JP6359932B2 - 防音部材 - Google Patents

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本発明は、発熱を伴う騒音源の周囲に配置するのに好適な防音部材に関する。
エンジンルーム内には、エンジン、モータ、EGR(Exhaust Gas Recirculatuion)バルブなど、騒音源となる部品が収容されている。これらの部品の騒音を低減するためには、部品の周囲に防音部材を配置することが効果的である。防音部材の材質としては、ポリウレタンフォームなどの発泡体が多く使用されている。しかしながら、発泡体は、内部に多数のセル(気泡)を有するため熱伝導率が小さい。このため、発熱を伴うエンジン、モータなどの周囲に発泡体製の防音部材を配置した場合、防音部材に熱が蓄積され不具合を生じるおそれがある。したがって、発泡体製の防音部材においては、その放熱性の向上が課題になる。
例えば、特許文献1には、モータの周囲を覆う箱状の吸音カバーが開示されている。吸音カバーは、磁性フィラーを含有する発泡体からなる。磁性フィラーは吸音カバーの厚さ方向に線状に連なって配向している。
特開2009−235979号公報 特開2009−73159号公報 特開2011−225833号公報 特開2007−95829号公報 特開2010−251377号公報
特許文献1に記載の吸音カバーにおいては、連接した磁性フィラーにより熱の伝達経路が形成される。これにより、モータの熱は吸音カバーに蓄積されずに放出されやすくなる。しかしながら、厚さ方向に均一に磁性フィラーが配向しているため、吸音カバーの厚さ方向のばね定数が大きくなる。このため、騒音源からの振動が吸音カバーに伝播し、二次騒音が発生するおそれがある。例えば、モータの周囲を覆うように吸音カバーを配置すると、コギングトルクによる振動が吸音カバーに伝播して、特定の周波数領域における騒音が大きくなるおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、振動抑制効果が高く、かつ放熱性に優れる防音部材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の防音部材は、磁性フィラーを含有する発泡体からなり、全体の厚さを100%として、騒音源である相手部材側に配置される内側表面から厚さ方向に25%の領域を最内層とし、該内側表面と反対側の外側表面から厚さ方向に25%の領域を最外層とした場合に、該最内層を含む低弾性層と、該低弾性層から厚さ方向に連続し該最外層を含む高弾性層と、を有し、該磁性フィラーの充填率は該最外層において最も高く、該高弾性層は、該磁性フィラーの充填率が該最外層から該低弾性層に向かって低くなる充填率の勾配を有し、該低弾性層の厚さ方向における該磁性フィラーの充填率の勾配は、該高弾性層の該充填率の勾配よりも小さいことを特徴とする。
本発明の防音部材は、厚さ方向に積層するように配置され磁性フィラーの充填状態が異なる二層を有する。一つは、騒音源である相手部材側に配置される低弾性層であり、もう一つは、相手部材とは反対側に配置される高弾性層である。図1に、本発明の防音部材の一部の厚さ方向断面を拡大した模式図を示す。図1中、外内方向は厚さ方向に対応する。なお、図1は、本発明の防音部材を説明するための模式図である。したがって、図1は、例えば二層の厚さ、磁性フィラーの形状および充填状態など、本発明を何等限定するものではない。
図1に示すように、防音部材8は、磁性フィラー81を含有する発泡体80から形成されている。防音部材8は、低弾性層82と高弾性層83とを有している。低弾性層82は、相手部材9の表面に配置されている。防音部材8の全体の厚さを100%とした場合、低弾性層82は、相手部材9と接する内側表面820から厚さ方向に25%の領域の最内層821を含んでいる。高弾性層83は、低弾性層82の外側に配置されている。高弾性層83は、低弾性層82から厚さ方向に連続している。防音部材8の全体の厚さを100%とした場合、高弾性層83は、外側表面830から厚さ方向に25%の領域の最外層831を含んでいる。
防音部材8における磁性フィラー81の充填率(体積割合)は、最外層831において最も高い。磁性フィラー81の充填率は、最外層831から低弾性層82に向かって低くなっている。すなわち、高弾性層83は、最外層831から低弾性層82に向かって低くなる充填率の勾配を有している。これに対して、低弾性層82の厚さ方向における磁性フィラー81の充填率の勾配は、高弾性層83における充填率の勾配よりも小さい。すなわち、低弾性層82においては、磁性フィラーの充填率が低く、厚さ方向における磁性フィラー81の充填率の差が小さい。
上述したように、発泡体製の防音部材の放熱性を向上させるためには、熱伝導性に優れたフィラーを含有させて、フィラーの配向により防音部材中に熱の伝達経路を形成することが効果的である。しかしながら、従来のように、フィラーを厚さ方向に均一に配置すると、厚さ方向のばね定数が大きくなってしまう。この点、本発明の防音部材によると、厚さ方向において二層に区分けして、磁性フィラーの充填状態を変化させた。すなわち、相手部材側に配置される低弾性層においては、磁性フィラーの充填率を低くして、厚さ方向における充填率の勾配を小さくした。これにより、低弾性層の厚さ方向のばね定数が小さくなり、低弾性層を柔らかくすることができる。一方、高弾性層においては、磁性フィラーの充填率が最外層で最も高くなるように、磁性フィラーを厚さ方向に傾斜配置した。これにより、高弾性層を重くすると共に、厚さ方向に熱の伝達経路を形成した。このように、厚さ方向に二層を配置することにより、放熱性を確保しつつ、マスばね効果により共振周波数を小さくして振動抑制効果を高めることができる。
なお、上記特許文献2の段落[0082]、図29などには、厚さ方向の一端面側だけに磁性フィラーを配向させた発泡成形体が記載されている。特許文献2に記載の発泡成形体においては、磁性フィラーが厚さ方向の一端面側に偏在しており、それ以外の部分には配置されていない。このため、磁性フィラーが無い領域に熱が蓄積されやすく所望の放熱性を実現することができない。また、上記特許文献4、5には、マトリクス樹脂中に磁性フィラーを厚さ方向に濃度勾配が生じるように分散させた電磁波吸収シートが記載されている。特許文献4に記載の電磁波吸収シートにおいては、半導体素子に接触する面側の磁性フィラーの充填率を低くして、接着性を向上させている。特許文献5に記載の電磁波吸収シートにおいては、半導体素子と接触する面側の磁性フィラーの充填率を高くして、電磁波吸収性を向上させている。しかしながら、これらの電磁波吸収シートは、騒音、振動を発生する相手部材に対して用いられるものではない。特許文献4、5に記載の電磁波吸収シートにおいては、単に、厚さ方向の一面から他面側に向かって磁性フィラーの充填率が徐々に変化しているに過ぎず、磁性フィラーの充填率の勾配が異なる二層は形成されていない。
本発明の防音部材の一部の厚さ方向断面を拡大した模式図である。 配向分散度Sの定義式における角度θの説明図である。 本発明の防音部材の一実施形態であるモータカバーの斜視図である。 同モータカバーの上下方向断面図である。 図4の円V内の拡大図である。 発泡成形工程において使用した磁気誘導発泡成形装置の斜視図である。 同磁気誘導発泡成形装置の断面図である。 実施例1〜4のサンプルを製造するために使用した成形型の厚さ方向断面図である。 同成形型を設置した状態の磁気誘導発泡成形装置の断面図である。 X線CT測定により得られた実施例1のサンプルの三次元画像である。 X線CT測定により得られた実施例2のサンプルの三次元画像である。 X線CT測定により得られた実施例3のサンプルの三次元画像である。 測定領域ごとの複合粒子の充填率を示すグラフである。 測定領域ごとの複合粒子の配向分散度Sを示すグラフである。 放熱性を評価するための実験装置の概略図である。 温度差の測定結果を示すグラフである。 振動抑制能を評価するための実験装置の概略図である。 振動伝達率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の防音部材の実施の形態について説明する。なお、本発明の防音部材は、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
<防音部材の構成>
本発明の防音部材は、磁性フィラーを含有する発泡体からなる。発泡体としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどを採用すればよい。
磁性フィラーとしては、いわゆる磁性材料からなる粒子(磁性粒子)を用いればよい。磁性材料としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ステンレス鋼、マグネタイト、マグヘマイト、マンガン亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどの強磁性体、MnO、Cr、FeCl、MnAsなどの反強磁性体、およびこれらを用いた合金類が好適である。なかでも、微細な粒子として入手しやすく、飽和磁化が高いという観点から、鉄、ニッケル、コバルト、およびこれらの鉄系合金(ステンレス鋼を含む)が好適である。
また、熱伝導率が大きい熱伝導性粒子の表面に磁性粒子が付着した複合粒子を用いてもよい。熱伝導性粒子としては、少なくとも一方向の熱伝導率が200W/m・K以上のものを用いることが望ましい。熱伝導性粒子は、非磁性体の粒子でよい。本明細書では、強磁性体および反強磁性体以外の、反磁性体および常磁性体を、非磁性体と称す。熱伝導性粒子の材質としては、例えば、炭素材料、窒化ホウ素などが好適である。なかでも、熱伝導率が方向により異なる熱伝導異方性粒子が好適である。熱伝導異方性粒子としては、鱗片状黒鉛粒子、炭素繊維、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。例えば、黒鉛は六方晶の層状構造を有する。このため、層に平行な結晶面方向における熱伝導率は大きいが、結晶面に垂直な積層方向における熱伝導率は小さい。したがって、熱伝導異方性粒子を、熱伝導率が大きい方向に連なるように配向させることにより、防音部材の熱伝導性をより向上させることができる。
熱伝導異方性粒子の形状は、薄片状または繊維状であればよい。例えば、黒鉛としては、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛や、人造黒鉛などが挙げられる。人造黒鉛は、鱗片状になりにくい。このため、鱗片状であり、熱伝導性の向上効果が高いという理由から、天然黒鉛が好適である。また、黒鉛として、鱗片状の黒鉛の層間に、加熱によりガスを発生する物質が挿入された膨張黒鉛を用いてもよい。膨張黒鉛は、難燃剤として用いられることが多い。膨張黒鉛に熱が加わると、発生したガスにより、層間が広がると共に、熱や化学品に対して安定した層が形成される。形成された層が断熱層となり、熱の移動を妨げることにより、難燃効果がもたらされる。よって、熱伝導異方性粒子としては、天然黒鉛粒子および膨張黒鉛粒子の少なくとも一方を用いるとよい。
熱伝導異方性粒子として膨張黒鉛を用いる場合、公知の膨張黒鉛粉末の中から、膨張開始温度や膨張率などを考慮して、好適なものを選択すればよい。例えば、膨張黒鉛の膨張開始温度は、防音部材の製造時の温度よりも、高くなければならない。具体的には、膨張開始温度が150℃以上の膨張黒鉛が好適である。
複合粒子において、磁性粒子は、熱伝導性粒子の表面に直接接着されていてもよく、後述するように、熱伝導性粒子の表面に磁性粒子以外の粒子も接着されている場合には、当該粒子を介して間接的に接着されていてもよい。また、磁性粒子は、熱伝導性粒子の表面の一部のみに接着していてもよく、表面全体を被覆するように接着していてもよい。磁性粒子の大きさは、熱伝導性粒子の大きさ、複合粒子の配向性、および複合粒子間の熱伝導性などを考慮して、適宜決定すればよい。例えば、磁性粒子の粒子径は、熱伝導性粒子の粒子径の1/25以上1/2以下であることが望ましい。ここで、粒子径は、粒子の最長部分の長さである。磁性粒子の大きさが小さくなると、磁性粒子の飽和磁化が低下する傾向がある。したがって、より少量の磁性粒子により、複合粒子を配向させるためには、複合化する磁性粒子の粉末の平均粒径を、100nm以上とする必要がある。1μm以上、さらには5μm以上とするとより好適である。
磁性粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば、複合粒子において、磁性粒子の形状が扁平の場合には、球状の場合と比較して、隣接する熱伝導性粒子間の距離が短くなる。これにより、隣接する複合粒子間における熱伝導性が向上する。その結果、防音部材の熱伝導性が向上する。また、磁性粒子の形状が扁平の場合には、磁性粒子と熱伝導性粒子とが面で接触する。つまり、両者の接触面積が大きくなる。これにより、磁性粒子と熱伝導性粒子との接着力が向上する。よって、磁性粒子が剥離しにくくなる。加えて、磁性粒子と熱伝導性粒子との間の熱伝導性も向上する。このような理由から、磁性粒子としては、薄片状の粒子を採用することが望ましい。
防音部材に電気絶縁性を付与したい場合には、熱伝導性粒子の表面に磁性粒子に加えて絶縁性無機粒子を付着させた複合粒子を用いるとよい。熱伝導性粒子の表面に、絶縁性無機粒子を付着させると、複合粒子同士が接触した状態で配向しても、隣接する複合粒子間において、熱伝導性粒子や磁性粒子(導電性粒子)同士が接触しにくくなる。よって、複合粒子間の電気抵抗が大きくなる。また、絶縁性無機粒子を介して複合粒子同士が接触することにより、複合粒子間の導通を断つことができる。
絶縁性無機粒子は、絶縁性を有する無機材料の粒子であればよい。なかでも、複合粒子間の熱伝導性を阻害しないという観点から、熱伝導率が比較的大きいものが望ましい。例えば、絶縁性無機粒子の熱伝導率が、5W/m・K以上であると好適である。熱伝導率が、5W/m・K以上の絶縁性無機材料としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルクなどが挙げられる。また、絶縁性無機粒子が難燃性を有する場合には、防音部材に難燃性を付与することができる。例えば、水酸化アルミニウムは、熱伝導率が比較的大きく難燃性を有するため、好適である。水酸化アルミニウムは、所定の温度に加熱されると、脱水分解する。脱水分解は吸熱反応であるため、温度上昇が抑制され、難燃効果がもたらされる。
絶縁性無機粒子は、熱伝導性粒子の表面に直接接着されていてもよく、磁性粒子を介して間接的に接着されていてもよい。また、絶縁性無機粒子は、熱伝導性粒子の表面の一部のみに接着していてもよく、表面全体を被覆するように接着していてもよい。複合粒子間の電気抵抗を大きくして、防音部材の電気絶縁性を高めるという観点から、絶縁性無機粒子は、複合粒子の最表層に配置されていることが望ましい。
絶縁性無機粒子の大きさは、熱伝導性粒子および磁性粒子に対する接着性、複合粒子間の電気絶縁性および熱伝導性を考慮して、適宜決定すればよい。絶縁性無機粒子が大きすぎると、接着性や複合粒子間の熱伝導性が低下する。例えば、絶縁性無機粒子の粒子径は、熱伝導性粒子の粒子径の1/100以上1/10以下であることが望ましい。ここで、粒子径は、粒子の最長部分の長さである。
絶縁性無機粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば、絶縁性無機粒子の形状が扁平の場合には、球状の場合と比較して、隣接する熱伝導性粒子間の距離が短くなる。これにより、隣接する複合粒子間における熱伝導性が向上する。その結果、エラストマー成形体の熱伝導性が向上する。また、絶縁性無機粒子と磁性粒子および熱伝導性粒子との接触面積が、大きくなる。これにより、接着力が向上し、絶縁性無機粒子が剥離しにくくなる。加えて、絶縁性無機粒子と磁性粒子および熱伝導性粒子との間の熱伝導性も、向上する。このような理由から、絶縁性無機粒子としては、薄片状の粒子を採用することが望ましい。
本発明の防音部材は、厚さ方向に重なる低弾性層と高弾性層とを有する。本発明の防音部材の全体の厚さを100%とした場合に、高弾性層は、相手部材に対して反対側に配置される外側表面から厚さ方向に25%の領域の最外層を含む。本発明の防音部材における磁性フィラーの充填率(体積割合)は、最外層において最も高い。例えば、最外層における磁性フィラーの充填率は、最外層の体積を100体積%とした時の35体積%以上であることが望ましい。40体積%以上であるとより好適である。高弾性層において、磁性フィラーの充填率は、最外層から低弾性層に向かって低くなる。すなわち、高弾性層は、磁性フィラーの充填率が最外層において最も高く低弾性層に近づくほど低くなる充填率の勾配を有する。
一方、低弾性層は、本発明の防音部材の全体の厚さを100%とした場合に、相手部材側に配置される内側表面から厚さ方向に25%の領域の最内層を含む。最内層における磁性フィラーの充填率は、最内層の体積を100体積%とした時の20体積%以下であることが望ましい。15体積%以下であるとより好適である。最内層における磁性フィラーの充填率と最外層における磁性フィラーの充填率との比は、1:2.5〜5.0であることが望ましい。低弾性層の厚さ方向における磁性フィラーの充填率の勾配は、高弾性層の厚さ方向における磁性フィラーの充填率の勾配よりも小さい。
低弾性層と高弾性層との区分けは、防音部材を厚さ方向に適当な領域に分割し、各領域ごとに磁性フィラーの充填率を測定して、厚さ方向における充填率の勾配の大小で行えばよい。例えば、単位厚さあたりの磁性フィラーの充填率の勾配が3.0体積%/mm以上の領域を高弾性層にするとよい。低弾性層と高弾性層との厚さの比は、特に限定されない。例えば、1:1であることが望ましい。
防音部材の放熱性を向上させるためには、磁性フィラーを厚さ方向に配向させて熱の伝達経路を形成するとよい。しかしながら、防音部材の全体において磁性フィラーの配向性を高くすると、相手部材側に配置される低弾性層のばね定数が大きくなってしまう。このため、相手部材とは反対側に配置され、磁性フィラーの充填率が高い最外層において、磁性フィラーの配向性を高めることが望ましい。磁性フィラーの配向性は、次式(1)により定義される配向分散度Sの値により判断することができる。例えば、最外層における磁性フィラーの配向分散度Sは、−0.3〜−0.5(−0.3、−0.5を含む)であることが望ましい。
S=<3cosθ−1>/2・・・(1)
[θは、防音部材の厚さ方向に対する磁性フィラーの面垂直方向の法線の角度である。<>は、空間平均値を表す。]
図2に、配向分散度Sの定義式における角度θの説明図を示す。図2には、防音部材における配向分散度Sの測定領域(例えば最外層)の一部を示す。図2中、測定領域の厚さ方向は熱伝導方向に対応する。図2に示すように、防音部材8は、発泡体80と磁性フィラー81とを有している。磁性フィラー81は、防音部材8の厚さ方向に線状に連なって配向している。磁性フィラー81の長手方向(配向方向)は、磁性フィラー81の熱伝導率が大きい方向である。ここで、配向分散度Sの定義式における角度θは、磁性フィラー81の表面に直交する法線810と、防音部材8の厚さ方向(図2中、一点鎖線で示す)と、がなす角度θになる。例えば、防音部材8の厚さ方向と、磁性フィラー81の配向方向と、が一致すると、厚さ方向に対する磁性フィラー81の法線810の角度θは90°になる。この場合、磁性フィラー81の配向分散度Sは、完全配向状態としての−0.5になる。したがって、磁性フィラー81の配向方向が防音部材8の厚さ方向に近づくほど、角度θは90°に近くなり、磁性フィラー81の配向分散度Sは−0.5に近い値になる。一方、磁性フィラー81がランダムに分散して配向性が低くなると、S=0に近づく。
本発明の防音部材において、最外層における磁性フィラーの配向分散度Sが−0.3〜−0.5である場合には、磁性フィラーの配向方向が防音部材の厚さ方向に近くなり、放熱性が向上する。
ここで、磁性フィラーの配向分散度Sの算出方法について説明する。まず、防音部材をX線CT(Computerized Tomography)装置を用いて撮影し、得られた断層像データに再構成演算を施して、防音部材の内部を含めた三次元画像を作製する。次に、文献A[西川幸宏、「X線CTを用いた繊維高分子複合材料の繊維配向の解析」、フィルム成形・加工とトラブル対策 −プロセス改善・条件設定 便覧−、(株)技術情報協会、2012年発行、p.192−197]に記載された配向解析法を本発明の磁性フィラー用に修正したソフトウエア(株式会社TRIテクノ所有「平板状粒子の配向解析ソフトウエア」)を用いて、配向分散度Sを算出する。具体的には、防音部材における測定領域の三次元画像を賽の目状に分割し、分割された領域ごとにフーリエ変換を行い、フーリエ変換強度像のテンソル(三次の対称行列)を求める。求めたテンソルを対角化し、最も大きな固有値に対応する固有ベクトルを、分割領域における磁性フィラーの法線とする。このようにして、分割領域ごとに磁性フィラーの面垂直方向の法線を算出する。そして、防音部材の厚さ方向に対する磁性フィラーの法線の角度θを用いて、上述した式(1)により、磁性フィラーの配向分散度Sを算出する。最後に、分割領域ごとに算出された配向分散度Sの算術平均を計算して、得られた平均値を測定領域における磁性フィラーの配向分散度Sとする。
本発明の防音部材は、熱伝導性の向上、絶縁性の付与、難燃性の向上などの目的に応じて、磁性フィラーに加えて、他のフィラーを含有してもよい。他のフィラーとしては、上述した熱伝導性粒子、絶縁性無機粒子などを単独で用いることができる。また、本発明の防音部材は、相手部材に直接接触させても、接着剤層などを介して間接的に接触させてもよい。
<防音部材の製造方法>
本発明の防音部材は、一体的に発泡成形されている。換言すると、予め別々に製造した低弾性層と高弾性層とが積層されているのではない。したがって、二層を積層させる手間がかからずコスト削減に繋がる。また、層間剥離のおそれが無く、耐久性に優れる。さらに、磁性フィラーの充填率、その勾配、配向分散度などの調整が容易である。以下、本発明の防音部材を製造するのに好適な方法として、二種類の製造方法を説明する。
[第一製造方法]
第一製造方法は、発泡成形を一段階で行う方法である。第一製造方法は、発泡体原料と磁性フィラーとを含む混合原料を調製する混合原料調製工程と、該混合原料を成形型のキャビティに注入し、該キャビティの厚さ方向において磁束密度の大きさが異なる磁場を作用させながら発泡成形を行う発泡成形工程と、を有する。発泡成形工程において、キャビティの厚さ方向で磁束密度の大きさが異なる磁場を作用させることにより、磁性フィラーの配向状態を変化させる。こうすることにより、厚さ方向に磁性フィラーの充填率およびその勾配が異なる二層を有する本発明の防音部材を成形することができる。
[第二製造方法]
第二製造方法は、発泡成形を二段階で行う方法である。第二製造方法は、発泡体原料と磁性フィラーとを含む混合原料を調製する混合原料調製工程と、該混合原料を成形型のキャビティに注入し、該キャビティの厚さ方向一面側に第一磁石を配置して一段目の発泡成形を行う一段目発泡成形工程と、該第一磁石を配置したまま、あるいは該第一磁石を取り除いて、該キャビティの厚さ方向に磁場を作用させながら二段目の発泡成形を行う二段目発泡成形工程と、を有する。一段目発泡成形工程において、一旦、第一磁石の方向に磁性フィラーを引きつけながら発泡成形を行い、続いて二段目発泡成形工程において、キャビティの厚さ方向に磁性フィラーを配向させながら発泡成形を行うことにより、厚さ方向に磁性フィラーの充填率およびその勾配が異なる二層を有する本発明の防音部材を成形することができる。一段目発泡成形工程において、第一磁石は、キャビティの内側に配置しても、外側に配置してもよい。また、二段目発泡成形工程は、第一磁石を取り除いて行っても、第一磁石を残したまま行ってもよい。二段目発泡成形工程において作用させる磁場は、厚さ方向で磁束密度の大きさが同じでも異なってもよい。
<防音部材の使用形態>
以下、本発明の防音部材をモータカバーとして具現化した実施形態を説明する。まず、本実施形態のモータカバーの構成について説明する。図3に、本実施形態のモータカバーの斜視図を示す。図4に、同モータカバーの上下方向断面図を示す。図5に、図4の円V内の拡大図を示す。
図3、図4に示すように、モータカバー1は、一端面(前面)が開口し他端面(後面)が閉口している有底円筒状を呈している。モータカバー1の内側には、円柱状のモータ90が収容されている。モータカバー1は、モータ90の側周面および底面(後面)に接触している。モータカバー1の厚さは6mmである。
モータカバー1は、複合粒子を含有するポリウレタンフォーム製である。複合粒子は、鱗片状の天然黒鉛粒子(熱伝導異方性粒子)と、その表面にバインダーにより接着された薄片状のステンレス鋼粒子(磁性粒子)と、からなる。複合粒子を含有するポリウレタンフォームは、本発明の「磁性フィラーを含有する発泡体」の概念に含まれる。
モータカバー1は、図5に拡大して示すように、低弾性層10と高弾性層11とを有している。低弾性層10は、モータ90の表面に接触している。モータカバー1の厚さを100%とした場合、低弾性層10は、モータ90と接する内側表面100から厚さ方向に25%の領域の最内層101を含んでいる。最内層101の厚さは1.5mmである。高弾性層11は、低弾性層10の外側に配置されている。高弾性層11は、低弾性層10から厚さ方向に連続している。モータカバー1の厚さを100%とした場合、高弾性層11は、外側表面110から厚さ方向に25%の領域の最外層111を含んでいる。最外層111の厚さは1.5mmである。低弾性層10と高弾性層11との厚さの比は、1:1である。すなわち、低弾性層10および高弾性層11の厚さはいずれも3mmである。
最外層111の体積を100体積%とした場合、最外層111における複合粒子の充填率は46.8体積%である。モータカバー1における複合粒子の充填率は、最外層111において最も高い。複合粒子の充填率は、最外層111から低弾性層10に向かって低くなっている。最外層111と低弾性層10との間には、第一中間層112が介在している。第一中間層112における複合粒子の充填率は25.5体積%である。最外層111の複合粒子の充填率と第一中間層112の複合粒子の充填率とから算出した高弾性層11における複合粒子の充填率の勾配は、7.1体積%/mmである。また、最外層111における複合粒子の上記式(1)により定義される配向分散度Sは、−0.38である。
最内層101の体積を100体積%とした場合、最内層101における複合粒子の充填率は14.0体積%である。最内層101の複合粒子の充填率と最外層111の複合粒子の充填率との比は、1:3.3である。最内層101と高弾性層11との間には、第二中間層102が介在している。第二中間層102における複合粒子の充填率も13.7体積%である。最内層101の複合粒子の充填率と第二中間層102の複合粒子の充填率とから低弾性層10における複合粒子の充填率の勾配を算出すると、該勾配は0.1体積%/mmになる。すなわち、低弾性層10の厚さ方向において、複合粒子の充填率はほぼ一定である。
モータカバー1は、有底円筒状に一体的に成形されている。次に、本実施形態のモータカバーの製造方法について説明する。本実施形態においては、上述した第一製造方法によりモータカバー1を製造する。モータカバー1の製造方法は、複合粒子製造工程と、混合原料調製工程と、発泡成形工程と、を有している。複合粒子製造工程においては、撹拌造粒機を用いて、鱗片状黒鉛粉末、ステンレス鋼粉末、およびバインダーを含む粉末原料を撹拌して複合粒子の粉末を製造する。混合原料調製工程においては、発泡ウレタン樹脂原料、複合粒子の粉末、発泡剤、触媒などを混合した混合原料を調製する。発泡成形工程においては、調製した混合原料を成形型のキャビティに注入し、キャビティの厚さ方向において磁束密度の大きさが異なる磁場を作用させながら発泡成形を行う。図6に、発泡成形工程において使用した磁気誘導発泡成形装置の斜視図を示す。図7に、同磁気誘導発泡成形装置の断面図を示す。なお、図7においては、説明の便宜上、ヨーク部および芯部のハッチングを省略して示す。
図6、図7に示すように、磁気誘導発泡成形装置5は、架台50と、電磁石部52と、成形型6と、を備えている。
電磁石部52は、架台50の上面に載置されている。電磁石部52と架台50とは、各々にブラケット51をねじ止めすることにより、固定されている。電磁石部52は、ヨーク部53U、53Dと、コイル部54L、54Rと、ポールピース55U、55Dと、を備えている。
ヨーク部53Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部53Dも同様に、鉄製であり、平板状を呈している。ヨーク部53U、53Dは、上下方向に対向して配置されている。
コイル部54Lは、ヨーク部53U、53Dの間に介装されている。コイル部54Lは、成形型6の左側に配置されている。コイル部54Lは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部54Lは、各々、芯部540Lと導線541Lとを備えている。芯部540Lは、鉄製であり、上下方向に延びる柱状を呈している。導線541Lは、芯部540Lの外周面に巻装されている。導線541Lは、電源(図略)に接続されている。
コイル部54Rは、ヨーク部53U、53Dの間に介装されている。コイル部54Rは、成形型6の右側に配置されている。コイル部54Rは、上下方向に二つ重ねて配置されている。コイル部54Rは、各々、コイル部54Lと同様の構成を備えている。すなわち、コイル部54Rは、芯部540Rと導線541Rとを備えている。導線541Rは、芯部540Rの外周面に巻装されている。導線541Rは、電源(図略)に接続されている。
ポールピース55Uは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース55Uは、ヨーク部53Uの下面中央に配置されている。ポールピース55Uは、ヨーク部53Uと成形型6との間に介装されている。ポールピース55Dは、鉄製であり、平板状を呈している。ポールピース55Dは、ヨーク部53Dの上面中央に配置されている。ポールピース55Dは、ヨーク部53Dと成形型6との間に介装されている。
成形型6は、コイル部54Lとコイル部54Rとの間に、配置されている。成形型6は、上型60Uと下型60Dとを備えている。上型60Uは、アルミニウム製であり、正方形板状を呈している。上型60Uは、芯棒磁石部61Uを有している。芯棒磁石部61Uは、ポールピース55Uと同じ鉄製であり、円柱状を呈している。芯棒磁石部61Uは、上型60Uの中央に配置されている。芯棒磁石部61Uの上部は、上型60Uに埋設されている。芯棒磁石部61Uの上面は、上型60Uの上面に表出している。芯棒磁石部61Uの下部は、下型60D方向に突出している。
下型60Dは、アルミニウム製であり、直方体状を呈している。下型60Dは、第一凹部61Dと第二凹部62Dと箱状磁石部63Dとを有している。第一凹部61Dは、下型60Dの上面に形成されている。第一凹部61Dは、モータカバー1の形状と同じ有底円筒状を呈している。第二凹部62Dも、下型60Dの上面に形成されている。第二凹部62Dは、第一凹部61Dの内側に第一凹部61Dと離間して配置されている。第二凹部62Dの内部空間は、芯棒磁石部61Uと型対称な円柱状を呈している。箱状磁石部63Dは、下型60Dに埋設されている。箱状磁石部63Dは、第一凹部61Dと離間して、第一凹部61Dの周囲を囲むように配置されている。箱状磁石部63Dは、ポールピース55Dと同じ鉄製であり、箱状を呈している。箱状磁石部63Dの下面は、下型60Dの下面に表出している。
上型60Uと下型60Dとの型締め状態においては、芯棒磁石部61Uは、第二凹部62Dに収容されている。下型60Dの第一凹部61Dと上型60Uの下面とにより、キャビティ64が形成されている。キャビティ64には、調製された混合原料が充填されている。第一凹部61Dの外周面から箱状磁石部63Dまでの長さは、第一凹部61Dの内周面から芯棒磁石部61Uまでの長さよりも小さい。すなわち、芯棒磁石部61Uよりも箱状磁石部63Dの方が、第一凹部61D(キャビティ64)の近くに配置されている。
導線541Lに接続された電源と、導線541Rに接続された電源と、を共にオンにすると、コイル部54Lの芯部540Lの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部540Lに、下方から上方に向かって磁力線L(図7に点線で示す)が発生する。同様に、コイル部54Rの芯部540Rの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部540Rに、下方から上方に向かって磁力線Lが発生する。
コイル部54Lの芯部540L上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部53U、ポールピース55Uを通って、成形型6内に流入する。その後、ポールピース55D、ヨーク部53Dを通って、芯部540L下端に流入する。同様に、コイル部54Rの芯部540R上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部53U、ポールピース55Uを通って、成形型6内に流入する。その後、ポールピース55D、ヨーク部53Dを通って、芯部540R下端に流入する。ポールピース55Uと芯棒磁石部61Uとは、同じ鉄製である。よって、芯棒磁石部61Uは、ポールピース55Uと共にN極に磁化される。また、ポールピース55Dと箱状磁石部63Dとは、同じ鉄製である。よって、箱状磁石部63Dは、ポールピース55Dと共にS極に磁化される。これにより、芯棒磁石部61Uから箱状磁石部63Dに向かって磁力線Lが発生する。
キャビティ64は、芯棒磁石部61Uと箱状磁石部63Dとの間に介在している。したがって、キャビティ64内には、芯棒磁石部61Uから箱状磁石部63Dに向かう磁力線Lが発生している。混合原料中の複合粒子は、磁力線Lに沿って配向する。ここで、キャビティ64は、芯棒磁石部61Uよりも箱状磁石部63Dの近くに配置されている。このため、キャビティ64の厚さ方向における磁束密度は、箱状磁石部63Dに近い外側ほど大きい。例えば、キャビティ64の厚さ方向における磁束密度の勾配を、50〜220mT/厚さ6mm程度にすることが望ましい。磁場は、発泡成形を行う間中ずっと作用させる必要はなく、混合原料の粘度が小さいうちに作用させることが望ましい。発泡成形が終了したら脱型して、モータカバー1を得る。
次に、本実施形態のモータカバーの作用効果について説明する。モータカバー1によると、モータ90側に配置される低弾性層10においては、複合粒子の充填率を低くすると共に、厚さ方向における複合粒子の充填率をほぼ一定にした。これにより、低弾性層10の厚さ方向のばね定数が小さくなり、低弾性層10が柔らかくなる。一方、高弾性層11においては、最外層111の複合粒子の充填率を最も高くして、低弾性層10に向かって充填率が低下するように複合粒子を傾斜配置した。加えて、最外層111における複合粒子の配向分散度Sを−0.38にした。これにより、高弾性層11が重くなると共に、複合粒子の配向により厚さ方向に熱の伝達経路を形成することができる。このように、低弾性層10と高弾性層11とを有するモータカバー1は、放熱性に優れ、マスばね効果により振動抑制効果も高い。したがって、モータ90のコギングトルクによる振動が伝播しにくく、例えば周波数1000〜4000Hz程度の騒音を効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態のモータカバーを製造する際には、キャビティ64とそれを挟んで配置される二つの磁石部61U、63Dとの距離を変えることにより、キャビティ64の厚さ方向における磁束密度を変化させた。しかし、キャビティ64内の磁束密度を変化させる方法は、この形態に限定されない。例えば、キャビティ64の外側に、箱状磁石部63Dに加えてさらに磁石を配置してもよい。すなわち、第一凹部61Dの周囲を囲むように、第一凹部61Dと箱状磁石部63Dとの間にさらに磁石を配置してもよい。追加する磁石としては、表面磁束密度が50〜220mT程度の永久磁石等が好適である。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<サンプルの製造>
[実施例1〜4]
上述した第二製造方法により、防音部材のシート状サンプルを製造した。まず、磁性フィラーとして、熱伝導性粒子の表面に磁性粒子が付着した複合粒子を製造した。熱伝導性粒子としては、膨張黒鉛粉末(三洋貿易(株)から購入した「SYZR502FP」)および天然黒鉛粉末(日本黒鉛工業(株)製「F♯2」)を用い、磁性粒子としては、ステンレス鋼粉末(大同特殊鋼(株)製「DAP410L」、SUS410、球状、平均粒子径10μm)を用いた。まず、膨張黒鉛粉末50質量部と、天然黒鉛粉末50質量部と、ステンレス鋼粉末175質量部と、バインダーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)製「TC−5」)5.5質量部と、を高速攪拌型混合造粒機((株)奈良機械製作所製「NMG−1L」)の容器内へ投入して、約3分間混合した。次に、水を添加して、さらに20分間混合した。得られた粉末を乾燥して、複合粒子の粉末を得た。複合粒子の粉末うち、膨張黒鉛粒子を熱伝導性粒子とする粒子は50質量%、天然黒鉛粒子を熱伝導性粒子とする粒子は50質量%である。
次に、発泡体原料として、ポリオール原料およびポリイソシアネート原料を準備した。ポリオール成分のポリエーテルポリオール(平均分子量6000、官能基数3、OH価28mgKOH/g)100質量部と、架橋剤のジエチレングリコール1質量部と、発泡剤の水1.3質量部と、テトラエチレンジアミン系触媒0.3質量部と、トリメチルアミノエチルピペラジン系触媒0.25質量部と、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング(株)製)1.0質量部と、を混合して、ポリオール原料を調製した。また、ポリイソシアネート原料として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(NCO=29〜33質量%)を準備した。
それから、ポリオール原料100質量部に、複合粒子の粉末258.5質量部を混合して、プレミックスポリオールを調製した。続いて、プレミックスポリオール77.6gと、ポリイソシアネート原料4.5gと、を混合して、混合原料とした。
次に、調製した混合原料を成形型のキャビティに注入して型締めした。そして、成形型を磁気誘導発泡成形装置に設置した。使用した磁気誘導発泡成形装置の構成は、成形型を除いて、前出図6に示した磁気誘導発泡成形装置5の構成と同じである。図8に、使用した成形型の厚さ方向断面図を示す。図9に、同成形型を設置した状態の磁気誘導発泡成形装置の断面図を示す。
図8、図9に示すように、成形型4は、上型40Uと下型40Dとを備えている。上型40Uは、正方形板状を呈している。下型40Dは、直方体状を呈している。下型40Dは、凹部400Dと磁石部401Dとを有している。凹部400Dは、下型40Dの上面に形成されている。凹部400Dの内部空間は、直方体状を呈している。上型40Uと下型40Dとが合体することにより、直方体状のキャビティ41が区画されている。キャビティ41には、調製した混合原料が充填されている。磁石部401Dは、薄板状を呈しており、凹部400Dの底面(下面)の下側に配置されている。磁石部401Dの大きさは、凹部400Dの底面の大きさとほぼ同じである。磁石部401Dは、第二製造方法における「第一磁石」の概念に含まれる。
磁気誘導発泡成形装置5において、導線541Lに接続された電源と、導線541Rに接続された電源と、を共にオンにすると、コイル部54Lの芯部540Lの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部540Lに、下方から上方に向かって磁力線L(図9に点線で示す)が発生する。同様に、コイル部54Rの芯部540Rの上端がN極に、下端がS極に磁化される。このため、芯部540Rに、下方から上方に向かって磁力線Lが発生する。
芯部540L上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部53U、ポールピース55Uを通って、成形型4に流入する。その後、ポールピース55D、ヨーク部53Dを通って、芯部540L下端に流入する。同様に、芯部540R上端から放射された磁力線Lは、ヨーク部53U、ポールピース55Uを通って、成形型4に流入する。その後、ポールピース55D、ヨーク部53Dを通って、芯部540R下端に流入する。これにより、成形型4のキャビティ41内には、上方から下方に向かう磁力線Lにより磁場が形成される。
成形型4を磁気誘導発泡成形装置5に設置してから始めの80秒間は、磁石部401Dによる磁場のみが作用する状態で、すなわち磁気誘導発泡成形装置5の電源オフの状態で、発泡成形を行った(一段目発泡成形工程)。その後、磁気誘導発泡成形装置5の電源をオンにして、キャビティ41の厚さ方向に磁場を所定時間かけながら発泡成形を行った(二段目発泡成形工程)。発泡成形が終了した後、脱型して、厚さ6mmのシート状のサンプルを得た。
サンプルは、二段目発泡成形工程において磁場を作用させた時間を変えて、四種類製造した。磁場を作用させた時間が3秒のサンプルを実施例1、10秒のサンプルを実施例2、30秒のサンプルを実施例3、90秒のサンプルを実施例4とした。
[実施例5]
上述した第一製造方法により、防音部材のシート状サンプルを製造した。すなわち、磁気誘導発泡成形装置5を使用せずに、混合原料を成形型4のキャビティ41内で磁石部401Dによる磁場をかけながら600秒間発泡成形して、厚さ6mmのシート状のサンプルを製造した。得られたサンプルを実施例5とした。
[比較例1]
全く磁場を作用させずに混合原料を発泡成形して、厚さ6mmのシート状のサンプルを製造した。磁場無しで発泡成形されたサンプルを比較例1とした。
[比較例2]
一様な磁場中で混合原料を発泡成形して、厚さ6mmのシート状のサンプルを製造した。磁石部401Dを備えない点以外は、実施例1〜5のサンプルを製造した成形型と同じ成形型を用いた。そして、当該成形型を磁気誘導発泡成形装置5に設置して、キャビティ41の厚さ方向に磁束密度の差が無い一様な磁場を90秒間作用させて、発泡成形を行った。得られたサンプルを比較例2とした。
<サンプルにおける複合粒子の充填率および配向分散度測定>
まず、製造したサンプルを、各々、X線CT装置((株)ビームセンス製「FLEX−M865−CT)を用いて撮影した。撮影は、加速電圧70kV、管電流100μAにて行った。得られた断層像データに再構成演算を施して、サンプルの内部を含めた三次元画像を作製した。図10に、実施例1のサンプルの三次元画像を示す。図11に、実施例2のサンプルの三次元画像を示す。図12に、実施例3のサンプルの三次元画像を示す。図10〜図12に示すように、いずれのサンプルにおいても、厚さ方向に複合粒子の充填率およびその勾配が異なる二層が観察された。
次に、各サンプルを厚さ方向に四等分して四つの測定領域に区分けした。四つの測定領域は、複合粒子の充填率が高い方(図10〜図12に示した三次元画像の下方)から順に、0〜25%領域、25〜50%領域、50〜75%領域、75〜100%領域とした。そして、測定領域ごとに、測定領域の体積を100体積%とした時の複合粒子の体積割合(複合粒子の充填率)を算出した。
続いて、上述した文献Aに記載された配向解析法を、実施例で使用した複合粒子用に修正したソフトウエア(株式会社TRIテクノ所有「平板状粒子の配向解析ソフトウエア」)を用いて、測定領域ごとに複合粒子の配向分散度Sを算出した。まず、測定領域の三次元画像を賽の目状に分割し、分割された領域ごとに複合粒子の面垂直方向の法線を算出した。次に、サンプルの厚さ方向に対する複合粒子の法線の角度θを用いて、上記式[S=<3cosθ−1>/2]により、複合粒子の配向分散度Sを算出した。そして、分割領域ごとに算出された配向分散度Sの算術平均を計算して、得られた平均値を測定領域における複合粒子の配向分散度Sとした。
図13に、測定領域ごとの複合粒子の充填率を示す。図14に、測定領域ごとの複合粒子の配向分散度Sを示す。サンプルにおける0〜25%領域は本発明における最外層に相当し、75〜100%領域は本発明における最内層に相当する。図13に示すように、実施例1〜5のサンプルの複合粒子の充填率は、0〜25%領域において最も高く(40体積%以上)、厚さ方向に隣接する25〜50%領域において低下した。同サンプルの複合粒子の充填率は、50〜75%領域においてさらに低下したが、50〜75%領域と75〜100%領域との間ではほとんど変わらなかった。75〜100%領域においては、20体積%以下であった。以上の結果から、0〜50%領域を高弾性層、50〜100%領域を低弾性層とみなすことができる。この場合、高弾性層と低弾性層との厚さの比は1:1になる。
一方、磁場無しで発泡成形された比較例1のサンプルの複合粒子の充填率は、0〜25%領域において最も高くなり、厚さ方向において徐々に低下した。しかし、同サンプルの複合粒子の充填率は、最高で29.8体積%、最低で19.2体積%であり、厚さ方向における充填率の変化率は小さかった。また、一様磁場で発泡成形された比較例2のサンプルの複合粒子の充填率は、厚さ方向においてほぼ一定であった。
表1に、各サンプルにおいて、0〜25%領域の複合粒子の充填率と25〜50%領域の複合粒子の充填率とから算出した、0〜50%領域における単位厚さあたりの複合粒子の充填率の勾配を示す。同様に、50〜75%領域の複合粒子の充填率と75〜100%領域の複合粒子の充填率とから算出した、50〜100%領域における単位厚さあたりの複合粒子の充填率の勾配を示す。また、75〜100%領域(最内層)の複合粒子の充填率と0〜25%領域(最外層)の複合粒子の充填率との比を示す。
表1に示すように、実施例1〜5のサンプルにおいては、低弾性層(50〜100%領域)の厚さ方向における複合粒子の充填率の勾配は、高弾性層(0〜50%領域)のそれよりも小さかった。すなわち、低弾性層の厚さ方向においては、複合粒子の充填率はほぼ一定であった。また、最内層の複合粒子の充填率と最外層の複合粒子の充填率との比は、1:3.0〜5.0であった。一方、比較例1、2のサンプルにおける充填率の勾配は、ほとんど変わらないか、むしろ50〜100%領域の方が大きかった。
図14に示すように、0〜25%領域(最外層)の複合粒子の配向分散度Sは、実施例1〜4のサンプルにおいては−0.3から−0.5の間であったが、実施例5のサンプルにおいては−0.22であった。この理由は、次のように考えられる。実施例5のサンプルは、磁石部401Dのみの磁場により複合粒子を配向させた。磁石部401Dの表面には、表面から垂直に放射される磁力線と外側に向かって曲がって放射される磁力線とが混在する。したがって、磁石部401Dの表面に近いほど、厚さ方向以外に放射される磁力線の影響が大きくなり、最外層における配向性が低下した。なお、一様磁場で発泡成形された比較例2のサンプルにおいては、全ての測定領域において配向分散度Sが−0.5に近かった。これにより、比較例2のサンプルは、厚さ方向全体において、複合粒子の配向方向が厚さ方向に一致する完全配向状態に近い状態であることがわかる。
<放熱性の評価>
実施例1〜5および比較例1、2のサンプルについて、放熱性を評価した。以下に実験装置および実験方法を説明する。図15に、実験装置の概略図を示す。図15に示すように、実験装置70は、ヒータ71と、基板72と、サンプル73と、断熱部材74と、を備えている。ヒータ71はシリコーンラバーヒータであり、薄板状を呈している。基板72はアルミニウム製であり、130mm角の正方形板状を呈している。基板72はヒータ71の上面に配置されている。サンプル73は50mm角の正方形シート状を呈している。サンプル73は、基板72の上面中央に配置されている。サンプル73は、複合粒子の充填率が低い方(最内層:75〜100%領域)を下にして配置されている。断熱部材74は、厚さ10mmのウレタンフォームからなり、サンプル73の周囲を囲むように配置されている。
まず、ヒータ71の電源をオンにして、基板72の温度が約100℃になるように加熱した。次に、サンプル73の上面および下面(基板72との接触面)の温度を測定し、これらの温度差を求めた。上面と下面との温度差が小さいほど、放熱性に優れることになる。図16に、各サンプルにおける単位厚さあたりの温度差をグラフで示す。なお、実施例1〜4のサンプルについては、図16のグラフ横軸の「磁気誘導発泡成形装置による磁場作用時間」は、「第二発泡成形工程における磁場作用時間」に相当する。
図16に示すように、複合粒子の充填状態が異なる二層を有する実施例1〜5のサンプルは、単に複合粒子を分散させただけの比較例1のサンプルと比較して、温度差が小さくなり放熱性が向上した。また、磁気誘導発泡成形装置を用いて発泡成形を二段階で行った実施例1〜4のサンプルにおいては、発泡成形を一段階で行った実施例5のサンプルと比較して、温度差が小さくなり放熱性が向上した。磁気誘導発泡成形装置による磁場作用時間が30秒の実施例3のサンプルにおいては、温度差が若干大きくなった。これは、内部に大きな気泡が生成されていたことが原因と考えられる。
<振動抑制能の評価>
実施例1〜3および比較例2のサンプルについて、振動抑制能を評価した。以下に実験装置および実験方法を説明する。図17に、実験装置の概略図を示す。図17に示すように、実験装置75は、基板76と、サンプル73と、を備えている。基板76は鉄製であり、板状を呈している。基板76には、図示しない加振装置が接続されている。サンプル73は50mm角の正方形シート状を呈している。サンプル73は、基板76の上面中央に配置されている。サンプル73は、複合粒子の充填率が低い方(最内層:75〜100%領域)を下にして配置されている。
まず、加振装置を作動させて、図17中、白抜き矢印で示すように、基板76を上下方向に振動させた。そして、基板76の上面の測定位置P1と、サンプル73の上面の測定位置P2と、の各々における変位の加速度を測定して、次式(2)により、振動伝達率を求めた。
図18に、振動伝達率の測定結果を示す。図18のグラフ中、縦軸の振動伝達率が0dBにおいては、振動が増幅も減衰もされていない。振動が減衰されると、振動伝達率はマイナスの値になる。よって、振動伝達率のマイナスの値が大きくなるほど、振動抑制能が高いことを示す。
図18に示すように、複合粒子の充填状態が異なる二層を有する実施例1〜3のサンプルにおいては、複合粒子が均一に配向している比較例2のサンプルと比較して、周波数1000Hz以上の領域で振動が大幅に減衰された。したがって、実施例1〜3のサンプルは、振動抑制能が高いことが確認された。
[モータカバーの評価]
実施例1および比較例2のサンプルを、円柱状のモータ(マブチモーター(株)製「RS−545PH」)の側周面に巻き付けて、モータ作動時における騒音レベルを測定した。以下に、騒音レベルの測定方法を説明する。まず、モータを底面を下側にして麻紐で吊して自由支持状態にした。次に、モータから横方向に100mm離間して、マイクロホンを配置した。それから、モータを作動させ、騒音レベルを測定した。モータの駆動電圧は12V一定で、無負荷で定常駆動した。騒音レベルの測定は、無響室内において行った。騒音レベルの測定には、ブリュエル・ケアー(B&K)社製の測定装置「Type3160−A−042」および測定ソフト「PULSE タイムデータレコーダ」を用いた。そして、測定された周波数全領域における測定値(オーバーオール値)を算出した。オーバーオール値とは、1/3オクターブバンドレベルで周波数分析を行った各周波数における騒音レベルの値Ln(音圧レベルをA特性補正した値)から、次式(3)により算出した値である。本測定においては、周波数100Hz〜20kHzの範囲で計算した。
その結果、モータ単体(カバー無し)のオーバーオール値は53.6dB(A)であったのに対して、比較例2のサンプルを装着した場合のオーバーオール値は49.3dB(A)、実施例1のサンプルを装着した場合のオーバーオール値は48.3dB(A)であった。このように、実施例1のサンプルを装着すると、騒音レベルを低下させることができた。
本発明の防音部材は、自動車、電子機器、建築などの幅広い分野において用いることができる。例えば、車両のエンジンルームに配置されるエンジン、モータ、EGRバルブなどの防音部材、OA(Office Automation)機器や家電製品に用いられるモータの防音部材、パソコンなどの電子機器に用いられる防音部材として好適である。
1:モータカバー(防音部材)、10:低弾性層、11:高弾性層、100:内側表面、101:最内層、102:第二中間層、110:外側表面、111:最外層、112:第一中間層、4:成形型、40U:上型、40D:下型、41:キャビティ、400D:凹部、401D:磁石部、5:磁気誘導発泡成形装置、50:架台、51:ブラケット、52:電磁石部、53U、53D:ヨーク部、54L、54R:コイル部、55U、55D:ポールピース、540L、540R:芯部、541L、541R:導線、6:成形型、60U:上型、60D:下型、61U:芯棒磁石部、61D:第一凹部、62D:第二凹部、63D:箱状磁石部、64:キャビティ、70:実験装置、71:ヒータ、72:基板、73:サンプル、74:断熱部材、75:実験装置、76:基板、8:防音部材、80:発泡体、81:磁性フィラー、82:低弾性層、83:高弾性層、810:法線、820:内側表面、830:外側表面、821:最内層、831:最外層、9:相手部材、90:モータ、L:磁力線、P1、P2:測定位置。

Claims (8)

  1. 磁性フィラーを含有する発泡体からなり、
    全体の厚さを100%として、騒音源である相手部材側に配置される内側表面から厚さ方向に25%の領域を最内層とし、該内側表面と反対側の外側表面から厚さ方向に25%の領域を最外層とした場合に、該最内層を含む低弾性層と、該低弾性層から厚さ方向に連続し該最外層を含む高弾性層と、を有し、
    該磁性フィラーの充填率は該最外層において最も高く、該高弾性層は、該磁性フィラーの充填率が該最外層から該低弾性層に向かって低くなる充填率の勾配を有し、
    該低弾性層の厚さ方向における該磁性フィラーの充填率の勾配は、該高弾性層の該充填率の勾配よりも小さいことを特徴とする防音部材。
  2. 前記最外層における前記磁性フィラーの次式(1)により定義される配向分散度Sは、−0.3〜−0.5である請求項1に記載の防音部材。
    S=<3cosθ−1>/2・・・(1)
    [θは、防音部材の厚さ方向に対する磁性フィラーの面垂直方向の法線の角度である。<>は、空間平均値を表す。]
  3. 前記最内層における前記磁性フィラーの充填率は、該最内層の体積を100体積%とした時の20体積%以下である請求項1または請求項2に記載の防音部材。
  4. 前記最内層における前記磁性フィラーの充填率と前記最外層における該磁性フィラーの充填率との比は、1:2.5〜5.0である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の防音部材。
  5. 前記低弾性層と前記高弾性層との厚さの比は、1:1である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の防音部材。
  6. 前記磁性フィラーは、熱伝導に異方性を有する熱伝導異方性粒子と、該熱伝導異方性粒子の表面に付着した磁性粒子と、を含む複合粒子を有する請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の防音部材。
  7. 前記熱伝導異方性粒子の形状は、薄片状または繊維状である請求項6に記載の防音部材。
  8. 前記発泡体は、ポリウレタンフォームである請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の防音部材。
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