることにより、例えば、対象の各部門が、円状に配列され、対象の部門を頂点に配した多角形が形成される。その多角形の辺と対角線が各部門間の関連度を示す。ここで、多角形の辺で結ばれた部門は、各部門間の関連度が高い部門になるように順に並べられている。各辺に添えて示す数字は、前述の部門間の組織間近接度の値である。
この図に示された例では、A部門、B部門、D部門、C部門、E部門の各部門が下記の順に並べられている。
A部門−B部門−D部門−C部門−E部門−(A部門)
例えば、A部門とB部門、B部門とD部門、D部門とC部門、C部門とE部門、E部門とA部門のそれぞれの組織間近接度は、10、8、6、4、3ポイント(point)になる。ここで、最も組織間近接度の値が小さいE部門とA部門の辺を解いて、各辺を一列に並べる。これにより、次に示すように各部門の並びを得ることができる。
A部門−B部門−D部門−C部門−E部門
なお、上記の説明では、組織間近接度の大きさの順に従って並べるものとして説明したが、凸状の多角形の辺の合計が最大になるように並べるようにしてもよい。
(2)各部門の必要面積の算出について
図13から図17を参照して、各部門の必要面積の算出について説明する。
各部門の必要面積の算出は、次に示す複数の処理を、順に従って実施する。
・行動ログの解析結果に基づいた利用相当面積の算出
・主観調査結果に基づいた補正率の算出
・必要面積の算出
(2−1)行動ログの解析結果に基づいた利用相当面積の算出について
図13を参照して、行動ログの解析結果に基づいた利用相当面積の算出方法について説明する。同図は、行動ログの解析結果に基づいた利用相当面積の算出に用いるテーブルを示す説明図である。同図に示されるテーブルには、行動シーンID、最大利用率、単位面積、全ユーザ数、滞在率、利用相当面積の項目が設けられており、単位面積、全ユーザ数、滞在率、利用相当面積の各データが行動シーンIDに対応付けられている。
行動シーンIDは、前述の「行動シーン」をそれぞれ識別する識別情報に対応する。ここでは、シーン1から7までの行動シーンを例示している。
最大利用率は、行動調査の結果に基づいて算出された、各行動シーンにおける利用率の最大値である。
単位面積は、対応する行動シーン(行動シーンID)に対応し、ユーザが同行動シーンの行動を実施する場合の面積として推奨する面積を示す。例えば、その値は、最低計画面積基準によって予め定めておくことができ、固定値として扱うことができる。
全ユーザ数は、当該行動シーンIDに対応する行動シーンを実施するユーザの総数を示す。
滞在率は、行動ログの結果から導かれた各行動シーンの滞在率を示す。
利用相当面積は、単位面積、全ユーザ数、滞在率の値に基づいて、次の式(3)に従って算出する。
(利用相当面積)=(単位面積)×(全ユーザ数)×(滞在率) ・・・(3)
上記の式(3)を用いた利用相当面積の算出に当たり、行動シーンの前提条件を変更する場合がある。例えば、主な業務を行う行動シーン(ステーション)の形態として、固定席タイプ、フリーアドレスタイプ、又は、セミフリータイプの何れかを選択することができる。固定席タイプは、利用する席が指定されている利用形態を示す。フリーアドレスタイプは、利用中でない席を利用者が自由に選択して利用可能とする利用形態を示す。セミフリーアドレスタイプは、ある範囲内の席であって利用中でない席を、当該範囲の席を利用することが許可された利用者が自由に選択して利用可能とする利用形態を示す。
なお、客観調査結果を用いることができない場合には、上記式(3)に示す滞在率を、主観調査結果に基づいて定めた値にしてもよい。
ここで、図14を参照して、行動ログの結果に基づいて、特定の行動シーンの形態を選択する処理について説明する。同図は、行動ログの結果に基づいて、特定の行動シーンの形態を選択する処理の手順を示すフローチャートである。
計画要件生成部411は、行動ログの結果を保持する図13に示すテーブル(記憶部500)を参照して、各行動シーンの最大利用率を取得する。計画要件生成部411は、その最大利用率が、予め定められた所定の閾値TH1に満たないか否かを判定する(ステップS1421)。
ステップS1421における判定により、最大利用率が上記の閾値TH1以上であると判定された場合(ステップS1421:No)、ステップS1425に進む。
一方、ステップS1421における判定により、最大利用率が上記の閾値TH1未満であると判定された場合(ステップS:Yes)、計画要件生成部411は、予め定められている判定規則に従って、顧客の業務形態が、フリーアドレス、セミフリーアドレスの形態を提案できる業務形態であるか否かを判定する。また、提案する形態をフリーアドレスとセミフリーアドレスの何れにするかを選択する際に、計画要件生成部411は、当該部門の組織内関連度に基づいて選択するようにしてもよい。例えば、計画要件生成部411は、当該部門の組織内関連度が予め定められた閾値TH2以上であると判定した場合に、セミフリーアドレスの形態を選択し、当該部門の組織内関連度が予め定められた閾値TH2未満であると判定した場合に、フリーアドレスの形態を選択する(ステップS1422)。
ステップS1422における判定により、顧客の業務形態が、フリーアドレス、セミフリーアドレスの形態を提案できる業務形態ではないと判定した場合(ステップS1421:No)、ステップS1425に進む。
一方、ステップS1422における判定により、顧客の業務形態が、フリーアドレスの形態を提案できる業務形態であると判定した場合(ステップS1421:フリーアドレス)、ステップS1423に進む。この場合、ステップS1422における判定に従ってフリーアドレスの形態が選択されており、計画要件生成部411は、当該行動シーンの最大利用率を閾値TH1に設定して、行動シーンの形態を選択する処理を終える(ステップS1423)。
さらに、ステップS1422における判定により、顧客の業務形態が、セミフリーアドレスの形態を提案できる業務形態であると判定した場合(ステップS1421:セミフリーアドレス)、ステップS1424に進む。この場合、ステップS1422における判定に従ってセミフリーアドレスの形態が選択されており、計画要件生成部411は、当該行動シーンの最大利用率を、指示された値に設定して、特定の行動シーンの形態を選択する処理を終える。なお、最大利用率に設定する値は、予め定めた値にしてもよく、或いは、設計者が指定する値を取得して、その値を設定するようにしてもよい(ステップS1424)。
また、ステップS1421における判定により、最大利用率が閾値TH1以上であると判定された場合(ステップS1421:No)、又は、ステップS1422における判定により、顧客の業務形態が、フリーアドレス、セミフリーアドレスの形態を提案できる業務形態ではないと判定した場合(ステップS1421:No)、計画要件生成部411は、ユーザ数に応じて席数を算定する。計画要件生成部411は、候補とする席のタイプのうちから、何れかのタイプを選定して、特定の行動シーンの形態を選択する処理を終える(ステップS1425)。
(2−2)主観調査結果に基づいた補正率の算出について
図15から図17を参照して、主観調査結果に基づいた補正率の算出について説明する。図15は、主観調査結果による行動シーンごとの充足度を示すレーダーチャートである。シーン1からシーン7で示される各行動シーンの充足度についての算出結果が示されている。ここで、各行動シーンの充足度を以下に示す処理で利用する。
図16は、主観調査結果による環境ごとの充足度を示すレーダーチャートである。空間、ツール、ルール、制度、雰囲気で示される各要素の充足度についての算出結果が示されている。ここで、空間の充足度を以下に示す処理で利用する。
図17は、必要面積の算出に用いるテーブルを示す説明図である。同図に示されるテーブルには、行動シーンID、行動シーン充足率、シーン不足率、不満配分率、空間要素充足率、空間要素不満率、空間要素を加味したシーン不足率、必要面積の項目が設けられており、行動シーン充足率、シーン不足率、不満配分率、空間要素充足率、空間要素不満率、空間要素を加味したシーン不足率、必要面積の各データが行動シーンIDに対応付けられている。また、この図に示すテーブルは、前述の図13に示すテーブルと関連付けられている。同図に示す数値は、一例を示したものである。
上記テーブルにおいて、行動シーンIDは、前述の「行動シーン」をそれぞれ識別する識別情報に対応する。ここでは、シーン1から7までの行動シーンを例示している。
行動シーン充足率は、前述の図15に示した主観調査結果による行動シーンごとの充足度を百分率(充足率)で示す。
シーン不足率は、百分率で示した行動シーン充足度に対する不足度を示し、その値を百分率で示す。
不満配分率は、前述のシーン不足率を単純に加算すると100%にならない場合がある。不満配分率は、各行動シーンの不足率の合計が100になるように規格化した値を百分率で示す。
空間要素充足率は、前述の図16に示した空間の充足度を百分率(充足率)で示す。ここでは、各行動シーンに一律の値を設定する。
空間要素不満率は、空間の充足度に対する不足度を示し、その値を百分率で示す。
空間要素を加味したシーン不足率は、前述の不満配分率の値と空間要素不満率の値との積を百分率で示す。
上記のとおり、計画要件生成部411は、記憶部500に記憶された調査データに基づいて、前記施設を利用する組織間の関連度(対面性)から前記組織間の近接関連性を導出する。なお、組織間の関連近接性は、個人、担当、部門、部などの組織を跨ぐ相互間の対面による情報、又は、遠隔での連絡などによる情報などが含まれていてもよい。
計画要件生成部411は、主観調査データからユーザの主観的なオフィス機能に対する要望に基づいて、前記オフィス内の機能配分が不足した状況を抽出する。計画要件生成部411は、前記抽出したオフィス内の機能配分が不足した状況を解消するようにして前記オフィスの計画要件を生成する。
なお、計画要件生成部411は、さらに、前記オフィスにおける各機能の利用状況の内から前記オフィス内の機能配分が過剰な状況を抽出してもよい。計画要件生成部411は、前記抽出したオフィス内の機能配分が過剰な状況を解消するようにして、前記関連近接性に基づきオフィスの計画要件を生成する。なお、計画要件生成部411は、前記ユーザが利用している既利用施設における各機能の利用状況を含む情報と前記客観調査データの少なくとも何れかを含む前記調査データに基づいて、前記施設における各機能の利用状況の内から前記施設内の機能配分が過剰な状況を解消するように各オフィス機能への配分を調整し、オフィスの計画要件を生成してもよい。
(2−3)必要面積の算出について
図13と図17を参照して、必要面積の算出について説明する。
必要面積は、行動シーンごとに必要とされる面積を示す。計画要件生成部411は、式(4)に従って必要面積を算出する。すなわち、前述の図13に示した利用相当面積に対し、空間要素を加味したシーン不足率分を補った面積を必要面積とする。
(必要面積)
=(利用相当面積)×(100+(空間要素を加味したシーン不足率の値))/100
・・・(4)
以上に示した手順で、各行動シーンの必要面積を得ることができる。
(3)必要窓面長さの算出について
次に、図18を参照して、必要窓面長さの算出について説明する。同図は、必要窓面長さの算出方法を示す説明図である。同図に示すように、E部門からA部門までが、下記に示す順に並べて示されている。
E部門−C部門−D部門−B部門−A部門
この並びは、前述の組織間近接度に基づいて算定されたものである。一般に、建物の構造、動線の確保などの理由により、窓面からの奥行寸法を一律にする場合が多い。ここでは、窓面からの奥行きを奥行寸法Dとする。前述したように各組織の必要面積を、上記の奥行寸法Dにより除算することにより各組織に必要とされる必要窓面長さがそれぞれ算出できる。各組織に必要とされる必要窓面長さの合計を必要窓面長さLとして示す。
例えば、計画要件生成部411は、執務室奥行寸法を計画者が予め指定することで全体の必要窓面長さを算出する。より具体的な数値を挙げて説明する。例えば、全体必要面積が410mの場合、執務室の奥行寸法Dを10mに設定すると、全体の必要窓面長さLは41mになる。
(4)スタッキング処理について
次に、図19を参照して、スタッキング処理について説明する。同図は、スタッキング処理について示す説明図である。
例えば、計画要件生成部411は、この図に示すように、14階と15階の2フロアに、E部門からA部門までを割り付ける。ここでは、14階に、E部門とC部門の全部と、D部門の一部とを割り付けて、15階に、D部門の残りの一部と、B部門−A部門の全部とを割り付けた場合を例示する。
(5)ブロッキング処理について
次に、図20を参照して、ブロッキング処理について説明する。同図は、ブロッキング処理について示す説明図である。
前述のスタッキング処理の結果により、14階と15階の2フロアに、E部門からA部門までがそれぞれ割り付けられている。このブロッキング処理では、計画要件生成部411が14階と15階の各フロア内の各部門の配置を行う。その結果により、同図に示されるように、窓面に沿って各部門が配置された結果が得られる。
なお、スタッキング処理の結果から図20に示すD部門は2つの階にまたがって配置されているが、同一部門(組織)であっても部門のメンバー同士の関連度が低ければ、異なる階に配置されたとしても、利便性の低下を少なくすることができる。このような場合には、分析の単位として設定する組織を組織内の関連度に基づいてサブ組織に分割して解析するようにしてもよい。
また、上記のブロッキング処理を実施する際、階段、エレベータなどの垂直動線の位置を参照して実施することにより、より利用しやすく各部門を配置することができる。近接度が比較的高い組織同士を異なる階に配置する場合、近接度が比較的高い組織同士が垂直動線に近くなるように配置する。
また、図20に示すD部門は、2つの階に分かれて配置されており、さらにブロッキング処理の結果も、窓面の方向に互いに離れて配置されている。仮に、D部門のメンバー同士の関連度が高いと設定されていれば、計画要件生成部411は、14階と15階の何れかの階における配置の順を逆順にして、さらに、D部門を垂直動線側に配置するとよい。
計画要件抽出システム400は、以上に示した手順により、施設を利用する組織の施設内の配置についての推奨案としての計画要件を生成する。
[4.シミュレータ300]
シミュレータ300(解析部)について、以下に説明する。
<シミュレータ300の構成>
図21を参照して、本実施形態におけるシミュレータ300について説明する。同図は、本実施形態におけるシミュレータ300の構成図である。
前述のとおり、シミュレータ300は、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設において、前記業務が遂行された状況を推定する。
シミュレータ300のシミュレーションの対象として、各業務に対応する複数の領域を施設に設けるように、前記施設を模した仮想の施設内に、前記複数の領域に対応する複数の仮想領域を設ける。例えば、シミュレータ300は、複数のユーザを仮想化したエージェントに仮想空間内で行動させるマルチエージェント型の解析を行う。
シミュレータ300(シミュレーションシステム)は、設定条件取得部311、特性データ取得部312、行動データ生成部313、算出部314、判定部315、利用度集計部316、有効性検証部317、パラメータ情報設定部318を備える。
設定条件取得部311は、仮想の施設におけるエージェントを前記施設におけるユーザに見立て、ユーザの行動を模擬するように前記エージェントの行動を定める行動シーンを設定する。設定条件取得部311は、設定した各行動シーンに関するデータを行動定義TBL533に記憶させる。
例えば、設定条件取得部311は、ユーザの主観調査結果又は前記主観調査結果に基づいた分析結果の何れかを含む主観調査データと、ユーザの活動に対する客観調査結果又は前記客観調査結果に基づいた分析結果の何れかを含む客観調査データとを調査データとして取得する。設定条件取得部311は、取得した調査データに基づいて、ユーザの行動を模擬するように仮想領域におけるエージェントの行動を行動シーンとして定める。定めた行動シーンは、エージェントの行動を規定する特性データになる。なお、設定条件取得部311が取得する客観調査データに、施設を利用する複数の部門間の相互近接度が含まれていてもよい。この場合、設定条件取得部311は、施設を利用する複数の部門間の相互近接度に基づいて、或いは、主観調査データや客観調査データなどと組み合わせて、ユーザの行動を模擬するように仮想領域におけるエージェントの行動を行動シーンとして定めてもよい。
特性データ取得部312は、エージェントの特性データを取得する。エージェントの特性データには、施設を利用するユーザの主観調査又はユーザに対する客観調査の結果に応じたデータが含まれる。また、実際のユーザに異なる権限が設定されているように、エージェントにも、異なる権限のユーザに応じて異なる権限を設定してもよい。そのような場合のエージェントの特性データには、前記エージェントの権限に応じたデータが含まれる。このような特性データ取得部312は、前記仮想領域に属する前記エージェントが同じ前記仮想領域に属する他の前記エージェントと同じ行動パターンをとるように前記エージェントの行動を定める。特性データ取得部312は、エージェントの行動を定めるデータをエージェントの特性データとしてグループ構成情報TBL532に記憶させる。
行動データ生成部313は、行動定義TBL533に記憶されている行動シーンと施設データ記憶部531に記憶された施設データとに基づいて、エージェントの行動を示す行動データを生成する。施設データは、予め定められ、施設データ記憶部531に記憶されている。行動データは、エージェントの行動を示すデータである。このようにして、仮想の施設におけるエージェントを前記施設におけるユーザに見立て、ユーザの行動を模擬するように前記エージェントの行動を定める行動シーンが設定される。行動データ生成部313は、上記のように設定された行動シーンと前記記憶された施設データとに基づいて、当該エージェントの行動を示す行動データを生成する。
なお、行動データ生成部313は、前記仮想領域に属する前記エージェントが同じ前記仮想領域に属する他の前記エージェントと同じ行動パターンをとるように前記エージェントの行動を定めておき、前記定めた行動に応じて各エージェントの行動データを生成してもよい。
また、行動データ生成部313は、エージェントの性格をエージェントの特性データに応じて調整可能としてもよい。行動データ生成部313は、グループ構成情報TBL532に記憶されている各エージェントの特性データに基づいて各エージェントの行動データを生成してもよい。
算出部314は、各エージェントの行動に応じて値が変化する変数の演算処理を行う。その変数には、エージェントの知的生産の生産高、発生する熱負荷の熱量、施設内各所の利用状況などが含まれる。
算出部314は、生産高集計部3141、熱負荷集計部3142、施設利用状況集計部3143、移動履歴集計部3144を備える。
生産高集計部3141は、前記エージェントの行動によって知的生産が行われるものとし、前記仮想領域に存在する時間の増加に応じて知的生産の生産高が増加するという第1評価指標を定め、前記知的生産の生産高を集計する。
生産高集計部3141は、前記エージェントの行動によって知的生産が行われるものとし、前記エージェントが仮想領域に存在していない時間の増加に応じて知的生産の生産高が低下するという第2評価指標を定め、前記知的生産の生産高を集計するようにしてもよい。
熱負荷集計部3142は、生成したエージェントの行動に応じて発生する熱量を算出し、行動シーンに応じた熱負荷として設定する。
施設利用状況集計部3143は、生成したエージェントの行動に応じて、施設内の各所の利用状況(利用率)を算出する。
移動履歴集計部3144は、エージェントの行動に伴った行動シーン間の移動時間を集計する。例えば、移動履歴集計部3144は、ある仮想領域にエージェントが存在する時間に、前記エージェントの行動によって知的生産が行われるものとする。移動履歴集計部3144は、前記エージェントが第1の仮想領域から第2の仮想領域に移動する際の移動軌跡、又、他のエージェントと移動中に邂逅した回数とその頻度、延べ歩数などを集計する。
判定部315は、生産高集計部3141により集計された知的生産の生産高、熱負荷集計部3142により算出された発生する熱負荷の熱量、施設利用状況集計部3143により算出された施設内各所の利用状況(利用率)や機会損失率(使いたいが利用できない確率)を集計する。また、移動履歴集計部3144により集計されたエージェントの行動に伴う移動時間、エージェント間の邂逅の回数又は頻度、延べ歩数などの各集計値に応じて、施設内に配置された領域の配置の結果の良否を判定する。
また、判定部315は、エージェントの行動が他のエージェントの行動により制限されたことにより、当該エージェントの行動に機会損失が生じたこと判定するようにしてもよい。なお、判定部315は、上記の個々の判定結果を組み合わせて、組み合わせた結果に基づいて、施設内に配置された領域の配置の結果の良否を判定してもよい。
利用度集計部316は、前記エージェントの行動が、当該エージェントに与えられた権限により、又は、他のエージェントの行動により制限され、制限された回数又は当該制限により発生した待ち時間を集計する。この場合、判定部315は、利用度集計部316によって集計された結果により、当該エージェントの行動における機会損失の程度を判定するようにしてもよい。
なお、利用度集計部316は、機会損失の程度に代えて利用度を集計するようにしてもよい。この場合、利用度集計部316は、前記エージェントの行動から機能を利用した利用時間を集計する。この場合、判定部315は、利用度集計部316によって集計された結果により、当該エージェントの行動における利用度を判定するようにしてもよい。
有効性検証部317は、オフィス計画の有効性を定量的に検証する。例えば、取得した調査データに基づいて、計画要件生成部411により計画要件が生成される。生成された計画要件に基づいて設計者によりオフィス計画が設計される。有効性検証部317は、設計されたオフィス計画の有効性を、調査データに基づいて生成された計画要件に基づいて検証する。さらに具体的な例を示す。取得した調査データに基づいて生成されたオフィス計画から、特定の施設(例えば、図3における施設20)に対応する仮想施設が定められ、定められた仮想施設におけるシミュレーションの結果によりオフィス計画の有効性を検証することがある。この場合、有効性検証部317は、オフィス計画の有効性について、計画要件の項目について、設計されたオフィス計画における項目の値と、対応する計画要件の項目の値の比率に基づいて検証する。上記の処理により、オフィス計画の有効性を定量的に検証することができる。
本実施形態における有効性検証部317は、さらに、下記の方法でオフィス計画の有効性を検証することが可能である。
例えば、業務に対応する複数の領域を前記施設に設けるように、施設20を模した仮想の施設内に、前記複数の領域に対応する複数の仮想領域が設けられている。有効性検証部317は、前記仮想の施設におけるエージェントを前記施設におけるユーザに見立て、ユーザの行動を模擬するように前記エージェントの行動を定める行動シーンを設定する。有効性検証部317は、設定した行動シーンと前記仮想の施設の施設データとに基づいて、当該エージェントの行動を示す行動データを生成する。また、有効性検証部317は、生成した行動データに基づいて前記オフィス計画の有効性を検証するようにしてもよい。仮想施設におけるシミュレーション及びオフィス計画の有効性の検証についての詳細は後述する。
パラメータ情報設定部318は、主観調査システム100と客観調査システム200による分析結果に基づいて、シミュレータ300の制約条件を設定するパラメータ情報を生成する。パラメータ情報設定部318は、シミュレータ300におけるエージェントの行動特性を実際のユーザの行動特性に近くなるように補正するパラメータ情報を生成する。例えば、パラメータ情報設定部318は、客観調査システム200による分析結果から導かれる行動特性データに基づいたエージェントの行動を、ユーザの行動特性に近くなるように補正する情報として、パラメータ情報を設定してもよい。或いは、パラメータ情報設定部318は、客観調査システム200による分析結果から導かれる行動特性データに基づいたエージェントの行動を、主観調査システム100による分析結果から導かれるユーザの行動特性になるように補正する情報として、パラメータ情報を設定してもよい。例えば、後者の場合として、客観調査システム200による分析結果から導かれるユーザの行動特性が、主観調査システム100による分析結果から理想とされる行動特性になっていないと判定できる場合が挙げられる。このような場合、理想とされる行動特性になるように行動特性データを設定するパラメータ情報を設定してもよい。
記憶部500は、施設データ記憶部531、グループ構成情報TBL532、行動定義TBL533、共通行動定義TBL534、機能定義TBL535、移動先配分TBL538、始業条件設定TBL539、履歴情報TBL536(移動履歴データ記憶部)を備える。施設データ記憶部531、グループ構成情報TBL532、行動定義TBL533、共通行動定義TBL534、機能定義TBL535、移動先配分TBL538、始業条件設定TBL539、履歴情報TBL536の例について後述する。
上記のように構成されたシミュレータ300は、設計されたオフィス基本計画についての検証処理を実施する。
図22を参照して、シミュレータ300における処理について説明する。同図は、シミュレータ300における処理の手順を示すフローチャートである。
設定条件取得部311は、主観調査システム100による主観調査結果又は客観調査システム200による客観調査結果に基づいて、後段のシミュレーションにおけるエージェントの行動特性を設定する(ステップS41)。
主観調査システム100又は客観調査システム200による調査結果から生成された近接要求度に基づいて、施設における各機能の配置案が定められている。設定条件取得部311は、施設内の各機能の配置に係る情報を取得して、取得した配置に係る情報を施設データ記憶部531、行動定義TBL533に記憶させる(ステップS42)。
パラメータ情報設定部318は、客観調査システム200による客観調査結果に基づいて、後段のシミュレーションにおけるエージェントの行動特性を補正する(ステップS43)。算出部314は、設定された条件に基づいてシミュレーションを実施する(ステップS44)。
有効性検証部317は、上記のシミュレーション結果に基づいてオフィス計画の有効性を検証する(ステップS45)。有効性検証部317は、検証結果を出力する(ステップS46)。
以上に示す処理により、シミュレータ300は、上記の検証結果に基づいて基本計画の検証処理を実施する。
<施設において想定される行動シーンのシミュレーションについて>
本実施形態において、シミュレーションの対象とする施設は、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成されている。シミュレータ300は、このような施設において業務がそれぞれ遂行される状況を、仮想の施設において業務が遂行されるものとしてシミュレーションする。このシミュレーションの結果により、仮想の施設において発生する事象を通して、実際の施設において生じ得る事象の発生を予測する。
シミュレータ300は、各業務に対応する複数の領域を実際の施設に設けるように、前記施設を模した仮想の施設内に、実際の施設における複数の領域に対応させた複数の仮想領域を設ける。設けられた仮想領域を仮想の施設の施設データとして施設データ記憶部531に記憶する。
シミュレータ300は、前記仮想の施設におけるエージェントを前記施設におけるユーザに見立て、ユーザの行動を模擬するように前記エージェントの行動を定める行動シーンを設定する。シミュレータ300は、設定した行動シーンと、施設データ記憶部に記憶された施設データとに基づいて、当該エージェントの行動を示す行動データを生成する。
<シミュレータ300の主な特徴>
以下、シミュレータ300の主な特徴を整理する。
(ア)「マルチエージェント」について
本実施形態のシミュレータ300は、複数のユーザに対応する複数のエージェント(マルチエージェント)を仮想空間内に定義して、オフィス内における活動を再現する。例えば、シミュレータ300は、実在する複数のユーザがそれぞれの業務を並行して行うように、仮想空間内で仮想の複数のユーザ(エージェント)が業務を行うように構成する。例えば、エージェントには、複数のタイプを設けて、タイプごとに個別の行動特性を設定することにより、担当する業務の違いなどによる行動の違いを再現できるようにする。例えば、複数のタイプには、営業職(Salesperson)、技術職(Engineer)、管理職(Manager)などのタイプを設定してもよい。
(イ)「行動特性」について
シミュレータ300は、エージェントの行動特性として、エージェントのタイプに応じた行動特性を各エージェントに個別に設定する。例えば、行動特性として、標準的な出社時刻、終業時刻、残業を実施する比率、歩行速度、各種行動シーンを選択する比率などが挙げられる。また、シミュレータ300は、エージェントの行動特性を条件に応じて切り替えができるように、各エージェントの行動特性として複数の行動特性を設定する。このように複数の行動特性を切り替えることにより、例えば、各エージェントは、1日の内で条件に応じて異なる行動特性を選択することができ、選択した行動特性に従って行動することができる。
最も単純な例として、シミュレータ300が平常時の行動と非平常時の行動とを模擬して、平常時の行動と非平常時の行動を相互に切り換える場合について説明する。例えば、平常時を、実際のユーザの出勤から退勤までとして、非平常時を、昼休みなどの休憩時間帯、残業時間帯、管理職の不在時などとする。
平常時の行動特性は、実際のユーザの出勤から退勤までの行動について、各職位に関する実在する複数のユーザの行動を実測し、ユーザが行動シーンを選択する確率、行動シーン間の移動確率、滞在時間などを計数して数値化する。非平常時の行動特性についても平常時と同様の手法により、非平常時として設定する昼食時の行動などを実測して、非平常時における行動シーン間の移動確率、滞在時間などを計数して数値化する。このように数値化したデータをエージェントの行動特性として利用する。さらに、非平常時の行動として、昼食時を含む休憩時間帯の行動の他、残業時間帯の行動や、管理職の不在時の行動などを設定してもよい。例えば、残業時間帯の行動特性として、残業時間帯における残業を実施するユーザと残業をしないユーザとの比率を設定する。また、管理職の不在時に管理職の業務を代行するユーザなどについて、管理職が離席した場合と管理職が在席している場合(平常時)の行動特性とを設定しておき、管理職が在席しているか否かに応じて、当該ユーザの行動特性を、管理職が離席した場合と管理職が在席している場合の何れの行動特性を選択するかにより調整する。この設定は、後述する伴連れ行動などを定めるデータのように異なる数値データとして分けて設定してもよく、或いは、平常時の行動特性からの変化量、変化率などのように、平常時の行動特性を基準にして、その差を定義するようにしてもよい。伴連れ行動などを定めるデータには、管理者の空き時間を待つ出待ち状態や、管理者に連れ立って移動する伴連れなどの行動に適用させるためのデータが含まれていてもよい。以下の説明では、供連れ行動を代表して説明する。
(ウ)「行動シーン」について
実際の業務が行われている状況において、種類が異なる行動シーンがあることに着目し、仮想空間において業務が行われている状況をモデル化する。モデル化する際に、複数の行動シーンを設定する。例えば、モデル化した複数の行動シーンとして、次に示す7つの行動シーンを設定する。7つの行動シーンは、「スィンク(Think)」、「ステーション(Station)」、「コミュニティー(Community)」、「レビュー(Review)」、「レセプション(Reception)」、「アカデミー(Academy)」、「ブレイク(Break)」である。上記の各行動シーンについての説明は、特許4500846号を参照する。上記を鑑みて、各行動シーンの知的生産性の値を設定する。
なお、シミュレータ300は、実際のユーザの行動をより忠実に再現できるように、次の設定を行えるようにしてもよい。
例えば、ユーザの座席を固定せずに、ユーザが作業する席を必要時に選択できるように運用する場合がある。このような運用をする場合には、シミュレータ300の設定において、固定席又はフリーアドレスの何れかを選択可能とし、範囲ごとに独立して設定する。
例えば、組織における指揮・命令を当該組織のメンバーに指示する場合、又は、ノウハウやスキルなどのように、グループに必要とされる情報を組織で共有するために、組織などを単位とするグループで共通の行動をする場合がある。このような行動をとる場合、組織のメンバーが纏めて移動することが多い。このような状況に適用するため、シミュレータ300は、特定の行動シーンにおいて、指示をメンバーに伝達するための行動や伴連れ行動などを起こすように設定できるようにしてもよい。上記のように、指示をメンバーに伝達するための行動や伴連れ行動などが設定されている行動シーンの場合には、その組織のメンバーが、その行動シーンに応じてメンバーに共通する開催場所に移動するように設定することができる。
シミュレータ300は、その設定において、各行動シーンに標準利用人数、利用時間を設定し、エージェントは利用都度、標準偏差乱数による滞在行為を発生するよう設定する。
(エ)オフィス計画の有効性の「評価方法」について
有効性検証部317は、設計されたオフィス計画の有効性を、調査データに基づいて生成された計画要件に基づいて検証する。この検証には、下記の2通りの検証のうち少なくとも何れかの検証が含まれる。
第1の検証では、設計されたオフィス計画が、オフィス計画の計画要件をどの程度満たすものであるかを検証する。例えば、この第1の検証では、各シーンに割り当てられた配置について、オフィス計画の計画要件と、設計されたオフィス計画との関係において、それぞれの面積(面積配分率)の比率を算出して、算出した比率に基づいて、設計されたオフィス計画の有効性を検証する。上記の検証により、設計されたオフィス計画について、オフィス計画の計画要件を満たすものであるか否かを定量的に検証することができる。
第2の検証では、設計されたオフィス計画から仮想施設を定め、定められた仮想施設におけるシミュレーションの結果から、設計されたオフィス計画の有効性を検証する。この第2の検証により、設計されたオフィス計画における各機能に設定された面積などの充足度と組織配置の有効性を算出することができる。この検証結果から設計されたオフィス計画の有効性を定量的に検証することができる。
例えば、シミュレータ300では複数日のオフィス活動を計算可能であり、その結果から各行動シーンにおける知的生産の生産高、熱負荷の熱量、利用状況(利用率)、機会損失率(使いたいが利用できない確率)、エージェントの行動シーン間の移動時間、移動軌跡、邂逅した場所と回数や頻度、延べ歩数などを出力可能とした。複数日のオフィス活動を計算し、その結果の平均やバラつきを算出して、その算出結果を評価するようにしてもよい。本実施形態に示すシミュレーションでは、エージェントの行動が自然な振る舞いになるように乱数を用いているため、1日単位のシミュレーションの結果が必ずしも同一の結果にならない場合が多い。そこで、上記のように複数の日のシミュレーションの結果に基づいて評価を行うことにより、上記の乱数を用いた影響を低減させて評価することができる。
以下、上記の検証の具体的な構成方法について説明する。
<各種情報テーブル>
図23から図30を参照して、各種情報テーブルの構成例について説明する。
(施設データ記憶部)
図23は、施設データ記憶部の構成例を示す説明図である。
施設データ記憶部531は、施設に関する基本情報として、施設の階、機能、機能に割り付けた面積などの項目を含むデータを記憶する。機能の項目には、階にそれぞれ割り付けられた機能を示すデータが対応付けられている。例えば、機能を示すデータとして、ゾーンに分割されたエリア(ZA、ZB、ZC)、各会議室、コア部などを示すデータが含まれる。例えば、上記の施設に関する基本情報は、設計者によって設計された結果に基づいたデータが含まれる。なお、各機能に割り付けた面積の項目は、設計者によって設計された結果に対比するように、オフィス計画の計画要件として算出された結果を記憶させる項目を追加してもよい。この場合、オフィス計画の計画要件として算出された面積のデータは、前述の計画要件生成部411により生成された計画要件のデータが書き込まれる。
(グループ構成情報TBL)
図24は、グループ構成情報TBLの構成例を示す説明図である。
グループ構成情報TBL532は、各グループに所属するユーザ(エージェント)の基本情報を定義する。
グループ構成情報TBL532は、グループ、ID、タイプ、属性、出社時刻、終業時刻、歩行速度、共通行動1、共通行動2、残業率1、残業率2などの項目のデータを、IDに対応付けて記憶する。
グループの項目には、ユーザが所属する組織(グループ)を識別するデータ(グループ識別情報)が対応付けられる。IDの項目には、ユーザを識別するデータが対応付けられる。タイプの項目にはユーザの職種が、属性の項目には組織における役割が、それぞれ対応付けられる。出社時刻と終業時刻の項目には、出社時刻と終業時刻を示すデータが対応付けられる。例えば、そのデータは、実績又は就業規則などで定められた時刻に対応するデータや、時間外作業を予定しない日の時刻に対応するデータなどのデータにする。歩行速度(移動速度)の項目には、施設内を移動する速度を示すデータが対応付けられる。例えば、そのデータは歩行速度などを示すものである。共通行動1と共通行動2の項目には、グループ全員又は一部のグループ員がリーダーなどの代表者の行動に伴って、同種の行動を起こす行動があることを示すデータが対応づけられる。残業率1と残業率2の項目には、予め定めた第1時刻まで残業を実施する日数の就業日数に対する割合を示すデータと、予め定めた第2時刻まで残業を実施する日数の就業日数に対する割合を示すデータとが対応付けられる。例えば、第1時刻は、終業時刻後であって第2時刻より早くに達する時刻とする。
例えば、グループとして、グループAからグループFまでがある。グループAに所属する各メンバーは、リーダー(識別情報A01)に伴って、共通行動1として定義されているWCA1と、共通行動2として定義されているWCA2を実施するという行動特性が設定されている。
(行動定義TBL)
図25は、行動定義TBLの構成例を示す説明図である。
行動定義TBL533は、各グループに所属するユーザの標準的な行動を定義する。
行動定義TBL533は、グループ、ID、ゾーン、座席、複数の行動シーン(シーン1、シーン2、シーン3A、シーン3B、・・・、シーンN)などの項目のデータを、組織を識別するグループ識別情報(グループ)とIDとに対応付けて記憶する。
グループの項目には、ユーザが所属する組織(グループ)を識別するデータ(グループ識別情報)が対応付けられる。IDの項目には、ユーザを識別するデータが対応付けられる。ゾーンの項目には、施設内で割付(スタッキング、ゾーニング)が行われた結果、割り付けられた領域を識別するデータが対応付けられる。座席の項目には、施設内で割付(スタッキング、ゾーニング)が行われたゾーンに設けられている座席の運用形態を定めるデータが対応付けられる。
また、複数の行動シーンの項目のそれぞれには、複数の行動パターンのうちから特定の行動パターンを選択する際の確率が対応付けられている。例えば、その確率は、ユーザの行動に関する調査結果に基づいて、実際に行動していた時間を、その行動の内容に応じて複数の行動パターンの何れかに分類して、その時間の比率に基づいて定めるようにしてもよい。
例えば、グループAとBは、グループ構成情報TBL532のタイプの項目から、それぞれが技術職のグループと営業職のグループとであることが分かる。この行動定義TBL533からは、グループAを割り付けたゾーンZAでは、各座席を特定のメンバーが専用するように座席が固定して定められており、一方、グループBを割り付けたゾーンZBでは、各座席をメンバーが共用できるように、座席がフリーに定められている。
また、グループAに属する識別番号A01のユーザに対応するエージェントは、シーン1、シーン2、シーン3A、シーン3B、・・・、シーンNに定義されている比率に従って、平常時の行動シーンを選択する。上記の比率は、ユーザごとに独立して設定することができる。なお、全ての行動シーンの比率を予め定めた所定の値を初期値として設定しておき、必要に応じて変更するようにしてもよい。エージェントは、上記の比率に従って選択された行動シーンに応じて行動するように処理される。各行動シーンにおける行動の継続時間は、標準作業時間として定められており、その時間内に1つの行動を実施するものと定義する。
なお、上記に示したように、「シーン3A」と「シーン3B」は、シーン3として大別できる行動シーンを示すものである。ここで、「シーン3A」と「シーン3B」のように細分する方法を、それぞれのシーンに対応する機能が異なる場合に利用するとよい。例えば、機能に当たる会議室が複数あり、複数の会議室を使い分けてシミュレーションする場合などにシミュレーション結果の精度を高めることができる。
(共通行動定義TBL)
図26は、共通行動定義TBLの構成例を示す説明図である。
共通行動定義TBL534は、機能、共通行動、時間帯、供連れ、行動シーン、発生率の項目のデータを、組織を識別するグループ識別情報(グループ)に対応付けて記憶する。
機能の項目には、施設内に設けた機能を識別するデータを対応付ける。共通行動の項目には、代表者の行動に伴って、他のユーザ(エージェント)が行動を起こす同種の行動を示すデータを対応付ける。時間帯の項目には、共通行動を起こす時間帯を示すデータを対応付ける。例えば、時間帯は、始業時(出勤時)、業務中、昼休み、残業時などに分類することができる。供連れの項目には、代表者の行動に伴って、他のユーザ(エージェント)が行動を起こすか否かを定めるフラグを対応付ける。行動シーンの項目には、共通行動の目的とする行動シーンを示すデータを対応付ける。発生率の項目には、共通行動を起こす確率を示すデータを対応付ける。この発生率の項目を設けることにより、毎日必ず共通行動を起こす場合(確率:100%)を規定するだけでなく、曜日、特定の日、季節により任意の確率(0から100%)に変化させることができる。なお、共通行動を起こす時刻は、生成した乱数に基づいて定める。
なお、供連れ行動の影響を受ける人は、グループ内のメンバーに限らず、他のグループのメンバーも含めてもよい。
(機能定義TBL)
図27は、機能定義TBLの構成例を示す説明図である。
機能定義TBL535は、行動シーン、機能、時間別、排他、標準利用時間、利用人数、INPUT、OUTPUT、熱負荷の項目のデータを、機能を識別する機能識別情報に対応付けて記憶する。
行動シーンの項目には、行動シーンとして定義した各種シーンを識別するデータを対応付ける。機能の項目には、施設内に設けた機能を識別するデータを対応付ける。時間別の項目には、施設内に設けた機能を利用できる時間帯を指定するデータを対応付ける。例えば、業務中に会議室として利用する部屋を昼休みに昼食をとるための部屋として開放するような運用を設定することができる。
排他の項目には、施設内に設けた機能を利用する権限が、当該行動シーンに設定されているか否かを識別するデータを対応付ける。例えば、シーン1では、占用して利用できるエリアを業務時間内に利用できる。このエリアには排他の設定はなく、同エリアを各グループのユーザがそれぞれ利用可能とする。シーン2では、割り当てられたステーションにおいて業務時間内に、担当する業務を実施する。このステーションは、排他の設定がされており、利用者毎に設定されている権限に応じて、その行動シーンの利用が許可されている。シーン3のうちの1機能として会議室Aがある。この会議室Aを業務時間内に利用する場合には、権限のある利用者に限り利用することができる。例えば、権限のあるユーザには、会議室Aを業務時間内に利用を許可するように設定されている。一方、権限のあるユーザを除く、他のユーザには、利用を制限する排他設定がされている。このような設定により、権限のあるユーザに限り当該会議室を所定の時間内に利用するという状況や、排他制限が設定された会議室に空席があったとしても権限の無いユーザが利用できない状況を模擬することができる。なお、シーンNのうちの1機能として会議室Aがある。この会議室Aを昼休みに利用する場合には、上記の場合と異なり、権限の無いユーザの利用を制限する排他設定はなく、だれでも利用できる状況を模擬することができる。シーン3における会議室B、C、及び、シーンNにおける会議室Bにおいても上記の説明に準じた設定がなされている。
標準利用時間の項目には、機能を利用する際の標準の利用時間を示すデータを対応付ける。例えば、標準利用時間の項目には、各行動シーンを開始してから、その行動シーンを終えて次の行動シーンに移動を開始するまでに、当該行動シーンに滞在して業務を実施する標準的な時間を示すデータを対応付ける。なお、標準利用時間は、行動シーンごとに定めた代表値であるが、エージェントの行動がランダムに発生する様をシミュレーションするために、標準利用時間を中心に利用時間がばらつくようにしている。例えば、上記の滞在時間は、標準利用時間に乱数を乗じた長さの利用時間を設定する。標準利用時間は、同行動シーンにエージェントが滞在する滞在時間の標準値を示す。利用人数の項目には、機能を利用する最大人数を示すデータを対応付ける。INPUTとOUTPUTの項目には、機能を利用する際に見込める単位時間当たりの生産性を示すデータを対応付ける。例えば、INPUTの項目は、ユーザが入手可能なデータ量を示す。OUTPUTの項目は、ユーザが提供するデータ量を示す。熱負荷の項目には、当該行動シーンにいるユーザが発生する熱量を示すデータを対応付ける。例えば、そのデータの値は、一人のユーザが当該行動シーンの行動を実施した場合の熱量の値にする。シーン1では、ユーザ自身が発生する熱量と当該ユーザが使用する器具により発生する熱量の和を300(例えば、時間当たりに発生する熱量300W/h)とする。シーン3では、ユーザ自身が発生する熱量(例えば、時間当たりに発生する熱量100W/h)とする。例えば、上記のユーザが使用する器具には、照明設備、空調設備、換気設備など各種設備が含まれる。上記の値は、各種設備の定格容量に基づいて定めることができる。或いは、各設備を機器ごとに個別に制御できるようにした場合を模擬するなどの場合のように、上記の値を実際の利用形態に即して、消灯率や調光率、稼働率に基づいて評価した値に定めてもよい。
(移動先配分TBL)
図28は、移動先配分TBLの構成例を示す説明図である。
移動先配分TBL538は、行動シーン、「移動先と移動確率」の項目のデータを、行動シーンを識別するシーン識別情報に対応付けて記憶する。
行動シーンの項目には、行動シーンとして定義した各種シーンを識別するデータを対応付ける。この項目は、現在ユーザが置かれている行動シーンを示す。「移動先と移動確率」の項目には、現在ユーザが置かれている行動シーンから、他の行動シーンに移動する際の各移動先と、移動を生じる標準確率を示すデータを対応付ける。
(始業条件設定TBL)
図29は、始業条件設定TBLの構成例を示す説明図である。
始業条件設定TBL539は、各グループに所属するユーザの始業時の行動を定義する。
始業条件設定TBL539は、グループ、ID、複数の行動シーン(シーン1、シーン2、シーン3、・・・、シーンN)などの項目のデータを、組織を識別するグループ識別情報(グループ)とIDに対応付けて記憶する。
グループの項目には、ユーザが所属する組織(グループ)を識別するデータ(グループ識別情報)が対応付けられる。IDの項目には、ユーザを識別するデータが対応付けられる。複数の行動シーンの項目には、ユーザが始業時に最初に行う行動に対応する行動シーンを示すデータを対応付ける。例えば、毎日同じ行動パターンで始業時を迎えるユーザであれば、その行動に対応する1つの行動シーンを毎日選択するように設定する。選択され得る確率を百分率で示すとすれば、上記の場合、特定の行動シーンの値を100にして、他の行動シーンの値を0にする。
一方、日によって異なる行動パターンで始業時を迎えるユーザの場合、選択しうる複数の行動のそれぞれに対応する複数の行動シーンについて、選択され得る行動の比率に応じた値を設定する。選択され得る確率を百分率で示すとすれば、上記の場合、選択され得る特定の行動シーンの値の合計が100になるようにして、選択されない行動シーンの値を0にする。
上記のように始業条件を設定することにより、営業職のように、始業時に出社せずに、直接客先に向かうような行動をとるユーザについても、行動シーンとして「外出」に対応するシーンを設定することで、上記の場合もシミュレーションすることが可能になる。
また、ワードローブや個人用ロッカーを設けたオフィスであれば、出勤退社の際に、割り当てられたワードローブや個人用ロッカーに、ユーザが立ち寄るという行動がみられる。グループで共用する資料などを収容する書架等を設けた場合には、書架等があるところに特定のグループのメンバーが立ち寄るという行動がみられる。上記のような行動を模擬させる場合には、ワードローブ、ロッカー、書架などの位置を定めておくことにより、それらの利用状況についてもシミュレーションすることが可能になる。
(履歴情報TBL)
図30は、履歴情報TBLの構成例を示す説明図である。
履歴情報TBL536は、シミュレーションの結果を記憶する。図に示される履歴情報TBL536は、時系列データとして記録される一連の履歴情報のうち、特定の評価タイミングのデータの組を記憶するものである。例えば、特定の評価タイミングをタイミングkとして示す。タイミングkは、月日、曜日、時刻に対応付けられるものとする。なお、履歴情報TBL536は、タイミングkに続き、k+1、k+2、・・・、k+nと時系列データとして各タイミングのデータが記憶されるように構成されている。
履歴情報TBL536は、グループ、ID、位置(X、Y)、行動シーン、リンク、生産性(INPUT、OUTPUT)、熱負荷、次の位置(NX、NY)などの項目のデータを、組織を識別するグループ識別情報(グループ)とIDとに対応付けて、時系列データとして記憶する。
グループの項目には、ユーザが所属する組織(グループ)を識別するデータ(グループ識別情報)が対応付けられる。IDの項目には、ユーザを識別するデータが対応付けられる。位置(X、Y)の項目には、現時点のエージェントの位置を示すデータを対応付ける。例えば、X軸とY軸とで示される直交座標を利用して位置を定義する。行動シーンの項目には、現時点のエージェントに設定された行動シーンを示すデータを対応付ける。リンクの項目には、移動中のエージェントがいる通路を示すデータを対応付ける。ここでは、通路をリンクとみなし、通路の分岐点をノードとみなしてモデル化する。このように通路をモデル化したことにより、エージェントがリンク上を移動してノードまで到達した際に、次にエージェントが進むリンクに切り換えられる。リンクの項目は、上記の切り替えに応じたデータに設定される。生産性(INPUT、OUTPUT)の項目には、現時点のエージェントに設定された行動シーンにおいて生産される知的生産物の量を示すデータを対応付ける。熱負荷の項目には、現時点のエージェントに設定された行動シーンにおいて発生する熱量を示すデータを対応付ける。次の位置(NX、NY)の項目には、次回のシミュレーションのタイミングにおいて、エージェントの移動先として予定する位置を示すデータを対応付ける。次の位置(NX、NY)を、位置(X、Y)の項目と同じ座標軸を用いて定義する。
<シミュレータ300の処理について>
シミュレータ300は上記の各情報TBLを参照し、各情報TBLを関連付けて下記の処理をする。
(ア)施設モデルの形成処理
設定条件取得部311は、対象とする施設に関する基礎情報を取得し、エージェントが仮想の施設内を移動するルートの候補を生成する。例えば、設定条件取得部311は、候補となる複数のルートのうちから最短のルートを選択する。なお、ルートを選択する手法は、一般的なアルゴリズムを利用できる。
(イ)行動モデルを構成する処理
特性データ取得部312は、各グループに所属するユーザの標準的な行動を行動定義TBL533に設定する。
(ウ)エージェント(ユーザ)の行動をシミュレートする処理
行動データ生成部313は、行動定義TBL533に設定した行動特性に基づいて、各エージェントの行動をシミュレートする。行動定義TBL533に設定した値は、各値の標準値である。行動データ生成部313は、乱数を用いて上記の標準値を基準にしてエージェントを行動させる指令を変動させて、実際のユーザが行動するようにエージェントを行動させる。
(エ)簡素化した行動モデルを用いながら、優先して処理する行動を生成する処理
行動定義TBL533に示したように、特定の時刻の各エージェントの行動を単一の行動にして、各行動の定義を簡素化している。但し、実施している行動に割り込んで別の行動を実施することをシミュレートするために、行動データ生成部313は、実施中の行動、或いは、次に予定する行動より優先して処理する行動を指示する行動データを生成する。行動データ生成部313により生成された行動データにより、優先して処理する行動を指示されたエージェントは、その指示に従って、指示された行動を実施中の行動より優先させて処理するように制御される。例えば、このような優先して処理する行動として、他のメンバーの行動に影響される伴連れ行動などが挙げられる。上記のように優先して処理するものを含む複数の処理を候補として、それらの候補の内から1つの処理を選択してエージェントに実施させるようにする(後述の図34におけるステップS3603等を参照)。
(オ)各種評価基準に即した評価値を算出する処理
シミュレータ300は、各エージェントの行動の履歴から、各種評価基準に即した評価値を算出する。シミュレータ300は、各エージェントの行動の履歴から下記の評価値を得る。
例えば、エージェントの行動によって、行動に応じた知的生産が行われるものとし、エージェントが前記仮想領域に存在する時間の増加に応じて知的生産の生産高が増加するという評価指標(第1評価指標)を定める。行動データ生成部313によって生成された行動データには、各評価タイミングにおける知的生産の生産高(INPUT、OUTPUTの値)が含まれている。生産高集計部3141は、各評価タイミングにおける知的生産の生産高(INPUT、OUTPUTの値)を、エージェントごと、グループごと、行動シーンごとに集計して、集計した結果を評価値にする。
また、例えば、エージェントの行動によって、行動に応じた熱量が発生するものとし、エージェントが前記仮想領域に存在する時間の増加に応じて熱の発生量が増加するという評価指標(第2評価指標)を定める。熱負荷集計部3142は、生成したエージェントの行動に応じた熱量を算出し、行動シーンに応じた熱負荷として設定する。熱負荷集計部3142は、各評価タイミングにおける熱量を、エージェントごと、グループごと、行動シーンごとに集計して、熱負荷の評価値にする。
また、例えば、エージェントの行動によって、行動に応じて施設内の各所の利用状況が変化するものとし、エージェントが前記仮想領域に存在する時間の増加に応じて施設内の各所の利用率が増加するという評価指標(第3評価指標)を定める。施設利用状況集計部3143は、生成したエージェントの行動に応じて前記施設内の各所の利用状況を算出する。熱負荷集計部3142は、各評価タイミングにおける前記施設内の各所の利用状況を、エージェントごと、グループごと、行動シーンごとに集計して、前記施設内の各所の利用状況の評価値にする。
(シミュレーション結果の表示)
図31Aと図31Bと図31Cと図32とを参照して、シミュレーション結果の表示の一例について説明する。
図31Aは、シミュレーション結果をアニメーションとして表示する一例を示す説明図である。図31Bは、図31Aの説明を補足する説明図である。図31Cは、図31Aに示したシミュレーションによりエージェントが邂逅した履歴を可視化した表示の例を示す説明図である。
図31Aにおいて符号600は、画面の表示範囲を示す。画面600において、施設20を仮想化した仮想化施設の1フロアの一部が示されている。同フロアは、複数のエリアに分割されるとともに、分割されたエリアごとに機能が定義されている。例えば、エリアZSには、作業用の机が並べて配置されており、このエリアの行動シーンは、「ステーション」として定義される。エリアZRは、会議用の机が並べて配置された会議室であり、このエリアの行動シーンは、「レビュー」として定義される。エリアZCには、簡易的な打合せができる机といすが配置されており、このエリアの行動シーンは、「コミュニティ」として定義される。エリアZBは、施設20のコア領域を含み、休憩などが行える領域に指定されており、このエリアの行動シーンは、「ブレイク」として定義される。このように、仮想化施設の各エリアには、機能と行動シーンが定義されている。
画面600において、符号601から606は、エージェントを示す。符号607は、供連れ行動中のエージェントを示す。符号611から616は、エージェントがそれぞれ作業するための席を示す。例えば、エージェント601から605は、席611から615に着いて、それぞれの行動シーンに応じた業務をしている状況にある。一方、エージェント606は、席616からエリアZRに向けて移動している状況にある。符号621から623は、エージェント606が移動に利用する通路を示す。
ここで、図31Bを参照して、各エージェントの移動について説明する。各エージェントは、現在の席から移動先の席まで通路に沿って移動する。エージェントは、壁やコア領域に指定されている部分や、机、什器などが配置されている部分を通路としないように設定されている。その結果、通路の候補は網掛けをした部分になる。
例えば、エージェント606が席616からエリアZRに向け移動するにあたり、一点鎖線で示すような複数のルートの候補が挙げられる。例えば、行動データ生成部313は、これらの候補の内から最短の移動距離のルートを選択して、選択されたルートを移動ルートにする。行動データ生成部313は、選択された移動ルートに従って、現在の位置を基準にして、次の評価タイミング時の位置とする各エージェントが移動すべき位置を算出して、履歴情報TBL536に記憶させる。データ出力システム700は、次の評価タイミングに対応する画像において、次の評価タイミングの位置に各エージェントの位置を進めて表示させる。上記の処理により、エージェント606が席616からエリアZRに向けて移動するように表示される。例えば、各エージェントを顔のシンボルを用いて示しているが、その顔の近傍に小括弧を附したエージェントは移動中にあることを示す。この小括弧の数により移動速度を示し、顔に対する方向が移動の方向を示す。この図に示す例では、あたかもエージェントが直前に存在していた位置を示すかのように、エージェントの後方に小括弧を表示している。
なお、図示していないが、エージェントが移動した軌跡を本表示画面に合わせて表示させてもよい。また、エージェント同士が邂逅した位置を邂逅したタイミングに応じて表示させたり、図31Cに示すように、エージェント同士が邂逅した位置を重ねて表示させたりしてもよい。上記の図31Cでは、邂逅した回数、又は頻度が多く発生した場所ほど濃度が濃く表示されている。例えば、濃度が濃く表示されている場所には、会議室の入り口付近、コア部に設けられたエレベータの入り口付近、ユーザ同士のコミュニケーションを活性化するために設けたシーンに対応する場所などが挙げられる。このような表示の形態は、上記の濃淡の表示が、本来意図するものと一致しているか否かの判定を容易にする。
なお、上記のように表示する場合、単に移動した軌跡を表示する場合と異なり、軌跡により画面が埋まり塗りつぶされることなく表示することができ、邂逅した位置、邂逅したことが判読しやすくなる。上記の表示例では、モノクロ表示によりグレースケールで表示しているが、カラー表示により色相環に従って表示してもよく、グラデーションをかけるようにしてもよい。また、邂逅した地点を中心にとする円を表示させているが、邂逅の回数や頻度に応じて当該円の大きさを調整してもよい。例えば、邂逅の回数や頻度の増加に応じて当該円を大きくする。上記は、一例を示したものであり、邂逅した地点を示す図形の形は円に限られず、様々な形状から表示に適した形状を選択することができ、その大きさも適宜選択することができる。
なお、図31Aと図31Cに分けて説明した各表示を、共通の画面に表示するようにしてもよい。
図31Aに戻り、エージェントが移動先に到着しても席が無い場合について説明する。このような場合には、シミュレータ300は、目的の行動が行えなかったことを示す履歴情報を履歴情報TBL536に残したのち、当該エージェントの次の移動先(行動シーン)を選択して、選択した移動先に向かうように当該エージェントの移動を開始させる。
シミュレータ300は、予め定めた単位時間Tの周期で定めるタイミングの仮想施設の状態をシミュレーションにて生成している。個々の画面600は静止画として生成されているが、シミュレータ300により生成された仮想施設の状態を時間の経過に応じて順次切り替えて表示することにより、エージェントが仮想施設内を移動しているように表示される。
画面600において、エージェントが単位時間Tに移動する距離を、エージェント自身を表示した大きさに比べて小さくなるように設定したことにより、エージェントは、通路に沿ってスムーズに移動するように表示される。
図32は、シミュレーション結果として行動シーンに存在する人数をグラフにして表示する一例を示す説明図である。同図には各行動シーンに存在する人数の変化を時間の経過に応じて示した折れ線グラフが示されており、その横軸が時間、縦軸が人数を示す。
図中に示されている各折れ線のそれぞれが、各行動シーンに対応する。同図に示されているように、時間の経過に応じて各行動シーンの人数が変化している状況が読み取ることができる。
図33を参照して、シミュレータ300における処理の概要について説明する。同図は、シミュレータ300における処理の概略手順を示すフローチャートである。
設定条件取得部311は、施設データ記憶部531から、対象の施設に対応する仮想施設における対象範囲を示す情報を取得して、シミュレーションを実施する対象範囲を設定する(ステップS31)。
設定条件取得部311は、機能定義TBL535から各行動シーンを定義するデータを取得して仮想施設においてエージェントが進入可能な領域を設定し、上記の進入可能な領域を除く領域を仮想施設においてエージェントが進入できない進入不可領域として設定する(ステップS32)。
特性データ取得部312は、グループ構成情報TBL532からグループ構成情報を取得し、行動定義TBL533からエージェントの特性データを取得し、始業条件設定TBL539から各エージェントの始業条件を定めデータを取得して、各エージェントの特性を設定する(ステップS33)。
設定条件取得部311は、移動先配分TBL538から移動先と移動確率に関するデータを取得して、行動シーンの割り付けを設定する(ステップS34)。
特性データ取得部312は、共通行動定義TBL534から供連れ情報を取得して、エージェントの行動モデルを設定する(ステップS35)。
行動データ生成部313は、設定されたエージェントの行動モデルに従って、エージェントの行動をシミュレーションして、繰り返し実施されるシミュレーションの各サイクルにおいて生成された履歴データを履歴情報TBL536に記憶させる(ステップS36)。
シミュレータ300は、データ出力システム700を介して、履歴情報TBL536に記憶されているエージェントの行動を、シミュレーションの結果として出力させる(ステップS37)。
以上に示す処理により、シミュレータ300は、エージェントの特性を所望の特性に設定して、仮想施設におけるエージェントの活動をシミュレーションすることができる。
図34を参照して、シミュレータ300におけるシミュレーション処理の一例について説明する。同図は、シミュレータ300におけるシミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。以下に示す処理は、各エージェントの1日分の行動をシミュレーションする処理であり、エージェント毎に実施する。
行動データ生成部313は、グループ構成情報TBL532を参照して、シミュレーション空間における時刻がエージェントの出社時刻を経過したか否かを判定する(ステップS3601)。ステップS3601における判定の結果により、シミュレーション空間における時刻がエージェントの出社時刻を経過していないと判定した場合(ステップS3601:No)、行動データ生成部313は、シミュレーション空間における時刻がエージェントの出社時刻になるまでエージェントを待機させる。ステップS3601における判定の結果により、シミュレーション空間における時刻がエージェントの出社時刻を経過したと判定した場合(ステップS3601:Yes)、行動データ生成部313は、当該エージェントの移動先に当たる目標とする行動シーン(以下、単に「目標シーン」という。)を当該エージェントの行動を行動定義TBL533から抽出する。ただし、出社時においては、行動定義TBL533に代えて、始業条件設定TBL539から当該エージェントの行動を抽出する(ステップS3602)。
行動データ生成部313は、複数の目標とする行動シーン(目標シーン)がある状態か否かを判定する(ステップS3603)。ステップS3603における判定の結果により、複数の目標シーンがある状態と判定した場合(ステップS3603:Yes)、行動データ生成部313は、複数ある目標シーンから1つの目標シーンを選択する。例えば、行動データ生成部313は、複数ある目標シーンから、現在の位置に対して最寄りの目標シーンを選択するようにしてもよい(ステップS3604)。
ステップS3603における判定の結果により、複数の目標シーンがない状態と判定した場合(ステップS3603:No)、又は、上記ステップS3604の処理を終えた後、行動データ生成部313は、共通行動TBL533を参照して、複数のエージェントが関係する目標シーン、いわゆる供連れ行動が設定されている時間帯か否かを判定する(ステップS3605)。
ステップS3605における判定の結果により、エージェントが単独で行動する時間帯にあると判定した場合(ステップS3605:No)、行動データ生成部313は、エージェントを当該エージェントの目標シーンへ移動させる(ステップS3606)。
行動データ生成部313は、当該エージェントの目標シーンの利用が制限されているか否かを判定する(ステップS3607)。ステップS3607における判定の結果により、当該エージェントの目標シーンの利用が制限されていないと判定した場合(ステップS3607:No)、行動データ生成部313は、当該エージェントの目標シーンとして選んだ行動シーンの利用状況が、当該行動シーンを使用可能な人数以内か否かを判定する(ステップS3608)。
ステップS3608における判定の結果により、目標シーンとして選んだ行動シーンの利用状況が、当該行動シーンを使用可能な人数以内であると判定した場合(ステップS3608:Yes)、ステップS3614に進む。
ステップS3605における判定の結果により、複数のエージェントが関係する目標シーン、いわゆる供連れ行動が設定されている時間帯にあると判定した場合(ステップS3605:Yes)、行動データ生成部313は、複数のエージェントが関係する目標シーンを一緒に利用することが制限されているか否かを判定する(ステップS3611)。
ステップS3611における判定の結果により、複数のエージェントが関係する目標シーンを一緒に利用することが制限されていないと判定した場合(ステップS3611:No)、行動データ生成部313は、当該判定結果に応じて当該目標シーンを使用する人数を決定(追加)する(ステップS3612)。
行動データ生成部313は、エージェントを上記の目標シーンへ移動させて(ステップS3613)、ステップS3614に進む。
ステップS3608における判定の結果により、目標シーンを使用可能な人数以内であると判定した場合(ステップS3608:Yes)、又は、ステップS3613の処理を終えた後に、行動データ生成部313は、上記の判定に従って、エージェントに目標シーンの作業を実施させる(ステップS3614)。
行動データ生成部313は、グループ構成情報TBL532を参照して、シミュレーション空間における時刻がエージェントの執務時間を過ぎているか否かを判定する(ステップS3615)。
ステップS3615における判定の結果により、シミュレーション空間における時刻がエージェントの執務時間を過ぎていないと判定した場合(ステップS3615:No)、ステップS3602に進む。
一方、ステップS3615における判定の結果により、シミュレーション空間における時刻がエージェントの執務時間帯を過ぎていると判定した場合(ステップS3615:Yes)、当該エージェントの1日の作業を終える。上記の執務時間帯の終了時刻は、集合時刻として設定された時刻、又は、残業率に基づいて算定された残業を実施する日の作業終了時刻の何れかの時刻とする。
なお、ステップS3607における判定の結果により、下記のうちの何れかの場合には、行動データ生成部313は、他の目標シーンがあるか否かを判定する(ステップS3609)。例えば、上記の場合として、目標シーンの利用が制限されていると判定した場合(ステップS3607:Yes)、ステップS3608における判定の結果により、目標シーンとして選んだ行動シーンの利用状況が、当該行動シーンを使用可能な人数以内でないと判定した場合(ステップS3608:No)、及び、ステップS3611における判定の結果により、複数のエージェントが関係する目標シーンを一緒に利用することが制限されていると判定した場合(ステップS3611:Yes)のうちの何れかの場合が挙げられる。なお、上記のステップS3609の判定において、他の目標シーンがある場合において、行動データ生成部313は、現在の位置から他の目標シーンまでの距離が予め定められた所定の距離より遠いと判定した場合には、他の目標シーンが無いものとみなす判定を行うようにしてもよい。このように、予め定められた所定の距離より遠い目標シーンを選択しないようにしたことにより、実際のユーザが効率性を考えて選択範囲を制限することまでもシミュレーションすることができる。
ステップS3609における判定の結果により、他の目標シーンがあると判定した場合(ステップS3609:Yes)、ステップS3603に進む。
ステップS3609における判定の結果により、他の目標シーンがないと判定した場合(ステップS3609:No)、ステップS3602に進む。
以上に示す処理により、シミュレータ300は、エージェントを利用して仮想の施設における活動をシミュレーションすることができ、これにより、施設におけるオフィス計画の検証を容易にすることができる。
[5.オフィス計画支援の処理について]
本実施形態のオフィス計画支援システム1によるオフィス計画支援の処理について説明する。
オフィス計画支援システム1は、主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、計画要件抽出システム400がそれぞれ実施する処理を組み合わせて以下のオフィス計画支援の処理を実施する。
(オフィス計画作成のための条件設定に係る処理について)
オフィス計画作成のための条件を設定するには、予定するオフィス環境がいかなるものであるべきかの情報を収集することが必要である。ただし、オフィス環境は、施設の構成と入居者であるユーザの行動による影響を受けて変化する。
例えば、前述の図2に示したように、組織を形成する入居者P11が現在入居している施設を施設2−1とする。施設2−1には、機能F11が設けられている。入居者P11の行動特性を行動特性M11とする。この場合のオフィス環境Y11は、機能F11の構成状況と入居者P11の行動特性M11とにより定まる。
入居者P11は、施設2−1におけるオフィス環境Y11を、それぞれの評価基準に従って評価して(主観評価)、その良し悪しを各入居者P11が個々に判断している。そこで、オフィス計画支援システム1は、主観調査システム100により、各入居者P11を対象にその判断結果を調査して、現在の環境と各入居者P11が望む環境との乖離を示す情報を収集する。
また、オフィス計画支援システム1は、客観調査システム200により、入居者P11の施設2−1における行動を調査したり、入居者P11が通信を利用して情報を共有する通信量を調査したりすることにより、入居者の基本的な活動状況を調査する。
また、施設2−1と異なる施設2−2と施設2−3とがあり、施設2−2において入居者P12が入居し、施設2−3において入居者P13が入居している。施設2−1の場合と同様に、施設2−2には機能F12が、施設2−3には機能F13がそれぞれ設けられている。入居者P12の行動特性を行動特性M12とすると、オフィス環境Y12は、機能F12の構成状況と入居者P12の行動特性M12とにより定まる。また、入居者P13の行動特性を行動特性M13とすると、オフィス環境Y13は、機能F13の構成状況と入居者P13の行動特性M13とにより定まる。
次に、上記のように互いに異なる施設にそれぞれ入居していた各入居者が、新たな施設20の入居者になる場合について検討する。上記の場合であれば、入居者P11と入居者P12と入居者P13が、施設20に転居して、施設20の入居者になる。
単純に考えれば、転居前の施設2−1と施設2−2と施設2−3のそれぞれの設備規模を施設20に用意して、転居前と同様の行動特性で各入居者が行動すれば、転居前と同様のオフィス環境が提供されることにより、利用状況の変化は生じない。
ただし、転居前の施設2−1と施設2−2と施設2−3における機能と同等の規模の機能を施設20における機能F20として用意すると、用意した機能を入居者が共用するうえで、その機能が過剰になったり、或いは、不足したりすることがある。例えば、会議室を例に挙げて説明する。会議室は、適度に利用しない時間が生じるようにその数や規模を計画する。適度に利用しない時間が生じるようになっていないと、利用したいときに予約がいっぱいで利用することができないという状況が生じ得る。そのため、会議室は、利用状況に余裕があるように構成されていることが望まれる。
上記のように施設を併合するに当たり、例えば、転居前のそれぞれの施設における会議室の利用状況に余裕がある状況であれば、各施設における余裕度が加算されて、転居後の施設における余裕渡が過剰になる場合がある。一方、転居前の何れかの施設又は全ての施設において余裕がない状況であれば、それらの施設の余裕度を加算しても、余裕渡が不足する場合が生じ得る。
さらに、別の施設にいた入居者同士が同じ施設に入居したことにより、情報を交換する際に対面して行えるようになっている。例えば、転居前に通信手段を利用して情報を共有していた場合の一部が、転居後では、通信手段を利用せずに、対面して情報を共有できるようになる。
そこで、上記のような機会を有効に利用できるようにするために、対面して情報を共有する行為を行うための機能を、新たに入居する施設20に設けておくことが必要になる。ここで、対面して情報を共有する行為を行うための機能の規模は、新たに入居する入居者同士の関連度に応じて異なるものとなる。要するに、緊密に打合せを行うような関係にある入居者同士であれば、より多くの規模が必要になり、比較的関連度が低い入居者同士が同じ施設に同居することになったとしても、上記の目的で追加すべき規模は少なく見積ることができる。
そこで、本実施形態のオフィス計画支援システム1は、主観調査システム100により、新たに施設を利用することになる入居者から、当該入居者が予測する行動パターンについての意見を収集し、収集した意見に基づいて必要とされる規模を用意する。用意した規模の妥当性を、条件を変えたシミュレーションにより検証する。
本実施形態に示す設計支援の手法により、上記のような設計が困難な場合であっても、シミュレータ300により、定量的な算出方法にもとづいたシミュレーションを行うことにより、オフィス計画支援システム1は、施設における設備(機能)の過不足をオフィス計画の設計段階で解消できる。
(オフィス環境における機能配置の過不足を低減する設計手法について)
以下、オフィス環境における機能配置の過不足を低減する設計手法について説明する。以下に示す設計手法では、まず、オフィス計画支援システム1が下記の何れかの方法によりオフィス環境における機能配置の過不足を検出する。
第1に、客観調査システム200の行動測定部210は、行動調査により、ユーザが打ち合わせをしている位置、時刻などを特定する。特定した位置が施設における特定の機能に対応する位置に対応すると判定された場合に、客観調査システム200の分析部230は、ユーザがその機能を利用していると判定する。客観調査システム200の分析部230は、上記判定の結果を集計し、その機能の利用率が予め定めた利用率の範囲から外れる場合が生じているか否かを判定する。
第2に、シミュレータ300の判定部315は、シミュレーションの結果により、施設における特定の機能(行動シーン)の利用率が、予め定めた利用率の範囲から外れる場合が生じるか否かを判定する。
オフィス計画支援システム1は、上記の何れかの判定結果に基づいて、オフィス環境における機能配置の過不足を検出する。
次に、オフィス環境における機能配置の過不足が生じている場合に、その過不足を調整する方法について説明する。
オフィス環境における機能配置の過不足を示す過不足情報により、計画要件抽出システム400の補正部413は、下記の何れかの方法によりオフィス環境における機能配置の過不足を調整する。
第1に、計画要件抽出システム400の補正部413は、予め定めた利用率の範囲より特定の機能の利用率が低い場合、その機能に対する割り当てを削減する。
第2に、計画要件抽出システム400の補正部413は、予め定めた利用率の範囲より特定の機能の利用率が高い場合、その機能に対する割り当てを増加させる。
第3に、上記の第2の方法を行うことにより機能の割り当てが増加して、各機能を積み上げた結果、当初予定した施設の規模を上回る場合、計画要件抽出システム400の補正部413は、施設の規模を増加させるように見直す。
上記の何れか、又は複数の調整を行った後に、調整後のオフィス環境について、シミュレータ300の有効性検証部317は再び判定する。なお、上記の第1の方法で調整する場合、第2、第3の方法で割り当てた規模の施設が用意できない場合、また、転居を伴わず同じ施設で配置効率を見直す場合などの各場合に、重要度が低い機能、削減による影響度が少ない機能を優先させて割付量を削減して調整を行うようにしてもよい。
(オフィス環境における機能と生産性の評価手法について)
以下、オフィス計画支援システム1によるオフィス環境における機能と生産性の評価手法について説明する。以下に示す評価手法では、先にオフィス内の配置設計が行われ、その配置設計に基づいて、それぞれ配置された機能が効率よく利用できるか否かを評価するものである。
まず、オフィス計画支援システム1のシミュレータ300は、各機能が利用された場合の生産性の評価値を設定する。例えば、設定条件取得部311は、生産性の評価値を、単位時間当たりに情報を生成して共有可能にした情報量、及び、生成された情報を供給した情報量の合計値として定義する。例えば、対象とする情報量には、情報を共有するために調査をして、その調査の結果から取得できた情報の情報量や、設計した結果を成果物とする場合の設計情報や、会議に参加して共有できた情報量などが含まれる。
設定条件取得部311は、それぞれの行動シーンに、その行動シーンの生産性の値を定義して、単位時間当たりに情報を生成して共有可能にした情報量、及び、生成された情報を供給した情報量を、機能定義TBL535のINPUTとOUTPUTの項目にそれぞれ設定する。
次に、シミュレータ300によるシミュレーションの結果により、有効性検証部317は、エージェントがそれぞれ利用した行動シーンについて、その行動シーンの利用時間を集計するとともに、生産性についても集計する。
オフィス計画支援システム1は、設定条件取得部311に、上記のユーザ毎の生産性の集計結果に基づいて、オフィス環境を定める何れかの条件の調整を行わせる。有効性検証部317は、条件の調整がなされた後に、調整後のオフィス環境について再び判定する。
(オフィス環境における機能とエネルギー消費の評価手法について)
以下、オフィス計画支援システム1によるオフィス環境における機能とエネルギー消費の評価手法について説明する。以下に示す評価手法では、先にオフィス内の配置設計を行い、その配置設計に基づいて、それぞれ配置された機能を利用したことによるエネルギーの消費量を評価する。
まず、オフィス計画支援システム1のシミュレータ300は、施設において各機能が利用された場合のエネルギーの消費量を評価値として設定する。例えば、設定条件取得部311は、エネルギーの消費量を単位時間当たりに発生するエネルギー量として定義する。対象とするエネルギー量には、機能に対応する行動シーンにユーザ(エージェント)がいることにより発生する熱量、ユーザ(エージェント)が操作する機器から発生する熱量、同行動シーンの空調設備や照明設備を稼働させた場合に発生する熱量などが含まれる。
設定条件取得部311は、それぞれの行動シーンに対応付けて、その行動シーンのエネルギーの消費量を定義する。
次に、シミュレータ300によるシミュレーションの結果により、エージェントがそれぞれ利用した行動シーンに応じて、有効性検証部317は、その行動シーンの利用時間を集計するとともに、エネルギーの消費量についても集計する。
オフィス計画支援システム1は、設定条件取得部311に、上記のユーザ毎のエネルギーの消費量の集計結果に基づいて、エネルギー消費に影響する何れかの条件の調整を行わせる。有効性検証部317は、条件の調整がなされた後に、調整後のオフィス環境について、再び判定する。
(オフィス環境における動線の評価手法について)
以下、オフィス計画支援システム1によるオフィス環境における動線の評価手法について説明する。以下に示す評価手法では、オフィス計画支援システム1は、先にオフィス内の配置設計を行い、その配置設計に基づいて、それぞれ配置された行動シーン(機能)の間を移動するための動線を評価する。
まず、オフィス計画支援システム1のシミュレータ300は、各行動シーン間のユーザの移動を、エージェントを利用したシミュレーションの結果により検証する。シミュレータ300によるシミュレーションでは、エージェントの移動を捕捉できるような時間間隔を単位時間として設定し、単位時間ごとの施設におけるエージェントの位置を記録する。
このシミュレーションにおいて、シミュレータ300は、各エージェントを、それぞれ設定された条件に従って仮想の施設内を移動させる。例えば、シミュレータ300は、配置設計の結果に基づいて移動ルートを生成する。シミュレータ300は、移動ルートとして、現在の位置から次の行動シーンとして指定される位置までの最短ルートを抽出する。シミュレータ300は、それぞれ抽出された最短ルートとなる移動ルートを、各エージェントの動線として選択する。
このようなシミュレーションにより、エージェントは、選択された動線に沿って移動する。その移動中に他のエージェントとすれ違うこと(邂逅)がある。また、他のエージェントを追い抜いたり、他のエージェントに追い抜かれたりすることがある。シミュレータ300は、これらの場合が発生する頻度が高い場合には、そのルートにエージェントが集中する時間帯が有り、当該ルートが込み合っていると推定する。
一方で、邂逅が多くあることによりユーザ間のコミュニケーションが図れるという考え方がある。動線の設け方次第で邂逅の発生状況が変化する。また、邂逅をきっかけにコミュニケーションが活性化するような機能を積極的に配置した場合などのように、邂逅が発生した回数や頻度からその効果の検証にも、動線の評価を応用できる。
また、シミュレータ300がエージェントの移動ルートを記録して、有効性検証部317は、その記録データを取得する。これにより、有効性検証部317は、シミュレータ300から取得したエージェントの移動ルートから、エージェントの移動量を得ることができる。有効性検証部317は、エージェントの移動量から、実際の施設においてユーザが移動する距離、歩数を推定することができる。
シミュレーションにおけるエージェントの移動距離が比較的少なくなり、それに伴って移動に要する時間が少なくなることが、オフィスの計画段階にあるシミュレーションの結果により、有効性検証部317によって検証することができる。シミュレータ300により、このように計画段階で、改善が見込まれる効果を推定することが可能になる。その結果、ユーザは、オフィスを移転又は再配置することにより、オフィス内の移動に要する時間が少なくなる分の時間をシミュレータ300から得ることができるようになる。これにより、ユーザは、オフィス内の移動に要する時間が少なくなる分の時間を他の目的に利用できるように、オフィスを移転又は再配置する前の計画段階から準備を進めることが可能になる。
(オフィス環境を変更する場合のシミュレーション手法について)
以下、オフィス計画支援システム1を利用して、オフィス環境(オフィス計画)を変更する場合のシミュレーション手法について説明する。例えば、客観調査を行った段階のオフィス環境を見直して、オフィス環境を変更することがある。より具体的な例を挙げる。現在のオフィス環境の不満な点についてユーザの意見を募った結果、「休憩するための環境が不足している」などの意見が寄せられたと仮定する。このような場合に、現在のオフィスには休憩する環境が不足していると判断がなされ、休憩するための環境を充実させるようにオフィス計画の見直しが行われる。このような意見は、ユーザの主観調査の結果から導かれるものであり、ユーザが上記のような不満を感じていても、ユーザの活動(行動)を調査した客観調査の結果には表れていないことが多い。
上記のような場合に、オフィス環境の不満を解消すべくオフィス環境を補正するように、休憩用の歓談室を新たに設けたと仮定する。補正後のオフィス計画には歓談室が新たに設けられたとしても、ユーザが歓談室を利用するという行動履歴が無い。このような状況で、オフィス環境を改善する前の段階の行動履歴に基づいて行動するエージェントを用いてシミュレーションを行うと、当該エージェントが、新たに設けられた環境(行動シーン)を利用しないという現象が生じ得る。
そこで、オフィス計画支援システム1では、新たに設けられた環境(行動シーン)を、エージェントが利用するように、エージェントの行動特性を補正する。例えば、図1に示すようにオフィス計画支援システム1のシミュレータ300は、主観調査システム100から主観調査の調査データを得る。シミュレータ300は、主観調査システム100から得た主観調査の調査データに基づいて、エージェントの行動特性を補正する。この補正により、客観調査システム200の調査データに基づいて設定されたエージェントの行動パターン(行動特性)を主観調査システム100の調査データにより補正することができる。
なお、このような行動特性の補正量は、行動シーンの補正量に応じて定めるとよい。例えば、行動シーンの比率を変化させた場合、変化前後の当該比率の差、又は、変化前後の当該比率の増減率に応じて、行動特性の補正率を定める。
前述のように、行動シーンが存在しなかった場合には、シミュレータ300は、新たに設けた行動シーンの量に応じた数値を、新たに設けた行動シーンに対応するエージェントの行動特性の値として設定する。シミュレータ300は、上記の設定に応じて、他の行動シーンに対応するエージェントの行動特性の値を、新たに設けた行動シーンに対応するエージェントの行動特性の値に応じて補正する。
上記のように、シミュレータ300は、エージェントの行動特性を、主観調査システム100の調査データに基づいて補正することにより、矛盾を生じさせることなくシミュレーションすることができる。
このように補正することにより、オフィス環境の変更量が大きくなる場合であったとしても、エージェントの行動特性を補正することができ、オフィス環境の変更に伴うユーザの行動パターンの変化を推定することができる。
(1)なお、上記の客観調査システム200(オフィス活動分析システム)は、複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成されるオフィス(施設)におけるオフィス活動を分析する。分析部230は、ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析する。第4分析部234(データ生成部)は、分析の結果に基づいて、ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータを生成する。
このような、客観調査システム200は、ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析部230が分析して、第4分析部234は、分析の結果に基づいて、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータを生成する。これにより、客観調査システム200は、施設におけるオフィス計画の検証を容易にすることが可能になる。
(2)また、上記の客観調査システム200において、分析部230における第1分析部231は、前記ユーザ間の通信の履歴情報と前記ユーザの行動履歴を示すユーザ行動履歴情報との少なくとも何れか一方を含む前記ユーザのオフィス活動の状況を示す活動履歴情報から前記ユーザのオフィス活動を分析する。
このような、客観調査システム200により、検出した通信の履歴情報とユーザ行動履歴情報との少なくとも何れか一方を含む情報からユーザのオフィス活動を分析することが可能になる。
(3)また、上記の客観調査システム200において、分析部230における第2分析部232は、前記ユーザ行動履歴情報を含む情報から前記施設の利用状況を分析する。
このような、客観調査システム200により、ユーザ行動履歴情報を含む情報から施設の利用状況を分析することが可能になる。
(4)また、上記の客観調査システム200において、分析部230における第3分析部233は、前記ユーザ行動履歴情報を含む情報から前記施設の空間の充足状況を分析する。
このような、客観調査システム200により、ユーザ行動履歴情報を含む情報から施設の空間の充足状況を分析することが可能になる。
(5)また、上記の客観調査システム200において、分析部230における第4分析部234は、前記分析の結果に基づいて、前記ユーザが属するグループと他のグループとの近接要求度を生成する。
このような、客観調査システム200により、検出した通信の履歴情報とユーザ行動履歴情報とを含む情報からユーザが属するグループと他のグループとの間の関連度を分析した分析の結果に基づいて、ユーザが属するグループと他のグループとの近接要求度を生成することが可能になる。
(6)また、上記の客観調査システム200において、前記ユーザは、前記施設に配される複数のグループの何れかに属している。分析部230における第5分析部235は、前記通信の履歴情報と前記ユーザ行動履歴情報とを含む情報から前記ユーザが属するグループと他のグループとの間の関連度を分析する。
このような、客観調査システム200により、検出した通信の履歴情報とユーザ行動履歴情報とを含む情報からユーザが属するグループと他のグループとの間の関連度を分析することが可能になる。
(7)また、上記の客観調査システム200において、分析部230は、前記近接要求度に基づいて生成される前記施設のオフィス計画を補正する補正情報を、前記ユーザ行動履歴情報に基づいて生成する。
このような、客観調査システム200により、ユーザが属するグループと他のグループとの近接要求度基づいて生成される前記施設のオフィス計画を補正する補正情報を、前記ユーザ行動履歴情報に基づいて生成することが可能になる。
(8)また、上記の客観調査システム200において、前記通信の履歴情報には、前記ユーザと前記施設を利用する他のユーザとの間で通信を利用して情報を送受信した履歴情報が含まれる。例えば、前記通信の履歴情報には、前記ユーザと前記施設を利用する他のユーザ間の電話、遠隔会議システムによる音声会議やテレビ会議、WEB会議、ショートメッセージサービスを利用するチャット、電子メール、端末装置の表示画面の画面共有及びファクシミリの送受信などのうちの何れかを含む電気通信の履歴が含まれる。
このような、客観調査システム200により、前記ユーザと前記施設を利用する他のユーザとの間で通信を利用して情報を送受信した履歴情報に基づいて、ユーザが属するグループと他のグループとの近接要求度を生成することが可能になる。
(9)また、上記の客観調査システム200において、分析部230は、互いに異なる組織に属するユーザが通信を利用してコミュニケーションをとっていると判定した通信の通信量又は通信に含まれる特定のキーワードを検出した回数又は頻度を計数し、前記計数した結果に応じて、当該組織間の近接度を算定する。
このような、客観調査システム200により、互いに異なる組織に属するユーザが通信を利用してコミュニケーションをとっていると判定した通信の通信量又は通信に含まれる特定のキーワードを検出した回数又は頻度を計数し、前記計数した結果に応じて、当該組織間の近接度を算定することが可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、図1に示すオフィス計画支援システム1における主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、計画要件抽出システム400は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSなども含むものとする。
つまり、オフィス計画支援システム1における主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、計画要件抽出システム400は、内部にコンピュータシステムを備えている。オフィス計画支援システム1におけるコンピュータシステムが実施する各処理の全部又は一部の処理は、CPUなどの中央演算処理装置がROMやRAMなどの主記憶装置に上記プログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるものである。なお、主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、計画要件抽出システム400を構成する各処理部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記のものに限定されない。本発明の実施形態は、例えば、上記の実施形態を次のように変形したものとすることができる。
例えば、上記の実施形態では、本発明に関連する構成を便宜上、オフィス計画支援システム1を主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、及び、計画要件抽出システム400に分けて説明した。主観調査システム100、客観調査システム200、シミュレータ300、及び、計画要件抽出システム400の分割を、上記に例示したものと変更してもよく、各システム同士を一体化してもよい。また、各システムに含まれる一部の構成を、他のシステムの構成に含めて構成してもよい。
なお、上記のシミュレータ300におけるグループ構成情報TBL532についての説明では、始業時間及び終業時間を定数にするものとして説明したが、変数にしてもよい。例えば、シミュレータ300は、始業時間及び終業時間にフレックスタイム制度やコアタイムが適用された職場の始業時間及び終業時間を変数化してシミュレーションする。シミュレータ300は、客観調査の結果に基づいた始業時間及び終業時間の分布になるように、乱数に基づいて始業時間及び終業時間の値を設定してもよい。このように始業時間及び終業時間を変数化することにより、フレックスタイム制度が適用された職場の始業時間及び終業時間の変動を再現することができる。
また、上記の説明では、検討の対象として設定するユーザの数を組織のメンバー数とするように説明したが、実際には、休暇を取得する従業員がいることから、メンバー全員が必ずしも出社するとは限らない。このような場合、主観調査の結果などから休暇の取得率を求め、休暇の取得率に基づいて行動する人数を低減させて、低減した人数に基づいたシミュレーションを実施するようにしてもよい。
なお、上記の説明において「オフィス」として説明した箇所を「ワークプレイス」と読み合えてもよい。
なお、図に示したデータ構造は説明を容易にするため表の形式にしたものを示しているが、データ構造の形式は他の形式であってもよい。
1 オフィス計画支援システム(オフィス活動分析システム)、
100 主観調査システム、
200 客観調査システム(オフィス活動分析システム)、300 シミュレータ、
400 計画要件抽出システム、500 記憶部

Claims (11)

  1. 複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設におけるオフィス活動を分析するオフィス活動分析システムであって、
    ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析する分析部と、
    前記分析の結果に基づいて、前記ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータを生成するデータ生成部と
    を備えることを特徴とするオフィス活動分析システム。
  2. 前記分析部は、
    前記ユーザ間の通信の履歴情報と前記ユーザの行動履歴を示すユーザ行動履歴情報との少なくとも何れか一方を含む前記ユーザのオフィス活動の状況を示す活動履歴情報から前記ユーザのオフィス活動を分析する第1分析部
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のオフィス活動分析システム。
  3. 前記分析部は、
    前記活動履歴情報を含む情報から前記施設の利用状況を分析する第2分析部
    を備えることを特徴とする請求項2に記載のオフィス活動分析システム。
  4. 前記分析部は、
    前記活動履歴情報を含む情報から前記施設の空間の充足状況を分析する第3分析部
    を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のオフィス活動分析システム。
  5. 前記分析の結果に基づいて、前記ユーザが属するグループと他のグループとの近接要求度を生成する第4分析部
    を備えることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載のオフィス活動分析システム。
  6. 前記ユーザは、前記施設に配される複数のグループの何れかに属しており、
    前記分析部は、
    前記通信の履歴情報と前記ユーザ行動履歴情報とを含む情報から前記ユーザが属するグループと他のグループとの間の関連度を分析する第5分析部
    を備えることを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載のオフィス活動分析システム。
  7. 前記分析部は、
    前記近接要求度に基づいて生成される前記施設のオフィス計画を補正する補正情報を、前記活動履歴情報に基づいて生成する
    ことを特徴とする請求項5に記載のオフィス活動分析システム。
  8. 前記通信の履歴情報には、前記ユーザと前記施設を利用する他のユーザとの間で通信を利用して情報を送受信した履歴情報が含まれる
    ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のオフィス活動分析システム。
  9. 前記分析部は、
    互いに異なる組織に属するユーザが通信を利用してコミュニケーションをとっていると判定した通信の通信量又は通信に含まれる特定のキーワードを検出した回数又は頻度を計数し、前記計数した結果に応じて、当該組織間の近接度を算定する
    ことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のオフィス活動分析システム。
  10. 複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設におけるオフィス活動を分析するオフィス活動分析方法であって、
    ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析部が分析するステップと、
    前記分析の結果に基づいて、前記ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータをデータ生成部が生成するステップと
    を含むことを特徴とするオフィス活動分析方法。
  11. 複数の種類の業務が各ユーザによってそれぞれ遂行されるように構成される施設におけるオフィス活動を分析するオフィス活動分析システムのコンピュータに、
    ユーザ間の通信の履歴とユーザの行動履歴の何れかを含む情報を分析部が分析するステップと、
    前記分析の結果に基づいて、前記ユーザのオフィス活動の状況を示すデータであって、前記ユーザのオフィスを補正するためのデータをデータ生成部が生成するステップと
    を実行させるためのプログラム。
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