A.第1実施形態:
A1.スパークプラグの構成:
図1は、スパークプラグの一実施形態の断面図である。図中には、スパークプラグ100の中心軸CLが示されている(「軸線CL」とも呼ぶ)。図示された断面は、中心軸CLを含む断面である。以下、中心軸CLに平行な方向を「軸線CLの方向」、または、単に「軸線方向」または「前後方向」とも呼ぶ。中心軸CLを中心とする円の径方向を、単に「径方向」とも呼び、中心軸CLを中心とする円の円周方向を「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLに平行な方向のうち、図1における下方向を先端方向Df、または、前方向Dfと呼び、上方向を後端方向Dfr、または、後方向Dfrとも呼ぶ。先端方向Dfは、後述する端子金具40から電極20、30に向かう方向である。また、図1における先端方向Df側をスパークプラグ100の先端側と呼び、図1における後端方向Dfr側をスパークプラグ100の後端側と呼ぶ。
スパークプラグ100は、絶縁体10(「絶縁碍子10」とも呼ぶ)と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50と、導電性の第1シール部60と、抵抗体70と、導電性の第2シール部80と、先端側パッキン8と、タルク9と、第1後端側パッキン6と、第2後端側パッキン7と、を有している。
絶縁体10は、中心軸CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔12(以下「軸孔12」とも呼ぶ)を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。絶縁体10は、先端側から後方向Dfrに向かって順番に並ぶ、脚部13(「脚長部13」とも呼ぶ)と、第1縮外径部15と、先端側胴部17(「中胴部17」とも呼ぶ)と、第3縮外径部14と、鍔部19と、第2縮外径部11と、後端側胴部18と、を有している。鍔部19は、絶縁体10のうちの外径が最も大きい部分である(大径部19とも呼ぶ)。絶縁体10のうちの大径部19以外の部分の外径は、大径部19の外径よりも小さい。第1縮外径部15の外径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。絶縁体10の第1縮外径部15の近傍(図1の例では、先端側胴部17)には、後端側から先端側に向かって内径が徐々に小さくなる第1縮内径部16が形成されている。第2縮外径部11の外径は、先端側から後端側に向かって、徐々に小さくなる。第3縮外径部14の外径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。図中には、絶縁体10の前部分10fの軸線CLの方向の範囲が示されている。前部分10fは、絶縁体10のうちの大径部19よりも前方向Df側の部分である。
図1に示すように、絶縁体10の軸孔12の先端側には、中心電極20が挿入されている。中心電極20は、中心軸CLに沿って延びる棒状の軸部27と、軸部27の先端に接合された第1チップ29と、を有している。軸部27は、先端側から後方向Dfrに向かって順番に並ぶ、脚部25と、鍔部24と、頭部23と、を有している。脚部25の先端(すなわち、軸部27の先端)に、第1チップ29が接合されている(例えば、レーザ溶接)。第1チップ29の少なくとも一部は、絶縁体10の先端側で、軸孔12の外に露出している。鍔部24の前方向Df側の面は、絶縁体10の第1縮内径部16によって、支持されている。また、軸部27は、外層21と芯部22とを有している。外層21は、芯部22よりも耐酸化性に優れる材料、すなわち、内燃機関の燃焼室内で燃焼ガスに曝された場合の消耗が少ない材料(例えば、純ニッケル、ニッケルとクロムとを含む合金、等)で形成されている。芯部22は、外層21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅、銅合金、等)で形成されている。芯部22の後端部は、外層21から露出し、中心電極20の後端部を形成する。芯部22の他の部分は、外層21によって被覆されている。ただし、芯部22の全体が、外層21によって覆われていても良い。また、第1チップ29は、軸部27よりも放電に対する耐久性に優れる材料(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の貴金属、タングステン(W)、それらの金属から選択された少なくとも1種を含む合金)を用いて形成されている。
絶縁体10の軸孔12の後端側には、端子金具40の一部が挿入されている。端子金具40は、導電性材料(例えば、低炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。
絶縁体10の軸孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための略円柱形状の抵抗体70が配置されている。抵抗体70は、例えば、導電性材料(例えば、炭素粒子)と、セラミック粒子(例えば、ZrO2)と、ガラス粒子(例えば、SiO2−B2O3−Li2O−BaO系のガラス粒子)と、を含む材料を用いて形成されている。抵抗体70と中心電極20との間には、導電性の第1シール部60が配置され、抵抗体70と端子金具40との間には、導電性の第2シール部80が配置されている。シール部60、80は、例えば、抵抗体70の材料に含まれるものと同じガラス粒子と、金属粒子(例えば、Cu)と、を含む材料を用いて、形成されている。中心電極20と端子金具40とは、抵抗体70とシール部60、80とを介して、電気的に接続されている。
主体金具50は、中心軸CLに沿って延びて主体金具50を貫通する貫通孔59を有する略円筒状の部材である。主体金具50は、低炭素鋼材を用いて形成されている(他の導電性材料(例えば、金属材料)も採用可能である)。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入されている。主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50の先端側では、絶縁体10の先端(本実施形態では、脚部13の先端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。主体金具50の後端側では、絶縁体10の後端(本実施形態では、後端側胴部18の後端側の部分)が、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、先端側から後端側に向かって順番に並ぶ、胴部55と、座部54と、変形部58と、工具係合部51と、加締部53と、を有している。座部54は、鍔状の部分である。胴部55は、座部54から中心軸CLに沿って前方向Dfに向かって延びる略円筒状の部分である。胴部55の外周面には、内燃機関の取付孔にねじ込むためのねじ山52が形成されている。座部54とねじ山52との間には、金属板を折り曲げて形成された環状のガスケット5が嵌め込まれている。
主体金具50は、変形部58よりも前方向Df側に配置された縮内径部56を有している。縮内径部56の内径は、後端側から先端側に向かって、徐々に小さくなる。主体金具50の縮内径部56と、絶縁体10の第1縮外径部15と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。先端側パッキン8は、鉄製でO字形状のリングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。
工具係合部51は、スパークプラグ100を締め付けるための工具(例えば、スパークプラグレンチ)と係合するための部分である。本実施形態では、工具係合部51の外観形状は、中心軸CLに沿って延びる略六角柱である。また、加締部53は、絶縁体10の第2縮外径部11よりも後端側に配置され、主体金具50の後端(すなわち、後方向Dfr側の端)を形成する。加締部53は、径方向の内側に向かって屈曲されている。加締部53の前方向Df側では、主体金具50の内周面と絶縁体10の外周面との間に、第1後端側パッキン6とタルク9と第2後端側パッキン7とが、前方向Dfに向かってこの順番に、配置されている。本実施形態では、これらの後端側パッキン6、7は、鉄製でC字形状のリングである(他の材料も採用可能である)。
スパークプラグ100の製造時には、加締部53が内側に折り曲がるように加締められる。そして、加締部53が前方向Df側に押圧される。これにより、変形部58が変形し、パッキン6、7とタルク9とを介して、絶縁体10が、主体金具50内で、先端側に向けて押圧される。先端側パッキン8は、第1縮外径部15と縮内径部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。以上により、主体金具50が、絶縁体10に、固定される。
接地電極30は、本実施形態では、棒状の軸部37と、軸部37の先端部31に接合された第2チップ39と、を有している。軸部37の後端は、主体金具50の先端面57(すなわち、前方向Df側の面57)に接合されている(例えば、抵抗溶接)。軸部37は、主体金具50の先端面57から前方向Dfに向かって延び、中心軸CLに向かって曲がって、先端部31に至る。先端部31は、中心電極20の前方向Df側に配置されている。先端部31の表面のうち中心電極20側の表面に、第2チップ39が接合されている(例えば、レーザ溶接)。第2チップ39は、軸部37よりも放電に対する耐久性に優れる材料(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の貴金属、タングステン(W)、それらの金属から選択された少なくとも1種を含む合金)を用いて形成されている。中心電極20の第1チップ29と接地電極30の第2チップ39とは、火花放電のための間隙gを形成する。接地電極30は、間隙gを隔てて中心電極20の先端部と対向している。
接地電極30の軸部37は、軸部37の表面の少なくとも一部を形成する外層35と、外層35内に埋設された芯部36と、を有している。外層35は、耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケルとクロムとを含む合金)を用いて形成されている。芯部36は、外層35よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅)を用いて形成されている。
A2.製造方法:
図2は、スパークプラグ100の製造方法の一例を示すフローチャートである。ステップS100では、絶縁体10が製造される。図2のステップS100の右側には、ステップS100の詳細が示されている。本実施形態では、ステップS103で、未焼成の絶縁体が成形され、そして、ステップS106で、絶縁体が焼成される。なお、焼成前に、成形された絶縁体の形状を所定形状に加工してもよい(例えば、端部を研磨してもよい)。ステップS103の成形方法の詳細については、後述する。
ステップS110では、スパークプラグ100の他の部材が準備される。具体的には、中心電極20と、端子金具40と、主体金具50と、棒状の接地電極30とが、公知の方法で製造される。また、シール部60、80のそれぞれの材料粉末と、抵抗体70の材料粉末とが、準備される。なお、ステップS100、S110による複数の部材の準備は、各部材毎に独立に行われる。
ステップS120では、絶縁体10と中心電極20と第1シール部60と抵抗体70と第2シール部80と端子金具40とを有する組立体が作成される。組立体の製造方法としては、公知の方法を採用可能である。例えば、中心電極20、第1シール部60の材料、抵抗体70の材料、第2シール部80の材料を、絶縁体10の貫通孔12に、後方向Dfr側の開口12rから、この順番に挿入する。そして、絶縁体10を加熱した状態で端子金具40を開口12rから貫通孔12に挿入することによって、組立体を製造する。
ステップS130では、主体金具50に棒状の接地電極30が接合される。そして、ステップS140では、主体金具50に組立体が固定される。具体的には、主体金具50の貫通孔59内に、先端側パッキン8と、ステップS120の組立体と、第2後端側パッキン7と、タルク9と、第1後端側パッキン6とが配置される。絶縁体10の第1縮外径部15と主体金具50の縮内径部56との間には、先端側パッキン8が介在される。そして、主体金具50の加締部53を内側に折り曲げるように加締めることによって、主体金具50と絶縁体10とが組み付けられる。
ステップS150では、棒状の接地電極30が曲げられて、間隙gが形成される。ここで、間隙gの距離が所定の距離になるように、接地電極30が曲げられる。以上により、スパークプラグ100が完成する。
図3、図4、図5は、未焼成の絶縁体を成形する工程(図2:S103)の手順の例を示すフローチャートである。図4は図3の続きを示し、図5は図4の続きを示している。図中では、各ステップを示す箱の中に、各ステップで用いられる成形型の概略断面図が示されている。図中には、中心軸CLと方向Df、Dfrとが示されている。成形型に対する中心軸CLと方向Df、Dfrとの配置は、完成した絶縁体10に対する中心軸CLと方向Df、Dfrとの配置を成形型の中の成形済の絶縁体に適用して得られる配置と、同じである。各概略断面図は、中心軸CLを含む平面による断面の概略図である。以下、成形済かつ未焼成の絶縁体を「成形体」とも呼ぶ。また、成形型に対する中心軸CLに平行な方向を「成形型の前後方向」とも呼ぶ。
ステップS200では、外型200を構成する複数の型部211、212、230が、組み合わされる。外型200は、絶縁体10の成形体の外周面を成形する成形型である。図6は、外型200の分解斜視図である。本実施形態では、外型200は、前部成形型210と、前部成形型210の後方向Dfr側に配置される後部成形型230と、を有している。以下、前部成形型210を「前型部210」とも呼び、後部成形型230を「後型部230」とも呼ぶ。前型部210は、第1型部211と、第1型部211よりも後方向Dfr側に配置される第2型部212と、で構成されている。これらの3個の型部211、212、230は、この順番に、後方向Dfrに向かって並んで配置される。図6に示すように、3個の型部211、212、230は、いずれも、軸線CLの周りを1周する内周面(内面とも呼ぶ)を形成する。これらの型部211、212、230は、例えば、金属を用いて形成されている(他の材料も採用可能である)。
外型200(図3)の内面10oは、絶縁体10の成形体の外周面を成形する成形面である(「成形面10o」とも呼ぶ)。この成形面10oは、3個の型部211、212、230のそれぞれの内面を接続することによって、形成される。図3では、外型200の成形面10oの各部分の符号として、絶縁体10の対応する部分の符号の末尾に文字「o」を付加した符号が、付されている。例えば、内面18oは、後端側胴部18(図1)の外周面を成形する。前型部210の内面は、大径部19中に配置された境界位置19pから前方向Df側の部分の外周面を成形する。後型部230の内面は、成形体の残りの部分、すなわち、境界位置19pから後方向Dfr側の部分の外周面を成形する。
前型部210は、内面19o1、14o、17o、15o、13oを有している。これらの内面19o1、14o、17o、15o、13oは、前方向Dfに向かってこの順番に並んでいる。内面19o1は、大径部19(図1)のうち境界位置19pから前方向Df側の部分の外周面を成形する。内面14oは、第3縮外径部14の外周面を成形する。内面14oの内径は、前方向Dfに向かって徐々に小さくなる。内面17oは、先端側胴部17の外周面を成形し、内面15oは、第1縮外径部15の外周面を成形し、内面13oは、脚部13の外周面を成形する。内面15oの内径は、前方向Dfに向かって徐々に小さくなる。
前型部210の内面は、第1型部211の内面と第2型部212の内面とに分割されている。第1型部211は、内面13oの前方向Df側の一部分である内面13o1を有している。第2型部212は、内面19o1、14o、17o、15oと、内面13oの残りの部分(すなわち、後方向Dfr側の一部分)である内面13o2と、を有している。第2型部212の内面19o1、14o、17o、15o、13o2は、前方向Dfに向かってこの順番に並ぶ、連続な内面である。
後型部230は、内面19o2、11o、18oを有している。これらの内面19o2、11o、18oは、後方向Dfrに向かってこの順番に並ぶ、連続な内面である。内面19o2は、大径部19(図1)の残りの部分(すなわち、境界位置19pから後方向Dfr側の部分)の外周面を成形する。内面11oは、第2縮外径部11の外周面を成形する。内面11oの内径は、後方向Dfrに向かって徐々に小さくなる。内面18oは、後端側胴部18の外周面を成形する。
以上説明した外型200の各内面の形状は、絶縁体10の成形体の対応する部分の外形と同じである。そして、ステップS200では、複数の型部211、212、230を組み合わせる(接続する)ことによって、各型部211、212、230の内面が接続されて、成形面10oが形成される。この成形面10oの形状は、絶縁体10の成形体の外形と同じである。成形面10oに囲まれる空間Siは、絶縁体10の成形体に対応する。なお、図3、図4では、組み合わされた複数の型部(例えば、型部211、212、230)の間の隙間が説明のために誇張して示されているが、実際には、その隙間は、絶縁体10の製造に影響を与えない程度に、十分に小さい。
次のステップS210では、空間Si内に、棒部300が配置される。棒部300は、軸線CLに沿って延びる棒状の部材である。棒部300は、例えば、金属を用いて形成されている(他の材料も採用可能である)。棒部300の外面12iは、絶縁体10(図1)の貫通孔12の内周面を成形する成形面である(「成形面12i」とも呼ぶ)。成形面12iの形状は、成形体の軸孔(絶縁体10の軸孔12に対応する)の内面の形状と同じである。このように、棒部300も成形型の一部である、ということができる。
棒部300の外面12iは、3個の部分18i、16i、13iに区分される。第1外面18iは、絶縁体10の第1縮内径部16よりも後端方向Dfr側の部分の内周面を成形する。第2外面16iは、第1外面18iの前方向Df側に接続され、絶縁体10の第1縮内径部16の内周面を成形する。第2外面16iの外径は、前方向Dfに向かって徐々に小さくなる。第3外面13iは、第2外面16iの前方向Df側に接続され、絶縁体10の第1縮内径部16よりも前方向Df側の部分の内周面を成形する。
ステップS210では、棒部300は、後方向Dfr側から、空間Si内に挿入される。外型200と棒部300とは、外型200の内面10oと棒部300の外面12iとによって挟まれる空間Sxと、空間Sxに連通し先端方向Df側に位置するリング状の第1開口OPfと、空間Sxに連通し後端方向Dfr側に位置するリング状の第2開口OPrと、を形成する。ステップS210では、更に、第2開口OPrを閉じる後端型290が、外型200の後方向Dfr側に配置される。空間Sxの形状は、絶縁体10の成形体の形状と、同じである。
次のステップS220では、第1開口OPfに射出装置のノズル500が接続される。ノズル500は、第1開口OPfを通じて、材料を空間Sx内に射出する。このように、第1開口OPfは、ゲートとして用いられる。また、この射出によって、成形体10zが成形される。材料としては、例えば、アルミナと焼結助剤とを含む材料が、用いられる。成形体10z(すなわち、絶縁体10)を成形する成形型600は、外型200と棒部300と後端型290とを有している。
図中には、成形体10zの前部成形部10zfの軸線CLの方向の範囲と軸孔12zとが示されている。前部成形部10zfは、絶縁体10(図1)の前部分10fに対応する部分である。軸孔12zは、絶縁体10の軸孔12に対応する貫通孔である。前型部210の内面14o、17o、15o、13oは、前部成形部10zfの外形と同じ形状の部分を含んでいる。そして、空間Si内に配置された棒部300のうちの前部成形型210に囲まれる空間Sq(S200)内に位置する部分の外面(第1外面18iの前方向Df側の部分と外面16i、13i)は、絶縁体10の軸孔12のうち前部成形部10zfに形成される部分と同じ形状の部分を含んでいる。すなわち、前型部210の内面14o、17o、15o、13oと棒部300の外面18i、16i、13iとの間に挟まれる空間Sf(ステップS210)が、前部成形部10zfに対応する。
次のステップS230(図4)では、後端型290と第1型部231とが成形体10zから取り外される。後端型290は、成形体10zに対して後方向Dfrに向かって動かされ、そして、成形体10zから取り外される。後型部230は、成形体10zに対して後方向Dfrに向かって動かされ、そして、成形体10zから取り外される。後型部230は、後方向Dfrに向かって内径が大きくなる部分を有していない。従って、後型部230を後方向Dfrに動かすことによって、成形体10zが変形することを抑制しつつ、後型部230を成形体10zから取り外すことができる。
次のステップS240では、第1型部211は、成形体10zに対して前方向Dfに向かって動かされ、そして、成形体10zから取り外される。次のステップS250では、第2型部212が、成形体10zに対して前方向Dfに向かって動かされ、そして、成形体10zから取り外される。以上により、前部成形部10zfが離型される。成形体10zに対して第2型部212を動かし始めることは、成形体10zに対して第1型部211を動かし始めた後に行われる。本実施形態では、第1型部211の全体が、成形体10zの前方向Df側の端10zdよりも前方向Df側に移動した後に、第2型部212が成形体10zに対して動かされる。
なお、第1型部211と第2型部212とは、いずれも、前方向Dfに向かって内径が大きくなる部分を有していない。従って、型部211、212を前方向Dfに動かすことによって、成形体10zが変形することを抑制しつつ、型部211、212を成形体10zから取り外すことができる。
次のステップS260(図5)では、棒部300を成形体10zに対して後方向Dfrに向かって動かすことによって、棒部300を成形体10zから取り外す。なお、本実施形態では、棒部300は、後方向Dfrに向かって外径が小さくなる部分を有していない。従って、棒部300を後方向Dfrに動かすことによって、成形体10zが変形することを抑制しつつ、棒部300を成形体10zから取り外すことができる。以上により、成形体10zから全ての成形型が取り外されて、成形体10zの成形が終了する。
以上のように、材料の射出によって成形体10zが成形された後、前型部210を複数の型部211、212に分解することによって、成形体10zが離型される(図4:S240、S250)。ここで、第1型部211は、前型部210の内面のうち周方向に一周する一部分を形成し、第2型部212は、第1型部211よりも後方向Dfr側で、前型部210の内面のうち周方向に一周する一部分を形成する。従って、第1型部211の取り外しと第2型部212の取り外しとを、別々に行うことができる。具体的には、第1型部211を前部成形部10zfに対して前方向Df側に向かって動かし始めた後に、第2型部212が前部成形部10zfに対して前方向Df側に向かって動かされる。従って、第1型部211と第2型部212とが一体となって前部成形部10zfに対して移動を開始する場合と比べて、移動を開始する型部と前部成形部10zfとの間の接触し得る最大面積を小さくできるので、移動を開始する型部から前部成形部10zfに力(例えば、摩擦力)が印加されることを抑制できる。この結果、離型による前部成形部10zfの変形を抑制できる。例えば、前部成形部10zfの一部が前方向Dfに引っ張られ、前部成形部10zfの一部の密度が低下することを抑制できる。
特に、第1型部211は、前型部210の内面19o1、14o、17o、15o、13oのうち、軸線CLに平行な方向の前方向Df側の一部の範囲に含まれる部分を形成する。第2型部212は、前型部210の内面19o1、14o、17o、15o、13oのうち、軸線CLに平行な方向の後方向Dfr側の一部の範囲に含まれる部分を形成する。このように、複数の型部211、212は、前型部210の内面19o1、14o、17o、15o、13oのうち、軸線CLに平行な方向の範囲が互いに異なる一部分を形成する。従って、第1型部211の移動を開始した後に第2型部212の移動を開始するという手順を、容易に実現できる。
また、本実施形態では、第1型部211の全体が成形体10zの前方向Df側の端10zdよりも前方向Df側に移動した後に、第2型部212が成形体10zに対して動かされる。従って、複数の型部を成形体10zを囲む状態で並行して移動させる場合と比べて型部を移動させる処理を簡素化できるので、移動する型部から前部成形部10zfに力が印加されることを、適切に抑制できる。ただし、第1型部211が移動を開始した後、第1型部211の少なくとも一部が成形体10zの端10zdよりも後方向Dfr側に位置する状態で、第2型部212の移動が開始してもよい。
B.第2実施形態:
図7は、外型の別の実施形態の断面図である。図中には、外型200bの軸線CLを含む平面での断面図が示されている。図3の外型200との差異は、前型部210が、前部成形型210bに置換されている点だけである(「前型部210b」と呼ぶ)。この前型部210bは、図3の前型部210と同じ内面を形成する。この前型部210bは、第1型部211bと第2型部212bと脚長型部213bとで構成されている。これらの型部212b、211b、213bは、この順番に前方向Dfに向かって並んで配置される。型部212b、211b、213bは、いずれも、前型部210bの内面のうち周方向に一周する一部分を形成する。脚長型部213bは、内面13o、15oを有している。第1型部211bは、内面17oのうち前方向Df側の一部分17o1を有している。すなわち、第1型部211bは、前部成形部10zfの先端側胴部17に対応する部分17z(図4のステップS250)の先端部分を形成する(以下、成形体10zのうち先端側胴部17に対応する部分17zを「中胴成形部17z」とも呼ぶ)。第2型部212bは、内面19o1、14oと、内面17oの残りの部分17o2(後方向Dfr側の一部分)を有している。この外型200bは、図3の外型200の代わりに、成形型600の一部として利用可能である。
図8は、成形体10zを成形する処理の一部分の別の実施形態を示すフローチャートである。図示されたステップS240b、S242b、S244bは、図4のステップS240、S250の代わりに、行われる。そして、図3の外型200の代わりに、図7の外型200bが用いられる。
ステップS230の次のステップS240bでは、脚長型部213bが、成形体10zに対して前方向Dfに向かって動かされ、そして、成形体10zから取り外される。次のステップS242bでは、第1型部211bが、成形体10zに対して前方向Dfに向かって動かされ、そして、成形体10zから取り外される。次のステップS244bでは、第2型部212bが、成形体10zに対して前方向Dfに向かって動かされ、そして、成形体10zから取り外される。以上により、前部成形部10zfから前型部210b(図7)が取り外される。そして、処理は、ステップS260(図5)に移行する。
以上のように、成形体10zの成形の後、前型部210bを複数の型部211b、212b、213bに分解することによって、成形体10zが離型される。具体的には、外型200bを構成する3個の型部211b、212b、213bは、前方向Df側の型部から1つずつ順番に前方向Dfへの移動を開始することによって、成形体10zから取り外される。従って、移動を開始する型部から前部成形部10zfに力が印加されることを抑制できるので、離型による前部成形部10zfの変形を抑制できる。また、本実施形態では、図4の実施形態と同様に、前型部210bを複数の型部211b、212b、213bに分解して取り外す際には、1個の型部の全体が成形体10zの前方向Df側の端10zdよりも前方向Df側に移動した後に次の型部の移動を開始する、という処理が繰り返される。従って、複数の型部を成形体10zを囲む状態で並行して移動させる場合と比べて型部を移動させる処理を簡素化できるので、移動する型部から前部成形部10zfに力が印加されることを、適切に抑制できる。ただし、1個の型部の少なくとも一部が成形体10zの端10zdよりも後方向Dfr側に位置する状態で、次の型部の移動が開始してもよい。
また、図中には、3個の傾きe1a/e1b、e2a/e2b、e3a/e3bが示されている。第1傾きe1a/e1bは、第1型部211bの内面17o1の傾きを示し、第2傾きe2a/e2bは、第2型部212bの内面17o2の傾きを示し、第3傾きe3a/e3bは、脚長型部213bの内面13oの傾きを示している。これらの傾きは、軸線CLに平行な位置の変化e1b、e2b、e3bに対する軸線CLに垂直な位置の変化e1a、e2a、e3aの比率を示している。傾きe1a/e1b、e2a/e2b、e3a/e3bがゼロであることは、内面17o1、17o2、13oが軸線CLに平行であることを示している。傾きe1a/e1b、e2a/e2b、e3a/e3bがゼロより大きいことは、内面17o1、17o2、13oの内径が前方向Dfに向かって小さくなることを示している。
外型200bの内面のうち、絶縁体10(図1)の先端側胴部17(すなわち、成形体10zの中胴成形部17z)を成形する部分17oの傾きe1a/e1b、e2a/e2bは、小さいことが好ましい。この理由は、軸線CLの方向の位置の変化に対する先端側胴部17の外周面と主体金具50の内周面との間の径方向のクリアランスの変化を小さくするためである。軸線CLの方向の位置の変化に対するクリアランスの変化が大きい場合には、電圧印加時に先端側胴部17の外周面と主体金具50の内周面との間の電界の強さが軸線CLの方向の位置に応じて変化するので、不具合の可能性が高くなる。例えば、主体金具50の内周面から先端側胴部17の外周面に至る経路を通る意図しない放電が生じる場合がある。内面17oの傾きe1a/e1b、e2a/e2bを小さくすることによって、このような不具合を抑制できる。例えば、第1内面17o1の第1傾きe1a/e1bは、5/1000以下であることが好ましい。また、第2内面17o2の第2傾きe2a/e2bは、5/1000以下であることが好ましい。
また、本実施形態では、前型部210bの内面のうち先端側胴部17を成形する内面17oは、2個の型部211b、212bの2個の内面17o1、17o2に分割されている。従って、内面17oの傾きが小さい場合であっても、図8で説明したように、第1型部211bを前方向Dfに向かって動かし始め(S242b)、その後に、第2型部212bを前方向Dfに向かって動かし始めることによって(S244b)、前部成形部10zf(図3)の変形を抑制しつつ、型部211b、212bを容易に成形体10zから取り外すことができる。特に、本実施形態では、第1型部211bの全体が成形体10zの前方向Df側の端10zdよりも前方向Df側に移動した後に、すなわち、第1型部211bの全体が成形体10zの中胴成形部17zよりも前方向Df側に移動した後に、第2型部212bの移動が開始される。従って、複数の型部を中胴成形部17zを囲む状態で並行して移動させる場合と比べて型部を移動させる処理を簡素化できるので、成形体10zの中胴成形部17zが離型によって変形することを抑制できる。
なお、第2型部212bの移動開始は、第1型部211bの全体が成形体10zの中胴成形部17zよりも前方向Df側に移動した後、かつ、第1型部211bの少なくとも一部が成形体10zの端10zdよりも後方向Dfr側に位置する状態で、行われてもよい。この場合も、成形体10zの中胴成形部17zが離型によって変形することを抑制できる。ただし、第2型部212bの移動開始が、第1型部211bの少なくとも一部が成形体10zの中胴成形部17zの前方向Df側の端17zeよりも後方向Dfr側に位置する状態で、行われてもよい。
なお、第1内面17o1のうちの5/1000以下の傾きを有する部分は、第1内面17o1の一部であってもよい。同様に、第2内面17o2のうちの5/1000以下の傾きを有する部分は、第2内面17o2の一部であってもよい。また、第1内面17o1と第2内面17o2との少なくとも一方において、全体に亘って傾きが5/1000を超えていても良い。いずれの場合も、前型部210bは、前方向Dfに向かって内径が大きくなる部分を有さずに、前方向Dfに向かって内径が変化しない部分と、前方向Dfに向かって内径が小さくなる部分と、の少なくとも一方のみを有することが好ましい。この構成によれば、前型部210bの型部211b、212b、213bを前方向Dfに移動させることによって、前部成形部10zf(図3)の変形を抑制しつつ、型部211b、212b、213bを容易に成形体10zから取り外すことができる。
また、前型部210bを構成する複数の型部211b、212b、213bは、前型部210bの内面19o1、14o、17o、15o、13oのうち、軸線CLに平行な方向の範囲が互いに異なるとともに周方向に一周する一部分を形成する。従って、脚長型部213bの移動を開始した後に第1型部211bの移動を開始し、第1型部211bの移動を開始した後に第2型部212bの移動を開始するという手順を、容易に実現できる。
また、前型部210bの内面のうち、脚部13(図1)を成形する部分(すなわち、成形体10zの脚部13に対応する部分を成形する部分)は、1個の型部213bによって形成されている。従って、脚部13にパーティングライン等の突出部が形成されることを防止できる。脚部13の突出部は、種々の不具合を引き起こし得る。脚部13は、絶縁体10のうち先端側パッキン8に接触する第1縮外径部15よりも前方向Df側の部分である。すなわち、脚部13は、絶縁体10のうち燃焼ガスに曝される部分である。このような脚部13の温度は、燃焼ガスに曝されることによって上昇する。仮に脚部13の外周面に突出部が形成される場合には、その突出部の温度が局所的に高くなる場合がある。この結果、いわゆるノッキングが生じる場合がある。本実施形態では、そのような不具合を抑制できる。
このように、脚部13を1個の型部213bで成形する場合には、型部213bの取り外しを容易にするために、脚部13の外形が前方向Dfに向かって外径が小さくなるテーパ状である、すなわち、内面13oの形状が前方向Dfに向かって内径が小さくなるテーパ状であることが好ましい。図7の傾きe3a/e3bは、脚部13を成形する内面13oの傾きである。この傾きe3a/e3bは、例えば、5/1000よりも大きいことが好ましい。なお、脚部13の先端部に、傾きe3a/e3bが200/1000以下である部分を設けてもよい。また、内面13oのうちの5/1000以上の傾きを有する部分は、内面13oの一部であってもよい。また、内面13oの全体に亘って傾きが5/1000未満であってもよい。
C.外型の別の実施形態:
図9は、外型の別の実施形態を示す断面図である。図9(A)、図9(B)は、軸線CLを含む平面での断面図を示している。
図9(A)の外型200cは、図7の外型200bの2個の型部211b、212bを、1個の型部212cに置換して得られる外型である。この外型200cは、図7の外型200bの内面10oと同じ内面10oを形成する。外型200cは、前部成形型210cと後部成形型230とを有している。前部成形型210c(前型部210cとも呼ぶ)は、脚長型部213bと、胴型部212cと、で構成されている。胴型部212cの形状は、図7の2個の型部211b、212bを一体化して得られる形状と同じである。脚長型部213bと後型部230とは、図7の型部213b、230と、それぞれ同じである。この外型200cは、図3の外型200の代わりに成形型600の一部として利用可能である。
外型200cを用いる場合にも、絶縁体の成形は、図3〜図5の実施形態と同様に行われる。例えば、後型部230は、図4のステップS230と同様に、取り外される。前型部210cは、図4のステップS240、250と同様に、前型部210cを2個の型部213b、212cに分解することによって、成形体から取り外される。具体的には、脚長型部213bが前方向Dfに動かされ、その後に、胴型部212cが前方向Dfに動かされることによって、これらの型部213b、212cが取り外される。従って、2個の型部213b、212cが一体となって成形体に対して動き始める場合と比べて、離型による成形体の変形を抑制できる。
図9(B)の外型200dは、前型部210dと後型部230dとを有している。この外型200dは、図3の外型200の内面10oと同じ内面10oを形成する。前型部210dは、第1型部211dと第2型部212dと第3型部213dとで構成されている。3個の型部211d、212d、213dは、後方向Dfrに向かってこの順番に配置される。これらの型部211d、212d、213dは、いずれも、前型部210dの内面のうち、軸線CLに平行な方向の範囲が互いに異なるとともに周方向に一周する一部分を形成する。第1型部211dは、内面13oのうちの前方向Df側の一部分である内面13oaを有している。第2型部212dは、内面13oの残りの部分13ob(すなわち、後方向Dfr側の一部分13ob)と、内面15oとを有している。第3型部213dは、内面17o、14oを有している。また、後型部230dは、内面19o、11o、18oを有している。この外型200dは、図3の外型200の代わりに成形型600の一部として利用可能である。
外型200dを用いる場合にも、絶縁体の成形は、図3〜図5、図8の実施形態と同様に行われる。例えば、後型部230dは、図4のステップS230の後型部230と同様に、後方向Dfr側に動かされ、そして、成形体10zから取り外される。また、前型部210dは、図8のステップS240b〜S244bと同様に、前型部210dを3個の型部211d、212d、213dに分解することによって、成形体から取り外される。具体的には、第1型部211dが前方向Dfに向かって動かされ、その後、第2型部212dが前方向Dfに向かって動かされ、その後、第3型部213dが前方向Dfに向かって動かされることによって、これらの型部211d、212d、213dが取り外される。従って、3個の型部211d、212d、213dが一体となって成形体に対して動き始める場合と比べて、離型による成形体の変形を抑制できる。
D.変形例:
(1)前部分10f(すなわち、前部成形部10zf)を成形する前部成形型が、前部成形型の内面のうち軸線CLの方向の範囲が互いに異なるとともに周方向に1周する一部分を形成する複数の型部からなる場合、軸線CLの方向の範囲の区分数は、2個(図3、図9(A))、3個(図7、図9(B))に限らず、4個以上であってもよい。いずれの場合も、複数の型部を成形体から取り外す方法としては、前方向Df側の型部から順番に前方向Dfに向かって動かす種々の方法を採用可能である。ここで、移動を開始した型部の全体が成形体10zの前方向Df側の端10zd(図4)よりも前方向Df側に移動した後に、次の型部の移動を開始することが好ましい。こうすれば、複数の型部を成形体10zを囲む状態で並行して移動させる場合と比べて型部を移動させる処理を簡素化できるので、移動する型部から前部成形部10zfに力が印加されることを抑制できる。ただし、移動を開始した型部の少なくとも一部が成形体10zの前方向Df側の端10zdよりも後方向Dfr側に位置する状態で、次の型部の移動を開始してもよい。
(2)図7の実施形態では、前部成形型210bのうち成形体10zの中胴成形部17zを成形する部分(「中胴型部」と呼ぶ)は、前部成形型の内面のうち軸線CLの方向の範囲が互いに異なるとともに周方向に1周する一部分を形成する2個の型部211b、212bからなる。ここで、中胴型部は、3個以上の型部からなってもよい。また、中胴型部を構成する複数の型部は、軸線CLの方向の範囲が互いに異なるとともに周方向に1周する部分内面を形成する複数の型部を含んでよい。また、中胴型部を構成する複数の型部は、周方向の範囲が互いに異なる部分内面を形成する複数の型部を含んでよい。例えば、図7の第2型部212bは、図7の上半分に対応する型部と下半分に対応する型部からなってもよい。
いずれの場合も、中胴型部の内面の少なくとも一部が、軸線CLに対して5/1000以下の傾きを有することが好ましい。そして、5/1000以下の傾きを有する内面が、軸線CLの方向の範囲が互いに異なる複数の型部(「平型部」と呼ぶ)によって形成されていることが好ましい。そして、複数の平型部を前部成形部10zfから取り外す場合には、前方向Df側の型部から1つずつ順番に前方向Dfへの移動を開始することが好ましい。そして、1個の平型部の全体が成形体10zの中胴成形部17zよりも前方向Df側に移動した後に、次の平型部の移動が開始されることが好ましい。
(3)図7、図9(A)の実施形態において、脚長型部213bが、複数の型部からなってもよい。この場合、脚長型部の内面が軸線CLに対して5/1000以下の傾きを有する部分を含んでもよい。この場合も、脚長型部を複数の型部に分解することによって容易に脚長型部を成形体10zから取り外すことができる。
(4)スパークプラグ100の小型化のためには、絶縁体10の径が細いことが好ましい。絶縁体10の径が細い場合には、脚部13の肉厚も小さくなる。図3のステップS210に示す距離Tfは、棒部300と外型200との脚部13に対応する部分における、棒部300の外周面と外型200の内面との間の径方向の最小距離である。この最小距離Tfは、上記の各実施形態に共通である。ここで、最小距離Tfが、例えば、0.8mm以下であってもよい。最小距離Tfが小さい場合には、前部成形部10zfから前部成形型を取り外すときに前部成形部10zfが変形し易い。しかし、上述したように、前部成形型を複数の型部に分解して前部成形部10zfから取り外すことによって、離型による前部成形部10zfの変形を抑制できる。なお、前部成形部10zfの変形を抑制するためには、最小距離Tfが大きいことが好ましく、例えば、最小距離Tfが0.3mm以上であることが好ましい。なお、最小距離Tfが0.8mmを超えても良い。
(5)図3のステップS210に示す長さ13Lは、棒部300と外型200との脚部13に対応する部分の軸線CLに平行な方向の長さである。この長さ13Lは、上記の各実施形態に共通である。この長さ13Lが、例えば、5mm以上であってもよい。長さ13Lが長い場合には、前部成形部10zfから前部成形型を取り外すときに前部成形部10zf(例えば、脚部13に対応する部分)が変形し易い。しかし、上述したように、前部成形型を複数の型部に分解して前部成形部10zfから取り外すことによって、離型による前部成形部10zf(ひいては、脚部13に対応する部分)の変形を抑制できる。なお、前部成形部10zfの変形を抑制するためには、長さ13Lが短いことが好ましく、例えば、長さ13Lが20mm以下であることが好ましい。なお、長さ13Lが5mm未満であってもよい。
(6)図7で説明した内面17oの傾きe1a/e1b、e2a/e2bの好ましい範囲は、他の実施形態(例えば、図3、図9(A)、図9(B)の実施形態)に適用可能である。同様に、図7で説明した内面13oの傾きe3a/e3bの好ましい範囲は、他の実施形態(例えば、図3、図9(A)、図9(B)の実施形態)に適用可能である。
(7)大径部19よりも後方向Dfr側の部分を成形する後型部(例えば、後型部230(図3、図7、図9(A))、後型部230d(図9(B))が、複数の型部に分割されてもよい。こうすれば、後型部の離型に起因して成形体10zが変形することを抑制できる。
(8)外型の複数の型部を成形体10zから外す順番としては、上記各実施形態の順番に代えて、他の種々の順番を採用可能である。例えば、前型部210、210b、210c、210dを外した後に、後型部230、230dを外してもよい。また、棒部300を外した後に、外型を外してもよい。いずれの場合も、離型による成形体10zの変形を抑制するためには、成形体10zに対して同時に移動を開始する型部の総数が1個であることが好ましい。
(9)成形用の空間Sx内に材料を射出する方法としては、第1開口OPf接続されたノズル500から材料を空間Sx内に射出する方法に代えて、他の任意の方法を採用可能である。例えば、第1開口OPfを別の型部によって閉じて、第2開口OPrに接続されたノズルから空間Sx内に材料を射出してもよい。また、外型の型部(例えば、図3の後型部230)に空間Sxに連通するゲートを設け、そのゲートから材料を射出してもよい。
(10)成形型の構成としては、上記各実施形態の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、後端型290(図3)が、外型(例えば、後型部230)の一部であってもよい。また、後端型290が、棒部300の一部であってもよい。第1開口OPfを閉じる型部(「先端型」と呼ぶ)を用いる場合、先端型が、外型(例えば、第1型部211)の一部であってもよい。また、先端型が、棒部300の一部であってもよい。
また、棒部300は、1つの連続な部材に代えて、複数の型部を接続することによって構成されてもよい。例えば、棒部300は、第3外面13iを有する部分と、第2外面16iから後方向Dfr側の外面を有する部分と、で構成されてもよい。複数の型部で構成される棒部300を成形体10zから取り外す場合には、成形体10zに対して一部の型部の移動を開始した後に、成形体10zに対して他の型部の移動を開始することが好ましい。
(11)スパークプラグの構成としては、上記の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、中心電極20の第1チップ29と接地電極30の第2チップ39との少なくとも一方を省略してもよい。また、絶縁体10の先端側の部分の全体が、主体金具50の貫通孔59の内部に配置されてもよい。また、中心電極20の形状としては、図1で説明した形状とは異なる種々の形状を採用してもよい。また、接地電極30の形状としては、図1で説明した形状とは異なる種々の形状を採用可能である。また、絶縁体10は、中心軸CLに沿って延びて絶縁体10を貫通する貫通孔12を有する略円筒状の部材としたが、これに限られず、絶縁体10は、先端部が閉塞された有底筒状の部材としてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。