JP2016098205A - パラキシレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キシレン異性体を含む混合流体からパラキシレンを選択的に分離する製造方法であって、高い選択性と高い透過速度とを有するパラキシレンの製造方法を提供する。【解決手段】多孔質支持体上に成膜したゼオライト膜複合体を用いて、少なくともオルトキシレン、メタキシレンおよびパラキシレンを含む混合流体からパラキシレンを選択的に分離してパラキシレンを製造する方法であって、前記混合流体に無機ガスおよび低級炭化水素のいずれかまたは両者を1〜80mol%共存させて分離を行うことを特徴とするパラキシレンの製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、パラキシレンの製造方法に関する。
芳香族化合物の中でも、キシレン類は、ポリエステルの原料となるテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸などを製造する出発原料として、極めて重要な化合物である。これらのキシレン類は、例えば、トルエンのトランスアルキル化、不均化反応などによって製造されるが、生成物中には構造異性体であるパラキシレン、オルトキシレン、メタキシレンが存在する。パラキシレンを酸化することによって得られるテレフタル酸は、ポリエチレンテレフタレートの主要原料として、オルトキシレンから得られる無水フタル酸は、可塑剤などの原料として、また、メタキシレンから得られるイソフタル酸は、不飽和ポリエステルなどの主要原料としてそれぞれ使用される。そのため、生成物の中からこれらの構造異性体を効率的に分離する方法が求められている。
従来、有機物を含有する気体または液体の混合物からの含有成分の分離、濃縮は、対象となる物質の性質に応じて、蒸留法、共沸蒸留法、溶媒抽出/蒸留法、吸着剤などにより行われている。
しかしながら、これらの方法は、多くのエネルギーを必要とする、あるいは分離、濃縮対象の適用範囲が限定的であるといった欠点がある。
これらの方法に代わる分離方法として、高分子膜や無機膜などの膜を用いた膜分離、濃縮方法が提案されている。しかし、高分子膜は加工性に優れる特徴をもつ一方で、熱や化学物質、圧力により劣化して性能が低下することが問題であった。
近年、これらの問題を解決すべく耐薬品性、耐酸化性、耐熱安定性、耐圧性が良好な種々の無機膜が提案されてきている。無機膜を用いた分離、濃縮は、蒸留や吸着剤による分離に比べ、エネルギーの使用量を削減できるほか、高分子膜よりも広い温度範囲で分離、濃縮を実施できる。更に劣化の問題により高分子膜では分離できない有機物を含む混合物の分離にも適用できるという利点を有している。その中でもゼオライト膜は、サブナノメートルの規則的な細孔を有しているため、分子ふるいとしての働きをもつので選択的に特定の分子を透過でき、高分離性能を示すことが期待されている。
ゼオライトと総称される結晶性アルミノケイ酸塩は、一つの結晶内に分子サイズの微空間(ナノスペース)を有しており、「分子ふるい」の名で呼ばれている。また、その結晶構造により、LTA(A型)、MFI(ZSM−5型)、MOR、FER、FAU(X型、Y型)といった数多くの種類が存在する。このような特異な高次構造を備えたゼオライトは、形状選択機能(分子ふるい機能)、吸着/分離精製機能、イオン交換機能、固体酸機能、触媒機能などを発揮するので、広い産業分野で利用されている。
ゼオライト膜を分離、濃縮に使用する場合、通常、支持体上に膜状にゼオライトを形成させたゼオライト膜複合体が用いられている。こうしたゼオライト膜複合体を用いたキシレン異性体の分離方法が種々検討されてきている。
例えば、特許文献1には、パラキシレンをオルトキシレン、メタキシレンから分離することが可能なゼオライト膜の製造方法として、多孔質支持体の表面にテトラプロピルアンモニウムイオン等の構造規定剤を含むゼオライト膜を形成した後に、低温で焼成することにより当該構造規定剤を除去するゼオライト膜の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、多孔質支持体上にゼオライト膜とシリカ膜が順次積層された分離膜とすることにより、形状選択性を制御する技術が開示されている。特許文献3には、支持体を炭化水素ワックス等の含浸材料に浸漬後に結晶性モレキュラーシーブ層(ゼオライト膜)を成膜したゼオライト膜複合体によって、高温領域でパラキシレンを選択的に分離する技術が開示されている。
特許第5481075号公報 特開2007−203241号公報 特表2002−537990号公報
しかしながら、特許文献1によるゼオライト膜の製造方法では、膜形成後の焼成温度が低いものであり、パラキシレンの透過速度が満足できるレベルではない。特許文献2の分離膜においても、パラキシレンの選択率を向上しうるものの、透過速度が満足できるレベルではない。また、特許文献3のゼオライト膜では、透過速度(パーミアンス)と選択性のバランスが劣り、低分圧においても選択性は必ずしも十分なものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、キシレン異性体を含む混合流体からパラキシレンを選択的に分離する製造方法であって、高い選択性と高い透過速度とを有するパラキシレンの製造方法を提供することである。
本発明者らは、多孔質支持体上に成膜したゼオライト膜複合体を用いて、キシレン異性体を含む混合流体からパラキシレンを分離する際の条件について鋭意検討を重ねた。その結果、混合流体中に無機ガスおよび低級炭化水素のいずれかまたは両者を所定量共存させることによって、分離の選択性と透過速度とが共に大きく向上することを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
すなわち、本発明のパラキシレンの製造方法は、多孔質支持体上に成膜したゼオライト膜複合体を用いて、少なくともオルトキシレン、メタキシレンおよびパラキシレンを含む混合流体からパラキシレンを選択的に分離してパラキシレンを製造する方法であって、前記混合流体に無機ガスおよび低級炭化水素のいずれかまたは両者を1〜80mol%共存させて分離を行うことを特徴としている。
また、本発明は、前記ゼオライトが、MFI型ゼオライトであることを特徴とする前記のパラキシレンの製造方法である。
また、本発明は、前記MFI型ゼオライトが、silicalite−1であることを特徴とする前記のパラキシレンの製造方法である。
また、本発明は、前記無機ガスが、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素および酸素から選ばれるいずれか1つ以上であり、前記低級炭化水素が、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテンおよびブタジエンから選ばれるいずれか1つ以上であることを特徴とする前記のパラキシレンの製造方法である。
また、本発明は、得られたパラキシレンの全キシレンに対する純度が84mol%以上であり、かつ得られたパラキシレンの透過速度が50g・m−2・h−1以上であることを特徴とする前記のパラキシレンの製造方法である。
また、本発明は、前記分離を、温度250〜450℃、全圧0.1〜0.5MPaで行うことを特徴とする前記のパラキシレンの製造方法である。
本発明のパラキシレンの製造方法は、キシレン異性体を含む混合流体からパラキシレンを選択的に分離する製造方法であって、高い選択性と高い透過速度とを有している。
ゼオライト膜複合体を用いたベーパーパーミエーション装置の概略図である。 水素ガス共存下の300℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示す図である。 水素ガス共存下の350℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示す図である。 水素ガス共存下の400℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示す図である。 水素ガス、アルゴンガスまたはメタンガス共存下の350℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示す図である。
本発明に係るパラキシレンの製造方法の好適な実施形態について、更に詳細に説明する。但し、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(ゼオライト)
本発明において、ゼオライト膜を構成するゼオライトの種類は、ベンゼン環の大きさと同程度の細孔径を持つゼオライトが好ましい。具体的には酸素10員環の細孔を持つゼオライトが好ましい。その中でもMFI型ゼオライトは、ベンゼン環とほぼ同じ大きさの細孔を持つため特に好ましい。MFI型ゼオライトは、SiとAlの酸化物を主成分とするものであり、本発明の効果を損なわない限り、それ以外の元素が含まれていてもよい。
MFI型ゼオライトには、ZSM−5以外に実質的に骨格内にアルミニウムを含まないsilicalite−1(シリカライト−1)構造なども含まれる。MFI型ゼオライトの中でも、支持体上への成膜の容易さから、silicalite−1が好ましい。
ゼオライト中の細孔の割合は、ゼオライトの結晶構造に由来する細孔より大きな径の細孔の割合が20%以下であることが好ましい。ゼオライトの結晶構造に由来する細孔より大きな径の細孔、すなわち、ゼオライトの結晶構造に由来する細孔より大きな粒界やピンホールの割合を20%以下とすることにより、パラキシレンをより選択的に分離することができる。ゼオライト細孔より大きな細孔の割合は、5%以下であることがより好ましい。ゼオライト細孔より大きな細孔の割合は、分離膜欠陥構造解析装置による細孔分布の測定によって求めることができる。
(ゼオライト膜)
本発明において、ゼオライト膜を構成する原料は、特に限定されるものではない。シリカ源としては、無定形シリカ、アモルファスシリカ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等を使用することができる。また、アルミニウム源としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等を使用することができる。
また、ゼオライト膜を形成する際に使用される構造規定剤は、所望のゼオライトによって種々選択すればよい。MFI型ゼオライトの場合は、例えば、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)、テトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)が使用される。また、目的とするゼオライトの種類に応じて、鉱化剤として、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用してもよい。
ゼオライト膜を構成する成分としては、ゼオライト以外にシリカ、アルミナなどの無機バインダー、ポリマーなどの有機物、あるいはゼオライト表面を修飾するシリル化剤などを必要に応じて含んでいてもよい。ゼオライト膜は、一部にアモルファス成分などが含有されていてもよいが、好ましくは実質的にゼオライトのみで構成されるゼオライト膜である。
ゼオライト膜の厚さは、特に限定されないが、通常0.1μm以上、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは1.0μm以上である。また、通常100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは20μm以下である。ゼオライト膜の膜厚が大き過ぎると透過速度が低下する傾向があり、小さ過ぎると選択性が低下したり、膜強度が低下する傾向がある。ゼオライト膜の厚さは電界放出形走査電子顕微鏡により求めることができる。
ゼオライト膜を構成するゼオライトの粒子径は、特に限定されないが、小さ過ぎると粒界が大きくなるなどして選択性などを低下させる傾向がある。それ故、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上である。また、ゼオライトの粒子径の上限は膜の厚さ以下、例えば、100μm以下である。さらに、ゼオライトの粒子径がゼオライト膜の厚さと同じである場合が特に好ましい。ゼオライトの粒子径がゼオライト膜の厚さと同じであるとき、ゼオライトの粒界が最も小さくなる。後に述べる水熱合成で得られたゼオライト膜は、ゼオライトの粒子径とゼオライト膜の厚さが同じになる場合があるので好ましい。ゼオライトの粒子径は電界放出形走査電子顕微鏡により求めることができる。
また、ゼオライト膜のX線回折スペクトルにおいて、結晶面(101)/結晶面(020)ピーク強度比は1.10以上であることが好ましい。ゼオライト膜複合体のゼオライト膜のX線回折スペクトルにおいて、結晶面(101)/結晶面(020)ピーク強度比が1.10以上であると、パラキシレンの選択性を向上させることができる。結晶面(101)/結晶面(020)ピーク強度比が2.0以上であると特に好ましい。
X線回折(XRD)スペクトルは、例えば、下記の条件によって取得することができる。なお、下記条件でX線回折スペクトルを取得できればよく、X線回折装置を限定するものではない。
装置:Rigaku Ultima IV
X線源:Cu−K
管電圧:40kV
管電流:40mA
スキャン速度:3°/min
(多孔質支持体)
多孔質支持体は、その表面などにゼオライトを膜状に結晶化できるような化学的安定性がある多孔質の無機物質であれば如何なるものであってもよい。具体的には、例えば、シリカ、α−アルミナ、γ−アルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミックス焼結体、鉄、ブロンズ、ステンレスなどの焼結金属、またはガラス、カーボン成型体などが挙げられる。これらのうち、耐熱性、機械的強度、耐薬品性、支持体作成の容易さや、入手容易性の点から、α−アルミナのセラミックス焼結体、ステンレスの焼結金属が好ましい。
多孔質支持体の形状は、キシレン異性体の混合流体からパラキシレンを有効に分離できるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、平板状、管状のもの、または円筒状、円柱状や角柱状の孔が多数存在するハニカム状のものやモノリスなどが挙げられる。
多孔質支持体が有する平均細孔径は特に制限されないが、平均細孔径が制御されているものが好ましい。すなわち、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上である。また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。平均細孔径が小さ過ぎると透過速度が小さくなる傾向があり、大き過ぎると支持体自体の強度が不十分になったり、緻密なゼオライト膜が形成されにくくなる傾向がある。多孔質支持体が有する平均細孔径は、水銀圧入法によって求めることができる。
また、多孔質支持体の気孔率は特に制限されず、また特に制御する必要は無いが、気孔率は、通常20%以上60%以下であることが好ましい。気孔率は、気体や液体を分離する際の透過速度を左右し、前記下限未満では透過物の拡散を阻害する傾向があり、前記上限を超えると支持体の強度が低下する傾向がある。多孔質支持体の気孔率は、水銀圧入法によって求めることができる。
(ゼオライト膜複合体)
本発明において、ゼオライト膜複合体とは、多孔質支持体の表面などにゼオライトが膜状に固着しているものであり、例えば、多孔質支持体の表面などにゼオライトを水熱合成や、水蒸気処理により膜状に結晶化させたものが用いられる。
多孔質支持体上にゼオライトを成膜する場合、多孔質支持体上にゼオライト種晶を付着させた後、ゼオライト膜を水熱合成により形成することが好ましい。一般的に、多孔質支持体にゼオライト種晶を付着させるためには、ゼオライト種晶の粉末を溶剤に分散させた分散液を多孔質支持体上に塗布することが好ましい。その他、多孔質支持体製造時に原料の一部としてゼオライト種晶粉末を混入させることで、多孔質支持体にゼオライト種晶を付着させることもできる。塗布の方法としては、ゼオライト種晶を含む分散液を多孔質支持体に単純に滴下するだけでもよく、ゼオライト種晶を含む分散液に多孔質支持体を浸漬することでもよい。また、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、スラリーの塗布、濾過など汎用されている方法を用いることもできる。多孔質支持体上の種晶の付着量を再現性よく制御できるという観点から、ゼオライト種晶を含む分散液を調製し、該分散液に多孔質支持体を浸漬する方法が好ましい。
ゼオライト種晶は、市販のものを用いてもよく、原料から製造してもよい。原料から製造する場合には、例えばシリカ原料としてケイ酸ナトリウム、シリカゲル、シリカゾルまたはシリカ粉末、アルミナ原料としてアルミン酸ナトリウムまたは水酸化アルミニウム、構造規定剤としてTPAOH、TPABr、鉱化剤として水酸化ナトリウムなどを使用して、既知の方法で製造することができる。
ゼオライト種晶として市販のものを用いる場合には、所望の大きさに粉砕機で粉砕した後、水に分散させ、分散液を調製する。調製した分散液は、適宜上記の方法で多孔質支持体に付着させる。該分散液は、スラリー、ゾル、溶液など、いずれの状態としても良く、採用する塗布方法に応じて適宜調製することができる。多孔質支持体を浸漬してゼオライト種晶を付着させる方法を採用する場合には、付着の容易性からスラリー状の分散液であることが好ましい。
多孔質支持体上へのゼオライト種晶の付着量は、0.5〜20g/mとすることが好ましい。多孔質支持体上へのゼオライト種晶の付着量を上記範囲とすることにより、ゼオライトの結晶構造に由来する細孔より大きな径の細孔の割合を低減させることができる。ゼオライト種晶の付着量は、1〜10g/mであることが特に好ましい。多孔質支持体へのゼオライト種晶の付着量は、種晶付着前後の支持体重量の差より求めることができる。
また、多孔質支持体に付着させるゼオライト種晶の粒子径は200nm以上であることが好ましい。種晶の粒子径が200nm未満であると多孔質支持体に種晶が入り込みやすくなって多孔質支持体の空隙が塞がれてしまい好ましくない。また、多孔質支持体に付着させるゼオライト種晶の粒子径が200nm以上であると、多孔質支持体上に成膜する過程において、特許文献3に記載されているような含浸材料で支持体を含浸する工程も不要となる。多孔質支持体に付着させるゼオライト種晶の粒子径は200〜1,000nmであることがより好ましく、200〜500nmであることが特に好ましい。
上記方法により得られるゼオライト種晶を付着させた多孔質支持体を用いて水熱合成することで、多孔質支持体上にゼオライト膜を形成することができる。
本発明において、水熱合成によるゼオライトの成膜は、一般的な方法をとることができる。例えば、シリカ源、アルミニウム源、鉱化剤、構造規定剤を水またはアルコール水溶液と混合して前駆液とし、得られた前駆液中にゼオライト種晶を付着させた多孔質支持体を浸漬させた状態で、オートクレーブ等で加熱して水熱合成すればよい。
水熱合成処理の温度は、例えば、80〜130℃とすることが好ましく、80〜120℃で水熱合成することがより好ましい。80℃より低い温度では、ゼオライトの結晶化が進行しにくい。一方、130℃より高い温度では、ゼオライト結晶の結晶間隙が大きくなる。これは、ゼオライトの結晶構造に由来する細孔より大きな径の細孔の割合が大きくなるためである。
また、水熱合成処理の時間は、80〜240時間とすることが好ましく、100〜200時間とすることがより好ましい。80時間より短いとパラキシレンの選択性が低下するおそれがあり、240時間より長いと透過速度が低下するおそれがある。
多孔質支持体上にゼオライトを成膜後、ゼオライト膜成膜体を450〜700℃の空気下、酸素雰囲気下または窒素雰囲気下で、2〜10時間焼成することによりゼオライト膜複合体が得られる。焼成処理は、0.1〜10℃/分の昇温速度で所望の温度まで昇温し、所定時間焼成の後、0.1〜10℃/分の降温速度で降温して、細孔内の構造規定剤を除去することが好ましい。昇温速度および降温速度を上記範囲とすることにより、ゼオライトの結晶構造に由来する細孔より大きな径の細孔の割合を低減することができる。焼成温度への昇温速度は、0.5〜5℃/分とすることがより好ましく、降温速度は0.5〜5℃/分とすることがより好ましい。
ゼオライト膜の細孔の割合において、結晶構造に由来する細孔より大きな細孔の割合が20%以下であるゼオライト膜複合体は、多孔質支持体上へのゼオライト種晶の付着量、水熱合成時の温度、時間、焼成時の昇温速度、降温速度等を適宜調整してゼオライトを成膜することにより製造することができる。
また、本発明において、ゼオライト膜複合体は、多孔質支持体にゼオライトを成膜後に、オルトケイ酸エステルを含有する水溶液やアルコール溶液に浸漬させることが好ましい。ゼオライト膜複合体をオルトケイ酸エステル溶液に浸漬することによって、粒界やピンホールを修復することができる。
オルトケイ酸エステルとしては、特に制限されないが、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチルなどが挙げられる。オルトケイ酸エステル溶液による修復処理は、ゼオライト膜複合体をオルトケイ酸エステル溶液に浸漬した状態で、温度40〜90℃で、1〜48時間撹拌することにより行うことが好ましい。オルトケイ酸エステル溶液による修復処理後、ゼオライト膜複合体を洗浄、焼成することが好ましい。
本発明において、ゼオライト膜複合体の形状は特に限定されず、管状、中空糸状、モノリス型、ハニカム型などあらゆる形状を採用できる。また大きさも特に限定されず、例えば、管状の場合は、通常長さ2cm以上200cm以下、内径0.05cm以上2cm以下、厚さ0.5mm以上4mm以下が実用的で好ましい。
(パラキシレンの製造方法)
本発明のパラキシレンの製造方法は、多孔質支持体上に成膜したゼオライト膜複合体を用いて、少なくともオルトキシレン、メタキシレンおよびパラキシレンを含む混合流体(以下、「キシレン混合流体」と記載することもある。)からパラキシレンを選択的に分離してパラキシレンを製造する方法である。分離対象のキシレン混合流体としては、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレンのほかに、エチルベンゼン、トリメチルベンゼンなどを含んでいてもよい。キシレン混合流体は、気体または液体である。多孔質支持体上に成膜したゼオライト膜複合体を用いて、ベーパーパーミエーション(VP)法やパーベーパレーション(PV)法等の手法によって、キシレン混合流体からパラキシレンを選択的に分離することができる。
本発明のパラキシレンの製造方法では、前記混合流体に無機ガスおよび低級炭化水素のいずれかまたは両者を1〜80mol%共存させて分離を行うことを特徴としている。混合流体に対して、無機ガスおよび低級炭化水素のいずれかまたは両者(以下、「無機ガス/低級炭化水素」と記載することもある。)を1〜80mol%共存させることによって、キシレン混合流体からパラキシレンを高い選択性と高い透過速度で分離することができる。ここで、無機ガス/低級炭化水素が1〜80mol%であるとは、無機ガス/低級炭化水素とキシレン混合流体とを合わせて100mol%であるので、キシレン混合流体が99〜20mol%であることを意味している。
ゼオライト膜複合体を用いてキシレン混合流体を分離する際に、分離対象であるキシレン混合流体の分子が、ゼオライトの細孔の表面に吸着することがある。ゼオライトの有する細孔は、サブナノメートルのオーダーであるため、キシレン混合流体の分子が細孔表面に吸着することによって、キシレン分子の透過が阻害されたり、キシレン異性体の分離が有効に行われなくなることがある。特に、オルトキシレンやメタキシレンは分子構造上パラキシレンに比べて大きく、原料供給側の分離膜表面に吸着・被覆すると、膜表面に留まって細孔を塞ぐ懸念がある。本発明者らは、混合流体に無機ガス/低級炭化水素を混合して希釈することによって、結果として、パラキシレンの分離の選択性と透過速度とが共に大きく向上することを見出した。これは、オルトキシレンやメタキシレンの分圧が減少し、これらのキシレン分子が細孔表面に吸着することを適度に緩和・抑制しているためと考えることができる。
無機ガス/低級炭化水素の含有量が1mol%未満であると、キシレン分子が細孔表面に吸着することを適度に緩和・抑制する効果が十分ではない。また、無機ガス/低級炭化水素の含有量が80mol%を超えると、パラキシレンの透過速度が十分ではない。無機ガス/低級炭化水素の含有量は、好ましくは5mol%以上、より好ましくは10mol%以上、さらに好ましくは20mol%以上である。また、無機ガス/低級炭化水素の含有量は、好ましくは70mol%未満、より好ましくは60mol%未満、さらに好ましくは50mol%未満、最も好ましくは45mol%未満である。
ここで、無機ガスとは、極性の少ないガスであり、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素および酸素から選ばれるいずれか1つ以上であることが好ましい。いずれかの単独であっても、いずれか2つ以上の混合物であってもよい。また、低級炭化水素とは、常温常圧で気体であるものであり、炭素数が4以下の炭化水素である。低級炭化水素としては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテンおよびブタジエンから選ばれるいずれか1つ以上であることが好ましい。いずれかの単独であっても、いずれか2つ以上の混合物であってもよい。
図1は、ゼオライト膜複合体を用いたベーパーパーミエーション装置の概略図である。本発明のパラキシレンの製造方法を行うための装置の具体例の1つとして示されている。供給液タンク22内のキシレン混合流体は、ポンプ21により所定の圧力に保持された分離セル10内に供給される。その際、無機ガス/低級炭化水素がボンベ20から供給され、前記のキシレン混合流体と混合される。分離セル10は、図示しないオーブン内に設置されており、分離中所定温度に加熱されている。分離セル10内には、円筒型の多孔質支持体上にゼオライトが成膜されたゼオライト膜複合体11が設置されている。キシレン混合流体と無機ガス/低級炭化水素の混合物は、気化されて、ゼオライト膜複合体11の外側表面に供給される。また、円筒型のゼオライト膜複合体11の内側には、キャリアガスとして、ボンベ23からアルゴンガスが流されている。キシレン混合流体は、円筒型のゼオライト膜複合体11を外側から内側へ透過する際に、選択的に分離される。分離されたパラキシレンは、ゼオライト膜複合体11の内側表面から出て、キャリアガスとともに、外部へ排出される。その後、分離されたパラキシレンは、冷却して液化させることによって、キャリアガスと分離され、パラキシレンとして得ることができる。なお、分離され、排出されたパラキシレンの一部は採取されて、FIDを検出器として備えたガスクロマトグラフ26によって、成分が分析される。一方、円筒型のゼオライト膜複合体11を内側へ透過しなかったキシレン混合流体は、背圧弁25を通過して、外部へ排出される。また、ガスクロマトグラフの内部標準物質として、ボンベ24からアルゴンとメタンの混合ガスを供給する。なお、低級炭化水素としてメタンを使用する場合は、内部標準物質としてアルゴンとエタンの混合ガスを使用する。
混合流体を分離させる際の混合流体と無機ガス/低級炭化水素とを合わせた全圧については、0.1〜0.5MPaとすることが好ましい。全圧が0.1MPa未満であると、パラキシレンの透過速度が低下する。全圧が0.5MPaを超えると、パラキシレンの選択性(純度)が低下する。また、全圧の下限は、0.2MPaがより好ましい。全圧の上限は、0.4MPaがより好ましい。
混合流体を分離させる際の温度については、250〜450℃とすることが好ましい。ここで、混合流体を分離させる際の温度とは、ゼオライト膜複合体の温度を意味している。この温度範囲から外れると、パラキシレンの透過速度が低下する。また、温度の下限は、300℃がより好ましい。温度の上限は、400℃がより好ましく、350℃がさらに好ましい。
得られたパラキシレンの全キシレンに対する純度は、84mol%以上であることが好ましい。ここで、得られたパラキシレンの全キシレンに対する純度とは、ゼオライト膜複合体を透過して得られたキシレン混合流体中の全キシレン成分に対するパラキシレン成分の比率のことである。パラキシレンの全キシレンに対する純度が84mol%以上であれば、工業規模のスケールで高純度のパラキシレンを得ることが容易となる。より好ましくは88mol%以上であり、さらに好ましくは90mol%以上であり、最も好ましくは92mol%以上である。
また、得られたパラキシレンの透過速度は、50g・m−2・h−1以上であることが好ましい。ここで、パラキシレンの透過速度とは、キシレン混合流体の透過速度にパラキシレンの全キシレンに対する純度を掛け合わせることによって求めることができる。50g・m−2・h−1以上の透過速度であれば、工業規模のスケールで高純度のパラキシレンを製造することが容易となる。より好ましくは80g・m−2・h−1以上であり、さらに好ましくは100g・m−2・h−1以上である。
また、パラキシレン/メタキシレン分離係数は、16以上であることが好ましい。同様に、パラキシレン/オルトキシレン分離係数は、17以上であることが好ましい。ここで、分離係数とは、供給ガス中の成分A(mol%)と成分B(mol%)との比に対する透過ガス中の成分A(mol%)と成分B(mol%)との比の値をいう。このとき、工業規模のスケールで高純度のパラキシレンを製造することが容易となる。より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは30以上である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(種晶の調製)
水酸化ナトリウム、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)、純水を混合し、24時間室温で撹拌することで、合成溶液を得た。溶液の組成は0.004NaO:SiO:0.176TPAOH:43.9HOであった。得られた合成溶液を100℃で24時間、撹拌条件下で水熱合成を行った。合成後の溶液をろ過し、回収した粉末を530℃で8時間焼成を行うことでsilicalite−1の種晶を得た。種晶の粒子径は、270nmであった。なお、粒子径は動的光散乱法により測定した。
(種晶付多孔質支持体の調製)
種晶として準備したsilicalite−1粉末を純水中に分散させ、スラリー中の種晶の濃度が10g/Lとなるように種晶懸濁液1を調製した。次に、多孔質支持体として、直径1cm、長さ3cmの円筒型のα−アルミナ支持体を準備した。支持体の平均孔径は150nmであり、気孔率は37%であった。α−アルミナ支持体を種晶スラリーに1分間浸漬し、種晶付多孔質支持体1を得た。種晶付多孔質支持体1の種晶担持量を測定したところ5.6g/mであった。種晶付多孔質支持体1の表面及び断面をSEMにて観察したところ、種晶は支持体上に主に担持されていた。
(ゼオライト膜複合体の調製)
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)、エタノール、純水を混合し、60℃で4時間エージングすることで、合成溶液を得た。溶液の組成はSiO:0.12TPAOH:66HO:8EtOHであった。得られた合成溶液に種晶付多孔質支持体1を浸漬し、100℃で7日間、水熱合成を行った。その後、500℃で8時間焼成を行い、ゼオライト膜複合体1を得た。焼成は1℃/minで昇温し、500℃で8時間保持した後、1℃/minで降温した。ゼオライト膜複合体1のゼオライトの構造は、XRD測定におけるピークパターンからsilicalite−1と決定した。
(ベーパーパーミエーション試験)
ゼオライト膜複合体1を用い、図1に示すベーパーパーミエーション装置によりキシレン混合流体の分離試験を行った。混合流体として、キシレン異性体混合物(パラキシレン/メタキシレン/オルトキシレン=1/2/1(mol比))を用いた。無機ガス/低級炭化水素の種類、キシレン混合流体(A)と無機ガス/低級炭化水素(B)の混合比率(A/B比)、分離膜の温度、全圧を表1〜表4に記載の条件に種々変えて、下記のようにして試験1〜43を行った。
供給液タンク22内の混合流体をヒーターによって加熱して気体とし、ポンプ21によって所定の圧力に保持された分離セル10内に供給した。分離セル10は、図示しないオーブン内に設置されており、透過試験中所定の温度に加熱した。円筒型のゼオライト膜複合体1の外側表面に分離する混合流体を供給し、円筒型のゼオライト膜複合体1の内側表面から透過ガスを得た。透過側にはキャリアガスとしてアルゴンガスを300mL/minの速度で流した。ゼオライト膜複合体1を透過したガスを含む回収ガスを分取し、ガスクロマトグラフ26にて分析を行なった。分析の結果を基に、キシレン混合流体の透過速度(g・m−2・h−1)、パラキシレンの純度(mol%)、パラキシレンの透過速度(g・m−2・h−1)、パラキシレン/メタキシレン分離係数、パラキシレン/オルトキシレン分離係数を求めた。
試験の結果を表1〜4に示した。なお、分離係数とは、供給ガス中の成分A(mol%)と成分B(mol%)との比に対する透過ガス中の成分A(mol%)と成分B(mol%)との比の値をいう。パラキシレン/メタキシレン分離係数を例に取って、下記に測定式を示した。
パラキシレン/メタキシレン分離係数=(PP-X/PM-X)/(FP-X/FM-X)
PP-X:透過ガス中のパラキシレン濃度
PM-X:透過ガス中のメタキシレン濃度
FP-X:供給ガス中のパラキシレン濃度
FM-X:供給ガス中のメタキシレン濃度
Figure 2016098205
Figure 2016098205
Figure 2016098205
Figure 2016098205
図2は、表1の結果をもとに、水素ガス共存下の300℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示した図である。図3は、表2の結果をもとに、水素ガス共存下の350℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示す図である。図4は、表3の結果をもとに、水素ガス共存下の400℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示す図である。各曲線は、表のデータを点でプロットして、近似曲線で結んだものである。各曲線上のプロットは、上から下に行くにつれて、全圧が増大している。
これらの図において、全圧0.3MPaの水素ガスを共存していない比較例(×印の点)と対比してみると、キシレン混合流体に水素ガスを共存させて分離を行うことによって、パラキシレンの純度において、またはパラキシレンの純度と透過速度の両者において、性能が向上することが分かる。
また、全圧が増大するに従って、純度は一様に低下する傾向があるのに対して、分離膜の温度が350℃のときに、透過速度は極大値を有する場合があることが分かる。
図5は、表2の一部と表4の結果をもとに、水素ガス、アルゴンガスまたはメタンガス共存下の350℃におけるパラキシレンの透過速度と純度との関係を示す図である。キシレン混合流体(A)と無機ガス/低級炭化水素(B)の混合比率は50/50として、無機ガスの違いによるパラキシレンの分離性能の差を示している。水素ガスの方がアルゴンガスまたはメタンガスよりも純度に優れていることが分かる。
また、表1〜表4から分かるように、パラキシレン/メタキシレン分離係数、パラキシレン/オルトキシレン分離係数はいずれも、同一の圧力のときで比較すると、キシレン混合流体に水素ガスまたはアルゴンガスを共存させて分離を行うことによって、性能が向上していることが分かる。
10 分離セル
11 ゼオライト膜複合体
20 ボンベ
21 ポンプ
22 供給液タンク
23 ボンベ
24 ボンベ
25 背圧弁
26 ガスクロマトグラフ

Claims (6)

  1. 多孔質支持体上に成膜したゼオライト膜複合体を用いて、少なくともオルトキシレン、メタキシレンおよびパラキシレンを含む混合流体からパラキシレンを選択的に分離してパラキシレンを製造する方法であって、前記混合流体に無機ガスおよび低級炭化水素のいずれかまたは両者を1〜80mol%共存させて分離を行うことを特徴とするパラキシレンの製造方法。
  2. 前記ゼオライトが、MFI型ゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載のパラキシレンの製造方法。
  3. 前記MFI型ゼオライトが、silicalite−1であることを特徴とする請求項2に記載のパラキシレンの製造方法。
  4. 前記無機ガスが、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素および酸素から選ばれるいずれか1つ以上であり、前記低級炭化水素が、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテンおよびブタジエンから選ばれるいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパラキシレンの製造方法。
  5. 得られたパラキシレンの全キシレンに対する純度が84mol%以上であり、かつ得られたパラキシレンの透過速度が50g・m−2・h−1以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパラキシレンの製造方法。
  6. 前記分離を、温度250〜450℃、全圧0.1〜0.5MPaで行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパラキシレンの製造方法。
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