JP2016102862A - 近赤外線カットフィルター、固体撮像装置、カメラモジュールおよび組成物 - Google Patents

近赤外線カットフィルター、固体撮像装置、カメラモジュールおよび組成物 Download PDF

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幸恵 大橋
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Abstract

【課題】可視光透過率が高く、十分な近赤外線カット能を有する近赤外線カットフィルターを提供すること。【解決手段】下記式(A)で表される化合物(A)を含有する樹脂製基板を有する近赤外線カットフィルター。【選択図】なし

Description

本発明は、近赤外線カットフィルター、固体撮像装置、カメラモジュールおよび組成物に関する。更に詳しくは、特定の化合物を含む近赤外線カットフィルター、該フィルターを具備する固体撮像装置およびカメラモジュール、ならびに、該特定の化合物を含む組成物に関する。
従来、色分解フィルターなどのフィルターに用いられている色素化合物として、β位に置換基を有するフタロシアニン化合物が公知となっている(特許文献1)。
特開平1−233401号公報
しかしながら、特許文献1に記載の化合物は、耐熱性が十分ではなかった。また、該化合物を用いて色分解フィルターを作製した場合には、得られるフィルターは、実用的なフィルター特性(可視光透過率)が十分ではなく、目的とする波長域(近赤外線領域)の光線を効率的にカットすることができなかった。
本発明の目的は、従来のフィルターおよびフィルター用色素化合物が有していた欠点を改良し、耐熱性に優れる化合物を含有してなり、可視光透過率が高く、十分な近赤外線カット能を有する近赤外線カットフィルターを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記式(A)で表される化合物(A)は、耐熱性に優れ、かかる化合物を配合することで、可視光透過率が高く、十分な近赤外線カット能を有する近赤外線カットフィルターが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の態様例を以下に示す。
[1] 下記式(A)で表される化合物(A)を含有する樹脂製基板を有する近赤外線カットフィルター。
Figure 2016102862
[式(A)中、R1〜R12は互いに結合せず、それぞれ独立に、H、ハロゲン原子、OR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、COOR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、CN、NO2、CONH2、炭化水素基、または、炭化水素基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、RA〜RFはそれぞれ独立に、電子対、H、アルキル基、アリール基、または、アルキル基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、pおよびqはそれぞれ独立に1〜3である。(但し、式(A)で表される化合物は電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む。)]
[2] 前記式(A)中、R1〜R12はそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、または、フェニル基の少なくとも一部が、炭素原子、ハロゲン原子、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含む基で置換された基であり、RA〜RFはそれぞれ独立に、電子対またはHであり、pおよびqはそれぞれ独立に1〜3であり、前記化合物(A)が、電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む、[1]に記載の近赤外線カットフィルター。
[3] 前記化合物(A)が、下記式(C)で表される化合物である、[1]または[2]に記載の近赤外線カットフィルター。
Figure 2016102862
[式(C)中、Xは1価または2価の陰イオンであり、bは、Xが1価の陰イオンである場合には2であり、Xが2価の陰イオンである場合には1であり、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数であり、複数あるRは同一でも異なっていてもよいが互いに結合せず、Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよいアミノ基もしくはカルボニル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルキニル基もしくは炭素数1〜20のアルコキシ基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数3〜20の芳香族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の芳香族複素環基である。]
[4] 前記樹脂製基板の少なくとも一方の面上に形成された近赤外線反射膜を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の近赤外線カットフィルター。
[5] 前記樹脂製基板を構成する樹脂が、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、[1]〜[4]のいずれかに記載の近赤外線カットフィルター。
[6] 固体撮像装置用である、[1]〜[5]のいずれかに記載の近赤外線カットフィルター。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線カットフィルターを具備する固体撮像装置。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の近赤外線カットフィルターを具備するカメラモジュール。
[9] 下記式(A)で表される化合物(A)および樹脂を含有する組成物。
Figure 2016102862
[式(A)中、R1〜R12は互いに結合せず、それぞれ独立に、H、ハロゲン原子、OR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、COOR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、CN、NO2、CONH2、炭化水素基、または、炭化水素基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、RA〜RFはそれぞれ独立に、電子対、H、アルキル基、アリール基、または、アルキル基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、pおよびqはそれぞれ独立に1〜3である。(但し、式(A)で表される化合物は電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む。)]
[10] 前記化合物(A)が、下記式(C)で表される化合物である、[9]に記載の組成物。
Figure 2016102862
[式(C)中、Xは1価または2価の陰イオンであり、bは、Xが1価の陰イオンである場合には2であり、Xが2価の陰イオンである場合には1であり、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数であり、複数あるRは同一でも異なっていてもよいが互いに結合せず、Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよいアミノ基もしくはカルボニル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルキニル基もしくは炭素数1〜20のアルコキシ基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数3〜20の芳香族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の芳香族複素環基である。]
本発明によれば、耐熱性に優れる化合物(塩)を含有してなり、可視光透過率が高く、十分な近赤外線カット能を有する近赤外線カットフィルターを提供することができる。
図1は、樹脂製基板または近赤外線カットフィルターに対して光を垂直方向から入射させた場合の、吸収極大波長および透過率を測定する方法を示す概略図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る近赤外線カットフィルターは、下記式(A)で表される化合物(A)を含有する樹脂製基板を有する。
[樹脂製基板]
本発明の近赤外線カットフィルターを構成する樹脂製基板は、単層であっても多層であってもよく、1種以上の化合物(A)を含有している。
前記樹脂製基板は、吸収極大波長が、好ましくは700〜1400nm、より好ましくは750〜1300nm、特に好ましくは900〜1300nmの範囲にある。樹脂製基板の吸収極大波長がこのような範囲にあれば、該基板は、近赤外線を選択的に効率よくカットすることができる。
前記樹脂製基板の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されないが、好ましくは30〜250μm、より好ましくは40〜200μm、さらに好ましくは50〜150μmである。
樹脂製基板の厚みが前記範囲にあると、該基板を用いた近赤外線カットフィルターを小型化および軽量化することができ、固体撮像装置等の様々な用途に好適に用いることができる。特に、前記樹脂製基板をカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化を実現することができるため好ましい。
<化合物(A)>
化合物(A)は、下記式(A)で表される化合物である。
化合物(A)は、耐熱性に優れるため、使用する際に制約を受けない近赤外線カットフィルターが得られ、また、該化合物を配合することにより、可視光透過率が高く、十分な近赤外線カット能を有する近赤外線カットフィルターが得られる。このため、化合物(A)は、カメラモジュールなどに用いる近赤外線カットフィルターに重要な役割を果たすことができる。
また、化合物(A)を含むことで、吸収極大波長が前記範囲となる樹脂製基板を得ることができ、目的とする波長域(近赤外線領域)の光線を効率的にカットできる近赤外線カットフィルターを得ることができる。
Figure 2016102862
[式(A)中、R1〜R12は互いに結合せず、それぞれ独立に、H、ハロゲン原子、OR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、COOR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、CN、NO2、CONH2、炭化水素基、または、炭化水素基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、RA〜RFはそれぞれ独立に、電子対、H、アルキル基、アリール基、または、アルキル基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、pおよびqはそれぞれ独立に1〜3である。(但し、式(A)で表される化合物は電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む。)]
1〜R12における炭化水素基としては、特に制限されないが、炭素数1〜100の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜40の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜40の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ならびに、これらの基の少なくとも1つの水素原子が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはアリール基で置換された基がさらに好ましい。
1〜R12における、炭化水素基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基としては、特に制限されないが、ハロゲン原子、エーテル結合、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド結合、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、チオエーテル結合、スルフィニル基、スルホニル基等の基を有する、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基がさらに好ましい。
この基における総炭素数は、好ましくは1〜100であり、より好ましくは1〜40である。
1〜R12としてはそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基;炭素数1〜20のアリール基;アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基の少なくとも一部が、炭素原子、ハロゲン原子、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含む基で置換された基;が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基;フェニル基の少なくとも一部が、炭素原子、ハロゲン原子、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含む基で置換された基;がより好ましい。
A〜RFにおけるアルキル基およびアリール基としてはそれぞれ、炭素数1〜20の基が好ましく、炭素数1〜10の基がより好ましい。
A〜RFにおけるアルキル基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基としては、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボキシアミド結合、アミノ基、チオエーテル結合、スルフィニル基、スルホニル基、ホスホニル基等の基を有するアルキル基が好ましい。
この基における総炭素数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。
A〜RFとしてはそれぞれ独立に、電子対または水素原子が好ましい。
pおよびqとしては特に制限されないが、各式で表される化合物の安定性等の点から、1または2であることが好ましい。
前記「式(A)で表される化合物が電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む」とは、式(A)で表される構造が陽イオンを含む場合には、化合物(A)が電気的に中性になるように、化合物(A)は1価または2価の陰イオンを含むことをいい、式(A)で表される構造が陽イオンを含まない場合には、化合物(A)は1価または2価の陰イオンを含まない。
前記化合物(A)としては、より、耐熱性に優れ、可視光透過率が高く、十分な近赤外線カット能を有する近赤外線カットフィルターが得られる等の点から、下記式(C)で表される化合物(以下「化合物(C)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2016102862
[式(C)中、Xは1価または2価の陰イオンであり、bは、Xが1価の陰イオンである場合には2であり、Xが2価の陰イオンである場合には1であり、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数であり、複数あるRは同一でも異なっていてもよいが互いに結合せず、Rはそれぞれ、
水素原子;ハロゲン原子;水酸基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン化炭化水素基;炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよいアミノ基もしくはカルボニル基;炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルキニル基もしくは炭素数1〜20のアルコキシ基;または、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数3〜20の芳香族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の芳香族複素環基である。]
前記Xとしては特に制限されないが、具体的には、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、ハロゲンイオン、燐酸イオン等の無機イオン;アルキル硝酸イオン、アリール硝酸イオン、パーフルオロアルキル硝酸イオン、アルキル硫酸イオン、アリール硫酸イオン、パーフルオロアルキル硫酸イオン、アルキル燐酸イオン、アリール燐酸イオン、パーフルオロアルキル燐酸イオン等の有機イオンが挙げられる。これらの中でも、化合物(C)を合成する際の収率向上等の点から、Xは硫酸イオンまたはハロゲンイオンであることが好ましい。
前記nおよびmとしては特に制限されないが、化合物(C)の安定性等の点から、n=mであることが好ましく、n=m=1または2であることがより好ましい。
ハロゲン化炭化水素基としては特に制限されないが、好ましくは炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基である。具体的には、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタクロロプロピル基およびヘプタフルオロプロピル基等が挙げられ、これらの中でも、化合物(C)の合成容易さ等の点から、トリフルオロメチル基が好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基(以下単に「置換基」ともいう。)を有してもよいアミノ基としては、具体的にはエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられる。
置換基を有してもよいカルボニル基としては、具体的にはカルボキシル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルケニル基としては、具体的にはビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキニル基としては、具体的にはエチニル基、プロピニル基、ブチニル基、2−メチル−1−プロピニル基、ヘキシニル基、オクチニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基としては、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられ、これらの中でも、化合物(C)の合成容易さ等の点から、メトキシ基が好ましい。
置換基を有してもよい炭素数3〜20の芳香族炭化水素基としては、具体的にはフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、アセナフチル基、フェナレニル基、テトラヒドロナフチル基、インダニル基、ビフェニリル基等に加え、これらの芳香族炭化水素基に置換基として、アリール基、アルキル基等が置換した基が挙げられる。
置換基を有してもよい炭素数3〜20の芳香族複素環基としては、具体的にはピリジル基、チエニル基、オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基等に加え、これらの芳香族複素環基に置換基として、アリール基、アルキル基等が置換した基が挙げられる。
前記Rとしては、化合物(C)の合成容易さ等の点から、水素原子、ハロゲン化炭化水素基またはアルコキシ基が好ましく、水素原子、トリフルオロメチル基またはメトキシ基がより好ましい。
前記化合物(C)としては、具体的には下記式(C')で表される化合物が合成容易さ等の点から好ましい。
Figure 2016102862
(式(C')中、複数あるR1およびR2は、下記(a)〜(d)の何れかである。
(a)R1およびR2が水素原子である。
(b)R1およびR2が−OCH3である。
(c)R1およびR2が−CF3である。
(d)R1が−OCH3であり、R2が−CF3である。)
前記化合物(A)は、例えば以下のスキームに基づき合成することができる。具体的には、従来公知の方法で得られた化合物11を、従来公知の方法でハロゲン化することで化合物12を得た後、ピロール環のアミノ基を従来公知の方法で保護し、化合物13を得る。得られた化合物13を用い、従来公知の方法でビピロールである、化合物14を得る。次いで、従来公知の方法で、化合物14から化合物15を経て、化合物(C)である化合物16を得ることができる。
Figure 2016102862
(スキーム中、R、bおよびXはそれぞれ独立に、前記式(C)におけるR、bおよびXと同義であり、Zはハロゲン原子、好ましくは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、より好ましくはヨウ素原子であり、R3は保護基であり、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基である。)
樹脂製基板において、化合物(A)の含有量は、樹脂製基板製造時に用いる樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜5.0重量部、より好ましくは0.02〜3.5重量部、特に好ましくは0.04〜1.5重量部である。化合物(A)の含有量が前記範囲内にあると、良好な近赤外線吸収特性と高い可視光透過率を両立させることができる。
<樹脂>
前記樹脂製基板は、前記化合物(A)を含有してなれば特に制限されないが、化合物(A)と樹脂(バインダー樹脂)とを含んでなる基板が好ましく、化合物(A)と透明樹脂とを含んでなる基板が好ましい。前記樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記樹脂は、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度で行う高温蒸着により近赤外線反射膜(誘電体多層膜)を形成しうるフィルムとするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂が挙げられる。また、前記樹脂のガラス転移温度が140℃以上であると、近赤外線反射膜をより高温で蒸着形成し得るフィルムが得られるため、特に好ましい。
前記樹脂としては、当該樹脂からなる厚さ0.1mmの樹脂板を形成した場合に、この樹脂板の全光線透過率(JIS K7105)が、好ましくは75%以上、さらに好ましくは78%以上、特に好ましくは80%以上となる樹脂を用いることができる。全光線透過率がこのような範囲となる樹脂を用いれば、得られる基板は光学フィルムとして良好な透明性を示す。
前記樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜350,000、好ましくは30,000〜250,000であり、数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜150,000、好ましくは20,000〜100,000である。
前記樹脂としては、例えば、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性に優れ、可視光領域の透過率の高い近赤外線カットフィルターを得ることができるという観点から環状オレフィン系樹脂および芳香族ポリエーテル系樹脂が好ましい。
≪環状オレフィン系樹脂≫
環状オレフィン系樹脂としては、下記式(X0)で表される単量体および下記式(Y0)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体から得られる樹脂、および当該樹脂を水素添加することで得られる樹脂が好ましい。
Figure 2016102862
(式(X0)中、Rx1〜Rx4は、それぞれ独立に下記(i')〜(viii')より選ばれる原子または基を表し、kx、mxおよびpxは、それぞれ独立に0または正の整数を表す。)
(i')水素原子
(ii')ハロゲン原子
(iii')トリアルキルシリル基
(iv')酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有する、置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v')置換または非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi')極性基(但し(iv')を除く)
(vii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す
(viii')Rx1とRx2またはRx3とRx4とが、相互に結合して形成された単環もしくは多環の炭化水素環または複素環を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環または複素環を表し、該結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表す
Figure 2016102862
(式(Y0)中、Ry1およびRy2は、それぞれ独立に前記(i')〜(vi')より選ばれる原子または基を表すか、下記(ix')を表し、KyおよびPyは、それぞれ独立に、0または正の整数を表す。)
(ix')Ry1とRy2とが、相互に結合して形成された単環または多環の脂環式炭化水素、芳香族炭化水素または複素環を表す
≪芳香族ポリエーテル系樹脂≫
芳香族ポリエーテル系樹脂は、下記式(1)で表される構造単位および下記式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2016102862
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。)
Figure 2016102862
(式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
また、前記芳香族ポリエーテル系樹脂は、さらに下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有することが好ましい。
Figure 2016102862
(式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。)
Figure 2016102862
(式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ独立に前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ独立に前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。)
≪ポリイミド系樹脂≫
ポリイミド系樹脂としては、特に制限されず、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子化合物であればよく、例えば、特開2006−199945号公報や特開2008−163107号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリカーボネート系樹脂≫
フルオレンポリカーボネート系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリカーボネート樹脂であればよく、例えば、特開2008−163194号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フルオレンポリエステル系樹脂≫
フルオレンポリエステル系樹脂としては、特に制限されず、フルオレン部位を含むポリエステル樹脂であればよく、例えば、特開2010−285505号公報や特開2011−197450号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪フッ素化芳香族ポリマー系樹脂≫
フッ素化芳香族ポリマー系樹脂としては、特に制限されないが、少なくとも1つのフッ素を有する芳香族環と、エーテル結合、ケトン結合、スルホン結合、アミド結合、イミド結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1つの結合を含む繰り返し単位とを含有するポリマーであることが好ましく、例えば特開2008−181121号公報に記載されている方法で合成することができる。
≪市販品≫
前記樹脂としては、透明樹脂が好ましく、透明樹脂の市販品としては、以下の市販品等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂の市販品としては、JSR株式会社製アートン、日本ゼオン株式会社製ゼオノア、三井化学株式会社製APEL、ポリプラスチックス株式会社製TOPASなどを挙げることができる。ポリエーテルサルホン系樹脂の市販品としては、住友化学株式会社製スミカエクセルPESなどを挙げることができる。ポリイミド系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学株式会社製ネオプリムLなどを挙げることができる。ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人株式会社製ピュアエースなどを挙げることができる。フルオレンポリカーボネート系樹脂の市販品としては、三菱ガス化学株式会社製ユピゼータEP−5000などを挙げることができる。フルオレンポリエステル系樹脂の市販品としては、大阪ガスケミカル株式会社製OKP4HTなどを挙げることができる。アクリル系樹脂の市販品としては、株式会社日本触媒製アクリビュアなどを挙げることができる。シルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂の市販品としては、新日鐵化学株式会社製シルプラスなどを挙げることができる。
<その他成分>
前記樹脂製基板は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、前記化合物(A)以外の、色素、近紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光消光剤、金属錯体系化合物等の添加剤を含有してもよく、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤を含有してもよい。また、後述するキャスト成形により樹脂製基板を製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂製基板の製造を容易にすることができる。これらその他成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記色素としては、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、スクアリリウム系化合物およびクロコニウム系化合物、リン酸エステル銅錯体化合物等の色素を含有してもよい。前記色素と化合物(A)とを併用することにより、目的とする波長領域(近赤外線領域)での急峻な吸収特性と、該波長領域より長波長領域における吸収特性とに同時に優れる近赤外線カットフィルターを得ることができ、該フィルターを撮像素子用途として使用した場合、より高画質なカメラ画像を得ることができる。
前記近紫外線吸収剤としては、例えば、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、およびテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。
なお、これらその他成分は、樹脂製基板を製造する際に、樹脂などとともに混合してもよいし、樹脂を合成する際に添加してもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部である。
<樹脂製基板の製造方法>
前記樹脂製基板は、例えば、溶融成形やキャスト成形により形成することができる。
≪溶融成形≫
前記樹脂製基板は、樹脂と化合物(A)とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法;樹脂と化合物(A)とを含有する樹脂組成物を溶融成形する方法;または、樹脂、化合物(A)および溶剤を含む樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などにより製造することができる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形あるいはブロー成形などを挙げることができる。
≪キャスト成形≫
前記樹脂製基板は、化合物(A)、樹脂および溶剤を含む樹脂組成物を適当な基材の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;化合物(A)および樹脂と、必要によりその他成分とを含む樹脂組成物を適当な基材の上にキャスティングする方法;または、化合物(A)および樹脂と、必要によりその他成分とを含む硬化性組成物を適当な基材の上にキャスティングして硬化、乾燥させる方法;などにより製造することもできる。
前記基材としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラムおよび透明樹脂板(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)が挙げられる。
前記樹脂製基板は、基材から剥離することにより得ることができ、また、本発明の効果を損なわない限り、基材から剥離せずに基材と塗膜との積層体を前記樹脂製基板としてもよい。
さらに、ガラス製、石英製または透明プラスチック製等の光学部品や撮像装置に、前記樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させたり、前記硬化性組成物をコーティングして硬化、乾燥させることにより、光学部品や撮像装置上に直接樹脂製基板を形成することもできる。
前記方法で得られた樹脂製基板中の残留溶剤量は可能な限り少ない方がよい。具体的には、前記残留溶剤量は、樹脂製基板の重さに対して、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶剤量が前記範囲にあると、変形や特性が変化しにくい、所望の機能を容易に発揮できる樹脂製基板が得られる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、該硬化性組成物や前記樹脂組成物に用いられる有機溶剤としては、公知の溶剤を使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;塩化メチレン;を挙げることができる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
〔近赤外線カットフィルター〕
本発明の近赤外線カットフィルターは、前記樹脂製基板を有する。このため、該フィルターは、可視光透過率が高く、十分な近赤外線カット能を有し、使用する際に制約を受けない。また、本発明の近赤外線カットフィルターは、目的とする波長域の光線を効率的にカットすることができる。
本発明の近赤外線カットフィルターの波長540〜680nmにおける透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。
本発明の近赤外線カットフィルターがこのような透過率特性を示すことで、可視光領域における高い光線透過率を有するフィルターとなる。
本発明の近赤外線カットフィルターの波長750〜1100nmにおける透過率は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下である。
このような透過率特性を示す近赤外線カットフィルターは、近赤外線カット能に優れたフィルターであり、該フィルターを撮像装置に用いることで、ゴースト等が少ない良好な画像を得ることができる。
本発明の近赤外線カットフィルターは、前記樹脂製基板を有すれば特に制限されないが、例えば、前記樹脂製基板の少なくとも一方の面上に近赤外線反射膜を有する近赤外線カットフィルターであることが好ましい。本発明の近赤外線カットフィルターが樹脂製基板の両面に近赤外線反射膜を有する場合には、これらの膜は同様の膜であってもよいし、形成材料や積層順、積層数などが異なる膜であってもよい。
このように、本発明の近赤外線カットフィルターが近赤外線反射膜を有する場合、前記樹脂製基板には化合物(A)が含まれるため、この化合物(A)および近赤外線反射膜の両方で、近赤外領域の光の透過率を著しく低減することができる。また、前記樹脂製基板に化合物(A)が含まれるため、近赤外線反射膜として誘電体多層膜を用いる場合、少ない積層数の多層膜を用いても、十分な近赤外線カット能を有する近赤外線カットフィルターを得ることができる。
また、本発明の近赤外線カットフィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、樹脂製基板の少なくとも一方の面上、樹脂製基板と近赤外線反射膜との間、樹脂製基板の近赤外線反射膜が設けられた面と反対側の面、または、近赤外線反射膜の樹脂製基板が設けられた面と反対側の面に、樹脂製基板や近赤外線反射膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などのその他の機能膜が設けられたものであってもよい。
本発明の近赤外線カットフィルターは、前記機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の近赤外線カットフィルターが前記機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
これらの、近赤外線反射膜やその他の機能膜を設ける場合には、樹脂製基板と機能膜および/または近赤外線反射膜との密着性や、機能膜と近赤外線反射膜との密着性を上げる目的で、これらの膜を設ける面を、コロナ処理やプラズマ処理等で予め表面処理してもよい。
[近赤外線反射膜]
前記近赤外線反射膜は、近赤外線を反射する能力を有する膜である。本発明では、近赤外線反射膜は樹脂製基板の片側に設けてもよいし、両側に設けてもよい。片側に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両側に設ける場合、高い強度を有し、反りの生じにくい近赤外線カットフィルターを得ることができる。近赤外線カットフィルターを固体撮像装置に用いる場合、該フィルターの反りが小さい方が好ましいことから、近赤外線反射膜を樹脂製基板の両側に設けることが好ましい。
近赤外線反射膜としては、例えば、アルミ蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜が挙げられる。これらの中では、誘電体多層膜がより好ましい。
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.7〜2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、または、酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0〜10重量%)含有させたものが挙げられる。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2〜1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層が積層された誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、樹脂製基板上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層することで、誘電体多層膜を形成することができる。
高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ〜0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、例えば700〜1400nm、好ましくは750〜1300nmである。高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さがこの範囲であると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)で表される光学膜厚がλ/4とほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、近赤外線カットフィルター全体として5〜60層であることが好ましく、10〜50層であることがより好ましい。
誘電体多層膜を形成した際に樹脂製基板に反りが生じてしまう場合には、これを解消するために、樹脂製基板両面に誘電体多層膜を形成したり、樹脂製基板の誘電体多層膜を形成した面に紫外線等の電磁波を照射したりする方法などをとることができる。なお、電磁波を照射する場合、誘電体多層膜の形成中に照射してもよいし、誘電体多層膜を形成後別途照射してもよい。
[その他の機能膜]
その他の機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを樹脂製基板または近赤外線反射膜上に、これらの材料を用いる以外は前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で樹脂製基板または近赤外線反射膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。これらのコーティング剤を含む硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
また、前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100重量%とした場合、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化性組成物の硬化特性および取り扱い性に優れ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知のものを使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の機能膜の厚さは、好ましくは0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.7〜5μmである。
[近赤外線カットフィルターの用途]
本発明の近赤外線カットフィルターは、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。さらに、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
〔固体撮像装置〕
本発明の固体撮像装置は、本発明の近赤外線カットフィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えた装置であり、具体的にはデジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラモジュールが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、「部」は、特に断りのない限り「重量部」を意味する。
各物性値の測定方法および物性の評価方法は以下のとおりである。
<分子量>
下記合成例で得られた樹脂の分子量は、以下の方法にて測定を行った。
ウオターズ(WATERS)社製GPC装置(150C型、カラム:東ソー(株)製Hタイプカラム、展開溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
<ガラス転移温度(Tg)>
下記合成例で得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)は、エスアイアイ・ナノテクノロジーズ(株)製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度:毎分20℃、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
下記実施例および比較例で得られた、樹脂製基板の吸収極大波長ならびに近赤外線カットフィルターの各波長領域における透過率は、(株)日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。
ここで、樹脂製基板の吸収極大波長ならびに近赤外線カットフィルターの各波長領域における透過率は、図1のように、樹脂製基板や近赤外線カットフィルターに対して光を垂直方向から入射させ、垂直に透過した光を測定した。
<耐熱性>
下記実施例で得られた樹脂製基板を150℃で1時間加熱し、加熱前後の分光透過率を前記と同様にして測定した。吸収極大波長の透過率変化率が5%未満の場合を「○」、5%以上の場合を「×」とした。
<樹脂合成例>
下記式(a)で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「DNM」ともいう。)100部、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部およびトルエン(開環重合反応用溶媒)300部を、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6mol/リットル)0.2部と、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025mol/リットル)0.9部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
Figure 2016102862
得られた開環重合体溶液1,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6533を0.12部添加し、水素ガス圧100kg/cm2、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下「樹脂A」ともいう。)を得た。
得られた樹脂Aは、Mnが32,000、Mwが137,000であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃であった。
<化合物(A)の合成例>
2-Ethyl-5-iodo-3,4-bis(4-methoxyphenyl)-1H-pyrrole-2-carboxylate(化合物86)の合成
Figure 2016102862
(式中、「Me」はメチル基であり、「Et」はエチル基である。以下同様。)
300mlのナスフラスコに化合物85(2-Ethyl-3,4-bis(4-methoxyphenyl)-1H-pyrrole-2-carboxylate、4.07g、11.6mmol)、ヨウ素(3.28g)およびヨウ素酸(573mg)を入れ、そこに、クロロホルム(40ml)、酢酸(16ml)および水(1.6ml)を加えて19時間還流した。反応終了後、室温に戻し、飽和亜硫酸ナトリウム、飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、メタノールで洗浄することにより、収量4.78gの目的化合物86(黄色粉末)を得た(なお、化合物86の構造等はNMR、IR、質量分析および元素分析で確認した)。
1-t-Butyl-2-ethyl-5-iodo-3,4-bis(4-methoxyphenyl)-1H-pyrrole-1,2-dicarboxylate(化合物87)の合成
Figure 2016102862
(式中「Boc」はt−ブトキシカルボニル基である。以下同様。)
300mlナスフラスコに化合物86(4.49g、9.41mmol)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP、53.6mg)を入れてアルゴン置換した。これにDry塩化メチレン(65ml)および二炭酸ジt−ブチル((Boc)2O、2.60ml)を加えて室温で10時間撹拌した。反応終了後、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム)で精製し、メタノールで洗浄することにより、収量4.80gの目的化合物87(黄色粉末)が得られた(なお、化合物87の構造等はNMR、IR、質量分析および元素分析で確認した)。
Diethyl-3,3',4,4'-tetrakis-(4-methoxyphenyl)-1H,1'H-2,2'-bipyrrole-5,5'-dicarboxylate(化合物88)の合成
Figure 2016102862
50mlナスフラスコに化合物87(2.16g、3.74mmol)および銅(1.77g)を入れてアルゴン置換した。これにDryジメチルホルムアミド(DMF、12ml)を加えて110℃で19時間撹拌した。反応終了後、室温に戻し、不溶物をセライトろ過で取り除き、塩化メチレンで抽出し、1M塩酸、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。その後、酢酸エチル(AcOEt、32ml)、濃塩酸(8ml)を加えて室温で17時間撹拌した。反応終了後、飽和重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、再結晶(クロロホルム/メタノール)することにより、619mgの目的化合物88(白色粉末)が得られた(なお、化合物88の構造等はNMR、IR、質量分析および元素分析で確認した)。
3,3',4,4'-tetrakis(4-methoxyphenyl)-1H,1'H-2,2'-bipyrrole(化合物89)の合成
Figure 2016102862
50mlナスフラスコに化合物88(389mg、0.556mmol)、水酸化ナトリウム(271mg)およびエチレングリコール(10ml)を入れてアルゴン置換し、遮光して170℃で3時間加熱した。反応終了後、室温に戻して水を加え、クロロホルムで抽出し、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、再結晶(クロロホルム/ヘキサン)することにより、287mgの目的化合物89(茶色粉末)が得られた(なお、化合物89の構造等はNMR、IRおよび質量分析で確認した)。
3,4-bis(4-methoxyphenyl)-fused cyclo[8]pyrrole(化合物90)の合成
Figure 2016102862
300mlナスフラスコに化合物89(223.3mg、0.401mm)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(5.8mg)およびクロロホルム(100ml)を加えた。これに氷浴下で濃硫酸(0.20ml)および水(4ml)に懸濁させた硫酸セリウム(240mg)を滴下し、室温で2時間撹拌した後、再び水(4ml)に懸濁させた硫酸セリウム(238mg)を滴下し、さらに2時間撹拌した。反応終了後、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮した。さらに、シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム)および、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で精製し、再結晶(クロロホルム/ヘキサン)することにより、56.7mgの目的の化合物90(黄色粉末)が得られた。
得られた化合物90の、融点測定装置MP500D(株式会社アナテック・ヤナコ)で測定した融点(m.p.)、核磁気共鳴装置AL−400(日本電子株式会社)で測定した1H NMR、紫外可視近赤外分光光度計V−570(日本分光株式会社)で測定したUV−vis、高性能二重収束質量分析計JMS−700(日本電子株式会社)で測定した質量分析(MS)、および、CHNコーダーMT−5(ヤナコテクニカルサイエンス株式会社)で測定した元素分析の結果を以下に示す。
m.p.: > 300℃.
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 6.90 (m, 32H, OMeC6H4 o), 6.57 (m, 32H, OMeC6H4 m), 3.83 (s, 48H, OMe), 1.46 (brs, 8H, NH).
UV-vis (CHCl3) λmax, nm (logε) 472 (5.24), 908 (4.59), 1044 (5.45).
MS (MALDI-TOF) m/z (%) 2314 [M++1].
Anal. calcd for C144H120N8O20S・3H2O: C, 71.92; H, 5.45; N, 4.66.
Found: C, 71.71; H, 5.34; N, 4.54.
[実施例1]
前記化合物(A)の合成例において、化合物85の代わりに2-Ethyl-3,4-bis(phenyl)-1H-pyrrole-2-carboxylateを用いた以外は同様にして、下記式(X−1)で表される化合物(以下「化合物(X−1)」ともいう。)を合成した。
容器に、樹脂合成例で得られた樹脂A 100部、化合物(X−1)0.08部、さらに塩化メチレンを加えることで、樹脂濃度が20重量%の樹脂溶液を得た。
Figure 2016102862
次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20℃で8時間乾燥した後、塗膜をガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの樹脂製基板を得た。この樹脂製基板の分光透過率を測定し、吸収極大波長を求めた。結果を表1に示す。吸収極大波長は1188nmであった。また、この樹脂製基板の耐熱性は○であった。
続いて、得られた樹脂製基板の片面に近赤外線反射膜(I)を形成し、さらに樹脂製基板のもう一方の面に近赤外線反射膜(II)を形成し、厚さ0.106mmの近赤外線カットフィルターを得た。
近赤外線反射膜(I)は、蒸着温度100℃で形成され、シリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計14層)。
近赤外線反射膜(II)は、蒸着温度100℃で形成され、シリカ(SiO2)層とチタニア(TiO2)層とが交互に積層されてなる(合計14層)。
近赤外線反射膜(I)および(II)のいずれにおいても、シリカ層およびチタニア層は、樹脂製基板側からチタニア層、シリカ層、チタニア層、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、近赤外線カットフィルターの最外層をシリカ層とした。以下の他の実施例等においても、近赤外線反射膜のシリカ層およびチタニア層の積層順は同様である。
得られた近赤外線カットフィルターの分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表1に示す。波長540〜680nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は91.7%、波長750〜1100nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は0.5%であった。
[実施例2]
実施例1において、化合物(X−1)の代わりに、前記化合物(A)の合成例で得られた化合物90、つまり、下記式(X−2)で表される化合物(以下「化合物(X−2)」ともいう。)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で樹脂製基板を作成した。得られた樹脂製基板の分光透過率を測定し、吸収極大波長を求めた。結果を表1に示す。吸収極大波長は964nmであった。また、この樹脂製基板の耐熱性は○であった。
Figure 2016102862
続いて、得られた樹脂製基板を用いた以外は、実施例1と同様の方法で近赤外線カットフィルターを得た。この近赤外線カットフィルターの分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表1に示す。波長540〜680nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は94.3%、波長750〜1100nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は0.6%であった。
[実施例3]
前記化合物(A)の合成例において、化合物85の代わりに2-Ethyl-4-(4-methoxyphenyl)-3-(4-(trifluoromethyl)phenyl)-1H-pyrrole-2-carboxylateを用いた以外は同様にして、下記式(X−3)で表される化合物(以下「化合物(X−3)」ともいう。)を合成した。
実施例1において、化合物(X−1)の代わりに、得られた化合物(X−3)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で樹脂製基板を作成した。得られた樹脂製基板の分光透過率を測定し、吸収極大波長を求めた。結果を表1に示す。吸収極大波長は970nmであった。また、この樹脂製基板の耐熱性は○であった。
Figure 2016102862
続いて、得られた樹脂製基板を用いた以外は、実施例1と同様の方法で近赤外線カットフィルターを得た。この近赤外線カットフィルターの分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表1に示す。波長540〜680nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は94.0%、波長750〜1100nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は0.6%であった。
[実施例4]
前記化合物(A)の合成において、Journal of the American Chemical Society 2003, Vol.125, 6872-6873に記載の方法によって、下記式(X−4)で表される化合物(以下「化合物X−4」ともいう。)を合成した。
Figure 2016102862
実施例1において、化合物(X−1)0.08部の代わりに、得られた化合物(X−4)0.04部を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で樹脂製基板を作成した。得られた樹脂製基板の分光透過率を測定し、吸収極大波長を求めた。結果を表1に示す。吸収極大波長は803nmであった。また、この樹脂製基板の耐熱性は○であり、波長540〜680nmでの透過率の平均値(%)は89.1%であり、波長750〜1100nmでの透過率の平均値(%)は75.6%であり、近赤外透過率低減効果を有していることが確認できた。
続いて、得られた樹脂製基板を用いた以外は、実施例1と同様の方法で近赤外線カットフィルターを得た。この近赤外線カットフィルターの分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表1に示す。波長540〜680nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は93.8%、波長750〜1100nmにおける、近赤外線カットフィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は0.9%であり、近赤外透過率低減効果を有していることが確認できた。
[比較例1]
容器に、樹脂合成例で得られた樹脂A 100部および塩化メチレンを加えることで、樹脂濃度が20重量%の樹脂溶液を得た。
次いで、得られた溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で樹脂製基板を得た。この樹脂製基板の分光透過率を測定したが、吸収極大波長は検出されなかった。
続いて、得られた樹脂製基板を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルターを得た。この光学フィルターの分光透過率を測定し、各波長領域における光学特性を評価した。結果を表1に示す。波長540〜680nmにおける、光学フィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は96.8%、波長750〜1100nmにおける、光学フィルターの近赤外線反射膜(I)側から測定した透過率の平均値は1.1%であった。
Figure 2016102862
本発明の近赤外線カットフィルターは、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、医療機器、USBメモリー、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー、玩具ロボットおよびおもちゃ等に好適に用いることができる。
さらに、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターなどとしても好適に用いることができる。
8:樹脂製基板または近赤外線カットフィルター
9:分光光度計

Claims (10)

  1. 下記式(A)で表される化合物(A)を含有する樹脂製基板を有する近赤外線カットフィルター。
    Figure 2016102862
    [式(A)中、R1〜R12は互いに結合せず、それぞれ独立に、H、ハロゲン原子、OR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、COOR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、CN、NO2、CONH2、炭化水素基、または、炭化水素基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、RA〜RFはそれぞれ独立に、電子対、H、アルキル基、アリール基、または、アルキル基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、pおよびqはそれぞれ独立に1〜3である。(但し、式(A)で表される化合物は電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む。)]
  2. 前記式(A)中、R1〜R12はそれぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、または、フェニル基の少なくとも一部が、炭素原子、ハロゲン原子、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含む基で置換された基であり、RA〜RFはそれぞれ独立に、電子対またはHであり、pおよびqはそれぞれ独立に1〜3であり、前記化合物(A)が、電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む、請求項1に記載の近赤外線カットフィルター。
  3. 前記化合物(A)が、下記式(C)で表される化合物である、請求項1または2に記載の近赤外線カットフィルター。
    Figure 2016102862
    [式(C)中、Xは1価または2価の陰イオンであり、bは、Xが1価の陰イオンである場合には2であり、Xが2価の陰イオンである場合には1であり、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数であり、複数あるRは同一でも異なっていてもよいが互いに結合せず、Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよいアミノ基もしくはカルボニル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルキニル基もしくは炭素数1〜20のアルコキシ基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数3〜20の芳香族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の芳香族複素環基である。]
  4. 前記樹脂製基板の少なくとも一方の面上に形成された近赤外線反射膜を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  5. 前記樹脂製基板を構成する樹脂が、環状オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  6. 固体撮像装置用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備する固体撮像装置。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを具備するカメラモジュール。
  9. 下記式(A)で表される化合物(A)および樹脂を含有する組成物。
    Figure 2016102862
    [式(A)中、R1〜R12は互いに結合せず、それぞれ独立に、H、ハロゲン原子、OR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、COOR(R=Hまたは炭素数1〜20の炭化水素基)、CN、NO2、CONH2、炭化水素基、または、炭化水素基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、RA〜RFはそれぞれ独立に、電子対、H、アルキル基、アリール基、または、アルキル基の少なくとも一部が、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子で置換された基であり、pおよびqはそれぞれ独立に1〜3である。(但し、式(A)で表される化合物は電気的に中性になるように、1価または2価の陰イオンを含む。)]
  10. 前記化合物(A)が、下記式(C)で表される化合物である、請求項9に記載の組成物。
    Figure 2016102862
    [式(C)中、Xは1価または2価の陰イオンであり、bは、Xが1価の陰イオンである場合には2であり、Xが2価の陰イオンである場合には1であり、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数であり、複数あるRは同一でも異なっていてもよいが互いに結合せず、Rはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよいアミノ基もしくはカルボニル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルキニル基もしくは炭素数1〜20のアルコキシ基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有してもよい、炭素数3〜20の芳香族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の芳香族複素環基である。]
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