JP2016112986A - 機能付表皮材及びこれを備えた乗物用シート - Google Patents
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Abstract
Description
このようなシートでは、その性能として、着座性が追及されることが多い。
特に、自動二輪車において、シートを跨いで乗員が着座するような場合においては、例えば、停止時には、脚を地面へと設置することにより転倒を防止し、乗車時には所定位置に脚を設置しておくこととなる。
しかし、自動二輪車の座面から地表までの距離(高さ)は一定であるが、乗員の体格はまちまちであり、着座性が良くない場合が懸念される。
つまり、体格が小さい乗員であれば、着座状態で地表面や所定位置に足先をつくことが困難となったり、体格が大きい乗員であれば、脚を深く折りたたまざるを得ない。
また、背もたれ部が存在するシートの場合には、背もたれ位置もまた一定であるため、特に、体格が小さい乗員であれば、ハンドルを把持した状態で、必ずしも快適な背もたれ位置とならない場合もある。
このような状況を緩和するために、シートの高さを含む乗員の着座位置を調整するための技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2等参照)。
また、特許文献2に係るシートでは、ボトムプレートとクッション材との間にエアクッションを挿入し、このエアクッション内部の空気量(空気圧)を調整することにより、シートの高さが調整できるように構成されている。更に、当該技術においては、エアシリンダからの動力により、バックレストを前方に押し出し、快適な背もたれ位置を構築するよう構成されている。
更に、特許文献2の技術では、エアクッションにエアを供給するための装置及びバックレストを移動させる装置が必要であり、制作コスト及び時間がかかり、装置もまた複雑となる。
このため、簡易に高さ調整が可能となるとともに、複雑な機構を採用することのない高さ調整機構の開発が望まれていた。
また、本発明の他の目的は、意匠性を損ねることなく、乗員の着座位置を空間的に変更することが可能な機能付表皮材及びこれを備えた乗物用シートを提供することにある。
なお、乗物用シート基本構成とは、その構成において、乗員の通常の着座が可能である構成であり、半製品という概念と対極をなす概念である。
つまり、本発明にかかる機能付表皮材は、通常使用可能な乗物用シート基本構成に追加して使用することができる被覆用の部材である。
そして、本発明においては、この機能付表皮材のサブクッションパッドを、カバー部において、乗物用シート基本構成の着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方に対峙する面に取付け、着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方とカバー部とでサブクッションパッドを挟持する状態で乗物用シート基本構成に取付けられる構成とした。
これにより、機能付表皮材を着座位置に使用することにより、通常の着座位置よりも、サブクッションパッドの厚み分高い位置に着座位置を調整することができる。
また、背面腰部支持位置に使用することにより、通常の着座位置よりも、サブクッションパッドの厚み分前方の位置に背面腰部支持位置を調整することができる。
よって、乗員の着座位置を空間的(上下方向及び前後方向)に調整することができる。
また、乗物用シート基本構成の外側を被覆する構成であるため、外観上の問題が生じることもなく、意匠性もまた維持できる。
更に、請求項3に記載のように、前記サブクッションパッドは、前記カバー部に対して着脱可能であると好適である。
このように構成されていると、簡易かつフレキシブルに位置調整を行うことができるため好適である。
このとき、具体的な構成としては、請求項5に記載のように、前記乗物用シート基本構成は、底板と、該底板に支持されているクッション材と、少なくとも該クッション材を覆う表皮材と、を有して構成されており、前記カバー部は、前記表皮材を外側から被覆するように取付けられていると好適である。
このように構成されていると、具体的に、複雑な装置を必要とせず、簡易な構成で乗員の着座位置を空間的(上下方向)に調整することができる。
よって、乗員の着座位置を空間的(上下方向)に調整することができる。また、外側を被覆する構成であるため、意匠性もまた維持できる。
請求項2及び請求項3に係る機能付表皮材によれば、簡易かつフレキシブルに調整を行うことができる。
請求項4及び請求項5に係る乗物用シートによれば、複雑な装置を必要とせず、簡易な構成で乗員の着座位置を空間的(上下方向)に調整することができる。また、意匠上へ影響が及ぶことを回避することができる。
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について図面を参照しながら説明する。
本発明の座席装置は、地面に接触しながら走行する乗物、具体的には自動二輪車や自動三輪車等に好適に搭載されるものである。本実施形態では、2人乗り用の自動二輪車に搭載される乗物用シート(以下、「乗物用シートS」と記す)を例に挙げ、その構成や動作について説明することとする。
なお、図1は、乗物用シートSを図示した側面視説明図であり、本図は、乗物用シートSの一例であり、自動二輪車の乗員が跨いで着座する鞍状のシートである。この乗物用シートSは、自動二輪車のシート取り付け部(不図示)に取り付けられている。
なお、図3は、図1のA−A線断面部分を模式的に示した説明図である。
本例においては、ボトムプレート1は、メインクッションパッド2を載置する平板状のメインクッション支持部11と、このメインクッション支持部11の幅方向両端辺から下方に延出するように延びる脚部12,12と、を有して断面略コ字形状に形成されている。
ボトムプレートを少し詳しく説明すると、このメインクッション支持部11は、地表と略水平となる着座部分11aと、着座部分後端から後方へ向かうに連れて上昇する斜面となるバックレスト部11bと、着座部分前端から前方へ向かうにつれて上昇する斜面となる前方部11cと、により、側面視が緩やかなU字状(下方に凸な略円弧形状)に構成されている。
メインクッションパッド2は、ウレタン等の発泡材からなる弾力性を有する塊状体であり、ボトムプレート21のメインクッション支持部11の上面に載置固定される。
図3に示すように、表皮材4の下方側両端部は、ボトムプレート1の両脚部12,12の下端を外側から巻き込んで、ボトムプレート1の両脚部12,12の内側に導かれて、当該内側部分で固定されている。
そして、表皮材4の下方自由端付近(脚部12,12の内側に配設された部分)には、本体側留め付け部43が形成されている。
この本体側留め付け部43は、締結具であり、後述するサブ表皮材5の下方自由端を留め付けるためのものである。
サブ表皮材5は、メインクッションパッド2がボトムプレート1上方に配設されるとともに、表皮材4で被覆された状態(以下、必要があるときは、当該状態を「乗物用シート基本構成S´」と記す)において、その外側面を被覆するよう配設可能に構成される。
本実施形態に係るサブ表皮材5は、カバー部51と、サブクッションパッド52と、表皮材側留め付け部53と、を有して構成されている。
カバー部51は、布帛や合成皮革等で形成されるシート(sheet)体である。
このサブクッションパッド52の形状は、乗物用シートSの形状に応じてどのような形状に形成されていてもかまわないが、その厚みは、高さを調整するために必要なサイズに調整される。
本実施形態においては、1cm〜3cm程度の厚さに設定されている。
なお、サブクッションパッド52の材質としては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であればどのようなものが使用されていてもよいが、例えば、発泡体(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂発泡体であるとよい)、繊維構造体、ジェル状の材質、エアクッション等が想定される。
詳しく説明すると、図3に示すように、サブ表皮材5の下方側両端部は、ボトムプレート1の両脚部12,12の下端を外側から巻き込んで、ボトムプレート1の両脚部12,12の内側に導かれる。
そして、サブ表皮材5の下方端部に形成された表皮材側留め付け部53,53が、表皮材4の端部(脚部12,12内側に配設された端部)に形成された本体側留め付け部43,43に留め付けられる構成である。
しかし、この位置に限られることはなく、同様に、乗員の背面腰部を支持する位置(図2の位置X2)にも適用可能である。
この場合は、ボトムプレート1を構成するバックレスト部11bにサブクッションパッド52が配置されるように構成される。
このように構成されていると、背もたれの位置を、サブクッションパッド52の厚み分前方に張り出させることができるため、体格の小さい乗員の背面腰部をより有効に支持することができる。
つまり、サブクッションパッド52の形状を変更することにより、乗物用シートSの座席形状を必要な形状にデザインすることが可能となり、設計自由度が大きくなる。
また、なお、当該構成は、乗員の臀部を支持する座面部分に適用する場合を排除するものではなく、当該位置においても必要であれば適用することは可能である。
また、もちろん、乗物用シートSにおいて、着座部分11a及びバックレスト部11b双方にサブクッションパッド52を設けた構成でもよいし、一方のみを備えた構成でもよい。また、前方部11cへの適用を排除するものではない。
なお、このとき、サブクッションパッド52が、前方位置まで延びることを排除するものではない。
この場合においても、サブクッションパッド52をカバー部51に対して着脱可能とし、厚さの異なるサブクッションパッド52を複数準備しておけば、位置調整を簡易かつ柔軟に行うことができる。
つまり、乗物用シート基本構成S´に対してサブ表皮材5を着脱することで、簡易に高さや位置を調整することができる。
よって、複雑な装置や機構を必要とすることなく、高さ調整及び位置調整を行うことが可能となる。
また、厚さの異なるサブクッションパッド52を複数準備しておき、カバー部51に着脱可能としておけば、必要な厚さのサブクッションパッド52に簡易に交換して使用することが可能であり、より高さ及び位置調整のバリエーションが多彩となる。
この着脱は、どのような構成であってもよいが、例えば、ホック、面ファスナ等で行えるようにするとよい。
S´ 乗物用シート基本構成
1 ボトムプレート(底板)
11 メインクッション支持部
11a 着座部分
11b バックレスト部
11c 前方部
12 脚部
2 メインクッションパッド(クッション材)
4 表皮材
43 本体側留め付け部
5 サブ表皮材(機能付表皮材)
51 カバー部
52 サブクッションパッド
53 表皮材側留め付け部
Claims (5)
- 乗員が着座する乗物用シート基本構成の表面を被覆するシート体であるカバー部と、
該カバー部に取付けられるブロック状のサブクッションパッドと、を少なくとも備え、
該サブクッションパッドは、前記カバー部において、前記乗物用シート基本構成の着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方に対峙する面に取付けられており、前記着座位置及び前記背面腰部支持位置の少なくとも一方と前記カバー部とで前記サブクッションパッドを挟持する状態で前記乗物用シート基本構成に取付けられることを特徴とする機能付表皮材。 - 前記機能付表皮材は、前記乗物用シート基本構成に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の機能付表皮材。
- 前記サブクッションパッドは、前記カバー部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の機能付表皮材。
- 請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の機能付表皮材により、少なくとも前記着座位置を含む外側面が規定されていることを特徴とする乗物用シート。
- 前記乗物用シート基本構成は、
底板と、該底板に支持されているクッション材と、少なくとも該クッション材を覆う表皮材と、を有して構成されており、
前記カバー部は、前記表皮材を外側から被覆するように取付けられていることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
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