JP2018167149A - ガス分離膜 - Google Patents

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泰孝 栗下
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Abstract

【課題】実用化に値する高い透過性選択性を有するガス分離膜を得ること。【解決手段】ガス分離膜において、表面粗さを所望の範囲内にすること、分離層上に無機材料もしくは有機材料から成る保護層を形成すること、分離層を多孔質基材膜上に配置し、多孔質基材膜の分離層側に、所望の厚みの含浸層を形成することのいずれかを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、高い分離性能と高い透過性とを両立できるガス分離膜に関するものである。
ガス分離膜による気体の分離濃縮は、蒸留法、高圧吸着法などと比べ、エネルギー効率に優れ、かつ安全性の高い方法である。最近では、ガス分離膜を用いて、合成ガス、天然ガスなどから、温室効果ガスである二酸化炭素を除去回収する方法についても、盛んに検討が行われている(例えば特許文献1、2、3参照)。
分離膜の一般的な形態は、多孔質支持体の表面上に、ガス分離能を有するガス分離活性層を配置した構成を有する。この形態は、ガス分離活性層にある程度の強度を付与しつつ、気体の透過量を多くすることに有効である。この場合の分離層は、非多孔質の高分子を含有する層であることが多い。
一般に、ガス分離膜の性能は、透過速度および分離係数を指標として表される。透過速度は、(気体の透過係数)/(分離層の厚み)で表される。前記式から明らかなように、透過速度の大きな膜を得るための方策としては、ガス分離活性層の厚みを薄くすること(例えば特許文献4、5参照)、気体の透過係数を高くすることなどが挙げられる。即ち、透過係数および分離係数の大きな素材を用い、これを極限まで薄膜化させることが、効率的な膜プロセスを得るために重要である。分離係数は、分離しようとする2種の気体の透過速度の比で表され、ガス分離膜を構成するガス分離性高分子に依存する値である。
ガス分離膜の膜構造は、一般に、多孔質支持体の上に、ガス分離能を有するガス分離活性層が積層された非対称構造をとっている。多孔質支持体には気体を分離する能力はなく、ガス分離能を有するガス分離活性層を支える支持体として機能する。ガス分離活性層の厚みはミクロンオーダーである。ガス分離活性層をさらに薄膜化することは、モジュール当たりの生産性を高め、分離設備をコンパクトにする観点から有意義である。
無機膜は、高い耐久性を有する。無機膜の格子サイズによりガスが分子ふるい的に透過するので、優れた選択性を示す。それゆえ、ガス分離膜として有望な材料といえる。無機膜を活用し種々の特定ガス成分を分離するべく、多くの研究が活発に行われている。無機膜の素材としてはゼオライトや、金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)が注目されている。
MOFは、金属塩が溶液に溶解して生じる金属イオンと、その金属イオンと配位結合を形成できる有機配位子が、配位結合を形成して生成する、結晶性の規則的な多孔質物質である。金属イオンと有機配位子の組み合わせから多くの種類が報告されている。MOFは有機配位子を変更することで様々な細孔径を規則的にデザインできるため、分離材料として開発が進められている。
例えば非特許文献1では、多孔質α−アルミナ基材の表面において金属有機構造体(MOF)の結晶を形成した膜である複合多孔質体が報告されている。ここでは、金属塩と有機配位子の両方を含む溶液に多孔質α−アルミナ基材を浸漬し、水熱合成を行って多孔質α−アルミナ基材の表面にMOFの一種であるMOF−5の結晶を形成している。
非特許文献2においては、MOFの微小な結晶を含む溶液を高温に熱した多孔質α−アルミナ基材に滴下して微小な結晶を表面に付着させ、さらに金属塩と有機配位子の両方を含む溶液に浸漬して水熱合成を行って多孔質α−アルミナ基材の表面にMOFの一種であるCu−BTCの結晶を形成している。
特許文献6においては、多孔質アルミナ膜の両面から金属塩と有機配位子のそれぞれの水溶液を供給して合成を行っている。二種類の水溶液が膜面を透過して混合し多孔質アルミナ膜の表面において、MOFの一種であるZIF−8の結晶を形成している。
一方、ゼオライトと総称される結晶性アルミノケイ酸塩は、一つの結晶内に分子サイズの細孔を有している。また、その結晶構造により、LTA(A型)、MFI(ZSM−5型)、MOR、FER、FAU(X型、Y型)といった数多くの種類が存在する。このような特異な高次構造を備えたゼオライトは、形状選択機能(分子ふるい機能)、吸着/分離精製機能、イオン交換機能、固体酸機能、触媒機能などを発揮するので、広い産業分野で利用されている。
ゼオライト膜を分離、濃縮に使用する場合、通常、支持体上に膜状にゼオライトを形成させたゼオライト膜複合体が用いられている。ゼオライト膜を用いた分離法として、例えば、有機物と水との混合物をA型ゼオライト膜複合体でパーベーパレーション法により水を選択的に透過させてアルコールを濃縮する方法(例えば特許文献7参照)や、モルデナイト型ゼオライト膜複合体を用いてアルコールと水の混合系から水を選択的に透過させてアルコールを濃縮する方法(例えば特許文献8参照)、NaX型ゼオライト膜を用いたアルコールとMTBEを分離する方法(例えば特許文献9参照)などが提案されている。
MFI型ゼオライトによりパラキシレンを選択的に分離し、オルトキシレンとメタキシレンを阻止する、キシレン異性体の分離(例えば特許文献10参照)が開示されている。
オレフィンとパラフィン混合流体から、NaX型(FAU)ゼオライト膜複合体を用いたオレフィンの分離について記載されている(例えば特許文献11参照)。
このようにゼオライト、MOF、さらにはシリカライト、カーボンといった無機膜は、研究例が多い。無機膜を実用化するには透過性と選択性を高める必要があるが、その両立は困難である。なぜなら、透過性と選択性のそれぞれに寄与する因子が十分に解明されていない上、その因子を制御できる製造方法が確立されていないためである。
透過性を向上する一般的手法として、薄膜化検討が行われることが多い。しかし、無機膜を薄膜化すると分離層作製時に選択性が十分に発現されない粒界が形成されることが多い。そのため、薄膜化による透過性向上には限界がある。
国際公開第2014/157069号 特開2011―161387号公報 特開平9―898号公報 特許第5507079号公報 特許第5019502号公報 米国特許出願公開第2015/0251139号明細書 特開平7−185275号公報 特開2003−144871号公報 特許第3754520号公報 特表2002−537990号公報 特開2015−174081号公報
Microporous and Mesoporous Materials 2009,118,296. Journal of Materials Chemistry 2010,20,3938.
上記のように、一般的に、高い透過性と選択性を両立できる無機膜を製造することは困難である。本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、本発明の課題は、高い透過性と選択性を両立できる無機膜を得ることである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討を行った。その結果、少なくとも無機層からなる分離層を有するガス分離膜において、以下のいずれかを具備すること;
a)表面粗さを所望の範囲内にすること;
b)分離層上に無機材料もしくは有機材料から成る保護層を形成すること;
c)分離層を多孔質基材膜上に配置し、多孔質基材膜の分離層側に、所望の厚みの含浸層を形成すること;
によって、上記目的を達成し得ることを見出した。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]
少なくとも無機層から成る分離層を具備し、表面粗さが10μm以下であることを特徴とする、ガス分離膜。
[2]
前記分離層の細孔径が0.1nm以上10nm以下である、[1]に記載のガス分離膜。
[3]
前記分離層の結晶粒径が10nm以上10μm以下である、[1]または[2]に記載のガス分離膜。
[4]
前記分離層の結晶粒界間隔が0.3nm以上1μm以下である、[1]から[3]のいずれかに記載のガス分離膜。
[5]
前記分離層の厚みが、10nm以上10μm以下であり、
前記無機層が金属有機構造体、ゼオライト、カーボンのいずれかを含む、
[1]から[4]のいずれかに記載のガス分離膜。
[6]
無機層から成る分離層と、該分離層上に形成された保護層とを具備することを特徴とするガス分離膜。
[7]
前記保護層が、無機材料を含む、[6]に記載のガス分離膜。
[8]
前記無機材料が、金属有機構造体、ゼオライトのいずれかを含む、[7]に記載のガス分離膜。
[9]
前記保護層が、有機材料を含む、[6]に記載のガス分離膜。
[10]
前記有機材料が、非晶質ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、マイクロポーラスポリマーのいずれかを含む、[9]に記載のガス分離膜。
[11]
前記分離層が、多孔質基材膜上に形成されている、[6]から[10]のいずれかに記載のガス分離膜。
[12]
前記保護層の厚さが100μm以下である、[6]から[11]のいずれかに記載のガス分離膜。
[13]
前記保護層の厚さの、前記分離層の厚さに対する比(保護層の厚さ/分離層の厚さ)が50以下である、[6]から[12]のいずれかに記載のガス分離膜。
[14]
前記分離層及び保護層の細孔径が0.1nm以上10nm以下である、[6]から[13]のいずれかに記載のガス分離膜。
[15]
前記保護層の細孔径の、前記分離層の細孔径に対する比(保護層の細孔径/分離層の細孔径)が5以下である、[6]から[14]のいずれかに記載のガス分離膜。
[16]
前記分離層及び保護層の結晶粒径が10nm以上10μm以下である、[6]から[15]のいずれかに記載のガス分離膜。
[17]
前記保護層の結晶粒径の、前記分離層の結晶粒径に対する比(保護層の結晶粒径/分離層の結晶粒径)が100以下である、[6]から[16]のいずれかに記載のガス分離膜。
[18]
前記分離層及び保護層の結晶粒界間隔が0.3nm以上1μm以下である、[6]から[17]のいずれかに記載のガス分離膜。
[19]
前記保護層の結晶粒界間隔の、前記分離層の結晶粒界間隔に対する比(保護層の結晶粒界間隔/分離層の結晶粒界間隔)が100以下である、[6]から[18]のいずれかに記載のガス分離膜。
[20]
前記分離層の厚みが、10nm以上10μm以下であり、
前記無機層が金属有機構造体、ゼオライト、カーボンのいずれかを含む、
[6]から[19]のいずれかに記載のガス分離膜。
[21]
多孔性基材膜上に、無機層から成る分離層を具備し、
前記多孔性基材膜の前記分離層側には、該分離層が含侵して成る含浸層が形成されており、
前記含浸層の厚さが100μm以下であることを特徴とするガス分離膜。
[22]
前記含浸層の厚さの、前記分離層の厚さに対する比(含浸層の厚さ/分離層の厚さ)が5以下である、[21]に記載のガス分離膜。
[23]
前記分離層の細孔径が0.1nm以上10nm以下である、[21]または[22]に記載のガス分離膜。
[24]
前記分離層の結晶粒径が10nm以上10μm以下である、[21]から[23]のいずれかに記載のガス分離膜。
[25]
前記分離層の結晶粒界間隔が0.3nm以上1μm以下である、[21]から[24]のいずれかに記載のガス分離膜。
[26]
前記分離層の厚みが、10nm以上10μm以下であり、
前記無機層が金属有機構造体、ゼオライト、カーボンのいずれかを含む、
[21]から[25]のいずれかに記載のガス分離膜。
[27]
前記ガス分離膜がオレフィンガス分離膜である、[1]から[26]のいずれかに記載のガス分離膜。
[28]
前記オレフィンガスが、プロピレン、エチレン、ブタジエン、イソブテンのいずれかである、[27]に記載のガス分離膜。
[29]
前記分離層が、多孔質基材膜上に形成された、[1]から[28]のいずれかに記載のガス分離膜。
[30]
前記多孔質基材膜が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ゼオライトのいずれかを含む、[29]に記載のガス分離膜。
[31]
前記多孔質基材膜の平均孔径が10nm以上1μm以下である、[29]または[30]に記載のガス分離膜。
[32]
前記多孔質基材膜が、中空チューブ構造を有している、[29]から[31]のいずれかに記載のガス分離膜。
[33]
前記中空チューブの外径が、2mm以上5cm以下である、[32]に記載のガス分離膜。
[34]
前記オレフィンガスが、プロピレンであり、
前記プロピレンガスの透過性が、10GPU以上1,000GPU以下であり、
プロピレン/プロパンの選択性が10以上500以下である、
[28]に記載の、ガス分離膜。
[35]
[1]から[5]のいずれかに記載のガス分離膜の製造方法であって、少なくとも下記工程;
前記分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより前記分離層を形成する工程;
を含むことを特徴とする、ガス分離膜の製造方法。
[36]
前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより得られる生成物が金属有機構造体である、[35]に記載のガス分離膜の製造方法。
[37]
[6]から[20]のいずれかに記載のガス分離膜の製造方法であって、少なくとも下記工程;
前記分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより前記分離層を形成する工程;および
前記分離層上に前記保護層を形成する工程;
を含むことを特徴とする、ガス分離膜の製造方法。
[38]
前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより得られる生成物が、金属有機構造体である、[37]に記載のガス分離膜の製造方法。
[39]
[21]から[26]のいずれかに記載のガス分離膜の製造方法であって、少なくとも下記工程;
前記分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより前記分離層を形成する工程;
前記多孔質基材膜の前記分離層側に前記含浸層を形成する工程;
を含むことを特徴とする、ガス分離膜の製造方法。
[40]
前記第1の原料溶液と第2の原料溶液とを接触させることにより得られる生成物が金属有機構造体である、[39]に記載のガス分離膜の製造方法。
本発明によれば、分離目的の気体に対する高い透過速度を具備し、粒界膜の形成により、高い分離性能を維持できるガス分離膜が提供される。
本発明の一実施の形態に係るガス分離膜の概略構成を示す図である。 本発明の一実施の形態に係るガス分離膜を構成する分離層及び保護層の概略構成を示す図である。
以下、本発明について、その好ましい形態(以下「本実施形態」ということがある。)を中心に、詳細を説明する。
図1は、本実施形態のガス分離膜の概略構成を示す図である。
本実施形態のガス分離膜は、多孔質基材膜4上に、少なくとも無機層から成る分離層2を具備し、表面粗さが10μm以下である。
また、本実施形態のガス分離膜は、多孔質基材膜4上に、無機層から成る分離層2と、分離層2上に形成された保護層1とを具備する。
また、本実施形態のガス分離膜は、多孔性基材膜4上に、無機層から成る分離層5を具備し、多孔性基材膜4の分離層2側には、分離層2が含侵して成る含浸層3が形成されており、含浸層3の厚さが100μm以下である。
図1では、多孔性基材膜4上に、無機層から成る分離層5を具備し、多孔性基材膜5の分離層2側には、分離層2が含侵して成る含浸層3が形成されており、さらに、分離層2上に形成された保護層1を具備するガス分離膜を示している。
[多孔質基材膜]
本実施形態のガス分離膜における多孔質基材膜は、膜の表裏をつないで貫通する微細な孔を多数有する膜から成る。この多孔質基材膜は、実質的にはガス分離性能を有さないが、本実施形態のガス分離膜に機械的強度を与えるという役割もある。
多孔質基材膜の材質の例としては、例えば、アルミナ、シリカ、コージェライト、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ゼオライト、バイコールガラス、焼結金属などの多孔質体が挙げられるが、これらに限らず、種々の多孔質体を用いることができる。
多孔質基材膜4の平均孔径5(図1参照)としては、1nm以上5μm以下が好ましく、更には、10nm以上1μm以下が好ましい。平均孔径が1nm以下になると、ガスの透過抵抗となり、ガス分離膜の透過性が低下するため、過大な膜面積が必要となるので分離設備が大きくなるという観点から、効率的でない可能性がある。一方、5μm以上となると、多孔質基材膜の表層部に均一な無機膜を形成することが困難となり、欠陥が生じやすくなるという可能性がある。平均孔径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で確認することができる。
多孔質基材膜は、平膜でも中空チューブ構造でもよいが、中空チューブ構造が好ましい。中空チューブの外径は1mm以上10cm以下が好ましく、2mm以上5cm以下がさらに好ましい。外径が1mm以下になると透過ガスの圧力損失が大きくなるので、消費エネルギーが増加するという課題が生じる懸念がある。一方、外径が10cm以上になると、モジュール内に配置される中空チューブの面積が少なくなるので生産コストが高くなってしまうという懸念がある。
[分離層]
本実施形態における分離層は、ガス分離膜において実質的に分離性能を与える役割を担う。分離層は、少なくとも無機層から成る。無機層を構成する材料としては、ゼオライト、MOF、シリカライト、カーボンが挙げられるが、これらに限られず、種々の無機材料を用いることができる。
(ゼオライト)
ゼオライトはアルミノ珪酸塩であり、ゼオライト種の具体例としては、NaX型(FAU)、ZSM−5、MORおよびA型などが挙げられる。ゼオライトは、天然ゼオライトと合成ゼオライトを合わせると、200種類以上の構造が存在するため、これだけに限定されるものではない。ゼオライト種は、水熱合成反応によって2次成長させるものと同程度のSi/Al比を有するものが好ましい。
(MOF)
MOFとしては、例えば、Cu−BTC、MOF−5、IRMOF−3、MIL−47、MIL−53、MIL−96、MMOF、SIM−1、ZIF−7、ZIF−8、ZIF−22、ZIF−69、ZIF−90等が挙げられるが、金属有機構造体(MOF)は200種類以上の構造が存在するため、これだけに限定されるものではない。
MOFは金属塩と有機配位子によって形成される。MOFの原料は、溶液中で金属イオンを得ることができる金属塩と、有機配位子である。これは、金属塩と有機配位子の両方について少なくともそれぞれ1種類を原料に用いることを意味し、必要であれば複数の種類を原料に用いることを妨げるものではない。さらに必要であれば、金属塩と有機配位子以外の原料も用いることができる。
{金属塩の説明}
MOF原料として用いる金属塩は、各種の金属元素を含むものから選択することができる。金属塩に含まれる金属元素としては、好ましくはCu、Zn、Co、In、Al、Fe、V、Mg、Mn、Ni、Ru、Mo、Cr、W、RhおよびPdからなる群より選択される元素であり、より好ましくはCu、Zn、Co、In、Al、Fe、Vからなる群より選択される元素であり、さらに好ましくはCu、Zn、Coからなる群より選択される元素である。
前記の金属元素を含む金属塩としては、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、金属フッ化物、金属炭酸塩、金属蟻酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物および金属水酸化物からなる群より選択することができる。より好ましくは、金属硝酸塩および金属塩化物からなる群から選択される金属塩である。
本発明において用いることのできる具体的な金属塩は、好ましくは硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸インジウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、硝酸バナジウム、塩化銅、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化インジウム、塩化アルミニウム、硝酸塩化鉄および塩化バナジウムからなる群より選択される金属塩であり、より好ましくは硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸インジウムおよび塩化バナジウムからなる群から選択される金属塩である。
{有機配位子の説明}
本発明における有機配位子は、上述の金属元素の金属イオンと配位結合を形成する有機配位子から選択される。前記有機配位子は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、アザベンゾイミダゾールおよびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種とすることができる。
ジカルボン酸として用いることができる有機配位子は、好ましくはイソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸およびビフェニレンジカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種である。トリカルボン酸として用いることができる有機配位子は、好ましくは1,2,3−ベンゼントリカルボン酸および1,3,5−ベンゼントリカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種である。テトラカルボン酸として用いることができる有機配位子は、好ましくは1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸および1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種である。
さらに、選択されるこれらの有機配位子は、必要に応じて骨格中に別の置換基として、ヒドロキシル基、アミノ基、メトキシ基、メチル基、ニトロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、クロロ基、ブロモ基およびフルオロ基を有することができる。
[表面粗さ]
本発明における表面粗さとは、ガス分離層の最表層の凹凸を指す。表面粗さは、JIS B 0601−2001に準拠する算術平均粗さ(Ra)を用いることができる。表面粗さは、10μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましい。表面粗さが大きすぎると、膜厚が不均一になり、分離性能が低下するという問題を生じる可能性がある。
表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)や蛍光X線分析(XRF)によって算出することができる。
[粒径]
図2は、本発明における、分離層2及び保護層1に存在する無機材料の構成粒子8を模式的に示す図である。
本発明における粒径11とは、分離層及び保護層に存在する無機材料の構成粒子のサイズを指す。ゼオライトやMOFは結晶構造を有する。前記結晶構造が構成粒子を形成する。構成粒子の大きさが、粒径に相当する。
粒径は10nm以上10μm以下が好ましく、20nm以上5μm以下がさらに好ましい。粒径が大きすぎると、分離性能が低下するという問題を生じ、逆に粒径が小さすぎても、分離性能が低下するという課題を生じる可能性がある。
粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によりサイズを直接観察することにより算出することができる。
また、分離層の厚みは、10nm以上10μm以下であることが好ましい。
[粒界間隔]
図2に示すように、本発明におけるゼオライトやMOFにおける粒界間隔9とは、分離層2及び保護層1に存在する無機材料の構成粒子8の隙間の大きさを指す。ゼオライトやMOFは結晶構造を有しており、前記結晶構造が構成粒子を形成する。結晶構造の間隙が粒界間隔に相当する。この粒界間隔は、ゼオライトやMOFが有する細孔径とは異なる。一方、シリカやカーボンは、非晶質構造を主とする材料である。本発明におけるシリカやカーボンにおける粒界は、分離層及び保護層に存在する微欠陥が粒界間隔となる。
粒界間隔は、0.1nm以上2μm以下が好ましく、更には0.3nm以上1μm以下が好ましい。粒界間隔が大きすぎると、分離性能が低下するという問題を生じ、逆に粒界間隔のサイズが小さすぎると、透過性能が低下するという問題を生じる可能性がある。
粒界間隔は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によりサイズを直接観察する方法や、透過測定の結果から見積もる方法により算出が可能である。
[細孔径]
図2に示すように、本発明における細孔径10とは、分離層2及び保護層1に存在する無機材料の構成粒子8内部の微細な隙間のサイズを指す。
細孔径は、0.05nm以上100nm以下が好ましく、0.1nm以上10nm以下がさらに好ましい。細孔径が大きすぎると、分離性能が低下するという問題を生じ、逆に細孔径が小さすぎると、透過性能が低下するという問題を生じる可能性がある。
細孔径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によりサイズを直接観察することにより算出することができる。
[膜厚]
ガス分離複合層の膜厚としては、5nm以上20μm以下が好ましく、10nm以上10μm以下がより好ましい。膜厚が5nm以下になると透過性が速くなる一方で、欠陥が生じやすくなるため選択性が低下する可能性がある。また膜厚が20μm以上になると透過性が低下するので過大な膜面積を要する懸念がある。
[保護層]
本発明における保護層とは、分離層上に配置される層を指す。保護層は、分離層に存在する欠陥を覆うことにより、分離性能を上げために配置される。保護層は、無機材料、有機材料のいずれであっても構わない。保護層を構成する無機材料としては、ゼオライト、MOFが挙げられるがこれに限定されるものではない。保護層を構成する有機材料としては、シリコーン、ポリイミド、マイクロポーラスポリマー(PIM)、非晶質ポリテトラフルオロエチレン(例えばテフロン(登録商標)AF)が挙げられるがこれに限定されるものではない。
保護層の膜厚は、100μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましく、10μm以下がさらに好ましく、2μm以下が最も好ましい。膜厚が厚すぎると、透過性能が低下するという問題を生じ、逆に膜厚が薄すぎると、分離性能が低くなるという問題を生じる可能性がある。
保護層の膜厚は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、アルゴンガスクラスターイオン銃搭載X線光電子分光分析(GCIB―XPS)、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)等によって算出することができる。
{分離層と保護層の対比}
分離層と保護層の粒径比(保護層の粒径/分離層の粒径)は、100以下が好ましく、10以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。粒径比が大きすぎると、分離層と保護層の界面で剥離が生じる可能性があり、分離性能の低下を引き起こす懸念がある。
分離層と保護層の粒界間隔比(保護層の粒界間隔/分離層の粒界間隔)は、透過性と分離性の観点から、1以上100以下が好ましく、10以上80以下がより好ましい。粒界間隔比が大きすぎると、分離層と保護層の界面で剥離が生じる可能性があり、分離性能の低下を引き起こす懸念がある。
分離層と保護層の細孔径比(保護層の細孔径/分離層の細孔径)は、透過性と分離性の観点から、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。細孔径比が大きすぎると、分離層本来の膜性能を発揮できず、実用性能を満たさない可能性が懸念される。
分離層と保護層の膜厚比(保護層の膜厚/分離層の膜厚)は、透過性と分離性の観点から、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、30以下がさらに好ましく、15以下がさらに好ましく、5以下がさらに好ましく、1以下が最も好ましい。膜厚比が大きすぎると、分離層本来の膜性能を発揮できず、実用性能を満たさない可能性が懸念される。
[含浸層]
本実施形態における含浸層は、多孔質基材膜上に配置された分離層の一部が、多孔質基材膜の分離層側に染み込んで形成された層を指す。
この含浸層は、多孔質基材膜及び分離層との間に、明確な境界を持っていてもよいし、明確な境界を持っていなくても構わない。含浸層における分離層の割合は、厚み方向で同じであってもよいし、傾斜組成となっていてもよい。好ましくは、含浸層のうちの分離層と接する領域においては分離層を構成する材料の含有割合が大きく、該含有割合が深さ方向に漸減して行き、遂にはゼロとなる地点で含浸層が終わる場合である。
含浸層の膜厚は、得られるガス分離膜における分離性能と透過性能のバランスの観点から、設定される。この観点から、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が最も好ましい。また、分離層と含浸層の膜厚比(含浸層の膜厚/分離層の膜厚)は、透過性と分離性の観点から、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。膜厚比が大きすぎると、分離層本来の膜性能を発揮できず、実用性能を満たさない可能性が懸念されるため、好ましくない。
[ガス分離膜の性能]
本実施形態のガス分離膜は、オレフィンガス分離膜として適用されるときに特に好適である。オレフィンガスとしては、例えばプロピレン、エチレン、ブタジエン、イソブテンが挙げられる。 本実施形態のガス分離膜は、例えば、測定温度30℃、およびプロピレン分圧0.6気圧の条件下で、プロピレンガスの透過性が、10GPU以上1,000GPU以下とし、そしてプロピレン/プロパンの選択性が10以上500以下とすることができる。
ガス分離膜にフィードされる原料ガスの圧力としては、0.1MPaG以上2.5MPaG以下が好ましく、0.1MPaG以上2.0MPaG以下がより好ましく、0.1MPaG以上1.5MPaG以下がさらに好ましい。0.1MPaG以下では回収されるオレフィンガスの透過速度が十分でなく、2.5MPaG以上では、ガス分離膜の耐久性が維持できなくなる。
このような本実施形態のガス分離膜は、少なくとも下記工程;
分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
第1の原料溶液と第2の原料溶液とを接触させることにより分離層を形成する工程;
を含む製造方法により製造される。
また、本実施形態のガス分離膜は、少なくとも下記工程;
分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
第1の原料溶液と第2の原料溶液とを接触させることにより前記分離層を形成する工程;および
前記分離層上に前記保護層を形成する工程;
を含む製造方法により製造されることもできる。
また、本実施形態のガス分離膜は、少なくとも下記工程;
分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
第1の原料溶液と第2の原料溶液とを接触させることにより分離層を形成する工程;および
前記多孔質基材膜の前記分離層側に前記含浸層を形成する工程;
を含む製造方法により製造されることもできる。
上記の製造方法において、第1の原料溶液と第2の原料溶液とを接触させることにより得られる生成物は、例えば金属有機構造体である。
第1の原料溶液としては、例えば金属塩の水溶液である。
第2の原料溶液としては、例えば有機配位子の水溶液である。
以下に、本発明について、実施例などを用いてさらに具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例などに何ら限定されるものではない。
<実施例1>
多孔質基材膜には平均孔径が100nm〜250nmのアルミナ中空チューブを用いた。外径は5mmで長さは10cmであった。多孔質基材膜を10本束ねたモジュールを作製した。先ず、多孔質基材膜の表層部にZIF−8を合成した。合成方法は対向拡散法とした。すなわち、アルミナ中空チューブの外側に0.4Mの硝酸亜鉛六水和物のメタノール溶液を循環させ、アルミナ中空チューブの内側に0.5Mの2メチルイミダゾールのDMF溶液を循環させた。溶液の循環量を調整することにより、表1記載の表面粗さのガス分離膜を得た。
表面粗さは、AFMにより算出した。
このガス分離膜を用いて、プロパンおよびプロピレンの透過速度を測定した。測定は、原料ガスとしてプロパンおよびプロピレンから成る混合ガス(プロパン:プロピレン=40:60(質量比))を用い、供給側ガス流量を100cc/min、透過側の窒素流量を100cc/minとした。測定温度は30℃であった。圧力はプロパンおよびプロピレンから成る混合ガス、窒素ガス共に0KPaGである。
ガス分離用モジュールを透過したガス成分を、原料ガスを供給してから3時間後に、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分析し、プロピレン/プロパンの分離係数αを求めた。
測定結果を表1に示す。
<実施例2〜8>
異なる平均孔径のアルミナを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法によりガス分離膜を製造した。
表面粗さ及びガス透過測定の結果を表1に示す。
<実施例9>
種晶として市販のUSYゼオライト粉末(Si/Al=3.5)を準備し、ボールミルで湿式粉砕を行った。粉砕後のUSYゼオライト粉末を水に加え攪拌後、4,000rpmで10分間、遠心分離を行った。上澄みを回収し、スラリー中の種晶の濃度が1.0g/Lとなるように種晶スラリーを調製した。
多孔質基材膜には平均孔径が100nm〜250nmのアルミナを用いた。外径は5mmで長さは10cmであった。多孔質基材膜を種晶スラリーに3分間浸漬し、種晶付多孔質基材膜を得た。種晶付多孔質基材膜の種晶担持量を測定したところ2.5mgであり、多孔質基材膜の表面及び断面をSEMにて観察したところ、種晶は支持体上に主に担持されていた。
ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム水溶液、及びアルミン酸ナトリウム+水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ混合し、4時間、100℃でエージングすることで、合成アルミノシリケートゲルを得た。ゲルの組成はモル比でNaO:Al:SiO:HO=80:1:9:5000であった。得られた合成アルミノシリケートゲルに種晶付多孔質基材膜を浸漬し、100℃で24時間、水熱合成を行い、Naゼオライト膜複合体を得た。Naゼオライト膜複合体は、NaX型ゼオライトであった。多孔質基材膜を10本束ねたモジュールを作製した。
表面粗さ及びガス透過測定は、実施例1と同様の方法で行った。
測定結果を表1に示す。
<実施例10>
多孔質基材膜には平均孔径が100nm〜250nmのアルミナ中空チューブを用いた。外径は5mmで長さは10cmであった。多孔質基材膜を10本束ねたモジュールを作製した。先ず、多孔質基材膜表層部にZIF−8を合成した。合成方法は対向拡散法とした。すなわち、アルミナ中空チューブの外側に0.4Mの硝酸亜鉛六水和物のメタノール溶液を循環させ、アルミナ中空チューブの内側に0.5Mの2メチルイミダゾールのDMF溶液を循環させた。その後、アルミナ中空チューブ外側にSilgardのイソペンタン溶液を循環させ、内部に24時間60℃のドライ窒素を流すことで、シリコーンの保護層を形成させた。
分離層及び保護層の膜厚は、SEMで算出した。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
保護層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
<実施例11〜19>
異なる平均孔径及び材料の多孔質基材膜、保護層素材を用いたこと以外は、実施例10と同様の方法によりガス分離膜を製造した。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
保護層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
<実施例20〜25>
実施例10と同様の方法により、多孔質基材膜表層部にZIF−8を合成した。
0.2M/Lの1,4ベンゼンジカルボン酸のDMF溶液を調整した。これをZIF−8が表面に形成された多孔質基材膜表層部に供給し、24時間静置した。そして、110℃に昇温し、48時間静置した。液抜き後、40℃のメタノールで24時間洗浄し、90℃で24時間乾燥した。こうしてZIF−8の上にMOF−5を製膜した。
分離層及び保護層の粒径、粒界サイズ、細孔径は、TEMにより算出した。
分離層及び保護層の膜厚は、SEMで算出した。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
保護層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
<実施例26>
実施例9と同様の方法で、Naゼオライト膜複合体を製造した後、実施例10と同様の方法により、シリコーンの保護層を形成させた。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
保護層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
<実施例27>
実施例1と同様の方法により、異なる平均孔径のアルミナを用いてガス分離膜を製造した。含浸層の厚みは、0.4Mの硝酸亜鉛六水和物のメタノール溶液、及び0.5Mの2メチルイミダゾールのDMF溶液の循環量、循環時間及び循環温度を調整することにより、所望の厚みに調整した。
含浸層の膜厚は、SEMで算出した。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
含浸層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
<実施例28〜34>
異なる平均孔径のアルミナ、を用いたこと以外は、実施例27と同様の方法によりガス分離膜を製造した。
含浸層の膜厚は、SEMで算出した。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
含浸層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
<実施例35>
Naゼオライト膜複合体を用いたこと以外は、実施例27と同様の方法によりガス分離膜を製造した。
含浸層の膜厚は、SEMで算出した。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
含浸層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1と同様の方法により、ガス分離膜を製造した。0.4Mの硝酸亜鉛六水和物のメタノール溶液、及び0.5Mの2メチルイミダゾールのDMF溶液の循環量、循環時間及び循環温度を調整することにより、所望の分離層及び含浸層の厚み、表面粗さになるように調整した。
含浸層の膜厚は、SEMで算出した。
実施例1と同様の方法で、ガス透過測定を行った。
含浸層と分離層の膜厚比及びガス測定結果を表1に示す。
Figure 2018167149
実施例1から9及び比較例1から明らかなように、分離性能と透過性能を高めるためには、表面粗さを少なく、具体的には10μm以下にすることが好ましい。また、実施例10から26及び比較例1から明らかなように、保護層を所望の厚みに調整し、形成させることで、分離性能と透過性能を高めることができる。さらに、実施例27から35及び比較例1から明らかにように、含浸層を100μmの厚みに調整し、形成させることで、分離性能と透過性能を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本発明によるガス分離膜を用いることで、目的の気体に対する高い透過速度と高い選択性とを具備し、その結果、高い透過選択性を維持できるものとなり、例えばナフサ留分のオレフィンガス分離、プロパン脱水素法やメタセシス法などの合成ガス、天然ガスなどから、オレフィンガスを分離回収するガス分離膜や、多糖類を原料として合成されるバイオオレフィンガスを分離回収するガス分離膜として広く利用することができる。さらには、ポリプロピレンプラントのオフガスに含まれるオレフィンガスを分離回収するガス分離膜として利用することができる。
1 保護層
2 分離層
3 含浸層
4 多孔質基材膜
5 平均孔径
8 無機材料の構成粒子
9 粒界間隔
10 細孔径
11 粒径

Claims (40)

  1. 少なくとも無機層から成る分離層を具備し、表面粗さが10μm以下であることを特徴とする、ガス分離膜。
  2. 前記分離層の細孔径が0.1nm以上10nm以下である、請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 前記分離層の結晶粒径が10nm以上10μm以下である、請求項1または2に記載のガス分離膜。
  4. 前記分離層の結晶粒界間隔が0.3nm以上1μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  5. 前記分離層の厚みが、10nm以上10μm以下であり、
    前記無機層が金属有機構造体、ゼオライト、カーボンのいずれかを含む、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  6. 無機層から成る分離層と、該分離層上に形成された保護層とを具備することを特徴とするガス分離膜。
  7. 前記保護層が、無機材料を含む、請求項6に記載のガス分離膜。
  8. 前記無機材料が、金属有機構造体、ゼオライトのいずれかを含む、請求項7に記載のガス分離膜。
  9. 前記保護層が、有機材料を含む、請求項6に記載のガス分離膜。
  10. 前記有機材料が、非晶質ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、マイクロポーラスポリマーのいずれかを含む、請求項9に記載のガス分離膜。
  11. 前記分離層が、多孔質基材膜上に形成されている、請求項6から請求項10のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  12. 前記保護層の厚さが100μm以下である、請求項6から請求項11のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  13. 前記保護層の厚さの、前記分離層の厚さに対する比(保護層の厚さ/分離層の厚さ)が50以下である、請求項6から請求項12のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  14. 前記分離層及び保護層の細孔径が0.1nm以上10nm以下である、請求項6から請求項13のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  15. 前記保護層の細孔径の、前記分離層の細孔径に対する比(保護層の細孔径/分離層の細孔径)が5以下である、請求項6から請求項14のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  16. 前記分離層及び保護層の結晶粒径が10nm以上10μm以下である、請求項6から請求項15のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  17. 前記保護層の結晶粒径の、前記分離層の結晶粒径に対する比(保護層の結晶粒径/分離層の結晶粒径)が100以下である、請求項6から請求項16のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  18. 前記分離層及び保護層の結晶粒界間隔が0.3nm以上1μm以下である、請求項6から請求項17のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  19. 前記保護層の結晶粒界間隔の、前記分離層の結晶粒界間隔に対する比(保護層の結晶粒界間隔/分離層の結晶粒界間隔)が100以下である、請求項6から請求項18のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  20. 前記分離層の厚みが、10nm以上10μm以下であり、
    前記無機層が金属有機構造体、ゼオライト、カーボンのいずれかを含む、
    請求項6から請求項19のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  21. 多孔性基材膜上に、無機層から成る分離層を具備し、
    前記多孔性基材膜の前記分離層側には、該分離層が含侵して成る含浸層が形成されており、
    前記含浸層の厚さが100μm以下であることを特徴とするガス分離膜。
  22. 前記含浸層の厚さの、前記分離層の厚さに対する比(含浸層の厚さ/分離層の厚さ)が5以下である、請求項21に記載のガス分離膜。
  23. 前記分離層の細孔径が0.1nm以上10nm以下である、請求項21または22に記載のガス分離膜。
  24. 前記分離層の結晶粒径が10nm以上10μm以下である、請求項21から請求項23のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  25. 前記分離層の結晶粒界間隔が0.3nm以上1μm以下である、請求項21から請求項24のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  26. 前記分離層の厚みが、10nm以上10μm以下であり、
    前記無機層が金属有機構造体、ゼオライト、カーボンのいずれかを含む、
    請求項21から請求項25のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  27. 前記ガス分離膜がオレフィンガス分離膜である、請求項1から請求項26のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  28. 前記オレフィンガスが、プロピレン、エチレン、ブタジエン、イソブテンのいずれかである、請求項27に記載のガス分離膜。
  29. 前記分離層が、多孔質基材膜上に形成された、請求項1から請求項28のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  30. 前記多孔質基材膜が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、ゼオライトのいずれかを含む、請求項29に記載のガス分離膜。
  31. 前記多孔質基材膜の平均孔径が10nm以上1μm以下である、請求項29または請求項30に記載のガス分離膜。
  32. 前記多孔質基材膜が、中空チューブ構造を有している、請求項29から請求項31のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  33. 前記中空チューブの外径が、2mm以上5cm以下である、請求項32に記載のガス分離膜。
  34. 前記オレフィンガスが、プロピレンであり、
    前記プロピレンガスの透過性が、10GPU以上1,000GPU以下であり、
    プロピレン/プロパンの選択性が10以上500以下である、
    請求項28に記載の、ガス分離膜。
  35. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガス分離膜の製造方法であって、少なくとも下記工程;
    前記分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
    前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより前記分離層を形成する工程;
    を含むことを特徴とする、ガス分離膜の製造方法。
  36. 前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより得られる生成物が金属有機構造体である、請求項35に記載のガス分離膜の製造方法。
  37. 請求項6から請求項20のいずれか一項に記載のガス分離膜の製造方法であって、少なくとも下記工程;
    前記分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
    前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより前記分離層を形成する工程;および
    前記分離層上に前記保護層を形成する工程;
    を含むことを特徴とする、ガス分離膜の製造方法。
  38. 前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより得られる生成物が、金属有機構造体である、請求項37に記載のガス分離膜の製造方法。
  39. 請求項21から請求項26のいずれか一項に記載のガス分離膜の製造方法であって、少なくとも下記工程;
    前記分離層を構成する材料を溶媒に溶解させ、第1の原料溶液と第2の原料溶液を製造する工程;
    前記第1の原料溶液と前記第2の原料溶液とを接触させることにより前記分離層を形成する工程;
    前記多孔質基材膜の前記分離層側に前記含浸層を形成する工程;
    を含むことを特徴とする、ガス分離膜の製造方法。
  40. 前記第1の原料溶液と第2の原料溶液とを接触させることにより得られる生成物が金属有機構造体である、請求項39に記載のガス分離膜の製造方法。
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