JP2016102333A - 小便器 - Google Patents
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Abstract
Description
使用者が小便器を使用して排尿を行うとき、排水トラップ内に尿が流れ込み、流れ込んだ尿によって溜水の大部分が排出され、排水トラップ内には尿と水とが混ざり合った尿濃度の高い液体が溜水として存在する状態となる。使用者の使用後のボウル部を洗浄するため、排尿後のボウル部に洗浄水を流すとき、その洗浄水が新たに排水トラップ内に流入し、尿と水とが混ざり合った尿濃度の高い液体を排水トラップから排出させ、この新たに流入する洗浄水によって置換する。
排水トラップにおいて、尿濃度の高い液体からなる溜水を新たに流入される洗浄水で置換する溜水の置換率(或いは尿濃度の高い液体からなる溜水を新たに流入される洗浄水で希釈する溜水の希釈率)が低い場合には、置換後の溜水における尿濃度が高くなるので、排水トラップ内に尿石が発生しやすくなることが知られている。なお、置換率は、洗浄前にトラップ内にたまっていた尿混じりの液体が洗浄水によってどれだけ置換されるかによって算定されている。
しかしながら、洗浄水量を低減しようとする場合に、排尿後の溜水を置換しようとする洗浄水量が低減されることから、溜水の置換率が低くなりやすく、置換後の溜水における尿濃度が高くなる。尿に含まれる多量の尿素が、溜水内の細菌により分解されてアンモニアが生成され、このアンモニアが溜水に溶解して溜水のpHが上昇し、溜水に含まれるカルシウムイオンが炭酸塩やリン酸塩へと変化して析出するため、排水トラップ内に尿石が発生するという問題が生じる。また、溜水の置換率が低いと溜水内の汚れが残りやすくなる。この溜水中の汚れが排水トラップの通水部表面の細孔に入り込むと、汚れが取り除きにくくなり、汚れに起因して細菌が繁殖し、この細菌により排水トラップ内に尿石が発生しやすくなるという懸念がある。
また、洗浄水量を低減する場合に、少ない溜水の水量で封水を形成できるように排水トラップをコンパクトに形成しようとする場合には、排水トラップが少ない水量で満たされるため、使用者の排尿後に排水トラップがほぼ使用者の尿で満たされ尿濃度の非常に高い液体により溜水が構成される状態となる。従って、比較的少ない洗浄水量により尿濃度の非常に高い液体からなる溜水を置換できるように、置換率を向上させる必要があるという課題も生じている。
このように構成された本発明においては、小便器洗浄が開始され、新たな洗浄水がボウル部のボウル面に沿って排水口に向かって流下し、その後、排水口から排水トラップの下降管路内に流入すると、それ以前に排尿されて排水トラップ内の封水中に含まれる尿は、新たに流入した洗浄水により排水として横引管路から上昇管路に押し上げられ、下流側に排出され、排水トラップ内の封水は、洗浄前に比べて尿濃度が低い洗浄水に置換される。このとき、排水トラップの下降管路と上昇管路とを仕切る共通壁により、排水トラップの下降管路から横引管路を経て上昇管路に亘って排水トラップの管路全体を屈曲させると共に、下降管路と上昇管路とを互いに近接させているため、排水トラップ全体が小型化され、洗浄水量を低減することができる。
また、小便器の使用後は除菌水吐水部より、除菌水を洗浄水として吐水する。排水トラップの小型化に伴う洗浄水量の低減により、溜水内に細菌が残りやすい状態となっているが、除菌水を洗浄水として吐水することで溜水内の細菌を除菌することができる。
さらに、排水トラップの内壁に釉薬層を形成することで排水トラップの通水部表面の細孔が少なくなるため、汚れが付着しにくくなり、細菌の繁殖を抑制することができる。また、釉薬層の形成により排水トラップの内壁が平滑になることで摩擦が少なくなり、排水全体の流速が低下しにくくなるため、排水全体の流速差を抑制することができる。つまり、上昇管路での流速差が抑制されるので上昇管路における洗浄水の流れの淀みが生じることを抑制することができ、溜水の置換率が低下することが抑制される。また、上昇管路における除菌水の流れの淀みが抑制され、上昇管路の流出口付近まで除菌水が入っていきやすくなることで、尿石の発生を抑制することができる。
このように構成された本発明においては、上昇管路の入口部における洗浄水の流速差が上昇管路内で増大されることを抑制することができ、流速差に起因した洗浄水の流れの淀みが発生することを抑制することができる。それにより、排水トラップ内の排尿後の溜水の置換率を向上させることができ、溜水における尿や細菌の残留を低減することができる。
このように構成された本発明においては、横引管路の底部に形成された平坦部により、横引管路の底部近傍を流れる洗浄水の流速を低減させることができる。従って、比較的簡易な構成により、上昇管路に流入する洗浄水の流速差を抑制することができ、上昇管路内において洗浄水の流れの淀みが発生することを、より抑制することができる。
このように構成された本発明においては、排水トラップの横引管路及び上昇管路のそれぞれの流路断面が、排水トラップの下降管路の出口部の流路断面の最小の幅寸法を直径とする基準円と同一の大きさ又はこの基準円を含む大きさとなるように、横引管路及び上昇管路のそれぞれの流路断面の所定方向の幅寸法が基準円の直径と同一に設定されているため、排水トラップ内の尿を含んだ排水の主流では、その流速が維持された状態となり、乱流が発生し難くなる。したがって、排水トラップ内の尿を含んだ排水は、下降管路から横引管路内に流れ込んだ新たな洗浄水により、横引管路内を通過し、淀みなくスムーズに上昇管路へ押し上げられて下流側に流れることができるため、横引管路内の排水を横引管路の出口部から上昇管路へ効率良く排出することができる。よって、排水トラップ内の尿を含む排水を効率良く洗浄水に置換して洗浄性能を向上させることができるため、排水トラップ内における尿の残留を抑制して尿石の発生を抑制することができる。また、排水トラップ全体を小型化することができると共に、排水トラップ内の尿を含む排水を効率良く洗浄水に置換することができるため、小便器の節水化を実現することもできる。
このように構成された本発明においては、小便器外部の排出部に対して小便器全体を取り外すことなく、排水トラップの後方側に形成された排水室部のボウル側壁部における掃除口から蓋を取り外すだけで、例えば、掃除具をボウル部内の下方領域側から掃除口に挿入し、排水トラップより後方側(下流側)に形成される排水室部の接続通路部付近の掃除を簡単且つ確実に行うことができる。したがって、排水トラップの後方側(下流側)の接続通路部付近に尿石が付着して堆積することを抑制することができ、ボウル面を洗浄して排水トラップから排出された接続通路部の排水の詰まりを防ぐことができる。
添付図面を参照して、本発明の一実施形態による小便器を説明する。先ず、図1,2により小便器の基本構造を説明する。図1は本発明の一実施形態による小便器を示す概略図面であり、図2は本発明の一実施形態による小便器の排水トラップ近傍の部分拡大図である。
なお、本実施形態においては除菌水として電解除菌水を吐水することとしたが、尿石除去のための薬剤を含んだ除菌水等、除菌する機能があるものであれば、それを除菌水として吐水することとしてよい。また、ここでいう電解除菌水は、水道水に含まれる塩化物イオンを電気分解してつくられる、除菌成分(例えば次亜塩素酸)を含む機能水である。
ボウル部8の左右中心軸線上のボウル部8の中央より上方の高さ位置には、電解除菌水吐水部20が設けられている。
次に、排水トラップ12について詳細に説明する。
図2に示すように、排水トラップ12は、排水トラップ12の入口の排水口10から下方に延びる下降管路26と、自身の前壁30aと下降管路26の下降管路後壁26bとが共通の共通壁28により形成され、且つ上方に延びる上昇管路30と、横方向に延び、自身の上流側が下降管路26と接続され、且つ自身の下流側が上昇管路30と接続される横引管路32とを備えている。また、横引管路32は、この横引管路32の上部が共通壁28の下端の折り返し流路形成部28aにより形成され、この折り返し流路形成部28aと反対側の横引管路32の底部32aに、この底部32a近傍(例えば、横引管路32の上下方向の下半分側の部分)を流れる洗浄水の流速を低減させる抵抗部32bが形成されている。
このように、排水トラップ12は、上昇管路前壁30aと下降管路後壁26bとが共通の共通壁28により形成されるので、排水トラップ12の大きさが小型化され、排水トラップ12内に貯留される溜水Wの水量を従来と比べて比較的低減する構造を有している。
このように、排水トラップ12の内壁面に釉薬層を設けることで、素地のみで構成される場合に比べて排水トラップ12表面の細孔が少なくなり、平滑度が高くなる。そのため、素地のみで構成される場合に比べて、排水トラップの内壁面に雑菌が留まりにくく、雑菌に起因する汚れや尿石の発生を抑制することができる。
この横引管路32は、折り返し流路形成部28aと反対側の横引管路32の底部32aにおいて、前後方向に平坦に延びる平坦部32eを有し、この平坦部32eが洗浄水の流れが衝突する抵抗部32bを構成し、流速を抑制することができる。なお、ここでいう平坦には、便器本体2の製造誤差を含み且つ完全に平坦の場合と同様な効果を奏する程度のほぼ平坦の場合の意味も含む。本実施形態においては、この平坦部32eは、横引管路32の入口部32cから横引管路32の出口部32dまで形成されている。より具体的には、平坦部32eの始点は32fで図示され、終点は32gで図示されている。なお、入口側円弧形状部32h、平坦部32e及び出口側円弧形状部32jは排水トラップ12の底側の底面を形成している。
なお、平坦部32eは、前後方向及び左右方向それぞれについて、比較的大きな曲率のRにより形成された比較的平らな部分として形成されていてもよい。
さらに、この平坦部32eは、折り返し流路形成部28aの近傍における横引管路32の左右方向の断面において、底部32aが左右方向に直線的にほぼ水平に延びるように形成されている。また、平坦部32eは、折り返し流路形成部28aの少なくとも前方側における横引管路32の左右方向の断面において、底部32aが左右方向に同様に前後方向に直線的にほぼ水平に延びるように形成されている。
このように、排水トラップ12の上昇管路30は、その断面積が上昇管路30の入口部30cから出口部30dまで一定に形成されている。より厳密には、上昇管路30は、下流側の直線的な流路の断面積が入口部30cから出口部30dまで一定に形成されている。
まず、図2,6〜8に示すように、排水トラップ12の下降管路26、横引管路32、及び上昇管路30の管路内における流路断面の中心軸線をCとし、図2及び図6に示すように、排水トラップ12の下降管路26の出口部26d及び横引管路32の入口部32cにおける流路断面をS6とする。
また、図2及び図7に示すように、排水トラップ12の横引管路32内の中間区間における代表的な流路断面として、共通壁28の折り返し流路形成部28aと横引管路32の底部32aとの間で上下方向に形成される流路断面をS7とする。
さらに、図2及び図8に示すように、排水トラップ12の上昇管路30の入口部30cと出口部30dとの中間区間における代表的な流路断面として、中心軸線Cに対して垂直方向に形成される流路断面をS8とする。
また、排水トラップ12の下降管路26、横引管路32、及び上昇管路30の管路内の流路断面の形状や大きさ等については、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)、ASME(米国機械学会)等によって標準化された寸法に基づいて設定されており、例えば、これらの規格や基準により定められた所定直径の基準球が排水トラップ12の全管路内を通過することができるような寸法に設定されている。
なお、本実施形態の小便器1の排水トラップ12の下降管路26、横引管路32、及び上昇管路30の管路内の流路断面の形状や大きさについて「同一」という用語が用いられている場合には、この用語「同一」の意味は、比較物同士が完全に一致する「完全同一」の場合を意味すると共に、便器本体2の製造誤差を含み且つ「完全同一」の場合と同様な効果を奏する程度の「ほぼ同一」の場合の意味も含む。
次に、図9は、図1に示す本発明の一実施形態による小便器の便器本体の排水室の部分を拡大した部分拡大側面断面図である。
図2,9に示すように、小便器本体2の排水トラップ12の上昇管路30の後方側(下流側)には、ボウル面9を洗浄して排水口10から排水トラップ12の下降管路26に流れ込んで上昇管路30から排出された洗浄水(排水)を小便器本体2の背面外側の排水配管15側へ排出させる排水室34が形成されている。
また、排水室34の下方領域には、排水トラップ12の上昇管路30の後端部30eに接続されて後方に延びる接続通路を形成する接続通路部38が設けられており、この接続通路部38の後端部の接続口40は、小便器本体2の背面外側の排水配管15に接続されている。また、排水室34の少なくとも排水時に洗浄水が通過する面については、排水トラップ12の内壁面と同様に釉薬層が設けられている。
なお、本実施形態では、接続通路部38の後端部の接続口40が排水配管15に接続されている形態について説明するが、排水ソケット(図示せず)等を介して、接続通路部38と排水配管15とが接続されてもよい。また、接続通路部38については、排水トラップ12の上昇管路30に一体的に形成されている形態について説明するが、樹脂等を用いて排水トラップ12と別体に形成されてもよい。
これにより、掃除口36の中心軸線に沿った上方から見て、接続通路部38の底面から接続口40の後側付近における排水配管15の内面にかけての投影面に相当する領域が目視可能となっている。
特に、尿石の溜まりやすい接続通路部38の底面、排水配管15の底面、及び、接続口40における接続通路部38の後端部と排水配管15の前端部との接続部の段差付近の尿石について、掃除口36から挿入した掃除用具で確実に除去することができるようになっている。
なお、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、掃除口36は設けなくてもよい。
次に、図1,2を参照して、本発明の一実施形態による動作について説明する。
通常、使用者が小便器1の前に立つと、人体検知センサ22が使用者の存在を検出して検出情報を制御ユニット24に送り、制御ユニット24は使用者の存在を認識する。使用者が排尿する前の待機状態においては排水トラップ12内には主に洗浄水が溜水Wとして存在している状態になっている。
使用者が小便器1のボウル部8に排尿を行うとき、ボウル部8の底部から排水トラップ12内に尿が流れ込み、流れ込んだ尿によってもともと存在した溜水Wの大部分が排出され(置換され)、排水トラップ12内には尿と水とが混ざり合った尿濃度の非常に高い液体が新たな溜水Wとして存在する状態となる。
制御ユニット24は、開閉弁18に制御信号を送って開閉弁18を開き、電解槽16で生成された電解除菌水を洗浄水として、先に決定した量だけ電解除菌水吐水部20からボウル部8に吐水させる。吐水される電解除菌水の量は、単位時間あたりほぼ一定の流量に設定されている。この電解除菌水は、ボウル部8を流下してボウル面9に付着した尿を洗い流すと共に、ボウル部8を除菌して排水口10に到達して排水トラップ12へと流入する。
なお、排水口10の上方入口部に上方から挿入されて取り付けられる目皿を備えることとしてもよい。少なくとも前方側と後方側の所定箇所に上下方向へ貫く複数の流入口が形成された目皿の周面と、排水口10の内周面との間に隙間を形成することで、ボウル面9から流下してきた電解除菌水が、この隙間や目皿に形成された流入口に流れ込み、排水トラップ12へと流入する。
電解除菌水吐水部20からの吐水が一定時間継続されると、制御ユニット24は、開閉弁18を閉止して、電解除菌水吐水部20からの吐水を終了させる。このようにして、小便器1の一連の洗浄動作が終了する。
なお、本実施形態では電解除菌水のみを洗浄水として流すこととしたが、本発明はこれに限られず、水道等の給水源から給水管14へ給水された通常水と電解除菌水の両方を洗浄水として流してもよい。また、通常水と電解除菌水の両方を吐水する場合、吐水するタイミングは同時でもよいし、あるいは状況に応じてずらしてもよい。例えば、使用者が排尿を終えた後は通常水を流し、一定期間使用されていない場合においては電解除菌水を流す。この場合、通常水と電解除菌水は同じ電解除菌水吐水部20から吐水してもよいし、通常水のみを吐水する吐水部を新たに設けてもよい。また、通常水と電解除菌水とを同量吐水してもよいし、通常水よりも電解除菌水の吐水量を少なくしてもよい。
次に、図10により、本発明の一実施形態による小便器1の排水時における排水トラップ12内の洗浄水の流速について説明する。
排水口10から下降管路26の入口部26cへと流下した洗浄水は、矢印F14に示すように下降管路26を流下して横引管路32の入口部32cへと流入する。横引管路32に流入する洗浄水のうち、横引管路32の上部側、すなわち折り返し流路形成部28aの近傍の部分を流れる洗浄水は、矢印F15に示すように折り返し流路形成部28aの周りを比較的急角度且つ短い距離で折り返すように流れ、流速が比較的大きく低減される。
これに対し、横引管路32に流入する洗浄水のうち、横引管路32の底部側(下部側)、すなわち横引管路32の底部32aの近傍の部分に流入する洗浄水は、矢印F16に示すように、洗浄水が、横引管路32の入口側円弧形状部32hから横引管路32の底部32aに延びる円弧形状の曲りに沿ってスムーズに流れ、比較的速い流速が維持されている。
そのため、上昇管路30の入口部30cの折り返し流路形成部28aの近傍における洗浄水の流れF15の流速と、その入口部30cの上昇管路後壁30bの近傍における洗浄水の流れF18の流速との間にさらなる流速差が生じる可能性がある。
次に、本発明の一実施形態による小便器1の作用効果を説明する。
本発明の一実施形態においては、前記したように、排水トラップ12の内壁面に釉薬層を設けており、釉薬層を設けない場合に比べて排水トラップ12の内壁表面の細孔が少なくなり、排水トラップ12内壁面の平滑度が高くなる。そのため、釉薬層を設けずに陶器素地のみで構成される場合に比べて、排水トラップ12内の排水抵抗が低減される。上昇管路において洗浄水の流速差が生じる要因の1つとして、排水トラップ12の素地表面の凹凸による摩擦が、排水トラップ12内の水流の抵抗となり、排水トラップ12内壁面付近の洗浄水の流れを阻害して排水全体の流速を低下させてしまうことが挙げられる。つまり、排水トラップ12に釉薬層を設けることで排水トラップ12内壁面の平滑度が高まるため、排水全体の流速が低下しにくく、上述したような排水トラップ12内における洗浄水の流速差を抑えることがで、破線矢印fのような上昇管路30内での洗浄水の流れの淀みを抑制することができる。したがって、排水トラップ12に流入した洗浄水が上昇管路30を上昇して排水室34まで行き届きやすくなることで、接続口40付近に留まった雑菌を除菌することができ、尿石の発生を抑制することができる。また、上昇管路30内における流れの淀みを抑制することで、排水トラップ12内の尿と水とが混ざり合った尿濃度の非常に高い液体が、新たな排水トラップ12に流入する洗浄水によって効率よく置換されるように(入れ替えられるように)排出される。よって、洗浄水量が低減される場合においても、比較的少ない洗浄水量により、排水トラップ12内の尿濃度の非常に高い液体を効率よく置換することが可能となり、溜水Wの置換率が向上されることが可能となる。この置換率は、排水トラップ12内に溜水Wとして貯水されていた洗浄水の総量のうち、どのくらいの割合が、1回の洗浄動作において排水トラップ12に新たに流入する洗浄水によって置換され、どのくらいの割合が新たな溜水W中に残るかの比率を示している。すなわち、排水トラップ12内の尿を含む排水を効率良く洗浄水に置換して洗浄性能を向上させることができるため、排水トラップ12内における尿の残留を抑制して尿石の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、抵抗部32bは底部32aが平坦に形成されている平坦部32eである形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られず、抵抗部として上述の平坦部32eに代えて或いは加えて底部32aに、凹凸部や突出された突起部、山形に隆起された隆起部、リブ状の突起部のいずれか或いはいくつかが形成されることとしてもよい。このような形態においても、上昇管路30に流入する洗浄水の流速差を抑制することができる。
したがって、排水トラップ12内の尿を含んだ排水は、下降管路26から横引管路32内に流れ込んだ新たな洗浄水により、横引管路32内を通過し、淀みなくスムーズに上昇管路30へ押し上げられて下流側に流れることができるため、横引管路32内の排水を横引管路32の出口部32dから上昇管路30へ効率良く排出することができる。
また、掃除用具としてブラシ等を用いる代わりに、高圧洗浄水のノズルを掃除口36へ挿入し、ノズルの先端から高圧の洗浄水を噴出させて尿石を除去してもよい。さらに、掃除口36から薬剤を投入して尿石を溶解させてもよい。
以上のように、接続通路部38や排水配管15を簡単且つ確実に清掃することができるので、小便器1を排水配管15から取り外すことなく、排水トラップ12より下流の接続通路部20の清掃をすることができ、短時間で清掃作業を完了することができる。
2 小便器本体
3 蓋
4 自動洗浄ユニット(吐水装置)
6 収納室
7 前面
8 ボウル部
9 ボウル面
10 排水口
12 排水トラップ
14 給水管
15 排水配管
16 電解槽
18 開閉弁
20 電解除菌水吐水部(除菌水吐水部)
22 人体検知センサ
24 制御ユニット
26 下降管路
26a 下降管路前壁
26b 下降管路後壁
26c 下降管路の入口部
26d 下降管路の出口部
28 共通壁
28a 折り返し流路形成部
30 上昇管路
30a 上昇管路前壁
30b 上昇管路後壁
30c 上昇管路の入口部
30d 上昇管路の出口部
30e 上昇管路の後端部
32 横引管路
32a 横引管路の底部
32b 横引管路の抵抗部
32c 横引管路の入口部
32d 横引管路の出口部
32e 平坦部
32h 入口側円弧形状部
32j 出口側円弧形状部
34 排水室
34a 排水室の前側壁部(ボウル側壁部)
36 掃除口
36a 掃除口の下端縁
38 接続通路部
38a 接続通路部の前端部
40 接続口
42 掃除口蓋
Claims (5)
- 洗浄水によりボウル面を洗浄する小便器であって、
排尿を受ける上記ボウル面を形成するボウル部と、
除菌水を吐水する除菌水吐水部を含み、上記ボウル面に洗浄水を吐水する吐水装置と、
上記ボウル部の下方に設けられ、上記ボウル部の底部に形成された排水口よりも下流側に封水を形成する排水トラップと、を有し、
上記排水トラップは、上記排水口から下方に延びる下降管路と、
上記下降管路の出口部に入口部が接続されて横方向に延びる横引管路と、
上記横引管路の出口部に入口部が接続されて上方に延びる上昇管路と、を備え、
上記下降管路の後壁と上記上昇管路の前壁は共通壁により形成され、
上記排水トラップの内壁には釉薬層が形成される小便器。 - 上記排水トラップの上記上昇管路は、その断面積が入口部から出口部まで一定に形成されている、請求項1に記載の小便器。
- 上記排水トラップの上記横引管路の底部に、この底部近傍を流れる洗浄水の流速を低減させる抵抗部が形成され、
上記抵抗部は、上記横引管路の前後方向の断面において底部が平坦に形成されている平坦部である、請求項1又は2に記載の小便器。 - 上記横引管路及び上記上昇管路のそれぞれの流路断面は、上記下降管路の出口部の流路断面の最小の幅寸法を直径とする基準円と同一の大きさ又は上記基準円を含む大きさとなるように、上記横引管路及び上記上昇管路のそれぞれの流路断面の所定方向の幅寸法が上記基準円の直径と同一に設定されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の小便器。
- 上記排水トラップの後方側には、上記ボウル面を洗浄して上記排水トラップから排出された洗浄水を小便器外部の排出部側へ排出させる排水室部が形成され、
上記排水室部は、その一部が上記排水トラップと上記小便器外部の排出部とを接続する通路を形成する接続通路部と、上記ボウル部内の下方領域と上記排水室部内とを区画するボウル側壁部とを備え、
上記ボウル側壁部には、上記ボウル部内の下方領域と上記排水室部内とを連通し且つ着脱可能な蓋により閉塞される掃除口が形成される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の小便器。
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