JP2016113002A - ハンドルグリップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単に構成するとともに消費電力を抑制したうえで、ハンドルグリップ装置を効率的に暖めることができるようにする。
【解決手段】 ハンドルグリップ装置は、ハンドルパイプ13の外側端部に組み付けられる円筒状のインナーグリップ21と、インナーグリップ21の外周面上に設けたアウターグリップ22と、インナーグリップ21とアウターグリップ22との間に介装した発熱被膜31〜34とを備えている。ハンドルグリップ装置のハンドルパイプ13への組付け状態にて、インナーグリップ21の軸線方向の外端側に位置する部分におけるインナーグリップ21の外周面に対する発熱被膜32〜34の面積比率は、インナーグリップ21の軸線方向の内端側に位置する部分におけるインナーグリップ21の外周面に対する発熱被膜31の面積比率よりも小さい。
【選択図】 図3
Description
本発明は、二輪車、三輪バギー、スノーモービル、水上バイクなどの移動体のハンドルパイプの外側端に組み付けられて、運転者によって運転操作されるハンドルグリップ装置に関する。
従来から、下記特許文献1〜3に示されているように、ハンドルグリップ装置内に発熱体を設けてハンドルグリップ装置を暖めることはよく知られている。下記特許文献1には、一枚の発熱シートをほぼ全周に渡ってグリップラバー内に埋め込んで、発熱シートの両端にアース接点と電源接点を設けて発熱シートに電力を供給するようにしたハンドルグリップ装置が示されている。また、下記特許文献2には、可撓性を有するシート状の電気絶縁物の表面に一本の電気抵抗体を蛇行させて接着するとともに、電気絶縁物をハンドルグリップ装置内の円筒状部材の外周面の全周又は周方向の一部に貼り付け、電気抵抗体の両端に電力を供給するようにしたハンドルグリップ装置が示されている。また、下記特許文献3には、2枚のPET(PolyEthylene Terephthalate resin)被膜の間に蛇行させた発熱体を挟んでグリップヒータを構成し、グリップヒータをハンドルグリップ装置内の円筒状のコアの外周面の一部(前方に相当する部分)を覆い、発熱体の両端に電力を供給するようにしたハンドルグリップ装置が示されている。
さらに、下記特許文献4には、発熱素子である銅箔からなるストリップパターンをフレキシブルプリント基板上に配置して、フレキシブルプリント基板をハンドルグリップ装置内に設けて、ハンドルグリップ装置を暖めるようにしたハンドルグリップ装置が示されている。そして、このハンドルグリップ装置においては、ハンドルグリップ装置をハンドルパイプに組み付けた状態で、発熱素子(銅箔)の分散密度に関して、ハンドルグリップ装置の軸線方向の内端側に位置する部分を軸線方向の外端側に位置する部分よりも高くし、かつハンドルグリップ装置の前側部分(移動体の前進方向側の部分)を後側部分(運転者側の部分)よりも高くしている。これにより、ハンドルグリップ装置の軸線方向の内端側に位置する部分を軸線方向の外端側に位置する部分よりも強く暖め、かつハンドルグリップ装置の前側部分を後側部分よりも強く暖めるようにしている。
上述のように、ハンドルグリップ装置を暖めることは外気温度が低い環境下では運転者にとって必要なことであるが、移動体における消費電力をなるべく抑制することも望まれている。運転者がハンドルグリップ装置を手で握る際には、親指及び人差し指が位置するハンドルグリップ装置の内端側の部分には全周に渡って手のひらが接触するが、小指側が位置するハンドルグリップ装置の外端側の部分には全周に渡って手のひらが接触することはなく、ハンドルグリップ装置の下側又は後側において手のひらが接触しない部分がある。したがって、ハンドルグリップ装置を暖める場合には、ハンドルグリップ装置の軸線方向における内端側を外端側よりも強く暖めることが効果的である。しかしながら、上記引用文献1〜3においては、発熱体である発熱シート、電気抵抗体又はグリップヒータが、ハンドルグリップ装置の軸線方向の両端間においてほぼ均等に設けられており、消費電力を抑制してハンドルグリップ装置を効率よく暖める点では問題がある。
この点に関して、上記特許文献4のハンドルグリップ装置においては、発熱素子(銅箔)の分散密度をハンドルグリップ装置の各部分において上述のように異ならせることにより、消費電力を抑制してハンドルグリップ装置を効率よく暖める工夫がなされている。しかしながら、上記特許文献4のハンドルグリップ装置においては、発熱素子のストリップパターンを位置に応じて変化させたフレキシブルプリント基板を用いており、フレキシブルプリント基板の構成が複雑であるとともに、フレキシブルプリント基板をハンドルパイプに組み付けるとういう複雑な構成を採用しているために、ハンドルグリップ装置の構成が複雑であるとともに、製造コストが高くなるという問題がある。
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、簡単な構成で消費電力を抑制したうえで効率的に暖められるようにしたハンドルグリップ装置を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、本発明の特徴は、ハンドルパイプ(13)の外側端部に組み付けられる円筒状のインナーグリップ(21)と、インナーグリップの外周面上に設けたアウターグリップ(22)と、インナーグリップとアウターグリップとの間に介装した発熱被膜(31〜34,35,36,37)とを備えたハンドルグリップ装置において、ハンドルグリップ装置のハンドルパイプへの組付け状態にて、インナーグリップの軸線方向の外端側に位置する部分におけるインナーグリップの外周面に対する発熱被膜(32〜34,35b,37)の面積比率を、インナーグリップの軸線方向の内端側に位置する部分におけるインナーグリップの外周面に対する発熱被膜(31,35a,36)の面積比率よりも小さくしたことにある。
この場合、例えば、インナーグリップの内端側に位置する部分の発熱被膜(31)はインナーグリップの軸線方向に連続して全周に設けられ、かつインナーグリップの外端側に位置する部分の発熱被膜(32〜34)は、インナーグリップの軸線方向に所定の間隔を隔てて複数に分割されているとともに、インナーグリップの全周の一部に設けられている。また、インナーグリップの内端側に位置する部分の発熱被膜(31)はインナーグリップの軸線方向に連続して全周に設けられ、かつインナーグリップの外端側に位置する部分の発熱被膜(32〜34)は、インナーグリップの軸線方向に所定の間隔を隔てて複数に分割されて全周に設けられているようにしてもよい。また、インナーグリップの内端側に位置する部分の発熱被膜(35a,36)はインナーグリップの軸線方向に連続して全周に設けられ、かつインナーグリップの外端側に位置する部分の発熱被膜(35d、37)は、インナーグリップの軸線方向に連続して全周の一部に設けられているようにしてもよい。
前記のように構成した本発明の特徴においては、インナーグリップとアウターグリップの間に発熱被膜を介装し、ハンドルグリップ装置を暖めるようにした。これにより、本発明の特徴によれば、ハンドルグリップ装置が簡単に構成されて、製造コストを下げることができる。また、本発明の特徴においては、インナーグリップの軸線方向の外端側に位置する部分におけるインナーグリップの外周面に対する発熱被膜の面積比率を、インナーグリップの軸線方向の内端側に位置する部分におけるインナーグリップの外周面に対する発熱被膜の面積比率よりも小さくした。これにより、ハンドルグリップ装置の内側部分を外側部分よりも強く暖めることができ、発熱被膜による消費電力を抑制したうえで、ハンドルグリップ装置を効率的に暖めることができる。
また、本発明の他の特徴は、さらに、発熱被膜に電力を供給するための一対の長尺状の電極板(26,27)を、インナーグリップの外周面上に、周方向に所定の間隔を隔てて軸線方向に沿って設けたことにある。これによれば、発熱被膜の面積比率をインナーグリップの軸線方向の外端側に位置する部分と内端側に位置する部分とで異ならせるために、前述のように、発熱被膜を軸線方向に間隔を設けて分散配置したり、発熱被膜をインナーグリップの全周の一部に配置したりしても、簡単な構成で発熱被膜に電力を供給できるようになる。
また、本発明の他の特徴は、発熱被膜を、インナーグリップの外周面上及び一対の電極板上に液体状態にある被膜材料を塗布して形成したことにある。これによれば、発熱被膜が、インナーグリップ21の外周面上及び一対の電極板上に簡単に形成される。
a.実施形態
以下、本発明の一実施形態に係るハンドルグリップ装置について説明するが、その前に、自動二輪車におけるハンドルグリップ装置の使用状態について説明しておく。図1は、自動二輪車の前部を示す概略平面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るハンドルグリップ装置について説明するが、その前に、自動二輪車におけるハンドルグリップ装置の使用状態について説明しておく。図1は、自動二輪車の前部を示す概略平面図である。
自動二輪車は、下端を上端に対して若干前方に位置させるように傾けて上下方向に延設されて、軸線回りの回転により前輪11を左右に操舵する操向軸12を備えている。操向軸12の上端部は、左右方向に延設された円筒状のハンドルパイプ13の中央部に連結されている。ハンドルパイプ13は、中央部を左右方向に延設させ、左右外側部を斜め後方に延設させている。ハンドルパイプ13の左端部及び右端部の外周面上には、左ハンドルグリップ装置20及び右ハンドルグリップ装置40がそれぞれ組み付けられている。したがって、運転者が左右ハンドルグリップ装置20,40を手で握ってハンドルパイプ13を水平面内にて回動させると、その回動力が操向軸12を介して前輪11に伝達され、前輪11が左右に操舵される。また、前輪11の上方には、ヘッドライト14、スピードメータ15、タコメータ16などが配置されている。
左ハンドルグリップ装置20について、図面を用いて説明する。図2は、左ハンドルグリップ装置20の外観を示す正面図(運転者側から見た外観図)である。図3は、図2のIII−III線に沿って見た左ハンドルグリップ装置20の中心軸を通る縦断面図である。図4は、図2のIV−IV線に沿って見た左ハンドルグリップ装置20の中心軸を通る横断面図である。図5は、図2のV−V線に沿って見た左ハンドルグリップ装置20の断面図である。図6は、左ハンドルグリップ装置20におけるインナーグリップ21に対する電極板26,27の固定及び発熱被膜31〜34の形成を説明するための斜視図である。なお、図3及び図4の断面図においては、後述するスイッチケース23及び制御線25を省略するとともに、インナーグリップ21の内周面に形成された凹部21aの境界線に関しては上端及び下端以外の部分では省略して示している。また、以下の左右ハンドルグリップ装置20,40の説明では、その前後、左右及び上下の各方向は、自動二輪車の前後、左右及び上下の各方向と一致した方向である。特に、左右ハンドルグリップ装置20,40の前側は自動二輪車の前進方向側であり、後側は運転者側である。
左ハンドルグリップ装置20は、インナーグリップ21、アウターグリップ22及びスイッチケース23を備えている。インナーグリップ21は、詳しくは後述するが、樹脂により略円筒状に形成されて、ハンドルパイプ13の外周面上に組み付け固定されている。アウターグリップ22は、詳しくは後述するが、ゴムにより略円筒状に形成されて、インナーグリップ21の外周面上に固着されている。スイッチケース23は、樹脂により内部に円柱状の空間を有するように縦断面円形状に構成されており、アウターグリップ22の右側端部の外周面との間に円筒状の空間を設けてアウターグリップ22の右側端部を覆うとともに、ハンドルパイプ13を貫通させて、アウターグリップ22の右側端部の外周面上に固定されている。
スイッチケース23の上面には、運転者によって操作されて左右ハンドルグリップ装置20,40の加熱・非加熱を切換えるスイッチ操作子24が設けられている。スイッチケース23の内周面とアウターグリップ22の外周面との間の上部空間には、図示省略した回路基板が配設されており、回路基板上にはスイッチ操作子24によってオン・オフされるスイッチが設けられている。スイッチケース23の下面には貫通孔が設けられており、この貫通孔には、外部に設けた電気制御回路に接続された制御線25及び後述する給電線28,29を内蔵した絶縁チューブ38が侵入している。制御線25は、金属導線(例えば銅線)を樹脂製の絶縁被膜で被覆して構成され、アウターグリップ22の外周面とスイッチケース23の内周面との間に設けた円筒状の空間を通過して、スイッチのオン・オフ状態を検出するために回路基板に接続されている。
次に、インナーグリップ21及びアウターグリップ22について詳しく説明する。インナーグリップ21は、ハンドルパイプ13の左端部に勘合されて、ハンドルパイプ13の外周面上に接着剤により固定される部材である。インナーグリップ21は、樹脂成型により略円筒状に形成され、その内径(最小の内径)はハンドルパイプ13の外径にほぼ等しい。インナーグリップ21の内周面上には、周方向の適宜箇所にて軸線方向に延設された凹部21aが形成されている。これは、インナーグリップ21をハンドルパイプ13の外周面上に接着剤を用いて固着した後に大きな接着力を得て、左ハンドルグリップ装置20の軸線周りの回転操作時に、ハンドルパイプ13の外周面とインナーグリップ21の内周面との間に周方向のずれ(滑り)が生じないようにするためである。インナーグリップ21の外周面上には、周方向の適宜箇所にて軸線方向に延設された凸部21bが形成されている。これは、インナーグリップ21上をアウターグリップ22で覆った後に大きな密着力を得て、左ハンドルグリップ装置20の軸線周りの回転操作時に、インナーグリップ21の外周面とアウターグリップ22の内周面との間に周方向のずれ(滑り)が生じないようにするためである。
インナーグリップ21の外周面における後側及び前側の上下方向の中央位置には、一対の電極板26,27を取り付けるための取付け部21c,21dが設けられている。この取付け部21c,21dは、インナーグリップ21の上下方向の中央位置を中心にして上下に所定長さを有し、インナーグリップ21の軸線方向の左端から右端近傍までに渡って左右方向に長い長方形の範囲を平らに形成した領域である。また、取付け部21c,21dの軸線方向の適宜箇所(本実施形態では3箇所)には、位置決め用の円柱状の小突起21c1,21d1が形成されている。
取付け部21c,21dの右端には、所定の厚さを有するとともに、取付け部21c,21dの上下方向の長さに等しい上下方向の長さを有し、取付け部21c,21dの表面から直角に後方及び前方にそれぞれ突出した長方形の一対の突出片21e,21fが形成されている。また、突出片21e,21fの若干左側の外周面上であって、取付け部21c,21dの下方位置には、インナーグリップ21の軸線方向に所定小さな間隔を設けて径方向に環状に突出させた一対の突出部21g,21hが形成されている。そして、この一対の突出部21g,21hにより、取付け部21c,21dの下方のインナーグリップ21の外周面上には環状の溝が形成されている。
取付け部21c,21dに取り付けられる一対の電極板26,27は、銅などの導電性金属で平板状に構成されている。この一対の電極板26,27も左右方向に長い長方形状に形成され、その上端及び下端は取付け部21c,21dの上端及び下端にそれぞれ位置し、かつその左端及び右端は取付け部21c,21dの左端及び右端よりも若干内側に位置する。この一対の電極板26,27の右端部には、製品の完成状態ではU字状に曲げられた曲げ部26a,27aが形成されている。また、電極板26,27の上下方向の中央位置であって、左右方向の適宜箇所(本実施形態では3箇所)には、インナーグリップ21への組付けの際に用いられる位置決め用の貫通孔26b,27bが形成されている。
電極板26,27の曲げ部26a,27aには、外部に設けた電気制御回路に接続されて電極板26,27に電圧を印加して電力を供給するための給電線(ワイヤハーネス)28,29の先端部がそれぞれ半田付け固定されている。給電線28,29は、金属導線(例えば銅線)を先端部以外において樹脂製の絶縁被膜で被覆して構成され、それらの先端部が曲げ部26a,27aの外側壁に設けた貫通孔をそれぞれ貫通して突出し、突出した部分が曲げ部26a,27aの外側壁の外面にそれぞれ半田付けされている。また、給電線28,29は、下方に延設されて、突出部21g,21hによって形成された溝内に侵入してインナーグリップ21の外周面上に沿って湾曲して下方に延設されとともに、インナーグリップ21よりも下方位置にて直線状に下方に延設されている。2本の給電線28,29は、インナーグリップ21よりも下方位置にて束ねられて、樹脂製の絶縁チューブ38により被覆されている。絶縁チューブ38の上端部の外周面上には、熱収縮チューブ39が組付けられて、給電線28,29及び絶縁チューブ38は熱収縮チューブ39の熱収縮により固定されている。
インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上には、発熱被膜31,32,33,34が設けられている。発熱被膜31,32,33,34は、所定の電気抵抗を有して、電流を流すことによって発熱する被膜である。発熱被膜31,32,33,34は、発熱因子としてのカーボン材料を主成分とし、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面に密着させるための各種樹脂材料を含む部材である。カーボン材料としては、例えば、グラファイト、グラフェン、CNT、カーボンブラックなどが使用され得る。各種樹脂材料としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、無機バインダーなどが使用され得る。
発熱被膜31は、インナーグリップ21の軸線方向に所定幅L1を有し、インナーグリップ21の右端近傍位置にて、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けられている。発熱被膜32,33,34は、インナーグリップ21の軸線方向に前記所定幅L1よりも小さな所定幅L2を有し、発熱被膜31の左側位置にて、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に所定の間隔L3を隔てて設けられている。なお、発熱被膜31と発熱被膜32との間隔も前記所定の間隔L3と同じである。これらの発熱被膜32,33,34は、発熱被膜31とは異なり、それらの下端が電極板26,27の上下方向のほぼ中央位置に位置する。これにより、後述するように、給電線28,29を介して電極板26,27に電力が供給された際には、発熱被膜31の上下方向の両中央部間に電圧が印加されるとともに、発熱被膜32,33,34の両下端部間に電圧が印加される。
例えば、発熱被膜31の幅L1は18〜22mm程度であり、発熱被膜32,33,34の幅L2はそれぞれ14〜18mm程度である。発熱被膜31,32,33,34間の間隔L3は11〜15mm程度である。そして、運転者が左ハンドルグリップ装置20を手で握った場合、発熱被膜31が親指及び人差し指の位置に対応し、発熱被膜32,33,35がそれぞれ中指、薬指及び小指の位置に対応する。
ここで、図6を用いて、インナーグリップ21への電極板26,27及び給電線28,29の組付け、並び電極板26,27及びインナーグリップ21上への発熱被膜31,32,33,34の形成について説明しておく。まず、インナーグリップ21及び電極板26,27を用意する。この状態では、電極板26,27の右端部に設けた曲げ部26a,27aは外側に直角に曲げられた状態である。また、電極板26,27の上端及び下端における長手方向の適宜箇所には、インナーグリップ21への組み付け用の薄肉かつ折り曲げ可能なかしめ部26c,27cが設けられている。また、インナーグリップ21の取付け部21c、21dの少なくとも適宜箇所には、かしめ部26c,27cがかしめ固定される角部が形成されている。このような状態にある電極板26,27を、その曲げ部26a,27aの右端をインナーグリップ21の突出片21e,21fの左端に当接させるとともに、その貫通孔26b,27b内にインナーグリップ21の小突起21c1,21d1を侵入させながら、インナーグリップ21の取付け部21c,21d上に密着させる。そして、かしめ部26c,27cを取付け部21c,21dの角部にかしめて、電極板26,27を取付け部21c,21d上に固定する。なお、この固定においては、電極板26,27を取付け部21c,21d上に接着剤を用いて固着するようにしてもよい。
このようにして、電極板26,27をインナーグリップ21の取付け部21c,21d上に固定した状態で、インナーグリップ21上に、発熱被膜31,32,33,34を形成する。この場合、前述したカーボン材料と各種樹脂材料を混合した液体状態にある被膜材料を、前述した発熱被膜31,32,33,34の形成位置であるインナーグリップ21及び電極板26,27の外表面の位置に塗布する。この場合の被膜材料の塗布方法においては、シルクスクリーン印刷、マスキングを施したスプレー塗装、インクジェット塗装などの方法が採用され得る。その後、被膜材料を乾燥させて固化させることにより、インナーグリップ21及び電極板26,27の外表面に発熱被膜31,32,33,34が形成される。
次に、電極板26,27の曲げ部26a,27aに給電線28,29を半田付けする。この場合、図6の状態にある曲げ部26a,27aを図示左上方向にそれぞれ曲げて、曲げ部26a,27aと突出片21e,21fの間に隙間を設ける。そして、先端部を予め曲げておいた給電線28,29を、その先端から曲げ部26a,27aに設けた貫通孔に図示左上方向から貫通させて先端部を突出させ、曲げ部26a,27aの右側表面に給電線28,29の先端部をそれぞれ半田付け固定する。その後、曲げ部26a,27aを給電線28,29を巻くように図示左上方向にさらにU字状に曲げて、給電線28,29の先端部を曲げ部26a,27aに堅固に固定する。そして、給電線28,29の先端部よりも若干下部分を突出部21g、21h間の溝に沿って延設させるとともに、さらに下部分を直線状に下方に延設させる。この状態が、インナーグリップ21への電極板26,27及び給電線28,29の組付け、並び電極板26,27及びインナーグリップ21上への発熱被膜31,32,33,34の形成の完了状態である。
なお、電極板26,27及び給電線28,29の組付け、並び発熱被膜31,32,33,34の形成の方法としては、上記方法以外に、次のような他の方法を採用することも可能である。第1の他の方法は、まず、電極板26,27を、前述のようにしてインナーグリップ21上に固定する。次に、給電線28,29の先端部を、前述のようにして電極板26,27の曲げ部26a,27aに半田付け固定するとともに、曲げ部26a,27aのU字状の曲げにより曲げ部26a,27aに堅固に固定する。なお、この場合も、前述のように、給電線28,29の先端部よりも若干下部分を突出部21g、21h間の溝に沿って延設させるとともに、さらに下部分を直線状に下方に延設させる。次に、インナーグリップ21及び電極板26,27上に、前述のようにして発熱被膜31,32,33,34を形成する。
第2の他の方法は、まず、給電線28,29の先端部を、前述のようにして電極板26,27の曲げ部26a,27aに半田付け固定するとともに、曲げ部26a,27aのU字状の曲げにより曲げ部26a,27aに堅固に固定する。次に、給電線28,29が固定された電極板26,27を、前述のようにしてインナーグリップ21上に固定する。なお、この場合も、前述のように、給電線28,29の先端部よりも若干下部分を突出部21g、21h間の溝に沿って延設させるとともに、さらに下部分を直線状に下方に延設させる。そして、インナーグリップ21及び電極板26,27上に、前述のようにして発熱被膜31,32,33,34を形成する。
第3の他の方法は、まず、電極板26,27を金型内に組み入れた後に金型内に液状の樹脂材料を注入して、インナーグリップ21と電極板26,27を、インサート成形により、一体成型する。次に、給電線28,29の先端部を、前述のようにして電極板26,27の曲げ部26a,27aに半田付け固定するとともに、曲げ部26a,27aのU字状の曲げにより曲げ部26a,27aに堅固に固定する。なお、この場合も、前述のように、給電線28,29の先端部よりも若干下部分を突出部21g、21h間の溝に沿って延設させるとともに、さらに下部分を直線状に下方に延設させる。次に、インナーグリップ21及び電極板26,27上に、前述のようにして発熱被膜31,32,33,34を形成する。なお、この第3の他の方法においては、給電線28,29の先端部を電極板26,27の曲げ部26a,27aに半田付け固定する工程と、発熱被膜31,32,33,34を形成する工程を逆にしてもよい。
このようないずれかの方法により、インナーグリップ21への電極板26,27及び給電線28,29の組付け、並び電極板26,27及びインナーグリップ21上への発熱被膜31,32,33,34の形成を完了した後、給電線28,29の下部を絶縁チューブ38内に下端から侵入させて貫通させる。その後、絶縁チューブ38を熱収縮チューブ39内に下端から侵入させて貫通させ、絶縁チューブ38の上端部に熱収縮チューブ39を組付ける。その後、熱収縮チューブ39に熱を加えて、2本の給電線28,29及び絶縁チューブ38を熱収縮チューブ39内に固定する。
アウターグリップ22は、インナーグリップ21の外周面を覆うゴム部材である。アウターグリップ22は、左右方向の中央部分を同径の円筒状に構成されて、左端部を環状に突出させた突出部22aを備えるとともに、右端部に所定幅に渡って厚肉に形成した厚肉部22bを備えている。
アウターグリップ22の内周面上には、インナーグリップ21の凸部21bに対応した周方向の適宜箇所にて軸線方向に延設された凹部22cが形成されている。これは、アウターグリップ22が、インナーグリップ21の外周面上に密着されて、左ハンドルグリップ装置20の軸線周りの回転操作時に、インナーグリップ21の外周面との間に周方向のずれ(滑り)が生じないようにするためである。また、アウターグリップ22の左右方向の中央部の外周面上には、周方向の適宜箇所にて軸線方向に延設された浅い長尺状の溝22dが形成されている。これは、手のひらを滑らせないで、運転者がアウターグリップ22を確実に握ることができるようにするためである。アウターグリップ22の厚肉部22bの下部に、インナーグリップ21の突出部21g,21hの中央位置を中心とするとともに、突出部21g,21hの幅よりも大きな直径を有する円柱状の穴22b1が設けられている。この穴22b1は、給電線28,29を収容した絶縁チューブ38及び熱収縮チューブ39を貫通させる。
このように構成されるアウターグリップ22をインナーグリップ21上に形成するために、本実施形態ではインサート成型が採用されている。すなわち、前述のようにして組み立てたインナーグリップ21、電極板26,27、給電線28,29、発熱被膜31,32,33,34、絶縁チューブ38及び熱収縮チューブ39からなる中間部品を、金型内に組み入れた後、金型内に液状のゴム材料を注入する。そして、成型されたアウターグリップ22を、インナーグリップ21、電極板26,27、給電線28,29及び発熱被膜31,32,33,34、絶縁チューブ38及び熱収縮チューブ39と共に金型から取り外す。これにより、インナーグリップ21、電極板26,27、給電線28,29、発熱被膜31,32,33,34、絶縁チューブ38及び熱収縮チューブ39上にアウターグリップ22を被覆した部品が完成する。
次に、制御線25が配線された回路基板を、スイッチ操作子24を備えたスイッチケース23内に組付ける。そして、制御線25をアウターグリップ22の厚肉部22bの外周面に沿わせて、スイッチケース23をアウターグリップ22の厚肉部22bに組付ければ、左ハンドルグリップ装置20が完成する。
また、右ハンドルグリップ装置40は、左ハンドルグリップ装置20とは左右方向において対称な形状であるが、前述した左ハンドルグリップ装置20と同様に構成される。この場合、右ハンドルグリップ装置40においては、アウターグリップが軸線周りに回動されることはないので、インナーグリップをハンドルパイプ13に大きな接着力で固着する必要がない。したがって、インナーグリップの内周面を凹部のない円形に形成して、インナーグリップをハンドルパイプ13の右端部の外周面に接着剤を用いて固着してもよい。また、インナーグリップの外周面に凸部を設けたり、アウターグリップの内周面に凹部を設けたりしなくてもよい。また、右ハンドルグリップ装置40においては、左右ハンドルグリップ装置20,40の加熱・非加熱を切換えるためのスイッチ操作子、回路基板、制御線は不要である。この場合には、外部の電気制御回路に接続された給電線だけがスイッチケース内に導かれて、一対の電極板に電気接続される。
上記のように構成した左右ハンドルグリップ装置20,40においては、運転者がスイッチ操作子24を操作して左右ハンドルグリップ装置20,40を非加熱状態から加熱状態へ切換えれば、その切換え指示が制御線25を介して外部に設けた電気制御回路に供給される。そして、電気制御回路は、給電線28,29を介して電極板26,27間に電圧を印加する。この電圧印加による電力供給により、発熱被膜31,32,33,34には電流が流れて、発熱被膜31,32,33,34は左右ハンドルグリップ装置20,40を加熱して暖める。逆に、運転者がスイッチ操作子24を操作して左右ハンドルグリップ装置20,40を加熱状態から非加熱状態へ切換えれば、電気制御回路は、制御線25を介した切換え指示により、給電線28,29を介した電極板26,27間への電圧の印加を停止する。したがって、この場合には、発熱被膜31,32,33,34は左右ハンドルグリップ装置20,40の加熱を停止する。
上述したように、上記実施形態の左右ハンドルグリップ装置20,40においては、インナーグリップ21及び電極板26,27上に発熱被膜31,32,33,34を設けて、それらの外周面をアウターグリップ22で覆うようにした。すなわち、インナーグリップ21とアウターグリップ22との間に電極板26,27及び発熱被膜31,32,33,34を設けるようにした。そして、発熱被膜31,32,33,34に電流を流すことにより、左右ハンドルグリップ装置20,40を暖めるようにした。したがって、上記実施形態によれば、発熱機能を有する左右ハンドルグリップ装置20,40が簡単に構成されて、製造コストを下げることができる。
また、上記実施形態の左右ハンドルグリップ装置20,40においては、アウターグリップ22の内端側すなわち親指及び人差し指が接触する位置に、比較的横幅の広い発熱被膜31をインナーグリップ21の全周に渡って設けるようにした。そして、発熱被膜31の外側すなわち中指、薬指及び小指が接触する位置には、発熱被膜31よりも狭い幅の発熱被膜32,33,34を所定の間隔を隔てて、上部にほぼ半周に渡って設けるようにした。したがって、上記実施形態によれば、インナーグリップ21の全体を発熱被膜で覆う場合に比べて、発熱被膜31,32,33,34に流れる電流量を減らすことができ、消費電力を抑制することができる。また、発熱被膜31,32,33,34は手のひらが主に接触する部分に設けられているので、左右ハンドルグリップ装置20,40を効率的に暖めることができる。
また、上記実施形態の左右ハンドルグリップ装置20,40においては、電極板26,27をインナーグリップ21の周方向において180度隔ててインナーグリップ21の後面及び前面に、インナーグリップ21の左右端近傍まで左右方向に連続的に延設させた。そして、給電線28,29を電極板26,27の右端部に設けて、発熱被膜31の上下方向の両中央部に電圧が印加されるとともに、発熱被膜32,33,34の両下端部に電圧が印加されるようにした。これにより、発熱被膜31,32,33,34を軸線方向に間隔を設けて分散配置しても、簡単な構成で発熱被膜31,32,33,34に電力を供給できる。また、インナーグリップ21の全周に設けた発熱被膜31においては、上部と下部とに同じ電圧を印加できて、発熱被膜31の上部と下部で均等な発熱量を得ることができる。また、インナーグリップ21の上部の半周に設けた発熱被膜32,33,34にも、簡単な構成で電圧を印加できる。
さらに、上記実施形態の左右ハンドルグリップ装置20,40においては、インナーグリップ21の外周面上及び電極板26,27の表面上に液体状態にある被膜材料を塗布して、インナーグリップ21の外周面上及び電極板26,27の表面上に発熱被膜31,32,33,34を形成するようにした。これによれば、発熱被膜31,32,33,34が、インナーグリップ21の外周面上及び電極板26,27の外周面上に簡単に形成される。
b.変形例
なお、本発明に係るハンドルグリップ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能である。
なお、本発明に係るハンドルグリップ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能である。
b1.第1変形例
上記実施形態においては、発熱被膜31をインナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けるとともに、発熱被膜32,33,34をインナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上部に半周に渡って設けるようにした(図6参照)。しかし、これに代えて、図7の斜視図に示すように、発熱被膜32,33,34を、発熱被膜31と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けるようにしてもよい。発熱被膜31の幅L1、発熱被膜32,33,34の幅L2及び発熱被膜31,32,33,34間の間隔L3を含む他の構成に関しては、上記実施形態の場合と同じである。
上記実施形態においては、発熱被膜31をインナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けるとともに、発熱被膜32,33,34をインナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上部に半周に渡って設けるようにした(図6参照)。しかし、これに代えて、図7の斜視図に示すように、発熱被膜32,33,34を、発熱被膜31と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けるようにしてもよい。発熱被膜31の幅L1、発熱被膜32,33,34の幅L2及び発熱被膜31,32,33,34間の間隔L3を含む他の構成に関しては、上記実施形態の場合と同じである。
この第1変形例によっても、上記実施形態の場合と同様に、インナーグリップ21の全体を発熱被膜で覆う場合に比べて、発熱被膜31,32,33,34に流れる電流量を減らすことができ、消費電力を抑制することができる。また、発熱被膜31,32,33,34は手のひらが主に接触する部分に設けられているので、左右ハンドルグリップ装置20,40を効率的に暖めることができる。
しかし、この第1変形例においては、発熱被膜32,33,34で消費される電力量は、上記実施形態の場合に比べて大きくなる。したがって、この第1変形例においては、発熱被膜32,33,34の幅L2を上記実施形態の場合に比べて小さくして、発熱被膜31,32,33,34間の間隔L3を上記実施形態の場合に比べて大きくして、消費電力を抑制することが好ましい。
b2.第2変形例
また、上記実施形態においては、発熱被膜31,32,33,34間に所定の間隔L3を設けて、発熱被膜31,32,33,34をインナーグリップ21の軸線方向に分散させて設けるようにした(図6参照)。しかし、これに代えて、図8の斜視図に示すように、一枚の発熱被膜35をインナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に設けるようにしてもよい。この場合、インナーグリップ21の右端に近い内側部分35aは、上記実施形態の発熱被膜31と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けられている。内側部分35aの外側に位置するインナーグリップ21の左端に近い外側部分35bは、上記実施形態の発熱被膜32,33,34と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上部に半周に渡って設けられている。発熱被膜35の内側部分35aの幅L1を含む他の構成に関しては、上記実施形態の場合と同じである。なお、この場合における発熱被膜35の外側部分35bの幅L4は、3・(L2+L3)である。
また、上記実施形態においては、発熱被膜31,32,33,34間に所定の間隔L3を設けて、発熱被膜31,32,33,34をインナーグリップ21の軸線方向に分散させて設けるようにした(図6参照)。しかし、これに代えて、図8の斜視図に示すように、一枚の発熱被膜35をインナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に設けるようにしてもよい。この場合、インナーグリップ21の右端に近い内側部分35aは、上記実施形態の発熱被膜31と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けられている。内側部分35aの外側に位置するインナーグリップ21の左端に近い外側部分35bは、上記実施形態の発熱被膜32,33,34と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上部に半周に渡って設けられている。発熱被膜35の内側部分35aの幅L1を含む他の構成に関しては、上記実施形態の場合と同じである。なお、この場合における発熱被膜35の外側部分35bの幅L4は、3・(L2+L3)である。
この第2変形例によっても、インナーグリップ21の全体を発熱被膜で覆う場合に比べて、発熱被膜35に流れる電流量を減らすことができ、電力消費を抑制することができる。また、発熱被膜35は手のひらが主に接触する部分に主に設けられているので、左右ハンドルグリップ装置20,40を効率的に暖めることができる。
b3.第3変形例
また、前記図8の第2変形例における発熱被膜35の内側部分35aと外側部分35bに相当する部分を、図9の斜視図に示すように、独立した発熱被膜36,37でそれぞれ構成して、発熱被膜36,37間に間隔を設けるようにしてもよい。この場合、発熱被膜36は、上記実施形態の発熱被膜31と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けられている。発熱被膜37は、上記実施形態の発熱被膜32,33,34と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上部に半周に渡って設けられている。発熱被膜36の左右方向の幅L1及び発熱被膜36,37間の間隔L3を含む他の構成に関しては、上記実施形態の場合と同じである。なお、この場合における発熱被膜37の外側部分35bの幅L5は、(3・L2+2・L3)である。
また、前記図8の第2変形例における発熱被膜35の内側部分35aと外側部分35bに相当する部分を、図9の斜視図に示すように、独立した発熱被膜36,37でそれぞれ構成して、発熱被膜36,37間に間隔を設けるようにしてもよい。この場合、発熱被膜36は、上記実施形態の発熱被膜31と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上に全周に渡って設けられている。発熱被膜37は、上記実施形態の発熱被膜32,33,34と同様に、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面上部に半周に渡って設けられている。発熱被膜36の左右方向の幅L1及び発熱被膜36,37間の間隔L3を含む他の構成に関しては、上記実施形態の場合と同じである。なお、この場合における発熱被膜37の外側部分35bの幅L5は、(3・L2+2・L3)である。
この第3変形例によっても、インナーグリップ21の全体を発熱被膜で覆う場合に比べて、発熱被膜36,37に流れる電流量を減らすことができ、電力消費を抑制することができる。特に、発熱被膜36,37間の左右方向の間隔L3の分だけ、消費電力を前記図8の第2変形例の場合よりも抑制することができる。また、この場合も、発熱被膜36,37は手のひらが主に接触する部分に主に設けられているので、左右ハンドルグリップ装置20,40を効率的に暖めることができる。
b4.その他の変形例
また、上述した実施形態及び第1乃至第3変形例の発熱被膜31〜37に関する左右方向の幅L1,L2,L4,L5及び間隔L3に関しては、上述した範囲ではなく多少変更してもよい。この場合、幅L1,L2,L4,L5を減少させるとともに、間隔L3を増加させれば、発熱被膜によって消費される電力量をより小さく抑えることができる。また、上記実施形態及び第1変形例における発熱被膜32,33,34の幅L1及び発熱被膜31,32,33,34間の間隔L3に関しては、全て同じでなくても多少異なっていてもよい。
また、上述した実施形態及び第1乃至第3変形例の発熱被膜31〜37に関する左右方向の幅L1,L2,L4,L5及び間隔L3に関しては、上述した範囲ではなく多少変更してもよい。この場合、幅L1,L2,L4,L5を減少させるとともに、間隔L3を増加させれば、発熱被膜によって消費される電力量をより小さく抑えることができる。また、上記実施形態及び第1変形例における発熱被膜32,33,34の幅L1及び発熱被膜31,32,33,34間の間隔L3に関しては、全て同じでなくても多少異なっていてもよい。
また、上記実施形態及び各種変形例では、一対の電極板26,27をインナーグリップ21の周方向において180度の間隔で設けるようにした。しかし、この一対の電極板26,27の周方向間隔を、インナーグリップ21の上部において180度よりある程度大きくしたり、180度よりある程度小さくしたりしてもよい。この場合も、上記実施形態の発熱被膜32,33,34、第2変形例の発熱被膜35の外側部分35b及び第3変形例の発熱被膜37は、インナーグリップ21の上部を被覆して、下端部にて一対の電極板26,27に接続される。
また、上記実施形態、第2変形例及び第3変形例においては、発熱被膜32,33,34、発熱被膜35の外側部分35b及び発熱被膜37をインナーグリップ21の上部に設けるようにした。しかし、これに代えて、前記発熱被膜32,33,34,37及び発熱被膜35の外側部分35bを、インナーグリップ21の前側に配置することも考えられる。すなわち、前記発熱被膜32,33,34,37及び発熱被膜35の外側部分35bの周方向の中心位置を、インナーグリップ21の前側に位置させることも考えられる。これは、運転者が左右ハンドルグリップ装置20,40を握る場合、アウターグリップ22の前側位置に手のひらを主に接触させることもあるからである。この点を考慮すれば、前記発熱被膜32,34,35,37及び発熱被膜35の外側部分35bの周方向の中心位置は、左右ハンドルグリップ装置20,40をハンドルパイプ13に組み付けた状態で、インナーグリップ21の最上端及び最前端の間に位置するようにすればよい。また、左右ハンドルグリップ装置20,40をハンドルパイプ13に組み付ける場合には、左右ハンドルグリップ装置20,40を軸線周りに多少回転させてもよいので、この組付け時における左右ハンドルグリップ装置20,40の軸線周りの回転により、前記発熱被膜32,33,34,37及び発熱被膜35の外側部分35bの周方向の中心位置は調節可能である。
また、上記実施形態及び各種変形例においては、インナーグリップ21の左端及び右端の近傍に渡って連続した一対の電極板26,27を設けるようにしたが、各電極板26,27をそれぞれ分割して設けるようにしてもよい。特に、複数の発熱被膜31〜34,36,37を設ける場合には、発熱被膜31〜34,36,37ごとに分割された電極板を各発熱被膜31〜34,36,37にそれぞれ対応させて設けるようにするとよい。これによっても、複数の発熱被膜に電力を供給して、複数の発熱被膜を発熱させることができる。
また、上記実施形態及び各種変形例においては、発熱被膜31〜37を液体状態にある被膜材料をインナーグリップ21及び電極板26,27の外表面に塗布した後、被膜材料を乾燥させて、インナーグリップ21及び電極板26,27の外周面に発熱被膜31〜37を形成するようにした。しかし、これに代えて、発熱被膜31〜37を別途形成しておいて、形成された発熱被膜31〜37をインナーグリップ21及び電極板26,27の外表面に接着して、インナーグリップ21及び電極板26,27上に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態及び各種変形例において、左右ハンドルグリップ装置20,40内に断熱部材を設けて、発熱被膜31〜37による発熱効果をより良好にするようにしてもよい。この場合、ハンドルパイプ13とインナーグリップ21との間に円筒状の断熱被膜を設けるようにすればよい。
また、上記実施形態及び各種変形例において、制御線25及び絶縁チューブ38を他の絶縁チューブ内を貫通させて、制御線25及び絶縁チューブ38を1つにまとめるようにしてもよい。そして、この場合も、前記他の絶縁チューブの外周上に熱収縮チューブを組付けて、熱収縮チューブの熱収縮により、制御線25及び絶縁チューブ38を前記絶縁チューブ内に固定するようにする。
さらに、上記実施形態及び各種変形例では、本発明を自動ニ輪車のハンドルグリップ装置に適用した例について説明したが、本発明に係るハンドルグリップ装置は、自転車、三輪バギー、スノーモービル、水上バイクなどの他の移動体のハンドルグリップ装置にも適用できる。
13…ハンドルパイプ、20…左ハンドルグリップ装置、21…インナーグリップ、22…アウターグリップ、26,27…電極板、28,29…給電線、31〜37…発熱被膜、35a…内側部分、35b…外側部分、40…右ハンドルグリップ装置
Claims (6)
- ハンドルパイプの外側端部に組み付けられる円筒状のインナーグリップと、
前記インナーグリップの外周面上に設けたアウターグリップと、
前記インナーグリップと前記アウターグリップとの間に介装した発熱被膜とを備えたハンドルグリップ装置において、
ハンドルグリップ装置のハンドルパイプへの組付け状態にて、前記インナーグリップの軸線方向の外端側に位置する部分における前記インナーグリップの外周面に対する前記発熱被膜の面積比率を、前記インナーグリップの軸線方向の内端側に位置する部分における前記インナーグリップの外周面に対する前記発熱被膜の面積比率よりも小さくしたことを特徴とするハンドルグリップ装置。 - 請求項1に記載のハンドルグリップ装置において、さらに、
前記発熱被膜に電力を供給するための一対の長尺状の電極板を、前記インナーグリップの外周面上に、周方向に所定の間隔を隔てて軸線方向に沿って設けたことを特徴とするハンドルグリップ装置。 - 請求項2に記載のハンドルグリップ装置において、
前記発熱被膜を、前記インナーグリップの外周面上及び前記一対の電極板上に液体状態にある被膜材料を塗布して形成したことを特徴とするハンドルグリップ装置。 - 請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のハンドルグリップ装置において、
前記インナーグリップの内端側に位置する部分の発熱被膜は前記インナーグリップの軸線方向に連続して全周に設けられ、かつ
前記インナーグリップの外端側に位置する部分の発熱被膜は、前記インナーグリップの軸線方向に所定の間隔を隔てて複数に分割されているとともに、前記インナーグリップの全周の一部に設けられているハンドルグリップ装置。 - 請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のハンドルグリップ装置において、
前記インナーグリップの内端側に位置する部分の発熱被膜は前記インナーグリップの軸線方向に連続して全周に設けられ、かつ
前記インナーグリップの外端側に位置する部分の発熱被膜は、前記インナーグリップの軸線方向に所定の間隔を隔てて複数に分割されて全周に設けられているハンドルグリップ装置。 - 請求項1乃至3のうちのいずれか一つに記載のハンドルグリップ装置において、
前記インナーグリップの内端側に位置する部分の発熱被膜は前記インナーグリップの軸線方向に連続して全周に設けられ、かつ
前記インナーグリップの外端側に位置する部分の発熱被膜は、前記インナーグリップの軸線方向に連続して全周の一部に設けられているハンドルグリップ装置。
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