JP2016098738A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
燃焼騒音を低下させるために燃焼室内に水を噴射することによって燃焼騒音の周波数が変化し、その結果、燃焼騒音を構成する周波数成分の内、人間の聴覚にとって不快な音の周波数範囲(特定周波数帯)に含まれる周波数成分が増加することを防止する。
【解決手段】
主燃焼発生直前の燃焼室内の共鳴周波数が特定周波数帯に含まれるとき、水噴射量を低下させると共に燃料噴射圧を低下させることによって、燃焼騒音を低下させると同時に燃焼騒音を構成する周波数成分の内、特定周波数帯に含まれる周波数成分の占める割合を低下させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、燃焼室内に燃料と水とを噴射する内燃機関の制御装置に関する。
従来から、燃焼騒音の音量(燃焼騒音レベル)を低下させるために、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射ノズルに加え、燃焼室内に水を噴射する水噴射ノズルを備えるディーゼル機関(以下、「従来機関」とも称呼される。)が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
この従来機関においては、燃料の噴射に先立って水が所定の第1方向に噴射される。その噴射された水は燃焼室内の所定の領域で気化する。その結果、その所定の領域の温度が低下する。次いで、燃料が所定の第2方向に噴射される。噴射された燃料の一部は水の噴射によって温度が低下した領域に到達し、他の一部は温度が低下していない領域に到達する。
ところで、噴射された燃料の噴霧が着火を開始するまでの時間はその噴霧が到達している空間の温度が低いほど長くなる。従って、従来機関においては、温度が低下していない領域に到達している燃料噴霧が先に着火して燃焼を開始し、その後、温度が低下している領域に到達している燃料噴霧が着火して燃焼を開始する。その結果、従来機関においては、総ての燃料噴霧が略同時期に着火して燃焼を開始する場合に比べ、燃焼室内の圧力(即ち、筒内圧)が穏やかに上昇するので、燃焼騒音レベルを減少させることができる。
特開2014−77391号公報
ところで、燃焼騒音レベルが過大でなくても、燃焼騒音の特定の周波数帯(以下、「特定周波数帯」とも称呼される。)におけるレベルが高いと、その燃焼騒音が人間にとって不快と感じられる傾向がある。即ち、燃焼騒音レベルが同一であっても、燃焼騒音を構成する周波数成分の内、特定周波数帯に含まれる周波数成分が占める割合が高ければ、人間はその燃焼騒音を不快と感じる可能性が高い。
例えば、上述した特定周波数帯は、5kHzから7kHzまでの範囲である。燃焼騒音の主たる周波数成分がこの周波数帯に含まれるとき、人間はこの燃焼騒音を甲高い不快な音(所謂、「チリチリ音」)として認識する。
前述したように、従来機関においては、燃焼室内に水が噴射されることによって燃焼騒音レベルが低下させられるが、その水の噴射によって燃焼騒音を構成する周波数成分が変化して特定周波数帯に含まれる周波数成分が増加する場合がある。その結果、燃焼騒音レベルは過大ではないが、燃焼騒音が人間に不快に感じられる場合が生じる。
本発明はこの問題に対処するために成された。即ち、本発明の目的の一つは、水を噴射することによって燃焼騒音レベルを低下させると共に、水を噴射した結果として燃焼騒音を構成する周波数成分の内の特定周波数帯に含まれる周波数成分が占める割合が高くなることを抑制することができる、内燃機関の制御装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る内燃機関の制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、燃料噴射装置と水噴射装置とを備える内燃機関に適用される。
前記燃料噴射装置は、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁及び同燃料噴射弁から同燃料が噴射される際の燃料の圧力(燃料噴射圧)を調整することが可能な燃料噴射圧調整装置を含む。
前記水噴射装置は、前記燃焼室内に水を噴射する水噴射弁を含む。
本発明装置は、前記水噴射弁から前記水を噴射させる指示を前記水噴射弁に与え、前記燃料噴射弁から前記燃料を噴射させる指示を前記燃料噴射弁に与えて前記燃焼室内において前記燃料の燃焼を発生させる制御部、を有する。
このように本発明装置は、水の噴射(水噴射)を燃料の噴射(燃料噴射)に先立って実行し、燃焼騒音レベルを低下させる。このとき、前述したように、燃焼騒音を構成する周波数成分の内の特定周波数帯に含まれる周波数成分が占める割合が高くなる虞がある。
そこで、この制御部は、
前記所定量の水が噴射されたと仮定して前記燃焼が発生する直前の時点における前記燃焼室内のガスの密度及び同ガスの比熱比に基づいて同ガスに発生する疎密波の共鳴周波数を推定する推定部と、
前記推定された共鳴周波数が所定の特定周波数帯に含まれる場合、前記水噴射弁によって噴射される水の量を前記所定量から減少させ、且つ、前記燃料噴射圧を低下させる噴射修正部と、
を備える。
このように本発明装置は、水の噴射(水噴射)を行った場合において、燃焼が発生する直前の時点に前記燃焼室内に存在しているガスに発生する疎密波の共鳴周波数を推定する。この共鳴周波数が所定の特定周波数帯(例えば、前述した「人間が燃焼騒音を不快に感じる5kHzから7kHzの範囲」)にあれば、燃焼騒音を構成する周波数成分の内の特定周波数帯に含まれる周波数成分が占める割合が高くなる。従って、本発明装置は、推定された共鳴周波数が所定の特定周波数帯に含まれる場合、前記水噴射弁によって噴射される水の量を減少させる。その結果、燃料騒音の周波数成分のうちの主たる成分の周波数が特定周波数帯から外れるので、人間にとって不快な燃焼騒音とならない。
その一方、噴射される水の量が減少されるので、全体の燃焼騒音レベルは「噴射される水の量が減少されない場合」に比して高くなる。そこで、本発明装置は、前記燃料噴射圧を低下させる。これにより、噴射される燃料の粒径が大きくなるので、燃料が霧化・気化するのに要する時間が長くなる。その結果、燃料の燃焼速度が低下するから、筒内圧が穏やかに上昇する。従って、噴射される水の量が減少されても、燃焼騒音レベルが過大になることを回避することができる。
本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置(本制御装置)が適用される内燃機関(本機関)の概略図である。 (A)は本機関が備える燃料噴射弁及び水噴射弁の噴孔の正面図であり、(B)は燃焼室に噴射された水の様子を表す図であり、(C)は燃焼室に噴射された水及び燃料の様子を表す図である。 本機関から発生する燃焼騒音の周波数毎の強度を表すグラフである。 図1に示したCPUが実行するルーチンを表すフローチャートである。 図1に示したCPUが実行するルーチンを表すフローチャートである。 本制御装置が参照する構造減衰フィルタを表す表である。 本制御装置が参照するA特性フィルタを表す表である。 筒内ガスの組成の変化を表す模式図である。
<構成>
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置(以下、「本制御装置」とも称呼される。)について説明する。本制御装置は、図1に概略構成を示した機関10に適用される。図1には機関10が備える気筒の内の1つのみが図示されているが、気筒の数は内燃機関の設計に応じて任意の数とすることができる。本実施形態では、機関10の気筒の数は「4」である。
機関10は、ディーゼル機関である。機関10は、機関本体部20、吸気システム30、排気システム40、EGRシステム50、燃料噴射弁61、第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71bを含んでいる。
機関本体部20は、シリンダブロック21、シリンダヘッド22及びピストン23を含んでいる。機関本体部20内部には、シリンダブロック21、シリンダヘッド22及びピストン23によって燃焼室24が形成されている。ピストン23には、キャビティ23aが形成されている。
吸気システム30は、吸気通路(吸気管)31、吸気ポート32及び吸気弁33を含んでいる。吸気弁33は、シリンダヘッド22に配設され、図示しないインテークカムシャフトによって駆動されることにより「吸気ポート32と燃焼室24との連通部」を開閉するようになっている。
排気システム40は、排気通路(排気管)41、排気ポート42、排気弁43及び排ガス浄化装置44を含んでいる。排気弁43は、シリンダヘッド22に配設され、図示しないエキゾーストカムシャフトによって駆動されることにより「排気ポート42と燃焼室24との連通部」を開閉するようになっている。
排ガス浄化装置(排ガス浄化触媒及びDPF等)44は、排気通路41に介装されている。排ガス浄化装置44は、排ガス中のNOx等を浄化するとともに、パティキュレートマターを捕集する。
EGRシステム50は、排気還流管51及びEGR制御弁52を含んでいる。排気還流管51は排気通路41を流れる排ガスの一部をEGRガスとして吸気通路31へ還流させる。EGR制御弁52は、排気還流管51に配設されている。EGR制御弁52は、後述するECU80の指示に応答して排気還流管51を流れるEGRガスの量を調整する。
燃料噴射弁61は、各燃焼室24を構成するシリンダヘッド22の所定の部位に配設されている。燃料噴射弁61には、サプライポンプ62によって加圧された燃料が蓄圧室63を介して供給される。サプライポンプ62はECU80の指示に応答して吐出量を変更し、それにより、燃料噴射弁61に供給される燃料の圧力(即ち、燃料が噴射される際の圧力である燃料噴射圧)を調整することができる。燃料噴射弁61は、ECU80の指示に応答して開弁し、それにより燃焼室24内に燃料を直接噴射する。
図2(A)に示されるように、燃料噴射弁61の先端部の周方向には8つの燃料噴孔、即ち、燃料噴孔64a〜燃料噴孔64hが等間隔に配設されている。そのため、図2(C)に示されるように、燃料噴射弁61が開弁すると、燃料噴孔64a〜燃料噴孔64hから燃料がキャビティ23aの外縁23bに向けて放射状に噴射されて霧化・気化し、燃料噴霧65a〜燃料噴霧65hのそれぞれを形成する。
図1に示されるように、第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71bのそれぞれは、各燃焼室24を構成するシリンダヘッド22の所定の部位に配設されている。第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71bのそれぞれには、図示しない加圧ポンプによって加圧された水が供給される。第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71bは、ECU80の指示に応じて燃焼室24内に水を直接噴射する。なお、第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71bに供給される水の圧力(即ち、水が噴射される際の圧力である水噴射圧)は図示しないプレッシャレギュレータによって一定圧に調整されている。
図2(A)に示されるように、第1水噴射弁71aの先端部の周方向には2つの水噴射孔、即ち、水噴孔72a及び水噴孔72bが配設されている。同様に、第2水噴射弁71bの先端部の周方向には2つの水噴射孔、即ち、水噴孔72c及び水噴孔72dが配設されている。そのため、図2(B)に示されるように、第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71bが開弁すると、水噴孔72a〜水噴孔72dから水がキャビティ23aの外縁23bに向けて放射状に噴射されて霧化・気化し、水蒸気噴霧73a〜水蒸気噴霧73dのそれぞれを形成する。更に、その水蒸気噴霧73a〜水蒸気噴霧73dは広がり、図2(c)に示したように、水蒸気噴霧73a’〜水蒸気噴霧73d’となる。これらの水蒸気噴霧の周辺領域は、噴射された水の気化によって温度が低下する。従って、図2(c)に示されるように、燃料噴霧65a、65c、65e及び65gのそれぞれは水噴射によって温度が低下した領域に到達し、残りの燃料噴霧65b、65d、65f及び65hは温度が低下していない領域に到達する。
再び図1を参照すると、ECU(電子制御ユニット)80は、CPU81、CPU81が実行するプログラム及びマップ(ルックアップテーブル)等を記憶するROM82並びにデータを一時的に記憶するRAM83を含んでいる。ECU80は、エアフローメータ91、EGR制御弁開度センサ92、燃料圧力センサ93、筒内圧センサ94、クランク角度センサ95及びアクセルペダル操作量センサ96に接続され、これらのセンサからの信号を受信するようになっている。
エアフローメータ91は、吸気通路31内を通過する吸入空気(EGRガスを含まない新気)の質量流量(吸入空気量)を測定し、その吸入空気量Gaを表す信号を発生させる。更に、エアフローメータ91は、吸入空気の温度(吸気温度)を測定し、その吸気温度Tiを表す信号を発生させる。
EGR制御弁開度センサ92はEGR制御弁52のEGR開弁率(開度)を測定し、そのEGR開弁率Reを表す信号を発生させる。
燃料圧力センサ93は蓄圧室63内の燃料の圧力を検出し、燃料噴射圧Fpを表す信号を出力する。
筒内圧センサ94は、各気筒の燃焼室24毎に配設されている。筒内圧センサ94は、燃焼室24内の圧力(即ち、筒内圧)を検出し、筒内圧Pcを表す信号を出力する。
クランク角度センサ95は、機関10の図示しないクランクシャフトの回転位置に応じた信号を発生させる。ECU80は、クランク角度センサ95からの信号に基づいて機関10の機関回転速度NEを算出する。
アクセルペダル操作量センサ96は、運転者により操作される図示しないアクセルペダルの操作量を検出し、アクセルペダル操作量Accpを表す信号を出力する。
<作動の概要>
次に、本制御装置の作動の概要について説明する。水噴射を行うことなく機関10を運転している場合、運転状態によっては燃焼騒音が過大になる。例えば、図3の曲線CL1は、水噴射が行われない場合に燃焼騒音が過大となったときの燃焼騒音の各周波数成分の強度(レベル)を示している。この場合、燃焼騒音の各周波数成分の強度(レベル)の平均値は閾値騒音レベルCNthよりも大きくなる。
このような場合、本制御装置は「第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71b」から水を所定量だけ噴射させ、燃料噴霧65a、65c、65e及び65g近傍の領域の温度を低下させる。その結果、温度が低下していない領域に形成される燃料噴霧65b、65d、65f及び65hに含まれる燃料が先に着火し、その後、燃料噴霧65a、65c、65e及び65gに含まれる燃料が着火する。従って、水が噴射されない場合と比較して筒内圧Pcの上昇が緩慢になるので燃料騒音レベルが低下する。その結果、燃焼騒音の各周波数成分の強度は曲線CL2に示したように小さくなる。即ち、燃焼騒音の各周波数成分の強度(レベル)の平均値は閾値騒音レベルCNthよりも小さくなる。
ところが、水噴射を行わない場合における燃焼騒音のピークPm1に対する周波数は第1周波数F1であったのに対し、所定量の水噴射を行うと燃焼騒音のピークPm2に対する周波数は第2周波数F2へと変化する。このとき、第2周波数F2が前述した特定周波数帯(f0〜f1)内となると、人間はその燃焼騒音を不快と感じる。第2周波数F2は、燃焼室24内でメイン噴射による燃料の燃焼が発生する直前における燃焼室24内のガスの疎密波の共鳴周波数frと一致する。
そこで、本制御装置は、水を所定量噴射したときの共鳴周波数frを推定し、その推定した共鳴周波数frが特定周波数帯(f0〜f1)内になる場合、噴射する水の量を減量し、共鳴周波数frを特定周波数帯(f0〜f1)外へと移行させる。更に、この噴射される水の噴射量の減量によって、燃焼騒音の各周波数成分の強度(レベル)の平均値は閾値騒音レベルCNthよりも大きくなる虞がある。
そこで、本制御装置は、噴射される水の噴射量を減量した場合、燃料噴射圧Fpを所定圧だけ低下させる。これにより、噴射される燃料の粒径が大きくなるので、燃料が霧化・気化するのに要する時間が長くなる。そのため、燃料の燃焼速度が低下し、筒内圧Pcが穏やかに上昇するので、燃焼騒音の各周波数成分の強度(レベル)の平均値は閾値騒音レベルCNth未満になる。
その結果、燃焼騒音の各周波数成分の強度は曲線CL3に示したように変化し、燃焼騒音のピークPm3に対する周波数は第3周波数F3へと変化する。換言すれば、水噴射量の減少及び燃料噴射圧Fpの低下によって各周波数成分の強度(レベル)の平均値を閾値騒音レベルCNth未満にすると共に、第3周波数F3を特定周波数帯(f0〜f1)外へ変化させることができる。以上が、本制御装置の作動の概要である。
<具体的作動>
次に、本制御装置の具体的作動について説明する。ECU80のCPU81(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、所定時間が経過する毎に図4にフローチャートにより示した「噴射ルーチン」を気筒毎に実行するようになっている。以下、特定の気筒に着目して説明を続ける。
所定のタイミングになると、CPUは図4のステップ400から処理を開始してステップ410に進み、現時点が噴射量計算時期(本例では、圧縮上死点前180°クランク角)であるか否かを判定する。現時点が噴射量計算時期でなければ、CPUはステップ410にて「No」と判定してステップ430に直接進む。
現時点が噴射量計算時期であると、CPUはステップ410にて「Yes」と判定してステップ420に進み、機関10の負荷(本例では、アクセルペダル操作量Accp)と機関回転速度NEとを図示しないルックアップテーブルに適用し、これらに基づいてパイロット噴射量Qp及びメイン噴射量Qmを決定する。なお、以下において、機関10の負荷(本例では、アクセルペダル操作量Accp)は、単に「機関負荷」と表記される。
次に、CPUはステップ430に進み、現時点がパイロット噴射時期(本例では、圧縮上死点前30°クランク角)であるか否かを判定する。現時点がパイロット噴射時期でなければ、CPUはステップ430にて「No」と判定してステップ450に直接進む。
現時点がパイロット噴射時期であると、CPUはステップ430にて「Yes」と判定してステップ440に進み、別途計算されているパイロット噴射量Qpに等しい量の燃料を燃料噴射弁61から噴射させる。パイロット噴射によって噴射された燃料は、燃焼室24内の高温・高圧の筒内ガスに曝され、着火する。即ち、パイロット燃焼が始まる。
次に、CPUはステップ450に進み、水噴射要求が発生しているか否かを、水噴射要求フラグXwの値が「1」であるか否かを判定することにより、判定する。水噴射要求フラグXwの値は、後述する図5に示したルーチンにより設定される。水噴射要求フラグXwの値が「1」でなければ(「0」であると)、CPUはステップ450にて「No」と判定し、ステップ480に直接進む。
これに対し、水噴射要求フラグXwの値が「1」であると(即ち、水噴射要求が発生していると)、CPUはステップ450にて「Yes」と判定してステップ460に進み、現時点が水噴射時期であるか否かを判定する。水噴射時期は、パイロット噴射時期よりも遅角側であり、後述するメイン噴射時期よりも進角側の時期(本例では、圧縮上死点前15°クランク角)である。現時点が水噴射時期でなければ、CPUはステップ460にて「No」と判定してステップ480に直接進む。
現時点が水噴射時期であると、CPUはステップ460にて「Yes」と判定してステップ470に進み、別途計算されている水噴射量Qwの半分の量の水を第1水噴射弁71aから噴射させ、水噴射量Qwの残りの半分の量の水を第2水噴射弁71bから噴射させる。この結果、水噴射量Qwに等しい量の水が燃焼室24内に噴射される。噴射された水は燃焼室24内で気化し、燃焼室24内の所定の領域の温度が低下する。
次に、CPUはステップ480に進み、現時点がメイン噴射時期(本例では、圧縮上死点後前5°クランク角)であるか否かを判定する。現時点がメイン噴射時期でなければ、CPUはステップ480にて「No」と判定し、ステップ495に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
現時点がメイン噴射時期であると、CPUはステップ480にて「Yes」と判定してステップ490に進み、この時点の燃料噴射圧(燃料噴射弁61から燃料が噴射される際の燃料の圧力)を別途計算されている燃料噴射圧Fpに一致させ、別途計算されているメイン噴射量Qmに等しい量の燃料を燃料噴射弁61から噴射させる。メイン噴射によって噴射された燃料は、パイロット燃焼によってパイロット噴射時よりも更に高温・高圧となった筒内ガスに曝され、着火する。即ち、主燃焼が始まる。その後、CPUはステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
CPUは、更に、任意の気筒のクランク角が、その気筒の圧縮上死点前90°クランク角になる毎に、その気筒に対して図5にフローチャートにより示した「燃焼騒音低減処理ルーチン」を実行するようになっている。
従って、ある気筒(以下、「特定気筒」とも称呼する。)のクランク角が、その特定気筒の圧縮上死点前90°クランク角に一致すると、CPUは図5のステップ500から処理を開始し、ステップ505に進む。CPUは、ステップ505にて、燃料噴射圧Fpの基準値(即ち、基準燃料噴射圧)Fpsを、機関負荷と機関回転速度NEとを図示しないルックアップテーブルに適用することにより決定する。
次に、CPUはステップ510に進み、現時点の「機関負荷及び機関回転速度NE」により定まる運転状態が、CPUが本ルーチンを前回実施した時点の運転状態(以下「前回の運転状態」と称呼する。)と実質的に同一であるか否かを判定する。実質的に同一であるとは、前回の運転状態の機関負荷と現時点の運転状態の機関負荷との差の大きさが第1所定値以内であり、且つ、前回の運転状態の機関回転速度NEと現時点の運転状態の機関回転速度NEとの差の大きさが第2所定値以内であることである。現時点の運転状態が前回の運転状態と実質的に同一でなければ、CPUはステップ510にて「No」と判定し、以下に述べるステップ515乃至ステップ525の処理を順に行い、ステップ599に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ515:CPUは、水噴射要求フラグXwの値を「0」に設定する。
ステップ520:CPUは、水噴射量Qwを「0」に設定する。
ステップ525:CPUは、燃料噴射圧Fpを基準燃料噴射圧Fpsに設定する。
これに対し、CPUがステップ510の処理を実行する時点において、現時点の運転状態が前回の運転状態と実質的に同一であると、CPUはステップ530に進み、本ルーチンを前回実行した時点において特定気筒に対して水が噴射されていなかったか否かを判定する。水噴射がなされていなければ、CPUはステップ530にて「Yes」と判定し、ステップ535に進んで燃焼騒音レベルCNを算出する。燃焼騒音レベルCNの算出方法については後述する。
次に、CPUはステップ540にて、燃焼騒音レベルCNが閾値騒音レベルCNthよりも大きいか否かを判定する。燃焼騒音レベルCNが閾値騒音レベルCNthよりも小さければ、CPUはステップ540にて「No」と判定し、上述したステップ515乃至ステップ525の処理を順に行って本ルーチンを一旦終了する。これに対し、燃焼騒音レベルCNが閾値騒音レベルCNthよりも大きければ、CPUは以下に述べるステップ545乃至ステップ560の処理を順に行い、ステップ565に進む。
ステップ545:CPUは、水噴射要求フラグXwの値を「1」に設定する。
ステップ550:CPUは、燃焼騒音レベルCNから閾値騒音レベルCNthを減じた値を騒音レベル差ΔCNとして求める。
ステップ555:CPUは、騒音レベル差ΔCN、機関回転速度NE及びメイン噴射量QmをルックアップテーブルMapAに適用することによって、水噴射量の基準値Qwsを決定する。このテーブルMapAは、機関回転速度NE及びメイン噴射量Qmの運転状態において騒音レベル差ΔCNを「0」にするために必要な水噴射量を事前実験により求め、そのデータに基づいて定められたテーブルである。テーブルMapAによれば、水噴射量の基準値Qwsは、騒音レベル差ΔCNが大きいほど大きくなるように決定される。
ステップ560:CPUは、燃焼室24内で燃焼が発生する直前における燃焼室24内のガスの疎密波の共鳴周波数frを算出(推定)する。共鳴周波数frの算出方法については後述する。
次に、CPUはステップ565に進み、共鳴周波数frが「前述した人間にとって不快と感じられる特定周波数帯(f0〜f1)」内であるか否かを判定する。共鳴周波数frが特定周波数帯(f0〜f1)内でない場合、CPUはステップ565にて「No」と判定し、以下に述べるステップ570及びステップ575の処理を順に行い、その後、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ570:CPUは、水噴射量Qwを水噴射量の基準値Qwsに設定する。
ステップ525:CPUは、燃料噴射圧Fpを基準燃料噴射圧Fpsに設定する。
これに対し、CPUがステップ565の処理を実行する時点において、共鳴周波数frが特定周波数帯(f0〜f1)内である場合、CPUはステップ565にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ577乃至ステップ595の処理を順に行い、その後、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ577:CPUは、特定周波数帯の上限周波数f1から共鳴周波数frを減じることにより周波数差Δfを算出する。
ステップ580:CPUは、周波数差Δf、機関回転速度NE及びメイン噴射量Qmを、ルックアップテーブルMapBに適用して、水噴射量の補正量ΔQwを求める。テーブルMapBは、水噴射量を「基準値Qwsから補正量ΔQwを減じた量」に設定することによって共鳴周波数frが上限周波数f1よりも高くなるように補正量ΔQwを機関回転速度NE及びメイン噴射量Qmに対して事前実験により求め、そのデータに基づいて作成されている。
ステップ585:CPUは、水噴射量の基準値Qwsから補正量ΔQwを減じることにより水噴射量Qwを算出する。
ステップ590:CPUは、騒音レベル差ΔCN、機関回転速度NE及びメイン噴射量Qmを、ルックアップテーブルMapCに適用して、燃料噴射圧の補正量ΔFpを求める。テーブルMapCは、水噴射量が基準値Qwsから補正量ΔQwだけ減じられた結果として大きくなる燃焼騒音レベルCNが閾値騒音レベルCNth以下となるように、補正量ΔFpを機関回転速度NE及びメイン噴射量Qmに対して事前実験により求め、そのデータに基づいて作成されている。
ステップ595:CPUは、基準燃料噴射圧Fpsから燃料噴射圧の補正量ΔFpを減じた値を燃料噴射圧Fpとして設定する。
なお、CPUが本ルーチンを前回実行した時点において特定気筒に対して水が噴射されていれば、CPUは、ステップ530にて「No」と判定してステップ599に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上の結果、水噴射を行わない場合に燃焼騒音レベルCNが閾値騒音レベルCNthを超える場合には、水噴射量の基準値Qwsに等しい量の水が噴射される。但し、その水噴射によって燃焼室24内のガスの疎密波の共鳴周波数frが特定周波数帯(f0〜f1)内に入ることが予想される場合には水噴射量が「基準値Qwsから補正量ΔQwだけ減じられた量」に設定される。更に、その場合、燃焼騒音レベルCNが閾値騒音レベルCNthを超える虞があるので、燃料噴射圧Fpが「基準燃料噴射圧Fpsから燃料噴射圧の補正量ΔFpを減じた値」に設定される。この結果、共鳴周波数frは特定周波数帯(f0〜f1)よりも大きくなり、且つ、燃焼騒音レベルCNは閾値騒音レベルCNth以下となる。
<燃焼騒音レベルの算出>
CPUは、燃焼騒音レベルCN及び共鳴周波数frを次のようにして算出する。
(1)筒内圧Pcの取得(サンプリング)
CPUは、クランク角が「圧縮上死点前180°クランク角(BTDC180°)からパイロット燃焼及び主燃焼を経て圧縮上死点後180°クランク角(ATDC180°)まで」変化する間の筒内圧Pcを微小な所定クランク角ΔCA毎に取得し、クランク角に対応させながらRAM83に記憶する。
(2)周波数分布の取得
CPUは、取得した筒内圧Pcに対して周知のFFT(Fast Fourier Transform)を適用し、筒内圧Pcの変動(即ち、燃焼室24内に発生した筒内ガスの疎密波)を構成する周波数分布(各周波数における疎密波の強度・レベル)を取得する。
(3)構造減衰フィルタの適用
CPUは、筒内圧Pcの変動を構成する周波数分布に対して構造減衰フィルタを適用する。より具体的に述べると、燃焼室24内における燃料の燃焼に伴って発生する筒内圧Pcの変動は、シリンダブロック21及びシリンダヘッド22等(即ち、機関本体部20)を振動させる。更に、機関本体部20の振動が機関10周辺の空気に伝わることによって燃焼騒音が発生する。
筒内圧Pcの変動が機関10周辺の空気に伝わる際に減衰が発生するが、減衰の程度は周波数によって異なる。構造減衰フィルタは各周波数に対する減衰の程度を表している。構造減衰フィルタは、図6に示したように、周波数Fa(k)毎の補正値(構造減衰補正値)M(k)によって構成されている。構造減衰フィルタはルックアップテーブルの形式にて予めROM82に記憶されている。
CPUは、筒内圧Pcの変動を構成する周波数分布に含まれる各周波数成分の大きさに対して、対応する構造減衰補正値を加えることによって、筒内圧Pcの変動を構成する周波数分布に対して構造減衰フィルタを適用する。その結果、燃焼騒音の周波数分布が得られる。
(4)A特性フィルタの適用
CPUは、燃焼騒音の周波数分布に対してA特性フィルタを適用する。より具体的に述べると、人間の聴覚は周波数毎に感度(敏感さ)が異なるので、音量(音圧)が同じであっても周波数が異なると人間は音量が異なると感じる。そこで、CPUは、A特性フィルタを適用することによって燃焼騒音を構成する各周波数成分を人間の聴覚の感度に応じて補正する。
A特性フィルタは各周波数に対する人間の聴覚の感度を表している。A特性フィルタは、構造減衰フィルタと同様、図7に示したように、周波数Fa(k)毎の補正値(A特性補正値)L(k)によって構成されている。A特性補正値のそれぞれは、JIS C 1509に基づいている。A特性フィルタはルックアップテーブルの形式にて予めROM82に記憶されている。
CPUは、構造減衰フィルタを適用して得られた「燃焼騒音の周波数分布」に含まれる各周波数成分の大きさに対してA特性補正値を加えることによって、燃焼騒音の周波数分布に対して構造減衰フィルタを適用する。その結果、人間の聴覚によって認識される燃焼騒音の周波数分布が得られる。
(5)燃焼騒音レベルCNの算出
CPUは、上述の処理によって得られた聴感上の周波数分布の20Hzから20kHzまで範囲(即ち、人間の可聴域)に含まれる値の平均値を燃焼騒音レベルCNとして算出する。燃焼騒音レベルCNは、人間の聴覚が感知する機関10の燃焼騒音の大きさ(音量)に相当する。
<共鳴周波数の算出>
燃焼騒音は主燃焼発生時に最も大きくなるので(即ち、燃焼騒音に対する寄与はパイロット燃焼よりも主燃焼の方が大きいので)、CPUは、メイン噴射の開始時(即ち、主燃焼の発生直前)の共鳴周波数frを算出する。CPUは、共鳴周波数frを下記の(1)式に基づいて算出する。(1)式において、cは筒内ガスの振動の伝播速度(即ち、音速)であり、dは燃焼室24の直径である。
Figure 2016098738
CPUは、上記(1)式で使用される筒内ガスの振動の伝播速度(即ち、音速)cを下記の(2)式に基づいて算出する。(2)式において、κは筒内ガスの比熱比であり、ρは筒内ガスの密度である。
Figure 2016098738
メイン噴射開始時の密度ρは、メイン噴射開始時における筒内ガスの質量Mを燃焼室24の容積Vcで除することによって算出される(即ち、ρ=M/Vc)。この容積Vcはメイン噴射開始時のクランク角に基づいて算出することができる。一方、筒内ガスの質量Mは「筒内ガスを構成する各成分の物質量」と「各成分の単位物質量あたりの質量」とに基づいて算出することができる。各成分の単位物質量あたりの質量は周知であるから、筒内ガスの質量Mを求めるためには、CPUは筒内ガスを構成する各成分の物質量を取得する必要がある。そこで、以下、筒内ガスを構成する各成分の物質量の求め方について説明する。
筒内ガスの組成は燃焼サイクルの進行にともなって変化する。即ち、吸気工程において燃焼室24内に新気とEGRガスとが導入される(図8(1))。新気は主に窒素(N)及び酸素(O)から構成され、更に、微量の二酸化炭素(CO)及び水蒸気(HO)等を含んでいる。新気を構成する各成分の比率は周知である。新気の流入量は、吸入空気量Gaに基づいて算出することができる。
一方、EGRガスは新気と比較して、二酸化炭素及び水蒸気が占める割合が大きい一方、酸素が占める割合が小さい。EGRガスの組成については後述する。新気とEGRガスとの比率(EGR率)はEGR開弁率Reから算出することができる。従って、EGRガスの流入量は、新気の流入量とEGR率とに基づいて算出することができる。
その後、パイロット燃焼によって、筒内ガスに含まれる酸素が減少する一方、二酸化炭素及び水蒸気が増加する(図8(2))。パイロット燃焼における酸素の減少量、及び、二酸化炭素及び水蒸気の増加量は、パイロット噴射量Qpに基づいて算出することができる。
更に、水噴射によって燃焼室24内の水蒸気が増加する(図8(3))。水噴射時における水蒸気の増加量は、水噴射量Qwに基づいて算出することができる。
その後、主燃焼によって、筒内ガスは酸素が減少する一方、二酸化炭素及び水蒸気が増加する(図8(4))。主燃焼における酸素の減少量、及び、二酸化炭素及び水蒸気の増加量は、メイン噴射量Qmに基づいて算出することができる。
排気行程において筒内ガス(燃焼ガス)は燃焼室24から排気ポート42へ排出される。排出された燃焼ガスの多くは、排ガスとして排ガス浄化装置44を経て大気へ排出される一方、残りの燃焼ガスは、EGRガスとして次の吸気工程において燃焼室24内へ再循環される。従って、上述した燃焼室24内に導入されるEGRガスの組成は、1つ前のサイクルの主燃焼終了時における燃焼ガスの組成に略等しい。
従って、筒内ガスの質量Mは、メイン噴射開始時のクランク角、吸入空気量Ga、EGR開弁率Re、パイロット噴射量Qp、水噴射量Qw及びメイン噴射量Qmに基づいて算出することができる。即ち、CPUは、これらのパラメータに基づいてメイン噴射開始直前の密度ρを算出する。
一方、上記(2)式において使用されるメイン噴射開始時の比熱比κは、「筒内ガスを構成する各成分の物質量」と「各成分の比熱比」とに基づいて算出することができる。特定の温度(例えば、20°C)における各成分の比熱比は周知である一方、比熱比は温度に応じて変化する。換言すれば、比熱比κは、「筒内ガスを構成する各成分の物質量」と「メイン噴射開始時の筒内ガスの温度」とに基づいて算出することができる。
メイン噴射開始時の筒内ガスの温度は、吸気温度Ti、燃焼室24の容積Vc(具体的には、吸気弁33閉弁時の容積Vc及びメイン噴射開始時の容積Vc)及びメイン噴射開始時の筒内圧Pcに基づいて算出することができる。即ち、CPUは、これらのパラメータに基づいてメイン噴射開始直前の比熱比κを算出する。以上により、共鳴周波数frが推定される。
<その他>
なお、水噴射量Qwを増加させることによって共鳴周波数frを更に低下させ、その結果、共鳴周波数frが特定周波数帯に含まれないようにすることも可能である。しかし、水噴射量Qwの増加に伴って燃焼室24内の水蒸気濃度が上昇するので燃焼室24及び排気通路41等の腐食が促進される可能性がある。加えて、水噴射量Qwが増加すると、第1水噴射弁71a又は第2水噴射弁71bの閉弁時、第1水噴射弁71a又は第2水噴射弁71b内部において加圧された水流の急停止に伴う衝撃(所謂、ウォーターハンマー現象)が発生し、第1水噴射弁71a又は第2水噴射弁71bの劣化が促進される可能性がある。そのため、ECU80は、共鳴周波数frが特定周波数帯(f0〜f1)内に入ることが予想される場合には水噴射量Qwを減少させる。
以上、説明したように、本制御装置は、
燃焼室(24)内に燃料を噴射する燃料噴射弁(61)及び同燃料噴射弁から同燃料が噴射される際の燃料の圧力である燃料噴射圧(Fp)を調整することが可能な燃料噴射圧調整装置(サプライポンプ62)を含む燃料噴射装置と、
前記燃焼室内に水を噴射する水噴射弁(第1水噴射弁71a及び第2水噴射弁71b)を含む水噴射装置と、
を備える内燃機関(10)に適用され、
前記水噴射弁から所定量の前記水を噴射させる指示を前記水噴射弁に与え(図4のステップ470)、前記燃料噴射弁から前記燃料を噴射させる指示を前記燃料噴射弁に与えて(図4のステップ490)前記燃焼室内において前記燃料の燃焼を発生させる制御部(ECU80)、を有する内燃機関の制御装置において、
前記制御部は、
前記所定量の水が噴射されたと仮定して前記燃焼が発生する直前の時点における前記燃焼室内のガスの密度(ρ)及び同ガスの比熱比(κ)に基づいて同ガスに発生する疎密波の共鳴周波数を推定する(図5のステップ560)推定部と、
前記推定された共鳴周波数が所定の特定周波数帯に含まれる場合(図5のステップ565にて「Yes」と判定される場合)、前記水噴射弁によって噴射される水の量を前記所定量から減少させ(図5のステップ555、ステップ580及びステップ585)、且つ、前記燃料噴射圧を低下させる(図5のステップ505、ステップ590及びステップ595)噴射修正部と、
を備えている。
本制御装置によれば、燃焼室24内への水噴射によって燃焼騒音レベルが過大になることを回避する一方、人間にとって不快な燃焼騒音の発生を抑制することができる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本実施形態において、ECU80は、メイン噴射に先立ちパイロット噴射を1回実行していた。しかし、ECU80は、パイロット噴射を2回以上実行しても良い。或いは、ECU80は、メイン噴射の後、アフター噴射及び/又はポスト噴射を実行しても良い。更に、ECU80は、パイロット噴射を実行することなくメイン噴射のみを実行しても良い。
加えて、ECU80は、クランク角がBTDC180°からATDC180°まで変化する間の筒内圧Pcに対してFFTを適用していた。しかし、ECU80は、FFTの対象となるクランク角の範囲を「BTDC180°からATDC180°まで」よりも狭くしても良い。
機関…10、機関本体部…20、吸気システム…30、排気システム…40、EGRシステム…50、燃料噴射弁…61、燃料噴孔…64a〜64h、水噴射弁…71a、71b、水噴孔…72a〜72d。

Claims (1)

  1. 燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁及び同燃料噴射弁から同燃料が噴射される際の燃料の圧力である燃料噴射圧を調整することが可能な燃料噴射圧調整装置を含む燃料噴射装置と、
    前記燃焼室内に水を噴射する水噴射弁を含む水噴射装置と、
    を備える内燃機関に適用され、
    前記水噴射弁から所定量の前記水を噴射させる指示を前記水噴射弁に与え、前記燃料噴射弁から前記燃料を噴射させる指示を前記燃料噴射弁に与えて前記燃焼室内において前記燃料の燃焼を発生させる制御部、を有する内燃機関の制御装置において、
    前記制御部は、
    前記所定量の水が噴射されたと仮定して前記燃焼が発生する直前の時点における前記燃焼室内のガスの密度及び同ガスの比熱比に基づいて同ガスに発生する疎密波の共鳴周波数を推定する推定部と、
    前記推定された共鳴周波数が所定の特定周波数帯に含まれる場合、前記水噴射弁によって噴射される水の量を前記所定量から減少させ、且つ、前記燃料噴射圧を低下させる噴射修正部と、
    を備える内燃機関の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018172998A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 マツダ株式会社 予混合圧縮着火式エンジンの制御装置
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CN110389037A (zh) * 2019-07-23 2019-10-29 哈尔滨工程大学 一种柴油机进气量测量系统

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