JP2009133331A

JP2009133331A - 多気筒エンジン用クランクシャフト

Info

Publication number: JP2009133331A
Application number: JP2007307517A
Authority: JP
Inventors: Takahiro Fujimoto; 隆裕藤本; Masaki Kobayashi; 正貴小林
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 2007-11-28
Filing date: 2007-11-28
Publication date: 2009-06-18
Anticipated expiration: 2027-11-28
Also published as: JP4998233B2

Abstract

【課題】剛性確保と重量軽減を両立する。
【解決手段】ジャーナル２から、一方向および当該一方向と異なる他の方向に突出するアーム３の先端側にそれぞれピン４を設けた多気筒エンジン用のクランクシャフト１である。少なくとも前記一方向に突出するアーム３のピン側端面３ａおよびジャーナル側端面３ｂに、ピン４及びジャーナル２の直径Ｄ1、Ｄ2以上の長さＬ1、Ｌ2を有する直線部をそれぞれ形成する。これら直線部を形成したアーム３のピン側表面３ｃおよびジャーナル側表面３ｄに、凹溝３ｅ、３ｆによる肉盗みを設ける。
【効果】アームのピン側端面とジャーナル側端面に、ピン、ジャーナルの直径以上の長さを有する直線部を形成することで、ピン側表面およびジャーナル側表面に設ける凹溝による肉盗みを大きくしても、クランクシャフトの剛性低下を可及的に少なくでき、重量軽減と剛性確保を両立できる。
【選択図】図１

Description

本発明は、多気筒エンジン用のクランクシャフトに関するものであり、詳しくは、クランクシャフトの剛性をできるだけ落とすことなく、重量を軽減することができる、多気筒エンジン用のクランクシャフトに関するものである。

自動車などの内燃機関を動力源として用いる機械では、爆発によって得られた直線運動を回転運動に変えるため、クランクシャフトが用いられる。
このような内燃機関では、近年、エネルギー効率を向上させることが求められており、その一環として軽量なクランクシャフトが求められている。

しかしながら、クランクシャフトでは、爆発荷重や出力トルクに耐えるため、剛性を確保する必要がある。

そこで、従来は、直列６気筒エンジンのクランクシャフトを、ツイスト工法を用いない一体鍛造で製作するに際して、型抜き方向に突出するアームも、型割り線との関係から肉盗みできない型抜き方向と異なる方向に突出する他のアームと同一形状にしていた（例えば特許文献１）。したがって、剛性にほとんど寄与しない部分に駄肉がつき、重量を軽減するのに限界があった。
特開２００３−３５３０７号公報

この対策として、出願人らは型抜き方向に突出したアームについては、剛性にさほど寄与しないジャーナル側表面とピン側表面の中央部に肉盗みを設けることで重量を軽減しようとしたクランクシャフトを開示した（特許文献２）。
特開２００５−１１４１３１号公報

しかしながら、特許文献２で開示した技術でも、剛性にさほど寄与しない範囲での肉盗みの追加であるため、極端に肉盗みを大きくすると剛性が確保できず、重量の軽減にも限界があった。

本発明が解決しようとする問題点は、剛性を確保しつつ重量を軽減するには限界があり、両者を両立することは難しいという点である。

発明者らは、多気筒エンジン用のクランクシャフトを対象として、様々な形状での検討を重ねた。その結果、アームのピン側端面とジャーナル側端面に、所定長さ以上の直線部を形成すれば、アームのピン側表面およびジャーナル側表面に設ける凹溝を、特許文献２で開示したものより大きくしても、剛性はさほど低下しないことを見出した。

本発明の多気筒エンジン用クランクシャフトは、上記の知見に基づいてなされたものであり、
ジャーナルから、一方向および当該一方向と異なる他の方向に突出するアームの先端側にそれぞれピンを設けた多気筒エンジン用のクランクシャフトにおいて、
少なくとも前記一方向に突出するアームのピン側端面およびジャーナル側端面に、ピン及びジャーナルの直径Ｄ1、Ｄ2以上の長さＬ1、Ｌ2を有する直線部をそれぞれ形成すると共に、これら直線部を形成したアームのピン側表面およびジャーナル側表面に、凹溝による肉盗みを設けたことを最も主要な特徴とする。

本発明の多気筒エンジン用クランクシャフトは、どのような方法で製造したものでも良いが、鍛造によって製造する場合は、前記直線部と、凹溝による肉盗みを設けるアームは、一方向すなわち型抜き方向に突出するアームだけである。

しかしながら、鍛造以外の方法、例えば鋳造によって製造する場合は、一方向に突出するアームに限らず、他の方向に突出するアームにも、前記直線部と、凹溝による肉盗みを設けても良い。

本発明は、アームのピン側端面とジャーナル側端面に、ピン、ジャーナルの直径以上の長さを有する直線部を形成することで、ピン側表面およびジャーナル側表面に設ける凹溝による肉盗みを大きくしても、クランクシャフトの剛性低下を可及的に少なくできる。したがって、クランクシャフトの重量軽減と剛性確保を両立することができる。

以下、本発明例と最良の形態例について説明した後、最良の形態例を用いて発明者らが行った検討結果について説明する。
図１は本発明の多気筒エンジン用クランクシャフトの一例の要部を示した図、図２は本発明の最良の形態例を示した図１と同様の図で、発明者らが前記知見を得るための検討に使用したものである。

図１、図２において、１は例えば鍛造により製造される本発明の直列６気筒エンジン用のクランクシャフトである。このクランクシャフト１は、例えばジャーナル２から、鍛造型（図示省略）の型抜き方向に第２、５気筒用のアーム３を、型抜き方向と異なる方向に第１、３、４、６気筒用のアーム（図示省略）を突出させ、各アーム３の先端側にピン４を設けている。

このようなクランクシャフト１において、本発明では、例えば前記第２、５気筒用のアーム３のピン４側の、ジャーナル２と反対側の端面３ａ（以下、単にピン側端面という。）に、ピン４の直径Ｄ1以上の長さＬ1の直線部を形成する。

また、前記第２、５気筒用のアーム３のジャーナル２側の、ピン４と反対側の端面３ｂ（以下、単にジャーナル側端面という。）に、ジャーナル２の直径Ｄ2以上の長さＬ2の直線部を形成する。

前記直線部の長さＬ1、Ｌ2をピン４、ジャーナル２の直径Ｄ1、Ｄ2以上とするのは、発明者らの検討結果によれば、これら未満の場合には、クランクシャフト１の剛性の向上に顕著な効果が得られなかったためである。

つまり、本発明では、アーム３のピン側端面３ａとジャーナル側端面３ｂに、それぞれピン４、ジャーナル２の直径Ｄ1、Ｄ2以上の長さＬ1、Ｌ2を有する直線部を形成することで、クランクシャフト１の剛性を、直線部を形成しない従来品よりも大きくなるようにしている。

したがって、ピン側端面３ａおよびジャーナル側端面３ｂに前記直線部を形成したアーム３の、ピン側表面３ｃおよびジャーナル側表面３ｄに、凹溝３ｅ、３ｆによる肉盗みを設けるに際し、これら凹溝３ｅ、３ｆを、特許文献２で開示したものより大きくしても、クランクシャフト１の剛性低下を少なくできる。

ピン側表面３ｃ、ジャーナル側表面３ｄに設ける凹溝３ｅ、３ｆの範囲は特に限定されないが、例えば図１、２の（ａ）図における矢視Ａ方向から見た場合に、ジャーナル２とピン４が重複する範囲３ｇを除いた部分であればよい。

また、図２に示す最良の形態例では、前記の構成に加えて、ピン４の軸中心とジャーナル２の軸中心の間の部分３ｈを、従来のクランクシャフトにおけるアームの最大幅と同じ幅の直線部にしてより剛性を高め、凹溝３ｅ，３ｆを大きくとれるものを示している。

ちなみに図３は、図２に示した実施例（ピン側端面３ａおよびジャーナル側端面３ｂに形成した直線部の長さＬ1、Ｌ2は、ピン４、ジャーナル２の直径Ｄ1、Ｄ2と同じ）に、曲げと捩りを作用させた場合の変位をＦＥＭ解析した結果を示したものである。

図３より、実施例では、実施例のアーム形状から直線部をなくして特許文献２と同じ形状にした比較例１よりも、曲げ変位や捩り変位が小さくなって、比較例１から凹溝を無くした比較例２とほぼ同じ変位となっていることが分かる。

一方、質量についての解析結果を図４に示すが、実施例では直線部を形成した分アームの質量が増加するが、凹溝を多くとれるので、アームの増加分が相殺され、比較例１とほぼ同様となり、比較例２よりも軽量化が図れた。

これら、図３、図４から、本発明では、剛性の低下を抑えつつ、重量をより低減できていることが分かる。

本発明は、前記の各例に示した実施形態に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、その実施形態の変更は任意である。

例えば図１、２の例では、鍛造型の型抜き方向に第２、５気筒用のアーム３を、型抜き方向と異なる方向に第１，３，４，６気筒用のアームを突出させているが、型抜き方向に第１、４或いは第３、６気筒用のアームを突出させても良い。

また、鍛造ではなく、例えば鋳造で製造する場合には、全てのアーム３のピン側端面、ジャーナル側表面にピン４、ジャーナル２の直径Ｄ1、Ｄ2以上の長さの直線部を設け、ピン側表面およびジャーナル側表面に凹溝３ｅ、３ｆによる肉盗みを設けても良い。

以上の本発明は、直列６気筒のクランクシャフトに限らず、直列４気筒や、Ｖ型８気筒等にも適用できる。また、自動車用エンジンのクランクシャフトに限らず、船舶用エンジンのクランクシャフトにも適用できる。

本発明の多気筒エンジン用クランクシャフトの一例の要部を示した図で、（ａ）は側面図、（ｂ）は（ａ）図の矢視Ａ図である。本発明の最良の形態例を示した図１と同様の図である。図２に示した最良の形態例（実施例）と比較例１、２に、曲げと捩りを作用させた場合の変位をＦＥＭ解析した結果を示した図である。図３と同じ実施例、比較例１、２の質量を比較した図である。

符号の説明

１クランクシャフト
２ジャーナル
３アーム
３ａピン側端面
３ｂジャーナル側端面
３ｃピン側表面
３ｄジャーナル側表面
３ｅ、３ｆ凹溝
４ピン

Claims

ジャーナルから、一方向および当該一方向と異なる他の方向に突出するアームの先端側にそれぞれピンを設けた多気筒エンジン用のクランクシャフトにおいて、
少なくとも前記一方向に突出するアームのピン側端面およびジャーナル側端面に、ピン及びジャーナルの直径Ｄ1、Ｄ2以上の長さＬ1、Ｌ2を有する直線部をそれぞれ形成すると共に、これら直線部を形成したアームのピン側表面およびジャーナル側表面に、凹溝による肉盗みを設けたことを特徴とする多気筒エンジン用クランクシャフト。
前記クランクシャフトを鍛造により製造する場合、
前記一方向を型抜き方向とし、この型抜き方向に突出するアームのみに、前記直線部と凹溝による肉盗みを設けることを特徴とする請求項１に記載の多気筒エンジン用クランクシャフト。