JP2016094494A - ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物、これを用いた樹脂固形物、成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融混練後に、ガスインジェクション成形することによって、優れた外観及び耐衝撃性を成形体に付与できるガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物、これを用いた樹脂固形物、成形体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(A2)からなる樹脂成分(A)と、ゴム性重合体(B)と、グリシジル基を含有するグリシジル基含有ポリマー(C)とを含有し、樹脂成分(A)中のポリカーボネート樹脂(A1)の含有率が55〜95質量%であり、ゴム性重合体(B)が樹脂成分(A)100質量部に対して2〜10質量部の割合で配合され、グリシジル基含有ポリマー(C)が樹脂成分(A)100質量部に対して0.5〜3質量部の割合で配合され、ポリカーボネート樹脂(A1)の粘度平均分子量が17,000〜30,000である、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物、これを用いた樹脂固形物、成形体及びその製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物は、優れた成形性、機械特性、耐薬品性、及び寸法安定性を有しているため、種々の工業分野で広く使用されている。特に自動車外装及び内装部品の分野では、その優れた表面意匠性や軽量性が評価されて、広く用いられるようになりつつある。
また近年、自動車分野や電気・電子分野では、軽量化や成形サイクル短縮によるコストダウン及び大型成形品への応用を目的として、中空成形品を与えるガスインジェクション射出成形法が注目されている。
例えば下記特許文献1には、ポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂からなる樹脂成分と、ゴム性重合体と、有機リン酸エステル化合物などを含む樹脂組成物を溶融混練した後、ガスインジェクション成形法を用いて自動車用アウターハンドル等の成形品を成形することが開示されている。
特開2010−195923号公報
ところで、自動車用アウターハンドルなどの成形品においては、耐衝撃性のみならず、外観が良好であることが極めて重要である。通常は、自動車用アウターハンドルには塗装が施されるため、自動車用アウターハンドル自体に多少の外観不良があっても、そのような外観不良を目立たなくすることは可能である。しかし、近年になって、コスト削減等の観点から、塗装を施さない自動車用アウターハンドルも現れるようになってきている。この場合、自動車用アウターハンドル自体に僅かな外観不良があっても意匠性が損なわれるため、これまで以上に外観を良好にすることが求められる。
しかしながら、上記の特許文献1に記載の樹脂組成物は以下に示す課題を有していた。
すなわち、上記樹脂組成物を用いてソリッド成形して得られる成形品においては外観不良の問題は生じないものの、上記樹脂組成物を用いてガスインジェクション成形して得られる成形品においては外観不良の抑制という点では未だ改善の余地があった。具体的には、上記の特許文献1に記載の樹脂組成物は、ガスインジェクション成形で得られる成形品において、その外面にいわゆるスジを与えることがあった。また、ガスインジェクション成形に使用する金型にシボ加工を施し、得られる成形品の外表面に凹凸を形成して成形品表面において光沢を抑制しようとしても、光沢を必ずしも抑制できるとは言えなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、溶融混練後に、ガスインジェクション成形することによって、優れた外観及び耐衝撃性を成形体に付与できるガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物、これを用いた樹脂固形物、成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため、まずは様々な成形条件を変更することを試みた。しかし、成形体における外観不良の抑制と言う点では未だ改善の余地があった。次に、本発明者は、樹脂組成物の組成、特にポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂との比率に着目し、検討を重ねたところ、ポリカーボネート樹脂をポリエステル樹脂よりも多く配合することによって成形品の外表面におけるスジが解消することが分かった。しかし、ポリカーボネート樹脂をポリエステル樹脂よりも多く配合しても光沢については未だ改善の余地があった。そこで、本発明者はさらに鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とからなる樹脂成分100質量部に対してゴム性重合体およびグリシジル基を含有するグリシジル基含有ポリマーをそれぞれ所定の割合だけ配合するとともに、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を特定の範囲に限定することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリカーボネート樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(A2)からなる樹脂成分(A)と、ゴム性重合体(B)と、グリシジル基を含有するグリシジル基含有ポリマー(C)とを含有し、前記樹脂成分(A)中のポリカーボネート樹脂(A1)の含有率が55〜95質量%であり、前記ゴム性重合体(B)が前記樹脂成分(A)100質量部に対して2〜10質量部の割合で配合され、前記グリシジル基含有ポリマー(C)が前記樹脂成分(A)100質量部に対して0.5〜3質量部の割合で配合され、前記ポリカーボネート樹脂(A1)の粘度平均分子量が17,000〜30,000である、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物である。
このガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物は、溶融混練後に、ガスインジェクション成形することによって、優れた外観及び耐衝撃性を成形体に付与できる。なお、本発明によれば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が17,000未満である場合に比べて、より優れた耐衝撃性が得られ、30,000を超える場合に比べて、成形加工がより容易になり、より優れた外観が得られる。
上記効果が得られる理由について本発明者は以下のように推測している。
すなわち、樹脂成分100質量部に対してゴム性重合体を特定の量配合した状態で、樹脂成分100質量部に対してグリシジル基含有ポリマーを特定の量配合することによって、樹脂成分の高粘度化が起こり、その結果、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の溶融混練後、ガスインジェクション成形を行うことによって得られる成形体において、優れた賦型性及び高い耐衝撃性が得られるためではないかと本発明者は推測している。
上記ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物においては、前記グリシジル基含有ポリマー(C)中の前記グリシジル基の含有率が3〜20質量%であることが好ましい。
この場合、グリシジル基の含有率が3質量%未満である場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより向上する。一方、グリシジル基の含有率が上記範囲内にあると、グリシジル基の含有率が20質量%を超える場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物のガスインジェクション成形がより容易になる。
上記ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物においては、前記グリシジル基含有ポリマー(C)がエステル基をさらに含むことが好ましい。
この場合、グリシジル基含有ポリマーがエステル基をさらに含まない場合に比べて、樹脂成分に対してより優れた相溶性が得られる。
上記ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物においては、前記ポリエステル樹脂(A2)がポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
この場合、成形体の機械強度をより十分に向上させることができる。
上記ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物においては、前記ゴム性重合体(B)が、ブタジエン含有ゴム、ブチルアクリレ−ト含有ゴム、2−エチルヘキシルアクリレ−ト含有ゴム及びシリコ−ン系ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴムからなるコア層と、その周囲に形成され、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及び芳香族ビニル化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体成分を前記コア層を構成するゴムにグラフト共重合して形成されたシェル層とからなるコア/シェル型グラフト共重合体であることが好ましい。
この場合、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練した後、ガスインジェクション成形することによって得られる成形体において、より優れた外観が得られる。
本発明は、上記ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練して得られる樹脂固形物である。
本発明は、上記樹脂固形物をガスインジェクション成形して得られる成形体である。
また本発明は、上記樹脂固形物をガスインジェクション成形して成形体を得る成形体の製造方法である。
本発明によれば、溶融混練後に、ガスインジェクション成形することによって、優れた外観及び耐衝撃性を成形体に付与できるガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物、これを用いた樹脂固形物、成形体及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(A2)からなる樹脂成分(A)と、ゴム性重合体(B)と、グリシジル基を含有するグリシジル基含有ポリマー(C)とを含有する。そして、樹脂成分(A)中のポリカーボネート樹脂(A1)の含有率が55〜95質量%であり、ゴム性重合体(B)が樹脂成分(A)100質量部に対して2〜10質量部の割合で配合され、グリシジル基含有ポリマー(C)が樹脂成分(A)100質量部に対して0.5〜3質量部の割合で配合されている。またポリカーボネート樹脂(A1)の粘度平均分子量は、17,000〜30,000である。
本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物によれば、溶融混練した後、ガスインジェクション成形することによって、優れた外観及び耐衝撃性を成形体に付与できる。なお、本発明によれば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が17,000未満である場合に比べて、より優れた耐衝撃性が得られ、30,000を超える場合に比べて、成形加工がより容易になり、より優れた外観が得られる。
以下、ポリカーボネート樹脂(A1)、ポリエステル樹脂(A2)、ゴム状重合体(B)及びグリシジル基含有ポリマー(C)について詳細に説明する。
(A1)ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、中でも芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ホスゲン又は炭酸のジエステルとを反応させることによって得られる、分岐していてもよい芳香族ポリカーボネート重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等の従来法によることができる。
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的なものとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する場合、上記芳香族ジヒドロキシ化合物に、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量添加してもよい。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましい。上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどを前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、その使用量は、該芳香族ジヒドロキシ化合物を基準(100モル%)として好ましくは0.01〜10モル%となる量であり、より好ましくは0.1〜2モル%となる量である。
エステル交換法による重合においては、ホスゲンの代わりに炭酸ジエステルがモノマーとして使用される。炭酸ジエステルの代表的な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(DPC)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで炭酸ジエステルの一部を置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
エステル交換法により芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、触媒が使用される。触媒の種類に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が使用される。中でもアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が特に好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換法では、上記触媒をp−トルエンスルホン酸エステル等で失活させることが一般的である。
芳香族ポリカーボネート樹脂として好ましいものは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。また、難燃性等を付与する目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、原料の異なる2種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよく、分岐構造を0.5モル%まで含有していてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A1)の粘度平均分子量は17,000〜30,000であればよい。この範囲の粘度平均分子量を得るためには、粘度平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合してもよく、粘度平均分子量が上記好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合し、上記分子量の範囲内としてもよい。なお、粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される値を言うものとする。
ポリカーボネート樹脂(A1)の構造粘性係数は特に制限されるものではないが、例えば1.28〜1.7であることが好ましい。ここで、構造粘性係数とは、文献「化学者のためのレオロジー」(化学同人、1982年、第15〜16頁)にも詳記されているように、溶融体の流動特性を評価する指標であり、下記式によって定義される。
N=γ/(a×σ)
(前記式中、Nは構造粘性係数、γは剪断速度、aは定数、σは応力を表す。
(A1)成分と(A2)成分の合計100質量%中の(A1)成分の配合率は、55〜95質量%である(A1)成分と(A2)成分の合計100質量%中の(A1)成分の配合率は、65〜85質量%であることが好ましく、70〜80質量%であることがより好ましい。
(A2)ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂(A2)とは、ジカルボン酸若しくはその反応性誘導体と、ジオール若しくはそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体又は共重合体である。
ジカルボン酸としては、例えば芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および芳香族−脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。中でも芳香族ジカルボン酸が好ましい。ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸等が好適に用いられ、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく使用できる。
芳香族ジカルボン酸は二種以上を混合して使用してもよい。なお、少量であれば、該ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を一種以上混合使用することも可能である。
また上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール等、2,2−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の芳香環を含有するジオール等およびそれらの混合物等が挙げられる。さらに少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわちポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の1種以上をジオールとして用いてもよい。また本発明に用いるポリエステル樹脂(A2)は少量の分岐剤を導入することにより分岐させることができる。分岐剤の種類に制限はないが、このような分岐剤としては、トリメシン酸、トリメリチン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
具体的なポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリへキシレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート樹脂等の他、エチレンイソフタレートとテレフタレートとの共重合体、ブチレンテレフタレートとイソフタレートとの共重合体等のような共重合ポリエステルが挙げられる。これらのうち、PET樹脂が好ましく使用できる。この場合、成形体の機械強度をより十分に向上させることができる。
PET樹脂は通常、上記のようなテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを含む原料を、エステル化触媒又はエステル交換触媒の存在下にてエステル化反応又はエステル交換反応させ、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はそのオリゴマーを形成し、その後、重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下に溶融重縮合を行うことにより得られる。
エステル化反応又はエステル交換反応時の反応温度は、通常240〜280℃であり、反応圧力は通常、大気に対する相対圧力として0.2〜3kg/cmG(20〜300kPa)である。また、溶融重縮合時の反応温度は、通常250〜300℃であり、反応圧力は通常、絶対圧力として500〜0.1mmHg(67〜0.013kPa)である。重縮合触媒としては、例えば二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム等のゲルマニウム系触媒、チタンテトラブトキシド、チタンイソロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等のチタニウム系触媒を用いることができる。
PET樹脂の固有粘度[η]は0.7〜1.3dl/gであることが好ましい。固有粘度[η]が上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合に比べて、機械的強度、流動性および耐薬品性のバランスがより良好となる。ここで、PET樹脂の固有粘度[η]は、フェノール/テトラクロルエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃で測定した値である。
(B)ゴム性重合体
ゴム性重合体(B)は、ゴム成分の含有量が50質量%以上の熱可塑性樹脂であって、ガラス転移温度が0℃以下の熱可塑性樹脂、又はこれと共重合可能な単量体成分とを共重合してなる共重合体であり、一般にガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物等に配合されて、その機械的特性を改良し得る、従来公知の任意のものを使用することができる。
上記ゴム性重合体(B)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ジエン系共重合体(スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル−ブタジエンゴム等)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体(エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等)、エチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体(エチレン−メタクリレ−ト共重合体、エチレン−ブチルアクリレ−ト共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)等)、エチレンと脂肪族ビニル化合物との共重合体、エチレンとプロピレンと非共役ジエンとのタ−ポリマ−、アクリルゴム(ポリブチルアクリレ−ト、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレ−ト)、ブチルアクリレ−ト−2−エチルヘキシルアクリレ−ト共重合体等)、シリコ−ン系ゴム(ポリオルガノシロキサンゴム;ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレ−トゴムとからなるIPN型複合ゴム等)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、「(メタ)アクリレ−ト」は「アクリレ−ト」と「メタクリレ−ト」を意味し、後述の「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」を意味する。
上記ゴム性重合体(B)において、上記熱可塑性樹脂と共重合可能な単量体成分としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物等が好適に挙げられる。その他の単量体成分としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物及びそれらの無水物、例えば無水マレイン酸等を挙げることができる。これらの単量体成分についても、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記熱可塑性樹脂にこれと共重合可能な単量体成分を共重合させたゴム性重合体(B)の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。
本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の成形安定性を向上させる観点からは、ゴム性重合体(B)としてコア/シェル型グラフト共重合体を用いることが好ましい。とりわけブタジエン含有ゴム、ブチルアクリレ−ト含有ゴム、2−エチルヘキシルアクリレ−ト含有ゴム及びシリコ−ン系ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴムからなるコア層と、その周囲に形成され、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及び芳香族ビニル化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体成分をコア層を構成するゴムにグラフト共重合して形成されたシェル層とからなるコア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。この場合、ゴム性重合体のポリカーボネート樹脂への分散性がより向上し、成形体の表面がより平滑になる。
より具体的には、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリル−ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル−シリコ−ンIPN(interpenetrating polymer network)ゴム)重合体等の、シェル層がポリメチルメタクリレート(PMMA)系重合体からなるコア/シェル型熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
これらのゴム性重合体(B)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム性重合体(B)の配合量は、樹脂成分(A)100質量部に対して2〜10質量部であればよい。この場合、樹脂成分(A)100質量部に対するゴム性重合体(B)の配合量が2質量部未満である場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより向上する。一方、樹脂成分(A)100質量部に対するゴム性重合体(B)の配合量が上記範囲内にあると、樹脂成分(A)100質量部に対するゴム性重合体(B)の配合量が10質量部を超える場合に比べて、表面平滑性に優れるという利点が得られる。
樹脂成分(A)100質量部に対するゴム性重合体(B)の配合量は、好ましくは2.5〜8質量部であり、より好ましくは3〜7質量部である。
(C)グリシジル基含有ポリマー
グリシジル基含有ポリマー(C)は、グリシジル基を含有するポリマーであればよい。グリシジル基中のエポキシ基は加熱により開環してポリカボネート樹脂又はポリエステル樹脂に結合し、ポリカーボネート樹脂の分子同士間、ポリエステル樹脂の分子同士間、又はポリカーボネート樹脂の分子とポリエステル樹脂の分子とを結合させる。
グリシジル基含有ポリマー(C)は、例えばグリシジル基を有するモノマーの単独重合体、又は、グリシジル基を有するモノマーとグリシジル基を有しないモノマーとの共重合体で構成される。
グリシジル基を有するモノマーとしては、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
グリシジル基を有しないモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレートや、エチレン、プロピレンなどのオレフィンモノマーなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
グリシジル基含有ポリマー(C)はエステル基をさらに含むことが好ましい。この場合、グリシジル基含有ポリマーがエステル基をさらに含まない場合に比べて、樹脂成分(A)に対してより優れた相溶性が得られる。ここで、エステル基は、グリシジル基を有するモノマーに由来する部分、グリシジル基を有しないモノマーに由来する部分のいずれに結合していてもよいが、グリシジル基を有しないモノマーに由来する部分に結合していることが好ましい。この場合、エステル基が、グリシジル基を有するモノマーに由来する部分に結合している場合に比べて、グリシジル基含有ポリマーと樹脂成分との反応性がより向上する。
グリシジル基含有ポリマー(C)中のグリシジル基の含有率は特に制限されるものではなく、通常は6〜12質量%あるが、通常は3〜20質量%であることが好ましい。この場合、グリシジル基の含有率が3質量%未満である場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより向上する。一方、グリシジル基の含有率が上記範囲内にあると、グリシジル基の含有率が20質量%を超える場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物のガスインジェクション成形がより容易になる。
グリシジル基含有ポリマー(C)の配合量は、樹脂成分(A)100質量部に対して0.5〜3質量部であればよい。この場合、樹脂成分(A)100質量部に対するグリシジル基含有ポリマー(C)の配合量が0.5質量部未満である場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより向上する。一方、樹脂成分(A)100質量部に対するグリシジル基含有ポリマー(C)の配合量が上記範囲内にあると、樹脂成分100質量部に対するグリシジル基含有ポリマー(C)の配合量が3質量部を超える場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物が溶融流動性に優れるため、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練した後、ガスインジェクション成形することによって得られる成形体において、より優れた外観が得られる。
樹脂成分(A)100質量部に対するグリシジル基含有ポリマー(C)の配合量は、好ましくは0.75〜2.5質量部であり、より好ましくは1〜2質量部である。
(D)熱安定剤
本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物においては、上述の樹脂成分(A)に対してヒンダードフェノール系や有機リン酸エステル化合物等の熱安定剤がさらに配合されてもよい。
有機リン酸エステル化合物は、例えば下記一般式(1)で表される。
Figure 2016094494
上記式(1)中、Rは総炭素数が2〜25の、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、nは1又は2を表す。なお、nが2のときには2つのRは相互に異なっていてもよい。
Rが表す非置換のアルキル基としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基およびステアリル基などが挙げられる。置換基を有するアルキル基としては、ブチル基やアリル基、メタリル基などの鎖状炭化水素基がエーテル結合やエステル結合によりアルキル基に結合したものが挙げられる。Rとしてはこれらの置換基を有するアルキル基を用いることが好ましい。また置換基の炭素も含めたRにおける総炭素数は5以上であることが好ましい。
有機リン酸エステル化合物は通常は、樹脂成分(A)100質量部に対して0.02〜3質量部配合される。有機リン酸エステル化合物の配合量は好ましくは0.1〜1質量部であり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部である。この場合、有機リン酸エステル化合物の配合量が0.1〜1質量部の範囲を外れる場合に比べて、より熱安定性が向上する。
(E)着色剤
本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物には、各種着色剤をさらに配合されてもよい。着色剤(E)としては、無機顔料、有機顔料及び有機染料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;亜鉛華、弁柄、酸化クロム、酸化チタン、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。
有機顔料及び有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染料などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性の点から、アンスラキノン系染料、フタロシアニン系染料が好ましい。
アンスラキノン系染料及び/又はフタロシアニン系染料の配合量は、樹脂成分(A)100質量部に対し、好ましくは1×10−6〜0.01質量部であり、より好ましくは1×10−5〜1×10−3質量部であり、さらに好ましくは1×10−4〜5×10−4質量部である。アンスラキノン系染料及び/又はフタロシアニン系染料の配合量が1×10−6〜0.01質量部であると、その範囲を外れる場合に比べて、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の光沢がより増加し、より外観に優れた成形品を製造することができる。
なお、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じ、さらに紫外線吸収剤、分散剤、滑剤、無機充填剤、拡散剤などをさらに含んでいてもよい。
(ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A1)55〜95質量部及びポリエステル樹脂(A2)45〜5質量部からなる樹脂成分(A)100質量部に対し、ゴム性重合体(B)を2〜10質量部の割合で配合し、グリシジル基含有ポリマー(C)を0.5〜3質量部の割合で配合されていれば、いかなる製造方法で製造されてもよい。この際、必要に応じ、熱安定剤(D)及び着色剤(E)のうちの1種以上をさらに配合してもよい。
具体的には、本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(A)〜(C)及び必要に応じて(D)〜(E)を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合することによって得ることができる。
(樹脂固形物)
本発明の樹脂固形物(例えばペレット)は、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練して得られるものである。溶融混練時の温度は、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物において、グリシジル基含有ポリマー(C)が樹脂成分(A)に結合し得る温度であればよい。この温度は、グリシジル基含有ポリマー(C)の種類に依存するので一概には言えないが、例えば250〜300℃であればよい。
溶融混練は、例えばバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで行うことができる。
(成形体)
本発明の成形体は、樹脂固形物をガスインジェクション成形して得られるものである。
(成形体の製造方法)
本発明の成形体の製造方法は、上述した樹脂固形物をガスインジェクション成形して成形体を製造するものである。
具体的には、射出成形機に、ガス注入ノズルを有する成形用金型を取り付け、上記の樹脂固形物を加熱溶融させて金型内に充填した後、成形する。このとき、金型のガス注入ノズルを通してガスを注入する。こうして中空状の成形体が得られる。またこのとき、金型の内壁面には、必要な箇所にシボ加工を施して凹凸を形成する。シボ深さは、成形体にも依存するので一概には言えないが、例えば0.01〜0.2mmとすればよい。なお、金型の内壁面に凹凸を形成するのは、成形体表面における光沢を抑制するためである。
本発明の成形体は、優れた耐衝撃性及び外観が要求される中空状の成形体に適用できる。このような成形体としては、例えば自動車の外装品(例えばアウターハンドル、ルーフレールなど)や内装品(例えばインターハンドル、キーケースなど)が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において用いた材料は次のとおりである。
(A)樹脂成分
(A1)ポリカーボネート樹脂
1)PC−A
ビスフェノールAを出発原料として用い、界面重合法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂
商品名「ユーピロンE−2000」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
粘度平均分子量:27,000
構造粘性係数N:1.0
2)PC−B
ビスフェノールAを出発原料として用い、界面重合法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂
商品名「ユーピロンS−3000」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
粘度平均分子量:23,000
構造粘性係数N:1.0
3)PC−C
商品名「ユーピロンH−4000」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
粘度平均分子量:16,000
構造粘性係数N:1.0
4)PC−D
ビスフェノールAを出発原料とした、溶融エステル交換法により製造された芳香族ポリカーボネート
商品名「ノバレックスM7027BF」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製
粘度平均分子量:27,000
構造粘性係数N:1.4
(A2)ポリエステル樹脂
1)PET1
ポリエチレンテレフタレート 三菱化学(株)製「ノバペックス(登録商標)GG900」
2)PET2
ポリエチレンテレフタレート 新光合成繊維(株)製「SHINPET 5511HF」
(B)ゴム性重合体
(B1)ゴム性重合体1
ローム・アンド・ハース・ジャパン社製、商品名「PARALOID KCZ201N」、ポリブタジエン・ポリスチレン共重合物(コア)/アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合物(シェル)からなるコア/シェル型グラフト共重合体
(B2)ゴム性重合体2
カネカ(株)製、商品名「カネエース M−732」、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン系コアシェル型ゴム
(C)グリシジル基含有ポリマー
(C1)グリシジル基含有ポリマー1
三井デュポンポリケミカル社製、商品名「ELVALOY AS」、エチレン/n−ブチルアクリレート/グリシジルアクリレートの3元共重合体(グリシジル基の含有率:5質量%)
(C2)グリシジル基含有ポリマー2
住友化学株式会社製、商品名「ボンドファスト2C」、エチレン/グリシジルメタクリレートの3元共重合体(グリシジル基の含有率:6質量%)
(C3)グリシジル基含有ポリマー3
住友化学株式会社製、商品名「ボンドファストE」、エチレン/n−ブチルアクリレート/グリシジルアクリレートの3元共重合体(グリシジル基の含有率:12質量%)
(D)熱安定剤
(D1)熱安定剤1
ADEKA(株)製、商品名「アデカスタブAX−71」、モノステアリルアシッドホスフェート/ジ−ステアリルアシッドホスフェート、(C1837O)P(O)(OH)3−n(n=1又は2)
(D2)熱安定剤2
ADEKA(株)製、商品名「アデカスタブAS2112」、(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)
(E)着色剤
越谷化成株式会社製、商品名「RB948G」、カーボンブラック
(実施例1〜15及び比較例1〜7)
<樹脂組成物およびペレットの調製>
表1〜3に示す成分を、表1〜3に示す割合にてタンブラ−ミキサ−で均一に混合して樹脂組成物を得た。その後、得られた樹脂組成物を、二軸押出機(JSW製「TEX−54αII」、L/D=49、バレル数16)に供給し、シリンダ−温度270℃、スクリュ−回転数500rpmにて溶融混練することにより、樹脂固形物としてのペレットを得た。
<ガスインジェクション射出成形による自動車用アウターハンドルの作製>
上記のようにして得られたペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製J−220EV−P)に、中央部に握手部分を、両端に車両本体への取り付け部分を有する自動車用アウターハンドル成形用金型を取り付け、シリンダー温度280℃、金型温度70℃、充填時間7秒、ガス射出遅延8秒、ガス圧10MPa、ガス保圧時間35秒、成形サイクル83秒の条件で、30ショット連続成形した。こうして成形体としての自動車用アウターハンドルを得た。なお、自動車用アウターハンドル成形用金型としては、両端にガス注入用ノズルを有し、内面にシボ加工による凹凸が形成されているものを用いた。ここで、シボ深さは20μmとした。
<特性の評価>
<外観>
上記で得られた自動車用アウターハンドルの外観を目視で観察し、下記の4段階で評価した。結果を表1〜3に示す。

A:スジおよび光沢のいずれもなし
B:若干のスジ又は光沢が認められるが、ほとんど目立たない
C:スジおよび光沢の一方がはっきりと認められる
D:スジおよび光沢の両方がはっきりと認められる

なお、合格基準は以下の通りとした。

(合格基準)観察結果がA又はBであること
<耐衝撃性>
上記のようにして得られたペレットを120℃で5時間以上乾燥した後、射出成形機(JSW製「J55AD」)を使用して、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル60秒の条件で、ISO引張試験片(厚さ4mm)を射出成形した。ISO179に準拠して、この試験片から厚さ4mmのノッチ付試験片を作製し、23℃及び−30℃の環境下において、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:KJ/m)を測定した。結果を表1〜3に示す。なお、合格基準は以下の通りとした。

(合格基準)ノッチ付きシャルピー衝撃強度が60kJ/m以上であること


Figure 2016094494
Figure 2016094494
Figure 2016094494
表1〜3に示す結果より、実施例1〜15は、外観および耐衝撃性の全ての点で、合格基準に達することがわかった。これに対し、比較例1〜7は、外観および耐衝撃性のうち少なくとも1つの点で合格基準に達しないことがわかった。
以上より、本発明のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物によれば、溶融混練後に、ガスインジェクション成形することによって、優れた外観及び耐衝撃性を成形体に付与できることが確認された。

Claims (8)

  1. ポリカーボネート樹脂(A1)及びポリエステル樹脂(A2)からなる樹脂成分(A)と、
    ゴム性重合体(B)と、
    グリシジル基を含有するグリシジル基含有ポリマー(C)とを含有し、
    前記樹脂成分(A)中のポリカーボネート樹脂(A1)の含有率が55〜95質量%であり、
    前記ゴム性重合体(B)が前記樹脂成分(A)100質量部に対して2〜10質量部の割合で配合され、
    前記グリシジル基含有ポリマー(C)が前記樹脂成分(A)100質量部に対して0.5〜3質量部の割合で配合され、
    前記ポリカーボネート樹脂(A1)の粘度平均分子量が17,000〜30,000である、ガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記グリシジル基含有ポリマー(C)中の前記グリシジル基の含有率が3〜20質量%である請求項1に記載のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記グリシジル基含有ポリマー(C)がエステル基をさらに含む、請求項1又は2に記載のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂(A2)がポリエチレンテレフタレート樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ゴム性重合体(B)が、ブタジエン含有ゴム、ブチルアクリレ−ト含有ゴム、2−エチルヘキシルアクリレ−ト含有ゴム及びシリコ−ン系ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴムからなるコア層と、その周囲に形成され、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、及び芳香族ビニル化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体成分を前記コア層を構成するゴムにグラフト共重合して形成されたシェル層とからなるコア/シェル型グラフト共重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスインジェクション成形用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練して得られる樹脂固形物。
  7. 請求項6に記載の樹脂固形物をガスインジェクション成形して得られる成形体。
  8. 請求項6に記載の樹脂固形物をガスインジェクション成形して成形体を得る成形体の製造方法。
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