JP2016099040A - 磁気熱量素子および熱磁気サイクル装置 - Google Patents

磁気熱量素子および熱磁気サイクル装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数のブロックの間において連続した温度勾配を発生しやすい磁気熱量素子および熱磁気サイクル装置を提供する。【解決手段】第1ブロック61と第2ブロック62との間の隣接部分には、混合部M12が設けられる。混合部M12では、第1ブロック61を形成する第1材料と、第2ブロック62を形成する第2材料とが混合状態で配置されている。混合部M12においては、第1材料と、第2材料とが磁気熱量効果を発揮する。第1材料と第2材料とが、一方向に、または双方向に、磁気熱量効果の発生を補助する。よって、第1材料の磁気熱量効果と、第2材料の磁気熱量効果との繋がりが、第1材料と第2材料との機械的な配置によって改善される。第1材料または第2材料の磁気熱量効果が狙い値からずれても、ずれを許容して、連続した温度勾配を発生することができる。【選択図】図2

Description

ここに開示される発明は、磁気熱量素子およびそれを用いた熱磁気サイクル装置に関する。
特許文献1−4には、磁性体の磁気熱量効果を利用する装置が記載されている。この装置は、高い磁気熱量効果を発揮する磁気熱量素子と呼ばれる磁性体を利用している。例えば、特許文献2には、低温端と高温端との間に、複数のブロックを直列的に配列した装置が開示されている。この装置では、ひとつのブロックが、それに割り当てられた温度帯において高い磁気熱量効果を発揮するように設計されている。さらに、この装置は、全温度範囲にわたって磁気熱量効果を発揮する始動用の素子を備える。このため、ひとつのブロックには、複数の種類の材料からなる複数の素子部材が配置されている。
特許第5351275号公報 特表2012−503754号公報 米国特許第8448453号明細書 特開2012−229634号明細書(段落0101)
従来の装置では、ひとつのブロックが磁気熱量効果を発揮する温度帯と、そのブロックに隣接する他のブロックが磁気熱量効果を発揮する温度帯とが重複している。この重複温度帯は、それら隣接する2つのブロックが、それら2つのブロックにわたる連続した温度勾配を作り出すために貢献する。しかし、ブロックを形成する磁気熱量材料のロット毎の性能差など、多様な原因に起因して、上記重複温度帯が変化することがある。所定の重複温度帯が得られない場合、それらブロックは所定の性能を発揮できない場合がある。
例えば、複数のブロックがそれらにわたる連続した温度勾配を作り出す場合、狭い重複温度帯は、温度勾配の生成を妨げる。このため、求められる温度勾配を作り出せない場合、または求められる温度勾配が提供されるまでに予想以上の長時間を要することがある。
上述の観点において、または言及されていない他の観点において、磁気熱量素子および熱磁気サイクル装置にはさらなる改良が求められている。
発明の目的のひとつは、複数のブロックの間において連続した温度勾配を発生しやすい磁気熱量素子および熱磁気サイクル装置を提供することである。
発明の目的の他のひとつは、磁気熱量材料の性能差を許容できる磁気熱量素子および熱磁気サイクル装置を提供することである。
発明の目的のさらに他のひとつは、磁気熱量材料の性能差に対して高いロバスト性をもつ磁気熱量素子および熱磁気サイクル装置を提供することである。
ここに開示される発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
開示される発明のひとつにより、磁気熱量素子(5)が提供される。磁気熱量素子(5)は、第1温度帯において磁気熱量効果を発揮する第1材料により形成された第1ブロックと、第1温度帯と部分的に重複する第2温度帯において磁気熱量効果を発揮する第2材料により形成された第2ブロックとを含む複数のブロック(61−66)を有する。発明は、第1ブロックと第2ブロックとの間の隣接部分に設けられ、第1材料と、第2材料とが混合状態で配置された混合部(M12−10M12)を有することを特徴とする。
この発明によると、第1ブロックと第2ブロックとの間の隣接部分には、混合部が設けられる。混合部では、第1ブロックを形成する第1材料と、第2ブロックを形成する第2材料とが混合状態で配置されている。よって、混合部においては、第1材料と、第2材料とが磁気熱量効果を発揮する。この結果、第1材料と第2材料とが、一方向に、または双方向に、磁気熱量効果の発生を補助する。よって、第1材料の磁気熱量効果と、第2材料の磁気熱量効果との繋がりが、第1材料と第2材料との機械的な配置によって改善される。例えば、第1材料および第2材料が温度勾配を生成するように利用される場合、複数のブロックの間における連続した温度勾配の生成が改善される。混合部においては、第1材料の磁気熱量効果によって得られる温度が、第2材料における磁気熱量効果の発生を促進するように補助する。第1材料または第2材料の磁気熱量効果が狙い値からずれても、そのようなずれを許容して、複数のブロックにわたる連続した温度勾配を発生することができる。
開示される発明のひとつにより、熱磁気サイクル装置が提供される。熱磁気サイクル装置は、上記磁気熱量素子と、磁気熱量素子に供給される磁場が増減するように変調する磁場変調装置(6)と、低温端と高温端との間において磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体の往復流を生成させる熱輸送装置(7)とを備える。
発明を実施するための第1実施形態に係る磁気熱量効果型ヒートポンプ装置(以下、MHP装置という)を含む車両用空調装置を示すブロック図である。 第1実施形態のMHP装置の断面図である。 第1実施形態のMHP装置の断面図である。 第1実施形態の磁気熱量素子(MCE素子)を示す分解斜視図である。 第1実施形態のMCE素子の一部を示す平面図である。 第1実施形態のMCE素子を示す断面図である。 第1実施形態のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 第1実施形態のMCE素子の性能を示すグラフである。 比較例のMCE素子の一部を示す平面図である。 比較例のMCE素子を示す断面図である。 比較例のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 比較例のMCE素子の性能を示すグラフである。 発明の第2実施形態のMCE素子の一部を示す平面図である。 第2実施形態のMCE素子を示す断面図である。 第2実施形態のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 発明の第3実施形態のMCE素子の一部を示す平面図である。 第3実施形態のMCE素子を示す断面図である。 第3実施形態のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 発明の第4実施形態のMCE素子の一部を示す平面図である。 第4実施形態のMCE素子を示す断面図である。 第4実施形態のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 発明の第5実施形態のMCE素子の一部を示す平面図である。 第5実施形態のMCE素子を示す断面図である。 第5実施形態のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 発明の第6実施形態のMCE素子の一部を示す平面図である。 第6実施形態のMCE素子を示す断面図である。 第6実施形態のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 発明の第7実施形態のMCE素子の一部を示す平面図である。 第7実施形態のMCE素子を示す断面図である。 第7実施形態のMCE素子の占有比率を示すグラフである。 発明の第8実施形態のMCE素子の一部を示す斜視図である。 発明の第9実施形態のMCE素子の一部を示す斜視図である。 発明の第10実施形態のMCE素子の一部を示す分解斜視図である。
図面を参照しながら、ここに開示される発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。また、後続の実施形態においては、先行する実施形態で説明した事項に対応する部分に百以上の位だけが異なる参照符号を付することにより対応関係を示し、重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については他の形態の説明を参照し適用することができる。
(第1実施形態)
図1は、発明を実施するための第1実施形態に係る車両用空調装置1を示すブロック図である。車両用空調装置1は、車両に搭載され、車両の乗員室の温度を調節する。車両用空調装置1は、2つの熱交換器3、4を備える。熱交換器3は、熱交換器4より低温になる低温側熱交換器である。熱交換器4は、熱交換器3より高温になる高温側熱交換器である。車両用空調装置1は、熱交換器3および/または熱交換器4を室内空調のために利用するための空調ダクトおよび送風機などの空気系機器を備える。
車両用空調装置1は、冷房装置または暖房装置として利用される。車両用空調装置1は、室内に供給される空気を冷却する冷却器と、冷却器によって冷却された空気を再び加熱する加熱器とを備えることができる。すなわち、熱交換器3は冷却器として用いることができる。また、熱交換器4は加熱器として用いることができる。
車両用空調装置1は、磁気熱量効果型ヒートポンプ装置2を有する。磁気熱量効果型ヒートポンプ装置2はMHP(Magneto-caloric effect Heat Pump)装置2とも呼ばれる。MHP装置2は、熱磁気サイクル装置を提供する。この明細書においてヒートポンプ装置の語は広義の意味で使用される。すなわち、ヒートポンプ装置の語には、ヒートポンプ装置によって得られる冷熱を利用する装置と、ヒートポンプ装置によって得られる温熱を利用する装置との両方が含まれる。冷熱を利用する装置は、冷凍サイクル装置とも呼ばれることがある。よって、この明細書においてヒートポンプ装置の語は冷凍サイクル装置を包含する概念として使用される。
MHP装置2は、車両用空調装置1における冷熱供給源、または温熱供給源として利用される。例えば、車両用空調装置1が冷房装置として利用されるとき、MHP装置2は、冷熱供給源として作動させられる。この場合、熱交換器3は室内熱交換器を提供する。熱交換器4は、室外の空気に熱を放出する放熱器として機能する。室内の空気と室外の空気との温度差が冷房のための熱負荷に相当する。車両用空調装置1が暖房装置として利用されるとき、MHP装置2は、温熱供給源として作動させられる。この場合、熱交換器4は室内熱交換器を提供する。熱交換器3は、室外の空気から熱を吸収する吸熱器として機能する。室内の空気と室外の空気との温度差が暖房のための熱負荷に相当する。
MHP装置2は、磁気熱量素子5の磁気熱量効果を利用することによって低温と高温とを生成する。磁気熱量素子5は、MCE(Magneto-Caloric Effect)素子5とも呼ばれる。なお、この明細書では、MCE素子の語は、最小単位または集合体を指すように多様に使われることがある。
MCE素子5は、作業室内に、熱輸送媒体と熱交換するように配置されている。MCE素子5は、外部磁場の強弱の変化に応答して発熱と吸熱とを生じる。MCE素子5は、外部磁場の印加により発熱し、外部磁場の除去により吸熱する。MCE素子5は、外部磁場が印加されることによって電子スピンが磁場方向に揃うと、磁気エントロピーが減少し、熱を放出することによって温度が上昇する。また、MCE素子5は、外部磁場が除去されることによって電子スピンが乱雑になると、磁気エントロピーが増加し、熱を吸収することによって温度が低下する。
MCE素子5は、熱機器として必要な性能を発揮するように、所定の高効率温度帯において高い磁気熱量効果を発揮する。磁気熱量効果は、磁場の変化の下での発熱量および/または吸熱量によって示される。図示されるMCE素子5は、低温端11から高温端12に向けて高効率温度帯が段階的に徐々に高くなる階段状の特性を有する。MCE素子5の磁気熱量材料は、必要な性能を発揮するように選定されている。MCE素子5は、常温域において高い磁気熱量効果を発揮する磁性体によって作られている。例えば、ガドリニウム系材料、またはランタン−鉄−シリコン化合物を用いることができる。また、マンガン、鉄、リンおよびゲルマニウムの混合物を用いることができる。MCE素子5には、外部磁場の印加により吸熱し、外部磁場の除去により発熱する素子を利用してもよい。
MHP装置2は、磁場変調装置6を備える。磁場変調装置6は、MCE素子5に印加される磁場の強さを周期的に増減させる。磁場変調装置6は、MCE素子5に外部磁場を与えるとともに、その外部磁場の強さを増減させる。磁場変調装置6は、MCE素子5を強い磁界内に置く励磁状態と、MCE素子5を弱い磁界内またはゼロ磁界内に置く消磁状態とを周期的に切換える。磁場変調装置6は、MCE素子5が強い外部磁場の中に置かれる励磁期間、およびMCE素子5が励磁期間より弱い外部磁場の中に置かれる消磁期間を周期的に繰り返すように外部磁場を変調する。磁場変調装置6は、後述する熱輸送媒体の往復的な流れに同期して、MCE素子5への磁場の印加と除去とを繰り返す。磁場変調装置6は、外部磁場を生成するための磁力源70、例えば永久磁石、または電磁石を備える。
MHP装置2は、熱輸送装置7を備える。熱輸送装置7は、MCE素子5が放熱または吸熱する熱を輸送するための熱輸送媒体と、この熱輸送媒体を流すための流体機器とを備える。熱輸送装置7は、MCE素子5と熱交換する熱輸送媒体をMCE素子5に沿って流す装置である。熱輸送装置7は、MCE素子5に沿って熱輸送媒体を往復的に流す。熱輸送装置7は、磁場変調装置6による外部磁場の変化に同期して、熱輸送媒体の往復的な流れを発生させる。熱輸送装置7は、磁場変調装置6による磁場の増減に同期して熱輸送媒体の流れ方向を切換える。MCE素子5と熱交換する熱輸送媒体は一次媒体と呼ばれる。一次媒体は、不凍液、水、油などの流体によって提供することができる。熱輸送装置7は、熱輸送媒体を流すためのポンプ30を備える。
磁場変調装置6と熱輸送装置7とは、MCE素子5をAMR(Active Magnetic Refrigeration)サイクルの素子として機能させる。熱輸送装置7によってMCE素子5に沿って第1方向に熱輸送媒体が流されるときに、磁場変調装置6はMCE素子5に強い磁場を印加する。第1方向は、低温端11から高温端12に向かう方向である。熱輸送装置7によってMCE素子5に沿って第1方向とは反対の第2方向に熱輸送媒体が流されるとき、磁場変調装置6は、MCE素子5に弱い磁場またはゼロ磁場を印加する。第2方向は、高温端12から低温端11に向かう方向である。磁場変調装置6および熱輸送装置7に関しては、多様な構成を採用することができ、それらの装置に関してはこの明細書に列挙された先行技術文献の記載を参照することができる。先行技術文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用される。
MHP装置2は、モータ20と、ポンプ30と、第1の磁気熱量装置ユニット40と、第2の磁気熱量装置ユニット50と、変速機80、90とを備える。モータ20は、動力源である。モータ20に代えて、内燃機関を含む多様な動力源を利用することができる。ポンプ30は、MCE素子と熱交換し熱を輸送するための熱輸送媒体の流れを生成する。第1の磁気熱量装置ユニット40と、第2の磁気熱量装置ユニット50とは、それぞれがMCE素子を収容している。磁気熱量装置ユニット40、50は、MCD(Magneto-Caloric effect Device)ユニット40、50とも呼ばれる。変速機80、90は、熱輸送媒体の往復流と、後述の磁場変調装置による磁場の変動とを所定の同期状態に調節するために利用される。
MHP装置2は、低温端11に冷熱を供給し、高温端12に温熱を供給する。MHP装置2が運転されると、MHP装置2に内蔵されたMCE素子5は、低温端11において低温となり、高温端12において高温となる。MCE素子5が供給する冷熱と温熱とは、ポンプ30によって流される熱輸送媒体によって輸送される。熱輸送媒体は、水である。以下、MHP装置2の熱輸送媒体を作業水と呼ぶ。低温端11から、低温の作業水が流れ出し、冷熱が外部に供給される。作業水は、外部に冷熱を供給した後に、低温端11へ戻る。このとき、低温端11に温熱が運び込まれる。高温端12から、高温の作業水が流れ出し、温熱が外部に供給される。作業水は、外部に温熱を供給した後に、高温端12へ戻る。このとき、高温端12に冷熱が運び込まれる。
この実施形態では、MHP装置2は、複数のMCDユニット40、50を備える。低温側のMCDユニット40は、中間高温端13に温熱を供給する。高温側のMCDユニット50は、中間低温端14に冷熱を供給する。中間高温端13と中間低温端14との間は、変速機80、90、ポンプ30、およびそれらの間に存在する熱輸送媒体によって熱的に結合されている。中間高温端13と中間低温端14との間には、低温端11と高温端12との間に所定の温度勾配を形成するために十分な熱的な結合が提供されている。
車両用空調装置1は、MHP装置2と熱交換器3とを通る低温系統15を備える。低温系統15は、循環流路を有する。低温系統15を流れる作業水は、MHP装置2と熱交換器3との間で熱を輸送する。車両用空調装置1は、MHP装置2と熱交換器4とを通る高温系統16を備える。高温系統16は、循環流路を有する。高温系統16を流れる作業水は、熱交換器4とMHP装置2との間で熱を輸送する。
車両用空調装置1は、制御装置(CNTR)8を備える。制御装置8は、車両用空調装置1の制御可能な複数の要素を制御する。例えば、制御装置8は、MHP装置2の作動と停止とを少なくとも切換えるようにモータ20を制御する。また、制御装置8は、変速機80、90による回転速度および/または回転位相の変換状態を切換えるように変速機80、90を制御することができる。
制御装置は、電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置は、少なくともひとつの演算処理装置(CPU)と、プログラムとデータとを記憶する記憶媒体としての少なくともひとつのメモリ装置(MMR)とを有する。制御装置は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納している。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置は、ひとつのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置によって実行されることによって、制御装置をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。制御装置は、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、機能を実行するための手段と呼ぶことができ、別の観点では、それらの要素の少なくとも一部は、構成として解釈されるブロック、または構成として解釈されるモジュールと呼ぶことができる。
制御装置が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置がハードウェアである回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
図2は、第1実施形態のMHP装置2の断面図である。図3は、第1実施形態のMHP装置2の断面図である。図2は、図3に示されたII−II断面を示す。図3は、図2に示されたIII−III断面を示す。
この実施形態では、MCE素子5は、低温端11と高温端12との間に直列的に配列された複数のブロック61−66を有する。複数のブロック61−66は、温度勾配に沿って直列に配列されている。複数のブロック61−66は、それぞれの高能力温度帯によって、低温端11と高温端12との間の温度差を分担するように配置されている。
複数のブロック61−66は、互いに部分的に重複するように設定された複数の温度帯において磁気熱量効果を発揮する複数の材料によってそれぞれ形成されている。例えば、第1ブロック61は、第1温度帯において磁気熱量効果を発揮する第1材料により形成されている。第2ブロック62は、第1温度帯と部分的に重複する第2温度帯において磁気熱量効果を発揮する第2材料により形成されている。複数のブロック61−66は、互いにキュリー温度が異なる材料によって提供されている。複数のブロック61−66は、温度勾配に沿って、キュリー温度の順で配置されている。
MCDユニット40に含まれる複数のブロック61−63は、部分ブロック群49を提供する。ブロック61−63は、低温端11と中間高温端13との間に直列に配列されている。MCDユニット50に含まれる複数のブロック64−66は、部分ブロック群59を提供する。ブロック64−66は、中間低温端14と高温端12との間に直列に配列されている。
部分ブロック群49、59は、それらの間における十分な熱的な結合によって、一連のブロック群60を提供する。MCDユニット40、50は、熱的に直列接続された複数の部分ブロック群49、59を有する。MCDユニット40、50は、熱的に並列接続された複数のブロック群60を有する。
隣接する2つのブロックの間には、混合部M12、M23、M45、M56が設けられている。混合部M12、M23、M45、M56は、作業水の流れ方向に関して、2つのブロックの間に設けられている。言い換えると、混合部M12、M23、M45、M56は、2つのブロックの配列方向に関して、2つのブロックの間に設けられている。これら混合部M12、M23、M45、M56は、隣接する2つのブロックを形成する磁気熱量材料の単位部材を混合的に配置することによって提供される。
なお、混合部M12、M23、M45、M56は、その両側に本来のブロックの材料だけで形成された非混合部を残すように形成される。よって、部分ブロック群49、59の全体、またはブロック群60の全体が混合部によって形成されることはない。例えば、混合部M12の両側には、第1ブロック61を形成する磁気熱量材料によって提供され、隣接する第2ブロック62を形成する磁気熱量材料を含まない非混合部と、第2ブロック62を形成する磁気熱量材料によって提供され、隣接する第1ブロック61を形成する磁気熱量材料を含まない非混合部とが設けられている。
なお、第1ブロック61が担当する温度帯と第2ブロック62が担当する温度帯との両方に跨る広い温度帯において高い磁気熱量効果を発揮する磁気熱量材料が、第1材料および第2材料に加えて、併用されてもよい。このような磁気熱量材料は、装置の起動を支援する。このような起動用の磁気熱量材料は、混合部にも配置されてもよい。かかる場合、起動用の磁気熱量材料は、広い温度帯において磁気熱量効果を発揮するから、第1ブロック61のための磁気熱量材料、および第2ブロック62のための磁気熱量材料からは、明確に区別することができる。
モータ(MTR)20は、車載の電池によって駆動される。モータ20は、ポンプ30を駆動する。これにより、モータ20とポンプ30とは、作業水の往復的な流れを生じさせる。ポンプ30は、後述の逆止弁を含む弁機構とともに熱輸送装置7を提供する。
モータ20は、MCDユニット40、50における磁力源70として設けられた永久磁石45、55を回転駆動する。これにより、モータ20とMCDユニット40、50とは、MCE素子5へ外部磁場を印加する状態と、MCE素子5から外部磁場を除去した状態(外部磁場を印加しない状態)との間での交互切換を生じさせる。永久磁石45、55、その回転機構、および磁路を形成する部材は、磁場変調装置6を提供する。
ポンプ30は、MCE素子5をAMR(Active Magnetic Refrigeration)サイクルとして機能させるための作業水の往復流をMCDユニット40、50内に生じさせる。往復流は、作業水がMCDユニット40、50のそれぞれにおいて、高温端と低温端との間を往復する流れである。さらに、ポンプ30は、MCDユニット40、50によって得られた冷熱および/または温熱を、外部に供給するための作業水の循環流を生じさせる。循環流は、低温系統15と高温系統16とを流れる。この実施形態では、ポンプ30は、往復流と、循環流との両方を生じさせる。ポンプ30は、低温側外部循環流と、高温側外部循環流との両方を生じさせる。
ポンプ30は、容積型の往復流ポンプである。ポンプ30は、ラジアル型のピストンポンプである。ポンプ30は、円筒状または円柱状と呼びうるハウジング31を備える。ハウジング31は、その中心軸上に回転軸32を回転可能に支持している。ハウジング31は、少なくともひとつのシリンダ33を区画形成している。ハウジング31は、5つのシリンダ33を区画形成している。ポンプ30は5気筒のピストンポンプを提供する。ハウジング31は、カム板34を収容している。カム板34は、ハウジング31の中心軸に対して偏心したカム面を提供する。カム板34は、回転軸32とともに回転するように回転軸32に連結されている。シリンダ33には、ピストン35が配置されている。カム板34は、ピストン35を往復駆動するようにピストン35と作動的に連結されている。
一組のシリンダ33とピストン35とは、中間高温端13から低温端11へ向かう作業水の流れと、中間低温端14から高温端12へ向かう作業水の流れとを同時に生成する。また、一組のシリンダ33とピストン35とは、低温端11から中間高温端13へ向かう作業水の流れと、高温端12から中間低温端14へ向かう作業水の流れとを同時に生成する。一組のシリンダ33とピストン35とは、部分ブロック群49と部分ブロック群59との両方に対応している。
MCDユニット40と、MCDユニット50とは、ポンプ30の両側に分かれて配置されている。MCDユニット40、50は、円筒状または円柱状と呼びうるハウジング41、51を備える。ハウジング41、51は、その中心軸上に回転軸42、52を回転可能に支持する。ハウジング41、51は、回転軸42、52の周囲に、円柱状の空間である磁石収容室43、53を区画形成している。回転軸42、52には、ロータコア44、54が固定されている。ロータコア44、54は、その周方向に沿って磁束を通しやすい範囲と、磁束を通しにくい範囲とを形成するように構成されている。ロータコア44、54は、その断面において、少なくともひとつの扇状部分を有する。この実施形態では、ロータコア44、54は、2つの扇状部分を有する。ロータコア44、54には、永久磁石45、55が固定されている。永久磁石45、55は、部分円筒状であり、その断面が扇型である。永久磁石45、55は、ロータコア44、54の扇状部分の外周面に固定されている。
ロータコア44、54と永久磁石45、55とは、それらの周囲に、永久磁石45、55が提供する外部磁場が強くなる領域と、永久磁石45、55が提供する外部磁場が弱くなる領域とを形成する。外部磁場が弱くなる領域では、外部磁場がほぼ除去された状態が提供される。ロータコア44、54と永久磁石45、55とは、回転軸42、52の回転に同期して回転する。よって、外部磁場が強い領域と、外部磁場が弱い領域とは、回転軸42、52の回転に同期して回転する。この結果、ロータコア44、54と永久磁石45、55との周囲の一点においては、外部磁場が強く印加される期間と、外部磁場が弱くなりほぼ除去された期間とが繰り返して生じる。したがって、ロータコア44、54と永久磁石45、55とは、外部磁場の印加および除去を繰り返す磁場印加除去手段を提供する。ロータコア44、54と永久磁石45、55とは、磁場変調装置6を提供する。
ハウジング41、51は、磁石収容室43、53の径方向外側に、等間隔に配置された複数の作業室46、56を区画形成している。この実施形態では、ひとつのハウジング41、51は、5つの作業室46、56を区画形成している。それぞれの作業室46、56は、ハウジング41、51の軸方向に沿って長手方向を有する柱状空間を形成している。ひとつの作業室46、56は、ひとつのシリンダ33だけに対応するように設けられている。ひとつのシリンダ33の両側に、作業室46と作業室56とが配置されている。
作業室46、56は、その一端に作業水が出入りする第1の出入口部を有する。第1の出入口部は、熱交換器3、4へ作業水を供給する出口と、熱交換器3、4から戻る作業水を受け入れる入口とを有する。出口には、作業室46、56からの作業水の流出だけを許容する逆止弁47、57が設けられている。入口には、作業室46、56への作業水の流入だけを許容する逆止弁48、58が設けられている。これら逆止弁47、48、57、58は、リードバルブ、またはボールバルブによって提供することができる。これら逆止弁47、48、57、58は、往復流を生成するための弁機構を提供する。作業室46、56は、その他端にポンプ30に連通する第2の出入口部を有する。第2の出入口部は、ひとつのシリンダ33とひとつのピストン35とによって形成されるひとつのポンプ室だけと連通している。
作業室46、56は、熱を輸送するための媒体としての作業水が流通する流路を提供する。作業室46、56内には、その長手方向に沿って作業水が流れる。作業水は、作業室46、56内を長手方向に沿って往復するように流れる。さらに、作業室46、56は、MCE素子5を収容する収容室を提供する。
変速機80は、回転軸32と回転軸42との間に設けられている。変速機80は、回転軸32と回転軸42との間の回転速度、および/または回転位相を調節する。変速機90は、回転軸32と回転軸52との間に設けられている。変速機90は、回転軸32と回転軸52との間の回転速度、および/または回転位相を調節する。この実施形態では、回転軸42にモータ20が接続されている。変速機80、90は、AMRサイクルが実現されるようにポンプ30とMCDユニット40、50とが運転されるように、回転軸32と、回転軸42と、回転軸52との回転関係を調節する。
図4はMCE素子5を提供するひとつの部分ブロック群49を示す分解斜視図である。部分ブロック群49は、素子ベッドとも呼ばれることがある。図中には、MCDユニット40内の部分ブロック群49が例示されている。MCDユニット50内の部分ブロック群59も、図示と同様に構成されている。
MCE素子5を提供する部分ブロック群49は、作業水の流れ方向FD、すなわち温度勾配の方向に沿って直列的に配列された複数のブロック61、62、63を有する。複数のブロック61、62、63は、それらの間に隙間を形成して、または互いに密着して配列されている。流れ方向FDに沿って隣接する2つのブロックの間には、作業水の流れを補助するためのスペーサ部材を設けてもよい。スペーサ部材は、巨大な磁気熱量効果をもたない材料によって提供することができる。
複数のブロック61、62、63のそれぞれは、複数の素子部材60aを有する。素子部材60aは、薄い板状である。素子部材60aは、磁気熱量材料で形成された最小単位としての単位部材である。素子部材60aは、素子片、素子板、素子ピースなどとも呼ぶことができる。
ひとつのブロック内においては、複数の素子部材60aは、流れ方向FDに直交する積層方向SDに沿って積層的に配置されている。
素子部材60aは、磁気熱量材料によって形成されている。素子部材60aを形成する磁気熱量材料は、その素子部材60aが形成するブロックが担当する温度帯に適した磁気熱量材料である。言い換えると、ひとつのブロックを形成する複数の素子部材60aは、そのブロックが担当する温度帯において高い磁気熱量効果を発揮する磁気熱量材料によって形成されている。例えば、第2ブロック62を形成する素子部材60aは、定格運転において予定された温度分布の下で、第2ブロック62が置かれる温度帯において、高い磁気熱量効果を発揮する磁気熱量材料で作られている。なお、ひとつのブロックを構成する複数の素子部材60aの磁気熱量効果の間には、無視しうる誤差、または不可避の誤差が存在する。よって、ひとつのブロックを構成する複数の素子部材60aは完全に同一である必要はない。
複数の素子部材60aは、求められる機能に適合した多様な形状を有することができる。複数の素子部材60aのほとんどは、作業水の流路60bを有する。流路60bは、素子部材60aに形成された溝によって提供される。流路60bは、積層方向SDに隣接する2つの素子部材60aの間に設けられる。流路60bは、素子部材60aと作業水との間における高い熱交換性能を提供するマイクロチャンネルによって提供される。マイクロチャンネルは、素子部材60aの間に形成された薄い流路である。積層方向SDの端部に配置された素子部材60aは、溝を持たない板状である。
複数の素子部材60aは、その流れ方向FDの端部において、多様な形状を有することができる。複数の素子部材60aのうち、少なくとも一部の素子部材60aは、流れ方向FDに対して斜めの斜面60cを有する。一部の素子部材60aは、流れ方向FDに対して垂直な垂直面を有することができる。
斜面60cは、ひとつのブロックの流れ方向FDにおける端部を提供する素子部材60aに形成されている。斜面60cは、ひとつのブロックの流れ方向FDの端部に形成されている。斜面60cは、ひとつのブロックを形成する複数の素子部材60aのうち、隣接する他のブロックに対向する素子部材60aの、当該対向面に形成されている。斜面60cは、流れ方向FDに関して隣接する2つのブロックの間に対応して設けられている。流れ方向FDに関して隣接する2つの素子部材60aのそれぞれに斜面60cは設けられている。ひとつのブロックに設けられた斜面60cと、隣接する他のブロックに設けられた斜面60cとは、互いに平行に形成されている。
ひとつのブロックに設けられた斜面60cと、隣接する他のブロックに設けられた斜面60cとは、それらブロックに楔形状の部分を形成する。これら楔形状の部分は、互いに噛み合わせることができる形状である。
隣接する2つのブロックは、それらが提供する楔形状の部分を噛み合わせるように位置づけられる。言い換えると、隣接する2つのブロックは、流れ方向FDと垂直な方向、例えば幅方向WDに関して、それらが互いに重複するように配置される。この結果、混合部M12、M23が形成される。上記斜面60cは、混合部M12、M23にわたって広がり、流れ方向FDに対して傾斜している。混合部M12、M23では、隣接する2つのブロックを形成する素子部材60aが混合状態で配置される。この実施形態では、隣接する2つのブロックを形成する素子部材60aが幅方向WDに関して重複的に配置される。
混合部M12、M23では、ひとつのブロックを形成する素子部材60aが占める割合が、そのブロックから他のブロックに向けて減少する。この実施形態では、斜面60cによって、ひとつのブロックを形成する素子部材60aが占める割合は、そのブロックから他のブロックに向けて連続的に徐々に減少する。
第1ブロック61は磁気熱量材料である第1材料により形成された複数の第1素子部材61a、61bの集合体として形成されている。素子部材61aは、ひとつの角が直角の台形である。素子部材61aは、隣の第2ブロック62と対向する端面に、斜面60cを有する。素子部材61aは、素子部材61aと対向する端面に流れ方向FDに直交する垂直面を有する。素子部材61bは、正方形または長方形である。素子部材61bは、その両端面に垂直面を有する。素子部材61a、61bは、部分ブロック群49の端部に垂直面を形成することを可能とする。素子部材61bは、第1ブロック61の体積を調節するために貢献する。
第2ブロック62は磁気熱量材料である第2材料により形成された複数の第2素子部材62aの集合体として形成されている。素子部材62aは、隣のブロック61、63と対向する両方の端面に、斜面60cを有する。素子部材62aは、菱形、または平行四辺形である。素子部材62aは、互いに隣接する3つのブロック61、62、63のうちの中央の第2ブロック62を提供するために好適である。
第3ブロック63は、素子部材63aと、素子部材63bとによって形成されている。素子部材63aは、ひとつの角が直角の台形である。素子部材63aは、隣の第2ブロック62と対向する端面に、斜面60cを有する。素子部材63aは、素子部材63aと対向する端面に流れ方向FDに直交する垂直面を有する。素子部材63bは、正方形または長方形である。素子部材63bは、その両端面に垂直面を有する。素子部材63a、63bは、部分ブロック群49の端部に垂直面を形成することを可能とする。素子部材63bは、第3ブロック63の体積を調節するために貢献する。
この構成では、素子部材61aと素子部材62aとが、それらの斜面60cを互いに対向させ、かつ、接近させて配置されることによって、それらの間に混合部M12が形成される。同様に、素子部材62aと素子部材63aとが、それらの斜面60cを互いに対向させ、かつ、接近させて配置されることによって、それらの間に混合部M23が形成される。例えば、混合部M12においては、第1素子部材61aと第2素子部材62aとが流れ方向FDと垂直な方向WDに関して重複して配置されている。
図5は、混合部M12を示す平面図である。図中には、第1ブロック61と第2ブロック62との間の混合部M12が代表的に図示されている。他の混合部も図示される構成を有している。以下の説明では、混合部M12を代表例として説明する。
混合部M12は、第1ブロック61の楔形状部分と、第2ブロック62の楔形状部分とを互いに噛み合わせることによって提供されている。この結果、第1ブロック61と第2ブロック62との間の混合部M12においては、第1ブロック61を形成する素子部材61aと、第2ブロック62を形成する素子部材62aとが混合状態で存在する。混合部M12においては、素子部材61aと素子部材62aとが、流れ方向FDと垂直な垂直方向、例えば幅方向WDに関して重複して位置している。
第1ブロック61は、混合部M12と、第1材料だけで形成された非混合部とを有する。第2ブロック62は、混合部M12と、第2材料だけで形成された非混合部とを有する。2つの非混合部は、混合部M12の両側に配置されている。非混合部は、特定の温度帯において高い磁気熱量効果を発揮することにより、部分ブロック群49および/またはブロック群60の全体の性能を高くするために貢献する。この構成によると、隣接する2つのブロック61、62を形成する第1材料と第2材料とだけを用いて混合部M12が提供される。
図6は、図5のVI−VI線における断面を示す。第1ブロック61と第2ブロック62とは、流れ方向FDに対して傾斜した斜面60cにおいて対向している。
図7は、磁気熱量材料が占める割合を示すグラフである。上段は、第1ブロック61を形成する磁気熱量材料、すなわち素子部材61aを形成する磁気熱量材料が占める割合PT1を示す。下段は、第2ブロック62を形成する磁気熱量材料、すなわち素子部材62aを形成する磁気熱量材料が占める割合PT2を示す。割合PT1は、混合部M12内において、第1ブロック61から第2ブロック62に向けて徐々に減少する。割合PT2は、混合部M12内において、第1ブロック61から第2ブロック62に向けて徐々に増加する。
図8は、第1ブロック61と第2ブロック62とが発揮する磁気熱量効果を示す。図中には、磁気熱量効果ΔS(J/kgK)、温度Temp(℃)、および流れ方向FDにおける長さL(mm)が図示されている。第1ブロック61は、特性カーブSP1を発揮する。
第2ブロック62は、破線で示される特性カーブSP02を発揮することが望ましい。特性カーブSP02は、いわゆる設計上の狙い値である。この特性カーブSP02が得られる場合、特性カーブSP1と特性カーブSP02とは、十分に広い温度範囲にわたって重複する。このため、第1ブロック61と第2ブロック62とによって、温度勾配TG2が提供される。
ところが、磁気熱量材料のロット毎の性能誤差などに起因して、特性カーブがずれることがある。例えば、第2ブロック62は、特性カーブSP02を発揮することなく、特性カーブSP2を発揮することがある。この場合、特性カーブSP1と特性カーブSP2との間の重複温度範囲は、小さい。この場合、隣り合う2つのブロック61、62が連続的な温度勾配を生成できないことがある。
しかし、この実施形態では、第1ブロック61と第2ブロック62とが、混合部M12において重複して配置されている。言い換えると、隣接するブロックの間の温度軸上における連続性が、素子部材60aの機械的な配置によって補助されている。このため、第1ブロック61は、その楔形状部分の先端部まで延びる温度勾配TG1を生成することができる。温度勾配TG1によって、混合部M12における温度が、特性カーブSP2の最低温度SP2mを上回る。このため、第2ブロック62は特性カーブSP2で示される磁気熱量効果を発揮する。よって、第2ブロック62においても温度勾配が生成される。この結果、特性カーブSP2であっても、温度勾配TG2が得られる。
図9、図10、図11、および図12は、上記図5、図6、図7、図8にそれぞれ対応する図であり、比較例を示す。図10は、図9のX−X線における断面を示す。第1ブロック61を形成する素子部材C61aは、垂直面C60cを有する。第2ブロック62を形成する素子部材C62aは、垂直面C60cを有する。これら複数の素子部材C61a、C62aが提供する複数の垂直面C60cは、流れ方向FDに垂直な面上に配置されている。この結果、第1ブロック61と第2ブロック62とは、垂直面C60cにおいて対向している。この構成では、割合PT1、PT2は、垂直面C60cにおいて1段だけで変化する。
この比較例では、第1ブロック61は、温度勾配TG1Cを生成する。第1ブロック61は、垂直面C60cまでしか温度勾配を生成できない。このため、第1ブロック61が生成する温度は、隣の第2ブロック62の特性カーブSP2の最低温度SP2mを上回ることができない場合がある。この場合、第2ブロック62は、特性カーブSP2で示される磁気熱量効果を発揮できない。また、温度勾配TG1Cが最低温度SP2mをわずかに超えても、特性カーブSP2では周囲の熱負荷に打ち勝って温度勾配を大きく成長させることができない。このため、第2ブロック62では温度勾配TG2Cが得られるにとどまる。これではMHP装置2に必要な性能が発揮されない。
以上に述べた実施形態によると、ブロック群の中の少なくとも一部に、混合部M12、M23、M45、M56が形成される。混合部が設けられることにより、その混合部を提供するブロックは混合部の分だけ温度勾配の方向に沿って長く延在することになる。これにより、混合部を提供する一方のブロックを形成する磁気熱量材料が、ある温度帯において活性化され磁気熱量効果を発揮する場合、その材料により生成される温度差が拡大される。この結果、隣接する他方のブロックを形成する磁気熱量材料が作動可能な温度帯に到達する可能性が高められる。
代表的な第1ブロック61と第2ブロック62との間の隣接部分には、混合部M12が設けられる。混合部M12では、第1ブロック61を形成する第1材料と、第2ブロック62を形成する第2材料とが混合状態で配置されている。具体的には、第1材料と第2材料とは、幅方向WDに関して重複して配置されている。よって、混合部M12においては、第1材料と、第2材料とが磁気熱量効果を発揮する。この結果、第1材料と第2材料とが、一方向に、または双方向に、磁気熱量効果の発生を補助する。よって、第1材料の磁気熱量効果と、第2材料の磁気熱量効果との繋がりが、第1材料と第2材料との機械的な配置によって改善される。
例えば、第1材料および第2材料が温度勾配を生成するように利用される場合、複数のブロックの間における連続した温度勾配の生成が改善される。混合部M12においては、第1材料の磁気熱量効果によって得られる温度が、第2材料における磁気熱量効果の発生を促進するように補助する。第1材料または第2材料の磁気熱量効果が狙い値からずれても、そのようなずれを許容して、複数のブロックにわたる連続した温度勾配を発生することができる。
この実施形態によると、カスケード接続された複数のブロックにおける隣接する2つの温度帯の重なりが擬似的に改善される。言い換えると、隣接する2つのブロックの間の繋がりが改善される。
複数のブロックを形成するために必要な複数種類の磁気熱量材料は、基本材料と呼ぶことができる。また、複数のブロックの温度帯に跨る広い温度帯において磁気熱量効果を発揮する起動用の磁気熱量材料は、付加的材料と呼ぶことができる。この実施形態によると、複数の基本材料によって混合部が形成されるから、基本材料によって、カスケード接続構造の温度軸上における連続性が改善される。よって、コスト、体格において有利な効果が得られる。
この実施形態によると、複数の基本材料によって混合部が形成されるから、狭い温度帯において高い磁気熱量効果を発揮する基本材料による有利な効果を十分に利用することができる。言い換えると、ピーキーな特性カーブを有する材料の使用が可能となる。例えば、上記付加的材料は、広い温度帯において低い磁気熱量効果を発揮することによって、起動直後の過渡運転時に効果を発揮する。しかし、設計時に想定された定格運転における所定の温度勾配が得られた後、すなわち定格運転状態およびその近傍における過渡運転状態においては、付加的材料の貢献は限定的である。むしろ、基本材料に代わって付加的材料が設けられる場合、定格運転状態における磁気熱量効果が損なわれる。これに対して、この実施形態によると、付加的材料の量を抑制すること、または無くすことができる。このため、定格運転状態およびその近傍における過渡運転状態において、基本材料による有利な効果を十分に利用することができる。
この実施形態では、ひとつのブロックを形成するための磁気熱量材料に性能上のばらつきがあっても、例えばキュリー温度のばらつきがあっても、複数のブロックの間に連続性を実現することができる。このため、磁気熱量材料の組成誤差、製造工程上のパラメータの誤差といった多様な誤差があっても、求められる温度勾配を生成することができる。よって、ロバスト性において優れた磁気熱量効果素子および熱磁気サイクル装置が提供される。
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、一方向に傾斜した斜面60cによって混合部が提供される。これに代えて、この実施形態では、V字形に延びる斜面260cによって混合部2M12が形成される。
図13、図14、図15は、図5、図6、図7にそれぞれ対応する。図14は、図13のXIV−XIV線における断面を示す。混合部2M12は、隣接するブロック61、62に設けられた凹状の斜面260cと、凸状の斜面260cとによって提供される。素子部材261aに設けられた斜面260cは、V字形に延びる凹状の面である。素子部材262aに設けられた斜面260cは、V字形に延びる凸状の面である。
この実施形態でも、隣接する2つのブロックを形成する素子部材が、流れ方向FDに垂直な方向である幅方向WDに関して機械的に重複して配置される。よって、隣接する2つのブロックの間に、それらの磁気熱量材料が混合状態で存在する混合部が形成される。また、隣接する2つのブロックの間において割合PT1、PT2が連続的に変化する。
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、幅方向WDに傾斜する斜面60cによって混合部が提供される。これに代えて、この実施形態では、積層方向SDに傾斜する斜面360cによって混合部3M12が形成される。
図16、図17、図18は、図5、図6、図7にそれぞれ対応する。図17は、図16のXVII−XVII線における断面を示す。混合部3M12は、隣接するブロック61、62に設けられた斜面360cによって提供される。それぞれの素子部材361a、362aの流れ方向FDの端面に斜面360cが形成されている。さらに、複数の素子部材361a、362aは、斜面360cが積層方向SDに沿って連続して延びるように、流れ方向FDに関してずれて配置されている。このような形状は、複数の素子部材361a、362aに異なる長さを与えるか、またはそれらをずらして配置することで実現できる。
この実施形態でも、隣接する2つのブロックを形成する素子部材が、流れ方向FDに垂直な方向である積層方向SDに関して機械的に重複して配置される。よって、隣接する2つのブロックの間に、それらの磁気熱量材料が混合状態で存在する混合部が形成される。また、隣接する2つのブロックの間において割合PT1、PT2が連続的に変化する。
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、積層方向SDに沿って連続する斜面360cによって混合部が提供される。これに代えて、この実施形態では、素子部材が提供する層ごとに設けられた斜面460cによって混合部4M12が形成される。
図19、図20、図21は、図5、図6、図7にそれぞれ対応する。図20は、図19のXX−XX線における断面を示す。混合部4M12は、隣接するブロック61、62に設けられた斜面460cによって提供される。それぞれの素子部材461a、462aの流れ方向FDの端面に斜面460cが形成されている。この実施形態では、ひとつの層をなす一対の素子部材461a、462aに設けられた斜面460cの長さが混合部4M12の長さに相当する。この実施形態では、複数の素子部材461a、462aのそれぞれが、斜面460cによって噛み合わせ可能な凸凹形状を与えられ、それらが配置されることによって混合部4M12が形成されている。
この実施形態でも、先行する実施形態と同様の構成が提供されるから、同様の作用効果が得られる。
(第5実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、斜面によって混合部が提供される。これに代えて、この実施形態では、複数の素子部材561a、562aを階段状に配置することによって混合部5M12が形成される。
図22、図23、図24は、図5、図6、図7にそれぞれ対応する。図23は、図22のXXIII−XXIII線における断面を示す。この実施形態では、複数の素子部材561a、562aは、垂直面560cを有する。複数の素子部材561a、562aは、複数の素子部材561a、562aの端部が3段以上の複数の階段形状を形成するように、流れ方向FDに関してずれて配置されている。このような形状は、複数の素子部材561a、562aに異なる長さを与えるか、またはそれらをずらして配置することで実現できる。階段形状の段数は、素子部材561a、562aの数に対応する。
この実施形態では、ひとつのブロックを形成する素子部材が占める割合PT1、PT2は、そのブロックから他のブロックに向けて、複数の段をもつ階段形状560eによって、段階的に変化する。この実施形態でも、隣接する2つのブロックを形成する素子部材が、流れ方向FDに垂直な方向である積層方向SDに関して機械的に重複して配置される。よって、隣接する2つのブロックの間に、それらの磁気熱量材料が混合状態で存在する混合部5M12が形成される。
(第6実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、階段形状560eによって混合部が提供される。これに代えて、この実施形態では、複数の素子部材661a、662aが2段の階段形状に配置されることによって混合部6M12が形成される。
図25、図26、図27は、図5、図6、図7にそれぞれ対応する。図26は、図25のXXVI−XXVI線における断面を示す。この実施形態では、複数の素子部材661a、662aは、垂直面660cを有する。複数の素子部材661a、662aは、複数の素子部材661a、662aの端部が2段の階段形状となるように、流れ方向FDに関してずれて配置されている。
この実施形態では、割合PT1、PT2は、そのブロックから他のブロックに向けて、中間値を経由して2段に変化する。この実施形態でも、先行する実施形態と同様の構成が提供されるから、同様の作用効果が得られる。
(第7実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、複数の素子部材が複数の階段状に配置されることによって混合部が提供される。これに代えて、この実施形態では、複数の素子部材761a、762aが凸凹形状に配置されることによって混合部7M12が形成される。
図28、図29、図30は、図5、図6、図7にそれぞれ対応する。図29は、図28のXXIX−XXIX線における断面を示す。この実施形態では、複数の素子部材761a、762aは、垂直面760cを有する。複数の素子部材761a、762aは、複数の素子部材761a、762aの端部が流れ方向FDに沿って凹凸形状となるように、流れ方向FDに関してずれて配置されている。言い換えると、複数の素子部材761a、762aは、混合部7M12の範囲内において、流れ方向FDと交差する方向SDに関して交互に配置されている。なお、複数の素子部材761a、762aは、ひとつづつ、または複数づつで交互に配置することができる。
この実施形態でも、先行する実施形態と同様の構成が提供されるから、同様の作用効果が得られる。
(第8実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、複数の素子部材が流れ方向FDと平行に配置されている。これに代えて、この実施形態では、複数の素子部材861a、862aは、流れ方向FDに対して傾斜するように配置される。
図31は、隣接する2つのブロック61、62の配置を示す模式的な斜視図である。複数の素子部材861a、862aは、流れ方向FDに対して傾斜するように、流れ方向FDの端部を積層方向SD、すなわち図中の上下方向にややずらして配置されている。混合部8M12は、素子部材861aの端部と素子部材862aの端部とを積層方向SDに関して重複させて配置することによって形成されている。複数の素子部材861a、862aの間には隙間が設けられている。これらの隙間は、作業水の流路860bを提供する。
この構成によると、先行する実施形態と同様の構成が提供されるから、同様の作用効果が得られる。さらに、作業水が傾斜した素子部材861a、862aに沿って流れるから、複雑な流れが得られる。例えば、素子部材861a、862aにおける段差は、作業水の乱流を生じ、熱交換を促進する。
(第9実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、板状の素子部材が採用されている。これに代えて、この実施形態では、粒状の素子部材961a、962aが採用される。粒状の素子部材961a、962aは、ランダムに配置されることによりそれらの間に流路960bを形成する。
図32は、隣接する2つのブロック61、62を示す模式的な斜視図である。複数の素子部材961a、962aは、球体である。素子部材961a、962aは、球体に代えて、柱状体、管状体、多面体、棒状体、波板、繊維状体など多様な形状をとることができる。素子部材961a、962aは、多様な大きさをとることができ、その大きさに応じて塊状、粒状、粉状など多様な呼び名で呼びうる形状をもつことができる。
ブロック61は、流れ方向FDに関して素子部材961aだけで満たされた部位を有する。ブロック61は、素子部材961aと、素子部材962aとが混合状態で存在する混合部9M12を有する。一方、ブロック62は、流れ方向FDに関して素子部材962aだけで満たされた部位を有する。ブロック62は、素子部材961aと、素子部材962aとが混合状態で存在する混合部9M12を有する。この構成では、素子部材961aと、素子部材962aとが混合状態で存在する部位によって混合部9M12が提供される。素子部材961a、962aの間の不規則な隙間によって作業水の流路960bが提供されている。
この実施形態でも、隣接する2つのブロックを形成する素子部材が、流れ方向FDに垂直な方向である幅方向WDおよび積層方向SDの両方に関して機械的に重複して配置される。この構成によると、先行する実施形態と同様の構成が提供されるから、同様の作用効果が得られる。
(第10実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、複数の素子部材によってひとつのブロックが形成されている。これに代えて、ひとつのブロックが、単一の素子部材によって提供されてもよい。
図33は、隣接する2つのブロック61、62を示す模式的な斜視図である。図中には、分解状態が図示されている。使用状態においては、2つのブロック61、62は、互いに噛みあわせて配置される。ブロック61は、単一の素子部材1061aによって提供されている。ブロック62は、単一の素子部材1062aによって提供されている。素子部材1061aは、凹状の斜面1060cを有する。素子部材1061aは、凸状の斜面1060cを有する。これら斜面1060cは、互いに噛み合わせることができる形状である。ブロック61、62には、作業水のための複数の流路1060bが形成されている。複数の流路1060bは、流れ方向FDに沿ってそれらブロック61、62を貫通している。
この実施形態でも、隣接する2つのブロックを形成する素子部材が、流れ方向FDに垂直な方向である幅方向WDに関して機械的に重複して配置される。この構成によると、先行する実施形態と同様の作用効果が得られる。
(他の実施形態)
ここに開示される発明は、その発明を実施するための実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。開示される発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。実施形態は追加的な部分をもつことができる。実施形態の部分は、省略される場合がある。実施形態の部分は、他の実施形態の部分と置き換え、または組み合わせることも可能である。実施形態の構造、作用、効果は、あくまで例示である。開示される発明の技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される発明のいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
例えば、上記実施形態では、ポンプの位置に起因して、ブロック63とブロック64との間の隣接部分には混合部が設けられていない。これに代えて、すべての隣接部分に混合部を設けてもよい。よって、混合部は、ブロック群60において形成される複数の隣接部分のうちの、少なくともひとつの隣接部分に設けることができる。例えば、材料の制限、製造工程の制限に起因して特性カーブがずれやすいブロックが含まれる場合、そのブロックとの隣接部分だけに混合部を設けてもよい。
ここに開示された発明は、第1温度帯と第2温度帯との両方に跨って磁気熱量効果を発揮する起動用の付加的材料を併用することを排除するものではない。例えば、特許文献2(特表2012−503754号)に開示される起動用素子を上記実施形態に付加的に採用してもよい。この構成によると、付加的材料によって初期温度からの起動が補助される。上記実施形態は、特許文献1−4に記載の技術と組み合わせて利用することができる。特許文献1−4に記載の技術内容は、この明細書の開示の一部として、またはこの明細書の開示に付加的に組み合わせ可能な要素の説明として参照によって導入される。
上記実施形態に説明した複数の素子部材は、互いに接合されてもよい。例えば、複数の素子部材は、接着剤により所定の塊を形成するように接合されてもよい。また、複数の素子部材は、溶接、焼結などの手法によって所定の塊を形成するように接合されてもよい。
また、上記実施形態では、往復型のポンプ30を採用した。これに代えて、一方向型のポンプ、例えば遠心ポンプと、作業水の流れ方向を切り換える弁機構とを採用してもよい。
上記実施形態では、MHP装置2によって車両用の空調装置1を提供した。これに代えて、住宅用の空調装置、食品などを貯蔵する冷蔵装置などを提供してもよい。
上記実施形態では、低温系統15と高温系統16との両方を採用した。これに代えて、低温端11または高温端12と、熱源または熱負荷とを直接的に熱交換させるように構成されてもよい。上記実施形態では、低温端11と高温端12とを固定した。これに代えて、低温端11と高温端12とを入れ替えるようにMHP装置2を運転してもよい。例えば、冷房用途においては熱交換器3が低温系統となるようにMHP装置2を運転し、暖房用途においては熱交換器3が高温系統となるようにMHP装置2を運転することができる。このような反転可能な運転は、磁場変調装置6と熱輸送装置7との位相を反転させることによって実現可能である。
1 車両用空調装置、 2 磁気熱量効果型ヒートポンプ装置(MHP装置)、
3 熱交換器、 4 熱交換器、 5 磁気熱量素子(MCE素子)、
6 磁場変調装置、 7 熱輸送装置、 8 制御装置、
11 低温端、 12 高温端、 13 中間高温端、 14 中間低温端、
60 ブロック群、 70 磁力源、
60a 素子部材、 60b、860b、960b、1060b 流路、
60c、260c、360c、460c 斜面、
560c、660c、760c 垂直面、 61−66 ブロック、
61a、261a、361a、461a、561a 素子部材、
661a、761a、861a、961a、1061a 素子部材、
62a、262a、362a、462a、562a 素子部材、
662a、762a、862a、962a、1062a 素子部材、
M12、M23、M45、M56、2M12、3M12、4M12 混合部、
5M12、6M12、7M12、8M12、9M12、10M12 混合部。

Claims (12)

  1. 第1温度帯において磁気熱量効果を発揮する第1材料により形成された第1ブロックと、第1温度帯と部分的に重複する第2温度帯において磁気熱量効果を発揮する第2材料により形成された第2ブロックとを含む複数のブロック(61−66)を有する磁気熱量素子(5)において、
    前記第1ブロックと前記第2ブロックとの間の隣接部分に設けられ、前記第1材料と、前記第2材料とが混合状態で配置された混合部(M12−10M12)を有することを特徴とする磁気熱量素子。
  2. 前記第1ブロックは、前記混合部と、前記第1材料だけで形成された非混合部とを有し、
    前記第2ブロックは、前記混合部と、前記第2材料だけで形成された非混合部とを有することを特徴とする請求項1に記載の磁気熱量素子。
  3. 前記第1ブロックおよび前記第2ブロックは、熱を輸送するための熱輸送媒体を流れ方向(FD)に沿って流すための流路(60b、860b、960b、1060b)を有し、
    前記混合部における前記第1材料と前記第2材料とは、前記流れ方向と垂直な方向(WD、SD)に関して混合状態であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気熱量素子。
  4. 前記第1温度帯と前記第2温度帯との両方に跨って磁気熱量効果を発揮する付加的材料を備えることなく、前記第1材料と前記第2材料とを含む基本材料だけで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の磁気熱量素子。
  5. 前記混合部において前記第1材料が占める割合(PT1)と前記第2材料が占める割合(PT2)とは、前記第1ブロックから前記第2ブロックへ向けて連続的に徐々に変化することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の磁気熱量素子。
  6. 前記混合部において前記第1材料が占める割合(PT1)と前記第2材料が占める割合(PT2)とは、前記第1ブロックから前記第2ブロックへ向けて段階的に中間値を経由して変化することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の磁気熱量素子。
  7. 前記第1ブロックは前記第1材料により形成された複数の第1素子部材の集合体として形成されており、
    前記第2ブロックは前記第2材料により形成された複数の第2素子部材の集合体として形成されており、
    前記混合部において、熱を輸送するための熱輸送媒体の流れ方向(FD)と垂直な方向(WD、SD)に関して前記第1素子部材と前記第2素子部材とが重複して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の磁気熱量素子。
  8. 前記第1素子部材および前記第2素子部材は、積層して配置される板状であることを特徴とする請求項7に記載の磁気熱量素子。
  9. 前記第1素子部材および前記第2素子部材は、前記混合部にわたって広がり、前記流れ方向(FD)に対して傾斜する斜面(60c、260c、360c、460c)を有することを特徴とする請求項8に記載の磁気熱量素子。
  10. 前記第1素子部材および前記第2素子部材は、塊状、粒状、または粉状であることを特徴とする請求項7に記載の磁気熱量素子。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の磁気熱量素子と、
    前記磁気熱量素子に供給される磁場が増減するように変調する磁場変調装置(6)と、
    低温端と高温端との間において前記磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体の往復流を生成させる熱輸送装置(7)とを備えることを特徴とする熱磁気サイクル装置。
  12. 前記磁場変調装置と前記熱輸送装置とは、前記磁気熱量素子をAMRサイクルの素子として機能させるように、前記磁場の増減と、前記往復流とを同期させて供給することを特徴とする請求項11に記載の熱磁気サイクル装置。
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