JP2016098323A - 接着剤、及び該接着層を有する多層フィルム - Google Patents

接着剤、及び該接着層を有する多層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 ガスバリア強化のために無機層をもつ金属箔、金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルムの各種フィルムをラミネートした際に強い接着強度で接着できる接着剤を提供することにある。加えて、ガスバリア機能を持つラミネート接着剤でのガスバリア機能を更に高めた接着剤を提供することにある。また、この接着剤層を含有する多層フィルムを提供することにある。
【解決手段】 シクロデキストリン又はその誘導体を含有するラミネート接着剤、更に詳しくは、シクロデキストリン又はその誘導体を含有し、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)であって、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタンを主骨格として有する樹脂から構成されラミネート接着剤により上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤、及び該接着層を有する多層フィルムに関する。
食品や飲料等の包装に代表的に用いられる包装材料は、様々な流通、冷蔵等の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するため、強度や割れにくさ、耐レトルト性、耐熱性といった機能ばかりでなく、内容物を確認できるよう透明性に優れるなど多岐に渡る機能が要求されている。その一方で、ヒートシールにより袋を密閉する場合には、熱加工性に優れる無延伸のポリオレフィン類フィルムが必須であるが、無延伸ポリオレフィンフィルムには包装材料として不足している機能も多い。特に内容物の品質保持及び内容量保持という目的から高いバリア性が特に要求されている。このようなバリア包装材料の中でも特に高いガスバリアを必要とする包装材料には包装層構成の中に、アルミ箔や、透明蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルムなどの無機層を含有する多層フィルムが使用される場合が多い。
しかしながら、アルミ箔や透明蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルムの無機層表面は、汎用プラスチックフィルムにコロナ処理等の表面処理を施された層に較べて、表面張力が低いなどの原因により、ラミネート接着剤で接着した際の接着強度が低くなる場合がある。こうした状態では多層フィルムの接着強度が低いことにより、袋の破袋、デラミネーションなどの多層フィルムの品質上の問題が生じる場合がある。
こうした問題を解決する手法として、リン酸系化合物添加やシランカップリング剤をラミネート用接着剤に添加することにより、無機層が持つ多層フィルムへの接着強度を高める改良が広く行われている。しかしながら、リン酸系化合物の添加ではリン酸系化合物がラミネート用接着剤に用いられるポリオールとポリイソシアネート化合物の硬化反応速度に影響してゲル化を生じ、使用可能な時間が短くなる等の問題が生じる場合がある。また、シランカップリング剤を添加する方法では、接着強度強化にシランカップリング剤の含有率を高くする必要がある場合があるが、毒性の問題で添加できる量が限られる問題がある。加えて、シランカップリング剤反応は、水が関与するためイソシアネート硬化系では制御が困難となる場合がある。
一方、シクロデキストリン化合物を含有する多層フィルムとして例えば特許文献1として、熱可塑性樹脂外層、基材層、高度なバリア性を有するバリア層及びシーラント層を含む包装積層材料であって、前記バリア層内側にシクロデキストリン含有層を備えた包装積層材料が開示されている。しかしながら本文献ではデキストリン化合物により樹脂材料臭気、接着剤材料臭気を吸収する効果をみいだしているが、デキストリン化合物による接着力の強化に関しての言及はない。
また、多層フィルムとして無機成分を持たない多層フィルムにおいても、ガスバリア機能が高いほど有用な包装は多い。接着層にガスバリア機能をもつ接着剤については例えば特許文献2にガスバリア機能を接着機能とを併せ持つバリア接着剤について開示されているが、デキストリン化合物を併用することで、ガスバリア機能を高めることに関して何ら記述がない。
特開2007−83619号公報 特許4962666号
本発明が解決しようとする課題は、ガスバリア強化のために無機層をもつ金属箔、金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルムの各種フィルムをラミネートした際に強い接着強度で接着できる接着剤を提供することにある。加えて、ガスバリア機能を持つラミネート接着剤でのガスバリア機能を更に高めた接着剤を提供することにある。また、この接着剤層を含有する多層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、ラミネート用接着剤にシクロデキストリン及び/又はその誘導体を含有させることにより、無機層をもつフィルム、特に金属箔、金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルムの各種フィルムをラミネートした際に強い接着強度を持つ接着剤になることを見出した。さらに本発明者らは、ラミネート用接着剤にシクロデキストリン及び/又はその誘導体を含有させることにより元々ガスバリア機能を持つ接着剤のガスバリア機能をさらに強化できることを見出した。
即ち、本発明はシクロデキストリン又はその誘導体を含有するラミネート接着剤を提供する。また、本発明は該ラミネート接着剤層を含有する積層体、包装材を提供する。
本発明により、ガスバリア強化のために用いられる、金属箔、金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルムの各種フィルムを多層化する際に強い接着強度で接着する接着剤を提供できる。さらに本発明により、接着層がガスバリア機能を持つ場合にはさらにガスバリア機能を高めた接着剤を提供できる。
本発明のラミネート接着剤は、シクロデキストリン化合物、即ち、シクロデキストリン及び/又はその誘導体を含有する。
(使用する接着剤の形態)
本発明のラミネート接着剤はラミネート用途に用いられるものであれば特に制限がなく、ドライラミネート(溶剤)型、ノンソルベント(無溶剤)型のいずれの接着剤として用いてもよい。
(シクロデキストリン及び/又はその誘導体)
前記シクロデキストリン及び/又はその誘導体は、本発明の効果である1)無機層を持つフィルムへの優れた接着性、2)優れた酸素バリアの強化、を得るうえで必須の成分である。具体的には例えば、シクロデキストリンの他、アルキル化シクロデキストリン、アセチル化シクロデキストリン、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン等のシクロデキストリンのグルコース単位の水酸基の水素原子を他の官能基で置換したものなどを用いることができる。また、分岐環状デキストリンも用いることができる。また、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体におけるシクロデキストリン骨格としては、6個のグルコース単位からなるα−シクロデキストリン、7個のグルコース単位からなるβ−シクロデキストリン、8個のグルコース単位からなるγ−シクロデキストリンのいずれも用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらシクロデキストリン及び/又はその誘導体を以降、デキストリン化合物と総称する場合がある。
(デキストリン誘導体の置換度)
本発明では接着剤としてポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタンを主骨格として有する樹脂を用いることが好ましい。従って樹脂成分への相溶性、分散性の観点から、前記シクロデキストリン化合物としては、シクロデキストリン誘導体を用いることが好ましい。置換度としては上記各種樹脂の極性の観点から、0.1〜14個/グルコースの範囲であることが好ましく、0.3〜8個/グルコースの範囲であることがより好ましい。
(デキストリン誘導体の種類)
前記アルキル化シクロデキストリンとしては、例えば、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、メチル−γ−シクロデキストリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記アセチル化シクロデキストリンとしては、例えば、モノアセチル−α−シクロデキストリン、モノアセチル−β−シクロデキストリン、モノアセチル−γ−シクロデキストリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとしては、例えば、ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(デキストリン及び/又はその誘導体の含有率)
前記シクロデキストリン及び/又はその誘導体の含有量としては特に制限はないが、樹脂(A)、溶媒、イソシアネート化合物との相溶性、接着強度向上、とバリア向上の点から、本発明のラミネート接着剤乾燥固体中の0.01〜20質量部の範囲であることが好ましく、0.05〜10質量部の範囲がより好ましく、0.1〜5質量部の範囲が更に好ましい。
(シクロデキストリン及び/又はその誘導体の効果)
本発明ではシクロデキストリン及び/又はその誘導体が持つ、環状かつ規則的に配置された水酸基とエーテル基が無機表面と複数の相互作用点を配位結合、水素結合として持つことで無機層をもつフィルム、特に金属箔、金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルムの各種フィルムをラミネートした際に強い接着強度を持つ接着剤とすることができると想定している。また、シクロデキストリン及び/又はその誘導体が持つ多数の水酸基が分子間の相互作用をして、ガスが透過する自由体積孔を狭めることによりバリア機能を向上させると想定している。
(シランカップリング剤との相違点)
無機層を持つフィルムとの接着力の強化の場合にはシランカップリング剤を添加する場合が多い。しかしながら、本手法では結合処理に水の関与が必要であるが溶剤型、無溶剤型のいずれの接着剤も基本は非水系であり、水による制御は再現性等の面から難易度が高い。
更にシランカップリング剤は自己縮合の副反応が起こりやすく、その結果生じた反応物が用途によっては悪影響を及ぼす場合がある。一方、本発明で用いるシクロデキストリン及び/又はその誘導体にはこうした問題点がない。さらに食品添加物にも用いられる毒性の低い材料である点も有利である。
本発明のラミネート接着剤に用いる樹脂成分はラミネート接着剤として機能しうる樹脂成分であれば特に限定はない。好ましい例として例示のポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタン以外でも、エポキシ系、アクリル系、アクリルウレタン、アクリルポリオール等の公知慣用の接着剤を用いることができる。
(樹脂成分)
[官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)]
本発明で使用する樹脂(A)は、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂であって、主骨格が、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタンを含有しているものであれば好ましい。中でも樹脂(A)の主骨格がポリエステル又はポリエステルポリウレタン構造であると更に好ましい。
本発明で用いられるポリエステルは、公知の技術により合成したものを使用でき、例えば多価アルコールと多価カルボン酸との反応により得ることが出来る。ポリエステルポリウレタンは、公知の技術が使用でき、例えばポリエステルポリオールとジイソシアネートとの反応により得ることが出来る。ポリエーテルは、公知の技術が使用でき、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどのオキシラン化合物を、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られる。ポリエーテルポリウレタンは、公知の技術が使用でき、例えばポリエーテルとジイソシアネートとの反応により得ることが出来る。
(多価カルボン酸)
本発明で使用する樹脂(A)は、多価カルボン酸成分として具体的には、脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等を、脂環族多価カルボン酸としては1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、芳香族多価カルボン酸としては、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物或いはエステル形成性誘導体;p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の多塩基酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。また、これらの酸無水物も使用することができる。中でも、ガスバリア性を得る為にはオルトフタル酸、オルトフタル酸の酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸の芳香族ジカルボン酸が好ましく、更にはオルトフタル酸及びその酸無水物がより好ましい。
(多価アルコール成分)
本発明で使用する多価アルコールは、具体的には、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、芳香族多価フェノールとして、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらの、エチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族を例示することができる。中でも酸素原子間の炭素原子数が少ないほど、分子鎖が過剰に柔軟にならずに、ガス透過しにくいと推定されることから、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールが好ましく、更にはエチレングリコールがより好ましい。多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合反応は、公知慣用の方法で行うことができる。
[官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)として好ましい成分]
本発明で使用する2個以上の水酸基を有する樹脂(A)として、より具体的には、オルトフタル酸及びその無水物を少なくとも1種以上含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分であると。特に、前記オルトフタル酸及びその無水物の、多価カルボン酸全成分に対する使用率が70〜100質量%であるポリエステルポリオールが好ましい。
(多価カルボン酸 その他の成分)
本発明で用いるポリエステルポリオールは、多価カルボン酸成分として前記オルトフタル酸及びその無水物を含有すると好ましいが、他の多価カルボン酸成分を共重合させてもよい。具体的には、前述の脂肪族多価カルボン酸、脂環族多価カルボン酸を単独で或いは二種以上の混合物で使用することができる。中でも、コハク酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸が好ましい。
(多価アルコール その他の成分)
多価アルコール成分及びその他の成分としては、前記エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノール以外のものを発明の効果を妨げない範囲で添加することができる。これには各種脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコール、芳香族多価フェノール等を例示することができる。中でも、樹脂(A)にグリセロール、イソシアヌル環を有するトリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール成分を併用して合成した樹脂(A)も好ましく用いられる。
(オルトフタル酸及びその無水物を骨格に持つ効果)
オルトフタル酸及びその無水物は、骨格が非対称構造である。従って、得られるポリエステルの分子鎖の回転抑制が生じると推定され、これによりガスバリア性に優れると推定している。また、この非対称構造に起因して非結晶性を示し、十分な基材密着性が付与され、接着力とガスバリア性に優れると推定される。さらにドライラミネート接着剤として用いる場合には必須である溶媒溶解性も高いことで取扱い性にも優れる特徴を持つ。
(樹脂(A)の合成方法の例)
樹脂(A)がポリエステルテルポリオールは、公知のポリエステルの製造方法により得ることができる。具体的には、触媒共存下、反応温度200〜220℃で、生成する水を系外へ取り除きながら反応させる製造方法にて合成できる。
具体的な一例を示すと、カルボン酸がオルト位に置換された芳香族多価カルボン酸またはその無水物と、多価アルコール成分を一括して仕込んだ後、攪拌混合しながら昇温し、脱水縮合反応させる。JIS−K0070に記載の酸価測定法にて1mgKOH/g以下、同じくJIS−K0070に記載の水酸基価測定方法にて得られる水酸基価ZmgKOH/gが下記式(e)の右辺の数値(mgKOH/g)の±5%以内に入るまで反応を継続することで目的とするポリエステルポリオールを得ることができる。
Figure 2016098323
(式(e)中、Mnは所定の3官能ポリエステル樹脂の設定数平均分子量を表す。)
或いは、各々の原料を多段階に分けて反応させてもよい。また、反応温度にて揮発してしまったジオール成分を追加しながら、水酸基価を±5%以内に入るように調製してもよい。
反応に用いられる触媒としては、モノブチル酸化錫、ジブチル酸化錫等錫系触媒、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等のチタン系触媒、テトラ−ブチル−ジルコネート等のジルコニア系触媒等の酸触媒が挙げられる。エステル反応に対する活性が高い、テトラ−イソプロピル−チタネート、テトラ−ブチル−チタネート等の上記チタン系触媒と上記ジルコニア触媒を組み合わせて用いることが好ましい。前記触媒量は、使用する反応原料全質量に対して1〜1000ppm用いられ、より好ましくは10〜100ppmである。1ppmを下回ると触媒としての効果が得られにくく、1000ppmを上回ると後のウレタン化の反応を阻害する傾向がある。
これらの樹脂(A)の数平均分子量は350〜15000であると接着能とガスバリア能とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜5000である。また硬化剤としては、後述のポリイソシアネートが最も好ましく、適度な反応時間を付与でき、接着強度とガスバリア能に特に優れる。分子量が350より小さい場合、塗工時の接着剤の凝集力が小さくなりすぎ、ラミネート時にフィルムがズレたり、貼り合せたフィルムが浮き上がるといった不具合が起こり、逆に分子量が15000よりも高い場合、塗工時の粘度が高くなり過ぎて塗工が出来ないことや、粘着性が低い事よりラミネートができないといった不具合が発生する。また、数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求めた。
本発明で使用する樹脂(A)は、ガラス転移温度が−30℃〜80℃の範囲が好ましい。より好ましくは0℃〜60℃である。更に好ましくは25℃〜60℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高すぎる場合、室温付近でのポリエステルポリオールの柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方、−30℃よりも低すぎる場合、常温付近でのポリエステルポリオールの分子運動が激しいことにより十分なガスバリア性が出ないおそれがある。
更に樹脂(A)をジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000〜30000としたポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオールを接着剤として用いても良い。該ポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するために、優れたガスバリア性を持つ上、初期凝集力に優れ、ラミネート時に使用する接着剤としてさらに優れる。また、樹脂(A)とジイソシアネート化合物における水酸基とイソソアネート基の比率をイソシアネート過剰とすることで、末端をイソシアネート基とすることが出来、これを硬化剤や一液硬化型(湿気硬化型)接着剤として使用してもよい。
(接着剤 硬化剤)
本発明で使用する硬化剤は、前記樹脂(A)の水酸基と反応しうる硬化剤であれば特に限定はなく、ジイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物等の公知の硬化剤を使用できる。中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート化合物があり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、及びこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3−ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物及びそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られる。
中でも、良好なガスバリア性を得る為にはイソシアネート化合物が芳香環を含有していることが好ましく、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネート、または、前記ジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、またはポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートであることが好ましく、中でもメタキシレンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物であることが最も好ましい。
本発明で使用する樹脂(A)とイソシアネート化合物(B)との硬化塗膜のガラス転移温度が−30℃〜80℃の範囲が好ましい。より好ましくは0℃〜70℃である。更に好ましくは25℃〜70℃である。ガラス転移温度が80℃よりも高い場合、室温付近での硬化塗膜の柔軟性が低くなることにより、基材への密着性が劣ることで接着力が低下するおそれがある。一方、−30℃よりも低い場合、凝集力不足による接着力低下のおそれがある。
前記メタキシレン骨格を含むポリイソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアネートの3量体、アミンとの反応により合成されるビューレット体、アルコールと反応してなるアダクト体があるが、3量体、ビューレット体と比べ、ポリイソシアネート化合物のドライラミネート接着剤に用いられる有機溶剤への溶解性が得られやすいという理由からアダクト体がより好ましい。アダクト体としては、上記の低分子活性水素化合物の中から適宜選択されるアルコールと反応してなるアダクト体が使用できるが、中でも、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリエタノールアミン、メタキシレンジアミンのエチレンオキシド付加物とのアダクト体が特に好ましい。
前記樹脂(A)と前記硬化剤とは、樹脂(A)と硬化剤との割合が樹脂(A)の水酸基と硬化剤の反応成分とが1/0.5〜1/10(当量比)となるように配合することが好ましく、より好ましくは1/1〜1/5である。該範囲を超えて硬化剤成分が過剰な場合、余剰な硬化剤成分が残留することで接着後に接着層からブリードアウトするおそれがあり、一方、硬化剤成分が不足の場合には接着強度不足のおそれがある。
前記硬化剤は、その種類に応じて選択された公知の硬化剤或いは促進剤を併用することもできる。例えば接着促進剤としては、加水分解性アルコキシシラン化合物等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂等が挙げられる。シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤は、各種フィルム材料に対する接着剤を向上させる意味でも好ましい。
(溶剤)
本発明ではラミネート用接着剤が溶剤型である場合には有機溶剤を用いる。この時、用いる溶剤としては、それ以外の接着剤成分、たとえば、樹脂(A)やイソシアネート化合物を溶解させることができ、且つシクロデキストリン及び/又はその誘導体を溶解または分散させる溶媒であれば特に制限はない。具体的には酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒の他、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジメチルエ−テル、ジエチルエ−テル、ジブチルエ−テル、アニソ−ル等のエ−テル類を例示することができる。中でも、酢酸エチル、2−ブタノンは現行のドライラミネート用接着剤にも多用されているため特に好ましく用いられる。このとき、特定の樹脂(A)が溶媒内に共存することで、シクロデキストリン及び/又はその誘導体の溶解性を高める場合があり、こうした樹脂(A)を用いると更にデキストリン化合物の添加効果を高めることができる。
(その他の成分)
本発明で使用するポリエステル樹脂組成物は、接着機能やガスバリア性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナなどの無機充填剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤や、硬化塗膜の耐酸性を向上させるために、フタル酸無水物、コハク酸無水物等の酸無水物等が例示できる。
また、必要に応じて、更にガスの捕捉機能を有する化合物を添加してガスバリア効果を促進してもよい。水蒸気捕捉機能を有する化合物としては、例えば、シリカゲル類、珪酸カルシウム、ゼオライト、炭酸カルシウム、活性炭等の無機化合物が例示される。
また、塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の総量100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が好ましい。
更に、バリア機能の向上を目的として、板状無機化合物たとえば、タルク、マイカ類、カオリン、モンモリロナイト類、バーミキュライト類等を接着剤中に添加しても良い。
(本発明のラミネート接着剤の使用法)
本発明のラミネート接着剤の使用法は一般的に各種の樹脂フィルムを基材に塗工ラミネートすることによる。
(使用するフィルム、シート)
基材として使用する積層用のフィルムは、特に限定はなく、所望の用途に応じた熱可塑性樹脂フィルムを適宜選択することができる。例えば食品包装用としては、PETフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミド(ナイロン)フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:直鎖低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸或いは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。更にこれら樹脂フィルム以外にも紙、布等のシート状物を基材として用いても差し支えない。
また、フィルム表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理を施してもよい。
(無機層を持つフィルム)
本発明での効果の一部は、金属箔、金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルムの各種フィルムをラミネートした際に強い接着強度を持つ接着剤になることがある。この時に用いる金属箔としては、アルミニウム箔、亜鉛箔、錫箔等の金属箔を用いることができる。特にアルミニウム箔は価格、供給の面から広く用いられており好ましい。また、金属蒸着フィルムとしては、前記の基材フィルム上に、アルミニウム、錫、亜鉛、マグネシウム等の金属を蒸着したものが用いられる。これらの金属にも特に制限はないが特にアルミニウムは価格、供給の面から広く用いることができる。また、透明蒸着フィルムとしては、前記の基材フィルム上に酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等を蒸着したフィルムを例示できる。中でも酸化アルミニウム、酸化ケイ素やこれらの2元蒸着物は価格、供給の面から好ましく用いられる。
無機層をもつフィルムが金属蒸着フィルム、透明蒸着フィルムの場合、蒸着方法としては公知慣用のいずれの方法で製造されたものでも良く、化学的蒸着(CVD)法、物理的蒸着(PVD)法、等を例示できる。また、これらのフィルムにはオーバーコート層があってもなくてもよいが、オーバーコート層が無いフィルムを用いた場合には特に本発明の、接着力向上、ガスバリア向上の効果が顕著となる。
(本発明のラミネート接着剤の使用法)
本発明のラミネート接着剤は、ドライラミネーション方式、無溶剤方式に使用するのが適している。ドライラミネーション方式、無溶剤方式とも公知慣用の方法で塗工ラミネートを行う。また、必要に応じてエージング等の処理を行うことで多層フィルムとする。
(透過を遮断できるガス成分種類)
本発明の接着剤によりガスバリア機能を付与する場合や、蒸着フィルムのガスバリア機能を強化する場合、遮断できるガスとしては酸素、水蒸気の他、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール成分、フェノール、クレゾール等のフェノール類の他、低分子化合物からなる香気成分類、例えば、醤油、ソース、味噌、メントール、サリチル酸メチル、コーヒー、ココアシャンプー、リンス、等の香り成分を例示することができる。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
製造例1〜3には実施例、比較例に用いた樹脂(A)としての各種ポリエステルポリオール樹脂の製造例を示した。
(製造例1)オルトフタル酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール樹脂「EP600」製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、オルトフタル酸396.34部、エチレングリコール173.73部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量600、水酸基価119.4mgKOH/gのポリエステルポリオール樹脂EP600を得た。
(製造例2)無水フタル酸とエチレングリコールとからなるポリエステルポリオール「EP3000」の製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸148.1部、エチレングリコール72.1部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.03部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が3mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量3000のポリエステルポリオールEP3000を得た。
(製造例3)グリセロールと無水フタル酸とエチレングリコールからなるポリエステルポリオール樹脂「GlyEGoPA」製造方法
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、グリセロールを276.27部、無水フタル酸1036.84部、エチレングリコール325.87部、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.16部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1497.46、水酸基価183.3mgKOH/gのポリエステルポリオール樹脂GlyEGoPAを得た。
また、製造例1〜3以外のポリエステルポリオールに溶剤型ラミネート用接着剤主剤としてディックドライLX−703VL(DICグラフィックス(株)製:ポリエステルポリオール、酢酸エチル、不揮発分/約62%)を用いた試験も実施した。表中ではLX−703VLと表記した。尚、本接着剤は、ポリエステルの原料ジカルボン酸成分の50質量%以上に芳香族ジカルボン酸である、イソフタル酸、テレフタル酸が使用されている、含芳香族ポリエステルポリオールである。
以下に、硬化剤(a)〜(d)として各実施例、比較例で用いた硬化剤を記す。
(硬化剤(a))
三井化学製「タケネートD−110N」(メタキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 不揮発成分75.0% NCO% 11.5%)を硬化剤(a)とした。表中ではD−110Nと表記した。
(硬化剤(b))
住化バイエルウレタン社製「デスモジュールL−75」(トリメチロールプロパンと2,6―トリレンジイソシアネートとのアダクト体(不揮発分は75.0%、NCO%は13.4%)を硬化剤(b)とした。表中ではL−75と表記した。
(硬化剤(c))
日本ポリウレタン(株)製、「ミリオネートMR−400」ポリメリック4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、不揮発成分100%、NCO%30%)を硬化剤(c)とした。表中ではMR400と表記した。
(硬化剤(d))
DICグラフィックス(株)製、「KR90s」ポリイソシアネート型硬化剤、不揮発成分90%、NCO%30%)を硬化剤(d)とした。表中ではKR90sと表記した。
(配合例1、接着剤実1)
ステンレス容器に製造例1で得たポリエステルポリオールEP600を3部、酢酸エチル3.92部をいれ溶解させ均質透明なポリエステルポリオール溶液を得た。ここにデキストリン化合物であるメチル-β-シクロデキストリン0.21部を攪拌し均質透明なデキストリン化合物が溶解したポリエステルポリオール溶液を得た。この溶液に硬化剤(a)を4.85gいれ攪拌し均質な接着剤溶液を得た。この時の接着剤固形分中でのデキストリン化合物の含有率は2.1質量%である。これを接着剤実1とした。この配合を表1に記した。
(配合例2〜5、接着剤実2〜5)
表1の配合にしたがって、配合例1と同様な手順でデキストリン化合物を含有する接着剤実2〜5を得た。また、この配合時にこれらに含まれる接着剤固形分中のデキストリン化合物の含有率を表1中に記した。
(配合例6、接着剤比1)
配合例1の実験操作時にメチル-β-シクロデキストリンを溶解させる工程がなく、ポリエステルポリオール、硬化剤、酢酸エチルのみからなるデキストリン化合物の含有率が0質量%である接着剤溶液を得た。これを接着剤比1とした。この配合を表2に記した。
(配合例7〜10、接着剤比2〜5)
表2の配合にしたがって、配合例6と同様な手順でデキストリン化合物を含有しないこと以外は接着剤実2〜5と同様な組成である接着剤比2〜5を得た。これらの接着剤中のデキストリン化合物の含有率も0質量%である。
(実施例1)
シクロデキストリン化合物を含有する接着剤実1を、バーコーター#8を用いて厚さ12μmの透明蒸着PETフィルムの透明蒸着面に塗布し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、この複合フィルムと未延伸ポリエチレンフィルムとを温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにてドライラミネートしてこの複合フィルムを40℃/3日間かけて硬化(エージング)させ、透明蒸着PET/接着剤/未延伸ポリエチレンの多層フィルムを得た。この際の使用接着剤、層構成及び後述の接着剤の評価結果を表3に示した。
(実施例2〜8)
シクロデキストリン化合物を含有する接着剤実2〜5を使用し、表3に記した各種層構成に変更した多層フィルムを実施例1と同様な方法で得た。またこれらの多層フィルムでの評価結果も表3に記した。
(比較例1〜8)
シクロデキストリン化合物を含有しない接着剤比1〜5を使用し、表4に記した各種層構成に変更した多層フィルムを実施例1と同様な方法で得た。またこれらの多層フィルムでの評価結果も表4に記した。比較例1〜8は実施例1〜8のシクロデキストリン化合物が無い材料に相当する。また、以上の実施例、比較例で、多層フィルムで蒸着フィルムを使用した際は実施例1と同様に蒸着面に接着剤が位置するように多層フィルムを試作している。
(使用フィルム)
各実施例、比較例で使用したフィルムは以下の通りである。
(延伸フィルム)
・PETフィルム:東洋紡績(株)製「E−5100」、厚さ12μm
・ナイロンフィルム:ユニチカ(株)製「エンブレムON―BC」、厚さ15μm
・透明蒸着PETフィルム:東レフィルム加工(株)製 バリアロックス1011HG、厚さ12μm。アルミナ蒸着がPET上に施されている。表中では透明蒸着PETと表記。
(未延伸フィルム)
・未延伸ポリエチレンフィルム:三井化学東セロ(株)製TUX−HC 厚さ60μm。表3及び4中ではLLDPEと表記。
・アルミ蒸着未延伸ポリプロピレンフィルム:東レフィルム加工(株)製、2203#25
厚さ25μm。金属アルミニウム蒸着が未延伸ポリプロピレンフィルム上に施されている。表3及び4中ではVMCPPと表記。
(評価方法)
(酸素透過率)
各種実施例、及び比較例で得られた多層フィルムを、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用いてJIS−K7126(等圧法)に準じ、温度23℃、湿度0%、及び90%の雰囲気下で測定した。なお、表中では湿度をRHと示した。
(水蒸気透過率)
各種実施例で得られたフィルム及び、参考例として未処理の蒸着フィルムを、Illinois社製水蒸気透過率測定装置7002を用いて、伝導度法「ISO−15106−3」に準じ、40℃90%RHの雰囲気下で測定した。
(ラミネート強度の測定方法)
エージングが終了した多層フィルムを、塗工方向と平行に15mm幅に切断し、延伸フィルムと未延伸フィルムとの間を、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法で剥離した際の引っ張り強度をラミネート強度とした。なお表中のPE伸びとは、ラミネート強度が十分に強く、シーラントフィルムが伸びたことを示す。
(シール強度の測定方法)
エージングが終了した多層フィルムを、未延伸フィルム同士を内側に向けヒートシーラー(テスター産業(株)製、TP−701−B)により、シール幅1cm、圧力0.1MPa、時間1秒でヒートシールを行った。尚、ヒートシール温度は未延伸フィルムが未延伸ポリエチレンの場合は、160℃、アルミ蒸着未延伸ポリプロピレンの場合は180℃で行った。こうして得られたヒートシール済みの多層フィルムを15mm幅に切断し、(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機を用いて、雰囲気温度25℃、剥離速度を300mm/分に設定し、180度剥離方法で多層フィルム同士のヒートシール部分を剥離した際の強度をシール強度とした。
Figure 2016098323
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蒸着層等の無機化合物層を持たない多層構成の場合での実施例2、4と比較例2、4を比べた場合、シクロデキストリン化合物を含有する実施例2,4では多層フィルムの酸素透過率が、比較例2、4よりも低く、高い酸素バリア機能を示すことが示された。またこの時、ラミネート強度、シール強度、水蒸気透過率には影響を及ぼさなかった。
アルミ蒸着フィルムを層構成に持つ、実施例3、6、8と比較例3、6、8とを比べた場合、酸素透過率、水蒸気透過率ともデキストリン化合物を含有する実施例の接着剤を用いた方が低く高いガスバリア機能を示した。また、ラミネート強度、シール強度のいずれの強度特性も向上した。
透明蒸着フィルムを層構成に持つ実施例1、5、7と比較例1、5,7とを比べた場合でもアルミ蒸着フィルムを層構成に持つフィルムと同様に、ガスバリア、接着強度のすべての特性が向上した。
以上本発明は無機層を持つ多層フィルムでは特にバリア向上、接着強度向上のいずれでも効果が高く、無機化合物層がなくても酸素バリアを向上させる結果を示した。
本発明の接着剤、及び多層フィルム(積層体)は各種食品、薬品、日用品類の包装材用の他、特に無機化合物層を持つバリア軟包装の更なる高バリア化、例えば太陽電池用保護フィルム用、真空断熱材用包装、表示素子用ガスバリア性基板、各種電池用の包装材料、用等に好適に使用できる。

Claims (13)

  1. シクロデキストリン又はその誘導体を含有するラミネート接着剤。
  2. シクロデキストリン又はその誘導体を含有し、官能基として1分子中に水酸基を2個以上有する樹脂(A)であって、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテル、又はポリエーテルポリウレタンを主骨格として有する樹脂から構成される請求項1に記載のラミネート接着剤。
  3. 更に、イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物を含有する請求項2に記載のラミネート接着剤。
  4. イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物が、芳香族環を有するポリイソシアネートを含有するものである請求項3に記載のラミネート接着剤。
  5. 芳香族環を有するポリイソシアネートが、メタキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート又はジフェニルメタンジイソシアネート、または、前記ジイソシアネートと2個以上の水酸基を有するアルコールとの反応生成物、またはポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである請求項4に記載のラミネート接着剤。
  6. 樹脂(A)が芳香族環を有する請求項1〜5の何れかに記載のラミネート接着剤。
  7. 樹脂(A)の主骨格がポリエステル又はポリエステルポリウレタン構造であって、
    ポリエステル構成モノマー成分の多価カルボン酸として、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物を使用することを特徴とする請求項6に記載のラミネート接着剤。
  8. 樹脂(A)が、オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物の少なくとも1種を含む多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びシクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む多価アルコール成分を重縮合して得られるポリエステルポリオールである請求項7に記載のラミネート接着剤。
  9. オルト配向芳香族ジカルボン酸又はその無水物が、オルトフタル酸又はその無水物、ナフタレン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、ナフタレン1,2−ジカルボン酸又はその無水物、アントラキノン2,3−ジカルボン酸又はその無水物、及び2,3−アントラセンジカルボン酸又はその無水物から成る群から選ばれる少なくとも1つである請求項7、又は8に記載のラミネート接着剤。
  10. 更に、板状無機化合物を含有する請求項1〜9の何れかに記載のラミネート接着剤。
  11. 請求項1〜10に記載のラミネート接着剤を用いて得られる積層体。
  12. 請求項1〜10に記載のラミネート接着剤により得られる接着剤層を介して無機層、金属箔層、金属蒸着フィルム層、及び透明蒸着フィルム層から選ばれる層と他の層が接着した構成を有する請求項11に記載の積層体。
  13. 請求項11又は12に記載の積層体を用いた包装材。
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