JP2016109045A - 密閉型電動圧縮機及び空気調和機 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、このような密閉型電動圧縮機を使用する冷凍サイクルには、微細化(ミスト化)した油が冷媒とともに持ち込まれる。この冷凍サイクルは、持ち込まれた油によって、配管内での圧力損失や凝縮器、蒸発器等での熱交換率の低下を生じるおそれがある。
そこで、電動機部の固定子の巻線が掛けられるインシュレータに、吐出ガスに衝突可能なように外壁と内壁とを設けた密閉型電動圧縮機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この密閉型電動圧縮機は、吐出ガスを前記の外壁及び内壁に衝突させることによって吐出ガスの流速を低下させ、冷媒と油とを分離するようになっている。
したがって、従来の密閉型電動圧縮機では、密閉容器から吐出される冷媒の油含有率を充分に低減することができない問題がある。
本実施形態に係る密閉型電動圧縮機は、電動機のインシュレータカバーに、後に詳しく説明する内壁と、突出片と、リブとを有することを主な特徴点としている。
以下では、密閉型電動圧縮機としてのスクロール圧縮機を備える空気調和機の全体構成について説明した後にスクロール圧縮機について説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機101の構成説明図である。
図1に示すように、空気調和機101は、スクロール圧縮機S(密閉型電動圧縮機)、四方弁102、膨張器等の冷暖房絞り装置103、室内熱交換器104、及び室外熱交換器105が所定の配管106で環状に接続されている。
図2は、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sの縦断面図である。なお、以下のスクロール圧縮機Sの説明における上下の方向は、このスクロール圧縮機Sを空気調和機101(図1参照)に配置した際の鉛直方向の上下に一致させた図2に示す上下方向を基準とする。
図2に示すように、スクロール圧縮機Sは、縦型スクロール圧縮機であり、冷媒(作動流体)として例えばR32冷媒を使用するものである。
クランクシャフト6の主軸6dは、特許請求の範囲にいう「軸」に相当する。
後記する電動機2を駆動してクランクシャフト6を回転させると、ピン部6cは主軸に対して偏心回転運動するようになっている。また、クランクシャフト6には、主軸受13a、下軸受10及び後記の旋回軸受部11cへ貯油部9の油を給油するための給油縦穴6a及び給油横穴6bが設けられている。
図2に示すように、電動機2は、回転子2bと、固定子2aと、を備えている。
回転子2bは、円筒形状を呈しており、クランクシャフト6の主軸6d周りに回転するように主軸6dに取り付けられている。
回転子2bの上部には、上バランスウェイト15aが配置され、回転子2bの下部には、下バランスウェイト15bが配置されている。これら上バランスウェイト15a及び下バランスウェイト15bは、回転子2bのスクロール圧縮機構3との回転バランスを保つものである。
図2中、符号18a,18bは、それぞれ後記の吐出ガス流路であり、符号16は、後記のエアギャップであり、符号17は、後記のリード線であり、符号22は、後記の固定子鉄心であり、符号23は、後記の固定子コイルであり、符号24は、後記のインシュレータであり、符号25は、後記のコイルエンドであり、符号26は、後記のインシュレータカバーである。
図3に示すように、回転子2bは、回転子鉄心21と、この回転子鉄心21内にクランクシャフト6と並行するように形成される図示しない6つの磁石溝内に装着される図示しない永久磁石等により構成されている。これら永久磁石の装着により、回転子鉄心21には6つの磁極(図示省略)が形成される。
固定子2aは、固定子鉄心22と、固定子コイル23とを備えて構成されている。
固定子鉄心22は、その内径側で周方向に9つ等間隔で並ぶように形成される固定子スロット22aと、各固定子スロット22a間に形成される9つのティース部22bと、これらのティース部22bの外周側を一体に連結したコアバック22cと、を備えて構成されている。
固定子コイル23は、ティース部22bを取り囲むように巻回された集中巻き方式となっており、3相の巻線を備えている。
なお、図3中、符号Rは、回転子2bの回転方向であり、符号Axは、回転子2bの軸であり、符号26は、仮想線(二点鎖線)で表す後記のインシュレータカバーであり、符号27は、仮想線(二点鎖線)で表す後記の内壁であり、符号28は、仮想線(二点鎖線)で表す後記の突出片である。
なお、固定子鉄心22の上下両端の外側にそれぞれ延出したコイルエンド25のうち、上端側のコイルエンド25は、特許請求の範囲にいう「固定子のコイルエンド」に相当する。
図4に示すように、略円環形状のインシュレータカバー26は、円筒形状の固定子2a上に配置されている。そして、インシュレータカバー26には、その外周縁に沿って複数の嵌合孔26a(本実施形態では3つ)が形成されている。
また、インシュレータカバー26には、リード線17を電動機2外に延出させるリード線17の挿通孔26bが形成されている。
内壁27は、インシュレータカバー26の内周縁26cから立ち上がるように形成されている。具体的には、内壁27は、固定子2aから離れる方向に、つまり本実施形態では内周縁26cから上方に向かって立ち上がっている。
そして、この内壁27は、内周縁26cの全周にわたって延在するように形成されて、高さの低い円筒形状を呈している。
図5に示すように、インシュレータカバー26には、内周縁26cに突出片28が形成されている。ちなみに、本実施形態では、図3において仮想線(二点鎖線)で示すように、インシュレータカバー26の内径は、固定子2aの内径よりも大きく設定されている。そして、9つの固定子スロット22aに対応して9つの突出片28が設けられている。
突出片28は、内壁27の内周面27aと面一となる内周面28aを有する板状に形成されている。
図5中、符号29は、後記のリブであり、符号23は、固定子コイルである。
突出片28の平面形状は、軸Ax(図3参照)側から見た正面視で、突出方向(図6の下方向)に交差する方向(図6の紙面横方向)に規定される幅(横幅)が当該突出方向(図6の下方向)に徐々に狭まる形状の突起で形成されている。
そして、この逆台形の上辺の長さW2は、隣り合う異相の固定子コイル23,23同士の隙間Dの幅W1よりも狭くなるように設定されている。
また、この逆台形の2つの斜辺の交差角θは鋭角を形成している。
本実施形態でのリブ29は、突出片28の内周面28aから内壁27の内周面27aにわたって延在している。
電動機2が駆動してクランクシャフト6が回転すると、クランクシャフト6のピン部6cが偏心回転する。旋回軸受部11cにピン部6cが挿入された旋回スクロール11は、オルダムリング14に規制されながら旋回駆動する。この一連の動作により、吸込パイプ7(吸込口4)から吸い込まれた冷媒ガスは、旋回スクロール11と固定スクロール12との圧縮室51で圧縮されて、吐出口5から吐出圧力空間であるチャンバ内空間54に吐出される。チャンバ内空間54の冷媒は、後に詳しく説明するように、吐出パイプ8から空気調和機101(図1参照)の前記冷凍サイクル内を循環して、吸込パイプ7から再びスクロール圧縮機Sへ戻される。
背圧室53の圧力は、図示しない背圧制御弁により、吐出圧力と吸込圧力の中間の圧力である背圧に保持されている。このため、貯油部9と背圧室53との間に差圧が発生する。この差圧で貯油部9の油が、クランクシャフト6の下端部に固定配置された給油ピースから給油縦穴6aを通り、クランクシャフト6に設けられた給油横穴6b及びスリット部(図示せず)を経て、旋回軸受部11c及び主軸受13aを潤滑しながら、背圧室53へ流入する。
ちなみに、エアギャップ16等を通って空間20aに導かれる冷媒には、空間20bに導かれるまでに分離できなかった潤滑油に加えて、貯油部9付近でのクランクシャフト6の回転や回転子2bの回転によって、ミスト化した潤滑油を更に含んでしまう。
本実施形態に係るスクロール圧縮機Sでは、インシュレータカバー26の内周縁26cの全周にわたって延在するように内壁27を有している。
したがって、遠心方向への冷媒の流れに伴う潤滑油は、内壁27の内周面27aに衝突して冷媒から分離される。そして、分離された潤滑油は、内壁27の内周面27aを伝って流下し、貯油部9に戻される。
したがって、インシュレータカバー26の上面に溜まった潤滑油が、この冷媒の流れによって再び巻き上げられることを防止することができる。
したがって、回転子2bの回転方向に向かう冷媒の流れに伴う潤滑油は、リブ29に衝突して冷媒から分離される。そして、分離された潤滑油は、内壁27の内周面27aを伝って流下し、貯油部9に戻される。
したがって、内壁27の内周面27a及びリブ29で分離された潤滑油は、この突出片28を伝うことで流下し易くなっている。
したがって、内壁27の内周面27a及びリブ29で分離された潤滑油は、この突出片28を伝うことで、より流下し易くなっている。
したがって、内壁27の内周面27a及びリブ29で分離された潤滑油は、この突出片28を伝うことで、固定子コイル23間を流下する。よって、潤滑油は、更に流下し易くなっている。
したがって、内壁27の内周面27a及びリブ29で分離された潤滑油は、この突出片28を効率よく流下することができる。
したがって、内壁27の内周面27a及びリブ29で分離された潤滑油は、より確実に固定子コイル23間を流下する。よって、潤滑油は、更に流下し易くなっている。また、逆台形の2つの斜辺の交差角θが鋭角となっていることで、潤滑油は、より一層流下し易くなっている。
したがって、回転子2bの回転方向に向かう冷媒の流れに伴う潤滑油は、効率よく冷媒から分離される。
したがって、回転子2bの回転によって生じる冷媒の旋回流の流速が遅くなって、ミスト化した潤滑油の凝集を促して粗大化することができる。これにより冷媒からの潤滑油の分離が促進される。
また、旋回流の流速が遅くなることで、旋回流がリブ29に衝突した後に上方に向かう冷媒の流速も遅くなる。したがって、リブ29で捕捉した潤滑油は効率よくリブ29を伝って流下することとなる。
したがって、スクロール圧縮機Sでは、構成を簡素化することで製造時の工数やコストを低減することができる。
図7は、図6の突出片28の第1変形例を示す正面図である。図8は、図6のリブ29の第1変形例を示す正面図である。図9は、図6のリブ29の第2変形例を示す正面図である。図10は、図6のリブ29の第3変形例を示す正面図である。図11は、図6のリブ29の第4変形例を示す正面図である。なお、図7から図11に示す変形例において前記実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図7に示すように、突出片28は、平面形状が半円形である構成とすることもできる。
なお、図7中、符号27aは、内壁27の内周面であり、符号28aは、突出片28の表面であり、符号29は、リブである。これら符号27,27a,28,28a,29は以下の変形例において同じである。
図8に示すように、リブ29は、突出片28の内周面28aでのみ延在する構成とすることもできる。
図9に示すように、リブ29は、内壁27の内周面27a側の一端から回転子2b(図3参照)の回転方向Rとは逆の方向に屈曲して内壁27の内周面27a上で延びる屈曲リブ29aを更に有する構成とすることもできる。
したがって、冷媒の流れFに随伴する潤滑油が上方に飛散することが防止される。よって、リブ29で捕捉した潤滑油は効率よくリブ29を伝って流下することとなる。
図10に示すように、リブ29は、突出片28側から内壁27側に向かって回転子2b(図3参照)の回転方向Rとは逆の方向に傾斜角αで傾斜している構成とすることができる。
したがって、冷媒の流れFに随伴する潤滑油は、下方に向けて誘導することができ、リブ29で捕捉された潤滑油は効率よくリブ29を伝って流下することができる。
なお、傾斜角αは、0度を超え、90度未満の範囲内で設定することができるが、リブ29の基端が突出片28側に設定されている場合には、突出片28の斜片の角度θ(図6参照)に応じて適宜に設定することができる。
このリブ29を有するスクロール圧縮機S(図2参照)によれば、冷媒の流れFがリブ29に衝突した際に、冷媒の流れFは下方に向けて誘導され、リブ29で捕捉された潤滑油は効率よくリブ29を伝って流下することができる。
2 電動機
2a 固定子
2b 回転子
3 スクロール圧縮機構
6 クランクシャフト
6a 給油縦穴
6b 給油横穴
6c ピン部
6d 主軸(軸)
7 吸込パイプ
8 吐出パイプ
9 貯油部
11 旋回スクロール
11a 旋回スクロールラップ
12 固定スクロール
12a 固定スクロールラップ
13 フレーム
14 オルダムリング
15a 上バランスウェイト
15b 下バランスウェイト
16 エアギャップ
17 リード線
21 回転子鉄心
22 固定子鉄心
22a 固定子スロット
22b ティース部
22c コアバック
23 固定子コイル
24 インシュレータ
25 コイルエンド
26 インシュレータカバー
26c 内周縁
27 内壁
27a 内壁の内周面
28 突出片
28a 突出片の内周面
29 リブ
29a 屈曲リブ
101 空気調和機
102 四方弁
103 冷暖房絞り装置
104 室内熱交換器
105 室外熱交換器
106 配管
Ax 軸
D 隙間
R 回転方向
S スクロール圧縮機(密閉型電動圧縮機)
Claims (9)
- 吸入した冷媒を圧縮して冷凍サイクルに吐出する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する電動機とを密閉容器内に収容するとともに、潤滑油を前記密閉容器内に貯留する密閉型電動圧縮機であって、
前記電動機は、回転子と、前記回転子の周囲に配置される固定子と、前記固定子のコイルエンドを覆うように配置されるインシュレータカバーと、を備え、
前記インシュレータカバーは、前記回転子の軸側に形成される内周縁を有するとともに、前記内周縁より前記固定子から離れる方向に立ち上がり、前記内周縁の全周にわたって形成される内壁と、
前記内壁の立ち上がる方向とは逆の方向に前記内周縁から立ち上がるように形成される複数の突出片と、
前記内壁の内周面から前記突出片の内周面にわたって設けられるリブと、
を有することを特徴とする密閉型電動圧縮機。 - 前記突出片は、前記内壁の内周面と面一となる前記内周面を有する板状に形成され、前記インシュレータカバーの前記内周縁に沿って等間隔に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記突出片は、前記固定子の隣り合う異相のコイル間の隙間に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記軸側から見た前記突出片の平面形状は、突出方向に交差する方向に規定される幅が当該突出方向に徐々に狭まる形状の突起で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記突出片の前記平面形状は、前記インシュレータカバー側に長い下辺が位置し、突出側に短い上辺が位置する逆台形を呈し、前記上辺の長さは、隣り合う異相のコイル間の前記隙間の幅よりも狭いことを特徴とする請求項4に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記逆台形の2つの斜辺の交差角は鋭角であることを特徴とする請求項5に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記リブは、前記内壁の内周面側の一端から前記回転子の回転方向とは逆の方向に屈曲して内壁の内周面上で延びる屈曲リブを更に有していることを特徴とする請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記リブは、前記突出片側から前記内壁側に向かって前記回転子の回転方向とは逆の方向に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の密閉型電動圧縮機と、四方弁と、冷暖房絞り装置と、室内熱交換器と、室外熱交換器と、が所定の配管で環状に接続され、冷媒が流れる冷媒回路を備えることを特徴とする空気調和機。
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