JP2016094660A - 溶接継手の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異なるオーステナイト系ステンレス鋼を溶接する際、優れた耐水素脆化特性が得られる溶接継手の製造方法を提供すること。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.01〜0.06%、Si:0.2〜1.0%、Mn:2.5〜6.5%、Ni:9〜14%、Cr:19〜24%、Mo:1.5〜3.5%、Nb:0.1〜0.4%、Al:0.05%以下、N:0.20〜0.45%、V:0〜0.5%、Ti:0〜0.5%、Cu:0〜3%、B:0〜0.01%、Ca:0〜0.05%、Mg:0〜0.05%、REM:0〜0.5%、残部:Feおよび不純物であり、かつ、不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.03%以下、および、S:0.01%以下である部材1と、C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、[P(NI)=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)]で規定されるP(NI)が27%以上を満足する部材2とを、C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、上記P(NI)が29%以上を満足する溶接材料を用いて溶接する、溶接継手の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、高圧水素ガス用機器および液体水素用機器等に使用される異なるオーステナイト系ステンレス鋼を用いた溶接継手の製造方法に関する。
近年、化石燃料に代えて、水素をエネルギーとして利用する輸送機器の実用化研究が活発に進められている。その実用化に際しては、水素を高圧で貯蔵、輸送できる使用環境の整備が併せて必要であり、そこに使用される引張強さで800MPaを上回るような高強度材料の開発、適用検討が平行して進められている。
このような背景のもと、使用される材料として、例えば、特許文献1〜4には、高Mn化することでNの溶解度を高め、かつ、Vおよび/またはNbを添加することにより、Nの固溶強化および窒化物の析出強化、さらにはそのピニング効果による微細化を活用し、高強度化を試みたオーステナイト系ステンレス鋼が提案されている。
ところで、これら多量のNを含有した高強度オーステナイト系ステンレス鋼を構造物として使用する場合、コスト面からは溶接による組み立てが可能であることが求められている。そのため、例えば、特許文献3、5および6には、Al、TiおよびNbを積極活用し、溶接後熱処理を行うことにより、800MPaを超える引張強さが得られる溶接材料(溶接金属)が提案されている。また、特許文献7には、溶接材料(溶加材)のN量、溶接時のシールドガスおよび溶融池面積を管理し、溶接金属のN量を増大させることにより、溶接後熱処理を実施することなく、高強度化を達成する溶接継手が提案されている。
国際公開第2004/083476号 国際公開第2004/083477号 国際公開第2004/110695号 国際公開第2012/132992号 特開平5−192785号公報 特開2010−227949号公報 国際公開第2013/005570号
一方で、実際の構造物は全てが上記のような高強度オーステナイト系ステンレス鋼で構成されるのではなく、その使用部位によっては、異なるオーステナイト系ステンレス鋼を溶接する必要がある。その際、溶接継手に対しては、高強度は必要とはされない(異材側と同等以上の強度を満足すれば良い)ものの、水素環境下での耐脆化特性には優れることが求められる。しかしながら、異なるオーステナイト系ステンレス鋼の溶接継手では、いずれかの母材と完全に同一の化学組成の溶接材料を使用して溶接した場合、充分な耐水素脆化特性が得られない場合がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、異なるオーステナイト系ステンレス鋼を溶接する際、優れた耐水素脆化特性が得られる溶接継手の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を解決するために調査を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
まず、質量%で、C:0.01〜0.06%、Si:0.2〜1.0%、Mn:2.5〜6.5%、Ni:9〜14%、Cr:19〜24%、Mo:1.5〜3.5%、Nb:0.1〜0.4%、Al:0.05%以下、および、N:0.20〜0.45%を含む高強度オーステナイト系ステンレス鋼と、C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含む種々のオーステナイト系ステンレス鋼の耐水素脆化感受性を比較した結果、下記(i)式で規定されるP(NI)が27%以上であるオーステナイト系ステンレス鋼のみが、高強度オーステナイト系ステンレス鋼と同等の優れた耐水素脆化特性を有することが明らかとなった。
P(NI)=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(i)
ただし、(i)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
そこで、このP(NI)が27%以上であるオーステナイト系ステンレス鋼と同組成の溶接ワイヤ(溶接材料)を用いて、高強度オーステナイト系ステンレス鋼と、それとは異なるオーステナイト系ステンレス鋼とのタングステンガスアーク溶接継手を作製し、水素脆化感受性を評価した。その結果、P(NI)が27%以上となる場合に、必ずしも溶接継手の耐水素脆化特性が充分とはならないことが判明した。
そのため、溶接金属部の詳細な組織調査を行った結果、溶接継手の溶接金属では、C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNに濃度むらがあることが分かった。そして、さらに調査を重ねた結果、母材と同等の特性を得るためには、P(NI)が29%以上の溶接ワイヤ(溶接材料)を使用する必要があることが分かった。
その理由は、次のように考えられる。
すなわち、溶接金属は母材と異なり、凝固のままの組織であるため、溶接金属中では凝固中の合金元素の凝固偏析に起因した濃度むらが残る。その結果、局部的にP(NI)が27%を下回る箇所が存在し、その部分の水素脆化感受性が高くなる。そのため、溶接継手の耐水素脆化特性が充分ではなかったものと考えられる。そして、溶接材料のP(NI)を29%以上とすれば、溶接金属のP(NI)を27%以上とすることができ、結果として優れた耐水素脆化特性を得られるものと考えられる。
さらに、タングステンガスアーク溶接中のシールドガスとして、Arに微量の窒素を含有させると、さらに安定して優れた耐水素脆化特性が達成できることが明らかとなった。これは、溶接中、溶融金属にNが溶解し、溶接金属のN量が高まるためであると考えられる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(9)に示す溶接継手の製造方法にある。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.06%、
Si:0.2〜1.0%、
Mn:2.5〜6.5%、
Ni:9〜14%、
Cr:19〜24%、
Mo:1.5〜3.5%、
Nb:0.1〜0.4%、
Al:0.05%以下、
N:0.20〜0.45%、
V:0〜0.5%、
Ti:0〜0.5%、
Cu:0〜3%、
B:0〜0.01%、
Ca:0〜0.05%、
Mg:0〜0.05%、
REM:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、かつ、
不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.03%以下、および、S:0.01%以下である部材1と、
C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、下記(i)式で規定されるP(NI)が27%以上を満足する部材2とを、
C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、下記(i)式で規定されるP(NI)が29%以上を満足する溶接材料を用いて溶接する、溶接継手の製造方法。
P(NI)=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(i)
ただし、(i)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
(2)前記部材1の前記化学組成が、質量%で、
V:0.001〜0.5%、
Ti:0.001〜0.5%、
Cu:0.005〜3%、
B:0.0001〜0.01%、
Ca:0.0005〜0.05%、
Mg:0.0005〜0.05%、および、
REM:0.001〜0.5%から選択される1種以上を含有する、前記(1)に記載の溶接継手の製造方法。
(3)前記部材2の化学組成が、質量%で、
C:0.001〜0.12%、
Si:0.01〜1.0%、
Mn:0.01〜6.0%、
Ni:8〜15%、
Cr:15〜25%、
Mo:0.01〜4.0%、
Al:0.05%以下、
N:0.001%以上0.2%未満、
V:0〜0.5%、
Nb:0〜0.5%、
Ti:0〜0.5%、
Cu:0〜3%、
B:0〜0.01%、
Ca:0〜0.05%、
Mg:0〜0.05%、
REM:0〜0.5%、
残部:Feおよび不純物であり、かつ、
不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.03%以下、および、S:0.01%以下である、前記(1)または前記(2)に記載の溶接継手の製造方法。
(4)前記部材2の前記化学組成が、質量%で、
V:0.001〜0.5%、
Nb:0.001〜0.5%、
Ti:0.001〜0.5%、
Cu:0.005〜3%、
B:0.0001〜0.01%、
Ca:0.0005〜0.05%、
Mg:0.0005〜0.05%、および、
REM:0.001〜0.5%から選択される1種以上を含有する、前記(3)に記載の溶接継手の製造方法。
(5)前記溶接材料の化学組成が、質量%で、
C:0.001〜0.12%、
Si:0.01〜1.5%、
Mn:0.01〜6.5%、
Ni:8〜15%、
Cr:15〜25%、
Mo:0.01〜4.0%、
Al:0.03%以下、
N:0.001%以上0.45%未満、
V:0〜0.5%、
Nb:0〜0.5%、
Ti:0〜0.5%、
Cu:0〜3%、
B:0〜0.01%、
Ca:0〜0.05%、
Mg:0〜0.05%、
残部:Feおよび不純物であり、かつ、
不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.03%以下、および、S:0.01%以下である、前記(1)から前記(4)までのいずれかに記載の溶接継手の製造方法。
(6)前記溶接材料の前記化学組成が、質量%で、
V:0.001〜0.5%、
Nb:0.001〜0.5%、
Ti:0.001〜0.5%、
Cu:0.005〜3%、
B:0.0001〜0.01%、
Ca:0.0005〜0.05%、および、
Mg:0.0005〜0.05%から選択される1種以上を含有する、前記(5)に記載の溶接継手の製造方法。
(7)ガスタングステンアーク溶接方法により溶接する、前記(1)から前記(6)までのいずれかに記載の溶接継手の製造方法。
(8)Arガスに、体積%でNガスを0〜10%混合したシールドガスを使用する、前記(7)に記載の溶接継手の製造方法。
(9)Arガスに、体積%でNガスを0〜100%混合したバックシールドガスを使用する、前記(7)または前記(8)に記載の溶接継手の製造方法。
本発明によれば、異なるオーステナイト系ステンレス鋼を溶接する際、優れた耐水素脆化特性が得られる溶接継手の製造方法を提供することができる。
本発明の溶接継手の製造方法において、部材1、部材2および溶接材料の化学組成、並びに、部材2および溶接材料のP(NI)を限定する理由は、次のとおりである。なお、以下の説明において、各成分元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)部材1
C:0.01〜0.06%
Cは、オーステナイト組織を安定化させるのに有効な元素であるとともに、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。これらの効果を充分に得るためには、Cを0.01%以上含有させる必要がある。しかしながら、過剰に含有させると、溶接時の加熱により粒界に炭化物を形成し、溶接熱影響部の耐食性を劣化させる。そのため、C含有量を0.06%以下とする。望ましい範囲は0.015%以上、さらに望ましい範囲は0.02%以上である。また、望ましい範囲は0.055%以下、さらに望ましい範囲は0.05%以下である。
Si:0.2〜1.0%
Siは、脱酸剤として含有されるが、耐食性の向上に有効な元素であるとともに、耐水素脆化性を高める効果も有する。これらの効果を充分に得るためには、Siを0.2%以上含有させる必要がある。しかしながら、過剰に含有させると、オーステナイト組織の安定性を低下させるとともに、延性の低下を招く。そのため、Si含有量を1.0%以下とする。望ましい範囲は0.25%以上、さらに望ましい範囲は0.3%以上である。また、望ましい範囲は0.95%以下、さらに望ましい範囲は0.9%以下である。
Mn:2.5〜6.5%
Mnは、製造時の脱酸に寄与するとともに、オーステナイト組織を安定化し、かつ、水素脆化感受性を低減する効果も有する。さらには、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を大きくし、強度を高めるために有効である。このMnの効果を充分に活用するためには、Mnを2.5%以上含有させる必要がある。一方、過剰に含有させると、延性の低下を招くため、Mn含有量を6.5%以下とする。望ましい範囲は2.8%以上、さらに望ましい範囲は3.0%以上である。また、望ましい範囲は6.2%以下、さらに望ましい範囲は6.0%以下である。
Ni:9〜14%
Niは、安定なオーステナイト組織を得るために必須の元素であり、積層欠陥エネルギーを高め、水素環境下での脆化感受性を低下させる。それらの効果を充分に得るためには、Niを9%以上含有させる必要がある。しかしながら、高価な元素であるため、多量の添加はコストの増大を招くとともに、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を小さくし、強度低下を招く。そのため、Ni含有量を14%以下とする。望ましい範囲は9.5%以上、さらに望ましい範囲は10%以上である。また、望ましい範囲は13.5%以下、さらに望ましい範囲は13%以下である。
Cr:19〜24%
Crは、使用環境下での耐食性を確保するとともに、水素脆化感受性を低減させるために必須の元素である。さらには、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を大きくするとともに、炭化物を生成して強度を高めるのにも有効である。その効果を充分に得るためには、Crを19%以上含有させる必要がある。しかしながら、過剰に含有させると、オーステナイト組織を不安定にするとともに、炭化物の過剰な生成による脆化を招く。そのため、Cr含有量の上限を24%とする。望ましい範囲は19.5%以上、さらに望ましい範囲は20%以上である。また、望ましい範囲は23.5%以下、さらに望ましい範囲は23%以下である。
Mo:1.5〜3.5%
Moは、使用環境下での耐食性の向上、および、強度を高めるために有効な元素である。さらに、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。それらの効果を充分に得るためには、Moを1.5%以上含有させる必要がある。しかしながら、Moは非常に高価な元素であるとともに、過剰に含有させると、オーステナイト組織を不安定にさせるため、Mo含有量を3.5%以下とする。望ましい範囲は1.6%以上、さらに望ましい範囲は1.8%以上である。また、望ましい範囲は3.2%以下、さらに望ましい範囲は3.0%以下である。
Nb:0.1〜0.4%
Nbは、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るためには、Nbを0.1%以上含有させる必要がある。しかしながら、過剰に含有させると、延性の低下を招く。そのため、Nb含有量を0.4%以下とする。望ましい範囲は0.12%以上、さらに望ましい範囲は0.15%以上である。また、望ましい範囲は0.38%以下、さらに望ましい範囲は0.35%以下である。
Al:0.05%以下
Alは、SiおよびMnと同様に脱酸剤として含有される。しかしながら、過剰に含有させると、多量の窒化物を形成し、延性の低下を招くので、Al含有量を0.05%以下とする。望ましい範囲は0.04%以下、さらに望ましい範囲は0.03%以下である。なお、特に下限を設ける必要はないが、極端に少ないと、脱酸効果が充分に得られず、鋼の清浄度を劣化させるとともに、製造コストの上昇を招く。そのため、望ましい範囲は0.001%以上、さらに望ましい範囲は0.002%以上である。
N:0.20〜0.45%
Nは、マトリックスに固溶するとともに、微細な窒化物を形成し、高い強度を得るために必須の元素である。加えて、オーステナイト組織を安定化させ、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。これらの効果を充分に得るためには、Nを0.20%以上含有させる必要がある。しかしながら、過剰に含有させると、製造時の熱間加工性低下の原因となる。そのため、N含有量を0.45%以下とする。望ましい範囲は0.22%以上、さらに望ましい範囲は0.25%以上である。また、望ましい範囲は0.43%以下、さらに望ましい範囲は0.40%以下である。
V:0〜0.5%
Vは、Nbと同様に、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。Vを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、炭窒化物が多量に析出し、延性の低下を招くため、0.5%以下とする。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.005%以上である。また、望ましい範囲は0.45%以下、より望ましい範囲は0.40%以下である。
Ti:0〜0.5%
Tiは、VおよびNbと同様に、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。Tiを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、炭窒化物が多量に析出し、延性の低下を招くため、0.5%以下とする。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.005%以上である。また、望ましい範囲は0.45%以下、より望ましい範囲は0.40%以下である。
Cu:0〜3%
Cuは、安定なオーステナイト組織を得るのに有効な元素であるため、含有させても良い。Cuを含有させる場合、その含有量は0.005%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、その効果が飽和するとともに、延性の低下を招く。そのため、Cu含有量を3%以下とする。より望ましい範囲は0.008%以上、さらに望ましい範囲は0.01%以上である。また、望ましい範囲は2.5%以下、より望ましい範囲は2.0%以下である。
B:0〜0.01%
Bは、粒界に偏析して粒界固着力を高め、強度向上に寄与するとともに、水素環境下での脆化を抑制する効果を有するため、含有させても良い。Bを含有させる場合、その含有量は0.0001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、溶接熱影響部において液化割れ感受性を増大させるため、0.01%以下とする。より望ましい範囲は0.0002%以上、さらに望ましい範囲は0.0005%以上である。また、望ましい範囲は0.008%以下、より望ましい範囲は0.005%以下である。
Ca:0〜0.05%
Caは、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。Caを含有させる場合、その含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、Ca含有量は0.05%以下とする。より望ましい範囲は0.001%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。また、望ましい範囲は0.03%以下、より望ましい範囲は0.01%以下である。
Mg:0〜0.05%
Mgは、Caと同様、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。Mgを含有させる場合、その含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、Mg含有量は0.05%以下とする。より望ましい範囲は0.001%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。また、望ましい範囲は0.03%以下、より望ましい範囲は0.01%以下である。
REM:0〜0.5%
REMは、Sとの親和力が強く、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。REMを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、REMの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、REMの含有量は0.5%以下とする。より望ましい範囲は0.0015%以上、さらに望ましい範囲は0.002%以上である。また、望ましい範囲は0.45%以下、より望ましい範囲は0.4%以下である。
なお、「REM」とは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMのうちの1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。また、REMについては、一般的にミッシュメタルに含有される。このため、例えば、ミッシュメタルの形で添加して、REMの量が上記の範囲となるように含有させても良い。
なお、V、Ti、Cu、B、Ca、MgおよびREMのうち二種以上の元素を含有させる場合には、その合計含有量は4.6%以下とするのが好ましい。
本発明に係る溶接継手の製造方法において、部材1は、上記の元素を含有し、残部はFeおよび不純物からなる。「不純物」とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。不純物のうち、O、PおよびSについては、その含有量を厳密に制限する必要がある。
O:0.02%以下
Oは、不純物として存在するが、多量に含まれる場合には、母材製造時の熱間加工性の低下、ならびに、靭性および延性の劣化を招く。そのため、O含有量を0.02%以下とする必要がある。望ましい範囲は0.015%以下、さらに望ましい範囲は0.010%以下である。
P:0.03%以下
Pは、不純物として含まれ、製造時の熱間加工性を阻害するとともに、溶接時に溶接熱影響部の液化割れ感受性を高める。そのため、可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、P含有量を0.03%以下とする。望ましくは0.025%以下、さらに望ましくは0.02%以下である。
S:0.01%以下
Sは、不純物として含まれ、製造時の熱間加工性を阻害するとともに、溶接時に溶接熱影響部の液化割れ感受性を高める。そのため、可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、S含有量を0.01%以下とする。望ましくは0.008%以下、さらに望ましくは0.005%以下である。
(B)部材2
C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、下記(i)式で規定されるP(NI)が27%以上を満足する。
P(NI)=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(i)
母材の水素脆化感受性を低減させるためには、オーステナイト組織の安定性を高め、フェライト組織およびマルテンサイト組織の生成を抑制するとともに、積層欠陥エネルギーを高め、転位の局在化を抑制する必要がある。部材2が、高強度オーステナイト系ステンレス鋼と同等以上の水素脆化感受性を満足させるためには、上記P(NI)を27%以上とする必要がある。望ましい範囲は27.5%以上、さらに望ましい範囲は28%以上である。
C:0.001〜0.12%
Cは、オーステナイト組織を安定化させるのに有効な元素であるとともに、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Cを0.001%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、溶接時の加熱により粒界に炭化物を形成し、溶接熱影響部の耐食性を劣化させる。そのため、C含有量を0.12%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.0015%以上、さらに望ましい範囲は0.002%以上である。また、より望ましい範囲は0.11%以下、さらに望ましい範囲は0.10%以下である。
Si:0.01〜1.0%
Siは、脱酸剤として含有されるが、耐食性の向上に有効な元素であるとともに、耐水素脆化性を高める効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Siを0.01%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、オーステナイト組織の安定性を低下させるとともに、延性の低下を招く。そのため、Si含有量を1.0%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.025%以上、さらに望ましい範囲は0.03%以上である。また、より望ましい範囲は0.95%以下、さらに望ましい範囲は0.9%以下である。
Mn:0.01〜6.0%
Mnは、製造時の脱酸に寄与するとともに、オーステナイト組織を安定化し、かつ、水素脆化感受性を低減する効果も有する。さらには、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を大きくし、強度を高めるために有効である。このMnの効果を少しでも活用するためには、Mnを0.01%以上含有させることが望ましい。一方、過剰に含有させると、延性の低下を招くため、Mn含有量を6.0%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.015%以上、さらに望ましい範囲は0.02%以上である。また、より望ましい範囲は5.8%以下、さらに望ましい範囲は5.5%以下である。
Ni:8〜15%
Niは、安定なオーステナイト組織を得るために必須の元素であり、積層欠陥エネルギーを高め、水素環境下での脆化感受性を低下させる。少なくともこれらの効果を得るためには、Niを8%以上含有させることが望ましい。しかしながら、高価な元素であるため、多量の添加はコストの増大を招くとともに、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を小さくし、強度低下を招く。そのため、Ni含有量を15%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は8.5%以上、さらに望ましい範囲は9%以上である。また、より望ましい範囲は14.5%以下、さらに望ましい範囲は14%以下である。
Cr:15〜25%
Crは、使用環境下での耐食性を確保するとともに、水素脆化感受性を低減させるために必須の元素である。さらには、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を大きくするとともに、炭化物を生成して強度を高めるのにも有効である。少なくともこれらの効果を得るためには、Crを15%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、オーステナイト組織を不安定にするとともに、炭化物の過剰な生成による脆化を招く。そのため、Cr含有量を25%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は15.5%以上、さらに望ましい範囲は16%以上である。また、より望ましい範囲は24.5%以下、さらに望ましい範囲は24%以下である。
Mo:0.01〜4.0%
Moは、使用環境下での耐食性の向上、および、強度を高めるために有効な元素である。さらに、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Moを0.01%以上含有させることが望ましい。しかしながら、Moは非常に高価な元素であるとともに、過剰に含有させると、オーステナイト組織を不安定にさせるため、Mo含有量を4.0%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.03%以上、さらに望ましい範囲は0.05%以上である。また、より望ましい範囲は3.2%以下、さらに望ましい範囲は3.0%以下である。
Al:0.05%以下
Alは、SiおよびMnと同様に脱酸剤として含有される。しかしながら、過剰に含有すると、清浄性を害し、加工性の低下を招く。そのため、Al含有量は、0.05%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.04%以下、さらに望ましい範囲は0.03%以下である。なお、特に下限を設ける必要はないが、極端に少ないと、製造コストの上昇を招く。そのため、望ましい範囲は0.001%以上、より望ましい範囲は0.002%以上である。
N:0.001%以上0.2%未満
Nは、マトリックスに固溶するとともに、微細な窒化物を形成し、高い強度を得るために必須の元素である。加えて、オーステナイト組織の安定化させ、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Nを0.001%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、製造時の熱間加工性低下の原因となる。そのため、N含有量を0.2%未満とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.003%以上である。また、より望ましい範囲は0.18%以下、さらに望ましい範囲は0.15%以下である。
V:0〜0.5%
Vは、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。Vを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、炭窒化物が多量に析出し、延性の低下を招くため、0.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.005%以上である。また、より望ましい範囲は0.45%以下、さらに望ましい範囲は0.40%以下である。
Nb:0〜0.5%
Nbは、Vと同様に、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。しかしながら、過剰に含有させると、延性の低下を招く。そのため、Nbを含有させる場合、その含有量は0.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.38%以下、さらに望ましい範囲は0.35%以下である。また、上記効果を得るためには、Nbを0.001%以上含有させることが望ましい。より望ましい範囲は0.0012%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。
Ti:0〜0.5%
Tiは、VおよびNbと同様に、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。Tiを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、炭窒化物が多量に析出し、延性の低下を招くため、0.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.005%以上である。また、より望ましい範囲は0.45%以下、さらに望ましい範囲は0.40%以下である。
Cu:0〜3%
Cuは、安定なオーステナイト組織を得るのに有効な元素であるため、含有させても良い。Cuを含有させる場合、その含有量は0.005%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、その効果が飽和するとともに、延性の低下を招く。そのため、Cu含有量を3%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.008%以上、さらに望ましい範囲は0.01%以上である。また、より望ましい範囲は2.5%以下、さらに望ましい範囲は2.0%以下である。
B:0〜0.01%
Bは、粒界に偏析して粒界固着力を高め、強度向上に寄与するとともに、水素環境下での脆化を抑制する効果を有するため、含有させても良い。Bを含有させる場合、その含有量は0.0001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、溶接熱影響部において液化割れ感受性を増大させるため、B含有量は0.01%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.0002%以上、さらに望ましい範囲は0.0005%以上である。また、より望ましい範囲は0.008%以下、さらに望ましい範囲は0.005%以下である。
Ca:0〜0.05%
Caは、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。Caを含有させる場合、その含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、Ca含有量は0.05%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.001%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。また、より望ましい範囲は0.03%以下、さらに望ましい範囲は0.01%以下である。
Mg:0〜0.05%
Mgは、Caと同様、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。Mgを含有させる場合、その含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、Mg含有量は0.05%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.001%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。また、より望ましい範囲は0.03%以下、さらに望ましい範囲は0.01%以下である。
REM:0〜0.5%
REMは、Sとの親和力が強く、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。REMを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、REMの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、REMの含有量は0.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.0015%以上、さらに望ましい範囲は0.002%以上である。また、より望ましい範囲は0.45%以下、さらに望ましい範囲は0.4%以下である。
なお、「REM」とは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量はREMのうちの1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。また、REMについては、一般的にミッシュメタルに含有される。このため、例えば、ミッシュメタルの形で添加して、REMの量が上記の範囲となるように含有させても良い。
なお、V、Nb、Ti、Cu、B、Ca、MgおよびREMのうち二種以上の元素を含有させる場合には、その合計含有量は5.1%以下とするのが好ましい。
本発明に係る溶接継手の製造方法において、部材2は、上記の元素を含有し、残部はFeおよび不純物からなる。「不純物」とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。不純物のうち、O、PおよびSについては、その含有量を厳密に制限する必要がある。
O:0.02%以下
Oは、不純物として存在するが、多量に含まれる場合には、母材製造時の熱間加工性の低下、ならびに、靭性および延性の劣化を招く。そのため、O含有量を0.02%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.015%以下、さらに望ましい範囲は0.010%以下である。
P:0.03%以下
Pは、不純物として含まれ、製造時の熱間加工性を阻害するとともに、溶接時に溶接熱影響部の液化割れ感受性を高める。そのため、可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、P含有量を0.03%以下とすることが望ましい。より望ましくは0.025%以下、さらに望ましくは0.02%以下である。
S:0.01%以下
Sは、不純物として含まれ、製造時の熱間加工性を阻害するとともに、溶接時に溶接熱影響部の液化割れ感受性を高める。そのため、可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、S含有量を0.01%以下とすることが望ましい。より望ましくは0.008%以下、さらに望ましくは0.005%以下である。
(C)溶接材料
C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、下記(i)式で規定されるP(NI)が29%以上を満足する。
P(NI)=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(i)
本発明の溶接継手の製造方法に使用される溶接材料は、部材1および部材2と同等以上の耐水素脆化感受性を確保するために、上記P(NI)を管理する必要がある。ただし、溶接金属は凝固のままの組織であるため、凝固中の合金元素の凝固偏析に起因した局部的な濃度むらが残る。そのため、耐水素脆化感受性を満足させるためには、上記P(NI)を29%以上とする必要がある。望ましい範囲は29.2%以上、さらに望ましい範囲は29.5%以上である。
C:0.001〜0.12%
Cは、オーステナイト組織を安定化させるのに有効な元素であるとともに、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Cを0.001%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、溶接時の加熱により粒界に炭化物を形成し、溶接熱影響部の耐食性を劣化させる。そのため、C含有量を0.12%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.0015%以上、さらに望ましい範囲は0.002%以上である。また、より望ましい範囲は0.10%以下、さらに望ましい範囲は0.08%以下である。
Si:0.01〜1.5%
Siは、脱酸剤として含有されるが、耐食性の向上に有効な元素であるとともに、耐水素脆化性を高める効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Siを0.01%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、オーステナイト組織の安定性を低下させるとともに、延性の低下を招く。さらに、溶接金属の凝固割れ感受性を高める。そのため、Si含有量を1.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.025%以上、さらに望ましい範囲は0.03%以上である。また、より望ましい範囲は1.3%以下、さらに望ましい範囲は1.0%以下である。
Mn:0.01〜6.5%
Mnは、製造時の脱酸に寄与するとともに、オーステナイト組織を安定化し、かつ、水素脆化感受性を低減する効果も有する。さらには、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を大きくし、強度を高めるために有効である。このMnの効果を少しでも活用するためには、Mnを0.01%以上含有させることが望ましい。一方、過剰に含有させると、延性の低下を招くため、Mn含有量を6.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.015%以上、さらに望ましい範囲は0.02%以上である。また、より望ましい範囲は6.3%以下、さらに望ましい範囲は6.0%以下である。
Ni:8〜15%
Niは、安定なオーステナイト組織を得るために必須の元素であり、積層欠陥エネルギーを高め、水素環境下での脆化感受性を低下させる。少なくともこれらの効果を得るためには、Niを8%以上含有させることが望ましい。しかしながら、高価な元素であるため、多量の添加はコストの増大を招くとともに、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を小さくし、強度低下を招く。そのため、Ni含有量を15%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は8.5%以上、さらに望ましい範囲は9%以上である。また、より望ましい範囲は14.5%以下、さらに望ましい範囲は14%以下である。
Cr:15〜25%
Crは、使用環境下での耐食性を確保するとともに、水素脆化感受性を低減させるために必須の元素である。さらには、母材製造時および溶接中において、溶融金属中のNの溶解度を大きくするとともに、炭化物を生成して強度を高めるのにも有効である。少なくともこれらの効果を得るためには、Crを15%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、オーステナイト組織を不安定にするとともに、炭化物の過剰な生成による脆化を招く。そのため、Cr含有量を25%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は15.5%以上、さらに望ましい範囲は16%以上である。また、より望ましい範囲は24.5%以下、さらに望ましい範囲は24%以下である。
Mo:0.01〜4.0%以下
Moは、使用環境下での耐食性の向上、および、強度を高めるために有効な元素である。さらに、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Moを0.01%以上含有させることが望ましい。しかしながら、Moは非常に高価な元素であるとともに、過剰に含有させると、オーステナイト組織を不安定にさせるため、Mo含有量を4.0%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.03%以上、さらに望ましい範囲は0.05%以上である。また、より望ましい範囲は3.2%以下、さらに望ましい範囲は3.0%以下である。
Al:0.03%以下
Alは、母材と同様に脱酸剤として含有される。しかしながら、過剰に含有させると、清浄性を損ない、加工性の低下を招くとともに、溶接材料においては、溶け込み深さを浅くする。そのため、溶接材料においては、Al含有量を0.03%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.025%以下、さらに望ましい範囲は0.02%以下である。なお、特に下限を設ける必要はないが、極端に少ないと、製造コストの上昇を招く。そのため、望ましい範囲は0.001%以上、より望ましい範囲は0.002%以上である。
N:0.001%以上0.45%未満
Nは、マトリックスに固溶するとともに、微細な窒化物を形成し、高い強度を得るために必須の元素である。加えて、オーステナイト組織の安定化させ、水素脆化感受性を低減させる効果も有する。少なくともこれらの効果を得るためには、Nを0.001%以上含有させることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、製造時の熱間加工性低下の原因となる。そのため、N含有量を0.45%未満とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.003%以上である。また、より望ましい範囲は0.43%以下、さらに望ましい範囲は0.40%以下である。
V:0〜0.5%
Vは、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。Vを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、炭窒化物が多量に析出し、延性の低下を招くため、V含有量は0.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.005%以上である。また、より望ましい範囲は0.45%以下、さらに望ましい範囲は0.40%以下である。
Nb:0〜0.5%
Nbは、Vと同様に、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。しかしながら、過剰に含有させると、溶接金属の凝固割れ感受性を高めるとともに、延性の低下も招く。そのため、Nb含有量を0.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.38%以下、さらに望ましい範囲は0.35%以下である。また、上記効果を得るためには、Nbを0.001%以上含有させることが望ましい。より望ましい範囲は0.0012%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。
Ti:0〜0.5%
Tiは、VおよびNbと同様に、基質に固溶または炭窒化物として析出し、強度を向上させるのに有効な元素であるため、含有させても良い。Tiを含有させる場合、その含有量は0.001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、炭窒化物が多量に析出し、延性の低下を招くため、0.5%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.002%以上、さらに望ましい範囲は0.005%以上である。また、より望ましい範囲は0.45%以下、さらに望ましい範囲は0.40%以下である。
Cu:0〜3%
Cuは、安定なオーステナイト組織を得るのに有効な元素であるため、含有させても良い。Cuを含有させる場合、その含有量は0.005%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、その効果が飽和するとともに、延性の低下を招く。そのため、Cu含有量を3%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.008%以上、さらに望ましい範囲は0.01%以上である。また、より望ましい範囲は2.5%以下、さらに望ましい範囲は2.0%以下である。
B:0〜0.01%
Bは、粒界に偏析して粒界固着力を高め、強度向上に寄与するとともに、水素環境下での脆化を抑制する効果を有するため、含有させても良い。Bを含有させる場合、その含有量は0.0001%以上とすることが望ましい。しかしながら、過剰に含有させると、溶接金属において凝固割れ感受性を増大させるため、B含有量は0.01%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.0002%以上、さらに望ましい範囲は0.0005%以上である。また、より望ましい範囲は0.008%以下、さらに望ましい範囲は0.005%以下である。
Ca:0〜0.05%
Caは、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。Caを含有させる場合、その含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、Ca含有量は0.05%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.001%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。また、より望ましい範囲は0.03%以下、さらに望ましい範囲は0.01%以下である。
Mg:0〜0.05%
Mgは、Caと同様、熱間加工性を改善する作用を有するため、含有させても良い。Mgを含有させる場合、その含有量は0.0005%以上とすることが望ましい。しかしながら、Caの含有量が過剰になると、Oと結合して清浄性を著しく低下させ、却って熱間加工性を劣化させる。そのため、Mg含有量は0.05%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.001%以上、さらに望ましい範囲は0.0015%以上である。また、より望ましい範囲は0.03%以下、さらに望ましい範囲は0.01%以下である。
なお、V、Nb、Ti、Cu、B、CaおよびMgのうち二種以上の元素を含有させる場合には、その合計含有量は4.6%以下とするのが好ましい。
本発明に係る溶接継手の製造方法において、溶接材料は、上記の元素を含有し、残部はFeおよび不純物からなる。「不純物」とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分を意味する。不純物のうち、O、PおよびSについては、その含有量を厳密に制限する必要がある。
O:0.02%以下
Oは、不純物として存在するが、多量に含まれる場合には、母材製造時の熱間加工性の低下、ならびに、靭性および延性の劣化を招く。そのため、O含有量を0.02%以下とすることが望ましい。より望ましい範囲は0.015%以下、さらに望ましい範囲は0.010%以下である。
P:0.03%以下
Pは、不純物として含まれ、製造時の熱間加工性を阻害するとともに、溶接時に溶接金属の凝固割れ感受性を高める。そのため、可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、P含有量を0.03%以下とすることが望ましい。より望ましくは0.025%以下、さらに望ましくは0.02%以下である。
S:0.01%以下
Sは、不純物として含まれ、製造時の熱間加工性を阻害するとともに、溶接時に溶接金属の凝固割れ感受性を高める。そのため、可能な限り低減することが好ましいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、S含有量を0.01%以下とすることが望ましい。より望ましくは0.008%以下、さらに望ましくは0.005%以下である。
<溶接方法>
本発明の溶接継手の製造方法では、ガスタングステンアーク溶接方法により溶接することが好ましい。ガスタングステンアーク溶接方法により溶接することで、欠陥のない高品質な溶接継手が容易に得られる。ガスタングステンアーク溶接方法による溶接は、シールドガスとして、Arガスに、体積%でNガスを0〜10%混合したガスを使用することがさらに好ましい。また、バックシールドガスとして、Arガスに、体積%でNガスを0〜100%混合したガスを使用することがさらに好ましい。その理由は下記のとおりである。
シールドガス:Arガスに、体積%でNガスを0〜10%混合したガス
シールドガス中のNの分圧を高めることにより、溶接金属中の窒素量を増加させ、溶接金属の耐水素脆化性の向上と強度向上とが期待できる。そのため、シールドガスとして、Arガスに、体積%でNガスを0〜10%混合させることが望ましい。しかしながら、Nガスの混合量が10%を超えると、高温で溶接金属中に溶解していたNが凝固とともに溶解しきれなくなってNガスとなり、ブローホールおよびピットを形成する場合がある。そのため、Nガスの混合量は10%以下であることが望ましい。より望ましい範囲は8%以下、さらに望ましい範囲は5%以下である。Nガスを混合することの効果を充分に得るため、Nガスの混合量は0.2%以上であることがより望ましく、0.5%以上であることがさらに望ましい。
バックシールドガス:Arガスに、体積%でNガスを0〜100%混合したガス
シールドガスと同様、バックシールドガス中のNの分圧を高めることにより、溶接金属中の窒素量が少なからず増加し、溶接金属の耐水素脆化性の向上と強度向上とが期待できる。そのため、バックシールドガスとして、Arガスに、体積%でNガスを0〜100%混合させることが望ましい。また、Nガスを混合することの効果を充分に得るため、Nガスの混合量は2%以上であることが望ましく、5%以上であることがさらに望ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する1A〜1Eの部材1を実験室溶解して鋳込んだインゴットから、熱間鍛造、熱間圧延、熱処理および機械加工により、板厚2mm、幅50mm、長さ100mmの鋼板を作製した。そして、その鋼板の長手方向に、ルート厚さ1mm、角度30°の開先加工を施した。
表2に示す化学組成を有する2A〜2Eの部材2を実験室溶解して鋳込んだインゴットから、熱間鍛造、熱間圧延、熱処理および機械加工により、板厚2mm、幅50mm、長さ100mmの鋼板を作製した。そして、その鋼板の長手方向に、ルート厚さ1mm、角度30°の開先加工を施した。
表3に示す化学組成を有するa〜eの溶接材料を実験室溶解して鋳込んだインゴットから、熱間鍛造、熱間圧延および熱処理により、外径1.2mmの溶接ワイヤを作製した。
部材1、部材2、溶接材料、および、溶接条件を表4に示すとおり組み合わせて、ガスタングステンアーク溶接方法により、入熱4kJ/cmとして、突き合わせ溶接を行った。以上により、表4に示す試験番号1〜27の溶接継手を得た。
Figure 2016094660
Figure 2016094660
Figure 2016094660
<低歪速度引張試験>
得られた溶接継手から、溶接金属を平行部とする段付板状低歪速度引張試験片を採取し、大気中および85MPaの高圧水素環境下における低歪速度引張試験に供した。なお、歪速度は3×10−5/sとし、低歪速度引張試験において、高圧水素環境下での破断絞りと大気中での破断絞りの比が90%以上となるものを「良」、80%以上90%未満となるものを「可」とし、上記「良」および「可」を「合格」と判定した。また、80%未満となるものを「不良」とし、「不合格」と判定した。結果を表4に示す。
Figure 2016094660
表4より明らかなように、本発明の要件を満たす溶接継手1〜12、14〜16、18、19、21、23および24は、必要とされる耐水素脆化性を有することが明らかとなった。また、溶接継手8と溶接継手9〜11との比較より、溶接時のシールドガスまたはバックシールドガスにNガスを混合させることが、水素脆化感受性の低減に有効であることが分かった。
一方、溶接継手25〜27は、部材1のNi量が8.04%であり、部材1に必要な含有量の9%を下回ったため、部材1の部分で破断し、破断絞りの比が80%に満たなかった。すなわち、耐水素脆化性が不芳であった。
また、溶接継手17および20は、部材2のP(NI)が必要量の27%を下回ったため、部材2の部分で破断し、破断絞りの比が80%に満たなかった。すなわち、耐水素脆化性が不芳であった。
さらに、溶接継手13および22は、溶接材料のP(NI)が必要量の29%を下回ったため、溶接金属の部分で破断し、破断絞りの比が80%に満たなかった。すなわち、耐水素脆化性が不芳であった。
以上のように、本発明の必要要件を満たす溶接継手のみが、必要な耐水素脆化性を有することが分かった。
本発明によれば、異なるオーステナイト系ステンレス鋼を溶接する際、優れた耐水素脆化特性が得られる溶接継手の製造方法を提供することができる。したがって、本発明は、高圧水素ガス用機器や液体水素用機器等の種々の鋼材に好適に利用できる。

Claims (9)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.01〜0.06%、
    Si:0.2〜1.0%、
    Mn:2.5〜6.5%、
    Ni:9〜14%、
    Cr:19〜24%、
    Mo:1.5〜3.5%、
    Nb:0.1〜0.4%、
    Al:0.05%以下、
    N:0.20〜0.45%、
    V:0〜0.5%、
    Ti:0〜0.5%、
    Cu:0〜3%、
    B:0〜0.01%、
    Ca:0〜0.05%、
    Mg:0〜0.05%、
    REM:0〜0.5%、
    残部:Feおよび不純物であり、かつ、
    不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.03%以下、および、S:0.01%以下である部材1と、
    C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、下記(i)式で規定されるP(NI)が27%以上を満足する部材2とを、
    C、Si、Mn、Ni、Cr、MoおよびNを含み、かつ、下記(i)式で規定されるP(NI)が29%以上を満足する溶接材料を用いて溶接する、溶接継手の製造方法。
    P(NI)=Ni+Mo+Mn+0.6Cr+0.3Si+12(C+N)・・・(i)
    ただし、(i)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を表す。
  2. 前記部材1の前記化学組成が、質量%で、
    V:0.001〜0.5%、
    Ti:0.001〜0.5%、
    Cu:0.005〜3%、
    B:0.0001〜0.01%、
    Ca:0.0005〜0.05%、
    Mg:0.0005〜0.05%、および、
    REM:0.001〜0.5%から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の溶接継手の製造方法。
  3. 前記部材2の化学組成が、質量%で、
    C:0.001〜0.12%、
    Si:0.01〜1.0%、
    Mn:0.01〜6.0%、
    Ni:8〜15%、
    Cr:15〜25%、
    Mo:0.01〜4.0%、
    Al:0.05%以下、
    N:0.001%以上0.2%未満、
    V:0〜0.5%、
    Nb:0〜0.5%、
    Ti:0〜0.5%、
    Cu:0〜3%、
    B:0〜0.01%、
    Ca:0〜0.05%、
    Mg:0〜0.05%、
    REM:0〜0.5%、
    残部:Feおよび不純物であり、かつ、
    不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.03%以下、および、S:0.01%以下である、請求項1または請求項2に記載の溶接継手の製造方法。
  4. 前記部材2の前記化学組成が、質量%で、
    V:0.001〜0.5%、
    Nb:0.001〜0.5%、
    Ti:0.001〜0.5%、
    Cu:0.005〜3%、
    B:0.0001〜0.01%、
    Ca:0.0005〜0.05%、
    Mg:0.0005〜0.05%、および、
    REM:0.001〜0.5%から選択される1種以上を含有する、請求項3に記載の溶接継手の製造方法。
  5. 前記溶接材料の化学組成が、質量%で、
    C:0.001〜0.12%、
    Si:0.01〜1.5%、
    Mn:0.01〜6.5%、
    Ni:8〜15%、
    Cr:15〜25%、
    Mo:0.01〜4.0%、
    Al:0.03%以下、
    N:0.001%以上0.45%未満、
    V:0〜0.5%、
    Nb:0〜0.5%、
    Ti:0〜0.5%、
    Cu:0〜3%、
    B:0〜0.01%、
    Ca:0〜0.05%、
    Mg:0〜0.05%、
    残部:Feおよび不純物であり、かつ、
    不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.03%以下、および、S:0.01%以下である、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の溶接継手の製造方法。
  6. 前記溶接材料の前記化学組成が、質量%で、
    V:0.001〜0.5%、
    Nb:0.001〜0.5%、
    Ti:0.001〜0.5%、
    Cu:0.005〜3%、
    B:0.0001〜0.01%、
    Ca:0.0005〜0.05%、および、
    Mg:0.0005〜0.05%から選択される1種以上を含有する、請求項5に記載の溶接継手の製造方法。
  7. ガスタングステンアーク溶接方法により溶接する、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の溶接継手の製造方法。
  8. Arガスに、体積%でNガスを0〜10%混合したシールドガスを使用する、請求項7に記載の溶接継手の製造方法。
  9. Arガスに、体積%でNガスを0〜100%混合したバックシールドガスを使用する、請求項7または請求項8に記載の溶接継手の製造方法。
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