JP2016108692A - 圧着記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ヒートロール定着タイプの電子写真方式プリンタで印字を行った際に、剥離強度の低下、印字カール、走行汚れが少ない圧着記録用紙を提供すること。【解決手段】 紙基材の一方の面に圧着後に再剥離可能である感圧接着層を、他方の面にカール防止層を形成した圧着記録用紙であって、感圧接着層は、変性天然ゴム系ラテックスを30〜40質量%、スチレン−ブタジエン系ラテックスを15〜24質量%、合成非晶質シリカを30〜40質量%、澱粉粒子を10〜15質量%、それぞれ含有し、前記カール防止層は、固形分換算で、酸化澱粉を90〜95質量%と、レーザー回折・散乱法によって測定された数平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを5〜10質量%含有し、透気抵抗度が100秒以下である圧着記録用紙。【選択図】図1

Description

本発明は、圧着記録用紙に係り、特にカット判帳票に好適な圧着記録用紙に関する。
近年、郵便法の改正や葉書作成システムの普及により、情報記載部を用紙の一部またはシール等で隠蔽し、隠蔽部を剥離することで情報記載面を見ることができる親展葉書やダイレクトメール等が、情報のセキュリティ性や情報記載量の多さから、一般に普及されている。この種の親展葉書等の用途に使用される圧着紙、圧着紙用帳票、圧着原紙に関しては、多くの提案がなされている。
圧着紙用帳票には、ロール状もしくは帯状の連続帳票と、A4・A3などの規格サイズに加工された枚葉紙状のカット判帳票とがある。連続帳票は高速大量処理に適しており、カット判帳票は給料明細書や町や村の公共団体の通知書等、連続帳票ほどの処理量を必要としない比較的少量の処理に適している。
カット判帳票より圧着葉書を作成する方法としては、電子写真方式の卓上プリンタなどの小規模の電子写真方式のプリンタで印字した後、シーラーで処理する方法が一般的である。
カット判帳票から圧着葉書を作成するシステムでは、プリント後の処理として、カット判帳票の不要部をカッティングして、接着面同士を重ね合わせて圧着を行うことで圧着葉書とする。カット判帳票を使用した場合、連続帳票の場合と比べて、スプロケット加工、断裁等の作業が不要であり、手間が省け、コスト的にも有利である。小規模プリンタとシーラーを用いる方法は少量の処理向けにも適しており、既に電子写真方式のプリンタを所有している場合、シーラーとカット判帳票を購入するだけで圧着葉書を作成することができ、コスト的にも有利である。
圧着葉書作成用のカット判帳票に関しては、例えば、特許文献1には、A3カット判帳票に所定の印刷及び印字を施して4つ折りとして葉書を2通作成する方法が開示されている。また、特許文献2には、A4カット判帳票に所定の印刷及び印字を施して三つ折りして葉書を作成する方法が開示されている。特許文献3には、A4カット判帳票に所定の印刷及び印字を施して四つ折りとして葉書を作成する方法が開示されている。特許文献4には、A3カット判帳票に所定の印刷及び印字を施して3つ折りして葉書を3通作成する方法が開示されている。
特開平10−76778号公報 特開平10−86558号公報 特開平11−245555号公報 特開平11−245558号公報
しかしながら、これらの提案によるカット判帳票はいずれもヒートロール定着タイプのプリンタでの使用には不十分なものであった。
カット判帳票から圧着葉書を作成する場合には、電子写真方式のプリンタが用いられることがあり、その中でも高速印字が可能であることから、ヒートロールでトナーを定着させるヒートロール定着タイプのプリンタの利用が増加している。この種のヒートロール定着タイプのプリンタでは、カット判帳票がプレヒート部やヒートロール部で加熱されるが、この際に、感圧接着層に配合されている接着成分が熱劣化を起こして剥離強度の低下を生じさせる場合がある。
また、ヒートロール定着タイプのプリンタでは、トナーがヒートロール部に付着してカット判帳票に転移するのを防ぐために、ヒートロール表面に常時シリコーンオイルが供給される仕組みになっているが、これにより、カット判帳票がヒートロールを通過する際にヒートロール上のシリコーンオイルがカット判帳票の感圧接着層に付着し、感圧接着層の接着性が阻害されて剥離強度の低下を生じさせる場合もある。
さらに、プレヒート部やヒートロール部で加熱されたカット判帳票にカール(以下「印字カール」ということがある)が生じると、プリンタ内での詰まりやシーラー内でのピックアップ不良などの要因となり、走行性に問題を生じさせることがある。さらに、感圧接着層の表面が走行の際にプリンタ内の部品と擦れることによって感圧接着層から糊粕等が剥がれおち、走行系に汚れ(以下「走行汚れ」ということがある)を生じさせることもあった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、カット判帳票の形態でヒートロール定着タイプの電子写真方式プリンタで印字を行った場合に、感圧接着層の剥離強度の低下、印字カール、走行汚れが少なく、プリンタ内及びシーラー内での走行性の良好な圧着記録用紙を提供することを目的とする。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記課題を解決するために、本発明の圧着記録用紙は、紙基材の一方の面に、常温、常圧の通常状態では粘着性、接着性を示さず、所定の加圧条件で接着性を示し、圧着後に再剥離可能である感圧接着層を形成し、紙基材のもう一方の面にはカール防止層を形成した圧着記録用紙であって、前記感圧接着層は、固形分換算で、変性天然ゴム系ラテックスを30〜40質量%、スチレン−ブタジエン系ラテックスを15〜24質量%、合成非晶質シリカを30〜40質量%、澱粉粒子を10〜15質量%、それぞれ含有し、前記変性天然ゴム系ラテックスは、天然ゴム100質量%にメタクリル酸アルキルエステルモノマーを10〜25質量%の割合でグラフト重合させることで得られた変性天然ゴム系ラテックスであり、前記合成非晶質シリカは、コールターカウンター法により測定された体積平均粒子径が1〜5μmで、JIS K 5101−13における精製アマニ油を用いた測定方法による吸油量が150ml/100g以上であり、前記澱粉粒子が、レーザー回折・散乱法によって測定された数平均粒子径が10〜20μmであり、前記カール防止層は、固形分換算で、酸化澱粉を90〜95質量%と、レーザー回折・散乱法によって測定された数平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを5〜10質量%含有し、透気抵抗度を100秒以下とするものである。
また、本発明の圧着記録用紙は、感圧接着層中に、感圧接着層に、レーザー回折・散乱法によって測定された平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを、固形分換算で10質量%以下の割合で含有してもよい。
本発明の圧着記録用紙は、高速印字が可能なヒートロール定着タイプの電子写真方式のプリンタにおいて、プレヒート部やヒートロール部の熱の影響による剥離強度の低下や、ヒートロール部より感圧接着層表面に付着したシリコーンオイルよる剥離強度の低下を抑制することができる。また、摩擦係数が低いために滑りやすく、カット判帳票の形態で給紙しても、プリンタ内やシーラー内での走行性が良好で、走行汚れが少ない圧着記録用紙とすることができる。
また、感圧接着層中に、滑剤として特定範囲の平均粒子径を有するポリエチレン系ワックスを特定量含有させることにより、更に熱による剥離強度の低下を抑制するとともに、プリンタ内やシーラー内での走行性を良好にすることができる。
各実施例及び比較例で得られた圧着記録用紙の物性と評価結果を示す図である。
本発明の圧着記録用紙は、紙基材の一方面に感圧接着層が設けられ、他方の面にはカール防止層が設けられた構成とする。本発明の圧着記録用紙は、オフセット印刷機などで所定の情報を印刷後、カット判帳票に加工され、その後、電子写真方式のプリンタで感圧接着層表面に可変情報が印字される。可変情報を印字後、感圧接着層同士が対面するようにして用紙を二つ折りにし、シーラーで圧着して圧着葉書が作成される。印字された可変情報は隠蔽されるので、情報にセキュリティ性を持たせることができる。
(紙基材)
本発明にて用いる紙基材としては、フォーム用紙、上質紙、中質紙、OCR用紙等の情報用紙や、各種コート紙の中から、用途に適した米坪や厚みのものを選択して使用してもよいし、用途に合わせて適宜抄造してもよい。紙基材を原料から抄造する場合に用いる繊維原料は特に限定するものではないが、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)及び広葉樹クラフトパルプ(LBKP)を選択することが望ましい。なお、剥離時の用紙の破れ等を防ぐ目的で紙基剤の強度を向上させたい場合には、NBKPの含有比率を上げたり、紙力増強剤を添加したりすることで、紙基材の層間剥離強度や引裂強度等をより向上させることができる。
また、本発明は圧着記録用紙に係るものであるから、貼り合わせ面に記載された可変情報が外側から透けて見えることは好ましくない。従って、本発明に用いられる紙基材は、印字された可変情報を十分に隠蔽できるように、不透明度に留意することが望ましく、不透明度は98%以上であることが好ましい。紙基剤を原料から抄造する場合であれば、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等の填料を1種または2種以上を選択し、必要量を内添させることで不透明度を好ましい範囲に調整しやすくなる。填料の添加量が多すぎると層間強度や引裂強度等の劣化につながるため、填料の添加量は、層間強度や引裂強度等とのバランスに留意して決定することが好ましい。
本発明の圧着記録用紙においては、透気抵抗度がJIS P−8117(王研式)による測定で100秒以下となるように調整する。圧着記録用紙の透気抵抗度が100秒を超えると、用紙内で生じた水蒸気が外部に逃れにくくなるため、ヒートロール定着タイプのプリンタで印字した際にヒートロール接触箇所に熱が蓄積されて用紙にカールが生じやすくなり、プリンタ内やシーラー内での紙詰まりの原因となる。圧着記録用紙の透気抵抗度を100秒以下とする方法については特に限定するものではないが、紙基材の透気抵抗度を40秒以内にすることで圧着記録用紙の透気抵抗度を100秒以下に調整しやすくなる。
また、本発明の紙基材の透気抵抗度は、JIS P−8117(王研式)による測定で40秒以内となるように設定することが好ましい。透気抵抗度の調整方法としては一般的な方法を適宜用いることができるが、紙基剤を原料から抄造する場合であれば、繊維原料の種類や叩解度の選択、その他抄紙原料の調整等で透気抵抗度を調整することができる。紙基材自体の透気抵抗度が40秒を越えると、圧着記録用紙の透気抵抗度を100秒以下に設定することが困難になる。
(感圧接着層)
本発明の圧着記録用紙において紙基材に設ける感圧接着層は、通常の状態では接着性を示さず、感圧接着層同士を重ね合わせて所定の圧力を加えることで接着性を示し、圧着後に再剥離可能なものである。本発明において感圧接着層は、変性天然ゴム系ラテックスと、スチレンーブタジエン系ラテックスと、合成非晶質シリカと、澱粉粒子とを主剤とするものである。また、これらに加えて平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを、固形分で感圧接着層全体に対して10質量%以下の割合で配合することにより、感圧接着層の耐熱性が向上して熱による剥離強度の低下が抑制され、感圧接着層表面の静摩擦係数の調整も容易となる。
(変性天然ゴム系ラテックス)
本発明において感圧接着層に用いる変性天然ゴム系ラテックスは、天然ゴム100質量%にメタクリル酸アルキルエステルモノマーを10〜25質量%割合でグラフト重合させた変性天然ゴム系ラテックスを用いる。この変性天然ゴムラテックスは、ラテックスの状態で天然ゴムにメタクリル酸アルキルモノマーをグラフト重合させたグラフト共重合体で、ここで用いるモノマーとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等を用いることができ、これらの中でも特にメタクリル酸メチルをグラフトさせたメタクリル酸メチルグラフト共重合体のラテックスが好ましい。
また、本発明においては、感圧接着層の耐熱性及び滑り性を向上させるために、天然ゴムにグラフト重合させるメタクリル酸アルキルモノマーの割合は、天然ゴム100質量%に対して10〜25質量%とする。メタクリル酸アルキルモノマーの割合が25質量%を超えると、感圧接着層の熱可塑性が高くなることから滑り性が低下し、プリンタ内での走行性の悪化や走行汚れが生じるおそれがある。
また、感圧接着層に含有させる変性天然ゴム系ラテックスの割合は、感圧接着層全量に対し、固形分換算で、30〜40質量%とする。配合量が30質量%未満であると適切な剥離強度が得られなくなり、逆に40質量%を超えると感圧接着層の滑り性が低下することでプリンタ内での走行性の悪化や走行汚れが生じるおそれがある。
(スチレン−ブタジエン系ラテックス)
本発明においては、感圧接着層にはスチレンーブタジエン系ラテックスを配合する。スチレンーブタジエン系ラテックスは、剥離強度、耐熱性、耐摩耗性(感圧接着層からの粉落ち防止作用)に強く影響するため、配合量は、上記要因に留意して決定しなければならない。
本発明において感圧接着層中のスチレンーブタジエン系ラテックスの含有量は、感圧接着層全量に対し、固形分換算で、15〜24質量%とする。含有量が15質量%未満の場合には、スチレン−ブタジエン系ラテックスの含有量が十分ではないために感圧接着層の耐熱性や耐摩耗性を満足させることができず、熱の影響による剥離強度の低下や走行汚れを生じさせるおそれがある。逆に含有量が24質量%を超えると、耐熱性や耐摩耗性等は満足されるものの、他の成分の含有割合が相対的に低下するため剥離強度が弱くなり、適正な圧着加工が困難となる。
(合成非晶質シリカ)
本発明において、感圧接着層には合成非晶質シリカを配合する。合成非晶質シリカは透気抵抗度、耐シリコーンオイル性(シリコーンオイルによる剥離強度の阻害止作用)、耐摩耗性、剥離強度に強く影響するため、その平均粒子径、吸油量及び配合量は、上記の要因に留意して決定しなければならない。
本発明において、感圧接着層に配合する合成非晶質シリカは、コールターカウンター法により測定された体積平均粒子径が1〜5μmであり、JIS K 5101−13における精製アマニ油を用いた測定方法による吸油量が150ml/100g以上の合成シリカを使用し、吸油量は180ml/100g以上であればより好ましい。該体積平均粒子径が1μm未満であると、感圧接着層表面の凹凸が少なくなるため剥離強度の調整が難しくなる。逆に、5μmを超えると、透気抵抗度を100秒以下とすることが難しくなる。また、合成非晶質シリカの吸油量が150ml/g未満となると、感圧接着層が十分にシリコーンオイルを吸収することができず、吸収しきれなかったシリコーンオイルにより剥離強度の低下が生じるおそれがある。
ここで、本発明において感圧接着層に用いる合成非晶質シリカとしては、前記体積平均粒子径と吸油量とを満足するものであれば特に限定されるものではなく、例えばゲル法シリカや沈降法シリカを単独又は併用して使用することができる。
前記感圧接着層中の合成非晶質シリカの含有量は、感圧接着層全量に対し、固形分換算で、30〜40質量%とする。含有量が30質量%未満となると、感圧接着層が十分にシリコーンオイルを吸収することができず、剥離強度の低下を抑制することができない。一方、含有量が40質量%を超えると、他の成分の含有割合が相対的に低下することにより耐摩耗性が悪化するおそれがある。
(澱粉粒子)
本発明においては、感圧接着層に澱粉粒子を配合する。澱粉粒子は、静摩擦係数と剥離強度と耐摩耗性とに強く影響するため、その平均粒子径と配合量は、上記の要因に留意して決定しなければならない。
本発明において、感圧接着層に配合する澱粉粒子は、レーザー回折・散乱法による数平均粒子径が10〜20μmの澱粉粒子を使用する。該平均粒子径が10μm未満であると、感圧接着層表面に露出する澱粉粒子の量が少なくなるために十分な滑り性が得られずに、プリンタ内での走行性の悪化や走行汚れが生じるおそれがある。一方、該平均粒子径が20μmを超えると、感圧接着層の厚みに対して澱粉粒子の粒子径が大きくなりすぎるために感圧接着層から澱粉粒子が脱落しやすくなり、脱落した澱粉粒子により走行汚れが生じるおそれがある。
感圧接着層中の澱粉粒子の含有量は、感圧接着層全量に対して、固形分換算で、10〜15質量%とする。含有量が10質量%未満の場合には、澱粉粒子による感圧接着層表面の滑り性の向上効果が十分に得られず、プリンタ内での走行性悪化や走行汚れが生じるおそれがある。逆に含有量が15質量%を超えると、滑り性に寄与する澱粉粒子の割合が増加したことにより剥離強度が弱くなりやすく、また、感圧接着層から澱粉粒子が脱落しやすくなることから走行汚れが生じるおそれもある。
(滑剤)
本発明においては、感圧接着層表面の滑り性を向上させる目的で、感圧接着層中に滑剤を含有させてもよい。用いる滑剤は特に限定するものではないが、ステアリン酸カルシウムやポリアミド系粒子、ポリエステル系粒子、ポリエチレン系ワックス等の一般的な滑剤から適宜選択して使用することができ、これらの中でも、感圧接着層の耐熱性の向上にも効果があり、トナー定着性も良好であることからポリエチレン系ワックスを使用することが好ましい。
滑剤としてポリエチレン系ワックスを用いる場合には、レーザー回折・散乱法で測定した数平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを用いることがより好ましい。該平均粒子径が0.2μm未満であると、ポリエチレン系ワックスの添加による滑り性向上効果が十分に得られず、感圧接着層表面の滑り性が向上しないおそれがある。逆に、該平均粒子径が5μmを超えると、トナー定着性が悪化して印字が剥離しやすくなる。この現象は、再剥離性感圧接着層表面に占めるポリエチレン系粒子の面積が大きくなりすぎるためと推定される。
また、ポリエチレン系ワックスを用いる場合の含有量は、感圧接着層全量に対して、固形分換算で、10質量%以下とすることが好ましい。ポリエチレン系ワックスの含有量が10質量%を超えると、トナー定着性が悪化して、印字が剥離しやすくなる。
(その他の成分)
本発明において感圧接着層には、本発明の効果を阻害しない範囲で上記成分以外の各種公知の添加剤についても適宜添加することができる。このような添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、界面活性剤、酸化防止剤、耐水化剤、等が挙げられる。
(塗工方法)
本発明において感圧接着層は、感圧接着層用塗料を紙基材に塗工することによって得られる。感圧接着層用塗料の塗工方法は特に限定されるものではなく、エアナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター等の一般的なコーターによって塗工することができる。
また、感圧接着層の塗工量は、固形分換算で4〜10g/m2とし、好ましくは5〜8g/m2の範囲とする。塗工量が4g/m2未満では感圧接着層が十分にシリコーンオイルを吸収することができず、剥離強度が低下する。逆に、塗工量が10g/m2を超えると、耐摩耗性が低下することにより走行汚れが発生するばかりか、圧着記録用紙の透気抵抗度を100秒以下に調整することが困難となる。
(カール防止層)
先にも述べたように、本発明に係る圧着記録用紙は紙基材の一方の面にのみ感圧接着層を設ける構成であることに加え、本発明の感圧接着層はラテックス成分を多く含むことから、プリンタで印字する際の加熱で感圧接着層が縮むことにより印字カールが生じ、プリンタ内やシーラー内での走行不良の原因となる。このため、本発明においては紙基材のもう一方の面にカール防止層を設けることで印字カールの抑制を行うこととした。
本発明のカール防止層には、バインダとして作用する酸化澱粉と、滑剤として作用するポリエチレン系ワックスを含有させる。圧着記録用紙において一般的に用いられるバインダとしては、酸化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、大豆蛋白、合成蛋白、カゼイン、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系ラテックス、等があるが、本発明の圧着記録用紙では前述の通り透気抵抗度を100秒以下とする必要があるため、増膜性の高いバインダは用いにくい。そこで、本発明においては、カール防止層に含有させるバインダとして、主に酸化澱粉を用いる。
なお、ここでカール防止層に滑剤を用いるのは、カール防止層表面と感圧接着層表面との摩擦係数を小さくするためである。カット判帳票は複数枚が重ね合わされた状態でプリンタに給紙されるが、この際、互いに接するカール防止層と感圧接着層との摩擦係数が高すぎるとピックアップ不良が生じやすくなり、それにより走行不良が生じるというカット判帳票特有の問題がある。また、印字後に排紙されたカット判帳票は、続けて排紙された帳票によってその表面が擦られるため、この際にカール防止層と感圧接着層との摩擦係数が高いと感圧接着層から糊粕が生じたり、印字トナーの欠落などを生じさせやすくなる。このため、カール防止層に滑剤を含有させることでカール防止層表面と感圧接着層表面との摩擦係数を小さくして、プリンタ内やシーラー内での走行不良が生じないようにする。
本発明においてカール防止層に使用する滑剤としては、レーザー回折・散乱法によって測定された数平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを使用する。本発明の圧着記録用紙をカット判帳票としてプリンタ等へ給紙する際には、感圧接着層とカール防止層とが対面しあうように積層させることとなるが、カール防止層にポリエチレン系ワックスを含有させると、感圧接着層との相性が良いためか他の滑剤を含有させた場合よりも滑り性が良くなり、走行不良を生じさせ難くなる。加えて、ポリエチレン系ワックスは、他の滑剤よりもトナー定着性が良好となるため、本発明のカール防止層には滑剤としてポリエチレン系ワックスを含有させる。ポリエチレン系ワックスの該平均粒子径が0.2μm未満であると、摩擦係数の低減効果が乏しく、前述の走行不良や糊粕の発生、印字トナーの欠落を抑制できない。逆に、平均粒子径が5μmを超えると、トナー定着性が悪化して、印字が剥離し易くなる。
カール防止層に含有させる酸化澱粉とポリエチレン系ワックスのそれぞれの含有量は、カール防止層全量に対し、固形分換算で、酸化澱粉を90〜95質量%、ポリエチレン系ワックスを5〜10質量%とする。酸化澱粉とポリエチレン系ワックスのそれぞれの含有量をこの範囲とすることにより、圧着記録用紙の透気抵抗度を適切な範囲とし、前述の走行不良や糊粕の発生、印字トナーの欠落を抑制することができる。
(カール防止層の塗工方法)
本発明においてカール防止層は、カール防止層用塗料を紙基材に塗工することによって得られる。カール防止層用塗料の塗工方法は特に限定されるものではなく、エアナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、バーコーター等の一般的なコーターによって塗工することができる。また、カール防止層の塗工量は、固形分換算で1〜5g/m2の範囲とすることが好ましい。塗工量が1g/m2未満ではカールの抑制効果が十分に得られにくく、逆に5g/m2を超えると、圧着記録用紙の透気抵抗度を100秒以下に調整することが難しくなるおそれがある。
本発明の圧着記録用紙は、感圧接着層とカール防止層とを対面するようにして重ね合わせて測定した際の静摩擦係数が0.55以下であることが好ましい。該静摩擦係数が0.55を超えると、プリンタ内やメールシーラー内でのピックアップ不良等の走行不良が発生しやすくなり、加えて、プリンタでの印字の際に、感圧接着層からの糊粕の発生や、印字トナーの欠落なども生じやすくなる。なお、ここで「静摩擦係数」とは、JIS P−8147(水平方法)に準じて測定した静摩擦係数をいう。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例または比較例において示す「部」及び「%」は特に明記しない限り固形分質量部及び固形分質量%を示す。なお、合成非晶質シリカの体積平均粒子径はコールターカウンター法で測定された値であり、ポリエチレン系ワックスの数平均粒子径はレーザー回折・散乱法によって測定された値である。
(紙基材の抄造)
広葉樹晒クラフトパルプ80部と針葉樹晒クラフトパルプ20部とを水中に分散してパルプスラリーとし、該パルプスラリーに軽質炭酸カルシウムを7部、酸化チタンを3部、両性ポリアクリルアミド0.8部、中性ロジンサイズ剤0.4部、湿潤紙力増強剤0.3部をさらに添加して原料スラリーとした。該原料スラリーを用い、長網式抄紙機にて抄紙し、坪量が132g/m2の紙基材を得た。抄紙の際には、サイズプレスコータにて、表面サイズ剤0.4%からなるサイズプレス液を紙基材の両面に、両面あたりの塗布量が2g/m2となるように塗布した。得られた紙基材の透気抵抗度は30秒、JIS P−8149による不透明度は98.4%であった。
<実施例1>
得られた紙基材の一方の面に、以下の配合の感圧接着層用塗料A(塗料濃度23%)を、乾燥塗工量が6.5g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工し、紙基材のもう一方の面に、以下の配合のカール防止層用塗料(塗料濃度2%)を乾燥塗工量が2g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工し、乾燥させて圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料A)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):34質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):34質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063:旭化成ラテックス社製):18質量%
・澱粉粒子(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製)
:14質量%
(カール防止層用塗料)
・酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製):92質量%
・ポリエチレン系ワックス(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、
サンノプコ社製):8質量%
<実施例2>
得られた紙基材の一方の面に、感圧接着層用塗料Aの代わりに以下の配合の感圧接着層用塗料B(塗料濃度23%)を、乾燥塗工量が6.5g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工した以外は、実施例1と同様にして圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料B)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):32質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):32質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063、旭化成ラテックス製):17質量%
・澱粉粒子(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製)
:14質量%
・ポリエチレン系ワックス(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、
サンノプコ社製):5質量%
<比較例1>
実施例2において、カール防止層用塗料に配合する酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製)を92質量%から100質量%に変更し、ポリエチレン系ワックス(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、サンノプコ社製)を配合しなかったこと以外は、実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
<比較例2>
実施例2において、変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製)を、変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−943、メタクリル酸アルキルモノマー40質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
<比較例3>
実施例1において、合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製)を、合成非晶質シリカ(商品名:ガシルシリカGM−2、平均粒子径7.8μm、吸油量80ml/100g、ウィルバー・エリス社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして圧着記録用紙を得た。
<比較例4>
実施例2において、感圧接着層用塗料Bを、以下の配合の感圧接着層用塗料Cに変更した以外は実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料C)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):23質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):36質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063:旭化成ラテックス社製):20質量%
・澱粉粒子(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製)
:16質量%
・ポリエチレン系ワックス
(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、サンノプコ社製):5質量%
<比較例5>
実施例2において、感圧接着層用塗料Bを、以下の配合の感圧接着層用塗料Dに変更した以外は実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料D)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):42質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):30質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063:旭化成ラテックス社製):15質量%
・澱粉粒子
(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製):10質量%
・ポリエチレン系ワックス
(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、サンノプコ社製):3質量%
<比較例6>
実施例2において、感圧接着層用塗料Bを、以下の配合の感圧接着層用塗料Eに変更した以外は実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料E)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):35質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):35質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063:旭化成ラテックス社製):8質量%
・澱粉粒子
(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製):17質量%
・ポリエチレン系ワックス
(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、サンノプコ社製):5質量%
<比較例7>
実施例2において、感圧接着層用塗料Bを、以下の配合の感圧接着層用塗料Fに変更した以外は実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料F)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):30質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):30質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063:旭化成ラテックス社製):28質量%
・澱粉粒子
(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製):10質量%
・ポリエチレン系ワックス
(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、サンノプコ社製):2質量%
<比較例8>
実施例2において、感圧接着層用塗料Bに配合する澱粉粒子(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製)を分級処理し、平均粒子径が8μmの澱粉粒子として配合した以外は、実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
<比較例9>
実施例2において、感圧接着層用塗料Bに配合する澱粉粒子(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製)を分級処理し、平均粒子径が25μmの澱粉粒子として配合した以外は、実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
<比較例10>
実施例2において、感圧接着層用塗料Bを、以下の配合の感圧接着層用塗料Gに変更した以外は実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料G)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):35質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):35質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063:旭化成ラテックス社製):18質量%
・澱粉粒子(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製):8質量%
・ポリエチレン系ワックス
(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、サンノプコ社製):4質量%
<比較例11>
実施例2において、感圧接着層用塗料を、以下の配合の感圧接着層用塗料Hに変更した以外は実施例2と同様にして圧着記録用紙を得た。
(感圧接着層用塗料H)
・合成非晶質シリカ(商品名:ニップシールL−250、平均粒子径2.4μm、
吸油量180ml/100g、東ソー・シリカ社製):31質量%
・変性天然ゴム系ラテックス(商品名:サイビノールFB−950、メタクリル酸
アルキルモノマー25質量%のグラフト重合体、サイデン化学社製):31質量%
・スチレン−ブタジエン系ラテックス
(商品名:L−7063:旭化成ラテックス社製):16質量%
・澱粉粒子
(商品名:M80A、平均粒子径19μm、マルニドラ社製):18質量%
・ポリエチレン系ワックス
(商品名:SNコート289、平均粒子径0.2μm、サンノプコ社製):4質量%
(評価方法)
各実施例及び比較例で得られた圧着記録用紙について以下の評価試験を行い、その結果を図1に示した。
(透気抵抗度)
JIS P−8117(王研式)による測定方法を用いて、透気抵抗度を測定した。
(静摩擦係数)
各実施例及び比較例で得られた圧着記録用紙の感圧接着層とカール防止層とが対面しあうようにし、JIS P−8147の水平法により静摩擦係数を測定した。測定機器は、STA−1225(株式会社エー・アンド・デイ:引張圧縮試験機)を使用した。
(剥離強度)
各実施例及び比較例で得られた圧着記録用紙の得られた圧着記録用紙を23℃×50%R.H.環境下で24時間調湿した後、幅100mm、長さ100mmに断裁した。その後、感圧接着層同士が対面しあうように二つ折りにし、メールシーラー(MS9200II:大日本印刷株式会社製)を用いてシーラーギャップ(加圧ロールの間隔)を170μmに設定し、加圧接着した。次にこのサンプルを23℃×50%R.H.環境下で24時間整置後、幅25mm、長さ100mmに断裁することで試験片を得た。この試験片についてSTA−1225(株式会社エー・アンド・デイ:引張圧縮試験機)にて引張強度速度を300mm/minに設定して、T型剥離による剥離強度の測定を行った。なお、実用範囲とできる剥離強度は、1.27〜1.96N/25mmである。
(プリント評価)
各実施例及び比較例で得られた圧着記録用紙を、幅210mm、長さ297mmに断裁して試験片とし、ヒートロール定着タイプの電子写真方式プリンタ(DocuTech 180 HighLight Color、富士ゼロックス社製)を使用して試験片10,000枚に印字し、次の3項目について評価した。
1)走行汚れ
プリンタ内及び印字後の試験片を目視にて観察し、走行汚れの無いものを
○(合格)、走行汚れのあるものを×(不合格)とした。
2)走行性
プリンタ内での走行不良がない場合を○(合格)、走行不良が1回以上の場合を
×(不合格)と評価した。
3)剥離強度の保持率
プリント後の圧着記録用紙を23℃×50%R.H.環境下で24時間調湿した後、
その剥離強度について測定し、下記式1に基づいて剥離強度の保持率を算出した。
剥離強度の保持率が高いほど耐熱性及び耐シリコーンオイル性に優れる。
式1:剥離強度の保持率(%)
=(印字後の剥離強度)/(印字前の剥離強度)×100
(トナー定着性)
得られた圧着記録用紙の感圧接着層を設けた面に、卓上型レーザープリンタ(LBP−3800、キヤノン社製)を用いて印字を行った後、印字部の上にメンディングテープ(スコッチ:住友スリーエム社製)を貼り、メンディングテープの上から2kgのローラーを1往復させて印字部に加重をかけた。その後5分間放置し、破れを生じないようにメンディングテープを剥がして、メンディングテープの粘着面へのトナーの転写具合を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:半分以上のトナーがテープに取られずに残存している
×:半分以上のトナーがテープに取られ、残存していない
図1に示された結果からもわかるとおり、実施例1で得られた圧着記録用紙は、静摩擦係数と透気抵抗度が比較的低く、走行汚れがなく、走行性、剥離強度の保持率及びトナー定着性が良好であることが確認された。また、実施例2で得られた圧着記録用紙は、感圧接着層中にもポリエチレン系ワックスを含有させたことから、実施例1で得られた圧着記録用紙よりも更に剥離強度の保持率に優れた圧着記録用紙となった。これはポリエチレン系ワックスの添加により耐熱性が向上したためと推察される。
これに対して、比較例1で得られた圧着記録用紙は、カール防止層に滑剤であるポリエチレン系ワックスを含有しないために、感圧接着層とカール防止層との間の静摩擦係数が上昇し、走行性に問題があった。
また、比較例2で得られた圧着記録用紙は、メタクリル酸アルキルモノマーのグラフト重合率が40質量%である変性天然ゴム系ラテックスを使用したため、走行汚れが生じ、走行性及び剥離強度の保持率についても劣るものであった。
また、比較例3で得られた圧着記録用紙は、合成非晶質シリカの平均粒子径が7.8μmと大きすぎるために透気抵抗度が高くなり、走行汚れが生じ、走行性に劣るものであった。さらには吸油量が80ml/100gと小さすぎるために耐シリコーンオイル性が低下し、剥離強度の保持率にも劣った。
比較例4で得られた圧着記録用紙は、合成非晶質シリカの配合量が23質量%と少なかったために耐シリコーンオイル性が低下し、剥離強度の保持率に劣るものであった。また、透気抵抗度が高くなりすぎたために走行性にも劣るものであった。
比較例5で得られた圧着記録用紙は、合成非晶質シリカの配合量が42質量%と多かったために、走行汚れが生じた。
比較例6で得られた圧着記録用紙は、スチレン−ブタジエン系ラテックスの配合量が8質量%と少なかったために、走行汚れが生じた。
比較例7で得られた圧着記録用紙は、スチレン−ブタジエン系ラテックスの配合量が28質量%と多かったために、感圧接着層の剥離強度が十分に得られなかった。更には、透気抵抗度が193秒と高くなりすぎて走行性にも劣るものであった。
比較例8で得られた圧着記録用紙は、感圧接着層中の澱粉粒子の平均粒子径が8μmと小さかったために、静摩擦係数が上昇し、走行汚れが生じて走行性にも劣るものであった。
比較例9で得られた圧着記録用紙は、感圧接着層中の澱粉粒子の平均粒子径が30μmと大きかったために、走行汚れが生じた。
比較例10で得られた圧着記録用紙は、感圧接着層中の澱粉粒子の配合量が8質量%と少なかったために静摩擦係数が上昇し、走行汚れが生じ走行性にも劣るものであった。
比較例11で得られた圧着記録用紙は、感圧接着層中の澱粉粒子の配合量が18質量%と多かったために、走行汚れが生じたばかりか十分な剥離強度も得られなかった。
以上述べたように、本発明に係る圧着記録用紙は圧着はがき等に加工できるものであり、カット判帳票の形態でヒートロール定着タイプの電子写真方式プリンタで印字を行っても、感圧接着層の剥離強度の低下、印字カール、走行汚れが少なく、プリンタ内及びシーラー内での走行性が良好であることから比較的少量の用途にも好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 紙基材の一方の面に、常温、常圧の通常状態では粘着性、接着性を示さず、所定の加圧条件で接着性を示し、圧着後に再剥離可能である感圧接着層を形成し、紙基材のもう一方の面にはカール防止層を形成した圧着記録用紙であって、
    前記感圧接着層は、固形分換算で、変性天然ゴム系ラテックスを30〜40質量%、スチレン−ブタジエン系ラテックスを15〜24質量%、合成非晶質シリカを30〜40質量%、澱粉粒子を10〜15質量%、それぞれ含有し、
    前記変性天然ゴム系ラテックスは、天然ゴム100質量%にメタクリル酸アルキルエステルモノマーを10〜25質量%の割合でグラフト重合させることで得られた変性天然ゴム系ラテックスであり、
    前記合成非晶質シリカは、コールターカウンター法により測定された体積平均粒子径が1〜5μmで、JIS K 5101−13における精製アマニ油を用いた測定方法による吸油量が150ml/100g以上であり、
    前記澱粉粒子が、レーザー回折・散乱法によって測定された数平均粒子径が10〜20μmであり、
    前記カール防止層は、固形分換算で、酸化澱粉を90〜95質量%と、レーザー回折・散乱法によって測定された数平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを5〜10質量%含有し、
    透気抵抗度が100秒以下であることを特徴とする圧着記録用紙。
  2. 前記感圧接着層は、さらに、レーザー回折・散乱法によって測定された数平均粒子径が0.2〜5μmであるポリエチレン系ワックスを、固形分換算で10質量%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の圧着記録用紙。
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