JP2016109636A - 電界撹拌装置、抗原抗体反応装置、抗原抗体反応方法 - Google Patents

電界撹拌装置、抗原抗体反応装置、抗原抗体反応方法 Download PDF

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太朗 青木
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太朗 青木
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Abstract

【課題】反応や洗浄の迅速化、自動化を実現できる電界撹拌装置、抗原抗体反応装置、抗
原抗体反応方法を提供すること。
【解決手段】電界撹拌装置100は、第1電極としての下側電極10及び第2電極として
の上側電極20を備え、上下方向に対向して配置された下側電極10と上側電極20との
間に生じさせた電界により、下側電極10に載置された基板W上に形成された液滴Sを撹
拌させる。上側電極20は、下側電極10と上側電極20とが対向して配置されたときに
、下側電極10と上側電極20との間の上下方向の電極間距離が異なる第1の部分と第2
の部分とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、電界撹拌装置、抗原抗体反応装置、抗原抗体反応方法に関する。
近年、バイオテクノロジーの発展と共に、研究などに用いられる様々な機器が開発され
ている。例えば、病理分野でがんの進行度などを調べるために行われる免疫組織染色にお
いても染色工程の機械化が進んでいる。具体的には、1次・2次抗原抗体反応工程間やそ
の前後に行われる洗浄工程を迅速化及び自動化することができる電界洗浄装置(電界免疫
組織染色装置)と、これを用いた電界洗浄方法が開示されている(特許文献1)。
特許文献1によれば、電界洗浄装置(電界免疫組織染色装置)は、試料を含む液体が滴
下されたガラスプレートなどの基板が配置される下側電極と、下側電極に対向して配置さ
れる上側電極とを有し、下側電極と上側電極との間に発生させた電界により基板上に滴下
された液体を非接触で撹拌可能となっている。また、上側電極には基板に臨む位置に貫通
穴が設けられ、液体を注入可能な注入管と、液体を排出可能な排出管とをそれぞれ貫通穴
に差し込むことができる構成となっている。したがって、注入管を用いて下側電極に配置
された基板上に1次・2次抗原抗体反応に用いる試薬や洗浄液を注入することができる。
また、抗原抗体反応工程や洗浄工程の終了後に排出管を用いて不要となった試薬や洗浄液
を排出することができる。すなわち、1次・2次抗原抗体反応工程やその前後の洗浄工程
で、液体を非接触で撹拌しながら抗原抗体反応や洗浄を自動で行うことができる構成とな
っている。
上記特許文献1以外にも、液体を非接触で撹拌可能であって作業の自動化を目指した装
置として、例えば特許文献2には、液体の保持手段に保持された液体を音波によって撹拌
する撹拌装置が開示されている。特許文献2に例示された自動分析装置は、上記保持手段
としての反応容器を外周に沿って複数配置することができる円形の反応テーブル、反応テ
ーブルに配置された反応容器に検体を分注する検体分注機構、同じく反応テーブルに配置
された反応容器に試薬を分注する試薬分注機構、反応容器中の液体試料を撹拌する撹拌装
置、検体と試薬とが反応した液体を分析するための分析光を発する光源、分析光を受光す
る受光素子などの構成を備えている。したがって、反応容器に自動で検体や試薬を注入し
、撹拌して反応させた液体を分析して成分やその濃度を検出可能な構成となっている。
また、例えば、特許文献3には、反応容器中の反応液を撹拌する撹拌機構と、反応液を
調整する分注機構と、反応液中の反応を検知する検知器とを備えた遺伝子自動検査装置が
開示されている。撹拌機構は、回転中心を軸として反応容器を回転させ、高速回転と遅速
回転または回転停止を交互に切り換えることにより、反応容器に添加された反応液を遠心
力により撹拌するものである。また、反応液の粘度に応じて、回転速度を制御したり、反
応液を加温したりして撹拌することが記載されている。
特開2014−160061号公報 特開2006−349379号公報 特開2011−19488号公報
上記特許文献1〜上記特許文献3では、液体を撹拌する方法として、電界撹拌、音波撹
拌、回転撹拌の方法が開示されているが、簡素な構成でより効率的な撹拌状態が得られ、
その結果、反応や洗浄の迅速化が図れる手段の開発が望まれている。
また、反応の迅速化を図る上では、反応が終了したか否かを的確に見極める手段や方法
の開発が必要である。さらには、検体と試薬とを反応させる場合、正しい試薬が供給され
たかを検証する手段や方法の開発も必要であるという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る電界撹拌装置は、第1電極及び第2電極を備え、第1の方向
に対向して配置された前記第1電極と前記第2電極との間に生じさせた電界により前記第
1電極と前記第2電極との間に配置された液体を撹拌させる電界撹拌装置であって、前記
第2電極は、前記第1電極と前記第2電極とが対向して配置されたときに、前記第1電極
と前記第2電極との間の前記第1の方向の電極間距離が異なる第1の部分と第2の部分と
を有していることを特徴とする。
本適用例によれば、第1電極と第2電極との間に電界を発生させると、電極間距離が異
なる第1の部分と第2の部分とにおいて、電界強度が一方に比べて他方が強い状態、ある
いは一方に比べて他方が弱い状態が生ずる。したがって、第1電極と第2電極との間に配
置された液体に対して一定の強度の電界を作用させる場合に比べて、電界による液体の振
動が大きくなり効率的に液体を撹拌することが可能な電界撹拌装置を提供することができ
る。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第2電極の前記第1の部分と前記第2
の部分とは、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿った溝を構成し、前記液体は、基
板の表面に滴下され、前記第1電極は、前記基板を前記溝に沿って載置可能な載置部を有
することを特徴とする。
この構成によれば、第2電極の溝は第2の方向に延在していることから、基板上におい
て第2の方向に沿って液体を複数滴下しても、滴下された複数の液体を同時に効率よく撹
拌することができる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第2電極の前記第1の部分と前記第2
の部分とは、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿った凸部を構成し、前記液体は、
基板の表面に滴下され、前記第1電極は、前記基板を前記凸部に沿って載置可能な載置部
を有することを特徴とする。
この構成によれば、第2電極の凸部は第2の方向に延在していることから、基板上にお
いて第2の方向に沿って液体を複数滴下しても、滴下された複数の液体を同時に効率よく
撹拌することができる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第1電極と前記第2電極との間に、前
記第2の方向または前記第2の方向に交差する第3の方向に対向して配置される第3電極
と第4電極とを有し、前記第1電極と前記第2電極との間に生じさせた第1の電界と、前
記第3電極と前記第4電極との間に生じさせた第2の電界とにより、前記液体を撹拌させ
ることを特徴とする。
この構成によれば、第1の方向だけでなく、第3の方向にも電界を発生させて液体を撹
拌することができるので、より効率的に液体を撹拌可能な電界撹拌装置を提供することが
できる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記液体は、収容部に収容され、前記第1
電極は、前記収容部を載置可能な載置部を有し、前記第2電極の前記第1の部分は、前記
収容部に挿入可能な柱状電極部であり、前記第2電極の前記第2の部分は前記柱状電極部
を支持する電極支持部であることを特徴とする。
この構成によれば、第1電極と収容部に挿入された柱状電極部との間で電界を発生させ
て、収容部に収容された液体を効率よく撹拌することが可能な電界撹拌装置を提供できる
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第1電極の前記載置部は、複数の前記
収容部を載置可能であって、前記第2電極は、複数の前記収容部ごとに対応した前記第1
の部分としての前記柱状電極部を有することを特徴とする。
この構成によれば、複数の収容部に充填された液体を同時に撹拌することができる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第1電極と前記第2電極とが対向して
配置されたときに、前記第2電極の前記柱状電極部は、平面視で前記収容部の中心に配置
されることを特徴とする。
この構成によれば、第1電極と柱状電極部との間に生じさせた電界によって液体を均一
に撹拌することができる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第1電極と前記第2電極とが対向して
配置されたときに、前記第2電極の前記柱状電極部は、平面視で前記収容部の中心からず
れた位置に配置されることが好ましい。
この構成によれば、第1電極と柱状電極部との間に生じさせた電界を収容部に収容され
た液体に作用させると、平面視で収容部の中心に柱状電極部を配置した場合に比べて、液
体の振動に偏りが生じ、収容部の内壁に沿って液体が移動し易くなる。つまり、電界によ
って液体が振動するときの第1の方向の振幅が大きくなるため、より効率的に撹拌するこ
とができる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第1の方向において、前記第1電極よ
りも下方に配置された発熱源を有することが好ましい。
この構成によれば、発熱源から放射される熱を利用して液体を加温することが可能とな
り、より効率的な撹拌を実現あるいは撹拌に伴う反応を促進することができる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記発熱源は、前記第1電極と前記第2電
極との間に電界を生じさせると共に、前記電界の少なくとも強度と周波数とを制御可能な
電界発生部及び前記電界発生部に電源を供給する電源部のうちの少なくとも一方であるこ
とを特徴とする。
この構成によれば、発熱源として別途ヒーターなどを設ける必要が無いので、簡素な構
成で効率よく撹拌が可能な電界撹拌装置を提供できる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第1電極と前記第2電極との間の前記
第1の方向の電極間距離を調整可能な昇降機構を備えることが好ましい。
この構成によれば、液体の種類や物理的な特性などに応じて適切な電極間距離に第1電
極と第2電極を配置して撹拌を行うことができる。
上記適用例に記載の電界撹拌装置において、前記第1電極と前記第2電極とが前記第1
の方向に対向して配置されたときの前記第1の方向に交差する第2の方向における第1の
位置と、前記第2の方向において前記第1電極と前記第2電極とが重ならない第2の位置
との間で、前記第1電極または前記第2電極を相対的に移動可能な移動機構を備えること
が好ましい。
この構成によれば、第1の位置から第2の位置に第2電極を退避させることができるの
で、第1電極上において液体に試薬や洗浄液を供給するときに第2電極が邪魔にならない
。つまり、試薬や洗浄液の供給作業を含めた液体の取り扱いが容易となる。
[適用例]本適用例に係る抗原抗体反応装置は、上記適用例に記載の電界撹拌装置を備
え、前記電界撹拌装置を用いて、抗原と抗体とを含んだ前記液体を撹拌して抗原抗体反応
を行わせることを特徴とする。
本適用例によれば、液体を効率的に撹拌して、抗原抗体反応工程やその前後の洗浄工程
を迅速化することができる。
上記適用例に記載の抗原抗体反応装置において、前記液体は、蛍光標識された抗体を含
み、前記液体を撮像可能な撮像部と、前記撮像部によって得られた前記液体の画像を画像
処理する画像処理部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像処理部の画像処理情
報に基づいて、前記電界撹拌装置における撹拌を制御することを特徴とする。
この構成によれば、抗原抗体反応を行わせた後に、撮像部により液体を撮像し、画像処
理部で画像を解析することにより蛍光の有無を確認すれば、液体中に抗体と反応する抗原
の有無を確認できる。また、少なくとも抗原抗体反応において正しい抗体を含む試薬が投
入されたか否かについて検証できる。さらに、洗浄後に不要な抗体が残っていないかも同
様に検証することができる。
上記適用例に記載の抗原抗体反応装置において、報知部を備え、前記制御部は、前記画
像処理部の解析結果から、前記液体が蛍光を発したと判断される場合、または、前記液体
が蛍光を発しないと判断される場合に前記報知部を駆動して報知させることを特徴とする

この構成によれば、報知部による報知によって抗原抗体反応の進み具合を判断できる。
つまり、作業者は抗原抗体反応装置に常に付き添っていなくてもよい。
[適用例]本適用例に係る抗原抗体反応方法は、上記適用例に記載の抗原抗体反応装置
を用い、抗原と抗体とを含んだ前記液体を撹拌して抗原抗体反応を行うことを特徴とする

この方法によれば、液体を効率的に撹拌して、抗原抗体反応工程やその前後の洗浄工程
を迅速に行うことができる。
上記適用例に記載の抗原抗体反応方法において、前記液体の表面張力、粘度、温度のう
ち少なくとも1つの条件を常温のときと異ならせて撹拌することが好ましい。
この方法によれば、より効率的に液体を撹拌して抗原抗体反応工程や洗浄工程を迅速化
することができる。
上記適用例に記載の抗原抗体反応方法において、前記第1電極と前記第2電極とのうち
、一方の電極の電位を基準として他方の電極に正極性と負極性との間で極性が変化する交
流電位を与えて電界を発生させ、前記液体を撹拌することを特徴とする。
抗原抗体反応は、抗原あるいは抗体が有する電荷の極性などに関連して、抗原と抗体と
が結合したり乖離したりする可逆的な反応によって進むと考えられる。本適用例によれば
、第1電極と第2電極とのうち、一方の電極の電位を基準として他方の電極に極性が変化
する交流電位が与えられるので、抗原と抗体との可逆的な反応のうち結合反応を促進する
ことができる。
上記適用例に記載の抗原抗体反応方法において、前記第1電極と前記第2電極との間に
交流電界を発生させ、前記液体を撹拌する撹拌工程を有し、前記撹拌工程は、前記第1電
極と前記第2電極とのうち、一方の電極の電位を基準として他方の電極に正極性または負
極性の直流電位を印加する工程を含むとしてもよい。
抗原抗体反応は、抗原あるいは抗体が有する電荷の極性などに関連して、抗原と抗体と
が結合したり乖離したりする可逆的な反応によって進むと考えられる。本適用例によれば
、交流電界により液体を撹拌する撹拌工程は、第1電極と第2電極とのうち、一方の電極
の電位を基準として他方の電極に正極性または負極性の直流電位を印加する工程を含むの
で、抗原や抗体の極性などに応じて電極における直流電位の極性を設定すれば、抗原と抗
体との可逆的な反応のうち結合反応を積極的に促進することができる。
上記適用例に記載の抗原抗体反応方法において、予め、抗原に結合する第1の色で蛍光
標識された第1の抗体と、前記抗原に結合しない第2の色で蛍光標識された第2の抗体と
、を含む前記液体を所定の時間静置して抗原抗体反応を行わせ、反応後に前記第1の色の
蛍光と前記第2の色の蛍光との基準蛍光強度比を求め、前記抗原抗体反応装置を用い、前
記抗原と、前記第1の抗体と、前記第2の抗体と、を含む前記液体を撹拌して、反応途中
に前記第1の色の蛍光と前記第2の色の蛍光との蛍光強度比を求める工程と、前記反応途
中の蛍光強度比が前記基準蛍光強度比に到達したか否か判定する工程と、を備え、前記反
応途中の蛍光強度比が前記基準蛍光強度比に到達した場合に、撹拌を停止することを特徴
とする。
この方法によれば、抗原抗体反応における終点を適切に見極めて反応を終わらせること
ができ、抗原抗体反応における無駄な時間を削減可能である。
上記適用例に記載の抗原抗体反応方法において、前記抗原と、前記第1の抗体と、前記
第2の抗体と、を含む前記液体を加温しながら撹拌して、前記反応途中の蛍光強度比を求
めることを特徴とする。
この方法によれば、液体を加温して反応量を増やしたとしても、抗原抗体反応における
終点を適切に見極めて反応を終わらせることができる。言い換えれば、長時間に亘って加
温によって特定の抗原以外の抗原と抗体とが反応する非特異的な反応を起こさせずに本来
の反応を終了させ、より効率的に抗原抗体反応を行うことができる。
上記適用例に記載の抗原抗体反応方法において、抗原に結合する抗体と、蛍光標識され
た前記抗体と、を含む前記液体を撹拌して抗原抗体反応を行う工程と、反応後の前記液体
が蛍光を発するか否か確認する工程と、を備えることが好ましい。
この方法によれば、反応後の液体が蛍光を発するか否か確認することによって、抗原抗
体反応工程において、正しい抗体を含む試薬が供給されたか否かを検証することができる
第1実施形態の電界撹拌装置の電気的及び機械的な構成を示す概略図。 (a)〜(d)は液体試料の形成方法を示す概略図。 (a)〜(c)は電界撹拌方法を示す概略図。 (a)は電極構造の一例を示す斜視図、(b)及び(c)は電極構造の一例を示す断面図。 電極構造の一例を用いた液滴の撹拌状態を示す概略断面図。 (a)〜(e)は電極構造の他の例を示す概略断面図。 ELISAの工程を示すフローチャート。 発色反応後の吸光度を示すグラフ。 (a)及び(b)は抗原抗体反応における液滴の表面張力及び粘度と吸光度(反応量)との関係を示すグラフ。 抗原抗体反応における温度と吸光度(反応量)との関係を示すグラフ。 第2実施形態の電界撹拌装置における電極の構成を示す(a)は概略平面図、(b)は概略側面図。 第3実施形態の電界撹拌装置における電気的及び機械的な構成を示す概略図。 (a)及び(b)は第3実施形態の抗原抗体反応方法の一例を示す模式図。 (a)〜(c)は第3実施形態の抗原抗体反応方法の他の例を示す模式図。 第4実施形態の電界撹拌装置の電気的及び機械的な構成を示す概略図。 (a)及び(b)は第4実施形態の電界撹拌装置の撹拌動作を説明する概略断面図。 第4実施形態における収容部Mを用いた抗原抗体反応方法としてのELISAの一例を示す概略図。 (a)及び(b)は第4実施形態の電界撹拌装置を用いた撹拌方法の他の例を示す概略断面図。 (a)及び(b)は第4実施形態における収容部の他の構成例を示す概略斜視図。 (a)及び(b)は第4実施形態における変形例の電極構成を示す概略平面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図
面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示してい
る。以降に説明する本発明の実施形態としての電界撹拌装置は、一対の電極間に少量の液
体試料を配置し、一対の電極に電圧を印加して電界を発生させる。その電界によるクーロ
ン力で液体試料を振動させ撹拌する装置である。また、液体試料が抗原と抗体とを含む場
合、抗原と抗体とを反応させて結合させる抗原抗体反応装置として好適に用いることがで
きる装置である。
(第1実施形態)
<電界撹拌装置>
第1実施形態の電界撹拌装置について図1〜図3を参照して説明する。図1は第1実施
形態の電界撹拌装置の電気的及び機械的な構成を示す概略図、図2(a)〜(d)は液体
試料の形成方法を示す概略図、図3(a)〜(c)は電界撹拌方法を示す概略図である。
本実施形態の電界撹拌装置100は、第1電極としての下側電極10と、第2電極とし
ての上側電極20と、昇降機構120と、移動機構130と、電界発生部140と、制御
部150と、操作部160とを含んで構成されている。下側電極10と上側電極20とを
上下に対向して配置することができ、上側電極20に対向する下側電極10の表面に液体
試料である液滴Sが形成された基板Wが載置される。下側電極10と上側電極20とが対
向して配置される空間が処理室110である。処理室110は、周囲の空間との間を隔て
る壁(図示省略)や開閉可能な蓋(図示省略)などにより構成され、処理室110を略閉
塞状態と解放状態とにすることができる。電界撹拌装置100は、処理室110、昇降機
構120、移動機構130、電界発生部140、制御部150、操作部160が設けられ
る筐体(図示省略)を有している。なお、電界撹拌装置100は、各機構や各部を駆動す
るための電源を供給する電源部(図示省略)を含むものである。
処理室110を基準とすると、処理室110の下方に昇降機構120と、電界発生部1
40とが設けられている。処理室110の前方に操作部160が設けられている。処理室
110の後方に移動機構130と、制御部150とが設けられている。以降、下側電極1
0と上側電極20とが対向して配置される上下の方向を第1の方向としての上下方向とし
、上下方向に直交する前後の方向を第2の方向としての前後方向とする。また、図1では
図示していないが、上下方向に直交する左右の方向を第3の方向としての左右方向として
説明する。
操作部160は、例えば液晶表示パネルなどの表示部と、表示部に重畳されたタッチパ
ネル方式の入力部とを備え、表示部に表示された各種の操作ボタンを入力部によって選択
することができる。これにより、操作部160が電気的に接続された制御部150は、電
界撹拌装置100の各部を駆動制御して上記各種の操作ボタンに対応する操作を行わせる
。例えば、制御部150は、操作部160からの操作に基づいて、昇降機構120を駆動
制御して下側電極10を上下方向に昇降させ、対向配置された下側電極10と上側電極2
0との間の上下方向における電極間距離を調整することができる。また例えば、制御部1
50は、移動機構130を駆動制御して支持部30を前後方向に移動させ、支持部30の
先端側に取り付けられた上側電極20を、下側電極10と対向する第1の位置と、第1の
位置から後退した第2の位置との間で移動させることができる。また例えば、制御部15
0は、電界発生部140を駆動制御して、下側電極10と上側電極20とにそれぞれ電位
を与えて、下側電極10と上側電極20との間に電界を発生させることができる。
制御部150は、演算部151と記憶部152とを備え、記憶部152に予め記憶され
た撹拌プログラムに基づいて、上述した各部の駆動制御を自動で実行させることができる
。撹拌プログラムは、基板Wに形成される液滴Sの液体試料としての種類や物性(粘度、
表面張力など)、容量あるいは重量などに応じて設定された撹拌条件を含んでいる。記憶
部152には上記撹拌プログラムだけでなく、電界撹拌装置100の各種の制御プログラ
ムを含んでおり、制御部150に設けられたインターフェイスを介して外部から記憶部1
52にアクセスしてプログラムの閲覧や修正、追加が可能となっている。なお、外部から
のアクセスについては、セキュリティー確保の観点からアクセスコードなどを設定するこ
ともできる。
次に、図2を参照して液滴Sを形成する方法について説明する。まず、図2(a)に示
すように、略直方管状のテンプレートを用意する。テンプレートの上面には円形の貫通孔
が設けられており、管部には、基板Wとして、透光性を有する例えば顕微鏡用スライドガ
ラスを挿入可能となっている。長手方向において、テンプレートの長さと基板Wの長さと
はほぼ同じである。そして、図2(b)に示すように、テンプレートに基板Wを挿入して
外形を合わせ、上記貫通孔に撥水ペンを挿入して内壁に沿って撥水ペンで基板Wの表面を
なぞることで、基板Wの表面に撥水円を描く。次に、図2(c)に示すように、マイクロ
ピペットなどを用いて液体試料を撥水円の内側に滴下して液滴Sを形成する。基板W上へ
の液滴Sの形成は一か所に限らず、例えば、図2(d)に示すように、基板Wの表面に間
隔を置いて複数(2つ)の撥水円を描き、複数の液体試料を、あるいは異なる種類の液体
試料を滴下してもよい。これにより、例えば液体試料に検体(抗原)が含まれている場合
には、撥水円内の基板Wの表面に検体(抗原)が固定される。なお、検体(抗原)は予め
撥水円内に固定されていてもよい。
次に、図1及び図3を参照して、電界撹拌装置100を用いた液滴Sの基本的な撹拌動
作について説明する。
図3(a)に示すように、撥水処理が施された基板W上に液体試料を滴下して液滴Sを
形成すると、液滴Sは基板W上において盛り上がる。盛り上がった液滴Sの基板W上にお
ける高さhは、主に、液滴Sの容量と、液滴Sの粘度と、液滴Sの表面張力と、液滴Sが
接している基板Wの表面の界面張力とにより決定される。特に、液滴Sの粘度は、温度に
依存するので、処理室110における温度管理は重要なファクターとなる。一方で液体試
料は少量の滴下や撹拌、化学反応などの用法を考慮して、一般的には低粘度(例えば5c
ps以下)の状態となっている。本実施形態では、図1に示したように基板Wが載置され
る下側電極10の下方に電界発生部140が配置されている。電界発生部140は電源部
からの電源供給を受けて電位を発生させるものであって、電界撹拌装置100の主電源ス
イッチを投入すると電源部から電源電圧が入力され熱を発する例えばトランジスターやダ
イオードなどの電子部品が用いられている。すなわち、電界発生部140は発熱源として
機能するものである。液滴Sの粘度が上述した低粘度の状態よりも高い場合には、このよ
うな発熱源を下方に有する処理室110の温度を管理することで液滴Sの粘度を低下させ
て、液滴Sを効率よく撹拌することも可能である。なお、発熱源は電界発生部140に限
らず、各機構、各部に電源を供給する電源部もまた発熱源として機能するため、処理室1
10の下方に電源部を配置してもよい。このような発熱源を有する電界撹拌装置100を
抗原抗体反応装置として用いれば、静置法に比べて、抗原と抗体とを含む液滴Sを撹拌し
て反応を進めると共に、発熱源からの放熱を利用して液滴Sを加温し液滴S中における抗
原及び抗体のブラウン運動を活発にして抗原抗体反応を加速させることが可能である。抗
原と抗体とを結合させる抗原抗体反応方法については後述する。
基板Wに滴下される液滴Sの容量は、検体(抗原)の大きさや試薬の濃度などによるが
、一般的には50μl(マイクロリットル)〜600μl(マイクロリットル)である。
次に、液滴Sが形成された基板Wを下側電極10上に載置する。あるいは、下側電極1
0上に撥水円が描かれた基板Wを載置した後に液体試料を滴下し液滴Sを形成してもよい
。このとき、下側電極10は上下方向における原点位置にある。原点位置は、電界撹拌装
置100に通電して、主電源スイッチを入れる(ONにする)と、制御部150が昇降機
構120を駆動させて原点位置を確認し、毎回リセットする制御プログラムが採用されて
いる。
次に、制御部150は、移動機構130を駆動させ、前後方向において上側電極20を
後退していた第2の位置から、下側電極10と対向する第1の位置に移動させる。下側電
極10と上側電極20とが第1の位置で対向すると、制御部150は昇降機構120を駆
動させ、上下方向において電極間距離が所定の距離dとなるように、下側電極10を上側
電極20に向かって上昇させる。
次に、制御部150は、所定の距離dで対向配置された下側電極10と上側電極20と
に電界発生部140からそれぞれ電位を与えて交流電界を生じさせる。図3(b)に示す
ように、交流電界によって液滴Sの頂部が引き上げられる方向にクーロン力が働くと、液
滴Sは変形して高さが増大する。また、交流電界によって液滴Sの頂部が引き上げられる
方向のクーロン力が働かなくなる(液滴Sに重力が作用)、あるいは液滴Sの頂部が引き
下げられる方向にクーロン力が働くと、図3(c)に示すように、液滴Sは頂部が盛り上
がった状態から潰れた状態となり、液滴Sの高さは減少する。このようにして液滴Sを変
形(振動)させることにより液滴Sを撹拌する。液滴Sが試薬(抗体)を含んだ液体試料
である場合、基板W上で液滴Sを静置させて検体(抗原)と試薬(抗体)とを反応させる
静置法に比べて、電界撹拌装置100を用いる電界撹拌法は、少量の液滴Sを非接触で撹
拌して反応に要する時間を短縮することが可能である。また、液滴Sが洗浄液である場合
、少量の液滴Sを非接触で撹拌して効率的に洗浄することが可能である。
下側電極10と上側電極20との間の所定の距離dは、撹拌によって変化する液滴Sの
高さの変化量Δhを考慮する必要がある。液滴Sが上述したクーロン力によって変形して
液滴Sの頂部が上側電極20に触れると、撹拌が阻害される。撹拌を効率的に行うには、
液滴Sの高さの変化量Δhを最大化することが好ましいが、変化量Δhの最大化によって
液滴Sが上側電極20に触れないように、上記所定の距離dを大きくする必要がある。上
記所定の距離dを大きくすることは、下側電極10と上側電極20との間に生じさせる電
界強度が弱くなる方向に働く。電界強度が弱くなることはクーロン力が小さくなることに
他ならない。クーロン力が小さくなれば液滴Sの変化量Δhが小さくなる方向に働いてし
まう。また、前述したように、液滴Sの初期的な高さhは、主に液滴Sの容量と、表面張
力とにより影響を受けることから、液体試料の種類や液滴Sの容量に応じて、予め撹拌試
験を行って好ましい撹拌条件を選定しておく。撹拌条件としては、電極間距離、電極間の
電位差つまり交流電界の電界強度、電極間に電位差を与えるときの電極の極性、交流電界
(交流電圧)の周波数、撹拌時間などが挙げられる。
本実施形態の電界撹拌装置100は、液体試料の種類や液滴Sの容量に応じて、好まし
い撹拌条件を選定できるようになっている。例えば、制御部150は、昇降機構120を
駆動して、下側電極10と上側電極20との上下方向における電極間距離を2.0mm〜
18.0mmの範囲内で、微小寸法単位(本実施形態では0.1mm単位)で可変するこ
とができる。なお、電極間距離の最小値(この場合、2.0mm)は、下側電極10に基
板Wを載置した状態で、下側電極10及び基板Wが上側電極20と接触しない値となって
いる。
電界発生部140は、例えば、0V〜4.5kVの電位差の範囲、且つ1Hz〜100
Hzの周波数範囲で交流電圧としての矩形波を発生させることができる。なお、上側電極
20に対して、下側電極10の極性を正極性(+)とした矩形波や、下側電極10の極性
を負極性(−)とした矩形波を発生させることができる。下側電極10と上側電極20と
の間の電位差を例えば4kvとする場合、例えば下側電極10の電位を−1kvとし、上
側電極20の電位を+3kvとして電位差4kvを実現してもよい。
発明者らは、このような電界撹拌法の基本的な撹拌動作を考慮して、より効率的な撹拌
状態が得られる電極構造を開発した。以降、開発された電極構造とこの電極構造を用いた
撹拌状態について、図4〜図6を参照して説明する。図4(a)は電極構造の一例を示す
斜視図、図4(b)及び(c)は電極構造の一例を示す断面図、図5は電極構造の一例を
用いた液滴の撹拌状態を示す概略断面図、図6(a)〜(e)は電極構造の他の例を示す
概略断面図である。
図4(a)に示すように、上側電極20と対向する下側電極10の表面には、平面視で
矩形状の基板Wを前後方向に沿って配置し位置決め可能な載置部13が設けられている。
載置部13は、前後方向に延在する一対のガイド部11と、前後方向の後端側に設けられ
左右方向に延在する度当たり部12とを有している。基板Wの長手方向における一方の端
が度当たり部12に当接するように、一対のガイド部11の間に基板Wを挿入すれば、基
板Wの長手方向における他方の端が前方に張り出した状態で基板Wを下側電極10上に配
置できる構成となっている。ピンセットなどの把持ツールを用いて基板Wの前方に張り出
した部分を把持すれば、下側電極10に対して基板Wのセット・リセットを容易に行うこ
とができる。
下側電極10に対向する上側電極20の表面には、前後方向に延在する溝21が設けら
れている。溝21の断面形状は四角形であり、切り立った側面と平坦な底面とを有してい
る。
図4(b)に示すように、下側電極10上に液滴Sが形成された基板Wを載置して、下
側電極10と上側電極20とを対向して配置したときに、溝21は液滴Sの直上に位置す
るように左右方向において一対のガイド部11の間に設けられている。上述したように、
基板Wとして顕微鏡用スライドガラスを用いる場合、顕微鏡用スライドガラスはJIS
R 3703:1998にて規格化されており、幅26mm、長さ76mm、厚さ1.1
mmの無色透明なガラスが用いられる。基板Wに形成される撥水円の直径は例えば20m
mである。本実施形態における溝21の左右方向の幅d3は、例えば8mmであり、溝2
1の深さは、例えば4mmである。
基板Wが載置される下側電極10の表面10aと、溝21が設けられていない上側電極
20の表面20aとの間の上下方向における電極間距離をd1とすると、下側電極10の
表面10aと溝21の底面20bとの間の上下方向における電極間距離d2は、電極間距
離d1よりも大きくなる。すなわち、上側電極20は、下側電極10と対向して配置され
たときに、下側電極10と上側電極20との間の上下方向の電極間距離が異なる第1の部
分としての表面20aと、第2の部分としての底面20bとを有している。なお、基板W
をガイドするガイド部11の表面10a上における高さは、基板Wの厚さよりも小さくな
っている。
例えば、図4(c)に示すように、下側電極10上に複数の基板Wが載置されるように
構成してもよい。その場合、それぞれの基板Wの直上に位置するように、複数の溝21が
上側電極20に設けられる。
図4(b)に示したように、液滴Sが形成された範囲において、下側電極10と上側電
極20との上下方向における電極間距離が異なる部分が上側電極20に設けられている。
したがって、下側電極10と上側電極20との間に交流電界を発生させると、図5に示す
ように、液滴Sの中央付近よりも周辺側で電界によるクーロン力が強く働くことになり、
液滴Sは波打つように変形(振動)する。したがって、図3(b)及び(c)に示したよ
うに、溝21が設けられていない平板な状態の上側電極20を用い、液滴Sの頂部を引き
上げたり落とし込ませたりして振動させた場合に比べて、液滴Sを効率的に撹拌すること
ができる。
このような液滴Sの撹拌効果が得られる上側電極20の構造は、下側電極10と対向す
る表面に断面形状が四角形の溝21を設けることに限定されない。例えば、図6(a)に
示すように断面形状が三角形の溝22を上側電極20に設けてもよいし、図6(b)に示
すように断面形状が円弧状の溝23を上側電極20に設けてもよい。また、電極間距離を
異ならせることができればよいので、図6(c)に示すように断面形状が四角形の凸部2
4や、図6(d)に示すように断面形状が三角形の凸部25を上側電極20に設けてもよ
い。また例えば、図6(e)に示すように、下側電極10と上側電極20との間に配置さ
れた液滴Sに対向するように、複数(2つ)の凸部25を上側電極20に設けてもよい。
なお、これらの溝や凸部は、図4(a)に示すように、少なくとも基板Wと対向するよ
うに、前後方向に延在して設けることが好ましい。これによれば、基板Wに複数の液滴S
が形成されていたとしても、下側電極10と上側電極20との間に発生させた交流電界に
より複数の液滴Sを同時に且つ効率的に振動させて撹拌することができる。
<抗原抗体反応方法>
次に、本実施形態の電界撹拌装置100を抗原抗体反応装置として用いた抗原抗体反応
方法の一例について図2、図7〜図10を参照して説明する。なお、本実施形態では、抗
原抗体反応方法として、液体試料中に含まれる抗原の濃度を検出・定量するELISA(
Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)の例を挙げて
説明する。図7はELISAの工程を示すフローチャート、図8は発色反応後の吸光度を
示すグラフである。
本実施形態における液体試料とは例えば血液のような検体を含む液体であって、抗原と
は該検体に含まれる特定のタンパク質(病原体など)を指すものである。
図7に示すように、本実施形態の抗原抗体反応方法の一例は、検体(抗原)の固相化工
程(ステップS1)、洗浄工程(ステップS2)、ブロッキング工程(ステップS3)、
洗浄工程(ステップS4)、抗原抗体反応工程(ステップS5)、発色反応工程(ステッ
プS6)、反応停止工程(ステップS7)、吸光度測定工程(ステップS8)を備えてい
る。
図7の固相化工程(ステップS1)では、まず、図2(c)に示すように、マイクロピ
ペットなどを用いて液体試料を撥水円の内側に滴下して液滴Sを形成する。液滴Sの容量
は例えば150μl(マイクロリットル)である。これにより、液滴Sに含まれる検体(
抗原)は基板W上において撥水円内に固定される。そして、ステップS2へ進む。
図7の洗浄工程(ステップS2)では、基板W上の撥水円内を洗浄する。洗浄方法とし
ては、洗浄液として例えば適宜の濃度に調整したリン酸緩衝液などを用い、洗浄液中に基
板Wを浸漬して10秒程度上下に動かす方法などが挙げられる。洗浄後に洗浄液を液切り
(廃棄)する。そして、ステップS3へ進む。
図7のブロッキング工程(ステップS3)では、後に行われる抗原抗体反応工程で、上
記特定のタンパク質に特異的に結合する抗体が、試料に含まれる抗原以外の物質や基板自
体と結合して特異性が阻害されることを防止するため、例えばウシ血清アルブミンやスキ
ムミルク、ゼラチンなどのブロッキング剤を含むブロッキング溶液を基板Wの撥水円の内
側に滴下して液滴Sを形成し、電界撹拌装置100を用いて例えば15分撹拌する。滴下
するブロッキング溶液の容量は例えば150μl(マイクロリットル)である。これによ
り試料中に含まれる非特異的な結合を引き起こす因子や基板表面にブロッキング剤が結合
してブロッキング処理が施される。なお、静置法を用いたブロッキング処理の場合、一般
的には30分程度の静置が必要とされる。そして、ステップS4へ進む。
図7の洗浄工程(ステップS4)では、電界撹拌装置100から基板Wを取り出して、
ブロッキング処理が施された基板表面を先の洗浄工程(ステップS2)と同様に洗浄する
。そして、ステップS5へ進む。
図7の抗原抗体反応工程(ステップS5)では、上記特定のタンパク質に特異的に結合
する抗体を含む試薬を基板Wの撥水円の内側に滴下して液滴Sを形成する。そして、電界
撹拌装置100を用いて、基板W上に形成された液滴Sを撹拌する。滴下する試薬の容量
は、例えば150μl(マイクロリットル)である。撹拌プログラムにおける撹拌条件は
、例えば、上側電極20を基準として、下側電極10に電位差が4.0kvの正極性の矩
形波を印加し、周波数が5Hzの交流電界を発生させる。電極間距離d1は4.1mmに
設定した。撹拌時間は例えば5分である。これにより、上記特定のタンパク質と抗体とが
結合する抗原抗体反応が進む。そして、ステップS6へ進む。
図7の発色反応工程(ステップS6)では、発色基質を含む発色試薬(発色液)を基板
Wの撥水円の内側に滴下して、上記抗体と発色基質とを反応させて発色させる。発色試薬
の容量は、例えば150μl(マイクロリットル)である。そして、ステップS7へ進む
図7の反応停止工程(ステップS7)では、発色させた後に、例えば希硫酸のような反
応停止薬を滴下して発色反応を停止させる。反応停止薬の容量は、例えば150μl(マ
イクロリットル)である。液体試料(検体)中に抗原としての特定のタンパク質が含まれ
ていれば抗体と結合して発色することになる。つまり、発色を確認すれば液体試料(検体
)中に含まれる特定のタンパク質の有無を検出できる。また、発色の強度は、液体試料(
検体)中に含まれている特定のタンパク質の量に比例する。発色反応工程が終了した基板
W上の液体試料の吸光度(Abs450;発色基質に基づく特定波長、本実施形態では4
50nmの光の吸光度)を例えば分光光度計を用いて測定すれば、特定のタンパク質の濃
度を定量することができる。
上記ELISAの工程では、ブロッキング工程、抗原抗体反応工程で電界撹拌装置10
0を用いた。電界撹拌装置100による撹拌の効果を確認するために、従来の平板型の上
側電極を用いた場合と、電界撹拌装置100を用いずに、基板W上で液滴Sを静置した状
態で抗原抗体反応を進める場合(静置法;静置時間5分)とを実施して発色反応後の吸光
度を比較した。
図8に示すように、静置法に比べて従来の平板型の上側電極を用いた方が吸光度すなわ
ち反応量が増えている。また、平板型に比べて本実施形態の溝21を設けた上側電極20
を用いた方がさらに吸光度すなわち反応量が増えている。言い換えれば、静置法と同じ反
応量を得るための反応に要する時間を短縮することができる。なお、図8は、上記3種類
の比較実験をそれぞれ6個のサンプルを用意して行った。6個のサンプルのうちの1つは
抗原を含まないブランクであって、残り5個のサンプルの吸光度の値からそれぞれブラン
クの吸光度の値を差し引いた吸光度の平均を示したグラフである。
電界撹拌装置100を用いる工程は、ブロッキング工程、抗原抗体反応工程に限らず、
ELISAの工程のうちの1つの工程で利用されるとしてもよい。とりわけ、抗体を含む
試薬は高価であることから、少量の液滴Sを非接触で撹拌可能な電界撹拌装置100を抗
原抗体反応工程で用いることがより効果的である。また、抗原抗体反応工程は、1種の抗
体を抗原と反応させる方法に限らず、例えば、まず抗原に1次抗体を結合させ、さらに1
次抗体に2次抗体を結合させる方法もある。また、同じ血液試料などに対してそれぞれ別
の抗体を結合させて、複数の異なるタンパク質の検出・定量を行うことがある。
上記第1実施形態の電界撹拌装置100及びこれを用いた抗原抗体反応方法によれば、
下側電極10と上側電極20とを対向して配置したときに、上下方向における電極間距離
が異なる第1の部分と第2の部分とを有するように、上側電極20に溝21が設けられて
いる。溝21は、基板W上の液滴Sが形成される領域に対向するように上側電極20に設
けられている。これにより、下側電極10と上側電極20との間に交流電界を発生させる
と、液滴Sには異なった大きさのクーロン力が周期的に作用するため、液滴Sは波打つよ
うに変形(振動)する。したがって、従来の静置法や、平板型の上側電極を用いた場合に
比べてより効率的に撹拌が進む。すなわち、ELISAの工程において、ブロッキング反
応や抗原抗体反応が迅速に進み、ELISAの工程に要する時間を短縮することができる
次に、図9を参照して抗原抗体反応における液滴Sの表面張力及び粘度と吸光度(反応
量)との関係について説明する。図9(a)及び(b)は抗原抗体反応における液滴の表
面張力及び粘度と吸光度(反応量)との関係を示すグラフである。
上記ELISAの工程では、ブロッキング工程(ステップS3)と抗原抗体反応工程(
ステップS5)とで電界撹拌装置100を用いた。液滴Sにおける物性(粘度、表面張力
)の調整の効果と、電界撹拌装置100による撹拌の効果とを確認するために、以下の条
件でELISAを行った。
液滴Sのバッファーとして何も添加されていないTBS(Tris Buffered Saline)を
用いる場合と、TBSに表面張力を低下させる界面活性剤としてTween20を添加し
た場合(TBS−T)と、TBS−Tに粘度を増加させる粘度調整剤としてグリセロール
をさらに添加した場合(TBS−GT)と、TBS、TBS−T、TBS−GTの各条件
において、電界撹拌装置100を用いずに、基板W上において液滴Sを静置した状態で反
応を進める場合(静置法;静置時間5分)と、を実施して発色反応後の吸光度を比較した
。なお、先に説明した上記ELISAの工程(ステップS1〜ステップS5)では、液滴
SのバッファーとしてTBS−Tを用いている。
図9(a)に示すように、電界撹拌条件として電位差を4.0kV、交流電界の周波数
を5Hz、電極間距離を4.1mmとして抗原抗体反応を行うと、何も添加されていない
TBSをバッファーとして用いた場合に比べて、TBS−T、TBS−GTのそれぞれは
吸光度(反応量)が増えた。
また、液滴Sの表面張力が低下したTBS−Tのほうが、さらに液滴Sの粘度を調整し
て増加させたTBS−GTよりも吸光度(反応量)が大きかった。
また、図9(b)に示すように、電界撹拌装置100を用いずに静置した場合(撹拌な
し)では、TBS、TBS−T、TBS−GTのいずれも、電界撹拌装置100を用いた
場合に比べて吸光度(反応量)が低下した。言い換えれば、電界撹拌装置100を用いて
液滴Sを撹拌しながら抗原抗体反応を行うことで、反応量を増大させることができる。
次に、液滴Sの温度と反応量との関係について図10を参照して説明する。図10は抗
原抗体反応における温度と吸光度(反応量)との関係を示すグラフである。液滴Sの温度
と反応量との関係を確認するために、室温(25℃)での静置、10℃、20℃、30℃
、40℃での静置による吸光度(反応量)を調べた。いずれも液滴Sのバッファーとして
何も添加されていないTBSを用いている。図10に示すように、液滴Sの温度が、室温
(25℃)を下回ると吸光度(反応量)が低下した。また、液滴Sの温度を室温(25℃
)よりも高くすることで反応量が増加することが分かった。
なお、これらの粘度、表面張力、温度に係る比較試験は、先の装置構成の比較試験と同
様に6個のサンプルを用意し、6個のサンプルのうちの1個はブランクであって、上述し
たように5個のサンプルのそれぞれの吸光度の値からブランクの吸光度の値を差し引いた
吸光度の平均値を求めた。
これらの比較試験によれば、電界撹拌装置100を用いた抗原抗体反応方法において、
液滴Sの表面張力、粘度、温度のうち少なくとも1つの条件を室温(常温)と異ならせる
ことで液滴Sを効率的に撹拌して反応量を増やすことができる。また、静置法に比べて電
界撹拌装置100を用いることで反応量を増やすことができる。言い換えれば、静置法と
同じ反応量を短い時間で達成することができ、抗原抗体反応を迅速化できる。
なお、表面張力、粘度、温度のうち少なくとも1つの条件を室温(常温)のときと異な
らせる方法は、この後に説明する第2実施形態〜第4実施形態の電界撹拌装置を抗原抗体
反応装置として用いる抗原抗体反応方法にも適用できる。
(第2実施形態)
<電界撹拌装置>
次に、第2実施形態の電界撹拌装置について、図11を参照して説明する。図11は第
2実施形態の電界撹拌装置における電極の構成を示す(a)は概略平面図、(b)は概略
側面図である。第2実施形態の電界撹拌装置は、上記第1実施形態の電界撹拌装置100
に対して電極の構成を異ならせたものである。したがって、電界撹拌装置100と同じ構
成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図11(a)及び(b)に示すように、本実施形態の電界撹拌装置200は、上下方向
において対向して配置される下側電極10及び上側電極20と、下側電極10と上側電極
20との間において、左右方向に延在し、左右方向と直交する前後方向に対向して配置さ
れる第3電極41と、第4電極42とを有する。第3電極41と第4電極42とは、下側
電極10に基板Wが載置されたときに、基板W上において液滴Sが形成される領域を挟ん
で対向するように配置される。なお、上側電極20には前後方向に沿って溝21が設けら
れている。
電界撹拌装置200は、下側電極10と上側電極20との間に交流電界を発生させて液
滴Sを撹拌する第1撹拌プログラムと、第3電極41と第4電極42との間に交流電界を
発生させて液滴Sを撹拌する第2撹拌プログラムとを実行することができる。第1撹拌プ
ログラムと第2撹拌プログラムとを同時に実行することも、別々に実行することもできる
。また、第1撹拌プログラムと第2撹拌プログラムとを組み合わせて実行することもでき
る。
第3電極41及び第4電極42は、前後方向において対向するように配置されることに
限定されず、左右方向に配置されていてもよい。また、左右方向と前後方向とに交差する
ように、下側電極10の表面と平行な面内において斜め方向に対向して配置されていても
よい。
なお、図11には図示していないが、第3電極41と第4電極42との間の電極間距離
を調整可能な移動機構を備えることが好ましい。
上記第2実施形態によれば、基板Wに形成された液滴Sに対して上下方向だけでなく、
基板Wの表面に平行な面内の方向に液滴Sを振動させて撹拌することができる。つまり、
上記第1実施形態の電界撹拌装置100に対して様々な方向に液滴Sを振動させることが
できることから、撹拌時のむらを低減して反応や洗浄を行うことが可能な電界撹拌装置2
00を提供できる。
(第3実施形態)
<電界撹拌装置>
次に、第3実施形態の電界撹拌装置及びこれを用いた抗原抗体反応方法の例について、
図12〜図14を参照して説明する。図12は第3実施形態の電界撹拌装置における電気
的及び機械的な構成を示す概略図である。第3実施形態の電界撹拌装置は、上記第1実施
形態の電界撹拌装置100に対して撮像機構170を備えたことを特徴とするものである
。したがって、電界撹拌装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略す
る。
図12に示すように、本実施形態の電界撹拌装置300は、第1電極としての下側電極
10と、第2電極としての上側電極20と、昇降機構120と、移動機構130と、電界
発生部140と、制御部150と、操作部160と、撮像機構170とを含んで構成され
ている。また、電界撹拌装置300は、下側電極10と上側電極20とが上下方向におい
て対向して配置される処理室110と、昇降機構120、移動機構130、電界発生部1
40、制御部150、操作部160、撮像機構170の各機構及び各部に電源を供給する
電源部(図示省略)とを備えている。昇降機構120及び電界発生部140は、処理室1
10の下方に配置されている。また、操作部160には報知部161が設けられている。
つまり、電界撹拌装置300は、上記第1実施形態の電界撹拌装置100に対して少なく
とも撮像機構170と報知部161とが追加された構成となっている。
撮像機構170は、撮像部171と、画像処理部172と、モニター173とを備えて
いる。撮像部171は、例えばCCDなどの撮像素子を備えたカメラである。モニター1
73は、例えば液晶表示パネルであって、画像処理部172に電気的に接続されている。
画像処理部172は撮像部171により得られた映像をモニター173に映し出せるよう
に画像処置を行う。また、撮像部171及び画像処理部172は制御部150に接続され
ており、制御プログラムに基づいて被写体の映像を撮像して画像処理することができる。
制御部150は画像処理部172の画像処理情報に基づいて電界撹拌装置300を駆動制
御できる。
本実施形態における被写体は、下側電極10に載置される基板W上に形成される液体試
料からなる液滴Sである。撮像機構170のうち少なくとも撮像部171は、処理室11
0の上方において液滴Sを臨むことができる位置に配置されている。なお、撮像部171
の配置位置は、液滴Sを撮像できる位置であればよく、必ずしも液滴Sの直上に配置され
ることに限定されない。例えば、液滴Sと撮像部171との間にミラーを配置して、ミラ
ー越しに液滴Sを撮像するように撮像部171を配置してもよい。また、処理室110は
、略閉塞状態で液滴Sの撮像が可能となるように、上方に位置する蓋の一部が透光性の例
えばガラスやプラスチックなどの部材によって構成されている。なお、液滴Sを撮像する
ために液滴Sを照明する照明手段は、撮像部171自体に設けられた例えば同軸落射照明
であってもよいし、撮像部171とは別に、例えば処理室110内に設けられていてもよ
い。
本実施形態の電界撹拌装置300によれば、下側電極10と上側電極20との間に電界
を発生させ、例えば抗原と抗体とを含む液滴Sを撹拌して抗原抗体反応を行わせ、発色状
態を撮像部171で撮像することで、反応の進み具合(例えば反応が終点に達したか否か
)を制御部150によって判定することができる。そして、制御部150は、反応の進み
具合に基づいて電界撹拌装置300を駆動制御することができる。例えば液滴Sの発色状
態に基づいて発色反応を継続したり停止させたりすることができる。また、例えば反応の
進み具合を操作部160の報知部161から知らせることができる。報知部161は、例
えば操作部160の表示部に表示される定型の表示パターン(例えば操作の継続や停止を
知らせる表示パターン)や、操作部160に含まれるブザーや音声アラーム、ランプなど
であってもよい。
<抗原抗体反応方法>
次に、電界撹拌装置300を抗原抗体反応装置として用いた抗原抗体反応方法の例につ
いて図13及び図14を参照して説明する。図13(a)及び(b)は第3実施形態にお
ける抗原抗体反応方法の一例を示す概略図、図14(a)〜(c)は第3実施形態におけ
る抗原抗体反応方法の他の例を示す概略図である。
本実施形態の抗原抗体反応方法の一例は、抗原に1次抗体を結合させる1次抗体反応工
程と、抗原に結合した1次抗体に2次抗体を結合させる2次抗体反応工程とを備えるもの
である。また、これらの1次及び2次抗体反応工程では、第1の色で蛍光標識された第1
の抗体と、抗原に結合しない第2の色で蛍光標識された第2の抗体と、を含む試薬を用い
る方法である。
従来の抗原抗体反応方法である静置法において、抗原抗体反応量を増やす方法として、
液体試料を加温する加温法がある。加温法では、加温する時間が長すぎると非特異的な反
応量を増やしてしまうという問題があり、ELISAにおいてはS/N比(抗体と反応し
て発色した特定の抗原と、抗体と反応せず発色しない検体組織との発色強度の比)の低下
、免疫組織染色においては、誤診や再染色につながる恐れがある。そのため、十分なS/
N比に達した時点で反応を終了させることが望ましい。診断するのに十分なS/N比を得
る時間は温度が高ければ高いほど短くて済むが、使用する抗体ごとにその時間が異なるた
め、ある温度での反応終了時間を抗体ごとに調べるのは時間が掛かる。本実施形態の抗原
抗体反応方法の一例は、免疫組織染色法に係るものであり、十分な反応が得られた後、加
温を止めて反応が終わったことを自動で判別できるようにしたものである。
具体的には、図13(a)に示すように、基板W上に組織切片(検体)を固定する抗原
抗体反応の前処理を終えた後、組織切片(検体)に特定の抗原50に結合する例えば赤色
で蛍光標識した1次抗体61と、人組織中に含まれる抗原と反応しない例えば橙色で蛍光
標識した1次抗体62とを含んだ試薬を滴下する。滴下後、加温しない静置法と同じ時間
(例えば5分〜60分)反応させ、蛍光強度のレシオ(赤色蛍光強度/橙色蛍光強度;S
/N比)を測定する。ここで得たS/N比の値を基準蛍光強度比「A」とする。次に、図
13(b)に示すように、1次抗体反応で抗原50に結合した1次抗体61に特異的に結
合する例えば緑色で蛍光標識した2次抗体63と、1次抗体反応工程で抗原に結合しなか
った橙色で蛍光標識した1次抗体62に特異的に結合する例えば青色で蛍光標識した2次
抗体64とを含む試薬を組織切片(検体)上に滴下する。滴下後、加温しない静置法と同
じ時間(例えば5分〜60分)反応させ、蛍光強度のレシオを測定する(緑の蛍光強度/
青色の蛍光強度;S/N比)。ここで算出されたS/N比の値を基準蛍光強度比「B」と
する。この方法で求めた基準蛍光強度比「A」を1次抗体反応が十分に進んだ時の値、基
準蛍光強度比「B」を2次抗体反応が十分に進んだ時の値とし、電界撹拌装置300の制
御部150における記憶部152に記憶させる。
次に、実際に発色液で染める本来の組織切片以外に反応時間調整用の組織切片サンプル
を1つ用意する。1次抗体反応工程では、本来の組織切片と組織切片サンプルとを基板W
上に固定して、本来の組織切片に何も標識されてない特定の抗原に特異的に結合する1次
抗体を含む試薬を滴下する。一方、反応時間調整用の組織切片サンプルには上記のように
赤色で蛍光標識した1次抗体61を含む試薬を滴下する。反応温度は本来の組織切片が損
傷を受けない温度範囲に設定する。電界撹拌装置300を用いて本来の組織切片を含む液
体試料(液滴S)と、組織切片サンプルを含む液体試料(液滴S)とを加温しながら撹拌
して反応させる。反応中において、例えば1分置きに組織切片サンプルを含む液滴Sを撮
像機構170で撮像し、画像処理部172の画像処理情報に基づいて制御部150の演算
部151は蛍光強度比(S/N比)を求める。1次抗体反応時に反応時間調整用サンプル
における上記蛍光強度比(S/N比)の値が基準蛍光強度比「A」に達したと制御部15
0が判断すると、制御部150は報知部161を駆動して1次抗体反応の終了を作業者に
知らせる。その後の2次抗体反応工程では、本来の組織切片に、上記1次抗体に特異的に
結合する酵素標識抗体を含む試薬を滴下する。一方、反応時間調整用の組織切片サンプル
には上記のように緑で蛍光標識した2次抗体63を含む試薬を滴下する。そして、電界撹
拌装置300を用い液体試料(液滴S)を加温しながら撹拌して反応させる。2次抗体反
応工程でも1次抗体反応工程と同様に例えば1分置きに組織切片サンプルを含む液滴Sを
撮像機構170で撮像し、画像処理部172の画像処置情報に基づいて制御部150の演
算部151は蛍光強度比(S/N比)を求める。反応時間調整用サンプルにおける蛍光強
度比(S/N比)の値が基準蛍光強度比「B」に達したと制御部150が判断すると、制
御部150は報知部161を駆動して2次抗体反応の終了を作業者に知らせる。2次抗体
反応終了後は、酵素標識した2次抗体が結合した本来の組織切片に、発色液である例えば
ジアミノベンジジン(3,3’−Diaminobenzidine,tetrahydrochloride;DAB)を滴
下して組織を染色する。この抗原抗体反応方法の一例によれば、加温による非特異的な反
応を増やすことなく、迅速に免疫組織染色を終えることができる。また、1次及び2次抗
体反応のそれぞれの終了を制御部150が判断して報知し、1次及び2次抗体反応におけ
る撹拌(反応)を自動で停止させることができる。
なお、上記抗原抗体反応方法の一例は、液体試料(液滴S)を加温しながら撹拌するこ
とに限定されず、一定の温度環境下で液体試料(液滴S)を撹拌して1次及び2次抗体反
応を行わせる場合にも適用することができる。また、撮像機構170により液滴Sを撮像
する場合、液滴Sを照明する照明手段は、ある波長の光で励起することによって蛍光を発
する物質特有の励起波長の光を照射可能な照明手段が選ばれる。
次に、抗原抗体反応方法の他の例について、同じく免疫組織染色法を例に挙げて図14
を参照して説明する。免疫組織染色法では、基板W上に固定された組織切片に、特定の抗
原に対して特異的に結合する抗体を含む試薬が滴下される。組織切片において特定しよう
とする抗原は1種に限らず多種に及ぶことから、抗体も同様に多種に及ぶ。したがって、
免疫組織染色の目的に応じて正しい抗体を含む試薬を滴下する必要があることは言うまで
もない。例えば、前述した特許文献2(特開2006−349379号公報)に示された
自動分析装置は試薬分注機構を有している。この試薬分注機構は、試薬テーブルに配置さ
れた複数の試薬容器から反応容器に所定の試薬を分注するものである。試薬容器の外面に
は、収容した試薬に関する情報を識別可能なバーコードラベルが貼付されており、このバ
ーコードラベルを読み取り装置で読み取った情報に基づいて制御部が試薬分注機構を駆動
制御して所定の試薬容器から試薬を反応容器に分注する構成となっている。試薬容器に所
定のバーコードラベルを貼り付ける作業や試薬の情報を入力する作業などを作業者が行っ
た場合、人為的な貼り付けミス、入力ミスなどが起こらないように注意する必要がある。
本実施形態の抗原抗体反応方法の他の例は、本来の抗体と異なる抗体を含む試薬を誤って
滴下するミスを起こしても、滴下後にそのミスを検出可能とする方法である。
本実施形態の抗原抗体反応方法の他の例は、電界撹拌装置300を用い、基板Wに固定
された組織切片に、抗原と特異的に結合し蛍光標識されていない抗体と、抗原と特異的に
結合し蛍光標識されている抗体とを含む試薬を滴下して形成された液滴Sを撹拌して反応
させる工程と、反応後の液滴Sを撮像機構170によって撮像して、蛍光が発するか否か
確認する工程とを有している。
具体的には、図14(a)に示すように、基板Wに固定された抗原50を含む組織切片
に対して、抗原50と特異的に結合し蛍光標識されていない抗体71と、抗原50と特異
的に結合する例えば黄色で蛍光標識された抗体72とを含む試薬を滴下する。電界撹拌装
置300を用いて、基板W上に上記試薬が滴下されて形成された液滴Sを撹拌して1次抗
体反応を行う。そして、図14(b)に示すように、抗体71及び抗体72に特異的に結
合する酵素標識された抗体73を含む試薬を滴下して形成された液滴Sを、再び電界撹拌
装置300を用いて撹拌して2次抗体反応を行う。2次抗体反応後に発色液(DAB)を
滴下する発色反応を行う。発色反応では、図14(c)に示すように、酵素の働きによっ
て組織切片が染色される。
発色反応後に、可視光波長の照明手段を有する顕微鏡などで組織切片を観察すれば、抗
原としての例えばがん組織が染まって見える。また、励起波長の光を照射可能な照明手段
を有する顕微鏡などで組織切片を観察すれば励起された黄色の蛍光を確認することができ
る。黄色の蛍光が確認できれば、正しい抗体71を含む試薬が滴下されたことを検証でき
る。また、黄色の蛍光が確認できなければ、誤った抗体を含む試薬が滴下された可能性が
あることを示唆できる。すなわち、抗体を含む試薬のトレーサビリティー(正しい試薬が
滴下されたか否か)を確立できる。
(第4実施形態)
<電界撹拌装置>
次に、第4実施形態の電界撹拌装置について、図15及び図16を参照して説明する。
図15は第4実施形態の電界撹拌装置の電気的及び機械的な構成を示す概略図、図16(
a)及び(b)は第4実施形態の電界撹拌装置の撹拌動作を説明する概略断面図である。
第4実施形態の電界撹拌装置は、上記第1実施形態の電界撹拌装置100に対して、液体
試料の保持の仕方と、電極構造とを異ならせたものである。したがって、電界撹拌装置1
00と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図15に示すように、本実施形態の電界撹拌装置400は、第1電極としての下側電極
410と、第2電極としての上側電極420と、昇降機構120と、移動機構130と、
電界発生部140と、制御部150と、操作部160と、を含んで構成されている。また
、電界撹拌装置400は、下側電極410と上側電極420とが上下方向において対向し
て配置される処理室110と、昇降機構120、移動機構130、電界発生部140、制
御部150、操作部160の各機構及び各部に電源を供給する電源部(図示省略)とを備
えている。昇降機構120及び電界発生部140は処理室110の下方に配置されている
下側電極410上には、液体試料Lが収容された収容部Mが配置される。下側電極41
0に対向する上側電極420の面422には、収容部Mに挿入可能な柱状電極部421が
設けられている。柱状電極部421が本発明のおける第1の部分に相当するものであり、
上側電極420の面422が本発明における第2の部分としての電極支持部に相当するも
のである。
本実施形態の電界撹拌装置400は、下側電極410と上側電極420の柱状電極部4
21との間に発生させた電界により、収容部Mに収容された液体試料Lを非接触で撹拌す
る装置である。具体的な撹拌動作について図16を参照して説明する。
図16(a)に示すように、収容部Mは、透光性の材料からなる円筒の平底容器である
。収容部Mの大きさは外径が例えば7mmφ、高さが例えば12mmである。収容部Mに
収容可能な液体試料Lの容量は、例えば0.35ml(ミリリットル)である。下側電極
410は、収容部Mを所定の位置に載置可能な載置部411を有している。載置部411
は、収容部Mの底面の大きさに合わせて下側電極410の表面を切り欠いた状態としたも
のである。なお、収容部Mの形状や大きさはこれに限定されるものではない。したがって
、載置部411の構成は、収容部Mを位置決めして固定することができる構成であればよ
い。
上側電極420に設けられた柱状電極部421は、先が細く根元が太い多段の円柱形状
となっている。先の部分の大きさは例えば2.0mmφ、長さが例えば9.0mmである
。根元の部分の大きさは例えば4.0mmφ、長さが例えば4.5mmである。なお、柱
状電極部421の形状や大きさは、これに限定されるものではなく、収容部Mに挿入可能
な形状、長さであればよい。
所定量の液体試料Lが収容された収容部Mを下側電極410に載置して固定する。続い
て、柱状電極部421が収容部Mの直上に位置するように移動機構130を駆動制御して
、下側電極410と上側電極420とを対向して配置する。そして、昇降機構120を駆
動制御して、柱状電極部421を収容部Mの開口から内部に挿入する。柱状電極部421
の先端が収容部Mに収容された液体試料Lに接しないように、平面視で収容部Mの中心に
柱状電極部421が挿入される。柱状電極部421の先端と下側電極410との間の電極
間距離は、液体試料Lの容量や物性に基づいて設定される。
下側電極410と上側電極420との間に交流電界を発生させると、図16(b)に示
すように液体試料Lが柱状電極部421の先端に引き上げられる方向にクーロン力が周期
的に働くので、収容部M内で液体試料Lの液面が波立つことにより液体試料Lが撹拌され
る。このような撹拌動作によれば、収容部Mに例えば抗原を含む液体試料Lを収容して、
静置法により抗原と抗体とを反応させる場合に比べて、液体試料Lを効率的に撹拌して抗
原抗体反応を迅速に行わせることが可能である。
<抗原抗体反応方法>
次に、本実施形態の電界撹拌装置400を抗原抗体反応装置として用いた抗原抗体反応
方法の例について、図17を参照して説明する。図17は収容部Mを用いた抗原抗体反応
方法としてのELISAの一例を示す概略図である。
本実施形態における抗原抗体反応方法としてのELISAの一例は、固相化工程(ステ
ップS11)、洗浄工程(ステップS12)、ブロッキング工程(ステップS13)、洗
浄工程(ステップS14)、1次抗体反応工程(ステップS15)、洗浄工程(ステップ
S16)、2次抗体反応工程(ステップS17)、洗浄工程(ステップS18)、発色反
応工程(ステップS19)、反応停止工程(ステップS20)、吸光度測定工程(ステッ
プS21)を備えている。ELISAは、第1実施形態で説明したように、血液中や組織
細胞中に含まれる抗原としての特定のタンパク質の有無やその濃度を、特定のタンパク質
と特異的に結合する抗体を用いて求める方法である。
図17に示すように、まず、固相化工程(ステップS11)では、特定のタンパク質9
1と特異的に結合する1次抗体81を含む液体試料Lを収容部Mに収容(分注)して例え
ば10分〜60分程度静置する。これにより、収容部Mの内壁(取り分け底面)に1次抗
体81が固定される。そして、液体試料Lは液切り(廃棄)される。なお、1次抗体81
がすでに内壁に固定された収容部Mを用いてもよい。液体試料L中の1次抗体81の濃度
は、例えば5μg/ml(ミリリットル)である。
次に、洗浄工程(ステップS12)では、収容部Mに洗浄液を充填して1次抗体81が
固定された収容部Mの内部を洗浄する。洗浄後に洗浄液を液切り(廃棄)することにより
、収容部Mに固定されなかった余分な1次抗体81が除去される。なお、洗浄に要する時
間は例えば1分程度である。
次に、ブロッキング工程(ステップS13)では、収容部Mにブロッキング液を充填し
て例えば30分程度静置する。これにより、特定のタンパク質91が1次抗体81以外の
部分(例えば収容部Mの内壁)と結合しないようにブロッキング処理される。そして、ブ
ロッキング液は廃棄される。
次に、洗浄工程(ステップS14)では、洗浄工程(ステップS12)と同様に、収容
部Mに洗浄液を充填してブロッキング処理された収容部Mの内部を洗浄する。洗浄後に洗
浄液を液切り(廃棄)することにより、以降のプロセスに不要なブロッキング液が除去さ
れる。
次に、1次抗体反応工程(ステップS15)では、特定のタンパク質91を含む液体試
料Lを収容部Mに収容(分注)し、電界撹拌装置400を用いて例えば20分撹拌して1
次抗体反応を行う。液体試料L中の検体(血液)の濃度は例えば9.5ng/ml(ミリ
リットル)である。これにより、1次抗体81と特定のタンパク質91とが結合する。そ
して、液体試料Lを液切り(廃棄)する。
次に、洗浄工程(ステップS16)では、洗浄工程(ステップS12)と同様に、収容
部Mに洗浄液を充填して収容部Mの内部を洗浄して液切りする。
次に、2次抗体反応工程(ステップS17)では、特定のタンパク質91に特異的に結
合する酵素で標識された2次抗体82を含む液体試料Lを収容部Mに収容(分注)し、電
界撹拌装置400を用いて例えば20分撹拌して2次抗体反応を行う。液体試料L中の2
次抗体82の濃度は例えば100ng/ml(ミリリットル)である。これにより、2次
抗体82と特定のタンパク質91とが結合する。そして、液体試料Lは液切り(廃棄)さ
れる。
次に、洗浄工程(ステップS18)では、洗浄工程(ステップS12)と同様に、収容
部Mに洗浄液を充填して収容部Mの内部を洗浄して液切りする。
次に、発色反応工程(ステップS19)では、収容部Mに発色液を充填して例えば15
分静置する。これにより、酵素で標識された2次抗体82と発色液とが反応して発色液が
発色する。
次に、反応停止工程(ステップS20)では、収容部Mに反応停止薬を滴下して発色反
応を停止させる。反応停止工程に掛かる時間は例えば1分程度である。
次に、吸光度測定工程(ステップS21)では、発色反応工程が終了した収容部Mの液
体試料Lの吸光度(Abs450;発色基質に基づく特定波長、本実施形態では450n
mの光の吸光度)を例えば分光光度計を用いて測定すれば、特定のタンパク質91の濃度
を定量することができる。
次に、電界撹拌装置400を用いた撹拌方法の他の例について、図18を参照して説明
する。図18(a)及び(b)は第4実施形態の電界撹拌装置を用いた撹拌方法の他の例
を示す概略断面図である。
図18(a)に示すように、電界撹拌装置400を用いた撹拌方法の他の例では、平面
視における収容部Mの中心からずれた位置に柱状電極部421を挿入する。言い換えれば
、平面視における収容部Mの中心からずれた位置に柱状電極部421が配置されるように
、下側電極410と上側電極420とを対向して配置させる。本実施形態では、中心から
およそ1mmずれた位置に柱状電極部421が配置されている。このように配置された下
側電極410と上側電極420との間に交流電界を発生させる。すると、図18(b)に
示すように、液体試料Lが柱状電極部421に向かって引き上げられるクーロン力が働く
位置が収容部Mの中心からずれ、柱状電極部421を収容部Mの中心に配置した場合に比
べて、クーロン力で引き上げられる液体試料Lの頂部の位置が高くなる。このような作用
は、クーロン力で引き上げられた液体試料Lが収容部Mの内壁に沿って上昇し易くなるた
めと考えられる。したがって、引き上げられた液体試料Lの頂部にクーロン力が働かなく
なる、あるいは液体試料Lの頂部が引き下げられる方向にクーロン力が働くと、柱状電極
部421が収容部Mの中心に位置している場合に比べて、液体試料Lの変形(振動)が大
きくなる。すなわち、より効率的な撹拌が可能となる。
次に、電界撹拌装置400を用いた撹拌方法における収容部Mの他の構成例について、
図19を参照して説明する。図19(a)及び(b)は収容部の他の構成例を示す概略斜
視図である。
下側電極410上に配置される収容部Mは1つであることに限定されない。抗原抗体反
応方法としてのELISAは、採取された検体(血液)に対して特定のタンパク質の有無
やその量を定量する方法であるが、実際には、複数の検体(血液)に対して同時に特定の
タンパク質の定量を行ったり、異なるタンパク質の定量を行ったりする。それゆえに一度
に扱われる検体(血液)の数が多い。したがって、例えば図19(a)に示すように、液
体試料Lを収容する収容部Mが前後方向と左右方向とに複数配列したマイクロプレート(
マイクロタイタープレート)Mpが用いられている。図19(a)に示したマイクロプレ
ートMpは、前後方向に8個、左右方向に12個の収容部Mが配列した96ウェルプレー
トと呼ばれている。
電界撹拌装置400は、下側電極410にこのようなマイクロプレートMpを配置可能
な載置部を備えていてもよい。また、マイクロプレートMpに対応して上側電極420に
は複数(96本)の柱状電極部421が設けられていてもよい。これによれば、同時に複
数の検体(血液)を含む液体試料Lを効率的に撹拌して抗原抗体反応を迅速に行うことが
できる。
また、電界撹拌装置400は、図19(b)に示すように、複数(8個)の収容部Mが
繋がったユニット状収容部を前後方向に位置決めして左右方向に複数配列させることがで
きるフレームMfを載置可能な載置部を備えていてもよい。これによれば、扱われる検体
(血液)の数に応じて収容部Mを準備して抗原抗体反応を行うことができるので、例えば
収容部Mを洗浄する洗浄液の無駄を削減可能である。また、例えば収容部Mの洗浄に要す
る時間を削減できる。また、ユニット状収容部をどの程度並べて使用するかによって、マ
イクロプレートMp(96ウェルプレート)を用いる場合に比べて、下側電極410や上
側電極420の大きさを小さくしたり、柱状電極部421の数を少なくしたりすることが
できるので、装置を小型化、簡素化することができる。
次に、電界撹拌装置400における電極構成の変形例について、図20を参照して説明
する。図20(a)及び(b)は変形例の電極構成を示す概略平面図である。
図20(a)に示すように、電界撹拌装置400は、上下方向における平面視で収容部
Mを挟んで対向するように配置された円弧状の第3電極423と、同じく円弧状の第4電
極424とを有していてもよい。前述した第2実施形態と同様に、電界撹拌装置400は
、下側電極410と上側電極420(柱状電極部421)との間に交流電界を発生させて
、収容部Mに収容された液体試料Lを撹拌する第1撹拌プログラムと、第3電極423と
第4電極424との間に交流電界を発生させて収容部Mに収容された液体試料Lを撹拌す
る第2撹拌プログラムとを実行することができる。第1撹拌プログラムと第2撹拌プログ
ラムとを同時に実行することも、別々に実行することもできる。また、第1撹拌プログラ
ムと第2撹拌プログラムとを組み合わせて実行することもできる。
第3電極423及び第4電極424は、左右方向において対向するように配置されてい
ても、前後方向に対向して配置されていてもよい。また、左右方向及び前後方向に交差す
方向に対向して配置されていてもよい。第3電極423及び第4電極424は、平面視に
おける形状が円弧状であるため、第3電極423と第4電極424との間の電極間距離は
場所によって異なっている。つまり、第3電極423と第4電極424との間に電界を発
生させれば、収容部Mに収容された液体試料Lには場所によって異なる大きさのクーロン
力が作用することになる。
また例えば、図20(b)に示すように、電界撹拌装置400は、複数の収容部Mが繋
がったユニット状収容部を例えば左右方向に挟んで対向する第3電極425と、第4電極
426とを有していてもよい。
なお、図20には図示していないが、第3電極423と第4電極424との間の電極間
距離(第3電極425と第4電極426との間の電極間距離)を調整可能な移動機構を備
えることが好ましい。
上記変形例によれば、収容部Mに収容された液体試料Lに対して上下方向だけでなく、
下側電極410の表面に平行な面内の方向に液体試料Lを振動させて撹拌することができ
る。つまり、様々な方向に液体試料Lを振動させることができることから、撹拌時のむら
を低減して反応や洗浄を行うことが可能な電界撹拌装置400を提供できる。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体か
ら読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような
変更を伴う電界撹拌装置、抗原抗体反応装置、及び抗原抗体反応方法もまた本発明の技術
的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、
変形例を挙げて説明する。
(変形例1)上記第2実施形態及び上記第4実施形態に記載の上下方向と交差する方向
において対向する第3電極と第4電極とを有する電界撹拌装置は、第1電極としての下側
電極、第2電極としての上側電極を備えていなくてもよい。つまり、液体試料を振動させ
る方向が上下方向と交差する方向であってもよい。
(変形例2)上記各実施形態において、下側電極(第1電極)と上側電極(第2電極)
とに印加される電位の極性は、一方の電極の電位を基準として他方の電極の電位の極性が
正極性または負極性であることに限定されない。例えば、第1電極と第2電極との間の電
位差が所定の値であればよく、例えば第1電極が負極性で第2電極が正極性であってもよ
い。
より具体的には、電界撹拌法において、液体試料が抗原、抗体を含む場合は、下側電極
に印加される電位の極性がマイナスであることが好ましい。抗原、抗体は、電荷を持って
いるが、その極性は液体試料における溶媒のpHに依存する。抗原、抗体の極性が変わる
溶媒のpHの値を等電点といい、溶媒のpHが等電点より小さければ、抗原、抗体はプラ
ス(正極性)に帯電する。溶媒のpHが等電点よりも大きければ、抗原、抗体はマイナス
に帯電する。ELISAや免疫組織染色法の工程で用いられる溶媒のpHの値は、一般的
に6.8〜8.0程度であることから、抗原、抗体はマイナス(負極性)に帯電すること
になる。
ELISAにおける発色強度、免疫組織染色法における染色の濃さは、抗原抗体反応の
量に依存するが、反応にはネガティブコントロール(抗原もしくは抗体を持たない試料を
入れておくこと)が望ましい。その理由は、試験後に得られた結果が抗原抗体反応に由来
するものなのか、あるいは、抗原抗体反応以外の非特異的な反応に由来するものなのか判
断するためである。一方で、ネガティブコントロールを導入した場合、電界撹拌法におい
て、下側電極に与えられる電位の極性がプラス(正極性)であると、下側電極と抗体との
引力によって、上記非特異的な反応が増えてしまうおそれがある。下側電極に与えられる
電位の極性をマイナス(負極性)とすれば、下側電極と抗体との間には斥力が働くため上
記非特異的な反応が起こり難くなると考えられる。つまり、ネガティブコントロールが導
入されたELISAや免疫組織染色法において、非特異的な反応が抑制され、より適正な
試験結果が得られることとなる。
(変形例3)上記実施形態の抗原抗体反応方法において、下側電極10(第1電極)と
上側電極20(第2電極)とのうち、一方の電極の電位を基準として他方の電極に正極性
と負極性との間で極性が変化する交流電位を与えて電界を発生させ、液体試料を撹拌する
としてもよい。
抗原抗体反応は、変形例2で説明したように、抗原あるいは抗体が有する電荷の極性な
どに関連して、抗原と抗体とが結合したり乖離したりする可逆的な反応によって進むと考
えられる。交流電界を与えて液体試料を撹拌する撹拌工程において、下側電極10(第1
電極)と上側電極20(第2電極)とのうち、一方の電極の電位を基準として他方の電極
に極性が変化する交流電位が与えられるので、他方の電極の電位の極性を変化させない場
合に比べて抗原と抗体との可逆的な反応のうち結合反応を促進することができる。
(変形例4)上記実施形態の抗原抗体反応方法において、下側電極10(第1電極)と
上側電極(第2電極)と間に交流電界を発生させ、液体試料を撹拌する撹拌工程は、下側
電極10と上側電極20とのうち、一方の電極の電位を基準として他方の電極に正極性ま
たは負極性の直流電位を印加する工程を含んでいてもよい。抗原や抗体の極性などに応じ
て他方の電極における直流電位の極性を設定すれば、抗原と抗体との可逆的な反応のうち
結合反応を積極的に促進することができる。
10…第1電極としての下側電極、13…載置部、20…第2電極としての上側電極、
20a…第2電極の第1の部分としての表面、20b…第2電極の第2の部分としての溝
の底面、21,22,23…溝、24,25…凸部、41…第3電極、42…第4電極、
100…電界撹拌装置、120…昇降機構、130…移動機構、140…電界発生部、1
50…制御部、161…報知部、171…撮像部、172…画像処理部、200,300
,400…電界撹拌装置、410…第1電極としての下側電極、420…第2電極として
の上側電極、421…柱状電極部、422…電極支持部としての上側電極の面、423,
425…第3電極、424,426…第4電極、L…液体試料、M…収容部、S…液滴、
W…基板。

Claims (22)

  1. 第1電極及び第2電極を備え、第1の方向に対向して配置された前記第1電極と前記第
    2電極との間に生じさせた電界により前記第1電極と前記第2電極との間に配置された液
    体を撹拌させる電界撹拌装置であって、
    前記第2電極は、前記第1電極と前記第2電極とが対向して配置されたときに、前記第
    1電極と前記第2電極との間の前記第1の方向の電極間距離が異なる第1の部分と第2の
    部分とを有していることを特徴とする電界撹拌装置。
  2. 前記第2電極の前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記第1の方向と交差する第2
    の方向に沿った溝を構成し、
    前記液体は、基板の表面に滴下され、
    前記第1電極は、前記基板を前記溝に沿って載置可能な載置部を有することを特徴とす
    る請求項1に記載の電界撹拌装置。
  3. 前記第2電極の前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記第1の方向と交差する第2
    の方向に沿った凸部を構成し、
    前記液体は、基板の表面に滴下され、
    前記第1電極は、前記基板を前記凸部に沿って載置可能な載置部を有することを特徴と
    する請求項1に記載の電界撹拌装置。
  4. 前記第1電極と前記第2電極との間に、前記第2の方向または前記第2の方向に交差す
    る第3の方向に対向して配置される第3電極と第4電極とを有し、
    前記第1電極と前記第2電極との間に生じさせた第1の電界と、前記第3電極と前記第
    4電極との間に生じさせた第2の電界とにより、前記液体を撹拌させることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電界撹拌装置。
  5. 前記液体は、収容部に収容され、
    前記第1電極は、前記収容部を載置可能な載置部を有し、
    前記第2電極の前記第1の部分は、前記収容部に挿入可能な柱状電極部であり、前記第
    2電極の前記第2の部分は前記柱状電極部を支持する電極支持部であることを特徴とする
    請求項1に記載の電界撹拌装置。
  6. 前記第1電極の前記載置部は、複数の前記収容部を載置可能であって、
    前記第2電極は、複数の前記収容部ごとに対応した前記第1の部分としての前記柱状電
    極部を有することを特徴とする請求項5に記載の電界撹拌装置。
  7. 前記第1電極と前記第2電極とが対向して配置されたときに、前記第2電極の前記柱状
    電極部は、平面視で前記収容部の中心に配置されることを特徴とする請求項5または6に
    記載の電界撹拌装置。
  8. 前記第1電極と前記第2電極とが対向して配置されたときに、前記第2電極の前記柱状
    電極部は、平面視で前記収容部の中心からずれた位置に配置されることを特徴とする請求
    項5または6に記載の電界撹拌装置。
  9. 前記第1の方向において、前記第1電極よりも下方に配置された発熱源を有することを
    特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電界撹拌装置。
  10. 前記発熱源は、前記第1電極と前記第2電極との間に電界を生じさせると共に、前記電
    界の少なくとも強度と周波数とを制御可能な電界発生部及び前記電界発生部に電源を供給
    する電源部のうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項9に記載の電界撹拌装
    置。
  11. 前記第1電極と前記第2電極との間の前記第1の方向の電極間距離を調整可能な昇降機
    構を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電界撹拌装置。
  12. 前記第1電極と前記第2電極とが前記第1の方向に対向して配置されたときの前記第1
    の方向に交差する第2の方向における第1の位置と、前記第2の方向において前記第1電
    極と前記第2電極とが重ならない第2の位置との間で、前記第1電極または前記第2電極
    を相対的に移動可能な移動機構を備えることを特徴とする請求項11に記載の電界撹拌装
    置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電界撹拌装置を備え、
    前記電界撹拌装置を用いて、抗原と抗体とを含んだ前記液体を撹拌して抗原抗体反応を
    行わせることを特徴とする抗原抗体反応装置。
  14. 前記液体は、蛍光標識された抗体を含み、
    前記液体を撮像可能な撮像部と、
    前記撮像部によって得られた前記液体の画像を画像処理する画像処理部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記画像処理部の画像処理情報に基づいて、前記電界撹拌装置における
    撹拌を制御することを特徴とする請求項13に記載の抗原抗体反応装置。
  15. 報知部を備え、
    前記制御部は、前記画像処理部の解析結果から、前記液体が蛍光を発したと判断される
    場合、または、前記液体が蛍光を発しないと判断される場合に前記報知部を駆動して報知
    させることを特徴とする請求項14に記載の抗原抗体反応装置。
  16. 請求項13乃至15のいずれか一項に記載の抗原抗体反応装置を用い、抗原と抗体とを
    含んだ前記液体を撹拌して抗原抗体反応を行うことを特徴とする抗原抗体反応方法。
  17. 前記液体の表面張力、粘度、温度のうち少なくとも1つの条件を常温のときと異ならせ
    て撹拌することを特徴とする請求項16に記載の抗原抗体反応方法。
  18. 前記第1電極と前記第2電極とのうち、一方の電極の電位を基準として他方の電極に正
    極性と負極性との間で極性が変化する交流電位を与えて電界を発生させ、前記液体を撹拌
    することを特徴とする請求項16に記載の抗原抗体反応方法。
  19. 前記第1電極と前記第2電極との間に交流電界を発生させ、前記液体を撹拌する撹拌工
    程を有し、
    前記撹拌工程は、前記第1電極と前記第2電極とのうち、一方の電極の電位を基準とし
    て他方の電極に正極性または負極性の直流電位を印加する工程を含むことを特徴とする請
    求項16に記載の抗原抗体反応方法。
  20. 予め、抗原に結合する第1の色で蛍光標識された第1の抗体と、前記抗原に結合しない
    第2の色で蛍光標識された第2の抗体と、を含む前記液体を所定の時間静置して抗原抗体
    反応を行わせ、反応後に前記第1の色の蛍光と前記第2の色の蛍光との基準蛍光強度比を
    求め、
    前記抗原抗体反応装置を用い、前記抗原と、前記第1の抗体と、前記第2の抗体と、を
    含む前記液体を撹拌して、反応途中に前記第1の色の蛍光と前記第2の色の蛍光との蛍光
    強度比を求める工程と、
    前記反応途中の蛍光強度比が前記基準蛍光強度比に到達したか否か判定する工程と、を
    備え、
    前記反応途中の蛍光強度比が前記基準蛍光強度比に到達した場合に、撹拌を停止するこ
    とを特徴とする請求項16に記載の抗原抗体反応方法。
  21. 前記抗原と、前記第1の抗体と、前記第2の抗体と、を含む前記液体を加温しながら撹
    拌して、前記反応途中の蛍光強度比を求めることを特徴とする請求項20に記載の抗原抗
    体反応方法。
  22. 抗原に結合する抗体と、蛍光標識された前記抗体と、を含む前記液体を撹拌して抗原抗
    体反応を行う工程と、
    反応後の前記液体が蛍光を発するか否か確認する工程と、を備えたことを特徴とする請
    求項16に記載の抗原抗体反応方法。
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