JP2016097550A - 曲面状に成形された透明樹脂積層体、それを備えたディスプレイカバー及びそれを備えたモバイル端末 - Google Patents
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Abstract
Description
項1.
透明樹脂層;並びに
該透明樹脂層の両面に、順に形成された紫外線硬化型樹脂組成物層、ポリエステル樹脂層及びハードコート層を有する曲面状に成形された透明樹脂積層体。
項2.
前記透明樹脂層が、ポリカーボネートフィルムである、項1に記載の透明樹脂積層体。
項3.
前記ポリエステル樹脂層が、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルムである、項1又は2に記載の透明樹脂積層体。
項4.
下記の工程(1)及び(2)によって得られる項1〜3の何れか一項に記載の透明樹脂積層体:
工程(1):前記透明樹脂層のガラス転移温度(T1)及び前記ポリエステル樹脂層のガラス転移温度(T2)より高く、かつ前記ポリエステル樹脂層の結晶融点(T3)より低い温度(MT)で加熱成形する工程(加熱成形工程)、及び
工程(2):前記T1又はT2のどちらか低い方のガラス転移温度より高く、かつ工程(1)の加熱成形温度(MT)より低い温度(AT)で加熱処理する工程(加熱処理工程)。
項5.
項4に記載の透明樹脂積層体であって、
該工程(1)で得られた積層体の曲率半径(R2)と工程(2)で得られた積層体の曲率半径(R3)との比率が、1:1.1〜1:6.0である、透明樹脂積層体。
項6.
前記透明樹脂層の表面及び/又は前記ポリエステル樹脂層の表面に、印刷が施されている、項1〜5の何れか一項に記載の透明樹脂積層体。
項7.
85℃、相対湿度85%の高温高湿環境において、72時間曝露する試験の前後の曲率半径変化が15%以下である項1〜6の何れか一項に記載の透明樹脂積層体。
項8.
紫外線硬化型樹脂組成物層;並びに
該紫外線硬化型樹脂組成物層の両面に、ポリエステル樹脂層及びハードコート層を順に有する、曲面状に成形された透明樹脂積層体。
項9.
項1〜8の何れか一項に記載の透明樹脂積層体を備えたディスプレイカバー。
項10.
項1〜8の何れか一項に記載の透明樹脂積層体を備えたモバイル端末。
本発明の透明樹脂積層体は、透明樹脂層;並びに該透明樹脂層の両面に、順に形成された紫外線硬化型樹脂組成物層、ポリエステル樹脂層及びハードコート層を有し、かつ曲面状に成形されていることを特徴とする。
透明樹脂層としては、本発明の効果が得られるものであれば特に限定なく、ある程度の剛性を有しているものが望ましい。そのような透明樹脂層としては、耐熱性、透明性、加工特性、市場での入手しやすさ等の点で、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリカーボネートフィルムが好適である。そして、厚さの厚い積層体を得るためには、ポリカーボネートが好適である。
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物層は透明樹脂層の両面に形成される。また、もう一つの態様としては、本発明の紫外線硬化型樹脂組成物層の両面にポリエステル樹脂層が形成される。
本発明のポリエステル樹脂層は、透明樹脂層の両面に紫外線硬化型樹脂組成物層を介して積層される。もう一つの態様としては、本発明のポリエステル樹脂層は、紫外線硬化型樹脂組成物層とハードコート層の間に形成される。
本発明のハードコート層は、ポリエステル樹脂層の紫外線硬化型樹脂組成物層と接する面の反対側の表面に形成される。
本発明の透明樹脂積層体は、透明樹脂層の表面及び/又はポリエステル樹脂層の表面に、あらかじめ印刷が施されていてもよい。これによって、曲面状に成形された積層体に後で印刷を施す必要がなくなるだけでなく、成形されたディスプレイカバーの両面が滑らかな面になることから、意匠性も確保できる。この様に表面が滑らかであることから、透明樹脂積層体の表面にさらに透明導電膜を形成することも容易となり、タッチパネル用の表面材料として好適である。
本発明の透明樹脂積層体は、フィルム、シート、又はプレートとして曲面状に成形されており、該透明樹脂積層体は、高透明性、高表面硬度及び剛性に優れ、かつ外観、耐熱性及び耐湿性が優れている。そのため、本発明の透明樹脂積層体の用途は、特に制限されるものではないが、特に携帯電話、タブレット端末等の液晶ディスプレイカバー(液晶保護シート、液晶保護フィルム)に使用できる。
本発明におけるモバイル端末としては、携帯電話、スマートフォン、携帯ゲーム機、タブレット型モバイルディスプレイ、ノートブックコンピュータ等の携帯端末;腕等の体の一部、メガネ、衣類等の身に着けるものに装着して使用するウエアラブル携帯端末が挙げられる。
本発明の透明樹脂積層体の製造方法は、工程(A):平面状の透明樹脂積層体を得る工程、及び工程(B):該工程(A)で得られた平面状の透明樹脂積層体を曲面状に成形する工程を含んでいる。
平面状の透明樹脂積層体は、特開2012−183822号公報に記載の方法に従い製造できる。具体的には、下記の実施態様1及び2を例示することができる。
工程(A1-1):透明樹脂フィルムの両面に紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する工程、
工程(A1-2):片面にハードコート層を有するポリエステル樹脂フィルムのハードコート層を有さない面を、工程(A1-1)で得られた透明樹脂フィルムの紫外線硬化型樹脂組成物の表面に積層する工程、及び
工程(A1-3):工程(A1-2)で得られた積層体中の紫外線硬化型樹脂組成物を乾燥させた後に、紫外線を照射し硬化させる工程。
透明樹脂フィルム上に紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する方法としては、次のようなものが例示される。例えば、2本の金属もしくはゴムロールに塗料を供給しロールの間隙に板を通すことにより塗工するロールコート法が挙げられる。これは、板、フィルム形状のものを塗装する場合に好適である。塗装する品物の中央に塗料を滴下し回転させることにより塗料を品物の表面に広げ塗工するスピンコート法が挙げられる。これは、円に近い形状のものを均一な膜厚で塗装する場合に好適である。塗料を霧状にして塗装品の表面に塗装するスプレイコート法が挙げられる。これは、三次元形状の成形品を塗装するのに適している。塗料の液の中に塗装する品物を浸漬し緩やかに引き上げることにより塗工するディップコート法が挙げられる。これにより、板状、曲面、三次元形状等表裏を一度に塗装することが出来る。塗料を塗装する品物の上に流し塗装するフローコート法が挙げられる。これは、板状、曲面等の両面もしくは片面を塗装することが出来る。
片面にハードコート層を有するポリエステル樹脂フィルムのハードコート層を有さない面を、工程(A1-1)で得られた透明樹脂フィルムの紫外線硬化型樹脂組成物の表面に積層する方法としては、例えば、2本の金属もしくはゴムロールの間隙に板を通すことにより、それぞれのフィルムを圧着し加工するロール式ラミネート加工が挙げられる。
工程(A1-2)で得られた積層体中の紫外線硬化型樹脂組成物の乾燥は、例えば、50〜80℃の雰囲気下に1〜10分間置くことにより行うことができる。
(A2-1):片面にハードコート層を有するポリエステル樹脂フィルムのハードコート層を有さない面に紫外線硬化型樹脂組成物を塗布する工程、
(A2-2):片面にハードコート層を有するポリエステル樹脂フィルムのハードコート層を有さない面を、工程(A2-1)で得られたポリエステル樹脂フィルムの紫外線硬化型樹脂組成物の表面に積層する工程、及び
(A2-3):工程(A2-2)で得られた積層体中の紫外線硬化型樹脂組成物を乾燥させた後に、紫外線を照射し硬化させる工程。
工程(B)は、下記の工程(1)及び工程(2)の工程を含んでいる。
本発明の加熱成形工程(1)は、透明樹脂層のガラス転移温度をT1、ポリエステル樹脂層のガラス転移温度をT2、及びポリエステル樹脂層の結晶融点をT3としたとき、T1及びT2より高く、T3より低い温度(MT)で加熱成形を行う工程である。これにより、良好な外観の成形積層体を得ることができる。
T1又はT2<MT<T3
の関係で表すことができる。
本発明における加熱処理工程(2)は、上記工程(1)によって加熱成形された成形積層体を、T1又はT2のどちらか低い方のガラス転移温度より高く、かつ工程(1)の加熱成形温度(MT)より低い温度(AT)で加熱処理を行う工程(アニーリング工程ともいう)である。
T1又はT2<AT<MT
の関係で表すことができる。
R1<R2<R3
で表される関係が成り立つ特徴を有する。
製造例1
最表層のハードコート層1・7・8・12に使用する塗料として、ウレタンアクリレートオリゴマー、UV-7640B(日本合成工業株式会社製 固形分100%)100質量部に、重合開始剤としてヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(チバガイギー社製 商品名イルガキュア-184)を3質量部、希釈溶媒としてメチルエチルケトン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し均一に撹拌、混合することで固形分30%の樹脂組成物Aを得た。
中間層である紫外線硬化型樹脂組成物層3・5・10に使用するアクリレートオリゴマーとして、UN-901T(根上工業株式会社製 固形分80%)75質量部、UN-333(根上工業株式会社製 固形分100%)10質量部、及びA-200(新中村化学工業株式会社製 固形分100%)15質量部に、重合開始剤としてヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(チバガイギー社製 製品名 イルガキュア-184)を3質量部添加し、均一に撹拌、混合することで固形分84.2%の樹脂組成物Bを得た。
ポリエステル樹脂層2・6・9・11 である厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製 製品名 A4300)の片面に上記樹脂組成物Aをロールコーターにて4μmの膜厚となるように塗装し、加熱、紫外線照射後、硬質被膜を片面に有するPETフィルムを得た(以下、ここで得られたフィルムを「片面塗装済みPETフィルム」と記載することもある。)。
透明樹脂層4である厚さ650μmのポリカーボネートフィルム(帝人化成株式会社製 パンライトフィルム2151)の両面に、樹脂組成物Bをロールコーターで乾燥後の厚さがそれぞれ15μmとなるように塗装した。次に、製造例3で得た2枚の片面塗装済みPETフィルムの未塗装面と樹脂組成物Bとをそれぞれ貼り合せ、乾燥炉中で80℃で2分加熱した後、高圧水銀灯を用いて積算光量が1000mJ/cm2となるように紫外線を照射し、樹脂組成物Bを硬化させ、合計約1 mmの板厚の積層体を得た。
実施例1
(1)製造例4で得た積層体を、図5に示す一対の型材により、曲率半径93mmに保持した状態で、150℃で15分間加熱成形した。その後、室温下で0.5時間冷却し、上記器具から該積層体を外した。その後、積層体を図6のように立てた状態(応力をかけない状態)で1時間保持した。
加熱成形工程(1)の温度を160℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、本発明の透明樹脂積層体2を得た。
加熱成形工程(1)の温度を180℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、本発明の透明樹脂積層体3を得た。
加熱成形工程(1)の温度を190℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、本発明の透明樹脂積層体4を得た。
加熱成形工程(1)の温度を200℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で、本発明の透明樹脂積層体5を得た。
加熱成形工程(1)の温度を90℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で比較積層体1を得た。
加熱成形工程(1)の温度を120℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で比較積層体2を得た。
加熱成形工程(1)の温度を140℃に代えた以外は、実施例1と同様の方法で比較積層体3を得た。
加熱成形工程(1)の温度を220℃に代えた以外は、実施例1の加熱成形工程(1)と同様の方法で比較積層体4を得た。なお、次の工程(2)は行わなかった。
加熱成形工程(1)の温度を250℃に代えた以外は、実施例1の加熱成形工程(1)と同様の方法で比較積層体5を得た。なお、次の工程(2)は行わなかった。
加熱処理工程(2)の温度を60℃に代えた以外は、比較例2と同様の方法で比較積層体6を得た。
加熱処理工程(2)の温度を100℃に代えた以外は、実施例4と同様の方法で、本発明の透明樹脂積層体6を得た。
加熱処理工程(2)の温度を170℃に代えた以外は、実施例4と同様の方法で、本発明の透明樹脂積層体7を得た。
加熱処理工程(2)を行わなかったこと以外は、実施例4と同様の方法で比較積層体7を得た。
加熱処理工程(2)の温度を200℃に代えた以外は、実施例4と同様の方法で比較積層体8を得た。
<外観>
外観上の欠陥、すなわち、凹凸等の表面異常、透視像のひずみ、着色等の発生の有無を目視にて検査した。
○=外観に変化なし
×=外観上に欠陥有り
曲面状に成形された樹脂積層体を85℃、相対湿度85%の高温高湿環境において、24時間曝露した後、成形積層体の曲率半径を測定し、該曝露試験の前の曲率半径と比較して、下記計算式に基づき、耐熱性及び耐湿性試験を評価した。
○=合格(曲率の変化が15%以下)
×=不合格(曲率の変化が15%を超える)
本発明の曲面状に成形された透明樹脂積層体は、外観が良好で、しかも、実使用における形状変化も非常に少なく、耐熱性及び耐湿性に優れている。したがって、本発明の曲面状に成形された透明樹脂積層体は、曲面ディスプレイカバー及びそれを含むモバイル端末に好適な材料であった。一方、比較例の積層体は、所望の形状とならないこと、外観の不具合があること、及び実使用における形状変化が大きいため、曲面ディスプレイカバーに使用することは困難である。
2 ポリエステル樹脂層
3 紫外線硬化型樹脂組成物層
4 透明樹脂層
5 紫外線硬化型樹脂組成物層
6 ポリエステル樹脂層
7 ハードコート層
8 ハードコート層
9 ポリエステル樹脂層
10 紫外線硬化型樹脂組成物層
11 ポリエステル樹脂層
12 ハードコート層
13 上金型
14 積層体
15 下金型
100 透明樹脂フィルム
200 ロールコーター
300 ポリエステル樹脂フィルム
400 紫外線ランプ
500 保護フィルム
600 切断装置
700 ポリエステル樹脂フィルム
800 ロールコーター
900 ポリエステル樹脂フィルム
1000 紫外線ランプ
1100 保護フィルム
1200 切断装置
Claims (9)
- 透明樹脂層;並びに
該透明樹脂層の両面に、順に形成された紫外線硬化型樹脂組成物層、ポリエステル樹脂層及びハードコート層を有する曲面状に成形された透明樹脂積層体。 - 前記透明樹脂層が、ポリカーボネートフィルムである、請求項1に記載の透明樹脂積層体。
- 前記ポリエステル樹脂層が、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1又は2に記載の透明樹脂積層体。
- 下記の工程(1)及び(2)によって得られる請求項1〜3の何れか一項に記載の透明樹脂積層体:
工程(1):前記透明樹脂層のガラス転移温度(T1)及び前記ポリエステル樹脂層のガラス転移温度(T2)より高く、かつ前記ポリエステル樹脂層の結晶融点(T3)より低い温度(MT)で加熱成形する工程(加熱成形工程)、及び
工程(2):前記T1又はT2のどちらか低い方のガラス転移温度より高く、かつ工程(1)の加熱成形温度(MT)より低い温度(AT)で加熱処理する工程(加熱処理工程)。 - 請求項4に記載の透明樹脂積層体であって、
該工程(1)で得られた積層体の曲率半径(R2)と工程(2)で得られた積層体の曲率半径(R3)との比率が、1:1.1〜1:6.0である、透明樹脂積層体。 - 前記透明樹脂層の表面及び/又は前記ポリエステル樹脂層の表面に、印刷が施されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の透明樹脂積層体。
- 85℃、相対湿度85%の高温高湿環境において、72時間曝露する試験の前後の曲率半径変化が15%以下である請求項1〜6の何れか一項に記載の透明樹脂積層体。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の透明樹脂積層体を備えたディスプレイカバー。
- 請求項1〜7の何れか一項に記載の透明樹脂積層体を備えたモバイル端末。
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