JP2016098862A - クランクシャフト - Google Patents
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Abstract
Description
まず、本実施形態のクランクシャフト1の構成について説明する。図1〜図3における前後方向は、本発明の「ジャーナルの軸方向」に対応する。図1〜図3における上下方向は、本発明の「上下方向」に対応する。上方向は、前から1番目、4番目のピン3については本発明の「上方向」に、前から2番目、3番目のピン3については本発明の「下方向」に、各々対応する。下方向は、前から1番目、4番目のピン3については本発明の「下方向」に、前から2番目、3番目のピン3については本発明の「上方向」に、各々対応する。左右方向は、本発明の「横方向」に対応する。
次に、本実施形態のクランクシャフト1の孔400の形状について説明する。図3に示すように、孔400の断面形状(詳しくは、孔の深さ方向に対して直交する方向の断面形状)Aは、下向きに尖る三角形状を呈している。断面形状Aは、孔400の深さ方向全長(図1に示す開口部400aから底部400bまでの間)に亘って相似である。孔400は、剪断加工により、ショルダー部40に穿設されている。加工時の抜き勾配により、断面形状Aの面積は、孔400が深くなるのに従って、徐々に小さくなる。図1に示すように、孔400の側部400cと底部400bとは、丸面取り部400dを介して、連なっている。底部400bは、油路5および焼入れ層30に干渉しないように配置されている。
次に、孔400の形状に関する、第一底辺、第二底辺、上辺、下辺の定義について説明する。図3に点線で示すように、第一底辺L1は、断面形状Aにおいて、左右方向の長さが最長になる部分を直線で結ぶことにより、設定される。
次に、本実施形態のクランクシャフト1の作用効果について説明する。本実施形態のクランクシャフト1によると、ショルダー部40に孔400が凹設されている。また、孔400の断面形状には、重心Gを挟んで、上下方向に対向して、第一底辺L1と第二底辺L2とがある。そして、上辺U(第一底辺L1)の長さαと下辺D(第二底辺L2)の長さβとの間には、α/β>1の関係が成立する形状となっている。このような形状とすることにより、後述する解析および実験から明らかなように、孔400の凹設に伴うクランクシャフト1の剛性の低下が、他の孔形状で軽量化を図る場合に比べ小さくなる。
以上、本発明のクランクシャフトの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
本発明のクランクシャフトについて行った解析について説明する。解析(詳しくは、FEM(Finite Element Method)による弾性変形解析)においては、孔400の形状の異なる二つの解析モデル9の、曲げ剛性悪化率(単位質量当たりの曲げ剛性悪化率)を比較した。
まず、解析モデルについて説明する。図5に、解析モデルの模式図を示す。なお、図1と対応する部位については同じ符号で示す。図5に示すように、解析モデル9は、図1に示すクランクシャフト1の一部に相当する。
次に、解析方法について説明する。解析においては、上辺Uの長さα、下辺Dの長さβ、深さL3を各々変化させた場合の、第一モデル、第二モデルの曲げ剛性、曲げ剛性悪化率を算出した。また、第一モデル、第二モデル以外に、孔400無しの解析モデル(以下、「無孔モデル」と称す)に対しても、同様に、曲げ剛性、曲げ剛性悪化率を算出した。
k=F/[(ΔC2−{(ΔC1a+ΔC1b)/2}] ・・・式(1)
R=(k1−k2)/(k1×ΔM) ・・・式(2)
次に、解析結果について説明する。図7に、第一モデル、第二モデルのα/βと曲げ剛性悪化率との関係をグラフで示す。なお、図7においては、第一モデルを白丸で、第二モデルを黒丸で、各々示す。縦軸の「曲げ剛性悪化率」は、点P1の曲げ剛性悪化率を100とした場合の、相対値である。線L4は、全ての白丸の最小二乗法による近似線である。
以上説明したコンピュータシミュレーションで計算した結果により、α/βの値の変化による曲げ剛性悪化率の影響を予想することができたので、実部品により、前記計算結果通りの効果が得られるかどうかを確認する実験を行った。実験においては、孔400の形状の異なる五つのクランクシャフト1(サンプル)の、曲げ剛性悪化率を比較した。
まず、実験に用いたサンプル(実施例1〜3、比較例1、2)について説明する。各サンプルにおいては、図1に示すクランクシャフト1において、全てのピン3の前後両側の一対のショルダー部40のうち、油路5が配置されていない方のショルダー部40にだけ、孔400を配置した。
次に、実験方法について説明する。実験方法は、上記解析方法と同様である。すなわち、実験においては、各サンプルの前から2番目のピン3の前後両側の一対のジャーナル2の径方向および軸方向の中心C1a、C1bの真下部分を、図5に白抜き矢印Y2a、Y2bで示すように、回転可能に支持した。そして、図5に白抜き矢印Y1で示すように、ピン3の径方向および軸方向の中心C2の真上部分から、荷重を印荷した。そして、前記の式(1)、式(2)から、各サンプルの曲げ剛性、曲げ剛性悪化率を算出した。
次に、実験結果について説明する。図10に、各サンプルのα/βと曲げ剛性悪化率との関係をグラフで示す。縦軸の「曲げ剛性悪化率」は、比較例2の曲げ剛性悪化率を100とした場合の、相対値である。具体的には、各サンプルの質量100gあたりの曲げ剛性悪化率を算出し、比較例2の当該曲げ剛性悪化率を100とし、比較例2以外のサンプルの曲げ剛性悪化率を、当該100に対する相対値とした。
Claims (4)
- ジャーナルと、
前記ジャーナルに対して平行に配置されるピンと、
前記ジャーナルと前記ピンとの間に介在し、前記ピンに隣接すると共に有底の孔が凹設されるショルダー部を有するアームと、
を備えるクランクシャフトであって、
前記ジャーナルの軸方向から見て、前記ジャーナルの中心と前記ピンの中心とを結ぶ方向を上下方向、前記上下方向において前記ジャーナルの中心から前記ピンの中心に向かう方向を上方向、前記上下方向において前記ピンの中心から前記ジャーナルの中心に向かう方向を下方向、前記上下方向に対して直交する方向を横方向とする場合、
前記孔の深さ方向に対して直交する方向の断面形状には、
前記断面形状の前記横方向の長さが最長になる第一底辺と、
前記断面形状の重心を挟んで、前記第一底辺の前記上方向または前記下方向に配置され、前記第一底辺から最も離間した一対の変曲点間を、前記横方向に連結する第二底辺と、
が設定され、
前記第一底辺および前記第二底辺のうち、一方を上辺、他方を前記上辺の前記下方向に配置される下辺、前記上辺の長さをα、前記下辺の長さをβとする場合、α/β≧1の関係が成立することを特徴とするクランクシャフト。 - 前記断面形状の上縁は、曲率中心が前記上縁よりも前記下方向に設定される弧状を呈している請求項1に記載のクランクシャフト。
- 前記断面形状は、前記深さ方向全長に亘って相似であり、
前記断面形状の面積は、前記孔が深くなるのに従って小さくなる請求項1または請求項2に記載のクランクシャフト。 - さらに、前記アームを経由して前記ジャーナルと前記ピンとを連結する油路を備え、
前記ピンの外周面には、焼入れ層が形成され、
前記孔は、前記油路および前記焼入れ層に干渉しないように配置される請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のクランクシャフト。
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2014
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