JP2016102881A - 電子写真機器用ロールおよび電子写真機器用ロールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導性および弾力性に優れる電子写真機器用ロールおよび電子写真機器用ロールの製造方法を提供する。【解決手段】軸体12と、軸体12の外周に形成された弾性体層14と、を有し、弾性体層14が、エラストマーと、該エラストマー中に配合された磁性を有する粒子16と、を有し、弾性体層14中において、複数の磁性を有する粒子16が、弾性体層14の厚さ方向に連なって配向している、電子写真機器用ロール10とする。【選択図】図2
Description
本発明は、電子写真機器用ロールおよび電子写真機器用ロールの製造方法に関し、さらに詳しくは、熱伝導性に優れ、電子写真機器の定着用ロール、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどとして好適な電子写真機器用ロールおよびその電子写真機器用ロールの製造方法に関するものである。
電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器には、紙などの記録媒体に担持されたトナー像を加熱・加圧することにより定着させる定着装置が備えられているものがある。定着装置の定着用ロールは、芯金の外周に1層または2層以上の弾性体層を備えたものからなる。定着用ロールでは、芯金を介して弾性体層が加熱される。定着用ロールの弾性体層の材料には、耐熱性と弾力性に優れるシリコーンゴムが用いられることがある。シリコーンゴムは、熱伝導性が低いため、弾性体層全体をあたためるのに時間を要する。
シリコーンゴムに熱伝導性粒子を配合して弾性体層の熱伝導性を向上させることが考えられる。しかしながら、シリコーンゴムに熱伝導性粒子を単に配合しただけでは、熱伝導性を満足するために熱伝導性粒子の配合量が多くなり、弾性体層が硬くなる。
また、例えば特許文献1には、定着用ロールの弾性層の熱伝導率向上のため、ロール厚さ方向に炭素繊維を配向させることが記載されている。しかしながら、特許文献1の弾性層は、厚さが炭素繊維の長さよりも厚く、弾性層の外表面の周方向全体にわたって炭素繊維が存在していない。このため、熱伝導性が不十分となる。
本発明が解決しようとする課題は、熱伝導性および弾力性に優れる電子写真機器用ロールおよび電子写真機器用ロールの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用ロールは、軸体と、前記軸体の外周に形成された弾性体層と、を備え、前記弾性体層が、エラストマーと、該エラストマー中に配合された磁性を有する粒子と、を含有し、前記弾性体層中において、複数の前記磁性を有する粒子が、前記弾性体層の厚さ方向に連なって配向していることを要旨とするものである。
前記磁性を有する粒子は、磁性体からなる粒子、または磁性体を一部に備える複合粒子であることが好ましい。また、前記磁性を有する粒子は、非磁性体からなる熱伝導性粒子と、該熱伝導性粒子の表面に付着する磁性体と、を備える複合粒子であることが好ましい。前記エラストマーは、液状ポリマーの架橋体であることが好ましい。また、前記エラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムのうちの少なくとも1種以上であることが好ましい。前記弾性体層の厚さ方向における熱伝導率は0.5W/m・K以上であり、前記弾性体層の外周表面のアスカーC硬度は70未満であることが好ましい。
本発明に係る電子写真機器用ロールの製造方法は、上記の電子写真機器用ロールの製造方法であって、ロール成形金型の金型内に軸体を設置する工程と、前記軸体を設置した金型内に、液状ポリマーまたは熱可塑性エラストマーと磁性を有する粒子とを含有する液状組成物を注入する工程と、前記金型内に設置された軸体の周面から前記金型の周面に向かう方向に、あるいはその反対方向に、磁力線が発生するように磁場をかけながら前記金型内に注入された前記液状組成物を硬化させる工程と、を有することを要旨とするものである。
本発明に係る電子写真機器用ロールによれば、弾性体層のエラストマー中に配合された複数の磁性を有する粒子が弾性体層中において弾性体層の厚さ方向に連なって配向している。このため、弾性体層において厚さ方向に効率よく熱を伝えることができる。これにより、熱伝導性向上のための粒子の配合量を抑えることができるため、配合される粒子による弾性体層の硬度上昇を抑えることができる。したがって、熱伝導性および弾力性に優れるものとなる。また、熱伝導性向上のための粒子の配合量を抑えることができるため、架橋前の未架橋ゴムの粘度上昇も抑えることができる。これにより、加工性にも優れる。
以下、本発明に係る電子写真機器用ロールについて詳細に説明する。
本発明に係る電子写真機器用ロールは、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器に備えられる、定着用ロール、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどに好適に用いられるものである。本発明に係る電子写真機器用ロールは、導電性ロールであってもよいし、非導電性ロールであってもよい。
図1および図2には、本発明の一実施形態に係る電子写真機器用ロール10(以下、本ロール10ということがある)を示している。本ロール10は、軸体12と、弾性体層14と、を備える。弾性体層14は、軸体12の外周に形成されている。
軸体12は、本ロール10の芯金であり、金属製の中実体あるいは中空体からなる。軸体12の材料としては、特に限定されるものではない。鉄、ステンレス、アルミニウム、鉄合金、アルミニウム合金などが挙げられる。軸体12の材料としては、軸体12が中実体からなる場合には、磁場配向を行う観点から、磁性体であることが好ましい。また、軸体12が中空体からなる場合には、中空体の中空内に磁性体からなる棒を挿入して磁場配向を行うことができるため、磁性体、非磁性体のいずれであってもよい。
軸体12において、磁性体は、磁化特性に優れたものであり、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、磁性を有するステンレス鋼、マグネタイト、マグヘマイト、マンガン亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の強磁性体、MnO、Cr2O3、FeCl2、MnAs等の反強磁性体、およびこれらを用いた合金類が挙げられる。軸体12の材料として好適な磁性体としては、鉄、磁性を有するステンレス鋼などが挙げられる。また、軸体12の材料として好適な非磁性体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、非磁性のステンレス鋼などが挙げられる。
軸体12の表面には、必要に応じて、接着剤、プライマーなどを塗布しても良い。つまり、弾性体層14は、接着剤層(プライマー層)を介して軸体12に接着されていてもよいし、軸体12に直接接着されていてもよい。接着剤、プライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
弾性体層14は、エラストマーと、エラストマー中に配合された磁性を有する粒子16と、を有する。
エラストマーとしては、架橋ゴム、熱可塑性エラストマーが挙げられる。架橋ゴムとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系の各熱可塑性エラストマーが挙げられる。エラストマーとしては、これらのうちの1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エラストマーとしては、成形前に加熱することなく液状ポリマーとして金型内に注入できるなどから、架橋ゴムが好ましい。つまり、架橋前の未架橋の状態では液状ポリマーであることが好ましい。架橋ゴムのうちでは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムが好ましい。また、耐熱性、弾力性に優れるなどの観点から、シリコーンゴムが好ましい。
未架橋ゴムの硬化方法(架橋方法)は、適宜選択すればよい。熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化、湿気硬化等が挙げられる。熱硬化を行う場合、磁場配向を行う観点から、磁石の磁性低下を抑えるためには、硬化温度が150℃以下であることが好ましい。また、架橋前に磁場配向を行う観点から、未架橋ゴムの粘度は比較的低いことが好ましい。具体的には、1000Pa・s以下であることが好ましい。未架橋ゴムの低粘度化が可能であることから、架橋ゴムとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムが好ましい。
磁性を有する粒子16としては、磁性体からなる粒子(磁性体粒子)、磁性体を一部に備える複合粒子が挙げられる。磁性体粒子は、磁性体をそのまま粒子状にしたものからなる粒子である。磁性体を一部に備える複合粒子は、非磁性体と磁性体とを備えこれらが一体化されてなる粒子である。磁性体には、熱伝導性(熱伝導率)の低いものが多い。一方、非磁性体には、熱伝導性(熱伝導率)の高いものがある。熱伝導性(熱伝導率)に優れる粒子とするため、非磁性体と磁性体とを一体化(複合化)する。非磁性体には、熱伝導性(熱伝導率)に優れるものを選ぶとよい。
磁性体は、磁化特性に優れたものであればよく、具体的には、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ステンレス鋼、マグネタイト、マグヘマイト、マンガン亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の強磁性体、MnO、Cr2O3、FeCl2、MnAs等の反強磁性体、およびこれらを用いた合金類が挙げられる。これらのうちでは、飽和磁化が高いという観点から、鉄、ニッケル、コバルト、およびこれらの鉄系合金(ステンレス鋼を含む)が好適である。
磁性体を一部に備える複合粒子としては、非磁性体からなる熱伝導性粒子と、この熱伝導性粒子の表面に付着する磁性体と、を備える粒子が挙げられる。磁性体は、熱伝導性粒子の表面を被覆するバインダー中に磁性体からなる粒子(磁性体粒子)が分散されることにより熱伝導性粒子の表面に付着するものであってもよいし、熱伝導性粒子の表面を磁性体からなる材料が被覆することにより熱伝導性粒子の表面に付着するものであってもよい。つまり、磁性体を一部に備える複合粒子としては、非磁性体からなる熱伝導性粒子の表面に、磁性体粒子が分散されているバインダーを被覆してなる複合粒子や、非磁性体からなる熱伝導性粒子の表面に、磁性体材料を被覆してなる複合粒子が挙げられる。
熱伝導性粒子は、非磁性体であって、熱伝導率が大きいものであればよい。非磁性体とは、強磁性体および反強磁性体以外の、反磁性体および常磁性体を称す。例えば、熱伝導性粒子の熱伝導率は、5W/(m・K)以上であることが望ましい。熱伝導性粒子の材質としては、例えば、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素などが挙げられる。複合粒子の製造に熱処理が必要である場合、熱伝導率が大きく、熱処理しても酸化しにくいものが好ましい。この観点から、炭素材料、金属酸化物、窒化物が好適である。また、複合粒子を製造する際、熱伝導性粒子として、一種類の粒子を用いても、二種類以上の粒子を併用してもよい。
熱伝導性粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば、薄片状、繊維状、柱状、球状、楕円球状、長円球状(一対の対向する半球を円柱で連結した形状)等の種々の形状を採用することができる。熱伝導性粒子が球以外の形状をなす場合には、複合粒子同士の接触面積が大きくなる。これにより、熱の伝達経路が確保されやすくなると共に、伝達される熱量も大きくなる。なお、通常、アルミニウム、金、銅等の金属粒子の形状は、球状である。一方、黒鉛粒子は、アスペクト比が大きい形状のものでも、金属粒子と比較して安価に入手できる。このため、熱伝導性粒子の材質としては、黒鉛が好適である。
黒鉛としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛や、人造黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛は、鱗片状になりにくい。このため、鱗片状であり、熱伝導性の向上効果が高いという理由から、天然黒鉛が好適である。
熱伝導性粒子の大きさは、分散性、弾性体層14の厚さ等を考慮して決定すればよい。例えば、熱伝導性粒子の平均粒子径を、1000μm以下とすることが望ましい。700μm以下がより好適である。なお、粒子径として、粒子の最長部分の長さを採用する。
複合粒子における磁性体粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば、磁性体粒子の形状が薄片状または針状の場合、球状の場合と比較して、磁性体粒子同士が接触しやすくなる。これにより、磁性体粒子を介して隣接する複合粒子間の熱伝導性が、向上する。その結果、弾性体層14の熱伝導性が向上する。また、磁性体粒子の形状が薄片状または針状の場合、バインダーから磁性体粒子が脱落しにくい。したがって、磁性体粒子としては、薄片状または針状の粒子を採用することが望ましい。
バインダーは、熱伝導性粒子の種類、成形性への影響等を考慮して、適宜選択すればよい。成形性への影響が少なく、環境にも優しいという理由から、水溶性のバインダーが好適である。例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
熱伝導性粒子や磁性体粒子は、導電性粒子であってもよいし、非導電性粒子(絶縁性粒子)であってもよい。熱伝導性粒子および磁性体粒子が非導電性粒子(絶縁性粒子)であると、電気絶縁性に優れる。熱伝導性粒子や磁性体粒子が導電性粒子である場合において、電気絶縁性を確保する場合には、熱伝導性粒子や磁性体粒子の表面に絶縁性無機粒子が複合化されていてもよい。あるいは、熱伝導性粒子や磁性体粒子に複合化されない絶縁性粒子を熱伝導性粒子とともに配合してもよい。これにより、熱伝導性粒子同士や異なる熱伝導性粒子に複合化された磁性体粒子同士の接触が抑えられ、熱伝導性粒子間や異なる熱伝導性粒子に複合化された磁性体粒子間の電気抵抗が大きくなる。また、絶縁性無機粒子を介して熱伝導性粒子同士や異なる熱伝導性粒子に複合化された磁性体粒子同士が接触することにより、これらの間での導通を断つことができる。これにより、弾性体層14において電気絶縁性を実現することができる。
絶縁性無機粒子は、バインダーにより熱伝導性粒子や磁性体粒子の表面に複合化することができる。絶縁性無機粒子を複合化するバインダーとしては、磁性体粒子を複合化するバインダーとして挙げられたいずれか1種以上が挙げられる。絶縁性無機粒子を複合化するバインダーと磁性体粒子を複合化するバインダーとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
絶縁性無機粒子は、絶縁性を有する無機材料の粒子であればよい。なかでも、熱伝導性粒子間の熱伝導性を阻害しないという観点から、熱伝導率が比較的大きいものが望ましい。例えば、絶縁性無機粒子の熱伝導率が5W/m・K以上であると好適である。熱伝導率が5W/m・K以上の絶縁性無機材料としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、ベーマイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素粒子等が挙げられる。
絶縁性無機粒子は、熱伝導性粒子等の表面の一部のみに複合化していてもよく、表面全体を被覆するように複合化していてもよい。絶縁性無機粒子の大きさは、熱伝導性粒子および磁性体粒子に対する複合化性、電気絶縁性および熱伝導性を考慮して、適宜決定すればよい。絶縁性無機粒子が大きすぎると、複合化性や熱伝導性が低下する。例えば、絶縁性無機粒子の粒子径は、熱伝導性粒子の粒子径の1/1000以上1/2以下であることが望ましい。
絶縁性無機粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば、絶縁性無機粒子の形状が扁平の場合には、球状の場合と比較して、絶縁性無機粒子が介在しても熱伝導性粒子間の距離が短くなる。これにより、熱伝導性粒子間における熱伝導性が向上する。その結果、弾性体層14の熱伝導性が向上する。また、絶縁性無機粒子と磁性体粒子や熱伝導性粒子との接触面積が大きくなる。これにより、密着力が向上し、絶縁性無機粒子が剥離しにくくなる。加えて、絶縁性無機粒子と磁性体粒子や熱伝導性粒子との間の熱伝導性も向上する。このような理由から、絶縁性無機粒子としては、薄片状の粒子を採用することが望ましい。
弾性体層14の電気絶縁性と熱伝導性とを両立させるためには、熱伝導性粒子と絶縁性無機粒子との体積比は、7:3〜3:7であることが望ましい。絶縁性無機粒子の体積割合が3割未満の場合には、弾性体層14の電気絶縁性を実現できないおそれがある。一方、絶縁性無機粒子の体積割合が7割を超えると、熱伝導性の向上効果が小さくなる。
熱伝導性粒子への磁性体粒子や絶縁性無機粒子の複合化、磁性体粒子への絶縁性無機粒子の複合化などは、撹拌造粒法を利用して行うことができる。すなわち、例えば、熱伝導性粒子、磁性体粒子、絶縁性無機粒子、バインダーを含む粉末原料を高速で撹拌することにより上記複合化を行うことができる。撹拌造粒法においては、高速撹拌により摩擦熱が生じる。このため、バインダーとしては、揮発性の無いものが望ましい。例えば、上述した水溶性のバインダーが好適である。また、上記複合化は、バインダーを溶解した溶液に磁性体粒子、絶縁性無機粒子を分散した塗料を熱伝導性粒子の粉末に吹き付けることによっても行うことができる。
弾性体層14における磁性を有する粒子16の配合量は、弾性体層14の物性や熱伝導性の向上効果等を考慮して決定すればよい。例えば、成形性に優れる、弾性体層14を硬くしすぎないなどの観点から、その配合量は、弾性体層14の体積を100体積%とした場合の30体積%以下とすることが好ましい。より好ましくは20体積%以下である。また、熱伝導性の向上効果に優れるなどの観点から、その配合量は弾性体層14の体積を100体積%とした場合の3体積%以上とすることが好ましい。より好ましくは10体積%以上である。
図2に示すように、弾性体層14中において、複数の磁性を有する粒子16は、数珠状に連なって弾性体層14の厚さ方向に配向(配列)している。弾性体層14において、熱の伝達経路は、複数の磁性を有する粒子16が連なる(接触する)ことにより弾性体層14の厚さ方向に形成される。熱の伝達経路を形成するため、磁性を有する粒子16を多量に配合すると、弾性体層14の硬度が高くなる。
弾性体層14の硬度を高くしすぎない観点から、比較的少ない配合量で熱の伝達経路を形成するため、複数の磁性を有する粒子16を弾性体層14の厚さ方向に配向させている。複数の磁性を有する粒子16を配向させるには、磁性を有する粒子16の磁場配向を利用するとよい。磁性を有する粒子16は磁場中で磁力線に沿って配向する。
比較的少ない配合量で、磁性を有する粒子16同士を連なりやすくするには、磁性を有する粒子16の粒子径は大きいほうが好ましい。この観点から、磁性を有する粒子16の平均粒子径は1μm以上であることが好ましい。より好ましくは50μm以上である。一方、磁性を有する粒子16の分散性に優れる、磁性を有する粒子16による物性低下の影響を低く抑えるなどの観点から、磁性を有する粒子16の平均粒子径は1mm以下であることが好ましい。より好ましくは700μm以下である。磁性を有する粒子16の平均粒子径は、レーザー回折法により測定することができる。
以上の構成の本発明に係る電子写真機器用ロール10によれば、弾性体層14のエラストマー中に配合された複数の磁性を有する粒子16が弾性体層14中において弾性体層14の厚さ方向に連なって配向していることで、弾性体層14において厚さ方向に効率よく熱を伝えることができる。これにより、粒子の配合量を抑えることができるため、粒子による弾性体層14の硬度上昇を抑えることができる。したがって、熱伝導性および弾力性に優れる。
弾性体層14は、厚さ方向における熱伝導率が0.5W/m・K以上であることが好ましい。より好ましくは1.0W/m・K以上である。熱伝導率は、JIS A1412−2(1999)の熱流計法に準拠した、英弘精機(株)製「HC−110」を用いて測定することができる。本発明の構成とすることにより、所望の熱伝導率を得ることができる。そして、弾性体層14の外周表面のアスカーC硬度は70未満であることが好ましい。より好ましくは50以下である。本発明の構成とすることにより、所望の低硬度を得ることができる。また、本発明の構成とすることにより、所望の熱伝導率を得るとともに所望の低硬度を得ることができる。
本発明に係る電子写真機器用ロールは、本発明に係る電子写真機器用ロールの製造方法により製造することができる。次に、本発明に係る電子写真機器用ロールの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真機器用ロールの製造方法は、ロール成形金型の金型内に軸体を設置する工程Aと、軸体を設置した金型内に、液状ポリマーまたは熱可塑性エラストマーと磁性を有する粒子とを含有する液状組成物を注入する工程Bと、金型内に設置された軸体の周面から金型の周面に向かう方向に、あるいはその反対方向に、磁力線が発生するように磁場をかけながら金型内に注入された液状組成物を硬化させる工程Cと、を有する。
工程Cにおいて、磁場は、複数の磁性を有する粒子を配向させる方向に形成する。複数の磁性を有する粒子を配向させる方向は弾性体層の厚み方向である。このような磁場を形成するためには、注入された液状組成物を挟むように磁石を配置すればよい。本発明は、電子写真機器用ロールに関し、ロール体を成形するものであることから、ロール体を形成する際の軸体を利用することにより、注入された液状組成物を挟むように磁石を配置することができる。ロール体を形成する際の軸体は、本発明に係る電子写真機器用ロールに組み込まれる軸体であってもよいし、本発明に係る電子写真機器用ロールには別の軸体が用いられるため、ロール体を形成する際に用いられて、本発明に係る電子写真機器用ロールには組み込まれない軸体であってもよい。
注入された液状組成物を挟むように磁石を配置する方法としては、例えば、軸体とロール成形金型とをそれぞれ磁石にする方法、軸体を磁石にするとともにロール成形金型の内周面あるいは外周面に沿って円筒状の磁石を配置する方法、円筒状の軸体の筒内に円柱状あるいは円筒状の磁石を配置するとともにロール成形金型を磁石にするかロール成形金型の内周面あるいは外周面に沿って円筒状の磁石を配置する方法などが挙げられる。磁石には、永久磁石または電磁石を用いればよい。電磁石を用いると、磁場形成のオン、オフを瞬時に切り替えることができ、磁場の強さの制御が容易である。よって、成形を制御しやすい。
図3には、所望の磁場を形成するための構成の一例を示す。図3は、ロール成形金型の軸方向に沿った方向の装置断面図である。図3に示すように、装置20は、円筒状のロール成形金型22と、円筒状のロール成形金型22の金型内に同軸状に配置された磁性体からなる軸体12と、円筒状のロール成形金型22の内周面に沿って同軸状に配置された円筒状磁性体24と、円筒状のロール成形金型22の軸方向の両端に配置された電磁石26a,26bとを備えている。円筒状のロール成形金型22の軸方向の両端の内周部には、円筒状のロール成形金型22の軸方向の両端を塞ぐキャップ28a,28bが配置されている。キャップ28bの面内中央部には、軸体12の端部を挿通するための貫通孔が形成され、その貫通孔に軸体12が挿通されて軸体12の端部はキャップ28bの外部に露出している。円筒状のロール成形金型22の金型内には、液状組成物30が注入される。
電磁石26a,26bは、円柱状の鉄芯とその鉄芯の周囲に巻き付けられた導線からなるコイルとを備える。円柱状の鉄芯は、円筒状のロール成形金型22の軸方向に沿って配置され、その一端が円筒状のロール成形金型22の軸方向の端部にそれぞれ接触している。一方の電磁石26aは、円筒状磁性体24の端部に接触するとともにキャップ28aにより軸体12の端部には非接触となっている。他方の電磁石26bは、軸体12の端部に接触するとともにキャップ28bにより円筒状磁性体24の端部には非接触となっている。
電磁石26a,26bが作動すると、これらのいずれか一方に接触する軸体12および円筒状磁性体24がそれぞれ磁化され、ロール成形金型22内に設置された軸体12の周面からロール成形金型22の周面に向かう方向に、あるいはその反対方向に、磁力線が発生するように磁場がかかる。
ロール成形金型22内に注入された液状組成物の複数の磁性を有する粒子は、その磁力線の方向に沿って配向する。こうして液状組成物中で、複数の磁性を有する粒子は、図2に示すように、軸体12の周面からロール成形金型22の周面に向かう方向に、あるいはその反対方向に、連なって配向する。この状態を維持すべく、磁場をかけながら液状組成物に対し硬化処理(架橋処理)を施して液状組成物を硬化させる。これにより、複数の磁性を有する粒子は、弾性体層14の厚さ方向に連なって配向した状態で架橋ゴムあるいは熱可塑性エラストマーにより固定され、複数の磁性を有する粒子16が連なって厚さ方向に配向した弾性体層14が得られる。
磁場を構成する磁力線は閉ループを形成していることが望ましい。こうすることで、磁力線の漏洩が抑制され、液状組成物に安定した磁場を作用させることができる。
図3において、軸体12は、磁性材料からなる中実体が示されているが、軸体12は、磁性材料からなる中空体、あるいは、非磁性材料からなる中空体であってもよい。軸体12が非磁性材料の中空体からなる場合には、その中空内に磁性材料からなる中実体を挿入することで、図3の構成と同様の磁場をかけることができる。ロール成形金型22は、アルミニウム合金などの非磁性体で構成することができる。
なお、ロール成形金型22の外周に配置した磁石により、ロール成形金型22の内部に磁場を形成させるには、ロール成形金型22としては透磁率の低い材質、つまり非磁性の材質のものを使用するとよい。例えば、アルミニウムやアルミニウム合金製のロール成形金型が好適である。この場合、電磁石等の磁力源から発生する磁場、磁力線が影響を受けにくく、磁場状態のコントロールがしやすい。ただし、必要とする磁場、磁力線の状態に応じて適宜、磁性材料からなるロール成形金型を使用してもよい。
液状組成物に作用する磁場の磁束密度は、略均一である。具体的には、液状組成物における磁束密度の差が、±10%以内であるとよい。±5%以内、さらには±3%以内であるとより好適である。液状組成物に一様な磁場を作用させることにより、磁性を有する粒子16の偏在を抑制することができ、所望の配向状態を得ることができる。また、成形は、10mT以上5000mT以下の磁束密度で行うとよい。こうすることで、液状組成物中の磁性を有する粒子を、確実に配向させることができる。好ましくは100mT以上3000mT以下、より好ましくは200mT以上1000mT以下である。10mT未満であると、磁性を有する粒子の配向が困難であり、5000mTを超えると、設備が大規模となり、コスト高となる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
<磁性を有する粒子の作製>
熱伝導性粒子として黒鉛粒子(伊藤黒鉛工業株式会社製「W+32」、熱伝導率200W/(m・K)、平均粒子径500〜700μm)100質量部、磁性体粒子としてステンレス鋼粒子(大同特殊鋼株式会社製「DAP410L」平均粒子径10μm)30質量部、バインダーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製「TC−5」)3質量部を、FMミキサ(日本コークス工業(株)製)に投入し、1分間混合した。次に、水を10質量部添加して、更に6分間混合して複合粒子の造粒を行った。その後、混合物を乾燥機に入れ、100℃で1時間乾燥した。磁性複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布装置(日機装社製「MT−3300EX」を用いてレーザー回折法により測定した。
<磁性を有する粒子の作製>
熱伝導性粒子として黒鉛粒子(伊藤黒鉛工業株式会社製「W+32」、熱伝導率200W/(m・K)、平均粒子径500〜700μm)100質量部、磁性体粒子としてステンレス鋼粒子(大同特殊鋼株式会社製「DAP410L」平均粒子径10μm)30質量部、バインダーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製「TC−5」)3質量部を、FMミキサ(日本コークス工業(株)製)に投入し、1分間混合した。次に、水を10質量部添加して、更に6分間混合して複合粒子の造粒を行った。その後、混合物を乾燥機に入れ、100℃で1時間乾燥した。磁性複合粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布装置(日機装社製「MT−3300EX」を用いてレーザー回折法により測定した。
<液状組成物の調製>
液状シリコーンゴム(Gelest社製、「DMS−V35」、ビニル基含有ジメチルポリシロキサン)100質量部、白金触媒0.05質量部、磁性複合粒子100質量部を配合後、プラネタリーミキサーにて30分混合し、次いで、架橋剤(Gelest社製、「HMS−151」、ヒドロシリル基含有ジメチルポリシロキサン)7質量部、遅延剤(1−エチニル−1−シクロヘキサノール)0.3質量部を配合後、さらに30分混合し、減圧脱泡して、液状組成物を調製した。
液状シリコーンゴム(Gelest社製、「DMS−V35」、ビニル基含有ジメチルポリシロキサン)100質量部、白金触媒0.05質量部、磁性複合粒子100質量部を配合後、プラネタリーミキサーにて30分混合し、次いで、架橋剤(Gelest社製、「HMS−151」、ヒドロシリル基含有ジメチルポリシロキサン)7質量部、遅延剤(1−エチニル−1−シクロヘキサノール)0.3質量部を配合後、さらに30分混合し、減圧脱泡して、液状組成物を調製した。
<電子写真機器用ロールの作製>
芯金(鉄製中実体)の外周に接着剤を塗布して乾燥させた後、接着剤を塗布した芯金をロール成形金型の型内にセットし、調製した液状組成物をその型内に注入した。次いで、図3に示すように磁場をかけた。次いで、130℃で10分間加熱することにより、液状組成物を硬化(架橋)させた。以上により、芯金(φ6mm)の外周に弾性体層(厚み5mm)を備える電子写真機器用ロールを作製した。
芯金(鉄製中実体)の外周に接着剤を塗布して乾燥させた後、接着剤を塗布した芯金をロール成形金型の型内にセットし、調製した液状組成物をその型内に注入した。次いで、図3に示すように磁場をかけた。次いで、130℃で10分間加熱することにより、液状組成物を硬化(架橋)させた。以上により、芯金(φ6mm)の外周に弾性体層(厚み5mm)を備える電子写真機器用ロールを作製した。
(実施例2)
熱伝導性粒子として、黒鉛粒子に代えてMgO粒子(宇部マテリアルズ株式会社製「RF−70C」、平均粒子径70〜100μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
熱伝導性粒子として、黒鉛粒子に代えてMgO粒子(宇部マテリアルズ株式会社製「RF−70C」、平均粒子径70〜100μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(実施例3)
シリコーンゴム組成物に代えてウレタン組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(液状組成物の調製)
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、Mn=2000)75質量部、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)25質量部、ジオクチルフタレート100質量部、1,4−ブタンジオール3質量部、トリメチロールプロパン(TMP)2質量部、磁性複合粒子100質量部を配合した。
シリコーンゴム組成物に代えてウレタン組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(液状組成物の調製)
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、Mn=2000)75質量部、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)25質量部、ジオクチルフタレート100質量部、1,4−ブタンジオール3質量部、トリメチロールプロパン(TMP)2質量部、磁性複合粒子100質量部を配合した。
(実施例4)
液状シリコーンゴムに代えて液状ブタジエンゴムを用い、フィラーとして炭酸カルシウムを配合した以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
液状シリコーンゴムに代えて液状ブタジエンゴムを用い、フィラーとして炭酸カルシウムを配合した以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(実施例5〜6)
磁性複合粒子の配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
磁性複合粒子の配合量を変えた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(比較例1)
磁性複合粒子を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
磁性複合粒子を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(比較例2)
磁場をかけないで液状組成物を硬化(架橋)させた以外は実施例6と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
磁場をかけないで液状組成物を硬化(架橋)させた以外は実施例6と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(比較例3)
磁性複合粒子の配合量を多くし、磁場をかけないで液状組成物を硬化(架橋)させた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
磁性複合粒子の配合量を多くし、磁場をかけないで液状組成物を硬化(架橋)させた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
(比較例4)
磁性複合粒子に代えて非磁性体粒子としてアルミナ粒子(日本軽金属製「V325F」、平均粒子径12μm)を用い、磁場をかけないで液状組成物を硬化(架橋)させた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
磁性複合粒子に代えて非磁性体粒子としてアルミナ粒子(日本軽金属製「V325F」、平均粒子径12μm)を用い、磁場をかけないで液状組成物を硬化(架橋)させた以外は実施例1と同様にして、磁性を有する粒子、液状組成物および電子写真機器用ロールを得た。
作製した電子写真機器用ロールを用い、弾性体層の熱伝導率を測定した。また、弾性体層の外周表面のアスカーC硬度を測定した。また、弾性体層の加温時間および冷却時間を求めた。表1に、これらの結果を示す。
(熱伝導率)
JIS A1412−2(1999)の熱流計法に準拠した、英弘精機(株)製「HC−110」を用いて、弾性体層の厚さ方向の熱伝導率を測定した。熱伝導率が1W/m・K以上であれば良好「○」、1W/m・K未満であれば不良「×」とした。
JIS A1412−2(1999)の熱流計法に準拠した、英弘精機(株)製「HC−110」を用いて、弾性体層の厚さ方向の熱伝導率を測定した。熱伝導率が1W/m・K以上であれば良好「○」、1W/m・K未満であれば不良「×」とした。
(アスカーC硬度)
JIS K7312に準拠し、スプリング式硬さ試験機(高分子計器社製、「ゴム・プラスチック硬度計・アスカーC型」)を用い、弾性体層の外周表面のアスカーC硬度を測定した。アスカーC硬度が50未満を良好「○」50以上を不良「×」とした。
JIS K7312に準拠し、スプリング式硬さ試験機(高分子計器社製、「ゴム・プラスチック硬度計・アスカーC型」)を用い、弾性体層の外周表面のアスカーC硬度を測定した。アスカーC硬度が50未満を良好「○」50以上を不良「×」とした。
(加温時間)
芯金を250℃に加熱し、弾性体層の表面温度が100℃に達するまでの時間により評価した。加温時間が加熱開始から5秒未満を良好「○」、5秒以上を不良「×」とした。表面温度はサーモグラフィーにて測定した。
芯金を250℃に加熱し、弾性体層の表面温度が100℃に達するまでの時間により評価した。加温時間が加熱開始から5秒未満を良好「○」、5秒以上を不良「×」とした。表面温度はサーモグラフィーにて測定した。
(冷却時間)
あらかじめ80℃に熱した熱源(紙)を弾性体層の表面に接触させ、熱源温度が50℃に至るまでの時間により評価した。開始から5秒未満を良好「○」、5秒以上を不良「×」とした。表面温度はサーモグラフィーにて測定した。
あらかじめ80℃に熱した熱源(紙)を弾性体層の表面に接触させ、熱源温度が50℃に至るまでの時間により評価した。開始から5秒未満を良好「○」、5秒以上を不良「×」とした。表面温度はサーモグラフィーにて測定した。
比較例1では、弾性体層に磁性を有する粒子を配合していないため、熱伝導性に劣っている。比較例2では、弾性体層に磁性を有する粒子を配合しているが、その配合量が少なく、配向もしていないため、熱伝導性に劣っている。比較例3では、弾性体層に磁性を有する粒子を多く配合しているため、配向していないが熱伝導性を満足している。しかし、磁性を有する粒子を多く配合しているため、弾力性に劣っている。比較例4では、弾性体層に非磁性体からなる粒子を多く配合しているため、配向していないが熱伝導性を満足している。しかし、非磁性体からなる粒子を多く配合しているため、弾力性に劣っている。
これに対し、実施例によれば、弾性体層に磁性を有する粒子を配合し、その磁性を有する粒子が弾性体層の厚さ方向に連なって配向しているため、熱伝導性に優れるとともに弾力性にも優れる。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能なものである。
例えば上記実施形態では、ロール成形金型を用いて弾性体層を成形することにより電子写真機器用ロールを製造することを示しているが、弾性体層の成形方法は上記実施形態に限られるものではない。例えばシート成形金型を用い、シート成形金型の厚さ方向に磁力線が発生するように磁場をかけながらシート成形金型内に注入された液状組成物を硬化させることにより、磁性を有する粒子がシートの厚さ方向に連なって配向させ、得られたシートを軸体の外周に巻き付けることにより弾性体層を形成し、これにより、電子写真機器用ロールを製造することもできる。この場合、弾性体層の厚さ方向にはシートの継ぎ目が形成される。一方、ロール成形金型を用いて弾性体層を成形する場合には、このような継ぎ目は形成されない。つまり、ロール成形金型により成形された弾性体層は、継ぎ目のない(シームレス)構造である。高耐久性(継ぎ目が起点となって割れることを防止する)等の観点からいえば、継ぎ目のない(シームレス)構造のほうが好ましい。
10 電子写真機器用ロール
12 軸体
14 弾性体層
16 磁性を有する粒子
12 軸体
14 弾性体層
16 磁性を有する粒子
Claims (7)
- 軸体と、前記軸体の外周に形成された弾性体層と、を備え、
前記弾性体層が、エラストマーと、該エラストマー中に配合された磁性を有する粒子と、を含有し、
前記弾性体層中において、複数の前記磁性を有する粒子が、前記弾性体層の厚さ方向に連なって配向していることを特徴とする電子写真機器用ロール。 - 前記磁性を有する粒子が、磁性体からなる粒子、または磁性体を一部に備える複合粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用ロール。
- 前記磁性を有する粒子が、非磁性体からなる熱伝導性粒子と、該熱伝導性粒子の表面に付着する磁性体と、を備える複合粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真機器用ロール。
- 前記エラストマーが、液状ポリマーの架橋体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真機器用ロール。
- 前記エラストマーが、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴムのうちの少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真機器用ロール。
- 前記弾性体層の厚さ方向における熱伝導率が0.5W/m・K以上であり、前記弾性体層の外周表面のアスカーC硬度が70未満であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真機器用ロール。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の電子写真機器用ロールの製造方法であって、
ロール成形金型の金型内に軸体を設置する工程と、
前記軸体を設置した金型内に、液状ポリマーまたは熱可塑性エラストマーと磁性を有する粒子とを含有する液状組成物を注入する工程と、
前記金型内に設置された軸体の周面から前記金型の周面に向かう方向に、あるいはその反対方向に、磁力線が発生するように磁場をかけながら前記金型内に注入された前記液状組成物を硬化させる工程と、を有することを特徴とする電子写真機器用ロールの製造方法。
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- 2014-11-28 JP JP2014240774A patent/JP2016102881A/ja active Pending
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